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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/32 20060101AFI20220208BHJP
   E06B 7/14 20060101ALI20220208BHJP
   A47G 29/12 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E06B7/32 A
E06B7/14
A47G29/12 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018020179
(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2019137999
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健一
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3000866(JP,U)
【文献】実開昭59-109895(JP,U)
【文献】実開平07-020951(JP,U)
【文献】特開平08-173303(JP,A)
【文献】特開2005-278777(JP,A)
【文献】特開2015-063832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00-7/36
E06B 1/18
E06B 3/00
A47G 29/12-29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠、横枠及び方立を有する枠体と、
前記枠体の内側で前記方立の左右一側に配置される戸体と、
前記枠体の内側で前記方立の左右他側に配置され、開口部を有する袖部と、
前記開口部に配置され、前記枠体に固定される宅配ボックスと、
前記開口部を形成する前記枠体と前記宅配ボックスの間に配置される気密材と、
を備え、
前記宅配ボックスは、
投入口が室外側に形成されるとともに前記枠体より見込方向室内側に延出する箱状の本体部を有し、前記本体部の底部に排水口が形成され
前記開口部を囲む前記縦枠、前記横枠及び前記方立の少なくとも一部は、見込方向室内側に前記気密材を保持する保持片を有し、
前記宅配ボックスは、前記保持片に保持される前記気密材に対向する見付面部を有し、前記気密材が前記見付面部に見込方向で室内側から押圧された状態で前記枠体に固定される建具。
【請求項2】
前記本体部の下側に配置される前記横枠の上方に、前記排水口が位置する請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスを備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不在時に宅配物を受け取るための宅配ボックスにおいて、玄関ドアの袖部に配置される建具と一体型のものが知られている。この種の建具を記載するものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、玄関ドア枠内における袖面に郵便物投入口に加えて配達物投入扉を設けた建具について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実全昭61-094174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
枠体に固定される宅配ボックスにおいても、宅配物を外部から収容するために室外側に露出した部分があるため、宅配ボックスの内部に水が侵入するおそれがある。宅配ボックスに水密性があったとしても一度入り込んだ水が内部に留まれば宅配物が水に濡れてしまう。宅配ボックスの内部に入り込んだ水の処理という観点で従来の技術には改善の余地があった。
【0005】
本発明は、枠体に固定される宅配ボックスの内部で水が溜まり、宅配物が濡れてしまう事態の発生を確実に防止できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、縦枠(例えば、後述の縦枠31,32)、横枠(例えば、後述の横枠33,34)及び方立(例えば、後述の方立35)を有する枠体(例えば、後述の枠体30)と、前記枠体の内側で前記方立の左右一側に配置される戸体(例えば、後述の戸体20)と、前記枠体の内側で前記方立の左右他側に配置され、開口部(例えば、後述の開口部101)を有する袖部(例えば、後述の袖部10)と、前記開口部に配置され、前記枠体に固定される宅配ボックス(例えば、後述の宅配ボックス60)と、を備え、前記宅配ボックスは、投入口(例えば、後述の投入口601)が室外側に形成されるとともに前記枠体より見込方向室内側に延出する箱状の本体部(例えば、後述の本体部61)を有し、前記本体部の底部に排水口(例えば、後述する排水口690)が形成される建具(例えば、後述の建具1)に関する。
【0007】
前記本体部の下側に配置される前記横枠(例えば、後述の横枠34)の上方に、前記排水口が位置することが好ましい。
【0008】
前記開口部を形成する前記枠体と前記宅配ボックスの間に配置される気密材(例えば、後述の室外側気密材314,345,354,367)を更に備えることが好ましい。
【0009】
前記開口部を囲む前記縦枠、前記横枠及び前記方立の少なくとも一部は、見込方向室内側に前記気密材を保持する保持片(室外側保持片311,351,365)を有し、前記宅配ボックスは、前記保持片に保持される前記気密材に対向する見付面部(例えば、後述の室外側見付面部701,711,721)を有し、前記気密材が前記見付面部に見込方向で室内側から押圧された状態で前記枠体に固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建具によれば、枠体に固定される宅配ボックスの内部で水が溜まり、宅配物が濡れてしまう事態の発生を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る建具を室外側から見た図である。
図2】本実施形態の建具における袖部の縦断面図である。
図3】本実施形態の建具における上部の横断面図である。
図4】本実施形態の建具における下部の横断面図である。
図5】本実施形態の宅配ボックスの扉が開いた状態を示す斜視図である。
図6】本実施形態の建具の宅配ボックスが取り付けられる前の状態を室内側から示す斜視図である。
図7】本実施形態の宅配ボックスに固定される上面取付プレート及び側面取付プレートを示す斜視図である。
図8】本実施形態の建具に取り付けられた宅配ボックスを室内側から見た斜視図である。
図9】本実施形態の宅配ボックスの底部に形成される排水口を示す拡大縦断面図である。
図10】本実施形態の方立に形成される方立排水口を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る建具1の正面図である。図2は、建具1における袖部10の縦断面図である。図3は、建具1における上部の横断面図であり、図4は、建具の下部の横断面図である。なお、以下の説明で左右方向は、図1を正面としたときの左右方向である。
【0013】
図1図4に示す建具1は、枠体30と、戸体20と、袖部10と、を備える玄関ドアである。
【0014】
枠体30は、建具1の四周を構成するともに、戸体20と袖部10の間を仕切るものである。枠体30は、一対の縦枠31、32と、一対の横枠33、34と、方立35と、無目36と、を備える。
【0015】
一対の縦枠31、32は、建具の左右方向における一方と他方の端部に配置される。一方の縦枠31は、袖部10の側方に、他方の縦枠32は、戸体20の側方に配置される。一対の横枠33、34は、建具の上下に配置される。一対の縦枠31、32及び一対の横枠33、34が建具1の四周を形成する。
【0016】
方立35は、枠体30の内側を左右一側と左右他側に区画する。方立35によって区画された左右一側に戸体20が配置され、左右他側に袖部10が配置される。無目36は、縦枠31と方立35の間に配置される。無目36によって袖部10が上下に区画される。方立35における戸体20側の見込面には保持片368が形成され、この保持片368が閉鎖位置の戸体20に見込方向で当接する室外側気密材369を支持する。
【0017】
戸体20は、枠体30に対して開閉可能に取り付けられており、建具1の出入口を構成する。本実施形態の戸体20は、縦枠32に複数のヒンジ320を介して回転可能に支持される。縦枠32におけるヒンジ320が固定される見込面には、保持片322が形成される。保持片322は、閉鎖位置の戸体20に見込方向で当接するクッション材321を支持する。
【0018】
袖部10は、その上部に採光パネル12が配置され、下部に宅配ボックス60が配置される開口部101を有する。
【0019】
採光パネル12は、光を透過する部材によって構成される。本実施形態の採光パネル12は、室外側パネル12aと室内側パネル12bがスペーサー12cを介して離間するように配置される複層ガラス(ガラス面材)である。
【0020】
採光パネル12を保持する構成について説明する。図2に示すように、採光パネル12の上部は、横枠33の下側に配置される上部保持部材331によって保持される。上部保持部材331の下部は採光パネル12の上部が差し込まれるガラス溝となっている。上部保持部材331には、室外側気密材332及び室内側気密材333が配置されており、採光パネル12は、その上部が見込方向で室外側気密材332と室内側気密材333に挟み込まれた状態で保持される。
【0021】
採光パネル12の下部は、無目36の上部に形成される下部保持部361よって保持される。下部保持部361は、その上部がガラス溝となっており、上部保持部材331と同様に、室外側気密材362と室内側気密材363が配置される。採光パネル12は、その下部が見込方向で室外側気密材362と室内側気密材363に挟み込まれた状態で保持される。また、下部保持部361の内側には採光パネル12を下から支持するセッティングブロック364が配置される。
【0022】
図3に示すように、採光パネル12は、左右方向一側の側部が方立35によって保持されるとともに、左右方向他側の側部が縦枠31によって保持される。
【0023】
方立35の袖部10側の見込面には室外側保持片351及び室内側延出片352が形成される。また、方立35の見込面における室外側保持片351と室内側延出片352の間には、室内側係合部材353を係合するための係合片357が形成される。室内側係合部材353は、その室内側の部位が室内側延出片352に係合されるとともに室外側端部が係合片357に係合される。室外側保持片351と室内側係合部材353によってガラス溝が形成され、該ガラス溝の内側にはセッティングブロック356が配置される。また、室外側保持片351は、方立35の本体部分から見付方向の縦枠31側に延びた後、見込方向室内側に屈曲するように形成される。室外側保持片351の先端には室外側気密材354が配置される。室内側係合部材353は、見付方向の縦枠31側に延びた後、見込方向室外側に屈曲するように形成され、その先端には室内側気密材355が配置される。採光パネル12は、その方立35側の側部が見込方向で室外側気密材354と室内側気密材355に挟み込まれた状態で保持される。方立35の室外側保持片351及び室内側延出片352は、方立35の本体部分の室外側面35a及び室内側面35bよりも見込方向内側で袖部10側に突出する。このため、方立35の室外側面35aには、袖部10側で室内側に窪むような段差が形成される。
【0024】
縦枠31の袖部10側の見込面には室外側保持片311及び室内側延出片312が形成される。また、縦枠31の見込面における室外側保持片311と室内側延出片312の間には、室内側係合部材313を係合するための係合片317が形成される。室内側係合部材313は、その室内側の部位が室内側延出片312に係合されるとともに室外側端部が係合片317に係合される。室外側保持片311と室内側係合部材313によってガラス溝が形成され、該ガラス溝の内側にはセッティングブロック316が配置される。また、室外側保持片311は、縦枠31の本体部分から見付方向の方立35側に延びた後、見込方向室内側に屈曲するように形成される。室外側保持片311の先端には室外側気密材314が配置される。室内側係合部材313は、見付方向の縦枠31側に延びた後、見込方向室外側に屈曲するように形成され、その先端には室内側気密材315が配置される。採光パネル12は、その縦枠31側の側部が見込方向で室外側気密材314と室内側気密材315に挟み込まれた状態で保持される。縦枠31の室外側保持片311及び室内側延出片312は、方立35の室外側保持片351及び室内側延出片352とそれぞれ向かい合う位置に配置される。室外側保持片311及び室内側延出片312は、縦枠31の本体部分の室内側面31a及び室外側面31bよりも見込方向内側で袖部10側に突出する。このため、縦枠31の室外側面31bには、袖部10側で室内側に窪むような段差が形成される。この段差は、方立35側で形成される段差と対称な位置で形成される。
【0025】
室外側気密材332、362、354、314は、何れも先付ビードであり、ゴム等の弾性変形可能な部材によって構成される。室内側気密材333,363,355,315も、弾性変形可能な部材によって構成される。
【0026】
宅配ボックス60は、無目36を挟んで採光パネル12の下方に位置する。宅配ボックス60は、宅配物等を収容可能な空間を有する本体部61と、本体部61に対して開閉可能に取り付けられる扉62と、を主要な構成として備える。
【0027】
本体部61は、天板612と、底板613と、左右一対の側板614と、背板615と、を箱状に組み合わせて構成される。天板612、底板613、左右一対の側板614、背板615のそれぞれの接触面の隙間には、エプトシールやスポンジシール等によって構成される帯状の気密材695が配置されており、本体部61の水密性が維持されている(図7図8参照)。
【0028】
図5は、本実施形態の宅配ボックス60の扉が開いた状態を示す斜視図である。図5に示すように、本体部61は、枠体30に固定された状態で室外側に取出口を兼ねる投入口601が形成される。本体部61の投入口601が扉62によって閉鎖されることにより、宅配ボックス60の内部が外部から隔てられる。扉62は、本体部61における縦枠31側に開閉可能に支持されている。扉62の方立35側に位置する戸先側が手掛け部621となっている。また、扉62には、暗証番号を入力する操作部622やロック機構623等の機能部品が配置される。
【0029】
次に、宅配ボックス60の取付構造について説明する。図6は、本実施形態の建具1の宅配ボックス60が取り付けられる前の状態を室内側から示す斜視図である。図7は、本実施形態の宅配ボックス60に固定される上面取付プレート70及び側面取付プレート71,72を示す分解斜視図である。図8は、本実施形態の建具1に取り付けられた宅配ボックス60を室内側から見た斜視図である。
【0030】
図7及び図8に示すように、本実施形態の宅配ボックス60には、本体部61の天板612に配置される上面取付プレート70と、本体部61の左右両側の側板614にそれぞれ配置される側面取付プレート71,72と、が配置される。
【0031】
図2に示すように、上面取付プレート70は、本体部61の上面(天板612)に固定される固定面700と、固定面700の室外側端部から上方に屈曲する室外側見付面部701と、固定面700の室内側端部から上方に屈曲した後、見込方向室外側に延びて下方に折り返す当接部702と、を備える。図7に示すように、ネジ等の締結部材705が固定面700を貫通して本体部61に固定されることで上面取付プレート70が本体部61に固定される。
【0032】
無目36の下面には室外側保持片365及び室内側延出片366が形成されている。室外側保持片365は、無目36の本体部分から下方に延出した後、見込方向室内側に屈曲する。室外側保持片365の先端には、室外側気密材367が固定される。宅配ボックス60が袖部10に固定された状態では、上面取付プレート70の室外側見付面部701が、室外側気密材367に見込方向で接触するとともに当接部702の室外側の見付面703が室内側延出片366に対向する状態となる。無目36は、縦枠31及び方立35よりも室内側に奥まっており、段差状になっている。当接部702は、宅配ボックス60が固定された状態で、その室内側の面が縦枠31及び方立35の室内側の面と面一になる形状に構成される。
【0033】
図4に示すように、側面取付プレート71は、本体部61の側板614に固定される固定面710と、固定面710の室外側端部から縦枠31側に屈曲する室外側見付面部711と、固定面710の室内側端部から縦枠31側に延出した後、見込方向室外側に延び、更に本体部61側に折り返す当接部712と、を備える。図7に示すように、ネジ等の締結部材705が固定面710を貫通して本体部61に固定されることで側面取付プレート71が本体部61に固定される。
【0034】
宅配ボックス60が袖部10に固定された状態では、側面取付プレート71の室外側見付面部711が、縦枠31の室外側保持片311の室外側気密材314に見込方向で接触するとともに当接部712の室外側の見付面713が室内側延出片352に対向する状態となる。図8に示すように、当接部712の室内側面には貫通孔725が上下方向に間隔をあけて複数形成される。この貫通孔725を通じてリベット等の締結部材716が当接部712の室外側の見付面を貫通して縦枠31の室外側保持片311に締結される。貫通孔725にはカバー部材730が配置され、締結部材716が室内側からも見えない位置となっている。
【0035】
側面取付プレート72は、本体部61の側面に固定される固定面720と、固定面720の室外側端部から方立35側に屈曲する室外側見付面部721と、固定面720の室内側端部から方立35側に延出した後、見込方向室外側に延び、更に本体部61側に折り返す当接部722と、を備える。図7に示すように、ネジ等の締結部材705が固定面720を貫通して本体部61に固定されることで側面取付プレート72が本体部61に固定される。
【0036】
宅配ボックス60が袖部10に固定された状態では、側面取付プレート72の室外側見付面部721が、方立35の室外側保持片351の室外側気密材354に見込方向で接触するとともに当接部722の室外側の見付面723が室内側延出片352に対向する状態となる。当接部722の室内側面には貫通孔725が上下方向に間隔をあけて複数形成される。この貫通孔725を通じてネジ等の締結部材726が当接部722の室外側の見付面を貫通して方立35の室外側保持片351に締結される。貫通孔725にはカバー部材730が配置され、締結部材716が室内側からも見えない位置となっている。
【0037】
宅配ボックス60の下面(底板613)は、横枠34の上側に配置される下部保持部材341によって保持される。下部保持部材341の上部は溝状になっている。下部保持部材341の室外側上部には室外側気密材345が配置される。本体部61の室外側は、この室外側気密材345を介して下から支持される。
【0038】
図9は、本実施形態の宅配ボックス60の底部に形成される排水口690を示す拡大縦断面図である。図9に示すように、本実施形態の宅配ボックス60の底板613には本体部61の内部に連通する排水口690が形成される。排水口690は、本体部61の外部に排出するための開口である。
【0039】
排水口690は、底板613を貫通しており、本体部61の内部と外部を連通する。本実施形態の底板613は、中空部を有する金属製の板状部材である。排水口690は、本体部61の内側底面613aと外側下面613bのそれぞれを貫通している。
【0040】
排水口690は、横枠(下枠)34の上方に位置する。上述の通り、横枠34の上部には溝状の下部保持部材341が形成されており、この下部保持部材341の内側の見込面(内底面)346の上方に排水口690が位置している。排水口690は、下部保持部材341の室外側上部に配置された室外側気密材345よりも見込方向室内側に位置している。排水口690の室外側に室外側気密材345が位置することにより、室外側から排水口690に直接的に水が侵入する事態も防止されている。
【0041】
本体部61から排水口690を通じて外部に排出された水は横枠34の見込面346に落下することになる。次に、横枠34の見込面346に落下した後の水の流れについて説明する。図10は、本実施形態の方立35に形成される方立排水口359を示す拡大斜視図である。
【0042】
図10に示すように、方立35の下端部には方立排水口359が形成される。方立35の下端面は、横枠34の見込面346に接している。方立排水口359は、方立35の下端に形成されており、横枠34の見込面346から方立35の内部に水を案内可能となっている。
【0043】
方立35は、その内部が中空に形成されるホロー部材であり、方立排水口359を通じて方立35の内部に入った水が方立35の内部を通じて最終的に室外側に流れる。方立35は、建物の躯体側ではなく枠体30の内側に上下の横枠33、34に挟まれるかたちで固定されている。このように、方立排水口359が枠体30に固定される方立35に形成されているので、方立35内部に入った水が建物の躯体側に向かう事態の発生も防止されている。
【0044】
次に、宅配ボックス60における宅配物の取出方法について説明する。図4に示すように、本実施形態の宅配ボックス60は、建具1の本体部61の室内側には取出口が形成されておらず、扉62を開いたときのみ投入口601を通じて宅配ボックスの内部にアクセスできるようになっている。
【0045】
上記実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
宅配ボックス60は、縦枠31,32、横枠33,34及び方立35を有する枠体30と、枠体30の内側で方立35の左右一側に配置される戸体20と、枠体30の内側で方立35の左右他側に配置され、開口部101を有する袖部10と、開口部101に配置され、枠体30に固定される宅配ボックス60と、を備える。宅配ボックス60は、投入口601が室外側に形成されるとともに枠体30より見込方向室内側に延出する箱状の本体部61を有し、本体部61の底部に排水口690が形成される。
【0046】
これにより、本体部61の内部に流入又は温度差等によって生じた水が排水口690を通じて外部に排出されるので、本体部61の内部に水が溜まり、収容された宅配物が水に浸かってしまう事態を確実に防止できる。本実施形態のように、底板613と側板614の間にエプトシール等の気密材が配置される構成であり、本体部61に一度入り込んだ水が外部に漏れ難くい場合であっても排水口690を通じて水を本体部61の外部に排出できるのである。
【0047】
また、本実施形態では、本体部61の下側に配置される横枠34の上方に、排水口690が位置する。
【0048】
これにより、排水口690を通じて本体部61の外部に流出する水が室内側に漏れ出す事態の発生を効果的に防止できる。
【0049】
本実施形態の建具1は、開口部101を形成する枠体30(縦枠31、横枠34、方立35、無目36)と宅配ボックス60の間に配置される室外側気密材314,345,354,367を更に備える。
【0050】
これにより、宅配ボックス60の内部に水が溜まる事態を防止しつつ、宅配ボックス60と枠体30の隙間を埋める室外側気密材314,332,354,367によって雨水や塵埃の室内側の進入を効果的に防止できる。
【0051】
また、本実施形態の建具1において、縦枠31は見込方向室内側に室外側気密材314を保持する室外側保持片311を有し、方立35は見込方向室内側に室外側気密材354を保持する室外側保持片351を有し、無目36は見込方向室内側に室外側気密材367を保持する室外側保持片365を有する。宅配ボックス60は、室外側気密材314に対向する室外側見付面部711と、室外側気密材354に対向する室外側見付面部721と、室外側気密材367に対向する室外側見付面部701と、を有し、室外側気密材314,354,367のそれぞれが、室外側見付面部701,711,721に見込方向で室内側から押圧された状態で枠体30に固定される。
【0052】
これにより、室外側気密材314,354,367のそれぞれが押圧された状態で宅配ボックス60が枠体30に対して固定されるので、部品間の誤差があっても室外側気密材314,354,367がその誤差に応じて追従するように変形し、シール性能がより一層向上する。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0054】
上記実施形態では、宅配ボックス60の排水口690が横枠(下枠)34の上方に位置する構成であるが、この構成に限定されるわけではない。例えば、宅配ボックス60の底部の一部が横枠よりも見込方向室外側に延出する構成において、宅配ボックスの底部に形成される排水口が横枠よりも見込方向室外側に位置する構成としてもよい。また、排水口の数も、1又は複数であってもよいし、孔の形状も円形、矩形、スリット状等、適宜の形状を採用できる。
【0055】
上記実施形態では、上面取付プレート70及び側面取付プレート71,72が宅配ボックス60の本体部61と別部材であるが、上面取付プレート及び側面取付プレートと本体部が一体的な構成であってもよい。
【0056】
上記実施形態の袖部10は、採光パネル12を有する固定式であるが、袖部の構成はこの構成に限定されない。例えば、枠体に対して袖部が開閉可能な子扉として構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 建具
10 袖部
20 戸体
30 枠体
31,32 縦枠
33,34 横枠
35 方立
60 宅配ボックス
61 本体部
62 扉
70 上面取付プレート
71,72 側面取付プレート
101 開口部
311,351,365 室外側保持片(保持片)
314,332,354,367 室外側気密材(気密材)
601 投入口
690 排水口
701,711,721室外側見付面部(見付面部)
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10