(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20220208BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/62 B
(21)【出願番号】P 2017254187
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】興梠 方隆
(72)【発明者】
【氏名】大前 貴義
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-285757(JP,A)
【文献】特開2014-101623(JP,A)
【文献】特開昭61-229086(JP,A)
【文献】特開2003-328645(JP,A)
【文献】特開2017-089131(JP,A)
【文献】特開2017-101471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/56
E06B 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口に設けられた既設枠と、前記既設枠の内周面を覆うように設けられた新設枠と、
前記開口を開閉する戸体と、前記既設枠の室内側に配置される内額縁と、を備える改装建具であって、
前記新設枠は、前記既設枠のみに固定さ
れ、
前記既設枠は、前記内周面の四周に沿って内側に突出するように設けられ、前記既設枠に取り付けられていた戸体との隙間を塞ぐ気密材を取り付ける気密材取付部を有し、
前記内額縁は、前記気密材取付部の室内側面を覆うように配置され、
前記新設枠は、前記気密材取付部の見込方向外側に取り付けられる、改装建具。
【請求項2】
前記新設枠は、前記気密材取付部に当接して取り付けられる、請求項
1に記載の改装建具。
【請求項3】
前記既設枠は、前記建物の躯体の前記開口側の見込面から室外側面を覆うように取り付けられる、請求項1
又は2に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口に取り付ける建具に関して、リフォーム等で改装する際に、既に取り付けられている既設枠を外さずに、新設枠を取り付けることが知られている。この場合、既設枠が見えないように、新設枠は既設枠を覆うように配置される。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設枠は、主に、建物の開口の外側から見込方向の内側に向かって取り付けられるねじと、既設枠の枠体の内側から見付方向外側に向かって取り付けられるねじにより、建物の躯体に取り付けられている。新設枠を既設枠に取り付けようとする際には、すでに安定して建具を取り付けられることができる位置にねじが位置しており、2本のねじを避けなければならなかった。このため、新設枠を既設枠に取り付ける際、ねじを締結できる位置の自由度が制限されており、施工しづらいという問題があった。
【0005】
本発明は、新設枠を既設枠の外側に取り付けやすい改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物(例えば、後述の建物100)の開口(例えば、後述の開口101)に設けられた既設枠(例えば、後述の既設ドア枠3)と、既設枠の内周面を覆うように設けられた新設枠(例えば、後述のドア枠2)と、を備える(例えば、後述の改装建具1)であって、前記新設枠は、前記既設枠のみに固定されている、改装建具に関する。
【0007】
前記開口を開閉する戸体(例えば、後述のドア本体4)をさらに備え、前記既設枠は、前記内周面の四周に沿って内側に突出するように設けられ、前記既設枠は、前記内周面の四周に沿って内側に突出するように設けられ、前記既設枠に取り付けられていた戸体との隙間を塞ぐ気密材を取り付ける気密材取付部(例えば、後述の気密材取付部313、333、343)を有し、前記新設枠は、前記気密材取付部の見込方向外側に取り付けられることが好ましい。
【0008】
前記新設枠は、前記気密材取付部に当接して取り付けられることが好ましい。
【0009】
前記既設枠は、前記建物の躯体(例えば、後述の梁部材111、柱部材112)の前記開口側の見込面から室外側面を覆うように取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新設枠を既設枠の外側に取り付けやすい改装建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る建具を屋外側から視た図である。
【
図2】本実施形態に係る建具が建物の開口に納められた状態の縦断面図である。
【
図3】本実施形態に係る建具が建物の開口に納められた状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具におけるドア本体の幅方向(すなわち、左右方向)を意味し、「見込方向」とは、上記ドア本体の奥行き方向を意味する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る改装建具1(以下、単に建具1とも言う)を屋外側から視た図である。本実施形態における建具1は、建物100に既に取り付けられていた建具1を構成する既設の部材のうち、脱着が可能な部分を交換するとともに、建物100に固定されている既設の部材を建物100に取り付けたままで、新たな部材を新設して形成するリフォーム用の改装建具1である。
図1に示すように、建具1は、玄関ドア等のドアであり、建物100に形成された開口101に納められる。建具1は、新設枠としてのドア枠2と、戸体としてのドア本体4と、建具用額縁5と、を備える。
【0014】
ドア本体4は、長方形の板材により構成され、開口101を開閉するように取り付けられる。ドア本体4は、丁番41を介して屋外側(図中手前側)で開閉可能に吊り込まれる。そして、ドア本体4の戸先側には、シリンダー錠42及びハンドル43が取り付けられている。
【0015】
ドア枠2及び建具用額縁5は、建物100の開口101における開口縁102に沿って、ドア本体4の周囲に配置されている。ドア枠2及び建具用額縁5については、後に詳述する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る建具1が建物100の開口101に納められた状態の縦断面図で、
図3は、本実施形態に係る建具1が建物100の開口101に納められた状態の横断面図である。なお、以下において左右とは、屋外側から視た場合の左右を意味する。つまり、
図3において、見付方向で、吊元側が右側、戸先側が左側である。
【0017】
図2及び3に示すように、開口101は、建物100の躯体としての梁部材111及び左右の柱部材112と、屋内側の床材113と、により四周を区画されている。
梁部材111及び左右の柱部材112の内面側には、室内側額縁材114が配置されている。室内側額縁材114は、梁部材111に対してはスペーサ115を介して固定され、右方の柱部材112に対しては直接固定される。
【0018】
梁部材111と左右の柱部材112の少なくとも屋内側には、断熱材119が配置される。断熱材119と梁部材111の間には、スペーサ115が配置される。
梁部材111及び左右の柱部材112の屋外側には、外装パネル118が配置されている。この外装パネル118の端縁により、開口101の縁としての開口縁102が区画されている。
【0019】
床材113は、化粧材116及びモルタル117により構成されている。化粧材116は、建具1の室外側及び室内側ともに、モルタル117の上面側に水平に配置されている。
【0020】
図2及び
図3に示すように、ドア枠2が、既設枠としての既設ドア枠3の幅方向の内側且つ室外側に取り付けられる。
図2及び
図3において、既設ドア枠3は、破線で示されている。
【0021】
まず、既設ドア枠3の構成について説明する。
既設ドア枠3は、開口101の内側に設けられ、長方形の枠状に形成される。既設ドア枠3は、既設上枠31と、既設下枠32と、左右の既設縦枠33、34と、により構成され、気密材取付部313、333、343を有する。既設ドア枠3は、躯体(梁部材111、柱部材112)の開口101側における見込面から室外側面を覆うように、いわゆる半外納まりで取り付けられる。
【0022】
図2に示すように、既設上枠31は、断面方形(ホロー構造)に形成され、梁部材111の下方にスペーサ115を介して固定されている。
既設上枠31は、室内部分311と、室外部分312と、気密材取付部313と、を有する。
【0023】
室内部分311は、断面視略コの字型の形状をし、開口側が梁部材111に当接するように固定される。室内部分311は、室内側額縁材114の室外側に当接し、室内部分311の下方の側面と、室内側額縁材114の下方の側面とが連続する一面となるように梁部材111の下方に取り付けられる。
室内部分311では、既設上枠取付ねじ311aが既設ドア枠3の上下方向に延びるように締結され、室内部分311は、既設上枠取付ねじ311aにより梁部材111に固定される。
【0024】
室外部分312は、室内部分311から連続して室外側に突出する。室外部分312は、額縁部312aと、額縁取付部312bとを有する。
額縁部312aは、内部が中空に形成されて室外側に突出するとともに、開口101の開口縁102の周囲に沿って配置される。額縁部312aは、室内部分311の室外側から上方に延び、梁部材111の室外側面に一部が当接されている。
額縁取付部312bは、額縁部312aの上下方向の最も上方の端部から、柱部材112の室外側面に沿って延出する板状の部分である。室外部分312では、既設上枠取付ねじ312cが既設ドア枠3の見込方向に延びるように締結され、室外部分312は、既設上枠取付ねじ312cにより、柱部材112に固定される。
【0025】
気密材取付部313は、室内部分311の下方の側面から既設ドア枠3の下方に向かって突出する部分である。気密材取付部313は、室内部分311を基端部とし、既設ドア枠3の下方を先端部とする板状の部材であり、先端部の室外側面に、既設ドア枠3に取り付けられていた戸体としての改装前のドア本体(図示せず)を取り付けた場合に、改装前のドア本体との間の隙間を防ぐ弾性パッキン等の気密材(図示せず)が取り付けられる係止部313cが設けられている。
気密材取付部313は、改装前のドア本体を取り付けた場合に、改装前のドア本体の室外側と室内側の境界近傍に配置されている。
【0026】
既設下枠32は、平板状の部材が屈曲して形成されている。既設下枠32は、室内側水平面321と、室外側水平面322と、段差部323と、室外側段差部324と、を有する。
室内側水平面321は、室内側で水平方向に延び、室内の床面と同じ高さに設けられる面である。
室外側水平面322は、室内側水平面321よりも下方で、室外側に向かって延びる面である。
段差部323は、室内側水平面321及び室外側水平面322を上下方向に接続する部分である。段差部323は、既設上枠31の気密材取付部313の直下に配置され、気密材取付部313の係止部313cの外側端部から垂直方向に延ばした仮想線の延長線上に延びる(
図2中では、上枠21の室内側側面の線として表れている)。
室外側段差部324は、室外側水平面322の室外側端部から屈曲して下方に延びる。
既設下枠32は、既設上枠31に対向する位置で、モルタル117の上面に直接固定され、一部がモルタル117に埋め込まれている。
【0027】
図3に示すように、左右の既設縦枠33、34は、室内部分331、341と、室外部分332、342と、気密材取付部333、343と、を有する。
【0028】
室内部分331、341は、断面視略コの字型の形状をし、開口側が柱部材112に当接するように固定される。室内部分331、341は、室内側額縁材114の室外側に当接し、室内部分331、341の見込面と、室内側額縁材114の見込面とが連続する一面となるように柱部材112の室内側に取り付けられる。
室内部分331、341では、既設縦枠取付ねじ331a、341aが既設ドア枠3の見付方向に延びるように締結され、室内部分331、341は、既設縦枠取付ねじ331a、341aにより柱部材112に固定される。
【0029】
室外部分332、342は、室内部分331、341から連続して室外側に突出する。室外部分332、342は、額縁部332a、342aと、額縁取付部332b、342bとを有する。
額縁部332a、342aは、内部が中空に形成されて室外側に突出するとともに、開口101の開口縁102の周囲に沿って配置される。額縁部332a、342aは、室内側では、室内部分331、341の室外側から見付方向外側に延び、柱部材112の室外側面に一部が当接されている。
額縁取付部332b、342bは、額縁部332a、342aの見付方向の最も外側の端部から、柱部材112の室外側面に沿って延出する板状の部分である。
室外部分332、342では、既設縦枠取付ねじ332c、342cが既設ドア枠3の見込方向に延びるように締結され、室外部分332、342は、既設縦枠取付ねじ332c、342cにより、柱部材112に固定される。
【0030】
気密材取付部333、343は、室内部分331、341の室内側の見込面から既設ドア枠3の内側に向かって突出する部分である。気密材取付部333、343は、室内部分331、341を基端部とし、既設ドア枠3の内側を先端部とする板状の部材であり、先端部の室外側面に、改装前のドア本体を取り付けた場合に、改装前のドア本体との間の隙間を防ぐ気密材が取り付けられる係止部333c、343cが設けられている。
既設上枠31の気密材取付部313、及び既設縦枠33、34の気密材取付部333、343は、既設ドア枠3の内周面に沿って、内側に突出するように設けられる。
【0031】
次に、ドア枠2の構成について説明する。
ドア枠2は、開口101の内側に配置され、長方形の枠状に形成される。ドア枠2は、既設ドア枠3の内周面を覆って既設ドア枠3に部分的に重なるように取り付けられる。ドア枠2は、既設ドア枠3のみに固定される。ドア枠2は、既設ドア枠3の室外側、詳細には、既設ドア枠3の気密材取付部313、333、343の見込方向外側に取り付けられる。ドア枠2は、上枠21と、下枠22と、左右の縦枠23、24と、内額縁25と、を有する。
【0032】
図2に示すように、上枠21は、断面方形(ホロー構造)に形成され、その下面がドア本体4の上面に対向している。上枠21の室内側面は、既設ドア枠3の気密材取付部313と見込方向室外側にずれた位置に配置される。より具体的には、上枠21の室内側面は、既設ドア枠3の係止部313cに当接するように取り付けられる。上枠21は、既設上枠31にスペーサを介して上枠取付ねじ61で固定されている。上枠21は、上枠取付ねじ61が既設上枠31の室外部分312に締結されることで固定される。上枠取付ねじ61は、締結後の位置が梁部材111と見込方向外側にずれている。上枠取付ねじ61は、軸先が上方に向かうように既設上枠31のみに締結され、梁部材111には締結されていない。
上枠21は、下方に延びる上枠パッキン取り付け部21aを有し、ドア本体4を傷つけないように受け止めるシールパッキン91が上枠パッキン取り付け部21aに取り付けられている。
【0033】
下枠22は、上枠21に対向して配置され、水平面221と、立ち上がり部222と、室外側段差部223と、を有する。
水平面221は、平坦で、水平方向に延びてドア本体4の下面に対向する。水平面221は、既設下枠32の室外側水平面322の上に載るように設置される。
立ち上がり部222は、水平面221から上方に向かって起立する部分である。立ち上がり部222は、既設下枠32の段差部323の室外側面に沿って固定される。立ち上がり部222の高さは、既設ドア枠3の段差部323の高さと概ね同様の高さに形成されている。立ち上がり部222は、室外側の面に下枠パッキン取り付け部22aを有し、上枠21の場合と同様に、シールパッキン91が下枠パッキン取り付け部22aに取り付けられている。
室外側段差部223は、水平面221の室外側の端部から下方に延び、床材113の化粧材116の上に支持される。室外側段差部223の室外側の端部は、上枠21の室外側端部から垂直方向下方に延ばした仮想線の延長線上に延びる(
図2中では、上枠21の室外側側面の線として表れている)。
【0034】
図3に示すように、左右の縦枠23、24は、断面方形(ホロー構造)に形成され、その内側の側面がドア本体4の見込方向の面に対向している。左右の縦枠23、24の室内側面は、既設ドア枠3の気密材取付部333、343と見込方向外側にずれた位置に配置される。より具体的には、左右の縦枠23、24の室内側面は、既設ドア枠3の係止部333c、343cに当接するように取り付けられる。左右の縦枠23、24は、左右の既設縦枠33、34の室外部分332、342に、スペーサ115を介して固定されている。左右の縦枠23、24は、縦枠取付ねじ62が既設縦枠33、34の室外部分332、342に締結されることで固定される。縦枠取付ねじ62は、締結後の位置が柱部材112と見込方向外側にずれている。縦枠取付ねじ62は、軸先が見付方向外側に向かうように既設縦枠33、34にのみ締結され、柱部材112には締結されていない。
左右の縦枠23、24は、それぞれドア本体4の内側に向かって延びる縦枠パッキン取り付け部23a、24aを有し、上枠21及び下枠22の場合と同様に、シールパッキン91が縦枠パッキン取り付け部23a、24aに取り付けられている。
【0035】
内額縁25は、
図2及び
図3に示すように、ドア枠2の内側の面から室内側に向かって延びるよう上枠21と、左右の縦枠23、24の三方に設けられている。内額縁25は、既設ドア枠3の室内側の一部と、室内側額縁材114の一部とを覆うように配置される。
内額縁25は、内額縁内側面251と、室内側側面部252と、を有する。内額縁内側面251は、室外側から室内側に向かって延びる平板状の面である。室内側側面部252は、内額縁内側面251から垂直方向に屈曲する平板状の面である。内額縁25は、ねじにより室内側額縁材114に固定されている。
【0036】
建具用額縁5は、上枠21及び左右の縦枠23、24に連結され、既設ドア枠3の室外部分312、332、342を覆うように取り付けられる額縁部材である。建具用額縁5は、断面視で略コの字状の形状を有する。建具用額縁5は、建具1の開口101の開口縁102に沿ってドア枠2に取り付けられる直線的な縦長の形状を有する。建具用額縁5は、化粧面部51と、長さ調整部52と、嵌合部53と、を有する。建具用額縁5は、アルミ材により形成されている。
【0037】
化粧面部51は、ドア枠2の見付け面の少なくとも一部を覆うように配置される。化粧面部51は、断面視で略コの字状の形状を有し、既設ドア枠3の室外部分312、332、342を覆うように配置される。
【0038】
長さ調整部52は、縦枠23、24における化粧面部51の見付方向外側の端部、及び上枠21における化粧面部51上方端部に連結され、建具1の見込方向を覆うように延びる縦長の平板状の部材である。長さ調整部52は、長手方向が開口縁102の各辺に沿うように配置される。
【0039】
嵌合部53は、化粧面部51と、長さ調整部52にそれぞれ形成され、互いを連結可能に構成されている。
【0040】
次に、ドア枠2の施工方法について説明する。
改装の際には、既設ドア枠3が建物の開口縁102に半外納まりで取り付けられている。ドア枠2を既設ドア枠3に取り付ける前に、既設ドア枠3に取り付けられていたドア本体を取り外す。また、既設ドア枠3の気密材取付部313、333、343の係止部313c、333c、343cに係止されていた気密材をカッター等で取り除く。
【0041】
図2に示すように、既設上枠31では、室内部分311の既設上枠取付ねじ311aが既設ドア枠3の上下方向に、室外部分312の既設上枠取付ねじ312cが既設ドア枠3の見込方向に向かって締結されており、互いの軸が交差するとともに、軸先が近づく方向に延びている。ドア枠2の上枠21を取り付けようとする際には、上枠取付ねじ61を取り付けることのできる空間が限定されている。そこで、上枠取付ねじ61を、上枠21から既設ドア枠3の室外部分312を貫通するように締結する。このとき、上枠取付ねじ61を、既設ドア枠3のみに固定し、隣接する梁部材111から室外側にずれるように、梁部材111に沿って配置する。上枠取付ねじ61の位置は、なるべく室内側寄り、梁部材111側寄りが好ましい。
【0042】
また、既設上枠31から、気密材取付部313が下方に突出している。ドア枠2を取り付ける前に気密材取付部313から気密材を取り除いた係止部313cに、新設の上枠21の室内側面を当接させるように取り付け、気密材取付部313を取り除かずに、残したままにする。
【0043】
既設下枠32では、既設下枠32の段差部323の室外側面に、立ち上がり部222が沿うように固定する。段差部323は、既設ドア枠3の気密材取付部313と位置合わせがされて取り付けられているので、立ち上がり部222を段差部323に当接させるだけで、ドア枠2の上下の位置合わせを同時にできることとなる。また、立ち上がり部222を段差部323の室外側に配置すれば、立ち上がり部222の高さは、段差部323と概ね同様であるため、既設下枠32側の開口縁102よりも大きく狭くならずに取り付けられる。既設下枠32は、立ち上がり部222からモルタル117に向かってねじを締結することで固定される。
【0044】
図3に示すように、左右の縦枠23、24では、既設縦枠取付ねじ331a、341aが既設ドア枠3の見付方向に、既設縦枠取付ねじ332c、342cが既設ドア枠3の見込方向に延びるように締結されており、互い軸が交差するとともに、軸先が近づく方向に延びている。左右の縦枠23、24を取り付けようとする際には、縦枠取付ねじ62を取り付けることのできる空間が限定されている。そこで、縦枠取付ねじ62を、左右の縦枠23、24から既設ドア枠3の室外部分332を貫通するように締結する。このとき、縦枠取付ねじ62を、既設ドア枠3のみに固定し、隣接する柱部材112から室外側方向にずれるように、柱部材112に沿って配置する。縦枠取付ねじ62の位置は、なるべく室内側寄り、柱部材112側寄りが好ましい。
【0045】
また、左右の縦枠23、24から気密材取付部333、343が見付方向内側に突出している。ドア枠2を取り付ける前に気密材取付部333、343から気密材を取り除いた係止部333c、343cに新設の左右の縦枠23、24の室内側面を当接させるように取り付け、気密材取付部333、343を取り除かずに、残ったままにする。
【0046】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、建物100の開口101に設けられた既設ドア枠3と、既設ドア枠3の内周面を覆うように設けられたドア枠2と、を備える改装建具1を、ドア枠2が、既設ドア枠3のみに固定させた。
これにより、ドア枠2を取り付ける際、既設ドア枠3を梁部材111や柱部材112に取り付けている既設上枠取付ねじ311a、312c、既設縦枠取付ねじ331a、341a、既設縦枠取付ねじ332c、342cを避けなくても、上枠取付ねじ61や縦枠取付ねじ62を、梁部材111、柱部材112の室外側に締結することで、ドア枠2を既設ドア枠3の外側に容易に取り付けることができる。
【0047】
また、本実施形態では、開口101を開閉するドア本体4をさらに含んで構成した。また、既設ドア枠3を、内周面の四周に沿って内側に突出するように設けられ、既設ドア枠3に取り付けられていたドア本体との隙間を塞ぐ気密材を取り付ける気密材取付部313を含んで構成した。また、ドア枠2を、気密材取付部313、333、343の見込方向外側に取り付けた。これにより、既設ドア枠3の気密材取付部313、333、343の見込方向外側にドア枠2を取り付ければよいので、ドア枠2を既設ドア枠3に取り付ける際に、気密材取付部313、333、343を取り除く追加的な加工を必要とせずに、ドア枠2を既設ドア枠3に容易に取り付けることができる。
【0048】
また、本実施形態では、ドア枠2を、気密材取付部313、333、343に当接して取り付けた。これにより、既設ドア枠3はすでに既設上枠31、既設下枠32、既設縦枠33、34の位置決めがなされているので、既設ドア枠3の気密材取付部313、333、343にドア枠2を当接させるだけで、ドア枠2の上枠21、下枠22、縦枠23、24の位置決めが自動的にでき、施工が容易になる。
【0049】
また、本実施形態では、既設ドア枠3は、建物100の躯体(梁部材111、柱部材112)の開口101側の見込面から室外側面を覆うように取り付けた。すなわち既設ドア枠3を、いわゆる半外納まりで取り付けた。これにより、既設ドア枠3の室内部分311、331、341から見付方向内側に気密材取付部313、333、343が突出していても、上枠21及び左右の縦枠23、24をそれぞれ気密材取付部313、333、343の室外側に配置することができるので、気密材取付部313、333、343を取り除くための加工が必要なくなる。また、気密材取付部313、333、343により、ドア枠2の位置決めが容易になり、上記と同様の効果を奏する。また、半外納まりの既設ドア枠3にドア枠2を取り付けることで、開口101を広くとることができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、ドア枠2を半外納まりに取り付けた構造を例に説明したが、これに限られない。ドア枠2をいわゆる内付で取り付けて、上枠取付ねじ及び縦枠取付ねじが短く構成した場合も含む。すなわち、内付で、ねじが梁部材や柱部材に到達しないため、ねじが既設ドア枠3にのみ締結されている場合も本発明の範囲である。
【符号の説明】
【0052】
1 改装建具
2 ドア枠(新設枠)
3 既設ドア枠(既設枠)
4 ドア本体(戸体)
100 建物
111 梁部材(躯体)
112 柱部材(躯体)
313、333、343 気密材取付部