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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】継手用キャップ、および継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20220208BHJP
   B65D 59/06 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
F16L57/00 C
B65D59/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017225626
(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公開番号】P2019094989
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮川 和紗
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-233350(JP,A)
【文献】実開昭59-123792(JP,U)
【文献】実開昭52-057322(JP,U)
【文献】実開昭51-027676(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
B65D 59/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部内に内筒体が挿入されたパイプが接続される継手に取付けられ、
前記パイプが前記継手に接続される前の状態で、前記内筒体を保持しながら前記継手の開口部を閉塞する継手用キャップであって、
有頂筒状をなし前記開口部を覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体の頂壁部から、前記開口部の中心軸線に沿う軸方向のうち、前記キャップ本体に対して、前記開口部が位置する一方側に突出し、かつ前記内筒体の内部に配置されて前記内筒体を保持した状態で、前記内筒体とともに前記継手内に配置される突起部と、を備え、
前記突起部における前記軸方向の一方側の端部は、前記キャップ本体の周壁部における前記軸方向の一方側の端部よりも、前記軸方向のうちの一方側の反対側である他方側に位置し、
前記突起部は、前記軸方向の一方側に向かうに従い漸次、前記中心軸線と直交する径方向の外側に向けて延びるとともに、前記内筒体の内周面に当接して、前記内筒体を保持することを特徴とする継手用キャップ。
【請求項2】
前記突起部は、前記開口部側から見た平面視で、前記中心軸線周りに周回する周方向に間隔をあけて複数配置されていることを特徴とする請求項1に記載の継手用キャップ。
【請求項3】
前記突起部は、前記中心軸線と同軸に配置された円弧状に延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載の継手用キャップ。
【請求項4】
前記突起部は、複数配置されることで、前記中心軸線と同軸に配置された円筒部を形成し、
前記円筒部における、前記軸方向の一方側の端部の外径は、前記内筒体の内径よりも大きく、
前記円筒部における、前記軸方向の他方側の端部の外径は、前記内筒体の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の継手用キャップ。
【請求項5】
前記突起部は、前記中心軸線を前記径方向に挟む位置に各別に配置された一対の板状部材であり、
一対の前記突起部同士における、前記軸方向の一方側の端部間の前記径方向の最大幅は、前記内筒体の内径よりも大きく、
一対の前記突起部同士における、前記軸方向の他方側の端部間の前記径方向の最大幅は、前記内筒体の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の継手用キャップ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の継手用キャップと、
前記突起部で保持された前記内筒体と、を備えることを特徴とする継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手用キャップ、および継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物内の給水、給湯、あるいは空調機器用の配管の継手に取付けられる継手用キャップが知られている。この継手用キャップは、パイプを継手に接続するパイプ接続作業まで、継手の内部に粉塵や異物が侵入するのを防ぐために、継手の開口部に取付けられて、この開口部を閉塞する。
パイプ接続作業では、継手の開口部にパイプを差し込む際に、パイプの端部の径方向の内側への変形を防止するために、パイプの端部内に内筒体を挿入することがある。この場合、パイプを継手に接続する前においては、内筒体を紛失しないように、内筒体を継手内に保持しておくことが好ましい。
例えば下記特許文献1および下記特許文献2に記載された継手用キャップでは、継手用キャップの内側に内筒体が嵌め込まれることで、内筒体が継手用キャップに保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-106895号公報
【文献】特開2005-233350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、継手用キャップおよび内筒体それぞれは、一定の寸法公差を備えて製造される部品である。このため、前記従来の構成では、継手用キャップおよび内筒体それぞれの嵌め合い部分が、寸法公差の影響により、互いに最も離れた場合には、継手用キャップと内筒体との間に隙間が生じ、継手用キャップにより内筒体を保持できないおそれがあった。一方、それぞれの嵌め合い部分が、寸法公差の影響により、互いに近づいた場合には、内筒体が継手用キャップの内側に入らないおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、継手用キャップおよび内筒体それぞれの寸法公差の範囲内で、確実に内筒体を保持することができる継手用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る継手用キャップは、端部内に内筒体が挿入されたパイプが接続される継手に取付けられ、前記パイプが前記継手に接続される前の状態で、前記内筒体を保持しながら前記継手の開口部を閉塞する継手用キャップであって、前記開口部を覆うキャップ本体と、前記キャップ本体から、前記開口部の中心軸線に沿う軸方向に突出し、かつ前記継手内に配置される突起部と、を備え、前記突起部は、前記軸方向のうち、前記キャップ本体に対して、前記開口部が位置する一方側に向かうに従い漸次、前記中心軸線と直交する径方向の外側に向けて延びるとともに、前記継手内に配置される内筒体の内周面に当接して、前記内筒体を保持することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、継手用キャップが突起部を備えているので、突起部が内筒体の内周面に当接することで、継手用キャップにより内筒体を保持することができる。また突起部が、軸方向の開口部側に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延びているので、内筒体の内周面と、突起部と、の径方向の寸法管理が容易になり、継手用キャップおよび内筒体それぞれの寸法公差の範囲内で、確実に内筒体を保持することができる。
【0008】
また、前記突起部は、前記開口部側から見た平面視で、前記中心軸線周りに周回する周方向に間隔をあけて複数配置されてもよい。
【0009】
この場合、突起部が周方向に間隔をあけて複数配置されているので、突起部を内筒体の内周面に当接させる際に、突起部を径方向の内側に向けて変形させやすくすることができる。また、突起部を内筒体の内周面に対して、周方向に複数の箇所で当接させることが可能になり、突起部により内筒体を強固に保持することができる。
【0010】
また、前記突起部は、前記中心軸線と同軸に配置された円弧状に延びてもよい。
【0011】
この場合、突起部が円弧状に延びているので、内筒体の内周面に対して突起部が当接する範囲を周方向に大きく確保することができる。これにより、突起部により内筒体をより一層強固に保持することができる。
【0012】
また、前記突起部は、複数配置されることで、前記中心軸線と同軸に配置された円筒部を形成し、前記円筒部における、前記軸方向の一方側の端部の外径は、前記内筒体の内径よりも大きく、前記円筒部における、前記軸方向の他方側の端部の外径は、前記内筒体の内径よりも小さくてもよい。
【0013】
また、前記突起部は、前記中心軸線を前記径方向に挟む位置に各別に配置された一対の板状部材であり、一対の前記突起部同士における、軸方向の一方側の端部間の前記径方向の最大幅は、前記内筒体の内径よりも大きく、一対の前記突起部同士における、軸方向の他方側の端部間の前記径方向の最大幅は、前記内筒体の内径よりも小さくてもよい。
【0014】
これらの場合、突起部のうち、軸方向の一方側の端部を、内筒体の内周面に確実に当接させることができるとともに、突起部のうち、軸方向の他方側の端部を、内筒体の内周面から径方向の内側に離間させることができる。これにより、内筒体が継手用キャップと軸方向に当接するように、内筒体の内側に、突起部をその基端部まで挿入することができ、継手用キャップに保持された内筒体が、軸方向にかさ張るのを抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係る継手は、前述したいずれかの継手用キャップと、前記突起部で保持された前記内筒体と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、継手が継手用キャップを備えている。このため、継手の開口部内にパイプを挿入する前の状態において、開口部内に異物が侵入するのを防ぐことができる。また、継手が内筒体を備えている。このため、継手の開口部内にパイプを挿入する際に、内筒体が紛失することで別途準備することになるのを防ぎ、パイプを継手に接続する接続作業を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、継手用キャップおよび内筒体それぞれの寸法公差の範囲内で、確実に内筒体を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る継手用キャップを継手に取付けた状態を示す縦断面図である。
図2図1に示す継手から継手用キャップを取り外し、パイプを接続した状態を示す縦断面図である。
図3図1に示す継手用キャップにおける(a)縦断面図、(b)下面図である。
図4図1に示す継手用キャップの変形例を継手に取付けた状態を示す縦断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る継手用キャップにおける(a)内筒体を保持している状態を示す縦断面図、(b)下面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る継手用キャップにおける内筒体を保持している状態を示す縦断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る継手用キャップにおける(a)縦断面図、(b)下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る継手用キャップ1について説明する。
図1および図2に示すように、継手用キャップ1は、建物内の給水、給湯、あるいは空調機器用の配管の継手のうち、端部内に内筒体50が挿入されたパイプ60が接続される継手10に取付けられている。
また継手用キャップ1は、図1に示すように、パイプ60が継手10に接続される前に、内筒体50を保持しながら継手10の開口部10Aを閉塞する。継手用キャップ1は有頂筒状をなし、例えば合成樹脂材料により形成されている。継手用キャップ1の弾性力、もしくは係止構造によって、継手用キャップ1が継手10に固定される。継手10は、図1に示す状態で出荷される。すなわち、継手10は、継手用キャップ1と、内筒体50と、を備えている。
【0019】
以下の説明において、開口部10Aの中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、軸方向のうち、継手用キャップ1の頂壁部30Aに対して、開口部10Aが位置する一方側を下側、その反対側(他方側)を上側とする。
また、軸方向から見た平面視で、中心軸線Oと直交する方向を径方向といい、中心軸線O周りに周回する方向を周方向という。なお、以下の説明における上下の向きは、構成の説明の便宜のために用いるものであり、継手10および継手用キャップ1の姿勢を限定するものではない。
【0020】
継手10はまた、筒状の継手本体11と、継手本体11に取付けられる有頂筒状のブッシュ12と、を備えている。継手本体11における下側の部分には、径方向の内側に向けて突出する内フランジ部11Aが形成されている。内フランジ部11Aは、継手本体11の内周面に、全周にわたって延びている。
【0021】
継手本体11の軸方向の中間部分には、径方向の外側に向けて突出する外フランジ部11Bが形成されている。外フランジ部11Bは、継手本体11の外周面に、全周にわたって延びている。継手本体11の外周面のうち、外フランジ部11Bの上方に位置する部分には雄ねじ部11Cが形成されている。
継手本体11の上端部における内周面には、径方向の外側に向けて窪む収容凹部11Dが形成されている。収容凹部11Dは、ブッシュ12の内周面に全周にわたって延びている。収容凹部11D内にはOリング20が配置されている。
【0022】
ブッシュ12の頂壁部12Aには、開口部10Aが形成されている。開口部10Aは、上面視で円形状をなしている。ブッシュ12は、継手本体11を径方向の外側から囲っている。ブッシュ12の内周面に形成された雌ねじ部12Bが、継手本体11の雄ねじ部11Cに装着されることで、ブッシュ12が継手本体11に取付けられる。
ブッシュ12の下端部は、継手本体11の外フランジ部11Bに軸方向に当接している。
【0023】
ブッシュ12の下端部における内周面には、内周ラッチ12Dが形成されている。内周ラッチ12Dは、継手本体11の下端部における外周面に形成された外周ラッチ11Eと周方向に互いに係合することで、継手本体11に取付けられたブッシュ12が、継手本体11に対して緩むのを抑止する。
【0024】
継手10の内側において、継手本体11の上端部と、ブッシュ12の頂壁部12Aと、の間には、軸方向の隙間が形成されている。前記隙間には、固定リング25および抜け止め歯26が、軸方向に並べられて配置されている。
固定リング25は、例えば合成樹脂材料により形成されている。固定リング25は、抜け止め歯26をブッシュ12に対して固定している。また固定リング25は、収容凹部11D内のOリング20を、継手本体11に対して固定している。
【0025】
抜け止め歯26は、径方向の内側に位置する部分が、下方に向けて屈曲した環状をなしている。抜け止め歯26における径方向の内端部は、継手本体11、ブッシュ12、および固定リング25それぞれの内周面よりも径方向の内側に位置している。
抜け止め歯26は、例えばステンレス材料等の金属材料により形成されている。抜け止め歯26は、継手10の開口部10A内に挿入されたパイプ60の外周面に食い込むことで、パイプ60が継手10の開口部10Aから軸方向に抜けるのを抑止する。
【0026】
内筒体50は、パイプ60を形成する材料よりも剛性の高い、例えば金属材料等により形成されている。内筒体50の上端部には、径方向の外側に向けて突出する先端フランジ部51が形成されている。先端フランジ部51における上面は、上方に向けて突となす曲面状に形成されている。
【0027】
施工現場では、内筒体50を保持する継手用キャップ1が取り外され、さらに内筒体50が継手用キャップ1から取り外される。次に、図2に示すように、内筒体50は、継手10に接続されるパイプ60が、開口部10Aに挿入される際に、パイプ60の端部内に挿入される。この際、先端フランジ部51が、パイプ60の開口端縁に引っ掛かることで開口端縁に位置するように配置される。すなわち、内筒体50における軸方向の向きは、図1に示す状態と図2に示す状態とで、逆向きになっている。パイプ60が継手10に接続されると継手用キャップ1は不要になるので、廃棄してもよい。
【0028】
そして本実施形態では、図3に示すように、継手用キャップ1は、開口部10Aを覆うキャップ本体30と、キャップ本体30から下方に向けて突出し、かつ継手10内に配置される突起部31と、を備えている。
キャップ本体30は有頂筒状をなし、キャップ本体30の頂壁部30Aが、継手10の開口部10Aを閉塞している。継手用キャップ1における、頂壁部30Aおよび周壁部30Bの外形は、継手10の外形に沿う形状をなしている。図示の例では、キャップ本体30の軸方向の大きさは、22.6mmとなっている。
【0029】
突起部31はキャップ本体30の頂壁部30Aの下面に形成されている。突起部31は、下方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延びている。図1に示すように、突起部31は、パイプ60が継手10に接続される前に、内筒体50の内周面に当接して、内筒体50を保持する。図示の例では、突起部31の下端部が、内筒体50の内周面に当接している。
【0030】
また本実施形態では、図3に示すように、突起部31は、下方から見た平面視で、周方向に間隔をあけて複数配置されている。突起部31は、周方向に延びる円弧状をなしている。複数の突起部31は、中心軸線Oと同軸に配置されている。
図示の例では、突起部31は、中心軸線Oを径方向に挟む位置に一対配置されている。突起部31の周方向の大きさは、中心軸線Oを中心とする中心角が90°以下となっている。なお、突起部31の数量および大きさはこのような態様に限られず、任意に変更可能である。
【0031】
突起部31は、複数配置されることで、中心軸線Oと同軸に配置された円筒部35を形成している。
円筒部35における下端部の外径L1は、内筒体50の内径L2よりも大きくなっている。図示の例では、円筒部35における下端部の外径L1は12.1mmであり、内筒体50の内径L2(図1参照)は11.9mmである。
また、円筒部35における上端部の外径L3は、内筒体50の内径L2よりも小さくなっている。図示の例では、突起部31における上端部の外径L3は11.8mmである。また、突起部31(円筒部35)の軸方向の大きさL4は5mmである。
【0032】
突起部31を内筒体50の内側に先端フランジ部51側から挿入する際には、突起部31の下端部を内筒体50の内周面に当接させて、突起部31を径方向の内側に弾性変形させた状態で、突起部31と内筒体50とを軸方向に近接させる。これにより、突起部31の復元力により、突起部31の下端部が、内筒体50の内周面を径方向の外側に向けて押圧することで、突起部31により内筒体50を保持することができる。
【0033】
ここで、例えば内筒体50の寸法公差が±0.05であり、突起部31の寸法公差が±0.1とする。この場合、前述した各寸法値を前提とすると、内筒体50の内周面の寸法は、寸法公差の上限値で11.95mmとなる。一方、円筒部35の下端部の寸法は、寸法公差の下限値で12.00mmとなる。このため、円筒部35の下端部の寸法が、継手用キャップ1および内筒体50それぞれの寸法公差の範囲内で、常に内筒体50の内周面の寸法よりも大きいこととなり、確実に内筒体50を突起部31により保持することができる。
【0034】
次に、図4を参照して突起部31Bの変形例について説明する。
変形例に係る突起部31Bでは、軸方向の長さが突起部31よりも大きくなっている。突起部31Bの軸方向の大きさは、キャップ本体30の軸方向の大きさの半分よりも大きくなっている。これにより、内筒体50の内周面に当接する突起部31Bの下端部の位置を、突起部31よりも下方に位置させることが可能になり、継手用キャップ1が、内筒体50を安定した状態で保持することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る継手用キャップ1によれば、継手用キャップ1が突起部31を備えているので、突起部31が内筒体50の内周面に当接することで、継手用キャップ1により内筒体50を保持することができる。
また突起部31が、下方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延びているので、内筒体50の内周面と、突起部31と、の径方向の寸法管理が容易になり、継手用キャップ1および内筒体50それぞれの寸法公差の範囲内で、確実に内筒体50を保持することができる。
【0036】
また、突起部31が周方向に間隔をあけて複数配置されているので、突起部31を内筒体50の内周面に当接させる際に、突起部31を径方向の内側に向けて変形させやすくすることができる。また、突起部31を内筒体50の内周面に対して、周方向に複数の箇所で当接させることが可能になり、突起部31により内筒体50を強固に保持することができる。
また、突起部31が円弧状に延びているので、内筒体50の内周面に対して突起部31が当接する範囲を周方向に大きく確保することができる。これにより、突起部31により内筒体50をより一層強固に保持することができる。
【0037】
また、突起部31により形成される円筒部35の上端部の外形L1が、内筒体50の内径L2よりも大きく、円筒部35の下端部の外径L3が、内筒体50の内径よりも小さくなっている。このため、突起部31の下端部を、内筒体50の内周面に確実に当接させることができるとともに、突起部31の上端部を、内筒体50の内周面から径方向の内側に離間させることができる。これにより、内筒体50が継手用キャップ1の頂壁部30Aと軸方向に当接するように、内筒体50の内側に、突起部31をその基端部まで挿入することができ、継手用キャップ1に保持された内筒体50が軸方向にかさ張るのを抑えることができる。
【0038】
また、継手10が継手用キャップ1を備えている。このため、継手10の開口部10A内にパイプ60を挿入する前の状態において、開口部10A内に異物が侵入するのを防ぐことができる。また、継手10が内筒体50を備えている。このため、継手10の開口部10A内にパイプ60を挿入する際に、内筒体50が紛失することで別途準備することになるのを防ぎ、パイプ60を継手10に接続する接続作業を効率的に行うことができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0040】
図5に示すように、本実施形態に係る継手用キャップ2では、突起部32が軸方向に延びる円柱状に形成されている。突起部32は、中心軸線Oを径方向に挟むように一対配置されている。
また、本実施形態では、一対の突起部32同士における、下端部間の径方向の最大幅L5は、内筒体50の内径L2よりも大きくなっている。また、一対の突起部32同士における、上端部間の径方向の最大幅L6は、内筒体50の内径L2よりも小さくなっている。
【0041】
このように、突起部32の周方向の大きさが小さくなることで、突起部32を径方向に変形しやすくすることができる。これにより、突起部32の加工精度を落とし、寸法公差を広く設定した場合であっても、突起部32の径方向の変形により、寸法のバラつきを吸収して、確実に突起部32の下端部を内筒体50の内周面に当接させることができる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図6を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0043】
図6に示すように、本実施形態に係る継手用キャップ3は、頂壁部30Aから下方に向けて延びる保持筒部33を備えている。保持筒部33は中心軸線Oと同軸に配置されている。突起部34は、保持筒部33の下端縁に配置されている。
このように、突起部34が保持筒部33の下端縁に配置されていることで、内筒体50の内周面に当接する突起部34の下端部の位置を下方に位置させながら、突起部34の軸方向の大きさを抑えることができる。これにより、継手用キャップ1により内筒体50を安定した状態で保持しながら、突起部34の耐久性を確保することができる。
【0044】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図7を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0045】
図7に示すように、本実施形態に係る継手用キャップ4における突起部36は板状部材となっている。突起部36は、中心軸線Oを径方向に挟むように一対配置されている。
一対の突起部36は、下方から見た平面視において、径方向のうちの互いに対向する方向と直交する方向に延びている。
また、本実施形態では、一対の突起部36同士における、下端部間の径方向の最大幅L5は、内筒体50の内径L2よりも大きくなっている。また、一対の突起部36同士における、上端部間の径方向の最大幅L6は、内筒体50の内径L2よりも小さくなっている。
【0046】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
例えば、上記各実施形態においては、キャップ本体30が有頂筒状をなす構成を示したが、このような態様に限られない。キャップ本体30は、周壁部30Bを備えなくてもよい。
また、上記各実施形態においては、突起部31が、下方から見た平面視で、周方向に間隔をあけて複数配置されている構成を示したが、このような態様に限られない。突起部31は、例えば下方に向かうに従い漸次、拡径する筒状をなしてもよい。
【0048】
また、上記各実施形態においては、円筒部35の下端部における径方向の大きさが、内筒体50の内径よりも大きく、円筒部35の上端部における径方向の大きさが、内筒体50の内径よりも小さい構成を示したが、このような態様に限られない。円筒部35および内筒体50それぞれにおける各部の寸法は、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で任意に変更することができる。
【0049】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1、2、3 継手用キャップ
10 継手
10A 開口部
30 キャップ本体
31、32、34、36 突起部
35 円筒部
50 内筒体
60 パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7