(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20220208BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20220208BHJP
【FI】
E04D13/18
H02S20/23 A
(21)【出願番号】P 2017150782
(22)【出願日】2017-08-03
【審査請求日】2020-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大塚 公一郎
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-266446(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0053517(US,A1)
【文献】特開2012-149402(JP,A)
【文献】中国実用新案第203722550(CN,U)
【文献】特開2011-196067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0111835(US,A1)
【文献】特開2016-192835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルと、
屋根の傾斜方向に延びて前記屋根に固定される縦桟と、
前記傾斜方向に直交する方向に延びて前記縦桟上に連結され、前記太陽光パネルを固定支持する横桟と、
前記横桟における軒側又は棟側のいずれか一方に配置され、前記横桟と前記太陽光パネルとを電気的に導通させるアース接続部と、
前記横桟と前記縦桟とを電気的に導通させる導通金具と、を備え
、
前記導通金具は、前記縦桟の上面に固定される取付平面板と、前記取付平面板から前記縦桟側に突出して形成され前記縦桟の幅方向の位置を規制する一対の位置規制部と、前記取付平面板の前記横桟側の端部において下方が開放するU字状に形成され前記横桟に引っ掛けられる引っ掛け部と、前記引っ掛け部の下端に形成され前記横桟の表面処理膜を破壊して前記横桟と電気的に接続される横桟側爪部と、前記取付平面板の下面から下方に突出して形成され前記縦桟の表面処理膜を破壊して前記縦桟と電気的に接続される縦桟側爪部と、を有する太陽光発電装置。
【請求項2】
前記横桟及び/又は前記縦桟は、複数の桟構成部材と、隣接する前記桟構成部材を連結する連結部材と、を有し、
前記連結部材及び前記桟構成部材は、それぞれ、ネジ孔を有し、前記ネジ孔においてネジ部材により連結され、
前記ネジ部材の径は、前記ネジ孔の径よりも大きい請求項
1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記アース接続部は、前記横桟における軒側に配置される請求項1
又は2に記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記アース接続部は、前記横桟に形成されるU字状のU字状部と、前記太陽光パネルと前記U字状部とを接続するアース金具と、前記U字状部と前記アース金具とを電気的に導通させるネジ部材と、を有し、
前記ネジ部材は、前記アース金具を貫通した状態で前記U字状部の内部に導入され、前記ネジ部材の外周面が前記U字状部の内面にネジ込まれることで前記U字状部と前記アース金具とを電気的に接続する請求項1から
3のいずれかに記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関する。詳しくは、太陽光発電パネルと縦桟と横桟とを備える太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電装置のアース構造において、屋根の傾斜方向において横桟を挟んで配置される太陽光発電パネル同士を導通させるために、横桟と軒側の太陽光発電パネルとを導通させるアース接続部と、横桟と棟側の太陽光発電パネルとを導通させるアース接続部と、の2つのアース接続部を備えるものがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載の太陽光発電装置のアース構造においては、太陽光発電パネルが漏電した場合に、2つのアース接続部を用いて横桟を挟んで配置される太陽光発電パネル同士を導通させて、太陽光発電パネルに導通された横桟の端部から電気を大地に逃がすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の技術においては、2つのアース接続部を用いて横桟を挟んで配置される太陽光発電パネル同士を導通させて接地するため、アース接続部に要するコストが増大する可能性がある。
【0005】
本発明は、アース接続部に要するコストを低減できる太陽光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、太陽光パネル(例えば、後述の太陽光発電パネル4)と、屋根の傾斜方向に延びて前記屋根に固定される縦桟(例えば、後述の縦桟31)と、前記傾斜方向に直交する方向に延びて前記縦桟上に連結され、前記太陽光パネルを固定支持する横桟(例えば、後述の横桟32)と、前記横桟における軒側又は棟側のいずれか一方に配置され、前記横桟と前記太陽光パネルとを電気的に導通させるアース接続部(例えば、後述のアース接続部5)と、前記横桟と前記縦桟とを電気的に導通させる導通金具(例えば、後述の縦横導通金具33)と、を備える太陽光発電装置に関する。
【0007】
また、前記導通金具は、前記横桟の表面処理膜を破壊して前記横桟と電気的に接続される横桟側爪部(例えば、後述の引っ掛け側突起335)と、前記縦桟の表面処理膜を破壊して前記縦桟と電気的に接続される縦桟側爪部(例えば、後述の下面突起332)と、を有することが好ましい。
【0008】
また、前記横桟及び/又は前記縦桟は、複数の桟構成部材(例えば、後述の横桟構成部材321)と、隣接する前記桟構成部材を連結する連結部材(例えば、後述の連結部材329)と、を有し、前記連結部材及び前記桟構成部材は、それぞれ、ネジ孔(例えば、後述のネジ孔321a、329a)を有し、前記ネジ孔においてネジ部材(例えば、後述のネジ部材321b)により連結され、前記ネジ部材の径は、前記ネジ孔の径よりも大きいことが好ましい。
【0009】
また、前記アース接続部は、前記横桟における軒側に配置されることが好ましい。
【0010】
また、前記アース接続部は、前記横桟に形成されるU字状のU字状部(例えば、後述のU字状部327)と、前記太陽光パネルと前記U字状部とを接続するアース金具(例えば、後述のアース金具51)と、前記U字状部と前記アース金具とを電気的に導通させるネジ部材(例えば、後述の導通ネジ部材55)と、を有し、前記ネジ部材は、前記アース金具を貫通した状態で前記U字状部の内部に導入され、前記ネジ部材の外周面が前記U字状部の内面にネジ込まれることで前記U字状部と前記アース金具とを電気的に接続することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アース接続部に要するコストを低減できる太陽光発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る太陽光発電装置が適用された太陽光発電屋根の平面図である。
【
図2】本実施形態に係る太陽光パネル架台の平面図である。
【
図5】アース接続部の取り付け構造を示す斜視図である。
【
図6】縦横導通金具の取り付け構造を示す斜視図である。
【
図7】縦横導通金具に形成される横桟側爪部及び縦桟側爪部の構成を示す斜視図である。
【
図8】複数の横桟構成部材が連結部材を介して連結される横桟の構成を示す斜視図である。
【
図9】太陽光発電パネルが漏電した場合の電気の伝達を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態の太陽光発電装置としての太陽光発電屋根1の構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電装置が適用された太陽光発電屋根1の平面図である。
図2は、本実施形態に係る太陽光パネル架台3の平面図である。
図3は、
図1のA-A線断面図である。
図4は、
図1のB-B線断面図である。
図5は、アース接続部5の取り付け構造を示す斜視図である。
図6は、縦横導通金具33の取り付け構造を示す斜視図である。
図7は、縦横導通金具33に形成される横桟側爪部335及び縦桟側爪部332の構成を示す斜視図である。
図8は、複数の横桟構成部材321が連結部材329を介して連結される横桟32の構成を示す斜視図である。
【0014】
太陽光発電屋根1は、
図1~4に示すように、下地材2(
図3参照)と、太陽光パネル架台3と、太陽光発電パネル4(太陽光パネル)と、を備える。
【0015】
下地材2は、
図3に示すように、野地板21と、防水シート22と、鋼板23と、を備える。下地材2は、太陽光発電屋根1の土台部分を構成し、後述する太陽光パネル架台3を固定支持する。
【0016】
野地板21は、建物(図示せず)の屋根の骨組みである垂木20の上に張られて配置される。この野地板21は、太陽光発電屋根1の全面に配置される。野地板21としては、合板等の板材が用いられる。
【0017】
防水シート22は、上述の野地板21上に配置される。この防水シート22により、太陽光発電屋根1の防水性が高められる。防水シート22としては、板紙にアスファルトを含浸させたアスファルトルーフィング等の防水材料が用いられる。
【0018】
鋼板23は、上述の防水シート22上に配置される。この鋼板23により、太陽光発電屋根1の防火性、防水性及び強度が高められる。鋼板23としては、従来公知の防火鋼板等が用いられる。
【0019】
太陽光パネル架台3は、太陽光発電パネル4を屋根に固定するために用いられる。太陽光パネル架台3は、
図3に示すように、上述の下地材2上にビス止めされて固定される。また、太陽光パネル架台3は、上述の太陽光発電パネル4を固定支持する。
太陽光パネル架台3は、
図2に示すように、格子状に枠組みされた複数の縦桟31と、複数の横桟32と、を備える。
【0020】
縦桟31は、屋根の傾斜方向に延びて形成され、屋根に固定される。縦桟31は、棟から軒先に亘って通しで設けられる。縦桟31は、傾斜方向に直交する方向に所定間隔で複数配置されて下地材2にビス止めされる。
【0021】
横桟32は、
図2に示すように、屋根の傾斜方向に直交する方向に延びて形成され、
図3に示すように、縦桟31上に、縦横導通金具33及び軒側固定金具34を介して、ビス止めされる。横桟32は、太陽光発電パネル4を下方から支持し、
図3に示すように、後述の隣接する太陽光発電パネル4の横辺部の連結部である横連結部41の直下に配置される。また、横桟32は、
図2に示すように、複数の横桟構成部材321が横方向に連結されて構成される。
【0022】
太陽光発電パネル4は、
図1及び
図2に示すように、太陽光発電屋根1の屋根の傾斜方向に複数枚が併設されると共に、該傾斜方向と直交する方向に複数枚が並設され、上述の太陽光パネル架台3により固定支持される。
【0023】
太陽光発電パネル4の周縁部のうち、屋根の傾斜方向に直交する方向に沿う横辺部は、上述の太陽光パネル架台3を構成する横桟32を間に挟んで、隣接する太陽光発電パネル4の横辺部に連結されることで、横連結部41を形成する(
図3及び
図4参照)。横桟32の上部は、
図4に示すように、屋根の傾斜方向に並んで隣接する太陽光発電パネル4のうち、棟側の太陽光発電パネル4の軒側の横辺部である軒側端部と、軒側の太陽光発電パネルの棟側の横辺部である棟側端部とに挟まれて配置される。
【0024】
横連結部41は、
図4に示すように、太陽光パネル架台3を構成する横桟32の直上に配置される。横連結部41には、隣接する太陽光発電パネル4の横辺部により挟持される横桟32の上部に、両横辺部に沿って延びる連結部パネル押え部材35(パネル押え部材)が取り付けられる。
【0025】
連結パネル押え部材35は、
図1に示すように、屋根の傾斜方向に直交する方向に延びる。連結パネル押え部材35は、太陽光発電パネル4の上面側に配置され、横桟32から離れる方向への太陽光発電パネル4の移動を押さえる。連結パネル押え部材35は、隣接する太陽光発電パネル4の軒側端部及び棟側端部の上方側に配置される。
【0026】
連結部パネル押え部材35は、
図4に示すように、棟側延出片352(押え片)と、軒側延出片353(押え片)と、2つの下部係合爪片354(係合爪部)と、を有する。棟側延出片352及び軒側延出片353は、ネジ部材350によりネジ止めされる部分から、屋根の傾斜方向の軒側及び棟側の両側に延出する。下部係合爪片354は、横桟32の上部に係合する。
【0027】
連結部パネル押え部材35は、横桟32の上部において、
図1に示すように、横桟32が延びる方向に沿って、横桟32が延びる方向の所定位置において、複数のネジ部材350により横桟32にネジ止めされて固定される。連結部パネル押え部材35は、太陽光発電パネル4の端部が横桟32から離れる方向への移動を押さえる。
【0028】
屋根の傾斜方向の最も軒側に配置される太陽光発電パネル4の軒側端部には、
図1及び
図3に示すように、軒側カバー部材36が取り付けられ、最も棟側に配置される太陽光発電パネル4の棟側端部には、棟側端部押え部材37が取り付けられ、棟側端部押え部材37の棟側には、棟側カバー部材38が取り付けられる。
【0029】
軒側カバー部材36は、
図3に示すように、太陽光発電屋根1の軒先に配置される。軒側カバー部材36は、太陽光発電屋根1の屋根の傾斜方向に直交する方向に延びてその軒先を覆うことで、軒先を保護する。これにより、軒先の意匠性が高められている。軒側カバー部材36は、断面視で、棟側において、前述の連結部パネル押え部材35の棟側延出片352と同様の構成を有し、軒側において、屋根の傾斜方向に沿って延びた後、軒先に向かうに従って下方に傾斜して設けられる。軒側カバー部材36は、横桟32の上部において、軒先に沿って延設され、横桟32が延びる方向に沿って、横桟32が延びる方向の所定位置において、複数のネジ部材360により、横桟32にネジ止めされて固定される。
【0030】
棟側押え部材37は、
図3に示すように、太陽光発電屋根1の棟部において、最も太陽光発電パネル4の棟側の端部を押さえる。棟側押え部材37は、前述の連結部パネル押え部材35と同様の形状を有するが、屋根の傾斜方向の棟側に太陽光発電パネルが存在しないため、屋根の傾斜方向の軒側の片側のみで、最も棟側に配置される太陽光発電パネル4の棟側端部を押さえる。棟側押え部材37の棟側には、棟側カバー部材38が配置される。棟側押え部材37は、横桟32の上部において、横桟32が延びる方向に沿って、横桟32が延びる方向の所定位置において、複数のネジ部材370により、横桟32にネジ止めされて固定される。
【0031】
棟側カバー部材38は、
図3に示すように、太陽光発電屋根1の棟部に配置される。棟側カバー部材38は、屋根の傾斜方向に延びた後、屋根の棟部に向かうに従って下方に傾斜し、その後、太陽光発電屋根1の傾斜方向に直交する方向に延びてその棟部を覆うことで、棟部を保護する。これにより、棟部の意匠性が高められている。棟側カバー部材38は、棟側押え部材37に係止された状態で、最も棟側の横桟32にネジ止めされている。
【0032】
また、横桟32は、
図4に示すように、複数のアース接続部5により、太陽光発電パネル4に電気的に導通するように接続されている。複数のアース接続部5は、横桟32における屋根の傾斜方向の棟側及び軒側のうちの棟側にのみ配置される。複数のアース接続部5は、
図2に示すように、横桟32が延びる方向の所定位置に配置され、横桟32と太陽光発電パネル4とを電気的に接続する。
【0033】
次に、太陽光発電屋根1におけるアース構造について説明する。
太陽光発電屋根1のアース構造は、
図1~
図4に示すように、縦桟31と、横桟32と、太陽光発電パネル4と、アース接続部5と、縦横導通金具33(導通金具)と、を備える。アース構造に関連する各部材の電気的な接続構造について説明する。
【0034】
縦桟31及び横桟32は、例えば、アルミ材料などの金属による押し出し成形により形成され、導電性を有する。また、太陽光発電パネル4の周囲を囲むフレーム42(
図4参照)は、金属材料で形成され、導電性を有する。縦桟31、横桟32及び太陽光発電パネル4は、その外表面に、腐食防止のためのアルマイト処理や塗装などの表面処理膜が施されている。縦桟31、横桟32及び太陽光発電パネル4の表面処理膜は、絶縁性を有する絶縁膜で形成される。
【0035】
アース接続部5は、
図2及び
図3に示すように、横桟32の棟側及び軒側のうち、棟側のみに配置される。アース接続部5は、導電性の材料により形成され、横桟32と太陽光発電パネル4とを接続することで、横桟32と太陽光発電パネル4とを電気的に導通させる。アース接続部5は、
図4及び
図5に示すように、横桟32に形成されるU字状部327と、U字状部327と太陽光発電パネル4とを接続するアース金具51と、U字状部327とアース金具51とを電気的に導通させる導通ネジ部材55(ネジ部材)と、を有する。
【0036】
アース金具51は、
図4及び
図5に示すように、導通ネジ部材55により、横桟32に形成されるU字状部327に取り付けられる。アース金具51は、軒側の側方が開放するU字状に形成され、上面板52、側面板53及び下面板54を有する。
【0037】
上面板52の上面には、円環部521を介して4つの突起爪522が形成される。4つの突起爪522は、上端が鋭利な爪形状に形成される。上面板52の上面には、太陽光発電パネル4が載置される。これにより、4つの突起爪522は、太陽光発電パネル4のフレーム42の端部側の下面に当接して、太陽光発電パネル4のフレーム42の表面処理膜を破壊して、太陽光発電パネル4のフレーム42に電気的に接続される。そして、アース金具51は、太陽光発電パネル4に導通される。
【0038】
側面板53には、上面板52の棟側の端部から下方に延びる。側面板53には、導通ネジ部材55が貫通して配置されるネジ貫通穴531が形成される。
下面板54は、上面板52と平行に形成され、側面板53の下端部から軒側に延びる。
【0039】
横桟32のU字状部327には、アース金具51が取り付けられる。横桟32のU字状部327は、横桟32の立ち上がり壁326の上部の棟側に形成される。横桟32の立ち上がり壁326は、横桟32のホロー部320の下端部から棟側に延びる横桟底面延出板325の途中に形成される、U字状部327は、棟側が開放するU字状に形成される。
【0040】
U字状部327は、立ち上がり壁326の上部の一部分により構成される側面板326aと、側面板326aから棟側に突出し上下に離間して配置される2つの横板327a,327bと、により構成される。U字状部327にアース金具51を取り付けた状態においては、アース金具51のU字形状の開放部分とU字状部327のU字形状の開放部分とが対向した状態で、U字状部327のU字形状の開放部分は、アース金具51のU字形状の開放部分の内部に収容されて配置される。アース金具51の上面板52及び下面板54は、U字状部327を上下方向において挟む。
【0041】
導通ネジ部材55は、アース金具51の内部に横桟側U字状部327が配置された状態で、アース金具51のネジ貫通穴531を貫通して、横桟側U字状部327の2つの横板327a,327bの上下の対向面に当接した状態で挿入される。導通ネジ部材55は、アース金具51を貫通した状態でU字状部327の内部に導入され、導通ネジ部材55の外周面がU字状部327の内面である2つの横板327a,327bの上下の対向面にネジ込まれる。これにより、導通ネジ部材55は、U字状部327とアース金具51とを電気的に接続する。このように、アース金具51は、導通ネジ部材55を介して、横桟32のU字状部327に導通される。
【0042】
以上のように構成されるアース接続部5においては、アース金具51が横桟32のU字状部327に配置された状態で導通ネジ部材55がネジ込まれることで、アース金具51と横桟32とが導通される。アース金具51に太陽光発電パネル4が載置されることで、4つの突起爪522が太陽光発電パネル4のフレーム42の表面処理膜を破壊して、アース金具51と太陽光発電パネル4とが導通される。これにより、アース接続部5を介して、横桟32と太陽光発電パネル4とは導通される。
【0043】
縦横導通金具33は、
図2及び
図3に示すように、縦桟31と横桟32との交差部分において、横桟32の棟側に配置される。縦横導通金具33は、導電性の材料により形成され、縦桟31と横桟32とを電気的に導通させる。縦横導通金具33は、
図6及び
図7に示すように、取付平面板331と、一対の下面突起332(縦桟側爪部)と、一対の位置規制部333と、引っ掛け部334と、3つの引っ掛け側突起335(横桟側爪部)と、を有する。
【0044】
取付平面板331は、縦桟31と横桟32との交差部分における横桟32の棟側において、縦桟31の上面に配置され、ネジ止めにより固定される。
【0045】
一対の下面突起332は、取付平面板331における縦桟31の幅方向の両端部において、取付平面板331の下面から下方に突出して形成される。下面突起332は、下端が鋭利な爪形状に形成される。下面突起332は、取付平面板331が縦桟31の表面に取り付けられた場合に、縦桟31の表面に当接して、縦桟31の表面処理膜を破壊して、縦桟31と縦横導通金具33とを導通させて、縦桟31と電気的に接続させる。
【0046】
一対の位置規制部333は、取付平面板331における縦桟31の幅方向の両端部から、縦桟31の側部の外側の部分に沿って突出すると共に、縦桟31の長手方向に延びる。一対の位置規制部333は、縦桟31の幅方向の端部の外側に配置され、縦横導通金具33の縦桟31の幅方向の位置を規制する。
【0047】
引っ掛け部334は、取付平面板331における軒側に接続され、下方が開放するU字状に形成される。引っ掛け部334は、横桟32のホロー部320の下端部から棟側に延びる横桟底面延出板325の棟側の先端部から上方に突出して形成される引っ掛け壁328に引っ掛けられる。
【0048】
3つの引っ掛け側突起335は、引っ掛け部334の軒側の下端部から下方に突出して形成される。引っ掛け側突起335は、下端が鋭利な爪形状に形成される。引っ掛け側突起335は、引っ掛け部334が横桟32の引っ掛け壁328に引っ掛けられた場合に、横桟底面延出板325の上面に当接して、横桟32の表面処理膜を破壊して、横桟32と縦横導通金具33とを導通させて、横桟32と電気的に接続させる。
【0049】
以上のように構成される縦横導通金具33は、一対の下面突起332により縦桟31と縦横導通金具33とを導通させると共に、引っ掛け側突起335により横桟32と縦横導通金具33とを導通させることで、縦桟31と横桟32とを導通させる。縦横導通金具33において、一対の下面突起332及び引っ掛け側突起335は、下端が鋭利な爪形状に形成され、下方に突出するため、上方に突出するよりも、安全に構成される。
【0050】
横桟32は、
図8に示すように、複数の横桟構成部材321と、隣接する横桟構成部材321を連結する連結部材329と、を有する。横桟32は、隣接する横桟構成部材321が、連結部材329を介して連結されることで構成される。横桟構成部材321及び連結部材329には、横桟構成部材321及び連結部材329を接続するためのネジ部材321bがネジ込まれるネジ孔321a,329aが形成される。連結部材329及び横桟構成部材321は、ネジ孔321a、329aにおいてネジ部材321bにより連結される。
【0051】
ネジ部材321bの径は、ネジ孔321a,329aの径よりも大きく形成される。これにより、横桟構成部材321及び連結部材329をネジ部材321bで連結する際に、ネジ部材321bがネジ孔321a,329aにネジ込まれて、ネジ部材321bがネジ孔321a,329aに食い込んで電気的に接続される。そのため、隣接する横桟構成部材321が連結部材329を介して確実に電気的に接続されるため、隣接する横桟構成部材321が連結部材329を介して確実に電気的に接続されるため、横桟32を導通する電気を、横桟32が延びる方向に確実に導通させることができる。
【0052】
ここで、太陽光発電パネル4が漏電した場合の電気の伝達について説明する。
図9は、太陽光発電パネル4が漏電した場合の電気の伝達を示す図である。
本実施形態においては、
図9に示すように、最も棟側の横桟32の長手方向の一方側(
図9における左側)において、横桟32は接地されている。
【0053】
図9に示すように、太陽光発電パネル4が漏電した場合、太陽光発電パネル4から漏れた電気は、アース接続部5を介して、横桟32に導通される。横桟32を導通された電気は、縦横導通金具33を介して、縦桟31に導通される。縦桟31に伝達された電気は、接地されている最も棟側の横桟32に向かって流れ、縦横導通金具33を介して、最も棟側の横桟32に導通される。最も棟側の横桟32に導通された電気は、横桟32における接地された長手方向の一方側(
図9における左側)に向かって流れされ、接地された箇所において、大地に逃がされる。
【0054】
以上説明した本実施形態の太陽光発電屋根1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の太陽光発電屋根1は、太陽光発電パネル4と、屋根の傾斜方向に延びて屋根に固定される縦桟31と、傾斜方向に直交する方向に延びて縦桟31上に連結され、太陽光発電パネル4を固定支持する横桟32と、横桟32における棟側の一方に配置され、横桟32と太陽光発電パネルとを電気的に導通させるアース接続部5と、横桟32と縦桟31とを電気的に導通させる縦横導通金具33と、を備える。アース接続部5を棟側の一方にのみ配置したため、アース接続部5に要するコストを低減できる。
【0055】
また、本実施形態においては、縦横導通金具33は、横桟32の表面処理膜を破壊して横桟32と電気的に接続される引っ掛け側突起335と、縦桟31の表面処理膜を破壊して縦桟31と電気的に接続される下面突起332と、を有する。そのため、縦横導通金具33を簡易な構成にできるため、横桟32と縦桟31とを、簡易な構成で電気的に導通させることができる。
【0056】
また、本実施形態においては、横桟32は、複数の横桟構成部材321と、隣接する横桟構成部材321を連結する連結部材329と、を有し、連結部材329及び横桟構成部材321は、それぞれ、ネジ孔321a、329aを有し、ネジ孔321a、329aにおいてネジ部材321bにより連結され、ネジ部材321bの径は、ネジ孔321a、329aの径よりも大きい。そのため、横桟構成部材321及び連結部材329をネジ部材321bで連結する際に、ネジ部材321bがネジ孔321a,329aにネジ込まれて、ネジ部材321bがネジ孔321a,329aに食い込んで電気的に接続される。これにより、隣接する横桟構成部材321が連結部材329を介して確実に電気的に接続されるため、横桟32を導通する電気を、横桟32が延びる方向に確実に導通させることができる。
【0057】
また、本実施形態においては、アース接続部5は、横桟32に形成されるU字状のU字状部327と、太陽光発電パネル4とU字状部327とを接続するアース金具51と、U字状部327とアース金具51とを電気的に導通させる導通ネジ部材55と、を有し、導通ネジ部材55は、アース金具51を貫通した状態でU字状部327の内部に導入され、導通ネジ部材55の外周面がU字状部327の内面にネジ込まれることでU字状部327とアース金具51とを電気的に接続する。これにより、導通ネジ部材55の外周面がU字状部327の内面にネジ込まれるため、横桟32の切り粉が生じにくい。よって、横桟32の切り粉が散乱することによる電気的なショートのリスクを低減できる。
【0058】
以上、本発明の太陽光発電屋根1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、横桟32を、隣接する横桟構成部材321が、連結部材329を介して連結されることで構成して、ネジ部材の径をネジ孔の径よりも大きく形成したが、これに限定されず、この構成を縦桟31に適用してもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、アース接続部5を、横桟32における棟側に配置したが、これに限定されず、横桟32における軒側に配置してもよい。例えば、太陽光発電パネル4を隣接する横桟32の間に取り付ける場合に、太陽光発電パネル4における屋根の傾斜方向の下方側の部分を横桟32の棟側の部分に移動させて挿入し、その後、太陽光発電パネル4における屋根の傾斜方向の上方側の部分を横桟32の軒側の部分に載置する。この場合、アース接続部5が横桟32における棟側に配置された場合には、アース接続部5の4つの突起爪522の上を太陽光発電パネル4が移動して、太陽光発電パネル4に不要な傷を付ける可能性がある。一方、アース接続部5が横桟32における軒側に配置された場合には、太陽光発電パネル4の上方側の部分を横桟32の軒側の部分に載置するだけなので、太陽光発電パネル4における必要な箇所のみに傷を付けて導電させることができる。よって、アース接続部5を、横桟32における軒側に配置することで、太陽光発電パネル4を容易に取り付けることができる。従って、太陽光発電パネル4を横桟32に取り付ける施工性を向上できる。
【符号の説明】
【0060】
1 太陽光発電屋根(太陽光発電装置)
4 太陽光発電パネル(太陽光パネル)
5 アース接続部
31 縦桟
32 横桟
33 縦横導通金具(導通金具)
51 アース金具
55 導通ネジ部材(ネジ部材)
321 横桟構成部材(桟構成部材)
321a ネジ孔
321b ネジ部材
327 U字状部
329 連結部材
329a ネジ孔
332 下面突起(縦桟側爪部)
335 引っ掛け側突起(横桟側爪部)