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特許7020819浴室窓用窓額縁部材の化粧カバー及び浴室窓の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】浴室窓用窓額縁部材の化粧カバー及び浴室窓の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/34 20060101AFI20220208BHJP
   E06B 1/62 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E06B1/34 Z
E06B1/62 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017163448
(22)【出願日】2017-08-28
(65)【公開番号】P2019039254
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】夏目 昌寿
(72)【発明者】
【氏名】安沢 智明
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-203632(JP,A)
【文献】特開2004-270289(JP,A)
【文献】特開平10-299345(JP,A)
【文献】実開昭56-119874(JP,U)
【文献】実開昭57-139580(JP,U)
【文献】実開昭57-167180(JP,U)
【文献】特開2002-194953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/12
E06B 1/34
E06B 1/62-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室ユニットの窓用開口部を構成する窓枠体と建物躯体の外窓との間が窓額縁部材で接続され、前記窓額縁部材に設けられた外周フランジ部が室内側から前記窓枠体に固定される浴室窓構造において、前記外周フランジ部を覆うように取り付けられる浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーであって、
化粧カバー本体と、前記化粧カバー本体から幅方向にはみ出す幅延長部とを有して前記外周フランジ部よりも幅広に形成され、
前記幅延長部に、前記化粧カバーの長さ方向に沿う複数の切断誘導部が、幅方向に間隔をおいて形成され、
前記幅延長部がいずれかの前記切断誘導部において切断されることによって幅調整可能な構成を有し、
前記幅延長部の裏面に、前記化粧カバーの長さ方向に沿う複数のリブが、幅方向に間隔をおいて形成され、
前記切断誘導部は、前記リブの付け根部である、浴室窓用窓額縁部材の化粧カバー。
【請求項2】
浴室ユニットの窓用開口部を構成する窓枠体と建物躯体の外窓との間が窓額縁部材で接続され、前記窓額縁部材に設けられた外周フランジ部が室内側から前記窓枠体に固定される浴室窓構造において、前記外周フランジ部を覆うように取り付けられる浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーであって、
化粧カバー本体と、前記化粧カバー本体から幅方向の外側にはみ出して設けられ、切断されることによって幅調整可能な幅延長部と、を有して前記外周フランジ部よりも幅広に形成され
前記幅延長部に、前記化粧カバーの長さ方向に沿う複数の切断誘導部が、幅方向に間隔をおいて形成され、
前記幅延長部がいずれかの前記切断誘導部において切断されることによって幅調整可能な構成を有し、
前記幅延長部の裏面に、前記化粧カバーの長さ方向に沿う複数のリブが、幅方向に間隔をおいて形成され、
前記切断誘導部は、前記リブの付け根部である、浴室窓用窓額縁部材の化粧カバー。
【請求項3】
浴室ユニットの窓用開口部を構成する窓枠体と建物躯体の外窓との間を窓額縁部材で接続し、前記窓枠体に前記窓額縁部材に設けられた外周フランジ部を室内側から固定した後、前記外周フランジ部を覆うように化粧カバーを取り付ける浴室窓の施工方法であって、
前記化粧カバーとして請求項1又は2に記載の浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーを用い、
前記外周フランジ部に隣接する浴室内構造体と前記窓額縁部材との間の距離に応じて、前記化粧カバーの幅を調整し、
幅が調整された後の前記化粧カバーを、前記外周フランジ部に取り付ける、浴室窓の施工方法。
【請求項4】
前記窓額縁部材の前記外周フランジ部のうちの下部外周フランジ部を、前記窓枠体を構成する下部横枠体に対して位置合わせして固定し、
前記外周フランジ部のうちの上部外周フランジ部に隣接する前記浴室内構造体と前記窓額縁部材との間の距離に応じて、前記化粧カバーの幅を調整し、
幅が調整された後の前記化粧カバーを、前記上部外周フランジ部に取り付ける、請求項に記載の浴室窓の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室窓用窓額縁部材の化粧カバー及び浴室窓の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物躯体の外窓と内壁との間を接続するために窓額縁部材が使用されている(例えば特許文献1参照)。浴室ユニットにおいても、浴室窓を形成する際には、浴室ユニットと建物躯体の外窓との間が窓額縁部材を介して水密的に接続される。
【0003】
一般に、窓額縁部材は外周フランジ部を有し、この外周フランジ部が、浴室内側から壁パネルにネジ止めされることによって取り付けられる。その後、ネジを隠して浴室内からの外周フランジ部の見栄えを良くするため、外周フランジ部に化粧カバーが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3540271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴室ユニットに浴室窓を形成する際、窓額縁部材の位置に応じて、窓額縁部材の周囲の壁パネルの寸法が適宜調整される。これにより、窓額縁部材の周囲は寸法調整された壁パネルによって囲まれるため、浴室内側からの窓額縁部材の周囲の見栄えが悪くなることはない。しかし、例えば、浴室窓が浴室ユニットの壁面の上下端目一杯まで達するような大開口の浴室窓である場合、窓額縁部材の上下に壁パネルが存在しないため、壁パネルの寸法調整によって窓額縁部材の周囲の見栄えを良好に維持することができない場合がある。
【0006】
この場合、窓額縁部材の外周フランジ部を浴室ユニットの窓用開口部を構成する窓枠体に直接固定することになるが、窓額縁部材の取り付け位置と浴室ユニットの窓枠体の位置とが完全に一致するとは限らず、位置ずれが発生する場合がある。このため、窓額縁部材の外周フランジ部とこの外周フランジ部に隣接する浴室内構造体(例えば天井パネル等)との間に隙間が発生し、窓枠体が露出することによって室内側からの見栄えを悪化させてしまう問題がある。
【0007】
この隙間の大きさは、外窓と浴室ユニットの窓枠体との位置の誤差の程度によって一様ではないため、調整用の小サイズの壁パネル(石膏ボードや鋼板、タイル等)を設けることによって解消しようとすると、隙間の寸法に応じて壁パネルを現場で切断、調整しなくてはならず、施工に非常に時間が掛かってしまう問題がある。
【0008】
上記の問題は、窓額縁部材の上下方向で発生するのみならず、窓額縁部材の左右方向でも同様に発生し得る。
【0009】
そこで、本発明は、窓額縁部材を取り付ける壁面に壁パネルが存在しない場合でも、窓額縁部材の周囲に隙間を発生させず、見栄えが良好な浴室窓構造を構築することができる浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーを提供することを目的とする。
また、本発明は、窓額縁部材を取り付ける壁面に壁パネルが存在しない場合でも、窓額縁部材の周囲に隙間を発生させず、見栄えを良好にすることができる浴室窓の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明に係る浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーは、浴室ユニット(例えば、後述の浴室ユニット1)の窓用開口部(例えば、後述の窓用開口部13)を構成する窓枠体(例えば、後述の上部横枠体11、下部横枠体12)と建物躯体(例えば、後述の建物躯体100)の外窓(例えば、後述の外窓101)との間が窓額縁部材(例えば、後述の窓額縁部材7)で接続され、前記窓額縁部材に設けられた外周フランジ部(例えば、後述の外周フランジ部72)が室内側から前記窓枠体に固定される浴室窓構造において、前記外周フランジ部を覆うように取り付けられる浴室窓用窓額縁部材の化粧カバー(例えば、後述の化粧カバー9)であって、前記外周フランジ部よりも幅広に形成されると共に、幅調整可能な構成を有するものである。
【0011】
(2) (1)に記載の浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーにおいて、化粧カバー本体(例えば、後述の化粧カバー本体91)と、前記化粧カバー本体から幅方向にはみ出す幅延長部(例えば、後述の幅延長部92)とを有して前記外周フランジ部よりも幅広に形成され、前記幅延長部に、前記化粧カバーの長さ方向に沿う複数の切断誘導部(例えば、後述の切断誘導部921、922、923)が、幅方向に間隔をおいて形成され、前記幅延長部がいずれかの前記切断誘導部において切断されることによって幅調整可能な構成を有するものであってもよい。
【0012】
(3) (2)に記載の浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーにおいて、前記幅延長部の裏面に、前記化粧カバーの長さ方向に沿う複数のリブ(例えば、後述のリブ95、96、97)が、幅方向に間隔をおいて形成され、前記切断誘導部は、前記リブの付け根部であってもよい。
【0013】
(4) 本発明に係る浴室窓の施工方法は、浴室ユニット(例えば、後述の浴室ユニット1)の窓用開口部(例えば、後述の窓用開口部13)を構成する窓枠体(例えば、後述の上部横枠体11、下部横枠体12)と建物躯体(例えば、後述の建物躯体100)の外窓(例えば、後述の外窓101)との間を窓額縁部材(例えば、後述の窓額縁部材7)で接続し、前記窓枠体に前記窓額縁部材に設けられた外周フランジ部(例えば、後述の外周フランジ部72)を室内側から固定した後、前記外周フランジ部を覆うように化粧カバーを取り付ける浴室窓の施工方法であって、前記化粧カバーとして(1)~(3)のいずれかに記載の浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーを用い、前記外周フランジ部に隣接する浴室内構造体(例えば、後述の天井パネル4)と前記窓額縁部材との間の距離(例えば、後述の距離D1)に応じて、前記化粧カバーの幅を調整し、幅が調整された後の前記化粧カバーを、前記外周フランジ部に取り付けるものである。
【0014】
(5) (4)に記載の浴室窓の施工方法において、前記窓額縁部材の前記外周フランジ部のうちの下部外周フランジ部(例えば、後述の下部外周フランジ部722)を、前記窓枠体を構成する下部横枠体(例えば、後述の下部横枠体12)に対して位置合わせして固定し、前記外周フランジ部のうちの上部外周フランジ部(例えば、後述の上部外周フランジ部721)に隣接する前記浴室内構造体と前記窓額縁部材との間の距離に応じて、前記化粧カバーの幅を調整し、幅が調整された後の前記化粧カバーを、前記上部外周フランジ部に取り付けるものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、窓額縁部材を取り付ける壁面に壁パネルが存在しない場合でも、窓額縁部材の周囲に隙間を発生させず、見栄えが良好な浴室窓構造を構築することができる浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーを提供することができる。
また、本発明によれば、窓額縁部材を取り付ける壁面に壁パネルが存在しない場合でも、窓額縁部材の周囲に隙間を発生させず、見栄えが良好な浴室窓構造を構築することができる浴室窓の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーが適用された浴室の内部を示す図である。
図2】窓額縁部材の構成を示す斜視図である。
図3】本発明に係る浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーが適用された浴室窓構造の断面図である。
図4図3に示す浴室窓構造における窓額縁部材の下部外周フランジ部の周囲を拡大して示す断面図である。
図5図3に示す浴室窓構造における窓額縁部材の上部外周フランジ部の周囲を拡大して示す断面図である。
図6図3図4に示す下部外周フランジ部に取り付けられる化粧カバーを拡大して示す断面図である。
図7図3図5に示す上部外周フランジ部に取り付けられる化粧カバーを拡大して示す断面図である。
図8】本発明の他の実施形態における窓額縁部材の上部外周フランジ部の周囲を拡大して示す断面図である。
図9】本発明の更に他の実施形態における窓額縁部材の上部外周フランジ部の周囲を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーが適用された浴室の内部を示す図である。図2は、窓額縁部材の構成を示す斜視図である。図3は、本発明に係る浴室窓用窓額縁部材の化粧カバーが適用された浴室窓構造の断面図である。図4は、図3に示す浴室窓構造における窓額縁部材の下部外周フランジ部の周囲を拡大して示す断面図である。図5は、図3に示す浴室窓構造における窓額縁部材の上部外周フランジ部の周囲を拡大して示す断面図である。
【0018】
浴室ユニット1は、図1中の左右に見える壁パネル2、2と、床パネル3と、天井パネル4と、浴槽5とを有する。浴槽5は、左右の壁パネル2、2間に亘って設置され、この浴槽5の奥に、浴室窓6が配置されている。
【0019】
本実施形態に示す浴室窓6は、浴槽5の奥の壁面の上下端目一杯まで達するような大開口の浴室窓であり、建物躯体100の外窓101によって構成される。具体的には、浴室窓6は、外窓101と浴室ユニット1の窓用開口部13を構成する窓枠体(後述する上部横枠体11、下部横枠体12等)との間が窓額縁部材7によって水密的に接続されることによって構成される。なお、窓額縁部材7が取り付けられる壁面には、窓額縁部材7に連続する壁パネルは存在しておらず、窓額縁部材7の上側は天井パネル4と隣接し、下側は浴槽5と隣接している。また、窓額縁部材7の左右はそれぞれ壁パネル2、2と隣接している。これら天井パネル4、浴槽5、壁パネル2、2は、本発明における「浴室内構造体」に相当する。
【0020】
窓額縁部材7は、図2に示すように、額縁部71と、この額縁部71の一方の周縁に、外側に張り出すように形成された外周フランジ部72とを有している。額縁部71は、上部額縁部711と、下部額縁部712と、左右の側部額縁部713、714とによって矩形筒状に形成され、外窓101に繋がる矩形状の開口枠70を形成している。また、外周フランジ部72は、上部外周フランジ部721と、下部外周フランジ部722と、左右の側部外周フランジ部723、724とによって矩形枠状に形成されている。
【0021】
外周フランジ部72は、全周に亘って同幅に形成されている。外周フランジ部72の外周側と内周側には、後述する化粧カバーを取り付けるための一対の取付けリブ73、73が平行に形成されている。また、外周フランジ部72は、固定用のネジを挿通させるための複数のネジ穴74を有している。
【0022】
窓額縁部材7の上部外周フランジ部721及び下部外周フランジ部722は、図3図5に示すように、浴室ユニット1の窓用開口部13を構成する窓枠体のうちの上部横枠体11及び下部横枠体12に浴室内側から当接し、それぞれ取付けネジ14、15によって固定されている。窓額縁部材7の左右の側部外周フランジ部723、724は、図示しないが、同様にして、窓枠体のうちの左右の縦枠体に浴室内側から当接し、取付けネジによって固定される。なお、窓枠体は浴室ユニット1の主枠体と兼用されていてもよい。
【0023】
窓額縁部材7の額縁部71は、図3に示すように、浴室ユニット1の外部に突出し、外窓101の内側窓額縁102の外側に嵌合している。そして、額縁部71は、内側窓額縁102と共に取付けネジ103によって建物躯体100に固定されている。
【0024】
外周フランジ部72には、この外周フランジ部72を覆うように、取付けネジ14、15等を隠すための樹脂製の化粧カバーが、浴室内側から取り付けられている。図3図5では、下部外周フランジ部722に取り付けられた化粧カバー8と、上部外周フランジ部721に取り付けられた化粧カバー9のみを示すが、左右の側部外周フランジ部723、724にも同様に化粧カバーが取り付けられる。
【0025】
ここで、化粧カバー8、9について更に詳細に説明する。
図6は、図3図4に示す下部外周フランジ部722に取り付けられた化粧カバー8を拡大して示す断面図である。
化粧カバー8は、外周フランジ部72の幅に対応して形成された従来品である。化粧カバー8は、平板状の化粧カバー本体81の長さ方向に亘って、外周フランジ部72の一対の取付けリブ73、73と係合可能な一対の係合用リブ82、82と、1つの外縁リブ83とを有している。一対の係合用リブ82、82のうちの一方と外縁リブ83は、化粧カバー本体81の幅方向(図6に示す上下方向)の両端部に配置されている。
【0026】
化粧カバー8は、一対の係合用リブ82、82が窓額縁部材7の下部外周フランジ部722の一対の取付けリブ73、73と係合することによって取り付けられる。このとき、化粧カバー8の外縁リブ83は、下部横枠体12と浴槽5のフランジ部51との間に設けられた浴槽取付け部材52の上面に当接又は近接している。浴槽取付け部材52は、ボルト53によって浴槽5のフランジ部51に固定されている。図4に示すように、外縁リブ83と浴槽5のフランジ部51との間にはシール材S1が塗布、充填され、止水と同時に浴槽取付け部材52を浴室内側から目視されないように遮蔽している。
【0027】
図7は、図3図5に示す上部外周フランジ部721に取り付けられた化粧カバー9を拡大して示す断面図である。
化粧カバー9は、上記の従来品である化粧カバー8とは異なり、窓額縁部材7の外周フランジ部72よりも幅広に形成され、幅調整可能な構成を有するものである。具体的には、化粧カバー9は、平板状の化粧カバー本体91と、この化粧カバー本体91に一体に連接され、化粧カバー本体91の幅方向に大きくはみ出す幅延長部92とを有している。
【0028】
また、化粧カバー本体91は、化粧カバー9の長さ方向に亘って、外周フランジ部72の一対の取付けリブ73、73と係合可能な一対の係合用リブ93、93と、第1外縁リブ94とを有している。一対の係合用リブ93、93のうちの一方(幅延長部92から遠い方の係合用リブ93)と第1外縁リブ94は、化粧カバー本体91の幅方向(図7に示す上下方向)の両端部に配置されている。
【0029】
幅延長部92には、化粧カバー9の長さ方向に沿って延びる複数の切断誘導部921、922、923が、幅方向に間隔をおいて形成されている。切断誘導部921、922、923は、カッター等の切断工具を用いて幅延長部92が切断加工される際の切断動作を円滑に誘導する機能を有する。この化粧カバー9は、いずれかの切断誘導部921、922、923の部位によって幅延長部92が切断、除去されることにより、幅を調整することができるようになっている。
【0030】
本実施形態に示す化粧カバー9は3つの切断誘導部921、922、923を有しているが、切断誘導部の数は複数であればよく、3つに限定されない。また、複数の切断誘導部の間隔も任意であり、均一の間隔であってもよいし、不均一の間隔であってもよい。
【0031】
幅延長部92の裏面には、化粧カバー9の長さ方向に沿って延びる複数のリブ95、96、97が、幅方向に間隔をおいて更に形成されている。リブ95は、幅延長部92が切断誘導部922の部位で、カットラインC2に沿って切断された場合に、化粧カバー9の最も外側(天井パネル4側)に配置される外縁リブとなる部位である(以下、第2外縁リブ95という。)。リブ96は、幅延長部92が切断誘導部923の部位で、カットラインC3に沿って切断された場合に、化粧カバー9の最も外側に配置される外縁リブとなる部位である(以下、第3外縁リブ96という。)。リブ97は、幅延長部92が全く切断されなかった場合に、化粧カバー9の最も外側に配置される外縁リブとなる部位である(以下、第4外縁リブ97という。)。なお、幅延長部92が切断誘導部921の部位でカットラインC1に沿って切断された場合は、化粧カバー本体91の第1外縁リブ94が最も外側に配置される。
【0032】
本実施形態に示す化粧カバー9の切断誘導部921、922、923は、第1外縁リブ94、第2外縁リブ95及び第3外縁リブ96のそれぞれの付け根部となっている。具体的には、切断誘導部921、922、923は、第1外縁リブ94、第2外縁リブ95及び第3外縁リブ96における化粧カバー本体91から遠い側の付け根部となっている。これにより、カットラインC1、C2、C3に沿って切断誘導部921、922、923の部位を切断する際、各外縁リブ94、95、96を切断ガイドとして直線的に切断することができる。従って、この化粧カバー9は、別途の定規等の切断補助具を用いることなく、現場で容易に切断加工を行うことができる。
【0033】
また、切断誘導部921、922、923が、各外縁リブ94、95、96における化粧カバー本体91から遠い側の付け根部に設けられることにより、切断後に、必ずいずれかの外縁リブ94、95、96を化粧カバー9の最も外側に残存させることができる。即ち、この化粧カバー9は、どの切断誘導部921、922、923の部位で幅延長部92を切断しても、最も外側に外縁リブを備えることができる。化粧カバーの外縁リブは、壁面に当接して又は近接して配置され、隙間に塗布、充填されたシール材を、壁面と外縁リブとによる面と面の間で保持し、確実な止水を確保するために必要なリブである。このため、この化粧カバー9は、幅調整後であっても、塗布、充填されたシール材を、化粧カバー9の裏側に脱落させることなく、壁面と外縁リブとによる面と面の間で安定的に保持することができる。
【0034】
ここで、本実施形態に示す窓額縁部材7において、図5に示す窓額縁部材7の開口枠70と天井パネル4との間(上部額縁部711の内面と天井パネル4の表面との間)の距離D1が、図4に示す窓額縁部材7の開口枠70と浴槽5のフランジ部51との間(下部額縁部712の内面と浴槽5のフランジ部51の上面との間)の距離D2よりも大きくなっている。このため、図3図5に示す化粧カバー9は、この距離D1に応じて、図7に示す切断誘導部922の部位がカットラインC2に沿って切断され、化粧カバー9の幅が調整されている。
【0035】
幅調整後の化粧カバー9は、一対の係合用リブ93、93が窓額縁部材7の上部外周フランジ部721の一対の取付けリブ73、73と係合することによって取り付けられる。このとき、第2外縁リブ95は、化粧カバー9の最も外側の外縁リブとなり、天井パネル4の表面に当接又は近接するように配置される。これにより、窓額縁部材7の上部外周フランジ部721と、この上部外周フランジ部721と天井パネル4との間に露出する上部横枠体11とが化粧カバー9によって完全に覆われ、浴室内側から上部外周フランジ部721の外側の上部横枠体11が目視されることはない。従って、この化粧カバー9を使用することにより、窓額縁部材7の周囲に隙間を発生させず、窓額縁部材7の周囲の浴室内側からの見栄えを良好に維持することができる。
【0036】
図5に示すように、第2外縁リブ95と天井パネル4との間にはシール材S2が塗布、充填され、止水される。シール材S2は、天井パネル4と第2外縁リブ95との面と面の間で保持され、脱落のおそれなく安定的に保持される。これにより、確実な止水が確保される。
【0037】
次に、この窓額縁部材7及び化粧カバー9を使用する浴室窓の施工方法について説明する。
本発明における浴室窓の施工方法は、浴室ユニット1の窓用開口部13を構成する窓枠体(上部横枠体11、下部横枠体12等)と建物躯体100の外窓101との間を窓額縁部材7で接続し、浴室内側から窓枠体に窓額縁部材7の外周フランジ部72を固定した後、外周フランジ部72を覆うように化粧カバーを取り付けるものである。なお、窓額縁部材7の額縁部71を建物躯体100及び外窓101に対して取り付ける方法は、従来公知の方法を適用できるため、ここでは、外周フランジ部72のうちの上部外周フランジ部721及び下部外周フランジ部722に化粧カバー8、9を取り付ける方法について説明する。
【0038】
先ず、下部横枠体12が下部外周フランジ部722で覆い隠されるように、窓額縁部材7の下部外周フランジ部722が下部横枠体12に対して位置合わせされる。この状態で、上部外周フランジ部721及び下部外周フランジ部722が、上部横枠体11及び下部横枠体12に取付けネジ14、15によって固定される。下部横枠体12を基準にして窓額縁部材7の位置合わせを行う理由は、窓額縁部材7の自重を利用できるからである。これにより、下部横枠体12は下部外周フランジ部722によって覆い隠され、露出することはない。
【0039】
一方、下部外周フランジ部722の位置合わせにより、上部外周フランジ部721と、この上部外周フランジ部721に隣接する天井パネル4との間には隙間が形成される。このため、上部外周フランジ部721の外側(天井パネル4側)に、上部横枠体11が露出する。これは、建物躯体100の外窓101と上部横枠体11との位置ずれによって発生する。
【0040】
窓額縁部材7が固定された後、下部外周フランジ部722には、図6に示す化粧カバー8がそのまま取り付けられる。即ち、化粧カバー8の一対の係合用リブ82、82が下部外周フランジ部722の取付けリブ73、73と係合する。その後、外縁リブ83と浴槽5のフランジ部51との間にシール材S1が塗布、充填される。これにより、図3図4に示すように、化粧カバー8は、窓額縁部材7の開口枠70と浴槽5との間に、シール材S1を介して連続した意匠面を形成し、浴室内側からの見栄えを良好にする。
【0041】
一方、上部外周フランジ部721には、図7に示す化粧カバー9が使用される。化粧カバー9は、窓額縁部材7の開口枠70と天井パネル4の表面との間の距離D1に合わせて、切断誘導部922の部位で、カットラインC2に沿って現場で切断加工され、幅調整される。これにより、第2外縁リブ95が最も外側の外縁リブとなる化粧カバー9が得られる。
【0042】
その後、幅調整後の化粧カバー9が上部外周フランジ部721に取り付けられる。即ち、化粧カバー9の一対の係合用リブ93、93が上部外周フランジ部721の取付けリブ73、73と係合する。化粧カバー9が上部外周フランジ部721に取り付けられた後、化粧カバー9の第2外縁リブ95と天井パネル4との間にシール材S2が塗布、充填される。これにより、図3図5に示すように、化粧カバー9は、窓額縁部材7の開口枠70と天井パネル4との間に、シール材S2を介して連続した意匠面を形成し、浴室内側からの見栄えを良好にする。
【0043】
従って、この施工方法によれば、窓額縁部材7の上下に壁パネルが存在しない場合でも、窓額縁部材7の周囲に隙間を発生させることはなく、現場で簡単に幅調整された化粧カバー9を使用することにより、見栄えを良好にすることができる。また、天井パネル4との間に充填されたシール材S2は、天井パネル4と第2外縁リブ95とによる面と面の間で安定的に保持されるため、確実な止水が確保される。
【0044】
以上の説明では、切断誘導部922の部位で幅延長部92を切断加工した化粧カバー9を例示したが、上記距離D1が更に大きくなる場合は、例えば、図8に示すように、切断誘導部923の部位で幅延長部92を切断加工した化粧カバー9を使用すればよい。また、上記距離D1が反対に小さくなる場合は、例えば、図9に示すように、切断誘導部921の部位で幅延長部92を切断加工した化粧カバー9を使用すればよい。
【0045】
また、化粧カバー9の切断誘導部921、922、923は、化粧カバー9の長さ方向に沿って延びる、例えばV溝等の溝状に形成してもよい。これより、幅延長部92は、溝に沿ってより簡単に切断可能となる。この場合の切断誘導部921、922、923は、必ずしもリブ94、95、96の付け根部に配置されていなくてもよい。
【0046】
なお、本実施形態では、窓額縁部材7の上部外周フランジ部721及び下部外周フランジ部722に化粧カバー8、9を取り付ける場合について説明したが、本発明に係る化粧カバー及び浴室窓の施工方法は、窓額縁部材7の左右の側部外周フランジ部723、724にも同様に適用することができる。即ち、窓額縁部材7と浴室ユニット1の窓枠体の左右いずれかの縦枠体との間に位置ずれが生じる場合にも、従来品の化粧カバー8に代えて、以上説明した幅調整可能な化粧カバー9を使用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 浴室ユニット
11 上部横枠体(窓枠体)
12 下部横枠体(窓枠体)
4 天井パネル(浴室内構造体)
6 浴室窓
7 窓額縁部材
70 開口枠
72 外周フランジ部
721 上部外周フランジ部
722 下部外周フランジ部
9 化粧カバー
91 化粧カバー本体
92 幅延長部
921、922、923 切断誘導部
95 第2外縁リブ(リブ)
96 第3外縁リブ(リブ)
97 第4外縁リブ(リブ)
100 建物躯体
101 外窓
距離D1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9