IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミツバの特許一覧

特許7021048モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法
<>
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図1
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図2
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図3
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図4
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図5
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図6
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図7
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図8
  • 特許-モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/16 20160101AFI20220208BHJP
   H02P 29/028 20160101ALI20220208BHJP
【FI】
H02P6/16
H02P29/028
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018201238
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020068613
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 健
(72)【発明者】
【氏名】小林 知史
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-208731(JP,A)
【文献】特開2010-200466(JP,A)
【文献】特開2013-179742(JP,A)
【文献】特開2017-135950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0093498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/16
H02P 29/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレスモータの3相のコイルに通電制御を行って、ロータの回転制御を行うモータ制御装置において、
前記コイルに流す電流を切り替え可能に配置された複数のスイッチング素子と、
前記コイルのそれぞれに対応して設けられ、前記ロータの回転位置を検出する複数のセンサと、
前記複数のセンサの出力である位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、
補正された前記位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力するゲート制御電圧出力部と、
補正された前記位置検出信号のそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる切り替え制御部と、を含んで構成され、
前記切り替え制御部は、
前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組み合わせである6個のホールパターンのうち、所定のホールパターンから次のホールパターンを取得するホールパターン取得部と、
前記次のホールパターンが、前記所定のホールパターンの次に予定していた第1ホールパターンと異なるか否かを判定するホールパターン異常判定部と、
前記次のホールパターンが、前記第1ホールパターンと異なる回数をカウントするホールパターン異常カウント部と、を有し、
前記第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下であって、前記ロータの回転速度が加速中であるとき、前記補正を継続し、
前記第1ホールパターンと異なる回数が前記所定の異常回数より大きいとき、または、
前記第1ホールパターンと異なる回数が前記所定の異常回数以下であって、前記ロータの回転速度が加速中ではないとき、前記補正を停止する
モータ制御装置。
【請求項2】
前記切り替え制御部は、
前記次のホールパターンが、前記第1ホールパターンと一致する回数をカウントするホールパターン正常カウント部と、を有し、
前記第1ホールパターンと一致する回数が所定の正常回数より大きくなったとき、前記第1ホールパターンと異なる回数をクリアする
請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組合せで表される6個のホールステージのそれぞれを構成する補正されたホールエッジに基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する前記ゲート制御電圧出力部と、
前記ホールステージのそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表される前記ホールステージの時間であるカウンタ値を、前記位置検出信号から取得するカウンタ値取得部と、
前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの遅延時間として、前記遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる前記切り替え制御部と、
を有する請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記カウンタ値取得部が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、前記ブラシレスモータの回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、前記基準ホールエッジがある相に対応する前記位置検出信号を基準位置検出信号と決定する基準位置検出信号決定部と、
前記基準位置検出信号の前記ブラシレスモータの回転方向の3相分のカウンタ値の平均値を算出する平均値算出部と、
前記平均値と前記ホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差を算出する検出誤差算出部と、
前記検出誤差を前記平均値で除算してホールステージそれぞれの前記補正係数を算出する補正係数算出部と、
を有する請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記モータ制御装置の出荷前に行われる前記補正係数の算出による前記補正係数を記憶しておく記憶部を有する請求項3または請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
ブラシレスモータの3相のコイルに通電制御を行って、ロータの回転制御を行うモータ制御装置において、
前記コイルに流す電流を切り替え可能に配置された複数のスイッチング素子と、
前記コイルのそれぞれに対応して設けられ、前記ロータの回転位置を検出する複数のセンサと、
前記複数のセンサの出力である位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、
補正された前記位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力するゲート制御電圧出力部と、
補正された前記位置検出信号のそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる切り替え制御部と、を含んで構成され、
前記切り替え制御部は、
前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組み合わせである6個のホールパターンのうち、所定のホールパターンから次のホールパターンを取得するホールパターン取得部と、
前記次のホールパターンが、前記所定のホールパターンの次に予定していた第1ホールパターンと異なるか否かを判定するホールパターン異常判定部と、
前記次のホールパターンが、前記第1ホールパターンと異なる回数をカウントするホールパターン異常カウント部と、を有し、
前記第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数より大きくなったとき、または、前記第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下の場合であっても、前記ロータの回転速度が加速中ではないとき、前記補正を停止する補正停止工程
を有するモータ制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータは、3相のコイルU,V,Wを有するステータと、界磁用の永久磁石を有するロータとを備え、ロータの回転軸には、ロータと共に回転するセンサマグネットが取り付けられている。センサマグネットは、回転方向にS極とN極が交互に着磁されており、センサマグネットの近傍には、回転位置を検出する3つのホールセンサが回転方向に120°の間隔で、センサマグネットの磁極の切り替わりを検出できるように取り付けられている。
【0003】
ブラシレスモータの駆動制御を行うモータ制御装置では、3つのホールセンサの切り替わり位置を基準として、各ホールステージに対応する通電パターンを、ブラシレスモータを駆動するインバータ回路に対して出力することで、ブラシレスモータを回転させる。
図4は、ブラシレスモータの駆動制御を行う際の、3つのホールセンサの位置検出信号Hu,Hv,Hwのタイムチャートを示す図である。図4は、横軸が電気角を表し、縦軸が位置検出信号の電圧レベルを表している。図4(a)に示すように、モータ制御装置は、3つのセンサの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せで表される6個のホールステージ(Hall Stage)1~6のそれぞれを構成するホールエッジに基づいてインバータ回路のスイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する構成を有している。ここで、6個のホールステージ1~6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間は、ホールステージの時間の電気角60°に対応する。
【0004】
すなわち、ホールステージ1の時間は、位置検出信号Huの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち下り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ2の時間は、位置検出信号Hwの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hvの立ち上り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ3の時間は、位置検出信号Hvの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Huの立ち下り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ4の時間は、位置検出信号Huの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち上り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ5の時間は、位置検出信号Hwの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hvの立ち下り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。また、ホールステージ6の時間は、位置検出信号Hvの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Huの立ち上り時刻であるホールエッジとの間の時間の電気角60°に対応する。
【0005】
また、ホールステージ1の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン5は、(H(ハイ),L(ロー),H)である。また、ホールステージ2の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン1は、(H,L,L)である。また、ホールステージ3の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン3は、(H,H,L)である。また、ホールステージ4の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン2は、(L,H,L)である。また、ホールステージ5の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン6は、(L,H,H)である。また、ホールステージ6の時間において、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン4は、(L,L,H)である。このように、モータ制御装置は、3つのセンサの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せで表される6個のホールステージ1~6のそれぞれを構成するホールエッジに基づいてインバータ回路のスイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する構成を有している。
【0006】
以上説明した図4(a)は、6個のホールステージ1~6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間が、ホールステージの時間の電気角60°であるという理想状態にある場合を示している。ところが、ブラシレスモータにおけるセンサマグネットの着磁ばらつき、ホールセンサの取り付け位置のばらつきなどにより、図4(b)に示すように、6個のホールステージ1~6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間が、ホールステージの時間の電気角60°でないという場合がある。
図4(b)は、ホールステージ1,4の時間が電気角60°未満である場合を示している。すなわち、位置検出信号Huの立ち上り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち下り時刻であるホールエッジとの間のホールステージ1の時間は、電気角60°未満の電気角t1rである。また、位置検出信号Huの立ち下り時刻であるホールエッジと位置検出信号Hwの立ち上り時刻であるホールエッジとの間のホールステージ4の時間は、電気角60°未満の電気角t4rである。
このような場合、モータ制御装置は、電気角t1rの期間、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン5に対応する通電パターンに従い、インバータ回路に対して、例えばHとLとを繰り返すPWM信号(駆動信号)を出力する。また、モータ制御装置は、電気角t4rの期間、位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せを表すホールパターン2に対応する通電パターンに従い、インバータ回路に対して、HとLとを繰り返すPWM信号を出力する。
つまり、モータ制御装置は、3つのホールセンサの切り替わり位置を基準として、駆動信号を、ブラシレスモータを駆動するインバータ回路に対して出力することで、ブラシレスモータを回転させる。しかし、実際のところ、ブラシレスモータにおけるセンサマグネットの着磁ばらつき、ホールセンサの取り付け位置のばらつきなどにより、モータ制御装置は、図4(b)に示すように、実際のロータ位置とホールエッジが電気角60°からずれている場合がある。こうした場合、ホールエッジ毎に駆動信号の出力を切り替えると、ブラシレスモータの動きに影響を与えて振動や異音の発生が生じてしまうという恐れがあった。
【0007】
そこで、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを切り替える構成を有するモータ駆動装置が必要になる。
なお、特許文献1、2には、振動や異音の発生の抑制を行うモータ制御装置が記載されている。しかし、特許文献1、2に記載のモータ制御装置では、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを切り替える構成を有さないため、振動や異音の発生の抑制を精度良く行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-119220号公報
【文献】特許第4724024号公報
【文献】特開2017-121105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを切り替える構成を有するモータ駆動装置が必要になる。
そこで、図5に示すように、ホールエッジの間隔(ホールステージの時間)が電気角60°より狭いホールステージの時間を電気角60°にする機能を備えたモータ制御装置が必要になる。図5は、ブラシレスモータの駆動制御を行う際の、3つのホールセンサの位置検出信号Hu,Hv,Hwのタイムチャートの一例を示す図である。
図5に示すように、位置検出信号Hwの立ち下り時刻であるホールエッジの時刻を電気角60°の位置に補正することにより、ホールステージ1の時間を電気角60°にする。また、位置検出信号Hvの立ち上り時刻であるホールエッジの時刻を電気角120°の位置に補正することにより、ホールステージ2、3の時間を電気角60°にする。また、位置検出信号Hwの立ち上り時刻であるホールエッジの時刻を電気角240°の位置に補正することにより、ホールステージ4の時間を電気角60°にする。また、位置検出信号Hvの立ち下り時刻であるホールエッジの時刻を電気角300°の位置に補正することにより、ホールステージ5、6の時間を電気角60°にする。
【0010】
特許文献3記載の発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを電気角60°で切り替える構成を有することにより、振動や異音の発生の抑制を精度良く行うことができるモータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法を提供することであった。
【0011】
ところが、特許文献3記載の発明では、モータの停止から動き出し開始時の低速で補正を行うと、補正量が大きいため、モータの加速の度合いによっては、次のホールパターンが入力され、当初予定していたホールパターンを追い越してしまう可能性が有る。そのため、センサ入力補正は行わず、一定回転数(速度)以上で補正を開始するようにしている。
【0012】
図6は、ホールパターンに異常が発生したときにモータ制御装置が行う異常判定処理を説明するための図である。図6では、ホールパターンが3から2に切り替わるときに、次の補正を設定する状態を示している。しかし、補正経過前に、ホールパターン2の次にホールパターン6(当初予定していたホールパターン、図5参照)が入力せずに、ホールパターン4(当初予定していたホールパターンの次のホールパターン、図5参照)が入力すると言う、いわゆるホールパターンの追い越し(ホールパターンの異常)が発生している。
例えば、負荷変動や目標速度MAPの設定により、モータの回転数(速度)が急激に変動(加速)することが有る。すなわち、図6に示すように、補正開始後に、このモータの回転数(速度)が急激に加速するという状態が発生すると、ホールパターンの異常が発生してしまう。モータ制御装置は、図6に示すように、ホールパターンの異常が発生した場合、異常の発生を判定し、モータの動作を安定させるため、いったん行っている補正を停止(中止)し、再度一定回転数以上となるまでは補正を行わないようにしている。
【0013】
図7は、図6に示すモータ制御装置が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
モータ制御装置は、現在のホールパターンを取得する(ステップS1)。具体的には、モータ制御装置は、例えば、図6に示すホールパターン2を取得する。
次に、モータ制御装置は、現在のホールパターンから次のホールパターンを取得する(ステップS2)。具体的には、モータ制御装置は、ホールパターン2の次に入力されるホールパターンを取得する。
次に、モータ制御装置は、前回求めた次のホールパターンと今回のホールパターンが異なるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、モータ制御装置は、例えば、図6に示すホールパターン2の次に予定していたホールパターン6(以下、本実施形態において第1ホールパターンと言う。)と、今回ステップS2において取得したホールパターンと、が一致するか否かを判定する。
モータ制御装置は、ステップS3において、判定対象である2つのホールパターンが異なる(一致しない)場合(ステップS3-Yes、以下YesをYで表わす)、ステップS4に移行し、補正を停止する。具体的には、モータ制御装置は、例えば、図6に示すように、ホールパターン2の次に予定していたホールパターン6と、今回ステップS2において取得したホールパターン4と、が一致しないので、ステップS4に移行し、補正を停止する。一方、モータ制御装置は、ステップS3において、判定対象である2つのホールパターンが異ならない(一致する)場合(ステップS3-No、以下NoをNで表わす)、補正を継続する。具体的には、モータ制御装置は、例えば、ホールパターン2の次に予定していたホールパターン6と、今回ステップS2において取得したホールパターン6と、が一致するので、補正を継続する。
【0014】
しかし、補正を行うことで設計上のモータ特性が得られるので、ステップS4において補正を停止すると、高負荷時に動作できなくなってしまうという問題が生じてしまう。なお、ワイパモータの場合、反転位置付近はリンクによる減速が有るので、高負荷状態でも動作可能である。しかし、上記動作を繰り返すとリンクの減速が少ない領域まで動いてしまうので、高負荷でモータが停止してしまう可能性が有る。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ホールパターン異常判定で、直ちに補正停止としない(補正を継続する)、但し、モータロック時や異常が連続で発生した場合は、補正停止とすることができるモータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、ブラシレスモータの3相のコイルに通電制御を行って、ロータの回転制御を行うモータ制御装置において、前記コイルに流す電流を切り替え可能に配置された複数のスイッチング素子と、前記コイルのそれぞれに対応して設けられ、前記ロータの回転位置を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサの出力である位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する制御部と、を備え、前記制御部は、補正された前記位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力するゲート制御電圧出力部と、補正された前記位置検出信号のそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる切り替え制御部と、を含んで構成され、前記切り替え制御部は、前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組み合わせである6個のホールパターンのうち、所定のホールパターンから次のホールパターンを取得するホールパターン取得部と、前記次のホールパターンが、前記所定のホールパターンの次に予定していた第1ホールパターンと異なるか否かを判定するホールパターン異常判定部と、前記次のホールパターンが、前記第1ホールパターンと異なる回数をカウントするホールパターン異常カウント部と、を有し、前記第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下であって、前記ロータの回転速度が加速中であるとき、前記補正を継続し、前記第1ホールパターンと異なる回数が前記所定の異常回数より大きいとき、または、前記第1ホールパターンと異なる回数が前記所定の異常回数以下であって、前記ロータの回転速度が加速中ではないとき、前記補正を停止するモータ制御装置である。
【0017】
また、本発明の一態様は、上述のモータ制御装置であって、前記切り替え制御部は、前記次のホールパターンが、前記第1ホールパターンと一致する回数をカウントするホールパターン正常カウント部と、を有し、前記第1ホールパターンと一致する回数が所定の正常回数より大きくなったとき、前記第1ホールパターンと異なる回数をクリアする。
【0018】
また、本発明の一態様は、上述のモータ制御装置であって、前記制御部は、前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組合せで表される6個のホールステージのそれぞれを構成する補正されたホールエッジに基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する前記ゲート制御電圧出力部と、前記ホールステージのそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表される前記ホールステージの時間であるカウンタ値を、前記位置検出信号から取得するカウンタ値取得部と、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの遅延時間として、前記遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる前記切り替え制御部と、を有する。
【0019】
また、本発明の一態様は、上述のモータ制御装置であって、前記制御部は、前記カウンタ値取得部が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、前記ブラシレスモータの回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、前記基準ホールエッジがある相に対応する前記位置検出信号を基準位置検出信号と決定する基準位置検出信号決定部と、前記基準位置検出信号の前記ブラシレスモータの回転方向の3相分のカウンタ値の平均値を算出する平均値算出部と、前記平均値と前記ホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差を算出する検出誤差算出部と、前記検出誤差を前記平均値で除算してホールステージそれぞれの前記補正係数を算出する補正係数算出部と、を有する。
【0020】
また、本発明の一態様は、上述のモータ制御装置であって、前記制御部は、前記モータ制御装置の出荷前に行われる前記補正係数の算出による前記補正係数を記憶しておく記憶部を有する。
【0021】
本発明の一態様は、ブラシレスモータの3相のコイルに通電制御を行って、ロータの回転制御を行うモータ制御装置において、前記コイルに流す電流を切り替え可能に配置された複数のスイッチング素子と、前記コイルのそれぞれに対応して設けられ、前記ロータの回転位置を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサの出力である位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する制御部と、を備え、前記制御部は、補正された前記位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力するゲート制御電圧出力部と、補正された前記位置検出信号のそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる切り替え制御部と、を含んで構成され、前記切り替え制御部は、前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組み合わせである6個のホールパターンのうち、所定のホールパターンから次のホールパターンを取得するホールパターン取得部と、前記次のホールパターンが、前記所定のホールパターンの次に予定していた第1ホールパターンと異なるか否かを判定するホールパターン異常判定部と、前記次のホールパターンが、前記第1ホールパターンと異なる回数をカウントするホールパターン異常カウント部と、を有し、前記第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数より大きくなったとき、または、前記第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下の場合であっても、前記ロータの回転速度が加速中ではないとき、前記補正を停止する補正停止工程を有するモータ制御装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、切り替え制御部は、第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下であって、ロータの回転速度が加速中であるとき、補正を継続し、第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数より大きいとき、または、第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下であって、ロータの回転速度が加速中ではないとき、補正を停止する構成を有する。この構成を有することにより、ホールパターン異常判定で、直ちに補正停止としない(補正を継続する)、但し、モータロック時や異常が連続で発生した場合は、補正停止とすることができるモータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のモータ制御装置の制御系統を示すブロック図である。
図2】ブラシレスモータの正転駆動制御を行う際の、補正係数の算出方法を説明するための図である。
図3】ブラシレスモータの逆転駆動制御を行う際の、補正係数の算出方法を説明するための図である。
図4】ブラシレスモータの駆動制御を行う際の、3つのホールセンサの位置検出信号Hu,Hv,Hwのタイムチャートを示す図である。
図5】ブラシレスモータの駆動制御を行う際の、3つのホールセンサの位置検出信号Hu,Hv,Hwのタイムチャートの一例を示す図である。
図6】ホールパターンに異常が発生したときにモータ制御装置が行う異常判定処理を説明するための図である。
図7図6に示すモータ制御装置が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
図8】ホールパターンに異常が発生したときに切り替え制御部が行う異常判定処理を説明するための図である。
図9図8に示す切り替え制御部が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0025】
実施形態におけるモータ制御装置は、ブラシレスモータの3相のコイルに通電制御を行って、ロータの回転制御を行うモータ制御装置において、前記コイルに流す電流を切り替え可能に配置された複数のスイッチング素子と、前記コイルのそれぞれに対応して設けられ、前記ロータの回転位置を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサの出力である位置検出信号に基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力する制御部と、を備える。また、前記制御部は、前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組合せで表される6個のホールステージのそれぞれを構成する補正されたホールエッジに基づいて前記スイッチング素子を切り替える駆動信号を出力するゲート制御電圧出力部と、前記ホールステージのそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表される前記ホールステージの時間であるカウンタ値を、前記位置検出信号から取得するカウンタ値取得部と、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの遅延時間として、前記遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれに基づいて、前記ゲート制御電圧出力部に前記駆動信号を出力させる切り替え制御部と、を有する。
以下、実施形態におけるモータ制御装置を、図面を用いて説明する。
【0026】
図1は、本発明のモータ制御装置の制御系統を示すブロック図である。図1は、ブラシレスモータ1及びモータ制御装置4の構成を示している。
ブラシレスモータ1は、3相のコイルU,V,Wを有するステータと、界磁用の永久磁石を有するロータとを有し、ロータの回転軸には、ロータと共に回転するセンサマグネット2が取り付けられている。
センサマグネット2は、回転方向にS極とN極が交互に着磁されており、センサマグネット2の近傍には、回転位置を検出する3つのホールセンサ3U,3V,3Wが回転方向に120°の間隔で、センサマグネット2の磁極の切り替わりを検出できるように取り付けられている。
【0027】
モータ制御装置4は、直流電源5からコイルU,V,Wに流す電流を切り換えるインバータ回路6と、3つのホールセンサ3U,3V,3Wと、各ホールセンサ3U,3V,3Wの出力が入力され、インバータ回路6のスイッチングを行う制御部7とを有する。
インバータ回路6は、3つのアーム11,12,13が直流電源5に対して並列に接続されている。第1のアーム11は、2つのスイッチング素子WH,WLの接続点がコイルWに接続されている。第2のアーム12は、2つのスイッチング素子VH,VLの接続点がコイルVに接続されている。第3のアーム13は、2つのスイッチング素子UH,ULの接続点がコイルUに接続されている。
コイルU,V,Wは、例えば、スター結線されており、交点側と反対側のコイルU,V,Wの端部が、インバータ回路6にそれぞれ電気的に接続されている。
モータ制御装置4が有するホールセンサ3U,3V,3Wは、例えば、ホールICで構成され、ロータの回転軸が回転すると回転軸の回転位置を検出し、U相、V相、W相に対応する出力信号として、個別に制御部7に対して位置検出信号Hu,Hv,Hwを出力する。
【0028】
制御部7は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータである。制御部7は、ゲート制御電圧出力部8と、切り替え制御部9と、カウンタ値取得部20と、基準位置検出信号決定部21と、平均値算出部22と、検出誤差算出部23と、補正係数算出部24と、を含んで構成されている。
ゲート制御電圧出力部8は、ホールセンサ3U,3V,3Wの出力である位置検出信号Hu,Hv,Hwの電位の組合せで表される6個のホールステージのそれぞれを構成する補正されたホールエッジに基づいてスイッチング素子WH,WL,VH,VL,UH,ULを切り替えるPWM信号(駆動信号)を出力する。
カウンタ値取得部20は、ホールステージ1~6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表されるホールステージの時間であるカウンタ値を、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwから取得する。
切り替え制御部9は、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwに基づいて、ホールステージを認識し、制御部7が有するROMに記憶されたホールステージに対応する通電パターンを読み出す。切り替え制御部9は、前回の(電気角360°前の)ホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれに基づいて電気角60°の期間を有するPWM指令信号を、通電パターンから生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させる。
これにより、スイッチング素子WH,WL,VH,VL,UH,ULは、PWM制御により駆動されて各通電パターンに対応する期間において、それぞれが断続的にオン・オフされる。
なお、切り替え制御部9は、補正を停止あるいは継続するため、ホールパターン取得部9aと、ホールパターン異常判定部9bと、ホールパターン異常カウント部9cと、ホールパターン正常カウント部9dと、を有するが、これらの動作については、補正の説明が終わった後に詳述する。
【0029】
ここで、予め設定された補正係数とは、モータ制御装置4の出荷前に、基準位置検出信号決定部21と、平均値算出部22と、検出誤差算出部23と、補正係数算出部24と、により算出され、制御部7が有するROM(記憶部)に記憶される。
基準位置検出信号決定部21は、カウンタ値取得部20が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、ブラシレスモータ1の回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hu,Hv,Hwのいずれか1つを基準位置検出信号と決定する。
平均値算出部22は、基準位置検出信号決定部21が決定した基準位置検出信号のブラシレスモータ1の回転方向の3相分のカウンタ値の平均値を算出する。
検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値とホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差を算出する。
補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差を、平均値算出部22が算出した平均値で除算してホールステージそれぞれの補正係数を算出する。
これにより、切り替え制御部9は、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれに基づいて電気角60°の期間を有するPWM指令信号を生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させることができる。
【0030】
以下、補正係数の算出方法について図を用いて説明する。
図2は、ブラシレスモータの正転駆動制御を行う際の、補正係数の算出の一例を説明するための図である。
この補正係数の算出を行う場合のモータの回転数は、任意の回転数であってよい。
カウンタ値取得部20は、ホールステージ1~6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表されるホールステージの時間であるカウンタ値を、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwから取得する。
図2に示す場合、カウンタ値取得部20は、ホールステージ1に関して1121カウントを、ホールステージ2に関して1497カウントを、ホールステージ3に関して1710カウントを、ホールステージ4に関して965カウントを、ホールステージ5に関して1612カウントを、ホールステージ6に関して1689カウントを、それぞれ取得する。
【0031】
次に、基準位置検出信号決定部21は、カウンタ値取得部20が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、ブラシレスモータ1の回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hu,Hv,Hwのいずれか1つを基準位置検出信号と決定する。
図2に示す場合、基準位置検出信号決定部21は、6つのカウンタ値のうち最小となるホールステージ4を構成する位置検出信号Huの立ち下り位置を回転方向に対して広げることで、ホールステージ4のカウントを大きくはできないので、位置検出信号Huの立ち下り位置を基準ホールエッジとし、その基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Huを基準位置検出信号と決定する。
【0032】
次に、平均値算出部22は、基準位置検出信号決定部21が決定した基準位置検出信号のブラシレスモータ1の回転方向の3相分のカウンタ値の平均値を算出する。
図2に示す場合、平均値算出部22は、位置検出信号Huの回転方向の3相分のカウンタ値のうち、位置検出信号HuがHレベルにある3ステージ(ホールステージ1~3)の合計値4328から平均値1442.7を算出し、位置検出信号HuがLレベルにある3ステージ(ホールステージ4~6)の合計値4266から平均値1422を算出する。
【0033】
次に、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値とホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差を算出する。
図2に示す場合、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1443(1442.7の小数点以下を切り上げた値)からホールステージ1のカウンタ値1121を減算してホールステージ1の検出誤差322を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ3のカウンタ値1710から平均値算出部22が算出した平均値1443を減算してホールステージ2の検出誤差267を算出する。
また、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1422からホールステージ4のカウンタ値965を減算してホールステージ4の検出誤差457を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ6のカウンタ値1689から平均値算出部22が算出した平均値1422を減算してホールステージ5の検出誤差267を算出する。
このように、検出誤差算出部23は、ホールステージ1~6それぞれのカウンタ値が同じ値となるように、ホールステージ各々の検出誤差を算出する。
【0034】
次に、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差を、平均値算出部22が算出した平均値で除算してホールステージそれぞれの補正係数を算出する。
図2に示す場合、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差322を平均値算出部22が算出した平均値1443で除算して、ホールステージ1の補正係数(この場合、322/1443)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差267を平均値算出部22が算出した平均値1443で除算して、ホールステージ2の補正係数(この場合、267/1443)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1443で除算して、ホールステージ3の補正係数(この場合、0/1443)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差457を平均値算出部22が算出した平均値1422で除算して、ホールステージ4の補正係数(この場合、457/1422)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差267を平均値算出部22が算出した平均値1422で除算して、ホールステージ5の補正係数(この場合、267/1422)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1422で除算して、ホールステージ6の補正係数(この場合、0/1422)を算出する。
このように、補正係数算出部24は、ホールステージ1~6それぞれのカウンタ値が同じ値となるような補正係数を算出し、ブラシレスモータ1の正転駆動制御を行う際の補正係数を、制御部7が有するROMに記憶させる。
【0035】
これにより、切り替え制御部9は、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれに基づいて電気角60°の期間を有するPWM指令信号を生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させ、ブラシレスモータ1の正転駆動制御を行うことができる。
例えば、切り替え制御部9は、図2に示した一例の場合、ホールステージ1の前回のカウンタ値(カウンタ値1000とする)に、予め設定された補正係数(上記説明の322/1443)を乗じたカウンタ値223を、ホールステージ1を構成する位置検出信号Hwの立ち下り時刻(今回のホールエッジ)の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図2に示した一例の場合、ホールステージ2の前回のカウンタ値に、上記説明の267/1443を乗じたカウンタ値を、ホールステージ2を構成する位置検出信号Hvの立ち上り時刻の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図2に示した一例の場合、ホールステージ3の前回のカウンタ値に、上記説明の0/1443を乗じたカウンタ値を、ホールステージ3を構成する位置検出信号Huの立ち下り時刻の遅延時間0として、遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図2に示した一例の場合、ホールステージ4の前回のカウンタ値に、上記説明の457/1422を乗じたカウンタ値を、ホールステージ4を構成する位置検出信号Hwの立ち上り時刻の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図2に示した一例の場合、ホールステージ5の前回のカウンタ値に、上記説明の267/1422を乗じたカウンタ値を、ホールステージ5を構成する位置検出信号Hvの立ち下り時刻の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図2に示した一例の場合、ホールステージ6の前回のカウンタ値に、上記説明の0/1422を乗じたカウンタ値を、ホールステージ6を構成する位置検出信号Huの立ち上り時刻の遅延時間0として、遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
【0036】
図3は、ブラシレスモータの逆転駆動制御を行う際の、補正係数の算出の一例を説明するための図である。
この補正係数の算出を行う場合のモータの回転数は、任意の回転数であってよい。
カウンタ値取得部20は、ホールステージ1~6のそれぞれを構成する2個のホールエッジの間の時間で表されるホールステージの時間であるカウンタ値を、ホールセンサ3U,3V,3Wから入力される位置検出信号Hu,Hv,Hwから取得する。
図3に示す場合、カウンタ値取得部20は、ホールステージ6に関して1689カウントを、ホールステージ5に関して1612カウントを、ホールステージ4に関して965カウントを、ホールステージ3に関して1710カウントを、ホールステージ2に関して1497カウントを、ホールステージ1に関して1121カウントを、それぞれ取得する。
【0037】
次に、基準位置検出信号決定部21は、カウンタ値取得部20が取得したカウンタ値が最小となるホールステージを構成する2つのホールエッジのうち、ブラシレスモータ1の回転方向にホールエッジを広げることでカウンタ値が小さくなるホールエッジを基準ホールエッジとし、基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hu,Hv,Hwのいずれか1つを基準位置検出信号と決定する。
図3に示す場合、基準位置検出信号決定部21は、6つのカウンタ値のうち最小となるホールステージ4を構成する位置検出信号Hwの立ち下り位置を回転方向に対して広げることで、ホールステージ4のカウントを大きくはできないので、位置検出信号Hwの立ち下り位置を基準ホールエッジとし、その基準ホールエッジがある相に対応する位置検出信号Hwを基準位置検出信号と決定する。
【0038】
次に、平均値算出部22は、基準位置検出信号決定部21が決定した基準位置検出信号のブラシレスモータ1の回転方向の3相分のカウンタ値の平均値を算出する。
図3に示す場合、平均値算出部22は、位置検出信号Hwの回転方向の3相分のカウンタ値のうち、位置検出信号HwがHレベルにある3ステージ(ホールステージ1,6,5)の合計値4422から平均値1474を算出し、位置検出信号HwがLレベルにある3ステージ(ホールステージ2~4)の合計値4172から平均値1390.7を算出する。
【0039】
次に、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値とホールステージそれぞれのカウンタ値との差分である検出誤差を算出する。
図3に示す場合、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1474からホールステージ1のカウンタ値1121を減算してホールステージ1の検出誤差353を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ2のカウンタ値1497から平均値算出部22が算出した平均値1391(1390.7の小数点以下を切り上げた値)を減算してホールステージ3の検出誤差106を算出する。
また、検出誤差算出部23は、平均値算出部22が算出した平均値1391からホールステージ4のカウンタ値965を減算してホールステージ4の検出誤差426を算出する。
また、検出誤差算出部23は、ホールステージ5のカウンタ値1612から平均値算出部22が算出した平均値1474を減算してホールステージ6の検出誤差138を算出する。
このように、検出誤差算出部23は、ホールステージ1~6それぞれのカウンタ値が同じ値となるように、ホールステージ各々の検出誤差を算出する。
【0040】
次に、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差を、平均値算出部22が算出した平均値で除算してホールステージそれぞれの補正係数を算出する。
図3に示す場合、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差353を平均値算出部22が算出した平均値1474で除算して、ホールステージ1の補正係数(この場合、353/1474)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1391で除算して、ホールステージ2の補正係数(この場合、0/1391)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差106を平均値算出部22が算出した平均値1391で除算して、ホールステージ3の補正係数(この場合、106/1391)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差426を平均値算出部22が算出した平均値1391で除算して、ホールステージ4の補正係数(この場合、426/1391)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差0を平均値算出部22が算出した平均値1474で除算して、ホールステージ5の補正係数(この場合、0/1474)を算出する。
また、補正係数算出部24は、検出誤差算出部23が算出した検出誤差138を平均値算出部22が算出した平均値1474で除算して、ホールステージ6の補正係数(この場合、138/1474)を算出する。
このように、補正係数算出部24は、ホールステージ1~6それぞれのカウンタ値が同じ値となるような補正係数を算出し、ブラシレスモータ1の逆転駆動制御を行う際の補正係数を、制御部7が有するROMに記憶させる。
【0041】
これにより、切り替え制御部9は、前回のホールステージのそれぞれのカウンタ値に、予め設定された補正係数を乗じた値を、今回のホールエッジのそれぞれの遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジのそれぞれに基づいて電気角60°の期間を有するPWM指令信号を生成し、ゲート制御電圧出力部8に電気角60°の期間を有するPWM信号を出力させ、ブラシレスモータ1の逆転駆動制御を行うことができる。
例えば、切り替え制御部9は、図3に示した一例の場合、ホールステージ1の前回のカウンタ値に、予め設定された補正係数(上記説明の353/1474)を乗じたカウンタ値を、ホールステージ1を構成する位置検出信号Huの立ち下り時刻(今回のホールエッジ)の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図3に示した一例の場合、ホールステージ2の前回のカウンタ値に、上記説明の0/1391を乗じたカウンタ値を、ホールステージ2を構成する位置検出信号Hwの立ち上り時刻の遅延時間0として、遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図3に示した一例の場合、ホールステージ3の前回のカウンタ値に、上記説明の106/1391を乗じたカウンタ値を、ホールステージ3を構成する位置検出信号Hvの立ち下り時刻の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図3に示した一例の場合、ホールステージ4の前回のカウンタ値に、上記説明の426/1391を乗じたカウンタ値を、ホールステージ4を構成する位置検出信号Huの立ち上り時刻の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図3に示した一例の場合、ホールステージ5の前回のカウンタ値に、上記説明の0/1474を乗じたカウンタ値を、ホールステージ5を構成する位置検出信号Hwの立ち下り時刻の遅延時間0として、遅延時間0で補正された、すなわち補正されないホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
また、切り替え制御部9は、図3に示した一例の場合、ホールステージ6の前回のカウンタ値に、上記説明の138/1474を乗じたカウンタ値を、ホールステージ6を構成する位置検出信号Huの立ち上り時刻の遅延時間として、遅延時間で補正されたホールエッジに基づいてPWM指令信号を生成する。
【0042】
このように、本実施形態によれば、ホールステージの切り替わりを示すホールエッジ毎に位置検出信号を補正し、その補正された位置検出信号に基づいて通電パターンを電気角60°で切り替える切り替え制御部9を有することにより、振動や異音の発生の抑制を精度良く行うことができるモータ制御装置4及びモータ制御装置4の制御方法を提供することができる。
【0043】
しかし、以上説明をしてきたモータ制御装置4では、補正を行うことで設計上のモータ特性が得られるので、図7におけるステップS4において補正を停止すると、高負荷時に動作できなくなってしまうという問題が生じてしまう。本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ホールパターン異常判定で、直ちに補正停止としない(補正を継続する)、但し、モータロック時や異常が連続で発生した場合は、補正停止とすることができるモータ制御装置及びモータ制御装置の制御方法を提供することにある。
そのため、本発明のモータ制御装置4において、切り替え制御部9は、補正を停止あるいは継続するため、ホールパターン取得部9aと、ホールパターン異常判定部9bと、ホールパターン異常カウント部9cと、ホールパターン正常カウント部9dと、を有する。
【0044】
ホールパターン取得部9aは、前記複数のセンサの出力である位置検出信号の電位の組み合わせである6個のホールパターンのうち、所定のホールパターンから次のホールパターンを取得する。
ホールパターン異常判定部9bは、次のホールパターンが、所定のホールパターンの次に予定していた第1ホールパターンと異なるか否かを判定する。
ホールパターン異常カウント部9cは、次のホールパターンが、第1ホールパターンと異なる回数をカウントする。
ホールパターン正常カウント部9dは、次のホールパターンが、第1ホールパターンと一致する回数をカウントする。
【0045】
切り替え制御部9は、この構成を有することにより、第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下であって、ロータの回転速度が加速中であるとき、補正を継続し、第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数より大きいとき、または、第1ホールパターンと異なる回数が所定の異常回数以下であって、ロータの回転速度が加速中ではないとき、補正を停止する。モータ制御装置4は、この構成を有することにより、ホールパターン異常判定で、直ちに補正停止としない(補正を継続する)、但し、モータロック時や異常が連続で発生した場合は、補正停止とすることができる。
【0046】
以下、図8図9を参照して、切り替え制御部9が行う、補正を停止あるいは継続する処理について詳述する。
図8は、ホールパターンに異常が発生したときに切り替え制御部9が行う異常判定処理を説明するための図である。図8では、ホールパターンが3から2に切り替わるときに、次の補正を設定する状態を示している。しかし、補正経過前に、ホールパターン2の次にホールパターン6(当初予定していたホールパターン、図5参照)が入力せずに、ホールパターン4(当初予定していたホールパターンの次のホールパターン、図5参照)が入力すると言う、いわゆるホールパターンの追い越し(ホールパターンの異常)が発生している。
例えば、負荷変動や目標速度MAPの設定により、モータの回転数(速度)が急激に変動(加速)することが有る。すなわち、図8に示すように、補正開始後に、このモータの回転数(速度)が急激に加速するという状態が発生すると、ホールパターンの異常が発生してしまう。切り替え制御部9は、図8に示すように、ホールパターンの異常が発生した場合、異常の発生を判定し、直ちに補正停止としない(補正を継続する)構成を有している。
【0047】
図9は、図8に示す切り替え制御部9が行う異常判定処理を示すフローチャートである。
ホールパターン取得部9aは、現在のホールパターンを取得する(ステップS1)。具体的には、ホールパターン取得部9aは、例えば、図8に示すホールパターン2を取得する。
【0048】
次に、ホールパターン取得部9aは、現在のホールパターンから次のホールパターンを取得する(ステップS2)。具体的には、ホールパターン取得部9aは、ホールパターン2の次に入力されるホールパターンを取得する。
【0049】
次に、ホールパターン異常判定部9bは、前回求めた次のホールパターンと今回のホールパターンが異なるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、ホールパターン異常判定部9bは、例えば、図8に示すホールパターン2の次に予定していたホールパターン6(以下、本実施形態において第1ホールパターンと言う。)と、今回ステップS2において取得したホールパターンと、が一致するか否かを判定する。
【0050】
ホールパターン異常判定部9bは、ステップS3において、判定対象である2つのホールパターンが異なる(一致しない)場合(ステップS3-Yes、以下YesをYで表わす)、ステップS11に移行する。具体的には、ホールパターン異常判定部9bは、例えば、図8に示すように、ホールパターン2の次に予定していたホールパターン6と、今回ステップS2において取得したホールパターン4と、が一致しないので、ステップS11に移行する。
一方、ホールパターン異常判定部9bは、ステップS3において、判定対象である2つのホールパターンが異ならない(一致する)場合(ステップS3-No、以下NoをNで表わす)、ステップS21に移行する。具体的には、ホールパターン異常判定部9bは、例えば、ホールパターン2の次に予定していたホールパターン6と、今回ステップS2において取得したホールパターン6と、が一致するので、ステップS21に移行する。
【0051】
ホールパターン異常判定部9bが、ステップS3において、判定対象である2つのホールパターンが異なる(一致しない)と判定した場合(ステップS3-Y)、ホールパターン異常カウント部9cは、ホールパターン異常回数が所定の異常回数(本実施形態においては2回)以下であるか否かを判定する(ステップS11)。
ホールパターン異常カウント部9cは、ホールパターン異常回数が所定の異常回数(本以下である場合(ステップS11-Y)、ホールパターン異常回数を+1し、ステップS13へ移行する(ステップS12)。
一方、ホールパターン異常カウント部9cは、ホールパターン異常回数が所定の異常回数より大きい場合(ステップS11-N)、ステップS13へ移行する。
【0052】
ホールパターン異常カウント部9cは、ホールパターン異常回数が所定の異常回数(本実施形態においては2回)より大きいか否かを判定する(ステップS13)。
ホールパターン異常カウント部9cは、ホールパターン異常回数が所定の異常回数より大きい場合(ステップS13-Y)、ステップS15に移行し、補正を停止する(ステップS15)。一方、ホールパターン異常カウント部9cは、ホールパターン異常回数が所定の異常回数以下である場合(ステップS13-N)、ステップS14へ移行する。
【0053】
切り替え制御部9は、モータ加速中(ロータの回転速度が加速中)では無いか否かを判定する(ステップS14)。
切り替え制御部9は、モータ加速中(ロータの回転速度が加速中)では無い場合(ステップS14-Y)、ステップS15に移行し、補正を停止する(ステップS15)。一方、切り替え制御部9は、モータ加速中(ロータの回転速度が加速中)である場合(ステップS14-N)、補正停止としない(補正を継続する)。
【0054】
一方、ホールパターン異常判定部9bが、ステップS3において、判定対象である2つのホールパターンが異ならない(一致する)と判定した場合(ステップS3-N)、ホールパターン正常カウント部9dは、ホールパターン正常回数が所定の正常回数(本実施形態においては6回)以下であるか否かを判定する(ステップS21)。
ホールパターン正常カウント部9dは、ホールパターン正常回数が所定の正常回数(本以下である場合(ステップS21-Y)、ホールパターン正常回数を+1し、ステップS23へ移行する(ステップS22)。
一方、ホールパターン正常カウント部9dは、ホールパターン正常回数が所定の正常回数より大きい場合(ステップS21-N)、ステップS23へ移行する。
【0055】
ホールパターン正常カウント部9dは、ホールパターン正常回数が所定の正常回数(本実施形態においては6回)より大きいか否かを判定する(ステップS23)。
ホールパターン正常カウント部9dは、ホールパターン正常回数が所定の正常回数より大きい場合(ステップS23-Y)、ステップS24に移行し、ホールパターン異常回数をクリアする。一方、ホールパターン正常カウント部9dは、ホールパターン正常回数が所定の正常回数以下である場合(ステップS23-N)、ホールパターン異常回数をクリアしない。
【0056】
以上説明したように、切り替え制御部9は、ホールパターン異常発生で補正停止としない。すなわち、ステップS11~S15のうちの、ステップS11、ステップS12、ステップS13-NおよびステップS14-Nにおける動作により、補正を停止せず、補正を継続する。なお、ステップS21~S24における動作は、ホールパターン正常時のエラークリア処理である。
【0057】
しかし、モータロック時は補正停止する必要が有るので、補正停止の条件を追加している。すなわち、ステップS13およびステップS14のうちの、ステップS13-YおよびステップS14―Yにおける動作により、補正停止の条件を追加し、補正停止を行っている(ステップS15)。なお、モータロックとは、通電されているにもかかわらず、ブラシレスモータ1が回転していない状態をいう。
この補正停止の条件を追加している理由として、ホールパターン異常時に補正継続した場合の問題点が考えられる。モータロック時も補正追い越しが発生するので、補正を継続すると、モータロック判定できないという問題が発生する。
モータロック時に補正追い越しが発生する理由としては、速度低下により、起動時と同様、補正量が大きくなるため、つまり、負荷変動のためモータ速度も変動するため、モータ速度UP(上昇)により追い越し発生する、ことが考えられる。
【0058】
また、モータロック判定とは、補正停止時にモータ速度0とするため、モータ速度0が一定時間連続でモータロック判定とする。すなわち、補正を継続すると、モータロック時も補正追い越しが発生するので、モータロック判定できないという問題が発生する。
【0059】
この問題に対する対策として、モータロック時は補正停止とする条件として、ステップS13-YおよびステップS14―Yにおける動作により、補正停止の条件(下記(1)および(2))を追加している。
(1)モータロック時はモータ定速あるいは減速状態となる、すなわち、モータ加速中では無い場合、補正停止とする。この条件がステップS14―Yに対応している。
(2)ホールパターン異常時は、その時のホールパターンに基づいてモータ出力するため、モータロック時に逆転してしまうことが有る。すなわち、ホールパターン異常連続発生で、補正停止とする。この条件がステップS13―Yに対応している。
【0060】
以上説明したように、本発明の切り替え制御部9は、補正を追い越しても(ホールパターン異常が発生しても)、補正を継続し、モータロック時や連続で異常(逆回転防止含む)となった場合は、補正を禁止(停止)する構成を有している。
【0061】
すなわち、補正を追い越すようなホールパターン入力が発生しても、補正を継続するので、高負荷時でもモータが停止し難い。また、追い越しても動作継続可能なので、低回転時の補正が可能となる。なお、低回転時の補正が可能となることにより、モータ作動音の低減や、低回転時のモータ特性向上に効果を発揮する。
さらに、センサバラつきが大きい(補正量が大きい)場合、補正を追い越す可能性が高いので、本発明の処理が有利となる。
【0062】
上述した実施形態におけるモータ制御装置4をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0063】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 ブラシレスモータ
3U,3V,3W ホールセンサ
4 モータ制御装置
6 インバータ回路
7 制御部
8 ゲート制御電圧出力部
9 切り替え制御部
9a ホールパターン取得部
9b ホールパターン異常判定部
9c ホールパターン異常カウント部
9d ホールパターン正常カウント部
20 カウンタ値取得部
21 基準位置検出信号決定部
22 平均値算出部
23 検出誤差算出部
24 補正係数算出部
U,V,W コイル
UH,UL,VH,VL,WH,WL スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9