(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
A47F 11/10 20060101AFI20220208BHJP
A47F 3/04 20060101ALI20220208BHJP
F25D 27/00 20060101ALI20220208BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A47F11/10
A47F3/04 H
F25D27/00
F25D11/00 101C
(21)【出願番号】P 2017229717
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 富雄
(72)【発明者】
【氏名】石原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】菊地 昭治
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 滋樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 訓
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-290165(JP,A)
【文献】特開2012-200405(JP,A)
【文献】特開2012-161449(JP,A)
【文献】特開2008-302141(JP,A)
【文献】特開2011-155019(JP,A)
【文献】特開平06-180171(JP,A)
【文献】特開2001-169874(JP,A)
【文献】特開2013-232285(JP,A)
【文献】特開2010-088596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 11/10
A47F 3/04
F25D 27/00
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前面が開口した陳列室を有する本体部と、
前記陳列室の前面上方側に配置され、下方に気流を吹出す吹出し口と、
前記吹出し口の前方側に配置される光透過性を有するシェードと、
前記シェードの後方側で且つ前記吹出し口の前方側に配置される
支持板と、
この支持板に固定されるLED照明装置
と、
前記シェードの後方側で且つ前記LED照明装置の前方側に配置され、反射面部を有する下面補強板と、
前記シェードの前方側に配置された上面補強板と、
前記シェードの下端部を保持する下端係止部材とを備え、
前記シェードは、上部が前記上面補強板と前記下面補強板とともに前記支持板の上部に一体に固定され、該上部と下端部の間が前記上面補強板と前記下面補強板とに挟まれて配置され、
前記LED照明装置はショーケース前方に光軸方向を向けて配置される
とともに、前記反射面部の法線方向が前記陳列室に向けて配置されていることを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
前記LED照明装置は、光軸方向または輝度の高いピーク角度方向のいずれかを前記シェードに向けて配置されることを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項3】
前記支持板に設けられるパネル部を有し、
前記LED照明装置は前記支持板の前方側で且つ前記パネル部の上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項4】
前記LED照明装置は光軸方向と反対側の面に吸着部を備え、
前記吸着部により前記支持板に吸着固定されることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置を備えたショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等に設置されるショーケースには、ショーケース庫内に陳列された商品を照らすための照明装置が取付けられている。照明装置としては、蛍光灯やLED(Light Emitting Diode)等の発光体が用いられるものがあるが、近年は省エネルギーの観点から、より消費電力が少なく照度の高いLEDを用いた照明が好まれている。
LED照明の光は一般的に指向性を有している。
【0003】
また、ショーケースに用いる照明装置には、庫内商品を照明するのみならず、ショーケース前方側に面する透過性のシェードも照明することが求められている。このように複数の照明用途を満足するため、1つのショーケースに複数の照明装置を用いるものが知られているが、コスト低減のため部品点数の削減や消費電力の抑制のために、単一の照明装置により庫内照明とシェードの照明を行うものが知られている。一般的に指向性のあるLED照明を用いるショーケースは、庫内側の照明が優先されるため、光軸方向を庫内陳列室に向けて配置され、シェードの照明については、光軸方向よりある程度の角度方向に照射される弱い光やリフレクタを介した光によって照明されるものが知られている。
【0004】
しかしながら、ショーケースが設置される店舗によっては、店舗内照明が十分になされ庫内陳列室への照明としても機能する場合がある。このような店舗において、上記のように庫内側の照明を優先するショーケースでは、無駄な照明に電力を消費するばかりでなく、シェードへの照明が不十分となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ショーケースの照明に消費される電力を抑えつつ、庫内陳列室及びシェードへの照明を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る実施形態に記載のショーケースは上記課題を解決するために、少なくとも 前面が開口した陳列室を有する本体部と、陳列室の前面上方側に配置され、下方に気流を吹出す吹出し口と、吹出し口の前方側に配置される光透過性を有するシェードと、シェー ドの後方側で且つ吹出し口の前方側に配置される支持板と、この支持板に固定されるLED照明装置と、シェードの後方側で且つLED照明装置の前方側に配置され、反射面部を有する下面補強板と、シェードの前方側に配置された上面補強板と、前記シェードの下端部を保持する下端係止部材とを備える。
シェードは、上部が上面補強板と下面補強板とともに支持板の上部に一体に固定され、該上部と下端部の間が上面補強板と下面補強板とに挟まれて配置される。
LED照明装置はショーケース前方に光軸方向を向けて配置されている。下面補強部の反射面部の法線方向は陳列室に向けて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】同ショーケースの一部縦断面概略を示す側面図。
【
図3】同ショーケースの照明装置近傍の要部概略を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態のショーケースを、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態のショーケース1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗内Sに据え付けて用いられる前面開口型の冷蔵ショーケースである。ここで、
図1におけるX方向を左右方向、Y1を前方、Y2を後方、Z1を上方、Z2を下方とする。
ショーケース1は、前面が開口した庫内陳列室10を備えた断熱性の本体部11を有しており、庫内陳列室10内には、商品等を陳列するための複数の陳列棚18が上下方向に配列されている。
店舗内Sに配置されるショーケース1は、庫内陳列室10の開口面側を前方とし、後方側を店舗内壁に対向して配置される。
ショーケース1の左右両端には側板17が設けられており、庫内陳列室10とショーケース1の左右外側の空間とを仕切っている。
側板17は、前方側が切欠かれた略C字形に形成された断熱板17aと、断熱板17aの切欠き部分に取付けられた窓部17bを有する。窓部17bは、ガラス等の透明な材料で形成されており、庫内陳列室10を左右方向から視認することができる。
また、
図1に示すショーケース1は、2つの本体部11を、仕切り板5を介して左右方向に連結された状態を示している。
ここで、本実施形態では、
図1に示すように2つの本体部11を左右方向に連結したショーケース1を示しているが、本体部11の数は特に限定されず、1つでもよいし3つ以上を連結してもよい。また、仕切り板5を設けずに庫内陳列室10を左右方向に連通させてもよい。
【0011】
本体部11は、上下及び後面を覆う断熱壁12を有している。すなわち、断熱壁12は、上下方向に延びる後部断熱壁12aと、後部断熱壁12aの上端部から前方に延びる上部断熱壁12bと、後部断熱壁12aの下端部から前方へ延びる下部断熱壁12cを有しており、
図2に示すように縦方向断面において、前方が開口する略C字形に構成されている。断熱壁12は、下方に配置される基台65によって支持されている。
略C字形に構成された断熱壁12を有する本体部11の庫内側には、上方に配置される天板15と後方に配置される後板13と下方に配置される底板14が連続して設けられており、庫内陳列室10の上面、後面、下面を覆っている。
【0012】
底板14と下部断熱壁12cとの間には下部ダクトD1が形成され、後板13と後部断熱壁12aとの間には後部ダクトD2が形成され、天板15と上部断熱壁12bとの間には上部ダクトD3が形成されている。下部ダクトD1と後部ダクトD2と上部ダクトD3は順次連通しており、庫内陳列室10への気流循環流路の一部を形成している。
下部ダクトD1の前方側には気流を吸い込むための吸込口66が上方に開口するように設けられている。また、吸込口66には図示しないが、塵埃や落下物の後部ダクトD1内への侵入を防止する吸込口カバーが設けられている。吸込口カバーは板材や網目状、格子状の部材を組合せたものが好ましい。
【0013】
天板15の前方端部には、上部ダクトD3を流通した気流を下方へ吹出すための吹出し口16が設けられており、吹出し口16には下方に向かう気流を整流する整流部材16aが設けられている。整流部材16aは、上部ダクトD3から庫内陳列室10内へ下方向に気流を整流するための多数の通風路を有するハニカム状の部材である。
【0014】
後板13は、ほぼ上下方向に延びており、上方に向かうにしたがって後方側に突出するように傾斜している。後板13の左右両端には、上下方向に延びる支柱部61が設けられている。この支柱部61には、図示しないが、上下方向に間隔を空けて複数の連通孔が形成されており、複数の陳列棚18の後端に設けられたフック18aが着脱可能に取付けられている。陳列棚18のフック18aを係合させる支柱部61の連通孔の位置を変えることで、支柱部61に対する陳列棚18の上下方向の位置を変更させることができる。
【0015】
下部ダクトD1は、仕切り板67で前後方向に仕切られている。仕切り板67の中央付近には図示しない孔部が形成されており、孔部を介して気流を送風する送風機68が取付けられている。
下部ダクトD1と後部ダクトD2とが連通する部分には、冷却器69が取付けられており、冷却器69近傍には図示しない弁装置が配置されている。冷却器69および弁装置は、ショーケース1の外部に設けられた、圧縮機や凝縮器等を有する図示しない冷凍回路に接続されている。冷却器69内には、冷凍回路により冷却された冷媒が流れる。
【0016】
図3に示すように、上部断熱壁12bよりも前方には、支持部材21が配置されている。支持部材21は、上部ダクトD3の前方を封止しているとともに、整流部材16aの前端を保持している。
支持部材21の前方端部には、板金を折り曲げ加工により形成された支持板22が設けられている。支持板22は、上方に向かうにしたがって前方に突出するように傾いた板本体23と、板本体23の上端部から前方に延びる前方折片部24と、板本体23の下端部から後方に延びる後方折片部25を有している。支持板22は、支持部材21の左右方向の全長に亘り延設されている。すなわち、本体部11の左右方向の全長と略同一長さに亘って設けられている。支持板22は、支持部材21に図示しないビスや溶接等で取付けられている。
板本体23の水平方向からの立上り傾斜角度θ1は、後述する照明装置からの光を庫内陳列室10へ導くため、30度~70度程度であることが好ましく、本実施形態では50度となっている。
支持板22の本体板部23には、パネル部80が設けられている。パネル部80には、庫内温度等を表示する表示部や、庫内温度設定等を操作するための操作部等が設けられている。本実施形態では表示部と操作部とが設けられている場合について説明するが、少なくとも表示部または操作部のいずれか一方を備えていればよく、また、別々のパネル部としてもよい。
【0017】
図3に示すように、支持板22の本体部23前面側には指向性を有する照明装置であるLED照明装置28が取付けられている。LED照明装置28は、ショーケース1の左右方向に亘って長手方向寸法を有する半円筒形状のケース部29を有しており、このケース部29の内部に複数のLED光源30が配列されている。なお、LED照明装置28は、パネル部80の上方側に配置されることが好ましい。
ケース部29は、LED光源30の光軸側を覆う半円筒状の光拡散部29aと、LED光源30の裏面側に配置される平面状の固定部29bを有している。固定部29bには、磁石が取り付けられており、支持板22の本体板部23の表面に磁力により吸着し固定されている。すなわち、固定部29bは、磁力を用いた吸着部として機能する。
このように、LED照明装置28を磁石により吸着し固定することで、LED照明装置28の取付けや交換を容易に行うことができ、照明位置の微調整を容易に行うことができるようになっている。また、LED照明装置28の背面を直接、支持板22に取付けることができるため、その他の固定具を必要とせず、光拡散部29aから照射される光を妨げる別部材を排除することができる。特に、LED照明装置28の左右両端を支持する必要もないため、LED照明装置28の長さ方向寸法の略全域から照明光を照射することができる。
ここで磁石の磁力はLED照明装置28が容易に落下しないが、作業者が容易に着脱可能な磁力となっている。
ここで上記吸着部として本実施形態では磁石を用いているが、その他にも吸盤等の吸着固定構造を用いてよい。
LED照明装置28にはLED光源30を発光させるための電力を供給する図示しない電力線(リード線)が接続されている。
【0018】
LED照明装置28及び板本体23の前方には、LED照明装置28を覆うように照明カバー31が設けられている。照明カバー31は、本体部11の左右方向寸法と略同一寸法を有しており、ショーケース1の前面開口の上端全体に亘り延設されている。
図3に示すように照明カバー31は、上下方向に延びる板状に形成された第1カバー片41と、第1カバー片41の上端部から後方に延びる第2カバー片42を有している。第1カバー片41の下端部には、後方側へ折り返され上方に向かって突出する凸部43が形成されている。
照明カバー31は、半透明な樹脂により形成されており、後方側に配置されたLED照明装置28からの光を前方へ透過するように構成されている。ここで、照明カバー31の第1カバー片41はショーケース1前方に面するシェードとして機能する。
また、第1カバー片41の下端は支持部材21の下端よりも下方に位置し、LED照明装置28や支持板22やパネル部80を覆う目隠しの機能を果たしている。そのため、照明カバー31の第1カバー片41は前面視で支持板22と同等かそれ以上の面積を有して形成されている。
【0019】
照明カバー31は、第2カバー片42が支持板22の前方折片部24にネジ部材44で固定されることで、支持板22に取付けられており、第1カバー片41の下端の左右両端付近は平板状の下端係止部材35を介して支持板22の板本体23に係止される構成となっている。下端係止部材35は、後端が本体板部23に固定され、前方に延びる腕部48を有しており、LED照明装置28よりも下方に配置されている。腕部48の前端には、凹部49が形成されており、凹部49は、照明カバー31の第1カバー片41下端に設けられた凸部43と係合することで、第1カバー片41の前後方向へのぐらつきを防止するように構成されている。
また、下端係止部材35は前方へ向かうに従い下方側に伸びるように形成されており、椀部48の上辺は全域にわたり、LED照明装置28の光軸O1よりも下方に位置するように形成されている。
【0020】
照明カバー31の上方には、第2カバー片42の上面を半ば覆うように配置された上面補強板73が設けられている。上面補強板73は第2カバー片42の左右方向に亘り当接する板金部材であり、ネジ部材44により第2カバー片42及び後述する下面補強板50と共に、支持板22の前方折曲部24に固定されている。また、上面補強版73の後方端側には、折返し曲加工が施された第2補強折返部75が設けられている。
上面補強板73の前方側は下方に垂下するように略L字状に折り曲げられており、その下方端部は折返し曲加工が施された第1補強折返部74が形成されている。第1補強折返部74は照明カバー31の第1カバー片41の前面側を押えるように当接している。
上面補強板73が照明カバー31の上面及び前面に当接することで、樹脂成型された照明カバー31の経年変化や温度変化等による撓みなどの変形を押えることができる。さらに、上面補強板73の第1,第2補強折返部74,75を有することでより強固な構造となり、照明カバー31の変形を抑制することができる。
【0021】
照明カバー31の第2カバー片42の下方には、下面補強板50が設けられている。
下面補強板50は、照明カバー31の左右方向に亘って延設される板金部材であり、その後端には平板状の固定端部53が設けられている。固定端部53は、上述の上面補強板73と照明カバー31の第2カバー片42と共に、ネジ部材44により支持板22の前方折片部24に固定されている。
【0022】
固定端部53の前方には、下方に向かって傾斜した反射面部51が形成されている。反射面部51の下面はLED照明部28からの光を反射する反射面が形成されており、LED照明部28に略対向するように配置されている。また、固定端部53と反射面部51とのなす角度θ2は、LED照明装置28からの光を庫内陳列室10側へ反射する角度に形成されている。
ここで、反射面部51の傾斜角度は反射面法線方向Nが庫内陳列室10へ向かう方向へ傾斜している。特に、法線方向Nは支持板部23の傾斜角θ1と同等かそれよりも後方側へ傾くように形成されている。これにより、反射面部51により反射されるLED照明装置28からの光は庫内陳列室10に向かって照射され、特に店舗内照明の当りにくい庫内陳列室10上方に配置される陳列棚18への照明光を確保することができる。
【0023】
また、下面補強板50の前端部52は折返し曲加工が施されており、照明カバー31の第1カバー片41の後面側を押えるように当接している。ここで、前端部52と、第1補強折返部74とは略同一高さに配置されており、照明カバー31の第1カバー片41の上方部分を挟みこむように配置されている。このように配置されることで、照明カバー31の撓みや歪み等の変形をより強固に抑制することができる。さらに、下面補強板50に反射面を設けることで無駄な部品点数を増加させることがなくより、低コストで信頼性も高くすることができる。
【0024】
LED照明装置28の光拡散部29aが前方側に面しているため、光軸O1はショーケース1の前方に向かう向きとなっている。本実施形態では
図3に示すように光軸O1は照明カバー31の第1カバー片41に向かう方向となっている。LED光源30が発する照明光には指向性があるため、この照明光が、対向する照明カバー31及び下方の庫内陳列室10に配置される複数の陳列棚18等の所望の場所を照射するように、LED光源30の光軸O1周辺への拡散光が設定されている。
【0025】
例えば、本実施形態に用いられるLED照明装置28のLED光源30は光軸O1に対してビーム角が±90度の範囲を有している。ここで光軸O1は最も輝度が大きい角度ではなく、ビーム角の中心角度である。最も輝度が高いピーク角度方向は、照明カバー31に向かう角度、庫内陳列室10に配置される各棚板18に向かう角度、または反射面部51に向かう角度のいずれかであることが好ましい。本実施形態では、照明カバー31に向かう輝度が最も大きいピーク角度方向O2を有している。ここで、ピーク角度を複数を複数有するLED照明装置とする場合は、少なくとも1つのピーク角度方向をシェードに向けて、その他のピーク角度方向は、庫内陳列室側や反射面に向けられていてもよい。
【0026】
LED照明装置28から照射される光は、ピーク角度方向O2が最も高い輝度として、光軸O1を中心に分布している。
本実施形態のように、LED照明装置28の光軸O1方向に照明カバー31が設けられていることで、シェードとして機能する照明カバー31前面側である第1カバー片41に、より強い光が照射されることで、明るい店舗内においても、シェードの見た目を良好にすることができる。
【0027】
ショーケース1は制御部81を備えている。制御部81には、LED照明装置28から引だされる図示しないリード線が接続されている。また、パネル部80や送風機68、図示しない庫内温度を計測する温度センサ、冷却運転に用いられる弁装置などが接続されている。
【0028】
制御部81、パネル部80の操作部により操作設定された情報や温度センサ等からの情報を基に、ショーケース1の運転を制御する。すなわち、庫内温度を適正にするため、送風機68の回転数や弁装置の開度を調整し、LED照明装置28を点灯させる。なお、LED照明装置28はON/OFFのみではなく調光機能を有するものや色温度変化するものであってもよい。
【0029】
次に、以上のように構成されたショーケース1の動作について説明する。
冷凍回路で冷やされた冷媒より、冷却器69が冷却される。ショーケース1を起動すると、制御部81は、LED光源30に電力を供給し、LED光源30を点灯させる。LED光源30が発した照明光は、照明カバー31や各陳列棚18等に照射される。
【0030】
制御部81が送風機68に電力を供給すると、送風機68は、
図2に示すように空気A1を流す。この空気A1は冷却器69で冷却される。冷却された空気A2の一部は、後部ダクトD2、上部ダクトD3、及び吹出し口16の整流部材16aを通って下方に向かって流れる空気A3となる。この空気A3は、庫内陳列室10内の空気が外部に流れ出るのを抑制する。
【0031】
空気A3は、吸込口66を通って下部ダクトD1内に流れ込み、送風機68により再び冷却器69に向かって流れる。
後部ダクトD2内を流れる冷却された空気A2の一部は、後板13に設けられた図示しない背面吹出し口から庫内陳列室10内に流れ、庫内を冷却する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態のショーケース1によれば、無駄な照明装置を設けることなく、照明カバー31のシェード及び庫内陳列室10の照明を効率よく行うことができ、部品点数が少なく消費電力を抑えたショーケースを提供することができる。
さらに、LED照明装置28に対向するように配置される下面補強板50に反射面部51を設けることで、LED照明からの無駄な照射光を庫内陳列室10への照明に使用することができる。
また、LED照明装置28が固定される本体板部23の水平からの立上り傾斜角度θ1を有することで、LED照明装置28からのビーム角全体での照射光量を抑えて照明に消費される電力を抑えつつ、照明カバー31への照射光量と庫内陳列室10への照射光量を確保することができる。
【0033】
特に、本実施形態のように、LED照明装置28の光軸を照明カバー31のシェード側に向けることにより、照明カバー31のシェードへの照射光を充分に確保しながらLED照明装置28の消費電力を抑えることができる。例えば、照明の行き届いた店舗内において、店舗内照明によりショーケース庫内陳列室への光量がある程度確保でき、必ずしもショーケース1に取り付けられる照明装置からの光を庫内側への照明に優先する必要がない場合において、シェードの照射光量を充分確保し、ショーケース1そのものの見栄えを良好にすることができる。
【0034】
LED照明装置28がパネル80の上端よりも上方に配置されることで、パネル80の視認性がよく、ショーケースを据え付けた店舗管理者等の作業者が、パネル80の表示確認作業や設定操作作業等を行う場合に良好な作業性を確保することができる。
特にシェードである照明カバー31の第1カバー片41の下端が支持板22の下端と同等か下方に位置し、立上り傾斜角度θ1で傾斜する同一平面上(本体板部23)にLED照明装置28と、LED照明装置28よりも下方にパネル部80を配置することにより、作業者がLED照明装置28からの照射光を直視することなく、作業性を向上することができる。
【0035】
下端係止部材35には切欠き48aが形成され、照明カバー31の下端部に設けられた凸部43が切欠き48aに係止されることで、下端係止部材35が照明カバー31を係止する。したがって、下端係止部材35により、照明カバー31の下端部の位置を保持することができ、照明カバー31下端の前後方向へのぐらつきを抑えることができる。
【0036】
さらに、下端係止部材35は、LED照明装置28の下方に位置し、光軸O1よりも下方に位置するように形成されていることで、シェードへの影をつくる遮蔽物とならない。
【0037】
なお、本実施形態では、照明カバー31はLED照明装置28を前方及び上方において覆うとした。
【0038】
ショーケース1の冷却器69は、ショーケース1の外部に設けられた冷凍回路に接続されるとしたが、この冷凍回路をショーケース1に内蔵してもよい。
【0039】
また、上記実施形態において照明カバー28の前面側に位置する第1カバー片をシェードとして説明したが、第1カバー片41のみに限定されるものではなく、上面側の第2カバー片42側も含んでシェードとして構成してもよい。さらにシェードの形状は平板状のみではなく曲面を有する形状であってもよく、種々の形状として構成してよい。
【0040】
ショーケース1は
図1にも示すように、左右方向に複数の本体部11を連結して設置してよいが、仕切り板5を設けずに、庫内陳列室11を連通して連結する場合には、隣り合う複数の照明カバー28を密着して設置してよい。さらに、複数のショーケース1に跨る照明カバー28を連続して形成させてもよい。これにより、照明カバー28のシェード部分の見た目を良好にすることができる。
【0041】
さらに、上記のように仕切り板5を有さずに複数のショーケース1を連結させた場合に、隣り合うショーケース1に配置される各LED照明装置28の高さ方向を互い違いに千鳥配置してもよい。さらに千鳥配置とするLED照明装置28の左右方向を重ねるオーバーラップ配置としてもよい。このように配置することにより、連続する各ショーケース1の連結部分でのシェードへの照明光を充分に確保することができ、連結部分でのシェードへの照明不足によるシェードの明暗を低減することができる。なお、このようにLED照明装置28をオーバーラップ配置とするためにLED照明配置の左右方向長さを、ショーケース1の本体部11の左右方向長さよりも長く形成してもよい。
【0042】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1…ショーケース、10…庫内陳列室、11…本体部、16…吹出し口、18…陳列棚、21…支持部、28…LED照明装置、29…ケース部、30…LED光源、31…照明カバー、41…第1カバー片(シェード)、35…下端係止部材、43…凸部、47…第1腕部、48…第2腕部、49…凹部、50…下面補強部、51…反射面部、73…上面補強板、80…パネル部、O1…光軸、O2…ピーク角度方向