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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ゲル状部材取扱い装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20220208BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20220208BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20220208BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20220208BHJP
   B26D 7/32 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B26D7/18 C
B26D3/00 601Z
B26D1/06 Z
B26D7/02 C
B26D7/32 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018021665
(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公開番号】P2019136813
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 靖
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊之
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-221366(JP,A)
【文献】特開2000-275597(JP,A)
【文献】特開2011-050911(JP,A)
【文献】実開平05-041690(JP,U)
【文献】特開2003-073019(JP,A)
【文献】特開2010-099733(JP,A)
【文献】中国実用新案第207043736(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B26D 3/00
B26D 1/06
B26D 7/02
B26D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面が互いに接する状態で複数のゲル状部材が載置される載置台と、
前記載置台に対して上下方向に相対移動可能に構成され、前記複数のゲル状部材のうちの一部のゲル状部材を前記載置台から上方に持ち上げる搬送ヘッドと、
を有し、
前記搬送ヘッドは、
前記一部のゲル状部材を真空吸着する吸着部と、
前記吸着部が前記一部のゲル状部材を吸着する際、前記複数のゲル状部材のうち、前記一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接する当接部を備えた当接部材と、
を有し、
前記搬送ヘッドは、前記当接部材を下方に向けて付勢する付勢部材を有していることを特徴とするゲル状部材取扱い装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記吸着部を囲むように設けられ、
前記当接部材は、前記当接部の内側に前記一部のゲル状部材を保持することを特徴とする請求項1に記載のゲル状部材取扱い装置。
【請求項3】
側面が互いに接する状態で複数のゲル状部材が載置される載置台と、
前記載置台に対して上下方向に相対移動可能に構成され、前記複数のゲル状部材のうちの一部のゲル状部材を前記載置台から上方に持ち上げる搬送ヘッドと、
を有し、
前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接する当接部を備えた当接部材を有し、
前記当接部は、上下方向からみたとき前記一部のゲル状部材の周りを囲むように設けられ、
前記当接部材は、前記当接部の内側に前記一部のゲル状部材を保持し、
前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材の上方で、前記当接部より上方に引っ込んだ上方位置と前記当接部より下方に突出した下方位置との間で移動可能な棒状部材を有することを特徴とするゲル状部材取扱い装置。
【請求項4】
側面が互いに接する状態で複数のゲル状部材が載置される載置台と、
前記載置台に対して上下方向に相対移動可能に構成され、前記複数のゲル状部材のうちの一部のゲル状部材を前記載置台から上方に持ち上げる搬送ヘッドと、
を有し、
前記搬送ヘッドは、
前記一部のゲル状部材を真空吸着する吸着部と、
前記吸着部が前記一部のゲル状部材を吸着する際、前記複数のゲル状部材のうち、前記一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接する当接部を備えた当接部材と、
を有し、
前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材の上方で、前記当接部より上方に引っ込んだ上方位置と前記当接部より下方に突出した下方位置との間で移動可能な棒状部材を有することを特徴とするゲル状部材取扱い装置。
【請求項5】
前記当接部の下面には、複数の凸部が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のゲル状部材取扱い装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状部材に切断や搬送を行うゲル状部材取扱い装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンバー部材等として用いられるゲル状部材は、シート状に形成されたゲル状部材を所定寸法に切断された後、各種機器に搭載される。かかるゲル状部材は、吸着性を有しているため、取扱いに多大な手間がかかる。例えば、シート状に形成されたゲル状部材を切断する際、ゲル状部材が刃に吸着してしまい、ゲル状部材を適正に切断することが困難である。そこで、刃に潤滑油を供給して、ゲル状部材の刃への吸着を防止する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、ゲル状部材を搬送するにあたって、搬送面に多数の凸部を形成し、ゲル状部材と搬送面との接触面積を小さくして、ゲル状部材の吸着を防止する構成が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-75338号公報
【文献】特開平8-140596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、刃に潤滑油を供給する構成では、ゲル状部材が潤滑油で汚染されるという問題点がある。また、特許文献2に記載の技術のように、搬送面に多数の凸部を形成する構成は、適用可能な範囲が狭く、例えば、複数のゲル状部材が互いに吸着し合っている場合には適用できないという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ゲル状部材の吸着力に抗する力を利用して、ゲル状部材の取扱いを容易とすることができるゲル状部材取扱い装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るゲル状部材取扱い装置の態様は、側面が互いに接する状態で複数のゲル状部材が載置される載置台と、前記載置台に対して上下方向に相対移動可能に構成され、前記複数のゲル状部材のうちの一部のゲル状部材を前記載置台から上方に持ち上げる搬送ヘッドと、を有し、前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材を真空吸着する吸着部と、前記吸着部が前記一部のゲル状部材を吸着する際、前記複数のゲル状部材のうち、前記一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接する当接部を備えた当接部材と、を有し、前記搬送ヘッドは、前記当接部材を下方に向けて付勢する付勢部材を有していることを特徴とする。
【0012】
本発明の態様では、搬送ヘッドが下降して一部のゲル状部材を保持する際、付勢部材の付勢力を受けて、当接部材の当接部が、複数のゲル状部材のうち、一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接するので、当接部は、一部のゲル状部材と他のゲル状部材との吸着力に抗する力を発揮する。このため、搬送ヘッドが上昇して一部のゲル状部材を保持する際、一部のゲル状部材が他のゲル状部材から容易に離れるので、ゲル状部材の取扱い(搬送)が容易である。
【0013】
本発明の別の態様において、前記当接部は、前記吸着部を囲むように設けられ、前記当接部材は、前記当接部の内側に前記一部のゲル状部材を保持する態様を採用することができる。
【0015】
本発明に係るゲル状部材取扱い装置の別の態様は、側面が互いに接する状態で複数のゲル状部材が載置される載置台と、前記載置台に対して上下方向に相対移動可能に構成され、前記複数のゲル状部材のうちの一部のゲル状部材を前記載置台から上方に持ち上げる搬送ヘッドと、を有し、前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接する当接部を備えた当接部材を有し、前記当接部は、前記当接部は、上下方向からみたとき前記一部のゲル状部材の周りを囲むように設けられ、前記当接部材は、前記当接部の内側に前記一部のゲル状部材を保持し、前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材の上方で、前記当接部より上方に引っ込んだ上方位置と前記当接部より下方に突出した下方位置との間で移動可能な棒状部材を有することを特徴とする。
また、本発明に係るゲル状部材取扱い装置のさらに別の態様は、側面が互いに接する状態で複数のゲル状部材が載置される載置台と、前記載置台に対して上下方向に相対移動可能に構成され、前記複数のゲル状部材のうちの一部のゲル状部材を前記載置台から上方に持ち上げる搬送ヘッドと、を有し、前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材を真空吸着する吸着部と、前記吸着部が前記一部のゲル状部材を吸着する際、前記複数のゲル状部材のうち、前記一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接する当接部を備えた当接部材と、を有し、前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材の上方で、前記当接部より上方に引っ込んだ上方位置と前記当接部より下方に突出した下方位置との間で移動可能な棒状部材を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の別の態様では、搬送ヘッドが下降して一部のゲル状部材を保持する際、当接部材の当接部が、複数のゲル状部材のうち、一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接するので、当接部は、一部のゲル状部材と他のゲル状部材との吸着力に抗する力を発揮する。このため、搬送ヘッドが下降し、当接部材が当接部の内側に一部のゲル
状部材を保持して一部のゲル状部材を搬送する際、一部のゲル状部材が他のゲル状部材から容易に離れるので、ゲル状部材の取扱い(搬送)が容易である。
【0017】
本発明の別の態様、およびさらに別の態様において、前記搬送ヘッドは、前記一部のゲル状部材の上方で、前記当接部より上方に引っ込んだ上方位置と前記当接部より下方に突出した下方位置との間で移動可能な棒状部材を有する。従って、棒状部材は、搬送ヘッドから一部のゲル状部材を離脱させる際、一部のゲル状部材と搬送ヘッドとの吸着力に抗する力を発揮する。このため、一部のゲル状部材を搬送ヘッドから容易に離すことができるので、ゲル状部材の取扱い(搬送)が容易である。
【0018】
本発明の別の態様、およびさらに別の態様において、前記当接部の下面には、複数の凸部が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、当接部と他のゲル状部材との接触面積を狭くすることができるので、当接部と他のゲル状部材との吸着力を低減することができる。従って、当接部が他のゲル状部材からスムーズに離間することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、切断ヘッドが下降してゲル状部材を切断する際、付勢部材の付勢力を受けて、当接部材の当接部がゲル状部材に対して刃による切断位置の両側に上方から当接するので、当接部は、ゲル状部材の刃への吸着力に抗する力を発揮する。このため、刃がゲル状部材に進入する際、および刃がゲル状部材から退避する際、刃にゲル状部材が吸着しにくい。それ故、ゲル状部材の取扱い(切断)が容易である。
【0020】
本発明では、搬送ヘッドが下降して一部のゲル状部材を保持する際、当接部材の当接部が、複数のゲル状部材のうち、一部のゲル状部材に隣接する他のゲル状部材に上方から当接するので、当接部は、一部のゲル状部材と他のゲル状部材との吸着力に抗する力を発揮する。このため、搬送ヘッドが下降して一部のゲル状部材を保持する際、一部のゲル状部材が他のゲル状部材から容易に離れるので、ゲル状部材の取扱い(搬送)が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態1に係るゲル状部材取扱い装置の説明図である。
図2図1に示すゲル状部材取扱い装置の切断ヘッドの説明図である。
図3図2に示す切断ヘッドの分解斜視図である。
図4図1に示すゲル状部材取扱い装置でのゲル状部材の切断動作を示す説明図である。
図5図1に示すゲル状部材取扱い装置の改良例に用いた当接部材の当接部を拡大して示す説明図である。
図6】本発明の実施形態2に係るゲル状部材取扱い装置の説明図である。
図7図6に示すゲル状部材取扱い装置の搬送ヘッドの説明図である。
図8図7に示す搬送ヘッドの分解斜視図である。
図9図7に示す搬送ヘッドの底面図である。
図10図6に示すゲル状部材取扱い装置でのゲル状部材の搬送動作を示す説明図である。
図11図6に示すゲル状部材取扱い装置の改良例に用いた当接部材の当接部を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。以下に参照する図面では、上下方向にZを付し、横方向のうち、左右方向にXを付し、前後方向にYを付して説明する。また、上下方向Zの下方にZ1を付し、上方にZ2を付し、左右方向Xの右側にX1を付し、左側にX2を付し、前後方向Yの後側にY1を付し、前側にY2を付して説明する。
【0023】
[実施形態1]
(ゲル状部材取扱い装置10の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係るゲル状部材取扱い装置1の説明図であり、ゲル状部材取扱い装置1をゲル状部材の切断装置1aとして構成した場合の説明図である。図2は、図1に示すゲル状部材取扱い装置1の切断ヘッド10の説明図である。図3は、図2に示す切断ヘッド10の分解斜視図である。
【0024】
図1に示すゲル状部材取扱い装置1は、ゲル状部材3の切断装置1aであり、シート状のゲル状部材3が載置される載置台19と、載置台19に対して上下方向Zに相対移動可能に構成された切断ヘッド10とを有している。ゲル状部材30はシリコーンゲル等からなる。切断ヘッド10は、前後方向Yに移動不能であるのに対して、載置台19は、送り機構170によって前後方向Yに移動可能である。従って、載置台19の前後方向Yの位置によってゲル状部材3の切断位置が決められる。また、載置台19は上下方向Zに移動不能であるのに対して、切断ヘッド10は、シリンダ装置18によって上下方向Zに移動可能である。載置台19の上面には支持板191がゴム磁石192によって固定され、支持板191の上面にゲル状部材3が載置されている。この状態で、ゲル状部材3は支持板191に吸着により固定されている。切断ヘッド10には前後方向Yの両側に透光性の保護カバー171、172が設けられている。
【0025】
図2および図3に示すように、切断ヘッド10は、ゲル状部材3を切断するための刃11と、刃11に対して上下方向に相対移動可能に設けられた当接部材12と、当接部材12を下方に向けて付勢する付勢部材13とを有している。刃11は、左右方向Xに延在したトムソン刃であり、ゲル状部材3を左右方向Xに切断する。刃11は、第1ブロック141と、第1ブロック141にボルト(図示せず)等によって固定された第2ブロック142との間に固定されている。当接部材12は、刃11に沿って左右方向Xに延在している。
【0026】
第1ブロック141は、シリンダ装置18が固定されたベース15から下方に突出したシリンダ装置18の出力軸181に連結されており、刃11は、第1ブロック141と一体に上下方向Zに駆動される。その際、第1ブロック141は、ベース15から下方に突出した2本のガイド軸151、152によってガイドされる。
【0027】
当接部材12は、左右方向Xの両端が各々、2本の支持軸16に支持され、2本の支持軸16は各々、第1ブロック141の穴143が嵌っている。2本の支持軸16は各々、上端部が拡径したストッパ161になっている。2本の支持軸16において、第1ブロック141と当接部材12との間には、コイルバネからなる付勢部材13が配置されており、付勢部材13は、当接部材12を下方に付勢している。
【0028】
当接部材12は、左右方向Xに延在する溝状の開口部120が形成された板状部材であり、開口部120内で刃11が上下方向Zに移動する。
【0029】
(切断動作)
図4は、図1に示すゲル状部材取扱い装置1でのゲル状部材3の切断動作を示す説明図である。図4(a)に示す待機状態においては、切断ヘッド10は、刃11および当接部材12が各々、ゲル状部材3から上方で離間する待機位置にある。
【0030】
図4(a)に示すように、当接部材12は、開口部120の前後方向Yの両側で下方Z1に突出した当接部121、122を有しており、刃11がゲル状部材3に当接していない状態で、当接部121、122は、刃11より下方に位置する。
【0031】
この状態から、図4(b)に示すように、切断ヘッド10が下方Z1に移動すると、まず、ゲル状部材3の刃11による切断位置3cの両側に当接部121、122が当接する
。次に、図4(c)に示すように、切断ヘッド10がさらに下方Z1に移動すると、当接部121、122がゲル状部材3に当接した状態のまま、刃11が当接部121、122の間からゲル状部材3に進入し、ゲル状部材3を切断する。その際、図4等に示す付勢部材13が圧縮され、付勢部材13は、当接部121、122を下方Z1に付勢する。
【0032】
次に、図4(d)に示すように、切断ヘッド10が上方Z2に移動すると、まず、刃11が上昇した後、それに遅れて、当接部材12が上昇し、当接部121、122がゲル状部材3から離間する。
【0033】
しかる後に、ゲル状部材3を支持板191とともに、90°向きを変えて上記の動作を行えば、シート状のゲル状部材3を四角形に切断することができる。
【0034】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のゲル状部材取扱い装置1(ゲル状部材切断装置1a)では、切断ヘッド10が下降してゲル状部材3を切断する際、付勢部材13の付勢力によって、当接部材12の当接部121、122がゲル状部材3に対して刃11による切断位置3cの両側に上方から当接する。従って、当接部121、122は、ゲル状部材3の刃11への吸着力に抗する力を発揮する。このため、刃11がゲル状部材3に進入する際、および刃11がゲル状部材3から退避する際、刃11にゲル状部材3が吸着しにくい。それ故、ゲル状部材3の取扱い(切断)が容易である。
【0035】
また、当接部121、122は、ゲル状部材3に当接しない状態では刃11より下方に位置する。従って、刃11がゲル状部材3に進入し始める際、および刃11がゲル状部材3から退避し終える際、当接部121、122は、ゲル状部材3の刃11への吸着力に抗する力を発揮する。このため、刃11がゲル状部材3に進入し始めてから退避するまでの間、刃11にゲル状部材3が吸着しにくい。それ故、ゲル状部材3の取扱い(切断)が容易である。
【0036】
[実施形態1の改良例]
図5は、図1に示すゲル状部材取扱い装置1の改良例に用いた当接部材12の当接部121、122を拡大して示す説明図である。図5に示すように、本形態では、当接部材12の当接部121、122には複数の凸部125が形成されている。例えば、当接部121、122には複数の溝126が形成されており、溝126に挟まれた部分が複数の凸部125になっている。
【0037】
従って、当接部121とゲル状部材3との接触面積を狭くすることができるので、当接部121とゲル状部材3との吸着力を低減することができる。従って、当接部121がゲル状部材3からスムーズに離間することができる。なお、凸部125の形成にあたっては、溝126を凹部としてした態様に限らず、複数の凸部125が点在している態様を採用してもよい。
【0038】
[実施形態1の変形例]
上記実施形態1では、刃11によってゲル状部材3を直線的に切断したが、刃11を円筒状あるいは四角筒状に形成し、ゲル状部材3を円形または四角形に打ち抜く場合に本発明を適用してもよい。この場合、刃11の内側および外側に当接部121、122を設ける。
【0039】
[実施形態2]
(ゲル状部材取扱い装置20の構成)
図6は、本発明の実施形態2に係るゲル状部材取扱い装置2の説明図であり、ゲル状部
材取扱い装置2をゲル状部材30の搬送装置2aとして構成した場合の説明図である。図7は、図6に示すゲル状部材取扱い装置2の搬送ヘッド20の説明図である。図8は、図7に示す搬送ヘッド20の分解斜視図である。図9は、図7に示す搬送ヘッド20の底面図である。
【0040】
図6に示すゲル状部材取扱い装置2は、ゲル状部材30の搬送装置2aであり、複数のゲル状部材30が載置される載置台29と、載置台29に対して上下方向Zに相対移動可能に構成された搬送ヘッド20とを有している。ゲル状部材30はシリコーンゲル等からなる。
【0041】
本形態において、複数のゲル状部材30は、シート状のゲル状部材3を左右方向Xおよび前後方向Yに切断したものであり、左右方向Xおよび前後方向Yで側面30a同士が接するように載置台29に配列されている。本形態において、載置台29の上面には剥離紙291が配置され、複数のゲル状部材30は、剥離紙291の上に配置されている。かかる態様は、例えば、図1を参照して説明したゲル状部材取扱い装置1においてシート状のゲル状部材3を切断した後、ゲル状部材3の上面に剥離紙291を被せた状態で反転させ、支持板191から剥離紙291にゲル状部材30を移し替えることによって実現される。
【0042】
ここで、搬送ヘッド20は、左右方向Xに移動可能であり、載置台29はベース28上で前後方向Yに移動可能である。従って、搬送ヘッド20および載置台29を移動させれば、複数のゲル状部材30を順次、持ち上げ、所定位置まで搬送することができる。本形態では、複数のゲル状部材30をベース28上に配置した治具40の上に順次、搬送した後、治具40からゲル状部材30を各種機器(図示せず)に搭載する。
【0043】
図7および図8に示すように、搬送ヘッド20は、概ね、支持プレート25の下面に固定されたブロック26と、ブロック26の下面から突出するように設けられた吸着部21と、ブロック26に対して上下方向Zに移動可能に構成された当接部材22とを有している。
【0044】
当接部材22は、ブロック26の下面に重なる底板部225と、底板部225からブロック26の2つの側面261の各々に沿うように上方に延在した側板部227とを有しており、当接部材22は、ブロック26の側面261にガイドされて上下方向Zに移動可能である。支持プレート25の側方では、支持プレート25に固定された受け板27と、当接部材22の側板部229との間に2つのコイルバネからなる付勢部材220が配置されており、付勢部材220は、当接部材22を下方に付勢している。ブロック26の側面261には板状のストッパ265が固定されており、側板部227の先端部227aがストッパ265に当接することによって、搬送ヘッド20上における当接部材22の下方への移動範囲が規定されている。
【0045】
このように構成した搬送ヘッド20において、当接部材22の底板部225の吸着部21と重なる位置には開口部226が形成されており、開口部226の周りからは、枠状の当接部221が下方Z1に突出している。
【0046】
従って、図9に示すように、吸着部21は開口部226で下方Z1に向けて開放状態にあり、当接部材22には、吸着部21の周りを囲むように当接部221が形成されている。吸着部21には、真空吸着を行うための複数の通気穴210が形成されている。
【0047】
吸着部21には、2つの穴211が開口しており、2つ穴211の各々の内側に棒状部材23が上下方向Zに移動可能に配置されている。ここで、棒状部材23は、図6に示す
シャフト277の下端部に形成されており、シャフト277の上端部は、ボルト273によって上方Z2への移動が制限されたストッパ274と連結されている。また、ストッパ274と搬送ヘッド20との間には、ストッパ274から下方に延在するシャフト276の周りにコイルバネ275が配置されている。かかる棒状部材23は、図10を参照して後述するように、搬送ヘッド20の上下方向Zの移動に伴って、当接部221より上方Z2に引っ込んだ上方位置と、当接部221より下方Z1に突出した下方位置との間で移動可能である。
【0048】
(搬送動作)
図10は、図6に示すゲル状部材取扱い装置1でのゲル状部材3の搬送動作を示す説明図である。なお、図10に示す態様では、搬送ヘッド20によって、複数のゲル状部材30を1つずつ搬送する。従って、図10(a)に示すように、当接部221で囲まれた開口部226は、ゲル状部材30の1つ分の大きさになっている。
【0049】
図10(a)に示す待機状態において、搬送ヘッド20は、ゲル状部材30から上方で離間する待機位置にある。この状態で、開口部226は、複数のゲル状部材30のうち、これから搬送しようとする1つのゲル状部材31(一部のゲル状部材)の真上位置にある。また、吸着部21では、通気穴210から空気が吸引されている。
【0050】
この状態から、図6に示すレバー24を時計周りCWの中立位置から、図6に示すように、反時計周りCCWに回転させると、図10(b)に示すように、搬送ヘッド20が下降し、まず、当接部材22の当接部221が、目的の1つのゲル状部材31の周りに位置する他のゲル状部材32に上方Z2から当接する。さらに、図6に示すレバー24を反時計周りCCWに回転させると、搬送ヘッド20がさらに下降し、目的のゲル状部材31は、当接部221の内側に嵌って、ゲル状部材31自身の吸着力によって当接部221の内側に保持される。また、当接部221の内側に嵌ったゲル状部材31は、吸着部21によって真空吸着されて、搬送ヘッド20に保持された状態となる。
【0051】
次に、図6に示すレバー24を時計周りCWに回転させると、図10(c)に示すように、搬送ヘッド20が上昇し、目的のゲル状部材31は、搬送ヘッド20に保持された状態で上昇する。これに対して、目的のゲル状部材31の周りに位置する他のゲル状部材32は、載置台29に残った状態となる。
【0052】
この状態で、搬送ヘッド20を、図6に示す治具40の真上位置まで移動させた後、図6に示すレバー24をさらに時計周りCWに移動させると、支持プレート25や当接部材22が上昇する一方、棒状部材23を備えたシャフト277は、ボルト273とストッパ274との当接により、上昇が阻止される。その結果、図10(d)に示すように、棒状部材23の下端部230が当接部221から下方に突出し、ゲル状部材31を治具40に押し付ける。しかる後に、図6に示すレバー24を反時計周りCCWに回転させて、棒状部材23を上昇させた後、上記の動作を繰り返せば、複数のゲル状部材30を順次搬送することができる。
【0053】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のゲル状部材取扱い装置2(ゲル状部材搬送装置2a)では、搬送ヘッド20が下降して一部のゲル状部材31を保持する際、当接部材22の当接部221が、複数のゲル状部材30のうち、一部のゲル状部材31に隣接する他のゲル状部材32に上方から当接する。従って、当接部221は、一部のゲル状部材31と他のゲル状部材32との吸着力に抗する力を発揮する。このため、搬送ヘッド20が上昇して一部のゲル状部材31を搬送する際、一部のゲル状部材31が他のゲル状部材32から容易に離れるので、ゲル状部材30の取扱い(搬送)が容易である。
【0054】
また、本形態では、当接部221が吸着部21を囲むように設けられているため、搬送ヘッド20は、吸着部21によるゲル状部材31の真空吸着と、当接部221の内側でのゲル状部材31の保持とによってゲル状部材31を確実に保持することができる。
【0055】
この場合でも、搬送ヘッド20からゲル状部材31を離脱させる際、棒状部材23がゲル状部材31と搬送ヘッド20との吸着力に抗する力を発揮する。このため、ゲル状部材31が搬送ヘッド20から容易に離れるので、ゲル状部材30の取扱い(搬送)が容易である。
【0056】
また、搬送ヘッド20は、当接部材22を下方に向けて付勢する付勢部材220を有しているため、搬送ヘッド20を上昇させた際でも、上昇の最終段階まで、当接部221が他のゲル状部材32に当接している。従って、搬送ヘッド20が上昇する際、一部のゲル状部材31を他のゲル状部材32から離しやすい。
【0057】
[実施形態2の改良例]
図11は、図6に示すゲル状部材取扱い装置2の改良例に用いた当接部材22の当接部221を拡大して示す説明図である。図11に示すように、本形態では、当接部材22の当接部221には複数の凸部228aが形成されている。例えば、当接部221には複数の溝228bが形成されており、溝228bに挟まれた部分が複数の凸部228aになっている。
【0058】
従って、当接部221と他のゲル状部材32との接触面積を狭くすることができるので、当接部221と他のゲル状部材32との吸着力を低減することができる。従って、当接部221が他のゲル状部材32からスムーズに離間することができる。なお、凸部228aの形成にあたっては、溝228bを凹部としてした態様に限らず、複数の凸部128aが点在している態様を採用してもよい。
【0059】
[実施形態2の変形例]
上記実施形態2では、搬送ヘッド20によってゲル状部材31を保持するにあたって、吸着部21によるゲル状部材31の真空吸着と、当接部221の内側でのゲル状部材31の保持とを利用したが、吸着部21を設けずに、当接部221の内側でのゲル状部材31の保持のみによって、ゲル状部材31を搬送してもよい。また、上記実施形態2では、一部のゲル状部材31として1つのゲル状部材31を保持して搬送したが、一部のゲル状部材31として複数のゲル状部材31を纏めて保持して搬送する場合に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、2…ゲル状部材取扱い装置、1a…切断装置、2a…搬送装置、3、30、31、32…ゲル状部材、3c…切断位置、10…切断ヘッド、11…刃、12、22…当接部材、13、220…付勢部材、19、29…載置台、20…搬送ヘッド、21…吸着部、23…棒状部材、24…レバー、40…治具、120、226…開口部、121、122、221…当接部、125、228a…凸部、126、228b…溝、210…通気穴、225…底板部、X…左右方向、Y…前後方向、Z…上下方向、Z1…下方、Z2…上方
図1
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図10
図11