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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】エラストマー組成物、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20220208BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20220208BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K7/00
C08L23/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018017679
(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公開番号】P2019131776
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】新土 誠実
(72)【発明者】
【氏名】大鷲 圭吾
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-186548(JP,A)
【文献】特開2012-012425(JP,A)
【文献】特開2017-025248(JP,A)
【文献】特開2014-201676(JP,A)
【文献】特開2012-131947(JP,A)
【文献】国際公開第2010/050552(WO,A1)
【文献】特開2017-179315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーを含むマトリックス成分と、前記マトリックス成分中に分散された無機フィラーとを含有するエラストマー組成物において、前記無機フィラーが丸み状フィラー及び板状フィラーを含み、
前記エラストマー組成物が非多孔質体であり、
以下に示すとおりに得られる偏在パラメータが4以上となるように前記板状フィラーが、前記マトリックス成分において偏在するように分散されており、
前記丸み状フィラーの長径/短径比が、1~2.8であエラストマー組成物。
(偏在パラメータ)
前記偏在パラメータは、前記エラストマー組成物の断面の観察画像上に、升目を、1升の縦及び横が、前記板状フィラーの半径の3倍となるように、かつ10×10で前記升目の数が100個となるように、又は10×10で描けない場合には100個に最も近似するように描いた場合において、前記板状フィラーが30%以上の面積を占有する升からなる偏在部分が、縦、横又は斜め方向に繋がる偏在領域において、繋がっている前記偏在部分の個数の最大値と、前記最大値となる偏在領域の数とをかけることで得られるパラメータである。ここで、前記板状フィラーの半径とは、異なる板状フィラーの長径を50個測定し、長径の長いものから20個の平均値を直径とし、該直径に1/2をかけることで得られる半径である。
【請求項2】
前記丸み状フィラーの粒径が55μm以上である請求項1に記載のエラストマー組成物。
【請求項3】
前記丸み状フィラーのモース硬度が9以下である請求項1又は2に記載のエラストマー組成物。
【請求項4】
前記丸み状フィラー及び板状フィラーそれぞれが、熱伝導性フィラー、導電性フィラー、及び絶縁性フィラーからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項5】
前記板状フィラーが、相分離構造によらずに前記マトリックス成分において偏在している請求項1~のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項6】
前記エラストマーが、オレフィン系ゴムである請求項1~のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項7】
前記板状フィラーの含有量が、マトリックス成分100体積部に対して、15~80体積部であるとともに、前記丸み状フィラーの含有量が、マトリックス成分100体積部に対して、20~100体積部である請求項1~のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載のエラストマー組成物の製造方法であって、
前記板状フィラーの凝集体、及び前記丸み状フィラーと、マトリックス成分とを混練させる工程を含む、エラストマー組成物の製造方法。
【請求項9】
前記凝集体の粒径に対する丸み状フィラーの粒径の比が1より大きく2.5以下である請求項に記載のエラストマー組成物の製造方法。
【請求項10】
前記凝集体の粒径が40μmより大きい請求項又はに記載のエラストマー組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状及び丸み状の無機フィラーを含有するエラストマー組成物、及びエラストマー組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エラストマー、樹脂などに熱伝導性フィラー、導電性フィラーなどの無機フィラーを含有させた樹脂組成物が広く知られている。このような樹脂組成物においては、熱伝導性、導電性などの無機フィラーによって付与される各種性能を向上させるために、様々な試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、樹脂組成物を、それぞれが三次元的に連続し、かつ異なる樹脂成分からなる第1相、及び第2相からなる共連続相分離構造を有するものとし、無機フィラーを第1相及び第2相の界面に偏在させることが開示されている。また、特許文献2には、特許文献1と同様に、樹脂組成物を第1相、及び第2相からなる相分離構造にして、第1相に偏在させる小径無機フィラーに加えて、第1相及び第2相に跨らせ、小径無機フィラーを熱的に接続させる大径無機フィラーも配合させることが開示されている。
特許文献1、2では、偏在する無機フィラー、さらには、その偏在するフィラーを接続する大径無機フィラーによって、熱パスが形成されるため、熱伝導性を向上させることが可能になる。
さらに、特許文献3では、弾性層を有する電子写真定着用定着部材において、弾性層表面に繊維状のフィラーを偏在させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-132894号公報
【文献】国際公開2014/155975号
【文献】特開2014-134696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、無機フィラーとして、熱伝導性、導電性などの各種性能を向上させるために、鱗片状などに代表される板状フィラーの使用が広く検討されている。そして、板状フィラーを使用した樹脂組成物でも、特許文献1~3に示すように、熱伝導性などの無機フィラーによって付与される各種性能をさらに向上させることが望まれつつある。
しかし、特許文献1、2では、熱パスを形成するために相分離構造が必要であり、使用できる樹脂及びフィラーに制限がある。具体的には、樹脂として熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を併用する必要があり、さらに、無機フィラーとして板状フィラーを使用することも検討されていない。また、特許文献3でも、繊維状フィラーを使用するが前提となっており、板状フィラーを使用することが検討されていない。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、板状フィラーを含有するエラストマー組成物において、板状フィラーによって付与される各種性能を良好にすることが可能なエラストマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、板状フィラーを球形フィラーなどの丸み状フィラーと併用し、かつ、少なくとも板状フィラーを、エラストマーを含むマトリックス成分中において偏在するように分散させることで、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
[1]エラストマーを含むマトリックス成分と、前記マトリックス成分中に分散された無機フィラーとを含有するエラストマー組成物において、前記無機フィラーが丸み状フィラー及び板状フィラーを含み、かつ前記板状フィラーが、前記マトリックス成分において偏在するように分散されているエラストマー組成物。
[2]前記丸み状フィラーの粒径が55μm以上である上記[1]に記載のエラストマー組成物。
[3]偏在パラメータが3以上である上記[1]又は[2]に記載のエラストマー組成物。
[4]前記丸み状フィラーのモース硬度が9以下である上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
[5]前記丸み状フィラー及び板状フィラーそれぞれが、熱伝導性フィラー、導電性フィラー、及び絶縁性フィラーからなる群から選択される少なくとも1種である上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
[6]前記板状フィラーが、相分離構造によらずに前記マトリックス成分において偏在している上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
[7]前記エラストマーが、オレフィン系ゴムである上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
[8]前記板状フィラーの含有量が、マトリックス成分100体積部に対して、15~80体積部であるとともに、前記丸み状フィラーの含有量が、マトリックス成分100体積部に対して、20~100体積部である上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
[9]上記[1]~[8]のいずれか1項に記載のエラストマー組成物の製造方法であって、
前記板状フィラーの凝集体、及び前記丸み状フィラーと、マトリックス成分とを混練させる工程を含む、エラストマー組成物の製造方法。
[10]前記凝集体の粒径に対する丸み状フィラーの粒径の比が1より大きく2.5以下である上記[9]に記載のエラストマー組成物の製造方法。
[11]前記凝集体の粒径が40μmより大きい上記[9]又は[10]に記載のエラストマー組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板状フィラーをエラストマー組成物に含有させても、少なくとも板状フィラーを、エラストマーを含むマトリックス成分中に偏在させることで、フィラーによって付与される各種性能を良好にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エラストマー組成物において、偏在パラメータの測定方法を説明するための図である。
図2】エラストマー組成物において、偏在パラメータの測定方法を説明するための図である。
図3】エラストマー組成物を多孔質体とした場合の偏在パラメータの測定方法を説明するための図である。
図4】エラストマー組成物を多孔質体とした場合の偏在パラメータの測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
[エラストマー組成物]
本発明のエラストマー組成物は、エラストマーを含むマトリックス成分と、マトリックス成分中に分散された無機フィラーを含有するものである。
本発明のエラストマー組成物は、内部に多数の気泡を有する多孔質体となっていてもよいし、多孔質体でなくてもよい。なお、多孔質体でない場合には、非多孔質体ともいう。エラストマー組成物は、多孔質体であることで、柔軟性を高めることが可能になる。また、エラストマー組成物は、多孔質体である場合、好ましくは発泡体である。一方、非多孔質体である場合は、非発泡体である。
【0011】
(エラストマー)
本発明で使用されるエラストマーとしては、オレフィン系ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン-イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体等が挙げられる。エラストマーは、1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。本発明ではエラストマーを使用することで、エラストマー組成物の柔軟性を高めることが可能になる。
また、エラストマーは、上記した中では、アクリロニトリルブタジエンゴム、オレフィン系ゴムがより好ましく、オレフィン系ゴムが更に好ましい。
【0012】
オレフィン系ゴムとしては、2種類以上のオレフィン系モノマーが実質的にランダムに共重合した非晶質もしくは低結晶性のゴム状物質であり、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムが好ましい。
ここで、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムに使用されるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセンなどの炭素原子数3~10程度のオレフィン1種または2種以上が挙げられ、これらの中ではプロピレンが好ましい。
また、オレフィン系ゴムは、オレフィン以外の単量体からなる繰り返し単位を含有していてもよく、その単量体としては、エチリデンノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等の炭素原子数5~15程度の非共役ジエン化合物で代表されるジエン化合物が挙げられる。
オレフィン系ゴムは、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
好ましいオレフィン系ゴムの具体例としては、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)が挙げられ、中でもEPDMがより好ましい。
【0013】
上記したエラストマーは、常温(23℃)かつ常圧(1気圧)で固体状のエラストマー(「第1のエラストマー」ともいう)であってもよいし、液状のエラストマー(「第2のエラストマー」ともいう)であってもよいし、第1及び第2のエラストマーを併用してもよいが、少なくとも第1のエラストマーを使用することが好ましい。
第1のエラストマーは、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が10~100であることが好ましい。ムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、10~50がより好ましく、15~40がさらに好ましい。
また、第2のエラストマーは、23℃における粘度が1~1000Pa・sが好ましく、2~500Pa・sがより好ましく、5~100Pa・sがさらに好ましい。ムーニー粘度及び23℃における粘度を上記範囲内とすることで、エラストマー組成物における成形性、及び発泡体における発泡性などが良好になる。
なお、エラストマーのムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、JIS K6300-1に準拠して測定した値である。また、23℃における粘度は、B型回転粘度計により回転速度1rpmにて測定した値である。
マトリックス成分における第1のエラストマーに対する第2のエラストマーの体積比(第2のエラストマー/第1のエラストマー)は、0/100~70/30が好ましく、20/80~60/40がより好ましく、30/70~50/50がさらに好ましい。
【0014】
マトリックス成分は、多孔質体において無機フィラーを内部に分散させる成分であり、エラストマーに加えて、軟化剤を含有していてもよい。また、マトリックス成分は、エラストマー以外の樹脂を含有してもよい。すなわち、マトリックス成分は、エラストマー単独からなるものでもよいし、エラストマーと、樹脂及び軟化剤の少なくともいずれかとからなるものでもよい。
【0015】
軟化剤としては、上記したエラストマーとの相溶性が良好であるものが使用され、具体的にはプロセスオイル、より詳細にはパラフィンオイルなどの鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤、さらにはプロセスオイル以外の油系の合成軟化剤等が挙げられる。また、軟化剤は、エラストマーに予め加えたうえで配合してもよく、例えば、プロセルオイルを使用する場合、上記したエラストマーにプロセルオイルを予め加えた油展エラストマーを使用してもよい。もちろん、エラストマーとは別に配合してもよい。
軟化剤は第2のエラストマーの一部または全量を置き換えて使用しえるものである。すなわち、マトリックス成分が軟化剤を含有する場合、第1のエラストマーに対する、第2のエラストマー及び軟化剤の合計量の体積比[(第2のエラストマー+軟化剤)/第1のエラストマー]は、0/100~70/30が好ましく、20/80~60/40がより好ましく、30/70~50/50がさらに好ましい。
また、軟化剤と第2のエラストマーを併用する場合、軟化剤の含有量は、第2のエラストマー100体積部に対して、好ましくは40~200体積部、より好ましくは50~170体積部、さらに好ましくは65~150体積部である。
【0016】
エラストマー以外の樹脂の種類は、特に制限されないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を使用可能である。
樹脂を使用する場合、エラストマー以外の樹脂の合計含有量は、エラストマー100体積部に対して、好ましくは90体積部以下、より好ましくは50体積部以下、さらに好ましくは1~50体積部である。
【0017】
(無機フィラー)
エラストマー組成物は、無機フィラーとして、丸み状フィラー及び板状フィラーを含有する。丸み状フィラー及び板状フィラーとしては、熱伝導性が高く、エラストマー組成物の熱伝導性を向上させる熱伝導性フィラー、導電性が高く、エラストマー組成物の導電性を向上させる導電性フィラー、及び、導電性が低く実質的に絶縁体である絶縁性フィラーなどが挙げられる。
熱伝導性フィラーは、熱伝導率が20W/m・K以上であることが好ましく、より好ましくは30W/m・K以上、さらに好ましくは40W/m・K以上である。また、熱伝導率は、その上限が特に限定されないが、実用的には、200W/m・K以下、好ましくは100W/m・K以下である。
【0018】
導電性フィラーは、体積抵抗率が1×10Ω・m以下が好ましく、1×10-1Ω・m以下がより好ましい。体積抵抗率が上記上限値以下であれば、多孔質体に高い導電性を付与することが可能である。また、導電性フィラーの体積抵抗率は、その下限は特に限定されないが、実用的には1×10-10Ω・m以上である。
また、絶縁性フィラーは、体積抵抗率が1×10Ω・m以上が好ましく、1×1010Ω・m以上がより好ましい。体積抵抗率が上記下限値以上であれば、多孔質体に高い絶縁性を付与することが可能になる。また、絶縁性フィラーの体積抵抗率は、その上限は特に限定されないが、実用的には1×1020Ω・m以下である。
なお、フィラーの体積抵抗率は、フィラーを加圧成型したのち、導電性フィラーについてはJIS K 7194に準拠し、絶縁性フィラーについてはJIS K 6911に準拠し測定されるものである。
【0019】
本発明において、丸み状フィラー及び板状フィラーは、いずれも同種のフィラーを使用することが好ましい。すなわち、丸み状フィラーが導電性フィラーならば、板状フィラーも導電性フィラーであることが好ましく、丸み状フィラーが熱伝導性フィラーならば、板状フィラーも熱伝導性フィラーであることが好ましい。また、丸み状フィラー及び板状フィラーは、いずれも熱伝導性フィラーであることがより好ましい。
【0020】
本発明において板状フィラーとは、フィラー形状が薄片状、鱗片状のフィラーで、各フィラーの長径が、厚さよりも十分に大きいものであり、厚さに対する長径の比が3以上、好ましくは5以上となるものである。また、厚さに対する長径の比は、特に限定されないが、通常500以下、好ましくは400以下、より好ましくは300以下となるものである。
【0021】
また、丸み状フィラーは、丸みを有し、長径/短径比の低いフィラーであり、具体的には、球形または球形に近い形状のものが挙げられる。丸み状フィラーは、長径の短径に対する比(長径/短径比)が1又は1に近いものであり、具体的には、その比が1~2.8、好ましくは1~2.2、より好ましくは1~2となるものである。
なお、エラストマー組成物において、板状フィラーの長径及び厚さ、丸み状フィラーの長径及び短径などは、組成物の断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡などにより観察して測定すればよい。
【0022】
本発明では、マトリックス成分において、少なくとも板状フィラーが偏在するように分散されるものである。また、板状フィラーが偏在することで、丸み状フィラーもマトリックス成分において偏在することが好ましい。なお、板状フィラー又は丸み状フィラーが偏在するとは、エラストマー組成物において、板状フィラー又は丸み状フィラーが纏まって存在する部分と、板状フィラー又は丸み状フィラーが殆どない部分が存在し、かつ板状フィラー又は丸み状フィラーが纏まって存在する部分がある程度連続することを意味する。
このように、エラストマー組成物において、板状フィラーが偏在し、また、板状フィラーに加えさらに丸み状フィラーが偏在すると、その偏在するフィラーによって熱伝導性パス又は導電性パスなどがエラストマー組成物において形成され、熱伝導性、導電性など、無機フィラーによって付与される各種性能が良好になる。
【0023】
一般的に、マトリックス成分は、三次元的に連続する第1相と、第1相と相違するマトリックス成分により構成される第2相とを備える相分離構造となることがある。そのような態様においては、例えば、上記特許文献1、2などに開示されるように、相分離構造が形成される過程において、フィラーを第1相と第2相の界面、又は、第1相若しくは第2相のいずれかに偏在させることが知られている。それに対して、本発明の板状フィラーは、そのような相分離構造によらずに、マトリックス成分において偏在するものである。また、丸み状フィラーが偏在する場合には、丸み状フィラーも相分離構造によらずに、マトリックス成分において偏在するものである。
ここで、相分離構造とは、特に限定されないが、海島構造、連続球状構造、複合分散構造、共連続構造などが挙げられる。
【0024】
相分離構造に基づくと、使用するマトリックス成分及びフィラーの種類に制限があるが、本発明では、そのような制限が少なく、各種のエラストマーを含むマトリックス成分中に各種の板状フィラーを偏在させることが可能になる。なお、本発明は、板状フィラー及び丸み状フィラーが相分離構造によらずに、偏在するものであればよい。したがって、マトリックス成分は、通常、相分離構造を有しないが、相分離構造を有してもよい。
【0025】
本発明では、フィラーの偏在の程度を表す板状フィラーの偏在パラメータが、3以上であることが好ましい。偏在パラメータが、3以上であると、板状フィラーの偏在が十分であるので、エラストマー組成物において、熱伝導性、導電性などの無機フィラーによって付与される各種性能が優れたものとなる。また、偏在パラメータは、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、よりさらに好ましくは8以上である。
【0026】
以下、偏在パラメータの測定方法を図1~4を参照して説明する。なお、図1,2は、エラストマー組成物が非発泡体(非多孔質体)に適用された例を示し、図3、4は、エラストマー組成物が発泡体(多孔質体)に適用された例である。
本測定では、まず、図1、3に示すように、クロスセクショナルポリッシャーにて切断した任意断面について、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡により観察画像を得る。図1、3に示すように、観察画像には、マトリックス成分11に板状フィラー12、及び丸み状フィラー13が分散されたエラストマー組成物10の断面が示される。
【0027】
なお、クロスセクショナルポリッシャーにて任意断面で切断する際、そのまま切断してもよいし、エポキシ樹脂に浸漬した後、加熱することにて包埋処理してから切断してもよい。
なお、一般的には、非多孔質体の場合には、包理処理をせず、多孔質体のときに包理処理をするとよい。したがって、非多孔質体である図1、2は包理処理をしない例を、多孔質体である図3,4は包理処理をする例を示す。エポキシ樹脂14により包埋処理されると、切断断面における気泡15には、概ねエポキシ樹脂14が充填される。
また、任意断面は、厚さ方向が分かる場合には、厚さ方向に沿うように切断したものとすればよく、厚さ方向及びMD方向が分かる場合には、厚さ方向及びTD方向に沿って切断すればよい。
【0028】
次に、観察画像を用いて、板状フィラー12の半径を求める。具体的には、異なる板状フィラー12の長径を50個測定し、長径の長いものから20個の平均値を直径とし、その1/2を半径とする。なお、板状フィラー12は、凝集体である場合には、板状フィラーの直径とは、一次粒子の直径を意味する。
次に、図1、3に示すように、1升の縦及び横が板状フィラー12の半径の3倍となるように、升目を観察画像上に描く。升目としては、図3に示すように、10×10の升目を描ける場合には、10×10(升が100個)の升目を描く。ただし、エラストマー組成物の寸法が小さく(例えば、厚さが小さい場合など)、10×10の升目を描けない場合には、図1に示すように升の数が100個に最も近似するようにn×mの升目(なお、n、mはいずれも正の整数)を描くとよい。なお、図1の例では、9×11の升目が描かれている。
その後、図2、4に示すように、板状フィラーが30%以上の面積を占有する升を偏在部分21として選択する。なお、図2、4では、偏在部分21は、斜線のハッチングで示す。そして、その偏在部分21が繋がっている部分を偏在領域22とし、偏在領域22の繋がっている升の個数の最大値と、その最大値となる偏在領域22の数をかけたものを偏在パラメータとする。なお、偏在部分21が繋がっているとは、縦または横に隣り合っているもののみならず、斜め方向において繋がっているものも含む。
図1,2に示した非発泡体の例では、偏在領域22における繋がっている升の個数の最大値は、“10”であり、その最大値となる偏在領域22の数は、“1”であるため、偏在パラメータは、10×1=10となる。
図3、4に示した発泡体の例では,偏在領域22における繋がっている升の個数の最大値は、“3”であり、その最大値となる偏在領域22の数は、“2”であるため、偏在パラメータは、3×2=6となる。
【0029】
さらに、本発明では、上記のように偏在部分21を選択した後、偏在部分21を除く部分のうち、気泡15となる面積が50%以上となる升を気泡部分23とし、エラストマー組成物10における気泡部分23となる升以外の升を、エラストマー本体部24とするとよい。なお、気泡部分23の升は、図2,4では白抜きで表される。
そして、エラストマー本体部24の升の数に対する、偏在部分21の升の数の比で算出される、エラストマー本体部24における偏在部分21の割合(以下、「偏在割合」ともいう)は、0.5以下であることが好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下であることがさらに好ましい。偏在割合が0.5以下であると、板状フィラーの偏在部分21が、エラストマー組成物10の一部に留まり、板状フィラーを偏在させたことによる効果を発揮しやすくなる。また、偏在部分21が全体に広がらないことで、丸み状フィラーも合わせて偏在させることが可能になる。また、偏在割合が0.1未満となると、フィラーが均一に分散していることとなり、偏在と呼ぶことができない。すなわち、偏在割合は0.1以上とするとよい。
【0030】
なお、図1、2の例では,気泡部分23は、4升であるのでエラストマー本体部24は99-4=95升となる。一方、偏在部分21は、16升であるので、偏在割合は、16/95=0.17となる。
図3、4の例では,気泡部分23が34升であるので、エラストマー本体部24が100-34=66升となる。一方で、偏在部分21は10升であるので、偏在割合は、10/66=0.15となる。
【0031】
さらに、図1、2の例は、非発泡体であるが、このような非発泡体であっても、エラストマー組成物には気泡15が形成されることがある。そのような気泡15は、例えばマトリックス成分と、無機フィラーを混練するときに巻き込まれる空気等により不可避的に形成されるものである。ただし、非発泡体において気泡15は少量であり、少量の気泡15があってもそのような非発泡体は本明細書では非多孔質体とする。具体的には、全升の数(図1、2では、99升)に対する、気泡部分23の升の数の比で算出される、気泡割合が、0.1以下となるようなものは非多孔質体とする。
一方で、図3、4に示すように,気泡割合が0.1を越えるとなるものは多孔質体とするが、その場合の気泡割合は、0.2以上が好ましい。
なお、図1、2の例における気泡割合は、4/99=0.04、図3、4の例における気泡割合は、34/100=0.34である。
【0032】
丸み状フィラー及び板状フィラーの材質は特に限定されないが、丸み状フィラー及び板状フィラーとしてはそれぞれ、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、これらの酸化物を含む複合酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及びこれらの窒化物を含む複合窒化物、マイカ、タルク、ウォラストナイト、炭素系フィラー、シリコン、チタン、銅、ニッケル、スズ、銀、金、及びこれらの金属を含む合金からなる各種金属フィラーから選ばれる少なくとも1種が使用される。炭素系フィラーとしては、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。丸み状フィラー及び板状フィラーそれぞれにおいて、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
これらのうち、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、タルク、窒化アルミニウム、グラファイト、金属などは熱伝導性フィラーとして使用できるものである。一方、カーボンブラック、黒鉛、シリコンや各種金属フィラーなどは、導電性フィラーとして使用できる。また、絶縁性フィラーとしては、マイカ、窒化ケイ素、タルク、ウォラストナイトや各種金属酸化物、各種金属水酸化物、各種金属窒化物が使用可能である。
丸み状フィラー及び板状フィラーとしては、絶縁性フィラーでありながら、熱伝導性フィラーであるものも使用可能である。同様に、導電性フィラーでありながら、熱伝導性フィラーであるものも使用可能である。
【0034】
本発明で使用する丸み状フィラーは、モース硬度が9以下であることが好ましい。モース硬度を9以下とすることで、後述するように丸み状フィラーをマトリックス成分と混練するときに、丸み状フィラーから板状フィラーに作用される負荷が低減され、板状フィラーの凝集状態が崩れにくくなり、それにより、板状フィラーがマトリックス成分中において偏在しやすくなる。このような観点から、モース硬度は、好ましくは3以下である。また、モース硬度は、丸み状フィラーの機械強度などをある程度確保する観点から、1以上7以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。なお、モース硬度の測定は、モース硬度計により測定するとよい。
【0035】
本発明において、丸み状フィラー及び板状フィラーはそれぞれ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、グラファイトから選択される1種又は2種以上が好ましい。これらの無機フィラーは、一般的に熱伝導率が高く、熱伝導性フィラーとして好適である。
また、丸み状フィラーとしては、上記した中では、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、酸化マグネシウムが好ましく、酸化マグネシウム、酸化亜鉛がより好ましく、中でも酸化マグネシウムが特に好ましい。酸化亜鉛、窒化アルミニウム、及び酸化マグネシウムは、モース硬度を低くして上記した範囲内にすることが可能であるため、これらを丸み状フィラーとすることで、板状フィラーがマトリックス成分中において偏在しやすくなる。また、酸化マグネシウム、酸化亜鉛は、機械強度もある程度確保でき、かつ熱伝導性も良好であるため、多孔質体の性能を良好にしやすくなる。
一方で、板状フィラーとしては、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、グラフェンが好ましく、窒化ホウ素がより好ましい。
【0036】
板状フィラーは、後述するように、原料として凝集体の形態で、マトリックス成分に配合されるとよい。したがって、板状フィラーは、エラストマー組成物においても凝集体の形態で存在してもよいし、エラストマー組成物の製造工程において、一部又は全部が解砕され、凝集されない状態で存在してもよい。ただし、板状フィラーは、エラストマー組成物において、一部又は全部が凝集した状態、または集合した状態となっていることが好ましい。板状フィラーがエラストマー組成物において凝集又は集合することで、熱伝導性パス又は導電性パスなどがより形成されやすくなり、フィラーによって付与される各種性能がより良好となる。
【0037】
エラストマー組成物に含有される無機フィラーは、上記した板状フィラー、及び丸み状フィラーのみからなってもよいが、これら以外の形状の無機フィラー(「その他形状のフィラー」ともいう)を有してもよい。その他形状のフィラーは、上記した熱伝導性フィラー、導電性フィラー、及び絶縁性フィラーのいずれでもよいが、板状フィラー及び丸み状フィラーの一方又は両方と同種のフィラーが好ましい。また、その他形状のフィラーの材質としても上記した丸み状フィラー及び板状フィラーで示した材料と同様のものを使用可能である。
【0038】
エラストマー組成物において板状フィラーの含有量は、マトリックス成分100体積部に対して、15体積部以上が好ましく、25体積部以上がより好ましく、30体積部以上がさらに好ましい。含有量をこれら下限値以上とすることで、熱伝導性、導電性など、板状フィラーによって付与される各種性能を良好にしやすい。また、多孔質体とする場合、本発明ではフィラーが偏在することで、含有量を上記下限値以上としても発泡性が低下しにくくなる。
また、板状フィラーの含有量は、マトリックス成分100体積部に対して、80体積部以下が好ましく、60体積部以下がより好ましく、45体積部以下がさらに好ましい。板状フィラーの含有量をこれら上限値以下とすることで、エラストマー組成物の柔軟性が損なわれるなどの不具合を生じさせることなく、板状フィラーをエラストマー組成物に配合させることが可能になる。また、多孔質体である場合、発泡性も良好となる。
【0039】
また、エラストマー組成物において丸み状フィラーの含有量は、マトリックス成分100体積部に対して、20体積部以上が好ましく、35体積部以上がより好ましく、45体積部以上がさらに好ましい。丸み状フィラーの含有量を上記下限値以上とすることで、熱伝導性、導電性などの各種性能が良好となりやすい。また、板状フィラー及び丸み状フィラーを偏在させやすくなる。
丸み状フィラーの含有量は、マトリックス成分100体積部に対して、100体積部以下が好ましく、85体積部以下がより好ましく、75体積部以下がさらに好ましい。丸み状フィラーの含有量をこれら上限値以下とすることで、エラストマー組成物の柔軟性が損なわれるなどの不具合を生じさせずに、丸み状フィラーをエラストマー組成物に配合させることが可能になる。また、多孔質体である場合、発泡性も良好となる。
【0040】
エラストマー組成物における無機フィラーの合計量は、マトリックス成分100体積部に対して、35体積部以上が好ましく、45体積部以上がより好ましく、60体積部以上がさらに好ましい。無機フィラーの含有量をこれら下限値以上とすることで、無機フィラーによって付与される熱伝導性、導電性などの各種性能が良好となりやすい。
また、多孔質体における無機フィラーの合計量は、マトリックス成分100体積部に対して、180体積部以下が好ましく、150体積部以下がより好ましく、120体積部以下がさらに好ましい。無機フィラーの含有量をこれら上限値以下とすることで、エラストマー組成物の柔軟性が損なわれるなどの不具合を生じさせることなく、無機フィラーを配合させることが可能になる。また、多孔質体である場合、発泡性などが良好となる。
【0041】
(発泡剤)
エラストマー組成物は、多孔質体である場合、エラストマー組成物に配合された発泡剤により発泡されるとよく、その発泡剤としては熱分解型発泡剤が好ましい。本発明のエラストマー組成物は、熱分解型発泡剤等の発泡剤により発泡され、かつ板状フィラーを含むものであっても、上記のように、フィラーを偏在させることで発泡性を良好にすることが可能である。
また、エラストマー組成物は、非多孔質体であっても、発泡剤が配合されていてもよい。発泡剤が配合されている場合でも、その発泡剤が発泡しない条件でエラストマー組成物を製造することで、非多孔質体とすることが可能である。すなわち、熱分解型発泡剤を使用する場合には、分解温度未満の温度でエラストマー組成物を混練などして製造するとよい。
【0042】
熱分解型発泡剤の具体例としては、分解温度が140℃~270℃程度の有機系又は無機系の化学発泡剤が挙げられる。
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
熱分解型発泡剤の配合量は、気泡が破裂せずに適切に発泡ができるように、マトリックス成分100体積部に対して0.5~20体積部が好ましく、3~16体積部がより好ましく、5~14体積部がさらに好ましい。
【0043】
(その他の添加剤)
エラストマー組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、上記マトリックス成分、無機フィラー、及び発泡剤以外の成分を配合してもよく、例えば、各種の添加剤を配合しもよい。
添加剤の種類は特に限定されず、エラストマー組成物に通常使用される各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、上記フィラー以外の充填剤、補強剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、架橋剤、及び表面処理剤等が挙げられる。
これらの中では、酸化防止剤を使用することが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられるが、これらの中では、フェノール系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤は、例えばマトリックス成分100体積部に対して、0.3~15体積部が好ましく、1~10体積部がより好ましい。
また、エラストマー組成物を発泡体(多孔質体)とする場合には、発泡助剤、気泡核剤などを配合してもよい。なお、発泡助剤としては、硫酸鉛、尿素、ステアリン酸亜鉛等が用いられる。
また、以上述べた各種添加剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
エラストマー組成物が発泡体からなる多孔質体である場合、その発泡倍率は、好ましくは1.5倍以上であるが、より好ましくは1.8~5.5倍、さらに好ましくは2.0~4.5倍である。多孔質体は、発泡倍率を高くすることで、柔軟性等の性能を高めやすくなる。
エラストマー組成物は、さらに架橋されたものでもよい。エラストマー組成物は架橋されることで、各種機械性能等を良好にしやすくなる。
【0045】
エラストマー組成物の形状は特に限定されないが、シート状であることが好ましい。また、エラストマー組成物の厚さは、例えば、0.01~10mm、好ましくは0.05~5mm、より好ましくは0.1~1.5mmである。エラストマー組成物の厚さをこれら下限値以上とすることで、エラストマー組成物の機械強度が高くなり、破れが生じにくくなる。また、1.5mm以下などの薄厚にすることで、小型の電子機器内部などの狭いスペースに容易に配置できるようになる。
【0046】
<エラストマー組成物の製造方法>
本発明のエラストマー組成物の製造方法としては、マトリックス成分に、少なくとも無機フィラーを配合し、これらを混練してエラストマー組成物を得るとよい。
本製造方法においては、無機フィラーは、上記したように板状フィラー及び丸み状フィラーの両方を含む。また、板状フィラー、又は板状フィラー及び丸み状フィラーの両方をエラストマー組成物において偏在させればよい。
【0047】
板状フィラーをエラストマー組成物において偏在させる方法としては、板状フィラーを凝集体の形態でマトリックス成分に配合して混練するとともに、その配合時の原料としての凝集体、及び丸み状フィラーのサイズを適宜調整する方法が挙げられる。
具体的には、原料として配合される上記凝集体の粒径に対する、丸み状フィラーの粒径の比(以下、「粒径比」ともいう)を、1より大きく2.5以下とすることが好ましい。粒径比をこのような範囲内とすることで、エラストマー組成物において板状フィラーを偏在させやすくなる。
上記粒径比は、板状フィラーをより偏在しやすくする観点から、1.05以上がより好ましく、1.1以上がさらに好ましく、1.2以上がよりさらに好ましい。また、2.0以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
【0048】
また、丸み状フィラー及び板状フィラーを適切に偏在させる観点から、丸み状フィラーの粒径は55μm以上とすることが好ましい。また、丸み状フィラーの粒径は、フィラーを偏在しやすくするために、65μm以上がより好ましく、75μm以上がさらに好ましく、90μm以上がよりさらに好ましい。
一方で、多孔質体としたときに発泡性が低下したり、丸み状フィラーの分散性が必要以上に低下したりすることを防止するために、丸み状フィラーの粒径は、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下、さらに好ましくは115μm以下である。
なお、原料として配合された丸み状フィラーは、混練などによってその状態が実質的に変化するものではなく、原料として使用される丸み状フィラー、及びエラストマー組成物における丸み状フィラーの粒径は、いずれも同様の値となるものであり、いずれも上記範囲内となるとよい。
【0049】
また、凝集体の粒径は、丸み状フィラーの粒径より小さければよいが、好ましくは120μm以下、より好ましくは105μm以下、さらに好ましくは95μm以下、よりさらに好ましくは85μm以下である。また、上記凝集体の粒径は、40μmより大きいことが好ましく、50μm以上がより好ましく、60μm以上がさらに好ましく、75μm以上がよりさらに好ましい。
【0050】
マトリックス成分に凝集体として配合された板状フィラーは、エラストマー組成物においては、通常、一部又は全部が解砕されている。すなわち、原料として凝集体を使用しても、エラストマー組成物では、板状フィラーの凝集体と、凝集されない板状フィラーの両方が存在してもよいし、全てが凝集されない状態となっていてもよい。
なお、板状フィラーの一次粒子径は、好ましくは3~50μm、より好ましくは5~40μm、さらに好ましくは10~30μmである。本発明では、一次粒子径がこれら下限値以上となることで、導電性、熱伝導性などの各種性能が良好となりやすい。また、多孔質体である場合、板状フィラーの一次粒子径が大きくなっても発泡性を良好にすることが可能である。なお、板状フィラーの一次粒子径は、混練などによって実質的に変化するものではなく、原料として使用される板状フィラー、及びエラストマー組成物における板状フィラーの一次粒子径は、いずれも同様の値となるものであり、いずれも上記範囲内となるとよい。
【0051】
丸み状フィラー及び凝集体は、市販品を使用してもよいが、市販品を使用する場合には、篩などをかけて適宜粒径を調整してもよい。
なお、丸み状フィラーの粒径、及び凝集体の粒径は、メジアン径(d50)であり、乾式粒度分布測定により測定されるものである。また、一次粒子径は、多孔質体の断面の観察画像において、上記した方法に従って測定された一次粒子の直径である。
【0052】
上記したように、凝集体を使用し、かつ、凝集体及び丸み状フィラーのサイズを適宜調整することで、フィラーが偏在する原理は定かではないが、以下のように推定される。
丸み状フィラーが、板状フィラーの凝集体に対して、所定の粒径比となることで、丸み状フィラーの間に板状フィラーの凝集体が入り込みにくくなるとともに、板状フィラーの凝集状態は、丸み状フィラーによって崩されにくくなると推定される。そのため、凝集体は、混練されても、板状フィラーが凝集ないし集合した状態がある程度維持され、かつ均一には分散されず、それにより、板状フィラーは、エラストマー組成物において偏在するものと推定される。さらに、丸み状フィラー及び凝集体が所定の大きさ以上となることで、上記した板状フィラーが偏在する効果が大きくなるとともに、球形フィラー自体も均一に分散しにくくなって偏在しやすくなると推定される。
【0053】
混練する具体的な方法としては、押出機、ニーダー、プラストミルなど各種の混練装置に、マトリックス成分、無機フィラー、発泡剤などのその他の任意成分を投入して混練すればよい。混練温度は、発泡剤を使用する場合、その発泡剤が発泡しない温度(すなわち、熱分解型発泡剤を使用する場合、熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度)とすればよい。また、任意成分として架橋剤を使用する場合には、架橋剤によりエラストマー組成物が架橋されない温度とすればよい。混練温度は、例えば、90~170℃、好ましくは100~155℃である。
また、得られたエラストマー組成物は、例えばプレスなどすることでシート状に成形するとよい。
【0054】
また、本製造方法は、さらにエラストマー組成物を架橋させることが好ましい。エラストマー組成物の架橋は、後述するように多孔質化処理として発泡を行う場合には、発泡前に行うことが好ましい。エラストマー組成物を架橋する方法としては、例えば、エラストマー組成物に電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法、エラストマー組成物に予め有機過酸化物又は硫黄化合物などの架橋剤を配合しておき、エラストマー組成物を加熱して有機過酸化物又は硫黄化合物により架橋する方法等が挙げられ、これらの方法は併用してもよい。これらの中では、電離性放射線を照射する方法が好ましい。
【0055】
エラストマー組成物を多孔質体とする場合には、上記した方法で板状フィラー、又は板状フィラー及び丸み状フィラーの両方を偏在させたエラストマー組成物をさらに多孔質化処理すればよい。多孔質化処理する方法は、エラストマー組成物に配合した、熱分解型発泡剤などの発泡剤による発泡によって行うことが好ましい。熱分解型発泡剤により発泡させる場合には、エラストマー組成物を熱分解型発泡剤の分解温度よりも高い温度で加熱すればよい。加熱温度は、例えば、200~400℃、好ましくは220~300℃である。
エラストマー組成物を加熱して発泡させる方法としては、特に制限はなく、例えば、エラストマー組成物を熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴により加熱する方法、オイルバスにより加熱する方法等が挙げられ、これらは併用してもよい。
さらに、エラストマー組成物は、発泡後又は発泡しながら延伸させてもよい。
また、エラストマー組成物の製造方法は、上記方法に限定されず、他の方法によりエラストマー組成物を製造してもよい。
【0056】
<エラストマー組成物の使用方法>
本発明のエラストマー組成物は、無機フィラーが熱伝導性フィラーを含む場合には、例えば、放熱材として使用することが可能である。放熱材は、例えば、電子機器用途に使用する。電子機器としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット型端末、電子ペーパー、ノート型PC、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の携帯機器が好ましい。
放熱材は、電子機器内部において熱源の近傍に配置され、熱源から発した熱を拡散させたり、放熱させたりする。具体的には、放熱材は、例えば、熱源と、ヒートシンクとの間のスペースに配置され、ヒートシンクとともに、熱源からの発熱を放熱させる放熱機構を構成する。熱源は、駆動又は使用するときに発熱する電子部品であり、具体的には、CPU、バッテリー、パワーアンプ等が挙げられる。また、ヒートシンクとしては、鉄、ステンレス鋼等の金属部材、グラファイト等の熱伝導性の高い材料、又はこれらの複合物、積層体等が挙げられ、好ましくは電子機器の筐体を構成する。
【0057】
また、本発明のエラストマー組成物は、無機フィラーが導電性フィラーを含む場合には、各種センサ用途、グランディング用途、タッチパネルの静電気除去部材、表示装置内の部品間の緩衝シール材などへ適応することができる。
さらに、本発明の多孔質体は、無機フィラーが絶縁性フィラーを含む場合には、例えば、FPC用補強板など絶縁性および柔軟性を必要とする部材へ適応することが可能である。
【0058】
また、本発明のエラストマー組成物は、少なくともいずれかの一面に接着体を設けて接着テープとして使用してもよい。接着テープに使用する接着体は、例えばシート状のエラストマー組成物の一面又は両面に設けるとよい。接着体は、少なくとも接着剤層を備え、その接着剤層によりエラストマー組成物を他の部材に接着させるものである。接着剤層は、エラストマー組成物を他の部材に接着させることが可能な接着性を有するものであれば特に限定されず、熱硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、湿気硬化型接着剤など各種の接着剤からなるものでもよいが、粘着剤からなる粘着剤層であることが好ましい。すなわち、接着体は、粘着体であることが好ましい。なお、粘着剤とは、常温で圧力を加えるだけで接着する感圧系接着剤である。
【0059】
接着体は、より具体的には、エラストマー組成物の表面に積層された接着剤層単体であってもよいし、エラストマー組成物の表面に貼付された両面テープであってもよいが、粘着剤層単体であることが好ましい。なお、両面テープは、基材と、基材の両面に設けられた接着剤層とを備えるものである。また、エラストマー組成物の上に接着剤層を形成する方法は、特に限定されないが、接着剤をエラストマー組成物に直接塗布して行ってもよいし、離型フィルムの上に形成した接着剤層をエラストマー組成物の表面に転写してもよい。
【実施例
【0060】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0061】
なお、本発明における各物性の評価方法は以下のとおりである。
[熱伝導率]
レーザーフラッシュ法により、アルバック理工社製「TC‐7000」を用いて、エラストマー組成物の厚さ方向に沿う熱伝導率を25℃にて測定した。なお、エラストマー組成物が多孔質体である場合には、多孔質化処理前のエラストマー組成物の熱伝導率を測定して、発泡倍率から下記数式により計算値として熱伝導率を算出した。
1/λe={(1-V1/3)/λ}+V1/3/{λ・(1-V2/3)+λ・V2/3
λeは、多孔質体の熱伝導率、
Vは、多孔質体の気孔率(気孔率=1-〔1/発泡倍率〕)、
λは、多孔質化処理前のエラストマー組成物の熱伝導率、
λは、空気の熱伝導率
[偏在の有無、偏在パラメータ、及び偏在割合]
エラストマー組成物の断面を観察して、偏在の有無を確認するとともに、明細書に記載の方法に従って、偏在パラメータ、及び偏在割合を求めた。
[発泡倍率]
発泡前の比容積と発泡後の比容積(単位:m3/kg)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものである。
【0062】
実施例及び比較例で使用した材料は以下のとおりである。
(第1のエラストマー)
EP21:エチレン-プロピレン-ジエンゴム、JSR株式会社製、商品名「EP21」、ムーニー粘度(ML1+4、125℃):26
(第2のエラストマー)
PX-068:液状エチレン-プロピレン-ジエンゴム、三井化学株式会社製、商品名「PX-068」、23℃における粘度:10Pa・s
【0063】
(丸み状フィラー)
丸み状フィラーA:商品名「RF-50C-SC」(酸化マグネシウム、宇部マテリアルズ株式会社製)を篩にかけずに使用。熱伝導性フィラー、熱伝導率:50W/m・K、モース硬度2
丸み状フィラーB:商品名「RF-50C-SC」(酸化マグネシウム、宇部マテリアルズ株式会社製)を、粒径(d50)が105μmとなるように、120メッシュと230メッシュの篩にかけて得たもの。熱伝導性フィラー、熱伝導率:50W/m・K、モース硬度2
丸み状フィラーC:商品名「RF-70C-SC」(酸化マグネシウム、宇部マテリアルズ株式会社製)を篩にかけずに使用。熱伝導性フィラー、熱伝導率:50W/m・K、モース硬度2
丸み状フィラーD:商品名「RF-10C-SC」(酸化マグネシウム、宇部マテリアルズ株式会社製)を篩にかけずに使用。熱伝導性フィラー、熱伝導率:50W/m・K、モース硬度2
【0064】
(板状フィラー(凝集体))
板状フィラーA:商品名「PTX60S」(窒化ホウ素、モメンティブ株式会社製、板状フィラーを凝集した凝集体)を、粒径(d50)が70μmとなるように、325メッシュおよび100メッシュの篩にかけて得たもの。熱伝導性フィラー、熱伝導率:60W/m・K
板状フィラーB:商品名「PTX60S」(窒化ホウ素、モメンティブ株式会社製、板状フィラーを凝集した凝集体)を、粒径(d50)が90μmとなるように、270メッシュおよび80メッシュの篩にかけて得たもの。熱伝導性フィラー、熱伝導率:60W/m・K
板状フィラーC:商品名「PTX60S」(窒化ホウ素、モメンティブ株式会社製、板状フィラーを凝集した凝集体)を、篩にかけずに使用。熱伝導性フィラー、熱伝導率:60W/m・K
板状フィラーD:商品名「PTX25S」(窒化ホウ素、モメンティブ株式会社製、板状フィラーを凝集した凝集体)を、粒径(d50)が70μmとなるように、325メッシュおよび270メッシュの篩にかけて得たもの。熱伝導性フィラー、熱伝導率:60W/m・K
板状フィラーE:商品名「PTX25S」(窒化ホウ素、モメンティブ株式会社製、板状フィラーを凝集した凝集体)を篩にかけずそのまま使用。熱伝導性フィラー、熱伝導率:60W/m・K
(発泡剤)
ADCA:アゾジカルボンアミド、大塚化学株式会社製、商品名「SO-L」
(酸化防止剤)
フェノール系酸化防止剤:チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックス1010」
【0065】
実施例1~3、5、比較例1,2、4
表1に示す配合で各原料をニーダーに投入して、130℃にて混練して、エラストマー組成物を得た。その後、エラストマー組成物をプレス装置により、130℃、10MPaで加圧してシート状にし、その後、その両表面に加速電圧500keVにて電子線を2.0Mrad照射して、架橋されたエラストマー組成物を得た。得られたエラストマー組成物の物性、評価結果を表1に示す。
【0066】
実施例4、比較例3、5
表1に示す配合で各原料をニーダーに投入して、130℃にて混練して、エラストマー組成物を得た。その後、エラストマー組成物をプレス装置により、130℃、10MPaで加圧して、厚さ0.4mmのシート状のエラストマー組成物を得た。
次いで、得られたシート状のエラストマー組成物の両表面に加速電圧500keVにて電子線を2.0Mrad照射してエラストマー組成物を架橋した。その後、架橋後のエラストマー組成物を250℃に加熱することによって、エラストマー組成物を発泡させ、多孔質体からなるエラストマー組成物とした。多孔質体からなるエラストマー組成物の物性、評価結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例1~3、5では、エラストマー組成物に配合される丸み状フィラー、及び凝集体の粒径を所定の範囲に調整することで、エラストマー組成物において板状フィラー及び丸み状フィラーを偏在させることができた。そのため、エラストマー組成物の熱伝導性を良好にすることができた。それに対して、比較例1、2、4では、偏在パラメータ又は偏在割合のいずれかが低いことから明らかなように、板状フィラーを偏在させることができなかったため、エラストマー組成物の熱伝導性は良好にならなかった。
また、実施例4では、エラストマー組成物を多孔質体にしたが、他の実施例と同様に、板状フィラー及び丸み状フィラーを偏在させることで、熱伝導性を良好にすることができた。それに対して、比較例5では、板状フィラーを偏在させることができなかったため、多孔質体としたエラストマー組成物の熱伝導性を良好にできなかった。また、比較例3では、板状フィラーを偏在させることができなかったため、発泡体において発泡性が悪化して、熱伝導率を測定できなかった。
【符号の説明】
【0069】
10 エラストマー組成物
11 マトリックス成分
12 板状フィラー
13 丸み状フィラー
14 エポキシ樹脂
15 気泡
21 偏在部分
22 偏在領域
23 気泡部分
24 エラストマー本体部
図1
図2
図3
図4