(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】液体希釈混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 25/20 20220101AFI20220208BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20220208BHJP
A01G 25/16 20060101ALI20220208BHJP
A01C 23/00 20060101ALI20220208BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20220208BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20220208BHJP
B01F 35/00 20220101ALI20220208BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20220208BHJP
【FI】
B01F5/02 Z
A01G31/00 601A
A01G25/16
A01C23/00 J
B01F1/00 Z
B01F5/00 D
B01F15/00 Z
B01F15/02 A
(21)【出願番号】P 2017195865
(22)【出願日】2017-10-06
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 守通
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-122817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0166307(US,A1)
【文献】特開昭51-148862(JP,A)
【文献】特表2013-538684(JP,A)
【文献】特開2012-040448(JP,A)
【文献】特開2011-200177(JP,A)
【文献】国際公開第2006/075475(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0263537(US,A1)
【文献】特開2004-283791(JP,A)
【文献】特開昭53-067162(JP,A)
【文献】特開2006-181424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 25/00-25/90、35/00-35/95
B01J 4/00-4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管と、
前記第1管の内部に形成された流路から分岐した複数の分岐流路と、
各分岐流路の内部へ挿入された複数の挿入管と、
前記複数の分岐流路を統合する流路を内部に形成している第2管と、を備え、
前記複数の挿入管は、前記第1管から前記第2管の方向に沿って並んでおり、前記第2管側の側面に貫通孔が形成されて
おり、
前記第1管は、第1部分と、前記第1部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第1接続部分とを有し、
前記第2管は、第2部分と、前記第2部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第2接続部分とを有し、
前記第1接続部分の内部には、前記第1接続部分に流れる液体を通過させる第1部材が設けられており、
前記第1部材は、前記第1接続部分の前記流路の中央側ほど前記複数の分岐流路側に突出しており、前記第1部分側から前記複数の分岐流路側へ貫通する複数の貫通孔が形成されており、
前記第2接続部分の内部には、前記第2接続部分に流れる液体を通過させる第2部材が設けられており、
前記第2部材は、前記第2接続部分の前記流路の中央側ほど前記複数の分岐流路側に突出しており、前記複数の分岐流路側から前記第2部分側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている、液体希釈混合装置。
【請求項2】
第1管と、
前記第1管の内部に形成された流路から分岐した複数の分岐流路と、
各分岐流路の内部へ挿入された複数の挿入管と、
前記複数の分岐流路を統合する流路を内部に形成している第2管と、を備え、
前記複数の挿入管は、前記第1管から前記第2管の方向に沿って並んでおり、前記第2管側の側面に貫通孔が形成されており、
前記第1管は、第1部分と、前記第1部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第1接続部分とを有し、
前記第2管は、第2部分と、前記第2部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第2接続部分とを有し、
前記第2接続部分の内部には、前記第2接続部分に流れる液体を通過させる第2部材が設けられており、
前記第2部材は、前記第2接続部分の前記流路の中央側ほど前記複数の分岐流路側に突出しており、前記複数の分岐流路側から前記第2管側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている
、液体希釈混合装置。
【請求項3】
前記第2部材は、前記複数の分岐流路側に突出する円錐曲板状に形成されている、請求項
1又は
2に記載の液体希釈混合装置。
【請求項4】
各分岐流路の断面形状は円であり、
前記第1管において各分岐流路に隣接する部分には、最も前記第1管側の前記挿入管の長手方向に前記円の径よりも小さい一定幅で延びる断面形状を有する隣接流路が形成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の液体希釈混合装置。
【請求項5】
第1管と、
前記第1管の内部に形成された流路から分岐した複数の分岐流路と、
各分岐流路の内部へ挿入された複数の挿入管と、
前記複数の分岐流路を統合する流路を内部に形成している第2管と、を備え、
前記複数の挿入管は、前記第1管から前記第2管の方向に沿って並んでおり、前記第2管側の側面に貫通孔が形成されており、
各分岐流路の断面形状は円であり、
前記第1管において各分岐流路に隣接する部分には、最も前記第1管側の前記挿入管の長手方向に前記円の径よりも小さい一定幅で延びる断面形状を有する隣接流路が形成されている、液体希釈混合装置。
【請求項6】
前記隣接流路の断面形状は矩形である、請求項
4又は5に記載の液体希釈混合装置。
【請求項7】
各分岐流路において前記挿入管が挿入されていない部分の内部へ挿入された柱状の挿入柱を備える、請求項1~
6のいずれか1項に記載の液体希釈混合装置。
【請求項8】
第1管と、
前記第1管の内部に形成された流路から分岐した複数の分岐流路と、
各分岐流路の内部へ挿入され、原液供給管が接続される複数の挿入管と、
前記複数の分岐流路を統合する流路を内部に形成している第2管と、を備え、
前記複数の挿入管は、前記第1管から前記第2管の方向に沿って並んでおり、前記第2管側の側面に貫通孔が形成されており、
各分岐流路の内部に前記挿入管を挿入可能な部分に挿入された柱状の挿入柱を備える、液体希釈混合装置。
【請求項9】
前記挿入管において各分岐流路の内部に配置されていない側の端部は閉塞可能に形成されている、請求項1~
6のいずれか1項に記載の液体希釈混合装置。
【請求項10】
第1管と、
前記第1管の内部に形成された流路から分岐した複数の分岐流路と、
各分岐流路の内部へ挿入され、原液供給管が接続される複数の挿入管と、
前記複数の分岐流路を統合する流路を内部に形成している第2管と、を備え、
前記複数の挿入管は、前記第1管から前記第2管の方向に沿って並んでおり、前記第2管側の側面に貫通孔が形成されており、
前記複数の挿入管のうち原液の供給に使用されない前記挿入管は、各分岐流路の内部に配置されていない側の端部が閉塞されている、液体希釈混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の原液を希釈して混合する液体希釈混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置において、種類の異なる高濃度の原液が混合されると沈殿物が生じる場合に、各原液を水で希釈してから混合させる装置がある(特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は、水を供給する本管から分岐した分岐管と、各分岐管に各原液を供給する各原液供給管と、分岐管を統合する統合管と、を備えている。そして、各分岐管において各原液が水で希釈され、各原液の希釈液が統合管で混合されるため、沈殿物が生じることを抑制することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各原液の希釈液において原液と水とが十分に撹拌されていない場合、希釈液において原液の濃度の高い部分が残存するおそれがある。そして、2つ希釈液において原液の濃度の高い部分同士が混合されると、沈殿物(析出物)が生じるおそれがある。このため、特許文献1に記載の装置では、各原液と水(溶媒)とを十分に撹拌するためには、各分岐管の長さを長くする必要があり、装置が大型化することが避けられない。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、各原液を溶媒で希釈した各希釈液を十分に撹拌してから混合するとともに、小型化することが可能な液体希釈混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
液体希釈混合装置であって、
第1管と、
前記第1管の内部に形成された流路から分岐した複数の分岐流路と、
各分岐流路の内部へ挿入された複数の挿入管と、
前記複数の分岐流路を統合する流路を内部に形成している第2管と、を備え、
前記複数の挿入管は、前記第1管から前記第2管の方向に沿って並んでおり、前記第2管側の側面に貫通孔が形成されている。
【0007】
上記構成によれば、第1管の内部に形成された流路から、複数の分岐流路が分岐している。このため、第1管へ供給された溶媒は、複数の分岐流路へ分かれて流れる。複数の挿入管が、各分岐流路の内部へ挿入されている。このため、各挿入管へ供給された各原液は、各挿入管により各分岐流路の内部へ導入される。
【0008】
ここで、複数の挿入管は、第2管側の側面に貫通孔が形成されている。このため、各挿入管により各分岐流路の内部へ導入された原液は、各挿入管の第2管側の側面に形成された貫通孔から各分岐流路の内部へ供給される。第1管から各分岐流路へ供給された溶媒は、各分岐流路の内部を流れて各挿入管に衝突しつつ第2管側へ流れる。このため、各分岐流路の内部において、各挿入管付近の第2配管側の部分には、カルマン渦又は乱流が生じる。
【0009】
したがって、各分岐流路の長さを長くしなくても、各挿入管の第2配管側の貫通孔から各分岐流路の内部へ供給された原液を、カルマン渦又は乱流により溶媒と十分に撹拌することができる。そして、第2管の内部に形成されている流路は、複数の分岐流路を統合している。このため、各分岐流路において十分に撹拌された各原液の希釈液を、第2管において混合することができる。さらに、複数の挿入管は、第1管から第2管の方向に沿って並んでいる。このため、複数の原液を各分岐流路の内部へ効率的に供給することができる。以上により、液体希釈混合装置は、各原液の希釈液を十分に撹拌してから混合するとともに、小型化することが可能となる。
【0010】
なお、複数の原液の組み合わせが、高濃度の状態で混合されると析出物が生じる組み合わせであっても、各原液の希釈液が十分に撹拌されてから混合されるため、析出物が生じることを抑制することができる。さらに、析出物が生じる組み合わせの原液をそれぞれ別の分岐流路へ供給することにより、析出物が生じることを効果的に抑制することができる。
【0011】
第2の手段では、前記複数の分岐流路は、それぞれ直線状に形成されており、互いに隣り合って平行に延びている。
【0012】
上記構成によれば、複数の分岐流路は、それぞれ直線状に形成されている。このため、分岐流路が曲線状や屈曲して形成されている構成と比較して、複数の分岐流路の配置スペースを小さくすることができる。さらに、複数の分岐流路は、互いに隣り合って平行に延びている。このため、複数の分岐流路を1箇所にまとめて配置することができ、液体希釈混合装置をより小型化することができる
第3の手段では、前記複数の分岐流路は1つの本体に形成されている。
【0013】
上記構成によれば、第2の手段の液体希釈混合装置を前提として、複数の分岐流路は1つの本体に形成されている。このため、液体希釈混合装置を、まとまりのある1つの装置として取り扱い易くなる。
【0014】
第4の手段では、前記複数の挿入管は、前記複数の分岐流路の内部へ同一の方向から挿入されている。このため、各挿入管へ各原液を供給する配管等を、液体希釈混合装置の一方側に集めることができる。したがって、液体希釈混合装置に接続する配管等の設置スペースを小さくすることができる。
【0015】
第5の手段では、
前記第1管は、第1部分と、前記第1部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第1接続部分とを有し、
前記第2管は、第2部分と、前記第2部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第2接続部分とを有し、
前記第1接続部分の内部には、前記第1接続部分に流れる液体を通過させる第1部材が設けられており、
前記第1部材は、前記第1接続部分の前記流路の中央側ほど前記複数の分岐流路側に突出しており、前記第1部分側から前記複数の分岐流路側へ貫通する複数の貫通孔が形成されており、
前記第2接続部分の内部には、前記第2接続部分に流れる液体を通過させる第2部材が設けられており、
前記第2部材は、前記第2接続部分の前記流路の中央側ほど前記複数の分岐流路側に突出しており、前記複数の分岐流路側から前記第2部分側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。
【0016】
上記構成によれば、第1管は、第1部分と、第1部分の内部に形成された流路と複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第1接続部分とを有している。第1接続部分では、第1管から流入した溶媒が、複数の分岐流路へ分流するため、溶媒の流れに乱れが生じやすい。溶媒の流れに乱れが生じた場合は、溶媒の流通抵抗が大きくなる。
【0017】
そこで、第1接続部分の内部には、第1接続部分に流れる液体を通過させる第1部材が設けられている。そして、第1部材は、第1接続部分の流路の中央側ほど複数の分岐流路側に突出しており、第1部分側から複数の分岐流路側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。このため、第1接続部分に生じた流れの乱れを第1部材により整えつつ、貫通孔を通じて溶媒を複数の分岐流路側へ流すことができる。したがって、第1部分から複数の分岐流路へ溶媒を円滑に流すことができ、原液と溶媒との撹拌を行わない部分での流通抵抗を低減することができる。
【0018】
また、第2管は、第2部分と、第2部分の内部に形成された流路と複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第2接続部分とを有している。第2接続部分では、各分岐流路から流入した各原液の希釈液が、第2管の流路へ合流するため、流れに乱れが生じやすい。このため、混合された複数の希釈液が撹拌され易いという利点があるものの、希釈液の流通抵抗が大きくなり易い。
【0019】
そこで、第2接続部分の内部には、第2接続部分に流れる液体を通過させる第2部材が設けられている。そして、第2部材は、第2接続部分の流路の中央側ほど複数の分岐流路側に突出しており、複数の分岐流路側から第2部分側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。このため、第2接続部分に生じた流れの乱れを第2部材により整えつつ、貫通孔を通じて希釈液を第2部分側へ流すことができる。したがって、複数の分岐流路から第2部分へ希釈液を円滑に流すことができ、希釈液の流通抵抗を低減することができる。
【0020】
第6の手段では、
前記第1管は、第1部分と、前記第1部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第1接続部分とを有し、
前記第2管は、第2部分と、前記第2部分の内部に形成された流路と前記複数の分岐流路とを接続する流路を内部に形成している第2接続部分とを有し、
前記第2接続部分の内部には、前記第2接続部分に流れる液体を通過させる第2部材が設けられており、
前記第2部材は、前記第2接続部分の前記流路の中央側ほど前記複数の分岐流路側に突出しており、前記複数の分岐流路側から前記第2管側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。
【0021】
上記構成によれば、第5の手段の液体希釈混合装置における第2部材と同様の作用効果を奏することができる。
【0022】
第7の手段では、前記第2部材は、前記複数の分岐流路側に突出する円錐曲板状に形成されている。このため、第2接続部分に生じた流れの乱れを、円錐曲板状に形成された第2部材の表面で滑らかに整えることができる。したがって、複数の分岐流路から第2部分へ希釈液をより円滑に流すことができ、希釈液の流通抵抗をより低減することができる。
【0023】
第8の手段では、各分岐流路の断面形状は円であり、前記第1管において各分岐流路に隣接する部分には、最も前記第1管側の前記挿入管の長手方向に前記円の径よりも小さい一定幅で延びる断面形状を有する隣接流路が形成されている。
【0024】
上記構成によれば、各分岐流路の断面形状は円であるため、各分岐流路の断面形状が正方形等である構成と比較して、各分岐流路を容易に形成することができる。しかしながら、各分岐流路の断面形状が円である場合は、分岐流路の断面において挿入管の長手方向に垂直な方向では分岐流路の端部を流れる液体が挿入管に衝突しにくくなる。このため、各分岐流路の内部において、各挿入管付近の第2管側の部分に生じるカルマン渦又は乱流が弱くなるおそれがある。
【0025】
この点、第1管において各分岐流路に隣接する部分には、最も第1管側の挿入管の長手方向に上記円の径よりも小さい一定幅で延びる断面形状を有する隣接流路が形成されている。このため、各分岐流路の断面において、挿入管の長手方向に垂直な方向の分岐流路の端部に液体が流れることを抑制することができる。したがって、最も第1管側の挿入管に多くの液体を衝突させることができ、各分岐流路の内部において、各挿入管付近の第2管側の部分に生じるカルマン渦又は乱流が弱くなることを抑制することができる。
【0026】
具体的には、第9の手段のように、前記隣接流路の断面形状は矩形である、といった構成を採用することができる。
【0027】
第10の手段では、各分岐流路において前記挿入管が挿入されていない部分の内部へ挿入された柱状の挿入柱を備える。このため、供給する原液の種類がそれほど多くなく、各分岐流路の内部に挿入管を挿入可能な部分に挿入管を挿入しない場合は、挿入管に代えて柱状の挿入柱を各分岐流路の内部に挿入しておくことができる。したがって、供給する原液の種類が少ない場合であっても、各分岐流路の内部を流れる溶媒及び原液に、挿入柱によりカルマン渦又は乱流を形成することができる。
【0028】
第11の手段では、前記挿入管において各分岐流路の内部に配置されていない側の端部は閉塞可能に形成されている。このため、複数の挿入管のうち原液の供給に使用されない挿入管は、各分岐流路の内部に配置されていない側の端部を閉塞しておくことができる。したがって、使用されない挿入管も分岐流路の内部へ挿入したままにすることができ、使用されない挿入管もカルマン渦又は乱流の形成に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、液肥供給システムに具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、液肥供給システム10は、原水タンク11、ポンプ12、バルブ13、フィルタ14、液肥タンク21A~21G、液肥ポンプ23A~23G、コントロールユニット31、流量センサ33、圧力センサ34、バルブ35、混合器50、バルブ41~48等を備えている。
【0031】
原水タンク11は、水(溶媒)を貯留している。ポンプ12は、原水タンク11から水を汲み上げて加圧して下流へ送る。バルブ13は、ポンプ12から送られる水を遮断及び流通させる。フィルタ14は、上流から送られる水を通過させて下流へ送る際に、水に含まれる異物等を取り除く。
【0032】
流量センサ33は、上流から送られる水の流量を検出する。圧力センサ34は、上流から送られる水の圧力を検出する。流量センサ33及び圧力センサ34の検出値は、コントロールユニット31に入力される。バルブ35は、上流から水供給管37を介して混合器50へ送られる水の流量を調節する。バルブ35の開度は、コントロールユニット31により制御される。
【0033】
液肥タンク21A~21Gは、各液肥(各原液)をそれぞれ貯留している。各液肥は、例えば硝酸カリウム(KNO3)、硝酸カルシウム水和物(Ca(NO3)・4H2O)、硫酸マグネシウム水和物(MgSO4・7H2O)、燐酸水素アンモニウム(NH4H2PO4)等の粉末を水に溶かした液体や、Ph調整剤等である。硝酸カルシウムは他のイオンと結合して析出物を生じ易い性質がある。本実施形態では、例えば液肥タンク21A,21Bに液肥A,Bとして、それぞれ硝酸カルシウム水溶液,Ph調整剤が貯留されている。液肥タンク21C~21Gに、その他の液肥C~Gが貯留されている。
【0034】
液肥タンク21A~21Gには、それぞれ液肥ポンプ23A~23Gが接続されている。液肥ポンプ23A~23Gは、それぞれ液肥タンク21A~21Gから液肥A~Gを汲み上げて加圧し、液肥供給管36A~36Gを介して混合器50へ送る。液肥ポンプ23A~23Gは、それぞれ液肥A~Gの流量(供給量)を調節する。液肥ポンプ23A~23Gの駆動状態は、コントロールユニット31により制御される。
【0035】
混合器50(液体希釈混合装置)は、液肥タンク21A~21Gから送られる液肥A~Gを、原水タンク11から送られる水によりそれぞれ希釈し、各液肥が水で希釈された各希釈液を混合する。混合された希釈液は、混合器50から希釈液供給管38へ送られる。希釈液供給管38は、複数の希釈液支管39に分岐している。希釈液供給管38へ送られた希釈液は、各希釈液支管39を介して各バルブ41~48へ送られる。バルブ41~48は、それぞれ希釈液支管39を介して送られる希釈液を遮断及び流通させる。バルブ41~48の開閉状態は、コントロールユニット31により制御される。
【0036】
コントロールユニット31(制御部)は、CPU、ROM、RAM、駆動回路、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータとして構成されている。コントロールユニット31は、流量センサ33により検出された水の流量、圧力センサ34により検出された水の圧力、ユーザにより入力された液肥A~Gの混合割合等に基づいて、バルブ35の開度、液肥ポンプ23A~23Gの駆動状態、及びバルブ41~48の開閉状態を制御する。
【0037】
バルブ41~48を流通した希釈液は、植物の培養液として供給されたり、土壌や植物に散布されたりする。
【0038】
次に、混合器50の構成を説明する。
図2,3に示すように、混合器50は、本体51、第1配管61、第1接続部分63、第2配管65、第2接続部分67、複数の挿入管71、上流部材81、縮幅部材85、下流部材87、接続器具68A,68B等を備えている。
【0039】
本体51は、樹脂等により、直方体状に形成されている。本体51には、本体51の長手方向(中心軸線方向)に直線状に延びる第1分岐流路53,第2分岐流路54が形成されている。第1分岐流路53,第2分岐流路54は、本体51を長手方向に貫通している。第1分岐流路53,第2分岐流路54の断面形状は円である。すなわち、第1分岐流路53,第2分岐流路54は、本体51の内部に円柱状の空間として形成されている。第1分岐流路53と第2分岐流路54とは、隣り合っており、互いに平行に延びている。すなわち、第1分岐流路53の中心軸線と第2分岐流路54の中心軸線とは平行である。
【0040】
本体51の長手方向の一端には、第1接続部分63を介して第1配管61が接続されている。本体51の長手方向の他端には、第2接続部分67を介して第2配管65が接続されている。第1配管61(第1部分),第2配管65(第2部分)は、樹脂や金属等により、それぞれ円筒状に形成されている。第1接続部分63は、樹脂や金属等により形成されており、テーパ部63aと円筒部63bとを有している。円筒部63bの径は、第1配管61の径よりも大きくなっている。第1配管61は、テーパ部63aを介して円筒部63bに接続されている。第2接続部分67は、樹脂や金属等により形成されており、テーパ部67aと円筒部67bとを有している。円筒部67bの径は、第2配管65の径よりも大きくなっている。第2配管65は、テーパ部67aを介して円筒部67bに接続されている。
【0041】
第1配管61,第2配管65には、それぞれ接続器具68A,68Bが接続されている。接続器具68A,68Bは、2つの配管を接続する周知の器具である。接続器具68A,68Bには、それぞれ上記水供給管37,上記希釈液供給管38が接続されている。
【0042】
図4の混合器50の透視平面図に示すように、第1配管61及び第1接続部分63の内部には、水の流路61a,63cが形成されている。流路63cから第1分岐流路53,第2分岐流路54が分岐している。すなわち、第1接続部分63は、第1配管61の内部に形成された流路61aと、第1分岐流路53,第2分岐流路54とを接続する流路63cを、内部に形成している。
【0043】
第2配管65及び第2接続部分67の内部には、希釈液の流路67c,65aが形成されている。第1分岐流路53,第2分岐流路54は、円筒部67bの内部に形成された流路67cに統合されている。すなわち、第2接続部分67は、第2配管65の内部に形成された流路65aと、第1分岐流路53,第2分岐流路54とを接続する流路67cを、内部に形成している。なお、第1配管61及び第1接続部分63により、第1管が構成されている。第2配管65及び第2接続部分67により、第2管が構成されている。
【0044】
第1接続部分63の内部には、第1接続部分63に流れる水(液体)を通過させる上流部材81が設けられている。上流部材81(第1部材)は、樹脂や金属等により、分岐流路53,54(本体51)側に突出する円錐曲板状に形成されている。すなわち、上流部材81は、薄肉に形成されており、第1接続部分63の流路63cの中央側ほど分岐流路53,54側に突出している。上流部材81には、第1配管61側から分岐流路53,54側へ貫通する複数の貫通孔82が形成されている。上流部材81には、例えば3~9つの貫通孔82が形成されている。
【0045】
第2接続部分67の内部には、第2接続部分67に流れる水(液体)を通過させる下流部材87が設けられている。下流部材87(第2部材)は、上流部材81と同様に構成されている。そして、下流部材87は、分岐流路53,54(本体51)側に突出している。すなわち、下流部材87は、第2接続部分67の流路67cの中央側ほど分岐流路53,54側に突出している。
【0046】
【0047】
第2分岐流路54の内部へ、5つ(複数)の挿入管71が挿入されている。5つの挿入管71は、第1接続部分63(第1配管61)から第2接続部分67(第2配管65)の方向に沿って直線状に並んでいる。挿入管71は、第2分岐流路54の中央に露出している(中央を通っている)。挿入管71は、樹脂や金属等により有底円筒状に形成されており、底部71aと反対側には鍔部71bが形成されている。鍔部71bは、矩形板状に形成されている(
図3,4参照)。鍔部71bがねじにより締結されることで、挿入管71が本体51に取り付けられている。
【0048】
挿入管71において、鍔部71bに対して底部71aと反対側には、円筒状の接続部71cが形成されている。5つの挿入管71の接続部71cには、それぞれ接続部材73を介して上記液肥供給管36C~36Gが接続されている。挿入管71の第2接続部分67(第2配管65)側の側面には、貫通孔71dが形成されている。貫通孔71dは、第2分岐流路54の中央に位置している。本体51と鍔部71bとの間は、図示しないシール部材によりシールされている。なお、鍔部71b及び接続部71cを、挿入管71とは別の部材により構成することもできる。
【0049】
図6は、
図4のVI-VI線断面図である。
図4,6に示すように、同様に第1分岐流路53の内部へも、2つ(複数)の挿入管71が挿入されている。詳しくは、第1分岐流路53において、最も第1接続部分63(第1配管61)側の部分に2つの挿入管71が挿入されている。すなわち、2つの挿入管71は、第1分岐流路53において水の流れの最も上流側の部分に挿入されている。2つの挿入管71の接続部71cには、それぞれ接続部材73を介して上記液肥供給管36A,36Bが接続されている。
【0050】
第1分岐流路53側と第2分岐流路54側とを合わせて7つ(全て)の挿入管71は、第1分岐流路53及び第2分岐流路54の内部へ上方向(同一の方向)から挿入されている。すなわち、7つの挿入管71において液肥供給管36A~36Gに接続される各接続部71cは、本体51の上面51a(一面)側に配置されている。
【0051】
第1分岐流路53において、2つの挿入管71よりも第2接続部分67(第2配管65)側の部分には、3つ(複数)の挿入柱77が挿入されている(
図4参照)。3つの挿入柱77は、2つの挿入管71と共に第1接続部分63(第1配管61)から第2接続部分67(第2配管65)の方向に沿って直線状に並んでいる。挿入柱77は、樹脂や金属等により円柱状に形成されており、第1分岐流路53の内部に挿入されていない側には鍔部77bが形成されている。鍔部77bは、鍔部71bと同様に矩形板状に形成されている。鍔部77bがねじにより締結されることで、挿入柱77が本体51に取り付けられている。挿入柱77には、挿入管71の貫通孔71d及び接続部71cが形成されていない。すなわち、挿入柱77の内部には、液肥の流路が形成されていない。
【0052】
図3~6に示すように、第1接続部分63において分岐流路53,54に隣接する部分には、縮幅部材85が配置されている。縮幅部材85は、樹脂や金属等により、円柱状に形成されている。第1配管61、第1接続部分63、縮幅部材85、本体51、第2接続部分67、及び第2配管65の中心軸線は一致している。縮幅部材85には、分岐流路53,54にそれぞれ接続される縮幅流路86A,86Bが形成されている。縮幅流路86A,86B(隣接流路)の断面形状は矩形になっている。そして、縮幅流路86A,86Bは、挿入管71の長手方向に、分岐流路53,54の径よりも小さい一定幅で延びている(
図4参照)。
【0053】
以上詳述した本実施形態の作用効果を説明する。
【0054】
・第1配管61へ供給された水は、分岐流路53,54へ分かれて流れる。このとき、第1接続部分63では、第1配管61から流入した水が、分岐流路53,54へ分流するため、水の流れに乱れが生じやすい。水の流れに乱れが生じた場合は、水の流通抵抗が大きくなる。
【0055】
そこで、第1接続部分63の内部には、第1接続部分63に流れる水を通過させる上流部材81が設けられている。そして、上流部材81は、第1接続部分63の流路の中央側ほど分岐流路53,54側に突出しており、第1配管61側から分岐流路53,54側へ貫通する複数の貫通孔82が形成されている。このため、第1接続部分63に生じた流れの乱れを上流部材81により整えつつ、貫通孔82を通じて水を分岐流路53,54側へ流すことができる。したがって、第1配管61から分岐流路53,54へ水を円滑に流すことができ、液肥と水との撹拌を行わない部分での流通抵抗を低減することができる。
【0056】
・各挿入管71へ供給された各液肥は、各挿入管71により分岐流路53,54の内部へ導入される。各挿入管71により分岐流路53,54の内部へ導入された液肥は、各挿入管71の第2配管65側の側面に形成された貫通孔71dから、分岐流路53,54の内部へそれぞれ供給される。第1配管61から分岐流路53,54へ供給された水は、分岐流路53,54の内部を流れて各挿入管71に衝突しつつ第2配管65側へ流れる。このため、分岐流路53,54の内部において、各挿入管71付近の第2配管65側の部分には、カルマン渦又は乱流が生じる。したがって、分岐流路53,54の長さを長くしなくても、各挿入管71の第2配管65側の貫通孔71dから分岐流路53,54の内部へ供給された液肥を、カルマン渦又は乱流により水と十分に撹拌することができる。
【0057】
・分岐流路53,54の断面形状は円であるため、分岐流路53,54の断面形状が正方形等である構成と比較して、本体51に分岐流路53,54を容易に形成することができる。しかしながら、分岐流路53,54の断面形状が円である場合は、分岐流路53,54の断面において挿入管71の長手方向に垂直な方向では分岐流路53,54の端部を流れる液体が挿入管71に衝突しにくくなる。このため、分岐流路53,54の内部において、各挿入管71付近の第2配管65側の部分に生じるカルマン渦又は乱流が弱くなるおそれがある。
【0058】
この点、第1接続部分63において分岐流路53,54にそれぞれ隣接する部分には、挿入管71の長手方向に分岐流路53,54の径よりも小さい一定幅で延びる断面形状を有する縮幅流路86A,86Bがそれぞれ形成されている。このため、分岐流路53,54の断面において、挿入管71の長手方向に垂直な方向の分岐流路53,54の端部に水が流れることを抑制することができる。したがって、最も第1配管61側の挿入管71に多くの水を衝突させることができ、分岐流路53,54の内部において、各挿入管71付近の第2配管65側の部分に生じるカルマン渦又は乱流が弱くなることを抑制することができる。
【0059】
・第2接続部分67及び第2配管65の内部に形成されている流路67c,65aは、分岐流路53,54を統合している。このため、分岐流路53,54において十分に撹拌された各液肥の希釈液を、第2接続部分67及び第2配管65において混合することができる。
【0060】
・複数の挿入管71は、第1配管61から第2配管65の方向に沿って並んでいる。このため、複数の液肥を分岐流路53,54の内部へ効率的に供給することができる。以上により、混合器50は、各液肥の希釈液を十分に撹拌してから混合するとともに、小型化することが可能となる。
【0061】
・硝酸カルシウムは他のイオンと結合して析出物を生じ易い性質がある。これに対して、各液肥の希釈液が十分に撹拌されてから混合されるため、析出物が生じることを抑制することができる。さらに、析出物が生じ易い硝酸カルシウムは、Ph調整剤と共に第1分岐流路53へ供給され、他の液肥は第2分岐流路54へ供給されるため、析出物が生じることを効果的に抑制することができる。
【0062】
・第2接続部分67では、分岐流路53,54から流入した各液肥の希釈液が、第2配管65の流路65aへ合流するため、流れに乱れが生じやすい。このため、混合された複数の希釈液が撹拌され易いという利点があるものの、希釈液の流通抵抗が大きくなり易い。
【0063】
そこで、第2接続部分67の内部には、第2接続部分67に流れる液体を通過させる下流部材87が設けられている。そして、下流部材87は、第2接続部分67の流路67cの中央側ほど分岐流路53,54側に突出しており、分岐流路53,54側から第2配管65側へ貫通する複数の貫通孔88が形成されている。このため、第2接続部分67に生じた流れの乱れを下流部材87により整えつつ、貫通孔88を通じて希釈液を第2配管65側へ流すことができる。したがって、分岐流路53,54から第2配管65へ希釈液を円滑に流すことができ、希釈液の流通抵抗を低減することができる。
【0064】
・下流部材87は、分岐流路53,54側に突出する円錐曲板状に形成されている。このため、第2接続部分67に生じた流れの乱れを、円錐曲板状に形成された下流部材87の表面で滑らかに整えることができる。したがって、分岐流路53,54から第2配管65へ希釈液をより円滑に流すことができ、希釈液の流通抵抗をより低減することができる。
【0065】
・分岐流路53,54は、それぞれ直線状に形成されている。このため、分岐流路53,54が曲線状や屈曲して形成されている構成と比較して、分岐流路53,54の配置スペースを小さくすることができる。さらに、分岐流路53,54は、互いに隣り合って平行に延びている。このため、分岐流路53,54を1箇所にまとめて配置することができ、混合器50をより小型化することができる。なお、分岐流路53,54に、曲線状部や、屈曲部を含ませることもできる。
【0066】
・分岐流路53,54は1つの本体51に形成されている。このため、混合器50を、まとまりのある1つの装置として取り扱い易くなる。
【0067】
・複数の挿入管71は、分岐流路53,54の内部へ同一の方向から挿入されている。このため、各挿入管71へ各液肥を供給する液肥供給管36A~36Gを、混合器50の一方側に集めることができる。したがって、混合器50に接続する液肥供給管36A~36Gの設置スペースを小さくすることができる。
【0068】
・第1分岐流路53において、2つの挿入管71よりも第2接続部分67(第2配管65)側の部分には、3つの挿入柱77が挿入されている(
図6参照)。このため、供給する液肥の種類がそれほど多くなく、第1分岐流路53の内部に挿入管71を挿入可能な部分に挿入管71を挿入しない場合は、挿入管71に代えて挿入柱77を第1分岐流路53の内部に挿入しておくことができる。したがって、供給する液肥の種類が少ない場合であっても、第1分岐流路53の内部を流れる水及び液肥に、挿入柱77によりカルマン渦又は乱流を形成することができる。
【0069】
・各挿入管71の貫通孔71dは、それぞれ分岐流路53,54の中央に位置している。このため、各挿入管71から分岐流路53,54へ供給された液肥を、分岐流路53,54を流れる水中に偏りなく供給することができる。
【0070】
・水とよく撹拌する必要のある液肥Aをより上流側の挿入管71から供給しているため、下流側の複数の挿入管71又は挿入柱77付近に形成されるカルマン渦又は乱流により、水と液肥Aを十分に撹拌することができる。
【0071】
・コントロールユニット31は、流量センサ33により検出された水の流量、圧力センサ34により検出された水の圧力、ユーザにより入力された液肥A~Gの混合割合等に基づいて、バルブ35の開度、液肥ポンプ23A~23Gの駆動状態、及びバルブ41~48の開閉状態を制御する。このため、コントロールユニット31は、植物の成育度合や、温度、湿度、光の強度等に応じて、液肥A~Gの濃度や混合割合を任意に制御することができる。多数の液肥A~Gを混合することができるため、液肥A~Gとして単一成分の溶液を用いることができる。したがって、予め所定の割合で複数の成分が混合された液肥を用いる場合と比較して、低コストの液肥を用いることができる。
【0072】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0073】
・挿入柱77の代わりに第2分岐流路54に挿入管71を挿入し、挿入管71において第2分岐流路54の内部に配置されていない側の端部を閉塞可能に形成してもよい。こうした構成によれば、複数の挿入管71のうち液肥の供給に使用されない挿入管71は、第2分岐流路54の内部に配置されていない側の端部を閉塞しておくことができる。したがって、使用されない挿入管71も第2分岐流路54の内部へ挿入したままにすることができ、使用されない挿入管71もカルマン渦又は乱流の形成に役立てることができる。
【0074】
・挿入管71を有底円筒状以外の有底筒状に形成することもでき、挿入柱77を円柱状以外の柱状に形成することもできる。その場合であっても、分岐流路53,54の内部において、各挿入管71,各挿入柱77付近の第2配管65側の部分に、カルマン渦又は乱流を生じさせることができる。
【0075】
・縮幅流路86A,86Bの断面形状は、挿入管71の長手方向に分岐流路53,54の径よりも小さい一定幅で延び、挿入管71の長手方向の端部が半円形であってもよい。
【0076】
・分岐流路53,54の断面形状を、矩形にすることもできる。そして、分岐流路53,54の断面が、挿入管71の長手方向に一定幅で延びるようにすれば、各挿入管71に多くの水を衝突させることができる。これにより、分岐流路53,54の内部において、各挿入管71付近の第2配管65側の部分に生じるカルマン渦又は乱流が弱くなることを抑制することができる。
【0077】
・下流部材87を、分岐流路53,54側に突出する多角錐屈曲板状に形成することもできる。こうした構成によっても、第2接続部分67に生じた流れの乱れを、多角錐屈曲板状に形成された下流部材87の表面で整えることができる。したがって、分岐流路53,54から第2配管65へ希釈液を円滑に流すことができ、希釈液の流通抵抗を低減することができる。なお、下流部材87を、分岐流路53,54側に突出する円錐状や、多角錐状に形成することもできる。また、下流部材87を平板状に形成することもできる。さらに、下流部材87を省略することもできる。同様に、上流部材81を、多角錐屈曲板状に形成したり、円錐状に形成したり、多角錐状に形成したり、平板状に形成したり、省略したりすることもできる。
【0078】
・第1分岐流路53の内部へ複数の挿入管71を同一の第1方向から挿入し、第2分岐流路54の内部へ複数の挿入管71を同一の第2方向から挿入してもよい。
【0079】
・上記実施形態では、複数の挿入管71は、第1配管61から第2配管65の方向に沿って直線状に並んでいた。これに対して、複数の挿入管71が、第1配管61から第2配管65の方向に沿って非直線状に並んでいてもよい。この場合であっても、複数の挿入管71は、第1配管61から第2配管65の方向に沿って並んでいるため、複数の液肥を分岐流路53,54の内部へ効率的に供給することができる。
【0080】
・第1接続部分63(第1管)から分岐した2つ(複数)の分岐管により、分岐流路53,54を形成することもできる。この場合、複数の分岐管を1つの筐体内に収納することにより、混合器50(液体希釈混合装置)を、まとまりのある1つの装置として取り扱い易くなる。また、筐体を省略することもできる。
【0081】
・貫通孔71dは、各挿入管71の第2配管65側の側面に限らず、各挿入管71の第1配管61側の側面等にも形成されていてもよい。この場合であっても、分岐流路53,54の内部において、1つ上流側の挿入管71付近の第2配管側の部分に形成されるカルマン渦又は乱流や、下流側の挿入管71付近の第2配管側の部分に形成されるカルマン渦又は乱流により、液肥を水と十分に撹拌することができる。
【0082】
・混合器50は、第1分岐流路53と第2分岐流路54とに限らず、3つ以上の分岐流路を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…液肥供給システム、31…コントロールユニット、36A~36G…液肥供給管、37…水供給管、38…希釈液供給管、50…混合器、51…本体、53…第1分岐流路、54…第2分岐流路、61…第1配管、63…第1接続部分、65…第2配管、67…第2接続部分、71…挿入管、71d…貫通孔、77…挿入柱、81…上流部材、82…貫通孔、85…縮幅部材、86A…縮幅流路、86B…縮幅流路、87…下流部材、88…貫通孔。