(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】建具の開閉体用スイッチ装置及びサッシ
(51)【国際特許分類】
E05B 41/00 20060101AFI20220208BHJP
E05F 7/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E05B41/00 G
E05F7/00 F
(21)【出願番号】P 2018048784
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】西塔 都志雄
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 史智
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 研
(72)【発明者】
【氏名】塙 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】口野 純洋
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183391(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3113541(JP,U)
【文献】登録実用新案第3097445(JP,U)
【文献】特開2015-045215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
E05F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具の枠体に対して開閉可能に設けられる開閉体に取付けられる建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、前記スイッチ装置は、前記開閉体の自由端部に設けられ取付け台座と、この取付け台座に設けられた操作部材と、前記取付け台座に内設され、かつ、前記操作部材の操作力によって該取付け台座の長手方向に直線運動をするスライド部材と、
前記操作部材のハンドル部が位置しないところの前記取付け台座の一端部側に所定間隔を有して配設され、かつ、このスライド部材の位置変位によって、ON・OFFする
複数個のスイッチを有するスイッチ部であり、
前記スライド部材(40)は、長片状の摺動部(41)と、この摺動部の一端部に一体的に設けられた共働片(43)とから成り、前記共働片の略垂直平坦部(43b)が、前記複数個のスイッチをスライドしながら選択的に押下する、建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項2】
請求項1の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、
前記スライド部材は、前記操作部材の軸部に連係する連係部を介して接続する摺動片と、該摺動片の一端部の
一側面から突出するように設けられた前記共働片とから成ることを特徴とする建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項3】
請求項2の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、
前記スイッチは、
前記スライド部材を構成する共働片が移動する方向に対応して、ロック部を有する錠本体の
開錠状態を検出する第1スイッチと、前記の錠本体の施錠状態を検出する第2スイッチが併設されていることを特徴とする建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、
前記スライド部材を構成する共働片は、
縦断面視、略横倒れ台形形状であることを特徴とする建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項5】
請求項1の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、取付け台座は、長板状底板と、この長板状底板の一端部側上面に設けられたスイッチ部を収納する収納部、この収納部に該取付け台座の長手方向に連設すると共に、前記長板状底板の他端部側上面に設けられ、かつ、操作部材の軸部が取り付けられる台座本体部及びこの台座本体部に形成された固定手段用取付け部とを有する取付けベース板とから成ることを特徴とする建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項6】
請求項5の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、前記取付けベース板は前記長板状底板の周端縁部に外嵌合した状態で、複数個の固定手段を介して該長板状底板に一体的に固定されていることを特徴とする建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項7】
請求項1の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、スイッチ装置は、開閉体としての障子の縦框に取付けられた錠前としてのクレセント錠、開閉体としての窓の自由端部に取付けられた錠前としてのカムラッチ、開閉体としての扉の自由端部に取付けられた錠前としてのサムターン装置、又は、開閉体としての引戸に縦框に取付けられた錠前としてのスライダ錠のいずれかであることを特徴とする建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項8】
請求項1の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、スイッチ装置がクレセント錠又はスライダ錠のいずれかである場合には、受け部は開閉体としての引き違い外障子の召合わせ框に固定され、一方、錠本体が前記外障子と対となる内障子の召合わせ框の見込み面に固定されていることを特徴とする建具の開閉体用スイッチ装置。
【請求項9】
請求項1に記載の建具の開閉体用スイッチ装置を主要部とするサッシであって、このサッシは、枠体の縦枠に固定側の受け部を備え、一方、前記受け部に対して係脱する可動側ロック部を有する錠本体が開閉体に設けられ、該開閉体は前記枠体に開閉自在に設けられていることを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建具の開閉体用スイッチ装置及びサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の
図1、
図3、
図4等には、「スイッチ装置が、いわゆるクレセントであり、このクレセント(クレセント錠)を構成する受け部が外障子の召合わせ框に固定され、一方、クレセントのハンドルを有する錠本体及び前記ハンドルの位置を検知するセンサが内障子の召合わせ框の見込み面に縦状態に固定されたサッシ」が記載されている。
【0003】
さらに詳しく説明すると、特許文献1の
図4には、クレセントの台座に関連付けて、該台座とは別個のセンサを構成する正面視三段形状の収納ボックスが縦方向に固定されていると共に、前記収納ボックスの一番低い下段部にはリードスイッチが内設され、クレセントのハンドルが施錠位置へと回転して前記下段部の前面に対して対向する略垂直状態になった時、該ハンドルの内面の磁石に前記リードスイッチが反応するものである(段落0017、段落018)。そして、特許文献1の
図3及び段落0020には、前記センサの収納ボックス内には、電源、制御部、記憶部、送受信部等を含む送信回路が設けられ、前記センサが検知したハンドルの位置情報(施・解錠状態の信号)を監視装置に送信することができる旨が記載されている。
【0004】
次に特許文献2は、上記特許文献1に関連する発明であり、その発明の課題は、表示灯を点滅或いは点灯させる電池の消耗を抑えることができる戸締まり確認システム及びサッシを提供することであり、その解決手段は、「サッシ等に設置されて、施錠、解錠信号を送信する複数の子機5と、複数の子機からの施錠、解錠信号を受信して、各子機に対応するサッシ等の施錠、解錠状態を表示する親機7とを備え、各子機5は、本システムの監視下に置かれていることを表示する表示手段を備え、この表示手段は、夜間部等の所定時間帯にのみ点滅或いは点灯し、それ以外の時間帯には消灯する表示器54を備えたことを特徴とするものである(符号は特許文献2のもの)。
【0005】
次に特許文献3は、当業者の間で、「カムラッチ」と称するロック装置に「スイッチ装置」を加味したサッシが、該スイッチ装置の各実施形態と共に記載されている。前記カムラッチは、カムラッチハンドルを備えた錠本体(ロック装置本体)が、当業者の間で、「障子」と称されている開閉体の縦框の適宜箇所に取付けられ、一方、固定側の傾斜面を有する受け具が前記開閉体を開閉自在に支持する矩形状枠体の縦枠の適宜箇所に設けられている。そして、前記スイッチ装置は、前記カムラッチハンドルの先端部に固着具を介して添設された磁石ホルダーと、前記固定側の受け具に内設されたリードスイッチとから構成されている。
【0006】
したがって、「固定側の受け部と、この受け部に対して係脱するロック部を有する可動側のロック装置と、このロック装置に設けられ、かつ、該ロック装置のロック部のロック位置又は非ロック位置のいずれかを検知するスイッチを備える建具の開閉体用スイッチ装置」は、公知技術である。
なお、この明細書では、「ロック装置」の概念には、普通一般に、その構成自体から「クレセント錠、サムターン装置」と認められる各種の錠前は当然のことながら、操作部材の先端部で開閉体をロックすることができる「カムラッチ」と称するもの、及びこれに類するものも含まれる。したがって、錠前及びカムラッチは、本願発明の先行技術文献となるが、ここでは主な先行技術文献のみを記載することにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-27785号公報
【文献】特開2002-216258号公報
【文献】特開2003-193716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の主たる課題は、簡単にスイッチ装置を開閉体に取付けることができることである。また極力部品点数を減らし、製造コストを下げると共に、センサの管理並びに開閉体に対する取付けを容易にすることである。第2の目的は、センサとしてのスイッチ部を取付け台座内に組み込んでも、該取付け台座の前壁(表面)から開閉体の取付け面(例えば内障子の召合わせ框の見込み面)までの奥行(幅方向の寸法)を抑えることである。第3の目的は、前記主たる課題を達成することができるサッシを提供することである。その他実施形態如何によっては、スイッチ部に上下方向に併設した複数のスイッチを介して、確実にロック部を有する錠本体の施錠位置と解錠位置を検知することができることである。なお、本発明の各種の実施形態に共通する発明の従たる課題は、スイッチ装置のロック部(例えば操作部材に設けたロック部、操作部材の操作力によって移動や回動する施錠片のロック部など)の施・解錠の動作中、完全施錠位置又は完全解除位置になる前であっても、該ロック部が固定側の受け部に略かかる又は略外れる位置でスイッチ部のスイッチをON/OFFさせるためのスライダを確実に動かし、これにより前記スイッチの切替え開始とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の建具の開閉体用スイッチ装置は、建具の枠体に対して開閉可能に設けられる開閉体に取付けられる建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、建具の枠体に対して開閉可能に設けられる開閉体に取付けられる建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、前記スイッチ装置は、前記開閉体の自由端部に設けられ取付け台座と、この取付け台座に設けられた操作部材と、前記取付け台座に内設され、かつ、前記操作部材の操作力によって該取付け台座の長手方向に直線運動をするスライド部材と、前記操作部材のハンドル部が位置しないところの前記取付け台座の一端部側に所定間隔を有して配設され、かつ、このスライド部材の位置変位によって、ON・OFFする複数個のスイッチを有するスイッチ部であり、前記スライド部材(40)は、長片状の摺動部(41)と、この摺動部の一端部に一体的に設けられた共働片(43)とから成り、前記共働片の略垂直平坦部(43b)が、前記複数個のスイッチをスライドしながら選択的に押下することを特徴とする。
【0010】
請求項1の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、前記スライド部材は、前記操作部材の軸部に連係する連係部を介して接続する摺動片と、該摺動片の一端部の一側面から突出するように設けられた前記共働片とから成ることを特徴とする(請求項2)。また請求項2の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、前記スイッチは、前記スライド部材を構成する共働片が移動する方向に対応して、ロック部を有する錠本体の開錠状態を検出する第1スイッチと、前記の錠本体の施錠状態を検出する第2スイッチが併設されていることを特徴とする(請求項3)。また請求項2又は請求項3の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、前記スライド部材を構成する共働片は、縦断面視、略横倒れ台形形状であることを特徴とする(請求項4)。
また前記取付け台座は、長板状底板と、この長板状底板の一端部側上面に設けられたスイッチ部を収納する収納部、この収納部に該取付け台座の長手方向に連設すると共に、前記長板状底板の他端部側上面に設けられ、かつ、操作部材の軸部が取り付けられる台座本体部及びこの台座本体部に形成された固定手段用取付け部とを有する取付けベース板とから成ることを特徴とする(請求項5)。また請求項5の建具の開閉体用スイッチ装置に於いて、前記取付けベース板は前記長板状底板の周端縁部に外嵌合した状態で、複数個の固定手段を介して該長板状底板に一体的に固定されていることを特徴とする(請求項6)。またスイッチ装置は、開閉体としての障子の縦框に取付けられた錠前としてのクレセント錠、開閉体としての窓の自由端部に取付けられた錠前としてのカムラッチ、開閉体としての扉の自由端部に取付けられた錠前としてのサムターン装置、又は、開閉体としての引戸に縦框に取付けられた錠前としてのスライダ錠のいずれかであることを特徴とする。さらに、スイッチ装置がクレセント錠又はスライダ錠のいずれかである場合には、受け部は開閉体としての引き違い外障子の召合わせ框に固定され、一方、錠本体が前記外障子と対となる内障子の召合わせ框の見込み面に固定されていることを特徴とする。加えて、請求項1に記載の建具の開閉体用スイッチ装置を主要部とするサッシであって、このサッシは、枠体の縦枠に固定側の受け部を備え、一方、前記受け部に対して係脱する可動側ロック部を有する錠本体が開閉体に設けられ、該開閉体は前記枠体に開閉自在に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(a)簡単にスイッチ装置を開閉体に取付けることができる。また極力部品点数を減らし、製造コストを下げることができると共に、センサの管理並びに開閉体に対する取付けを容易にすることができる。さらに、このような効果を得るサッシを提供することができる。
(b)請求項2に記載の発明は、確実にスイッチをON、OFFさせることができる。
(c)請求項3に記載の発明は、錠本体の解錠状態と施錠状態をそれぞれ独自に検知することができる。付言すると、スイッチは、スライド部材を構成する共働片が移動する方向に対応して、錠本体の開錠(解錠)状態を検出する第1スイッチと、前記錠本体の施錠状態を検出する第2スイッチが併設されているので、「施錠状態か、それとも開錠(解錠)状態か否か」を確実に検知することができる。実施形態では、共働片43を有するスライド部材40の上下方向に移動に伴って下方の第1スイッチ12aがOFF状態になった時は上方の第2スイッチ12bはON状態となり、それとは逆に上方の第2スイッチ12bがOFF状態になった時は下方の第1スイッチ12aはON状態となるので、スイッチ部13に論理回路(ロジック)を持たせることにより、錠本体11が枠体側の受け部8に係合したか、それとも錠本体11が前記受け部8から外れたかを、図示しない制御部が確実に判別することができる。
(d)請求項4に記載の発明は、スイッチが押釦スイッチである場合には、確実にスイッチをON、OFFさせることができる。
(e)請求項5に記載の発明の取付け台座は、長板状底板と、この長板状底板の一端部側上面に設けられたスイッチ部を収納する収納部、この収納部に該取付け台座の長手方向に連設すると共に、前記長板状底板の他端部側上面に設けられ、かつ、操作部材の軸部が取り付けられる台座本体部及びこの台座本体部に形成された固定手段用取付け部とを有する取付けベース板とから成るので、スイッチ部(センサ)を取付け台座内に組み込んでも、該取付け台座の前壁(表面)から取付け対象の取付け面(例えば内障子の召合わせ框の見込み面)或いは長板状底板までの幅方向の寸法を抑えることができる。
(f)請求項6に記載の発明は、取付けベース板は長板状底板の周端縁部に外嵌合した状態で、複数個の固定手段を介して該長板状底板に一体的に固定するので、取付けベース板と長板状底板との組み合わせがきわめて容易である。
(g)請求項7に記載の発明は、カムラッチ、サムターン装置等の各種の錠前に適用可能である。
(h)請求項8に記載の発明は、取付け台座を縦方向に長尺に形成することにより、例えばスイッチ装置をクレセント装置として最適に適用することができる。
(i)請求項9に記載の発明は、本発明をそのまま含むサッシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至
図21は本発明の第1実施形態(クレセント錠等)を示す各説明図。
図22は第1実施形態のクレセント錠等に周知技術を加味した説明図。
図23乃至
図28は本発明の第2実施形態(カムラッチ等)を示す各説明図。
図29乃至
図39は本発明の第3実施形態(サムターン装置等)を示す各説明図。
図40乃至
図46は第4実施形態(第1のスライダ錠等)を示す各説明図。
図47乃至
図51は第5実施形態(第2のスライダ錠等)を示す各説明図。
【
図1】本発明を含むサッシを室内側から見た概略正面図。
【
図2】便宜上、内障子を矢印方向に多少移動させ、本発明の主要部を室内側から見た概略説明図。
【
図3】
図2の3-3線に基づくクレセント錠の取付け態様を示す概略説明図。
【
図4】クレセント錠の取付け態様を示す斜視からの概略説明図。
【
図5】開錠位置におけるクレセント錠の正面視からの説明図。
【
図6】施錠位置におけるクレセント錠の正面視からの説明図。
【
図7】
図6の7-7線断面図(摺動片と共働片の一体構成の拡大図を含む)。
【
図8】
図7の一部(摺動片と共働片の係合状態)を示す拡大断面説明図。
【
図10】長板状底板側から見た取付け台座の説明図(背面図)。
【
図11】取付け台座を構成する長板状底板と、収納部・台座本体部・固定手段用取付け部等を有する取付けベース板の斜視図。
【
図12】(a)取付けベース板の収納部に嵌め込まれるスイッチ部用蓋体の斜視図。(b)取付けベース板の台座本体部に嵌め込まれる下部側の複数個の固定手段用蓋体の斜視図。
【
図13】操作部材の軸部に設けた駆動カムの係合
ピン38とスライド部材40の案内部との係合関係を示す説明図。
【
図14】
スライド部材40の摺動片の説明図(共働片も含む)。
【
図17】(a)は開錠位置、一方(b)は施錠位置を示す説明図。
【
図19】(a)乃至(c)は、スライド部材40を裏側から見た作動状態の各説明図。
【
図20】(a)は錠本体が受け部から外れ、かつ、スライド部材は下降して停止位置になった状態を示す。(b)は操作部材9が弧状の第2案内部分42bの下死点部分bまで移行し、完全に解錠位置まで達したことを示す。
【
図21】(a)、(b)は操作部材9を逆方向に回し、係合ピンが完全な解錠位置から完全な施錠位置へと移行する各説明図。
【
図22】本発明の第1実施形態のクレセント錠が回転阻止部材を備えている旨の説明図。
【
図23】本発明の第2実施形態(カムラッチ等)を含むサッシを室内側から見た概略正面図。
【
図24】
図5と同様の非ロック位置におけるカムラッチの正面視からの説明図。
【
図25】
図6と同様のロック位置におけるカムラッチの正面視からの説明図。
【
図26】カムラッチの非ロックを示す斜視からの概略説明図。
【
図27】カムラッチのロックを示す斜視からの概略説明図。
【
図29】本発明の第3実施形態(サムターン装置等)の平面視から見た概略説明図。
【
図30】
図5と同様の非ロック位置におけるサムターン装置の正面視からの説明図。
【
図32】サムターン装置の要部(台座等)を正面視から示す概略説明図。
【
図37】駆動体の回転途中で施錠を検知するタイミング位置を示す説明図。
【
図39】駆動体の回転途中で解錠を検知するタイミング位置を示す説明図。
【
図40】本発明の第4実施形態(第1のスライダ錠等)の環境を示す説明図。
【
図43】スライダ錠の内部構成を示す概略説明図(完全解錠状態)。
【
図44】取付け台座内のスライド部材が、完全解錠位置にある説明図。
【
図45】スライダ錠の内部構成を示す概略説明図(完全施錠状態)。
【
図46】取付け台座内のスライド部材が、完全施錠位置にある説明図。
【
図47】本発明の第5実施形態(第2のスライダ錠等)の環境を示す説明図。
【
図48】取付け座板80と操作部材9と外観構成図。
【
図49】取付け座板80と操作部材9と概略断面説明図。
【
図50】錠本体11のロック部14が錠箱20内に完全に没入した説明図。
【
図51】錠本体11のロック部14が錠箱20からに完全に突出した説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)サッシ/環境部材
図1は本発明を含むサッシを室内側から見た概略正面図である。まず、
図1を参照にして本発明を含むサッシを説明する。Xは引き違い式のサッシで、このサッシXは、方形の枠体2と、この枠体2内にスライド開閉可能に取り付けられた内障子3と外障子4とから成る。周知の如く、サッシXは、例えば建物の窓の開口部5に設けられ、後述するスイッチ装置7(第1実施形態では「クレセント錠」とも言う)が非ロックの場合には、
図2で示すように、前記内障子3を室内側から開けることができる。なお、内障子3は、上框、下框および両側の縦框とから成る框体3aと、この框体3a内に嵌め込まれたガラス3bから成る。同様に外障子4も上框、下框および両側の縦框とから成る框体4aと、この框体4a内に嵌め込まれたガラス4bとから成る。
【0014】
次に、
図2は便宜上内障子を矢印方向に多少移動させ、本発明の主要部を室内側から見た概略説明図、
図3は
図2の3-3線に基づくクレセント錠の取付け態様を示す概略説明図、そして、
図4はスイッチ装置の一例であるクレセント錠の取付け態様を示す斜視からの概略説明図である。なお、ここで「スイッチ装置」は、錠前のロック、非ロック等の施・解錠機能を含むものである。また錠前の用語は、ロック装置と同様である。
【0015】
これらの図を参照にして、クレセント錠(スイッチ装置)7の構成と、その取付け態様を簡単に説明する。スイッチ装置としてのクレセント錠7は、固定側の受け部8と、施・解錠するための操作部材9と、この操作部材用の取付け台座10と、この取付け台座10の一部に設けられた可動側のロック部(第1実施形態では「掛け部」とも言う)14を有する錠本体(ロック装置本体)11と、この錠本体11の前記操作部材9が解錠位置又は施錠位置か否か、換言すれば、クレセント錠7が「解錠状態」であるか、それとも「ロック」を検知或いは感知することができるように前記取付け台座10の長手方向の一部に一体的に設けられた
複数のスイッチ12を有するスイッチ部13(例えば
図8を参照)とから成る。なお、前記操作部材9は、回転式又はスライド式のいずれであっても良い。
【0016】
前記固定側の受け部8は、例えば
図2、
図3等で示すように、開閉体としての引き違い外障子4の召合わせ框に固定され、一方、錠本体11及びスイッチ部13は、実施形態では操作部材用の取付け台座10を介して外障子4と対となる内障子3の召合わせ框の見込み面に固定されている。
【0017】
したがって、サッシXに軸足を置いた場合、実施形態のサッシXは、スイッチ装置がクレセント錠7であり、このクレセント錠7を構成する受け部8が外障子4の召合わせ框に固定され、一方、錠本体11及びスイッチ12を有するボックス状のスイッチ部13が内障子3の召合わせ框に固定され、前記受け部8にスイッチを構成する他の部材(例えばリードスイッチ等)は配設されていない。
【0018】
周知の如く、クレセント錠7の錠本体11の掛け部14は、操作部材9の施錠方向への回動操作により回動しつつ外障子4側に延出可能である。そして、開閉体が完全閉鎖状態で前記操作部材9が施錠位置まで回転すると、可動側の掛け部14は、固定側の受け部(クレセント受け)8に完全に係合する。この時、前記スイッチ12は、後述するスライド部材40を構成する長片状の摺動片41が操作部材9の操作力により位置変位(実施形態では上方にスライド)するので、例えばONとなり、ロックを検知或いは感知する。一方、開閉体が完全閉鎖状態で前記操作部材9が解錠位置まで回転すると、或いは可動側の掛け部14が固定側の受け部(クレセント受け)8から離れると、長片状の摺動片がハンドルの操作力により位置変位(実施形態では下方にスライド)するので、前記スイッチ12は、例えばOFFとなり、解錠状態を検知或いは感知する。
【0019】
実施形態では、スイッチ12を構成するスイッチ要素(押釦、ホール素子、可動接片等)は、
例えば図7で示すように、長片状の摺動片の一端部の
一側面から突出するように一体成形された或いは該摺動片と共働するように前記一端部の
一側面から突出するように一体的に設けられた共働片の位置変位(実施形態では、上下方向)に対応して、複数個(例えば合計2個、3個等)、
操作部材9のハンドル部9aが位置しないところの取付け台座10の一端部側に所定間隔を有してかつ略水平状態に配設されている。主要部のクレセント錠7については後述する。
【0020】
ところで、前記掛け部14は、金属板からなる取付け基板部15を有し、この取付け基板部の一部を略円弧状に折り曲げ加工して形成されている。一方、前記固定側の受け部(クレセント受け)8は、剛性を有する金属板であり、先端部が内障子4側にU字状に折り曲げられ、且つ掛け部14が係合しやすいように断面円弧状に加工された受部を有している。また前記操作部材9の基部には、後述する回動軸(軸部)9b及び駆動カム17が一体的に設けられ、該回動軸(軸部)9b及び駆動カム17は操作部材9と共働回転する。その他クレセント錠7は、設計如何によっては施錠位置にある操作部材9をロックするスライド摘みやダイヤル部材を有するロック手段18を適宜に備えている。また、開閉体が開いている時に操作部材9を施錠方向に回動した時、所定の位置で停止させる回動阻止機構及び該回動阻止機構を解除する解錠機構を適宜に備え、又は備えていない(例えば特開平9-158584号公報を参照)。
【0021】
(2)主要部の構成/スイッチ装置/クレセント錠7
まず、
図10乃至
図12を参照にして、スイッチ装置としてのクレセント錠7の取付け台座10の構成から説明する。
図10は長板状底板側から見た取付け台座10の説明図、
図11は長尺状の取付け台座10を構成する長板状底板21と、収納部27・台座本体部28・固定手段用取付け部29等を有する取付けベース板22の斜視図、
図12の(a)は取付けベース板22の収納部27の前開口に嵌め込まれるスイッチ部用蓋体23の斜視図、そして、
図12の(b)は取付けベース板22の台座本体部28の外向き凹所に嵌め込まれる下部側の複数個の固定手段用蓋体24,25の斜視図である。
【0022】
図1乃至
図4で示すように、普通一般にクレセント錠7の受け部8は、開閉体としての引き違い外障子4の召合わせ框4aに固定され、一方、クレセント錠の錠本体11は、前記外障子4と対となる内障子3の框体3aの召合わせ框の見込み面に取付け台座10を介して固定されるので、該取付け台座10は、普通一般に前記召合わせ框の見込み面に略垂直状態に固定される。
【0023】
しかして、実施形態の長尺状の取付け台座10は、長板状底板21と、この長板状底板21の一端部21a側の上面に設けられたボックス状のスイッチ部13を外嵌合状態に収納する収納部27、この収納部に該取付け台座の長手方向に連設すると共に、前記長板状底板の他端部21e側の上面に設けられ、かつ、操作部材9のハンドル部9aと交差する軸部9bが取り付けられる台座本体部28及びこの台座本体部に形成された複数の固定手段用取付け部29とを有する取付けベース板22とから成る。
【0024】
前記長板状底板21は、
図11で示すように、前述した一端部21a(図面では上端部)と、この一端部21aに連設する一端部側の垂直板部21bと、この垂直板部21bに端面コ字形状の固着具用取付け部21cを介して連設する他端部側の垂直板部21dとか成り、前記一端部21aの略中央部、前記固着具用取付け部21cの略中央部及び前記他端部21eの隅部等には、それぞれ固着具26用の不番の貫通小孔が形成されている。
【0025】
一方、例えば
図7、
図10等で示すように、前記取付けベース板22は、前記長板状底板21の周端部に略外嵌合した状態で、前述の複数個の固定手段26を介して該長板状底板21に一体的に固定されている。この取付けベース板22は、金属又は合成樹脂製の縦長嵌合体であり、縦長嵌合体の環状周壁部分22aの後周端縁部は開口し、該開口は長板状底板21に対する嵌合孔となっている。この取付けベース板22の開口縁の細部的構成の説明は割愛するが、この取付けベース板22の上部側は、前記環状周壁部分22aの中央部寄りの部位から上端周壁部分にかけて、前述したボックス状のスイッチ部13を外嵌合状態に収納する収納部27となっている。この収納部27の大きさや形状は、ボックス状のスイッチ部13が略縦長状の直方体形状なので、該直方体形状に対応する囲繞形式の上部側周壁部分となっていると共に、該上部側周壁部分の後周端縁部及び前周端縁部はそれぞれ連通状態に開口する。
【0026】
したがって、ボックス状のスイッチ部13を、前記前側開口又は後側開口のいずれかを介して収納部27に容易に嵌め込むことができる。
【0027】
また取付けベース板22は、略中央部を含む下部側に、前述した台座本体部28が収納部27に連設形成され、該台座本体部28は、好ましくは該収納部27の長さ寸法よりも長く、かつ、収納部27の上部側の周壁部分の前周端縁部よりも一段低い状態の縦長前壁部分22bを有する。この台座本体部28の縦長前壁部分22bの略中央部は隆起状に突出する操作部材用取付け部28aとなっている。
【0028】
したがって、該操作部材用取付け部28aの略中央部には軸部9b用の軸孔28bが形成されている。
【0029】
また、台座本体部28の前記操作部材用取付け部28aの上方と下方の各部位には、それぞれ外向き凹所を有する固定手段30用取付け部29、29が形成されている。固定手段30は複数のオネジであり、前記固定手段用取付け部29は、これらのオネジのネジ部が貫通する縦長孔である。実施形態では、前記固定手段30を目隠しするために前記凹所状固定手段30用取付け部29に係脱可能な上下一対の固定手段用蓋体24、25が用意されている。各固定手段用蓋体24、25の一端部の内面に突設された水平方向の係合部としての係合爪片31は、前記台座本体部28の適宜箇所、例えば上下の固定手段30用取付け部29、29にそれぞれ形成した水平方向の被係合部としての水平係合孔32に係合する。前記係合爪片31と水平係合孔32は任意な設計変更し得る事項であり、上方と下方の固定手段用蓋体24、25用の係止手段となる。
【0030】
さらに、実施形態の取付け台座10は、少なくとも収納部27に形成した単数又は複数の上部の被係合部(例えば係合溝、係合孔等)33と係合する蓋体係合部(例えば弾性係合爪片)34を有するスイッチ部用蓋体23を備えている。スイッチ部用蓋体23を収納部27の前側開口27aに嵌着すると、後述するボックス状のスイッチ部13は見えなくなる。
【0031】
ところで、クレセント錠7の操作部材9は、例えば
図6及び
図7で示すように、台座本体部28の縦長前壁部分22bの前面に多少の間隙を有して垂直状態に位置位置付けられるハンドル部9aと、このハンドル部9aの基端部に設けられた軸部(クレセント軸)9bと、該軸部9bに固定的に設けられた掛け部14を有する錠本体11とから成り、前記軸部(クレセント軸)9bは台座本体部28の軸孔28bを貫通し、該軸部9bの内端部には、該クレセント軸と共働する駆動カム17が設けられ、この駆動カム17の偏芯位置に設けた
連係部としての突起状の係合ピン38は縦長状のスライド部材(作動部材)40に形成した弧状の案内部42に係合し、該係合ピン38が前記弧状案内部42内を移行することによって摺動片41が引き上げ又は引き下げられるように位置変位する(
図13を参照)。
【0032】
上記構成に於いて、例えば
図5はクレセント錠7の操作部材9が非ロック位置(解錠)であることを示し、一方、
図6はクレセント錠7の操作部材9がロック位置(施錠)であることを示す。
【0033】
前述したように、クレセント錠7の錠本体11の掛け部14は、操作部材9の施錠方向への回動操作により回動しつつ外障子4側に延出可能である。そして、開閉体が完全閉鎖状態で前記操作部材9が施錠位置まで回転すると、可動側の掛け部14は、固定側の受け部(クレセント受け)8に完全に係合し、これと同時に、縦長状のスライド部材(作動部材)40は、上方へと所定量スライドする。
【0034】
しかして、スライド部材(作動部材)40は、操作部材9の回転操作力によって取付け台座10の長手方向に直線運動をする摺動片41と、この摺動片の一端部(上端部)に一体成形された或いは該摺動片と共働するように前記一端部に一体的に設けられた共働片43とから成る。前記共働片43を設けた理由は、スイッチ部13の複数のスイッチ12をそれぞれ確実に押下するためである。前記スイッチ部13の複数のスイッチ12は、取付け台座10の上部側の収納部27内に一端部(上端部)側に位置するように一部又は全部(実施形態)が組み込まれ、かつ前記摺動片41の位置変位によって、ON・OFFする。
【0035】
なお、実施形態では、操作部材側の駆動カム17と前記摺動片41は、後述する互いの連係部(係合ピン38と弧状の案内部42)を介して接続し、この連係部の弧状の案内部42が本発明の要部である(
図18乃至
図21を参照)。
【0036】
ところで、前記共働片43が摺動片41の一端部に一体的に設けられている場合には、前記摺動片41の一端部に位置決め突起41a又は位置決め凹所のいずれかが設けられ、一方、前記共働片43には、前記位置決め突起又は位置決め凹所のいずれかに対応する係合凹所又は係合突起のいずれかが設けられている。
【0037】
(3)スイッチ部13
図15は、スイッチ部13のスイッチが摺動片41と同方向に移動する共働片43の押圧によってON/OFFする押釦式スイッチである旨の斜視図、
図16は前記押釦式スイッチ12が共働片43の移動する方向に対応して、好ましくは、開閉体3、4のクレセント錠7の錠本体11の非ロック状態を検出する第1スイッチ12aと、前記錠本体11のロック状態を検出する第2スイッチ12bが所定間隔を有して併設されている旨を示す。また
図17の(a)は開錠(解錠)位置を示し、一方、
図17(b)は施錠位置を示す各説明図である。
【0038】
実施形態では、一つの押釦式スイッチのON/OFFに基づいて、「ロック状態か、それとも非ロック状態か否か」を検知するのではなく、より好ましくは複数個(例えば上と下の合計2個のスイッチ)を用いる。
図17(b)は施錠位置を示すことから、
図7で示すように操作部材6のハンドル部9aが上方に回転した場合である。この場合には同時にスライド部材40も上方に移行し、下方の第1スイッチ12aの押下状態を完全に解除するのに対して、上方の第2スイッチ12bを完全に押下した状態となる。実施形態のスライド部材40の先端部に位置する共働片43は、縦断面視、略横倒れ台形形状であり、上下端部に傾斜部43aを有し、これらの傾斜部43aの間に略垂直平坦部43bが存在する。すなわち、実施形態の共働片43は、好ましくは縦断面の形状が略横倒れ台形形状となっており、該共働片43の上下往復運動中、該共働片43の上下端部のいずれかの傾斜部43aで徐々に第1スイッチ12a又は第2スイッチ12bのいずれか一方を選択的に押し下げ、往復完了時、すなわち、開錠位置を示す
図17の(a)及び施錠位置を示す
図17(b)の時、共働片43の略垂直平坦部43bが前記第1スイッチ12a又は第2スイッチ12bのいずれか一方を完全に押下する。これにより、「ロック状態か、それとも非ロック状態か否か」を確実に検知する。なお、ロック状態と非ロック状態とを切り替えるタイミングポイントは、ロック装置本体の可動座側のロック部14が固定側の受け部8に係脱する時であることが好ましい。何故ならば、施錠検知位置から完全施錠位置になる、或いは逆に完全施錠位置から解錠検知位置なるまで、「ロック部14の動作幅」が存在するからである。
【0039】
以上のように、実施形態では、共働片43を有するスライド部材40の上下方向に移動に伴って下方の第1スイッチ12aがOFF状態になった時は上方の第2スイッチ12bはON状態となり、それとは逆に上方の第2スイッチ12bがOFF状態になった時は下方の第1スイッチ12aはON状態となるので、スイッチ部13に論理回路(ロジック)を持たせることにより、錠本体11が受け部8に係合したか、それとも錠本体11が受け部8から外れたかを、図示しない制御部が確実に判別することができる。
【0040】
(4)本発明の要部/連係部38、42
本発明の連係部は、駆動体17を介して又は介さないで(直接又は間接的に)連係する。この実施形態ではスライド部材40は操作部材9側の駆動体17を介して連係する。
この要部に関しては、
図18乃至
図21に具体的に示している。すなわち、
図18は本発明の要部(スライド部材40の係合ピン用案内部42)の概略説明図である。該図に於いて、42は係合ピン用案内部で、駆動体に設けた係合ピン38は、この係合ピン用案内部42の上死点部分aと下死点部分bの間を弧状の軌跡を描きながら移行する。前記上死点部分aでは操作部材9は上向きであり、錠本体は完全施錠位置にある。一方、前記下死点部分bでは操作部材9は下向きであり、錠本体は完全解錠位置にある。実施形態では、上死点部分aと下死点部分bの間に長尺状のスライド部材40が動き始める始動ポイントが二か所あり、ここでは便宜上、「スライド部材始動用のタイミング部分P1、P2」という。前記タイミング部分P1は、スライド部材40を押下するための略水平部分であり、一方、前記タイミング部分P2はスライド部材40を押上するための略水平部分である。
ここで本発明の要部を要約すると、互いの連係部38、42は、操作部材9の軸部9bと共働する駆動体17に設けられ、かつ、前記操作部材9の操作力により弧状の軌跡を描く係合ピン38と、前記駆動体17、スイッチ部13等を内装した取付け台座内に摺動自在に組み込まれたスライド部材40に形成された前記係合ピン用案内部42であり、前記係合ピン用案内部42は、前記係合ピン38が停止する上死点部分aと下死点部分bの間の中途部位に、該係合ピン38が前記上死点部分a又は下死点部分bのいずれかの方向へ移行中に、前記錠本体11が前記受け部8から外れる又は前記錠本体11が前記受け部8に係合する態様に相応するスライド部材始動用のタイミング部分を有するものである。
【0041】
しかして、スライド部材40の係合ピン用案内部42は、全体として略弧状の溝又は切欠のいずれかに形成され、該係合ピン用案内部42の内周面に設けられた前記スライド部材始動用のタイミング部分P1、P2は、実施形態では、少なくとも前記受け部8から前記錠本体11が外れる時と、一方、該受け部8に該錠本体11が係合する時の合計2個であることを特徴とする。もちろん、設計如何によっては、前記タイミング部分P1、P2を増減することができる。
【0042】
図18で示すように、係合ピン用案内部42は、上死点部分a側に設けられた幅広状の第1案内部分42aと、この幅広状の第1案内部分の下辺の段差部分に連続する弧状の第2案内部分42bとから成り、スライド部材始動用のタイミング部分P1、P2は、移行中の係合ピンが押下する前記第1案内部分の下辺の段差部分(略水平部分)P1と、移行中の係合ピンが押上する前記下辺の段差部分と略対向する上辺の略水平部分P2である。
【0043】
さらに、
図19乃至
図21を参照にして、操作部材9を完全施錠位置から完全解錠位置へと回した場合と、その逆の態様の場合について説明する。まず
図19の(a)乃至(c)は、スライド部材40を裏側から見た作動状態の各説明図で、(a)は操作部材9がやや斜め上方に位置し、この時、錠本体11が受け部8に完全に係合している施錠位置である。スライド部材40は上昇・停止しており、かつ、係合ピン38は上死点部分aに位置していることを示す。(b)は操作部材9を施錠位置から解錠方向へと回している状態で、例えば操作部材9が多少上方を指向した横状態の位置である。この時、スライド部材40は動き始め位置となるので、移行中の係合ピン38は第1案内部分の下辺の段差部分P1を押下する。(c)は、操作部材9をさらに解錠方向へと回している状態で、例えば操作部材9が多少下向き指向した横状態の位置である。この時、スライド部材40は下降中であると共に、錠本体11が受け部8から外れる。
【0044】
また
図20の(a)は、錠本体11が受け部8から外れ、かつ、スライド部材40は下降して停止位置(フルストローク位置)になった状態を示す。この時、操作部材9側の係合ピン38は第1案内部分の下辺の段差部分P1から弧状の第2案内部分42bの坂状連続端に入り始める。(b)は操作部材9が弧状の第2案内部分42bの下死点部分bまで移行し、完全に解錠位置まで達したことを示す。なお、操作部材9は弧状の第2案内部分42bを移行する場合には、いわば空転状態となる。
【0045】
さらに、
図21は、操作部材9を逆方向に回し、完全な解錠位置から完全な施錠位置になる場合の各説明図で、(a)はスライド部材40が上方に動き始め位置となるので、移行中の係合ピン38は第1案内部分42aの下辺の段差部分P1と略対向する上辺の略水平部分P2を押上することを示す。弧状の案内部の下死点部分bから前記上辺の略水平部分P2に達する間、操作部材9は、いわば空転状態となる。(b)は操作部材9をさらに逆方向に回し続けるので、スライド部材40が上昇することを示すと共に、錠本体11が受け部8に係合し始めることを示す。そして、係合ピン38は最終的には
図19の(a)で示したように上死点部分aに達する。
【0046】
ところで、スライド部材40の係合ピン用案内部42は、全体として略弧状の溝又は切欠のいずれかに形成され、該係合ピン用案内部42の内周面に設けられた前記スライド部材始動用のタイミング部分P1、P2は、前記受け部8から前記錠本体11が外れる時と、一方、該受け部に該錠本体が係合する時の合計2個であるが、前記タイミング部分P1、P2は、必ず2個である必要はなく、係合ピン用案内部42の形状を適宜に設計変更することにより、変換ポイントを一か所にしても良い。
【0047】
またスイッチ部13の押釦式スイッチ12は、任意に設計変更することができる。特に図示しないが、スイッチ12は、摺動片41と同方向に移動する共働片43の磁石に反応する感応式のもの(例えばリードスイッチ)、又はホール素子を有するホールICスイッチであっても良い。リードスイッチ又はホールICスイッチのいずれの場合であっても、スイッチ12は、リード線と適宜に接続する複数のリードスイッチ又はホール素子が共働片43の移動する方向に所定間隔を有して、例えば合計2個ボックス状のケース内に所定間隔を有して配設され、共働片43の永久磁石の接近・離反に応じてON/OFする。
【0048】
また特に図示しないが、実施形態のスイッチ装置7に於いて、このスイッチ装置は、操作部材9は回転式であることから、例えばサムターン装置であり、サムターン軸の内端部には該サムターン軸と共働する駆動体(例えば駆動カム)17が設けられ、この駆動カム17の半径外方向に延在する駆動腕が周方向に移行することによってスライド部材40が引き上げ又は引き下げられるように位置変位するように構成しても良い。この場合前述した連係部は適宜に設計変更することができる。なお、スイッチ装置がサムターン装置である場合には、後述する第3実施形態の如く、スイッチ装置は、開閉体(例えば回転式扉)の自由端部に設けられた操作部材用の取付け台座に設けられる。
【0049】
ところで、
図22は、本発明の第1実施形態のクレセント錠7が回転阻止部材60を備えている旨の説明図である。本発明のスイッチ装置は、好ましくは、クレセント錠であり、このクレセント錠を構成する受け部8が開閉体としての引き違い外障子4の召合わせ框に固定され、一方、クレセント錠を構成する錠本体11が前記外障子と対となる内障子3の召合わせ框3aの見込み面に固定され、該クレセント錠の操作部材9は、
図1で示すように、前記外障子4と前記内障子3が完全に閉じている場合には該操作部材9を施錠位置まで回転させることができ、一方、
図2で示すように、前記内障子3が開いている場合には前記操作部材9の施錠方向への回転を阻止する回転阻止部材60を備えている。
【0050】
しかして、回転阻止部材60は、カム面61を有するロック手段用摺動体62、該摺動体62をロック方向に付勢する付勢手段63から成り、操作部材9の軸部9bを介して錠本体11に設けられ、前記ロック手段用摺動体62に設けた爪状の係止部分65は、長尺状の取付け基台10側に設けた係合部分64と係脱可能である。なお、この回転阻止部材60の構成及び作用は、例えば特開平9-158584号公報の
図7に記載されている公知乃至周知技術なので、詳細な説明は割愛する。
【実施例】
【0051】
この欄では、「スイッチ装置」という課題の同一性から発明の単一性を有するものとして、操作部材9の操作によりロック部14が位置変位するクレセント錠以外に、「操作部材9の操作によりロック部14が位置変位するカムラッチ(ここではこれも錠前である)」、「操作部材9の操作によりロック部14が位置変位するサムターン装置(これも錠前の一例である)」、「その他の錠前(操作部材が直線移動するスライド錠)」について言及する。
【0052】
なお、これらのスイッチ装置の説明に当たって、前記第1実施形態と同一の部分には同一又は同様の符号を付し、各部材の動き、駆動体17の回転途中で施錠並びに解錠を検知するタイミング位置、発明の課題等に関しては、重複する説明を割愛する。また当業者にとって「自明の事項」の説明は極力割愛する。
【0053】
まず
図23乃至
図28は、本発明の第2実施形態(カムラッチ等)を示す各説明図である。具体的には、
図23は第2実施形態(カムラッチ等)を含むサッシを室内側から見た概略説明図、
図24は
図5と同様の非ロック位置(開錠位置)におけるカムラッチの正面視からの説明図、
図25は
図6と同様のロック位置(施錠位置)におけるカムラッチの正面視からの説明図、
図26はカムラッチの非ロック(解錠状態)を示す斜視からの概略説明図、
図27はカムラッチのロック(施錠状態)を示す斜視からの概略説明図、そして、
図28は操作部材、駆動体及びスライド部材の接続構成を示す概略断面説明図である。この第2実施形態のスイッチ装置7Aが前記第1実施形態のそれと主に異なる事項は、操作部材9が、いわゆる「カムロックハンドル」になった点である。そこで主要部を簡単に説明する。
【0054】
これらの図に於いて、サッシXは、横滑り型の開閉体(例えば障子)3Aの框体3aに「スイッチ装置7A」を備えている(
図23を参照)。前記框体3aは、矩形状の枠体2に対して開放する側(図示しない複数の可動リンクを介して縦枠に連結された取付け基端部とは反端側の自由端部)の縦框である。スイッチ装置7Aは框体3aの略中央部に長尺状の取付け台座10を介して固定されている。このスイッチ装置7Aは、当業者の間で「カムロック」と称されている錠前の一種である。錠前の概念は、人によって解釈が異なるものの、ここではカムロックも「錠前」、つまり、「ロック装置」の一種である。
【0055】
しかして、このスイッチ装置7Aは、例えば
図28で示すように長尺状の取付け台座10の一端部側に軸部9bが嵌入する操作部材(この第2実施形態では「カムロックハンドル」とも言う)9と、この操作部材9の回転操作力により直線運動をするスライド部材40と、このスライド部材40の往復運動によって、前記カムロックハンドル9の先端部側に設けられたロック部14が矩形状の枠体2の縦枠の略中央部に固定された受け具8に対して施錠状態又は解錠状態になったか否かを検知する単数又は複数(実施形態)のスイッチを有するスイッチ部13を備えている。
【0056】
このスイッチ装置7Aも、前記取付け台座10に前記カムロックハンドル9の軸部9bが設けられていると共に、該軸部9bに一体的に設けられた駆動体(例えば駆動カム)17に互いの連係部38、42を介して接続するスライド部材40と、このスライド部材の位置変位によってON・OFFする、好ましくは複数のスイッチ12(12a、12b)とを含み、前記互いの連係部38、42は、前記駆動体17に設けられかつ前記カムロックハンドル9の操作力により弧状の軌跡を描く係合ピン38と、前記スライド部材40に形成された前記係合ピン用案内部42であり、前記係合ピン用案内部42は、前記係合ピン38が停止する上死点部分と下死点部分の間の中途部位に、該係合ピン38が前記上死点部分又は下死点部分のいずれかの方向へ移行中に、前記カムロックハンドル9の先端部側のロック部14(錠本体11)が前記受け部8から外れる又は前記のロック部14(錠本体11)が前記受け部8に係合する態様に相応するスライド部材始動用のタイミング部分を有する。したがって、第1実施形態と同一の作用・効果を有するものである。なお、操作部材(カムロックハンドル)9は、ハンドル部9aと先端部に相当するロック部14との間に斜め方向に延在する付番の連続部を有している。その余の具体的構成の説明は割愛する。
【0057】
次に
図29乃至
図39は、第3実施形態(サムターン装置等)を示す各説明図である。具体的には、
図30は
図5と同様の非ロック位置(開錠位置)におけるサムターン装置の正面視からの概略説明図、
図31はサムターン装置の要部(錠箱、デッドカム、デッドボルト)を示す説明図、
図32はサムターン装置を構成する取付け台座、サムターン摘み、駆動体、スライド部材等を正面視から示す概略説明図、
図33は
図32の側面視から示す概略説明図、
図34はサムターン摘み、駆動体、スライド部材の分解斜視図、
図35はデッドカム、デッドボルトの分解斜視図、
図36は完全解錠位置を示す説明図、
図37は駆動体の回転途中で施錠を検知するタイミング位置を示す説明図、
図38は完全施錠位置を示す説明図、そして、
図39は駆動体の回転途中で解錠を検知するタイミング位置を示す説明図である。
【0058】
この第3実施形態のスイッチ装置7Bが前記第1実施形態のそれと主に異なる事項は、次のとおりである。(a)操作部材9が、いわゆる「サムターン摘み」である点、つまり、操作部材9のハンドル部9aが指で摘まむことができる形状となっている点、(b)操作部材9の軸部9bに一体的に連結される駆動体17は、例えば
図34で示すように、いわゆるサムターンダルマとやや同様な構成となっている点、すなわち、前記軸部9bに一体的に結合する環状部分17aと、この環状部分の外周面の一部から半径外方向に所定量突出する係合腕17bとから成る点、(c)スライド部材40と操作部材9の連係部が若干異なる点、すおわち、第1実施形態の係合ピン38に相当する部材が「前記係合腕17b」であり、一方、第1実施形態の弧状の案内部42に相当する箇所がスライド部材40の長手方向の突壁部分40aの略中央部に形成された「複数個のタイミングポイントP1、P2(対向傾斜面の一部)を有する切欠部42」である点、(d)前記スライド部材40の折り曲げ下端部の一側面に設けた位置決め突起41aに押圧部としての共働片43が設けられている点、(e)スイッチ部13が、例えば
図33で示すように、取付け台座10の下端部に組み込まれている点、(f)その結果、スイッチ部13の第1スイッチ12aと第2スイッチ12bの位置が逆となっている点等である。
【0059】
ところで、第3実施形態の連係部17b、42は、第1実施形態の連係部38、42を置換したもの(均等論が適用され得る技術)であるが、前記係合腕17bの先端部分が選択的に係合するタイミングポイントP1(
図34の図面上右上がり状傾斜面の一部)と、このタイミングポイントP1に対向するタイミングポイントP2(
図34の図面上右下がり状傾斜面の一部)との所定間隔Lは、先端部にロック部14を有するデッドボルト11の移動量、駆動体17の回転量、係合腕17bの長さや幅等を考慮して、例えば
図18で示した如く「若干の遊び」を設けるのが望ましい。
【0060】
また
図35で示すデッドカム19は、周知のデッドカムと同一であることから、前述した可動側の錠本体としてのデッドボルト11の構成も周知技術である。したがって、開閉体3B(例えば扉)の自由端部の木口に内設された錠箱20(
図29参照)の内部構造の説明は割愛する。
【0061】
以上の構成上の相違点を踏まえると、第2実施形態のスイッチ装置7Bは、「固定側の受け部8と、この受け部に対して係脱する可動側のロック部14を有するデッドボルト11を含むロック装置用の取付け台座10と、前記デッドボルトのロック位置又は非ロック位置のいずれかを検知するスイッチ12を備える建具の開閉体用スイッチ装置7Bであって、前記ロック部14は、前記取付け台座に回転可能に設けられた操作部材9の回転操作力により前記ロック位置又は非ロック位置のいずれかに移動し、スイッチ装置は、さらに、前記取付け台座10に前記操作部材9の軸部9bが設けられていると共に、該軸部に一体的に設けられた駆動体17に互いの連係部(オス部分・メス部分)を介して接続するスライド部材40と、このスライド部材の位置変位によってON・OFFするスイッチ12とを含み、前記互いの連係部は、前記駆動体17に設けられかつ前記操作部材9の操作力により弧状の軌跡を描く係合腕17bと、前記スライド部材40に形成された切欠部(例えば楔状溝や楔状切欠等)42であり、前記切欠部42は、前記係合腕17bが停止する上死点部分と下死点部分の間に、該係合腕が前記上死点部分又は下死点部分のいずれかの方向へ移行中に、前記デッドボルトのロック部が前記受け部から外れる又は前記ロック部が前記受け部に係合する態様に相応するスライド部材始動用のタイミング部分(対向傾斜面)を有するもの」である。
【0062】
次に
図40乃至
図46は第4実施形態(第1のスライダ錠等)を示す各説明図である。
図40は本発明の第4実施形態(第1のスライダ錠等)の環境を示す説明図、
図41は操作部材9と、取付け台座10の説明図、
図42は操作部材9、取付け台座10、開閉体としての引戸3Dの戸先内に設けられたスイッチ装置7Dを模式的に示した説明図、
図43はスイッチ装置7Dとしてのスライダ錠(これも錠前の一種)の内部構成を示す概略説明図で、先端部にロック部14を有する錠本体(錠片としてのカマ)11は完全解錠状態、一方、
図45は錠本体(錠片としてのカマ)11が完全施錠状態、そして、
図44は取付け台座10内のスライド部材40が完全解錠位置にある説明図、一方、
図46はスライド部材40が完全施錠位置にある説明図である。
【0063】
ここで「スライダ錠」とは、操作部材9が直線運動をすると、錠本体(錠片)11が完全解錠状態又は完全施錠位置のいずれかの方向に回転しながら錠箱のフロントを基準にして出没するものをいう。なお、この「スライダ錠」の概念には、前記錠本体(錠片)11に連動して直線方向に移動するデッドボルトを加味したものも含まれる。ここでは発明の特定要件ではないことから、特に図示しない。
【0064】
さて、操作部材9は、普通一般の引戸3Dを水平方向に開閉するものであることから、ハンドル部9aは複数本の指を入れることができる把手部或いは摘み部形状に形成されている。ハンドル部9aの垂直端面に直交する軸部9bは、取付け台座10の内外の側壁の略中央部に形成された垂直の透孔10aと、該取付け台座10にスライド可能に内設されたスライド部材40の連係部(例えば垂直長孔)42Dと、錠箱20内のスライダ70の垂直長孔71をそれぞれ貫通している。
【0065】
実施形態では、取付け台座10のスライド部材40と錠箱20内のスライダ70は略同一の形状及び長さであり、またスライド部材40連係部(例えば垂直長孔)42Dとスライダ70の垂直長孔71は略同一の形状及び長さである。したがって、操作部材9の軸部9bの長さは、適宜に設定されている。
【0066】
取付け台座10に内設されたスイッチ部13は、第1実施形態と同様に取付け台座10の上端部側に組み込まれ、押釦式の第1スイッチ12aと、押釦式の第2スイッチ12bが所定間隔を有してスライド部材40のスライドする方向(上下方向)に併設されている。
図48を基準にすると、下方の位置するのが「解錠状態」を検知し、上方に位置するのが「施錠状態」を検知する。もちろん、設計如何によっては、前記スイッチの位置を逆にしても良い。
【0067】
しかして、この実施形態では、望ましくは錠本体11が固定側の受け部8から外れる又は錠本体11が前記受け部8に係合する態様に相応するスライド部材始動用のタイミング部分P1,P2は、スライド部材40の連係部としての垂直長孔42Dの上方の弧状縁部分と下方の弧状縁部分である。
【0068】
さらにスイッチ装置7Dとしてのスライダ錠の構成について付言する。
図40で示すように、引戸3Dの戸先には、「スイッチ装置7D」が設けられていると共に、該スイッチ装置7Dを構成する錠本体(錠片)11は、錠箱20から出没可能である。実施形態のスライダ錠の錠本体11は、いわゆる「鎌片」であり、操作部材9が直線運動をすると、垂直方向に位置変位する長板板或いは縦長枠状のスライダ71によって錠箱20のフロントを基準にして出没する。
【0069】
前記スライダ71のスライドによって錠本体11を出没回動させる連動は、例えば図示の場合、錠箱20内に錠箱の内壁、案内板等を介して上下方向に案内されるスライダ71を組み込み、また、錠箱20内に支軸72を介し回動自在に錠本体(鎌片)11を取付け、さらに、スライダ71の側面から一体的に突出するピン73を、錠本体に形成した切欠き74に嵌め込むと共に、錠箱の壁の「く」の字状ガイド孔75に挿入し、上方にスライダ71をスライドさせると、該スライダ71と共に移動するピン73を介して錠本体11が突出方向に回動し、一方、下方にスライダ71をスライドさせると移動する前記ピン73を介し錠本体11が錠箱20内に没入方向に回動する。
【0070】
なお、突出方向に回動した錠本体11の鉤状のロック部14は、錠箱20の錠箱前面壁に設けてある貫窓から矩形状枠体2の受け部(受金具)8の貫窓8aに嵌入して、受け部(受け金具)8に係止する。また、把持部型の操作部材9は、取付け座板を介して、又は介さないで、縦長ケース状の取付け台座10に上下動自在に設けられる。その他、特に付番を付さないが、錠箱20内には、スライダ錠に必要な、錠本体用の付勢バネ、スライダ71用のクリックバネ、スライダ71を解錠位置に保持するための阻止片、阻止片用の付勢バネ、スライダ71を所定位置に止めるストッパー等が適宜に設けられている。
【0071】
上記構成に於いて、操作部材に手を掛けて開閉体としての引戸をスライドさせ、閉戸時、スライドするスライダ70により錠本体11のロック部14を出没回動させることができると共に、取付け台座10内のスライド部材40も同時に前記スライダ70と同じ方向に位置変位することから、錠本体11の施錠、解錠の操作が極めて容易にかつ迅速であり、かつ、スイッチ装置7Dの第1スイッチ12a又は第1スイッチ12bのいずれかが作動し、スライダ錠の施錠状態と解錠状態を確実に検知することができる。
【0072】
したがって、第1実施形態の構成と、上記説明を踏まえると、「建具の開閉体用スイッチ装置7D」は、固定側の受け部8と、この受け部に対して係脱する可動側のロック部14を有するロック装置11と、このロック装置用の取付け台座10と、前記ロック装置のロック位置又は非ロック位置のいずれかを検知するスイッチ12を備える建具の開閉体用スイッチ装置であって、前記ロック部14は、前記取付け台座10に設けられた操作部材9の直線移動により前記ロック位置又は非ロック位置のいずれかに移動し、一方、スイッチ装置は、前記取付け台座に前記操作部材の軸部が設けられていると共に、スイッチ装置は、前記取付け台座10に前記操作部材9の軸部9bが設けられていると共に、前記取付け台座にスライド可能に内設されかつ前記軸部に垂直長孔状の連係部40Dを介して接続するスライド部材40と、このスライド部材の位置変位によってON・OFFする解錠位置検知用のスイッチ12aと施錠位置検知用スイッチ12bを含む。そして、スライド部材始動用のタイミング部分P1、P2は、垂直長孔状連係部40Dの下方の縁部分と上方の縁部分である。
【0073】
最後に
図47乃至
図51は第5実施形態(第2のスライダ錠等)を示す各説明図である。この第2のスライダ錠としての「スイッチ装置7E」は、前記第4実施形態(第1のスライダ錠等)の設変更例であり、例えば第1実施形態と同様に、方形の枠体2に、「内外の障子3、4」が設けられた引き違い引戸に適用される。
【0074】
したがって、固定側の受け部8外障子に固定され、これに対向するスイッチ装置7Eは内障子3に固定される。この第5実施形態のスイッチ装置7Eに関する同一構成・同一の作用については、第1実施形態や第4実施形態のそれを援用する。
【0075】
ここで、第4実施形態を特定発明とした場合に於いて、該第4実施形態と主に異なる事項は、(a)適用対象が引き違い引戸である点、(b)操作部材9は、縦型状錠箱20の後壁20a側に取付け台座10を介して設けられている点、(c)第2のスライダ錠の錠箱内の構成部材の接続態様が異なる点、(d)図示しない錠箱内の各部材の接続構成が若干異なる点である。
【0076】
であるから、第5実施形態のスイッチ装置7Eは、第4実施形態(第1のスライダ錠等)と同一である。すなわち、「取付け台座10にスライド可能に内設されかつ操作部材9の軸部9bに垂直長孔状の連係部40Eを介して接続するスライド部材40と、このスライド部材の位置変位によってON・OFFする解錠位置検知用のスイッチ12aと施錠位置検知用スイッチ12bを含む点、スライド部材始動用のタイミング部分P1、P2は、垂直長孔状連係部40Dの下方の縁部分と上方の縁部分である点」は、第4実施形態と同一なので、第4実施例と同一又は同様の符号を付して重複する説明は割愛する。なお、符号80は操作部材9用の取付け座板である。錠箱20の内部構造の詳細は、本発明の特定事項に関係がないので、割愛する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は建具に用いられる。例えばクレセント錠、カムラッチ、サムターン装置、スライダ錠等に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
X…建具(サッシ)、2…枠体、
3…開閉体(例えば内障子)、
4…開閉体(例えば外障子)、
5…窓の開口部、
7…クレセント錠(クレセント錠)、
8…受け部、
9…操作部材、
9a…ハンドル部、9b…軸部、
10…取付け台座、
11…錠本体、
12…スイッチ、
12a…第1スイッチ、12b…第2スイッチ、
13…スイッチ部(センサ)、
14…ロック部(例えば掛け部)、
15…取付け基板部、
17…駆動カム、
18…ロック手段、
21…長板状底板、
22…取付けベース板、
22a…周壁部分、22b…縦長前壁部分、
23…スイッチ部用蓋体、
24…上方の固定手段用蓋体、
25…下方の固定手段用蓋体、
27…収納部、
28…台座本体部、
29…固定手段用取付け部、
30…固定手段、
31…係合部、32…被係合部、
33…上部の被係合部、34…蓋体係合部、
38…連係部(係合ピン)、
40…スライド部材、
41…摺動片、
42…連係部(弧状の案内部)、
42a…第1案内部分、
42b…第2案内部分、
a…上死点部分、
b…下死点部分、
P1…下辺の段差部分(略水平部分)、
P2…上辺の略水平部分、
43…共働片、
43a…傾斜部、43b…略垂直平坦部。