(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】重合性液晶材料及び重合された液晶フィルム
(51)【国際特許分類】
C09K 19/38 20060101AFI20220208BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220208BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20220208BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C09K19/38
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G02B5/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017098158
(22)【出願日】2017-05-17
【審査請求日】2020-05-14
(32)【優先日】2016-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593033142
【氏名又は名称】メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250, 64293 Darmstadt
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン マルケイ
(72)【発明者】
【氏名】イアン ガーディナー
(72)【発明者】
【氏名】ジャック ブラッドフォード
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド ベルトラン グラシア
(72)【発明者】
【氏名】グレイアム スミス
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505656(JP,A)
【文献】特開2010-237699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00 - 19/60
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G02B 5/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】
[式中、A
11は
【化2】
を示し、
P
11及びP
12は各々独立して重合性基を示し、
Sp
11及びSp
12は各々独立してスペーサー基又は単結合を示し、
X
11及びX
12は各々相互に独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
xx-、-NR
xx-CO-、-NR
xx-CO-NR
yy-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
xx-、-CY
xx=CY
yy-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合を示し、
R
xx及びR
yyは各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
Y
xx及びY
yyは各々相互に独立してH、F、Cl又はCNを示し、
Z
11及びZ
12は各々独立して-COO-、-OOC-、-OCOO-、-OOCO-又は単結合を示す]
の化合物群から選択される少なくとも1つの二反応性又は多反応性のメソゲン化合物、
下記式II:
【化3】
[式中、A
21は
【化4】
を示し、
rは各々の存在において相互に独立して1~4の整数であり、
LはF、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5を示し、
L
21はH、F、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5を示し、
pは0、1又は2を示し、
P
21は重合性基を示し、
R
21はH、C原子を1~10個以上有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであるか、Yであり、
YはF、Cl、CN、NO
2、OCN、SCN又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシであり、
Sp
21はスペーサー基又は単結合を示し、
X
21は各々相互に独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
xx-、-NR
xx-CO-、-NR
xx-CO-NR
yy-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
xx-、-CY
xx=CY
yy-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合であり、
R
xx及びR
yyは各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
Y
xx及びY
yyは各々相互に独立してH、F、Cl又はCNを示し、
Z
21は各々独立して-C≡C-、-COO-、-OOC-、-OCOO-、-OOCO-又は単結合を示す]
の化合物群から選択される少なくとも1つの一反応性のメソゲン化合物、
下記式ND:
【化5】
[式中、
U
1,2は相互に独立して下記:
【化6】
及びこれらの鏡像から選択され、ここで環U
1及びU
2は各々軸方向の結合を介して基-(B)q-に結合し、これらの環における1つ又は2つの非隣接のCH
2基
はO及び/又はSで置き換えられており、環U
1及びU
2は
無置換又は1つ以上の
式IIにおける基Lで置換されており、
Q
1,2は相互に独立してCH、又はSiHであり、
Q
3はC又はSiであり、
Bは各々の存在において相互に独立して-C≡C-、-CY
1=CY
2-又は
無置換若しくは置換された芳香族又は複素芳香族基であり、
Y
1,2は相互に独立してH、F、Cl、CN又はR
0であり、
qは1~10の整数
であり、
A
1-4は相互に独立して非芳香族、芳香族又は複素芳香族の炭素環又は複素環の基から選択され、これらは
無置換又は1つ以上の基R
5で置換されており、ここで-(A
1-Z
1)
m-U
1-(Z
2-A
2)
n-及び-(A
3-Z
3)
o-U
2-(Z
4-A
4)
p-の各々は非芳香族基より多くの芳香族基を含有せず
、
Z
1-4は相互に独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
0-、-NR
0-CO-、-NR
0-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=CH-、-CY
1=CY
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR
0R
00又は単結合であり、
R
0及びR
00は相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルであり、
m及びnは各々独立して0、1、2、3又は4であり、
o及びpは各々独立して0、1、2、3又は4であり、
R
1-5は相互に独立してH、ハロゲン、-CN、-NC、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
0R
00、
-C(=O)R
0、-NH
2、-NR
0R
00-、-SH、-SR
0、-SO
3H、-SO
2R
0、-OH、-NO
2、-CF
3、-SF
5、P-Sp-、
無置換若しくは置換されたシリル、又は
無置換若しくは置換され
0若しくは1つ以上のヘテロ原子を含むC原子1~40個を有するカルビル又はヒドロカルビルから選択される同じか又は異なる基であるか、又はP又はP-Sp-を示すか、又はP又はP-Sp-で置換され、ここで化合物はP又はP-Sp-を示すかこれにより置換されている少なくとも1つの基R
1-5を含み、
Pは重合性の基であり、
Spはスペーサー基又は単結合である]
の1つ以上の化合物を含み、
及び少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤;
を含む重合性LC材料。
【請求項2】
式Iの少なくとも1つの二反応性又は多反応性のメソゲン化合物が下記式I-1~I-3:
【化7】
[式中、A
11、P
11及びP
12、Sp
11及びSp
12、及びX
11及びX
12は請求項1に記載した意味の1つを有する]
の化合物群から選択される、請求項1記載の重合性LC材料。
【請求項3】
少なくとも1つの二反応性のメソゲン化合物が下記式:
【化8】
[式中、
P
11及びP
12は請求項1において先に規定した意味の1つを有し、
n及びmは各々独立して1~12の整数を示す]
の化合物群から選択される、請求項1又は2記載の重合性LC材料。
【請求項4】
少なくとも1つの一反応性のメソゲン化合物が下記式II-1~II-5:
【化9】
[式中、P
21、Sp
21、X
21、L
21及びR
21は請求項1において先に規定した意味の1つを有する]
の化合物群から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項5】
少なくとも1つの一反応性のメソゲン化合物が下記式:
【化10-1】
【化10-2】
[式中、P
21及びR
21は請求項1において先に規定した意味の1つを有し、かつ、
nは1~12の整数を示す]
の化合物群から選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項6】
一反応性重合性メソゲン化合物の割合が10~80質量%の範囲にある、請求項1から5のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項7】
二反応性重合性メソゲン化合物の割合が20~80質量%の範囲にある、請求項1から6のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項8】
カルバゾールオキシムエステル光重合開始剤が下記式CO-1:
【化11】
[式中、
L
31~L
33は各々独立してH、C原子を1~5個以上有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシ;F、Cl、CN、NO
2、OCN、SCN又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化又はポリフッ化アルキル又はアルコキシ;又は-(X
31-Sp
31-A
31)を示し、
X
31は-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
xx-、-NR
xx-CO-、-NR
xx-CO-NR
yy-又は単結合を示し、
R
xx及びR
yyは各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
Sp
31はスペーサー基又は単結合であり、
A
31は各々独立してアリール、ヘテロアリール、(非芳香族)脂環式及び複素環の基を示し、これらは
0若しくは1つ以上の置換基を有し、この置換基はシリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C
1-12アルキル、C
6-12アリール、C
1-12アルコキシ、ヒドロキシル又はこれらの基の組み合わせから選択され、かつ、
R
32~R
34は各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示す]
の化合物群から選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項9】
1つ以上の抗酸化剤を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項10】
1つ以上の光重合開始剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項11】
界面活性剤、別の安定化剤、触媒、増感剤、禁止剤、連鎖移動剤、共反応単量体、反応性シンナー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性改善剤、脱ガス剤若しくは消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色料、染料、顔料及びナノ粒子よりなる群から選択される1つ以上の添加剤を
含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の重合性LC材料。
【請求項12】
式Iの少なくとも1つの二反応性又は多反応性のメソゲン化合物、式IIの少なくとも1つの一反応性のメソゲン化合物を、少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤と混合する工程を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の重合性LC材料の製造方法。
【請求項13】
・基材上に請求項1から11のいずれか1項に記載の重合性LC材料の層を設けること、
・重合性LC材料を重合すること、及び、
・
重合されたLC材料を基材から除去すること及び/又は
別の基材上に重合されたLC材料を設けること、
による重合体フィルムの製造方法。
【請求項14】
下記工程:
・基材上に重合性LC材料の層を設けること、
・LC材料を重合すること、及び、
・
重合されたLC材料を基材から除去すること及び/又は
別の基材上に重合されたLC材料を設けること、
を含む方法により請求項1から11のいずれか1項に記載の重合性LC材料から得られる、重合体フィルム。
【請求項15】
LC材料が均一に配向されていることを特徴とする、請求項14記載の重合体フィルム。
【請求項16】
光学的記録媒体、電子光学的記録媒体、情報記録媒体、装飾及びセキュリティ用途、液晶ディスプレイ、3Dディスプレイ、プロジェクションシステム、偏光板、補償器、アライメント層、円偏光板、カラーフィルター、装飾画像、液晶顔料、三次元的に変化する反射色を有する反射フィルム、多色画像、偽造されてはならない文書、身分証明書又はクレジットカード又は紙幣における、請求項14又は15に記載の重合体フィルム、又は請求項1から11のいずれか1項に記載の重合性LC材料の使用。
【請求項17】
請求項14又は15に記載の少なくとも1つの重合体フィルム、又は請求項1から11のいずれか1項に記載の重合性LC材料を含む、光学部材若しくは光学デバイス、偏光板、パターン化リターダー、補償器、アライメント層、円偏光板、カラーフィルター、装飾画像、液晶レンズ、液晶顔料、三次元的に変化する反射色を有する反射フィルム、装飾用の多色画像又は情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記式I:
【化1】
の化合物群から選択される少なくとも1つの二反応性又は多反応性のメソゲン化合物、
下記式II:
【化2】
の化合物群から選択される少なくとも1つの一反応性のメソゲン化合物、
[式中、パラメーターA
11~A
21、L
21、p、P
11~P
22、R
21、Sp
11~Sp
21、X
11~X
21、及びZ
11~Z
21は請求項1記載の意味の1つを有する]
及び少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤を含む重合性液晶材料に関する。
【0002】
さらに、本発明はその製造方法、相当する重合性LC材料から得られる改善した耐熱性を有する重合体フィルム、そのような重合体フィルムの製造方法、及び、光学、電子光学、装飾及びセキュリティデバイスのためのそのような重合体フィルム及び該重合性LC材料の使用に関する。
【0003】
背景及び従来技術
重合性液晶材料は均一な配向性を有する異方性重合体フィルムの製造にかかわる従来技術において知られている。これらのフィルムは通常基材上に重合性液晶混合物の薄層をコーティングし、混合物を均一の配向性に揃え、そして混合物を重合させることにより製造される。フィルムの配向性は平面的であり得、すなわち、液晶分子が層に対して実質的に平行に配向されているか、ホメオトロピック(層に対して直角又は垂直)であるか、又は傾斜している。
【0004】
このような光学フィルムが、たとえば欧州特許第0940707号明細書(EP 0940707B1)、欧州特許第0888565号明細書(EP 0888565B1)及び英国特許第2329393号明細書(GB 2329393B1)に記載されている。
【0005】
重合性液晶(LC)材料は室温では安定であるが、上昇した温度では分解する場合がある。たとえば、ある時間加熱されると、分散性やリターダンスのような光学的特性が低下し、これにより光学フィルムの性能が経時的に劣化する。これは部分的には低い重合度及びそれに相応する重合体中の残留フリーラジカルの高い含有量、重合体の収縮、及び/又は、熱酸化的分解に起因すると考えられる。
【0006】
高い重合度は使用する光重合開始剤の選択にとりわけ影響されると考えられる。この点に関し、Nie等はJournal of Applied Polymer Science,123,2,2021,725-732;適切なオキシムエステル光重合開始剤の合成及び光重合の速度論において記載している。これに加え、日本特許第5054456号明細書(JP 5054456B2)は1つ以上の二反応性メソゲン化合物及び市販の光重合開始剤であるCibaより入手可能なOxe02及びAdekaより入手可能なN-1919(T)を含む重合性液晶(LC)材料を記載している。しかしながら、1つ以上の二反応性メソゲン化合物及び1つ以上の一反応性メソゲン化合物を含む重合性液晶(LC)材料は開示されていない。
【0007】
特に光学リタデーションフィルムの望ましい特性、たとえばメソゲン化合物の均一なアライメント、フィルム構造、フィルム接着、温度安定性及び光学性能は、一及び二反応性メソゲン化合物の比率と選択に特に関わる重合性液晶材料の組成に高度に依存している。
【0008】
たとえば光学フィルムの厚みの減少である重合体収縮はR=d△n(式中Rはリターダンス、dは複屈折フィルムの厚み、△は複屈折)に従って通過光のリターダンスを減少させる。
【0009】
一般的に知られている通り、重合体収縮は、重合性の基を1つより多く有し、そのためより多く架橋してより剛性である重合体を形成することができる重合性化合物、たとえば二又は多反応性化合物を利用することにより低減することができる。しかしながら、ここでも光学リタデーションフィルムの望ましい特性は重合性液晶材料の組成に高度に依存している。この点に関し、フィルム平面に対して垂直方向にアライメントプロファイルを調節するための1つの可能な方法は、一反応性メソゲン化合物、すなわち重合性の基1つを有する化合物、及び二反応性メソゲン化合物、すなわち重合性の基2つを有する化合物の比率の適切な選択である。さらに、低ジアクリレート含有率のRMフィルムは、RMフィルムの基材への良好な接着が重要である用途に極めて適している。しかしながら、前述の通り、低ジアクリレート含有率のRMフィルムにおいては、光学リタデーションは特に重合体収縮に起因して顕著に低下する場合が多い。
【0010】
熱酸化生分解は高温における酸化により触媒される重合体網目構造の崩壊である。一般的に知られている通り、抗酸化性添加物、又は簡略には抗酸化剤を使用することにより、上昇した温度に曝された場合の重合体の熱酸化性分解を低減できる。このことは、高温のためインセル用途に光学フィルムを利用する場合に特に重要となる。特に、光学フィルムはLCセル内のポリイミド層をアニール処理する場合に耐久性でなければならない。この点に関し、文献国際公開第2009/86911号(WO 2009/86911A1)及び日本国特許第5354238号明細書(JP 5354238B1)は市販の抗酸化剤Irganox(登録商標)1076を含む重合性液晶(LC)材料を記載している。
【0011】
上記材料の全ては、使用したLC材料に起因して得られる重合体フィルムの耐熱性がなお十分高くない、VIS光に対するその透明性が限定的である、別の添加剤の使用が必要である、又はその用途範囲が限定される等の明確な問題を有している。
【0012】
従って、従来技術の材料の欠点を示さず、或いは示したとしてもその程度が低くなっている、新しく、そして好ましくは改善した重合体液晶材料又は混合物がなお必要とされている。
【0013】
好都合には、そのような重合性LC材料は、さまざまな均一に配向された重合体フィルムの製造に好ましく適用されるべきであり、そして特に同時に、
・基材に対する良好な接着を示し、
・VIS光に対して高度に透明であり、
・経時的な黄色着色(黄変)が低減されており、かつ、
・良好な高温安定性及び耐性を示すべきであり、かつさらに、
・均一に配向された重合体フィルムは大量生産のための適合可能な一般的に知られた方法により生産されなければならない。
【0014】
本発明の別の目的は以下の詳細な説明から当業者には即座に明らかとなる。
【0015】
意外にも、本発明者らは上記要件目的の1つ以上、好ましくは全てが請求項1記載の重合性LC材料を用いることにより好ましくは同時に達成できることを発見した。
【0016】
発明の概要
すなわち本発明は下記式I:
【化3】
[式中、A
11は
【化4】
を示し、
P
11及びP
12は各々独立して重合性基を示し、
Sp
11及びSp
12は各々独立してスペーサー基又は単結合を示し、好ましくは両方ともスペーサー基であり、
X
11及びX
12は各々相互に独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
xx-、-NR
xx-CO-、-NR
xx-CO-NR
yy-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
xx-、-CY
xx=CY
yy-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合を示し、
R
xx及びR
yyは各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
Y
xx及びY
yyは各々相互に独立してH、F、Cl又はCNを示し、
Z
11及びZ
12は各々独立して-COO-、-OOC-、-OCOO-、-OOCO-又は単結合、好ましくは-COO-又は-OOC-を示す]の化合物群から選択される少なくとも1つの二反応性又は多反応性のメソゲン化合物、
下記式II:
【化5】
[式中、A
21は
【化6】
を示し、
rは各々の存在において相互に独立して1~4の整数、好ましくは1又は2であり、
LはF、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5又は、好ましくはF、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3、OCF
3、より好ましくはF、Cl、CH
3、OCH
3、COCH
3又はOCF
3を示し、
L
21はH、F、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、好ましくはH、F、Cl、CH
3、OCH
3を示し、
pは0、1又は2、好ましくは0又は1を示し、
P
21は重合性基を示し、
R
21はH、C原子を1~10個、さらに好ましくはC原子1~5個を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであるか、Yであり、
YはF、Cl、CN、NO
2、OCN、SCN又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシ、好ましくはF、Cl、CN、NO
2、OCH
3又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシであり、
Sp
21はスペーサー基又は単結合、好ましくはスペーサー基を示し、
X
21は各々相互に独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
xx-、-NR
xx-CO-、-NR
xx-CO-NR
yy-、-OCH
22-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
xx-、-CY
xx=CY
yy-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合、好ましくは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、又は単結合、より好ましくは-O-又は単結合であり、
R
xx及びR
yyは各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
Y
xx及びY
yyは各々相互に独立してH、F、Cl又はCNを示し、
Z
21は各々独立して-C≡C-、-COO-、-OOC-、-OCOO-、-OOCO-又は単結合、好ましくは-C≡C-、-COO-、-OOC-又は単結合を示す]の化合物群から選択される少なくとも1つの一反応性のメソゲン化合物、及び少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤;
を含む重合性LC材料に関する。
【0017】
さらに、本発明は式Iの少なくとも1つの二反応性又は多反応性メソゲン化合物、式IIの少なくとも1つの一反応性メソゲン化合物を少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤と混合する工程を含む、相応する重合性LC材料の製造方法に関する。
【0018】
本発明はさらに上述及び後述する重合性LC材料から得られる、好ましくは得られた重合体フィルム、及び、上述及び後述する重合体フィルムの製造方法にも関する。
【0019】
本発明はさらに重合の前に式Iの少なくとも1つの二反応性又は多反応性メソゲン化合物及び式IIの少なくとも1つの一反応性メソゲン化合物にカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤を添加することにより上述及び後述する重合性LC材料から得られる、好ましくは得られた重合体フィルムの耐久性を増大させる方法に関する。
【0020】
本発明はさらに光学的記録媒体、電子光学記録媒体的、情報記録媒体、装飾及びセキュリティ用途、たとえば液晶ディスプレイ、プロジェクションシステム、偏光板、補償器、アライメント層、環状偏光板、カラーフィルター、装飾画像、液晶顔料、三次元的に変化する反射色を有する反射フィルム、多色画像、偽造されてはならない文書、たとえば身分証明書又はクレジットカード又は紙幣、又はウインドウにおける、上述及び後述する重合体フィルム又は重合性LC材料の使用に関する。
【0021】
本発明はさらに上述及び後述する少なくとも1つの重合体フィルム又は重合性LC材料を含む、光学部材若しくは光学デバイス、偏光板、パターン化リターダー、補償器、アライメント層、環状偏光板、カラーフィルター、装飾画像、液晶レンズ、液晶顔料、三次元的に変化する反射色を有する反射フィルム、装飾用の多色画像又は情報記録媒体に関する。
【0022】
本発明はさらに上述及び後述する少なくとも1つの重合体フィルム又は重合性LC材料又は光学部材を含む液晶ディスプレイに関する。
【0023】
本発明はさらに上述及び後述する少なくとも1つの重合体フィルム又は重合性LC材料又は光学部材を含む、認証、検証又はセキュリティマーキング、セキュリティ用途のための彩色又は多色画像、偽造されてはならない有価の物体又は文書、たとえば身分証明書又はクレジットカード又は紙幣に関する。
【0024】
用語及び定義
本明細書において使用する場合、「重合体」という用語は反復単位(分子の最小の構成単位)の個別の型1つ以上の骨格を含む分子を意味すると理解され、一般的に知られている用語である「オリゴマー」、「共重合体」、「単独重合体」等を包含する。さらに、重合体という用語は重合体そのものに加えて、その重合体の合成に関わる重合開始剤、触媒及び他の要素から生じる残留物も包含するものと理解され、その場合、そのような残留物はそれに共有結合的に組み込まれないと理解される。さらに、そのような残留物及び他の要素は、通常は重合後の精製過程の間に除去されるが、典型的には重合体に混合されるか混在し、これによりそれらは一般的には容器の間又は溶媒又は分散媒体の間で移動する際に重合体中に残存する。
【0025】
「(メタ)アクリル重合体」という用語は、本発明において使用する場合、アクリル単量体から得られる重合体、メタクリル単量体から得られる重合体、及びそのような単量体の混合物から得られる相当する共重合体を包含する。
【0026】
「重合」という用語は多数の重合性の基又はそのような重合性の基を含有する重合体前駆体(重合性化合物)をともに結合することにより重合体を形成する化学過程を意味する。
【0027】
「フィルム」及び「層」という用語は機械的安定性を有する剛性又は可撓性の、自己支持性又は自立性のフィルム、並びに、支持基材上、又は2つの基材の間のコーティング又は層を包含する。
【0028】
「重合体網目構造」とは全ての重合体鎖が多くの架橋により相互に連結されて単一の巨視的実体を形成している網目構造である。重合体網目構造は以下の型において存在できる:
・グラフト重合体分子は1つ以上の側鎖が主鎖とは構造的又は配置的に異なっている分枝重合体分子である。
・星状重合体分子は単一の分枝点が複数の直鎖又はアームを生じさせている分枝重合体分子である。アームが同一である場合、星状重合体分子は規則性と言われる。隣接するアームが異なる下位反復単位よりなる場合、星状重合体分子は混合鎖型と言われる。
・櫛型重合体分子は2つ以上の三方分枝点を有する主鎖及び線状側鎖よりなる。アームが同一である場合、櫛型重合体分子は規則性と言われる。
・ブラシ状重合体分子は線状で未分枝の側鎖を有する主鎖よりなり、1つ以上の分枝点が4方以上の官能性を有する。
【0029】
「液晶」又は「LC」という用語はある温度範囲において(サーモトロピックLC)又は溶液中のある濃度範囲において(リオトロピックLC)液体~結晶性の中間相を有する材料に関する。それらは必然的にメソゲン化合物を含有する。
【0030】
「メソゲン化合物」及び「液晶化合物」という用語は1つ以上の棒状(棒型又は板/ラス形状)又は円板状(円板形状)のメソゲン基を含む化合物を意味する。「メソゲン基」という用語は液体~結晶性の相(又は中間相)の挙動を誘導する能力を有する基を意味する。メソゲン基を含む化合物はそれ自体が液体~結晶性の中間相を呈する必要はない。それらが他の化合物との混合物中においてのみ、又はメソゲン化合物又は材料又はその混合物が重合される場合に液体~結晶性の中間相を示すことも可能である。これは低分子量の非反応性の液体~結晶性化合物、反応性又は重合性の液体~結晶性化合物、及び液体~結晶性の重合体を包含する。
【0031】
棒状メソゲン基は通常は、メソゲンコアの末端に結合した末端基を場合により含む、そしてメソゲンコアの長側部に結合した1つ以上のラテラル基を場合により含む、直接又は連結基を介して相互に連結した1つ以上の芳香族又は非芳香族の環状基よりなるメソゲンコアを含んでおり、ここでこれらの末端及びラテラル基は通常は、たとえばカルビル又はヒドロカルビル基、極性の基、たとえばハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ等、又は重合性の基から選択される。
【0032】
「反応性メソゲン」という用語は重合性のメソゲン又は液晶化合物、好ましくは単量体化合物を意味する。これらの化合物は純粋な化合物として、又は光重合開始剤、禁止剤、界面活性剤、安定化剤、連鎖移動剤、非重合性化合物等として機能する他の化合物との反応性メソゲンの混合物として使用できる。
【0033】
重合性の基1つを有する重合性化合物は「一反応性」又は「一官能性」の化合物、重合性の基2つを有する重合性化合物は「二反応性」又は「二官能性」の化合物、そして、重合性の基を2つより多く有する重合性化合物は「多反応性」又は「多官能性」の化合物とも称される。重合性の基を有さない化合物は「非反応性又は非重合性」の化合物とも称される。
【0034】
「LC混合物」、「LC材料」、「LC調製物」及び「LC媒体」という用語は出願の全体を通して同義語として使用する。
【0035】
「非メソゲン化合物又は材料」という用語は上述及び後述で定義する通りメソゲン基を含有しない化合物又は材料を意味する。
【0036】
可視、すなわちVIS光は約400nmから約740nmの範囲の波長を有する電磁放射である。紫外光、すなわちUV光は約200nmから約400nmの範囲の波長を有する電磁放射である。
【0037】
放射照度(Ee)、すなわち放射出力は表面上の単位面積(dA)入射に対する電磁放射の出力(dθ):
Ee=dθ/dA
として定義される。
【0038】
放射露光量又は放射線照射量(He)は時間(t)当たりの放射照度すなわち放射出力(Ee):
He=Ee・t
である。
【0039】
液晶の融点T(C、N)又はT(C、S)、スメクティック(S)からネマティック(N)相への遷移T(S、N)及び清澄点T(N、I)は摂氏温度で示す。全ての温度の差は摂氏温度の差で示す。
【0040】
「清澄点」という用語は最高温度を有する中間相と等方性相の間の遷移が起こる温度を意味する。
【0041】
「配向子」という用語は従来技術において知られており、液体~結晶性又はRM分子の長分子軸(棒状化合物の場合)又は短分子軸(円板状化合物の場合)の好ましい配向方向を意味する。このような異方性分子の一軸秩序の場合は、配向子はアニソトロピーの軸である。
【0042】
「アライメント」又は「配向」という用語は「アライメント方向」という名称の共通の方向における小分子又は大分子のフラグメントのような材料の異方性単位のアライメント(配向秩序)に関する。液体~結晶性又はRM材料の配向層においては、液体~結晶性配向子は材料のアニソトロピー軸の方向にアライメント方向が相当するようにアライメント方向と一致する。
【0043】
たとえば材料層における液体~結晶性又はRM材料の「均一な配向」又は「均一なアライメント」という用語は、液体~結晶性又はRM材料の長分子軸(棒状化合物の場合)又は短分子軸(円板状化合物の場合)が実質的に同じ方向に配向していることを意味する。換言すれば液体~結晶性配向子の線は平行である。
【0044】
「ホメオトロピック構造」又は「ホメオトロピック配向」という用語は光軸がフィルム平面に対して実質的に垂直であるフィルムを指す。
【0045】
「平面構造」又は「平面配向」という用語は光軸がフィルム平面に対して実質的に平行であるフィルムを指す。
【0046】
「負の(光学的)分散」という用語は、複屈折の大きさ(△n)が波長(λ)の増大に従って増大、すなわち|△n(450)|<|△n(550)|、すなわち△n(450)/△n(550)<1となる逆の複屈折分散を示す複屈折又は液体結晶性材料又は層を指し、ここで△n(450)及び△n(550)はそれぞれ450nm及び550nmの波長において計測された材料の複屈折である。それに対して「正の(光学的)分散」という用語は|△n(450)|>|△n(550)|、すなわち△n(450)/△n(550)>1を有する材料又は層を意味する。たとえばA.Uchiyama、T.Yatabe“Control of Wavelength Dispersion of Birefringence for Oriented Copolycarbonate Films Containing Positive and Negative Birefringent Units”.J.Appl.Phys.Vol.42pp 6941-6945(2003)も参照できる。
【0047】
ある波長における光学リタデーションは前述の通り複屈折と層の厚みの積[R(λ)=△n(λ)・d]として定義されるため、光学的分散は比△n(450)/△n(550)による「複屈折分散」としてか、或いは、比R(450)/R(550)による「()分散」の何れかとして表示することができ、ここでR(450)及びR(550)はそれぞれ450nm及び550nmの波長において計測された材料のリタデーションである。層の厚みdは波長により変化しないため、R(450)/R(550)は△n(450)/△n(550)と等しい。すなわち、負又は逆の分散を有する材料又は層はR(450)/R(550)<1又は|R(450)|<|R(550)|を有し、正又は正常の分散を有する材料又は層はR(450)/R(550)>1又は|R(450)|>|R(550)|を有する。
【0048】
本発明においては、特段の記載が無い限り「光学的分散」はリタデーション分散、すなわちR(450)/R(550)を意味する。
【0049】
「高分散」という用語は分散の絶対値が1から大きく逸脱していることを意味し、「低分散」という用語は分散の絶対値が1から僅かに逸脱していることを意味する。すなわち、「高い負の分散」とは分散値が1よりかなり小さいことを意味し、「低い負の分散」とは分散値が1より僅かのみ小さいことを意味する。
【0050】
材料のリタデーション(R(λ))は分光エリプソメーター、たとえばJ.A.Woollam Co.製のM2000分光エリプソメーターを用いて計測できる。この機器は典型的には370nmから2000nmの波長範囲にわたって複屈折試料、たとえば水晶の光学リターダンスをナノメートル単位で計測することが可能である。このデータによれば、材料の分散(R(450)/R(550)又は△n(450)/△n(550))を計算することが可能である。
【0051】
これらの計測を実施するための方法は2006年10月のN.SinghによるNational Physics Laboratory(London,UK)において示されており、「Spectroscopic Ellipsometry,Part 1 - Theory and Fundamentals,Part 2-Practical Examples and Part 3-measurements」と題されている。J.A.Woollam Co.Inc(Lincoln,NE,USA)により出版されたRetardation Measurement(RetMeas) Manual(2002)及びGuide to WVSAE(2002)(Woollam Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)に記載された計測手順に従う。特段の記載が無い限り、この方法を用いて本発明に記載した材料、フィルム及びデバイスのリタデーションを測定する。
【0052】
「Aプレート」という用語は、異常軸が層の平面に平行に配向している単軸複屈折材料の層を利用した光学リターダーを指す。「Cプレート」という用語は異常軸が層の平面に垂直に配向している単軸複屈折材料の層を利用した光学リターダーを指す。均一の配向を有する光学単軸複屈折液晶材料を含むA/Cプレートにおいて、フィルムの光軸は異常軸の方向により与えられる。正の複屈折を有する光学単軸複屈折材料を含むA(又はC)プレートは「正のA(又はC)プレート」又は「+A(又は+C)プレート」とも称する。負の複屈折を有する光学単軸複屈折材料、たとえば円板状異方性材料を含むA(又はC)プレートは、円板状材料の配向に応じて「負のA(又はC)プレート」又は「-A(又はC)プレート」とも称する。スペクトルのUV部分に反射帯を有するコレステリック棒状材料から作製したフィルムもまた負のCプレートの光学特性を有する。
【0053】
複屈折△nは下記式:
△n=ne-no
の通り定義され、式中、neは異常屈折率でありnoは正常屈折率であり、そして平均屈折率navは下記の等式:
nav=((2no
2+ne
2)/3)1/2
により与えられる。
【0054】
平均屈折率nav及び正常屈折率noはAbbe屈折率計を用いて計測できる。次に△nは上記等式から計算できる。
【0055】
疑問点がある場合は、C.Tschierske,G.Pelzl and S.Diele,Angew.Chem.2004,116,6340-6368に記載の定義を適用する。
【0056】
記載した一般的な式において明示的に特段の記載が無い限り、以下の用語は以下の意味を有する。
【0057】
「カルビル基」とは、少なくとも1つの炭素原子を含有する1価又は多価の有機基を示し、これはさらに原子を含有しない(たとえば-C≡C-)か、場合によりさらに1つ以上の原子、たとえばN、O、S、P、Si、Se、As、Te又はGeを含有する(たとえばカルボニル等)。「ヒドロカルビル基」は1つ以上のH原子、そして場合により、1つ以上のヘテロ原子、たとえばN、O、S、P、Si、Se、As、Te又はGeをさらに含有するカルビル基を示す。
【0058】
カルビル又はヒドロカルビル基は飽和又は不飽和の基であり得る。不飽和の基はたとえばアリール、アルケニル又はアルキニル基である。C原子を3つより多く有するカルビル又はヒドロカルビル基は直鎖、分枝及び/又は環状であり得、そしてスピロ環又は縮合環を含有してよい。
【0059】
好ましいカルビル及びヒドロカルビル基はC原子1~40個、好ましくは1~25個、特に好ましくは1~18個を有する、場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ及びアルコキシカルボニルオキシ、C原子6~40個、好ましくは6~25個を有する、場合により置換されたアリール又はアリールオキシ、又はC原子6~40個、好ましくは6~25個を有する、場合により置換されたアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ及びアリールオキシカルボニルオキシである。さらに好ましいカルビル及びヒドロカルビル基はC1-C40アルキル、C2-C40アルケニル、C2-C40アルキニル、C3-C40アリル、C4-C40アルキルジエニル、C4-C40ポリエニル、C6-C40アリール、C6-C40アルキルアリール、C6-C40アリールアルキル、C6-C40アルキルアリールオキシ、C6-C40アリールアルキルオキシ、C2-C40ヘテロアリール、C4-C40シクロアルキル、C4-C40シクロアルケニル等である。特に好ましいものは、C1-22アルキル、C2-22アルケニル、C2-22アルキニル、C3-22アリル、C4-22アルキルジエニル、C6-12アリール、C6-20アリールアルキル及びC2-20ヘテロアリールである。
【0060】
さらに好ましいカルビル及びヒドロカルビル基はC原子1~40個、好ましくは1~25個、より好ましくはC原子1~12個を有する直鎖、分枝又は環状のアルキル基であり、これは非置換であるか、F、Cl、Br、I又はCNにより一置換又は多置換されており、ここで1つ以上の非隣接のCH2基は各々相互に独立してO及び/又はS原子が相互に直接連結されないような態様において-C(Rx)=C(Rx)-、-C≡C-、-N(Rx)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられていてよい。
【0061】
上記のRxは好ましくはH、ハロゲン、C原子1~25個を有し、さらに1つ以上の非隣接のC原子が-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられていてよく、そして1つ以上のH原子がフッ素、C原子6~40個を有する場合により置換されたアリール又はアリールオキシ又はC原子2~40個を有する場合により置換されたヘテロアリール又はヘテロアリールオキシ基で置き換えられていてよい直鎖、分枝又は環状のアルキル鎖を示す。
【0062】
好ましいアルキル基は、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、2-エチルヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、ドデカニル、トリフルオロメチル、パーフルオロ-n-ブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロヘキシル等である。
【0063】
好ましいアルケニル基は、たとえばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル等である。
【0064】
好ましいアルキニル基は、たとえばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニル等である。
【0065】
好ましいアルコキシ基は、たとえばメトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、2-メチルブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、n-ヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、n-ウンデシルオキシ、n-ドデシルオキシ等である。
【0066】
好ましいアミノ基は、たとえばジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等である。
【0067】
アリール及びヘテロアリール基は単環又は多環であり得、すなわちそれらは、1つの環(たとえばフェニル)、又は縮合(たとえばナフチル)又は共有結合(たとえばビフェニル)していてよい2つ以上の環を有するか、又は縮合と連結の環の組み合わせを含有することができる。ヘテロアリール基は好ましくはO、N、S及びSeから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する。
【0068】
特に好ましいものはC原子6~25個を有する単環、二環又は三環式のアリール基、C原子2~25個を有する単環、二環又は三環式のヘテロアリール基であり、これらは場合により縮合環を含有し、場合により置換されている。さらに好ましいものは5、6又は7員のアリール又はヘテロアリール基であり、これらにおいてはさらに、O及び/又はS原子が相互に直接連結されないような態様において1つ以上のCH基がN、S又はOで置き換えられてよい。
【0069】
好ましいアリール基は、たとえば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、[1,1’:3’、1”]ターフェニル-2’-イル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン等である。
【0070】
好ましいヘテロアリール基は、たとえば5員環、たとえばピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、,1,3,4-チアジアゾール、6員環、たとえばピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、又は縮合基、たとえばインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリジミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェン又はこれらの基の組み合わせである。ヘテロアリール基はまたアルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキル又はさらにアリール又はヘテロアリール基で置換されていてもよい。
【0071】
(非芳香族)脂環式及び複素環式の基は飽和環、すなわち単結合のみを含有するもの、及び部分不飽和の環、すなわち、多重結合も含有していてよいものの両方を包含する。複素環は好ましくはSi、O、N、S及びSeから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する。
【0072】
(非芳香族)脂環式及び複素環式の基は単環である、すなわち1つの環のみを含有(たとえばシクロヘキサン)するか、又は、多環である、すなわち複数の環を含有する(たとえばデカヒドロナフタレン又はビシクロオクタン)ことができる。特に好ましいものは飽和環である。さらに好ましいものはC原子3~25個を有する単環、二環又は三環式の基であり、これは場合により縮合間を含み、場合により置換されている。さらに好ましくは、5、6、7又は8員環の炭素環基であり、これにおいてはさらに1つ以上のC原子がSiにより置き換えられていてよく、及び/又は1つ以上のCH基がNで置き換えられていてよく、及び/又は1つ以上の非隣接のCH2基が-O-及び/又は-S-で置き換えられていてよい。
【0073】
好ましい脂環式及び複素環式の基はたとえば、5員環、たとえばシクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジン、6員環、たとえばシクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジチアン、ピペリジン、7員環、たとえばシクロヘプタン、及び縮合環、たとえばテトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、オクタヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-ジイルである。
【0074】
アリール、ヘテロアリール、(非芳香族)脂環式及び複素環式の基は場合により好ましくはシリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C1-12アルキル、C6-12アリール、C1-12アルコキシ、ヒドロキシル又はこれらの基の組み合わせよりなる群から選択される1つ以上の置換基を有する。
【0075】
好ましい置換基は、たとえば溶解促進性の基、たとえばアルキル又はアルコキシ、電子求引性の基、たとえばフッ素、ニトロ又はニトリル、又は重合体のガラス転移温度(Tg)を上昇させる置換基、特に嵩高の基、たとえばt-ブチル又は場合により置換されたアリール基である。
【0076】
後述において「L」とも称する好ましい置換基は、たとえばF、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(Rx)2、-C(=O)Yx、-C(=O)Rx、-C(=O)ORx、-N(Rx)2であり、ここでRxは前述の意味を有し、上記Yxはハロゲン、場合により置換されたシリル、環原子4~40個、好ましくは4~20個を有する場合により置換されたアリール又はヘテロアリール、及びC原子1~25個を有する直鎖又は分枝のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシを示し、ここで1つ以上のH原子は場合によりF又はClにより置換されていてよい。
【0077】
「置換されたシリル又はアリール」は好ましくは、ハロゲン、-CN、Ry、-ORy、-CO-Ry、-CO-O-Ry、-O-CO-Ry又は-O-CO-O-Ryで置換されることを意味し、ここでRyはH、C原子1~12個を有する直鎖、分枝又は環状のアルキル鎖を示す。
【0078】
上述及び後述する式において、置換されたフェニレン環:
【化7】
は好ましくは
【化8】
であり、ここでLは同じか又は異なる各々の存在において、上述及び後述する意味の1つを有し、好ましくはF、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、C(CH
3)
3、CH(CH
3)
2、CH
2CH(CH
3)C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5又はP-Sp-であり、極めて好ましくはF、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3、OCF
3又はP-Sp-であり、最も好ましくはF、Cl、CH
3、OCH
3、COCH
3又はOCF
3である。
【0079】
「ハロゲン」とはF、Cl、Br又はI、好ましくはFを示す。
【0080】
「重合性の基」(P)とは好ましくはC=C二重結合又はC≡C三重結合を含有する基及び開環重合に適切な基、たとえばオキセタン又はエポキシド基から選択される。
【0081】
好ましくは、重合性の基(P)はCH
2=CW
1-COO-、CH
2=CW
1-CO-、
【化9】
CH
2=CW
2-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-(O)
k3-、CW
1=CH-CO-NH-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
3-CH=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH-CH
2)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-、(CH
2=CH-CH
2)
2N-CO-、CH
2=CW
1-CO-NH-、CH
2=CH-(COO)
k1-Phe-(O)
k2-、CH
2=CH-(CO)
k1-Phe-(O)
k2-、Phe-CH=CH-よりなる群から選択され、
ここで、
W
1はH、F、Cl、CN、CF
3、フェニル又はC原子1~5個を有するアルキル、特にH、F、Cl又はCH
3を示し、
W
2はH、又はC原子1~5個を有するアルキル、特にH、メチル、エチル又はn-プロピルを示し、
W
3及びW
4は各々相互に独立してH、Cl又はC原子1~5個を有するアルキルを示し、Pheは1,4-フェニレンを示し、これは場合により上記定義の通りであるがP-Spとは異なる1つ以上の基Lで置換されており、好ましくは好ましい置換基LはF、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、さらにはフェニルであり、かつ、
k
1、k
2及びk
3は各々相互に独立して0又は1を示し、k
3は好ましくは1を示し、かつk
4は1~10の整数である。
【0082】
特に好ましい基PはCH
2=CH-COO-、CH
2=C(CH
3)-COO-、CH
2=CF-COO-、CH
2=CH-、CH
2=CH-O-、(CH
2=CH)
2CH-OCO-、(CH
2=CH)
2CH-O-、
【化10】
[式中、W
2はH、又はC原子1~5個を有するアルキル、特にH、メチル、エチル又はn-プロピルである]
である。
【0083】
さらに好ましい基(P)はビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタン及びエポキシド、最も好ましくはアクリレート又はメタクリレート、特にアクリレートである。
【0084】
好ましくは全ての多反応性の重合性化合物及びその下位構造物は1つ以上のP-Sp-基の代わりに2つ以上の重合性の基Pを含有する1つ以上の分枝基(多反応性の重合性基)を含有する。
【0085】
この種の基で適当なもの、及びそれを含有する重合性化合物は、たとえば米国特許第7060200号明細書(US 7,060,200B1)又は米国特許出願公開第2006/0172090号明細書(US 2006/0172090A1)に記載されている。
【0086】
特に好ましいものは下記式:
【化11】
[式中、
alkylは単結合又はC原子1~12個を有する直鎖又は分枝のアルキレンを示し、ここで1つ以上の非隣接のCH
2基は各々相互に独立してO及び/又はS原子が相互に直接連結されないような態様において-C(R
x)=C(R
x)-、-C≡C-、-N(R
x)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられていてよく、ここでさらに1つ以上のH原子はF、Cl又はCNで置き換えられていてよく、式中R
xは前述の意味の1つを有し、
aa及びbbは各々相互に独立して0、1、2、3、4、5又は6を示し、
XはX’に関して示した意味の1つを有し、かつ、
P
v~P
zは各々相互に独立してPに関して上記の意味の1つを有する]から選択される多反応性の重合性基である。
【0087】
好ましいスペーサー基Spは基「P-Sp-」を式「P-Sp’-X’-」に相当させるための式Sp’-X’から選択され、ここで、
Sp’はC原子1~20個、好ましくは1~12個を有するアルキレンを示し、それは場合によりF、Cl、Br、I又はCNで一置換又は多置換されており、さらに1つ以上の非隣接のCH2基は各々相互に独立してO及び/又はS原子が相互に直接連結されないような態様において-O-、-S-、-NH-、-NRxx-、-SiRxxRyy-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-NRxx-CO-O-、-O-CO-NRxx-、-NRxx-CO-NRyy-、-CH=CH-又は-C≡C-で置き換えられていてよく、
X’は-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NRxx-、-NRxx-CO-、-NRxx-CO-NRyy-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CRxx-、-CYxx=CYyy-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合を示し、
RxxとRyyは各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、かつ、
YxxとYyyは各々相互に独立してH、F、Cl又はCNを示す。
【0088】
X’は好ましくは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NRxx-、-NRxx-CO-、-NRxx-CO-NRyy-又は単結合である。
【0089】
典型的なスペーサー基Sp’はたとえば-(CH2)p1-、-(CH2CH2O)q1-CH2CH2-、-CH2CH2-S-CH2CH2-、-CH2CH2-NH-CH2CH2-又は-(SiRxxRyy-O)p1-であり、ここでp1は1~12の整数であり、q1は1~3の整数であり、かつRxx及びRyyは前述の意味を有する。
【0090】
特に好ましい基-X’-Sp’-は-(CH2)p1-、-O-(CH2)p1-、-OCO-(CH2)p1-、-OCOO-(CH2)p1-である。
【0091】
特に好ましい基Sp’は、たとえば各々の場合直鎖のエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンエチオエチレン、エチレン-N-メチルイミノエチレン、1-メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレン及びブテニレンである。
【0092】
本発明に関し、
【化12】
はトランス-1,4-シクロヘキシレンを示し、かつ、
【化13】
は1,4-フェニレンを示す。
【0093】
本発明に関し、基-COO-又は-CO
2-は下記式:
【化14】
のエステル基を示し、かつ基-OCO-、-O
2C-又は-OOC-は下記式:
【化15】
のエステル基を示す。
【0094】
詳細な説明
好ましくは、式Iの二反応性又は多反応性のメソゲン化合物は下記式I-1~I-3:
【化16】
[式中、A
11、P
11及びP
12、Sp
11及びSp
12、及びX
11及びX
12は式Iで前述の意味の1つを有する]
の化合物群から選択される。
【0095】
さらに好ましい式Iの化合物は下記式:
【化17】
[式中、P
11及びP
12、Sp
11及びSp
12、及びX
11及びX
12は式Iで前述の意味の1つを有する]
の化合物群から選択される。
【0096】
式Iの特に好ましい化合物は下記式:
【化18】
[式中、
P
11及びP
12は式Iで前述の意味の1つを有し、好ましくは両方ともメタクリル又はアクリル基であり、より好ましくは両方ともにアクリル基であり、
n及びmは各々独立して1~12の整数、好ましくは3~6の整数を示し、より好ましくは両方とも3、4又は6であり、最も好ましくは式I-2b-1及びI-3a-1では両方とも3又は6を示し、式I-2b-2では両方とも4を示す]
の化合物群から選択される。
【0097】
好ましくは全体としての本発明の重合性液体~結晶性材料中の式Iの二反応性重合性メソゲン化合物の割合は好ましくは20~80質量%の範囲、より好ましくは30~75質量%の範囲、さらにより好ましくは40~70質量%の範囲にある。
【0098】
好ましくは全体としての本発明の重合性液体~結晶性材料中の式I及びその下位構造の多反応性重合性メソゲン化合物の割合は好ましくは0~30質量%の範囲、より好ましくは0~20質量%の範囲、さらにより好ましくは0~10質量%の範囲にある。
【0099】
好ましくは、式IIの一反応性メソゲン化合物は下記式II-1~II-5:
【化19】
[式中、P
21、Sp
21、X
21、L
21及びR
21は式IIで前述の意味の1つを有する]
の化合物群から選択される。
【0100】
式IIのさらに好ましい化合物は下記式:
【化20】
[式中、
P
21、L
21及びR
21は式IIで前述の意味の1つを有し、かつ、
nは1~12の整数を示す]
の化合物群から選択される。
【0101】
さらに好ましい式IIの化合物は下記式:
【化21-1】
【化21-2】
[式中、
P
21は式IIで前述の意味の1つを有し、好ましくはメタクリル又はアクリル基を示し、より好ましくはアクリル基を示し、
R
21は式IIで前述の意味の1つを有し、好ましくはF、Cl、CN又はC原子1~5個を有する直鎖又は分枝のアルキル又はアルコキシ基、より好ましくはCN、CH
3、OCH
3又はC
3H
7を示し、かつ、
nは1~12、好ましくは3~6、より好ましくは3又は6の整数を示す]
の化合物群から選択される。
【0102】
好ましくは全体としての本発明の重合性液体~結晶性材料中の式II及びその下位構造の一反応性重合性メソゲン化合物の割合は好ましくは10~80質量%の範囲、より好ましくは15~70質量%の範囲、さらにより好ましくは25~50質量%の範囲にある。
【0103】
好ましくはカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤は米国特許出願公開第2006/0241259号明細書(US 2006/0241259A1)又は欧州特許出願公開第1780209号明細書(EP 1780209A1)に記載の相当するカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤から選択される。
【0104】
さらに好ましいカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤は下記式CO-1:
【化22】
[式中、
L
31~L
33は各々独立してH、C原子を1~5個以上有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシ;F、Cl、CN、NO
2、OCN、SCN又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化又はポリフッ化アルキル又はアルコキシ;又は-(X
31-Sp
31-A
31)を示し、
X
31は-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
xx-、-NR
xx-CO-、-NR
xx-CO-NR
yy-又は単結合を示し、
R
xx及びR
yyは各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
Sp
31はスペーサー基又は単結合であり、
A
31は各々独立してアリール、ヘテロアリール、(非芳香族)脂環式及び複素環の基を示し、これらは場合により1つ以上の置換基を有し、この置換基は好ましくはシリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C
1-12アルキル、C
6-12アリール、C
1-12アルコキシ、ヒドロキシル又はこれらの基の組み合わせからなる群から選択され、かつ、
R
32~R
34は各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示す]
の化合物群から選択される。
【0105】
さらに好ましいカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤は下記式CO-2~CO-9:
【化23-1】
【化23-2】
[式中、L
32、R
32及びR
33は式CO-1で前述の意味の1つを有する]
の化合物群から選択される。
【0106】
さらに好ましいものは下記式CO-10~CO-12:
【化24】
[式中、L
32及びR
32は式CO-1で前述の意味の1つを有する]
から選択されるカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤である。
【0107】
特に好ましいものは下記式CO-13~CO-15:
【化25】
[式中、L
32は式CO-1で前述の意味の1つを有する]
から選択されるカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤である。
【0108】
特に好ましいものは、下記式CO-16~CO-19:
【化26】
から選択されるカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤である。
【0109】
好ましくは、全体としての重合性LC材料におけるカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤の最小量は0.5%より多く、特に1%より多く、最も好ましくは1.5質量%より多い。
【0110】
好ましくは、カルバゾールオキシムエステル光重合開始剤の最大量は全体としての重合性LC材料の質量に対して好ましくは10%より少なく、極めて好ましくは7%より少なく、特に5%より少ない。
【0111】
好ましい実施形態においては、重合性LC材料は式I及び式IIの化合物及び少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤に加えて、式I又はIIの1つ以上の化合物ではない別の一、二反応性又は多反応性の液体~結晶性又はメソゲンの化合物も含む。
【0112】
好ましくは、これらの本発明の一、二反応性又は多反応性のメソゲン化合物は好ましくは下記式RM:
P-Sp-MG-R RM
[式中、
Pは重合性の基、好ましくはアクリル、メタクリル、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテル、エポキシ、オキセタン又はスチレン基であり、
Spはスペーサー基又は単結合であり、
MGは棒状メソゲン基であり、これは好ましくは式Mから選択され、
Mは-(Ax-Za)k-Ay-(Zb-Az)l-であり、
Ax~Azは各々の存在において相互に独立して場合により1つ以上の同じか又は異なる基Laで置換されているアリール、ヘテロアリール、複素環又は脂環式の基、好ましくは場合により1つ以上の同じか又は異なる基Laで置換されている1,4-シクロヘキシレン又は1,4-フェニレン、1,4-ピリジン、1,4-ピリミジン、2,5-チオフェン、2,6-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン、2,7-フロリン、2,6-ナフタレン、2,7-フェナントレンであり、
Za及びZbは各々の存在において相互に独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CO-NRRM-、-NRRM-CO-、-NRRM-CO-NRRM-、-NRRM-CO-O-、-O-CO-NRRM-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CRRM-、-CYRM=CYRM-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合、好ましくは-COO-、-OCO-、-CO-O-、-O-CO-、-OCH2-、-CH2O-、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合であり、
LaはF、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NRRMRRM、-C(=O)ORRM、-C(=O)RRM、-NRRMRRM、-OH、-SF5、又は1~12の直鎖又は分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであり、ここで1つ以上のH原子は場合によりF又はCl、好ましくはF、-CNにより置き換えられているものであるか、又はC原子1~6個を有する直鎖又は分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであり、
RRMは各々の存在において相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
RはH、場合によりフッ素化されたC原子をさらに1~20個、好ましくはC原子1~15個を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであるか、Y又はP-Sp-であり、
YRMは各々の存在において相互に独立してH、F、Cl又はCNであり、
YはF、Cl、CN、NO2、OCH3、OCN、SCN又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシ、好ましくはF、Cl、CN、NO2、OCH3、又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシであり、
k及びlは各々独立して0、1、2、3又は4、好ましくは0、1又は2、最も好ましくは1である]
の化合物群から選択され、この場合も同様に式I又はIIの化合物は式RMの化合物の群から除外されることを条件とする。
【0113】
好ましくは1つ以上の任意の二反応性又は多反応性メソゲン化合物は下記式DRM:
P1-Sp1-MG-Sp2-P2 DRM
[式中、
P1及びP2は各々独立して重合性の基を示し、
Sp1及びSp2は各々独立してスペーサー基又は単結合を示し、
MGは棒状メソゲン基であり、これは好ましくは下記式MG:
-(A1-Z1)n-A2- MG
から選択され、
式中、
A1及びA2は複数存在の各々において相互に独立して芳香族又は脂環族の基であり、これは場合によりN、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有し、場合によりL1により一置換又は多置換されており、
L1はP-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR00R000、-C(=O)OR00、-C(=O)R00、-NR00R000、-OH、-SF5、C原子1~12個、好ましくは1~6個を有する場合により置換されたシリル、アリール又はヘテロアリール、及びC原子1~12個、好ましくは1~6個を有する直鎖又は分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであり、ここで1つ以上のH原子は場合によりF又はClにより置き換えられており、
R00及びR000は各々相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルを示し、
Z1は複数存在の各々において相互に独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CO-NR00-、-NR00-CO-、-NR00-CO-NR000-、-NR00-CO-O-、-O-CO-NR00-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2)n1-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR00-、-CY1=CY2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-又は単結合であり、
Y1及びY2は相互に独立してH、F、Cl又はCNを示し、
nは1、2、3又は4、好ましくは1又は2、最も好ましくは2であり、かつ、
n1は1~10の整数、好ましくは1、2、3又は4である]
から選択されるが、ただし式Iの化合物は式DRMの化合物の群から除外されることを条件とする。
【0114】
好ましい基A1及びA2はフラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、ビシクロオクチレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、フルオレン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、アントラセン、フェナントレン及びジチエノチオフェンを包含するがこれらに限定されず、これらの全ては非置換であるか、上記定義した1、2、3又は4個の基Lにより置換されている。
【0115】
特に好ましい基A1及びA2は1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,5-ジイル、ビシクロオクチレン又は1,4-シクロヘキシレンから選択され、ここで1つ又は2つの非隣接のCH2基場合によりO及び/又はSで置き換えられており、これらの基は非置換であるか、上記定義した1、2、3又は4個の基Lにより置換されている。
【0116】
特に好ましい基Z1は各々の存在において相互に独立して-COO-、-OCO-、
-CH2CH2-、-CF2O-、-OCF2-、-C≡C-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-又は単結合である。
【0117】
式DRMの極めて好ましい任意の多反応性又は二反応性メソゲン化合物は下記式:
【化27】
[式中、
P
0は複数存在する場合は相互に独立して重合性の基、好ましくはアクリル、メタクリル、オキセタン、エポキシ、ビニル、ヘプタジエン、ビニルオキシ、プロペニルエステル又はスチレン基であり、
Lは各々の存在において式DRMにおけるL
1に対する意味のうちの同じか又は異なる1つを有し、好ましくは複数存在する場合は相互に独立してF、Cl、CN又はC原子1~5個を有する場合によりハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシから選択され、
rは0、1、2、3又は4であり、
x及びyは相互に独立して0であるか、1~12の同じか又は異なる整数であり、
zは各々独立して0又は1であり、隣接するx又はyが0である場合はzは0である]
から選択される。
【0118】
好ましくは、重合性LC材料中の1つ以上の任意の一反応性メソゲン化合物は下記式MRM:
P1-Sp1-MG-R MRM
[式中、
P1、Sp1及びMGは式DRMにおいて示した意味を有し、
RはH、場合によりフッ素化されたC原子をさらに1~20個、好ましくはC原子1~15個を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであるか、Yであり、かつ、
YはF、Cl、CN、NO2、OCH3、OCN、SCN、C原子1~4個を有する場合によりフッ素化されたアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシ、又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシ、好ましくはF、Cl、CN、NO2、OCH3、又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシである]
から選択されるが、ただし式IIの化合物は式MRMの化合物の群から除外されることを条件とする。
【0119】
好ましくは式MRMの1つ以上の任意の一反応性メソゲン化合物は下記式:
【化28-1】
【化28-2】
【化28-3】
[式中、
P
0、L、r、x、y及びzは式DRM1~式DRM6において定義した通りであり、
R
0はC原子1個以上、好ましくは1~15個を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシであるか、Y
0を示し、
Y
0はF、Cl、CN、NO
2、OCH
3、OCN、SCN、SF
5又はC原子1~4個を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はポリフッ化アルキル又はアルコキシであり、
Z
0は-COO-、-OCO-、-CH
2CH
2-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-COO-又は単結合であり、
A
0は複数存在する場合は相互に独立して1、2、3又は4個の基Lにより置換されている1,4-フェニレン、又はトランス-1,4-シクロヘキシレンであり、
u及びvは相互に独立して0、1又は2である]
から選択される。
【0120】
全体としての本発明の重合性液体~結晶性材料中の式I、II及び場合によりRMの全ての一、二又は多応性の液体~結晶性化合物の割合は、全重合性LC材料の好ましくは50~99.9質量%の範囲、より好ましくは60~99.9質量%の範囲、さらにより好ましくは70~99.9質量%の範囲にある。
【0121】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は式Iの化合物から選択される少なくとも1つの二反応性メソゲン化合物、式IIの化合物から選択される少なくとも1つの一反応性メソゲン化合物、少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤を含み、式RMの追加的化合物は含まない。
【0122】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は式Iの化合物から選択される少なくとも1つの二反応性メソゲン化合物、式IIの化合物から選択される少なくとも1つの一反応性メソゲン化合物、少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤、及び式RMの1つ以上の追加的化合物を含む。
【0123】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は式Iの化合物から選択される少なくとも1つの二反応性メソゲン化合物、式IIの化合物から選択される少なくとも2つの一反応性メソゲン化合物、少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤、及び場合により式RMの1つ以上の追加的化合物を含む。
【0124】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は式Iの化合物から選択される少なくとも2つの二反応性メソゲン化合物、式IIの化合物から選択される少なくとも1つの一反応性メソゲン化合物、少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤、及び場合により式RMの1つ以上の追加的化合物を含む。
【0125】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は式Iの化合物から選択される少なくとも2つの二反応性メソゲン化合物、式IIの化合物から選択される少なくとも2つの一反応性メソゲン化合物、少なくとも1つのカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤、及び場合により式RMの1つ以上の追加的化合物を含む。
【0126】
式I、II、CO、RM、DRM、MRM及びそれらの下位構造の化合物は市販されているか、当業者の知る有機化学の標準的研究書、たとえばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry], Thime-Verlag,Stuttgartに記載されている方法と同様にして製造できる。
【0127】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は重合性の基を2つより多く有する化合物を含有しない。
【0128】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料はアキラルな物質であり、すなわち、それはキラル化合物を含有しない。
【0129】
別の好ましい実施形態においては、前述の重合性LC材料は場合により下記式ND:
【化29】
[式中、
U
1,2は相互に独立して下記:
【化30】
及びこれらの鏡像から選択され、ここで環U
1及びU
2は各々軸方向の結合を介して基-(B)q-に結合し、これらの環における1つ又は2つの非隣接のCH
2基は場合によりO及び/又はSで置き換えられており、環U
1及びU
2は場合により1つ以上の基Lで置換されており、
Q
1,2は相互に独立してCH、又はSiHであり、
Q
3はC又はSiであり、
Bは各々の存在において相互に独立して-C≡C-、-CY
1=CY
2-又は場合により置換された芳香族又は複素芳香族基であり、
Y
1,2は相互に独立してH、F、Cl、CN又はR
0であり、
qは1~10の整数、好ましくは1、2、3、4、5、6又は7であり、
A
1-4は相互に独立して非芳香族、芳香族又は複素芳香族の炭素環又は複素環の基から選択され、これらは場合により1つ以上の基R
5で置換されており、ここで-(A
1-Z
1)
m-U
1-(Z
2-A
2)
n-及び-(A
3-Z
3)
o-U
2-(Z
4-A
4)
p-の各々は非芳香族基より多くの芳香族基を含有せず、好ましくは1つより多くの芳香族基を含有せず、
Z
1-4は相互に独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR
0-、-NR
0-CO-、-NR
0-CO-NR
00-、-OCH
2-、-CH
2O-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2S-、-SCF
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-、-CH=CH-、-CY
1=CY
2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR
0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR
0R
00又は単結合であり、
R
0及びR
00は相互に独立してH、又はC原子1~12個を有するアルキルであり、
m及びnは各々独立して0、1、2、3又は4であり、
o及びpは各々独立して0、1、2、3又は4であり、
R
1-5は相互に独立してH、ハロゲン、-CN、-NC、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR
0R
00、-C(=O)X
0、-C(=O)R
0、-NH
2、-NR
0R
00-、-SH、-SR
0、-SO
3H、-SO
2R
0、-OH、-NO
2、-CF
3、-SF
5、P-Sp-、場合により置換されたシリル、又は場合により置換され場合により1つ以上のヘテロ原子を含むC原子1~40個を有するカルビル又はヒドロカルビルから選択される同じか又は異なる基であるか、又はP又はP-Sp-を示すか、又はP又はP-Sp-で置換され、ここで化合物はP又はP-Sp-を示すかこれにより置換されている少なくとも1つの基R
1-5を含み、
Pは重合性の基であり、
Spはスペーサー基又は単結合である]
の1つ以上の化合物を含む。
【0130】
好ましくは、式NDにおける架橋基Bを形成する下位基は好ましくは120°以上、好ましくは180°の範囲の結合角を有する基から選択される。極めて好ましいものは-C≡C-基又はパラ位で隣接する基に連結している2価の芳香族基、たとえば1,4-フェニレン、ナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,6-ジイル又はチエノ[3,2-b]チオフェン―2,5-ジイルである。
【0131】
別の考えられる下位基は-CH=CH-、-CY1=CY2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-及び-CH=CR0-を包含し、ここでY1、Y2、R0は前述の意味を有する。
【0132】
好ましくは式NDにおける架橋基、すなわち-(B)q-は-C≡C-、場合により置換された1,4-フェニレン及び場合により置換された9H-フルオレン-2,7-ジイルよりなる群から選択される1つ以上の基を含む。式NDにおける下位基、すなわちBは好ましくは-C≡C-、場合により置換された1,4-フェニレン及び場合により置換された9H-フルオレン-2,7-ジイルよりなる群から選択され、ここでフルオレン基においては9位のH原子は場合によりカルビル又はヒドロカルビル基で置き換えられている。
【0133】
極めて好ましくは式NDにおける架橋基、すなわち-(B)
q-は-C≡C-、-C≡C-C≡C-、-C≡C-C≡C-C≡C-、-C≡C-C≡C-C≡C-C≡C-、
【化31】
[式中、rは0、1、2、3又は4であり、Lは後述する意味を有する]
から選択される。
【0134】
好ましくは、架橋基が結合しているメソゲン基の非芳香族の環、たとえば式NDにおけるU
1及びU
2は好ましくは下記:
【化32】
[式中、R
5は式NDにおいて定義される通りである]
から選択される。
【0135】
好ましくは、式NDにおける芳香族基A1-4は単核、すなわち芳香族環1つのみを有する(たとえばフェニル又はフェニレン)か、多核、すなわち2つ以上の縮合環を有する(たとえばナフチル又はナフチレン)ものであってよい。特に好ましいものは炭素原子25個までを有する単環、二環又は三環式の芳香族又は複素芳香族の基であり、これらは縮合環を含んでよく、場合により置換されている。
【0136】
好ましくは式NDの化合物における非芳香族の炭素環及び複素環A1-4は飽和(「完全飽和」とも称する)しているもの、すなわち単結合により連結されているC原子又はヘテロ原子のみを含有しているもの、及び不飽和(「部分飽和」とも称する)のもの、すなわち二重結合により連結されているC原子又はヘテロ原子も含むものを包含する。非芳香族環はまたSi、O、N及びSから好ましくは選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでよい。
【0137】
好ましくは式ND中の非芳香族及び芳香族の環、すなわちA1-4は1つ以上の基Lで場合により置換されているトランス-1,4-シクロヘキシレン及び1,4-フェニレンから選択される。
【0138】
極めて好ましいものはm及びpが1であり、n及びoが1又は2である式NDの化合物である。さらに好ましいものはm及びpが1又は2であり、n及びoが0である式NDの化合物である。さらに好ましいものはm、n、o及びpが2である化合物である。
【0139】
式NDの化合物において、メソゲン基における芳香族及び非芳香族の環状の基を連結している連結基、すなわちZ1-4は好ましくは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR0-、-NR0-CO-、-NR0-CO-NR0-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=CH-、-CY1=CY2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR0-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR0R00又は単結合から、極めて好ましくは-COO-、-OCO-及び単結合から選択される。
【0140】
好ましくは式NDの化合物において、環上の置換基、たとえばLは好ましくはP-Sp-、F、Cl、Br、I、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)NR0R00、-C(=O)X、-C(=O)OR0、-C(=O)R0、-NR0R00、-OH、-SF5、C原子1~12個、好ましくは1~6個を有する場合により置換されたシリル、アリール又はヘテロアリール、及びC原子1~12個、好ましくは1~6個を有する直鎖又は分枝のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又はアルコキシカルボニルオキシから選択され、ここで1つ以上のH原子は場合によりF又はClにより置き換えられており、R0及びR00は式NDにおいて定義した通りであり、Xはハロゲンである。
【0141】
好ましくは式NDの化合物は2つ以上の重合性基P又はP-Sp-で置換されているR1-4のような1つ以上の末端基又はR5のような置換基を含む(多官能性重合性基)。この種の適当な多官能性重合性基は、たとえば米国特許第7060200号明細書(US 7,060,200B1)又は米国特許出願公開第2006/0172090号明細書(US 2006/0172090A1)に開示されている。
【0142】
式NDの極めて好ましい化合物は以下の下位構造式:
【化33-1】
【化33-2】
【化33-3】
【化33-4】
【化33-5】
[式中、R
1-5、A
1-4、Z
1-4、B、m、n、o、p及びqは前述の意味の1つを有する]
のものである。
【0143】
特に好ましいものは下記下位構造式:
【化34-1】
【化34-2】
【化34-3】
【化34-4】
【化34-5】
【化34-6】
【化34-7】
【化34-8】
【化34-9】
【化34-10】
【化34-11】
[式中、Zは前述のZ
1の意味の1つを有し、RはP-Sp-とは異なる前述のR
1の意味の1つを有し、P、Sp、L及びrは上記において定義した通りであり、メソゲン基のベンゼン環は場合により上記定義した1つ以上の基Lで置換されている]
の化合物である。
【0144】
さらに好ましいものは、式NDの化合物が式ND25及びND26の化合物群、特にZが-COO-であり、rが各々の存在において0であり、かつP、Spが上記において定義した通りであるものから選択される重合性液体結晶性の媒体である。
【0145】
これらの好ましい化合物におけるP-Sp-は好ましくはP-Sp’-X’であり、X’は好ましくは-O-、-COO-又は-OCOO-である。
【0146】
式NDの化合物、その下位構造式及びその合成のための適当な方法は国際公開第2008/119427号(WO2008/119427A1)に開示されている。
【0147】
重合性LC材料中の式NDの化合物の量は好ましくは0~50%、極めて好ましくは0~40%である。
【0148】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は場合により重合開始剤、界面活性剤、別の安定化剤、触媒、増感剤、禁止剤、連鎖移動剤、共反応単量体、反応性シンナー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性改善剤、脱ガス剤若しくは消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色料、染料、顔料及びナノ粒子よりなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。
【0149】
別の実施形態においては、重合性LC材料は場合により重合性非メソゲン化合物(反応性シンナー)から選択される1つ以上の添加剤を含む。重合性LC材料中のこれらの添加剤の量は好ましくは0~30%、極めて好ましくは0~25%である。
【0150】
使用される反応性シンナーは実際の意味において反応性シンナーと称される物質のみならず、液体結晶性化合物の重合性単位との反応を媒介し得る1つ以上の補完的な反応単位、たとえばヒドロキシル、チオール又はアミノ基を含有する既に前述の補助的化合物である。
【0151】
光重合が通常可能な物質は、たとえば少なくとも1つのオレフィン性二重結合を含有する一、二及び多官能性の化合物を包含する。それらの例はカルボン酸、たとえばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸、及びジカルボン酸、たとえばコハク酸、アジピン酸のビニルエステル、及び一官能性アルコール、たとえばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール及びステアリルアルコールのアリル及びビニルエーテル及びメタクリル及びアクリルエステル、二官能性アルコール、たとえばエチレングリコール及び1,4-ブタンジオールのジアリル及びジビニルエーテルである。
【0152】
同じく適当なものは、たとえば、多官能性アルコール、特にヒドロキシル基の他に別の官能基を全く含有しないか、エーテル基までを含有するもののメタクリル及びアクリルエステルである。このようなアルコールの例は2官能性アルコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール及びそれらのより高度に縮合した代表的なもの、たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシル化フェノール性化合物、たとえばエトキシル化及びプロポキシル化ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、三官能性及び多官能性のアルコール、たとえばグリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール及び相当するアルコキシル化、特にエトキシル化及びプロポキシル化アルコールである。
【0153】
その他の適当な反応性シンナーはポリエステロールの(メタ)アクリルエステルであるポリエステル(メタ)アクリレートである。
【0154】
適当なポリエステロールの例はポリオール、好ましくはジオールを用いたポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸のエステル化により製造できるものである。このようなヒドロキシル含有ポリエステルのための出発物質は当業者に知られている。使用できるジカルボン酸はコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、o-フタル酸及びその異性体及び水素化物、及びそのような酸のエステル化可能及びエステル転移可能な誘導体、たとえば無水物及びジアルキルエステルである。適当なポリオールは前述のアルコール、好ましくはエチレングリコール、1,2-及び1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコール及びプロピレングリコール型のポリグリコールである。
【0155】
適当な反応性シンナーはさらに、1,4-ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレートという名称でも知られている下記式:
【化35】
のトリシクロデセニルアルコールのアクリルエステル、及びアクリル酸、メタクリル酸及びシアノアクリル酸のアリルエステルである。
【0156】
例示される反応性シンナーのうち、光重合性の基を含有するものがとりわけ用いられ、かつ前述の好ましい組成物の観点からも使用される。
【0157】
この群は、たとえば二価及び多価のアルコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール及びそれらのより高度に縮合した代表的なもの、たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール及び相当するアルコキシル化、特にエトキシル化及びプロポキシル化アルコールを包含する。
【0158】
この群はさらに、たとえばアルコキシル化フェノール性化合物、たとえばエトキシル化及びプロポキシル化ビスフェノールも包含する。
【0159】
これらの反応性シンナーはさらに、たとえばエポキシド又はウレタン(メタ)アクリレートであることができる。
【0160】
エポキシド(メタ)アクリレートは、たとえば(メタ)アクリル酸とのエポキシド化オレフィン又はポリ又はジグリシジルエーテル、たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテルの当業者の知る反応により得ることができるものである。
【0161】
ウレタン(メタ)アクリレートは特に、ポリ又はジイソシアネートとのヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートの同じく当業者の知る反応の生成物である。
【0162】
そのようなエポキシド及びウレタン(メタ)アクリレートは「混合型」として上記に列挙した化合物に特に包含される。
【0163】
反応性シンナーを用いる場合、それらの量及び特性は、一方では満足できる所望の作用、たとえば本発明の組成物の所望の色が達成されるが、他方では液体結晶性組成物の相挙動が過剰に損なわれないような態様において、対応する条件に合致しなければならない。低架橋(高架橋)液体結晶性組成物は、たとえば、分子当たりの反応性単位が比較的少数(多数)である相当する反応性シンナーを用いながら製造できる。
【0164】
希釈剤の群は、たとえば:
C1-C4-アルコール類、たとえばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、及び、特にC5-C12-アルコール類、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノール及びn-ドデカノール及びこれらの異性体、グリコール類、たとえば1,2-エチレングリコール、1,2-及び1,3-プロピレングリコール、1,2-、2,3-及び1,4-ブチレングリコール、ジ及びトリエチレングリコール、及び、ジ及びトリプロピレングリコール、エーテル類、たとえばメチルt-ブチルエーテル、1,2-エチレングリコールモノ及びジメチルエーテル、1,2-エチレングリコールモノ及びジエチルエーテル、3-メトキシプロパノール、3-イソプロポキシプロパノール、テトラヒドロフラン及びジオキサン、ケトン類、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、C1-C5-アルキルエステル類、たとえば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及び酢酸アミル、脂肪族及び芳香族の炭化水素類、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、石油エーテル、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリン、ジメチルナフタレン、揮発油、Shellsol(登録商標)及びSolvesso(登録商標)鉱物油、たとえばガソリン、ケロシン、ディーゼル油及び暖房油、並びに天然油類、たとえばオリーブ油、大豆油、菜種油、亜麻仁油及びヒマワリ油を包含する。
【0165】
当然ながら本発明の組成物中にこれらの希釈剤の混合物を使用することも可能である。
【0166】
少なくとも部分的に混和性である限り、これらの希釈剤は水と混合できる。ここで適当な希釈剤の例はC1-C4-アルコール類、たとえばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、グリコール類、たとえば1,2-エチレングリコール、1,2-及び1,3-プロピレングリコール、1,2-、2,3-及び1,4-ブチレングリコール、ジ及びトリエチレングリコール、及び、ジ及びトリプロピレングリコール、エーテル類、たとえばテトラヒドロフラン及びジオキサン、ケトン類、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、及びジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、及びC1-C4-アルキルエステル類、たとえば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチルである。
【0167】
希釈剤は場合により、重合性LC材料の総質量に基づいて、約0~10.0質量%、好ましくは約0~5.0質量%の割合で使用される。
【0168】
消泡剤及び脱気剤(c1))、潤滑剤及び流動補助剤(c2))、熱硬化性又は放射線硬化性の補助剤(c3))、基材湿潤補助剤(c4))、湿潤及び分散補助剤(c5))、疎水性化剤(c6))、接着促進剤(c7))及び引掻耐性を向上させる補助剤(c8))はそれらの作用において相互に厳密に区別することはできない。
【0169】
たとえば潤滑剤と流動補助剤はしばしば消泡剤及び/又は脱気剤及び/又は引掻耐性を向上させる補助剤としても作用する。放射線硬化性補助剤は潤滑剤及び流動補助剤及び/又は脱気剤及び/又は基材湿潤補助剤としても作用することができる。個々の場合においてこれらの補助剤の一部は接着促進剤(c7))の機能を満足することができる。
【0170】
上記に対応すれば、結果的に特定の添加剤を後述するc1)~c8)の群の多くに分類できる。
【0171】
c1)群における消泡剤はケイ素非含有及びケイ素含有の重合体を包含する。ケイ素含有重合体は、たとえば未修飾又は修飾されたポリジアルキルシロキサン又は分枝共重合体、ポリジアルキルシロキサン及びポリエーテル単位を含む櫛型又はブロック共重合体を包含し、後者はエチレンオキシド又はプロピレンオキシドから得ることができる。
【0172】
c1)群における脱気剤は、たとえば有機重合体、たとえばポリエーテル及びポリアクリレート、ジアルキルポリシロキサン、特にジメチルポリシロキサン、有機修飾されたポリシロキサン、たとえばアリールアルキル修飾ポリシロキサン、及びフルオロシリコーンを包含する。
【0173】
消泡剤の作用は本質的には泡の形成を防止すること、又は、既に形成した泡を破壊することに基づいている。消泡剤は脱気されるべき媒体中、たとえば本発明の組成物中の微細分割ガス又は気泡のコアレセンスを促進してより大型の泡とし、これによりガス(空気)の脱出を加速することにより本質的に機能している。消泡剤の脱気剤としての使用、又はその逆は頻繁であるため、これらの添加剤はともにc1)群に含めた。
【0174】
このような補助剤は、たとえばTego社からTEGO(登録商標)Foamex800、TEGO(登録商標)Foamex805、TEGO(登録商標)Foamex810、TEGO(登録商標)Foamex815、TEGO(登録商標)Foamex825、TEGO(登録商標)Foamex835、TEGO(登録商標)Foamex840、TEGO(登録商標)Foamex842、TEGO(登録商標)Foamex1435、TEGO(登録商標)Foamex1488、TEGO(登録商標)Foamex1495、TEGO(登録商標)Foamex3062、TEGO(登録商標)Foamex7447、TEGO(登録商標)Foamex8020、Tego(登録商標)FoamexN、TEGO(登録商標)FoamexK3、TEGO(登録商標)Antifoam2-18、TEGO(登録商標)Antifoam2-18、TEGO(登録商標)Antifoam2-57、TEGO(登録商標)Antifoam2-80、TEGO(登録商標)Antifoam2-82、TEGO(登録商標)Antifoam2-89、TEGO(登録商標)Antifoam2-92、TEGO(登録商標)Antifoam14、TEGO(登録商標)Antifoam28、TEGO(登録商標)Antifoam81、TEGO(登録商標)AntifoamD90、TEGO(登録商標)Antifoam93、TEGO(登録商標)Antifoam200、TEGO(登録商標)Antifoam201、TEGO(登録商標)Antifoam202、TEGO(登録商標)Antifoam793、TEGO(登録商標)Antifoam1488、TEGO(登録商標)Antifoam3062、TEGOPREN(登録商標)5803、TEGOPREN(登録商標)5852、TEGOPREN(登録商標)5863、TEGOPREN(登録商標)7008、TEGO(登録商標)Antifoam1-60、TEGO(登録商標)Antifoam1-62、TEGO(登録商標)Antifoam1-85、TEGO(登録商標)Antifoam2-67、TEGO(登録商標)AntifoamWM20、TEGO(登録商標)Antifoam50、TEGO(登録商標)Antifoam105、TEGO(登録商標)Antifoam730、TEGO(登録商標)AntifoamMR1015、TEGO(登録商標)AntifoamMR1016、TEGO(登録商標)Antifoam1435、TEGO(登録商標)AntifoamN、TEGO(登録商標)AntifoamKS6、TEGO(登録商標)AntifoamKS10、TEGO(登録商標)AntifoamKS53、TEGO(登録商標)AntifoamKS95、TEGO(登録商標)AntifoamKS100、TEGO(登録商標)AntifoamKE600、TEGO(登録商標)AntifoamKS911、TEGO(登録商標)AntifoamMR1000、TEGO(登録商標)AntifoamKS1100、Tego(登録商標)Airex900、Tego(登録商標)Airex910、Tego(登録商標)Airex931、Tego(登録商標)Airex935、Tego(登録商標)Airex936、Tego(登録商標)Airex960、Tego(登録商標)Airex970、Tego(登録商標)Airex980及びTego(登録商標)Airex985として、そしてBYK社からBYK(登録商標)-011、BYK(登録商標)-019、BYK(登録商標)-020、BYK(登録商標)-021、BYK(登録商標)-022、BYK(登録商標)-023、BYK(登録商標)-024、BYK(登録商標)-025、BYK(登録商標)-027、BYK(登録商標)-031、BYK(登録商標)-032、BYK(登録商標)-033、BYK(登録商標)-034、BYK(登録商標)-035、BYK(登録商標)-036、BYK(登録商標)-037、BYK(登録商標)-045、BYK(登録商標)-051、BYK(登録商標)-052、BYK(登録商標)-053、BYK(登録商標)-055、BYK(登録商標)-057、BYK(登録商標)-065、BYK(登録商標)-066、BYK(登録商標)-070、BYK(登録商標)-080、BYK(登録商標)-088、BYK(登録商標)-141及びBYK(登録商標)-A530として市販されている。
【0175】
c1)群における補助剤は場合により重合性LC材料の総質量に基づいて約0~3.0質量%、好ましくは約0~2.0質量%の割合で使用される。
【0176】
c2)群において、潤滑剤及び流動補助剤は典型的にはケイ素非含有であるが、ケイ素含有重合体、たとえばポリアクリレート又は修飾剤、低分子量ポリジアルキルシロキサンも包含する。修飾は広範な種類の有機基により置き換えられているアルキル基の一部に存在する。これらの有機基は、たとえばポリエーテル、ポリエステル、さらには長鎖のアルキル基であるが、前者が最も頻繁に使用される。
【0177】
相応に修飾されたポリシロキサン中のポリエーテル基は通常はエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位から形成される。一般的に、修飾されたポリシロキサン中のこれらのアルキレンオキシド単位の割合が高いほど、得られる生成物はより親水性となる。
【0178】
このような補助剤は、たとえば、Tego社からTEGO(登録商標)Glide100、TEGO(登録商標)GlideZG400、TEGO(登録商標)Glide406、TEGO(登録商標)Glide410、TEGO(登録商標)Glide411、TEGO(登録商標)Glide415、TEGO(登録商標)Glide420、TEGO(登録商標)Glide435、TEGO(登録商標)Glide440、TEGO(登録商標)Glide450、TEGO(登録商標)GlideA115、TEGO(登録商標)GlideB1484(消泡剤及び脱気剤としても使用できる)、TEGO(登録商標)FlowATF、TEGO(登録商標)Flow300、TEGO(登録商標)Flow460、TEGO(登録商標)Flow425及びTEGO(登録商標)FlowZFS460として市販されている。引掻耐性を向上させるためにも使用できる適当な放射線硬化性潤滑剤及び流動補助剤は製品TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600及びTEGO(登録商標)Rad2700であり、これらも同様にTEGO社から入手可能である。
【0179】
このような補助剤はまた、たとえばBYK社からBYK(登録商標)-300、BYK(登録商標)-306、BYK(登録商標)-307、BYK(登録商標)-310、BYK(登録商標)-320、BYK(登録商標)-333、BYK(登録商標)-341、Byk(登録商標)354、Byk(登録商標)361、Byk(登録商標)361N、BYK(登録商標)388として入手可能である。
【0180】
このような補助剤はまた、たとえばMerck KGaAからTivida(登録商標)FL2300及びTivida(登録商標)FL2500として入手可能である。
【0181】
c2)群における補助剤は場合により重合性LC材料の総質量に基づいて約0~3.0質量%、好ましくは約0~2.0質量%の割合で使用される。
【0182】
c3)群において、放射線硬化性の補助剤は特に、たとえばアクリレート基の構成要素である末端二重結合を有するポリシロキサンを包含する。そのような補助剤は化学線、たとえば電子線の照射により架橋することができる。これらの補助剤は一般的に多くの特性を組み合わせている。未架橋の状態では消泡剤、脱気剤、潤滑剤及び流動補助剤及び/又は基材湿潤補助剤として機能することができ、架橋状態では、それらは特に、たとえば本発明の組成物を用いて製造できるコーティング又はフィルムの引掻耐性を向上させる。たとえば厳密にはこれらのコーティング又はフィルムの光沢特性の向上は、本質的には消泡剤、脱気剤及び/又は潤滑剤及び流動補助剤(未架橋状態での)としてのこれらの補助剤の作用の結果であるとみなされる。
【0183】
適当な放射線硬化性の補助剤の例はTEGO社より入手可能な製品TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600及びTEGO(登録商標)Rad2700、及びBYK社より入手可能なBYK(登録商標)-371である。
【0184】
c3)群における熱硬化性の補助剤は、たとえばバインダーのイソシアネート基と反応することができる、たとえば第一OH基を含有する。
【0185】
使用できる熱硬化性補助剤の例はBYK社から入手可能な製品BYK(登録商標)-370、BYK(登録商標)-373及びBYK(登録商標)-375である。
【0186】
c3)群における補助剤は場合により重合性LC材料の総質量に基づいて約0~5.0質量%、好ましくは約0~3.0質量%の割合で用いられる。
【0187】
c4)群における基材湿潤補助剤は特に、たとえば印刷用インキ又はコーティング組成物、たとえば本発明の組成物により印刷又はコーティングされるべき基材の湿潤性を増大させる作用を有する。そのような印刷用インキ又はコーティング組成物の潤滑性及び流動挙動の一般的に備わっている進歩は最終的な(たとえば架橋した)印刷又はコーティングの外観に影響する。
【0188】
さまざまなそのような補助剤は、たとえばTego社よりTEGO(登録商標)WetKL245、TEGO(登録商標)Wet250、TEGO(登録商標)Wet260及びTEGO(登録商標)WetZFS453として、及びBYK社からBYK(登録商標)-306、BYK(登録商標)-307、BYK(登録商標)-310、BYK(登録商標)-333、BYK(登録商標)-344、BYK(登録商標)-345、BYK(登録商標)-346及びByk(登録商標)-348として市販されている。
【0189】
c4)群における補助剤は場合により液体結晶性組成物の総質量に基づいて約0~3.0質量%、好ましくは約0~1.5質量%の割合で使用される。
【0190】
c5)群における湿潤及び分散補助剤は、特に顔料の溢出及び浮遊及び沈降を防止する作用を有し、従って必要に応じて特に顔料組成物に適している。
【0191】
これらの補助剤は本質的にはこれらの補助剤を含有する顔料粒子の静電気的反発及び/又は立体障害を介して顔料分散体を安定化させ、後者の場合は周囲媒体(たとえばバインダー)との補助剤の相互作用が主要な役割を果たす。
【0192】
このような湿潤及び分散補助剤の使用は、たとえば印刷用インキ及び塗料の技術領域においては一般的な慣行であるため、この種の適当な補助剤の選択は、それらを使用する場合に当業者対して何ら困難ではない。
【0193】
このような湿潤及び分散補助剤は、たとえばTego社よりTEGO(登録商標)Dispers610、TEGO(登録商標)Dispers610S、TEGO(登録商標)Dispers630、TEGO(登録商標)Dispers700、TEGO(登録商標)Dispers705、TEGO(登録商標)Dispers710、TEGO(登録商標)Dispers720W、TEGO(登録商標)Dispers725W、TEGO(登録商標)Dispers730W、TEGO(登録商標)Dispers735W及びTEGO(登録商標)Dispers740Wとして、及び、BYK社からDisperbyk(登録商標)、Disperbyk(登録商標)-107、Disperbyk(登録商標)-108、Disperbyk(登録商標)-110、Disperbyk(登録商標)-111、Disperbyk(登録商標)-115、Disperbyk(登録商標)-130、Disperbyk(登録商標)-160、Disperbyk(登録商標)-161、Disperbyk(登録商標)-162、Disperbyk(登録商標)-163、Disperbyk(登録商標)-164、Disperbyk(登録商標)-165、Disperbyk(登録商標)-166、Disperbyk(登録商標)-167、Disperbyk(登録商標)-170、Disperbyk(登録商標)-174、Disperbyk(登録商標)-180、Disperbyk(登録商標)-181、Disperbyk(登録商標)-182、Disperbyk(登録商標)-183、Disperbyk(登録商標)-184、Disperbyk(登録商標)-185、Disperbyk(登録商標)-190、Anti-Terra(登録商標)-U、Anti-Terra(登録商標)-U80、Anti-Terra(登録商標)-P、Anti-Terra(登録商標)-203、Anti-Terra(登録商標)-204、Anti-Terra(登録商標)-206、BYK(登録商標)-151、BYK(登録商標)-154、BYK(登録商標)-155、BYK(登録商標)-P104S、BYK(登録商標)-P105、Lactimon(登録商標)、Lactimon(登録商標)-WS及びBykumen(登録商標)として市販されている。
【0194】
使用するc5)群における補助剤の量は補助剤の平均分子量に基づく。従って何れの場合も予備的な実験が提案されるが、これは当業者により容易に達成可能である。
【0195】
c6)群における疎水性化剤は、たとえば本発明の組成物を用いて作製された印刷又はコーティングに撥水特性を付与するために使用できる。これは水の吸収に起因する膨潤、従って、たとえばそのような印刷又はコーティングの光学特性の変化を防止又は少なくとも大きく抑制する。さらにこれにより、たとえばオフセット印刷の印刷用インキとして組成物を使用する場合、水の吸収を防止又は少なくとも大きく低減できる。
【0196】
そのような疎水性化剤は、たとえばTego社からTego(登録商標)PhobeWF、Tego(登録商標)Phobe1000、Tego(登録商標)Phobe1000S、Tego(登録商標)Phobe1010、Tego(登録商標)Phobe1030、Tego(登録商標)Phobe1010、Tego(登録商標)Phobe1010、Tego(登録商標)Phobe1030、Tego(登録商標)Phobe1040、Tego(登録商標)Phobe1050、Tego(登録商標)Phobe1200、Tego(登録商標)Phobe1300、Tego(登録商標)Phobe1310及びTego(登録商標)Phobe1400として市販されている。
【0197】
c6)群における補助剤は場合により重合性LC材料の総質量に基づいて約0~5.0質量%、好ましくは約0~3.0質量%の割合で使用される。
【0198】
c7)群の別の接着促進剤は接触している2つの界面の接着を向上させる作用を有する。これから直接明らかにされることは、有効である接着促進剤の本質的に唯一の画分は両界面の一方又は他方又は両方に位置するということである。たとえば液体又はペースト状の印刷用インキ、コーティング組成物又は塗料を固体基材に適用することが望まれる場合、このことは一般的には、接着促進剤を後者に直接添加しなければならないか、又は基材を接着促進剤で前処理(プライマー処理とも称される)しなければならず、すなわち、この基材に修飾された化学的及び/又は物理的表面特性を付与することを意味する。
【0199】
基材がプライマーであらかじめプライマー処理されている場合、このことは接触している界面が一方ではプライマーの、もう一方では印刷用インキ又はコーティング組成物又は塗料のものであることを意味する。この場合、基材とプライマーの間のみならず、基材と印刷用インキ又はコーティング組成物又は塗料の間の接着特性が基材上の全体的な多層構造の接着において役割を果たす。
【0200】
言及し得る広範な意味における接着促進剤はまたc4)群で既に列挙した基材湿潤補助剤であるが、これらは一般的に同じ接着促進能力を有さない。
【0201】
たとえば印刷又はコーティングを意図する基材及び印刷用インキ、コーティング組成物及び塗料の物理的及び化学的な性質が広範に変動することを鑑みれば、接着促進のシステムが多重に存在することは意外なことではない。
【0202】
シラン系の接着促進剤は、たとえば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン及びビニルトリメトキシシランである。これら及びその他のシラン類は、たとえば商品名DYNASILAN(登録商標)でHuelsから市販されている。
【0203】
このような添加剤の製造元からの相当する技術的情報を一般的に使用するべきであり、或いは、相当する予備的実験を通じて簡単な態様において当業者はこの情報を得ることができる。
【0204】
しかしながら、これらの添加剤を本発明の重合性LC材料にc7)群からの補助剤として添加するべき場合は、その割合は場合により重合性LC材料の総質量に基づいて約0~5.0質量%に相当する。添加剤の量と名称は各々個々の場合において基材及び印刷/コーティング組成物の性質により決定されるため、これらの濃度のデータは、指針となるのみである。相当する技術的情報は通常はこの場合のその添加剤の製造元から入手可能であるか、或いは、相当する予備的実験を通じて当業者により簡単な態様で測定できる。
【0205】
c8)群における引掻耐性を向上させる補助剤は、たとえばTego社より入手可能な上記製品TEGO(登録商標)Rad2100、TEGO(登録商標)Rad2200、TEGO(登録商標)Rad2500、TEGO(登録商標)Rad2600及びTEGO(登録商標)Rad2700を包含する。
【0206】
これらの補助剤に関し、c3)群に関して示した量のデータが同様に適しており、すなわちこれらの添加剤は場合により液体結晶性組成物の総質量に基づいて約0~5.0質量%、好ましくは約0~3.0質量%の割合で使用される。
【0207】
光、熱及び/又は別の酸化の安定化剤で例示してよいものは下記:
アルキル化モノフェノール類、たとえば2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、直鎖状又は分枝した側鎖を有するノニルフェノール類、たとえば2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルウンデセ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルヘプタデセ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルトリデセ-1’-イル)フェノール及びこれらの化合物の混合物、アルキルチオメチルフェノール類、たとえば2,4-ジオクチルチオメチル-6-t-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール及び2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール、
ヒドロキノン類及びアルキル化ヒドロキノン類、たとえば2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-アミルヒドロクライノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート及びビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート、
トコフェロール類、たとえばα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール及びこれらの化合物の混合物、及びトコフェロール誘導体、たとえば酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール及びポリオキシエチレンコハク酸トコフェロール(「トコフェルソレート」)、
ヒドロキシル化ジフェニルチオエーテル類、たとえば2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’ -チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’ -チオビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’ -チオビス(3,6-ジ-s-アミルフェノール)及び4,4’ -ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
アルキリデンビスフェノール類、たとえば2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(6-t-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1’-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシル-メルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス(3’-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルベンジル)-6-t-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシル-メルカプトブタン及び1,1,5,5-テトラキス(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、
O-、N-及びS-ベンジル化合物、たとえば3,5,3’,5’-テトラ-t-ブチル-4,4’-ジヒドロキシベンジルエーテル、オクタデシル4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド及びイソオクチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、たとえば1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン及び2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール、
トリアジン化合物、たとえば、2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-
トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート及び1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
ベンジルホスホネート類、たとえばジメチル2,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート及びジオクタデシル5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、
アシルアミノフェノール類、たとえば4-ヒドロキシアウロイルアニリド、4-ヒドロキシステアロイルアニリド及びオクチルN-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カーバメート、
プロピオン酸及び酢酸の、たとえば一価又は多価アルコール、たとえばメタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン及び4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]-オクタンとのエステル、
アミン誘導体系のプロピオンアミド類、たとえばN,N’-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン及びN,N’-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、
アスコルビン酸(ビタミンC)及びアスコルビン酸の誘導体、たとえばパルミチン酸アスコルビル、ラウリン酸アスコルビル及びステアリン酸アスコルビル、及び硫酸アスコルビル及びリン酸アスコルビル、
アミン化合物系の抗酸化剤、たとえば、N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-s-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルフェニル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジ-s-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-t-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル置換ジフェニルアミン、たとえばp,p’-ジ-t-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス[4-メトキシフェニル]アミン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1’,3’-ジメチルブチル)フェニル]アミン、t-オクチル置換N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノ及びジアルキル化t-ブチル/t-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化t-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン系、モノ及びジアルキル化t-ブチル/t-オクチルフェノチアジンの混合物、モノ及びジアルキル化t-オクチルフェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’-テトラフェニル-1,4-ジアミノブテ-2-エン、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバセート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オン及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、
ホスフィン類、ホスファイト類及びホスホナイト類、たとえばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス(t-ブチルフェニル))ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-12H-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-12-メチル-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト及びビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、
2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、たとえば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5’-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-s-ブチル-5’-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-t-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-ドデシル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2-(3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾールの混合物、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾル-2-イルフェノール];2-[3’-t-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300との完全エステル化産物、
イオウ含有過酸化物スカベンジャー及びイオウ含有抗酸化剤、たとえば3,3’-チオジプロピオン酸のエステル、たとえば、ラウリル、ステアリル、ミリスチル及びトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾール及び2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチル亜鉛ジチオカーバメート、ジオクタデシルジスルフィド及びペンタエリスリトールテトラキス(β-ドデシルメルカプト)プロピオネート、
2-ヒドロキシベンゾフェノン類、たとえば4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクチルオキシ、4-デシルオキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’,4’-トリヒドロキシ及び2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ誘導体、
非置換及び置換された安息香酸のエステル類、たとえば4-t-ブチルフェニルサリシレート、フェニルサリシレート、オクチルフェニルサリシレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-t-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジ-t-ブチルフェニル3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート及び2-メチル-4,6-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、
アクリレート類、たとえばエチルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、イソオクチルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチルα-メトキシカルボニルシンナメート、メチルα-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、ブチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート及びメチル-α-メトキシカルボニル-p-メトキシシンナメート、立体障害アミン、たとえばビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-n-ブチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合産物、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-t-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合産物、トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,1’-(1,2-エチレン)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)2-n-ブチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルベンジル)マロネート、3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合産物、2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合産物、2-クロロ-4,6-ジ(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合産物、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]-デカン-2,4-ジオン、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、4-ヘキサデシルオキシ-及び4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合産物、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合産物、4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-n-ドデシルスクシンイミド、N-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-n-ドデシルスクシンイミド、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ-スピロ[4.5]-デカン、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ-[4.5]デカンとエピクロロヒドリンの縮合産物、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとテトラメチロールアセチレンジ尿素との縮合産物及びポリ(メトキシプロピル-3-オキシ)-[4(2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジン]-シロキサン、
オキサルアミド類、たとえば4,4’-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’-ジエトキシオキサニリド、2,2’-ジオクチルオキシ-5,5’-ジ-t-ブトキサニリド、2,2’-ジドデシルオキシ-5,5’-ジ-t-ブトキサニリド、2-エトキシ-2’-エチルオキサニリド、N,N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサラミド、2-エトキシ-5-t-ブチル-2’-エトキサニリド及びそれと2-エトキシ-2’-エチル-5,4’-ジ-t-ブトキサニリドの混合物、及びオルト-、パラ-メトキシ二置換オキサニリドの混合物、及びオルト-、パラ-エトキシ二置換オキサニリドの混合物、
2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン類、たとえば2,4,6-トリス-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジン及び2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、
の通りである。
【0208】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は1つ以上の特異的抗酸化剤添加剤、好ましくはスイスCiba社から入手可能なIrganox(登録商標)シリーズ、たとえばIrganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)1076からのものを含む。
【0209】
RMの重合は好ましくは光重合開始剤の組み合わせの存在下に実施する。この目的のためには、好ましくは重合性LC材料は、1つ以上のカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤に加えて、さらに当業者のよく知る一種以上の重合開始剤を含有する。この点に関し、典型的なラジカル光重合開始剤は、たとえば市販されているIrgacure(登録商標)又はDarocure(登録商標)シリーズ(Ciba AG)、たとえばIrgacure127、Irgacure184、Irgacure369、Irgacure651、Irgacure817、Irgacure907、Irgacure1300、Irgacure、Irgacure2022、Irgacure2100、Irgacure2959又はDarcureTPOから選択される。
【0210】
重合性LC材料中の全体としてのこれらの追加的光重合開始剤の濃度は好ましくは0~10%、極めて好ましくは0~8%、より好ましくは0~5%である。
【0211】
好ましくは、重合性LC材料は1つ以上のカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤の他に、下記:
i.式Iの1つ以上の二反応性又は多反応性の重合性メソゲン化合物、
ii.式IIの1つ以上の一、二反応性又は多反応性の重合性メソゲン化合物、
iii.場合により1つ以上の抗酸化性添加剤、
iv.場合により式RMの1つ以上の一、二反応性又は多反応性の重合性メソゲン化合物、
v.場合により式NDの1つ以上の化合物、
vi.場合により1つ以上の光重合開始剤、
vii.場合により1つ以上の接着促進剤、
viii.場合により1つ以上の界面活性剤、
ix.場合により1つ以上の安定化剤、
x.場合により1つ以上の一、二反応性又は多反応性の重合性非メソゲン化合物、
xi.場合により光重合を開始するために使用される波長において吸収最大を示す1つ以上の染料、
xii.場合により1つ以上の連鎖移動剤、
xiii.場合により1つ以上の安定化剤、
xiv.場合により1つ以上の潤滑剤及び流動補助剤、及び、
xv.場合により1つ以上の希釈剤、
を含む。
【0212】
より好ましくは、重合性LC材料は、好ましくは1~5質量%の量、より好ましくは1.5~4質量%の量、特に2~3質量%の量の好ましくはCO-6、より好ましくはCO-11、さらにより好ましくはCO-14、特にCO-17及び/又はCO-18から選択される1つ以上のカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤の外に、下記:
a)好ましくは式I-2b1、及び/又は式I-2b-2、及び/又はI-3a-1の化合物から選択される、より好ましくは式I-2b-1の化合物から選択される、好ましくは10~90質量%、極めて好ましくは15~75質量%の量の、式Iの1つ以上、好ましくは2つ以上の二反応性重合性メソゲン化合物、
b)好ましくは式II-1a-1、及び/又はII-2a-II、及び/又はII-3a-1の化合物から選択される、より好ましくは式II-1a-1、及び/又はII-2a-1の化合物から選択される、好ましくは10~95質量%、極めて好ましくは25~85質量%の量の、式IIの1つ以上、好ましくは2つ以上の一反応性重合性メソゲン化合物、
c)場合により、好ましくは式ND-25及び/又はND-26の化合物から選択され、存在する場合は、好ましくは10~90質量%、極めて好ましくは15~40質量%の量の、式NDの1つ以上、好ましくは2つ以上の化合物、
d)場合により、好ましくは非置換及び置換された安息香酸のエステルから選択され、存在する場合は、好ましくは0.01~2質量%、極めて好ましくは0.05~1質量%の量の1つ以上の抗酸化性添加剤、特にIrganox(登録商標)1076、
e)場合により、好ましくは0.1~10質量%、極めて好ましくは0.5~8質量%の量の好ましくはIrgacure(登録商標)651及び/又はIrgacure(登録商標)907から選択される1つ以上の別の光重合開始剤、
f)場合により、好ましくはBYK(登録商標)388から選択され、存在する場合は、好ましくは0~5質量%、極めて好ましくは0.1~3質量%の量の、1つ以上の潤滑剤及び流動補助剤、及び、
g)場合により、好ましくはn-ドデカノールから選択され、存在する場合は、好ましくは0~5質量%、極めて好ましくは0.1~3質量%の量の、1つ以上の希釈剤、
を含む。
【0213】
特に正分散性を有するホメオトロピックに配向された重合体フィルムに関する別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は、好ましくは1~5質量%の量、より好ましくは1.5~4質量%の量、特に2~3質量%の量の好ましくはCO-6、より好ましくはCO-11、さらにより好ましくはCO-14、特にCO-17及び/又はCO-18から選択される1つ以上のカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤、及び、下記:
a)好ましくは式I-2b1、及び/又は式I-2b-2、及び/又はI-3a-1の化合物から選択される、より好ましくは式I-2b-1の化合物から選択される、好ましくは10~90質量%、極めて好ましくは15~75質量%の量の、式Iの1つ以上、好ましくは2つ以上の二反応性重合性メソゲン化合物、
b)好ましくは式II-1a-1、及び/又はII-2a-II、及び/又はII-3a-1の化合物から選択される、より好ましくは式II-1a-1、及び/又はII-2a-1の化合物から選択される、好ましくは10~95質量%、極めて好ましくは25~85質量%の量の、式IIの1つ以上、好ましくは2つ以上の一反応性重合性メソゲン化合物、
c)場合により、好ましくは非置換及び置換された安息香酸のエステルから選択され、存在する場合は、好ましくは0.01~2質量%、極めて好ましくは0.05~1質量%の量の1つ以上の抗酸化性添加剤、特にIrganox(登録商標)1076、
d)場合により、好ましくは0.1~10質量%、極めて好ましくは0.5~8質量%の量の好ましくはIrgacure(登録商標)651及び/又はIrgacure(登録商標)907から選択される1つ以上の光重合開始剤、
e)場合により、好ましくはn-ドデカノールから選択され、存在する場合は、好ましくは0~5質量%、極めて好ましくは0.1~3質量%の量の、1つ以上の希釈剤、
よりなる。
【0214】
特に負の分散性を有する重合体フィルムに関する別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は、好ましくは1~5質量%の量、より好ましくは1.5~4質量%の量、特に2~3質量%の量の好ましくはCO-6、より好ましくはCO-11、さらにより好ましくはCO-14、特にCO-17及び/又はCO-18から選択される1つ以上のカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤、及び、下記:
f)好ましくは式I-2b1、及び/又は式I-2b-2、及び/又はI-3a-1の化合物から選択される、より好ましくは式I-2b-2及び/又はI-3a-1の化合物から選択される、好ましくは10~90質量%、極めて好ましくは15~75質量%の量の、式Iの1つ以上、好ましくは2つ以上の二反応性重合性メソゲン化合物、
g)好ましくは式II-2a-1の化合物から選択される、好ましくは10~50質量%、極めて好ましくは25~40質量%の量の、式IIの1つ以上の一反応性重合性メソゲン化合物、
h)好ましくは式ND-25及び/又はND-26の化合物から選択され、存在する場合は、好ましくは10~90質量%、極めて好ましくは15~40質量%の量の、式NDの1つ以上の化合物、
i)場合により、好ましくは非置換及び置換された安息香酸のエステルから選択され、存在する場合は、好ましくは0.01~2質量%、極めて好ましくは0.05~1質量%の量の1つ以上の抗酸化性添加剤、特にIrganox(登録商標)1076、
j)場合により、好ましくは0.1~10質量%、極めて好ましくは0.5~8質量%の量の好ましくはIrgacure(登録商標)651及び/又はIrgacure(登録商標)907から選択される1つ以上の光重合開始剤、
よりなる。
【0215】
特に平面的に配向された重合体フィルムに関する別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は、好ましくは1~5質量%の量、より好ましくは1.5~4質量%の量、特に2~3質量%の量の好ましくはCO-6、より好ましくはCO-11、さらにより好ましくはCO-14、特にCO-17及び/又はCO-18から選択される1つ以上のカルバゾールオキシムエステル光重合開始剤、及び、下記:
a)好ましくは式I-2b1、及び/又は式I-2b-2の化合物から選択される、好ましくは10~90質量%、極めて好ましくは15~75質量%の量の、式Iの1つ以上、好ましくは2つ以上の二反応性重合性メソゲン化合物、
b)好ましくは式II-1a-1の化合物から選択される、好ましくは10~50質量%、極めて好ましくは25~40質量%の量の、式IIの1つ以上の一反応性重合性メソゲン化合物、
c)場合により、好ましくは非置換及び置換された安息香酸のエステルから選択され、存在する場合は、好ましくは0.01~2質量%、極めて好ましくは0.05~1質量%の量の1つ以上の抗酸化性添加剤、特にIrganox(登録商標)1076、
d)場合により、好ましくはBYK(登録商標)388から選択され、存在する場合は、好ましくは0~5質量%、極めて好ましくは0.1~3質量%の量の、1つ以上の潤滑剤及び流動補助剤、
よりなる。
【0216】
本発明はさらに、下記:
・基材上に上述及び後述する重合性LC材料の層を設けること、
・重合性LC材料を重合すること、及び、
・場合により、重合されたLC材料を基材から除去すること及び/又は場合により別の基材上に重合されたLC材料を設けること、
による重合体フィルムの製造方法に関する。
【0217】
重合性LC材料を適当な溶媒中に溶解することも可能である。
【0218】
別の好ましい実施形態においては、重合性LC材料は1つ以上の溶媒を含み、それは好ましくは有機溶媒から選択される。溶媒は好ましくはケトン類、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン;酢酸エステル類、たとえば酢酸メチル、酢酸エチル又は酢酸ブチル又はアセト酢酸メチル;アルコール類、たとえばメタノール、エタノール又はイソプロピルアルコール;芳香族溶媒、たとえばトルエン又はキシレン;脂環式炭化水素類、たとえばシクロペンタン又はシクロヘキサン;ハロゲン化炭化水素類、たとえばジ又はトリクロロメタン;グリコール類又はそのエステル、たとえばPGMEA(プロピルグリコールモノメチルエーテルアセテート)、γ-ブチロラクトンから選択される。上記溶媒の二元、三元又はより高次の混合物を使用することも可能である。
【0219】
重合性LC材料が1つ以上の溶媒を含有する場合、溶媒中のRMを包含する全ての固体の総濃度は好ましくは10~60%である。
【0220】
この溶液を次にたとえばスピンコーティング、印刷又は他の知られた手法により基材上にコーティング又は印刷し、重合前に溶媒を蒸発させる。大部分の場合においては、溶媒の蒸発を促進するために混合物を加熱することが適切である。
【0221】
重合性LC材料はスピンコーティング、バーコーティング又はブレードコーティングのような従来のコーティング手法により基材上に適用できる。それは当業者の知る従来の印刷方法、たとえばスクリーン印刷、オフセット印刷、リールトゥリール印刷、活版印刷、グラビア印刷、ロトグラビア印刷、フレキソ印刷、インタグリオ印刷、パッド印刷、ヒートシール印刷、インクジェット印刷又はスタンプ又は印刷版を用いた印刷により基材に適用することもできる。
【0222】
適当なプラスチック基材は当業者に知られており、文献記載のもの、たとえば光学フィルム産業において従来使用されている基材である。重合に特に適切な好ましい基材はポリエステル、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)又は環状オレフィン重合体(COP)、又は一般的に知られたカラーフィルター材料、特にトリアセチルセルロース(TAC)、環状オレフィン重合体(COP)、又は一般的に知られたカラーフィルター材料である。
【0223】
重合性LC材料は好ましくは全層にわたって均一なアライメントを示す。好ましくは重合性LC材料は平面又はホメオトロピックのアライメントを示す。RM層と基材の表面エネルギー(γ)を比較することにより、Friedel-Creagh-Kmetzの規則を用いて混合物が平面又はホメオトロピックのアライメントを採用しているかを予測することができ;すなわち、
γRM>γsである場合、反応性メソゲン化合物はホメオトロピックのアライメントを示すはずであり、γRM<γsである場合、反応性メソゲン化合物はホメオトロピックのアライメントを示すはずである。
【0224】
基材の表面エネルギーが比較的低い場合、反応性メソゲン間の分子間力はRM基材界面を横切る力よりも強力である。従って反応性メソゲンは分子間力を最大限とするために基材に対して垂直に配向する(ホメオトロピックのアライメント)。
【0225】
ホメオトロピックのアライメントは両親媒性材料を用いることにより達成することもでき;それらは重合性LC材料に直接添加することができ、又は、ホメオトロピックのアライメント層の形態のこれらの材料で基材を処理することができる。両親媒性材料の極性頭部は基材に化学的に結合し、炭化水素の尾部は基材に対して垂直方向を指す。両親媒性材料とRMの間の分子間相互作用はホメオトロピックのアライメントを促進する。一般的に使用されている両親媒性界面活性剤は前述の通りである。
【0226】
ホメオトロピックのアライメントを促進するために使用される別の方法はプラスチック基材にコロナ放電処理を適用して基材表面にアルコール又はケトンの官能基を発生させることである。これらの極性基はRM又は界面活性剤中に存在する極性基と相互作用し、ホメオトロピックのアライメントを促進することができる。
【0227】
基材の表面張力がRMの表面張力より大きい場合、界面を横切る力が優勢となる。反応性メソゲンが基材に平行に配向する場合には界面エネルギーが最小限となるため、RMの長軸が基材と相互作用することができる。
【0228】
平面アライメントを促進することができる1つの方法はポリイミド層で基材をコーティングし、次にベルベット布でアライメント層を摩擦することである。
【0229】
他の適当なアライメント層は当該分野で知られており、たとえば米国特許第5602661号明細書(US 5,602,661)、米国特許第5389698号明細書(US 5,389,698)又は米国特許第6717644号明細書(US 6,717,644)に記載されている光アライメントにより製造された摩擦ポリイミド又はアライメント層である。
【0230】
一般的に、アライメント手法の検討は、たとえばI.Sageの“Thermotropic Liquid Crystals”、G.W.Gray編、John Wiley&Sons、1987、75~77頁において:そしてT.Uchida及びJ.Sekiの“Liquid Crystals-Applications and Uses Vol.3”、B.Bahadur編、World Scientific Publishing、Singapore、1992、1~63頁において示されている。アライメント材料及び手法の別の検討はJ.CognardによりMol.Cryst.Liq.Cryst.78、補遺1(1981)1~77頁において示されている。
【0231】
本発明の重合体フィルムの製造のためには、重合性LC材料中の重合性化合物はインサイチュ重合により重合又は架橋(1つの化合物が重合性の基を2つ以上含有する場合)させる。
【0232】
重合は一工程で実施できる。第一の工程で反応しなかった化合物を第二の工程において重合又は架橋させることも可能である(「終硬化」)。
【0233】
好ましい製造方法においては重合性LC材料を基材にコーティングし、その後、たとえば国際公開第01/20394号(WO 01/20394)、英国特許出願公開第2315072号明細書(GB 2,315,072)又は国際公開第98/04651号(WO 98/04651)に記載の通り、たとえば熱又は化学線放射への曝露により、重合する。
【0234】
LC材料の重合は好ましくはそれを化学線放射に曝露することにより達成する。化学線放射とは光、たとえばUV光、IR光又は可視光の照射、X線又はガンマ線の照射、又は高エネルギー粒子、たとえばイオン又は電子の照射を意味する。好ましくは重合は特にUV光を用いた光照射により実施する。化学線放射の線源としては、たとえば単一のUVランプ又はUVランプのセットを使用できる。高いランプ電力を用いる場合、硬化時間は減少できる。光放射のための別の考えられる線源はレーザー、たとえばUVレーザー、IRレーザー又は可視レーザーである。
【0235】
硬化時間はとりわけ重合性LC材料の反応性、コーティングされた層の厚み、重合開始剤の種類及びUVランプの電力に依存している。硬化時間は好ましくは5分以下、極めて好ましくは3分以下、最も好ましくは1分以下である。大量生産のためには30秒以下の短い硬化時間が好ましい。
【0236】
適当なUV放射出力は好ましくは5~200mWcm-2の範囲、より好ましくは50~175mWcm-2の範囲、そして最も好ましくは100~150mWcm-2の範囲である。
【0237】
適用するUV放射との関連において、そして時間の関数として、適当なUV線量は25~7200mJcm-2の範囲、より好ましくは500~7200mJcm-2の範囲、最も好ましくは3000~7200mJcm-2の範囲である。
【0238】
重合は好ましくは不活性ガス雰囲気下において、好ましくは加熱窒素雰囲気下において行うが、空気中の重合も可能である。
【0239】
重合は好ましくは1~70℃、より好ましくは5~50℃、さらにより好ましくは15~30℃の温度で行う。
【0240】
本発明の重合LCフィルムはプラスチックの基材、特にTAC、COP及びカラーフィルターに良好に接着する。従ってそれは、別様には基材に良好に接着しない後続のLC層に対する接着剤又はベースコーティングとして使用できる。
【0241】
本発明の重合LCフィルムの好ましい厚みはフィルム又は最終製品に望まれる光学特性により決定される。たとえば、重合LCフィルムが光学層としては主に機能せず、たとえば接着用、配向用又は保護用の層となる場合は、その厚みは好ましくは1μm以下であり、特に0.5μm以下であり、極めて好ましくは0.2μm以下である。
【0242】
たとえば本発明の均一にホメオトロピック又は平面に配向した重合体フィルムは、たとえばLCDにおけるリタデーション又はコンペンセーションフィルムとして使用でき、これにより広角視野におけるコントラスト及び輝度を向上させ、色度を低減できる。それらはLCDにおける切り替え可能な液体結晶性セルの外部で、又は切り替え可能な液体結晶性セルを形成し切り替え可能な液体結晶性媒体(セル用途の場合)を含有している通常はガラス基材である基材の間において使用することができる。
【0243】
重合体フィルムの光学用途のためには、それは好ましくは0.5~10μm、極めて好ましくは0.5~5μm、特に0.5~3μmの厚みを有する。
【0244】
入射ビームの波長(λ)の関数としての重合体フィルムの光学リタデーション(δ(λ))は以下の式(7):
δ(λ)=(2πΔn・d)/λ (7)
により与えられ、式中(Δn)はフィルムの複屈折であり、(d)はフィルムの厚みであり、λは入射ビームの波長である。
【0245】
Snelliusの法則によれば、入射ビームの方向の関数としての複屈折は下記:
Δn=sinθ/sinΨ (8)
の通り定義され、式中、sinθは入射角又はフィルム中の光軸の傾斜角度であり、sinΨは相当する反射角である。
【0246】
これらの法則に基づけば、複屈折、従って光学リタデーションはフィルムの厚み及びフィルム中の光軸の傾斜角度に依存する(Berekの補償器参照)。従って、当業者の想到する通り、異なる光学リタデーション又は異なる複屈折は重合体フィルム中の液体結晶性分子の配向性を調節することにより誘導できる。
【0247】
本発明の重合体フィルムの複屈折(Δn)は好ましくは0.01~0.03の範囲、より好ましくは0.01~0.25の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.16の範囲である。
【0248】
本発明の重合体フィルムの厚みの関数としての光学リタデーションは200nm未満、好ましくは180nm未満、さらにより好ましくは150nm未満である。
【0249】
特にセル用途に関しては本発明の重合体フィルムは高い温度安定性を示す。すなわち、重合体フィルムは300℃まで、好ましくは250℃まで、より好ましくは230℃まで、温度安定性を示す。
【0250】
本発明の重合体フィルムはまた他の液体結晶性又はRM材料のためのアライメントフィルムとしても使用できる。たとえばそれらはLCDにおいて、切り替え可能な液体結晶性媒体のアライメントを誘導又は向上させるため、又はその上にコーティングされる重合性LC材料の後続する層を配向するために使用できる。この方法において重合LCフィルムの積層物を製造できる。
【0251】
まとめると、本発明の重合LCフィルム及び重合性LC材料は光学エレメント、たとえば液晶ディスプレイ又はプロジェクションシステムにおける偏光板、補償器、アライメント層、環状偏光板又はカラーフィルター、装飾画像、液晶又はエフェクト顔料の製造のため、及び、たとえば装飾用の多色画像としての特に三次元的に変化する反射色を有する反射フィルム、情報記録媒体又はセキュリティ用途、たとえば偽造されてはならない文書、たとえば身分証明書又はクレジットカード、紙幣等において有用である。
【0252】
本発明の重合LCフィルムは透過性又は反射性の型のディスプレイにおいて使用できる。それらは従来のOLEDディスプレイ又はLCD、特にDAP(配向相変形)又はVA(垂直配向)モードのLCD、たとえばECB(電子制御複屈折)、CSH(カラースーパーホメオトロピック)、VAN又はVAC(垂直配向ネマティック又はコレステリック)ディスプレイ、MVA(マルチドメイン垂直配向)又はPVA(パターン化垂直配向)ディスプレイにおいて、ベンドモードのディスプレイ又はハイブリッド型のディスプレイ、たとえばOCB(光学コンペンセーションベンドセル又は光学コンペンセーション複屈折)、R-OCB(反射OCB)、HAN(ハイブリッド配向ネマティック)又はパイセル(πセル)ディスプレイにおいて、さらにはTN(ねじれネマティック)、HTN(高度ねじれネマティック)又はSTN(超ねじれネマティック)モードのディスプレイにおいて、AMD-TN(アクティブマトリックス駆動TN)ディスプレイにおいて、又は別名「超TFT」ディスプレイのIPS(インプレーン切り替え)モードのディスプレイにおいて使用できる。特に好ましいものはVA、MVA、PVA、OCB及びパイセルディスプレイである。
【0253】
本発明の重合性材料及び重合体フィルムは、欧州特許第0829744号明細書(EP 0829744)、欧州特許出願公開第0887666号明細書(EP 0887666A2)、欧州特許第号0887692明細書(EP 0887692)、米国特許第6046849号明細書(US 6,046,849)、米国特許第6437915号明細書(US 6,437,915)、及び“Proceedings o the SID 20th International Display Research Conference,2000”,280頁に記載の通り、特に3Dディスプレイのために有用である。本発明の重合体フィルムを含むこの種の3Dディスプレイは本発明の別の目的である。
【0254】
本発明を好ましい実施形態を特に参照しながら上述及び後述している。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更や変形が可能であることは理解される。
【0255】
上述及び後述する多くの化合物又はその混合物は市販されている。これらの化合物の全ては既知であるか、文献(たとえば標準的研究書、たとえばHouben-Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],Georg- Thime-Verlag,Stuttgart)に記載の通り、既知でありその反応に適切な反応条件下で厳密に、それ自体知られた方法により製造できる。自体既知であるがここでは言及しない変形例の使用も可能である。文脈により明確に特段記載されない限り、本明細書においては用語の複数形は単数形も包含し、その逆も妥当であるとみなされる。
【0256】
本出願を通して、明示的に特段の記載が無い限り、全ての濃度は質量%で示され、該当する完全な混合物に関するものであり、全ての温度は摂氏(セルシウス)で示され、全ての温度差は摂氏で示される。全ての物理的特性は“Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystal”、Status Nov.1997,Merck KGaA,Germanyに従って測定されているか、測定され、明示的に特段の記載が無い限り20℃の温度におけるものを示している。光学的アニソトロピー(Δn)は589.3nmの波長において測定する。
【0257】
本明細書の記載及び請求項を通して、「含む」及び「含有する」という単語及びこれらの単語の変形、たとえば「含んでいる」及び「含む」は「包含するが限定されない」ことを意味し、その他の成分を排除することを意図しない(実際に排除しない)。一方、「含む」という単語は用語「よりなる」も包含するが、それに限定されない。
【0258】
本明細書の記載及び請求項を通して、「得ることができる」及び「得られた」という単語及びこれらの単語の変形は「包含するが限定されない」ことを意味し、その他の成分を排除することを意図しない(実際に排除しない)。一方、「得ることができる」という単語は用語「得られる」も包含するが、それに限定されない。
【0259】
本発明の前述の実施形態の変形例は本発明の範囲内になお属しつつ行うことができる。同じ、等価又は同様の目的に供する代替の特徴は特段の記載が無い限り本明細書に開示した各々の特徴を置き換えてよい。すなわち特段の記載が無い限り、開示した各々の特徴は等価又は同様の特徴の一般的なシリーズの単に一例である。
【0260】
本明細書に開示した特徴の全ては、そのような特徴及び/又は工程の少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、いかなる組み合わせにおいても組み合わせてよい。特に本発明の好ましい特徴は本発明の全ての側面に適用可能であり、いかなる組み合わせにおいても使用してよい。同様に非本質的な組み合わせにおいて記載した特徴は個別に(組み合わせずに)使用してよい。
【0261】
特に好ましい実施形態の前述の特徴の多くはそれ自体の権利において発明性があり、本発明の実施形態の単なる部分ではないことは理解される。現時点で請求項に記載している何れかの発明に加えて、或いはその代替として、これらの特徴のために独立した保護を探求してよい。
【0262】
ここで以下の本発明による実施例を参照することにより本発明をさらに詳細に説明するが、実施例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定しない。
【0263】
以下の実施例は限定することなく本発明を説明する役割を果たす。
【0264】
実施例
以下の実施例に関して、以下のRMを使用する。
【化36】
【0265】
実施例1:
以下のホスト混合物H-1を製造する。
【表1】
【0266】
さまざまな光重合開始剤(表1参照)の2.5%を上記ホスト混合物H-1の塊状物にドープすることにより試験混合物を製造する。各々の場合において、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン(1:1:1)中、26%固体の範囲で混合物を溶解する。各材料を30秒間1000rpmで基材としてのガラス素板上にスピンコーティングする。次にコーティングされたフィルムを1分間50℃の高温において基材にアニール処理し、N2雰囲気下に静電融合Hバルブ中でそれぞれ硬化する(150mW、1.8s)。
【0267】
全フィルム積層物がガラス/重合体フィルム/感圧性接着剤/TACとなるように感圧性接着剤を用いて各フィルムをTACにラミネートし、これらのフィルムを耐久性実験に付す。
【0268】
各硬化フィルムのリタデーションを計測するためにCaryのエクリプスエリプソメーターを使用する。リタデーションは550nmの波長の光源を用いて+40°の角度で分析する。次に各フィルムを合計24時間85℃のオーブン中に入れる。24時間後、フィルムをオーブンから取り出し、室温に冷却したのち、リタデーションプロファイルを再度記録する。オーブン試験の前後のR
40の差により耐久性ΔR
40[%]を定量化する。各実験中、同一条件で各混合物の3種のフィルムを製造し、処理することにより、誤った結果を特定し、最小限にする。結果を以下の表1にまとめる。
【表2】
*比較実施例、
**Oxe02はCibaから市販されている本発明の式CO-17の化合物である。
【0269】
全ての重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一のホメオトロピックのアライメントを示す。CM1~CM11の比較実施例とは対照的に、本発明のM1の実施例は有意に増大した耐久性を示す。
【0270】
【0271】
Irganox(登録商標)1076は市販の安定化剤である(CibaAG、Basel、Switzerland)。N1919TはAdeka社から市販されている本発明の式CO-18の化合物である。
メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン(1:1:1)中、26%固体の範囲で混合物を溶解する。
【0272】
得られた材料を30秒間1000rpmで基材としてのガラス素板上にスピンコーティングする。次にコーティングされたフィルムを1分間50℃の高温において基材にアニール処理し、N2雰囲気下に静電融合Hバルブ中で硬化する(150mW、1.8s)。
【0273】
得られた重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一のホメオトロピックのアライメントを示し、M1の実施例に匹敵する耐久性を示す。
【0274】
【0275】
Irganox(登録商標)1076は市販の安定化剤である(CibaAG、Basel、Switzerland)。N1919TはAdeka社から市販されている本発明の式CO-18の化合物である。
【0276】
メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン(1:1:1)中、26%固体の範囲で混合物を溶解する。
【0277】
得られた材料を30秒間1000rpmで基材としてのガラス素板上にスピンコーティングする。次にコーティングされたフィルムを1分間50℃の高温において基材にアニール処理し、N2雰囲気下に静電融合Hバルブ中で硬化する(150mW、1.8s)。
【0278】
得られた重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一のホメオトロピックのアライメントを示し、M1の実施例に匹敵する耐久性を示す。
【0279】
実施例4及び5
以下の混合物CM12及びCM13を製造する。
【表5】
【0280】
Irganox(登録商標)1076は安定化剤、Irgacure(登録商標)907及びIrgacure(登録商標)651は光重合開始剤であり、全て市販品である(CibaAG、Basel、Switzerland)。塊状混合物C12及びC13に式CO-17の化合物(CibaAGより市販されているOxe02)1%を添加し、それぞれ混合物M4及びM5を得る。
【0281】
メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン(1:1:1)中、26%固体の範囲で混合物を溶解する。
【0282】
得られた材料をMeyerバー3を用いてCOP基材上にバーコーティングし、2分間室温で基材にアニール処理し、それぞれN2雰囲気下に静電融合Hバルブ中で硬化する(150mW、1.8s)。
【0283】
各重合体フィルムのヘイズレベルをShimatsu3600UV-Vis-IR分光光度計を用いて直接計測する。ヘイズレベルは以下の式:
ヘイズレベル=(100*(%T(拡散))/(%(全体)))-COP基材の%ヘイズ
を用いて定義される。
【0284】
結果を表2に示す。
【表6】
*市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907及びIrgacure(登録商標)651を用いた比較実施例
**市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907及びIrgacure(登録商標)651及び式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)の組み合わせを用いた本発明による実施例。
【0285】
全ての重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一のホメオトロピックのアライメントを示す。CM12及びCM13の比較実施例とは対照的に、本発明のM4及びM5の実施例は各々有意に低下したヘイズレベルを示す。
【0286】
次に、全フィルム積層物がCOP/重合体フィルム/感圧接着剤となるように各重合体フィルムを感圧接着剤にラミネートし、露出した表面が残されるようにする。これらのフィルムを実施例1に示した耐久性実験に付す。結果を表3にまとめる。
【表7】
*市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907及びIrgacure(登録商標)651を用いた比較実施例
**市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907及びIrgacure(登録商標)651及び式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)の組み合わせを用いた本発明による実施例。
【0287】
CM12及びCM13の比較実施例とは対照的に、本発明のM4及びM5の実施例は各々有意に増大した耐久性を示す。
【0288】
実施例5及び6
CM12、CM13、M4及びM5の混合物をメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン(1:1:1)中、26%固体の範囲で溶解する。
【0289】
得られた材料を30秒間1000rpmで基材としてのガラス素板上にスピンコーティングする。次にコーティングされたフィルムを1分間さまざまな温度(表4参照)において基材にアニール処理し、N2雰囲気下に静電融合Hバルブ中で硬化する(150mW、1.8s)。
【0290】
全ての重合体フィルムは交差した偏光板の間で調べると均一のホメオトロピックのアライメントを示す。
【0291】
各重合体フィルムから、以下の操作法で表面粗さを測定する。表面粗さ(R
z)はDektakプロフィロメーターを用いて計測する。R
zはフィルムの表面の粗さの尺度であり、高い順の5つのピーク及び低い順の5つのバレーから求めた、フラット値からの平均偏差により定義される。R
zは、プロフィロメーターを用いてフィルム表面上の0.5mm
2面積について各フィルムで計測する。結果を表4にまとめる。
【表8】
*市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907及びIrgacure(登録商標)651を用いた比較実施例
**市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907及びIrgacure(登録商標)651及び式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)の組み合わせを用いた本発明による実施例。
【0292】
CM12及びCM13の比較実施例から得られた重合体フィルムと比較して、本発明の混合物M4及びM5から得られた重合体フィルムは各々、有意に低下した表面粗さを示す。
【0293】
実施例7
以下の混合物CM14及びM6を製造する。
【表9】
【0294】
混合物CM14及びM6を各々、トルエン/シクロヘキサノン(1:1)中26%固体の範囲で溶解する。
【0295】
得られた材料をMeyerバー3を用いて基材としての研磨TAC上にバーコーティングする。次にコーティングされたフィルムを1分間60℃で基材にアニール処理し、N2雰囲気下に静電融合Hバルブ中で硬化する(150mW、1.8s)。
【0296】
全ての重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一の平面アライメントを示す。
【0297】
全フィルム積層物がTAC/重合体フィルム/感圧性接着剤/ガラスとなるように感圧性接着剤を用いて各フィルムをガラス素板にラミネートする。
【0298】
各硬化フィルムのリタデーション(R
0)を計測するためにCaryのエクリプスエリプソメーターを使用する。リタデーションは550nmの波長の光源を用いて+0°の角度で分析する。次に各フィルムを合計24時間85℃のオーブン中に入れる。24時間後、フィルムをオーブンから取り出し、室温に冷却したのち、リタデーションプロファイルを再度記録する。オーブン試験の前後のR
0の差により耐久性ΔR
0[%]を定量化する。結果を以下の表5にまとめる。
【表10】
*市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907(CibaAG、Basel、Switzerland)を用いた比較実施例。
**式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)を用いた本発明による実施例。
【0299】
CM14の比較実施例とは対照的に、本発明のM6の実施例は有意に増大した耐久性を示す。
【0300】
【0301】
上記ホスト混合物の塊状物中に2.5%のIrgacure(登録商標)907又はCO-17の化合物(Oxe02)をドープしてIrgacure(登録商標)907を含む混合物CM15及び化合物CO-17を含むM7とすることにより試験混合物を製造する。次に各混合物をMeyerバー4を用いてCOP上にバーコーティングする。次にコーティングしたフィルムを1分間60℃の高温において基材にアニール処理し、N2雰囲気下に静電融合Hバルブ中でそれぞれ硬化する(150mW、1.8s)。
【0302】
両方の重合体フィルムは交差した偏光板の間で調べると均一のホメオトロピックのアライメントを示す。
【0303】
全フィルム積層物がCOP/重合体フィルム/感圧性接着剤/ガラス素板となるように感圧性接着剤を用いて各フィルムをガラス素板にラミネートし、これらのフィルムを耐久性実験に付す。
【0304】
各硬化フィルムのリタデーション(R
40)を計測するためにCaryのエクリプスエリプソメーターを使用する。R
40は550nmの波長の光源を用いて40°の角度で分析する。リタデーション分散R
40-450/R
40-550を求めるために、材料のリタデーションを450nm及び550nmの波長において40°の角度で計測する。次に各フィルムを合計24時間85℃のオーブンに入れる。24時間後、フィルムをオーブンから取り出し、室温に冷却したのち、リタデーションプロファイルを再度記録する。オーブン試験の前後のR
40及びR
40-450/R
40-550の差により耐久性を定量化する。結果を以下の表6にまとめる。
【表12】
*市販の光重合開始剤Irgacure(登録商標)907(CibaAG、Basel、Switzerland)を用いた比較実施例。
**式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)を用いた本発明による実施例。
【0305】
CM15の比較実施例とは対照的に、本発明のM7の実施例はR40及びR40-450/R40-550の両方の低下に関して有意に増大した耐久性を示す。
【0306】
実施例9
以下の混合物M8を製造する。
【表13】
【0307】
トルエン/シクロヘキサン(7:3)中の混合物M8の33.3%溶液を製造する。20℃で30分間1500rpmにおいて、研磨ポリイミドアライメント層で被覆されたガラス基材上に試験混合物をスピンコーティングする。コーティングされたフィルムを1分間68℃の高温でアニール処理し、N2雰囲気下で室温に冷却する。次にアニール処理されたフィルムをN2雰囲気下365nmのUV光で硬化する(80mW、60s)。
【0308】
重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一の平面アライメント及び良好なR40の耐久性及びリタデーション分散(R0-450/R0-550)を示す。
【0309】
実施例10
以下のホスト混合物H-2を製造する。
【表14】
【0310】
FluorN561はCytonix社から市販されている、100%固体の非反応性で高フッ素含有のエチレングリコール系重合体フッ素界面活性剤である。
【0311】
前述のホスト混合物H-2の塊状物中に相当する光重合開始剤1%をドープすることにより試験混合物(表7参照)を製造し、トルエン/シクロヘキサン(7:3)中の各試験混合物の33.3%溶液を製造する。20℃で30秒間1500rpmにおいて、研磨ポリイミドアライメント層で被覆されたガラス基材上に各試験混合物をスピンコーティングする。コーティングされたフィルムを1分間68℃の高温でアニール処理し、N2雰囲気下で室温に冷却する。次にアニール処理されたフィルムをN2雰囲気下365nmのUV光で硬化する(80mW、60s)。
【0312】
全ての重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一の平面アライメントを示す。
【0313】
各重合体フィルムのリタデーション(R
0)を計測するためにCaryのエクリプスエリプソメーターを使用する。リタデーションは550nmの波長の光源を用いて0°の角度で分析する。リタデーション分散(R
0-450/R
0-550)を求めるために、リタデーションをさらに450nmの波長において0°の角度で計測する。次に各フィルムを合計137時間85℃のオーブンに入れる。24時間及び137時間後、フィルムをオーブンから取り出し、室温に冷却し、リタデーションプロファイルを再度記録する。オーブン試験の前後のR
0及びR
0-450/R
0-550の差により耐久性を定量化する。結果を以下の表7及び8にまとめる。
【表15】
*比較実施例、光重合開始剤は全てCibaAG、Basel、Switzerlandより入手可能。
**式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)を用いた本発明による実施例。
【表16】
*比較実施例、光重合開始剤は全てCibaAG、Basel、Switzerlandより入手可能。
**式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)を用いた本発明による実施例。
【0314】
CM16~CM20の比較実施例とは対照的に、本発明のM9の実施例はR0及びR0-450/R0-550の両方の変化に関して有意に増大した耐久性を示す。
【0315】
実施例10
実施例9の各試験混合物(CM16~CM20及びM9)から、トルエン/シクロヘキサン(7:3)中の各試験混合物の33.3%溶液を製造する。20℃で30分間1500rpmにおいて、研磨ポリイミドアライメント層で被覆されたガラス基材上に材料をスピンコーティングする。コーティングされたフィルムを1分間68℃の高温でアニール処理し、N2雰囲気下で室温に冷却する。次にアニール処理されたフィルムをN2雰囲気下250~450nmの範囲のUV光で硬化する(80mW、60s)。
【0316】
全ての重合体フィルムは、交差した偏光板の間で調べると均一の平面アライメントを示す。
【0317】
各重合体フィルムのリタデーション(R
0)を計測するためにCaryのエクリプスエリプソメーターを使用する。リタデーションは550nmの波長の光源を用いて0°の角度で分析する。リタデーション分散(R
0-450/R
0-550)を求めるために、リタデーションをさらに450nmの波長において0°の角度で計測する。次に各フィルムを合計137時間85℃のオーブンに入れる。24時間及び137時間後、フィルムをオーブンから取り出し、室温に冷却し、リタデーションプロファイルを再度記録する。オーブン試験の前後のR
0及びR
0-450/R
0-550の差により耐久性を定量化する。結果を以下の表9及び10にまとめる。
【表17】
【表18】
*比較実施例、光重合開始剤は全てCibaAG、Basel、Switzerlandより入手可能。
**式CO-17の化合物(Oxe02、CibaAG、Basel、Switzerlandからの市販品)を用いた本発明による実施例。
【0318】
CM16~CM20の比較実施例とは対照的に、本発明のM8の実施例はR0及びR0-450/R0-550の両方の変化に関して有意に増大した耐久性を示す。