(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】オゾン発生器
(51)【国際特許分類】
C01B 13/11 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
C01B13/11 C
(21)【出願番号】P 2017028189
(22)【出願日】2017-02-17
【審査請求日】2019-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 美智子
(72)【発明者】
【氏名】村田 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴恵
(72)【発明者】
【氏名】沖田 裕二
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151311(JP,A)
【文献】特開2010-269950(JP,A)
【文献】特開2012-144425(JP,A)
【文献】特公昭49-027272(JP,B1)
【文献】実開昭54-116257(JP,U)
【文献】特開2005-001991(JP,A)
【文献】実開昭52-087652(JP,U)
【文献】特開2014-105149(JP,A)
【文献】特開昭54-065191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/11
H01J 17/00
H01J 33/00
H01J 41/00
H01J 61/00
H05H 1/00
DWPI(Derwent Innovation)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端板と、
前記第1端板と対向して配置された第2端板と、
前記第1端板及び前記第2端板に両端部が保持された管状の金属電極と、
前記第1端板側が開口し、前記第2端板側が閉口し、前記金属電極の内部に前記金属電極と放電ギャップを空けて配置され、一部が前記第1端板側で前記金属電極よりも外側に延びる管状の誘電体部と、
前記誘電体部の内面
のうち、当該誘電体部の開口側端部からの一部の内面を除いた内面に設けられた導電膜と、
前記誘電体部の内部に設けられ、前記導電膜と電気的に接続された給電部材と、
を備え、
前記誘電体部の中心軸方向において、前記導電
膜の前記誘電体部の開口側の端部は、前記第1端板側で前記金属電極よりも外側に
位置し、
前記誘電体部の中心軸方向において、前記給電部材の一方の端部は前記第1端板側で前記金属電極よりも外側に位置し、前記給電部材の他方の端部は前記金属電極と対向する領域に位置する
オゾン発生器。
【請求項2】
前記誘電体部の開口側の前記給電部材の端部には、端面に向かって細くなるテーパ部が設けられている
請求項1に記載のオゾン発生器。
【請求項3】
前記誘電体部の開口側の前記給電部材の端部には、端面に向かって細くなる曲面を有する曲面部が設けられている
請求項2に記載のオゾン発生器。
【請求項4】
前記誘電体部の前記第2端板側の端部は端に向かって細くなり、
前記金属電極の内面に設けられ、前記誘電体部の前記第2端板側の端部と当接して、前記誘電体部を位置決めする位置決め部材を更に備える
請求項1から3のいずれか1項に記載のオゾン発生器。
【請求項5】
前記誘電体部の中心軸方向において、前記導電膜の前記誘電体部の開口側の端部及び前記給電部材の前記誘電体部の開口側の端部は、前記第1端板側で前記金属電極の端部より少なくとも5mm以上外側に延びる
請求項1に記載のオゾン発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、オゾン発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン発生器は、端板に両端が保持された管状の金属電極と、金属電極の内部に配置された管状の誘電体の内部に設けられた導電膜を有する放電管と、導電膜と接続された給電部材とを備える。オゾン発生器は、金属電極と、導電膜との間の放電ギャップに無声放電を発生させることによって、オゾンを生成する。生成されたオゾンは浄水の高度処理、産業排水や下水の浄化、殺菌,酸化,脱色及び脱臭など多くの用途に用いられている。
【0003】
このようなオゾン発生器では、無声放電を発生させる必要のある端板の位置まで導電膜及び給電部材を設けることによって、放電領域を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のオゾン発生器では、導電膜及び給電部材の外側の端部から端板等に電界が生成されるので、異常放電が生じ、構成部品が劣化するといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態のオゾン発生器は、第1端板と、第2端板と、金属電極と、誘電体部と、導電膜と、給電部材とを備える。第2端板は、前記第1端板と対向して配置されている。金属電極は、前記第1端板及び前記第2端板に両端部が保持された管状である。誘電体部は、管状で、前記第1端板側が開口し、前記第2端板側が閉口し、前記金属電極の内部に前記金属電極と放電ギャップを空けて配置され、一部が前記第1端板側で前記金属電極よりも外側に延びる。導電膜は、前記誘電体部の内面のうち、当該誘電体部の開口側端部からの一部の内面を除いた内面に設けられている。給電部材は、前記誘電体部の内部に設けられ、前記導電膜と電気的に接続されている。前記誘電体部の中心軸方向において、前記導電膜の前記誘電体部の開口側の端部は、前記第1端板側で前記金属電極よりも外側に位置する。前記誘電体部の中心軸方向において、前記給電部材の一方の端部は前記第1端板側で前記金属電極よりも外側に位置し、前記給電部材の他方の端部は前記金属電極と対向する領域に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるオゾン発生器の全体構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の誘電体電極の近傍の拡大断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態の誘電体電極の近傍の拡大断面図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態の誘電体電極の近傍の拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施例の第1シミュレーション結果を示す図である。
【
図6】
図6は、第1比較例の第1シミュレーション結果を示す図である。
【
図7】
図7は、第2比較例の第1シミュレーション結果を示す図である。
【
図8】
図8は、
図5~
図7の第1シミュレーション結果をプロットしたグラフである。
【
図9】
図9は、第3実施形態に基づく実施例の第2シミュレーション結果の最大電界をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の例示的な実施形態や変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が部分的に省略される。実施形態や変形例に含まれる部分は、他の実施形態や変形例の対応する部分と置き換えて構成されることができる。また、実施形態や変形例に含まれる部分の構成や位置等は、特に言及しない限りは、他の実施形態や変形例と同様である。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかるオゾン発生器10の全体構成を示す断面図である。
図1に矢印で示すX軸、Y軸、Z軸で示されるそれぞれの方向を、X方向、Y方向、Z方向とする。
図1に示すように、オゾン発生器10は、装置本体12と、高圧電源14と、冷却水供給部16とを備えている。
【0010】
装置本体12は、気密容器20と、一対の端板21a、21bと、複数の金属電極22と、複数の誘電体電極24と、ヒューズ40と、スペーサ42と、位置決め部材48とを備える。
【0011】
気密容器20は、Y方向に沿った中心軸を有する中空の円筒形状である。気密容器20は、一対の端板21a、21b、複数の金属電極22、複数の誘電体電極24、ヒューズ40、スペーサ42、及び、位置決め部材48を収容して保持する。気密容器20の外周部には、ガス入口27、ガス出口28、冷却水入口30及び冷却水出口32が接続されている。酸素を含む原料ガスが、ガス入口27を介して、外部から気密容器20内に供給される。ガス出口28は、未反応の原料ガス及びオゾン(O3)を外部へ排出する。冷却水入口30は、気密容器20の下部に設けられている。冷却水入口30には、冷却水供給部16から冷却水が流入する。冷却水出口32は、気密容器20の上部に設けられている。冷却水出口32は、冷却水を外部へ排出する。
【0012】
一対の端板21a、21bは、ステンレス鋼等の導電性の材料を含む。端板21a、21bは、円板状に形成されている。端板21a、21bの外周部は気密容器20に固定されている。端板21bは、端板21aと対向して、かつ、端板21aとほぼ平行になるように配置されている。端板21a、21bは、気密容器20を介して、接地電位と接続されている。端板21a、21bには、金属電極22の端部とほぼ同じ形状の複数の円形状の穴26a、26bが形成されている。
【0013】
金属電極22は、端板21a、21bと同じ材料であって、ステンレス鋼等の導電性の材料を含み、導電性を有する。複数の金属電極22は、気密容器20の内部に設けられている。複数の金属電極22は、それぞれがY方向に長手方向を向けた状態でX方向及びZ方向にほぼ均等な間隔で配列されている。金属電極22は、気密容器20の中心軸と平行なY方向に沿った中心軸を有する管状(例えば、円筒形状)に形成されている。金属電極22の一端は、一方の端板21aの円形状の穴26aと連結されている。金属電極22の他端は、他方の端板21bの円形状の穴26bと連結されている。これにより、金属電極22の両端部は、塞がれることなく一対の端板21a、21bに保持され、端板21a、21bと電気的に接続される。金属電極22の端部は、例えば、端板21a、21bと溶接によって連結されている。金属電極22は、端板21a、21bを介して、接地電位と接続されている。複数の金属電極22のうち、最も外周に設けられた金属電極22は、気密容器20の内周面との間に冷却水の水路46を形成する。水路46は、気密容器20の冷却水入口30及び冷却水出口32と繋がっている。水路46は、最も外周に設けられた金属電極22以外の中央部の金属電極22の内側の中空部とも繋がっている。
【0014】
各誘電体電極24は、気密容器20内であって、いずれかの金属電極22の内部に配置されている。誘電体電極24は、誘電体部34と、導電膜36と、給電部材38とを有する。
【0015】
誘電体部34は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、高ケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、セラミックス等の誘電体材料を含み、電気的に絶縁である。誘電体部34は、管状(例えば、円筒形状)に形成されている。誘電体部34の中心軸方向の長さは、例えば、60mmである。誘電体部34の端板21a側の端部は、開口している。誘電体部34の端板21b側の端部は、端に向かって細くなりつつ、閉口している。誘電体部34は、いずれかの金属電極22の内部に、金属電極22と放電ギャップ44を空けて配置されている。誘電体部34の中心軸が気密容器20及び金属電極22の中心軸とほぼ平行になるように、かつ、誘電体部34の外周面が金属電極22の内周面と対向するように設けられている。誘電体部34の開口側の端部は、端板21aよりも外側に突出している。
【0016】
導電膜36は、ステンレス、ニッケル、カーボンあるいはアルミニウム等の導電性の材料を含み、導電性を有する。導電膜36は、導電性の材料をスパッタリング、溶射、蒸着、無電解メッキ、電解メッキ、塗料塗布等することにより誘電体部34の内面に設けられている。従って、導電膜36も筒状(例えば、円筒形状)に形成される。
【0017】
給電部材38は、導電性の材料を含み、導電性を有する。例えば、給電部材38は、繊維状の導電性の材料によって、多孔質の円柱形状に構成されている。給電部材38は、誘電体部34の端板21a側の端部の近傍に設けられている。給電部材38は、導電膜36及びヒューズ40と電気的に接続されている。
【0018】
ヒューズ40は、中心軸が誘電体部34の中心軸と一致するように配置されている。ヒューズ40の一端は、高圧碍子14aを通って、高圧電源14と電気的に接続されている。ヒューズ40の他端は、給電部材38と電気的に接続されている。ヒューズ40は、誘電体部34が絶縁破壊によって破損した場合に、導電膜36に対して流れる過電流を遮断し、破損した放電管を他の放電管から切り離すことによって、オゾン発生装置の運転を継続することが可能となる。
【0019】
スペーサ42は、金属電極22と誘電体電極24との間に配置されている。これにより、スペーサ42は、金属電極22と導電膜36との間の放電ギャップ44を所定間隔に維持する。具体的には、スペーサ42は、放電ギャップ44を維持する。
【0020】
位置決め部材48は、中心軸方向において誘電体電極24を位置決めする。位置決め部材48は、金属電極22の内面に設けられ、金属電極22内に挿入された誘電体部34の端板21b側の閉口した端部と当接する。これにより、位置決め部材48は、誘電体部34が更に金属電極22の奥に挿入されることを規制して、誘電体電極24の誘電体部34を位置決めする。
【0021】
高圧電源14は、ヒューズ40を介して、給電部材38に接続されている。高圧電源14は、ヒューズ40及び給電部材38を介して、高電圧の交流電圧を導電膜36に印加する。
【0022】
冷却水供給部16は、例えば、チラー、ポンプである。冷却水供給部16は、気密容器20の冷却水入口30と接続され、冷却水入口30から気密容器20の内部の水路46へ冷却水を供給する。
【0023】
続いて、オゾン発生器10の動作について説明する。オゾン発生器10では、冷却水入口30から供給された冷却水が金属電極22を冷却している状態で、ガス入口27を介して原料ガスが供給されるとともに、高圧電源14が金属電極22と導電膜36の間に交流電圧を供給する。これにより、導電膜36と金属電極22との間の原料ガスに高電圧が印加され、放電ギャップ44に生じた無声放電によって原料ガス中の酸素からオゾンが生成されて、ガス出口28から排出される。
【0024】
図2は、第1実施形態の誘電体電極24の近傍の拡大断面図である。
【0025】
図2に示すように、導電膜36及び給電部材38の少なくとも一部は、誘電体部34の中心軸方向(Y方向)において、金属電極22の端部及び端板21aと同じ位置である。これにより、導電膜36及び給電部材38の少なくとも一部は、端板21aの面と平行な方向(即ち、X方向またはZ方向)から見て、金属電極22の端部及び端板21aと重なる。導電膜36及び給電部材38の少なくとも一部は、端板21aの穴26aを貫通している。給電部材38の端板21a側の端部は、誘電体部34の軸方向(Y方向)において、導電膜36の端板21a側の端部と同じ位置まで延びる。導電膜36の誘電体部34の開口側の端部及び給電部材38の誘電体部34の開口側の端部は、誘電体部34の中心軸方向(Y方向)において、金属電極22の端板21a側の端部及び端板21aよりも誘電体部34の開口側(即ち、金属電極22の外側)に延びる。例えば、金属電極22の端板21a側の端部及び端板21aからの導電膜36の端部及び給電部材38の端部の突出量Dは、5mmから30mmである。
【0026】
上述したように、オゾン発生器10では、導電膜36の端部及び給電部材38の端部は、金属電極22の端部及び端板21aと同じ位置である場合に比べて、金属電極22の端部及び端板21aとの距離を大きくすることができる。これにより、オゾン発生器10は、給電部材38の一部を端板21aと同じ位置に配置して小型化を実現しつつ、給電部材38と、端板21a及び金属電極22との間の電界を緩和して異常放電を抑制できる。この結果、オゾン発生器10は、導電膜36の破損を抑制して、誘電体電極24の寿命を延ばすことができる。
【0027】
オゾン発生器10では、位置決め部材48によって、誘電体電極24の誘電体部34を容易に位置決めすることができる。
【0028】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態の誘電体電極124の近傍の拡大断面図である。
図3に示すように、第2実施形態の誘電体電極124では、誘電体部34の開口側の給電部材138の端部には、端面に沿って細くなるテーパ部138aが設けられている。従って、給電部材138の端部は、誘電体部34及び導電膜36との間に隙間を空けて設けられている。当該隙間の少なくとも一部は、端板21aよりも外側である。これにより、給電部材138の端部は、角に集中する電荷をテーパ部138aによって分散させつつ、当該角と金属電極22の端部及び端板21aとの距離を大きくすることができる。この結果、誘電体電極124は、給電部材138と、端板21a及び金属電極22との間の異常放電を抑制できる。
【0029】
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態の誘電体電極224の近傍の拡大断面図である。
図4に示すように、第3実施形態の誘電体電極224では、誘電体部34の開口側の給電部材238の端部には、端面に沿って細くなる曲面を有する曲面部238aが設けられている。従って、給電部材238の端部は、誘電体部34及び導電膜36との間に隙間を空けて設けられている。当該隙間の少なくとも一部は、端板21aよりも外側である。これにより、給電部材238の端部は、角に集中する電荷を曲面部238aによってより分散させつつ、当該角と金属電極22の端部及び端板21aとの距離を大きくすることができる。この結果、誘電体電極224は、給電部材238と、端板21a及び金属電極22との間の異常放電を抑制できる。
【0030】
次に、上述の各実施形態の効果を証明するシミュレーションについて説明する。
【0031】
<第1シミュレーション>
図5は、第1実施例の第1シミュレーション結果である。第1実施例は、第1実施形態において、給電部材38及び導電膜36が端板21aから5mm突出した構成である。
図6は、第1比較例の第1シミュレーション結果である。第1比較例は、給電部材38及び導電膜36が端板21aと同じ位置である以外は第1実施形態と同じ構成である。
図7は、第2比較例の第1シミュレーション結果である。第2比較例は、給電部材38及び導電膜36が端板21aから5mm内側に配置された以外は第1実施形態と同じ構成である。
図5から
図7は、
図2とほぼ同様の位置の2つ分の断面図である。第1シミュレーションでは、給電部材38に11kVの単相電圧を印加して、金属電極22は接地させた。
図5~
図7のシミュレーション結果は電界計算結果で、図中の矢印が矢印の起点位置での電界である。矢印はその向きが電界の向きを表し、長さが電界の強さをあらわしている。
【0032】
図5に示すように、給電部材38及び導電膜36が端板21aから5mm突出した第1実施例のシミュレーションでは、給電部材38の端面からの放電が小さいことがわかる(点線で示す円C1参照)。一方、
図6に示すように、給電部材38及び導電膜36が端板21aと同じ位置である第1比較例のシミュレーションでは、給電部材38の端面からの放電が大きいことがわかる(点線で示す円C2参照)。同様に
図7に示すように、給電部材38及び導電膜36が端板21aから5mm内側に配置された第2比較例のシミュレーションでは、給電部材38の端面からの放電が大きいことがわかる(点線で示す円C3参照)。
【0033】
図8は、
図5~
図7の第1シミュレーション結果をプロットしたグラフである。
図8の縦軸は最大電界を示し、横軸は突出量を示す。尚、横軸の突出量は、給電部材38及び導電膜36が端板21aから突出している場合、正の値で示し、給電部材38及び導電膜36が端板21aから内側に配置されている場合、負の値で示す。
【0034】
図8に示すように、第1実施例は、第1比較例及び第2比較例に比べて、最大電界を抑制できることがわかる。更に、第1実施例において、突出量Dは、5mm以上であればより最大電界を抑制できるとことがわかる。
【0035】
<第2シミュレーション>
図9は、第3実施形態に基づく実施例の第2シミュレーション結果の最大電界をプロットしたグラフである。
図9において、正方形のプロットは、第3実施形態における曲面部238aの半径Rを1mmとした第2実施例のシミュレーション結果である。菱形のプロットは、第3実施形態における曲面部238aの半径Rを5mmとした第3実施例のシミュレーション結果である。第2シミュレーションでは、給電部材238に11kVの単相電圧を印加して、金属電極22は接地させた。
【0036】
図9に示すように、第3実施形態による第2実施例及び第3実施例は、第1実施例、第1比較例、及び、第2比較例よりも最大電界を抑制できることがわかる。また、半径Rの大きい第3実施例は、半径Rの小さい第2実施例よりも最大電界をより抑制できることがわかる。第3実施例において、突出量Dを7mm以上にすると、最大電界を空気の絶縁破壊電界以下にできることがわかる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10 :オゾン発生器
21a :端板(第1端板)
21b :端板(第2端板)
22 :金属電極
24、124、224 :誘電体電極
34 :誘電体部
36 :導電膜
38、138、238 :給電部材
44 :放電ギャップ
48 :位置決め部材
138a :テーパ部
238a :曲面部