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特許7020786ガス測定装置およびこれを備える体外循環システム
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  • 特許-ガス測定装置およびこれを備える体外循環システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ガス測定装置およびこれを備える体外循環システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/18 20060101AFI20220208BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61M1/18 525
A61M1/36 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017036299
(22)【出願日】2017-02-28
(65)【公開番号】P2018139946
(43)【公開日】2018-09-13
【審査請求日】2019-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 利樹
(72)【発明者】
【氏名】奥野 伸也
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-314800(JP,A)
【文献】特表2009-521981(JP,A)
【文献】特開2006-122111(JP,A)
【文献】特表2018-524036(JP,A)
【文献】特開2017-018618(JP,A)
【文献】特開2017-217296(JP,A)
【文献】特表2017-536198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14-1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の血液を体外で循環させる体外循環システムに設置された人工肺のガス排出部と接続される接続部と、
前記接続部を介して定常流として取得されたガスのガス濃度を測定するメインストリーム方式の測定部と、
を備え、
前記ガスは、前記ガス排出部から略一定の流量が連続して排出されて形成される定常流のガスであり、
前記測定部は、前記ガス濃度として、二酸化炭素濃度および二酸化炭素分圧を光学的に測定することが可能なセンサであり、
前記接続部は、前記人工肺のガス排出部に対して着脱自在であり、前記人工肺との組み合わせが変更可能である、
ガス測定装置。
【請求項2】
前記測定部により測定された前記ガス濃度の測定結果を表示する表示部を備える、
請求項1に記載のガス測定装置。
【請求項3】
前記測定部により測定された前記ガス濃度の測定結果が記録される記録部を備える、
請求項1または請求項2に記載のガス測定装置。
【請求項4】
前記測定部により測定された前記ガス濃度の測定結果と所定の判定基準に基づいて、当該測定結果の異常を報知する報知部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガス測定装置。
【請求項5】
循環回路と、
前記循環回路の経路中に設置される人工肺と、
前記循環回路による被検者の血液の体外循環を実行するための駆動部と、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガス測定装置と、
を備える、
体外循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工肺から排出されたガスの濃度を測定するガス測定装置およびこれを備える体外循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓血管の外科手術を心臓の拍動を停止させた状態で行う場合、体外循環システム(人工心肺装置)が使用されている。体外循環システムによる被検者の血液の体外循環の際、人工肺において血液中のガス交換が行われる。
従来の体外循環システムでは、動脈血中のガス濃度(酸素濃度や二酸化炭素濃度)を調べるための血液ガス分析装置を組み合わせて使用することがある。この血液ガス分析装置の測定結果に基づいて、人工肺による血液のガス交換が正常に行われているか否かがモニタリングされている(特許文献1参照)。
【0003】
また、心肺機能が低下した患者にも、心肺機能を補助するシステムとして、補助的な体外循環システムが使用されている。このような補助的な体外循環システムでは、高価である血液ガス分析装置は設置されないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4624301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の体外循環システムでは、血液ガス分析装置を用いる以外の方法で、人工肺による血液中のガス交換が正常に行われているか否かを確認する手段が無かった。
【0006】
そこで、本発明は、人工肺による血液中のガス交換が正常に行われているか否かを確認することが可能なガス測定装置をおよび当該ガス測定装置を備える体外循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のガス測定装置は、
被検者の血液を体外で循環させる体外循環システムに設置された人工肺のガス排出部と接続される接続部と、
前記接続部を介して取得された定常流のガスのガス濃度を測定する測定部と、
を備える。
【0008】
上記構成によれば、人工肺のガス排出部から排出される定常流のガスのガス濃度を測定することができるため、循環回路中の動脈血に対して血液ガス分析を行うことなく、ガス濃度と人工肺による血液中のガス交換が正常に行われているか否かを確認することができる。
【0009】
また、本発明の体外循環システムは、
循環回路と、
前記循環回路の経路中に設置される人工肺と、
前記循環回路による被検者の血液の体外循環を実行するための駆動部と、
上記のガス測定装置と、
を備える。
【0010】
上記構成によれば、人工肺のガス排出部から排出される定常流のガスのガス濃度を測定することができるため、循環回路中の動脈血に対して血液ガス分析行うことなく、人工肺による血液中のガス交換が正常に行われているか否かを確認することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガス測定装置およびこれを備える体外循環システムによれば、人工肺による血液中のガス交換が正常に行われているか否かを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る体外循環システムの概要図である。
図2】ガス測定装置のモニタ部の機能ブロック図である。
図3】表示部に表示される内容の一例を示す図である。
図4】表示部に表示されるグラフを説明する図である。
図5】体外循環システムの動作例を説明するための図である。
図6】ガス測定装置を備える体外循環システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る体外循環システム1は、被検者の血液を循環させるための循環回路2と、循環回路2の経路中に設置される貯血槽3と、遠心ポンプ(駆動部の一例)4と、人工肺5と、ガス測定装置6と、を備えている。本例の体外循環システム1は、例えば血液の一部が被検者の生体の肺循環系内を流れ、一部の血液が体外で循環される構成の補助的な体外循環システムとして使用される。
【0014】
循環回路2は、被検者の大静脈から血液を脱血する脱血回路21と、人工肺5でガス交換された血液を被検者の大動脈に送血する送血回路22とを有している。循環回路2には、貯血槽3、遠心ポンプ4、人工肺5、およびガス測定装置6の間を互いに接続する接続チューブ、被検者の静脈または動脈に経皮的に挿入される例えばカテーテル等も含まれる。
【0015】
貯血槽3は、被検者から脱血された血液を一時的に貯留するための槽であり、遠心ポンプ4の前段に配置されている。
遠心ポンプ4は、被検者の血液の体外循環を実行するためのポンプであり、貯血槽3に貯留されている血液に勢いをつける(心臓の代行)とともに、勢いがついた血液を人工肺5の入力口51へ移送する。
【0016】
人工肺5は、被検者から脱血された血液に酸素を加える(酸素加する)とともに、血液から炭酸ガスを除去するガス交換装置であり、例えば気泡型と膜型とがある。
【0017】
人工肺5には、血液を酸素加するためのガスが流入されるガス流入部53が設けられている。ガス流入部53には、接続チューブ11を介して、ガス供給装置10が接続されている。ガス供給装置10は、被検者から脱血された血液を酸素加するために、人工肺5に向けてガスを供給する装置である。供給されるガスとしては、例えば酸素を含む混合ガスなどが挙げられる。
【0018】
具体的には、例えば人工肺5内にガス透過性のある中空糸膜が設けられ、酸素を含む混合ガスが中空糸内に流されることによって、人工肺5内を流れる血液が混合ガスと接触し、血液中の二酸化炭素が酸素に交換される。
【0019】
人工肺5でガス交換された血液は、人工肺5の出力口52から出力され、送血回路22を介して被検者の大動脈に送血される。
【0020】
また、人工肺5には、ガス交換に用いられた上記混合ガスが排出されるガス排出部54が設けられている。ガス排出部54には、人工肺5から排出された上記混合ガス(以下、排出ガスと称する。)のガス濃度を測定するためのガス測定装置6が接続されている。
【0021】
ガス測定装置6は、接続部61と、COセンサ62(測定部の一例)と、電気ケーブル63と、モニタ部64とを有している。本例のガス測定装置6では、メインストリーム方式のカプノメータが用いられている。
【0022】
接続部61は、人工肺5のガス排出部54に接続されて、人工肺5から排出される排出ガスをCOセンサ62へ取得させることができるように構成されている。また、接続部61は、人工肺5のガス排出部54に対して着脱自在であり、人工肺5とガス測定装置6との組み合わせを変更可能としている。
【0023】
本例において、人工肺5から排出される排出ガスは、略一定の流量が連続して排出される定常流のガスである。すなわち、排出ガスは、例えば被検者の呼吸に含まれるような呼気と吸気の波形(呼吸様相)を有しておらず、定常流の様相を有している。
【0024】
COセンサ62は、接続部61を介して取得された排出ガスを解析して、排出ガスに含まれる二酸化炭素濃度および二酸化炭素分圧を測定するセンサである。COセンサ62は、例えば光源と受光素子とを有し、光源と受光素子との間を通過する排出ガスが光源から発光された特定の波長の赤外線をどれだけ吸収するかによって、定常流の排出ガスに含まれる二酸化炭素濃度および二酸化炭素分圧を測定することが可能である。COセンサ62には、排出ガスを排気するための接続チューブ12が接続されている。
【0025】
なお、本例では排出ガスに含まれる二酸化炭素の濃度および分圧を測定しているが、これに限定されず、例えば酸素センサを用いて、排出ガスに含まれる酸素の濃度および分圧を測定するようにしてもよい。また、両方(二酸化炭素、酸素)の濃度および分圧を測定してもよい。また、測定部として他のガスセンサを用いて、他のガスのガス濃度や分圧を測定可能な機能を有しても良い。例えば、図2においてはメインストリーム方式の二酸化炭素濃度を計測するシステムについて例示したが、サンプリングチューブを用いてガス測定装置内にて二酸化炭素濃度を計測するサイドストリーム方式にも適用可能である。
【0026】
電気ケーブル63は、COセンサ62とモニタ部64とを電気的に接続するケーブルである。COセンサ62で測定された測定データは、電気ケーブル63を介して、モニタ部64に送信される。モニタ部64は、COセンサ62から送信されてきた測定データを処理するモニタである。
【0027】
図2に示すように、ガス測定装置6のモニタ部64は、モニタ部64の動作を制御する制御部65と、記録部66と、表示部67と、報知部68とを有している。記録部66、表示部67、および報知部68は、それぞれ制御部65に接続されている。
【0028】
記録部66には、COセンサ62で測定された排出ガスのガス濃度およびガス分圧等の測定データが記録されている。表示部67には、COセンサ62で測定された排出ガスのガス濃度あるいはガス分圧等の測定結果が表示される。報知部68は、COセンサ62で測定された排出ガスのガス濃度あるいはガス分圧等が、例えば異常値を示す場合、その旨を報知する。
【0029】
制御部65は、例えば記録部66に記録された測定データに基づいて、COセンサ62で測定された排出ガス中の二酸化炭素濃度あるいは二酸化炭素分圧をグラフ化および数値化し、表示部67に表示させる。また、制御部65は、例えばCOセンサ62で測定された二酸化炭素濃度あるいは二酸化炭素分圧を所定の判定基準値(判定基準範囲の上限値または下限値)と比較して、二酸化炭素濃度あるいは二酸化炭素分圧が判定基準範囲を外れる場合、異常である旨を報知部68に報知させる。
【0030】
例えば、図3に示すように、表示部67には、縦軸に二酸化炭素分圧、横軸に測定時間をとったグラフ71が表示される。グラフ71上には、例えば連続サンプリングされている二酸化炭素分圧の連続値71aが表示される。また、表示部67には、所定期間毎に測定された二酸化炭素分圧の数値72が表示される。表示される数値72は、例えば所定期間内に連続サンプリングされた二酸化炭素分圧の平均値であってもよい。なお、二酸化炭素分圧が判定基準範囲を外れた場合、例えば警報マーク68aが表示部67上に表示されるようにしてもよい。
【0031】
図4に示すように、表示部67に表示されるグラフ71には、二酸化炭素分圧の連続値71aと共に、判定基準値として設定される閾値71b,71cが表示される。閾値71b,71cは、例えば測定開始後の5秒間における二酸化炭素分圧の平均値を中心として±5mmHgに設定される。
【0032】
図4には、測定開始後の5秒間における二酸化炭素分圧の平均値が40mmHgであり、上限の閾値71bが45mmHg、下限の閾値71cが35mmHgに設定されたグラフ71が表示されている。閾値71b,71cは、測定が開始されると、例えば被検者ごとに算出されて、グラフ71上に自動的に表示される。なお、全ての被検者に対して二酸化炭素分圧の値を予め所定値に設定しておき、その所定値を中心とした±5mmHgの値を閾値71b,71cとして表示するようにしてもよい。
【0033】
図3図4には、二酸化炭素分圧の測定結果が表示されているが、例えば操作ボタンを設け、その操作により、表示部67に二酸化炭素濃度、酸素分圧、および酸素濃度等を順次切り替えて表示できるようにしてもよい。
【0034】
次に、体外循環システム1の動作例について、図1および図5を参照しつつ説明する。
体外循環システム1が稼働すると、被検者の大静脈から血液が脱血されて、一旦、貯血槽3に貯留される。貯留された血液は、遠心ポンプ4によって、貯血槽3から人工肺5の入力口51へと移送される。人工肺5に移送された血液は、ガス供給装置10から供給されるガスと、ガス透過性を有した中空糸膜を介して接触することで、血液中の二酸化炭素が酸素に交換される。人工肺5でガス交換された血液は、送血回路22を介して被検者の大動脈に送血される。
【0035】
ガス交換に用いられた後の排出ガスは、人工肺5のガス排出部54から排出され、ガス測定装置6の接続部61を介してCOセンサ62に取得される。COセンサ62は、定常流の様相を有した排出ガスに含まれる二酸化炭素分圧等を連続的に測定し、測定されたデータをモニタ部64へ送信する。モニタ部64は、測定データに基づいて、排出ガス中の二酸化炭素分圧をグラフ化および数値化して表示部67に表示する。
【0036】
図5の測定期間80Aに示すように、連続サンプリングされている排出ガス中の二酸化炭素分圧の連続値71aは、例えば人工肺5で正常なガス交換が行われている場合、略一定の二酸化炭素分圧(約40mmHg)が測定される。これに対して、例えば人工肺5の動作に不具合が発生して正常なガス交換が行われなくなった場合、上記連続値71aは、測定期間80Bに示すように、40mmHgより低下する。
【0037】
そして、測定ポイント81に示すように、二酸化炭素分圧の測定値が判定基準値である下限の閾値71c(35mmHg)を超えた場合、血液中のガス交換に異常が発生している旨を報知する例えば警報マーク68aが表示されるとともに警報音が出力される。
【0038】
なお、COセンサ62を通過した排出ガスは、接続チューブ12を介して大気に向けて排気される。
【0039】
ところで、従来の体外循環システムでは、ガス濃度(酸素濃度や二酸化炭素濃度等)を測定するために、動脈血中のガス濃度を調べる血液ガス分析装置が組み合わされている。しかし、この場合、以下の課題があった。
例えば、血液ガス分析装置は、非常に効果的であるが、血液を使う性質上、一回限りの使用となる部品が多く、コスト的にも高価である。また、血液ガス分析装置は、スポット測定するものが一般的で、連続的にガス交換が正常に行われているか否かを確認することは困難であった。
【0040】
また、従来、心肺機能を補助する体外循環システムでは、高価な血液ガス分析装置が設置されることは考えにくく、人工心肺による血液中のガス交換が正常に行われているのか直接確認する手段が無かった。
【0041】
また、従来、ガス測定装置があるが、これは、呼気と吸気の波形(呼吸様相)を利用してガス中の酸素濃度や二酸化炭素濃度を測るものであり、呼吸様相を有しているガスが測定対象である。一方、体外循環システムの人工肺から排出されるガスは、呼吸様相を有しておらず、定常流であるため、従来のガス測定装置を利用しても、ガス濃度を測定することはできなかった。
【0042】
これに対し、本実施形態のガス測定装置6およびこれを備える体外循環システム1によれば、人工肺5のガス排出部54から排出された定常流の排出ガスに含まれる二酸化炭素濃度および二酸化炭素分圧を測定することができる。また、定常流の排出ガスを用いて測定しているため、測定値を連続的に取得することができる。このため、循環回路2を流れる動脈血に対しての血液ガス分析を行うことなく、測定された排出ガス中の二酸化炭素濃度等から血液中の二酸化炭素濃度等を類推することができるとともに、人工肺5による血液中のガス交換が正常に行われているか否かを連続的に確認することができる。
【0043】
また、本形態によれば、COセンサ62により測定された二酸化炭素分圧等の測定結果を表示可能な表示部67が設けられている。このため、上記二酸化炭素分圧等の測定結果を容易に認識することができるように、例えば表示部67にグラフや数値で表示させることができる。
【0044】
また、本形態によれば、COセンサ62により測定された二酸化炭素分圧等のデータを記録する記録部66が設けられている。このため、測定が終了した後に、測定結果を検証して、二酸化炭素分圧等を確認することができるとともに、人工肺5による血液中のガス交換が正常に行われていたか否かを確認することができる。
【0045】
また、本形態によれば、COセンサ62により測定された二酸化炭素分圧等の測定結果の異常を報知する報知部68を備えている。このため、上記測定結果を用いて、人工肺5による血液中のガス交換が正常に行われているか否かを、例えばリアルタイムで医療従事者に知らせることができる。
【0046】
(変形例)
図6は、被検者の心臓や大動脈などの手術の際に、心臓のポンプ機能および肺のガス交換機能を完全に代行する構成の体外循環システム1Aを示す概要図である。本発明に係るガス測定装置6は、体外循環システム1Aに対しても適用することができる。
なお、上述した実施形態と同一番号を付した部分は、同様の機能であるため、説明は省略する。
【0047】
本例の体外循環システム1Aによれば、血液ガス分析装置を用いて、従来と同様に被検者に送血される動脈血中のガス濃度等を測定することができる。また、ガス測定装置6を用いて、人工肺5から排出される排出ガス中のガス濃度等を測定することができる。このため、測定された排出ガス中のガス濃度等から血液中のガス濃度等を類推することで、上記両装置により測定された値の同異を確認することができる。また、上記実施形態と同様に、人工肺5による血液中のガス交換が正常に行われているか否か等を確認することができる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0049】
1:体外循環システム、2:循環回路、3:貯血槽、4:遠心ポンプ(駆動部の一例)、5:人工肺、6:ガス測定装置、10:ガス供給装置、21:脱血回路、22:送血回路、53:ガス流入部、54:ガス排出部、61:接続部、62:COセンサ(測定部の一例)、63:電気ケーブル、64:モニタ部、65:制御部、66:記録部、67:表示部、68:報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6