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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】嵌合具付き袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/25 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
B65D33/25 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018097583
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019202792
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000147316
【氏名又は名称】株式会社生産日本社
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】野口 ▲隆▼之
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-262111(JP,A)
【文献】特開2007-302343(JP,A)
【文献】特開2007-008589(JP,A)
【文献】特開平07-277348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0183692(US,A1)
【文献】特開平08-268445(JP,A)
【文献】特開2010-076830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の表側フィルム及び裏側フィルムよりなる収容部と開口部とを有する包装袋と、前記開口部の縁に沿って前記表側フィルムと前記裏側フィルムの内側面にそれぞれ設けられた帯状の嵌合具と、を備え、
該嵌合具は、帯状の雌基部と該雌基部の長手方向に沿って設けられた雌部とを有する雌部材と、帯状の雄基部と該雄基部の長手方向に沿って設けられた雄部とを有する雄部材と、を有する嵌合具付き袋において、
前記嵌合具の少なくとも一つは、前記雌部として一対の雌鉤爪と、前記雄部として一対の雄鉤爪と、前記一対の雌鉤爪の内側に設けられた一対の突壁部と、前記一対の雄鉤爪の内側に設けられた突条部と、を有し、前記一対の雌鉤爪と前記一対の雄鉤爪とが係合して係合部を形成すると同時に前記突条部の前記開口部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記開口部側の側面に当接し、かつ、前記収容部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記収容部側の側面に当接して密接部を形成する第1の気密嵌合具であり、
該第1の気密嵌合具は、前記一対の突壁部が、前記雌基部から突出しており、かつ、前記一対の雌鉤爪が、前記一対の突壁部の外側の側面から突出していることを特徴とする嵌合具付き袋。
【請求項2】
前記嵌合具付き袋は、前記嵌合具として、前記開口部の縁側に設けられた上嵌合具と前記収容部側に設けられた下嵌合具との2本の嵌合具を有し、
該2本の嵌合具のいずれか一方又は両方の嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であることを特徴とする請求項に記載の嵌合具付き袋。
【請求項3】
前記嵌合具付き袋は、前記嵌合具として、前記開口部の縁側に設けられた上嵌合具と前記収容部側に設けられた下嵌合具との2本の嵌合具を有し、
前記上嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であり、
前記雌基部及び前記雄基部は、前記包装袋に接着された接着領域と前記包装袋に接着されていない遊離領域とを有し、
前記上嵌合具の前記一対の雌鉤爪及び前記一対の雄鉤爪は、前記接着領域にあり、
前記下嵌合具の前記一対の雌鉤爪及び前記一対の雄鉤爪は、前記遊離領域にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の嵌合具付き袋。
【請求項4】
前記下嵌合具は、前記雌部として一対の雌鉤爪と、前記雄部として一対の雄鉤爪と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか一方の内側に設けられた一対の突壁部と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか他方の内側に設けられた突条部と、を有し、前記一対の雌鉤爪と前記一対の雄鉤爪とが係合して係合部を形成すると同時に前記突条部の前記開口部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記開口部側の側面に当接し、かつ、前記収容部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記収容部側の側面に当接して密接部を形成する第2の気密嵌合具であり、
該第2の気密嵌合具は、前記一対の突壁部又は前記突条部が、前記雌基部から突出しており、かつ、前記一対の雌鉤爪が、前記雌基部から突出していることを特徴とする請求項に記載の嵌合具付き袋。
【請求項5】
前記下嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であることを特徴とする請求項に記載の嵌合具付き袋。
【請求項6】
前記接着領域と前記遊離領域との境界は、前記下嵌合具の前記係合部よりも前記上嵌合具の前記係合部の近くにあることを特徴とする請求項に記載の嵌合具付き袋。
【請求項7】
前記2本の嵌合具の前記雌基部は、それぞれ別個の部材であり、かつ、
前記2本の嵌合具の前記雄基部は、それぞれ別個の部材であることを特徴とする請求項3又は6に記載の嵌合具付き袋。
【請求項8】
前記2本の嵌合具の前記雌基部は、相互に一体の部材であり、かつ、
前記2本の嵌合具の前記雄基部は、相互に一体の部材であり、
前記雌基部及び前記雄基部は、それぞれ前記2本の嵌合具間に屈曲可能な屈曲部を有することを特徴とする請求項3又は6に記載の嵌合具付き袋。
【請求項9】
前記嵌合具付き袋は、前記嵌合具として、前記開口部の縁側に設けられた上嵌合具と前記収容部側に設けられた下嵌合具との2本の嵌合具を有し、
前記上嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であり、
前記雄基部は、全体において前記包装袋に接着されており、
前記雌基部は、前記包装袋に接着された接着領域と前記包装袋に接着されていない遊離領域とを有し、
前記上嵌合具の前記一対の雌鉤爪は、前記接着領域にあり、
前記下嵌合具の前記一対の雌鉤爪は、前記遊離領域にあることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一つに記載の嵌合具付き袋。
【請求項10】
前記下嵌合具は、前記雌部として一対の雌鉤爪と、前記雄部として一対の雄鉤爪と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか一方の内側に設けられた一対の突壁部と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか他方の内側に設けられた突条部と、を有し、前記一対の雌鉤爪と前記一対の雄鉤爪とが係合して係合部を形成すると同時に前記突条部の前記開口部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記開口部側の側面に当接し、かつ、前記収容部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記収容部側の側面に当接して密接部を形成する第2の気密嵌合具であり、
該第2の気密嵌合具は、前記一対の突壁部又は前記突条部が、前記雌基部から突出しており、かつ、前記一対の雌鉤爪が、前記雌基部から突出していることを特徴とする請求項に記載の嵌合具付き袋。
【請求項11】
前記下嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であることを特徴とする請求項に記載の嵌合具付き袋。
【請求項12】
前記接着領域と前記遊離領域との境界は、前記下嵌合具の前記係合部よりも前記上嵌合具の前記係合部の近くにあることを特徴とする請求項に記載の嵌合具付き袋。
【請求項13】
前記2本の嵌合具の前記雌基部は、それぞれ別個の部材であり、かつ、
前記2本の嵌合具の前記雄基部は、それぞれ別個の部材であることを特徴とする請求項9又は12に記載の嵌合具付き袋。
【請求項14】
前記2本の嵌合具の前記雌基部は、相互に一体の部材であり、かつ、
前記2本の嵌合具の前記雄基部は、相互に一体の部材であり、
前記雌基部及び前記雄基部は、前記2本の嵌合具間に屈曲可能な屈曲部を有することを特徴とする請求項9又は12に記載の嵌合具付き袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、再封止可能な気密用の嵌合具付き袋に関する。
【背景技術】
【0002】
チャックのロック部とは別に、雄鉤爪の内側及び雌鉤爪の内側にそれぞれ結合可能なシール部を形成させることで、密閉性を高めたプラスチックチャックが提案されている(例えば、特許文献1~5を参照。)。
【0003】
袋本体の内部空間を第1の空間及び第2の空間に分割する仕切部材を設け、第1の空間は咬合具を介して外部と連通させるとともに、第2の空間は第1の空間を介して外部と連通させることで、水密性及び耐圧性を確保することができる咬合具付き袋が提案されている(例えば、特許文献6を参照。)。
【0004】
嵌合基部と、嵌合部と、嵌合部に接合し嵌合基部に連結する支持部とを備えた帯状嵌合部材が提案されている(例えば、特許文献7を参照。)。
【0005】
一方の帯状基部の幅方向における袋本体の開口部側のみを袋本体に取り付け、一方の帯状基部に開口部側にのみ突出する爪部を設けるとともに、他方の帯状基部に袋本体の内側にのみに突出する爪部を設けることで、内圧が作用した際に、帯状基部に剪断力が働き、高い封止性を得ることができるジッパーテープ付き袋体が提案されている(例えば、特許文献8~11を参照。)。
【0006】
一方の帯状基部には、帯状基部の幅方向における収納空間とは反対側の係合部の基端に位置して、屈曲部が設けられることで、不用意な開封を防止することができるジッパーテープ付き袋体が提案されている(例えば、特許文献12を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平8-324595号公報
【文献】特開2007-20876号公報
【文献】特開2013-52881号公報
【文献】特開2013-51992号公報
【文献】特開2014-133582号公報
【文献】特開平10-203539号公報
【文献】特開2011-36642号公報
【文献】特開2015-16903号公報
【文献】特開2016-101936号公報
【文献】特開2016-127886号公報
【文献】特開2016-129628号公報
【文献】特開2017-61337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1~5の技術は、シール部を設けてチャック自体の密閉性を高める技術である。しかし、これらの技術は、袋に内圧が作用してチャックの咬合を外そうとする力が加わったとき、チャックが外れにくくする技術ではない。
【0009】
特許文献6の技術は、袋本体が衝撃によって加圧されても仕切部材によって咬合部に直接圧力がかかることを防止する技術である。しかし、この技術では、仕切部材によって内容物の出し入れがしにくくなるという問題がある。
【0010】
特許文献7の技術は、嵌合基部と嵌合部との間に支持部があるため、袋の内圧が上昇しても嵌合部の嵌合が外れにくいことが予想される。しかし、この技術では、支持部が非常に細いため、強度に不安がある。
【0011】
特許文献8~11の技術は、剪断力によって高い封止性を得る技術である。しかし、これらの技術では、雌部材が雌側帯状基部の幅方向における開口部側のみで袋本体に取り付けられており、雌側鉤部の直下では雌側帯状基部が袋本体に接着されていない。これによって、ジッパーを開封時に袋本体の開口部の縁が互いに離間する方向に引っ張られると、雌側鉤部は、雄側鉤部に引っ張られて、雄部材側に移動する。そして、袋本体の開口部の縁が離間する方向に更に引っ張られることで、ようやく、雌側鉤部が雄側鉤部から外れる。このように、特許文献8~11の技術は、雌側鉤部の直下で雌側帯状基部が袋本体と接着している場合と比較して、開封しにくいという問題がある。
【0012】
特許文献12の技術は、剪断力によって高い封止性を得る技術である。しかし、この技術は、嵌合具の気密性を向上させる技術ではない。
【0013】
本開示は、嵌合具を閉鎖した後に、袋内に空気が入り込みにくく、かつ、袋内の圧力上昇などによって嵌合具の咬合を外そうとする力が加わったとき、嵌合具が外れることを防止することができる気密性を有する嵌合具付き袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る嵌合具付き袋は、合成樹脂製の表側フィルム及び裏側フィルムよりなる収容部と開口部とを有する包装袋と、前記開口部の縁に沿って前記表側フィルムと前記裏側フィルムの内側面にそれぞれ設けられた帯状の嵌合具と、を備え、該嵌合具は、帯状の雌基部と該雌基部の長手方向に沿って設けられた雌部とを有する雌部材と、帯状の雄基部と該雄基部の長手方向に沿って設けられた雄部とを有する雄部材と、を有する嵌合具付き袋において、前記嵌合具の少なくとも一つは、前記雌部として一対の雌鉤爪と、前記雄部として一対の雄鉤爪と、前記一対の雌鉤爪の内側に設けられた一対の突壁部と、前記一対の雄鉤爪の内側に設けられた突条部と、を有し、前記一対の雌鉤爪と前記一対の雄鉤爪とが係合して係合部を形成すると同時に前記突条部の前記開口部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記開口部側の側面に当接し、かつ、前記収容部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記収容部側の側面に当接して密接部を形成する第1の気密嵌合具であり、該第1の気密嵌合具は、前記一対の突壁部が、前記雌基部から突出しており、かつ、前記一対の雌鉤爪が、前記一対の突壁部の外側の側面から突出していることを特徴とする。一対の突壁部が一対の雌鉤爪の内側に設けられ、突条部が一対の雄鉤爪の内側に設けられることで、係合部が形成される時、雌鉤爪が雄鉤爪を突壁部に押し付けることによって突壁部が突条部により強く密着するため、気密性をより向上させることができる。
【0016】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記嵌合具付き袋は、前記嵌合具として、前記開口部の縁側に設けられた上嵌合具と前記収容部側に設けられた下嵌合具との2本の嵌合具を有し、該2本の嵌合具のいずれか一方又は両方の嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であることが好ましい。2本の嵌合具によって、封止性及び気密性をより向上させることができる。
【0017】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記嵌合具付き袋は、前記嵌合具として、前記開口部の縁側に設けられた上嵌合具と前記収容部側に設けられた下嵌合具との2本の嵌合具を有し、前記上嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であり、前記雌基部及び前記雄基部は、前記包装袋に接着された接着領域と前記包装袋に接着されていない遊離領域とを有し、前記上嵌合具の前記一対の雌鉤爪及び前記一対の雄鉤爪は、前記接着領域にあり、前記下嵌合具の前記一対の雌鉤爪及び前記一対の雄鉤爪は、前記遊離領域にあることが好ましい。上嵌合具の第1の気密嵌合具では、包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わって、雌基部が屈曲しても、一対の雌鉤爪は倒れない。このため、嵌合具の咬合状態を確保することができ、高い封止性が得られる。さらに、下嵌合具では、パスカルの原理によって嵌合具を閉じる力が働くので、嵌合具の咬合が外れることを防止することができる。
【0018】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記下嵌合具は、前記雌部として一対の雌鉤爪と、前記雄部として一対の雄鉤爪と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか一方の内側に設けられた一対の突壁部と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか他方の内側に設けられた突条部と、を有し、前記一対の雌鉤爪と前記一対の雄鉤爪とが係合して係合部を形成すると同時に前記突条部の前記開口部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記開口部側の側面に当接し、かつ、前記収容部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記収容部側の側面に当接して密接部を形成する第2の気密嵌合具であり、該第2の気密嵌合具は、前記一対の突壁部又は前記突条部が、前記雌基部から突出しており、かつ、前記一対の雌鉤爪が、前記雌基部から突出していることが好ましい。下嵌合具の気密性をより向上させることができる。
【0019】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記下嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であることが好ましい。下嵌合具の封止性及び気密性をより向上させることができる。
【0020】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記接着領域と前記遊離領域との境界は、前記下嵌合具の前記係合部よりも前記上嵌合具の前記係合部の近くにあることが好ましい。包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わったとしても、当該力が下嵌合具に与える影響をより小さくすることができる。その結果、前記力によって、下嵌合具の咬合が外れることを防止することができる。
【0021】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記2本の嵌合具の前記雌基部は、それぞれ別個の部材であり、かつ、前記2本の嵌合具の前記雄基部は、それぞれ別個の部材であることが好ましい。包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わったとしても、当該力が下嵌合具に与える影響をより小さくすることができる。その結果、前記力によって、下嵌合具の咬合が外れてしまうことを防止することができる。
【0022】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記2本の嵌合具の前記雌基部は、相互に一体の部材であり、かつ、前記2本の嵌合具の前記雄基部は、相互に一体の部材であり、前記雌基部及び前記雄基部は、それぞれ前記2本の嵌合具間に屈曲可能な屈曲部を有することが好ましい。包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わったとしても、当該力が下嵌合具に与える影響をより小さくすることができる。その結果、前記力によって、下嵌合具の咬合が外れてしまうことを防止することができる。
【0023】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記嵌合具付き袋は、前記嵌合具として、前記開口部の縁側に設けられた上嵌合具と前記収容部側に設けられた下嵌合具との2本の嵌合具を有し、前記上嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であり、前記雄基部は、全体において前記包装袋に接着されており、前記雌基部は、前記包装袋に接着された接着領域と前記包装袋に接着されていない遊離領域とを有し、前記上嵌合具の前記一対の雌鉤爪は、前記接着領域にあり、前記下嵌合具の前記一対の雌鉤爪は、前記遊離領域にあることが好ましい。上嵌合具の第1の気密嵌合具では、包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わり、雌基部が屈曲しても、一対の雌鉤爪は倒れない。このため、嵌合具の咬合状態を確保することができ、高い封止性が得られる。さらに、下嵌合具では、包装袋に内圧が作用して袋が広げられる方向に力が加わったとき、雌基部には袋本体と嵌合具との接着点の方向にせん断応力が作用するとともに、パスカルの原理によって雌基部が雄基部側に押し付けられる力が作用するので、下嵌合具の咬合が外れることを防止することができる。
【0024】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記下嵌合具は、前記雌部として一対の雌鉤爪と、前記雄部として一対の雄鉤爪と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか一方の内側に設けられた一対の突壁部と、前記一対の雌鉤爪又は前記一対の雄鉤爪のいずれか他方の内側に設けられた突条部と、を有し、前記一対の雌鉤爪と前記一対の雄鉤爪とが係合して係合部を形成すると同時に前記突条部の前記開口部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記開口部側の側面に当接し、かつ、前記収容部側の側面の少なくとも一部が前記一対の突壁部の内側の側面のうち前記収容部側の側面に当接して密接部を形成する第2の気密嵌合具であり、該第2の気密嵌合具は、前記一対の突壁部又は前記突条部が、前記雌基部から突出しており、かつ、前記一対の雌鉤爪が、前記雌基部から突出していることが好ましい。下嵌合具の気密性をより向上させることができる。
【0025】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記下嵌合具が、前記第1の気密嵌合具であることが好ましい。下嵌合具の封止性及び気密性をより向上させることができる。
【0026】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記接着領域と前記遊離領域との境界は、前記下嵌合具の前記係合部よりも前記上嵌合具の前記係合部の近くにあることが好ましい。包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わったとしても、当該力が下嵌合具に与える影響をより小さくすることができる。その結果、前記力によって、下嵌合具の咬合が外れてしまうことを防止することができる。
【0027】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記2本の嵌合具の前記雌基部は、それぞれ別個の部材であり、かつ、前記2本の嵌合具の前記雄基部は、それぞれ別個の部材であることが好ましい。包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わったとしても、当該力が下嵌合具に与える影響をより小さくすることができる。その結果、前記力によって、下嵌合具の咬合が外れてしまうことを防止することができる。
【0028】
本発明に係る嵌合具付き袋では、前記2本の嵌合具の前記雌基部は、相互に一体の部材であり、かつ、前記2本の嵌合具の前記雄基部は、相互に一体の部材であり、前記雌基部及び前記雄基部は、前記2本の嵌合具間に屈曲可能な屈曲部を有することが好ましい。包装袋に内圧が作用して包装袋が広げられる方向に力が加わったとしても、当該力が下嵌合具に与える影響をより小さくすることができる。その結果、前記力によって、下嵌合具の咬合が外れてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、嵌合具を閉鎖した後に、袋内に空気が入り込みにくく、かつ、袋内の圧力上昇などによって嵌合具の咬合を外そうとする力が加わったとき、嵌合具が外れることを防止することができる気密性を有する嵌合具付き袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る嵌合具付袋の一例を示す正面図である。
図2図1のA-A線断面図の第一例である。
図3図2の上嵌合具の断面拡大図である。
図4図2の嵌合具の変形例の断面拡大図である。
図5図4の上嵌合具の断面拡大図である。
図6図1のA-A線断面図の第二例である。
図7図6の嵌合具の変形例1の断面拡大図である。
図8図6の嵌合具の変形例2の断面拡大図である。
図9図6の嵌合具の変形例3の断面拡大図である。
図10図1のA-A線断面図の第三例である。
図11図10の嵌合具の変形例1の断面拡大図である。
図12図10の嵌合具の変形例2の断面拡大図である。
図13図10の嵌合具の変形例3の断面拡大図である。
図14】第1の気密嵌合具の変形形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0032】
(第一例)
図1及び図2を参照して本実施形態に係る嵌合具付き袋について説明する。本実施形態に係る嵌合具付き袋100は、図1に示すように、合成樹脂製の表側フィルム及び裏側フィルムよりなる収容部4と開口部1とを有する包装袋8と、開口部1の縁に沿って表側フィルムと裏側フィルムの内側面にそれぞれ設けられた帯状の嵌合具2,3と、を備え、嵌合具2,3は、図2に示すように、帯状の雌基部10と雌基部10の長手方向に沿って設けられた雌部11とを有する雌部材12と、帯状の雄基部13と雄基部13の長手方向に沿って設けられた雄部14とを有する雄部材15と、を有する嵌合具付き袋において、嵌合具2,3の少なくとも一つは、雌部11として一対の雌鉤爪と、雄部14として一対の雄鉤爪と、一対の雌鉤爪11の内側に設けられた一対の突壁部51と、一対の雄鉤爪14の内側に設けられた突条部52と、を有し、一対の雌鉤爪11と一対の雄鉤爪14とが係合して係合部を形成すると同時に突条部52の開口部1側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち開口部1側の側面に当接し、かつ、収容部4側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち収容部4側の側面に当接して密接部を形成する第1の気密嵌合具Z1であり、第1の気密嵌合具Z1は、一対の突壁部51が、雌基部10から突出しており、かつ、一対の雌鉤爪11が、一対の突壁部51の外側の側面から突出している。
【0033】
包装袋8は、例えば図1に示すように、表側フィルム及び裏側フィルムの2枚の基材フィルムからなり、一辺に開口部1を有し、その他の辺に基材フィルム同士を融着させた融着部5,6を有する。収容部4は、開口部1に連通する包装袋8の内部空間である。基材フィルムは、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの合成樹脂製であり、単層フィルムであるか、又は積層フィルムであってもよい。
【0034】
嵌合具2,3は、図2に示すように、雌部材12及び雄部材15を有する帯状部材であり、包装袋8の開口部1の縁の近傍において基材フィルムの内壁に接着されている。本明細書において、帯状とは、開口部1の縁に沿うことができるような細長い形状をいう。また、接着とは、接着剤などを介在させて固着する形態及び接着剤などを介在させずに例えば融着などによって固着する形態を包含する。雌部材12は、雌基部10と雌部11とを有する。雌基部10は、包装袋の一方の基材フィルムに接着される。第一例の嵌合具付き袋100では、雌基部10は、図2に示すように全体において包装袋8に接着されることが好ましい。雌部11は、雄部14と係脱可能に係合して係合部を形成する。雄部材15は、雄基部13と雄部14とを有する。雄基部13は、包装袋の他方の基材フィルムに接着される。第一例の嵌合具付き袋100では、雄基部13は、図2に示すように全体において包装袋8に接着されることが好ましい。雄部14は、雌部11と係脱可能に係合して係合部を形成する。嵌合具2,3は、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの合成樹脂製である。嵌合具2,3の本数は、特に限定されず、1本であるか(不図示)、2本であるか(図1及び図2に図示)、又は2本以上であってもよい。
【0035】
嵌合具2,3のうち少なくとも一つは第1の気密嵌合具Z1である。第1の気密嵌合具Z1は、図2に示すように、雌部として一対の雌鉤爪11と、雄部として一対の雄鉤爪14と、一対の突壁部51と、突条部52と、を有する。一対の雌鉤爪11は、断面形状が略U字形状又は凹形状であって、その両側の先端に互いに向き合う向きに鉤部が設けられた形状を有する。一対の雄鉤爪14は、断面形状が略U字形状又は凹形状であって、その両側の先端に互いに背中合わせとなる向きに鉤部が設けられた形状を有する。一対の雄鉤爪14が一対の雌鉤爪11の間に押し込まれて、互いの鉤部が係合することによって係合部が形成される。突壁部51は、雌基部10から雄基部13に向かって突出する。2つの突壁部51は、並列して設けられる。各突壁部51の断面形状は、特に限定されないが、例えば、図2に示す三角形状の他、半円形状、楕円形状又は矩形状であってもよい。一対の突壁部51の内側の側面同士、すなわち突壁部51の側面のうち互いに向かい合う側面同士は、断面視において、突壁部51の根元に近づくにしたがって先細りの形状をなすことが好ましい。図2では、先細りの形状の一例として、略V字形状を示した。内側の側面同士が先細りの形状をなすことによって、突条部52を一対の突壁部51の間により強く密着させることができるため、気密性をより向上させることができる。突条部52は、雄基部13から雌基部10に向かって突出する。突条部52は、係合部が形成される時、一対の突壁部51の間に入り込む。そして、突条部52の開口部1側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち開口部1側の側面に当接し、かつ、突条部52の収容部4側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち収容部4側の側面に当接することによって、密接部が形成される。第1の気密嵌合具Z1では、この密接部によって気密性を確保することができる。突条部52の断面形状は、密接部を形成可能であればよく、特に限定されないが、例えば、図2に示す三角形状の他、半円形状、楕円形状又は矩形状であってもよい。
【0036】
本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、図2に示すように、一対の突壁部51が一対の雌鉤爪11の内側に設けられ、突条部52が一対の雄鉤爪14の内側に設けられることが好ましい。係合部が形成される時、雌鉤爪11が雄鉤爪14を突壁部51に押し付けることによって突壁部51が突条部52により強く密着するため、気密性をより向上させることができる。
【0037】
図3は、図2の上嵌合具の断面拡大図である。第1の気密嵌合具Z1は、次の条件1及び条件2を満たすことが好ましい。
(条件1)図3に示すように、突条部52の断面の山角度をa°、一対の突壁部51の間の谷角度をb°としたとき、a≧bが成り立つ。
(条件2)図3に示すように、一対の雄鉤爪14と突条部52との間の谷角度をそれぞれc1°、c2°とし、一対の突壁部51の断面の山角度をそれぞれd1°、d2°としたとき、c1、c2≦d1、d2が成り立つ。
条件1及び条件2において、突条部52の断面の山角度又は突壁部51の断面の山角度とは、突条部52又は突壁部51の両側面同士のなす角度である。また、一対の突壁部51の間の谷角度又は一対の雄鉤爪14と突条部52との間の谷角度とは、向かい合う側面同士のなす角度である。例えば、aは15~20°、bは10~15°、c1は10~15°、c2は10~15°、d1は15~20°、d2は15~20°であるが、本発明はこれらの数値に限定されない。また、c1とc2とは同じ値であるか又は異なる値であってもよい。d1とd2とは同じ値であるか又は異なる値であってもよい。
【0038】
図2に示すように、第1の気密嵌合具Z1では、一対の雌鉤爪11は、雌基部10から直接突出するものではなく、一対の雌鉤爪11の根元は、雌基部10上にはない。このような構成によって、第1の気密嵌合具Z1では、図2において点線で示すように、包装袋8に内圧が作用して包装袋8が広げられる方向に力が加わり、雌基部10が屈曲しても、一対の雌鉤爪11は倒れない。このため、一対の雌鉤爪11と一対の雄鉤爪14との咬合状態を確保することができ、高い封止性が得られる。
【0039】
本実施形態では、嵌合具付き袋100は、図2に示すように、嵌合具2,3として、開口部1の縁側に設けられた上嵌合具2と収容部4側に設けられた下嵌合具3との2本の嵌合具を有し、2本の嵌合具2,3のいずれか一方又は両方の嵌合具が、第1の気密嵌合具Z1であることが好ましい。2本の嵌合具2,3によって、封止性及び気密性をより向上させることができる。本実施形態では、上嵌合具2及び下嵌合具3の両方が第1の気密嵌合具Z1である形態(図2に図示)、上嵌合具2がその他の嵌合具であり、下嵌合具3が第1の気密嵌合具Z1である形態(図4に図示)、及び上嵌合具2が第1の気密嵌合具Z1であり、下嵌合具3がその他の嵌合具である形態(不図示)を包含する。ここで、その他の嵌合具は、特に限定されず、例えば、図4に示すような気密嵌合具(以降、第2の気密嵌合具という。)Z2であるか、又は、雌部11として一対の雌鉤爪を有し、雄部14として断面形状が矢尻状の頭部を有し、一対の雌鉤爪の間に頭部が嵌まることで咬合する嵌合具(例えば、特許文献3の図8に図示。)であってもよい。
【0040】
図5は、図4の上嵌合具の断面拡大図である。第2の気密嵌合具Z2は、図4及び図5に示すように、雌部11として一対の雌鉤爪と、雄部14として一対の雄鉤爪と、一対の雌鉤爪11の内側に設けられた一対の突壁部51と、一対の雄鉤爪14の内側に設けられた突条部52と、を有し、一対の雌鉤爪11と一対の雄鉤爪14とが係合して係合部を形成すると同時に突条部52の開口部1側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち開口部1側の側面に当接し、かつ、収容部4側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち収容部4側の側面に当接して密接部を形成する嵌合具であって、一対の突壁部51が、雌基部10から突出しており、かつ、一対の雌鉤爪11が、雌基部10から突出している。第2の気密嵌合具Z2は、第1の気密嵌合具Z1と同様に、一対の突壁部51と突条部52とが密接部を形成することによって気密性を確保することができる嵌合具である。第2の気密嵌合具は、一対の雌鉤爪11が雌基部10から直接突出しており、一対の雌鉤爪11の根元が雌基部10上にある点で第1の気密嵌合具Z1と相違するが、その他の基本的構成は、第1の気密嵌合具Z1と同じである。例えば、第2の気密嵌合具Z2は、図5に示すように、第1の気密嵌合具Z1と同様に、前記の条件1及び条件2を満たすことが好ましい。
【0041】
雌基部10及び雄基部13が全体において包装袋8に接着される場合、図2又は図4に示すように、少なくとも下嵌合具3が第1の気密嵌合具Z1であることが好ましい。下嵌合具3を第1の気密嵌合具Z1とすることで、包装袋8に内圧が作用して包装袋8が広げられる方向に力が加わり、下嵌合具3の雌基部10が屈曲しても、下嵌合具3の一対の雌鉤爪11は倒れないため、嵌合具3の咬合状態を確保することができ、高い封止性が得られる。
【0042】
(第二例)
図6は、図1のA-A線断面図の第二例である。本実施形態では、嵌合具付き袋100は、嵌合具2,3として、開口部1の縁側に設けられた上嵌合具2と収容部4側に設けられた下嵌合具3との2本の嵌合具を有し、上嵌合具2が、第1の気密嵌合具Z1であり、雌基部10及び雄基部13は、包装袋8に接着された接着領域S1と包装袋8に接着されていない遊離領域S2とを有し、上嵌合具2の一対の雌鉤爪11及び一対の雄鉤爪14は、接着領域S1にあり、下嵌合具3の一対の雌鉤爪11及び一対の雄鉤爪14は、遊離領域S2にあることが好ましい。図6において、矢印81~84は包装袋8に内圧が作用した時に生じる力の方向を表す。より詳しくは、矢印81は基材フィルムの内壁にかかる力の方向、矢印82は開口部1が広げられる力の方向、矢印83は収容部4内の空気又は内容物が漏出しようとする力の方向、矢印84は遊離領域S2内の雌基部10及び雄基部13にかかる力の方向をそれぞれ表す。図6における各矢印81~84の大きさ(長さ)は力の大きさとは関係がない。
【0043】
図6に示すように、包装袋8に内圧が作用すると、包装袋8を広げる力が働き(矢印81)、この矢印81の力によって開口部1を開口する方向に力が働く(矢印82)。上嵌合具2の第1の気密嵌合具Z1では、矢印82の力によって雌基部10が屈曲したとしても(例えば図2において点線で示す。)、一対の雌鉤爪11は倒れない。このため、上嵌合具2の咬合状態を確保することができ、高い封止性が得られる。さらに、下嵌合具3には、収容部4内の空気又は内容物が漏出しようとする力が働く(矢印83)。しかし、下嵌合具3の雌基部10及び雄基部13には、パスカルの原理によって雌基部10と雄基部13とが互いに押し付け合う力が作用するので(矢印84)、雌部11と雄部14とが密着して気密性を確保することができる。
【0044】
本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、図6に示すように、下嵌合具3が、第1の気密嵌合具Z1であることが好ましい。下嵌合具3を第1の気密嵌合具Z1とすることで、下嵌合具3の封止性及び気密性をより向上させることができる。
【0045】
本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、下嵌合具3の係合部よりも上嵌合具2の係合部の近くにあることが好ましい。包装袋8に内圧が作用して開口部1が広げられる方向に力(図6の矢印82)が加わると、下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が生じるおそれがあるところ、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3を上嵌合具2の係合部の近くに設けることで、下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができる。その結果、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことを防止することができる。接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、上嵌合具2の係合部に近ければ近いほど、下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができるため好ましい。
【0046】
図7は、図6の嵌合具の変形例1の断面拡大図である。本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、下嵌合具3が第2の気密嵌合具Z2であることが好ましい。下嵌合具3を第2の気密嵌合具Z2とすることで、下嵌合具3の気密性をより向上させることができる。
【0047】
図8は、図6の嵌合具の変形例2の断面拡大図である。図8に示すように、本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、2本の嵌合具2,3の雌基部10は、それぞれ別個の部材であり、かつ、2本の嵌合具2,3の雄基部13は、それぞれ別個の部材であることが好ましい。包装袋8に内圧が作用して開口部1が広げられる方向に力(図6の矢印82)が加わって下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が生じたとしても、当該力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができる。その結果、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことを防止することができる。
【0048】
図8に示すように、2本の嵌合具2,3の雌基部10が、それぞれ別個の部材であり、かつ、2本の嵌合具2,3の雄基部13は、それぞれ別個の部材であるとき、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、下嵌合具3の係合部よりも上嵌合具2の係合部の近くにあることが好ましい。下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくして、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことをより防止することができる。
【0049】
図9は、図6の嵌合具の変形例3の断面拡大図である。図9に示すように、本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、2本の嵌合具2,3の雌基部10は、相互に一体の部材であり、かつ、2本の嵌合具2,3の雄基部13は、相互に一体の部材であり、雌基部10及び雄基部13は、それぞれ2本の嵌合具2,3間に屈曲可能な屈曲部16を有することが好ましい。包装袋8に内圧が作用して開口部1が広げられる方向に力が加わって下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が生じたとしても、屈曲部16が屈曲することで、当該力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができる。その結果、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことを防止することができる。屈曲部16は、雌基部10及び雄基部13を屈曲しやすくするための加工部分であり、例えば、図9に示すような切欠き又は折れ線(不図示)である。
【0050】
図9に示すように、雌基部10及び雄基部13が屈曲部16を有するとき、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、下嵌合具3の係合部よりも上嵌合具2の係合部の近くにあることが好ましい。下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくして、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことをより防止することができる。
【0051】
(第三例)
図10は、図1のA-A線断面図の第三例である。本実施形態では、嵌合具付き袋100は、嵌合具2,3として、開口部1の縁側に設けられた上嵌合具2と収容部4側に設けられた下嵌合具3との2本の嵌合具を有し、上嵌合具2が、第1の気密嵌合具Z1であり、雄基部13は、全体において包装袋8に接着されており、雌基部10は、包装袋8に接着された接着領域S1と包装袋8に接着されていない遊離領域S2とを有し、上嵌合具2の一対の雌鉤爪11は、接着領域S1にあり、下嵌合具3の一対の雌鉤爪11は、遊離領域S2にあることが好ましい。図10において、矢印91~95は包装袋8に内圧が作用した時に生じる力の方向を表す。より詳しくは、矢印91は基材フィルムの内壁にかかる力の方向、矢印92,93は開口部1が広げられる力の方向、矢印94は遊離領域S2内の雌基部10にかかる力の方向をそれぞれ表す。また、矢印95は矢印93の力によって生じる遊離領域S2内の雌部材に作用する力の方向を表す。図6における各矢印91~95の大きさ(長さ)は力の大きさとは関係がない。
【0052】
図10に示すように、包装袋8に内圧が作用すると、包装袋8を広げる力が働き(矢印91)、この矢印91の力によって開口部1を開口する方向に力が働く(矢印92,93)。上嵌合具2の第1の気密嵌合具Z1では、矢印93の力によって雌基部10が屈曲したとしても(例えば図2において点線で示す。)、一対の雌鉤爪11は倒れない。このため、上嵌合具2の咬合状態を確保することができ、高い封止性が得られる。また、矢印93の力によって、雌基材10の接着点(接着領域S1と遊離領域S2との境界S3)に応力がかかり、遊離領域S2内の雌基材10をせん断させる方向に力が作用する(矢印95)。矢印92の力の方向と矢印95の力の方向とは、下嵌合具3の収容部4側の雌部11と雄部14とが互いに咬合する方向となり、雌部11と雄部14とが密着して気密性を確保することができる。さらに、下嵌合具3の雌基部10には、パスカルの原理によって雌基部10が雄基部13側に押し付けられる力が作用するので(矢印94)、雌部11と雄部14とが密着して気密性を確保することができる。
【0053】
本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、図10に示すように、下嵌合具3が、第1の気密嵌合具Z1であることが好ましい。下嵌合具3を第1の気密嵌合具Z1とすることで、下嵌合具3の封止性及び気密性をより向上させることができる。
【0054】
本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、下嵌合具3の係合部よりも上嵌合具2の係合部の近くにあることが好ましい。包装袋8に内圧が作用して開口部1が広げられる方向に力(図10の矢印92,93)が加わると、下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が生じるおそれがあるところ、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3を上嵌合具2の係合部の近くに設けることで、下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができる。その結果、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことを防止することができる。接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、上嵌合具2の係合部に近ければ近いほど、下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができるため好ましい。
【0055】
図11は、図10の嵌合具の変形例1の断面拡大図である。図11に示すように、本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、下嵌合具3が第2の気密嵌合具Z2であることが好ましい。下嵌合具3を第2の気密嵌合具Z2とすることで、下嵌合具3の気密性をより向上させることができる。
【0056】
図12は、図10の嵌合具の変形例2の断面拡大図である。本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、2本の嵌合具2,3の雌基部10は、それぞれ別個の部材であり、かつ、2本の嵌合具2,3の雄基部13は、それぞれ別個の部材であることが好ましい。包装袋8に内圧が作用して開口部1が広げられる方向に力(図10の矢印92,93)が加わって下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が生じたとしても、屈曲部16が屈曲することで、当該力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができる。その結果、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことを防止することができる。
【0057】
図12に示すように、2本の嵌合具2,3の雌基部10が、それぞれ別個の部材であり、かつ、2本の嵌合具2,3の雄基部13は、それぞれ別個の部材であるとき、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、下嵌合具3の係合部よりも上嵌合具2の係合部の近くにあることが好ましい。下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくして、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことをより防止することができる。
【0058】
図13は、図10の嵌合具の変形例3の断面拡大図である。本実施形態に係る嵌合具付き袋100では、2本の嵌合具2,3の雌基部10は、相互に一体の部材であり、かつ、2本の嵌合具2,3の雄基部13は、相互に一体の部材であり、雌基部10及び雄基部13は、2本の嵌合具2,3間に屈曲可能な屈曲部16を有することが好ましい。包装袋8に内圧が作用して開口部1が広げられる方向に力が加わって下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が生じたとしても、当該力が下嵌合具3に与える影響をより小さくすることができる。その結果、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことを防止することができる。屈曲部16は、雌基部10及び雄基部13を屈曲しやすくするための加工部分であり、例えば、図13に示すような切欠き又は折れ線(不図示)である。
【0059】
図13に示すように、雌基部10及び雄基部13が屈曲部16を有するとき、接着領域S1と遊離領域S2との境界S3は、下嵌合具3の係合部よりも上嵌合具2の係合部の近くにあることが好ましい。下嵌合具3を開口部1側から開けようとする力が下嵌合具3に与える影響をより小さくして、下嵌合具3の咬合が外れてしまうことをより防止することができる。
【0060】
図14は、第1の気密嵌合具の変形形態を示す断面図である。本実施形態に係る嵌合具付き袋100は、図2図3図4図6図7図8図9図10図11図12及び図13に示した第1の気密嵌合具Z1において一対の突壁部51と突条部52との位置を入れ替える変形をした形態を包含する。すなわち、本実施形態に係る嵌合具付き袋100は、合成樹脂製の表側フィルム及び裏側フィルムよりなる収容部4と開口部1とを有する包装袋8と、開口部1の縁に沿って表側フィルムと裏側フィルムの内側面にそれぞれ設けられた帯状の嵌合具2,3と、を備え、嵌合具2,3は、帯状の雌基部10と雌基部10の長手方向に沿って設けられた雌部11とを有する雌部材12と、帯状の雄基部13と雄基部13の長手方向に沿って設けられた雄部14とを有する雄部材15と、を有する嵌合具付き袋において、嵌合具2,3の少なくとも一つは、図14に示すように、雌部11として一対の雌鉤爪と、雄部14として一対の雄鉤爪と、一対の雄鉤爪14の内側に設けられた一対の突壁部51と、一対の雌鉤爪11の内側に設けられた突条部52と、を有し、一対の雌鉤爪11と一対の雄鉤爪14とが係合して係合部を形成すると同時に突条部52の開口部1側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち開口部1側の側面に当接し、かつ、収容部4側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち収容部4側の側面に当接して密接部を形成する第1の気密嵌合具Z1であり、第1の気密嵌合具Z1は、突条部52が、雌基部10から突出しており、かつ、一対の雌鉤爪11が、突条部52の側面から突出していてもよい。
【0061】
本実施形態に係る嵌合具付き袋100は、図4図5図7及び図11に示した第2の気密嵌合具Z2において一対の突壁部51と突条部52との位置を入れ替える変形をした形態を包含する。すなわち、第2の気密嵌合具Z2は、雌部11として一対の雌鉤爪と、雄部14として一対の雄鉤爪と、一対の雄鉤爪14の内側に設けられた一対の突壁部51と、一対の雌鉤爪11の内側に設けられた突条部52と、を有し、一対の雌鉤爪11と一対の雄鉤爪14とが係合して係合部を形成すると同時に突条部52の開口部1側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち開口部1側の側面に当接し、かつ、収容部4側の側面の少なくとも一部が一対の突壁部51の内側の側面のうち収容部4側の側面に当接して密接部を形成する嵌合具であって、突条部52が、雌基部10から突出しており、かつ、一対の雌鉤爪11が、雌基部10から突出していてもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 嵌合具付き袋
1 開口部
2 嵌合具(上嵌合具)
3 嵌合具(下嵌合具)
4 収容部
5,6 融着部
8 包装袋
10 雌基部
11 雌部、雌鉤爪
12 雌部材
13 雄基部
14 雄部、雄鉤爪
15 雄部材
16 屈曲部
51 突壁部
52 突条部
81 基材フィルムの内壁にかかる力の方向
82 開口部が広げられる力の方向
83 収容部内の空気又は内容物が漏出しようとする方向
84 遊離領域内の雌基部及び雄基部にかかる力の方向
91 基材フィルムの内壁にかかる力の方向
92,93 開口部が広げられる力の方向
94 遊離領域内の雌基部にかかる力の方向
95 矢印93の力によって生じる遊離領域内の雌部材に作用する力の方向
S1 接着領域
S2 遊離領域
S3 境界
Z1 第1の気密嵌合具
Z2 第2の気密嵌合具
図1
図2
図3
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