(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】洗剤酵素のマイクロカプセル化
(51)【国際特許分類】
C11D 3/386 20060101AFI20220208BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20220208BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20220208BHJP
C12N 11/04 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C11D3/386 ZNA
C11D1/02
C11D17/08
C12N11/04
(21)【出願番号】P 2016511098
(86)(22)【出願日】2014-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2014059017
(87)【国際公開番号】W WO2014177709
(87)【国際公開日】2014-11-06
【審査請求日】2017-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-05-27
(32)【優先日】2013-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2013-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2014-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500586299
【氏名又は名称】ノボザイムス アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】キム ブルーノ アナスン
(72)【発明者】
【氏名】モーデン フォバースコフ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーウ ラスムスン
(72)【発明者】
【氏名】オーレ シモンスン
(72)【発明者】
【氏名】カタリーナ ヤコブソン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ノエルビュー
(72)【発明者】
【氏名】ロッテ アナスン
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】木村 敏康
【審判官】蔵野 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-503051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/386
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤酵素含有マイクロカプセルを含むマイクロカプセル組成物であって、当該マイクロカプセルが、その周囲に一様な膜を有する水性の球であり、当該膜
が架橋された多分枝型ポリアミンを含み
、架橋前の多分枝型ポリアミンが1kDaを超える分子量を有し、当該洗剤酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ペルヒドロラーゼ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、マイクロカプセル組成物。
【請求項2】
少なくとも3重量%の総濃度の界面活性剤および洗剤ビルダーと、洗剤酵素含有マイクロカプセルとを含んでなり、前記マイクロカプセルが、その周囲に一様な膜を有する水性の球であり、当該膜
が架橋された多分岐型ポリアミンを含
み、架橋前の多分枝型ポリアミンが1kDaを超える分子量を有する、液体洗剤組成物。
【請求項3】
前記多分岐型ポリアミンの反応性アミノ基が、前記分子量の少なくとも15%を構成する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記マイクロカプセルが、架橋剤として酸塩化物を使用して生成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記マイクロカプセルの直径が
、50μm
以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記マイクロカプセルが、少なくとも1重量%の活性酵素を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
アルコールをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
液体洗濯または自動食器洗い洗剤組成物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
90重量%未満の水を含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記洗剤酵素が、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、酸化還元酵素、またはそれらのあらゆる組み合わせである、請求項2~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記プロテアーゼが、金属プロテアーゼであり、またはアルカリ性セリンプロテアーゼである、請求項1または11に記載の組成物。
【請求項13】
前記マイクロカプセルが、架橋剤として酸塩化物を使用する界面重合によって生成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記多分岐型ポリアミンが、ポリエチレンイミンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記マイクロカプセルが
、Mg
2+、Ca
2+、またはZn
2+イオン源を含んでなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載のマイクロカプセル組成物と、界面活性剤および洗剤ビルダーとを組み合わせるステップを含んでなる、洗剤組成物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、マイクロカプセルを使用した、洗剤中の酵素の安定化に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
本発明は、その他の材料が粒子壁を通過して移動するにもかかわらず、酵素が粒子内に制御された様式で保持され得る、酵素含有粒子に関する。具体的には、本発明は、それによって酵素が濃縮物内で保護されるが、濃縮物が洗浄水中で希釈されると放出される、酵素を含有する粒子を含有する液体洗剤濃縮物に関する。具体的には、それは、好ましくは、2つの酵素を含有する濃縮物に関し、1つの酵素は常態ではもう一方を不活性化するが、濃縮物中では互いから保護されており、洗浄水中での希釈時に利用できるようになる。
【0003】
ポリマー粒子内の封入活性成分に関する多大な先行技術があり、活性成分を貯蔵中に環境から保護するが、必要時には放出させる試みについても同様である。いくつかの方法では、活性成分は、ポリマーマトリックスを介して分散する。その他の方法では、活性成分は、ポリマーシェルを有する粒子コア内に存在する。いくつかの方法では、ポリマーマトリックスと活性成分とを含有するコアを囲む、ポリマーシェルがある。
【0004】
液体洗剤濃縮物に洗剤酵素を含めることが、望ましいことが知られている。酵素を濃縮物から保護するが、洗剤濃縮物が水に添加されると、酵素を放出して洗浄水を与えることが意図される、連続シェルおよび/またはマトリックスを提供することで、濃縮物および/または水の連続相から酵素を保護するための多数の提案が、文献でなされている。例は、欧州特許第356,239号明細書および国際公開第92/20771号パンフレット、およびその中で考察される先行技術で示される。これらの、およびその他の公知の方法は、通常、コアセルベーションによってシェルを形成するステップを含む。
【0005】
不運にも、使用するコアセルベーションポリマーとその条件を選択することが非常に難しい一方で、ポリマーまたはその他のコア組成物を選択することも難しく、比表面積が高い粒子中で、必要な最適保護と放出能力を得ることについても同様である。一般に、シェルは、必要時に効果的な放出を与えるには不透過性でありすぎるか、あるいはシェルは、放出させるのが早すぎるかのどちらかである。
【0006】
シェルが必要時に完全な放出を与える能力がある場合、酵素が、貯蔵中にコアセルベートシェルの高い表面積を通じて透過する傾向があるために、特有の問題が液体洗剤中で生じるようである。これは恐らくは、多数のポリマーフィルムが、このサイズの分子に対して透過性または半透性である可能性が高いという事実と相まって、(洗剤酵素は典型的に20~100kDa程度の分子量を有するので)酵素のかなり低い分子体積にある程度起因する。したがって、たとえシェル透過度が低いように見えても、長期貯蔵に際して、顕著な量の酵素がシェルの大きな表面積を通じて移動してもよい。シェルを十分に厚くし、または架橋させて、これが起きるリスクを最小化すると、今度は酵素の適切な放出が非常に達成し難くなる。
【0007】
コアセルベーション以外の様々なカプセル封入技術が様々な目的で知られており、その他の方法で使用されているこのような1つの技術が、界面縮合(IFC)重合である。IFCカプセル封入技術は、通常、(油相がコアになるように)水中油型分散体内で実施されるが、(水相がコアになるように)油中水型分散体上でIFCカプセル封入を実施することもまた知られている。
【0008】
Grunwald et al.”Nylon polyethyleneimine microcapsules for immobilizing multienzymes with soluble dextran-NAD+ for the continuous recycling of the microencapsulated dextran-NAD+”,Biochem and Biophys Res Comm,vol.81,2(1978),pp.565-570は、可溶性固定化補酵素、デキストラン-NAD+と共に、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.1)およびリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.37)の多重酵素系を含有する、半透性ナイロンポリエチレンイミンマイクロカプセルの調製を開示する。
【0009】
Poncelet et al.”Microencapsulation within crosslinked polyetyleneimine membranes”,J.Microencapsulation,vol.11,1(1994),pp.31-40は、特に生体触媒の不動化に適するPEI膜形成を伴う、マイクロカプセル化技術を開示する。
【0010】
国際公開第97/24177号パンフレットは、酵素含有粒子がある液体洗剤濃縮物を記載する。粒子は、縮合ポリマーから形成されるポリマーシェルを有して、洗剤濃縮物の水での希釈に際して、ポリマーシェル伸長を引き起こすコアポリマーを含有する。カプセル化沈殿酵素もまた、開示される。
【0011】
特開昭63-137996号明細書は、カプセル封入が、コアセルベーションによるまたはFC重合によるものであり得る、カプセル化材料を含有する液体洗剤を記載する。特開昭63-137996号の目的は、洗剤を洗浄水に入れた際に十分に膨張して、カプセル破裂と、必然的なコアの放出を引き起こす、水溶性または吸水性ポリマーをコア内に含めることである。
【0012】
不運にも、水と十分に協同して、非常に不透過性であるシェルに望ましく高い内圧と、ひいては適切な伸長を与えるコアポリマーは、貯蔵中に内部の液体に曝露して、概して貯蔵中に膨張する(そしてシェルを引き伸ばす)傾向を有する。
【発明の概要】
【0013】
したがって洗浄水中の迅速な放出を達成するために、ポリマーの高度な膨潤が必要であれば、いくらかの膨潤といくらかの放出が貯蔵中に起こるかなりのリスクがある。
【0014】
本発明者らは、封入洗剤酵素について以前記載されたマイクロカプセル化手順のいずれを使用しても、所望の結果を達成するのが容易でないことを見出した。実際には、膜は、一般に、膜によって提供される高い比表面積を通じた比較的低分子量の酵素の移動を防ぐには過度に透過性であるか、あるいは膜は、過度に不透過性かつ強力で、濃縮物を洗浄水に添加した際に、酵素を信頼性をもって放出し得ないかのどちらかである。方法は、所望の特性の組み合わせを与える、容易で再現可能な操作ができない。
【0015】
先行技術参考文献は、洗剤用途で時宜を得て酵素を送達できる一方で、洗剤中の酵素の貯蔵安定性を改善するための、PEIなどの多分岐型ポリアミンベースのマイクロカプセルの有用性を認知できなかった。
【0016】
概要
第1の態様では、本発明は、マイクロカプセルの膜が多分岐型ポリアミン架橋によって生成される、洗剤酵素含有マイクロカプセルを含んでなる、マイクロカプセル組成物を提供する。
【0017】
第2の態様では、本発明は、少なくとも3%の総濃度の界面活性剤および洗剤ビルダーと、洗剤酵素含有マイクロカプセルとを含んでなり、マイクロカプセルの膜が多分枝型ポリアミンの架橋によって生成される、液体洗剤組成物を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、洗剤組成物が少なくとも3%の総濃度の界面活性剤および洗剤ビルダーを含んでなり、マイクロカプセルが多分岐型ポリアミンの架橋によって生成され、活性喪失が実施例2の方法によれば少なくとも10%低下され、マイクロカプセルが実施例3の方法によれば3分以内に少なくとも50%の酵素を放出できる、液体洗剤組成物中の洗剤酵素の安定性を改善するためのマイクロカプセルの使用を提供する。
【0019】
その他の本発明の態様および実施形態は、説明および実施例から明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本発明の発明者らは、多分岐型ポリアミンの架橋によって生成された膜があるマイクロカプセルが、洗濯または(自動)食器洗い洗剤などの液体洗剤組成物中で洗剤酵素を安定化するのに、特に有用であることを見出した。実施例2で実証されるように、本発明者らは、マイクロカプセルの膜が、液体洗剤組成物中で、(非カプセル化酵素と比較して)カプセル化酵素の貯蔵安定性を改善できることを見出した。多分岐型ポリアミンが架橋して形成される膜は、酵素の安定性に有害であることが知られている、洗剤中の(アニオン性)界面活性剤から、酵素を離隔できる。
【0021】
洗剤中でカプセル化酵素を使用する際の最重要パラメータは、例えば洗濯または食器洗い用途などで、洗剤を水で希釈した際に、即座に酵素を放出する能力である。本発明のマイクロカプセルは、この点において優れた特性を有し、実施例3で実証されるように、1分もたたないうちに全てのカプセル化酵素を放出できる。
【0022】
本発明で記載されるマイクロカプセルは、水での希釈時に酵素を放出するのに、コアポリマーの存在を必要としない。さらに、本発明は、国際公開第97/24177号パンフレットに記載されるように、早期放出を制御するために、酵素がマイクロカプセルのコア内で沈殿形態である必要がない。
【0023】
本発明者らは、本発明の半透膜を用いてマイクロカプセル内に酵素を封入し、これらのカプセル内の水分活性を(液体洗剤への添加前に)液体洗剤よりも高くすることで、洗剤への添加時にカプセルが(部分的に)崩壊し(水がにじみ出し)、したがってカプセル内に、より濃縮されより粘稠な、酵素含有内部が残ることを見出した。膜の崩壊は、透過度の低下もまた、もたらしてもよい。これは、安定剤/高分子、特に膜透過性でないものの添加によって、さらに活用し得る。崩壊と、結果として生じる粘度の増大は、不利な成分(例えば、界面活性剤または金属イオン封鎖剤)のカプセル内への拡散を低下させ/妨げ、したがって液体洗剤中の酵素の貯蔵安定性を増大させる。酵素に対して感受性である液体洗剤中の成分(例えば酵素の基質として作用する成分)もまた、酵素による分解から保護される。洗浄中に、液体洗剤は水で希釈され、したがって水分活性が増大する。その時点で、水はカプセル内に拡散する(浸透)。カプセルは膨張し、膜は、酵素がカプセルから出られるように透過性になるか、または単に破裂するかして、酵素が放出される。概念は、液体洗剤中の不利な成分に対して酵素を安定化するのに非常に効率的で、逆もまた然りであり、液体洗剤中の酵素感受性成分もまた酵素から保護される。
【0024】
酵素に対して感受性であり、それによって分解され得る洗剤成分の例としては、以下が挙げられる(該当する酵素を括弧内に示す):キサンタンガム(キサンタナーゼ)、エステル結合があるポリマー(リパーゼ)、水素化ヒマシ油(リパーゼ)、香料(リパーゼ)、メチルエステルスルホネート界面活性剤(リパーゼ)、セルロースおよびセルロース誘導体(例えばCMC)(セルラーゼ)、およびデキストリンおよびシクロデキストリン(アミラーゼ)。
【0025】
感受性洗剤成分はまた、本発明のマイクロカプセル内でカプセル化され、したがって安定化され得る。感受性洗剤成分は、貯蔵中に分解を起こしやすい。このような洗剤成分としては、漂白化合物、漂白剤活性化剤、香料、ポリマー、ビルダー、界面活性剤などが挙げられる。
【0026】
一般に、本発明のマイクロカプセルは、洗剤中の不適合成分/化合物を隔離するのに利用し得る。
【0027】
洗剤へのマイクロカプセルの添加を利用して、不透明化効果(小型マイクロカプセル)、またははっきりと目に見える粒子の効果(大型マイクロカプセル)など、洗剤製品の外観に影響を与え得る。マイクロカプセルはまた、着色されてもよい。
【0028】
マイクロカプセルを利用して、酵素製品の取り扱いおよび加工中の酵素塵埃量を低下させ得る。
【0029】
特に断りのない限り、全ての百分率は、出願書全体を通じて、重量パーセント(%w/w)として示される。
【0030】
マイクロカプセル
マイクロカプセルは、典型的に、水滴を水と非混和性の連続体に形成することで、すなわち、典型的に油中水型エマルションを調製し、引き続いて、架橋剤の添加を通じて界面重合によって膜を形成することで、生成される。最終的な硬化後、当該技術分野で公知の方法によって、カプセルを収集し、さらに水洗して調合し得る。カプセル調合物は、引き続いて洗剤に添加される。
【0031】
カプセル化される、ペイロード、主要な膜構成物、および最終的な追加的成分は、水相内にある。連続体中には、合体に向けて水滴を安定化する成分(乳化剤、乳化安定剤、界面活性剤など)があり、架橋剤もまた連続体を通じて添加される。
【0032】
エマルションは、例えば、機械的撹拌、滴下加工、膜乳化、微少流体技術、超音波処理などの当該技術分野で公知の任意の方法によって、調製し得る。場合によっては、相の単純な混合が自動的にエマルションをもたらし、自己乳化と頻繁に称される。狭い粒度分布が得られる方法を使用することが、有利である。
【0033】
架橋剤は、典型的には、引き続いて、直接乳剤に添加され、またはより典型的には、連続相に可溶性の溶媒中の架橋剤溶液を調製することで、エマルションに添加される。エマルションおよび架橋剤またはその溶液は、例えば、単純な混合、あるいはインラインミキサーを通過するエマルションおよび架橋剤溶液流の注意深い制御などによって、当該技術分野で使用される従来法によって混合し得る。
【0034】
場合によってはカプセルの硬化が、膜の形成を完了するために必要である。硬化は、多くの場合、カプセルをしばらくの間、単に撹拌して、界面重合反応を完了させることである。他の事例では、膜形成は、反応失活剤の添加によって停止させ得る。
【0035】
国際公開第99/01534号パンフレットに記載されるようにして、例えば、成分を膜に反応させて、洗剤中の粒子の軟凝集を妨げまたは低下させることで、カプセを後から変性させてもよい。
【0036】
生成されたカプセルは、例えば、カプセル分散体の濾過、遠心分離、蒸留またはデカンテーションなどの当該技術分野で公知の方法によって、単離または濃縮し得る。
【0037】
得られたカプセルを例えば、界面活性剤の添加によってさらに調合して、製品に、貯蔵、輸送と後からの取り扱い、および洗剤への添加のために所望される特性を与え得る。その他のマイクロカプセル調合剤としては、レオロジー調整剤、殺生剤(例えばProxel)、pH調節用の酸/塩基(これはマイクロカプセル内でもpHを調節する)、および水分活性調節用の水が挙げられる。
【0038】
カプセル形成工程は、以下のステップを含んでもよい:
-最初の水相および油相の調製、
-油中水型エマルションの形成、
-界面重合による膜形成、
-任意選択の後からの変性、
-任意選択の単離および/または調合、
-洗剤への添加。
【0039】
方法は、バッチプロセス、あるいは連続または半連続プロセスのいずれかであり得る。
【0040】
本発明によるマイクロカプセルは、その周囲に一様な膜がある小型の水性の球である。マイクロカプセル内の物質が、コア、内相、またはフィルと称される一方で、膜は、時に、シェル、被覆、または壁と称される。本発明のマイクロカプセルは、0.5μm~2mmの直径を有する。好ましくは、マイクロカプセルの平均径は、1μm~1000μmの範囲、より好ましくは5μm~500μmの範囲、なおもより好ましくは10μm~500μmの範囲、なおもより好ましくは50μm~500μmの範囲、最も好ましくは50μm~200μmの範囲である。代案としては、マイクロカプセルの直径は、0.5μm~30μmの範囲;または1μm~25μmの範囲である。マイクロカプセルの直径は、重合が完了した後に、油相中で測定される。カプセルの直径は、周囲の化学環境の水分活性に応じて変化してもよい。
【0041】
本発明での用法では、酵素のマイクロカプセル化は、重合反応中の2つの反応物質が境界面で遭遇して迅速に反応する、界面重合によって行われてもよい。この方法の基礎は、ポリアミンと、架橋剤として作用する、通常は酸ハロゲン化物である酸誘導体との反応である。ポリアミンは、好ましくは実質的に水溶性である(遊離塩基形態の場合)。適切な条件下では、境界面に薄い可撓性の膜が迅速に形成する。重合を実施する一方法は、酵素とポリアミンの水溶液を使用することであり、それは非水性溶媒(および乳化剤)で乳化され、酸誘導体を含有する溶液が添加される。アルカリ性薬剤が酵素溶液中に存在して、反応中に形成された酸を中和してもよい。ポリマー(ポリアミド)膜は、エマルション液滴の界面で即座に形成される。マイクロカプセルのポリマー膜は、典型的にカチオン性であり、したがってアニオン性化合物と結合し/複合体形成する。
【0042】
マイクロカプセルの直径は、例えば撹拌速度によって調節される、エマルション液滴のサイズによって定まる。
【0043】
エマルション
エマルションは、第1の液相の第2の液相内の一時的または恒久的な分散体である。第2の液体は、通常、連続相と称される。エマルションの形成と安定化を助けるために、界面活性剤が一般に使用される。全ての界面活性剤が、エマルショを等しく安定化できるとは限らない。特にエマルションの調製と物理的安定性に関する最適のエマルション実用性のために、そして希釈とさらなる処理中の安定性のために、界面活性剤のタイプと量を選択する必要がある。物理的安定性は、エマルションを分散形態に保つことを指す。合体、凝集、容器壁への吸着、沈殿、およびクリーミングなどのプロセスは、物理的不安定形態であり、回避すべきである。適切な界面活性剤の例は、国際公開第97/24177号パンフレットの19~21頁;および国際公開第99/01534号パンフレットに記載される。
【0044】
エマルションは、分散液相が単純な均質の液体である単純エマルション;または二重エマルションまたは多重エマルションなどの、分散液相が液相または固相の不均一な組み合わせである、より複雑なエマルションのどちらかに、さらに分類され得る。例えば、その中で水相それ自体が乳化油相をさらに含有する、油中水型二重エマルションまたは多重エマルションが形成されてもよく;この種のエマルションは、油中水中油型(o/w/o)エマルションと規定されてもよい。代案としては、その中で水相が分散固相を含有する、油中水型エマルションが形成してもよく、懸濁液エマルションと頻繁に称される。その他のより複雑なエマルションについても、記述し得る。このようなシステムを記述することの固有の困難さの理由から、エマルション形態または存在する相のタイプと数を必ずしも限定することなく、エマルションという用語を使用して、単純なエマルションとより複雑なエマルションの双方を記述する。
【0045】
ポリアミン
膜の剛性/可撓性および透過性は、主にポリアミンの選択によって影響を受ける。本発明によるポリアミンは、多分岐型ポリアミンである。好ましくは第一級アミノ基で終わる各枝は、膜ネットワーク内の係留点の役割を果たし、それによって本発明の好ましい特性を与える。本発明による多分岐型ポリアミンは、2つを超える分岐点と、2つを超える反応性アミノ基(架橋剤と反応できる、すなわち第一級および第二級アミノ基)とを有するポリアミンである。多分岐型ポリアミンは、エマルションを調製する際に出発原料として使用されて、それは、その他の出発原料から原位置で形成されない。本発明の魅力的な特性を得るためには、ポリアミンの多分岐型構造が出発原料として存在しなくてはならない。
【0046】
第一級アミンは、常に枝の終わりに位置するので、分岐点の数と第一級アミンの数の間には、密接な関係がある:直鎖アミンは、2つの第一級アミンのみを含有し得る。このような直鎖ジアミンに仮説上導入された各分岐点では、導入された枝の終わりに、1つまたは複数の第一級アミンが導入できるようになる。この文脈で、本発明者らは、第一級アミノ基を枝の一部、すなわち、枝の終点として理解する。例えば、本発明者らは、トリス(2-アミノエチル)アミンおよび1,2,3-プロパントリアミンをどちらも1つの分岐点を有する分子と見なす。本発明では、ポリアミンは、少なくとも4つの第一級アミンを有する。分岐点は、前述の例のような脂肪族炭化水素鎖から、または例えば、3,3’-ジアミノベンジジンなどの不飽和炭素結合から、またはN,N,N’,N’-テトラキス-(2-アミノエチル)エチレンジアミンなどの第三級アミノ基から導入され得る。
【0047】
分岐点の数に加えて、本発明者らは、反応性アミノ基の緻密度が、非常に重要であることを見出した。例えば、N,N,N’,N’-テトラキス-(12-アミノドデシル)エチレンジアミンなどの物質は、適切でない。酵素などのペプチドまたはタンパク質も、膜形成には適切でない。したがって、多分岐型ポリアミンは、ペプチドまたはタンパク質でない。
【0048】
一実施形態では、反応性アミノ基は、多分岐型ポリアミンの分子量の20%を超えて、または25%を超えるなど、その少なくとも15%を構成する。好ましくは、多分岐型ポリアミンの分子量は、少なくとも1kDaであり;より好ましくは、多分岐型ポリアミンの分子量は、少なくとも1.3kDaである。
【0049】
好ましい実施形態では、多分岐型ポリアミンは、ポリエチレンイミン(PEI)とその修飾型であり、2つを超える分岐点と2つを超える反応性アミノ基を有し;反応性アミノ基は、PEIの分子量の20%を超えて、または25%を超えるなど、その少なくとも15%を構成する。好ましくは、PEIの分子量は、少なくとも1kDaである。
【0050】
本発明によるマイクロカプセルを調製するために、異なる多分岐型ポリアミンの組み合わせを使用してもよい。
【0051】
本発明のマイクロカプセルの有利な特性(例えば、酵素貯蔵安定性、酵素漏出の低下、洗剤成分流入の低下)は、1kDa未満の分子量の1つまたは複数の小型アミンを添加することで、改善されてもよい。小型アミンは、好ましくは実質的に水溶性であり(遊離塩基形態の場合)、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレンテトラミン、エチレンテトラミン、ジアミノベンゼン、ピペラジン、テトラメチレンペンタミン、または好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)などの物質であり得る。小型アミンは、本発明のマイクロカプセルを調製する際に、小型アミンおよび多分岐型ポリアミンの総含量の重量基準で、最大50%、好ましくは最大40%、最大30%、最大20%、最大10%、または最大5%の量で添加してもよい。
【0052】
架橋剤
本発明で使用される架橋剤は、アミンと反応して共有結合を形成できる、少なくとも2つの基/部位がある分子である。
【0053】
架橋剤は、好ましくは油溶性であり、酸無水物または酸ハロゲン化物の形態であり得て、好ましくは酸塩化物である。例えば、それは、塩化アジポイル、塩化セバコイル、ドデカン二酸クロリド、塩化フタロイル、塩化テレフタロイル、塩化イソフタロイル、または塩化トリメソイルであり得るが;好ましくは、架橋剤は、塩化テレフタロイルまたは塩化トリメソイルである。
【0054】
酵素
マイクロカプセル内にカプセル化される酵素としては、プロテアーゼ(例えば、サブチリシンまたは金属プロテアーゼ)、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キサンタナーゼ、キシラナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ペルヒドロラーゼ、酸化還元酵素(例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼおよび/またはハロペルオキシダーゼ)などの洗濯または食器洗い洗剤(洗剤酵素)に含めるのに適する、1つまたは複数の酵素が挙げられる。好ましい洗剤酵素は、プロテアーゼ(例えば、サブチリシンまたは金属プロテアーゼ)、リパーゼ、アミラーゼ、リアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ペルヒドロラーゼ、および酸化還元酵素(例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼおよび/またはハロペルオキシダーゼ);またはそれらの組み合わせである。より好ましい洗剤酵素は、プロテアーゼ(例えば、サブチリシンまたは金属プロテアーゼ)、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、およびマンナナーゼ;またはそれらの組み合わせである。
【0055】
マイクロカプセルは、0.1%(w/w)を超える活性酵素タンパク質;好ましくは0.25%を超える、より好ましくは0.5%を超える、より好ましくは1%を超える、より好ましくは2.5%を超える、より好ましくは5%を超える、より好ましくは7.5%を超える、より好ましくは10%を超える、より好ましくは12.5%を超える、より好ましくは15%を超える、なおもより好ましくは20%を超える、最も好ましくは25%(w/w)を超える、活性酵素タンパク質を含んでもよい。
【0056】
プロテアーゼ:本発明で使用するためのプロテアーゼは、サブチリシンなどのセリンプロテアーゼ、金属プロテアーゼおよび/またはトリプシン様プロテアーゼである。好ましくは、プロテアーゼは、サブチリシンまたは金属プロテアーゼであり;より好ましくは、プロテアーゼは、サブチリシンである。
【0057】
セリンプロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、活性部位には必須セリン残基がある(White,Handler and Smith,1973”Principles of Biochemistry,”Fifth Edition,McGraw-Hill Book Company,NY,pp.271-272)。サブチリシンは、Siezen et al.,Protein Engng.4(1991)719-737;およびSiezen et al.,Protein Science 6(1997)501-523によって定義されるように、I-S1およびI-S2下位集団を含み、好ましくはそれからなる。セリンプロテアーゼ活性部位の構造は高度に保存されているため、本発明によるサブチリシンは、Siezen et al.(前出)によってサブチラーゼと称される、提案される下位群と機能的に同等であってもよい。
【0058】
サブチリシンは、化学的または遺伝的に改変された変異体(タンパク質改変変種)をはじめとする、動物、植物または微生物起源であってもよく、好ましくはアルカリ性微生物サブチリシンである。サブチリシンの例は、例えば、サブチリシンNovo、サブチリシンカールスバーグ、サブチリシンBPN’、サブチリシン309、サブチリシン147およびサブチリシン168(国際公開第89/06279号パンフレットに記載される)およびプロテアーゼPD138(国際公開第93/18140号パンフレット)などのバチルス属(Bacillus)に由来するものである。例は、国際公開第98/020115号パンフレット、国際公開第01/44452号パンフレット、国際公開第01/58275号パンフレット、国際公開第01/58276号パンフレット、国際公開第03/006602号パンフレット、および国際公開第04/099401号パンフレットに記載される。トリプシン様プロテアーゼの例は、(例えばブタまたはウシ起源の)トリプシン、そして国際公開第89/06270号パンフレットおよび国際公開第94/25583号パンフレットに記載される、フザリウム属(Fusarium)プロテアーゼである。その他の例は、国際公開第92/19729号パンフレット、国際公開第88/08028号パンフレット、国際公開第98/20115号パンフレット、国際公開第98/20116号パンフレット、国際公開第98/34946号パンフレット、国際公開第2000/037599号パンフレット、国際公開第2011/036263号パンフレットに記載される変種であり、特に、27、36、57、76、87、97、101、104、120、123、167、170、194、206、218、222、224、235、および274位の1つまたは複数に置換がある変種である。
【0059】
金属プロテアーゼは、化学的または遺伝的に改変された変異体(タンパク質改変変種)をはじめとする、動物、植物または微生物起源であってもよく、好ましくはアルカリ性微生物金属プロテアーゼである。例は、国際公開第2007/044993号パンフレット、国際公開第2012/110562号パンフレット、および国際公開第2008/134343号パンフレットに記載される。
【0060】
市販のサブチリシンの例としては、Kannase(商標)、Everlase(商標)、Relase(商標)、Esperase(商標)、Alcalase(商標)、Durazym(商標)、Savinase(商標)、Ovozyme(商標)、Liquanase(商標)、Coronase(商標)、Polarzyme(商標)、Pyrase(商標)、膵臓トリプシンNOVO(PTN)、Bio-Feed(商標)Pro、およびClear-Lens(商標)Pro;Blaze(全てNovozymes A/S,Bagsvaerd,Denmarkから入手できる)が挙げられる。その他の市販のプロテアーゼとしては、Neutrase(商標)、Ronozyme(商標)Pro、Maxatase(商標)、Maxacal(商標)、Maxapem(商標)、Opticlean(商標)、Properase(商標)、Purafast(商標)、Purafect(商標)、PurafectOx(商標)、PurafactPrime(商標)、Excellase(商標)、FN2(商標)、FN3(商標)、およびFN4(商標)(Novozymes、Genencor International Inc.、Gist-Brocades、BASF、またはDSMから入手できる)が挙げられる。その他の例は、Primase(商標)およびDuralase(商標)である。Henkel製のBlapR、BlapS、およびBlapXもまた、例として挙げられる。
【0061】
リアーゼ:リアーゼは、バチルス属(Bacillus)、特にB.リケニフォルミス(B.licheniformis)またはB.アガラドハエレンス(B.agaradhaerens)に由来するペクチン酸リアーゼであってもよく、または例えば米国特許第6124127号明細書、国際公開第99/027083号パンフレット、国際公開第99/027084号パンフレット、国際公開第02/006442号パンフレット、国際公開第02/092741号パンフレット、国際公開第03/095638号パンフレットに記載されるようにして、これらのいずれかから誘導される変種であってもよく、市販のペクチン酸リアーゼは、XPect;PectawashおよびPectaway(Novozymes A/S)である。
【0062】
マンナナーゼ:マンナナーゼは、ファミリー5または26のアルカリ性マンナナーゼであってもよい。それはバチルス属(Bacillus)またはフミコラ属(Humicola)、特にB.アガラドハエレンス(B.agaradhaerens)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.クラウシイ(B.clausii)、またはH.インソレンス(H.insolens)からの野生型であってもよい。適切なマンナナーゼは、国際公開第99/064619号パンフレットに記載される。市販のマンナナーゼは、Mannaway(Novozymes A/S)である。
【0063】
セルラーゼ:適切なセルラーゼとしては、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質改変変異体も挙げられる。適切なセルラーゼとしては、例えば、米国特許第4,435,307号明細書、米国特許第5,648,263号明細書、米国特許第5,691,178号明細書、米国特許第5,776,757号明細書、および国際公開第89/09259号パンフレットで開示される、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、およびフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からの真菌セルラーゼなどの、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコーラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)からのセルラーゼが挙げられる。
【0064】
特に適切なセルラーゼは、カラーケアの利点を有する、アルカリまたは中性セルラーゼである。このようなセルラーゼの例は、欧州特許第0495257号明細書、欧州特許第0531372号明細書、国際公開第96/11262号パンフレット、国際公開第96/29397号パンフレット、国際公開第98/08940号パンフレットに記載される、セルラーゼである。その他の例は、国際公開第94/07998号パンフレット、欧州特許第0531315号明細書、米国特許第5,457,046号明細書、米国特許第5,686,593号明細書、米国特許第5,763,254号明細書、国際公開第95/24471号パンフレット、国際公開第98/12307号パンフレット、およびPCT/デンマーク国特許第98/00299号明細書に記載されるものなどのセルラーゼ変種である。
【0065】
市販のセルラーゼとしては、Celluzyme(商標)、およびCarezyme(商標)(Novozymes A/S)、Clazinase(商標)、およびPuradax HA(商標)(Genencor International Inc.)、およびKAC-500(B)(商標)(Kao Corporation)が挙げられる。
【0066】
リパーゼおよびクチナーゼ:適切なリパーゼおよびクチナーゼとしては、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質改変変異体も挙げられる。例としては、例えば欧州特許第258068号明細書および欧州特許第305216号明細書に記載されるようなT.ラヌギノスス(T.lanuginosus)(以前はフミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)と称された)などのサーモミセス属(Thermomyces)からのリパーゼ;例えば国際公開第96/13580号パンフレットに記載されるようなH.インソレンス(H.insolens)などのフミコラ属(Humicola)からのクチナーゼ;例えばP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)またはP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)(欧州特許第218272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)(欧州特許第331376号明細書)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)(英国特許第1,372,034号明細書)、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)、シュードモナス属(Pseudomonas)種SD705株(国際公開第95/06720号パンフレットおよび国際公開第96/27002号パンフレット)、P.ウィスコンシネンシス(P.wisconsinensis)(国際公開第96/12012号パンフレット)からのシュードモナス属(Pseudomonas)リパーゼ;例えばB.サブチリス(B.subtilis)(Dartois et al.,1993,Biochemica et Biophysica Acta,1131:253-360)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)(JP64/744992)またはB.プミルス(B.pumilus)(国際公開第91/16422号パンフレット)からのバチルス属(Bacillus)リパーゼが挙げられる。
【0067】
その他の例は、国際公開第92/05249号パンフレット、国際公開第94/01541号パンフレット、欧州特許第407225号明細書、欧州特許第260105号明細書、国際公開第95/35381号パンフレット、国際公開第96/00292号パンフレット、国際公開第95/30744号パンフレット、国際公開第94/25578号パンフレット、国際公開第95/14783号パンフレット、国際公開第95/22615号パンフレット、国際公開第97/04079号パンフレット、国際公開第97/07202号パンフレット、国際公開第00/060063号パンフレット、国際公開第2007/087508号パンフレット、および国際公開第2009/109500号パンフレットに記載されるものなどのリパーゼ変種である。
【0068】
好ましい市販のリパーゼ酵素としては、Lipolase(商標)、Lipolase Ultra(商標)、およびLipex(商標);Lecitase(商標)、Lipolex(商標);Lipoclean(商標)、Lipoprime(商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。その他の市販のリパーゼとしては、Lumafast(Genencor Int Inc);Lipomax(Gist-Brocades/Genencor Int Inc)、およびSolvayからのバチルス属(Bacillus)種リパーゼが挙げられる。
【0069】
本発明の一実施形態では、リパーゼのアミノ酸配列は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有する。別の実施形態では、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列に導入されたアミノ酸置換、欠失および/または挿入の数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10などの最大で10であり;または例えば、1、2、3、4、または5などの最大で5である。
【0070】
アミラーゼ:適切なアミラーゼ(αおよび/またはβ)としては、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質改変変異体も挙げられる。アミラーゼとしては、例えば英国特許第1,296,839号明細書でより詳細に記載されるバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)の特殊な株などの、例えばバチルス属(Bacillus)から得られるα-アミラーゼが挙げられる。
【0071】
適切なアミラーゼの例としては、国際公開第95/10603号パンフレットの配列番号2を有するアミラーゼ、またはその配列番号3と90%の配列同一性を有する変種が挙げられる。好ましい変種は、国際公開第94/02597号パンフレット、国際公開第94/18314号パンフレット、国際公開第97/43424号パンフレット、および国際公開第99/019467号パンフレットの配列番号4に記載され、15、23、105、106、124、128、133、154、156、178、179、181、188、190、197、201、202、207、208、209、211、243、264、304、305、391、408、および444位に1つまたは複数の置換がある変種などである。
【0072】
異なる適切なアミラーゼとしては、国際公開第02/010355号パンフレットの配列番号6を有するアミラーゼ、または配列番号6と90%の配列同一性を有するその変種が挙げられる。配列番号6の好ましい変種は、181および182位の欠失と、193位の置換とを有するものである。
【0073】
適切なその他のアミラーゼは、国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号6で示されるB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)に由来するα-アミラーゼの残基1~33と、国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号4で示されるB.リケニフォルミス(B.licheniformis)α-アミラーゼの残基36~483とを含んでなるハイブリッドα-アミラーゼ、またはそれと90%の配列同一性を有する変種である。このハイブリッドα-アミラーゼの好ましい変種は、G48、T49、G107、H156、A181、N190、M197、I201、A209、およびQ264位の1つまたは複数に、置換、欠失または挿入を有するものである。国際公開第2006/066594号パンフレットの配列番号6で示されるB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)に由来するα-アミラーゼの残基1~33と、配列番号4の残基36~483とを含んでなるハイブリッドα-アミラーゼの最も好ましい変種は、M197T;H156Y+A181T+N190F+A209V+Q264S;またはG48A+T49I+G107A+H156Y+A181T+N190F+I201F+A209V+Q264Sの置換を有するものである。
【0074】
適切なさらなるアミラーゼは、国際公開第99/019467号パンフレットの配列番号6を有するアミラーゼ、または配列番号6と90%の配列同一性を有するそれらの変種である。配列番号6の好ましい変種は、R181、G182、H183、G184、N195、I206、E212、E216、およびK269位の1つまたは複数に、置換、欠失または挿入を有するものである。特に好ましいアミラーゼは、R181およびG182位、またはH183およびG184位に、欠失を有するものである。
【0075】
利用し得る追加的なアミラーゼは、国際公開第96/023873号パンフレットの配列番号1、配列番号3、配列番号2または配列番号7を有するもの、または配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号7と90%の配列同一性を有する、それらの変種である。配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号7の好ましい変種は、140、181、182、183、184、195、206、212、243、260、269、304、および476位の1つまたは複数に、置換、欠失または挿入を有するものである。より好ましい変種は、181および182位、または183および184位に、欠失を有するものである。配列番号1、配列番号2または配列番号7の最も好ましいアミラーゼ変種は、183および184位に欠失、および140、195、206、243、260、304、および476位の1つまたは複数に置換を有するものである。
【0076】
利用し得るその他のアミラーゼは、国際公開第08/153815号パンフレットの配列番号2、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10を有するアミラーゼ、または国際公開第08/153815号パンフレットの配列番号2と90%の配列同一性を有する、または国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10と90%の配列同一性を有する、それらの変種である。国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10の好ましい変種は、176、177、178、179、190、201、207、211、および264位の1つまたは複数に、置換、欠失または挿入を有するものである。
【0077】
さらに適切なアミラーゼは、国際公開第09/061380号パンフレットの配列番号2を有するアミラーゼ、または配列番号2と90%の配列同一性を有するその変種である。配列番号2の好ましい変種は、C末端にトランケーションを有し、および/またはQ87、Q98、S125、N128、T131、T165、K178、R180、S181、T182、G183、M201、F202、N225、S243、N272、N282、Y305、R309、D319、Q320、Q359、K444、およびG475位の1つまたは複数に置換、欠失または挿入を有するものである。配列番号2のより好ましい変種は、Q87E,R、Q98R、S125A、N128C、T131I、T165I、K178L、T182G、M201L、F202Y、N225E,R、N272E,R、S243Q,A,E,D、Y305R、R309A、Q320R、Q359E、K444E、およびG475K位の1つまたは複数に、置換を有し、および/またはR180および/またはS181またはT182および/またはG183位に欠失を有するものである。配列番号2の最も好ましいアミラーゼ変種は、
N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;
N128C+K178L+T182G+F202Y+Y305R+D319T+G475K;
S125A+N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;または
S125A+N128C+T131I+T165I+K178L+T182G+Y305R+G475K
の置換を有するものであり、変種は、C末端トランケート型であり、任意選択的に、243位の置換、および/または180位および/または181位の欠失をさらに含んでなる。
【0078】
その他の適切なアミラーゼは、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号12を有するα-アミラーゼ、または配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する変種である。好ましいアミラーゼ変種は、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号12のR28、R118、N174;R181、G182、D183、G184、G186、W189、N195、M202、Y298、N299、K302、S303、N306、R310、N314;R320、H324、E345、Y396、R400、W439、R444、N445、K446、Q449、R458、N471、N484位の1つまたは複数に、置換、欠失または挿入を有するものである。特別な好ましいアミラーゼとしては、D183およびG184に欠失を有し、R118K、N195F、R320K、およびR458Kに置換を有する変種と、M9、G149、G182、G186、M202、T257、Y295、N299、M323、E345、およびA339位から選択される1つまたは複数に置換をさらに有する変種が挙げられ、最も好ましいのは、これらの全ての位置にさらに置換を有する変種である。
【0079】
その他の例は、国際公開第2011/098531号パンフレット、国際公開第2013/001078号パンフレット、および国際公開第2013/001087号パンフレットに記載されるものなどのアミラーゼ変種である。
【0080】
市販のアミラーゼは、Stainzyme;Stainzyme Plus;Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Termamyl Ultra;Natalase、Fungamyl(商標)およびBAN(商標)(Novozymes A/S)、Rapidase(商標)およびPurastar(商標)/Effectenz(商標)、PoweraseおよびPreferenz S100(Genencor International Inc./DuPont製)である。
【0081】
本発明の一実施形態では、アミラーゼのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有する。別の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に導入されたアミノ酸置換、欠失および/または挿入の数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10などの最大で10であり;または例えば、1、2、3、4、または5などの最大で5である。
【0082】
デオキシリボヌクレアーゼ(DNase):適切なデオキシリボヌクレアーゼ(DNases)は、DNA主鎖中のリン酸ジエステル結合の加水開裂を触媒し、したがってDNAを分解するいずれかの酵素である。本発明によれば、細菌から得られるDNaseが好ましく;特に、バチルス属(Bacillus)から得られるDNase好ましく;特に、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)またはバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から得られるDNaseが好ましい。このようなDNasesの例は、国際公開第2011/098579号パンフレットまたはPCT/欧州特許第2013/075922号明細書に記載される。
【0083】
ペルヒドロラーゼ:適切なペルヒドロラーゼは、過酸素源(例えば過酸化水素)の存在下で、カルボン酸エステル(アシル)基材からの過酸の生成をもたらす過加水分解反応を触媒できる。多数の酵素がこの反応を低レベルで行う一方で、ペルヒドロラーゼは高い過加水分解:加水分解比を示し、それは頻繁に1を超える。適切なペルヒドロラーゼは、植物、細菌または真菌起源であってもよい。化学修飾またはタンパク質改変変異体も挙げられる。
【0084】
有用なペルヒドロラーゼの例としては、天然起源マイコバクテリウム属(Mycobacterium)ペルヒドロラーゼ酵素、またはその変種が挙げられる。例示的な酵素は、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)に由来する。このような酵素、その酵素的特性、その構造、およびその変種は、国際公開第2005/056782号パンフレット、国際公開第2008/063400号パンフレット、米国特許第2008/145353号明細書、および米国特許第2007167344号明細書に記載される。
【0085】
オキシダーゼ/ペルオキシダーゼ:適切なオキシダーゼおよびペルオキシダーゼ(または酸化還元酵素)としては、様々な糖オキシダーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、およびハロペルオキシダーゼが挙げられる。
【0086】
適切なペルオキシダーゼとしては、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の命名法委員会によって示される、酵素分類EC1.11.1.7を構成するもの、またはペルオキシダーゼ活性を示すそれに由来する任意の断片が挙げられる。
【0087】
適切なペルオキシダーゼとしては、植物、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質改変変異体も挙げられる。有用なペルオキシダーゼの例としては、例えば、国際公開第93/24618号パンフレット、国際公開第95/10602号パンフレット、および国際公開第98/15257号パンフレットに記載されるような、C.シネレア(C.cinerea)(欧州特許第179,486号明細書)などのコプリノプシス属(Coprinopsis)からのペルオキシダーゼ、およびそれらの変種が挙げられる。
【0088】
本発明で使用するためのペルオキシダーゼとしてはまた、クロロペルオキシダーゼ、ブロモペルオキシダーゼなどのハロペルオキシダーゼ酵素、およびクロロペルオキシダーゼまたはブロモペルオキシダーゼ活性を示す化合物も挙げられる。ハロペルオキシダーゼは、ハロゲン化物イオンに対するそれらの特異性よって分類される。クロロペルオキシダーゼ(E.C.1.11.1.10)は、塩化物イオンからの次亜塩素酸の形成を触媒する。
【0089】
一実施形態では、ハロペルオキシダーゼは、クロロペルオキシダーゼである。好ましくは、ハロペルオキシダーゼは、バナジウムハロペルオキシダーゼ、すなわち、バナジン酸含有ハロペルオキシダーゼである。本発明の好ましい方法では、バナジン酸含有ハロペルオキシダーゼが、塩素イオン源と組み合わされる。
【0090】
ハロペルオキシダーゼは、多くの異なる真菌から、特に、例えばC.フマゴ(C.fumago)などのカルダリオミセス属(Caldariomyces)、アルテルナリア属(Alternaria)、例えばC.ベルクロサ(C.verruculosa)およびC.イナエクアリス(C.inaequalis)などのクルブラリア属(Curvularia)、ドレクスレラ属(Drechslera)、ウロクラジウム属(Ulocladium)、およびボトリチス属(Botrytis)などの、黒色分不完全糸状菌類から単離されている。
【0091】
ハロペルオキシダーゼはまた、例えばP.ピロシニア(P.pyrrocinia)などのシュードモナス属(Pseudomonas)、そして例えばS.アウレオファシエンス(S.aureofaciens)などのストレプトミセス属(Streptomyces)などの細菌からも単離されている。
【0092】
好ましい実施形態では、ハロペルオキシダーゼは、特にクルブラリア・ベルクロサ(Curvularia verruculosa)または国際公開第95/27046号パンフレットに記載されるようなC.イナエクアリス(C.inaequalis)CBS 102.42などのクルブラリア・イナエクアリス(Curvularia inaequalis);または国際公開第97/04102号パンフレットに記載されるようなC.ベルクロサ(C.verruculosa)CBS147.63またはC.ベルクロサ(C.verruculosa)CBS 444.70などのクルブラリア属(Curvularia)種に由来し、または国際公開第01/79459号パンフレットに記載されるようなドレクスレラ・ハートレビ(Drechslera hartlebii)、国際公開第01/79458号パンフレットに記載されるようなデンドリフィエラ・サリナ(Dendryphiella salina)、国際公開第01/79461号パンフレットに記載されるようなファエオトリココニス・クロタラリエ(Phaeotrichoconis crotalarie)、または国際公開第01/79460号パンフレットに記載されるようなゲニクロスポリウム属(Geniculosporium)種に由来する。
【0093】
本発明によるオキシダーゼとしては、特に、酵素分類EC1.10.3.2を構成する任意のラッカーゼ酵素、またはラッカーゼ活性を示すそれに由来する任意の断片、またはカテコールオキシダーゼ(EC1.10.3.1)、o-アミノフェノールオキシダーゼ(EC1.10.3.4)、またはビリルビンオキシダーゼ(EC1.3.3.5)などの類似活性を示す化合物が挙げられる。
【0094】
好ましいラッカーゼ酵素は、微生物起源の酵素である。酵素は、植物、細菌または(糸状菌および酵母をはじめとする)真菌に由来してもよい。
【0095】
真菌からの適切な例としては、アスペルギルス属(Aspergillus)、例えばN.クラッサ(N.crassa)などのニューロスポラ属(Neurospora)、ポドスポラ属(Podospora)、ボトリチス属(Botrytis)、コリビア属(Collybia)、フォメス属(Fomes)、マツオウジ属(Lentinus)、ヒラタケ属(Pleurotus)、例えばフルイカワラタケ(T.villosa)およびカワラタケ(T.versicolor)などのホウロクタケ属(Trametes)、例えば紋枯病菌(R.solani)などのリゾクトニア属(Rhizoctonia)、例えばC.シネレア(C.cinerea)とC.コマツス(C.comatus)とC.フリエシイ(C.friesii)とC.プリカチリス(C.plicatilis)などのコプリノプシス(Coprinopsis)、例えばP.コンデレアナ(P.condelleana)などのプサチレラ属(Psathyrella)、例えばワライタケ(P.papilionaceus)などのヒカゲタケ属(Panaeolus)、例えばM.サーモフィラ(M.thermophila)などのミセリオフトラ属(Myceliophthora)、例えばS.サーモフィラム(S.thermophilum)などのシタリジウム属(Schytalidium)、例えばP.ピンシツス(P.pinsitus)などのチョレイタケ属(Polyporus)、例えばP.ラジアタ(P.radiata)(国際公開第92/01046号パンフレット)などのフレビア属(Phlebia)、または例えばC.ヒルスツス(C.hirsutus)(JP2238885号明細書)などのカワラタケ属(Coriolus)の株に由来するラッカーゼが挙げられる。
【0096】
細菌からの適切な例としては、バチルス属(Bacillus)株に由来するラッカーゼが挙げられる。
【0097】
コプリノプシス属(Coprinopsis)またはミセリオフトラ属(Myceliophthora)に由来するラッカーゼ;特に国際公開第97/08325号パンフレットで開示されるコプリノプシス・シネレア(Coprinopsis cinerea)または国際公開第95/33836号パンフレットで開示されるミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)に由来するものが好ましい。
【0098】
その他のオキシダーゼの例としては、アミノ酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ポリオールオキシダーゼ(例えば国際公開第2008/051491号パンフレット)、およびアルドースオキシダーゼが挙げられるが、これに限定されるものではない。オキシダーゼおよびそれらの対応する基質は、過酸化水素生成酵素系として、したがって過酸化水素源として、使用されてもよい。ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、およびペルヒドロラーゼなどのいくつかの酵素では、過酸化水素源が必要である。EC1.1.3._、EC1.2.3._、EC1.4.3._、およびEC1.5.3._または類似クラス(国際生化学連合分類の)を調べることで、このようなオキシダーゼと基質の組み合わせのその他の例は、当業者によって容易に認識される。
【0099】
上で言及されるような配列番号1、2、または3におけるアミノ酸変化は軽微な性質であってもよく、すなわちタンパク質の折り畳みおよび/または活性に顕著に影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換または挿入;典型的に1~30個のアミノ酸の小規模な欠失;アミノ末端メチオニン残基などの小規模なアミノまたはカルボキシル末端伸長;最大20~25残基の小型リンカーペプチド;または正味電荷または別の機能を変化させることによる精製を容易にする、ポリヒスチジントラクト、抗原性エピトープまたは結合領域などの小さな伸長であってもよい。
【0100】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、およびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、およびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン)、および小型アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、およびメチオニン)のグループ内にある。通常、比活性を変質させないアミノ酸置換は、当該技術分野で公知であり、例えばH.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkによって記載される。一般的な置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、およびAsp/Glyである。
【0101】
ポリペプチド中の必須アミノ酸は、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発などの当該技術分野で公知の手順によって同定し得る(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081-1085)。後者の技術では、分子中の各残基に単一アラニン変異を導入し、結果として生じる変異分子を酵素活性について試験して、分子活性に重要なアミノ酸残基を同定する。Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699-4708もまた参照されたい。酵素の活性部位またはその他の生物学的相互作用はまた、推定接触部位アミノ酸の変異と併せて、核磁気共鳴、結晶構造解析、電子回析、または光親和性標識などの技術による判定で、構造の物理的分析によって判定し得る。例えば、de Vos et al.,1992,Science 255:306-312;Smith et al.,1992,J.Mol.Biol.224:899-904;Wlodaver et al.,1992,FEBS Lett.309:59-64を参照されたい。必須アミノ酸のアイデンティティーはまた、関連ポリペプチドのアラインメントから推論し得る。
【0102】
単一または複数アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を作成して、変異誘発、組換え、および/またはシャフリングの公知の方法と、それに続く、Reidhaar-Olson and Sauer,1988,Science 241:53-57;Bowie and Sauer,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2152-2156;国際公開第95/17413号パンフレット;または国際公開第95/22625号パンフレットによって開示されるものなどの妥当なスクリーニング手順を使用して試験し得る。利用し得るその他の方法としては、誤りがちなPCR、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al.,1991,Biochemistry 30:10832-10837;米国特許第5,223,409号明細書;国際公開第92/06204号パンフレット)、および領域特異的変異誘発(Derbyshire et al.,1986,Gene 46:145;Ner et al.,1988,DNA 7:127)が挙げられる。
【0103】
2つのアミノ酸配列間の関連性は、パラメータ「配列同一性」によって記述される。本発明の目的で、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)のNeedleプログラムで実装されるような、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を使用して判定される。使用されるパラメータは、gap open penalty=10、gap extension penalty=0.5、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」と標識されるNeedle出力(nobriefオプションを使用して得られる)が同一性百分率として使用され、次のようにして計算される:
(同一残基×100)/(アラインメント長さ-アラインメント中のギャップ総数)。
【0104】
酵素安定剤および/またはレオロジー調整剤
マイクロカプセルは、例えばポリオール、ポリマー、可逆的酵素阻害剤、二価カチオン、酵素基質、抗酸化剤などの当該技術分野で公知の酵素安定剤もまた含有してもよい。水溶性安定剤が好ましい。
【0105】
緩慢に溶解する安定剤の添加を利用して、カプセル内部に、カプセル化酵素/化合物により「親和的な」局所環境を作成し得て、したがって貯蔵中の安定性が改善される。
【0106】
可逆的プロテアーゼ阻害剤の例は、ボロン酸、ペプチドアルデヒドとその誘導体、および高分子タンパク質型阻害剤(BASI/RASI阻害剤など、国際公開第2009/095425号パンフレットを参照されたい)である。金属プロテアーゼ阻害剤の一例は、国際公開第2008/134343号パンフレットに記載される。プロテアーゼ阻害剤は、以下で、見出し「プロテアーゼ阻害剤」の下で、より詳細に記載される。
【0107】
安定化ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、およびそれらの共重合体ベースであり得る。安定化ポリオールは、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールなどより小型の分子であり得るが、またポリエチレングリコール、多糖類などのより大型の分子でもあり得る。
【0108】
安定化二価カチオンCa2+、Mg2+、およびZn2+は、当該技術分野で周知である。したがって、一実施形態では、本発明のマイクロカプセルは、Ca2+、Mg2+またはZn2+イオン源を含んでなる。好ましくは、Ca2+、Mg2+またはZn2+イオン源は、Ca2+、Mg2+またはZn2+の難溶性(緩慢に溶解する)塩である。難溶性とは、20℃の純水中における溶解度が、5g/l、2g/l、1g/l、0.5g/l、0.2g/l、0.1g/l、または0.05g/l未満であることを意味する。Ca2+、Mg2+またはZn2+の好ましい塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸亜鉛、シュウ酸カルシウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸亜鉛、酒石酸カルシウム、酒石酸マグネシウム、または酒石酸亜鉛である。
【0109】
緩慢に溶解する酸または塩基もまた使用して、マイクロカプセル内部に、カプセル化酵素/化合物により「親和的な」局所性pHを作成し得る。
【0110】
酵素は、ほとんどの場合、それらの基質(例えば、プロテアーゼにはタンパク質、アミラーゼにはデンプンなど)の添加によって安定化される。例えば、チオ硫酸、アスコルビン酸などの抗酸化剤または還元剤を適用して、酵素の酸化を低下させ得る。1グラムの洗剤あたりで必要なこれらの安定剤の正味用量は、それらが内部カプセル相内で濃縮され、多くの場合、安定剤の構造および分子量次第で、貯蔵中に拡散せず、または緩慢に拡散するのみのどちらかであることから、連続洗剤相に安定剤を添加するのと比較して、はるかにより低い。分子量が特に高い(例えば、1kDaよりも高い、または2kDaよりも高い、より好ましくは5kDaよりも高い)安定剤は、改善された正味効率を与えるであろう。したがって高分子量の阻害剤、ポリマー、ポリオール、カチオン、酵素基質、および抗酸化剤が好ましい。
【0111】
酵素は、「スカベンジャー」タンパク質の添加によって保護されてもよい。したがってタンパク質上のアミノ酸基(例えばアミン)と反応することで酵素を不安定化する成分が、添加されたスカベンジャーまたは犠牲タンパク質と反応してもよい。カプセル内部に留まるのに十分な大きな分子量があるスカベンジャータンパク質が、好ましい。
【0112】
酵素安定性を改善するいくらか異なるやり方は、内部カプセル相の粘度を増大させる、レオロジー修飾成分を添加することである。内部粘度の増大は、酵素不安定化剤のカプセル内への拡散を遅延させ(および/または酵素安定剤のカプセルからの拡散を遅延させ)、したがって酵素の寿命を延長させる。このような粘度調整剤の例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、親水性ポリウレタン、ポリビニルピロリドン(PVP)とPVP酢酸ビニルの共重合体、デンプン、ヒアルロン酸のようなポリマー;カルボキシメチルセルロースのような水溶性セルロース誘導体;アラビアガム、ローカストビーンガム、グアーガムまたはキサンタンガムのような水溶性ガム類など、およびそれらの組み合わせまたは共重合体である。最も好ましいのは、分子量が、1kDaよりも高く、または2kDaよりも高く、より好ましくは5kDaよりも高い、非イオン性高分子量ポリマーである。ほとんどの場合、反応性膜ポリマーに対して、イオン性ポリマーよりも適合性であることから、非イオン性ポリマーが好ましい。
【0113】
高粘度は、高粘度の水相を使用したカプセル製造、またはエマルション/カプセル製造後に粘度増大が最初に起こるより洗練されたカプセル製造のどちらかによって達成し得る。高粘度の水相があるエマルションを調製することは困難であり得るため、この「誘発性」粘度増大は好ましい。誘導された粘度増大は、洗剤への添加時に、それが添加される洗剤よりも高い水分活性を有する内部カプセル相によって、原位置で実施し得て、したがって洗剤に添加された後に、水がカプセルから拡散して(しかしレオロジー修飾剤は拡散しない)内相粘度を増大させる。これは、例えば洗剤への添加によって塩濃度が低下した際に粘度を増大させる成分(例えば最初の高い塩含有量では沈殿するが、洗剤への添加時の塩拡散のために塩濃縮が低下すると可溶性になるポリマー)を有することで、塩またはその他の低分子成分の拡散を使用する場合にもまた、利用し得る。粘度を引き起こす別のやり方は、粘度がpHに左右される成分を使用することである。いくつかの界面重合法(例えばアミン-酸ハロゲン反応)では、カプセル封入中に内相のpHが変化して、アミン-酸ハロゲンの場合は界面重合中にpHが低下する。これを利用して、粘度の増大を引き起こし得る。ポリアクリレートのような多数のレオロジー調整剤は、特定のpHまたはpH範囲で最大粘度を示す。Lubrizol製のCarbopol 934、およびScott-Bader製のTexipol 63-258は、pHが11から8に低下すると、またはpHが4から8に増大すると粘度が顕著に増大するレオロジー調整剤の例である。低いpHと高いpHで粘度が異なる別のポリマータイプは、部分的に加水分解されたポリアクリルアミドである。さらに別の可能性は、温度依存性レオロジー調整剤を利用することであり、したがってエマルション/カプセル封入を1つの温度で作成し、引き続いて温度を変化させて粘度を増大させる。光または超音波誘導性粘度もまた、利用し得る。さらに別の方法は、エマルション形成時に、高剪断で粘度が低くなり、剪断が低下すると高くなるように、剪断減粘性レオロジー調整剤を利用することである。
【0114】
別の安定化技術は、例えば塩またはポリエチレングリコール(PEG)のような沈殿剤の添加によって、貯蔵中にカプセル内で酵素が確実に沈殿するようにすることである。上述したような「誘導された安定化」は、例えばPEGの添加によって利用し得て、PEGは、洗剤への添加後に水が拡散して出ていくことにより、酵素が沈殿する程度に濃縮される。このようにして、酵素は、カプセルの加工中には溶液内にあるが、洗剤に添加すると沈殿し得る。
【0115】
酵素はまた、マイクロカプセルを調製する際に、沈殿または結晶形態で使用し得る。
【0116】
液体洗剤組成物
本発明のマイクロカプセルは、液体および粉末洗剤および石鹸および固形洗剤(例えば固形合成洗剤)などの任意の形態の任意の洗剤組成物に添加され、したがってその一部を構成してもよい。
【0117】
一実施形態では、本発明は、1つまたは複数の追加的な洗浄組成物成分と組み合わされた、上述のマイクロカプセルを含んでなる液体洗剤組成物を対象とする。
【0118】
上述のマイクロカプセルは、活性酵素タンパク質(AEP)の0.0001%~5%(w/w);好ましくは活性酵素タンパク質(w/w)の0.001%~5%、より好ましくは0.005%~5%、より好ましくは0.005%~4%、より好ましくは0.005%~3%、より好ましくは0.005%~2%、なおもより好ましくは0.01%~2%、最も好ましくは0.01%~1%に対応する量で、液体洗剤組成物に添加されてもよい。
【0119】
液体洗剤組成物は、固体(または気体)でない物理的形態を有する。それは、注げる液体、ペースト、注げるゲルまたは注げないゲルであってもよい。それは、等方性または構造性のどちらであってもよく、好ましくは等方性である。それは、全自動洗濯機内での洗濯に、または手洗いに、または(自動)食器洗いに、有用な調合物であってもよい。それはまた、シャンプー、練り歯磨き、または手洗い石鹸などのパーソナルケア製品であってもよい。
【0120】
液体洗剤組成物は、水性であってもよく、典型的に、最大70%の水、最大50%の水、最大40%の水、最大30%の水、または最大20%の水など、重量基準で少なくとも20%であり最大で95%の水を含有する。制限なしに、アルカノール、アミン、ジオール、エーテル、およびポリオールをはじめとするその他の各種液体が、水性液体洗剤に包含されてもよい。水性液体洗剤は、0~30%の有機溶剤を含有してもよい。液体洗剤は非水性でさえあってもよく、その中では、含水量が10%未満、好ましくは5%未満である。
【0121】
洗剤成分は、水溶解性パウチ内のコンパートメントによって、互いに物理的に離隔され得る。それによって、成分間の否定的な貯蔵中相互作用を回避し得る。各コンパートメントの異なる溶出プロファイルはまた、選択された成分の洗浄液中への遅延溶出も引き起こし得る。
【0122】
洗剤組成物は、単位用量製品の形態を取ってもよい。単位用量製品は、非再利用容器内の単回用量の包装である。これは洗濯用および食器洗い用洗剤で、使われることが多くなっている。洗剤単位用量製品は、単回洗浄で使用される量の洗剤の包装(例えば水溶性膜からできているパウチ内の)である。
【0123】
パウチは、例えば水との接触前にパウチから組成物を放出させることなく、組成物を保持するのに適した、任意の形態、形状、および材質であり得る。パウチは、内部容量を封入する水溶性フィルムからできている。前記内部容量は、パウチのコンパートメントに分割され得る。好ましいフィルムは、膜またはシートに成形される高分子材料、好ましくはポリマーである。好ましいポリマー、共重合体またはそれらの誘導体は、選択されたポリアクリレート、および水溶性アクリレート共重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムデキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、最も好ましくはポリビニルアルコール共重合体、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。好ましくは、例えばPVAなどの膜内のポリマーのレベルは、少なくとも約60%である。好ましい平均分子量は、典型的に、約20,000~約150,000である。フィルムはまた、ポリラクチドおよびポリビニルアルコールなどの加水分解性および水溶性ポリマーの混合物(製品番号M8630の下に知られており、Gary,Ind.,USのChris Craft In.Prod.によって販売される)に加えて、グリセロール、エチレングリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールのような可塑剤、およびそれらの混合物を含んでなる、混合組成物であり得る。パウチは、水溶性膜によって離隔された、固体洗濯洗浄組成物または部分的成分および/または液体洗浄組成物または部分的成分を含んでなり得る。液体成分のためのコンパートメントは、固体を含有するコンパートメントと、組成が異なり得る(例えば、米国特許第2009/0011970号明細書を参照されたい)。
【0124】
洗剤成分の選択は、繊維製品ケアのために、洗浄される繊維製品のタイプ、汚染のタイプおよび/または程度、洗浄温度、および洗剤製品の配合への考慮を含んでもよい。下で言及される成分は、特定の機能性に従った一般的見出しによって分類されるが、当業者には理解されるように、成分は追加的な機能性を含んでなってもよいので、これは制限として解釈すべきでない。
【0125】
追加的成分の選択は、当業者の技術範囲内であり、下記の例示的な非限定的成分をはじめとする従来の成分が挙げられる。
【0126】
界面活性剤
洗剤組成物は、アニオン性および/またはカチオン性および/または非イオン性および/または半極性および/または両性イオン性、またはその混合物であってもよい、1つまたは複数の界面活性剤を含んでなってもよい。特定の実施形態では、洗剤組成物は、1つまたは複数の非イオン性界面活性剤と、1つまたは複数のアニオン性界面活性剤との混合物を含む。界面活性剤は、典型的に、重量基準で約1%~約40%、または約3%~約20%、または約3%~約10%などの、約0.1%~60%のレベルで存在する。界面活性剤は、所望の浄化用途に基づいて選択され、当該技術分野で公知のあらゆる従来の界面活性剤が挙げられる。洗剤で使用するために当該技術分野で公知の任意の界面活性剤を利用してもよい。
【0127】
その中に含まれる場合、洗剤は、通常は、重量基準で約5%~約15%、または約20%~約25%をはじめとする、約5%~約30%などの、約1%~約40%のアニオン性界面活性剤を含有するであろう。アニオン性界面活性剤の非限定的例としては、硫酸塩およびスルホン酸塩、特に、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、LAS異性体、分枝アルキルベンゼンスルホン酸塩(BABS)、フェニルアルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、オレフィンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、アルカン-2,3-ジイルビス(硫酸塩)、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩およびジスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの硫酸アルキル(AS)、脂肪アルコール硫酸塩(FAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、アルコールエーテル硫酸塩(AESまたはAEOSまたはFES;アルコールエトキシ硫酸塩または脂肪アルコールエーテル硫酸塩としてもまた知られている)、第二級アルカンスルホン酸塩(SAS)、パラフィンスルホン酸塩(PS)、エステルスルホン酸塩、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、メチルエステルスルホネート(MES)をはじめとするα-スルホ脂肪酸メチルエステル(α-SFMeまたはSES)、アルキルまたはアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホコハク酸のジエステルおよびモノエステルまたは石鹸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0128】
その中に含まれる場合、洗剤は、通常は、重量基準で約0.1%~約10%のカチオン性界面活性剤を含有するであろう。カチオン性界面活性剤の非限定的例としては、アルキルジメチルエタノールアミンクアット(ADMEAQ)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム(DSDMAC)、およびアルキルベンジルジメチルアンモニウム、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルコキシル化第四級アンモニウム(AQA)化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0129】
その中に含まれる場合、洗剤は、通常は、例えば、重量基準で約0.5%~約30%、特に約1%~約20%、約3%~約10%、約3%~約5%、または約8%~約12%などの、約0.2%~約40%の非イオン性界面活性剤を含有する。非イオン性界面活性剤の非限定的例としては、アルコールエトキシレート(AEまたはAEO)、プロポキシル酸アルコール、プロポキシル化脂肪アルコール(PFA)、エトキシル化および/またはプロポキシル化脂肪酸アルキルエステルなどのアルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、アルキルフェノールエトキシレート(APE)、ノニルフェノールエトキシレート(NPE)、アルキルポリグリコシド(APG)、アルコキシル化アミン、脂肪酸モノエタノールアミド(FAM)、脂肪酸ジエタノールアミド(FADA)、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(EFAM)、プロポキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(PFAM)、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、またはグルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体(グルクアミド、GA、または脂肪酸グルクアミド、FAGA)、ならびに商品名SPANおよびTWEENの下に入手できる製品、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0130】
その中に含まれる場合、洗剤は、通常は、重量基準で約0.1%~約20%の半極性界面活性剤を含有する。半極性界面活性剤の非限定的例としては、アルキルジメチルアミンオキシドとN-(ココアルキル)-N,N-ジメチルアミンオキシドとN-(タローアルキル)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドなどのアミン酸化物(AO)、脂肪酸アルカノールアミドおよびエトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
その中に含まれる場合、洗剤は、通常は、重量基準で約0.1%~約10%の両性イオン性界面活性剤を含有する。両性イオン性界面活性剤の非限定的例としては、ベタイン、アルキルジメチルベタイン、スルホベタイン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
ヒドロトロープ
ヒドロトロープは、疎水性化合物を水溶液に(または逆に、極性物質を非極性環境に)可溶化する化合物である。典型的に、ヒドロトロープは、親水性および疎水性の双方を有する(界面活性剤から知られているようないわゆる両親媒性特性);しかしヒドロトロープの分子構造は、一般に、自発的自己凝集を支援せず、例えばHodgdon and Kaler(2007),Current Opinion in Colloid & Interface Science 12:121-128によるレビューを参照されたい。ヒドロトロープは、ミセル相、ラメラ相またはその他の明確に定義された中間相を形成する、界面活性剤および脂質で見られるような、それを超えると自己凝集が発生する臨界濃度を示さない。その代わりに、多数のヒドロトロープは、濃度の増大に伴って凝集体サイズが大きくなる、連続型凝集過程を示す。しかし、多数のヒドロトロープは、水、油、界面活性剤、およびポリマーの混合物をはじめとする、極性および非極性物質を含有する系の相挙動、安定性、およびコロイド特性を変化させる。ヒドロトロープは、医薬品、パーソナルケア、食品から技術用途に至る産業全体で、古典的に使用されている。洗剤組成物中のヒドロトロープの使用は、相分離または高粘度などの望まれない現象を誘発することなく、(水を除去することで液体洗剤を濃縮する過程のように)例えば界面活性剤のより濃厚な調合物を可能にする。
【0133】
洗剤は、重量基準で約0.5~約5%、または約3%~約5%などの、0~5%のヒドロトロープを含有してもよい。洗剤で使用するために当該技術分野で公知の任意のヒドロトロープを利用してもよい。ヒドロトロープの非限定的例としては、ナトリウムベンゼンスルホネート、ナトリウムp‐トルエンスルホネート(STS)、ナトリウムキシレンスルホネート(SXS)、ナトリウムクメンスルホネート(SCS)、ナトリウムシメンスルホネート、アミン酸化物、アルコールおよびポリグリコールエーテル、ヒドロキシナフトエ酸ナトリウム、ナトリウムヒドロキシナフタレンスルホネート、エチルヘキシル硫酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0134】
ビルダーおよび補助ビルダー
洗剤組成物は、重量基準で、約5%~約50%などの、約0~65%の洗剤ビルダーまたは補助ビルダーまたはその混合物を含有してもよい。食器洗い洗剤中では、ビルダーのレベルは、典型的に40~65%、特に50~65%である。ビルダーおよび/または補助ビルダーは、具体的には、CaおよびMgイオンと水溶性複合体を形成するキレート化剤であってもよい。洗濯洗剤で使用するために当該技術分野で公知の任意のビルダーおよび/または補助ビルダーを利用してもよい。ビルダーの非限定的例としては、クエン酸塩、ゼオライト、二リン酸塩(ピロリン酸塩)、三リン酸ナトリウムなどの三リン酸塩(STPまたはSTPP)、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、メタケイ酸ナトリウムなどの可溶性ケイ酸塩、層状ケイ酸塩(例えばヘキスト製のSKS-6)、2-アミノエタン-1-オール(MEA)、ジエタノールアミン(DEA、イミノジエタノールとしてもまた知られている)、トリエタノールアミン(TEA、2,2’,2”-ニトリロトリエタノールとしてもまた知られている)などのエタノールアミン、およびカルボキシメチルイヌリン(CMI)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0135】
洗剤組成物は、重量基準で約5%~約30%などの、0~50%の洗剤補助ビルダーまたはその混合物もまた含有してもよい。洗剤組成物は、補助ビルダーを単独で、または例えばクエン酸塩ビルダーなどのビルダーとの組み合せで、含んでもよい。補助ビルダーの非限定的例としては、ポリ(アクリル酸)(PAA)またはコポリ(アクリル酸/マレイン酸)(PAA/PMA)などの、ポリアクリレートのホモポリマーまたはその共重合体が挙げられる。さらなる非限定的例としては、クエン酸塩と、アミノカルボキシレート、アミノポリカルボキシレートおよびホスホネート、およびアルキル-またはアルケニルコハク酸などのキレート剤とが挙げられる。追加的な特定例としては、2,2’,2”-ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、イミノ二コハク酸(IDS)、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)(DTMPAまたはDTPMPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(EDG)、アスパラギン酸-N-一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸-N-モノプロピオン酸(ASMP)、イミノ二コハク酸(IDA)、N-(2-スルホメチル)-アスパラギン酸(SMAS)、N-(2-スルホエチル)-アスパラギン酸(SEAS)、N-(2-スルホメチル)-グルタミン酸(SMGL)、N-(2-スルホエチル)-グルタミン酸(SEGL)、N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α-アラニン-N、N-二酢酸(α-ALDA)、セリン-N、N-二酢酸(SEDA)、イソセリン-N、N-二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン-N、N-二酢酸(PHDA)、アントラニル酸-N、N-二酢酸(ANDA)、スルファニル酸-N、N-二酢酸(SLDA)、タウリン-N、N-二酢酸(TUDA)およびスルホメチル-N、N-二酢酸(SMDA)、N-(2-ヒドロキシエチル)-エチリデンジアミン-N、N’、N’-トリアセテート(HEDTA)、ジエタノールグリシン(DEG)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、およびそれらの組み合わせと塩が挙げられる。さらなる例示的なビルダーおよび/または補助ビルダーは、例えば、国際公開第09/102854号パンフレット、米国特許第5977053号明細書に記載される。
【0136】
ポリマー
洗剤は、重量基準で0.5~5%、2~5%、0.5~2%または0.2~1%などの、0~10%のポリマーを含有してもよい。洗剤で使用するために当該技術分野で公知の任意のポリマーを利用してもよい。ポリマーは、上述したような補助ビルダーとして機能してもよく、または再付着防止、繊維保護、防汚、移染防止、グリース浄化および/または消泡特性を提供してもよい。いくつかのポリマーは、上述の特性1つ以上および/または下で言及されるモチーフの1つ以上を有してもよい。代表的なポリマーとしては、(カルボキシメチル)セルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(酸化エチレン)(PEG)、エトキシル化ポリ(エチレンイミン)、カルボキシメチルイヌリン(CMI)、およびPAAなどのポリカルボキシレート、PAA/PMA、ポリアスパラギン酸、およびラウリルメタクリレート/アクリル酸共重合体、疎水性修飾CMC(HM-CMC)およびシリコーン、テレフタル酸とオリゴマーグリコールの共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(オキシエテンテレフタレート)の共重合体(PET-POET)、PVP、ポリ(ビニルイミダゾール)(PVI)、ポリ(ビニルピリジン-N-オキシド)(PVPOまたはPVPNO)、およびポリビニルピロリドン-ビニルイミダゾール(PVPVI)が挙げられる。さらなる例示的なポリマーとしては、スルホン化ポリカルボキシレート、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)、およびジクアテルニウムエトキシスルフェートが挙げられる。その他の例示的なポリマーは、例えば、国際公開第2006/130575号パンフレットおよび米国特許第5,955,415号明細書で開示される。上述のポリマーの塩もまた、検討される。
【0137】
布帛色相付与剤
本発明の洗剤組成物は、染料または顔料などの布帛色相付与剤もまた含んでもよく、これは、洗剤組成物に配合されると、前記布帛が、前記洗剤組成物を含んでなる洗浄液に接触した際に、布帛上に沈着し得て、したがって可視光の吸収/反射を通じて前記布帛の色合いを変化させる。蛍光増白剤は、少なくともいくらかの可視光を放出する。対照的に、布帛色相付与剤は、可視光スペクトルの少なくとも一部を吸収して、表面の色合いを変化させる。適切な布帛色相付与剤としては、染料および染料-粘土複合体が挙げられ、顔料もまた挙げられる。適切な染料としては、小分子染料および高分子染料が挙げられる。適切な小分子染料としては、例えば、(参照によって本明細書に援用する)国際公開第2005/03274号パンフレット、国際公開第2005/03275号パンフレット、国際公開第2005/03276号パンフレット、および欧州特許第1876226号明細書に記載されるように、色指数(C.I.)分類で、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アシッドレッド、アシッドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット、およびベーシックレッドに分類される染料、またはそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。洗剤組成物は、好ましくは約0.00003重量%~約0.2重量%、約0.00008重量%~約0.05重量%、または約0.0001重量%~約0.04重量%にさえ至る、布帛色相付与剤を含んでなる。組成物は、0.0001重量%~0.2重量%の布帛色相付与剤を含んでなってもよく、これは、組成物が単位用量パウチの形態である場合に、特に好ましくあってもよい。適切な色相付与剤は、例えば、国際公開第2007/087257号パンフレットおよび国際公開第2007/087243号パンフレットでもまた開示される。
【0138】
(追加的)酵素
マイクロカプセル中に含有されずに、洗剤組成物に含まれてもよい酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キサンタナーゼ、キシラナーゼ、DNAse、ペルヒドロラーゼ、および/または酸化還元酵素(例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼおよび/またはハロペルオキシダーゼ)などの1つまたは複数の酵素が挙げられる。
【0139】
このような酵素は、例えば、プロピレングリコールまたはグリセロールなどのポリオール;糖または糖アルコール;乳酸;ホウ酸;または例えば芳香族ホウ酸エステルなどのホウ酸誘導体;または4-ホルミルフェニルボロン酸などのフェニルボロン酸誘導体などの従来の安定剤を使用して安定化されてもよく、組成物は、例えば、国際公開第92/19709号パンフレットおよび国際公開第92/19708号パンフレットに記載されるようにして、配合されもよい。当該技術分野で公知のその他の安定剤および阻害剤も添加し得る(下記参照)。このような酵素の例は、上に示すマイクロカプセル内にカプセル化し得るものと同一である。
【0140】
本発明のマイクロカプセルを使用して、洗剤成分(例えば、キサンタンガム、エステル結合のあるポリマー、水素化ヒマシ油、香料、メチルエステルスルホネート界面活性剤、セルロース、セルロース誘導体、デキストリン、およびシクロデキストリン)の安定性にとって有害な1つまたは複数の酵素をカプセル化する際は、カプセル化酵素が漏出した場合に外側の洗剤相がそれらを分解するように、洗剤相がカプセル化酵素に対して過酷であるように配合することが有利である。これは、例えば、洗剤組成物にプロテアーゼを添加することで、実施し得る。マイクロカプセルが少量のカプセル化酵素を漏出した場合、プロテアーゼをスカベンジャーとして使用して、マイクロカプセルからの漏出酵素を分解し得て、したがって感受性洗剤成分の分解が回避される。
【0141】
洗剤酵素は、1つまたは複数の酵素を含有する別々の添加剤を添加することで、またはこれらの全ての酵素を含んでなる組み合わせ添加剤を添加することで、洗剤組成物に包めてもよい。本発明の洗剤添加剤、すなわち、個別の添加剤または組み合わせ添加剤は、例えば、液体、スラリー、または粒質物などとしても調合し得る。
【0142】
プロテアーゼ阻害剤
洗剤組成物は、例えばセリンプロテアーゼ活性などのプロテアーゼ活性の可逆的阻害剤である、プロテアーゼ阻害剤を含んでもよい。好ましくは、プロテアーゼ阻害剤は、(可逆的)サブチリシンプロテアーゼ阻害剤である。具体的には、プロテアーゼ阻害剤は、ペプチドアルデヒド、ホウ酸、またはボロン酸;またはこれらのいずれかの誘導体であってもよい。
【0143】
プロテアーゼ阻害剤は、1E-12~1E-03;より好ましくは1E-11~1E-04;なおもより好ましくは1E-10~1E-05;なおもより好ましくは1E-10~1E-06;最も好ましくは1E-09~1E-07のセリンプロテアーゼに対する阻害定数Ki (mol/L)を有してもよい。
【0144】
プロテアーゼ阻害剤は、ボロン酸またはその誘導体であってもよく;好ましくは、フェニルボロン酸またはその誘導体である。
【0145】
本発明の一実施形態では、フェニルボロン酸誘導体は、次式を有する:
【化1】
(式中、Rは、水素、ヒドロキシ、C
1~C
6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルケニル、および置換C
1~C
6アルケニルからなる群から選択される。)好ましくは、Rは、水素、CH
3、CH
3CH
2またはCH
3CH
2CH
2である。
【0146】
好ましい実施形態では、プロテアーゼ阻害剤(フェニルボロン酸誘導体)は、4-ホルミル-フェニル-ボロン酸(4-FPBA)である。
【0147】
別の特定の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、チオフェン-2-ボロン酸、チオフェン-3-ボロン酸、アセトアミドフェニルボロン酸、ベンゾフラン-2-ボロン酸、ナフタレン-1-ボロン酸、ナフタレン-2-ボロン酸、2-FPBA、3-FBPA、4-FPBA、1-チアントレンボロン酸、4-ジベンゾフランボロン酸、5-メチルチオフェン-2-ボロン酸、チアナフテンボロン酸、フラン-2-ボロン酸、フラン-3-ボロン酸、4,4-ビフェニル-ジボロン酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレン、4-(メチルチオ)フェニルボロン酸、4-(トリメチル-シリル)フェニルボロン酸、3-ブロモチオフェンボロン酸、4-メチルチオフェンボロン酸、2-ナフチルボロン酸、5-ブロモチオフェンボロン酸、5-クロロチオフェンボロン酸、ジメチルチオフェンボロン酸、2-ブロモフェニルボロン酸、3-クロロフェニルボロン酸、3-メトキシ-2-チオフェン、p-メチル-フェニルエチル、2-チアントレンボロン酸、ジベンゾチオフェンボロン酸、4-カルボキシフェニルボロン酸、9-アントリルボロン酸、3,5-ジクロロフェニルボロン酸、ジフェニルボロン酸無水物、o-クロロフェニルボロン酸、p-クロロフェニルボロン酸、m-ブロモフェニルボロン酸、p-ブロモフェニルボロン酸、p-フルオロフェニルボロン酸、p-トリルボロン酸、o-トリルボロン酸、オクチルボロン酸、1,3,5-トリメチルフェニルボロン酸、3-クロロ-4-フルオロフェニルボロン酸、3-アミノフェニルボロン酸、3,5-ビス-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸、2,4-ジクロロフェニルボロン酸、4-メトキシフェニルボロン酸からなる群から選択される。
【0148】
洗剤組成物中で、プロテアーゼ阻害剤として適切なさらなるボロン酸誘導体は、米国特許第4,963,655号明細書、米国特許第5,159,060号明細書、国際公開第95/12655号パンフレット、国際公開第95/29223号パンフレット、国際公開第92/19707号パンフレット、国際公開第94/04653号パンフレット、国際公開第94/04654号パンフレット、米国特許第5442100号明細書、米国特許第5488157号明細書、および米国特許第5472628号明細書に記載される。
【0149】
プロテアーゼ阻害剤はまた、式、X-B1-B0-Hを有するペプチドアルデヒドであってもよく、その中で、基は次の意味を有する:
a)Hは、水素であり;
b)B0は、L-またはD-立体配置がある単一アミノ酸残基であり、式、NH-CHR’-COを有し;
c)B1は、単一アミノ酸残基であり;
D)Xは、必要に応じてN末端保護基を含む、1つ以上(好ましくは1つまたは2つ)のアミノ酸残基からなる。
【0150】
NH-CHR’-CO(B0)は、L-またはD-アミノ酸残基であり、式中、R’は、脂肪族または芳香族側鎖、例えばベンジルなどのアラルキルであってもよく、式中、R’は、任意選択的に置換されてもよい。より具体的には、B0残基は、嵩高い、中性、極性、疎水性および/または芳香族残基であってもよい。例は、D-またはL-形態のTyr(p-チロシン)、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Phe、Val、Met、ノルバリン(Nva)、Leu、Ileまたはノルロイシン(Nle)である。
【0151】
上の式中で、X-B1-B0-H、theB1残基は、特に、小型、脂肪族、疎水性および/または中性残基であってもよい。例は、アラニン(Ala)、システイン(Cys)、グリシン(GIy)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、バリン(VaI)、ノルバリン(Nva)、およびノルロイシン(Nle)、特にアラニン、グリシン、またはバリンである。
【0152】
Xは、特に、任意選択のN末端保護基がある、1つまたは2つのアミノ酸残基であってもよい(すなわち、化合物は、保護基ありまたはなしのトリ-またはテトラペプチドアルデヒドである)。したがって、Xは、B2、B3-B2、Z-B2、またはZ-B3-B2であってもよく、B3およびB2はそれぞれ1つのアミノ酸残基を表し、Zは、N末端保護基である。B2残基は、特に、例えば、Ala、Gly、Thr、Arg、Leu、PheまたはValなどの小型、脂肪族および/または中性残基であってもよい。B3残基は、特に、例えば、Phe、Tyr、Trp、フェニルグリシン、Leu、Val、Nva、NleまたはIleなどの嵩高い、疎水性、中性および/または芳香族残基であってもよい。
【0153】
N末端保護基Zは(存在する場合)、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、フルオロメトキシカルボニル、メトキシスクシニル、芳香族および脂肪族ウレタン保護基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t-ブチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)またはp-メトキシフェニル(PMP)、メトキシカルボニル(Moc);メトキシアセチル(Mac);カルバミン酸メチルまたはメチルアミノカルボニル/メチル尿素基から選択されてもよい。保護基(すなわちX=Z-B2)があるトリペプチドアルデヒドの場合、Zは、好ましくは、例えば、ホルミル、アセチル、フルオロメトキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、メトキシカルボニル(Moc)などの小型脂肪族基;メトキシアセチル(Mac);カルバミン酸メチルまたはメチルアミノカルボニル/メチル尿素基である。保護基(すなわちX=Z-B3-B2)のあるトリペプチドアルデヒドの場合、Zは、好ましくは、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)またはp-メトキシフェニル(PMP)などの嵩高い芳香族基である。
【0154】
適切なペプチドアルデヒドは、国際公開第94/04651号パンフレット、国際公開第95/25791号パンフレット、国際公開第98/13458号パンフレット、国際公開第98/13459号パンフレット、国際公開第98/13460号パンフレット、国際公開第98/13461号パンフレット、国際公開第98/13461号パンフレット、国際公開第98/13462号パンフレット、国際公開第2007/141736号パンフレット、2007/145963、国際公開第2009/118375号パンフレット、国際公開第2010/055052号パンフレット、および国際公開第2011/036153号パンフレットに記載される。より具体的には、ペプチドアルデヒドは、Cbz-RAY-H、Ac-GAY-H、Cbz-GAY-H、Cbz-GAL-H、Cbz-VAL-H、Cbz-GAF-H、Cbz-GAV-H、Cbz-GGY-H、Cbz-GGF-H、Cbz-RVY-H、Cbz-LVY-H、Ac-LGAY-H、Ac-FGAY-H、Ac-YGAY-H、Ac-FGAL-H、Ac-FGAF-H、Ac-FGVY-H、Ac-FGAM-H、Ac-WLVY-H、MeO-CO-VAL-H、MeNCO-VAL-H、MeO-CO-FGAL-H、MeO-CO-FGAF-H、MeSO2-FGAL-H、MeSO2-VAL-H、PhCH2O(OH)(O)P-VAL-H、EtSO2-FGAL-H、PhCH2SO2-VAL-H、PhCH2O(OH)(O)P-LAL-H、PhCH2O(OH)(O)P-FAL-H、またはMeO(OH)(O)P-LGAL-Hであってもよい。式中、Cbzは、ベンジルオキシカルボニルであり、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Acはアセチルであり、Hは水素であり、その他の文字は、標準一文字表記で示されるアミノ酸残基を表す(例えば、F=Phe、Y=Tyr、L=Leu)。
【0155】
代案としては、ペプチドアルデヒドは、国際公開第2011/036153号パンフレットに記載される、式、P-O-(Ai-X’)n-An+1-Qを有してもよく、
式中、Qは、水素、CH3、CX”3、CHX”2、またはCH2X”であり、式中、X”は、ハロゲン原子であり;
式中、1つのX’は、「二重Nキャッピング基」CO、CO-CO、CS、CS-CSまたはCS-CO、最も好ましくはウレイド(CO)であり、その他のX’は存在せず、
式中、n=1~10、好ましくは2~5、最も好ましくは2であり、
式中、各AiおよびAn+1は、X’=-CO-の右側の残基が-NH-CR”-CO-、または
X’=-CO-の左側の残基が-CO-CR”-NH-の構造を有するアミノ酸残基であり:
式中、R”は、H-または任意選択的に置換されたアルキルまたはアルキルアリール基であり、それは、任意選択的にヘテロ原子を含んでもよく、任意選択的にN原子と結合してもよく、
式中、Pは、水素または任意のC末端保護基である。
【0156】
このようなペプチドアルデヒドの例としては、α-MAPI、β-MAPI、F-尿素-RVY-H、F-尿素-GGY-H、F-尿素-GAF-H、F-尿素-GAY-H、F-尿素-GAL-H、F-尿素-GA-Nva-H、F-尿素-GA-Nle-H、Y-尿素-RVY-H、Y-尿素-GAY-H、F-CS-RVF-H、F-CS-RVY-H、F-CS-GAY-H、アンチパイン、GE20372A、GE20372B、キモスタチンA、キモスタチンB、およびキモスタチンCが挙げられる。さらなるペプチドアルデヒドの例は、参照によって本明細書に援用する、国際公開第2010/055052号パンフレットおよび国際公開第2009/118375号パンフレット、国際公開第94/04651号パンフレット、国際公開第98/13459号パンフレット、国際公開第98/13461号パンフレット、国際公開第98/13462号パンフレット、国際公開第2007/145963号パンフレットで開示される。
【0157】
ペプチドアルデヒドの代案として、プロテアーゼ阻害剤は、式、X-B1-NH-CHR-CHOH-SO3Mを有するハイドロサルファイト付加物であってもよく、式中、X、B1、およびRは、上で定義され、Mは、Hまたはアルカリ金属、好ましくはNaまたはKである。
【0158】
ペプチドアルデヒドは、例えば、March,J.Advanced Organic Chemistry,fourth edition,Wiley-Interscience,US 1992,p 895などの教科書に記載されるようにして、亜硫酸水素ナトリウムとの反応によって、水溶性ハイドロサルファイト付加物に変換されてもよい。
【0159】
亜硫酸水素塩付加物の水溶液は、例えば、国際公開第98/47523号パンフレット;米国特許第6,500,802号明細書;米国特許第5,436,229号明細書;J.Am.Chem.Soc.(1978)100,1228;Org.Synth.,Coll.vol.7:361に記載されるような既知の方法によって、対応するペプチドアルデヒドと、亜硫酸水素ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム、NaHSO3);亜硫酸水素カリウム(KHSO3)水溶液とを反応させることで、調製されてもよい。
【0160】
上述のペプチドアルデヒド(またはハイドロサルファイト付加物)のプロテアーゼに対するモル比は、少なくとも1:1または1.5:1であってもよく、それは1000:1未満であってもよく、より好ましくは500:1未満、なおもより好ましくは100:1~2:1または20:1~2:1であり、または最も好ましくはモル比は10:1~2:1である。
【0161】
ギ酸塩(例えばギ酸ナトリウム)およびギ酸もまた、プロテアーゼ活性の阻害剤として優れた効果を示した。ギ酸は、国際公開第2013/004635号パンフレットに示されるように、上述のプロテアーゼ阻害剤と相乗的に使用し得る。ギ酸塩は、例えば、少なくとも1.0%、少なくとも1.2%または少なくとも1.5%などの、少なくとも0.1%w/wまたは0.5%w/wの量で、洗剤組成物中に存在してもよい。塩の量は、典型的に5%w/w未満、4%未満、または3%未満である。
【0162】
一実施形態では、プロテアーゼは金属プロテアーゼであり、阻害剤は例えば、タンパク質加水分解物ベースの阻害剤(例えば国際公開第2008/134343号パンフレットに記載されるような)などの金属プロテアーゼ阻害剤である。
【0163】
補助材料
洗濯洗剤で使用するために当該技術分野で公知の任意の洗剤成分もまた利用してもよい。その他の任意選択の洗剤成分としては、単独のまたは組み合わせのどちらかでの、抗腐食剤、防縮剤、汚れ再付着防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、バインダー、防蝕剤、錠剤分解物質/崩壊剤、染料、酵素安定剤(ホウ酸、ホウ酸塩、CMC、および/またはプロピレングリコールなどのポリオールをはじめとする)、粘土をはじめとする布帛仕上げ剤、増量剤/加工助剤、蛍光性増白剤/光学的増白剤、泡立ち促進剤、泡立ち(泡)調節剤、香料、汚れ懸濁剤、柔軟剤、泡止め剤、変色阻害剤、およびウィッキング剤が挙げられる。洗濯洗剤で使用するために当該技術分野で公知の任意の成分を利用してもよい。このような成分の選択は、十分に当業者の技術範囲内である。
【0164】
分散剤-本発明の洗剤組成物はまた、分散剤も含有し得る。具体的には、粉末洗剤は、分散剤を含んでなってもよい。適切な水溶性有機材料としては、同種重合または共重合酸またはそれらの塩が挙げられ、その中では、ポリカルボン酸は、2つ以下の炭素原子によって互いに離隔される、少なくとも2つのカルボキシル遊離基を含んでなる。適切な分散剤は、例えば、Powdered Detergents,Surfactant science series volume 71,Marcel Dekker,Inc.に記載される。
【0165】
移染防止剤-本発明の洗剤組成物はまた、1つまたは複数の移染防止剤を含んでもよい。適切なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールの共重合体、ポリビニルオキサゾリドン、およびポリビニルイミダゾール、またはそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。対象組成物中に存在する場合、移染防止剤は、重量基準で、組成物の約0.0001%~約10%、約0.01%~約5%、または約0.1%~約3%にさえ至るレベルで存在してもよい。
【0166】
蛍光増白剤-本発明の洗剤組成物は、好ましくは、蛍光増白剤または光学的増白剤などの、洗浄される物品に色合いをつけてもよい追加的成分もまた含有する。存在する場合、増白剤は、好ましくは、約0.01%~約0.5%のレベルである。洗濯洗剤組成物で使用するのに適した任意の蛍光増白剤を、本発明の組成物で使用してもよい。最も一般的に使用される蛍光性増白剤は、ジアミノスチルベン-スルホン酸誘導体、ジアリールピラゾリン誘導体、およびビスフェニル-ジスチリル誘導体のクラスに属するものである。ジアミノスチルベン-スルホン酸誘導体タイプの蛍光性増白剤の例としては、以下の物質のナトリウム塩が挙げられる:4,4’-ビス-(2-ジエタノールアミノ-4-アニリノ-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホネート、4,4’-ビス-(2,4-ジアニリノ-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2.2’-ジスルホネート、4,4’-ビス-(2-アニリノ-4-(N-メチル-N-2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホネート、4,4’-ビス-(4-フェニル-1,2,3-トリアゾール-2-イル)スチルベン-2,2’-ジスルホネートおよびナトリウム5-(2H-ナフト[1,2-d][1,2,3]トリアゾール-2-yl)-2-[(E)-2-フェニルビニル]ベンゼンスルホネート。好ましい蛍光性増白剤は、Ciba-Geigy AG,Basel,Switzerlandから入手できるTinopal DMSおよびTinopal CBSである。Tinopal DMSは、4,4’-ビス-(2-モルホリノ-4-アニリノ-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホネートの二ナトリウム塩である。Tinopal CBSは、2,2’-ビス-(フェニル-スチリル)-ジスルホネートの二ナトリウム塩である。Paramount Minerals and Chemicals,Mumbai,Indiaによって提供される市販の蛍光性増白剤である、Parawhite KXもまた好ましい。本発明で使用するのに適するその他の蛍光物質としては、1-3-ジアリールピラゾリンおよび7-アルキルアミノクマリンが挙げられる。
【0167】
適切な蛍光性増白剤のレベルとしては、約0.01、0.05、約0.1、または約0.2重量%にさえ至る下限レベルから、0.5または0.75重量%にさえ至る上限レベルが挙げられる。
【0168】
防汚ポリマー-本発明の洗剤組成物はまた、綿およびポリエステルベースの布帛などの布帛からの汚れ除去、具体的には、ポリエステルベースの布帛からの疎水性汚れの除去を助ける、1つまたは複数の防汚ポリマーを含んでもよい。防汚ポリマーは、例えば、非イオン性またはアニオン性テレフタレートベースのポリマー、ポリビニルカプロラクタム、および関連共重合体、ビニルグラフト共重合体、ポリエステルポリアミドであってもよく、例えば、Powdered Detergents,Surfactant science series volume 71,Marcel Dekker,Inc.の第7章を参照されたい。防汚ポリマーの別のタイプは、コア構造と、コア構造に付着する複数のアルコキシレート基とを含んでなる、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーである。コア構造は、(参照によって本明細書に援用する)国際公開第2009/087523号パンフレットで詳述される、ポリアルキレンイミン構造またはポリアルカノールアミン構造を含んでなってもよい。さらにランダムグラフト共重合体は、適切な防汚ポリマーである。適切なグラフト共重合体は、(参照によって本明細書に援用する)国際公開第2007/138054号パンフレット、国際公開第2006/108856号パンフレット、および国際公開第2006/113314号パンフレットで、より詳細に記載される。その他の防汚ポリマーは、置換多糖構造体であり、特に、(どちらも参照によって本明細書に援用する)欧州特許第1867808号明細書または国際公開第2003/040279号パンフレットに記載されるものなどの変性セルロース誘導体などの置換セルロース系構造体である。適切なセルロース系ポリマーとしては、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、およびそれらの混合物が挙げられる。適切なセルロース系ポリマーとしては、アニオン変性セルロース、非イオン変性セルロース、カチオン変性セルロース、両性イオン変性セルロース、およびそれらの混合物が挙げられる。適切なセルロース系ポリマーとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エステルカルボキシメチルセルロース、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0169】
再付着防止剤-本発明の洗剤組成物また、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキシエチレンおよび/またはポリエチレングリコール(PEG)、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とマレイン酸の共重合体、およびエトキシル化ポリエチレンイミンなどの1つまたは複数の再付着防止剤を含んでもよい。上記の防汚ポリマーの下に記載される、セルロースベースのポリマーもまた、再付着防止剤として機能してもよい。
【0170】
レオロジー調整剤は、粘度低下剤とは異なる、構造化剤または増粘剤である。非高分子結晶性、ヒドロキシ機能性材料、ポリマーレオロジー調整剤からなる群から選択されるレオロジー調整剤は、組成物の水性液体マトリックスに、ずれ揺変特性を与える。洗剤のレオロジーおよび粘度は、例えば欧州特許第2169040号明細書に示されるような、当該技術分野で公知の方法によって、修正および調節し得る。
【0171】
補助材料としては、防縮剤、しわ防止剤、殺菌剤、バインダー、キャリア、酵素安定剤、布帛柔軟剤、増量剤、調節剤、ヒドロトロープ、香料、顔料、泡止め剤、溶媒、および液体洗剤のための構造化剤および/または弾性付与剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0172】
漂白系
成分の不適合性のために、漂白剤と酵素を組み合わせた液体洗剤は、未だに数例しかない(例えば、米国特許第5,275,753号明細書または国際公開第99/00478号パンフレット)。本発明に記載される酵素マイクロカプセルを利用して、液体洗剤中の酵素から漂白剤を物理的に離隔し得る。洗剤は、0~50%の漂白系を含有してもよい。洗濯洗剤で使用するために当該技術分野で公知の任意の漂白系を利用してもよい。適切な漂白系成分としては、漂白触媒、光漂白剤、漂白剤活性化剤、過炭酸ナトリウムや過ホウ酸ナトリウムなどの過酸化水素源、予備形成過酸、およびそれらの混合物が挙げられる。適切な予備形成過酸としては、ペルオキシカルボン酸および塩、過炭酸および塩、ペルイミド酸および塩、例えばOxone(登録商標)などのペルオキシ一硫酸および塩、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。漂白系の非限定的例としては、例えば、過酸形成漂白剤活性化剤と組み合わされた、過ホウ酸のナトリウム塩(通常は、一または四水和物)などのアルカリ金属塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩をはじめとする無機塩を含んでなってもよい、過酸化物ベースの漂白系が挙げられる。漂白剤活性化剤という用語は、本明細書では、過酸化水素のような過酸素漂白剤と反応して、過酸を形成する化合物を意味する。このようにして形成される過酸が、活性化漂白剤を構成する。本明細書で使用される適切な漂白剤活性化剤としては、エステルアミド、イミドまたは無水物のクラスに属するものが挙げられる。適切な例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ナトリウム-4-[(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)オキシ]ベンゼンスルホネート(ISONOBS)、ジペルオキシドデカン酸、4-(ドデカノイルオキシ)ベンゼンスルホネート(LOBS)、4-(デカノイルオキシ)ベンゼンスルホネート、4-(デカノイルオキシ)ベンゾエート(DOBS)、4-(ノナノイルオキシ)-ベンゼンスルホネート(NOBS)、および/または国際公開第98/17767号パンフレットで開示されるものである。関心のある漂白剤活性化剤の特定のファミリーは、欧州特許第624154号明細書で開示され、そのファミリー中で特に好ましいのは、アセチルクエン酸トリエチル(ATC)である。ATC、またはトリアセチンのような短鎖トリグリセリドは、最終的にクエン酸とアルコールに分解するので、環境に優しいという利点を有する。さらにアセチルクエン酸トリエチルおよびトリアセチンは、貯蔵時に製品中で優れた加水分解的安定性を有し、それは効率的な漂白剤活性化剤である。最後にATCは、洗濯添加剤に、優れた助剤能力を提供する。代案としては、漂白系は、例えば、アミド、イミド、またはスルホンタイプのペルオキシ酸を含んでなってもよい。漂白系はまた、6-(フタルイミド)ペルオキシヘキサン酸(PAP)などの過酸を含んでなってもよい。漂白系はまた、漂白剤触媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、漂白剤成分は、式、
【化2】
を有する有機触媒からなる群から選択される有機触媒、およびそれらの混合物であってもよく、式中、各R
1は、独立して、9~24個の炭素を含有する分枝アルキル基、または11~24個の炭素を含有する直鎖アルキル基であり、好ましくは各R
1は、独立して、9~18個の炭素を含有する分枝アルキル基、または11~18個の炭素を含有する直鎖アルキル基であり、より好ましくは各R
1は、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、2-ペンチルノニル、2-ヘキシルデシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、イソノニル、イソデシル、イソトリデシル、およびイソペンタデシルからなる群から独立して選択される。その他の例示的な漂白系は、例えば、国際公開第2007/087258号パンフレット、国際公開第2007/087244号パンフレット、国際公開第2007/087259号パンフレット、および国際公開第2007/087242号パンフレットに記述される。適切な光漂白剤は、例えばスルホン化亜鉛フタロシアニンであってもよい。
【0173】
洗剤製品の調合
本発明の液体洗剤組成物は、例えば1つまたは複数のコンパートメントを有するパウチ、ゲル、または規則的、緻密または濃縮液体洗剤などの任意の便利な形態であってもよい(例えば、国際公開第2009/098660号パンフレットまたは国際公開第2010/141301号パンフレットを参照されたい)。
【0174】
パウチは、単一または多重コンパートメントとして構成され得る。それは、例えば水との接触前にパウチから組成物を放出させることなく、組成物を保持するのに適した、任意の形態、形状、および材質であり得る。パウチは、内部容量を封入する水溶性フィルムからできている。前記内部容量は、パウチのコンパートメントに分割され得る。好ましいフィルムは、膜またはシートに成形される高分子材料、好ましくはポリマーである。好ましいポリマー、共重合体またはそれらの誘導体は、選択されたポリアクリレート、および水溶性アクリレート共重合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムデキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、最も好ましくはポリビニルアルコール共重合体、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。好ましくは、例えばPVAなどの膜内のポリマーのレベルは、少なくとも約60%である。好ましい平均分子量は、典型的に、約20,000~約150,000である。フィルムはまた、ポリラクチドおよびポリビニルアルコールなどの加水分解性および水溶性ポリマー混合物(製品番号M8630の下に知られており、MonoSol LLC,Indiana,USAによって販売される)に加えて、グリセロール、エチレングリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールのような可塑剤、およびそれらの混合物を含んでなる、混合組成物であり得る。パウチは、水溶性膜によって離隔された、固体洗濯洗浄組成物または部分的成分および/または液体洗浄組成物または部分的成分を含んでなり得る。液体成分のためのコンパートメントは、固体を含有するコンパートメントと、組成が異なり得る。
【0175】
洗剤成分は、水溶解性パウチ内のコンパートメントによって、互いに物理的に離隔され得る。それによって、成分間の否定的な貯蔵中相互作用を回避し得る。各コンパートメントの異なる溶出プロファイルはまた、選択された成分の洗浄液中への遅延溶出も生じ得る。
【0176】
組成物、方法、および使用
第1の態様では、本発明は、洗剤酵素含有マイクロカプセルを含んでなるマイクロカプセル組成物を提供し、その中でマイクロカプセルの膜は、1kDaを超える分子量を有する多分枝型ポリアミンの架橋によって生成され、洗剤酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0177】
第2の態様では、本発明は、少なくとも3重量%の総濃度の界面活性剤および洗剤ビルダーと、洗剤酵素含有マイクロカプセルとを含んでなり、マイクロカプセルの膜が1kDaを超える分子量を有する多分枝型ポリアミンの架橋によって生成される、液体洗剤組成物を提供する。
【0178】
本発明の第1および第2の態様の組成物の一実施形態では、多分岐型ポリアミンの反応性アミノ基が、分子量の少なくとも15%を構成する。好ましくは、多分岐型ポリアミンの分子量は、少なくとも1.3kDaなど、1kDaを超える。
【0179】
組成物の一実施形態では、マイクロカプセルは、架橋剤として酸塩化物を使用して生成される。
【0180】
組成物の一実施形態では、マイクロカプセルの直径は、約50μmである。
【0181】
組成物の一実施形態では、マイクロカプセルは、少なくとも1%の活性酵素を含有する。
【0182】
一実施形態では、組成物は、ポリオールなどのアルコールをさらに含む。
【0183】
組成物の一実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。
【0184】
一実施形態では、組成物は、液体洗濯または自動食器洗い洗剤である。
【0185】
一実施形態では、組成物は、90%未満の水を含有する。
【0186】
組成物の一実施形態では、洗剤酵素は、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、DNAse、酸化還元酵素(例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ペルヒドロラーゼ)、またはそれらのあらゆる組み合わせである。
【0187】
組成物の一実施形態では、洗剤酵素は、金属プロテアーゼまたはアルカリ性セリンプロテアーゼ(例えばサブチリシン)などのプロテアーゼである。
【0188】
組成物の一実施形態では、洗剤酵素は、アミラーゼまたはリパーゼであり;好ましくはアミラーゼは、配列番号1と少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有し、またはリパーゼは、配列番号2または3と少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0189】
組成物の好ましい実施形態では、マイクロカプセルは、架橋剤として酸塩化物を使用して、界面重合によって生成される。
【0190】
組成物の好ましい実施形態では、多分岐型ポリアミンはポリエチレンイミンである。
【0191】
別の態様では、本発明は、上述のマイクロカプセル組成物と、界面活性剤および洗剤ビルダーとを組み合わせるステップを含んでなる、(液体)洗剤組成物を調製する方法を提供する。好ましくは、界面活性剤および洗剤ビルダーの総濃度は、洗剤組成物の重量を基準にして少なくとも3%である。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤であってもよい。
【0192】
さらに別の態様では、本発明は、洗剤組成物が少なくとも3%の総濃度の界面活性剤および洗剤ビルダーを含んでなり、マイクロカプセルが多分岐型ポリアミンの架橋によって生成され、活性喪失が実施例2の方法によれば少なくとも10%低下され、マイクロカプセルが実施例3の方法によれば3分以内に少なくとも50%の酵素を放出できる、液体洗剤組成物中の洗剤酵素の安定性を改善するためのマイクロカプセルの使用もまた提供する。
【0193】
本発明による使用の実施形態は、上述の本発明の組成物の実施形態と同一である。
【0194】
別の態様では、本発明は、洗濯または自動食器洗いのための上述の本発明の組成物の使用もまた提供する。
【0195】
本発明のマイクロカプセルは、アルカリ度予備量が高いまたは低い組成物で、使用し得る(国際公開第2006/090335号パンフレットを参照されたい)。マイクロカプセルはまた、CaおよびMgイオンとの相互作用のために使用される、ゼオライト、リン酸塩、またはその他の強力なまたは弱いビルダー(キレート剤、金属イオン封鎖剤、沈殿剤)のレベルが高いまたは低い組成物とも適合性である。
【0196】
本発明による使用は、5~90℃、好ましくは5~70℃、より好ましくは5~60℃、なおもより好ましくは5~50℃、なおもより好ましくは5~40℃、最も好ましくは5~30℃、そして特に10~30℃の温度で実施してもよい。
【0197】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0198】
緩衝液および基質として使用された化学薬品は、少なくとも試薬等級の市販品であった。アミラーゼ1は、配列番号1に示されるアミノ酸配列(国際公開第2001/066712号パンフレットに記載される)を有する。リパーゼ1は、配列番号2に示されるアミノ酸配列(国際公開第2000/060063号パンフレットに記載される)を有する。リパーゼ2は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する。
【0199】
実施例1
液体洗濯洗剤の調製
液体洗濯モデル洗剤;洗剤Aおよび洗剤Bは、それぞれ以下の組成物から調製された(全ての百分率はw/w):
【0200】
【0201】
さらに、市販の酵素非含有洗剤である「Persil Small and Mighty Non-biological」が、2010年に英国で購入された。この洗剤を「洗剤C」と称する。
【0202】
実施例2
異なるポリエチレンイミンポリマー(分子量)を用いたカプセルの調製
いくつかの異なるポリエチレン類は、BASFによってLupasol(登録商標)の取引名で提供された。製造業者によって規定される仕様の一部を以下の表に要約する。
【0203】
【0204】
リパーゼ1水溶液(1グラムあたり120mgの活性酵素)と、下の表で列挙されるポリエチレンイミンとを混合して、7種の水相溶液を調製した。
【0205】
【0206】
1000mLのパラフィン系オイル(Statoilによって提供されるWhiteway 15)と、10gのスチレン、ステアリルメタクリレート、および無水マレイン酸ターポリマー乳化剤の高分子量加水分解共重合体の20%溶液とをパラフィン系オイル中に撹拌して混合し、油相を調製した(国際公開第99/01534号パンフレットの実施例5を参照されたい)。
【0207】
連続磁気撹拌下で、各水性相を100mLの油相に添加して、200μm~600μmの平均小滴径を有する油中水型エマルションを形成した。
【0208】
連続磁気撹拌しながら、2.4gのテレフタロイル塩化物(Sigma Aldrich製)を合計400gになる量のパラフィン系オイルに溶解して85℃に加熱し、反応油相を調製した。
【0209】
各油中水型エマルションに、50mLの熱い反応油相を添加して、界面重合反応およびカプセル形成を開始した。1時間にわたり撹拌して、反応を完了させた。
【0210】
次にカプセルをほぼ5分間沈降させて、上清を廃棄し、カプセルをパラフィン系オイル(Statoil製のWhiteway 15;またはExxon Mobil製のIsopar M)で2回水洗した。最終カプセル製品は、可能な限り油を落とした。
【0211】
カプセルの各バッチを100mLの洗剤Aと混合した。
【0212】
磁気撹拌しながら、0.10gのリパーゼ1溶液(1グラムあたり120mgの活性酵素)と100gの洗剤Aとを混合し、標準を調製した。
【0213】
標準およびカプセルバッチは、それぞれ、およそ5gずつ密閉バイアル内に分割し、5℃または37℃(加速条件)で1週間保存した。
【0214】
貯蔵後、カプセルからの酵素放出を促進するための脱ミネラル水中での最初の1:100希釈後に、標準酵素分析法(37℃、pH=8.0でのパルミチン酸p-ニトロフェニルの加水分解)を使用して、活性を測定した。5℃で保存したサンプルについて、残留活性を計算した。活性喪失低下を標準と比較して、計算した。
【0215】
【0216】
結果は、分子量1.3kDa~2000kDaのポリエチレンイミンの架橋によって形成されたカプセルが、非カプセル化標準試料と比較して、洗濯洗剤中で有意に改善された酵素安定性を示すことを実証する。
【0217】
実施例3
酵素活性の放出
シミュレートされた洗濯における酵素の十分速い放出を立証するには、酵素活性の大部分が、2~3分以内に放出される必要がある。
【0218】
洗剤A中のLupasol G20wfrを用いて、実施例2に記載される方法によって作成されたカプセルサンプルを脱イオン水中で1:100に希釈した。この混合物は、「洗浄液」と称される。
【0219】
標準酵素分析法を使用して、洗浄液の濾過(0.65μmガラス繊維フィルター)サンプル上で、酵素活性(リパーゼ)を30秒間隔で測定した。
【0220】
10分後に、洗浄液を高度剪断ミキサー(Ultra Turrax)で1分間処理して、全てのカプセルの破壊を確実にした。高剪断混合サンプルの活性は、下の表中で指数100%の役割を果たし、洗浄液(2回の平均)中の放出プロファイルを示す。
【0221】
【0222】
これは、水での1:100希釈時に、2分以内に完全な酵素活性放出が得られることを実証する。
【0223】
実施例4
マイクロカプセル化アミラーゼの改善された安定性
以下の水相組成物を使用して、実施例2に記載される方法によって、アミラーゼ含有カプセルを調製した:
【0224】
【0225】
カプセルを洗剤Bまたは洗剤Cのどちらかと混合し、それに0.5%の非カプセル化プロテアーゼを添加した。標準試料は、実施例2に記載されるようにして調製した。標準およびサンプルを分割して、それぞれ5℃および30℃で8週間保存し、次に標準アミラーゼ酵素活性試験(37℃、pH=7.35における(4,6-エチリデン(G7)-p-ニトロフェニル(G1)-α,D-マルトヘプタオシド(エチリデン-G7PNP)の加水分解)によって分析した。残存活性を以下に要約する:
【0226】
【0227】
本実施例は、タンパク質分解が顕著な不安定化機序であるプロテアーゼ含有洗剤において、カプセルが酵素を保護することを実証する。
【0228】
実施例5
アミラーゼを用いて調製され炭酸カルシウムを安定剤として含むカプセル
下の表に従って、2つの水相溶液(カプセルIおよびカプセルII)を調製した:
【0229】
【0230】
アミラーゼ:アミラーゼ1濃縮物(1グラムあたり11mgの活性酵素)。
炭酸カルシウム:CaCO3はCa2+源であり、非常に難溶性の塩である。
油相:実施例2と同様の594gのWhiteway 15および6.0gの高分子乳化剤。
反応油相:85℃の230gのWhiteway15および4.1gの塩化イソフタロイル(Sigma Aldrich製)。
【0231】
連続磁気撹拌下で、20mLの各水性相を80mLの油相に添加して、200μm~600μmの平均小滴径を有する油中水型エマルションを形成した。
【0232】
各油中水型エマルションに、50mLの熱い反応油相を添加して、界面重合反応およびカプセル形成を開始した。1時間にわたり撹拌して、反応を完了させた。
【0233】
次にカプセルをおよそ5分間沈降させて上清を廃棄し、カプセルをWhiteway 15で2回すすいだ。最終カプセル製品から、できる限り油を落とした。
【0234】
油を落とした0.6グラムの製品を150mlの洗剤Aに添加した。
【0235】
磁気撹拌しながら、0.4mlのアミラーゼ濃縮物と125gの洗剤Aとを混合し、標準を調製した。
【0236】
標準およびカプセルバッチは、それぞれ、およそ5gずつ密閉バイアル内に分割し、5℃および37℃で8週間保存した。
【0237】
貯蔵後、実施例4と同様に、標準酵素分析法を使用して活性を測定した。
【0238】
【0239】
結果は、アミラーゼのカプセル封入が安定性を改善し;安定剤としてのCaCO3の添加が、アミラーゼの安定性をなおさらに改善することを示す。
【0240】
実施例6
洗剤中のリパーゼカプセルの貯蔵安定性
水相溶液:50gのリパーゼ2溶液(1グラムあたり80mgの活性酵素)、20gのLupasol G100(50%)、および30gの水道水を混合した。
【0241】
油相:実施例2と同様の90gのWhiteway 15および10gの高分子乳化剤。
【0242】
反応油相:85℃の47.5gのWhiteway 15および2.5gの塩化イソフタロイル(Sigma Aldrich製)。
【0243】
1000rpmで15分間にわたり、Silverson L4RT高剪断ミキサーを使用した連続混合下で、水性相を油相に添加して、約50μmの平均小滴径を有する油中水型エマルションを形成した。
【0244】
磁気撹拌下で、100mlのエマルションに50mlの熱い反応油相を添加して、界面重合反応およびカプセル形成を開始した。1時間にわたり撹拌して、反応を完了させた。結果として得られたカプセルは、50μmの平均径を有した。
【0245】
0.84グラムのカプセル製品を、>15%の界面活性剤と、さらにビルダーおよびプロテアーゼとを含有する、2013年に英国で購入された液体洗濯用洗剤である、210mlのPersil Small&Mighty Bioに添加した。磁気撹拌しながら、0.35mlのリパーゼ濃縮物と175gの液体洗剤とを混合し、標準を調製した。
【0246】
1.6グラムのカプセル製品を、250mlの単位用量洗剤(2012年に米国で購入されたTide Pods White Phaseの最大のチャンバーから取り出された白色液相)に添加した。磁気撹拌しながら、0.45mlのリパーゼ濃縮物と225gの液体洗剤とを混合し、標準を調製した。
【0247】
標準およびカプセルバッチは、それぞれ、およそ5gずつ密閉バイアル内に分割し、Small&Mightyでは5℃および30℃で8週間、Tide Pods White Phaseでは5℃および35°℃で8週間保存した。
【0248】
貯蔵後、実施例2と同様に、標準酵素分析法を使用して活性を測定した。
【0249】
【0250】
結果は、カプセル化リパーゼが、非カプセル化標準よりも有意により安定していることを示す。さらに、非カプセル化リパーゼ添加Tide Pods White Phaseが、貯蔵時に目に見えて相分離した一方で、カプセル化リパーゼ添加洗剤とリパーゼ無添加標準洗剤は、視覚的に影響を受けなかった。
【0251】
これは、洗剤中のリパーゼ感受性成分が、遊離リパーゼが存在すると分解するが、リパーゼがカプセル化される場合、または存在しない場合には、分解しないことを示す。Tide Pods White Phase洗剤は、リパーゼ感受性成分である水素化ヒマシ油を含有する。
【0252】
実施例7
リパーゼカプセルに安定剤を添加する
リパーゼ1水溶液(1グラムあたり120mgの活性酵素)と、下の表に列挙されるポリエチレンイミンとを混合して、7種の水相溶液を調製した。
【0253】
【0254】
各カプセル毎に、実施例2と同様に、100mlのWhiteway 15と1mlの高分子乳化剤を混合して、油相を調製した。
【0255】
連続磁気撹拌下で、2mLの各水性相を油相に添加して、200μm~600μmの平均小滴径を有する油中水型エマルションを形成した。
【0256】
連続磁気撹拌しながら、1.8gの塩化テレフタロイルを300gのWhiteway 15油に溶解して85℃に加熱し、反応油相を調製した。
【0257】
各油中水型エマルションに、50mLの熱い反応油相を添加して、界面重合反応およびカプセル形成を開始した。1時間にわたり撹拌して、反応を完了させた。
【0258】
次にカプセルをおよそ5分間沈降させて上清を廃棄し、カプセルをIsopar Mで2回すすいだ。最終カプセル製品から、できる限り油を落とした。
【0259】
カプセルの各バッチを125mLの洗剤Aと混合した。
【0260】
カプセルバッチは、それぞれ、およそ5gずつ密閉バイアル内に分割し、5℃および30℃で8週間保存した。
【0261】
貯蔵後、カプセルからの酵素放出を促進するための脱ミネラル水中での最初の1:100希釈後に、標準酵素分析法(37℃、pH=8.0でのパルミチン酸p-ニトロフェニルの加水分解)を使用して活性を測定した。5℃で保存したサンプルについて、残留活性を計算した。活性喪失低下を標準と比較して計算した。
【0262】
【0263】
結果は、カプセルに異なる安定剤を添加することが、貯蔵安定性を改善し得ることを実証する。
【配列表】