(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ドア制御装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/77 20150101AFI20220208BHJP
E05F 15/76 20150101ALI20220208BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20220208BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220208BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E05F15/77
E05F15/76
E05F15/611
B60J5/04 C
B60J5/10 K
(21)【出願番号】P 2017196000
(22)【出願日】2017-10-06
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】関 淳也
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-001724(JP,A)
【文献】特開2003-082904(JP,A)
【文献】特開2003-022327(JP,A)
【文献】特開2009-211476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0085614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/77
E05F 15/76
E05F 15/611
B60J 5/04
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを複数有する車両におけるドア制御装置であって、
前記ドアを少なくとも開駆動するドア駆動部と、
前記車両の乗員による商品の購入に係る情報である購入情報に基づいて開対象のドアを決定し、該決定したドアの開駆動を前記ドア駆動部に実行させるドア制御部と、を備え
、
前記ドア制御部は、
前記購入情報として取得される商品購入金額の情報に基づいて前記乗員が購入した商品の量及び/又はサイズに相関する情報である量サイズ相関情報を取得し、該量サイズ相関情報に基づいて前記開対象のドアを決定する
ドア制御装置。
【請求項2】
外部機器と無線通信可能な通信部を備え、
前記ドア制御部は、
前記通信部による無線通信可能範囲に前記外部機器が検出されたことを条件として前記開対象のドアについての開駆動を実行させる
請求項1に記載のドア制御装置。
【請求項3】
前記ドア制御部は、
前記購入情報として取得される商品の購入店舗種別の情報と前記商品購入金額の情報とに基づいて前記量サイズ相関情報を取得する
請求項1又は請求項2に記載のドア制御装置。
【請求項4】
前記車両は、
複数の座席と荷室とを有し、前記ドアとして乗員の前記座席への乗降に用いられるドアである複数の座席ドアと、前記荷室に対する荷の積み降ろしに用いられる荷室ドアとを有しており、
前記ドア制御部は、
前記量サイズ相関情報に基づき商品の量及び/又はサイズが小さいと判定した場合は前記座席ドアを対象として前記開対象のドアを決定する一方、前記量及び/又はサイズが大きいと判定した場合は前記荷室ドアを対象として前記開対象のドアを決定する
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のドア制御装置。
【請求項5】
前記車両は複数の座席を有し、
前記乗員が着座していた前記座席の位置を表す着座位置情報を検出する着座位置検出部を備え、
前記ドア制御部は、
前記着座位置情報と前記購入情報とに基づいて前記開対象のドアを決定する
請求項1乃至
請求項4の何れかに記載のドア制御装置。
【請求項6】
前記ドア制御部は、
前記開対象のドアとは異なるドアが手動により開かれた場合は、前記開対象のドアを決定する処理に用いる該開かれたドアについてのパラメータを変更する
請求項1乃至
請求項5の何れかに記載のドア制御装置。
【請求項7】
複数のドアと前記ドアを少なくとも開駆動するドア駆動部とを有した車両と通信可能に構成された情報処理装置が実行するプログラムであって、
前記車両の乗員による商品の購入に係る情報である購入情報に基づいて開対象のドアを決定する決定機能と、
前記決定機能により決定したドアの開駆動を前記車両に指示する指示機能と、を前記情報処理装置に実現させ
、
前記決定機能は、前記購入情報として取得される商品購入金額の情報に基づいて前記乗員が購入した商品の量及び/又はサイズに相関する情報である量サイズ相関情報を取得し、該量サイズ相関情報に基づいて前記開対象のドアを決定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両においてドアの開制御を行うドア制御装置の技術分野、及びドアの開制御を行う車両と通信可能に構成された情報処理装置が実行するプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の駐車支援に係る機能の一つとして、自動バレーパーキング(Valet Parking)機能の実装が考えられている。自動バレーパーキング機能は、車両の自動運転技術を利用してバレーパーキングを自動化するものであり、具体的には、例えばホテルや大型商業施設等のバレーパーキング対応施設において車両が所定の降車場所に停車して運転者等の乗員が降車した後に、該車両が自動運転により所要の駐車スペースに移動して駐車を行い、乗員からの呼び出しに応じて所定の乗車場所に自動運転により移動する機能となる。このとき、自動バレーパーキング機能の一環として、車両が空き駐車スペースの探索を自動で行うことも考えられる。
なお、上記の降車場所と乗車場所は同一場所の場合もある。
【0003】
上記のような自動バレーパーキング機能において、乗員からの呼び出しに応じて車両が乗車場所に到着した際には、ドアを自動で開くことにより乗員の利便性向上を図ることが考えられる。
【0004】
なお、関連する従来技術については下記特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のような自動バレーパーキング機能としては、複数の店舗が出店している商業施設等での利用が想定される。このような利用シーンを想定した場合、購入商品を抱えた乗員を車両が乗車場所まで出迎えるということが考えられる。
この際、乗員が大量に商品を購入して荷物の量が多いことも想定されるため、乗車場所への到着に応じて、車両のドアを自動で開くということが考えられる。荷物が大量であったりサイズが大きいときは座席への積み込みが困難となる場合もあるため、座席のドアではなくトランクやカーゴルーム等の荷室のドアを自動で開くことも考えられる。
【0007】
しかしながら、不必要なドアまで自動で開くことは、乗員以外の者が車両に乗り込む隙を与えることになり、セキュリティ上望ましくない。また、不要なドアが開くと乗員に煩わしさを感じさせ、商品性を損なう虞もある。
【0008】
不要なドアが開くことの防止を図る上では、乗員によって開対象のドアを予め指定させることも考えられるが、その場合には乗員の操作負担が増して利便性を損なうことになる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、車両におけるドアの開制御について、乗員の利便性向上とセキュリティ向上との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るドア制御装置は、ドアを複数有する車両におけるドア制御装置であって、前記ドアを少なくとも開駆動するドア駆動部と、前記車両の乗員による商品の購入に係る情報である購入情報に基づいて開対象のドアを決定し、該決定したドアの開駆動を前記ドア駆動部に実行させるドア制御部と、を備え、前記ドア制御部は、前記購入情報として取得される商品購入金額の情報に基づいて前記乗員が購入した商品の量及び/又はサイズに相関する情報である量サイズ相関情報を取得し、該量サイズ相関情報に基づいて前記開対象のドアを決定するものである。
【0011】
これにより、乗員による開対象ドアの指定操作を不要としながら、乗員による商品の購入量等に応じた適切な数及び位置のドアを自動で開くことが可能とされる。また、これにより、乗員による開対象ドアの指定操作を不要としながら、乗員が車両に持ち込む荷物の量やサイズに応じた適切な数及び位置のドアを自動で開くことが可能とされる。さらにまた、商品購入金額が大きければ商品を大量購入している可能性があり、商品購入金額は購入商品の総量や総サイズを推し量る目安となる。
【0012】
上記した本発明に係るドア制御装置においては、外部機器と無線通信可能な通信部を備え、前記ドア制御部は、前記通信部による無線通信可能範囲に前記外部機器が検出されたことを条件として前記開対象のドアについての開駆動を実行させる構成とすることが可能である。
【0013】
これにより、乗員が車両に近づいたことを条件として開対象のドアを自動で開けることが可能とされる。
【0018】
上記した本発明に係るドア制御装置においては、前記ドア制御部は、前記購入情報として取得される商品の購入店舗種別の情報と前記商品購入金額の情報とに基づいて前記量サイズ相関情報を取得する構成とすることが可能である。
【0019】
これにより、購入金額のみでなく購入商品の種別を加味して購入商品の量やサイズを推定することが可能とされる。
【0020】
上記した本発明に係るドア制御装置においては、前記車両は、複数の座席と荷室とを有し、前記ドアとして乗員の前記座席への乗降に用いられるドアである複数の座席ドアと、前記荷室に対する荷の積み降ろしに用いられる荷室ドアとを有しており、前記ドア制御部は、前記量サイズ相関情報に基づき商品の量及び/又はサイズが小さいと判定した場合は前記座席ドアを対象として前記開対象のドアを決定する一方、前記量及び/又はサイズが大きいと判定した場合は前記荷室ドアを対象として前記開対象のドアを決定する構成とすることが可能である。
【0021】
これにより、座席に荷物を置くことが可能であるにも拘わらず荷室ドアが開いてしまったり、逆に座席に荷物を置くことが不能であるにも拘わらず荷室ドアが開かないといった不都合が生じることの防止が図られる。
【0022】
上記した本発明に係るドア制御装置においては、前記車両は複数の座席を有し、前記乗員が着座していた前記座席の位置を表す着座位置情報を検出する着座位置検出部を備え、前記ドア制御部は、前記着座位置情報と前記購入情報とに基づいて前記開対象のドアを決定する構成とすることが可能である。
【0023】
これにより、乗員が車両に持ち込む荷物の量やサイズのみでなく、降車時における乗員の着座位置に応じた適切な数及び位置のドアを自動で開くことが可能とされる。
【0024】
上記した本発明に係るドア制御装置においては、前記ドア制御部は、前記開対象のドアとは異なるドアが手動により開かれた場合は、前記開対象のドアを決定する処理に用いる該開かれたドアについてのパラメータを変更する構成とすることが可能である。
【0025】
これにより、乗員が荷物の積載に好んで利用するドアが乗員からのフィードバックに基づき学習される。
【0026】
また、本発明に係るプログラムは、複数のドアと前記ドアを少なくとも開駆動するドア駆動部とを有した車両と通信可能に構成された情報処理装置が実行するプログラムであって、前記車両の乗員による商品の購入に係る情報である購入情報に基づいて開対象のドアを決定する決定機能と、前記決定機能により決定したドアの開駆動を前記車両に指示する指示機能と、を前記情報処理装置に実現させ、前記決定機能は、前記購入情報として取得される商品購入金額の情報に基づいて前記乗員が購入した商品の量及び/又はサイズに相関する情報である量サイズ相関情報を取得し、該量サイズ相関情報に基づいて前記開対象のドアを決定するプログラムである。
【0027】
このようなプログラムにより、乗員による開対象ドアの指定操作を不要としながら、乗員による商品の購入量等に応じた適切な数及び位置のドアを車両に自動で開かせることのできる情報処理装置が実現される。また、このようなプログラムにより、乗員による開対象ドアの指定操作を不要としながら、乗員が車両に持ち込む荷物の量やサイズに応じた適切な数及び位置のドアを自動で開かせることのできる情報処理装置が実現される。さらにまた、商品購入金額が大きければ商品を大量購入している可能性があり、商品購入金額は購入商品の総量や総サイズを推し量る目安となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、車両におけるドアの開制御について、乗員の利便性向上とセキュリティ向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る実施形態としてのドア制御装置を備えた車両が有する座席、荷室、及びドアを例示した図である。
【
図2】実施形態としてのドア制御装置を含む車両制御システムの構成例を示したブロック図である。
【
図3】実施形態における外部電子機器の構成例
の説明図である。
【
図4】実施形態における基本ドア開予想値の例を示した図である。
【
図5】実施形態における施設種別ごとの初期ドア開予想値の例を示した図である
。
【
図6】実施形態における購入品評価値の計算手法の例を説明するための図である。
【
図7】実施形態において施設種別が第一施設種別である場合において量サイズランクごとに設定される各ドアのドア開予想値を例示した図である。
【
図8】実施形態において施設種別が第二施設種別である場合において量サイズランクごとに設定される各ドアのドア開予想値を例示した図である。
【
図9】実施形態において施設種別が第三施設種別である場合において量サイズランクごとに設定される各ドアのドア開予想値を例示した図である。
【
図10】実施形態において施設種別と量サイズランクとの組合わせごとに初期ドア開予想値に対する調整値を定めた調整値テーブルの情報内容を例示した図である。
【
図11】実施形態における開予定ドアの学習機能についての説明図である。
【
図12】実施形態としてのドア開制御を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【
図13】
図12に示す開予定ドア決定処理のフローチャートである。
【
図14】
図12に示すドア開制御処理のフローチャートである。
【
図15】実施形態としての学習処理を実現するために実行されるべき処理の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<1.車両及び車両制御システムの構成>
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施形態としてのドア制御装置について説明する。
図1は、実施形態としてのドア制御装置を備えた車両100が有する座席、荷室、及びドアを例示した図である。
車両100は、座席の配置形態として2列シートの形態を採り、前列に運転席101及び助手席102が、後列に後部右座席103及び後部左座席104が設けられている。また車両100において、後列の座席のさらに後側には荷室105が設けられている。
【0031】
車両100には、乗員が座席に乗り込み、また座席から降車するためのドアである座席ドアが複数設けられている。具体的に、本例の車両100は、これらの座席ドアとして、運転席101に対応して設けられた運転席ドア111、助手席102に対応して設けられた助手席ドア112、後部右座席103に対応して設けられた後部右ドア113、後部左座席104に対応して設けられた後部左ドア114を備えている。さらに車両100には、荷室105に対する荷物の積み降ろしに用いられるドアである荷室ドア115が設けられている。
【0032】
上記の各ドアは、不図示のアクチュエータによって施解錠が可能とされている。また本例では、これらドアは、例えばモータ等のアクチュエータにより開閉が可能とされている。
なお以下、単に「ドア」と言った場合にはこれら運転席ドア111、助手席ドア112、後部右ドア113、後部左ドア114、荷室ドア115を指すものとする。また、単に「座席」と言った場合は運転席101、助手席102、後部右座席103、後部左座席104を指すものとする。
【0033】
図2は、実施形態としてのドア制御装置を含む車両制御システム1の構成例を示したブロック図である。
車両制御システム1は、カメラ部2、自動運転制御部3、操舵制御部4、エンジン制御部5、ブレーキ制御部6、トランスミッション制御部7、出力制御部8、ドア制御部9、バス10、出力部11、ドア近接検出部12、着座検出部13、ドア開閉状態検出部14、ドア駆動部15、及び無線通信部16を備えている。
【0034】
自動運転制御部3、操舵制御部4、エンジン制御部5、ブレーキ制御部6、トランスミッション制御部7、出力制御部8、及びドア制御部9は、それぞれ、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、互いがバス10を介してデータ通信可能に接続されている。
【0035】
本例の車両100は、自動バレーパーキング(Valet Parking)機能を有した車両とされている。自動バレーパーキング機能は、車両が所定の降車場所に停車して運転者等の乗員が降車した後に、該車両が自動運転により所要の駐車スペースに移動して自動で駐車を行い、乗員からの呼び出しに応じて所定の乗車場所に自動運転により移動するということを少なくとも行う機能である。
この自動バレーパーキング機能を実現するため、車両制御システム1には自動運転制御部3が設けられている。
【0036】
自動運転制御部3は、車両100の現在位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)センサを有すると共に、内部のメモリに地図情報が記憶され、GNSSセンサが検出した現在位置情報及び地図情報と、カメラ部2が有する1又は複数のカメラによる撮像画像とに基づき、自動運転のための各種制御を行う。カメラ部2が有するカメラは車外方向を撮像し、自動運転制御部3は、自身が有する画像処理部3aによりカメラ部2が有するカメラの撮像画像について画像解析を行い、車外環境を認識する。例えば、車外に存在する物体の検出や検出物体の認識等を行い、車外環境を認識する。そして、自動運転制御部3は、このような車外環境の認識結果、及び上記した現在位置情報と地図情報に基づいて、操舵制御部4に対する操舵量等の指示、エンジン制御部5に対するアクセル開度等の指示、ブレーキ制御部6に対するブレーキのON/OFF等の指示、及びトランスミッション制御部7に対する前進/後退等の指示を行って自動運転を実現させる。
なお、自動運転制御の具体的な手法については本発明に直接関係するものではなく、詳細な説明については省略する。
【0037】
操舵制御部4は、自動運転制御部3からの指示に基づき不図示の操舵アクチュエータ(例えばパワーステアリングモータ等、操舵角を変更可能に設けられたアクチュエータ)の駆動制御を行い、操舵角の制御を行う。
エンジン制御部5は、車両100に設けられた所定のセンサからの検出信号や操作子による操作入力情報等に基づき、エンジン関連アクチュエータ(不図示)として設けられた各種アクチュエータを制御する。エンジン関連アクチュエータとしては、例えばスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが設けられる。エンジン制御部5は、車両100に設けられたイグニッションスイッチ等の所定操作子の操作や、自動運転制御部3からの指示等に応じてエンジンの始動/停止制御を行う。また、エンジン制御部5は、エンジン回転数センサやアクセル開度センサ等の所定のセンサからの検出信号や自動運転制御部3からの指示等に基づき、燃料噴射タイミング、燃料噴射パルス幅、スロットル開度等の制御を行う。
【0038】
ブレーキ制御部6は、車両100に設けられた所定のセンサからの検出信号や操作子による操作入力情報等に基づき、ブレーキ関連アクチュエータ(不図示)として設けられた各種のアクチュエータを制御する。ブレーキ関連アクチュエータとしては、例えば、ブレーキブースターからマスターシリンダへの出力液圧やブレーキ液配管内の液圧をコントロールするための液圧制御アクチュエータ等、ブレーキ関連の各種のアクチュエータが設けられる。ブレーキ制御部6は、所定のセンサ(例えば車軸の回転速度センサや車速センサ)の検出情報から車輪のスリップ率を計算し、スリップ率に応じて上記の液圧制御アクチュエータにより液圧を加減圧させることで、所謂ABS(Antilock Brake System)制御を実現する。またブレーキ制御部6は、自動運転制御部3からの指示に基づき、上記の液圧制御アクチュエータを制御してブレーキのON/OFF等を制御する。
【0039】
トランスミッション制御部7は、車両100に設けられた所定のセンサからの検出信号や操作子による操作入力情報等に基づき、トランスミッション関連アクチュエータ(不図示)として設けられた各種のアクチュエータを制御する。トランスミッション関連アクチュエータとしては、例えば車両100が有する自動変速機の変速制御を行うための変速用アクチュエータや、前後進切替機構の動作を制御するための前後進切替用アクチュエータ等が設けられる。
例えば、トランスミッション制御部7は、所定の変速パターンに従い変速信号を上記の変速用アクチュエータに出力して変速制御を行う。また、トランスミッション制御部7は、自動運転制御部3からの指示に基づき上記の前後進切替用アクチュエータを制御して車両100の前進/後退の切り替えを行う。
【0040】
出力部11は、車両100に設けられた例えばスピーカや各種表示デバイス等、各種情報の出力を行うためのデバイスを包括的に表したものである。本例の出力部11は、車内のみでなく車外に対する情報の出力を行うことが可能とされる。例えば、車外に対する警告音の出力等である。
出力制御部8は、出力部11を制御して各種の情報出力を実行させる。
【0041】
ドア制御部9は、車両100が有するドアの制御を行う。図示のようにドア制御部9には、ドア近接検出部12、着座検出部13、ドア開閉状態検出部14、ドア駆動部15、及び無線通信部16が接続されている。
ドア近接検出部12は、ドアに対する物体の近接を検出するためのセンサを包括的に表したものである。本例のドア近接検出部12は、例えば超音波センサやレーザセンサ等、物体の有無や物体までの距離を検出可能なセンサをドアごとに有している。
【0042】
着座検出部13は、座席に対する乗員の着座有無を検出するためのセンサを包括的に表すものであり、本例の着座検出部13は、座席の座面下部に埋め込まれた感圧センサを座席ごとに有している。
本例の場合、着座検出部13は、感圧センサの検出信号に基づき乗員の着座のみでなく、座席に乗員以外の物体、具体的には所定重量以上且つ所定重量未満の物体が置かれたことを検出可能に構成されている。これにより、座席に対して荷物が置かれたか、或いは乗員が着座したかを検出し分けることが可能とされている。
【0043】
ドア開閉状態検出部14は、ドアが開状態又は閉状態の何れの状態にあるかを検出するためのデバイスを包括的に表したものである。本例では、ドアが開状態又は閉状態の何れの状態にあるかを検出するためのデバイスとしては、ドアスイッチ(例えばドアが閉状態のときに導通し開状態のときに非導通状態となるスイッチ)が用いられ、ドア開閉状態検出部14は該ドアスイッチをドアごとに有している。
【0044】
ドア駆動部15は、ドアを人力に依らずいわば自動で開閉するための例えば電動モータ等のアクチュエータをドアごとに有すると共に、該アクチュエータを駆動する駆動回路を有している。該駆動回路は、例えばアクチュエータごとに設けられ、ドア制御部9は該駆動回路に個別に指示を行うことでドアごとに独立して開閉制御を行うことが可能とされる。
【0045】
無線通信部16は、車両制御システム1外部の電子機器との間で無線通信を行う通信デバイスを包括的に表したものである。無線通信部16には、主として運転者としての乗員が携帯する携帯型の電子機器(以下「携帯機」と表記する)との間で無線通信を行うための通信デバイスを有している。
図示は省略するが、この携帯機には、所定のドア(例えば荷室ドア115)の開指示を行うための開ボタンが設けられており、携帯機は開ボタンが操作されると対象のドアの開指示を行うための開指示信号を無線により送出する。該開指示信号は無線通信部16で受信され、ドア制御部9に入力される。ドア制御部9は、該開指示信号に応じて対象のドアが開扉されるようにドア駆動部15に対する指示を行う。これにより、乗員は、携帯機を用いた無線操作によって例えば荷室ドア115等の所定のドアを自動で開扉させることができる。
【0046】
また、図示は省略したが、車両100には、ドアごとに施解錠機構と該施解錠機構を駆動するソレノイド等のアクチュエータとが設けられており、ドア制御部9は、該アクチュエータについての駆動制御を行うことで、各ドアの施解錠を制御可能とされている。
上記の携帯機には、ドアの解錠や施錠を指示するためのボタンが設けられており、ドア制御部9は、該ボタンの操作に応じて携帯機が無線送出したドアの解錠、施錠を指示する信号が無線通信部16を介して受信されると、該指示に従って上記のアクチュエータを制御してドアの解錠、施錠を実現させる。
このとき、ドア制御部9は、上記のようなドアの解錠や施錠、及び所定ドアの開扉については、それらの指示信号が特定の携帯機により送出されたものであることを条件として行う。具体的に、上記の携帯機には、認証用のID(固有識別情報)が記憶されており、ドア制御部9は携帯機から該IDを取得して認証処理を行い、該認証が成立した場合のみ携帯機からの指示信号に応じてドアの解錠や施錠、所定ドアの開扉が行われるようにする。
【0047】
また、本例の無線通信部16は、例えばインターネット等の所定の通信ネットワークへの接続機能を有している。これによりドア制御部9は、無線通信部16を通じて、所定の通信ネットワークを介した外部電子機器(例えばサーバ装置等)との間でのデータ通信を行うことが可能とされ、ネットワーク上での情報検索、及びネットワークを介した情報取得を行うことが可能とされている。
【0048】
図3は、実施形態における乗員端末50(本発明における外部電子機器の一実施形態)の構成例を示している。
図示のように乗員端末50は、主制御部51、不揮発性メモリ52、無線通信部53、入力部54、表示部55、表示制御部56、及び現在位置検出部57を備えている。
主制御部51は、例えばCPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、上記ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムに従った処理を実行することで乗員端末50の全体制御を行う。
【0049】
この乗員端末50は、後述する実施形態としてのドア開制御を実現する上で乗員によって携帯されるべき電子機器とされる。特に、本実施形態では、この乗員端末50は、バレーパーキングの対応施設において乗員が商品購入を行う際に乗員により携帯されることが前提とされている。
乗員端末50は、例えばスマートフォンやタブレット端末等、携帯型の情報処理装置として構成されている。
【0050】
ここで、乗員端末50は、電子マネーによる購入代金の支払い機能を有しており、本実施形態では、該機能により電子マネーによる購入代金の支払いを行ったことに応じて、購入代金(購入金額)を表す情報を車両100側(具体的にはドア制御部9)に送信するように構成されている。この購入金額を表す情報の送信処理は、主制御部51が無線通信部53を介して行う。
【0051】
また、本例の乗員端末50は、自動バレーパーキング機能における車両100の降車場所から駐車スペースへの移動及び駐車(駐車スペースでの待機)、駐車スペースから乗車場所への移動(乗員の出迎え)の指示を乗員から受け付け可能とされている。乗員端末50は、これら何れかの指示を乗員から受け付けたことに応じて、対応する指示信号を車両100側(具体的にはドア制御部9)に送信するように構成されている。
【0052】
先の
図2では説明を省略したが、ドア制御部9は、上記の指示信号を無線通信部16を介した受信した場合は、該指示信号を自動運転制御部3に転送する。
自動運転制御部3は、該指示信号に応じて、車両100の駐車スペースへの移動及び駐車、駐車スペースから乗車場所への移動が行われるように自動運転制御を行う。
以下、乗員端末50が送出する上記の各指示信号、すなわち車両100の降車場所から駐車スペースへの移動及び駐車、駐車スペースから乗車場所への移動を指示する各指示信号のことをそれぞれ「待機指示信号」「呼び出し信号」と表記する。
【0053】
なお、車両100の降車場所から駐車スペースへの移動及び駐車の指示については、車両100側に設けた所定の操作子の操作により可能としてもよい。
また、車両100の駐車スペースへの移動及び駐車、又は駐車スペースから乗車場所への移動の少なくとも何れかの指示は、上述した携帯機に設けた操作子の操作により可能とすることもできる。
【0054】
乗員端末50において、主制御部51には、不揮発性メモリ52、無線通信部53、入力部54、表示制御部56、及び現在位置検出部57が接続されている。
不揮発性メモリ52は、例えばフラッシュメモリとされ、主制御部51が各種制御を行うにあたって用いる情報が記憶される。特に、この場合の不揮発性メモリ52には、図中のアプリ52aとして、上記した車両100の降車場所から駐車スペースへの移動及び駐車、駐車スペースから乗車場所への移動の各指示を乗員から受け付けて待機指示信号や呼び出し信号の送出を行い、また電子マネーによる購入代金の支払いが行われたことに応じて購入金額を表す情報を車両100側に送信するアプリケーションソフトウエアを実現するためのプログラムが記憶されている。
なお、このアプリ52aに従って主制御部51が実行する具体的な処理については後述する。
【0055】
無線通信部53は、乗員端末50外部の電子機器との間で無線通信を行う通信デバイスを包括的に表したものである。無線通信部53は、例えばインターネット等の所定の通信ネットワークへの接続機能を有しており、これにより主制御部51は、無線通信部53を通じて所定の通信ネットワークを介した外部電子機器(例えばサーバ装置等)との間でのデータ通信を行うことが可能とされている。さらには、車両100におけるドア制御部9との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
【0056】
入力部54は、乗員が各種情報入力を行うためのデバイスを包括的に表したものであり、例えば各種のキー、ボタン等やタッチパネル等の入力デバイスを含む。
また、表示部55は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等の画像表示が可能な表示デバイスを有し、各種情報表示を行う。表示制御部56は、主制御部51からの指示に基づき表示部55を駆動し、各種の情報を表示させる。
現在位置検出部57は、GNSSセンサを有し、乗員端末50の現在位置を検出する。現在位置検出部57が検出した乗員端末50の現在位置の情報は主制御部51により取得される。
【0057】
ここで、本例の主制御部51は、上述した電子マネーによる購入代金の支払い処理を行ったことに応じて購入金額の情報を車両100側に送信する際には、該購入金額の情報と共に、現在位置検出部57が検出した現在位置情報(端末現在位置情報)を車両100側に送信する。具体的に、主制御部51は、電子マネーによる購入代金の支払い処理を行ったことに応じて現在位置検出部57からの端末現在位置情報の取得を行い、該端末現在位置情報と購入金額の情報とを車両100側に送信する。このように購入代金支払時に対応して取得される端末現在位置情報は、商品購入が行われた店舗の場所を表す情報として機能する。
【0058】
<2.実施形態としてのドア開制御>
[2-1.制御概要]
本実施形態におけるドア制御部9は、乗員端末50側からの受信情報やドア近接検出部12、着座検出部13による検出信号等に基づいて、乗員の利便性やセキュリティを考慮したドアの開制御を行う。
【0059】
以下、
図4乃至
図11を参照し、実施形態としてのドア制御部9が行うドア開制御の例を説明する。
先ず前提として、本例におけるドアの自動開扉は、自動バレーパーキング機能によって車両100が上記の乗車場所への移動を完了したこと(乗車場所で停車したこと)を条件に行われるものとする。
ここで、自動バレーパーキング機能によって車両100が駐車スペースへの移動を開始した以降には、降車後の乗員により施設内の店舗での商品購入が行われ得る。この際、電子マネーによる購入代金の支払いが行われたことに応じて、乗員端末50から車両100側に購入金額の情報、及び端末現在位置情報が送信される。本例のドア制御部9は、車両100の駐車スペースへの移動開始後、乗員からの乗車場所への呼び出しがあるまでの間において、乗員端末50からの購入金額の情報及び端末現在位置情報の受け付けを行う。
乗員端末50から購入金額の情報及び端末現在位置情報を受信したことに応じ、ドア制御部9はそれら受信した情報を例えばRAM等の所要の記憶装置に保存する。
【0060】
そして、ドア制御部9は、乗員からの乗車場所への呼び出し(つまり上述した呼び出し信号の受信)が行われたことに応じ、保存した購入金額の情報及び端末現在位置情報に基づいた開予定のドアの決定を行う。
【0061】
ここで、上記の購入金額や端末現在位置情報(購入店舗の場所を表す情報)は、本発明における商品の「購入情報」の一種となる。
【0062】
上記の「開予定のドア」は、開候補のドアと換言できるものであり、本例における開予定のドアは、以降の説明で明らかとなるように、条件によっては開扉されない場合も有り得る。なお以下、開予定のドアについては「開予定ドア」と表記する。
【0063】
本実施形態において、商品の購入情報に基づく開予定ドアの決定は、購入商品の量及び/又はサイズに相関する情報である量サイズ相関情報に基づいて行う。
この量サイズ相関情報として、本例では以下で説明する「施設種別情報」及び「購入品評価値」を用いる。
「施設種別情報」は、乗員により商品購入が行われた施設(車両100が自動バレーパーキング機能により駐車した施設と換言できる)の別を表す情報であり、例えば、スーパー(スーパーマーケット)、ショッピングモール、ホームセンター等を区別する情報である。スーパーでは例えば食料品等の比較的サイズの小さい商品が購入される傾向にあり、また、日常的な購入であることから商品の購入量(購入商品の量)も比較的小さい傾向になる。ショッピングモールでは、例えば衣類や靴、家電製品等の比較的サイズが大きめの商品が購入される可能性があり、またスーパー等と比較して一般的に訪問頻度が低い傾向になるため商品の購入量も比較的大となる可能性がある。ホームセンターでは、例えば木材等の工作用品や各種家具等の比較的大型の商品が取り扱われており、ショッピングモールの場合よりも大サイズの商品購入が行われる可能性が高いと言える。
このように商品購入が行われた施設を表す「施設種別情報」は、購入商品の量やサイズに相関する情報として機能し得るものである。
【0064】
上記の施設種別情報は、本例では、ドア制御部9が乗員端末50から受信した端末現在位置情報に基づいて取得する。具体的に、ドア制御部9は、乗員端末50から受信した端末現在位置情報を無線通信部16を介してネットワーク上の所定のサーバ装置に送信し、該サーバ装置に対して該端末現在位置情報に対応した施設種別(つまり商品購入が行われた店舗が存在する施設)を問合わせる。
サーバ装置では、施設とその所在地との対応を表す情報、及び施設ごとの施設種別を表す情報が管理され、サーバ装置は、上記のようなドア制御部9からの問合せに応じて、受信した端末現在位置情報に対応する施設の特定を行い、特定した施設に対応する施設種別情報をドア制御部9に送信する。
【0065】
なお、ドア制御部9による施設種別情報の取得手法は上記の手法に限定されない。例えば、乗員端末50から受信した端末現在位置情報ではなく、車両100の現在位置情報(商品購入施設内の位置を表す:なお駐車スペースも施設の一部として捉える)を上記のサーバ装置に送信して施設種別情報を取得することもできる。なおその場合、車両100の現在位置情報は、商品が購入された施設を特定可能な情報として機能するものであり、本発明における「購入情報」の一種となる。
或いは、サーバ装置への問合せは必須ではなく、例えば施設とその所在地及び施設種別情報との対応関係を表す情報を車両100側に記憶させておき、端末現在位置情報や車両100の現在位置情報に基づく施設種別情報の取得を車両100内で完結させることもできる。
【0066】
本実施形態では、上記のような施設種別情報は、開予定ドアの決定に用いる「ドア開予想値」の設定に用いられる。ここで、「ドア開予想値」は、ドアごとに設定される値であり、本例では、「ドア開予想値」が所定の「閾値TH」以上であるドアが、開予定ドアとして決定される。
【0067】
図4に例示するように、「ドア開予想値」としては、その基本となる値(以下「基本ドア開予想値」と表記)がドアごとに定められている。
具体的に、本例の基本ドア開予想値は、助手席ドア112、後部右ドア113、後部左ドア114、及び荷室ドア115のそれぞれについて設定されており、具体的な数値としてはこれらドアの順にそれぞれ「10」「10」「10」「5」が設定されている。
なお、本例では運転席ドア111は必ず開くドアとして定められているため、運転席ドア111についての基本ドア開予想値は非設定とされている。
本例の場合、ドア開予想値は、上記した閾値THが「20」とされた場合を前提とした数値とされている。
【0068】
図5は、施設種別ごとに初期的に設定される初期ドア開予想値の例を示している。
先ず、
図5に例示するように、本例では、施設種別情報は「第一施設種別」「第二施設種別」「第三施設種別」の三種を区別する情報とされ、「第一施設種別」はスーパー等、「第二施設種別」はショッピングモール等、「第三施設種別」はホームセンター等を表すものとされる。
【0069】
図5Aに示す「第一施設種別」の場合、助手席ドア112、後部右ドア113、後部左ドア114、荷室ドア115の初期ドア開予想値は「20」「15」「5」「0」とされる。また、
図5Bに示す「第二施設種別」の場合、助手席ドア112、後部右ドア113、後部左ドア114、荷室ドア115の初期ドア開予想値は「20」「20」「15」「10」であり、
図5Cに示す「第三施設種別」の場合、同初期ドア開予想値は「5」「15」「15」「20」とされている。
図5A、
図5B、
図5Cそれぞれにおいて、初期ドア開予想値に続く括弧内の数値は
図4に示した基本ドア開予想値に対するオフセット値をそれぞれ表すものである。
【0070】
本例の開予定ドアの決定処理では、
図5A、
図5B、
図5Cに例示したドアごとの初期ドア開予想値をそのまま閾値THとの比較に用いることはせず、これらの初期ドア開予想値を以下で説明する「購入品評価値」に基づき調整して閾値THとの比較に用いる。
【0071】
「購入品評価値」は、本例では購入金額や購入店舗の種別に基づき計算される商品の量及びサイズを推し量るための指標値とされる。
ここで、購入店舗の種別(以下、単に「店舗種別」とも表記することがある)の情報は、乗員端末50によって車両100側に送信される端末現在位置情報に基づいて取得する。具体的に、ドア制御部9は、乗員端末50側から受信した端末現在位置情報(購入店舗の位置を表す情報)を無線通信部16を介してネットワーク上の所定のサーバ装置に送信し、該サーバ装置に対して該端末現在位置情報に対応した店舗種別を問合わせる。
サーバ装置では、店舗とその所在地との対応を表す情報、及び店舗ごとの店舗種別を表す情報が管理され、サーバ装置は、上記のようなドア制御部9からの問合せに応じて、受信した端末現在位置情報に対応する店舗の特定を行い、特定した店舗に対応する店舗種別の情報をドア制御部9に送信する。
なお、乗員端末50が車両100側に送信する上記の端末現在位置情報(商品購入時に対応して取得された乗員端末50の現在位置情報)は、商品が購入された店舗を特定可能な情報として機能するものであり、本発明における「購入情報」の一種となる。
【0072】
なお、店舗種別の情報は、端末現在位置情報に基づき特定するのではなく、乗員端末50が購入情報として送信する店舗情報(例えば購入金額の情報と併せて送信する店名、或いは店舗種別そのものを示す情報等)から特定するように構成することもできる。
【0073】
図6は、購入品評価値の計算手法の一例を説明するための図である。
図示のように、購入品評価値は、1度の商品購入(1度の支払い)に対して「(購入金額×店舗係数)÷100」により計算する。
「店舗係数」は、店舗種別の情報に基づき、
図6に示す考え方によりそれぞれ図示のように設定する。この
図6の例から理解されるように、本例における購入品評価値は、商品の購入金額のみからでは商品の量やサイズを正確に推測することが困難である場合に対応して、店舗種別の情報(すなわち購入商品の種別を推定可能な情報)も加味し、購入商品の量やサイズと相関する値が得られるように計算される。
なお、
図6における店舗種別「アパレル系」の場合、店舗係数の設定にあたっては季節情報を要するが、該季節情報は、例えばドア制御部9が現在の日付け情報等に基づいて特定することが可能である。
【0074】
ドア制御部9は、商品購入に応じて乗員端末50側が送信する購入金額及び端末現在位置情報を受信すると、受信した端末現在位置情報に基づいて店舗種別の情報を取得し、取得した店舗種別の情報に基づいて店舗係数を取得する。その上でドア制御部9は、受信した購入金額の情報と取得した店舗係数とに基づいて上記式に従った購入ごとの購入品評価値の計算を行う。
なお、乗員が降車場所で降車して以降、車両100が乗車場所まで移動するまでの間には、商品購入が複数回行われ、乗員端末50より購入金額及び端末現在位置情報が複数回受信されることもある。その場合、ドア制御部9は、受信した購入金額及び端末現在位置情報の組ごとに上記の手法による購入品評価値(購入1回分の購入品評価値)の計算を行う。購入品評価値は、このように商品購入が複数回行われた場合には、各購入について計算された購入品評価値の合計値が採用される。
【0075】
ドア制御部9は、上記のように計算した購入品評価値の大きさに基づいて、購入商品の量及びサイズ(つまりは乗員が車両に持ち込む荷物の量及びサイズ)を段階的に表す「量サイズランク」を決定する。本例では、この量サイズランクは「小」「中」「大」の3ランクにより購入商品の量及びサイズの大きさを表すものとされ、ドア制御部9は、購入品評価値が「0」を含む第一範囲内の値であれば量サイズランク=「小」を、購入品評価値が上記の第一範囲よりも大きな値の範囲である第二範囲内の値であれば量サイズランク=「中」を、購入品評価値が上記の第二範囲を超える値であれば量サイズランク=「大」をそれぞれ決定する。
【0076】
本例のドア制御部9は、上記のように購入品評価値に基づき決定した「小」「中」「大」の量サイズランクに基づいて、
図5に示した「第一施設種別」「第二施設種別」「第三施設種別」ごとに定められた初期ドア開予想値を調整し、閾値THとの比較に用いるドア開予想値をドアごとに得る。
【0077】
図7は、施設種別が「第一施設種別」である場合において、量サイズランクが「小」「中」「大」それぞれのときに設定される助手席ドア112、後部右ドア113、後部左ドア114、荷室ドア115の各ドア開予想値を例示している。同様に、
図8、
図9では、それぞれ施設種別が「第二施設種別」「第三施設種別」である場合において量サイズランクが「小」「中」「大」それぞれのときに設定される同ドア開予想値を例示している。
【0078】
図7に示す「第一施設種別」の場合、量サイズランク=「小」であるときの助手席ドア112、後部右ドア113、後部左ドア114、荷室ドア115の各ドア開予想値は「10」「5」「0」「0」とされる。また
図7において、量サイズランク=「中」、「大」それぞれのときの同ドア開予想値は「20」「10」「5」「10」、「10」「15」「10」「20」とされる。
また、
図8に示す「第二施設種別」の場合、量サイズランク=「小」、「中」、「大」それぞれのときの同ドア開予想値は「30」「10」「10」「10」、「15」「15」「10」「20」、「5」「10」「10」「30」とされる。
さらに、
図9に示す「第三施設種別」の場合、量サイズランク=「小」、「中」、「大」それぞれのときの同ドア開予想値は「5」「15」「15」「20」、「0」「10」「10」「30」、「-5」「5」「5」「40」とされる。
【0079】
ここで、
図7乃至
図9の各図において、ドア開予想値の直後に続く括弧内の数値は、先の
図5A乃至
図5Cにそれぞれ示した初期ドア開予想値に対する「調整値」を表している。このようなドアごとの「調整値」は、本例では、
図10に例示するように「第一施設種別」「第二施設種別」「第三施設種別」と量サイズランク=「小」「中」「大」との組合わせごとにそれぞれ設定されている。
ドア制御部9においては、この
図10に示すように「第一施設種別」「第二施設種別」「第三施設種別」と量サイズランク=「小」「中」「大」との組合わせごとに対応する「調整値」を定めた情報が、「調整値テーブル」として記憶されている。本例では、該調整値テーブルは、ドア制御部9のCPUにより読み書き可能とされた不揮発性のメモリに記憶されている。
【0080】
ドア制御部9は、施設種別の特定、及び購入品評価値に基づく量サイズランクの決定を行った上で、
図10に示す調整値テーブルより該当する施設種別と量サイズランクの組合わせに対応する各ドアの調整値を取得する。その上で、特定した施設種別に対応する各ドアの初期ドア開予想値に対し、それぞれ対応するドアの調整値を加算し、最終的なドアごとのドア開予想値、すなわち閾値THとの比較に用いるドアごとのドア開予想値を計算する。
【0081】
ここで、上記の
図7乃至
図9に示したドア開予想値の例から理解されるように、本例では、乗員の座席への乗降に用いられるドアを座席ドアとしたときに、購入商品の量及びサイズが小さいと判定される場合(例えば「第一施設種別」且つ「量サイズランク=中」のときや「第二施設種別」且つ「量サイズランク=小」のとき等)は、座席ドアを対象として開対象のドアを決定する一方、該量及びサイズが大きいと判定した場合(例えば「第二施設種別」且つ「量サイズランク=大」のときや「第三施設種別」且つ「量サイズランク=小」のとき等)は荷室ドア115を対象として開対象のドアを決定するようにしている。
これにより、座席に荷物を置くことが可能であるにも拘わらず荷室ドア115が開いてしまったり、逆に座席に荷物を置くことが不能であるにも拘わらず荷室ドア115が開かないといった不都合が生じることの防止が図られる。
従って、乗員にとって適切なドアを開くことができ、乗員の利便性向上を図ることができる。
【0082】
本例のドア制御部9は、開予定ドアの決定には、降車時において乗員が着座していた座席の位置を表す情報(以下「降車時着座情報」と表記する)も用いる。ここでの「降車時」とは、自動バレーパーキング機能の利用直前のタイミング、換言すれば、車両100が降車場所に停止し乗員が車両100から降車する直前のタイミングを意味するものである。
本例のドア制御部9は、上記した施設種別や量サイズランク等の購入情報に基づいた開予定ドアの決定処理と共に、「降車時着座情報」に基づく開予定ドアの決定処理を行う。「降車時着座情報」に基づく開予定ドアの決定処理では、基本的には、降車時に乗員が着座していた座席の最寄りドアとして定められているドアを決定する。具体的に、助手席102への着座があった場合には助手席ドア112を、後部右座席103への着座があった場合には後部右ドア113を、後部左座席104への着座があった場合には後部左ドア114を開予定ドアとして決定する。
【0083】
ドア制御部9は、降車時着座情報を、着座検出部13による検出信号に基づいて記憶する。具体的に、本例のドア制御部9は、降車時着座情報として、乗員端末50が操作に応じて送信する上述した「待機指示信号」を受信したタイミングを起点タイミングとして、該起点タイミングの直前の停車タイミング(つまり降車場所での停車タイミング)における着座状態を表す情報を記憶する。なお、着座状態を表す情報とは、具体的には、少なくとも乗員が着座している座席を表す情報である。
【0084】
なお、開予定ドアの決定処理を経て開対象とされたドアについては、これを乗車場所への到着に応じて直ちに開いたのではセキュリティの低下を招来する虞がある(車両100の到着時に乗員が乗車場所に未だ到着していない場合もあるため)。
そこで本例では、ドアを開く条件として、開予定ドアへの乗員の近接を条件とする。具体的に本例では、運転者等の一人の乗員が携帯する単一の携帯機が車両100に近接することを条件として該開予定ドアについての開扉を行う。
【0085】
ここで、購入情報に基づく開予定ドアの決定処理(つまり常時開かれるドアとしての運転席ドア111を除き、荷置きに用いられる開予定ドアの決定処理)においては、先の
図7乃至
図9を参照して理解されるように、荷室ドア115でなく座席ドアが開予定ドアとして決定されることがある。購入情報に基づき開予定ドアとして決定された座席ドアが、上記のような降車時着座情報に基づき開予定ドアとして決定された座席ドアと重複している場合には、該ドアに対応する座席は乗員の着座のために用いられるため、荷置き用に別途のドアを開く必要があるとの考えもある。
そこで、購入情報に基づく開予定ドアの決定処理と降車時着座情報に基づく開予定ドアの決定処理とで同一の座席ドア(
運転席ドア111は除く)が重複して開予定ドアに決定された場合には、該重複した座席ドア(及び
運転席ドア111)以外で、開予定ドアとして決定されていないドア(荷室ドア115も対象とする)の有無を判定し、該当するドア(つまり購入情報に基づく開予定ドアの決定処理、降車時着座情報に基づく開予定ドアの決定処理の双方で開予定ドアとして決定されていないドア)がある場合には、該ドアを開予定ドアとして追加決定することも考えられる。
或いは、座席の足下スペースに荷物を載置可能であったり乗員が荷物を抱えた状態で着座が可能であること等を考慮し、上記のような開予定ドアの追加決定を行わないことも考えられる。
本例では後者の考えに基づき、後述する処理例(
図12、
図13)としては上記のような開予定ドアの追加決定を行わない場合の処理例を挙げる。
【0086】
また、本例のドア制御部9は、乗員からのフィードバックを受けて、開予定ドアについての学習を行う。
本例の車両100においては、乗員が各ドアを手動により開閉することが可能とされており、ドア制御部9は、少なくとも開予定ドア以外のドアが乗員により手動で開けられたことに応じて、今回の購入条件、具体的には今回の施設種別と量サイズランクとの組合わせのときに、該手動で開かれたドアが、乗員が荷置きに利用する好みのドアであることを学習する。
【0087】
図11は、ドア制御部9が行う学習処理についての説明図である。
図11では、第二施設種別且つ購入品評価値=小(量サイズランク=「小」)のとき、開予定ドア(=助手席ドア112)ではない後部右ドア113が手動で開かれた場合における学習の例を示している。
この場合には、次回以降の開予定ドアの決定処理において後部右ドア113が開予定ドアとして決定されるように、今回開予定ドアとして決定された助手席ドア112の調整値は小さくし(図中の例では「10」→「-5」に変更)、逆に、今回手動で開かれたドアである後部右ドア113の調整値を大きくする(図中の例では「-10」→「10」に変更)。
【0088】
ドア制御部9は、上記のように変更した今回の開予定ドア、今回手動で開けられたドアそれぞれの調整値を用いて、
図10に示した調整値テーブルを更新する。具体的に、
図11の例では、調整値テーブルにおいて第二施設種別且つ量サイズランク=「小」の条件に対応して格納されている助手席ドア112、後部右ドア113の各調整値を、上記した変更後の調整値に更新する。
これにより、以降に行われる開予定ドアの決定処理においては、それまで開予定ドアとして決定されていたドアが開予定ドアとして決定されず、手動で開けられたドアが開予定ドアとして決定されるようにすることができる。
【0089】
[2-2.処理手順]
図12のフローチャートは、上記した実施形態としてのドア開制御を実現するためにドア制御部9が実行すべき具体的な処理の手順を示している。
先ず、ドア制御部9はステップS101で、無人移動条件が成立するまで待機する。具体的に、本例では、乗員端末50が操作に応じて送信する「待機指示信号」が無線通信部16を介して受信されたか否かを判定する。先の説明から理解されるように、ドア制御部9は、この無人移動条件の成立に応じて、該条件の成立タイミングを起点タイミングとして、該起点タイミングの直前の停車タイミングにおける着座状態を表す情報を「降車時着座情報」として記憶することになる。
【0090】
無人移動条件が成立した場合、ドア制御部9はステップS102で携帯機からの呼び出し信号の受信を待機し、呼び出し信号が受信された場合は、ステップS103で降車時着座情報を取得する。すなわち、ステップS101における無人移動条件の成立に応じて記憶した降車時着座情報を取得する。
続くステップS104でドア制御部9は、開予定ドア決定処理を行う。
【0091】
図13は、ステップS104の開予定ドア決定処理を示したフローチャートである。
図示のように、開予定ドア決定処理においてドア制御部9は、先ず、ステップS201で施設種別特定処理を行い、続くステップS202で購入品評価値計算処理を行う。施設種別特定処理は、上述した「第一施設種別」~「第三施設種別」のうち該当する施設種別を特定する処理であり、購入品評価値計算処理は、上述した購入品評価値を計算する処理である。これらの処理の具体的な手法については既に説明済みであるため重複説明は避ける。
ここで、ステップS202の購入品評価値計算処理では、乗員による商品購入が複数回あった場合(購入金額の情報と端末現在位置情報の組が複数受信されている場合)には、購入ごとの購入品評価値を計算する。
【0092】
ステップS202に続くステップS203でドア制御部9は、購入品の量サイズランクを決定する。具体的には、先の
図6を参照して説明した手法により量サイズランク「小」「中」「大」の何れかを決定する。なお、先の説明から理解されるように、乗員による商品購入が複数回あった場合には、量サイズランクの決定には購入ごとに計算した購入品評価値の合計値を用いる。
【0093】
続くステップS204でドア制御部9は、施設種別と量サイズランクとに基づきドアごとのドア開予想値を計算する。すなわち、ステップS201で特定した施設種別とステップS203で決定した量サイズランクとの組合わせから特定されるドアごとの調整値を
図10に示した調整値テーブルから取得し、該取得したドアごとの調整値により、ステップS201で特定した施設種別に対応するドアごとの初期ドア開
予想値を調整し、閾値THとの比較に用いるドア開
予想値を計算する。
【0094】
さらに続くステップS205でドア制御部9は、ドア開予想値が閾値TH以上となるドアを開予定ドアとして決定する。
【0095】
次いで、ドア制御部9はステップS206で、着座情報に基づく開予定ドアの決定処理を実行する。すなわち、先のステップS103で取得した降車時着座情報に基づき開予定ドアを決定する処理である。先に説明した通り、本例では、該開予定ドアの決定処理としては、降車時に乗員が着座していた座席の最寄りドアとして定められているドアを開予定ドアとして決定する。
【0096】
ステップS206に続くステップS207でドア制御部9は、開予定ドアのドア開フラグをONとする処理を行い、ステップS104の開予定ドア決定処理を終える。
ドア開フラグは、後述するステップS114のドア開制御処理で用いられるドアごとのフラグ情報であり、ドア制御部9はステップS207の処理において、先のステップS205、ステップS206それぞれの決定処理で開予定ドアとして決定されたドア(つまり購入情報、降車時着座情報それぞれに基づき開予定ドアとして決定されたドア)のドア開フラグをONとする。
【0097】
説明を
図12に戻す。
図12において、ドア制御部9は、ステップS104の開予定ドア決定処理を終えると、ステップS105で天候判定処理を実行する。天候判定処理としては、少なくとも現在地における降雨の有無を判定する。本例では、天候判定処理はネットワーク上から天候情報を取得した結果に基づき行う。具体的に、ドア制御部9は、無線通信部16を介して、車両100の現在位置情報をネットワーク上の所定のサーバ装置に送信して現在地における天候情報を要求し、該要求に応じて受信した天候情報に基づいて、現在地の天気が雨天であるか否かを判定する。なお、車両100の現在位置情報は、本例では自動運転制御
部3が有するGNSSセンサから取得可能である。
現在地の天気が雨天以外であれば、ドア制御部9はステップS108で通常のドア開量を設定してステップS110に処理を進める。ここで、ドア開量は、後述するように開対象とされたドアの開駆動を実行させる際のドアの開量を指定する情報である(
図14のステップS303参照)。
【0098】
一方、現在地の天気が雨天であれば、ドア制御部9はステップS106で乗車場所情報の取得処理を行い、続くステップS107で乗車場所が屋根付きであるか否かを判定する。ここで、ステップS106で取得する乗車場所情報は、少なくとも乗車場所の屋根の有無(車両100への降雨が避けられるか否か)を表す情報を含む情報とされる。本例では、該乗車場所情報の取得についても、ドア制御部9が無線通信部16を介して、車両100の現在位置情報をネットワーク上の所定のサーバ装置に送信し、車両100が現在位置している施設についての情報を要求することで行う。
なお、乗車場所情報の取得手法は多様に考えられ、上記した手法に限定されるものではない。例えば、施設ごとの乗車場所情報は車両100内において記憶させておき、乗車場所情報の取得を車両100内で完結させる手法等も考えられる。
【0099】
ステップS107において、乗車場所が屋根付きであれば、ドア制御部9は上記したステップS108で通常のドア開量を設定してステップS110に処理を進める。一方、乗車場所が屋根付きでなければ、ドア制御部9はステップS109で制限ドア開量を設定してステップS110に進む。ここで、制限ドア開量は、上記の通常ドア開量よりも少ないドア開量を意味するものである。
上記の処理により、現在地の天候が雨天であっても、車両100への降雨がないと推定される場合には、制限ドア開量でなく通常ドア開量が設定される。逆に、車両100への降雨があると推定される場合には、ドア開量が制限されることになる。このように車両100への降雨がある場合に対応してドア開量を制限することで、降雨による車両100の内装部の濡れを抑えることができる。
なお、車両100への降雨の有無の判定は、車両100に設けたレインセンサの検出信号に基づいて行うこともできる。
【0100】
ステップS110でドア制御部9は、乗車場所に到着したか否かを判定する。本例では、車両100が乗車場所に到着した際には、自動運転制御部3がその旨の通知をドア制御部9に行う。ステップS110の判定処理は、該通知の有無を判定する処理となる。
【0101】
上記の通知がなく、ステップS110で乗車場所に到着していないと判定した場合、ドア制御部9はステップS111で購入情報追加受信の有無を判定する。すなわち、乗員端末50から購入金額と端末現在位置情報が受信されたか否かを判定する。乗員端末50から購入金額と端末現在位置情報が受信されておらず、購入情報追加受信がないと判定した場合、ドア制御部9はステップS110に戻る。
ステップS110及びS111の処理によっては、乗員からの呼び出しを受け乗車場所に移動中(本例ではこの移動中にそれまで受信した購入情報や降車時着座情報に基づく開予定ドアの決定処理が行われる)において、乗車場所への到着、購入情報追加受信の何れかを待機するループ処理が形成される。これは、乗員が車両100の呼び出しを行った後においても商品を購入する場合があり得ることを想定したものである。
【0102】
ステップS111において購入情報追加受信があった場合、ドア制御部9はステップS112で購入情報に基づく開予定ドアの再決定処理を行い、ステップS110に戻る。この再決定処理としては、ステップS111で追加受信された購入情報に基づく量サイズランクの再決定処理、及び再決定した量サイズランクとステップS201で特定した施設種別の情報との組合わせに応じたドア開予想値の再計算処理を行い、該再計算処理で求めたドア開予想値と閾値THとの比較結果に基づき開予定ドアを再決定し、該再決定した開予定ドアと、ステップS206で着座情報に基づき決定した開予定ドアとについて、ドア開フラグをONとする処理を行う。
なお、本例では、ステップS112の再決定処理は、各ドア開フラグをOFFにリセットした上で開始する。或いは、このようなドア開フラグの全リセットは行わず、開予定であったドアが再決定処理により開予定ドアでなくなった場合に、該開予定ドアでなくなったドアのドア開フラグをOFFとする処理を行うようにしてもよい。
【0103】
ステップS110において、乗車場所に到着したと判定した場合、ドア制御部9はステップS113に処理を進める。
ステップS113でドア制御部9は、ドア開条件が成立するまで待機する。ここでのドア開条件は、本例の場合、運転者等の一人の乗員が携帯する単一の携帯機が車両100に近接する、との条件とされている。具体的にステップS113でドア制御部9は、上記の携帯機が無線通信部16による通信可能範囲内に検出されるまで待機する処理を行う。
なお、ドア開条件としては、セキュリティの向上を図る上では、携帯機のIDを用いた認証の成立を条件に加えることが望ましい。
【0104】
ステップS113において、上記の携帯機が無線通信部16による通信可能範囲内に検出されてドア開条件が成立したと判定した場合、ドア制御部9はステップS114に進んでドア開制御処理を実行する。
【0105】
図14は、ステップS114のドア開制御処理のフローチャートである。
なお、この
図14に示す処理は、単一のドアについて実行する処理を示しており、ドア制御部9は、
図14に示す処理を各ドアについて並行して行う。
【0106】
ドア開制御処理において、ドア制御部9は、先ずステップS301で当該ドア(つまり処理対象のドア)のドア開フラグがONであるか否かを判定する。当該ドアのドア開フラグがONでなければ、ドア制御部9はドア開制御処理を終える。すなわち、当該ドアの自動開扉は実行されない。
【0107】
一方、当該ドアのドア開フラグがONであれば、ドア制御部9はステップS302で当該ドアの開軌道上に物体があるか否かを判定する。ドアの開軌道とは、該ドアが開かれる際の該ドアの移動軌跡を意味する。本例では、当該ドアの開軌道上における物体有無の判定は、ドア近接検出部12が有するセンサの検出信号に基づき行う。本例のドア近接検出部12が有するセンサには、ドアの開軌道上における物体の有無を検出可能に設置された超音波センサ等のセンサが含まれる。このセンサの検出信号に基づき、ドア制御部9は当該ドアのドア開軌道上における物体の有無を判定する。
【0108】
なお、当該ドアのドア軌道上における物体有無の判定は、ドアごとに設けたカメラによる撮像画像に基づき行うこともできる。具体的には、例えば該カメラにより得られる撮像画像について、画像内で当該ドアのドア開軌道が位置することになる画像エリアを開軌道エリアとして設定しておき、撮像画像内で検出された物体が該開軌道エリア内に位置するか否かを判定する等の手法が考えられる。
【0109】
なお、本例のように雨天時に対応してドア開量を制限する場合には、開軌道の情報として、雨天時用の情報(制限開量に対応した開軌道の情報)とそれ以外の場合用の情報(通常開量に対応した開軌道の情報)とを使い分けることもできる。
【0110】
ステップS302において、開軌道上に物体がないと判定した場合、ドア制御部9はステップS303に進み、ドア開量情報に従ってドアを開扉させる処理を実行し、ドア開制御処理を終える。なお、ここでのドア開量は、当該ドアについて先のステップS108やS109で設定されたドア開量である。
【0111】
一方、ステップS302において、開軌道上に物体があると判定した場合、ドア制御部9はステップS304で報知開始処理を実行する。ここでの報知として、ドア制御部9は、出力部11のスピーカを介した所定の報知音の出力を実行させる。
また、本例では該報知として、当該ドアを物体(開軌道上の検出物体)に接触しない開量の範囲内で開駆動させることによる報知を行う。具体的にドア制御部9は、ドア近接検出部12のセンサによる検出信号に基づき求まる物体までの距離を計算し、該距離の情報に基づいて物体に接触しない当該ドアの開量を求める。そして、求まった開量により当該ドアが開扉されるようにドア駆動部15に対する指示を行う。
【0112】
ステップS304に続くステップS305でドア制御部9は、物体検出状態、すなわち上記の開軌道上における物体検出状態が継続しているか否かを判定する。
物体検出状態が継続していれば、ドア制御部9はステップS306に進んで物体検出時間が所定時間以上であるか否か、すなわち上記の開軌道上における物体検出状態の継続時間が所定時間以上であるか否かを判定し、物体検出時間が所定時間以上でなければステップS305に戻る。ステップS305、S306の処理によっては、物体が非検出状態となるか、或いは物体検出時間が所定時間以上となるかの何れかの条件成立を待機するループ処理が形成されている。
【0113】
ステップS305において、物体検出状態が継続していなければ(物体が非検出状態に転じれば)、ドア制御部9は上記したステップS303に進んでドア開量情報に従ってドアを開扉させる処理を実行し、ドア開制御処理を終える。すなわち、開軌道上に物体が非検出となった場合には、当該ドアが開扉される。
【0114】
また、ステップS306において、物体検出時間が所定時間以上となった場合、ドア制御部9はステップS307でエラー処理を行い、ドア開制御処理を終える。このエラー処理としては、例えば出力部11に音や光等による乗員への報知情報の出力を実行させることが考えられる。先のステップS304による報知は物体が障害となって当該ドアを開扉できないことの注意喚起という位置づけであり、ステップS307の報知は、開扉エラーにより当該ドアの自動開扉は行わない旨の通知という位置づけである。
【0115】
ドア制御部9は、各ドアについて上記したドア開制御処理(S114)を実行したことに応じ、
図12に示すステップS115において、全員乗車状態となるまで待機する。このステップS115の処理は、基本的には、少なくとも現在の着座人数が降車時着座情報から特定される降車時の乗車人数と一致するまで待機する処理となる。
なお、座席に対する着座の有無は、着座検出部13の検出信号に基づき判定する。
【0116】
全員乗車状態となった場合、ドア制御部9はステップS116で開ドアの閉制御処理を実行する。本例では、自動開扉されたドアを乗員が手動で閉めることが許容されている。ステップS116の閉制御処理では、ドア開閉状態検出部14の検出信号に基づき、開状態のドアを対象としてドア駆動部15によるドアの閉駆動を実行させる。
【0117】
続くステップS117でドア制御部9は、発進操作を待機する。ここでの発進操作とは、運転者等の乗員が車両100を発進させる際に行うことが想定される操作であればよく、例えばパーキングブレーキの解除操作、アクセルのON操作、AT(オートマチックトランスミッション)車の場合におけるシフトレバーをDレンジやRレンジに入れる操作、或いは特定の操作ボタン(例えば自動運転車の場合における発進指示ボタン等)の操作等を挙げることができる。
【0118】
発進操作が行われた場合、ドア制御部9はステップS118で着座情報、購入情報をクリアする処理を実行する。すなわち、RAM等に保持された降車時着座情報、及び乗員端末50から受信した購入金額、端末現在位置情報、店舗種別情報、購入品評価値、購入品評価値に基づき決定した量サイズランク等の購入情報をクリアする処理を実行する。
ドア制御部9は、ステップS118のクリア処理を実行したことに応じ、
図12に示す一連の処理を終える。
【0119】
図15は、上述した学習処理を実現するためにドア制御部9により実行されるべき処理の手順を示したフローチャートである。
なお、
図15の処理は、
図12に示した処理と並行して行われる。
【0120】
先ず、ドア制御部9はステップS401で、ドア開条件成立と判定されるまで待機する。すなわち、先のステップS113の処理によりドア開条件が成立したとの判定結果が得られるまで待機するものである。
【0121】
ドア開条件成立と判定されたことが確認されたことに応じ、ドア制御部9はステップS402でタイムカウントをスタートし、続くステップS403で開予定ドア以外のドアが手動で開けられたか否かを判定する。この判定は、先のステップS104やS112で決定された開予定ドアの情報とドア開閉状態検出部14の検出信号とに基づき行う。開予定ドアでないドアが開状態とされていれば、該ドアは乗員により手動で開かれたことになる。
【0122】
ステップS403において、開予定ドア以外のドアが手動で開けられていなければ、ドア制御部9はステップS404でタイムアウトか否か、すなわちステップS402で開始したタイムカウントによるカウント値が所定値以上となったか否かを判定し、タイムアウトでなければステップS403に戻る。これらステップS403、S404の処理によっては、ドア開条件成立と判定された以降、所定時間が経過するか、或いは開予定ドア以外のドアが手動で開けられるかの何れかの状態が到来するまで待機するループ処理が形成されている。
【0123】
ステップS404においてタイムアウトであると判定した場合、ドア制御部9は
図15に示す一連の処理を終える。つまり、この場合には以降で説明する学習処理は実行されない。
【0124】
一方、ステップS403で開予定ドア以外のドアが手動で開けられたと判定した場合、ドア制御部9はステップS405に進んで学習フラグをONとした上で、ステップS406で手動開ドア(ステップS403で開状態が検出されたドア)、及び購入情報に基づき決定した開予定ドアの情報を保存し、さらに続くステップS407で学習対象の施設種別及び量サイズランクの情報として今回の施設種別及び量サイズランクの情報(つまり今回の開予定ドア決定処理で用いた施設種別及び量サイズランクの情報)を保存し、
図15に示す処理を終える。
【0125】
図示は省略するが、ドア制御部9は、例えば任意のタイミングで上記の学習フラグを参照し、学習フラグがONであれば、ステップS406、S407でそれぞれ保存した情報に基づき、学習処理を行う。具体的に、学習処理としてドア制御部9は、先ず、調整テーブル(
図10参照)において、ステップS407で保存した施設種別及び量サイズランクの組合わせに対応して格納されている調整値のうち、ステップS406で保存した開予定ドアに対応して格納されている調整値(以下「第一調整値」と表記する)と、同じくステップS406で保存した手動開ドアに対応して格納されている調整値(以下「第
二調整値」と表記する)とを取得する。その上で、取得したこれら第一調整値、第二調整値について、第一調整値を小さくし、第二調整値を大きくする変更処理を行い、調整値テーブルに格納されている第一調整値、第二調整値を、該変更処理後の第一調整値、第二調整値に更新する処理を行う。
これにより、以降、該当する施設種別と量サイズランクの組合わせに対しては、該当するドアについての調整値として更新後の調整値が用いられることになり、手動開ドアが開予定ドアとして決定され易くなるようにすることができる。すなわち、乗員が或る購入形態により商品購入を行ったケースにおいて荷置きに好んで利用する好みのドアが乗員からのフィードバックに基づき学習され、該ケースにおいて該好みのドアが自動で開かれるようにすることができる。
【0126】
ここで、上記では、開予定ドア以外のドアが開かれたことを条件に学習処理が実行されるようにする例を挙げたが、学習処理を実行する条件としては、開予定ドア以外のドアが開かれたことに加え、開予定ドア以外のドアが設けられた座席又は荷室105への荷置きが確認されたことを条件とすることもできる。なおその場合、車両制御システム1には、荷室105への荷置き(例えば所定重量以上の物体の載置有無)を検出可能な例えば感圧センサ等のセンサを有する検出部を設ける。前述のように、本例の着座検出部13は、座席に対して荷物が置かれたか、或いは乗員が着座したかを検出し分けることが可能とされているため、座席への荷置き有無の判定については着座検出部13の検出信号に基づき行うことができる。
【0127】
なお、上記では、着座検出や荷置き検出を感圧センサを用いて行う例を挙げたが、これらの検出は車室内を撮像するカメラの撮像画像に基づき行うこともできる。
【0128】
また、上記では、ドア開条件として、単一の携帯機が無線通信部16による通信可能範囲内に検出されることを条件としたが、少なくとも購入情報に基づき開予定ドアとして決定されたドアについては、該ドアへの乗員の近接状態が所定時間以上継続することをドア開条件とすることもできる。この近接判定は、ドア近接検出部12における当該ドアに対して設けられたセンサ(例えば前述のように超音波センサ等の物体までの距離を検出可能なセンサ)の検出信号に基づき、例えば当該ドアからの距離が所定距離以内の物体が検出されたか否かを判定することで行うことができる。
また、ドア開条件としては、ドアへの近接のみを条件とするのではなく、例えば各乗員に携帯機を携帯させることとし、IDによる認証が成立する携帯機がドアに近づくことを条件とすることもできる。これにより、乗員以外の人物が開予定ドアに近づいたときにドアが開かれてしまうことの防止を図ることができ、セキュリティ向上を図ることができる。
【0129】
また、上記では、雨天時(車両100への降雨がある場合)にドア開量を制限する例を挙げたが、雨天時には、当該ドアに乗員が近づくにつれて当該ドアの開量が徐々に大きくなるようにすることもできる。これにより、降雨による車両100の内装部の濡れをより抑えることができる。
【0130】
また、上記では、座席として左右方向に二列のみ座席を有する車両を前提としたが、前後方向に並ぶ座席列のうち、左右方向の座席数が3以上とされた座席列を有する車両についても、本発明は好適に適用できる。ここで、左右方向の座席数が3以上の奇数とされた座席列における左右中央の座席は、最寄りドアは、右側ドア、左側ドアの何れであってもよい。
また、前後方向に並ぶ座席列に対応するドアとして、左右の何れか片側のドアのみを有する車両にも本発明は好適に適用できる。このように対応するドアとして左右片側のドアのみが設けられた座席列について、該座席列の各座席に対する最寄りドアは、該片側のドアとなる。
【0131】
また、上記では、本発明における量サイズ相関情報に相当する情報として「施設種別情報」と「購入品評価値」が用いられた例を挙げたが、これら「施設種別情報」「購入品評価値」のうち何れか一方のみに基づいて開予定ドアの決定を行うこともできる。
さらに上記では、量サイズ相関情報として、購入商品の量及びサイズと相関する情報を用いる例を挙げたが、該量サイズ相関情報としては、購入商品の量又はサイズの少なくとも何れかに相関する情報を用いればよい。すなわち、購入商品の量のみ、又はサイズのみに相関する情報に基づいて開対象のドアを決定することもできる。
【0132】
また、開予定ドアは、購入情報に基づき決定するのではなく、乗員からの指示に従って決定することもできる。例えば、乗員端末50のアプリ52aの機能により、乗員による開予定ドアの指定操作を受け付け、開予定ドアの指定操作があった場合、主制御部51が無線通信部53を介して車両100側に開予定ドアの指示を行う。該開予定ドアの指示があった場合、ドア制御部9は先に説明した開予定ドア決定処理(S104)を実行せず、指示されたドアを開予定ドアとして決定する。
例えばこのような構成とすることで、購入商品を業者により宅配させる場合等、車両100への荷物の持ち込みが不要とされる場合に不要なドアが自動で開かれてしまうことの防止を図ることができる。また、不必要な開予定ドア決定処理が実行されてしまうことの防止が図られ、ドア制御部9の処理負担軽減が図られる。
なお、開予定ドア決定処理のキャンセルを指示する操作としては、上記のような開予定ドアの指定操作に限定されず、例えばキャンセルボタンの操作等、開予定ドアの指定操作を含まない操作とすることもできる。或いは、開予定ドア決定処理の実行を指示する操作を受付可能としておき、該実行を指示する操作が行われなければ開予定ドア決定処理を実行しない構成とすることもできる。
【0133】
また、開予定ドアの決定処理として、購入情報に基づく開予定ドアの決定処理に関しては、降車時に満席乗車状態であった場合(つまり全ての座席ドアを開予定ドアとして決定すべき場合)には実行しない構成とすることもできる。その場合、ドア制御部9は、購入情報に基づく開予定ドアの決定処理が実行される前に、降車時着座情報に基づいて降車時に満席乗車状態であったか否かを判定し、満席乗車状態であった場合は購入情報に基づく開予定ドアの決定処理を行わずに、全ドア(つまり全ての座席ドアと荷室ドア115)を開予定ドアとして決定する。これにより、購入情報に基づく開予定ドアの決定処理が実行される回数を削減でき、ドア制御部9の処理負担軽減を図ることができる。
また、上記では言及しなかったが、乗員端末50からの購入情報(本例では購入金額及び端末現在位置情報)の受信が無かった場合には、購入情報に基づく開予定ドアの決定処理を行わずに、降車時着座情報に基づく開予定ドアの決定処理により開予定ドアを決定することができる。
【0134】
また、購入情報に基づく開予定ドアの決定処理については、これまでに説明したものと同様の処理を、乗員端末50のアプリ52aの処理として実現することもできる。その場合、主制御部51は、施設種別の特定、及び購入品評価値を計算する際に要する店舗種別の特定については、例えば端末現在位置情報に基づいて行う。具体的に、施設種別の情報については、施設ごとにその種別と所在地とを管理するサーバ装置に端末現在位置情報を指示した施設種別の問合せを行って取得すればよい。同様に、店舗種別の情報については、店舗ごとにその種別と所在地とを管理するサーバ装置に端末現在位置情報を指示した店舗種別の問合せを行って取得すればよい。或いは、乗員端末50に施設ごとの種別と所在地の対応関係を表す情報、及び店舗ごとの種別と所在地の対応関係を表す情報を記憶させておき、主制御部51がこれらの情報と端末現在位置情報とに基づいて施設種別、及び店舗種別の特定を行うようにすることもできる。なお、電子マネーによる支払い処理に伴い施設名や店舗名の情報を取得できる場合においては、それら施設名や店舗名の情報に基づき施設種別や店舗種別の情報を取得することが可能であり、その場合、施設種別や店舗種別の特定に端末現在位置情報を用いる必要はない。
また、この場合のアプリ52aには、購入情報に基づき決定した開予定ドアの開駆動を指示する信号をドア制御部9に送信する機能が付加される。このような開駆動を指示する信号を出力するタイミングとしては、例えば主制御部51とドア制御部9との間で近距離無線通信による通信が可能となるように構成しておき、該近距離無線通信においてドア制御部9との間の通信が可能な状態となった(つまり乗員端末50を携帯する乗員が車両100に近接した状態と換言できる)タイミング等とすることができる。
【0135】
このように乗員端末50にインストールされるアプリ52aとしてのプログラムについては、次のようなプログラムとすることが可能である。
すなわち、複数のドアとドアを少なくとも開駆動するドア駆動部とを有した車両と通信可能に構成された情報処理装置が実行するプログラムであって、商品の購入に係る情報である購入情報に基づいて開対象のドアを決定する決定機能と、決定機能により決定したドアの開駆動を車両に指示する指示機能と、を情報処理装置に実現させるプログラムである。
【0136】
このようなプログラムにより、乗員による開対象ドアの指定操作を不要としながら、乗員による商品の購入量等に応じた適切な数及び位置のドアを車両に自動で開かせることのできる情報処理装置が実現される。
従って、車両におけるドアの開制御について、乗員による操作負担軽減を図ることによる利便性向上を図りつつ、不要なドアが開かないという点でのセキュリティ向上を図ることができ、利便性向上とセキュリティ向上との両立を図ることができる。
【0137】
<3.実施形態のまとめ>
上記で説明したように実施形態のドア制御装置(車両制御システム1)は、ドアを複数有する車両におけるドア制御装置であって、ドアを少なくとも開駆動するドア駆動部(同15)と、車両の乗員による商品の購入に係る情報である購入情報に基づいて開対象のドアを決定し、該決定したドアの開駆動をドア駆動部に実行させるドア制御部(同9)と、を備えている。
【0138】
これにより、乗員による開対象ドアの指定操作を不要としながら、乗員による商品の購入量等に応じた適切な数及び位置のドアを自動で開くことが可能とされる。
従って、車両におけるドアの開制御について、乗員による操作負担軽減を図ることによる利便性向上を図りつつ、不要なドアが開かないという点でのセキュリティ向上を図ることができる。すなわち、利便性向上とセキュリティ向上との両立を図ることができる。
【0139】
また、実施形態のドア制御装置においては、外部機器と無線通信可能な通信部(無線通信部16)を備え、ドア制御部は、通信部による無線通信可能範囲に外部機器が検出されたことを条件として開対象のドアについての開駆動を実行させている。
【0140】
これにより、乗員が車両に近づいたことを条件として開対象のドアを自動で開けることが可能とされる。
従って、セキュリティのさらなる向上を図ることができる。
【0141】
また、実施形態のドア制御装置においては、ドア制御部は、購入情報に基づいて乗員が購入した商品の量及び/又はサイズに相関する情報である量サイズ相関情報を取得し、該量サイズ相関情報に基づいて開対象のドアを決定している。
【0142】
これにより、乗員による開対象ドアの指定操作を不要としながら、乗員が車両に持ち込む荷物の量やサイズに応じた適切な数及び位置のドアを自動で開くことが可能とされる。
従って、車両におけるドアの開制御について、乗員による操作負担軽減を図ることによる利便性向上を図りつつ、不要なドアが開かないという点でのセキュリティ向上を図ることができ、利便性向上とセキュリティ向上との両立を図ることができる。
【0143】
さらに、実施形態のドア制御装置においては、ドア制御部は、購入情報として取得される商品購入金額の情報に基づいて量サイズ相関情報を取得している。
【0144】
商品購入金額が大きければ商品を大量購入している可能性があり、商品購入金額は購入商品の総量や総サイズを推し量る目安となる。
従って、乗員が車両に持ち込む荷物の量やサイズの推定精度を高めることができ、乗員にとってより適切なドアを開くことができ、乗員の利便性向上を図ることができる。
また、購入情報として、具体的な購入店舗や購入商品の種別を示す情報を取得不能な場合であっても、購入商品の量やサイズを推定することができる。
【0145】
さらにまた、実施形態のドア制御装置においては、ドア制御部は、購入情報として取得される商品の購入店舗種別の情報と商品購入金額の情報とに基づいて量サイズ相関情報を取得している。
【0146】
これにより、購入金額のみでなく購入商品の種別を加味して購入商品の量やサイズを推定することが可能とされる。
従って、乗員が車両に持ち込む荷物の量やサイズの推定精度の向上が図られ、乗員にとってより適切なドアを開くことができ、乗員の利便性のさらなる向上を図ることができる。
また、購入情報として、具体的な購入商品の種別を示す情報を取得不能な場合であっても、購入商品の量やサイズを推定することができる。
【0147】
また、実施形態のドア制御装置においては、車両は、複数の座席と荷室とを有し、ドアとして乗員の座席への乗降に用いられるドアである複数の座席ドアと、荷室に対する荷の積み降ろしに用いられる荷室ドアとを有しており、ドア制御部は、量サイズ相関情報に基づき商品の量及び/又はサイズが小さいと判定した場合は座席ドアを対象として開対象のドアを決定する一方、量及び/又はサイズが大きいと判定した場合は荷室ドアを対象として開対象のドアを決定している。
【0148】
これにより、座席に荷物を置くことが可能であるにも拘わらず荷室ドアが開いてしまったり、逆に座席に荷物を置くことが不能であるにも拘わらず荷室ドアが開かないといった不都合が生じることの防止が図られる。
従って、乗員にとって適切なドアを開くことができ、乗員の利便性向上を図ることができる。
【0149】
さらに、実施形態のドア制御装置においては、車両は複数の座席を有し、乗員が着座していた座席の位置を表す着座位置情報を検出する着座位置検出部(着座検出部13)を備え、ドア制御部は、着座位置情報と購入情報とに基づいて開対象のドアを決定している。
【0150】
これにより、乗員が車両に持ち込む荷物の量やサイズのみでなく、降車時における乗員の着座位置に応じた適切な数及び位置のドアを自動で開くことが可能とされる。
従って、利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0151】
さらにまた、実施形態のドア制御装置においては、ドア制御部は、開対象のドアとは異なるドアが手動により開かれた場合は、開対象のドアを決定する処理に用いる該開かれたドアについてのパラメータを変更している。
【0152】
これにより、乗員が荷物の積載に好んで利用するドアが乗員からのフィードバックに基づき学習される。
従って、乗員の意思を反映したより適切なドアを自動で開くことが可能とされ、利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0153】
なお、本発明は上記で説明した具体例に限定されず、多様な変形例が考えられるものである。
例えば、上記では、本発明を自動バレーパーキング機能を有する車両に適用する例を挙げたが、自動バレーパーキング機能を有さない車両にも本発明は好適に適用することができる。例えば、駐車スペースに駐車された車両に乗員が近づいて乗車するとったケースにおいて、商品の購入情報に基づいて開対象のドアを決定する場合等である。
【符号の説明】
【0154】
1 車両制御システム、9 ドア制御部、10 バス、12 ドア近接検出部、13 着座検出部、14 ドア開閉状態検出部、15 ドア駆動部、16 無線通信部、50 乗員端末、51 主制御部、52a アプリ、53 無線通信部、54 入力部、57 現在位置検出部、100 車両、101 運転席、102 助手席、103 後部右座席、104 後部左座席、105 荷室、111 運転席ドア、112 助手席ドア、113 後部右ドア、114 後部左ドア、115 荷室ドア