(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20220208BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220208BHJP
【FI】
F21V8/00 310
F21S2/00
F21V8/00 330
F21V8/00 340
(21)【出願番号】P 2018068677
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】今泉 剛
(72)【発明者】
【氏名】北川 貴稔
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/052025(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104195(WO,A1)
【文献】特開2013-138031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に設置可能な平坦な底面を有する台座部と、
前記台座部に設けられる光源と、
前記光源から照射される光を透過し、前記光源側に位置する基端と対向する先端側が先細り形状の
本体部と、前記本体部と一体で前記本体部の前記基端側に形成される取付部と、を有し、無垢ガラスにより形成された中実の透光部と、
前記先端側に形成されて前記基端側に窪む凹部により構成され、前記光源から照射させる光を拡散及び/又は反射させる第1反射部と、
前記取付部の周囲を覆い、前記台座部に挿入されるシリコン製のソケット部と、を有する照明装置。
【請求項2】
前記第1反射部は、前記凹部の表面をケシ加工又は塗装加工して形成される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1反射部は、前記凹部の底部及び前記凹部の外周縁が、縦断面視で湾曲して形成されている請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記透光部の前記基端側の入射部に形成される第2反射部をさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置の省エネルギー化を実現するため、照明装置の電球として、白熱電球に代わってLED電球が普及しつつある。白熱電球は、発光部のフィラメントをガラス製グローブで覆った形状をしており、LED電球は、発光部をLEDに置き換えることで形成される。また、LED電球では、光が点のような狭い領域から光が照射されるので、白熱電球のように拡散した配光特性を得るためには、光を拡散させる構造体を設ける必要がある。
【0003】
白熱電球に代替するLED電球として、グローブ内に配置される発光部を、細長い基台の上にLEDチップを配置し、LEDチップの周囲を、波長変換材を含んだ樹脂で覆うことで構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電球を、発光部をガラスで覆う二層構造とすると、ガラスの内部に空気層があるので、特に寒暖差の大きい屋外環境においては内部結露が発生やすい。このため、屋外用品で用いることが難しかった。また、LEDの光を拡散させる構造を含む発光部を、ガラスで覆う二層構造にすると、部品点数が多くなり、生産工程が複雑になる。さらに、ガラス内部のLEDが外側から見える設計の場合には、意匠性が悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、白熱電球と類似した配光特性を有し、屋外環境でも使用しやすい照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光源(例えば、後述の光源2)と、前記光源から照射される光を透過し、前記光源側に位置する基端と対向する先端側が先細り形状の無垢ガラスにより形成された中実の透光部(例えば、後述の透光部3)と、前記先端側に形成されて前記基端側に窪む凹部により構成され、前記光源から照射させる光を拡散及び/又は反射させる第1反射部(例えば、後述の第1反射部31)と、を有する照明装置に関する。
【0008】
前記第1反射部は、前記凹部の表面をケシ加工又は塗装加工して形成されることが好ましい。
【0009】
前記第1反射部は、前記凹部の底部及び前記凹部の外周縁が、縦断面視で湾曲して形成されていることが好ましい。
【0010】
前記透光部の前記基端側の入射部に形成される第2反射部をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、白熱電球と類似した配光特性を有し、屋外環境でも使用しやすい照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の屋外用の照明装置1を示す正面図である。
図2は、
図1のA-A線断面図である。
図1及び
図2に示すように、照明装置1は、台座部100の上にカバー200が被せられて構成される。また、照明装置1は、台座部100に設けられる光源2と、ソケット部4を介して台座部100に取り付けられる透光部3、第1反射部31及び第2反射部32とを有する。
【0014】
図2に示すように、台座部100は、基台部101と、電源部(図示せず)と、光源収容部102と、支持部103と、を有する。以下に説明する基台部101、光源収容部102及び支持部103は、径の異なる円柱又は円筒体が、下から上へ順に径が小さくなるように同心で重なって形成されている。
【0015】
基台部101は、内部に空間が形成された高さの低い円柱形のケースであり、基台部101の設置面に設置可能な平坦な底面を有する。基台部の外側面には、後述するカバー200が螺合されるネジが形成される。
【0016】
電源部は、LEDを点灯させるための駆動電源と後述する光源2に電流を供給する配線を含む。電源部は、基台部101内に収容される。
【0017】
光源収容部102は、基台部101の中央上部から上方に向かって突出するように形成され、内部に空間を有する円柱形状を有する。光源収容部102は、内部に光源2が収容され、光源2が収容された空間から上方は開口している。
【0018】
支持部103は、光源収容部102の中央上部から上方に向かって突出するように形成される円筒形状の部分である。支持部103は、後述する透光部3を支持可能な内径を有する。支持部103の中心の空洞は、光源収容部102の開口に連通しており、支持部103の空洞と光源収容部102の開口によって支持凹部103aが形成されている。
【0019】
光源2は、発光ダイオード(LED)21及びLED21を搭載する基板22を含む。光源2は、支持部103内に配置され、支持凹部103aの中心の直下にLED21が位置する。
【0020】
図3は、透光部3の斜視図である。透光部3は、光源2から照射される光を透過する透明で中実の無垢ガラスにより形成される。
図3に示すように、透光部は、本体部30と、第1反射部31と、取付部33と、第2反射部32と、を有する。
【0021】
本体部30は、光源2側を基端として、基端と対向する位置にある先端側に延びる縦長の形状を有する。本体部30は、長手方向の中央部が最も拡径し、基端側及び先端側に向かうにしたがって縮径する先細り形状に形成される。本体部30の先端側は、
図2に示すように側面視では平坦になっている。本体部30は、レンズの役割をして、光源2から照射される光を拡散する。
【0022】
図4は、第1反射部31の模式図である。
第1反射部31は、本体部30の先端側に形成され、基端側に窪む凹部により構成される。第1反射部31は、光源2から照射される光を拡散及び/又は反射させる。拡散及び/又は反射とは、具体的には拡散反射か、鏡面反射(全反射)のいずれか又は両方を意味する。
【0023】
第1反射部31は、平面視略円形で、外周縁から中心に向かって、基端側に最も深く窪んでいる。
図4に示すように、第1反射部31を構成する凹部の底部及び凹部の外周縁は、縦断面視で湾曲して形成されており、第1反射部31は、すり鉢状のRを帯びた浅い窪みである。凹部の直径Dは、凹部の中心Cから外周縁の上端までの高さ方向の寸法Hよりも大きい。また、中心Cに、中心Cから凹部の内周面に接して外周縁側に延ばした仮想線及び外周縁の上端を結ぶ水平線が交差する点Pと、この点Pと直径方向に対向する点Pと、を結んで形成される角度θは、鈍角となっている。
【0024】
第1反射部31は、凹部の表面をケシ加工として、サンドブラスト加工形成され、表面に粗い微小な凹凸を有する。具体的には、第1反射部31には、サンドブラスト加工がなされ、凹部の表面に研磨剤が吹き付けられて形成される。
【0025】
取付部33は、本体部30の基端側に形成され、縮径した本体部30の下端部よりも大きな外径を有する円柱体の形状を有する。取付部33は、本体部30と一体の無垢ガラスにより構成され、平坦な下端面を有する。取付部33は、後述するソケット部4に挿入され、ソケット部4とともに台座部100の支持凹部103a内に挿入される。取付部33は、支持部103の円筒状の側壁により支持されて、透光部3を台座部100に取り付ける部分である。また取付部33の下端面は、支持部103に取り付けられた状態で光源2から光を受ける光の入射部となる。
【0026】
第2反射部32は、
図3に示すように、透光部3の基端側に位置する入射部に形成される。より具体的には、取付部33の下端面及び側面の下端側が、サンドブラスト加工することにより形成される。第2反射部32は、第1反射部31と同様に、サンドブラスト加工される。第2反射部32は、支持凹部103a内で、光源収容部102内に配置された光源2のLED21と対面する。
【0027】
図2に示すように、ソケット部4は、取付部33の周囲を覆うシリコン製のカバーである。ソケット部4は、半透明で内側に取付部33を配置可能な円筒形状を有し、中心は上下方向に空洞となっている。ソケット部4の外側面は、支持部103の形状に適合する。ソケット部4は、上側に取付部33を挿入した状態で、取付部33の下端面にある第2反射部32が光源2に向き合うように、透光部3と支持部103とを接続する。
【0028】
カバー200は、台座部100に係止され、透光部3及び台座部100を覆う。カバー200はカバー本体201及びフレーム202を有する。
カバー本体201は、略円筒形で上下方向に延び、下方が開口するとともに上端部が半球状に塞がれる。カバー本体201の直径は、台座部100の直径より小さく、支持部103の直径よりも大きい。カバー本体201は、ガラスや樹脂等で透光性を有するように形成される。
【0029】
フレーム202は、カバー本体201の周囲に配置される。
図1に示すように、フレーム202は、台座カバー202aと、横方向フレーム202bと、縦方向フレーム202cとを有する。
台座カバー202aは、基台部101の外周に配置される。台座カバー202aの内側面にはネジ溝が形成されており、基台部101の外周側のネジと螺合される。台座カバー202aには、カバー本体201の下端部が接合されている。
横方向フレーム202bは、カバー本体201の下方と上方で、外周に沿って配置される。
縦方向フレーム202cは、横方向フレーム202bを上下方向に接続するように縦方向に延びる。縦方向フレーム202cは、2本の略U字形の縦方向フレーム202cが平面視で十字に組み合わされており、下端部が台座カバー202aに接続されている。
【0030】
次に、照明装置1の光り方について説明する。
透光部3は、ソケット部4を介して台座部100の支持部103に接続され、透光部3の基端側の入射部は光源収容部102内の光源2と向き合っている。この状態で、電源部から光源2に電流を流し、光源2を発光させる。
【0031】
LED21の光は、点のような狭い領域から上方に直進するが、まず、入射部に第2反射部32が形成されているので、光の一部は、第2反射部32の粗い面を通過する際に側方へ拡散する。また、長手方向の中央部が膨出したレンズとなる透光部3を上方へ直進するので、膨出した部分において光が拡散するように見える。また、光の一部は、透光部3の上部で浅くなだらかに窪む第1反射部31の傾斜によって直進性が妨げられ、側方に拡散する。さらに、第1反射部31が形成されていることから光は周囲に拡散し、白熱電球と似た態様で周囲を照らす。
【0032】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、照明装置1を、光源2と、光源2から照射される光を透過し、光源2側に位置する基端と対向する先端側が先細り形状の無垢ガラスにより形成された中実の透光部3と、先端側に形成されて基端側に窪む凹部により構成され、光源2から照射される光を拡散及び/又は反射させる第1反射部31と、を含んで構成した。
透光部3を無垢ガラスにより形成したので、ガラスの内側に発光部を設ける必要がなくなる。このため、発光部をガラスにより覆う二層構造と違って内部の空気層が形成されないので、内部結露が発生しにくく、屋外環境で使用しやすい照明装置1を製造することができる。また、二層構造でないため、部品点数を低減でき、生産工程を簡略化することができる。さらに、ガラスの内部に発光部を設けないことで、透明でありながら光の屈折により光源が外部から視認されず、意匠性も向上する。また、透光部に凹部により構成される第1反射部31によって、効率的に光源2から照射される光を拡散させることができ、照明装置1の周囲全体を照らすことができる。
【0033】
本実施形態では、第1反射部31を、凹部の表面をケシ加工して形成した。凹部をサンドブラスト加工することにより、光源としてLEDを用いた場合でも光が拡散し、より白熱電球に類似した光の配向特性が得られる。また、無垢ガラスをサンドブラスト加工することで係る配光特性を実現できるので、製造しやすい。
【0034】
本実施形態では、第1反射部31を、凹部の底部及び凹部の外周縁が、縦断面視で湾曲するように形成した。凹部の底部及び凹部の外周縁が縦断面視で湾曲するようになだらかで浅い形状にすることで、光をより側方に反射させやすくなり、直進する方向に交差する方向に拡散させやすい。よって、凹部の面積が小さくても、屋外用の照明装置1により照らすことのできる面積を比較的広くすることができる。
【0035】
本実施形態では、透光部3の基端側の入射部に形成される第2反射部32をさらに含んで構成した。光源2から光が入射する透光部の基端側の入射部に第2反射部32を含んで構成することで、透光部3の基端側でも入射した光が横方向に拡散する。透光部の基端側と先端側の両方に光を拡散する第1反射部31及び第2反射部32を設けることで、より光が拡散しやすくなり、柔らかな光で照らすことができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、第1反射部31及び第2反射部32は、サンドブラスト加工により形成されているが、これに限られない。第1反射部31及び第2反射部32は、表面を粗くしてつやを消し、不透明にするケシ加工として、薬品によるブラスト加工、研磨加工をしてもよく、又は白色や半透明の塗装加工を施してもよく、その他の加工方法で半透明の曇りガラス状に形成してもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、透光部3は、ラグビーボールのような縦長で、先端及び基端側に向かうにしたがって縮む形状を例に説明しているが、これに限られない。少なくとも先端側、例えば透光部の全長の少なくとも1/2~1/3よりも先端側で徐々に縮んでいれば、透光部の胴体部分が同じ直径で、側面が直線状であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、第1反射部31及び第2反射部32は、光をサンドブラスト加工により、主に拡散反射させて拡散するように構成したがこれに限られない。例えば、第1反射部及び/又は第2反射部に銀色の反射材を設け、光を鏡面(全)反射させるように構成してもよい。
【0039】
さらに、透光部3の寸法は、自在に変更することができる。照明装置1は、台座部100に光源2が設けられ、透光部3を台座部100の支持部103に接続するように構成されている。透光部の長手方向の寸法を変更し、光源から先端までの距離を変更することで、光源2や台座部100は同一品でありながら、透光部を変えることで明るさを変更することができる。さらに、第1反射部を構成する凹部の形状を変えることによっても、明るさや光が拡散する範囲を変更することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 照明装置
2 光源
3 透光部
31 第1反射部
32 第2反射部