(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20220208BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20220208BHJP
B60J 1/02 20060101ALI20220208BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220208BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220208BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
C03C27/12 D
B60J1/00 H
B60J1/02 M
B60K35/00 A
C08J5/18 CEZ
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2017195135
(22)【出願日】2017-10-05
(62)【分割の表示】P 2016561401の分割
【原出願日】2016-09-29
【審査請求日】2019-03-01
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2015195405
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 博満
(72)【発明者】
【氏名】廣田 悦朗
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 孝次
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】金 公彦
【審判官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527217(JP,A)
【文献】特開2005-68006(JP,A)
【文献】特開2010-24138(JP,A)
【文献】特開2015-116679(JP,A)
【文献】特開2015-116680(JP,A)
【文献】特開2015-116682(JP,A)
【文献】特表2008-544878(JP,A)
【文献】国際公開第99/63389(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/12
B32B 17/10
B60J 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含み、
一端と、前記一端とは反対側に前記一端よりも厚い厚みを有する他端とを有し、
1)一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有し、かつ厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有するか、2)一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有し、かつ厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有するか、3)厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、かつ厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分を有するか、
及び/又は、4)厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、かつ厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分を有し、
1)前記厚みの増加量が大きくなる部分、2)前記厚みの増加量が小さくなる部分、3)前記楔角が大きくなる部分、及び4)前記楔角が小さくなる部分のうちの中間膜に含まれる部分の全てにおいて、1)前記厚みの増加量が大きくなる部分、2)前記厚みの増加量が小さくなる部分、3)前記楔角が大きくなる部分、及び4)前記楔角が小さくなる部分のそれぞれの中央の位置における表面の十点平均粗さRzが、いずれも20μm以上(但し、前記十点平均粗さRzの少なくとも1つが50μm以上である場合を除く)である、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
1)一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有し、かつ厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有するか、
及び/又は、2)一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有し、かつ厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有する、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
3)厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、かつ厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分を有するか、
及び/又は、4)厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、かつ厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分を有する、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
前記他端から前記一端に向かって50mmの位置における厚みが、前記一端から前記他端に向かって50mmの位置における厚みの1.2倍以上、2.5倍以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
可塑剤を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
表面がエンボス加工されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
第1の合わせガラス部材と、
第2の合わせガラス部材と、
請求項1~7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜に関する。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、一般に、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
【0003】
また、自動車に用いられる上記合わせガラスとして、ヘッドアップディスプレイ(HUD)が知られている。HUDでは、自動車のフロントガラスに、自動車の走行データである速度などの計測情報等を表示させることができる。
【0004】
上記HUDでは、フロントガラスに表示される計測情報が、二重に見えるという問題がある。
【0005】
二重像を抑制するために、楔状の中間膜が用いられている。下記の特許文献1には、一対のガラス板の間に、所定の楔角を有する楔状の中間膜が挟み込まれた合わせガラスが開示されている。このような合わせガラスでは、中間膜の楔角の調整により、1つのガラス板で反射される計測情報の表示と、別のガラス板で反射される計測情報の表示とを、運転者の視野で1点に結ぶことができる。このため、計測情報の表示が二重に見え難く、運転者の視界を妨げない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
合わせガラスを得る際には、一対のガラス板の間に、中間膜を挟み込み、脱気する工程が行われる。従来の楔状の中間膜では、脱気不良が生じやすい。結果として、得られる合わせガラスにおいて、ガラス板と中間膜との間に気泡が残存する。気泡が残存すると、合わせガラスの外観不良が生じやすい。また、HUDでは、計測情報の表示が見えにくくなる。計測情報が表示されるHUDエリアにおいて、HUDが一定の楔角度を有している場合、HUDエリアの上辺部、下辺部において二重像が発生しやすい。
【0008】
本発明の目的は、合わせガラスを得たときに、合わせガラス部材と中間膜との間に気泡を残存し難くすることができる合わせガラス用中間膜、またHUDエリア内で二重像を発生し難くすることができる合わせガラス用中間膜を提供することである。また、本発明は、上記の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、熱可塑性樹脂を含み、一端と、前記一端とは反対側に前記一端よりも厚い厚みを有する他端とを有し、一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有するか、又は、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有するか、厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有するか、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分を有するか、又は、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分を有し、前記厚みの増加量が大きくなる部分、前記厚みの増加量が小さくなる部分、前記楔角が大きくなる部分、又は上記楔角が小さくなる部分の中央の位置における表面の十点平均粗さRzが20μm以上である、合わせガラス用中間膜(本明細書において、「中間膜」と略記することがある)が提供される。
【0010】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有し、厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有するか、又は、厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、前記厚みの増加量が大きくなる部分、又は前記厚みの増加量が小さくなる部分の中央の位置における表面の十点平均粗さRzが20μm以上である。
【0011】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分を有するか、又は、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分を有し、前記楔角が大きくなる部分、又は前記楔角が小さくなる部分の中央の位置における表面の十点平均粗さRzが20μm以上である。
【0012】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である。
【0013】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記他端から前記一端に向かって50mmの位置における厚みが、前記一端から前記他端に向かって50mmの位置における厚みの1.2倍以上、2.5倍以下である。
【0014】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、可塑剤を含む。
【0015】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、表面がエンボス加工されている。
【0016】
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備え、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラスが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂を含み、一端と、上記一端とは反対側に上記一端よりも厚い厚みを有する他端とを有し、一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有するか、又は、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有するか、厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有するか、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分を有するか、又は、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分を有し、上記厚みの増加量が大きくなる部分、上記厚みの増加量が小さくなる部分、上記楔角が大きくなる部分、又は上記楔角が小さくなる部分の中央の位置における表面の十点平均粗さRzが20μm以上であるので、合わせガラスを得たときに、合わせガラス部材と中間膜との間に気泡を残存し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第1の変形例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第2の変形例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第3の変形例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第4の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第5の変形例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第6の変形例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第7の変形例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第8の変形例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第9の変形例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第10の変形例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、
図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、本発明に係る合わせガラス用中間膜に含まれない合わせガラス用中間膜の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0020】
本発明に係る合わせガラス用中間膜(本明細書において、「中間膜」と略記することがある)は、1層の構造又は2層以上の構造を有する。本発明に係る中間膜は、1層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよい。本発明に係る中間膜は、2層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。本発明に係る中間膜は、第1の層を備える。本発明に係る中間膜は、第1の層のみを備える単層の中間膜であってもよく、第1の層と他の層とを備える多層の中間膜であってもよい。
【0021】
本発明に係る中間膜は、熱可塑性樹脂を含む。本発明に係る中間膜は、一端と、上記一端とは反対側に上記一端よりも厚い厚みを有する他端とを有する。上記一端と上記他端とは、中間膜において対向し合う両側の端部である。
【0022】
本発明に係る中間膜は、1)及び2)一端から他端にかけて厚みが増加している領域を有するか、又は、3)及び4)厚み方向の断面形状が楔状である領域を有する。
【0023】
本発明に係る中間膜は、1)厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有するか、2)厚みが増加している領域の中に、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有するか、3)厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分を有するか、又は、4)厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分を有する。
【0024】
本発明に係る中間膜では、1)上記厚みの増加量が大きくなる部分、2)上記厚みの増加量が小さくなる部分、3)上記楔角が大きくなる部分、又は4)上記楔角が小さくなる部分の中央の位置における表面の十点平均粗さRzが20μm以上である。
【0025】
1)上記厚みの増加量が大きくなる部分、2)上記厚みの増加量が小さくなる部分、3)上記楔角が大きくなる部分、又は4)上記楔角が小さくなる部分において、十点平均粗さRzは、それぞれの中央の位置において測定される。
【0026】
本発明における上述した構成によって、合わせガラスを得たときに、合わせガラス部材と中間膜との間に気泡を残存し難くすることができる。合わせガラスを得る際に、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟み込み、脱気する工程が行われる。本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているため、脱気不良が生じにくい。結果として、得られる合わせガラスにおいて、ガラス板と中間膜との間に気泡が残存し難くなる。気泡が残存し難いため、合わせガラスの外観不良が生じにくい。また、HUDでは、計測情報の表示が良好になる。
【0027】
一般に、厚みが均一な中間膜では、中間膜との間に気泡が残存しにくい。これに対して、他端の厚みが一端の厚みよりも厚い場合に、また楔状の中間膜の場合に、脱気不良が生じやすく、気泡が残存しやすい傾向があることが見出された。特に、1)上記厚みの増加量が大きくなる部分、2)上記厚みの増加量が小さくなる部分、3)上記楔角が大きくなる部分、又は4)上記楔角が小さくなる部分において、気泡が残存しやすい傾向があることが見出された。これは、例えば、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟み込んだり、中間膜を得る際にエンボスロールなどで表面処理したりする場合に、中間膜と合わせガラス部材、及び中間膜とエンボスロールとの接触性が部分的に異なるためであると考えられる。
【0028】
本発明者らは、本発明の上記の構成によって、他端の厚みが一端の厚みよりも厚い場合であっても、また楔状の中間膜の場合であっても、合わせガラス部材と中間膜との間に気泡を残存し難くすることができることを見出した。
【0029】
1)上記厚みの増加量が大きくなる部分、2)上記厚みの増加量が小さくなる部分、3)上記楔角が大きくなる部分、又は4)上記楔角が小さくなる部分の中央の位置における表面の十点平均粗さRzのうち、1)及び2)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよく、3)及び4)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよく、1)及び3)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよく、2)及び4)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよく、1)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよく、2)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよく、3)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよく、4)の十点平均粗さRzが上記範囲を満足していてもよい。
【0030】
1)上記厚みの増加量が大きくなる部分、及び、3)上記楔角が大きくなる部分では、表面が凹状になる。2)上記厚みの増加量が小さくなる部分、及び、4)上記楔角が小さくなる部分では、表面が凸状になる。
【0031】
上記十点平均粗さRzは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。上記十点平均粗さRzは、断面曲線から基準となる長さ分の範囲内において最大の山頂から3番目、最低の谷底から3番目を通る二本の平行線の間隔を測定した値である。
【0032】
気泡をより一層残存し難くする観点からは、十点平均粗さRzは、好ましくは25μm以上、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは35μm以下である。十点平均粗さRzが45μm以下である場合に、十点平均粗さRzが45μmを超える場合と比べて、気泡がより一層残存し難くなることが見出された。さらに、十点平均粗さRzが40μm以下である場合に、十点平均粗さRzが40μmを超える場合と比べて、気泡がより一層残存し難くなることが見出された。
【0033】
上記中間膜は、両側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有することが好ましい。上記中間膜は、両側の表面に凹凸形状を有することがより好ましい。上記の凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、リップエンボス法、エンボスロール法、カレンダーロール法、及び異形押出法等が挙げられる。定量的に一定の凹凸模様である多数の凹凸形状のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
【0034】
本発明の効果がより一層効果的に得られることから、上記中間膜は、エンボスロール法により、表面がエンボス加工されていることが好ましい。
【0035】
エンボスロール法を適用する場合に、2つのエンボスロールのうちの少なくとも一方を傾けるなどして、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くすることで、十点平均粗さRzを好適な範囲に制御することが容易である。また、エンボスロールの表面の材質を比較的柔軟な材質にすることで、エンボスロールの接触性が高くなるので、1)上記厚みの増加量が大きくなる部分、2)上記厚みの増加量が小さくなる部分、3)上記楔角が大きくなる部分、又は4)上記楔角が小さくなる部分の中央の位置における表面の十点平均粗さRzを好適な範囲に制御することが容易である。
【0036】
上記比較的柔軟な材質としては、ゴム、樹脂、柔軟な合金等が挙げられる。
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0038】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。なお、
図1及び後述する図における中間膜の大きさ及び寸法は、図示の便宜上、実際の大きさ及び形状から適宜変更している。
【0039】
中間膜11は、第1の層1(中間層)と、第2の層2(表面層)と、第3の層3(表面層)とを備える。第1の層1の第1の表面側に、第2の層2が配置されており、積層されている。第1の層1の第1の表面とは反対の第2の表面側に、第3の層3が配置されており、積層されている。第1の層1は、第2の層2と第3の層3との間に配置されており、挟み込まれている。中間膜11は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11は、合わせガラス用中間膜である。中間膜11は、多層中間膜である。
【0040】
中間膜11は、一端11aと、一端11aとは反対側の他端11bとを有する。一端1aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。第2の層2及び第3の層3の厚み方向の断面形状は楔状である。第1の層1の厚み方向の断面形状は矩形である。第2の層2及び第3の層3の厚みは、一端11a側のほうが他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11の一端11aの厚みは他端11bの厚みよりも薄い。従って、中間膜11は、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0041】
また、中間膜11は全体に、厚みが増加している領域を有する。さらに、中間膜11が、一端11aから他端11bにかけて厚みが増加している領域を有し、厚みが増加している領域の中に、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有する。具体的には、中間膜11では、一端11aから他端11bにかけて、厚みの増加量が大きくなっている。また、中間膜11が、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。具体的には、中間膜11では、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなっている。上記楔角θ’は、例えば、0.1Xの距離範囲の両端を結ぶ中間膜の表面が平面であると仮定した場合の楔角として計測することができる。なお、
図1に示す楔角θは、中間膜11の厚み方向の断面形状が楔状である領域の全体での楔角である。
【0042】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図2では、中間膜11Aの厚み方向の断面が示されている。
【0043】
図2に示す中間膜11Aは、第1の層1Aを備える。中間膜11Aは、第1の層1Aのみの1層の構造を有し、単層の中間膜である。中間膜11Aは、第1の層1Aである。中間膜11Aは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11Aは、合わせガラス用中間膜である。
【0044】
中間膜11A及び第1の層1Aの厚み方向の断面形状は、楔状である。中間膜11Aは、一端11aと、一端11aとは反対側の他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。中間膜11Aの一端11aの厚みは他端11bの厚みよりも薄い。従って、中間膜11A及び第1の層1Aは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0045】
また、中間膜11Aは全体に、厚みが増加している領域を有する。さらに、中間膜11Aが、一端11aから他端11bにかけて厚みが増加している領域を有し、厚みが増加している領域の中に、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有する。また、中間膜11Aが、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。なお、
図2に示す楔角θは、中間膜11Aの厚み方向の断面形状が楔状である領域の全体での楔角である。
【0046】
図1に示す中間膜11は、楔状の第2の層2及び第3の層3の間に、矩形の第1の層1が挟み込まれた構造を有する。
図3~12に、中間膜の各層の形状又は全体の形状をかえた第1~第10の変形例を示す。
【0047】
なお、第1~第6,第8,第9,第10の変形例(
図3~8,10,11,12)の中間膜は、いずれも、一端11aから他端11bにかけて厚みが増加している領域を有し、厚みが増加している領域の中に、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、さらに、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。第7~第10の変形例(
図9~12)の中間膜は、いずれも、一端11aから他端11bにかけて厚みが増加している領域を有し、厚みが増加している領域の中に、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、さらに、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有し、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が小さくなる部分を有する。
【0048】
図3に示す第1の変形例に係る中間膜11Bは、厚み方向の断面形状が楔状である第1の層1Bと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Bと、厚み方向の断面形状が楔状である第3の層3Bとを備える。第1の層1Bは、第2の層2Bと第3の層3Bとの間に配置されており、挟み込まれている。
【0049】
第1の層1B、第2の層2B及び第3の層3Bの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Bは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。なお、第3の層3Bはなくてもよい。
【0050】
中間膜11Bは、第2の層2B及び第3の層3Bによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0051】
図4に示す第2の変形例に係る中間膜11Cは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Cと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Cと、厚み方向の断面形状が矩形である第3の層3Cとを備える。第1の層1Cは、第2の層2Cと第3の層3Cとの間に配置されており、挟み込まれている。第2の層2Cの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Cは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。なお、第3の層3Cはなくてもよい。
【0052】
中間膜11Cは、第2の層2Cによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0053】
図5に示す第3の変形例に係る中間膜11Dは、厚み方向の断面形状が矩形を湾曲させた形状である第1の層1Dと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Dと、厚み方向の断面形状が矩形を湾曲させた形状である第3の層3Dとを備える。第2の層2Dは全体で、厚みが均一である。第3の層3Dは全体で、厚みが均一である。第1の層1Dは、第2の層2Dと第3の層3Dとの間に配置されており、挟み込まれている。第1の層1Dの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Dは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。なお、第3の層1Dはなくてもよい。
【0054】
中間膜11Dは、第1の層1Dによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0055】
図6に示す第4の変形例に係る中間膜11Eは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Eと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の表面層2Eとを備える。第1の層1Eの第1の表面側に第2の層2Eが配置されており、積層されている。第2の層2Eの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Eは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0056】
中間膜11Eは、第2の層2Eによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0057】
図7に示す第5の変形例に係る中間膜11Fは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Fと、厚み方向の断面形状が矩形である部分2Faと厚み方向の断面形状が楔状である領域2Fbとを有する第2の層2Fとを備える。第1の層1Fの第1の表面側に第2の層2Fが配置されており、積層されている。第2の層2Fの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Fは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0058】
中間膜11Eは、第1の層2Fの厚み方向の断面形状が楔状である領域2Fbによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0059】
図8に示す第6の変形例に係る中間膜11Gは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Gと、厚み方向の断面形状が楔形である部分2Gaと厚み方向の断面形状が楔状である領域2Gbとを有する第2の層2Gとを備える。第1の層1Gの第1の表面側に第2の層2Gが配置されており、積層されている。第2の層2Gの厚みは、一端11a側の方が他端11b側よりも薄い。従って、中間膜11Gは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。
【0060】
厚み方向の断面形状が楔形である部分2Gaでは、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量及び楔角θ’は一定である。厚み方向の断面形状が楔形である部分2Gaでは、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなっておらず、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなっていない。厚み方向の断面形状が楔形である部分2Gbでは、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなっており、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなっている。
【0061】
中間膜11Gは、第1の層2Gの厚み方向の断面形状が楔状である領域2Gbによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0062】
図9に示す第7の変形例に係る中間膜11Hは、単層の第1の層1Hを備える。中間膜11Hは、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が小さくなる部分を有する。
【0063】
図10に示す第8の変形例に係る中間膜11Iは、単層の第1の層1Iを備える。中間膜11Iは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Iである。
【0064】
中間膜11Iは、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が小さくなる部分を有する。
【0065】
図11に示す第9の変形例に係る中間膜11Jは、厚み方向の断面形状が矩形である第1の層1Jと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Jと、厚み方向の断面形状が楔状である第3の層3Jとを備える。第1の層1Jは、第2の層2Jと第3の層3Jとの間に配置されており、挟み込まれている。
【0066】
中間膜11Jは、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が小さくなる部分を有する。
【0067】
中間膜11Jは、第2の層2J及び第3の層3Jによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0068】
中間膜11Jは、第2の層2J及び第3の層3Jによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が小さくなる部分を有する。
【0069】
図12に示す第10の変形例に係る中間膜11Kは、厚み方向の断面形状が楔状である第1の層1Kと、厚み方向の断面形状が楔状である第2の層2Kと、厚み方向の断面形状が楔状である第3の層3Kとを備える。第1の層1Kは、第2の層2Kと第3の層3Kとの間に配置されており、挟み込まれている。
【0070】
中間膜11Kは、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が小さくなる部分を有する。
【0071】
中間膜11Kは、第2の層2K及び第3の層3Kによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が大きくなる部分を有する。
【0072】
中間膜11Kは、第2の層2K及び第3の層3Kによって、一端11aから他端11bにかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端11aから他端11bにかけて楔角θ’が小さくなる部分を有する。
【0073】
なお、参考として、本発明に係る中間膜に含まれない中間膜を
図14に示した。
【0074】
図14では、楔状の中間膜101Aが示されている。楔状の中間膜101Aでは、一端101aから他端101bにかけて厚みの増加量及び楔角θ’は一定である。楔状の中間膜101では、一端101aから他端101bにかけて厚みの増加量が大きくなっておらず、一端101aから他端101bにかけて厚みの増加量が小さくなっておらず、一端101aから他端101bにかけて楔角θ’が大きくなっておらず、一端101aから他端101bにかけて楔角θ’が小さくなっていない。
【0075】
二重像を抑制するために、合わせガラスの取付角度に応じて、中間膜の楔角θを適宜設定することができる。二重像をより一層抑制する観点からは、中間膜の楔角θは、好ましくは0.01mrad(0.0006度)以上、より好ましくは0.2mrad(0.0115度)以上、好ましくは2mrad(0.1146度)以下、より好ましくは0.7mrad(0.0401度)以下である。上記中間膜の楔角θは、中間膜における最大厚み部分と最小厚み部分との中間膜の第1の表面部分を結んだ直線と、中間膜における最大厚み部分と最小厚み部分との中間膜の第2の表面部分を結んだ直線との交点における内角である。
【0076】
中間膜は、一部の領域に着色帯を有していてもよい。中間膜は、一部の領域に着色領域を有していてもよい。多層の中間膜が着色帯又は着色領域を有する場合には、表面層が着色帯又は着色領域を有することが好ましい。ただし、中間層が着色帯又は着色領域を有していてもよい。上記着色帯又は着色領域は、例えば、中間膜を押出成形する際、又は中間膜の各層を押出成形する際に、着色剤を所定の領域に配合することにより形成できる。
【0077】
上記中間膜の厚みは特に限定されない。上記中間膜の厚みは、中間膜を構成する各層の合計の厚みを示す。よって、多層の中間膜1の場合には、該中間膜の厚みは、第1の層1と第2の層2と第3の層3との合計の厚みを示す。
【0078】
中間膜の最大厚みは好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.8mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1.5mm以下である。
【0079】
一端と他端との間の距離をXとしたときに、中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最大厚みを有することが好ましく、中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最大厚みを有することがより好ましい。中間膜の一端が最小厚みを有し、中間膜の他端が最大厚みを有することが好ましい。中間膜11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11H,11I,11J,11Kでは、一端11aが最小厚みを有し、他端11bが最大厚みを有する。
【0080】
実用面の観点、並びに接着力及び耐貫通性を充分に高める観点からは、表面層の最大厚みは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。
【0081】
実用面の観点、並びに耐貫通性を充分に高める観点からは、2つの表面層の間に配置される層(中間層)の最大厚みは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下、更に好ましくは0.3mm以下である。
【0082】
上記中間膜の一端と他端との距離Xは、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下、特に好ましくは1.5m以下であり、好ましくは0.5m以上、より好ましくは0.8m以上、特に好ましくは1m以上である。
【0083】
以下、多層の中間膜の各層、並びに単層の中間膜を構成する材料の詳細を説明する。
【0084】
(熱可塑性樹脂)
本発明に係る中間膜(各層)に含まれている熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることが可能である。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0085】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0086】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス部材又は他の中間膜に対する本発明に係る合わせガラス用中間膜の接着力がより一層高くなる。
【0087】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70~99.9モル%の範囲内である。
【0088】
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0089】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0090】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3~5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0091】
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n-ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0092】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0093】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0094】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0095】
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0096】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0097】
上記アセタール化度は、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
【0098】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396-92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0099】
(可塑剤)
中間膜の接着力をより一層高める観点からは、本発明に係る中間膜(各層)は、可塑剤を含むことが好ましい。中間膜に含まれている熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である場合に、中間膜(各層)は、可塑剤を含むことが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を含む層は、可塑剤を含むことが好ましい。
【0100】
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0101】
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0102】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、n-ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0103】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4~8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0104】
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0105】
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0106】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0107】
【0108】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5~10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn-プロピレン基を表し、pは3~10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6~10の有機基であることが好ましい。
【0109】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(3GH)を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0110】
上記可塑剤の含有量は特に限定されない。各層において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上、好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
【0111】
(遮熱性化合物)
上記中間膜は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第1の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第2の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第3の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記遮熱性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0112】
上記遮熱性化合物は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は遮熱粒子を含むことが好ましい。この場合に、上記成分Xと上記遮熱粒子との双方を含んでいてもよい。
【0113】
成分X:
上記中間膜は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第1の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは遮熱性化合物である。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0114】
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
【0115】
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
【0116】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
【0117】
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
【0118】
上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
【0119】
遮熱粒子:
上記中間膜は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記遮熱粒子は遮熱性化合物である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0120】
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
【0121】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
【0122】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB6)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
【0123】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
【0124】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs0.33WO3で表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
【0125】
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
【0126】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA-EX150」)等を用いて測定できる。
【0127】
上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記遮熱粒子の各含有量(特に酸化タングステン粒子の含有量)は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3.0重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
【0128】
(金属塩)
上記中間膜は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩の内の少なくとも1種の金属塩(以下、金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記金属塩Mの使用により、中間膜とガラス板などの合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0129】
上記金属塩Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。中間膜中に含まれている金属塩は、K及びMgの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
【0130】
また、上記金属塩Mは、炭素数2~16の有機酸のアルカリ金属塩、炭素数2~16の有機酸のアルカリ土類金属塩又は炭素数2~16の有機酸のマグネシウム塩であることがより好ましく、炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
【0131】
上記炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2-エチル酪酸マグネシウム、2-エチルブタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0132】
上記金属塩Mを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、中間膜とガラス板との接着性又は中間膜における各層間の接着性をより一層良好に制御できる。
【0133】
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0134】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0135】
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属原子を含む紫外線遮蔽剤、金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
【0136】
上記金属原子を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0137】
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤である。
【0138】
上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0139】
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
【0140】
上記ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
【0141】
上記ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0142】
上記トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA-F70」及び2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0143】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤としては、2-(p-メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル-2,2-(1,4-フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2-(p-メトキシベンジリデン)-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル4-ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0144】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B-CAP、Hostavin PR-25、Hostavin PR-31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0145】
上記シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤としては、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-5-t-ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-フェニル)シュウ酸ジアミド、2-エチル-2’-エトキシ-オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0146】
上記ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0147】
期間経過後の可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量及びベンゾトリアゾール化合物の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
【0148】
(酸化防止剤)
上記中間膜は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0149】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0150】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0151】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0152】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、及び2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0153】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
【0154】
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜100重量%中又は酸化防止剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記中間膜100重量%中又は上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
【0155】
(他の成分)
上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層はそれぞれ、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、金属塩以外の接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0156】
(合わせガラス)
図13に、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を断面図で示す。
【0157】
図13に示す合わせガラス21は、中間膜11と、第1の合わせガラス部材22と、第2の合わせガラス部材23とを備える。中間膜11は、第1の合わせガラス部材22と第2の合わせガラス部材23との間に配置されており、挟み込まれている。中間膜11の第1の表面に、第1の合わせガラス部材22が配置されている。中間膜11の第1の表面とは反対の第2の表面に、第2の合わせガラス部材23が配置されている。
【0158】
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれガラス板又はPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、かつ上記中間膜が、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材として、少なくとも1枚のガラス板を含むことが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材の双方がガラス板であることが特に好ましい。
【0159】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0160】
上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の各厚みは特に限定されないが、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
【0161】
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1,第2の合わせガラス部材の間に、上記中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりする。これにより、第1の合わせガラス部材と中間膜及び第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70~110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120~150℃及び1~1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
【0162】
上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましい。上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。遮熱性が高くかつ可視光線透過率が高いので、上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。
【0163】
上記中間膜及び上記合わせガラスは、二重像を抑制できるので、自動車のフロントガラスに好適に用いることができる。上記中間膜は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)である合わせガラスに用いられることが好ましい。上記合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)であることが好ましい。
【0164】
上記合わせガラスでは、コントロールユニットから送信される速度などの計測情報等を、インストゥルメンタル・パネルの表示ユニットから、フロントガラスに映し出すことができる。このため、自動車の運転者が視野を下げることなく、前方の視野と計測情報とを同時に視認することができる。
【0165】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0166】
実施例、参考例及び比較例では、以下の材料を用いた。
【0167】
熱可塑性樹脂:
ポリビニルアセタール樹脂を適宜用いた。用いたポリビニルアセタール樹脂では全て、アセタール化に、炭素数4のn-ブチルアルデヒドが用いられている。
【0168】
ポリビニルアセタール樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396-92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
【0169】
可塑剤:
3GO(トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート)
【0170】
紫外線遮蔽剤:
Tinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
【0171】
酸化防止剤:
BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0172】
接着力調整剤:
酢酸マグネシウムと2-エチル酪酸マグネシウムとの混合物(重量比にて1:1)
【0173】
(実施例1)
中間膜を形成するための樹脂組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB樹脂、平均重合度1700、水酸基量30.5モル%、アセタール化度68.5モル%、アセチル基量1モル%)100重量部に対して、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部と、接着力調整剤(酢酸マグネシウムと2-エチル酪酸マグネシウムとの混合物(重量比にて1:1))を得られる中間膜中でのMgの含有量が50ppmとなる量とを添加し、ミキシングロールで充分に混練し、中間膜を形成するための樹脂組成物を得た。
【0174】
中間膜の作製:
得られた樹脂組成物を、押出機を用いて押出することにより、厚み方向の断面形状が楔状であるエンボス加工前の中間膜を得た。なお、中間膜のTD方向の幅をXとしたとき、Xは1333mmであった。
【0175】
得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くすることで、エンボスロール法により、表面をエンボス加工して、中間膜(第1の層)を作製した。また、傾けたエンボスロールの表面の材質は金属であり、傾けたエンボスロールの相手側ロールの表面の材質は、45~80のJIS硬度を有するゴムである。なお、得られた中間膜は、ロール状に巻き取った。
【0176】
得られた中間膜では、TD方向における一端の厚みを、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄くし、MD方向における厚みは均一にし、第1の層及び第2の層の最大厚み、最小厚み、及び中間膜の楔角θを下記の表1に示すようにした。得られた中間膜の厚み方向の断面の外形は、
図10に示す形状であった。得られた中間膜の厚み方向の断面形状は楔状であり、中間膜は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。中間膜は、一端に最小厚みを有し、他端に最大厚みを有していた。中間膜は、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が大きくなる部分(凹状部分)を有していた。中間膜は、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。中間膜のTD方向の幅をXとしたとき、中間膜は、一端から0.25X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分(凹状部分)を有し、一端から0.5X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。
【0177】
合わせガラスの作製:
得られた中間膜を、縦方向及び横方向における中央部分を取り出すように、(TD方向1333mm×MD方向600mm)の大きさに切断した。次に、クリアガラス(縦1333mm×横600mm×厚さ2.5mm)2枚の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。
【0178】
(実施例2)
第1の層を形成するための樹脂組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB樹脂、平均重合度3000、水酸基量22モル%、アセタール化度65モル%、アセチル基量13モル%)100重量部に対して、可塑剤(3GO)60重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部とを混合し、第1の層を形成するための樹脂組成物を得た。
【0179】
第2の層及び第3の層を形成するための樹脂組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(PVB樹脂、平均重合度1700、水酸基量30.6モル%、アセタール化度68.5モル%、アセチル基量0.9モル%)100重量部に対して、可塑剤(3GO)40重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部と、接着力調整剤(酢酸マグネシウムと2-エチル酪酸マグネシウムの混合物(重量比にて1:1))を得られる中間膜中でのMgの含有量が50ppmとなる量とを混合し、第2の層及び第3の層を形成するための樹脂組成物を得た。
【0180】
中間膜の作製:
第1の層を形成するための樹脂組成物と、第2の層及び第3の層を形成するための樹脂組成物とを、共押出機を用いて共押出しすることにより、第2の層(平均厚み600μm)/第1の層(平均厚み150μm)/第3の層(平均厚み450μm)の積層構造を有し、厚み方向の断面形状が楔状であるエンボス加工前の中間膜を得た。なお、中間膜のTD方向の幅をXとしたとき、Xは1270mmであった。
【0181】
得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くすることで、エンボスロール法により、表面をエンボス加工して、中間膜(第2の層/第1の層/第3の層)を作製した。また、傾けたエンボスロールの表面の材質は金属であり、傾けたエンボスロールの相手側ロールの表面の材質は、45~80のJIS硬度を有するゴムである。なお、得られた中間膜は、ロール状に巻き取った。
【0182】
第2の層では、TD方向における一端の厚みは、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄く、MD方向における厚みは均一であり、一端の厚みが325μm、他端の厚みが1875μm、厚み方向の断面形状は楔状であり、第2の層は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。第1の層では、TD方向における一端の厚みと、該一端とは反対側の他端の厚みは同一であり、MD方向における厚みは均一であり、厚みが150μm、厚み方向の断面形状は矩形であった。第3の層では、TD方向における一端の厚みは、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄く、MD方向における厚みは均一であり、一端の厚みが325μm、他端の厚みが575μm、厚み方向の断面形状は楔状であり、第3の層は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。第2,第3の層は、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。中間膜のTD方向の幅をXとしたとき、第2,第3の層は、一端から0.25X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分(凹状部分)を有し、一端から0.5X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。
【0183】
得られた中間膜では、TD方向における一端の厚みを、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄くし、MD方向における厚みは均一にし、第1の層及び第2の層の最大厚み、最小厚み、及び中間膜の楔角θを下記の表1に示すようにした。得られた中間膜の厚み方向の断面の外形は、
図11に示す形状であった。得られた中間膜の厚み方向の断面形状は楔状であり、中間膜は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。中間膜は、一端に最小厚みを有し、他端に最大厚みを有していた。中間膜は、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分(凹状部分)を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が大きくなる部分を有していた。中間膜は、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。中間膜のTD方向の幅をXとしたとき、中間膜は、一端から0.25X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分(凹状部分)を有し、一端から0.5X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。
【0184】
合わせガラスの作製:
得られた中間膜を、縦方向及び横方向における中央部分を取り出すように、(TD方向1270mm×MD方向600mm)の大きさに切断した。次に、クリアガラス(縦1270mm×横600mm×厚さ2.5mm)2枚の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。
【0185】
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同様に、得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くした。傾けたエンボスロールの相手側ロールを柔軟な合金に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0186】
(実施例4)
実施例4では、実施例2と同様に、得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くした。傾けたエンボスロールの相手側ロールを柔軟な合金に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は実施例2と同様にして、合わせガラスを得た。
【0187】
(参考例5及び実施例6)
参考例5及び実施例6では、実施例2と同様に、得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くした。エンボスロールの傾斜角度及びエンボスロールの押圧力を変更したこと以外は、実施例2と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は実施例2と同様にして、合わせガラスを得た。
【0188】
(実施例7)
中間膜の作製:
実施例2と同様の樹脂組成物を、金型の種類を変更し、押出機を用いて押出することにより、第2の層(平均厚み500μm)/第1の層(平均厚み200μm)/第3の層(平均厚み500μm)の積層構造を有し、厚み方向の断面形状が楔状であるエンボス加工前の中間膜を得た。
【0189】
得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くすることで、エンボスロール法により、表面をエンボス加工して、中間膜(第2の層/第1の層/第3の層)を作製した。なお、得られた中間膜は、ロール状に巻き取った。
【0190】
第2の層では、TD方向における一端の厚みは、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄く、MD方向における厚みは均一であり、一端の厚みが325μm、他端の厚みが675μm、厚み方向の断面形状は楔状であり、第2の層は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。第1の層では、TD方向における一端の厚みは、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄く、MD方向における厚みは均一であり、一端の厚みが150μm、他端の厚みが250μm、厚み方向の断面形状は楔状であり、第1の層は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。第3の層では、TD方向における一端の厚みは、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄く、MD方向における厚みは均一であり、一端の厚みが325μm、他端の厚みが675μm、厚み方向の断面形状は楔状であり、第3の層は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。第2,第3の層は、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。中間膜のTD方向の幅をXとしたとき、第2,第3の層は、一端から0.25X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分(凹状部分)を有し、一端から0.5X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。
【0191】
得られた中間膜では、TD方向における一端の厚みを、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄くし、MD方向における厚みは均一にし、第1の層及び第2の層の最大厚み、最小厚み、及び中間膜の楔角θを下記の表1に示すようにした。得られた中間膜の厚み方向の断面の外形は、
図12に示す形状であった。得られた中間膜の厚み方向の断面形状は楔状であり、中間膜は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。中間膜は、一端に最小厚みを有し、他端に最大厚みを有していた。中間膜は、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分(凹状部分)を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が大きくなる部分を有していた。中間膜は、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、一端から他端にかけて楔角θ’が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。中間膜のTD方向の幅をXとしたとき、中間膜は、一端から0.25X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が大きくなる部分(凹状部分)を有し、一端から0.5X離れた位置に一端から他端にかけて楔角が小さくなる部分(凸状部分)を有していた。
【0192】
合わせガラスの作製:
得られた中間膜を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0193】
(比較例1)
比較例1では、実施例2で得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くした。傾けたエンボスロールの傾斜角度を実施例2よりも小さくし、エンボスロールの押圧力を変更したこと以外は、実施例2と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は実施例2と同様にして、合わせガラスを得た。
【0194】
(比較例2)
比較例2では、実施例1で得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くした。傾けたエンボスロールの傾斜角度を実施例1よりも小さくし、エンボスロールの押圧力を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0195】
(比較例3)
比較例3では、実施例1で得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くした。傾けたエンボスロールの表面の材質を金属に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0196】
(比較例4)
比較例4では、実施例2で得られたエンボス加工前の中間膜に対して、2つのエンボスロールのうちの一方を傾けて、2つのエンボスロールの間隔を、中間膜の一端側において狭くし、中間膜の他端側において広くした。傾けたエンボスロールの表面の材質を金属に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、中間膜を得た。得られた中間膜を用いたこと以外は実施例2と同様にして、合わせガラスを得た。
【0197】
(評価)
(1)十点平均粗さRz
JIS B 0601(1994)に準じる方法により、得られた中間膜において、一端から他端にかけて厚みの増加量が大きくなる部分(一端から他端にかけて楔角θ’が大きくなる部分)の中央の位置において、十点平均粗さRzを測定した。さらに、得られた中間膜において、一端から他端にかけて厚みの増加量が小さくなる部分(一端から他端にかけて楔角θ’が小さくなる部分)の中央の位置において、十点平均粗さRzを測定した。測定条件は、カットオフ値=2.5mm、基準長さ=2.5mm、評価長さ=12.5mm、触針の先端半径=2μm、先端角度=60°、測定速度=0.5mm/sの条件であり、測定時の環境は23℃及び30RH%下とした。
【0198】
(2)合わせガラスの気泡の残存の有無
得られた合わせガラスにおいて、気泡が残存しているか否かを評価した。気泡の残存の有無を以下の基準で判定した。
【0199】
[気泡の残存の有無の判定基準]
○:気泡が残存していない
△:気泡が残存しているが、気泡の最大径が50μm未満
×:気泡が残存しており、気泡の最大径が50μm以上
【0200】
(2A)130℃2時間放置後の合わせガラスの気泡の残存の有無
上記(2)合わせガラスの気泡の残存の有無の評価後に、得られた合わせガラスを気泡が成長しやすい130℃の条件に2時間放置した。放置後に、気泡が残存しているか否かを評価した。気泡の残存の有無を以下の基準で判定した。
【0201】
[気泡の残存の有無の判定基準]
○:気泡が残存していない
△1:気泡がわずかに残存しているが、気泡の最大径が25μm未満
△2:気泡が残存しているが、気泡の最大径が25μm以上、50μm未満
×:気泡が残存しており、気泡の最大径が50μm以上
【0202】
(3)二重像
合わせガラスをフロントガラスの位置に設置した。合わせガラスの下方に設置した表示ユニットから表示情報を合わせガラスに反射させ、所定の位置で二重像の有無を目視で確認した。二重像を下記の基準で判定した。
【0203】
[二重像の判定基準]
○:二重像が確認されない
×:二重像が確認される
【0204】
結果を下記の表1に示す。
【0205】
【符号の説明】
【0206】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K…第1の層
2,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2J,2K…第2の層
2Fa…厚み方向の断面形状が矩形である部分
2Fb…厚み方向の断面形状が楔状である領域
2Ga…厚み方向の断面形状が楔状である部分
2Gb…厚み方向の断面形状が楔状である領域
3,3B,3C,3D,3J,3K…第3の層
11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11H,11I,11J,11K…中間膜
11a…一端
11b…他端
21…合わせガラス
22…合わせガラス部材
23…合わせガラス部材