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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】歯間ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/02 20060101AFI20220208BHJP
   A61C 15/00 20060101ALI20220208BHJP
   A46B 3/18 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61C15/02 502
A61C15/00
A46B3/18
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2016210002
(22)【出願日】2016-10-26
(65)【公開番号】P2018068515
(43)【公開日】2018-05-10
【審査請求日】2019-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】玄行 杏里
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101190066(CN,A)
【文献】特開2004-344229(JP,A)
【文献】国際公開第2009/081783(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0017048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/02
A61C 15/00
A46B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料により構成されたハンドル部と、
歯間を清掃できるように前記ハンドル部と接合されたブラシ部とを備え、
前記ブラシ部は、芯材、および、前記芯材に設けられたフィラメント束を含み、
前記芯材は、前記ハンドル部に被覆された被覆部を含み、
前記ハンドル部は、前記被覆部の一部を視認できるように開口した開口部を含み、
前記ハンドル部は、前記ハンドル部の長手方向に延び、前記ハンドル部の長手方向に沿う中心軸を挟むように設けられる第1正面および第2正面を含み、
前記開口部は、前記第1正面において開口する第1の開口部、および、前記第2正面において開口する第2の開口部を含み、
前記ハンドル部は、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを区画するように形成された区画壁をさらに含み、
前記被覆部は、前記区画壁と接合されている
歯間ブラシ。
【請求項2】
前記ハンドル部は、グリップ部およびネック部を含み、
前記被覆部は、少なくとも前記ネック部に被覆され、
前記開口部は、前記ネック部に設けられている
請求項1に記載の歯間ブラシ。
【請求項3】
前記開口部は、前記ネック部のうちの前記グリップ部側の端部に設けられている
請求項2に記載の歯間ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間の清掃に用いられる歯間ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
歯間ブラシは、ユーザがグリップするためのグリップ部を含むハンドル部、ハンドル部に接合された芯材、および、芯材に植毛されたフィラメント束を含む。芯材とハンドル部とは例えばインサート成形により接合される。特許文献1は、従来の歯間ブラシの一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-104382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯間ブラシのインサート成形において、例えば金型内に樹脂材料が供給されたときに芯材に加えられる力により、金型に配置された芯材の位置が規定の位置からずれることがある。このようなずれが生じた状態で製造された歯間ブラシは、例えばハンドル部と芯材とが十分な強度で接合されていないおそれがある。
本発明の目的は、ハンドル部と芯材とがインサート成形によって適切に接合されていることを容易に視認できる歯間ブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に関する歯間ブラシの一形態は、樹脂により構成されたハンドル部と、歯間を清掃できるように前記ハンドル部と接合されたブラシ部とを備え、前記ブラシ部は、芯材、および、前記芯材に設けられたフィラメント束を含み、前記芯材は、前記ハンドル部に被覆された被覆部を含み、前記ハンドル部は、前記被覆部の一部を視認できるように開口した開口部を含む。
ハンドル部が開口部を含むため、開口部を介して芯材とハンドル部とが適切に接合されていることを容易に視認できる。
【0006】
(2)前記歯間ブラシの一例では、前記ハンドル部は、前記ハンドル部の長手方向に延び、前記ハンドル部の長手方向に沿う中心軸を挟むように設けられる第1正面および第2正面を含み、前記開口部は、前記第1正面において開口する第1の開口部、および、前記第2正面において開口する第2の開口部を含む。
第1正面および第2正面のいずれからも芯材とハンドル部とが適切に接合されていることを容易に視認できる。
【0007】
(3)前記歯間ブラシの一例では、前記ハンドル部は、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを区画するように形成された区画壁をさらに含み、前記被覆部は、前記区画壁と接合されている。
このため、ハンドル部と芯材とがより強く接合される。
【0008】
(4)前記歯間ブラシの一例では、前記区画壁の厚さは、0.3~0.7mmの範囲に含まれる。
区画壁の厚さが0.3mm以上の範囲に含まれる場合、ハンドル部と芯材とがより強く接合されることが試験により確認された。区画壁の厚さが0.7mm以下の範囲に含まれる場合、開口部を介した被覆部の視認性が高められることが試験により確認された。
【0009】
(5)前記歯間ブラシの一例によれば、前記ハンドル部は、グリップ部およびネック部を含み、前記被覆部は、少なくとも前記ネック部に被覆され、前記開口部は、前記ネック部に設けられている。
開口部がネック部に設けられているため、歯間ブラシの使用時にユーザの指が開口部にひっかかりにくい。
【0010】
(6)前記歯間ブラシの一例によれば、前記開口部は、前記ネック部のうちの前記グリップ部側の端部に設けられている。
フィラメント束から離れた位置に開口部が設けられるため、フィラメント束に付着した歯垢等が開口部内に浸入しにくい。
【発明の効果】
【0011】
上記歯間ブラシによれば、ハンドル部と芯材とがインサート成形によって適切に接合されていることを容易に視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の歯間ブラシの第1正面側の斜視図。
図2図1の歯間ブラシの第2正面側の斜視図。
図3図1の歯間ブラシの正面図。
図4図1の歯間ブラシの側面図。
図5図1のネック部およびその周辺の拡大図。
図6図3のD6-D6線に沿う断面図。
図7図4のD7-D7線に沿う断面図。
図8図7の第2部分の拡大図。
図9図6の第2部分の拡大図。
図10図1の歯間ブラシの第1使用形態に関する側面図。
図11図1の歯間ブラシの第2使用形態に関する側面図。
図12図1の歯間ブラシの第3使用形態に関する側面図。
図13図1の歯間ブラシの第4使用形態を関する側面図。
図14】型締めされた金型の断面図。
図15】金型内に樹脂材料が射出された状態を示す断面図。
図16】第1試験に関する試験条件および測定結果を示す表。
図17】第2試験に関する試験条件および測定結果を示す表。
図18図17の第1変形率と最大トルクとの関係を示すグラフ。
図19図17の第2変形率と最大トルクとの関係を示すグラフ。
図20】第3試験に関する試験条件および測定結果を示す表。
図21】第4試験に関する試験条件および測定結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
図1図3を参照して、歯間ブラシ1の構成について説明する。
歯間ブラシ1は、ハンドル部10およびブラシ部100を備える。ハンドル部10は、歯間ブラシ1の本体を構成している。ブラシ部100は、歯間を清掃できるようにハンドル部10と接合されている。歯間ブラシ1に対しては、軸方向、幅方向、および、厚さ方向を規定できる。歯間ブラシ1の軸方向は、歯間ブラシ1の中心軸Cに沿う方向である。歯間ブラシ1の幅方向は、歯間ブラシ1の正面視において歯間ブラシ1の軸方向と直交する方向である。歯間ブラシ1の厚さ方向は、歯間ブラシ1の側面視において歯間ブラシ1の軸方向と直交する方向である。歯間ブラシ1の構造は、歯間ブラシ1の軸方向および幅方向に平行な中心面D(図4参照)に対して面対称である。歯間ブラシ1の中心軸Cは、中心面Dに含まれる。
【0014】
ハンドル部10は、第1正面10A(図1参照)、第2正面10B(図2参照)、第1端部10C、および、第2端部10Dを含む。第1正面10Aおよび第2正面10Bは、歯間ブラシ1の中心軸Cおよび中心面D(図4参照)を挟むように設けられた面である。第1端部10Cは、歯間ブラシ1の軸方向におけるハンドル部10の一方の端部である。第2端部10Dは、歯間ブラシ1の軸方向におけるハンドル部10の他方の端部である。第1端部10Cの形状は、おおよそ球状である。このため、第1端部10Cが口内の組織に接触した場合に衝撃を和らげることができる。第2端部10Dの形状は、おおよそ半球状である。
【0015】
ハンドル部10は、ネック部20、グリップ部30、および、折曲予定部40をさらに含む。グリップ部30は、ユーザが指でしっかりとグリップできるように構成された部分である。ネック部20は、口内の組織と接触しにくいように相対的にグリップ部30よりも細く構成された部分である。ネック部20は、ハンドル部10の第1端部10Cを含む。グリップ部30は、ハンドル部10の第2端部10Dを含む。グリップ部30は、ユーザがグリップできるように構成されている。折曲予定部40は、第1折曲予定部41および第2折曲予定部42を含む。
【0016】
第1折曲予定部41は、ネック部20に設けられている。第2折曲予定部42は、グリップ部30に設けられている。各折曲予定部41、42は、歯間に対するブラシ部100の挿入性を調節するために折り曲げることができるように構成されている。ネック部20に第1折曲予定部41が設けられているため、ネック部20を容易に折り曲げることができる。グリップ部30に第2折曲予定部42が設けられているため、ブラシ部100の姿勢をより多様に調節できる。
【0017】
ブラシ部100は、芯材110、フィラメント束200、および、清掃部140を含む。芯材110は、フィラメント束200を保持している。清掃部140は、ブラシ部100において歯間の清掃に直接的に関与する部分である。清掃部140は、芯材110においてフィラメント束200が植毛された部分(以下「保持部121」)、および、フィラメント束200により構成されている。フィラメント束200は、歯間から歯垢および食物残渣を除去できるように複数のフィラメントにより構成されている。フィラメントを構成する材料の一例は、ナイロン樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂である。フィラメント束200は、芯材110から放射状に突出するように芯材110に植毛されている。
【0018】
歯間ブラシ1は、複数の使用形態を取り得る。各使用形態では、ハンドル部10が清掃対象となる歯間の部位に応じた形状を有する。一例では、歯間ブラシ1の複数の使用形態は、第1~第4使用形態を含む。
【0019】
図10は、第1使用形態を取る歯間ブラシ1の側面図である。第1使用形態は、主として前歯の歯間の清掃に適した形態である。第1使用形態では、折曲予定部40が折り曲げられておらず、ハンドル部10の形状が直線状である。
【0020】
図11は、第2使用形態を取る歯間ブラシ1の側面図の一例である。第2使用形態は、主として小臼歯の歯間の清掃に適した形態である。第2使用形態では、ブラシ部100が倒れるようにハンドル部10が第1折曲予定部41で折り曲げられている。
【0021】
図12は、第3使用形態を取る歯間ブラシ1の側面図の一例である。第3使用形態は、主として大臼歯の歯間の清掃に適した形態である。第3使用形態では、ブラシ部100が倒れるようにハンドル部10が第2折曲予定部42で折り曲げられている。
【0022】
図13は、第4使用形態を取る歯間ブラシ1の側面図の一例である。第4使用形態は、主として大臼歯の歯間の清掃に適した形態である。第4使用形態では、ブラシ部100が倒れるようにハンドル部10が各折曲予定部41、42で折り曲げられている。
【0023】
図3に示されるように、ハンドル部10は、開口部50および区画壁60をさらに含む。開口部50および区画壁60は、ネック部20に設けられている。開口部50は、ハンドル部10に形成された穴、および、その穴を形成するハンドル部10の樹脂部を含む部分である。一例では、開口部50は、第1開口部51および第2開口部52(図2参照)を含む。第1開口部51は、第1正面10Aにおいて開口している。第2開口部52は、第2正面10Bにおいて開口している。区画壁60は、第1開口部51と第2開口部52とを区画している。
【0024】
ハンドル部10が開口部50を含むため、ハンドル部10と芯材110とが適切に接合されていることを容易に確認できる。開口部50が第1開口部51および第2開口部52を含むため、ハンドル部10の第1正面10A側および第2正面10B側のいずれからもハンドル部10と芯材110との接合状態を容易に確認できる。開口部50がネック部20に設けられているため、歯間ブラシ1の使用時にユーザの指が開口部50にひっかかりにくい。
【0025】
ハンドル部10は、樹脂材料により構成されている。このため、ハンドル部10の全体の一体成形が可能であり、歯間ブラシ1を効率的に製造できる。ハンドル部10を構成する樹脂材料の種類およびその物性値は、例えば、疲労に対するハンドル部10の強度、および、ハンドル部10の折り曲げやすさとの関係から決められることが好ましい。これらの因子に影響する樹脂材料の物性値は、少なくとも密度、融点、および、弾性率を含む。疲労に対するハンドル部10の強度は、歯間ブラシ1の一般的な使用期間において疲労が生じないように決められることが好ましい。
【0026】
好ましい樹脂材料の一例は、結晶性樹脂材料である。好ましい結晶性樹脂材料の一例は、ポリオレフィン樹脂である。好ましいポリオレフィン樹脂の一例は、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂(PP)である。好ましいポリエチレン樹脂の一例は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、または、分岐状低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)である。ハンドル部10がポリオレフィン樹脂により構成される場合の好ましい物性値を以下に示す。
【0027】
好ましい密度の上限の一例は、930kg/mである。より好ましい密度の上限の一例は、928kg/mである。好ましい密度の下限の一例は、920kg/mである。より好ましい密度の下限の一例は、923kg/mである。密度に関する好ましい範囲の一例は、920~930kg/mである。密度に関するより好ましい範囲の一例は、923~928kg/mである。好ましい密度の一例は、925kg/mである。
【0028】
好ましい融点の上限の一例は、126℃である。より好ましい融点の上限の一例は、124℃である。好ましい融点の下限の一例は、120℃である。より好ましい融点の下限の一例は、121℃である。融点に関する好ましい範囲の一例は、120~126℃である。融点に関するより好ましい範囲の一例は、121~124℃である。好ましい融点の一例は、123℃である。
【0029】
好ましい弾性率の上限の一例は、300MPaである。より好ましい弾性率の上限の一例は、230MPaである。好ましい弾性率の下限の一例は、200MPaである。より好ましい弾性率の下限の一例は、210MPaである。弾性率に関する好ましい範囲の一例は、200~300MPaである。弾性率に関するより好ましい範囲の一例は、210~230MPaである。好ましい弾性率の一例は、230MPaである。
【0030】
図3および図4を参照して、ネック部20の詳細について説明する。
ネック部20は、基部21、中間部22、および、先端部23を含む。基部21は、グリップ部30と繋がる部分である。開口部50は、基部21に設けられている。中間部22の形状は扁平形状である。第1折曲予定部41は、基部21および中間部22に設けられている。先端部23は、ハンドル部10の第1端部10Cを含む部分である。
【0031】
図3および図4に示されるように、ネック部20の幅および厚さは、ネック部20の部位毎に異なる。ネック部20の幅は、歯間ブラシ1の幅方向におけるネック部20の寸法である。ネック部20の厚さは、歯間ブラシ1の厚さ方向におけるネック部20の寸法である。基部21の幅LAおよび厚さLBは、グリップ部30側から中間部22側に向けて狭くなる。歯間ブラシ1の中心軸Cに直交するネック部20の断面において、幅LAは厚さLBよりも大きい。中間部22の幅LCおよび厚さLDは一定である。歯間ブラシ1の中心軸Cに直交するネック部20の断面において、幅LCは厚さLDよりも大きい。
【0032】
図5に示されるように、第1折曲予定部41は、1本または複数本の第1溝41Aを含む。図示される例では、第1折曲予定部41は、8本の第1溝41Aを含む。第1溝41Aは、ブラシ部100の突出部120が倒れる方向にネック部20を折り曲げることができるように形成されている。各第1溝41Aは、第1正面10Aおよび第2正面10Bのそれぞれに設けられている。各第1溝41Aは、歯間ブラシ1の軸方向に並んでいる。各第1溝41Aは、歯間ブラシ1の幅方向においてネック部20のおおよそ全体に設けられている。第1折曲予定部41が少なくとも1本の第1溝41Aを含むため、第1折曲予定部41を容易に折り曲げることができる。以下の説明では、各第1溝41Aを区別するため、グリップ部30の最も近く形成された第1溝41Aから順に第1溝41Aの番号を決める。
【0033】
第1溝41Aの幅XAおよび深さHA(図6参照)は、例えば、第1折曲予定部41の折り曲げやすさ、および、曲げに対するネック部20の強度との関係から決められることが好ましい。第1溝41Aの幅XAは、歯間ブラシ1の軸方向における第1溝41Aの寸法である。第1溝41Aの深さHAは、歯間ブラシ1の厚さ方向における第1溝41Aの寸法であり、例えば、歯間ブラシ1の中心面Dと直交するハンドル部10の断面(図6参照)上に規定される。
【0034】
1番目の第1溝41Aの幅XA1は、各第1溝41Aの幅XAのうちで最も広い。2番目の第1溝41Aの幅XA2は、各第1溝41Aの幅XAのうちで2番目に広い。3番目の第1溝41Aの幅XA3は、各第1溝41Aの幅XAのうちで3番目に広い。4~8番目の第1溝41Aの幅XA4は、互いに等しく、各第1溝41Aの幅XAのうちで最も狭い。
【0035】
好ましい幅XAの上限の一例は、1.2mmである。より好ましい幅XAの上限の一例は、1.0mmである。好ましい幅XAの下限の一例は、0.3mmである。より好ましい幅XAの下限の一例は、0.4mmである。幅XAに関する好ましい範囲の一例は、0.3~1.2mmである。幅XAに関するより好ましい範囲の一例は、0.4~1.0mmである。好ましい幅XA1の一例は、1.01mmである。好ましい幅XA2の一例は、0.8mmである。好ましい幅XA3の一例は0.6mmである。好ましい幅XA4の一例は0.4mmである。
【0036】
各第1溝41Aの深さHAは同一である。好ましい深さHAの上限の一例は、0.7mmである。より好ましい深さHAの上限の一例は、0.6mmである。好ましい深さHAの下限の一例は、0.05mmである。より好ましい深さHAの下限の一例は、0.1mmである。深さHAに関する好ましい範囲の一例は、0.05~0.7mmである。深さHAに関するより好ましい範囲の一例は、0.1~0.6mmである。好ましい深さHAの一例は、0.1mmである。
【0037】
図3および図4を参照して、グリップ部30の詳細について説明する。
グリップ部30は、上部31、中間部32、および、下部33を含む。グリップ部30の形状は扁平形状である。上部31は、ネック部20の基部21と繋がる部分である。下部33は、ハンドル部10の第2端部10Dを含む部分である。中間部32は、上部31と下部33との間の部分である。第2折曲予定部42は、中間部32に設けられている。グリップ部30は、歯間ブラシ1の正面視において中間部32が上部31および下部33よりも細くなるように括れている。
【0038】
図3に示されるように、第2折曲予定部42は、1または複数の第2溝42Aを含む。図示される例では、第2折曲予定部42は、6本の第2溝42Aを含む。第2溝42Aは、ブラシ部100の突出部120が倒れる方向にグリップ部30を折り曲げることができるように形成されている。第2溝42Aは、第1正面10Aおよび第2正面10Bのそれぞれに設けられている。各第2溝42Aは、歯間ブラシ1の軸方向に並んでいる。各第2溝42Aは、歯間ブラシ1の中心軸Cまわりにおいてグリップ部30を1周するように設けられている。第2折曲予定部42が少なくとも1本の第2溝42Aを含むため、第2折曲予定部42を容易に折り曲げることができる。
【0039】
第2溝42Aの幅XBおよび深さHB(図6参照)は、例えば、第2折曲予定部42の折り曲げやすさ、および、曲げに対するグリップ部30の強度との関係から決められることが好ましい。第2溝42Aの幅XBは、歯間ブラシ1の軸方向における第2溝42Aの寸法である。第2溝42Aの深さHBは、歯間ブラシ1の厚さ方向における第2溝42Aの寸法であり、例えば、歯間ブラシ1の中心面Dと直交するハンドル部10の断面(図6参照)上に規定される。
【0040】
各第2溝42Aの幅XBは同一である。好ましい幅XBの上限の一例は、0.7mmである。より好ましい幅XBの上限の一例は、0.6mmである。好ましい幅XBの下限の一例は、0.3mmである。より好ましい幅XBの下限の一例は、0.4mmである。幅XBに関する好ましい範囲の一例は、0.3~0.7mmである。幅XBに関するより好ましい範囲の一例は、0.4~0.6mmである。好ましい幅XBの一例は、0.5mmである。
【0041】
各第2溝42Aの深さHBは同一である。好ましい深さHBの上限の一例は、1.2mmである。より好ましい深さHBの上限の一例は、1.0mmである。好ましい深さHBの下限の一例は、0.2mmである。より好ましい深さHBの下限の一例は、0.3mmである。深さHBに関する好ましい範囲の一例は、0.2~1.2mmである。深さHBに関するより好ましい範囲の一例は、0.3~1.0mmである。好ましい深さHBの一例は、0.5mmである。
【0042】
図6を参照して、ブラシ部100の詳細について説明する。
芯材110は、ワイヤにより構成される。ワイヤを構成する材料の一例は、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、折出硬化系ステンレス鋼、ニッケル基合金、コバルト基合金、または、チタン・ニッケル合金である。
【0043】
芯材110は、フィラメント束200を保持できるように捻られている。一例では、ブラシ部100は次のように構成される。最初に、芯材110の素材となる1本のワイヤが折り曲げられ、ワイヤに折り曲げられた部分(以下「芯材110の折曲部110P」)が形成される。これにより、ワイヤは、折曲部110Pに対する一方の部分(以下「芯材110の第1折返部110A」)と他方の部分(以下「芯材110の第2折返部110B」)とに区分される。
【0044】
次に、芯材110の第1折返部110Aと第2折返部110Bとが互いに平行するように重ね合わせられる。次に、重ね合わせられた第1折返部110Aと第2折返部110Bとの間に挟み込まれるようにフィラメント束200が第1折返部110Aと第2折返部110Bとの間に挿入される。次に、第1折返部110Aと第2折返部110Bとによりフィラメント束200が強く保持されるように第1折返部110Aと第2折返部110Bとが合わせて捻られる。
【0045】
第1折返部110Aと第2折返部110Bとが捻られた後、フィラメント束200が例えば円錐形状にカットされることによりブラシ部100が構成される。捻られた第1折返部110Aおよび第2折返部110Bは、1本のワイヤを構成している。芯材110の先端部110Cは、折曲部110Pを含む。芯材110における先端部110Cとは反対側の端部である被覆端部110Dは、第1折返部110Aの先端および第2折返部110Bの先端を含む。芯材110の太さは、芯材110の中心軸に沿う方向において異なる。一例では、芯材110における最大の太さが芯材110の太さを代表する。芯材110の最大の太さは、ワイヤの直径のおおよそ2倍である。
【0046】
芯材110は、突出部120および被覆部130を含む。突出部120は、保持部121および非保持部122を含む。保持部121は、芯材110の折曲部110Pを含み、フィラメント束200が植毛された部分である。非保持部122は、保持部121とネック部20の先端部23との間の部分であり、フィラメント束200が植毛されていない部分である。
【0047】
突出部120の太さは、例えば、曲げに対する突出部120の強度との関係から決められることが好ましい。突出部120の太さは、例えば、芯材110の太さと同一である。好ましい突出部120の太さの上限の一例は、0.7mmである。より好ましい突出部120の太さの上限の一例は、0.6mmである。好ましい突出部120の太さの下限の一例は、0.3mmである。より好ましい突出部120の太さの下限の一例は、0.4mmである。突出部120の太さに関する好ましい範囲の一例は、0.3~0.7mmである。突出部120の太さに関するより好ましい範囲の一例は、0.4~0.6mmである。好ましい突出部120の太さの一例は、0.4mmである。
【0048】
被覆部130は、ハンドル部10に被覆された部分であり、第1部分131および第2部分132を含む。第1部分131は、塑性加工が施されていない部分である。第2部分132は、塑性加工が施された部分である。第2部分132に施された塑性加工の一例は、プレス加工である。第1折返部110Aと第2折返部110Bとが捻られた芯材110の一部がプレス加工されることにより第2部分132が形成される。第2部分132の形状は扁平の略長方形である。第2部分132の形状は任意に変更可能である。第2部分132の形状に関する他の例は、扁平の略正方形、扁平の略円形、扁平の略楕円形、または、扁平の略三角形である。第2部分132は、芯材110の被覆部130の任意の位置に設けられる。好ましい一例では、第2部分132は、芯材110の被覆端部110Dを含む範囲に設けられる。被覆部130の一部(以下「被視認部133」)は、開口部50を介して視認可能である。一例では、被視認部133は、第1部分131に含まれる。
【0049】
第1部分131の太さMAは、例えば、第1折曲予定部41の折り曲げやすさ、曲げられた状態におけるネック部20の形状の保持性、および、疲労に対するネック部20の強度との関係から決められることが好ましい。図示される例では、第1部分131の太さは、芯材110の太さと同一である。
【0050】
好ましい第1部分131の太さの上限の一例は、0.7mmである。より好ましい第1部分131の太さの上限の一例は、0.6mmである。好ましい第1部分131の太さの下限の一例は、0.3mmである。より好ましい第1部分131の太さの下限の一例は、0.4mmである。第1部分131の太さMAに関する好ましい範囲の一例は、0.3~0.7mmである。第1部分131の太さMAに関するより好ましい範囲の一例は、0.4~0.6mmである。好ましい第1部分131の太さMAの一例は、0.4mmである。第1部分131の太さMAは、区画壁60の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0051】
第1折曲予定部41の折り曲げやすさ、および、ネック部20の形状の保持性は、第1部分131の太さMA自体だけではなく、さらに芯材占有率PXとも関連する。芯材占有率PXは、ネック部20における最も細い部分の厚さ(以下「最小寸法PM」)に対する第1部分131の太さMAの割合である。一例では、最小寸法PMは、歯間ブラシ1の中心面Dと直交するハンドル部10の断面(図6参照)上に規定され、第1正面10Aに形成された第1溝41Aの底面と第2正面10Bに形成された第1溝41Aの底面との距離である。芯材占有率PXを求める式は「PX=MA/PM×100(%)」である。
【0052】
好ましい芯材占有率PXの上限の一例は、45%である。より好ましい芯材占有率PXの上限の一例は、40%である。好ましい芯材占有率PXの下限の一例は、15%である。より好ましい芯材占有率PXの下限の一例は、20%である。芯材占有率PXに関する好ましい範囲の一例は、15~45%である。芯材占有率PXに関するより好ましい範囲の一例は、20~40%である。好ましい芯材占有率PXの一例は、20%である。芯材占有率PXが20%以上の範囲に含まれる場合、ネック部20が折り曲げられた状態が維持されやすい。芯材占有率PXが40%以下の範囲に含まれる場合、第1折曲予定部41を折り曲げやすい。
【0053】
塑性加工による被覆部130の変形の度合は、例えば第1変形率PAおよび第2変形率PBの少なくとも一方により規定できる。第1変形率PAは、第1部分131の太さMAに対する第2部分132の最大幅MB(図9参照)の割合である。第2部分132の最大幅MBは、歯間ブラシ1の幅方向における第2部分132の寸法である。第1変形率PAを求める式は「PA=MB/MA×100(%)」である。第2変形率PBは、第2部分132の厚さMC(図8参照)に対する第1部分131の太さMAの割合である。第2部分132の厚さMCは、歯間ブラシ1の厚さ方向における第2部分132の寸法である。第2変形率PBを求める式は「PB=MA/MC×100(%)」である。
【0054】
第1変形率PAは、例えば、捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度、および、被覆部130の第2部分132の強度との関係から決められることが好ましい。好ましい第1変形率PAの上限の一例は、150%である。より好ましい第1変形率PAの上限の一例は、145%である。好ましい第1変形率PAの下限の一例は、130%である。より好ましい第1変形率PAの下限の一例は、135%である。第1変形率PAに関する好ましい範囲の一例は、130%~150%である。第1変形率PAに関するより好ましい範囲の一例は、135~145%である。好ましい第1変形率PAの一例は、140%である。
【0055】
第1変形率PAが130%以上の範囲に含まれる場合、ハンドル部10および突出部120を捻る力が歯間ブラシ1に加えられた場合にハンドル部10と被覆部130との接合が外れにくい。第1変形率PAが150%以下の範囲に含まれる場合、第2部分132に関して高い強度が確保される。また、インサート成形により歯間ブラシ1が製造される場合に、金型に対するブラシ部100の位置が規定の位置からずれにくい。
【0056】
第2変形率PBは、例えば、捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度、および、第2部分132の強度との関係から決められることが好ましい。好ましい第2変形率PBの上限の一例は、260%である。より好ましい第2変形率PBの上限の一例は、250%である。好ましい第2変形率PBの下限の一例は、200%である。より好ましい第2変形率PBの下限の一例は、210%である。第2変形率PBに関する好ましい範囲の一例は、200~260%である。第2変形率PBに関するより好ましい範囲の一例は、210~250%である。好ましい第2変形率PBの一例は、240%である。
【0057】
第2変形率PBが200%以上の範囲に含まれる場合、ハンドル部10および突出部120を捻る力が加えられた場合にハンドル部10と被覆部130との接合が外れにくい。第2変形率PBが260%以下の範囲に含まれる場合、第2部分132に関して高い強度が確保される。また、インサート成形により歯間ブラシ1が製造される場合に、金型に対するブラシ部100の位置が規定の位置からずれにくい。
【0058】
第1変形率PAおよび第2変形率PBとは別の因子も、捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度に関連する。その一例は、離間率PCおよび被覆率PDである。離間率PCおよび被覆率PDは、個々に接合強度に影響し、さらに第1変形率PAおよび第2変形率PBからも独立して接合強度に影響する。
【0059】
離間率PCは、図6および図7に示される被覆部130の長さHXに対する第2部分132の離間距離HYの割合である。被覆部130の長さHXは、歯間ブラシ1の軸方向における被覆部130の寸法である。第2部分132の離間距離HYは、芯材110の被覆端部110Dと第2部分132の中心点132Aとの距離である。離間率PCを求める式は「PC=HY/HX×100(%)」である。
【0060】
離間率PCに関する好ましい範囲の一例は、55%以下である。離間率PCに関するより好ましい範囲の一例は、30%以下である。好ましい離間率PCの一例は、7%である。離間率PCが55%以下の範囲に含まれる場合、ハンドル部10および突出部120を捻る力が歯間ブラシ1に加えられた場合にハンドル部10と被覆部130との接合が外れにくい。
【0061】
被覆率PDは、芯材110の長さZAに対する被覆部130の長さHXの割合である。芯材110の長さZAは、歯間ブラシ1の軸方向における芯材110の全体の寸法である。被覆部130の長さHXは、歯間ブラシ1の軸方向における被覆部130の全体の寸法である。被覆率PDを求める式は「PD=HX/ZA×100(%)」である。
【0062】
被覆率PDに関する好ましい範囲の一例は、40%以上である。被覆率PDに関するより好ましい範囲の一例は、55%以上である。好ましい被覆率PDの一例は、60%である。被覆率PDが40%以上の範囲に含まれる場合、ハンドル部10および突出部120を捻る力が歯間ブラシ1に加えられた場合にハンドル部10と被覆部130との接合が外れにくい。
【0063】
歯間ブラシ1の操作性に関連する因子の一例として、突出率PEが挙げられる。突出率PEは、突出部120の長さSAに対するネック部20の長さNAの割合である。突出部120の長さSAは、歯間ブラシ1の軸方向における突出部120の寸法である。ネック部20の長さNAは、歯間ブラシ1の軸方向におけるネック部20の寸法である。突出率PEを求める式は「PE=NA/SA×100(%)」である。突出率PEは、清掃部140の歯間への挿入性、および、歯間ブラシ1の軸方向における清掃部140とグリップ部30との距離との関係から決められることが好ましい。
【0064】
好ましい突出率PEの上限の一例は、150%である。より好ましい突出率PEの上限の一例は、140%である。好ましい突出率PEの下限の一例は、30%である。より好ましい突出率PEの下限の一例は、40%である。突出率PEに関する好ましい範囲の一例は、30~150%である。突出率PEに関するより好ましい範囲の一例は、40~140%である。好ましい突出率PEの一例は、125%である。
【0065】
突出率PEが30%以上の範囲に含まれる場合、歯間ブラシ1の軸方向においてグリップ部30と清掃部140との距離が長くなるため、清掃部140に付着した歯垢および食物残渣等がユーザの手に付着しにくい。また、開口部50と清掃部140との距離が長くなるため、清掃部140に付着した歯垢等が開口部50内に浸入しにくい。突出率PEが170%以下の範囲に含まれる場合、清掃部140を歯間に挿入しやすい。
【0066】
図5を参照して、開口部50および区画壁60の詳細について説明する。
開口部50は、被覆部130の被視認部133をハンドル部10の外部から視認できるように開口した穴を含む。このため、区画壁60と被覆部130とが適切に接合しているか否かを開口部50を介して目視により確認できる。区画壁60と被覆部130とが適切に接合していない状態の一例として、開口部50を介して芯材110を視認できない状態、および、開口部50を介して視認される芯材110が歯間ブラシ1の中心軸Cに対して著しく偏っている状態が挙げられる。このような状態が確認された場合、該当する歯間ブラシ1を出荷の対象から除くことができる。第1開口部51は、第1正面10Aのうちのネック部20の基部21において開口した穴を含む。第2開口部52(図2参照)は、第2正面10Bのうちのネック部20の基部21において開口した穴を含む。各開口部51、52に含まれる穴の開口面積は、穴の開口から区画壁60に向かうにつれて狭くなる。
【0067】
開口部50における最小の開口面積は、例えば、被覆部130の視認性との関係から決められることが好ましい。一例では、第1開口部51のうちの区画壁60に最も近い部分(以下「第1開口部51の底部51A」)が最小の開口面積を有する。第1開口部51の底部51Aの形状は長方形状である。最小の開口面積は、歯間ブラシ1の軸方向における底部51Aの寸法YA、および、歯間ブラシ1の幅方向における底部51Aの寸法YBにより決められる。
【0068】
好ましい最小の開口面積の上限の一例は、2.0mmである。より好ましい最小の開口面積の上限の一例は、1.8mmである。好ましい最小の開口面積の下限の一例は、1.0mmである。より好ましい最小の開口面積の下限の一例は、1.2mmである。最小の開口面積に関する好ましい範囲の一例は、1.0~1.2mmである。最小の開口面積に関するより好ましい範囲の一例は、1.2~1.8mmである。好ましい最小の開口面積の一例は、1.8mmである。なお、第2開口部52における最小の開口面積も第1開口部51と同様に決められる。
【0069】
区画壁60は、被覆部130と接合している。このため、ハンドル部10と被覆部130とがより強く接合される。区画壁60の厚さは、例えば、開口部50を介した被覆部130の視認性、および、捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度との関係から決められることが好ましい。区画壁60の厚さは、歯間ブラシ1の厚さ方向における区画壁60の寸法である。
【0070】
好ましい区画壁60の厚さの上限の一例は、0.7mmである。より好ましい区画壁60の厚さの上限の一例は、0.6mmである。好ましい区画壁60の厚さの下限の一例は、0.3mmである。より好ましい区画壁60の厚さの下限の一例は、0.4mmである。区画壁60の厚さに関する好ましい範囲の一例は、0.3~0.7mmである。区画壁60の厚さに関するより好ましい範囲の一例は、0.4~0.6mmである。好ましい区画壁60の厚さの一例は、0.4mmである。区画壁60の厚さが0.3mm以上の範囲に含まれる場合、ハンドル部10と被覆部130とが一層強く接合される。区画壁60の厚さが0.7mm以下の範囲に含まれる場合、開口部50を介した被覆部130の視認性が高められる。
【0071】
図11図13を参照して、歯間ブラシ1の第2~第4使用形態について説明する。
図11に示される第2使用形態では、第1折曲予定部41が折り曲げられている。このため、ハンドル部10の中心軸Cとネック部20のうちの第1折曲予定部41よりも先端部23側の部分の中心軸CAとがなす角(以下「第1角度θA」)は、0度よりも大きい。第1角度θAは、例えば、ハンドル部10の形状が臼歯の歯間に清掃部140を容易に挿入および抜去できる形状となる範囲に含まれることが好ましい。第1角度θAに関する好ましい範囲の一例は、0度超かつ90°以下である。第1角度θAに関するより好ましい範囲の一例は、40~60°である。第1角度θAに関する好ましい一例は、40°である。
【0072】
図12に示される第3使用形態では、第2折曲予定部42が折り曲げられている。このため、ハンドル部10の中心軸Cとグリップ部30のうちの第2折曲予定部42よりもネック部20側の部分の中心軸CBとがなす角(以下「第2角度θB」)は、0度よりも大きい。第2角度θBは、例えば、ハンドル部10の形状がグリップ性および操作性の高い形状となる範囲に含まれることが好ましい。第2角度θBに関する好ましい範囲の一例は、0度超かつ40°以下である。第2角度θBに関するより好ましい範囲の一例は、25~35°である。第2角度θBに関する好ましい一例は、30°である。
【0073】
図13に示される第4使用形態では、各折曲予定部41、42が折り曲げられている。このため、ハンドル部10の中心軸Cとネック部20のうちの第1折曲予定部41よりも先端部23側の部分の中心軸CCとがなす角(以下「第3角度θC」)は、0度よりも大きい。第3角度θCは、例えば、ハンドル部10の形状が臼歯の歯間の清掃時に清掃部140を容易に挿入および抜去できる形状となる範囲に含まれることが好ましい。第3角度θCに関する好ましい範囲の一例は、0度超かつ80°以下である。第3角度θCに関するより好ましい範囲の一例は、50~60°である。第3角度θCに関する好ましい一例は、55°である。
【0074】
ハンドル部10の中心軸Cとグリップ部30のうちの第2折曲予定部42よりもネック部20側の部分の中心軸CDとがなす角(以下「第4角度θD」)は、0度よりも大きい。第4角度θDは、例えば、ハンドル部10の形状がグリップ性および操作性の高い形状となる範囲に含まれることが好ましい。第4角度θDに関する好ましい範囲の一例は、0度超かつ30°以下である。第4角度θDに関するより好ましい範囲の一例は、10~20°である。第4角度θDに関する好ましい一例は、15°である。
【0075】
図14および図15を参照して、歯間ブラシ1の製造方法について説明する。
一例では、歯間ブラシ1はインサート成形により製造される。第1工程では、ブラシ部100が製造される。第2工程では、図14に示されるように、ブラシ部100が金型300内における規定の位置に配置される。金型300は、保持型310および成形型340を備える。保持型310は、ブラシ部100を保持するための金型である。成形型340は、ハンドル部10を成形するための金型である。
【0076】
保持型310は、固定保持型320および可動保持型330を含む。固定保持型320は、第1保持部321および第1収容部322を含む。第1保持部321は、芯材110の非保持部122を配置可能な溝を含む。第1収容部322は、歯間ブラシ1の中心面D(図4参照)に対するブラシ部100の半分を配置可能な凹部を含む。可動保持型330は、第2保持部331および第2収容部332を含む。第2保持部331は、芯材110の非保持部122を配置可能な溝を含む。第2収容部332は、歯間ブラシ1の中心面D(図4参照)に対するブラシ部100の半分を配置可能な凹部を含む。
【0077】
成形型340は、固定成形型350および可動成形型360を含む。固定成形型350は、第1成形部351、第1ゲート部352、第1シール部353、および、第1凸部354を含む。第1成形部351は、歯間ブラシ1の中心面D(図4参照)により区分されるハンドル部10の第1正面10A側の部分および第2正面10B側の部分の一方を成形するための凹部を含む。第1ゲート部352は、成形型340のゲート342の一部を構成する溝を含む。第1シール部353は、成形型340のシール部343の一部を構成する。第1凸部354は、ハンドル部10に第1開口部51および第2開口部52の一方を成形するための凸部である。
【0078】
可動成形型360は、第2成形部361、第2ゲート部362、第2シール部363、および、第2凸部364を含む。第2成形部361は、歯間ブラシ1の中心面D(図4参照)により区分されるハンドル部10の第1正面10A側の部分および第2正面10B側の部分の他方を成形するための凹部を含む。第2ゲート部362は、成形型340のゲート342の一部を構成する溝を含む。第2シール部363は、成形型340のシール部343の一部を構成する。第2凸部364は、ハンドル部10に第1開口部51および第2開口部52の他方を成形するための凸部である。
【0079】
第2工程では、具体的に次のようにブラシ部100が保持型310内における規定の位置に配置される。最初に、開かれた固定保持型320にブラシ部100が配置される。このとき、芯材110の非保持部122が第1保持部321に配置される。次に、閉じられた保持型310が構成されるように可動保持型330が固定保持型320に合わせられる。閉じられた保持型310が構成された場合、第1保持部321と第2保持部331とが芯材110の非保持部122を挟み込む。このため、保持型310に対するブラシ部100の位置が決められる。
【0080】
次に、保持型310に保持されたブラシ部100の被覆部130が固定成形型350上に配置されるように、保持型310が固定成形型350と接触する位置に配置される。このとき、被覆部130の被視認部133が第1凸部354上に配置される。次に、閉じられた成形型340が構成されるように可動成形型360が固定成形型350に合わせられる。閉じられた成形型340は、成形空間341、ゲート342、および、シール部343を含む。成形空間341は、第1成形部351と第2成形部361とにより構成される。ゲート342は、溶融した樹脂を成形空間341に供給できるように第1ゲート部352と第2ゲート部362とにより構成される。シール部343は、成形空間341に供給された樹脂が保持型310に流れ込まないように第1シール部353と第2シール部363とにより構成される。
【0081】
閉じられた成形型340が構成された場合、第2凸部364が被覆部130の被視認部133上に配置され、第1凸部354と第2凸部364とが所定の間隔(以下「凸部間隔TA」)を隔てて対向する。凸部間隔TAは、閉じられた成形型340における第1凸部354の端面354Aと第2凸部364の端面364Aとの距離である。第1凸部354の端面354Aおよび第2凸部364の端面364Aは、各端面354A、364Aと直交する方向において被視認部133と対向する領域(以下「第1領域」)、および、同方向において被視認部133と対向しない領域(以下「第2領域」)を含む。区画壁60(図5参照)は、各端面354A、364Aの間に供給された樹脂により形成される。
【0082】
被視認部133に対する各凸部354、364の状態(以下「対向状態」)は、凸部間隔TAに応じて第1~第3対向状態に分類される。各凸部354、364の高さの設定により第1~第3対向状態のうちのいずれかの対向状態を選択できる。第1対向状態は、凸部間隔TAが被視認部133の太さと実質的に等しく、各端面354A、364Aと被視認部133とが圧着することなく接触した状態である。第2対向状態は、凸部間隔TAが被視認部133の太さと実質的に等しく、各端面354A、364Aと被視認部133とが圧着した状態である。第3対向状態は、凸部間隔TAが被視認部133の太さよりも広く、各端面354A、364Aと被視認部133とが接触しない状態である。
【0083】
図14に示される例では、各凸部354、364の対向状態は第2対向状態である。各凸部354、364は、歯間ブラシ1の軸方向における被覆部130の中心よりも第2部分132寄りの部分である被覆部130の被視認部133を保持している。このように、被覆部130においてよりゲート342に近い部分が各凸部354、364に保持される場合、成形空間341への樹脂の射出時において被覆部130が一層たわみにくくなる。
【0084】
図15に示される第3工程では、溶融した樹脂がゲート342を介して成形空間341(図14参照)に射出される。各凸部354、364のまわりに供給された樹脂は、ハンドル部10の開口部50(図5参照)を形成する。各端面354A、364Aの第1領域が被視認部133と接触している場合、被視認部133のうちの第1領域と接触する部分と各端面354A、364Aの第1領域との間に樹脂が供給されず、端面354Aの第2領域と端面364Aの第2領域との間に樹脂が供給される。各端面354A、364Aの第1領域が被視認部133と接触していない場合、被視認部133と各端面354A、364Aの第1領域との間、および、端面354Aの第2領域と端面364Aの第2領域との間に樹脂が供給される。各端面354A、364Aの間に供給された樹脂は、区画壁60(図5参照)を形成する。図15に示される例において形成される区画壁60(図5参照)は、被視認部133のうちの第1領域と接触する部分を被覆しない。第4工程では、射出された樹脂が硬化するまでハンドル部10が冷却される。第5工程では、保持型310および成形型340が型開きされ、歯間ブラシ1が金型300から取り出され、ゲート342に対応する樹脂部がハンドル部10からカットされる。
【0085】
各凸部354、364の対向状態の詳細について説明する。
第1対向状態では、各端面354A、364Aの第1領域が被視認部133を実質的に変形させないように被視認部133と接触し、各端面354A、364Aの第2領域が隙間を介して対向している。このため、各凸部354、364は、第1領域と被視認部133との間の摩擦力により被覆部130を保持する。第2対向状態では、各端面354A、364Aの第1領域が被視認部133に圧着され、各端面354A、364Aの第2領域が隙間を介して対向している。このため、各凸部354、364は、第1対向状態よりも強い摩擦力により被覆部130を保持する。
【0086】
第1対向状態および第2対向状態によれば、ブラシ部100におけるゲート342側の部分である被覆部130が各凸部354、364により保持されるため、成形空間341への樹脂の射出時において被覆部130がたわみにくい。このため、ハンドル部10の成形性が高められる。第2対向状態によれば、各凸部354、364と被視認部133との間の摩擦力が大きいため、被覆部130が一層たわみにくく、ハンドル部10の成形性が一層高められる。また、成形型340において第1対向状態または第2対向状態が形成される場合、非保持部122が各保持部321、331に保持され、被視認部133が各凸部354、364に保持されるため、成形空間341への樹脂の射出時において金型300に対するブラシ部100の位置および姿勢が安定する。この点もハンドル部10の成形性を高めることに寄与する。また、第1対向状態および第2対向状態によれば、被視認部133のうちの各端面354A、364Aの第1領域と接触する部分が区画壁60(図5参照)に被覆されないため、被視認部133の視認性が一層高くなる。
【0087】
第3対向状態では、各端面354A、364Aの第1領域が被視認部133と接触することなく被視認部133と対向し、各端面354A、364Aの第2領域が隙間を介して対向している。第3対向状態によれば、被覆部130がたわむ範囲が各端面354A、364Aにより制限されるため、成形空間341への樹脂の射出時において被覆部130が大きくたわむことが抑制される。このため、ハンドル部10の成形性が高められる。樹脂の射出時において被覆部130がたわむ範囲は、凸部間隔TAが狭いほど狭くなる。第3対向状態においてハンドル部10が成形された場合、被視認部133の全体が区画壁60(図5参照)に被覆される。この場合でも区画壁60の厚さを薄くすることにより、被視認部133の視認性を高めることができる。区画壁60を形成する樹脂材料が透明材料および半透明材料等のように高い透過率を有する樹脂材料である場合には、被視認部133の一部が区画壁60に被覆されない場合、および、被視認部133の全部が区画壁60に被覆される場合のいずれにおいても、被視認部133について実質的に同程度の視認性が確保される。また、第3対向状態においてハンドル部10が成形された場合、第1対向状態および第2対向状態においてハンドル部10が成形された場合よりも区画壁60が厚くなるため、ハンドル部10と被覆部130との接合強度が高くなる。
【0088】
以上のように、凸部間隔TAは、ハンドル部10の成形性、被視認部133の視認性、および、捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度と関係する。このため、これらの因子との関係から凸部間隔TAが決められることが好ましい。成形性の観点から決められる好ましい凸部間隔TAの一例は、各端面354A、364Aと被視認部133とが圧着する間隔である。
【0089】
(実施例)
歯間ブラシ1の性能を評価するために実施された第1~第4試験について説明する。各試験では、実施例の試料が用いられた。実施例の試料は、実施形態の歯間ブラシ1に関する試料である。各試料のハンドル部10の成形方法は、実施形態に例示された成形方法と同様である。第3試験において被覆部130の状態を目視検査するため、各試料の製造には透明の樹脂材料が用いられた。
【0090】
第1試験について説明する。第1試験では、ハンドル部10を構成する樹脂材料の種類およびその物性値と疲労に対するハンドル部10の強度との関係について実施例1~8の試料を用いて確認した。試験条件は、樹脂材料の種類、樹脂材料の密度、樹脂材料の融点、樹脂材料の弾性率、および、芯材110の素材の直径である。図16に具体的な試験条件を示す。実施例1~5、7の試料の弾性率は曲げ弾性率である。実施例6、8の試料の弾性率は引張り弾性率である。
【0091】
第1試験では、疲労に対するネック部20の強度を評価するため、第1角度θA(図11参照)が約90°となるように第1折曲予定部41を繰り返し曲げ、第1折曲予定部41が疲労により破断したときの曲げ回数(以下「最大曲げ回数」)を測定した。ハンドル部10の使用形態を第1使用形態から第2使用形態に変形し、再び第1使用形態に変形する作業を1回の曲げとカウントした。
【0092】
図16に示されるように、実施例1~4の試料は、実施例5~8の試料よりも最大曲げ回数が多いことが確認された。これは、樹脂材料の種類およびその物性値が実施形態に例示された条件に含まれる場合、疲労に対するネック部20の強度が高くなることを示している。
【0093】
第2試験について説明する。第2試験では、被覆部130の塑性加工の度合と捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度との関係について実施例9~14の試料を用いて確認した。実施例9~12の試料の相違点は、第1変形率PAおよび第2変形率PBである。実施例9~12の試料と実施例13、14の試料との相違点は、芯材110の形状である。実施例13の試料の芯材110は直線形状を有する。実施例14の試料の芯材110は、曲げ加工により形成された第2部分132を含む。この第2部分132は、被覆部130の一部が被覆部130の径方向に突出するように曲げられた部分である。図17に具体的な試験条件を示す。
【0094】
第2試験では、捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度を評価するため、ハンドル部10と被覆部130との接合が外れるときのトルク(以下「最大トルク」)を測定した。最大トルクの測定方法は次のとおりである。最初に、芯材110の清掃部140をトルクゲージに固定する。次に、ハンドル部10を歯間ブラシ1の中心軸Cまわりで回転させるトルクをハンドル部10に加え、そのトルクを徐々に増大させ、ハンドル部10が芯材110に対して回転したときの最大トルクを測定した。
【0095】
図17に示されるように、実施例9~12の試料および実施例14の試料は、実施例13の試料よりも最大トルクが高いことが確認された。これは、被覆部130に第2部分132が形成されている場合、ハンドル部10と第2部分132との接合により最大トルクが高められることを示している。図18は、実施例9~12の試料に関する第1変形率PAと最大トルクとの関係を示すグラフである。図19は、実施例9~12の試料に関する第2変形率PBと最大トルクとの関係を示すグラフである。実施例9~12の試料の最大トルクは、実施例13の試料の最大トルクの3.1倍以上である。これは、第1変形率PAおよび第2変形率PBの少なくとも一方が実施形態に例示された数値範囲に含まれるように第2部分132が形成された場合、第2部分132が実施例14の試料のように曲げ加工により形成された部分でなくとも、高い最大トルクが得られることを示している。
【0096】
第3試験について説明する。第3試験では、被覆部130の塑性加工の度合とハンドル部10の成形性との関係について第2試験と同じ試料を用いて確認した。ハンドル部10の成形性を評価するため、各試料をそれぞれN個成形し、N個の試料に含まれる第1種の試料の個数N1、第2種の試料の個数N2、および、第3種の試料の個数N3を目視検査により測定した。その結果から、N個に対する第1種の試料の個数N1の割合(以下「第1成形率P1」)、N個に対する第2種の試料の個数N2の割合(以下「第2成形率P2」)、および、N個に対する第3種の試料の個数N3の割合(以下「第3成形率P3」)を求めた。
【0097】
第1種の試料は、第1評価条件を満たす試料である。第1評価条件は、被覆部130が真っ直ぐな状態でハンドル部10に被覆されていることである。被覆部130の真っ直ぐな状態では、歯間ブラシ1の中心軸Cと被覆部130の中心軸の全体とが実質的に同軸を有する。第1種の試料では、開口部50を介して真っ直ぐな被視認部133が観察できる。このため、不透明な樹脂によりグリップ部30が構成される場合でも第1評価条件を満たしていることを確認できる。
【0098】
第2種の試料は、第2評価条件を満たす試料である。第2評価条件は、被覆部130の被覆端部110Dが歯間ブラシ1の中心軸Cに対して中心軸Cと直交する方向にオフセットし、被覆部130が非保持部122を支点としてたわんでいることである。ハンドル部10の成形時において、成形空間341に供給された樹脂の力により被視認部133が第1凸部354と第2凸部364との間から外れ、その状態で樹脂が硬化することにより第2種の試料が形成されると考えられる。第2種の試料において被覆部130のたわみ量が大きい場合、被覆部130が開口部50に露出しない。第2種の試料において被覆部130のたわみ量が小さい場合、被覆部130の一部が湾曲した状態が開口部50を介して観察できる。
【0099】
第3種の試料は、第3評価条件を満たす試料である。第3評価条件は、被視認部133が歯間ブラシ1の中心軸Cに対して中心軸Cと直交する方向にオフセットしていない状態において、被覆部130のうちの被視認部133と非保持部122との間の部分がたわんでいることである。ハンドル部10の成形時において、成形空間341に樹脂が供給された場合にも被視認部133が各凸部354、364に保持された状態が維持され、供給された樹脂の力により非保持部122と被視認部133とを支点として被覆部130がたわみ、その状態で樹脂が硬化することにより第3種の試料が形成されると考えられる。第3種の試料では、歯間ブラシ1の中心軸Cに対して傾いた被視認部133が開口部50を介して観察できる。
【0100】
図20はN=100の試験条件における測定結果の一例である。実施例14の試料は、実施例9~13の試料に比べて第1成形率P1が低い。その理由は、次のように考えられる。実施例14の試料における第2部分132が曲げ加工された部分であるため、成形空間341に供給される樹脂の流れに大きな抵抗を与え、第2部分132が樹脂から大きな力を受ける。第2部分132が樹脂から受ける力において芯材110の中心軸と直交する方向の成分が強い場合、被視認部133が第1凸部354と第2凸部364との間から外れ、第2種の試料が形成される。第2部分132が樹脂から受ける力において芯材110の軸方向に沿う方向の成分が強い場合、第2部分132が非保持部122側に押され、各凸部354、364に挟まれた被視認部133と非保持部122との間の部分がたわみ、第3種の試料が形成される。
【0101】
実施例9~12の試料も第2部分132を含むが、実施例14の試料における第2部分132よりも樹脂の流れに与える抵抗が小さいことにより、第1成形率P1に関して相対的に好ましい結果が得られたと考えられる。実施例13の試料は、第2部分132を含まないため、第1成形率P1に関して相対的に好ましい結果が得られている。
【0102】
第4試験について説明する。第4試験では、被覆部130の軸方向における第2部分132の位置と捻りに対するハンドル部10と被覆部130との接合強度との関係について実施例15~24の試料を用いて確認した。実施例15~22の試料は実施形態の歯間ブラシ1に関する試料である。実施例23、24の試料は、実施例13の試料と同様に直線形状の芯材110を含む。試験条件は、樹脂材料の種類、樹脂材料の密度、樹脂材料の融点、樹脂材料の弾性率、芯材110の素材の直径、芯材110の長さZA、被覆部130の長さHX、第1変形率PA、第2変形率PB、および、離間率PCである。図21に具体的な試験条件を示す。
【0103】
実施例15~17の試料および実施例19~21の試料に関する測定結果に示されるように、離間率PCが小さいほど最大トルクが高くなることが確認された。これは、芯材110の清掃部140に加えられたトルクが第2部分132に伝達されるまでの力の伝達距離が長く、芯材110に加えられたトルクが芯材110のより広い範囲で受けられることが影響していると考えられる。ただし、実施例18の試料および実施例22の試料の測定結果に示されるように、芯材110の長さZAが所定の長さ以上である場合、最大トルクが離間率PCではなく芯材110の長さZAに強く依存することが確認された。これは、芯材110の長さZAが長いことにより上記力の伝達距離が長くなり、芯材110に加えられたトルクが芯材110のより広い範囲で受けられるためと考えられる。また、樹脂材料の種類、密度、融点、および、弾性率が相違し、その他の試験条件が一致する実施例の組の測定結果に示されるように、樹脂材料の弾性率が高いほど最大トルクが高くなることが確認された。これに該当する実施例の組は、実施例15および実施例19、実施例16および実施例20、実施例17および実施例21、ならびに、実施例18および実施例22である。
【0104】
(変形例)
上記実施形態は本発明に関する歯間ブラシが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する歯間ブラシは例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0105】
ハンドル部10の構成は任意に変更可能である。第1例では、ハンドル部10は第1折曲予定部41を含まない。この場合でもネック部20を折り曲げることにより、歯間ブラシ1の使用形態を実施形態と同様に変更できる。ネック部20が扁平形状の中間部22を含むため、第1折曲予定部41が省略されたハンドル部10においてもネック部20を容易に折り曲げることができる。第2例では、ハンドル部10は第2折曲予定部42を含まない。この場合でもグリップ部30を折り曲げることにより、歯間ブラシ1の使用形態を実施形態と同様に変更できる。第3例では、ハンドル部10は折曲予定部40を含まない。この場合でもネック部20およびグリップ部30の少なくとも一方を折り曲げることにより、歯間ブラシ1の使用形態を実施形態と同様に変更できる。第4例では、ハンドル部10は、ネック部20とグリップ部30とに区別されない構造を備える。その構造の一例は、歯間ブラシ1の中心軸Cに直交するグリップ部30の各断面において、グリップ部30の形状が歯間ブラシ1の軸方向において一様または相似する構造である。
【0106】
開口部50の構成は任意に変更可能である。第1例では、開口部50は、第1開口部51および第2開口部52の一方だけを含む。第2例では、第1例において、開口部50に含まれる第1開口部51および第2開口部52の一方がグリップ部30に設けられる。この場合、被視認部133がグリップ部30に位置するように被覆部130の長さが決められる。第3例では、第1開口部51および第2開口部52の少なくとも一方がグリップ部30に設けられる。この場合、第2例と同様に被覆部130の長さが決められる。第4例では、開口部50に形成される穴の形状は、長方形以外の形状である。その一例は、正方形、円形、楕円形、および、三角形である。
【0107】
芯材110の構成は任意に変更可能である。第1例では、芯材110は、複数の第2部分132を含む。第2例では、第1例において、複数の第2部分132のうちの少なくとも1つの形状が他の第2部分132の形状と異なる。
【0108】
歯間ブラシ1の製造方法は任意に変更可能である。一例では、特開平9-117324号公報に開示されるような熱溶着を用いる製造方法により歯間ブラシ1が製造される。この製造方法によれば、最初に、ハンドル部10とブラシ部100とが個別に形成される。次に、芯材110の被覆部130が加熱され、その状態で被覆部130がハンドル部10に挿入される。このため、ハンドル部10と被覆部130とが溶着される。
【符号の説明】
【0109】
1 :歯間ブラシ
10 :ハンドル部
10A:第1正面
10B:第2正面
20 :ネック部
30 :グリップ部
50 :開口部
51 :第1開口部
52 :第2開口部
60 :区画壁
100:ブラシ部
110:芯材
200:フィラメント束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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