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▶ ミルテニー バイオテック ベー.フェー. ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

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  • 特許-再充填可能なカラムシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】再充填可能なカラムシステム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20220208BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20220208BHJP
   C12N 1/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C12M1/26
G01N1/10 C
C12N1/02
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018089862
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2018186812
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】17170065.1
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520094891
【氏名又は名称】ミルテニー バイオテック ベー.フェー. ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Miltenyi Biotec B.V. & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Ebert-Strasse 68, 51429 Bergisch Gladbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク フリッチュ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ シュタインブリュック
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー シリング
(72)【発明者】
【氏名】ウアズラ ビッサ
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-319628(JP,A)
【文献】国際公開第89/012229(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3129126(JP,U)
【文献】特表2014-521372(JP,A)
【文献】特表2015-519979(JP,A)
【文献】Fisher, J K et al,Magnetic force micropiston: An integrated force/microfluidic device for the application of compressive forces in a confined environment,Review of Scientific Instruments,2014年,85(2),023704
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/02
G01N 1/10
C12M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力開口部を有するリザーバセクションと、フィルタマトリックスおよび出力開口部を有するフィルタセクションと、第1の端部および第2の端部を有するプランジャとを備え、前記第1の端部が前記リザーバセクションに嵌合する、粒子を分離するためのカラムシステムにおいて、
前記プランジャは、前記第1の端部から前記第2の端部までのガス連通をもたらす少なくとも1つのチャネルを備えることを特徴とする、前記カラムシステム。
【請求項2】
前記チャネルは、前記第2の端部に閉鎖手段を備えることを特徴とする、請求項1記載のカラムシステム。
【請求項3】
前記フィルタマトリックスは強磁性マトリックスであることを特徴とする、請求項1または2記載のカラムシステム。
【請求項4】
前記プランジャは、前記プランジャの前記第1の端部が前記リザーバセクションに挿入される距離を調整する手段を備えることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のカラムシステム。
【請求項5】
前記プランジャは、前記リザーバセクションに嵌合するスタビライザ手段を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のカラムシステム。
【請求項6】
前記プランジャは、第1の端部にシール手段を備えることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のカラムシステム。
【請求項7】
前記プランジャは、閉鎖手段として、フリップキャップ、スクリューキャップ、または接着膜を備えることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のカラムシステム。
【請求項8】
入力開口部を有するリザーバセクションと、フィルタマトリックスおよび出力開口部を有するフィルタセクションと、第1の端部および第2の端部を有するプランジャとを備え、前記第1の端部が前記リザーバセクションに嵌合するカラム内で、粒子を分離する方法であって、前記プランジャが、前記第1の端部から前記第2の端部までのガス連通をもたらす少なくとも1つのチャネルを備える方法において、
粒子の懸濁液が前記リザーバセクションに提供され、前記プランジャの前記第1の端部は、前記チャネルが閉鎖した状態でカラムセクションの前記入力開口部に挿入され、前記プランジャは、前記フィルタマトリックスに向かって移動され、それにより、前記フィルタマトリックスを通過するよう前記懸濁液を押し、前記チャネルを開放させ、前記カラムから前記プランジャを取り外すことを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
前記チャネルは、前記プランジャの前記第2の端部に設けられた閉鎖手段によって開放または閉鎖されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記フィルタマトリックスは強磁性マトリックスであり、前記方法は、前記カラムの前記フィルタセクションを磁界内に置くことによって少なくとも部分的に実施されることを特徴とする、請求項8または9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子を分離するためのカラムシステム、特に、細胞を磁気分離するためのカラムシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気細胞分離は、磁気標識済み標的細胞がその中に保持される高勾配磁界を利用することによって、非磁性細胞から磁気標識済み細胞を分離する確立された技術である。通常、磁気標識済み細胞と非磁性細胞の懸濁液は、強い磁界を受ける強磁性マトリックスを備えるカラムを通して誘導される。磁気標識済み細胞は強磁性マトリックス上に保持され、一方、非磁性細胞は溶出される。磁気標識済み細胞は、その後、カラムを磁界から除き、マトリックスから細胞を洗い流すことによって採取することができる。この技術は、例えば、米国特許第5693539号明細書または米国特許第5385707号明細書に記載されている。
【0003】
分離プロセスは、通常、圧力を印加することなく、すなわち通常の重力条件下で実施されるが、プロセスをスピードアップするため、または液体量を減少させるために、高められた圧力を印加してもよい。この点に関して、米国特許第6602422号明細書は、プランジャを備える磁気細胞分離のためのマイクロカラムシステムを開示しており、このプランジャは、圧力を印加して、カラムから液体を流し出すために使用することができる。
【0004】
理論上は、こうした磁気細胞分離カラムを、幾つかの後続の分離プロセスのために使用することができる。しかし、ほとんどの磁気細胞分離カラムは、強磁性マトリックス、例えば強磁性メッシュ、スチールウール、ワイヤウール、ワイヤスポンジ、または強磁性粒子を備えている。液体が、例えば、排出によってマトリックスから取り除かれる場合、空気が強磁性マトリックス内に閉じ込められる。マトリックスの多孔性の性質によって、閉じ込められた空気は、ほとんど取り除くことができず、更なる液体について少なくとも部分的にマトリックスをブロックする。これは、分離速度の減少、最悪の場合、分離プロセスの全体の停止をもたらす。
【0005】
米国特許第6602422号明細書に開示されるプランジャは、液体(および閉じ込められた空気)を、強制的にマトリックスに通してマトリックスから出すために使用することができるが、更なる液体を付加するためプランジャを取り外すことによって、空気が再び、今度はカラムの出口ポートからマトリックスに吸い込まれる。換言すれば、米国特許第6602422号明細書に記載されるカラムは、プランジャを使用しても再使用に適さない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、強磁性マトリックス内に空気を吸い込むまたは押し込む危険なしで、圧力または負圧を印加可能な、磁気粒子を分離するためのカラムシステムを提供することである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、入力開口部を有するリザーバセクションと、フィルタマトリックスおよび出力開口部を有するフィルタセクションと、第1の端部および第2の端部を有するプランジャとを備え、第1の端部がリザーバセクションに嵌合する、粒子を分離するためのカラムシステムであって、プランジャが、第1の端部から第2の端部までのガス連通をもたらす少なくとも1つのチャネルを備えることを特徴とするカラムシステムである。
【0008】
チャネルは、便宜または安全のため、カラム使用者の指によって開放または閉鎖されてもよいが、図1または図2に示すように、チャネルは、第2の端部に、閉鎖手段、例えばフリップキャップ、スクリューキャップ、または接着膜を備えてもよい。
【0009】
本発明の更なる目的は、入力開口部を有するリザーバセクションと、フィルタマトリックスおよび出力開口部を有するフィルタセクションと、第1の端部および第2の端部を有するプランジャとを備え、第1の端部がリザーバセクションに嵌合するカラム内で、粒子を分離する方法であって、プランジャが、第1の端部から第2の端部までのガス連通をもたらす少なくとも1つのチャネルと、第2の端部に位置するチャネルのための閉鎖手段とを備える方法において、粒子の懸濁液がリザーバセクションに提供され、プランジャの第1の端部は、閉鎖手段が閉鎖した状態でカラムセクションの入力開口部に挿入され、プランジャは、フィルタマトリックスに向かって移動され、それにより、フィルタマトリックスを通過するよう懸濁液を押し、閉鎖手段を開放させ、カラムからプランジャを取り外す方法である。
【0010】
チャネルの開放または閉鎖は、操作者の指によって実施されてもよい。代替的に、チャネルは、プランジャの第2の端部に設けられた閉鎖手段によって開放または閉鎖される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(1)チャネル、(2)閉鎖手段、(3)距離ピース(スペーサ)、(4)スタビライザ手段、(5)シール手段を有する本発明のプランジャを示す。
図2】(1)チャネル、(2)閉鎖手段、(3)距離ピース(スペーサ)、(4)スタビライザ手段、(5)シール手段を有する本発明のプランジャを示す。
図3】使用中の本発明のカラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のカラムシステムは、2つの別個の物体:第1に、入力開口部(12)を有するリザーバセクション(11)、フィルタマトリックスおよび出力開口部(14)を有するフィルタセクション(13)を備えるカラム自体、ならびに、第2に、プランジャを備える。
【0013】
以下において、用語「プランジャ」は、カラムのリザーバセクションに水密式に挿入することができる任意の物体、例えばピストンを指す。
【0014】
プランジャ
第1の実施形態では、プランジャは、図1および図2に示すように、第2の端部に、チャネルのための閉鎖手段(2)を備える。閉鎖手段(2)として例えば、フリップキャップ、スクリューキャップ、または接着膜が適している。
【0015】
第2の実施形態では、プランジャは、プランジャの第1の端部がリザーバセクションに挿入される距離を調整する手段(3)を備える。間隔保持材は、円形プレート(図1および図2の(3))、または、プランジャがリザーバの中に深く入り過ぎるのを防止するため十分に遠くまでプランジャ本体から延びる任意の物体であってもよい。
【0016】
スペーサ手段または間隔保持材は、少なくとも、プランジャがマトリックスに達するまたは接触することを防止する位置に配置されるものとする。これは、マトリックスがいつでも液体で覆われ、空気がマトリックスに全く導入されないことを保証する。好ましくは、プランジャは、リザーバの全体積の90%超、好ましくは75%超、最も好ましくは60%超まで、プランジャがリザーバに挿入されることを防止する位置にスペーサ手段を備える。したがって、プランジャがリザーバに挿入された状態でもなお、マトリックスは、リザーバの体積の10%、25%、または40%まで、充填する液体によって覆われている。
【0017】
別の実施形態では、プランジャは、リザーバセクションに嵌合するスタビライザ手段(4)を備える。スタビライザ手段は、図1および図2の(4)として示されており、プランジャの第1の端部から第2の端部まで延びる、プランジャのチャネルの周りに位置するフィンまたは伸張壁として設けられてもよい。スタビライザ手段は、プランジャのねじれを防止し、かつ/または機械的圧力がリザーバ内の任意の液体に印加されることを可能にするものとする。
【0018】
プランジャ、間隔保持材(3)、およびスタビライザ手段(4)は、モノリシック体として同じ材料から生産されるのが好ましい。
【0019】
プランジャのチャネル(1)は、リザーバからシステムの外部まで空気を輸送する(すなわち、圧力補償として役立つ)のに十分である限り、任意の体積、形状、または内径を有していてもよい。図2に示す好ましいバージョンでは、チャネルは、プランジャに更なる機械的安定性をもたらすために、円錐を2つ重ねた形状(砂時計形状)である。
【0020】
プランジャは、第1の端部に、シーリングまたはガスケット(5)、例えばOリングを備えてもよい。シーリングを有さないプランジャは、第1の端部に、一般的な使い捨てシリンジ内のプランジャのように、リザーバの内径よりわずかに大きい外径を有するものとする。シーリングを有するプランジャは、第1の端部に、リザーバの内径よりわずかに小さいかまたは同一の外径を有するものとする。
【0021】
カラム
カラム自体は、入力開口部を有するリザーバセクションと、フィルタマトリックスおよび出力開口部を有するフィルタセクションとを備える。プランジャがリザーバセクションに水密式に嵌合する限り、カラムの形状または体積は、本発明にほとんど影響を及ぼさない。適したカラムは、例えば、米国特許第6602422号明細書に開示され、かつ/または「MACSカラム」という登録商標でMiltenyi Biotec GmbHから入手可能である。
【0022】
カラムは好ましくは、プラスチック、例えばポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、アクリル樹脂、例えばポリメチルメタクリレート、PET、ポリ乳酸、ポリアミド、またはスチール等で作られる。ラッカーでコーティングされる場合、マトリックスは好ましくは、ラッカーと結合することになるプラスチックで作られ、最も好ましくは、樹脂、例えばPCTG(エチレングリコールで変性されたポリシクロヘキサジメチルテレフタレート)で作られる。カラムは、親水性材料、例えば親水性プラスチックから製造することによって、またはより好ましくは、カラムの内部を親水性材料、例えばポリビニルピロリドンでコーティングすることによって親水性にされてもよい。
【0023】
本発明によるカラムシステムは、フィルタマトリックス、好ましくは強磁性マトリックスを備える。こうした強磁性マトリックスにおいて、少なくとも強磁性マトリックスが位置するカラムの部分を外部磁界内に挿入することによって、高勾配磁界が生成されてもよい。強磁性マトリックスは、磁界から取出されると容易に消磁する。
【0024】
外部磁界は、約0.2テスラより大きい磁界をもたらすべき磁気ヨークまたは電磁石によって提供されてもよい。
【0025】
好ましくは、本発明のカラムシステムは、重力送りによって動作するように設計されるが、代替的に、圧力送り下で動作してもよい。これを可能にするため、プランジャはリザーバに嵌合し、カラム/マトリックスを液体でフラッシングするために使用することができる。
【0026】
多孔性フリットまたはグリッドが、マトリックスの上部端部に隣接して位置決めされてもよい。多孔性フリット/グリッドは好ましくは、ガラスまたはプラスチックまたは金属のメッシュで作られ、マトリックスの孔サイズ以上でかつマトリックスの粒子サイズより小さい孔サイズを有する。
【0027】
強磁性材料は、強磁性ボールまたは他の強磁性粒子を含んでもよい。強磁性材料は、互いに対する粒子の相対位置を維持するコーティングによってコーティングされてもよい。強磁性ボールまたは粒子は、好ましくは少なくとも100μm、より好ましくは約200μmより大きくかつ約2000μmより小さい、さらにより好ましくは約200μmより大きくかつ約1000μmより小さい、そして最も好ましくは約280μmの径またはサイズを有する。
【0028】
デバイスの製造プロセス
本発明のデバイスは、当業者に知られている任意の方法によって製造されてよい。好ましい方法は、射出成形および3D印刷、例えば押出堆積、溶融堆積モデリング、ステレオリソグラフィまたはフォトポリマーデジタル光処理による3D印刷である。
【0029】
当業者は、こうした3D印刷プロセスおよび必要な機器に精通している。適した3Dプリンタは例えば、印刷用フォトレジストポリマーとしてFotoMed(登録商標)LED.Aを用いる、Innovation MediTech GmbHからのM120 Scan-LEDプリンタである。通常、25μmの厚さを有するポリマーの層が、UV放射によって硬化され、その後、振動によって未硬化液状FotoMed(登録商標)LED.Aが除去される。最終層が印刷/硬化された後に、未硬化FotoMed(登録商標)LED.Aは、イソプロパノールで充填された超音波浴内で対象物をフラッシングすることによって取り除かれる。最後に、N雰囲気内での後硬化が、例えば後硬化ユニットPCU90(Innovation MediTech GmbH)内で実施されてもよい。
【0030】
デバイスの使用
一般に、本発明の方法は、粒子を分離することに関する。特に、この方法は、細胞の分離に関し(すなわち、粒子は細胞である)、分離は、細胞を磁気標識し、カラムを磁界内に置くことによって磁気標識済み細胞をマトリックス内に保持することによって行われる。
【0031】
したがって、好ましい実施形態では、フィルタマトリックスは強磁性マトリックスであり、本方法は、カラムのフィルタセクションを磁界内に置くことによって少なくとも部分的に実施される。
【0032】
細胞を磁気標識する種々の技法は、20年以上にわたって当該技術分野で知られている。これらの方法に共通しているのは、磁性粒子に接合された抗体による細胞の選択的な磁気標識、強い磁界内に置かれたカラムへの懸濁液としての細胞の導入、およびマトリックス上への標識済み細胞の保持である。分離後にカラムから磁気標識済み細胞を取得するため、マトリックスは通常、緩衝液によってフラッシングされ、この結果として、空気もマトリックス内にフラッシングされる。マトリックス内の空気によって、カラムはもはや機能しなくなり、更なる分離のためにカラムを再使用することが不可能になる。
【0033】
本発明のカラムによって、カラムを空気でフラッシングすることなく標的材料を溶出することが可能である。本発明の方法は図3に示されており、ここでは、緩衝液がカラムに付加され、閉鎖したキャップを有するプランジャをカラム内に押し込むことによって、標的材料がカラムから溶出されるが、マトリックスはなおも、液体、例えば緩衝液で覆われている。
【0034】
スペーサは、プランジャがリザーバの中に深く入り過ぎるのを防止する(a)。その後、閉鎖手段を開放する(b)ことによって、プランジャは、出口を通してカラムのマトリックス内に空気を吸い込むことなくリザーバから取り除くことができる(c/d)。マトリックスは、閉じ込められた空気を全く含まず、湿潤したままであり、更なる分離プロセスに使用することができる。
図1
図2
図3