(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】熱適応性材料のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20220208BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20220208BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A41D13/005
A41D31/00 502A
B32B5/26
(21)【出願番号】P 2017560501
(86)(22)【出願日】2016-05-20
(86)【国際出願番号】 US2016033545
(87)【国際公開番号】W WO2016187547
(87)【国際公開日】2016-11-24
【審査請求日】2019-05-20
(32)【優先日】2015-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517333956
【氏名又は名称】アザー ラブ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】リドリー ブレント
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス ソウル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マイクランツ シャラ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジーン
(72)【発明者】
【氏名】リン ピーター エス
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-510180(JP,A)
【文献】特表2008-517183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0078415(US,A1)
【文献】特開2012-087449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0176054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/005
A41D 31/14
B32B 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に着用されその身体を囲むように構成された熱適応性衣服であって、前記熱適応性衣服は、
熱適応性布地によって画定された衣服本体を備え、前記熱適応性布地は、
布地を含む第1の構造体と、
1つ以上の結合継ぎ目において前記第1の構造体に結合され布地を含む第2の構造体と、
前記第1の構造体及び前記第2の構造体ならびに前記1つ以上の結合継ぎ目によって画定され、これらの中に配設された複数のキャビティと、を含み、
前記第1の構造体は、第1の環境温度範囲に応答して、前記第1の構造体が第1の平均距離だけ前記第2の構造体から離されている、基本構成をとるように構成され、
前記第1の構造体は、前記第1の環境温度範囲とは別の第2の環境温度範囲に応答して、前記第1の構造体が前記第1の平均距離よりも大きな第2の平均距離だけ前記第2の構造体から離されている、山なり構成をとるように構成され、
前記第1の構造体は、第1の長さを画定する第1の材料を含み、前記第1の材料は、第1の熱膨張係数に従って前記第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して、前記第1の長さに沿って次第に膨張するように構成され、
前記第1の構造体は、前記第1の長さに対して平行である第2の長さを画定するとともに前記第1の材料に結合された第2の材料を含み、前記第2の材料は、前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数に従って前記第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して、前記第2の長さに沿って次第に膨張または収縮するように構成され、
前記第1の平均距離と第2の平均距離の差は、前記熱適応性布地の動きまたは変形の範囲に対応する、1000μm/m/Kより大きい前記第1の熱膨張係数及び前記第2の熱膨張係数との間の熱膨張係数の差(ΔCTE)に少なくとも部分的に基づいて生成される、
熱適応性衣服。
【請求項2】
前記第1の構造体と前記第2の構造体との間の前記平均距離は、前記環境温度が、前記第1の環境温度範囲との差が大きくなるほど、前記第2の温度範囲内の温度に応答して大きくなる、請求項1に記載の熱適応性衣服。
【請求項3】
前記第1の構造体と
前記第2の構造体の間の前記増大した平均距離は、前記衣服本体の物理的構成による最大距離に制約される、請求項2に記載の熱適応性衣服。
【請求項4】
前記第2の環境温度範囲の前記温度は、前記第1の環境温度範囲の前記温度よりも低い、請求項1に記載の熱適応性衣服。
【請求項5】
前記第2の構造体は、第3の環境温度範囲に応答して、第2構造体基本構成をとるように構成され、
前記第2の構造体は、前記第3の環境温度範囲とは別の第4の環境温度範囲に応答して、第2構造体山なり構成をとるように構成される、請求項1に記載の熱適応性衣服。
【請求項6】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、前記第1の長さ及び前記第2の長さに対して直交する、それぞれ第1の幅及び第2の幅を画定し、前記第1の幅及び前記第2の幅は、前記第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して、実質的に同一のままである、請求項1に記載の熱適応性衣服。
【請求項7】
熱適応性布地であって、
第1の長さを画定する布地層を備え、前記布地層は、第1の温度範囲に応答して基本構成をとり、第2の温度範囲に応答して、前記布地層が前記基本構成と比較して前記第1の長さに沿って湾曲されている、山なり構成をとるように構成され、前記布地層は、
第2の長さを画定し、第1の熱膨張係数を有する第1の材料であって、前記第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して前記第2の長さに沿って、長さを次第に増大させるように構成されている、第1の材料と、
第3の長さを画定し、前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有するとともに前記第1の材料に結合された第2の材料と、を含み、
前記第1の熱膨張係数及び前記第2の熱膨張係数は、前記熱適応性布地の前記布地層の動きまたは変形の範囲に対応する、1000μm/m/Kより大きい熱膨張係数の差(ΔCTE)を画定する、
熱適応性布地。
【請求項8】
前記第1の材料は、温度変化にそれぞれ反対方向に応答するように構成された交互のヘテロキラル部分及びホモキラル部分を含む少なくとも1つのコイル状アクチュエータを備える、請求項7に記載の熱適応性布地。
【請求項9】
前記第1の布地層は、10℃の温度変化に応答して5%以下の面積における変化を示すように構成されている、請求項7に記載の熱適応性布地。
【請求項10】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、結合して、熱適応性織布地を形成する、請求項7に記載の熱適応性布地。
【請求項11】
前記第1の材料は、前記第1の長さに沿って収縮または膨張するように構成されたコイル状アクチュエータを備える、請求項7に記載の熱適応性布地。
【請求項12】
前記第1の材料は、平坦シートを備える、請求項7に記載の熱適応性布地。
【請求項13】
適応性シートであって、
第1の長さを画定する第1の層を備え、前記第1の層は、第1の環境条件に応答して基本構成をとり、第2の環境条件に応答して、前記第1の層が前記基本構成と比較して前記第1の長さに沿って湾曲されている、山なり構成をとるように構成され、前記第1の層は、
第2の長さを画定し、第1の膨張係数を有する第1の材料であって、前記第2の環境条件に応答して前記第2の長さに沿って長さを変化させるように構成されている、第1の材料と、
第3の長さを画定し、前記第1の膨張係数とは異なる第2の膨張係数を有するとともに前記第1の材料に結合される第2の材料と、を含み、
前記第1の膨張係数及び前記第2の膨張係数は、前記適応性シートの前記層の動きまたは変形の範囲に対応する、1000μm/m/Kより大きい膨張係数の差(ΔCTE)を画定する、
適応性シート。
【請求項14】
前記第1の環境条件は、第1の温度範囲を含み、前記第2の環境条件は、前記第1の温度範囲とは別であり前記第1の温度範囲よりも低い温度を含む第2の温度範囲を含む、請求項13に記載の適応性シート。
【請求項15】
前記第1の環境条件は、第1の水分範囲を含み、前記第2の環境条件は、前記第1の水分範囲とは別である第2の水分範囲を含む、請求項13に記載の適応性シート。
【請求項16】
前記第1の層は、少なくとも第1の方向に配設された第1の複数のナノワイヤを備え、第2の層が、前記第1の方向に対して平行ではない少なくとも第2の方向に配設された第2の複数のナノワイヤを備え、前記第1の複数のナノワイヤ及び前記第2の複数のナノワイヤは、分離構成における前記第1の複数のナノワイヤ及び前記第2の複数のナノワイヤの反射性及び吸収特性とは異なる赤外線反射性及び吸収特性を有するナノワイヤメッシュを形成するために前記基本構成において結合するように構成されており、
前記第1の複数のナノワイヤ及び前記第2の複数のナノワイヤは、前記第1の層が前記山なり構成をとるとき、前記第1の複数のナノワイヤ及び前記第2のナノワイヤが前記基本構成で結合する結合構成から前記分離構成に変化するように構成される、請求項13に記載の熱適応性布地。
【請求項17】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、織布地の一部分を画定する、請求項13に記載の適応性シート。
【請求項18】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、編布地の一部分を画定する、請求項13に記載の適応性シート。
【請求項19】
前記第1の熱膨張係数及び前記第2の熱膨張係数の少なくとも一方は、負の値である、請求項1の熱適応性衣服。
【請求項20】
前記第2の環境条件に応答した前記山なり構成は、前記第1の環境条件の前記基本構成における前記適応性シートの厚みより少なくとも1mm大きい適応性シートの厚みを有する、請求項13の適応性シート。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月21日に出願された、SYSTEM AND METHOD FOR THERMALLY ADAPTIVE MATERIALSと題された、米国仮特許出願第62/164,740号の非仮出願であり、その優先権を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、2015年11月18日に出願された、SYSTEM AND METHOD FOR THERMALLY ADAPTIVE MATERIALSと題された、米国仮特許出願第62/257,126号の非仮出願であり、その優先権を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、米国エネルギー省によって与えられたDE-AR0000536の下での政府の支援によってなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
断熱材料は、従来的に静的であり、その断熱値は周囲条件の変化に対してほとんど無反応である。上記を考慮して、従来の断熱材料の上記の障害及び欠点を克服するための改善された適応性材料システム及び方法のニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
一態様は、利用者に着用されその身体を囲むように構成された熱適応性衣服であって、着用している利用者の身体に面するように構成された内面と、着用している利用者に対して外部の環境に面するように構成された外面と、外面の少なくとも一部分を画定している第1の布地層と、内面の少なくとも一部分を画定し、1つ以上の結合継ぎ目において第1の布地層に結合された第2の布地層と、第1の布地層及び第2の布地層ならびに1つ以上の結合継ぎ目によって画定され、これらの中に配設された複数のキャビティと、を含む、熱適応性布地によって画定された衣服本体を有する、熱適応性衣服を含む。
【0005】
一実施形態において、第1の布地層は、第1の環境温度範囲に応答して、第1の布地層が第1の平均距離だけ第2の布地層から離されている、基本構成をとるように構成され、第1の布地層は、第1の環境温度範囲とは別の第2の環境温度範囲に応答して、第1の布地層が第1の平均距離よりも大きな第2の平均距離だけ第2の布地層から離されている、山なり構成をとるように構成されている。
【0006】
別の実施形態において、第1の層と第2の層との間の平均距離は、環境温度が、第1の環境温度範囲との差が大きくなるほど、第2の温度範囲内の温度に応答して大きくなる。更なる実施形態において、衣服本体は、第2の環境温度範囲に隣接し第1の環境温度範囲とは別の第3の環境温度範囲を機械的に画定し、第1の層と第2の層との間の増大した平均距離は、衣服本体の物理的構成による最大距離に制約される。さらに別の実施形態において、第2の環境温度範囲の温度は、第1の環境温度範囲の温度よりも低い。
【0007】
一実施形態において、第1の布地層は、第1の長さを画定する第1の材料を含み、第1の材料は、第1の熱膨張係数に従って第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して、第1の長さに沿って次第に膨張するように構成されている。
【0008】
別の実施形態において、第1の布地層は、第1の長さに対して平行である第2の長さを画定する第2の材料を含み、第2の材料は、第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数に従って第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して、第2の長さに沿って次第に膨張するように構成されている。
【0009】
更なる実施形態において、第1の材料及び第2の材料は、実質的に平坦であり、結合平面に沿って一緒に結合されている。さらに別の実施形態において、第1の材料及び第2の材料は、第1の長さ及び第2の長さに対して直交する、それぞれ第1の幅及び第2の幅を画定し、第1の幅及び第2の幅は、第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して、実質的に同一のままである。
【0010】
別の態様は、熱適応性布地であって、第1の長さを画定する布地層を備え、布地層は、第1の温度範囲に応答して平坦基本構成をとり、第2の温度範囲に応答して、布地層が基本構成と比較して第1の長さに沿って湾曲されている、山なり構成をとるように構成されている、熱適応性布地を含む。布地層は、第2の長さを画定し、第1の熱膨張係数を有する第1の材料であって、第2の環境温度範囲内の温度変化に応答して第2の長さに沿って、長さを次第に変化させるように構成されている、第1の材料と、第3の長さを画定し、第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有する第2の材料と、を含み得る。
【0011】
一実施形態において、第1の材料は、それぞれ反対方向において温度変化に応答するように構成された交互のヘテロキラル部分及びホモキラル部分を含む少なくとも1つのコイル状アクチュエータを備える。別の実施形態において、第1の布地層は、10℃の温度変化に応答して5%以下の面積における変化を示すように構成されている。更なる実施形態において、第1の材料及び第2の材料は、複数の織り込み、ならびにそれぞれ第1の繊維及び第2の繊維を画定する。さらに別の実施形態において、第1の材料は、第1の長さに沿って収縮または膨張するように構成された熱適応性コイルを備える。また更なる実施形態において、第1の材料は、平坦シートを備える。
【0012】
更なる態様は、適応性シートであって、第1の長さを画定する層を備え、第1の層は、第1の環境条件に応答して基本構成をとり、第2の環境条件に応答して、第1の層が基本構成と比較して第1の長さに沿って湾曲されている、山なり構成をとるように構成されている、適応性シートを含む。第1の層は、第2の長さを画定し、第1の膨張係数を有する第1の材料であって、第2の環境条件に応答して第2の長さに沿って長さを変化させるように構成されている、第1の材料と、第3の長さを画定し、第1の膨張係数とは異なる第2の膨張係数を有する第2の材料と、を含み得る。
【0013】
一実施形態において、第1の環境条件は、第1の温度範囲を含み、第2の環境条件は、第1の温度範囲とは別であり第1の温度範囲よりも低い温度を含む第2の温度範囲を含む。別の実施形態において、第1の環境条件は、第1の水分範囲を含み、第2の環境条件は、第1の水分範囲とは別である第2の水分範囲を含む。
【0014】
更なる実施形態において、第1の布地層は、少なくとも第1の方向に配設された第1の複数のワイヤを備え、第2の布地層は、第1の方向に対して平行ではない少なくとも第2の方向において配設された第2の複数のワイヤを備え、第1の複数のワイヤ及び第2の複数のワイヤは、赤外線反射性、かつ反射性ならびに分離構成における第1の複数のワイヤ及び第2の複数のワイヤの吸収特性とは異なる吸収特性を有するワイヤメッシュを形成するために基本構成において結合するように構成されている。
【0015】
さらに別の実施形態において、第1の適応性材料及び第2の適応性材料は、織布地の一部分を画定する。また更なる実施形態において、第1の適応性材料及び第2の適応性材料は、編布地の一部分を画定する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】バイモルフが平坦であり曲がっていない、平坦温度における第1の材料及び第2の材料を含むバイモルフの例の例示である。
【
図1b】異なる温度において曲がった構成における
図1aのバイモルフを示す。
【
図2a】第1の材料が第2の材料の反対側に交互パターンで示され、それぞれの結合平面で結合されている、第1の材料及び第2の材料を含む交互構造体を有するバイモルフの例を例示する。
【
図2b】異なる温度において曲がった構成における
図2aのバイモルフを示す。
【
図3】第1のバイモルフ及び第2のバイモルフを備える山なり状態におけるバイモルフ構造の例を示す。
【
図4a】2つの軸に沿って曲がるように構成されたバイモルフ構造体の例を示す。
【
図4b】異なる温度において曲がった構成における
図4aのバイモルフを示す。
【
図5a】
図1a及び1bのバイモルフが、束縛されていない熱適応性充填材料等として複数において使用され得る方式の例を例示する。
【
図5b】
図1a及び1bのバイモルフが、束縛されていない熱適応性充填材料等として複数において使用され得る方式の例を例示する。
【
図6a】平坦温度におけるヘビ状バイモルフ構造体の例を示す。
【
図6b】温度変化に応答して転置を受けている
図6aのバイモルフ構造を示す。
【
図7】バイモルフシートを作るために使用され得る、繰り返しタイルまたは繰り返しユニットセルにおいて相互接続された4つの2層バイモルフの例を備える構造体の俯瞰図または平面図を示す。
【
図8a】バイモルフが、上位のバイモルフ及び下位のバイモルフ上のそれぞれのワイヤを分離するキャビティを形成する、バイモルフ構造体の開いた構成を例示する。
【
図8b】バイモルフが、接触または近接している水平ワイヤ及び垂直ワイヤと接触している、
図8aのバイモルフ構造体の閉じた構成を例示する。
【
図9a】バイモルフを製造する装置及び方法の一例を例示する。
【
図9b】
図9aの装置によって生成された
図9aのバイモルフの縁の拡大斜視図を例示する。
【
図10】
図11において例示される平坦バイモルフ構造体を生産するように構成された波状表面パターンを有するローラーの実施形態を示す。
【
図12a】コイル状アクチュエータならびに第1の端及び第2の端において結合された細糸を備えるバイモルフの例を例示する。
【
図12b】コイル状アクチュエータならびに第1の端及び第2の端において結合された細糸を備えるバイモルフの例を例示する。
【
図13a】バイモルフが平坦構成(左)及び曲がった構成(右)のときにコイル状アクチュエータが直線構成を維持する、コイル状アクチュエータ及び細糸を有するバイモルフの実施形態の例を例示する。
【
図13b】第1の細糸と第2の細糸との間にコイル状アクチュエータを有する第1の細糸及び第2の細糸を備えるバイモルフを例示する。
【
図14a】コイル状アクチュエータが反対の熱応答を有し、平坦構成(左)及び曲がった構成(右)の両方において隣接しているままである、実施形態の例を例示する。
【
図14b】コイル状アクチュエータが平坦構成(左)において隣接し、曲がった構成(右)において離れ得る、実施形態の例を例示する。
【
図15】バイモルフが平坦構成(左)及び曲がった構成(右)にあるときに細糸が直線構成を維持する、コイル状アクチュエータ及び細糸を有するバイモルフの実施形態の例を例示する。
【
図16】反対の方式において温度変化に応答し得る、交互のヘテロキラルゾーン及びホモキラルゾーンを有するコイル状アクチュエータの生産用の二重芯棒構造体を例示する。
【
図17】熱適応性織物構造体の実施形態の一例を例示する。
【
図18a】温度の上昇に応答して山なりになることを示す袋またはキルトにおける熱応答性織物構造体を例示する。
【
図18b】温度の上昇に応答して山なりになることを示す袋またはキルトにおける熱応答性織物構造体を例示する。
【
図19a】温度の低下に応答して山なりになることを示す熱応答性織物構造体を例示する。
【
図19b】温度の低下に応答して山なりになることを示す熱応答性織物構造体を例示する。
【0017】
図が寸法通りに描かれておらず、類似構造または類似機能の要素が図全体を通して例示的目的のために同様の参照番号によって概して示されることが留意されるべきである。また図が好ましい実施形態の説明を容易化することのみを意図されることが留意されるべきである。図は、記載された実施形態の全ての態様を例示するわけではなく、本開示の範囲を限定するものでもない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
種々の用途に対して、衣服、ブランケットまたは織物にとって、温度変化に応答する材料である、可変断熱性を有する断熱材料を含むことが所望され得る。改善されたヒトの熱快適性の他に、このような材料は、冷暖房建物に消費するエネルギーの10%を超える、相当な省エネルギーを可能にすることができ、冷暖房費用は、熱適応性材料の広範囲な使用を通して低減され得る。
【0019】
種々の実施形態において、熱適応性材料は、温度の変化に応答してその断熱値を変える材料であり得る。このような熱作動は、バイモルフ、またはこれに代えて、限定されるものではないが、形状記憶ポリマーを含む、所望の温度で位相変化を受ける材料、及びガラス転移を受ける材料の使用を通して実現され得る。いくつかの実施形態において、バイモルフが、温度変化により曲がるかまたは直線状になるように、温度変化に連続的に応答することが所望され得る。
【0020】
これに対して、いくつかの材料は、断続的温度において起こる位相変化により応答し、温度に対する段階的応答を作り出す。このような材料は、異なる位相変化温度を有する一組の材料を使用することによって、連続応答プロファイルを実現するように種々の実施形態によって使用され得る。
【0021】
バイモルフは、任意の適切な方式において一緒に、積層されるか、接着されるか、溶着されるか、またはそうでなければ接合されるか、保持されるか、若しくは束縛された、2つ以上の材料を含み得る。いくつかの実施形態において、バイモルフは、環境温度変化により、バイモルフの一方が他方よりも膨張し、バイモルフに曲げを生じさせるように、異なる熱膨張特性を保有し得る。バイモルフは、構造体が平坦になる温度である、「平坦温度」を有し得る。いくつかの実施形態において、このような「平坦温度」より上及び下の両方でバイモルフは、2つの層の熱膨張の差により、反対方向において湾曲し得る。
【0022】
バイモルフにおけるこの温度制御された曲げは、温度が低下したときにより厚くなり、これによってより断熱することになる布地、及び/または温度が上昇したときにより開き、これによって浸透性が向上し、より冷却することを許容する布地のような、温度依存性質を有する布地及び衣服を構築するために活用され得る。
【0023】
熱適応性材料にとって所望され得る、厚さにおける比較的大きな変化を実現するために、バイモルフ繊維、リボン、またはシートの配置は、複層にわたる組み合わされた変化が所望の変化をもたらすように制御され得る。
【0024】
個々のバイモルフの転置における変化量は、温度の差、バイモルフにおける2つ以上の材料についての熱膨張の係数の差、材料の剛性、ならびにバイモルフの厚さ及び長さに依存し得る。熱膨張係数の差は、小さく、いくつかの実施形態において、汎用材料について大きくても、100~200μm/m/Kの単位であり得る。
【0025】
例えば、約1mmの厚さにおける変化が、いくつかの衣類及び寝具用途に対する目安として採用され得る。バイモルフにおける層の各々に対して仮定される厚さの例として10ミクロン(細い繊維に対して比較可能な厚さ)及び10ケルビンの温度変化(室内温度に対する変化の適当な範囲)を採用すると、1mmの転置を実現するために繊維は、長さ10mmである必要があることになる。いくつかの実施形態において、この変化を受けるためにバイモルフについて、その全長にわたって自由に動くことが必要となり得、他の繊維または表面層との任意の接触は、動きを減少させるかまたは完全に阻止することになるであろう。このような長さにわたる自由な繊維の動きは、種々の衣服実施形態において現実的ではなく、この長さ及び厚さ寸法におけるバイモルフのいくつかの実施形態は、外力に対する低構造耐力に悩まされ得る。このバイモルフは、1mmの有効厚さを生じることになるが、平坦であるとき、バイモルフは、非現実的な薄さであることになる。この問題のあるバイモルフの厚さ、及び問題のある大きさのバイモルフの長さは、複層バイモルフ構造体の使用を通して克服され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、1mm以上の単位における熱応答性材料の厚さの変化は、複層バイモルフ構造体の使用を通して実現され得る。このような用途において、周囲温度が低下したときに向上した快適性を提供するために、熱適応性材料について、それらの厚みを2倍、3倍、またはさらに4倍にすることが所望され得る。個々のより小さな転置を有する複数のより短いバイモルフから構築された、これらのバイモルフ層の各々は、各層の転置が材料における全体の厚さの変化を与え得るように、構造体内で機械的に結合され得る。バイモルフ層内の制御された構造体ならびに制御された層間関係及び構造体の組み合わせは、温度に応答して所望の累積的な厚さの変化を実現可能にすることを材料にもたらし得る。さらに、いくつかの実施形態において、複層バイモルフ構造体は、面する布地からの張力若しくは重さのような外圧または風からの負荷に耐える改善された耐久力を有し得る。
【0027】
このような複層構造体のいくつかの実施形態の1つの利点は、短い長さのみで構造体の高さにおける大きな変化が可能になることであり得る。厚さに対し、ビームは、長い長さを有することによって転置における大きな変化を受け得るが、長い長さで自由に動くことは、衣類及び寝具のいくつかの実施形態について所望されるものではないことがある。加えて、このような動きを防止するために要求される力は、長さが増大するほど、より小さくなり得る。種々の実施形態において、各々が短い長さを有する、多くの構造化された層に対して動くことによる、高さにおける大きな変化は、短い全長のみによって実現され得る。
【0028】
別の方式で述べると、複層構造体のいくつかの実施形態は、その構造体が互いに補強し、温度変化に応答して形状変化を受ける層として互いに足場となる位置付けにおいて個々のバイモルフを配置し、大きな全体の厚さの変化を作り出すという点において利点を有し得、複層構造体のいくつかの実施形態は、個々のバイモルフ層の各々におけるより小さな変化を合計するので、大きな厚さの変化を有し得る。断熱において、いくつかの実施形態の個々の層は、材料選択、大きな温度変化、薄い厚さ、または長い長さを通して、大きな山なり変化を実現し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、複層熱作動構造体は、物理的変化の大部分が1つの寸法におけるものであり、他の寸法において最小限に変化しつつ厚さにおける比較的大きな変化を可能にするように構築され得る。一緒に撚られた多くの個々の繊維からなる、織糸内に組み込まれたバイモルフは、厚さの変化及び同等の側方の変化を経験し得る。側方の変化は、材料全体における所望されない座屈を引き起こし得、また所望の形状を維持するために衣服における付加的な構造的要素を必要とし得る。種々の実施形態において、複層熱適応性構造の異方性挙動は、織糸のような撚られた構造体に伴い得る、これらの制約を克服し得る。
【0030】
従来の撚られた構造体またはランダムバッティング若しくは不織布構造体において、個々の繊維は、それらがバイモルフ繊維である場合、それらが一緒に動くことを保証される方式、集約的材料厚さを増大するために1つの繊維の湾曲が別の繊維の湾曲を付加する方式で一緒に保持されないであろう。大きな累積的な山なりを作り出すために各繊維の変化が隣接する繊維と協調して働く付加的な変化が、いくつかの実施形態において所望され得る。織糸において一般的に見出されるような撚糸は、繊維に対して、別の動きによって作り出された空間内に1つが動く、反対方向に動くかまたは一緒にぴったり重なる機会を提供する。これは、結果として、完全なまたは所望の厚さの変化を有しない織糸または繊維をもたらし、いくつかの実施形態において所望されないであろう。
【0031】
複数の個々の繊維を備える織糸は、一緒に撚られる繊維に引張応力を導入し得、このような残留応力は、いくつかの実施形態における幾何形状応答の大きさを制限し得る。制御された複層構造の種々の実施形態は、温度変化による自由で完全なバイモルフの動きを許容する、最小化された応力と共に製造され得る。
【0032】
熱適応性材料に対する商業的機会が、アパレル、寝具、寝袋、及びテントのような、例えば、断熱材が肌に近接して着座し、ヒトの熱快適性と密接に関連付けられる領域において存在する。追加の用途領域は、限定されるものではないが、とばり、内装材、断熱材、医用、濾過、及び微少流体技術を含み得る。
【0033】
種々の実施形態において、複層構造体は、熱誘発撓みを経験する複数の繊維またはリボンを含む積層構造体を備え得る。このような繊維またはリボンにおける撓みは、1つの寸法に主として沿い、衣服またはブランケットの厚さに対応し得、リボンの幅が増大されるかまたは複数のリボン若しくは繊維が構造体全体を平行に延びると、シートに類似し始める。いくつかの実施形態において、線膨張が、バイモルフ構造体全体の2つの軸に実質的に沿って起こり得、第3の軸に沿った曲げ及び有効な厚さの変化を生む。
【0034】
複層熱適応性構造体は、適応性充填材、キルト、または服若しくはブラケットの内層において使用され得、外層は、摩耗性、外観、及び触感のために選択され、内層は、触感及びウィッキング性質のために選択され得る。複層熱適応性構造体は、付加的な機能が付加的な層若しくは積層を通して付加されるか、あるいは付加的な機能が、編まれるか、織られるか、若しくは縫合された繊維若しくは織糸を通して、または複層構造体を通して付加される構造体の両方において、防水、防風、ウィッキング、または特定の用途のための他の層若しくは材料と一体化され得る。
【0035】
種々の実施形態において、これらの構造体における熱駆動作動は、以下に詳述されるように、バイモルフ構造体の使用を通して実現され得るが、また形状記憶ポリマーまたは位相変化に応答して幾何形状変化を受ける他の適切な材料を通しても実現され得る。個々のバイモルフは、共押出、積層、または印刷、ナイフコーティング、または他の適切な技術を通して1つの層の別の層への堆積を通して構築され得る。下層とは異なる層のうちの1つをパターン化することが所望され、パターン化された層は、印刷されるか、マスクを通して上塗りされるか、エッチングされるか、または予備パターン化シートとして堆積されること等が行われ、接着剤、熱若しくは超音波溶着、または他の適切な接合技術を通して他のシートに接合され得る。両方の層を同様にパターン化し、リボンまたはコイルのような2次元構造体を与えることが所望され、既製のバイモルフシートが、ナイフ切断、レーザー切断、スタンピング、エッチング、または類似技術によって、その形状を与えられ得る。
【0036】
バイモルフ構造体はまた、異なる性質を有する2つの繊維またはリボンが、2つの材料を隣接及び相反関係に配置する方式で組織化及び制約される、織物構造において生産され得る。織物構造体は、多様な範囲のパターンを生産し、印刷され、切断され、上記のバイモルフとして概して処理され得る。
【0037】
断熱材にわたって温度勾配が存在し得る。低温環境において、これは、衣服の外側における断熱材の層(より低温)とその層のバイモルフの平坦温度との間の温度差が、肌に近い層(より高温)とその層のバイモルフの平坦温度との温度差よりも実質的に大きいものであり得ることを意味する。肌により近い層は、小さな変化のみを受け、それから、一方で外層は、大きな変化を受け得る。ヒトの体温調整により、肌の近くの温度変化の範囲は、衣服の表面におけるものほど大きくない場合があり、衣服の表面におけるバイモルフ層は、肌の近くの層よりも大きな温度範囲を経験し得る。いくつかの用途において、複層構造体全体を通して、各々が固有の平坦温度を有する、異なるバイモルフ層を用いることが利点であり得、感温性物品の表面に近い層における熱応答に比べたときに、身体に近い層における固有の熱応答を可能にする。
【0038】
衣服またはブランケットにおける熱快適性について、臨界値を超える任意の温度において、その最小化された厚さ及び断熱値を有する、その最も低い山なり状態における熱適応性物品を有することが所望され得る。ランダム撚糸または非構造化マットにおける基本的なバイモルフは、このような温度で平坦であり得るが、温度の低下または上昇のいずれかは、バイモルフの湾曲及び厚さの増加を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、これは、高温におけるバイモルフが、低温において有する同一形式の挙動を有する、幾何形状変化及び断熱性の向上を受けることになるので所望されないものであり得る。
【0039】
種々の実施形態において、複層熱適応性材料は、臨界温度を超えると完全に平坦な状態に入ることによって、この問題を克服し得る。これは、2つのバイモルフが鏡像配向にあり、互いに対して押し込む構造に設計され、選択された値を超える全ての温度で平坦な最小限の山なり構造を作り出し得る。基本的なバイモルフ構造体は、いくつかの実施形態において、平坦温度が非常に高く、衣服にとって有用な範囲の外側に収まるようにバイモルフを製造することによって、この問題を最小化し得る。しかしながら、これは、いくつかの用途においてその最小限の山なり状態に衣服が決して達しないであろうことを意味し得、これは、一定の用途に対して望ましいものではない場合がある。
【0040】
以下の例の説明は、バイモルフを通した形状及び断熱性の連続的変化に主に注目する。しかしながら、このような構造体、及び位相変化機構を通してこれらの作動は、双安定システムを生み出し得ると共に、有効な断熱性変化が、ナノ材料を含む、隣接材料を囲むかまたはこれに近接するそれらの誘電性に対する感度を有する、格子、光学コーティング、または光活性材料の幾何形状操作による多孔性または光学的性質における制御された変化を通してもたらされ得る。
【0041】
種々の実施形態において、個々のバイモルフまたはバイモルフ層は、一緒に接合された2つ以上の材料を含む。バイモルフは、繊維、リボン、シートであり得るか、それは、2つの対になった繊維、リボン、若しくはシートであり得るか、またはそれは、いくつかの実施形態において、より複雑化された幾何形状若しくは断面を有し得る。いくつかの実施形態において、バイモルフは、異なる熱膨張係数を有する2つの材料を含み得るが、付加的な材料が、層間の改善された付着またはいくつかの他の物理的性質を改質するために含まれ得る。他の実施形態において、バイモルフは、異なる熱膨張係数の部分を有する単一材料を含み得る。2つの材料において、熱膨張係数の差または環境の刺激に応答する他の寸法変化は、バイモルフにその形状の変化を引き起こす。
【0042】
種々のバイモルフの実施形態は、一緒に積層された2つの材料を含むが、いくつかの実施形態において、材料は、それらの全長にわたって接合または付着されている必要はなく、それらが互いに常に整列しないように2つの間においてパターンまたは形状の差があってもよい。更なる実施形態において、このような二重層構造体は、織物または編物のような織物構造体に存在し得、構造体における2つの繊維または繊維層は、それらの集約的挙動が積層されたバイモルフのものに類似するように、一緒に実質的に対にされる。バイモルフと同様、二重層構造体は、2つの層が異なる熱膨張特性、異なる水分に対する応答、または異なるいくつかの他の外部刺激に対する応答を保持するように、2つの異なる形状におけるか、または異なる構造若しくは加工履歴を有する、単一材料から製造され得る。
【0043】
加えて、いくつかの実施形態において、第1の材料または基板が、第1の材料の両側にパターン化されたかまたはレイアウトされた、異なる熱膨張係数の第2の材料を有する、交互または両側バイモルフ構造体を有することは、利点であり得、交互のパターンは、個々のバイモルフが温度変化に応答して交互に曲がることを引き起こす。
【0044】
交互バイモルフ構造体は、局所的湾曲及び長い範囲で曲がることなく曲がる領域を有し得る。バイモルフを最小限に備える2つの材料の長さ及び厚さは、与えられた温度変化に対する所望の曲率に対して選択され、交互バイモルフ層内において可変曲率ゾーンを作り出すように制御され得る。
【0045】
複層熱適応性材料は、複層構造体に対して大きな転置を生み出すために個々のバイモルフの転置を合算するようにバイモルフの動きを制約し得る、マルチスカラー構造体を有し得る。このような制約は、基本的及び/または交互バイモルフ、ならびに実質的により複雑化された構造を有するバイモルフに導入され得る。これは、層間状態は、層間の接着、溶着、付着、縫合等を通してか、織物若しくは編物のような織物構造体を通してか、またはバイモルフ構造体自体の幾何形状設計によって課される制限を通して導入され得る。
【0046】
以下の図の説明は、数個の実施形態の例を含むが、本開示の範囲及び趣旨内である幅広い種類の他の実現可能な実施形態を限定するように解釈されるべきではない。
【0047】
図1Aは、バイモルフ100Aが平坦であり曲がっていない、平坦温度における第1の材料110及び第2の材料120を備えるバイモルフ100Aの例の例示である。第1の材料110は、長さL1及び幅W1によって画定されているものとして示される。第2の材料120は、長さL2及び幅W2によって画定されているものとして示される。この例において、第1の材料110は、第2の材料120の長さL2よりも短い長さL1を有するが、幅W1、W2は、実質的に同一である。第1の材料110及び第2の材料120は、それぞれ対抗する外面111、121を有し、結合平面115に沿って一緒に接合され得る。
【0048】
図1Bは、異なる温度において曲がった構成における
図1Aのバイモルフ100を示す。この例において、温度の変化は、第1の材料外面111が凸状に曲がり、第2の材料外面121が凹状に曲がるようにバイモルフ100Aが曲がることを生じさせている。
【0049】
平坦構成(
図1a)から曲がった構成(
図1b)へのバイモルフ100Aの構成の変化は、種々の方式によって起こり得る。例えば、表1は、このような構成変化が起こり得る5つの例を例示する。
表1:平坦構成(
図1a)から曲がった構成(
図1b)へのバイモルフ100の構成における変化を生じる例。
【0050】
種々の実施形態において、表1の例1~5は、温度における正または負の変化により起こり得る。したがって、いくつかの実施形態において、温度の上昇は、第1の材料110をL1に沿って膨張または収縮させ得る。更なる実施形態において、温度の低下は、第1の材料110をL1に沿って膨張または収縮させ得る。同様に、いくつかの実施形態において、温度の上昇は、第2の材料120をL2に沿って膨張または収縮させ得る。更なる実施形態において、温度の低下は、第2の材料120をL2に沿って膨張または収縮させ得る。加えて、いくつかの実施形態において、第1の材料110または第2の材料120は、正または負のいずれかの温度変化によって、それらのそれぞれの長さL1、L2に沿って膨張または収縮しない場合がある。
【0051】
いくつかの実施形態において、バイモルフ100は、10℃の温度変化に応答して5%以下の面積における変化を示すように構成され得る。更なる実施形態において、バイモルフ100は、10℃以下の環境変化に応答してその有効厚さを倍化するように構成され得る。
【0052】
図1a及び1bは、第2の材料外面121が凹状になるように、バイモルフ100Aが曲がる構成変化の例を例示するが、更なる実施形態において、バイモルフ100Aは、第2の材料外面121が凸状になり、第1の材料外面111が凹状になる、更なる構成(示されない)をとり得る。例えば、一実施形態において、バイモルフ100Aは、X℃の温度で平坦構成(
図1a)をとり、第2の材料外面121が(X+Y)℃の温度で凸状(
図1b)になる、曲がった構成をとり得る。加えて、バイモルフ100Aは、第2の材料外面121が(X-Y)℃で凹状(示されない)になる、曲がった構成をとり得る。言い換えると、いくつかの実施形態において、バイモルフ100は、温度変化に基づいて、1つの方向に曲がり、その後、別の方向に曲がり得る。加えて、種々の実施形態において、二重矢印によって例示されるように、バイモルフ100は、温度変化に基づいて構成間を往来的に動的に動き得る。
【0053】
加えて、本明細書における種々の実施形態が、温度の変化に基づいてバイモルフ100の変化を論じるが、更なる実施形態において、バイモルフ100は、湿気、露光、化学物質への露出、液体(例えば、水)への露出、気圧、適用される力(例えば、風または接触を介して)、磁場への露出、電流への露出等を含む、1つ以上の変化する条件に基づいて構成が変化してもよい。したがって、本明細書において論じられた実施形態の例は、本発明の範囲及び趣旨内である幅広い種類の代替的及び付加的実施形態を限定しているように解釈されるべきではない。
【0054】
図2Aは、第1の材料110が第2の材料120の反対側に交互のパターンで示され、それぞれの結合平面115で結合されている、第1の材料110及び第2の材料120を備える交互構造体を有するバイモルフ100Bの例を例示する。この例において、2つの部分P1、P2は、対向する外面111、121を有する第1の材料110及び第2の材料120のそれぞれの対によって画定される。
図2は、バイモルフ100Bが平坦であり曲がっていない構成である「平坦温度」におけるバイモルフ100Bを例示する。
【0055】
図2Bは、異なる温度における
図2Aのバイモルフ100Bの例を示す。この例における温度の変化は、バイモルフ100Bが「S」字形状に曲がることを生じさせている。より具体的には、
図2Bの曲がった構成において、第1の材料110及び第2の材料120は、第2の材料外面121が凹状であり、第1の材料外面111が凸状であるように曲がっている。本明細書において論じられるように、このように曲がることは、材料110、120の種々の特性によって引き起こされ得る。
図2a及び2bは、バイモルフ100Bの例が第1の材料110及び第2の材料120の交互構造体の2つの部分P1、P2を含む、一例を示すが、更なる実施形態において、このようなバイモルフ100Bは、任意の適切な複数の部分Pを備えてもよく、複数のバイモルフ100がバイモルフ構造に統合されてもよい。
【0056】
例えば、
図3は、第1のバイモルフ100B
1及び第2のバイモルフ100B
2を備える山なり状態におけるバイモルフ構造300の例を示す。
図3において示される各長尺バイモルフ100Bは、平坦で長尺な第2の材料120の交互の側部に結合された第1の材料110を備える、第1の部分P1、第2の部分P2及び第3の部分P3を備える。バイモルフ100Bは、それぞれの端303、304で結合され、高さHを有する内部キャビティ305を画定する。この例において、第1の部分P1及び第3の部分P3は、キャビティ350内において面する第2の材料120上に配設されている第1の材料110によって画定される。第2の部分P2は、それぞれ上側301及び底側302上で外向きに面する第2の材料120上に配設されている第1の材料110によって画定される。
【0057】
図3において示される例において、バイモルフ100Bは、環境温度に基づいて曲がった構成にあり、第1のバイモルフが上端301に向かって上向きに中央において曲げられ、底端302において下向きに中央において曲げられる、構造300の山なり構成を引き起こす。ただし、いくつかの実施形態において、バイモルフ100Bは、温度に基づいてより大きくまたはより小さく山なりになり得る。言い換えると、キャビティ350の高さHは、温度の変化に基づいて膨張または収縮し得る。
【0058】
図3において示される例は、限定された幅Wのバイモルフ100を有する構造300の例を例示するが、更なる実施形態において、バイモルフ100は、布地等を備え得る長尺な平坦シートであり得る。同様に、
図3は、端303、304において結合された3つの部分P1、P2、P3を含むバイモルフ100を有する構造300の例を例示するが、更なる実施形態において、バイモルフ100は、対向する部分が規則的または不規則的のいずれかの任意の選択された間隔で結合されている、任意の適切な複数の部分を備え得る。例えば、いくつかの実施形態において、複数の部分を有するバイモルフ100は、端303、304においてのみ結合される必要はなく、その代わりに端の間で結合されてもよく、これは、複数のキャビティ350を生成し得る。
【0059】
加えて、いくつかの実施形態において、バイモルフ100は、バイモルフ100の幅及び/または長さに沿って任意の所望の方式で結合され得るか、またはバイモルフ100の長さ若しくは幅に対して平行に結合することを含むかまたは含まない、任意の他の所望の規則的または不規則的パターンで結合され得る。したがって、本明細書においてより詳細に論じられるように、いくつかの実施形態において、バイモルフ構造300は、種々の適切なサイズ及び形状の複数のキャビティ305を画定する、布地等を備え得る、平坦シートを画定し得る。本明細書において論じられるように、バイモルフ100及び/またはバイモルフ構造300を備えるこのような布地は、温度に基づいて構成を動的に変化させ、これは、種々の目的のために所望され得る。
【0060】
例えば、一実施形態において、及び
図3を参照すると、バイモルフ構造300は、1つ以上のキャビティ350の高さHが、より低い温度で高くなるように、構成を変化させ、これは、低温環境からの断熱を動的に生成することに対して所望され得る。言い換えると、ジャケット、寝袋、ブラケット、バッグまたは他の物品は、着用者または物品を低温から動的及び次第に断熱するために低温への露出に応答して構成を変化させ得る。一方で、高温への露出において、1つ以上のキャビティの高さHは、より高温で低くなり、高温環境において着用者または物品が過熱することを動的に防止するために所望され得る。言い換えると、着用者または密封物品を一定の温度範囲内に維持することが所望される場合、種々の実施形態は、環境温度の変化に基づいてより高いまたはより低い断熱性を動的に提供するように構成され得る。
【0061】
図4a及び4bは、2つの軸に沿って曲がるように構成されたバイモルフ構造体400の例を示す。バイモルフ構造体400の例は、各々が結合平面115に沿って積層される三角形形状の第1の材料110及び第2の材料120を備える4つのバイモルフ100Cを備える。バイモルフ100Cは、それぞれの縁415で隣接し中心位置420で一緒に結合された四角形構成において一緒に接合される。種々の実施形態において、結合された中心位置は、中心位置420に隣接する縁415の一部分を備え得る。この例において、構造体400において対向するバイモルフ100Cは、上面401及び底面402において同一材料410、420を有する。
【0062】
図4aは、平坦構成におけるバイモルフ構造体400を例示する。
図4bは、上面401上に第2の材料120を有する対向するバイモルフ100Cが上面401上に凹状部分を生成するために上向きにカールしている、湾曲構成におけるバイモルフ構造体400を例示する。加えて、底面402上に第2の材料120を含む対向するバイモルフ100Cは、底面402上に凹状部分を生成するために下向きにカールしている。本明細書において論じられるように、構造体400は、温度変化に基づいて
図4a及び4bの構成の間を動き得る。
【0063】
多くの類似幾何形状、構造体、スリットパターンが、類似の幾何形状を実現するために更なる実施形態において提供され得る。例えば、更なる実施形態は、中心位置420の周囲に配置された任意の適切な複数のバイモルフ100を備え得る。バイモルフ100の形状及びこのようなバイモルフによって生成される構造体の全体形状は、任意の適切な規則的または不規則的形状であり得る。
【0064】
種々の実施形態において、このような構造体は、束縛されていない熱適応性充填材料として供給され得る。このような単一バイモルフ層構造体400の複層から大きな厚さの変化を実現するために、いくつかの実施形態において、コップ状の3次元形状が互いの中に入れ子になることを防止するために、複数の類似ではあるが非同一の構造体を有することが利点になり得る。種々の3次元構造体は、マルチスカラー構造体における組織化の制約として供給され得る。いくつかの実施形態において、複数のこのようなバイモルフ400は、上記のようにキャビティ350(
図3)において配設され得る。
図5a及び5bは、
図1a及び
図1bのバイモルフ100Aが、束縛されていない熱適応性充填材料等として複数において使用され得る方式の例を例示する。
【0065】
図6Aは、平坦温度におけるヘビ状バイモルフ構造体600の例を示す。バイモルフ構造体600は、一緒に接合され、同一天井または同一切断パターンを有し得る、2つの材料110、120を備え得る。この例において、実質的に連続的な第2の材料120が、中心キャビティ605を画定する四角形形状で提示され、交互構成において第2の材料120の対向する側部上に配設された第1の材料110の部分を有する。いくつかの実施形態において、構造体600は、1つよりも多い軸に沿った幾何形状変化を示し得る。
【0066】
図6Bは、温度変化に応答して転置を受けているコイルまたは回旋状構造体600を示し、構造体600の第1の腕610の端は、第2の腕615に対して持ち上げられ、これは、いくつかの実施形態においてベースとして供給され得る。第1の腕610及び第2の腕615は、バイモルフ構造体600の端及び始まりとみなされるが、これに代えて、温度変化に応答する任意の曲げを受けないことになるように、熱非応答パッドが第1の腕610に導入され得るか、または第2の腕615が材料110、120のうちの1つのみからなり得る。加えて、一実施形態において、腕610、615は、他のバイモルフまたはバイモルフ構造体に接続するためのパッドとして供給され得るように異なる形状を有し得る。個々の層内において、バイモルフ構造体600は、層間シート、薄膜、または膜組織が生産されるように、細い紐等を通して、他のバイモルフ構造体に直接接続され得る。
【0067】
図6A及び6Bにおける構造体600の例は、中心におけるキャビティと共に示されるが、多孔性のために導入される孔を含む及び含まない両方の更なる実施形態において提供され得る、多くの代替的なコイルまたはヘビ状構造体がある。多くの類似幾何形状及び構造体は、平面バネまたはダイアフラムの撓みに類似する構造体を含む、特定用途用に微調整され得る更なる実施形態において提供され得る。
【0068】
加えて、構造体600の例は、第1の材料110の2つの小片の間に積層された第2の材料120を含む部分620、ならびに第1の材料110及び第2の材料120の単一小片の積層によって画定された部分625も有するように例示される。種々の実施形態において、3つ以上の材料の積層を有する部分620は、他の部分が曲がる場合でさえ、温度変化に応答して曲がらない、構造体600における「平坦ゾーン」を生成し得る。これは、積層の同一である上の材料及び底の材料における任意の変化が、構造体600のその部分において互いに相殺し得るので、このため結果としてその部分620が曲がらないことになる。3つの材料の積層を有する部分620が構造体600の例の角において示されるが、他の実施形態において、このような部分620は、与えられた構造体の任意の適切な部分上に存在され得る。同様に、材料110、120の積層された対によって画定される部分625はまた、いくつかの実施形態においてバイモルフ構造体の任意の適切な位置に存在され得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、コイル状またはヘビ状構造体600は、複層構造体に対して理想的にする幾何形状制約を、それ自体によって、導入しない。ただし、類似の温度転置応答を有する複数の幾何形状を使用するが、特定の回旋を変化させることによって、相互接続されたコイルまたはヘビ状構造体のシートは、温度応答性バイモルフによって残された開空間内に即座に織り込むかまたは動くことができない場合がある。この形式の回旋されたヘビ状構造体は、更なる実施形態による、複層熱適応性構造体における1つの構成要素としての役割を見出し得る。
【0070】
図7は、バイモルフシートを作るために使用され得る、繰り返しタイルまたは繰り返しユニットセルにおいて相互接続された4つの2層バイモルフ100の例を備える構造体700の俯瞰図または平面図を示す。材料のうちの1つは、影付きで示され、それは、この実施形態の例全体を通して基板として働く。実線は、材料を通した切断を表現し、点線は、基板材料の一番上に着座する、影付きではない、一番上の材料の端を示し、ドット線は、構造体700の縁を示す。全体構造体700は、繰り返しユニットセルであり得、相互接続されたバイモルフの大きなシートを作り出す。
【0071】
バイモルフ部位は、ここでは4つのバイモルフカンチレバー100に分割され、4つの各々は、温度変化に応答して構造体の中心における平面の外に動き得る。影付きである、基板材料120のみで示される部位は、このユニットセルと隣接ユニットセルとのバイモルフ100の間の柔軟な紐または接続として働き得る。いくつかの実施形態において、この接続は、温度曲げ応答を有する必要はない。バイモルフ間のこの接続は、温度応答性厚さを有する柔軟なシートを作り出し得る。
【0072】
大きな厚さ変化を実現するために、複層構造体が種々の実施形態において所望され得る。
図7において示されたような層間のマルチスカラー状態は、例えば、全ての他の層が、すぐ上の層及びすぐ下の層に対して直交するように各層の向きを交互にすることによって導入され得る。層のベースは、下の層の直交バイモルフ上に立設し、層の持ち上げられたバイモルフは、上の層の直交ベースに対する支持として働く。バイモルフ部位のアスペクト比が与えられ、層間の直交回転は、各層が、種々の実施形態においてその下の層の少なくとも2つのバイモルフ部位において補うことを生じさせ、1つの層からのバイモルフが、下の層によって支持され、バイモルフの幾何形状変化によって作り出された空所内に脱落しないことを確実にする。
【0073】
別の層に対する1つの層の直交配向から生じる層間状態に加えて、例示された構造体の例は、そのユニットセル構造体において、膨張したシートにおいて個々のバイモルフを一緒に並んで接続する柔軟な紐を有し得る。このようなシート構造体は、それらが束になるかまたは重力によってキルトポケットの底に落ちることがなく、その代わりに高温において平坦シートに留まり得るという点において利点があり得る。平面内またはシート内状態は、適応性断熱材の丸まりまたは集塊を防止し得る。
【0074】
紐の柔軟性は、幅または相互接続の回旋経路を変化させることによって制御され得る。片側バイモルフ活性ゾーンにより示されたが、両側バイモルフ幾何形状が、上述された層間及び層内状態と共に、更なる実施形態において提示され得る。全体として、複層構造体における層の幾何形状及び層の直交配置は、バイモルフ層間の機械的結合を提供し得る。
【0075】
図7のようなシート構造体は、個々のバイモルフ間の柔軟な層内相互接続を有し、他のバイモルフ構造体は、同様に相互接続され得る。ただし、いくつかの実施形態は、相互接続空間を必要とすることなくバイモルフを接続し得るシート構造体を備える。1つのこのような構造体は、基板の他の側部上に同一材料の同心リングを有する、基板上の点列からなり、循環構造体を有する両側バイモルフを形成する。このような材料は、2つの軸に沿った材料歪みから生じる厚さ変化を伴い、温度変化によるディンプル表面を形成し得る。柔軟な紐がこのようなディンプル表面の活性部位間で使用され得るが、循環構造体は、バイモルフ部位を最大面積密度で配置するためにこのような方式で配列化され、相互接続は、隣接間において直接的であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、ディンプル構造体、及び実際に、種々のシート構造体は、非多孔性構造体による所望されない通気性を有し得る。したがって、種々の実施形態において、小さな孔またはスリットが、蒸気輸送及び蒸発のための増加した機会を提供するために、これらの複層構造体内に導入され得る。加えて、複層構造体における温度応答性幾何形状変化は、多孔性の向上または低減を供給し得る。
【0077】
別のバイモルフに対する1つのバイモルフの配置及び整列は、バイモルフの複層集合の有効な温度応答のためにいくつかの実施形態において所望され得る。この状態は、
図3に例示されるように接合または付着を通してか、または
図7に例示されるように、層の各々の幾何形状設計及び配向によって課される機械的制約を通してもたらされ得る。織り込みのような手法はまた、2つのバイモルフ部位が重なり、それらの個々の温度依存厚さが最適化された方式で合算されるように、複層構造体に状態を導入するために適当であり得る。これらの複層構造体は、片側、両側、若しくはより複雑化されたバイモルフ、機械的拡大を有する構造体、またはバイモルフを含まない作動機構を備える個々の層から構築され得る。種々の実施形態において、各個々の層の多孔性及び柔軟性は、孔、スリット、または層内の回旋ヘビ状構造体等を通して制御され得る。
【0078】
図8a及び8bは、それぞれの端801、802において結合された上位のバイモルフ100U及び下位のバイモルフ100Lを備えるバイモルフ構造体800を例示する。この例における上位のバイモルフ100Uは、複数の垂直配向ワイヤ810Vを備えるように示され、下位のバイモルフ100Lは、複数の水平配向ワイヤ810Hを備えるように示される。
図8aは、バイモルフ100が、上位のバイモルフ100U及び下位のバイモルフ100L上のそれぞれのワイヤ810を分離するキャビティ850を形成する、バイモルフ構造体800の開いた構成を例示する。
図8bは、バイモルフ100が接触しキャビティ850が実質的に存在しない、バイモルフ構造体800の閉じた構成を例示する。水平ワイヤ810H及び垂直ワイヤ810Vは、
図8bにおいて接触しているかまたは近接しているように示される。
【0079】
種々の実施形態において、金属ナノワイヤメッシュ構造体は、熱赤外部位における反射性を生成し得る。織物用途の例において、このようなナノワイヤメッシュ構造体を備える衣類の小片は、衣服の着用者に熱エネルギーを戻すように反射することによって衣服の断熱性を生成し得る。
【0080】
図8a及び8bの前後関係において、いくつかの実施形態において、バイモルフ構造体800は、
図8bに示されるように熱赤外反射メッシュ860を生成するように構成を変化させることによって断熱性を動的に提供し、
図8aに示されるようにワイヤ810を分離することによって、熱赤外反射メッシュ860を解除する。言い換えると、上位のバイモルフ100U及び下位のバイモルフ100Lのそれぞれのワイヤ810が
図8bに示されるように結合されるとき、バイモルフ構造体800は、熱赤外部位における反射性を生成し得るが、上位のバイモルフ100U及び下位のバイモルフ100Lのそれぞれのワイヤ810が
図8aに示されるように分離されるとき、バイモルフ構造体800の熱赤外反射性質が除去され得る。
【0081】
したがって、種々の実施形態において、
図8aに示される構成がより高温において生成され、
図8bに示される構成がより低温において生成されることが所望され得る。このようなバイモルフ構造体800が衣服に存在する実施形態において、この性質は、高温条件において衣服を通して熱赤外熱を放出することによって高温における衣服の着用者の過熱を防止することを自動的に補助し、低温条件において熱赤外熱を留めることを自動的に補助し得る。
【0082】
したがって、
図8a及び8bに例示されたバイモルフ構造体800は、衣類、ブランケット、寝袋、テント等を含む種々の物品において使用されるように構成され得る。加えて、
図8a及び8bに示された構造の例は、本発明の範囲及び趣旨内である幅広い種々の実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、ワイヤ810は、任意の適切な材料を含んでもよく、種々の適切な方向に配向されてもよい。反射性に加えて、いくつかの材料の吸収性が、その材料の近隣に材料が近接しているときにシフトし得、この形式のバイモルフ構造体が材料の反射性及び吸収性を向上させることを可能にし、バイモルフ材料の全体断熱性質に影響を及ぼす。これに代えて、いくつかの材料の光学性質またはパターン化された構造体、例えば、回折格子が、物理的変形または伸展を通してシフトされてもよく、バイモルフ構造体との統合が、感温性光吸収及び反射性質を獲得し得る。
【0083】
バイモルフ及びバイモルフ構造体は、種々の適切な方式で作られ得る。
図9aは、バイモルフ100Dを製造する装置900及び方法の一例を例示する。装置900は、第1の材料110の巻回シートを有する第1のスプール905及び第2の材料120の巻回シートを有する第2のスプール910を備える。装置900は、第1の材料のシート115を長手方向に第1の材料110の複数の布片に切断するカッター915をさらに含む。上位の分離バー920U及び下位の分離バー920Lは、上位の一組の第1の材料布片110Uと下位の一組の第1の材料布片110Lとの間の布片キャビティ925を画定する、一組の上位の布片110U及び下位の布片110Lに、第1の材料110の複数の布片を分離する。第2の材料120の第2のスプール910は、布片キャビティ925内に配設される。この例において、一組の布片110U、110Lは、第1の材料110の隣接する布片を分離することによって生成され、一度、それらが切断されると、奇数ごとの布片が上位の布片110Uになり、偶数ごとの布片が下位の布片110Lになる。これに代えて、上位の布片110U及び下位の布片110Lは、ロールから分離された繊維、糸、織糸、またはリボンを含んでもよい。
【0084】
第2の材料120のシートは、第2のスプール910から伸ばされ、一組のローラー930U、930Lを通る。第1の材料布片110U、110Lはまた、ローラー930U、930Lを通過し、バイモルフ100Dを画定するために第2の材料120のシートの上面及び底面にそれぞれ結合される。種々の実施形態において、第1の材料110及び第2の材料120は、溶着、積層、融着、接着、縫合等を含む任意の適切な方式で一緒に結合され得る。
【0085】
図9bは、装置900によって生成されたバイモルフ100Dの縁の拡大斜視図を例示する。上述されたように、上位の布片110Uは、第2の材料の底面に配設された下位の布片110Lからずらされて第2の材料120の上面に配設されて示される。種々の実施形態において、バイモルフ100Dは、
図3に例示されたバイモルフ100Bのものに類似する性質を有し、
図9a及び9bに例示されたバイモルフ100Dシートは、
図3に例示されたようなバイモルフ構造300等を生成するために使用され得る。
【0086】
種々の実施形態において、バイモルフシート100Dが穿孔、スリット等を備えることが所望され得る。このような構造体は、通気性、柔軟性及び/またはストレッチ性に対して所望され得る。いくつかの実施形態において、基板120は、穿孔され得るか、または多孔質織物、編物、または非織物材料であり得る。いくつかの実施形態において、制御された穿孔は、バイモルフ100が一軸または二軸配向ポリマーの好ましい方向(CTE、係数、及び強度値が、このような材料において全て異方性であり得、特定方向が所望され得る)で作動することを許容することが所望され得る。いくつかの実施形態は、交互のバイモルフの上部分及び底部分を備える層110の好ましい方向の整列を可能にする、ずれて穿孔または穿刺された上層及び底層を含む両側バイモルフ構造体を製造する方法を含み得る。一実施形態において、材料110は、2つのストライプに裂かれていないが、実体部分が穿孔ゾーンによって接続される、裂かれた構造体を有するように、代わりに穿刺されるか穿孔される。穿孔された材料110は、その後、片面または両面のいずれかにおいて、第2の材料120に適用され得る。穿孔または穿刺は、ロール間機械方向若しくは機械に直交する方向、または任意の他の適当な方向のいずれかにおいて貫通し得るパターンにおいて生成され得る。穿孔された材料110は、いくつかの実施形態において機械による取扱が容易であり、ロール間及びシート処理の両方に対して検査可能であり得、最適バイモルフ性能のための薄膜における好ましい配向の選択を可能にし得るという点において利点があり得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、複数のバイモルフシート100Dは、温度応答性動作の大きな範囲を有するより厚い構造体を作り出すために、それらの厚さ変化が合算される方式で配置され得る。種々の実施形態において、本明細書において説明されるバイモルフ100は、層にされ、それらの構成は、層が互いに直交的に積層されることを許容し得、層が互いに固定されるかまたは互いの中に入れ子になることを防止し得る層間の幾何形状制約を作り出し、近接する層の「足場となる」かまたはそこから「離昇される」ように層の各々に力を加える。直交回転は、単に実施形態の一例であり、他の角度の回転が、更なる実施形態において提示され得る。種々の実施形態において、このような層ごとの回転構成は、溶着のような層間接続を回避し得るが、いくつかの実施形態において、個々の層は、接着、溶着、または積層、縫合等を介して、一緒に結合され得る。
【0088】
図10は、
図10及び11において例示される平坦バイモルフ構造体100Eを生産するように構成された波状表面パターン1001を有するローラー1000の実施形態を示す。種々の実施形態において、バイモルフ構造体100Eは、所望の温度または温度範囲内において平坦であるように構成され得る。好ましい一実施形態において、この温度または温度範囲は、ヒトまたは被験動物の肌または深部体温に対応し得る。
【0089】
種々の実施形態において、ローラー1000及び表面織地またはパターン1001は、温度が周囲または肌温度に対して低減されるときにバイモルフシート100Eが平坦構造体になり得るように、ヒートセット、積層、接着、またはポリマー溶着の温度においてバイモルフ100Eの制御された曲率を提供するように構成され得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、バイモルフ100のパターン化の寸法は、ミリメートル範囲、ミリメートル未満の範囲または他の所望のサイズであり得る。加えて、このようなパターン化は、約1μm、10μm、100μm、100μm等を含む種々の厚さであり得る、基板の片側または両側を覆い得る。種々の実施形態において、バイモルフ100の各側部は、他方に位置合わせされ得る。いくつかの実施形態において、インクジェット印刷、スクリーン印刷、及び類似の湿式技術が、バイモルフ100上で使用され得る。
【0091】
別の実施形態において、第1の材料110及び第2の材料120(例えば、ポリマー)は、一緒に積層され得る。積層されたバイモルフ100は、第2の材料120の中心的、連続的なシート、及び第2の材料120の片側または両側上の平行な一連の細いリボンにおける第1の材料110を備え得る。例えば、このような構造は、
図9a及び9b(第2の材料120の両側上における第1の材料110の布片)に例示され、
図11(第2の材料120の片側上における第1の材料110の布片)において例示される。
【0092】
いくつかの実施形態において、第1の材料110及び第2の材料120のうちの一方または両方は、分離したリボンまたは布片に代えて、一定の部位において穿孔を有する連続的なシートを備えるかまたはこれから生成され得る。このような実施形態は、複数の分離した布片またはリボンに比べて簡単に製造することができるので、所望され得る。
【0093】
本明細書において論じられたように、複数のバイモルフ100を層にすることを介してバイモルフ100の構造体を生成することが所望され得る。いくつかの実施形態において、それぞれの層は、物理的に結合されるか若しくは接続され得るか、またはそうでない場合がある。
【0094】
例えば、一実施形態において、種々の実施形態によるバイモルフ100シートは、直交的に積層され、それらの起伏は、異なる方向に延びている。これは、厚さまたは山なりにおける所望の変化を有する構造体を生成し得る。このような実施形態において、層間接続または記録は、提示され得るかまたは提示されない場合がある。
【0095】
温度変化によって材料が動的に変化することにより、バイモルフ製造は、材料及び製造プロセスに依存する、中間または平坦温度(バイモルフが平坦である温度)を制御することが難しいので、課題となり得る。例えば、材料の熱溶着は、溶着の温度における平坦温度をもたらし得、これは、いくつかの実施形態において所望されない場合がある。したがって、いくつかの実施形態において、波状表面パターン1001を有するローラー1000(
図10、11)の使用は、リボン、布片またはシートを積層するために所望され、材料が低温であるときに材料が所望の中間温度または平坦温度を与えるように平坦化されるために、材料における湾曲または曲げを製造する方式を提供し得る。
【0096】
したがって、バイモルフ構築または処理の段階において、ロール間プロセスまたは布片、リボン、穿孔されたシート、穿刺されたシート、織物等の積層のための形状化またはパターン化されたローラー1000の使用は、バイモルフ、バイモルフシート、または二重層構造体の平坦温度または中間温度を制御するために所望され得る。加えて、いくつかの実施形態において、穿孔されたかまたは穿刺されたシートの使用は、ポリマー薄膜等の好ましく配向された方向がバイモルフ100またはシートに対する臨界寸法において整列される、バイモルフ100またはバイモルフシートのロール間プロセスを許容し得る。このような方向は、異方性の性質により所望され得る(例えば、CTE、係数、強度等)。このようなバイモルフシートはまた、第1の材料110及び第2の材料120の熱溶着または接着中の制御された温度、張力、曲率、及び圧力接触面積を通して平坦温度または中間温度を有するように設定され得る。
【0097】
図11は、各々が対向する波状表面1001を有する上ローラー1000A及び底ローラー1000Bによって生成されたバイモルフ100Eを例示する。この例において、バイモルフ100Eは、バイモルフ100Eの上側に対して凹状部分1010及び凸状部分1015を備える第2の材料120を備える。バイモルフ100Eの上側において、第1の材料110が、第2の材料120の凹状部分1010内に配設される。
【0098】
図11の例において、上ローラー1000A及び底ローラー1000Bは、熱及び/または圧力を提供し、これが、バイモルフ100Eにおける凹状部分1010及び凸状部分1015を生成し得るか、ならびに/または第1の材料110及び第2の材料120を結合し得る。
【0099】
熱膨張係数(CTE)における差は、バイモルフ100の動作または撓みの範囲を示し得る項である。いくつかの材料に伴うΔCTE項は、100~200μm/m/Kであり得、これは、いくつかの実施形態に対して所望されない場合がある。したがって、バイモルフの種々の実施形態は、重度に撚られたポリマーコイルアクチュエータ1210(例えば、
図12a、12b、13a、13b等)を備え、これは、いくつかの実施形態において1000μm/m/K以上の有効CTE値を有し得る。このようなCTE値は、所望の撓みまたは曲げ特性を有するバイモルフ及び二重層構造体における使用を見出し得る。特に大きなCTE値を有する任意の材料は、単に撚られたポリマーコイルアクチュエータのみならず、この様式において有用であり得る。
【0100】
種々の実施形態において、コイル状アクチュエータ1210は、熱応答性引張アクチュエータ(直線動作)及び/または捩りアクチュエータ(回転動作)として機能し得る。更なる実施形態において、補材の使用を通して、本明細書において説明される構造体は、コイル状アクチュエータ1210の直線動作を直交方向における動作に変換する。このような実施形態は、熱応答性織糸、充填材、フェルト、布地等における使用のために所望され、これは、低温に露出されると厚くなる衣服及び他の物品を備え得る。
【0101】
種々の実施形態において、2つの対になった材料のCTE値間の差が大きい材料を対にすることが所望され得る。したがって、大きなCTE値を有するコイル状アクチュエータ1210は、バイモルフ100及びバイモルフ100を備える構造体における使用に所望され得る。いくつかの実施形態において、コイル状アクチュエータ1210は、正のCTE特性(例えば、温度上昇により膨張する、撚り方向及びコイル方向が反対であるヘテロキラルコイル)または大きな負のCTE特性(例えば、温度上昇により収縮する、撚り方向及びコイル方向が同じであるホモキラルコイル)を有し得る。種々の実施形態において、及び本明細書において説明されるように、同一細糸材料を含み、対向するコイル状アクチュエータ1210を一緒に対にすることは、大きなΔCTEを生成し得る。
【0102】
種々の実施形態において、バイモルフ100は、温度変化によるアクチュエータの直線転置がバイモルフ100における平面外または直交性の撓みを誘発し得る、撚られたコイルアクチュエータ1220を備え、バイモルフ100の高さまたは厚さにおける有効な変化を引き起こす。
【0103】
図12a及び12bは、コイル状アクチュエータ1210ならびに第1の端1230及び第2の端1240において結合された細糸1220を備えるバイモルフ100Fの例を例示する。コイル状アクチュエータ1210及び細糸1220は、第1の端1230及び第2の端1240において単に結合され得るか、及び/またはそれらの長さの部分に沿って結合され得る。
【0104】
種々の実施形態において、コイル状アクチュエータ1210は、温度変化に応答して長手方向に膨張し得るかまたは収縮し得る。例えば、コイル状アクチュエータ1210は、冷却すると収縮し得るか(ヘテロキラル繊維アクチュエータ、撚り方向及びコイル方向が反対である)、冷却すると膨張し得る(ホモキラル繊維アクチュエータ、撚り方向及びコイル方向が同一である)。種々の実施形態において、細糸1220は、膨張するか、収縮するか、または長手方向の実質的な変化を示さない。
【0105】
図12aは、左において第1の温度で平坦構成のバイモルフ100Fを例示し、右において温度変化によって生じた第1の収縮された構成を例示する。
図12bは、左において第1の温度で平坦構成の
図12aのバイモルフ100Fを例示し、右において
図12aに例示された温度変化とは反対の温度変化によって生じた第2の収縮構成を例示する。例えば、
図12aは、負の温度変化に基づく構成の変化を例示し、
図12bは、正の温度変化に基づく構成の変化を例示し得る。
【0106】
種々の実施形態において、コイル状アクチュエータ1210及び細糸1220は、
図12a及び12bの実施形態の例において示されるように両方が曲がるように構成され得、曲がった構成及び直線構成の両方において隣接する、コイル状アクチュエータ1210及び細糸1220の長さを有する。更なる実施形態において、コイル状アクチュエータ1210及び細糸1220は、異なる方式において曲がるように構成され、コイル状アクチュエータ1210及び細糸1220は、平坦構成及び/または曲がった構成において隣接しなくてもよい。
【0107】
例えば、
図13aは、バイモルフ100が平坦構成(左)及び曲がった構成(右)のときにコイル状アクチュエータ1210が直線構成を維持する、コイル状アクチュエータ1210及び細糸1320を有するバイモルフ100Gの実施形態の例を例示する。この例において、コイル状アクチュエータ1210は、温度変化によって収縮することを示され、これは、細糸1320がコイル状アクチュエータ1210から離れて曲がることを生じさせる。
【0108】
同様に、
図13bは、第1の細糸1320Aと第2の細糸1320Bとの間にコイル状アクチュエータ1210を有する第1の細糸1320A及び第2の細糸1320Bを備えるバイモルフ100Hを例示する。この例において、バイモルフ100Hは、温度変化によって収縮することを示され、これは、細糸1320A、1320Bが、直線構成を維持するコイル状アクチュエータ1210から離れて曲がることを生じさせる。
【0109】
図14a及び14bは、第1の端1230及び第2の端1240で結合された第1のコイル状アクチュエータ1210A及び第2のコイル状アクチュエータ1210Bを備えるバイモルフ100I、100Jの例を例示する。いくつかの実施形態において、コイル状アクチュエータ1210A、1210Bは、それらの長さの部分に沿って結合され得る。
図14aは、コイル状アクチュエータ1210A、1210Bが反対の熱応答を有し、平坦構成(左)及び曲がった構成(右)の両方において隣接しているままである、実施形態の例を例示する。これに対して、
図14bは、コイル状アクチュエータ1210A、1210Bが平坦構成(左)において隣接し、曲がった構成(右)において離れ得る、実施形態の例を例示する。
【0110】
図15は、バイモルフ100が平坦構成(左)及び曲がった構成(右)にあるときに細糸1220が直線構成を維持する、コイル状アクチュエータ1210及び細糸1220を有するバイモルフ100Kの実施形態の例を例示する。この例において、コイル状アクチュエータ1210は、温度変化によって膨張することを示され、これは、コイル状アクチュエータ1210が細いと1220から離れて曲がることを生じさせる。
【0111】
種々の実施形態において、1つ以上の硬い対抗細糸1220と結合された1つ以上の撚られたコイルアクチュエータ1210は、膨張するコイル1210が直交的に転置され、その有効厚さを依然として変化させる最小限の線膨張を有する構造体を作り出し得る、静止構造体として作用し得る。
図15は、このような構造体の一例を例示する。
【0112】
所望の有効CTE値に加えて、コイル状アクチュエータ1210は、シート構造体に対して利用することができない機械的接続経路、ならびに本明細書において論じられたように材料の同一長さから正及び負の両方のCTEコイルを生産する利点のような、いくつかの処理または製造の利点を提案し得る。コイル状アクチュエータ1210の有効CTE値は、材料の全長が芯棒の周囲にコイル状に巻かれ、コイルの中心に開空間を残すときに、コイル状アクチュエータ1210に対するバネ定数が大きくなる場合に最大化され得る。コイル状アクチュエータ1210はまた、このような構造体に存在し得る、多孔性、密度、及び通気性等によって所望され得る。
【0113】
図16は、反対の方式において温度変化に応答し得る、交互のヘテロキラルゾーン1610及びホモキラルゾーン1620を有するコイル状アクチュエータ1210の生産用の二重芯棒構造体1600を例示し、これは、側方歪みに対する耐性及び有効厚さの変化を残しつつ、最小限の直線歪みを有するコイル状アクチュエータ1210を生成し得る。構造体1600は、第1の芯棒1610A及び第2の芯棒1610Bを備え、各芯棒1610A、1610B.1の周囲に反対方向にコイル状に巻きつくコイル状アクチュエータ1210を有して示される。
【0114】
同一繊維アクチュエータ内の交互ヘテロキラルゾーン及びホモキラルゾーンはまた、両端を張力下で保持し、反対の撚りを有する繊維の区域を生み出しつつ、繊維をその中心において重度に撚ることによって生み出され得る。その後、その繊維を単一芯棒の周囲にコイル状に巻くことによって、結果的にコイルは、ヘテロキラルゾーン及びホモキラルゾーンの両方を有することになり、交互の収縮区分及び膨張区分を有する材料の全長をもたらす。
【0115】
種々の実施形態において、大きな撓み及び小さな直線歪みを有する材料は、織糸(または単独要素)内の同一原繊維内における交互の収縮区分及び膨張区分を通して生成され得る。例えば、
図16に例示されるコイル状アクチュエータ1600は、布地、織糸、または他の材料に含まれ得る。これに代えて、ある程度膨張し、ある程度収縮する、短繊維の使用が、小さな直線歪みを有する材料を生成し得る。
【0116】
種々の実施形態において、コイル状アクチュエータ1210は、本明細書においてより詳細に説明されるように、大きな有効ΔCTE値及び対応する大きな撓みを有するバイモルフシート構造体を作り出すために布地若しくは薄膜を通して織られるかまたは縫合され得る。更なる実施形態において、コイル状アクチュエータ1210は、バイモルフシートを作り出すためにシートに縫合されるかまたは付着され得る。いくつかの実施形態において、反対のキラリティの交互の膨張区分及び収縮区分を含む交互コイル区分を有するコイル状アクチュエータ1600(例えば、
図16に示されるもの)は、シートまたは布地の表面に縫合されるかまたは付着され得る。シート構造体は、シートまたはリボンが、交互キラリティコイル状アクチュエータ1600内の正または負の熱応答性ゾーンによって、温度変化による正弦的プロファイルをとる位置において形成され得る。交互キラリティコイル状アクチュエータ1600の実施形態は、種々の分野における用途を有し得る。例えば、種々の実施形態は、布地の表面上に、温度変化による布地の起伏を誘発する、交互の正及び負のCTE領域を作り出すために従来の二重縫合において交互キラリティコイルが使用され得る、熱適応性衣服の生産のために構成され得る。いくつかの実施形態において、二重縫合における第2の織糸または繊維は、大きなCTEまたは撚られたコイルアクチュエータ材料である必要はない。
【0117】
いくつかの実施形態において、複数のコイル状アクチュエータ1210は、並んでレイアウトされ、一緒に織られるかまたは縫合され、単一方向における所望のCTEを有するシートまたは層を作り出し得る。また更なる実施形態において、異なるCTEを有するこのようなシート(例えば、1つが大きな正のCTEを有し、1つが大きな負のCTEを有する)は、熱膨張における所望の差及び所望の曲率半径を有する平坦バイモルフシートを生産するために対にされ得る。
【0118】
更なる実施形態において、コイル状アクチュエータ1210は、薄膜、膜組織、または布地上に縫合され、このような薄膜、膜組織、または布地に熱応答性性質を与え得る。したがって、種々の実施形態は、断熱材料または布地を有する選択された材料のより深化した統合の必要を除去し得る。このような実施形態において、熱応答性材料は、付加的に織物の一部であり得るか、断熱材の主本体であり得るか、基板あり得るか、または接着若しくは熱付着を通して別の材料に接着され得る。
【0119】
更なる実施形態において、ゼロの全体変化を作り出すために正及び負のCTEゾーンが加わる、このような交互キラリティコイル状アクチュエータ1600から正味ゼロのCTE材料が構築され得る。
【0120】
加えて、コイル状アクチュエータ1210は、ガチョウの綿毛におけるものに類似する枝分かれ構造体を生成するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、コイル巻きプロセス中に薄い繊維の層を通して撚られた繊維を引張ることによって、薄い繊維がコイル内に捕捉されるかまたは絡ませられ、可変断熱性のより大きな状況において、有利な断熱、触感、及び構造的性質を有する枝分かれ構造体を形成し得る。
【0121】
コイル状アクチュエータ1210は、直線または捩りアクチュエータとして働き得る。種々の実施形態において、本明細書において論じられたように、2つの異なる材料を対にすることは、平面外または直交性の動作を生成し得る。いくつかの実施形態において、異なるCTE特性を有する相反的な対の撚られたコイルである織物構造体または編物構造体は、熱応答性バイモルフ100を備え得る。いくつかの実施形態において、複数の材料が温度に応答して変化する織物の全体の物理的構造体を生成するために種々の適切な方式で一緒に織られ得る。このような織物構造体は、コイル状アクチュエータ1210、または温度に応答して構成若しくは長さを変化させる他の適切な材料若しくは構造体を備え得る。
【0122】
種々の実施形態において、織物構造体または編物構造体は、全体動作が結合的であり、繊維の異種グループのランダムな個々の動きによって特徴付けられないように繊維を整列することによって制約として働き、これは、熱適応性材料及びその有効厚さにおけるその撓みまたは変化を最大化することに対して所望され得る。
【0123】
更なる実施形態において、感温性構造体は、活性材料が対抗して働く繊維、織糸、または布地のような非適応性制約を含み、非適応性材料が線形、直線、または平坦に留まり、活性材料が膨張によって山なりになるか、または活性材料が線形、直線、若しくは平坦に留まり、非適応性材料が活性材料の制約によって山なりになり得る。織ることか、編むことか、または接着剤の使用を通しての適当な制約は、このような構造体における所望の温度応答を生成し得る。いくつかの実施形態において、材料の動作の範囲を限定する制約を用いることは利点であり得る。
【0124】
加えて、本明細書において論じられたように、バイモルフ100を生成するために使用される材料は、湿気及び/または液体への露出(例えば、液体による浸潤)を含む、1つ以上の適切な環境条件に応答し得る。例えば、いくつかの実施形態において、温度変化及び水分変化(例えば、湿気及び/または利用者の汗に基づく)の両方に応答することが、衣服における応答断熱性に対して所望され得る。したがって、種々のバイモルフ構造体における水分感応性ポリマー及び他の適切な材料の使用は、温度及び水分の両方に応答的であるように構成され得る。このような材料は、水分または化学的刺激に主に応答的であり得る。
【0125】
図17は、熱適応性織物構造体1700の実施形態の一例を例示する。この例において、構造体1700は、幾何形状変化が布地の平面ではなく、その代わりにそれに垂直であり、布地の厚さを有効に変化させる、熱応答性織物を作り出すために、異なる熱膨張特性を有する繊維を制約するように構成され得る。
【0126】
構造体1700は、異なる熱膨張係数を有し得る、第1の繊維1710及び第2の1720を備えることを示される。より具体的には、第1の繊維1710は、平行に延びる第2の繊維1720に対して異なる熱膨張係数を有し、これが交互バイモルフ構造体を生成し得る。上位の交差繊維(または織糸)1730及び下位の交差繊維(または織糸)1740は、構造体1700の形状を保持するか、及び/または第1の繊維1710及び第2の繊維1720を閉じ込めるように補助する。交差繊維1730、1740は、いくつかの実施形態によって、温度変化に応答して形状または長さを変化させてもよく、変化させなくてもよい。種々の実施形態において、構造体1700は、
図2及び3に示されるような交互バイモルフ構造体として振舞い、温度変化により平行で対向する第1の繊維1710及び第2の繊維1720の全長に沿った異なる膨張または収縮を誘発する波状構造(例えば、波板のような)をとり得る。交差して延びる繊維は、任意の特別な熱特性を有する必要はないが、外部刺激に応答して全体幾何形状の歪の主な原因となる平行で対向する繊維を制限する、それらの役割が重要である。
【0127】
図18a及び18bは、温度の上昇に応答して山なりになることを示す袋またはキルトにおける熱応答性織物構造体1800を例示する。
図18aは、約25℃における構造体を例示し、
図18bは、約65℃における構造体を例示する。この例において、加熱は、構造体1800が山なりになることを引き起こすが、更なる実施形態において、本明細書において論じられたように、構造体1800は、温度の低下に応答して山なりになるように構成されてもよい。
【0128】
図19a及び19bは、温度の低下に応答して山なりになることを示す熱応答性織物構造体を例示する。
図19aは、30℃において実質的に平坦な織物構造体を例示し、
図19bは、7℃において山なりになった構造体を例示する。
【0129】
本明細書において説明された織物または編物の実施形態は、既存の基盤施設及び生産方法の利点を享受し得るので、好都合であり得る。更なる実施形態は、接着剤及び/または熱付着、重量を付加し得るか、物理的歪みを誘発し得るか、またはいくつかの実施形態の材料の性質を変化し得る技術の使用を好ましく回避し得る。加えて、本明細書において論じられた織物構造体または編物構造体はまた、水分管理のためのウィッキング用の繊維、耐摩耗用の繊維、接触または感触のための繊維等のような、適応性織物に対する利点を提案し得る付加的なパターン化繊維の導入を許容し得る。
【0130】
説明された実施形態は、種々の変更及び代替的形式を許容し、それらの特定の例が、図面における例によって示されており、本明細書において詳細に説明された。しかしながら、説明された実施形態が、開示された特定の形式または方法に限定されるものではなく、それとは反対に、本開示が、全ての変更例、同等例、及び代替例を包含することが理解されるべきである。