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特許7020856外壁構造、外壁構造の施工方法及びこれらに用いられる規制部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】外壁構造、外壁構造の施工方法及びこれらに用いられる規制部材
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220208BHJP
   E04F 19/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E04F13/08 101Q
E04F19/02 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017201157
(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公開番号】P2019073924
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】305003542
【氏名又は名称】旭トステム外装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】日根野 亮
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-282661(JP,A)
【文献】実開昭59-021343(JP,U)
【文献】特開平07-259294(JP,A)
【文献】特開2016-194192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/07-13/30
E04F 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面において上下方向にそれぞれ延びる凹部及び凸部が交互に並んで配置される複数のサイディングと、
2つの前記サイディングの外表面が出合うことで形成される出隅部を覆うキャップ部材と、を備える外壁構造であって、
前記キャップ部材は、該キャップ部材を外壁に固定するための固定部と、該固定部から前記2つのサイディングの外表面に沿って延出する一対の延出部と、を有し、
前記出隅部を構成する両方又は一方の前記サイディングの端部には前記凹部が配置され、
前記出隅部における前記凹部を覆う前記延出部と該凹部との間には、該延出部が該凹部側に変形移動するのを規制する規制部材が設けられる外壁構造。
【請求項2】
前記規制部材は、先端側に向かうほど外側に傾斜している請求項1に記載の外壁構造。
【請求項3】
前記出隅部を構成する一方の前記サイディングの端部には前記凹部が配置され、前記出隅部を構成する他方の前記サイディングの端部には前記凸部が配置される請求項1又は2に記載の外壁構造。
【請求項4】
外表面において上下方向にそれぞれ延びる凹部及び凸部が交互に並んで配置される複数のサイディングと、2つの前記サイディングの外表面が出合うことで形成される出隅部を覆うキャップ部材と、を備える外壁構造の施工方法であって、
前記キャップ部材は、該キャップ部材を建物の外壁に固定するための固定部及び前記2つのサイディングの前記外表面に沿って延出する一対の延出部を有し、
前記複数のサイディングを前記外壁に沿って配置する配置工程と、
前記出隅部に接するサイディングの端部を、前記出隅部の位置に合わせて切断する切断工程と、
前記固定部を、前記2つのサイディングと前記外壁との間に配置して固定する固定工程と、
前記切断工程の後、前記出隅部を構成する両方又は一方のサイディングの端部に前記凹部が配置された場合に、前記キャップ部材の前記延出部が前記凹部側に変形移動するのを規制する規制部材を、前記固定部に取り付ける規制部材取付工程と、を有する、外壁構造の施工方法。
【請求項5】
前記規制部材は、
2つのサイディングの外表面が出合うことで形成される出隅部を覆うキャップ部材の変形移動を規制し、
前記キャップ部材における前記出隅部を覆うように延出する一対の延出部の内側面に当接可能に延びる規制面を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の外壁構造
【請求項6】
前記規制面は、先端側に向かうほど外側に傾斜し、
前記キャップ部材に取り付けられる取付部と、
前記取付部から延びて前記規制面及び前記取付部を接続する取付延出部と、をさらに備える請求項5に記載の外壁構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁構造、外壁構造の施工方法及びこれらに用いられる規制部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面に凹部及び凸部が形成された複数のサイディングを隣接して配置し、建物の外壁等に取り付けるサイディングの外壁構造が知られている。サイディングは、建物の出隅部では、建物の一方の面に設けられたサイディングの端部と、建物の他方の面に設けられたサイディングの端部とが突き合わされ、その端部が外部から視認されないように、キャップ部材が取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、表面に凹凸が形成された複数のサイディングを隣接して配置すると、施工誤差や、サイディングを取り付ける外壁等の面積とサイディングの面積との関係等から、サイディングの出隅側の端部に凹部が位置する場合と、凸部が位置する場合とがある。キャップ部材は、出隅部からキャップ部材のキャップ端部までの長さを長く構成することで、サイディングの出隅側の端部に凹部が位置した場合、凸部が位置した場合のいずれであっても、キャップ部はサイディングのどこかの位置で凸部に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許4573029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、キャップ部材の出隅部からキャップ部材のキャップ端部までの長さが長い場合、キャップ部材の見付方向の幅が広いこととなり、キャップ部材が目立ち、意匠性が損なわれる場合があった。キャップ部材の出隅部からキャップ部材のキャップ端部までの長さを短くし、キャップ部材の見付方向の幅を狭くすると、キャップ部材が目立たなくなり、意匠性が向上する。
【0006】
しかし、キャップ部材の出隅部からキャップ部材のキャップ端部までの長さを短くすると、キャップ部材がサイディングの凹部の上に位置する場合が生じる。幅の短くなったキャップ部材が、出隅部に対して一方のサイディング側で凹部の上に位置し、他方のサイディング側で凸部の上に位置した場合、キャップ部の一部が凸部に当接する反動で、凹部の上に位置するキャップ部材の一部が、内側に傾きやすくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、意匠性を向上させるとともに、設置された姿勢を維持可能なキャップ部材を備えるサイディングの外壁構造を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、外表面(例えば、後述の外表面2a)において上下方向にそれぞれ延びる凹部(例えば、後述の凹部21)及び凸部(例えば、後述の凸部22)が交互に並んで配置される複数のサイディング(例えば、後述のサイディング2)と、2つの前記サイディングの外表面が出合うことで形成される出隅部(例えば、後述の出隅部4)を覆うキャップ部材(例えば、後述のキャップ部材3)と、を備える外壁構造(例えば、後述の外壁構造1)であって、前記キャップ部材は、該キャップ部材を外壁に固定するための固定部(例えば、後述の固定部32)と、該固定部から前記2つのサイディングの外表面に沿って延出する一対の延出部(例えば、後述の延出部31)と、を有し、前記出隅部を構成する両方又は一方の前記サイディングの端部には前記凹部が配置され、前記出隅部における前記凹部を覆う前記延出部と該凹部との間には、該延出部が該凹部側に変形移動するのを規制する規制部材(例えば、後述の規制部材5)が設けられる外壁構造を提供する。
【0009】
前記規制部材は、先端側に向かうほど外側に傾斜していることが好ましい。
【0010】
前記出隅部を構成する一方の前記サイディングの端部には前記凹部が配置され、前記出隅部を構成する他方の前記サイディングの端部には前記凸部が配置されることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、外表面において上下方向にそれぞれ延びる凹部及び凸部が交互に並んで配置される複数のサイディングと、2つの前記サイディングの外表面が出合うことで形成される出隅部を覆うキャップ部材と、を備える外壁構造の施工方法であって、前記キャップ部材は、該キャップ部材を建物の外壁に固定するための固定部及び前記2つのサイディングの前記外表面に沿って延出する一対の延出部を有し、前記複数のサイディングを前記外壁に沿って配置する配置工程(例えば、後述の配置工程S1)と、前記出隅部に接するサイディングの端部を、前記出隅部の位置に合わせて切断する切断工程(例えば、後述の切断工程S2)と、前記固定部を、前記2つのサイディングと前記外壁との間に配置して固定する固定工程(例えば、後述の固定工程S3)と、前記切断工程の後、前記出隅部を構成する両方又は一方のサイディングの端部に前記凹部が配置された場合に、前記キャップ部材の前記延出部が前記凹部側に変形移動するのを規制する規制部材を、前記固定部に取り付ける規制部材取付工程(例えば、後述の規制部材取付工程S4)と、を有する、外壁構造の施工方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、2つのサイディングの外表面が出合うことで形成される出隅部を覆うキャップ部材の変形移動を規制する規制部材であって、前記キャップ部材における前記出隅部を覆うように延出する一対の延出部の内側面に当接可能に延びる規制面(例えば、後述の規制面53)を備える、規制部材を提供する。
【0013】
前記規制面は、先端側に向かうほど外側に傾斜し、前記キャップ部材に取り付けられる取付部(例えば、後述の取付部51)と、前記取付部から延びて前記規制面及び前記取付部を接続する取付延出部(例えば、後述の取付延出部52)と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、意匠性を向上させるとともに、設置された姿勢を維持可能なキャップ部材を備えるサイディングの外壁構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態のサイディングの外壁構造を示す斜視図である。
図2】本実施形態の出隅部の平面図である。
図3】本実施形態のキャップ部材の分解断面図である。
図4】本実施形態の規制部材を示し、(a)図は断面図、(b)図は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の外壁構造1を示す斜視図である。図1に示すように、外壁構造1は、サイディング2と、キャップ部材3と、出隅部4と、規制部材5と、シーリング材6と、を有する。
【0017】
サイディング2は、本実施形態では、建築用の金属サイディングのパネルであり、建物の外壁に施工される。サイディング2は、例えば、建物の胴縁11の外側に釘等で固定して取り付けられる。
サイディング2は、略長方形に形成され、所定厚みを有する。サイディング2は、その外表面2aに上下方向に延びる凹部21及び凸部22を有し、凹部21及び凸部22は、サイディング2の幅方向に沿って交互に並んで配置される。
サイディング2は、例えば、外表面2aはガリバリウム鋼板で、裏面2bはアルミ材で形成され、外表面2a及び裏面2bの間にウレタンが配置されている。
【0018】
サイディング2は、施工する建物の外壁等の寸法に合わせて、複数枚が連続して取り付けられる。建物の角部では、サイディング2の一方の第一面210の端部と、他方の第二面220の端部とが突き合わせて配置され、2つのサイディング2の外表面2aが出合うことで出隅部4が形成される。
【0019】
図2は、出隅部4の平面図である。図2に示すように、出隅部4は、外壁の寸法や施工状況によって、出隅部4を構成する両方又は一方のサイディング2の端部に凹部21が配置される。すなわち、サイディング2が出隅部4まで敷設されたときに、サイディング2の端部が凹部21となる位置で切断される場合と、端部が凸部22となる位置で切断される場合があり、出隅部4で向き合うサイディング2の見込方向の高さが合わない場合がある。例えば、図2では、出隅部4を構成する一方(第一面210)のサイディング2の端部には、凹部21が配置されているのに対し、他方(第二面220)のサイディング2の端部には、凸部22が配置されている。
【0020】
図2に示すように、キャップ部材3は、出隅部4を覆うように配置される。キャップ部材3の長さは、サイディング2の上下方向の長さと略同じである。
図3は、キャップ部材3の分解断面図である。図2及び図3に示すように、キャップ部材3は、一対の延出部31と、固定部32と、を有する。
【0021】
延出部31は、サイディング2の外表面2aに沿って延出する。延出部31は、一枚の略長方形の板面を幅方向の中央部で略直角に折り曲げて、出隅部4の2つのサイディング2の端部をそれぞれ覆うように一対形成される。図2及び図3に示すように、延出部31は、断面視では矢印の形状をしている。延出部31は、頂部310と、第一延出部311と、第二延出部312と、係合部313と、を有する。
【0022】
頂部310は、折り曲げた延出部31の頂点部分であり、出隅部4の角部に位置する。頂部310は、キャップ部材3を出隅部4に取り付けた状態で出隅部の外側に位置する。
【0023】
第一延出部311は、頂部310からサイディング2の第一面210側を覆うように延出する部分であり、一枚の板面を頂部310から所定長さの位置で折り返して形成される。
【0024】
第二延出部312は、頂部310からサイディング2の第二面220側を覆うように延出する部分であり、一枚の板面を頂部310から所定長さの位置で折り返して形成される。
【0025】
係合部313は、折り返した第一延出部311及び第二延出部312のそれぞれの端部が、頂部310の裏側で互いに近づき、頂部310の裏側を基端として、内側に向かって延びる。例えば、第一延出部311と第二延出部312とが略90度に接続されていた場合、係合部313はその半分の45度の方向に延びる。
係合部313の遠位端側には、頂部310から第一延出部311及び第二延出部312それぞれの折り返した端部までの長さの半分程度の位置から、さらに外側に向かうように屈曲する屈曲部310aが設けられる。
【0026】
固定部32は、キャップ部材3を外壁に固定する部分である。固定部32は、出隅部4の内側、すなわち胴縁11とサイディング2との間に固定され、出隅部4を覆う延出部31が係合する。固定部32は、挿入部321と、受け部322と、を有する。
【0027】
挿入部321は、胴縁11の角部に沿って配置されるように平面視でくの字に形成され、長手方向がサイディング2の長手方向と略同じ寸法に形成される。挿入部321は、一対の細長い長方形の板面部321a、321bが長手方向の側縁に沿って互いに接合され、略90度に屈曲するように形成される部分である。一方の板面部321aは、サイディング2の第一面210と建物の胴縁11との間に挿入される。他方の板面部321bは、サイディング2の第二面220と建物の胴縁11との間に位置するように、胴縁11とサイディング2との間に挿入される。
【0028】
受け部322は、一方の板面部321aと他方の板面部321bが接続される部分から外側に突出し、サイディング2の第一面210の端部と第二面220の端部との間の空間に配置される部分である。受け部322は、断面視で合計5本の突起を有する。詳細には、受け部322は、中央部322aと、延出部係合部322b、322cと、規制部材係合部322d、322eと、を有する。
【0029】
中央部322aは、挿入部321における一方の板面部321aと他方の板面部321bが接続される部分から、出隅部4の外側へ最も長く突出する板状部である。中央部322aは、一対の板面部321a、321bから外側へ延長させた一対の仮想延長線L1(図3参照)で形成される角度の半分(すなわち、略45度)の方向に延びる。
【0030】
規制部材係合部322d、322eは、中央部322aの根元側から枝別れして、仮想延長線L1(図3参照)上に延びる板状部である。規制部材係合部322d、322eには、後述する規制部材5が係合する。規制部材係合部322d、322eの先端は、中央部322aの先端よりも低く、すなわち板面部321a、321bに寄りに位置する。
【0031】
延出部係合部322b、322cは、中央部322aと規制部材係合部322d、322eとの間に位置し、規制部材係合部322d、322eの途中から中央部322aの延びる方向と平行、すなわち外側に向かって突出する板状部である。延出部係合部322b、322cは、中央部322aを間に挟んだ一方と他方に位置する。
【0032】
延出部係合部322b、322cの先端には、中央部322a側に向かって膨出する曲面状の凸部323が形成されている。
中央部322aと延出部係合部322bの間、中央部322aと延出部係合部322cの間それぞれに、延出部31の係合部313が挿入されて係合する。詳細には、係合部313は、一枚の金属製の板を折り返して形成されているため、係合部313の先端には外側に開こうとする力がかかっており、係合部が中央部322aと延出部係合部322b、322cの間に挿入されることで、延出部係合部322b、322cの内面を押圧するようにして係合する。延出部係合部322b、322cの先端に凸部323が形成されているので、滑って外れることが防止されるようになっている。
【0033】
図4は規制部材5を示し、(a)図は、規制部材5の断面図、(b)図は斜視図である。図4(a)及び(b)に示すように、規制部材5は、一枚の略長方形の板状の部材が折り畳まれ、折り畳んだ一方の端部から幅方向に広がるように延出する形状を有する。規制部材5は、キャップ部材3よりも長手方向の長さが短く、例えば8cm~12cm程度の長さである。図1に示すように、規制部材5は、キャップ部材3の延出部31の内側で、出隅部4の上端側と下端側に2か所配置される。規制部材5は、図2に示すように、出隅部4におけるキャップ部材3の延出部31とサイディング2の凹部21との間に配置され、延出部31が凹部21側に変形移動するのを規制する。規制部材5は、サイディング2と同じ素材、例えばガリバリウム鋼板で構成される。
【0034】
図4(a)に示すように、規制部材5は、取付部51と、取付延出部52と、規制面53と、を有する。
取付部51は、規制部材5を構成する板状の部材を所定幅重ね合わせるように折り畳んだ部分である。取付部51は、板状の部材を折り畳むことによって形成される開口51aと、開口51aと反対側の屈曲端51bとを有する。取付部51は、開口51aの間に、規制部材係合部322d、322eそれぞれを挟んで係合させることでキャップ部材3の固定部32に取り付けられる。
【0035】
取付延出部52は、取付部51から延びて以下に説明する規制面53及び取付部51を接続する。取付延出部52は、取付部51の重ね合された二つの面のうち一方の面の端部から、規制部材5を構成する板状部材の幅方向外側に傾斜するように延出する部分である。取付部51の一方の面と、取付延出部52との間に形成される角度θ1は、例えば20度から30度であり、好ましくは23~27度程度である。この角度を小さく構成することで、規制部材5の幅方向の長さを短くすることができる。
【0036】
規制面53は、取付部51から取付延出部52を介して連続し、取付延出部52における取付部51の屈曲端51b側の端部から、さらに幅方向外側に延びる部分である。規制面53は、取付部51に対して交差する方向に延びる。規制面53は、取付部51の屈曲端51bの板厚の中心と取付延出部52における屈曲端51b側の端部とを結び、規制部材5の幅方向に沿って略水平方向に延ばした仮想延長線L2に対して、例えば3度から7度の角度θ2、好ましくは5度程度、取付部51から離間する外側方向へ傾斜する。規制面53は、先端側に向かうほど外側に大きく傾斜している。規制面53は、規制部材5が固定部32に取り付けられた状態で、キャップ部材3の延出部31の内側面に当接可能に延びる。
【0037】
図2に戻って、シーリング材6は、サイディング2とキャップ部材3の固定部32の間を埋めるように配置される。
【0038】
図2及び3を参照して、サイディング2の施工方法について説明する。
まず、上下方向に延びる凹部21及び凸部22が交互に並んで配置される複数のサイディング2を、建物の外壁に沿って並べ、配置する(配置工程S1)。そして、サイディング2を釘等で固定して取り付けていく。サイディング2が建物の角まで到達したら、出隅部4に接するサイディング2の端部を出隅部4の位置に合わせ、余った部分を切断する(切断工程S2)。
【0039】
このとき、出隅部4で突き合わされるサイディング2の第一面210の端部と、第二面220の端部において、両方とも凸部22が端部に位置した場合には、第一延出部311及び第二延出部312とサイディング2の上面との距離がほぼ均等となり、バランスが保たれるので、規制部材5を取り付けなくてもよい。第一延出部311及び第二延出部312の端部が凸部22の上面に支持されると、第一延出部311及び第二延出部312は傾きにくい。
【0040】
また、サイディング2の第一面210の端部と、第二面220の端部において、両方とも凹部21が端部に位置した場合、第一延出部311及び第二延出部312とサイディング2の上面との距離がほぼ均等となるため、バランスは保たれる。しかし、凹部21と延出部31との間には隙間が空き、延出部31が脆弱になるので、規制部材5を固定部32の両側(第一面210側及び第二面220側)に取り付けることで、延出部31が傾きにくくなる。
【0041】
一方、図2に示すように、サイディング2の第一面210の端部と、第二面220の端部において、一方に凹部21が位置し、他方に凸部22が位置した場合、キャップ部材を取り付けた場合、延出部31の一方(例えば第二延出部312)が凸部22により支持されるのに伴って一方側が持ち上がり、他方(例えば第一延出部311)の端部が凹部21側に傾いてしまう場合がある。この場合、キャップ部材3を取り付ける際に、凹部21側に規制部材5を取り付ける。
【0042】
具体的には、出隅部4において、固定部32の挿入部321を、サイディング2の第一面210、第二面220と外壁の胴縁11との間にそれぞれ挿入し、固定部32を配置して固定する(固定工程S3)。すると、挿入部321を構成する一対の板面部321a、321bが接続される部分から外側に突出する受け部322が、サイディング2の第一面210と第二面220の間の空間に位置する。
【0043】
次に、上述の通り、切断工程S2の後、出隅部4を構成するサイディング2の両方(第一面210、第二面220)又は一方の端部に、凹部21が配置されていた場合、受け部322の規制部材係合部322d、322eのうち、凹部21上に位置する規制部材係合部322d、322eを、規制部材5の取付部51で挟むようにして規制部材5を固定部32に取り付ける(規制部材取付工程S4)。本実施形態では、図3に示すように、取付部51の開口51aを規制部材係合部322eに被せて係合させる。
【0044】
次に、図3に示すように、延出部31を固定部32の受け部322に近付け、係合部313を、受け部322の中央部322a及び延出部係合部322b、中央部322a及び延出部係合部322cの間に挿入する。すると係合部313の先端で屈曲する屈曲部310aが延出部係合部322b、322cの内面を押圧することで、延出部31が受け部322に取り付けられる。
【0045】
このとき、規制部材5が受け部322における凹部21の位置する側に取り付けられており、規制面53が、取付部51の屈曲端51bの板厚の中心と取付延出部52における屈曲端51b側の端部とを結び、規制部材5の幅方向に沿って略水平方向に延ばした仮想延長線L2に対して、例えば3度から7度の角度θ2、好ましくは5度程度、取付部51から離間する外側方向へ傾斜している。このため、規制面53は、凹部21の位置する側に取り付けられた第一延出部311の内側面を外側に押圧する。これにより、第一延出部311は、規制部材5により内側に傾くことが規制される。
【0046】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、外表面2aにおいて上下方向にそれぞれ延びる凹部21及び凸部22が交互に並んで配置される複数のサイディング2と、2つの前記サイディングの外表面2aが出合うことで形成される出隅部4を覆うキャップ部材3と、を備える外壁構造1を、キャップ部材3が、キャップ部材3を外壁に固定するための固定部32と、固定部32から2つのサイディング2の外表面2aに沿って延出する一対の延出部31と、を含むように構成した。また、出隅部4を構成する両方又は一方のサイディング2の端部には凹部21を配置した。また、出隅部4における凹部21を覆う延出部31と凹部21との間に、延出部31が凹部21側に変形移動するのを規制する規制部材5を設けた。
これにより、出隅部4におけるサイディング2の端部に、凹部21が位置した場合に、キャップ部材3が、凹部21側に傾こうとしても、規制部材5の規制面53に規制されるため、傾きにくい。よって、キャップ部材3の延出部31が、出隅部4におけるサイディング2の一方及び他方に均等に延出し、キャップ部材3の設置された姿勢を維持することができる。また、キャップ部材3がサイディング2の凹部21にかかっても、傾きにくくすることができるため、キャップ部材3の見付け方向の寸法を短くすることが可能になり、キャップ部材3が目立ちにくく、外壁構造1の意匠性が向上する。
【0047】
また、本実施形態では、規制部材5を、先端側に向かうほど外側に傾斜させた。これにより、規制部材5の規制面53が、規制部材5の先端側に向かうほど、キャップ部材3の延出部31における先端側を外側に大きく押圧することになる。キャップ部材3の延出部31は、頂部310の裏側(内側)で固定部32に係合し、支持されているが、第一延出部311又は第二延出部312の先端に向かうほど、支点から遠くなり、傾きやすく、延出部31の重量がかかりやすい。規制面53が第一延出部311及び第二延出部312の先端側に向かうほど大きく外側に押すことで、第一延出部311及び第二延出部312の傾きを、より確実に防止することができる。よって、上記と同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、本実施形態では、出隅部4を構成する一方のサイディング2(第一延出部311)の端部に、凹部21を配置し、出隅部4を構成する他方のサイディング2(第二延出部312)の端部には凸部22を配置した。出隅部4を構成するサイディング2の一方と他方で高さが異なる場合、サイディング2が凸部22に支持されることで、凹部21側に傾きやすくなる。そこで、このような配置の場合に規制部材5を設けることで、キャップ部材3の傾きを確実に防止することができる。
【0049】
また、本実施形態では、外表面2aにおいて上下方向にそれぞれ延びる凹部21及び凸部22が交互に並んで配置される複数のサイディング2と、2つのサイディング2の外表面2aが出合うことで形成される出隅部4を覆うキャップ部材3と、を備える外壁構造1の施工方法において、キャップ部材3を、建物の外壁に固定するための固定部32及び2つのサイディング2の外表面2aに沿って延出する一対の延出部31を含んで構成した。また、外壁構造の施工方法を、複数のサイディング2を外壁に沿って配置する配置工程S1と、出隅部4に接するサイディング2の端部を、出隅部4の位置に合わせて切断する切断工程S2と、固定部32を、2つのサイディング2と外壁との間に配置して固定する固定工程S3と、切断工程S2の後、出隅部4を構成する両方又は一方のサイディング2の端部に凹部21が配置された場合に、キャップ部材3の延出部31が凹部21側に変形移動するのを規制する規制部材5を、固定部32に取り付ける規制部材取付工程S4と、を含んで構成した。
これにより、上記と同様の効果を奏することができる。また、切断工程S2の後で、サイディング2の切断部の形状に応じて、必要な場合に規制部材5を取り付けることができるので、効率的にキャップ部材3の傾きを防止することができ、作業性が向上する。
【0050】
また、本実施形態では、規制部材5を、2つのサイディング2の外表面2aが出合うことで形成される出隅部4を覆うキャップ部材3の変形移動を規制させた。また、規制部材5を、キャップ部材3における出隅部4を覆うように延出する一対の延出部(第一延出部311、第二延出部312)の内側面に当接可能に延びる規制面53を含んで構成した。これにより、サイディング2における切断した端部の形状に応じて規制部材5を自在にキャップ部材3に取り付けることができる。また、取り付けた規制部材5の規制面53が延出部31の内側面に当接することで、延出部31が凹部21側に変形移動するのを規制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、規制面53を、先端側に向かうほど外側に傾斜させ、規制部材5を、キャップ部材3に取り付けられる取付部51と、取付部51から延びて規制面53及び取付部51を接続する取付延出部52と、をさらに含んで構成した。これにより、規制面53が先端側に向かうほど延出部31を外側に向かって押圧するので、延出部31の先端側を確実に外側に規制することができる。また、キャップ部材3に取り付けられる取付部51と規制面53とを取付延出部52が接続しているので、この取付延出部52の長さや取付部51と規制面53とを結ぶ角度等を変更することで、規制部材5の幅方向の寸法を自在に変更することができる。規制部材5の幅方向の寸法を短くした場合、より意匠性が向上する。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、サイディング2は、金属サイディングであるが、これに限られない。外表面2aに凹部21及び凸部22が並んで配置されるものであれば、窯業サイディングであってもよく、その他のパネルであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 外壁構造
2 サイディング
2a 外表面
3 キャップ部材
4 出隅部
5 規制部材
21 凹部
22 凸部
31 延出部
32 固定部
51 取付部
53 規制面
図1
図2
図3
図4