(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
B25J15/08 C
(21)【出願番号】P 2018229806
(22)【出願日】2018-12-07
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正成
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-044585(JP,U)
【文献】実開平05-011856(JP,U)
【文献】特開平11-138482(JP,A)
【文献】特開2001-260066(JP,A)
【文献】特開2009-119596(JP,A)
【文献】特開2011-218554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0015517(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08-27/10
A47C 7/38
B23Q 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持対象物を把持可能な一対の把持部材と、
前記一対の把持部材を開閉する方向へガイドするガイド部材と、
前記一対の把持部材を開閉させるアクチュエータを有し、前記ガイド部材が固定されるボディと、を備えた把持装置において、
前記ガイド部材は、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記一対の把持部材の一部を挟むように前記ボディから離れる側に突出し、前記一対の把持部材をガイドする一対の第1側壁と、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記ボディの一部を厚さ方向から挟むように前記ボディ側に突出する一対の第2側壁と、を有し、
前記一対の第2側壁と前記ボディとは、厚さ方向に沿って前記一対の第2側壁に直交する外側から固定部材により固定されており、
前記ボディと前記一対の第2側壁の内壁面との間には厚さ方向への隙間があり、
前記ボディを厚さ方向に貫通し、かつ、前記一対の第2側壁の内壁面の距離と同じ長さの貫通部材を備え
、
前記アクチュエータからの動力を回動により前記一対の把持部材に伝達するリンク部材を備え、
前記貫通部材は、前記リンク部材を回動可能に支持する支持軸であることを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記一対の第2側壁と前記ボディとが前記固定部材により固定される固定位置よりも、前記一対の第2側壁において前記一対の第1側壁と反対側への突出する方向の先端部側で、前記貫通部材が前記一対の第2側壁の内壁面に当接する請求項
1に記載の把持装置。
【請求項3】
把持対象物を把持可能な一対の把持部材と、
前記一対の把持部材を開閉する方向へガイドするガイド部材と、
前記一対の把持部材を開閉させるアクチュエータを有し、前記ガイド部材が固定されるボディと、を備えた把持装置において、
前記ガイド部材は、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記一対の把持部材の一部を挟むように前記ボディから離れる側に突出し、前記一対の把持部材をガイドする一対の第1側壁と、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記ボディの一部を厚さ方向から挟むように前記ボディ側に突出する一対の第2側壁と、を有し、
前記一対の第2側壁と前記ボディとは、厚さ方向に沿って前記一対の第2側壁に直交する外側から固定部材により固定されており、
前記ボディと前記一対の第2側壁の内壁面との間には厚さ方向への隙間があり、
前記ボディを厚さ方向に貫通し、かつ、前記一対の第2側壁の内壁面の距離と同じ長さの貫通部材を備え、
前記一対の第2側壁と前記ボディとが前記固定部材により固定される固定位置よりも、前記一対の第2側壁において前記一対の第1側壁と反対側への突出する方向の先端部側で、前記貫通部材が前記一対の第2側壁の内壁面に当接することを特徴とする把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持対象物を把持可能とする把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の把持装置としては、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1に開示の産業用ロボットのチャックは、ボディに内蔵されたピストンを圧縮流体によって駆動することにより、一対の把持部材が開閉し、把持対象物を把持するものである。
【0003】
特に、この産業用ロボットのチャックは、一対の把持部材が開閉する方向に沿って、一対の把持部材をガイドするガイドブロックを備えている。把持装置の小型化を実現するために、このガイドブロックは、把持部材が開閉する方向の外側からガイドブロックを見た場合、H字形状である。ガイドブロックには、一対の把持部材を開閉する方向にガイドするための一対の第1側壁が対向するように形成されるとともに、ガイドブロックをボディに固定するための一対の第2側壁が対向するように形成されている。そして、ガイドブロックは、一対の第2側壁の間にボディを挟むようにして、一対の第2側壁の各厚さ方向から取付けねじなどの固定部材をボディに固定することによりボディに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の産業用ロボットのチャックでは、一対の第2側壁に固定部材を固定することによりガイドブロックがボディに取り付けられるものの、一対の第2側壁とボディとの対向面の間に隙間があると、固定部材による固定によって、各第2側壁には互いが近づく方向への圧力が加わる。これによって、ガイドブロックの一対の第2側壁は、互いに近づく方向に変形し、それに伴って、ガイドブロックの一対の第1側壁は、互いに離れる方向に変形する。そして、ガイドブロックの一対の第1側壁と一対の把持部材との距離が変化してしまい、把持対象物を把持する性能が悪化してしまうおそれがあった。
【0006】
また、一対の第2側壁とボディとの間に隙間をなくすべく、ボディを厳密に製造することが考えられる。例えば、軽量化を図るべくアルミニウム合金で制作される場合、ボディを形成した後に防錆などの表面処理が行われる。しかしながら、その表面処理によりボディの厚さが変化してしまわないように、一対の第2側壁と対面する箇所にマスキングを行わなければならず、把持装置の製造に手間がかかる。
【0007】
また、一対の第2側壁とボディとの間に隙間をなくすべく、一対の第2側壁とボディとの間にスペーサを挟み込むことが考えられるが、例えば、一対の第2側壁とボディとの間の距離を正確に測定し、その距離に応じた厚みのスペーサを挟み込まなければならず、把持装置の製造に手間がかかる。
【0008】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、製造に手間をかけることなく、精度よく把持対象物を把持することができる把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための把持装置は、把持対象物を把持可能な一対の把持部材と、前記一対の把持部材を開閉する方向へガイドするガイド部材と、前記一対の把持部材を開閉させるアクチュエータを有し、前記ガイド部材が固定されるボディと、を備えた把持装置において、前記ガイド部材は、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記一対の把持部材の一部を挟むように前記ボディから離れる側に突出し、前記一対の把持部材をガイドする一対の第1側壁と、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記ボディの一部を厚さ方向から挟むように前記ボディ側に突出する一対の第2側壁と、を有し、前記一対の第2側壁と前記ボディとは、厚さ方向に沿って前記一対の第2側壁に直交する外側から固定部材により固定されており、前記ボディと前記一対の第2側壁の内壁面との間には厚さ方向への隙間があり、前記ボディを厚さ方向に貫通し、かつ、前記一対の第2側壁の内壁面の距離と同じ長さの貫通部材を備えることを要旨とする。
【0010】
これによれば、把持装置は、ボディを厚さ方向に貫通する貫通部材を備え、貫通部材は、ボディの一部を厚さ方向から挟む一対の第2側壁の内壁面の距離と同じ長さである。このため、各第2側壁の内壁面と貫通部材の各端とが当接することにより、各第2側壁に直交する外側から各第2側壁とボディとが固定部材により固定されるときであっても、貫通部材により各第2側壁の変形を抑制することができる。そして、それに伴って、一対の把持部材をガイドする各第1側壁の変形を抑制することができる。その結果、ガイド部材によって一対の把持部材を適切に開閉させることができ、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0011】
特に、ボディと各第2側壁の内壁面との間に厚さ方向への隙間があり、ボディの各第2側壁の内壁面と対面する箇所にマスキングを行って防錆の表面加工を施すなど、厳密にボディを製造しなくてもよい。また、ボディと一対の第2側壁の内壁面との距離を厳密に測定し、測定した距離に応じたスペーサを挟み込むという作業も行わなくてもよい。したがって、製造に手間をかけることなく、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0012】
また、把持装置について、前記アクチュエータからの動力を回動により前記一対の把持部材に伝達するリンク部材を備え、前記貫通部材は、前記リンク部材を回動可能に支持する支持軸であることが好ましい。
【0013】
これによれば、支持軸とは別に貫通部材を備える構成よりも、部品点数及び製造工程を増加させることなく、製造に手間をかけることなく、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0014】
また、把持装置について、前記一対の第2側壁と前記ボディとが前記固定部材により固定される固定位置よりも、前記一対の第2側壁において前記一対の第1側壁と反対側への突出する方向の先端部側で、前記貫通部材が前記一対の第2側壁の内壁面に当接することが好ましい。
【0015】
これによれば、固定部材により固定される固定位置よりも、一対の第2側壁において一対の第1側壁と反対側への突出する方向の先端部側で、貫通部材が一対の第2側壁の内壁面に当接する。このため、各第2側壁に直交する外側からガイド部材とボディが固定部材により固定される場合であっても、一対の第2側壁の内側への変形を抑制することができる。それに伴って、一対の把持部材をガイドする各第1側壁の変形を抑制することができる。その結果、ガイド部材によって一対の把持部材を適切に開閉させることができ、精度よく把持対象物を把持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製造に手間をかけることなく、精度よく把持対象物を把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】把持装置のボディ、ガイドブロック及び把持部材を示す側面図。
【
図4】把持装置のボディ、ガイドブロック及び把持部材を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、把持装置を具体化した一実施形態を
図1~
図4にしたがって説明する。
図1に示すように、把持装置10は、一対の把持部材40を移動させることで把持対象物を把持可能とする装置である。
【0019】
把持装置10は、四角筒状のボディ11を備える。ボディ11は、把持装置10の軽量化のためにアルミニウム合金により形成されており、防錆のための表面加工が施されている。
【0020】
把持装置10は、ボディ11に内蔵されたエアシリンダ機構からなるアクチュエータ部12を備える。アクチュエータ部12は、一対の把持部材40を開閉する方向へ移動させる機能を有する。アクチュエータ部12は、ボディ11の内部にシリンダ孔13を有する。シリンダ孔13は、ボディ11の中心軸線N1の延びる方向(以下、軸線方向zとする)の一端から軸線方向zに沿って、軸線方向z他端にまで延びている。アクチュエータ部12は、シリンダ孔13を気密に閉塞するキャップ14をボディ11の軸線方向zの一端に備える。アクチュエータ部12は、シリンダ孔13内に摺動可能に配設されたピストン15を備えるとともに、ピストン15に一体のロッド16を備え、アクチュエータ部12はこのロッド16を、該ロッド16の中心軸線N2の延びる方向(軸線方向z)に沿って移動させる。シリンダ孔13は、ピストン15によってキャップ14側のヘッド室13aと、ロッド16側のロッド室13bに区画されている。
【0021】
把持装置10においては、図示しないポートを通じてヘッド室13a及びロッド室13bに圧縮空気が給排されると、ピストン15がボディ11の軸線方向zに沿って往復動する。よって、ピストン15の往復動によって、ロッド16がボディ11の軸線方向zに沿って往復動(移動)する。
【0022】
図2に示すように、ボディ11において一対の把持部材40が開閉のために移動する方向を幅方向xとすると、把持装置10は、ボディ11の軸線方向zの他端面11aから凹み、かつ、ボディ11の幅方向xに延びるレバー収容部17を備える。このレバー収容部17内には、ロッド16の先端部と、一対のレバー20の一部とが収容される。
【0023】
ボディ11の幅方向xと軸線方向zとに直交する方向を厚さ方向yとすると、ボディ11は、レバー収容部17を厚さ方向yに挟む側壁17aに、厚さ方向yに延びる貫通孔18を備える。貫通孔18には、各レバー20の支持軸26が貫通される。
【0024】
ボディ11は、レバー収容部17を厚さ方向yに挟む側壁17aに、厚さ方向yに延びる雌ねじ孔19を備える。雌ねじ孔19は、ボディ11の幅方向xにおいて各貫通孔18より外側に位置する。雌ねじ孔19には、ボディ11とガイドブロック30とを固定するための固定ねじ27が螺合される。
【0025】
把持装置10は、一対のレバー20を備える。各レバー20は、レバー収容部17内に一部が収容されている。なお、上記のロッド16の移動方向(中心軸線N2の延びる方向)は、一対の把持部材40が開閉のために移動する方向(ボディ11の幅方向x)に対し直交している。
【0026】
各レバー20は、略L字形状である。各レバー20は、L字の屈曲部に軸孔21を備えており、その軸孔21には支持軸26が貫通する。各レバー20は、軸孔21に貫通した支持軸26を中心として回動可能となるように、支持軸26を介してレバー収容部17に面したボディ11に支持されている。
【0027】
各レバー20は、基端部に長円形の係合孔22を備える。把持装置10は、ロッド16の先端部に係合軸16aを備え、この係合軸16aには、各レバー20の係合孔22が係合する。各レバー20は、先端部に連結部23を備える。各レバー20は、連結部23を介して一対の把持部材40と連結される。
【0028】
そして、ロッド16の移動によって、各レバー20が支持軸26を回動中心として回動する。上記構成のレバー20は、ロッド16と各把持部材40とを連結し、かつ、ロッド16の移動を一対の把持部材40の開閉方向への移動に変換するために回動する。このように、各レバー20は、アクチュエータ部12からの動力を回動により一対の把持部材40に伝達するリンク部材として機能する。
【0029】
把持装置10は、一対の支持軸26を備える。各支持軸26は、鉄製又はステンレス鋼製であり、円柱形状(棒形状)である。このため、アルミニウム合金により形成されており、防錆の表面加工が施されるボディ11と比較すると、支持軸26は、形成し易く、形状を厳密に管理し易い部材である。各支持軸26は、ボディ11の貫通孔18と各レバー20の軸孔21に挿通される。これにより、各支持軸26は、ボディ11を厚さ方向yに貫通する貫通部材として各レバー20を回動可能に支持する。
【0030】
一対の支持軸26のうち、一方の支持軸26は、ボディ11の貫通孔18の径よりもやや太く、ボディ11の貫通孔18に締り嵌めにより貫通され、ボディ11に固定される。また、一対の支持軸26のうち、他の支持軸26は、ボディ11の貫通孔18の径よりもやや細く、ボディ11の貫通孔18に隙間嵌めにより貫通される。これにより、その他方の支持軸26は、ボディ11に固定されず、特別な冶具を用いることなく組み付けることができる。
【0031】
把持装置10は、ボディ11の軸線方向zの他端に固定されたガイドブロック30を備える。ガイドブロック30は、レバー収容部17をボディ11の軸線方向zの他端から塞いでいる。
【0032】
ガイドブロック30は、幅方向xの外側からみて略H字形状である。詳しくは、ガイドブロック30は、ボディ11の幅方向xに延びる本体部31と、この本体部31から一対の把持部材40側(ボディ11と離れる側)に突出した板形状の一対の第1側壁32と、この本体部31からボディ11側に突出した板形状の一対の第2側壁33と、を含むように構成されている。
【0033】
本体部31は、把持装置10の小型化及び軽量化を図るべく、板形状に形成されており、撓みやすい形状となっている。
一対の第1側壁32は、ボディ11の幅方向xに長手が延びるように形成されている。一対の第1側壁32における対向面のそれぞれには、案内溝36が、ボディ11の幅方向xの全体に亘って凹設されている。一対の第1側壁32により挟まれたガイド用凹部34には、一対の把持部材40の一部が収容される。この一対の第1側壁32は、一対の把持部材40が開閉のために移動する方向へ一対の把持部材40をガイドする。このように、ガイドブロック30は、一対の把持部材40を開閉する方向へガイドするガイド部材として機能し、特に、第1側壁32は、一対の把持部材40をガイドする。
【0034】
一対の第2側壁33は、ボディ11の幅方向xに長手が延びるように形成されている。一対の第1側壁32と一対の第2側壁33とは、ボディ11の軸線方向zに沿って本体部31から突出し、一対の第2側壁33は、一対の第1側壁32が突出する方向と相反する方向に突出する。このため、本体部31の短手方向の一端側の第1側壁32及び第2側壁33は、一枚の板形状をなし、本体部31の短手方向の他端側の第1側壁32及び第2側壁33は、一枚の板形状をなす。一対の第2側壁33により挟まれた収容用凹部35には、ボディ11の軸線方向zの他端が収容される。
【0035】
ガイドブロック30は、本体部31をボディ11の軸線方向zに貫通する一対の貫通孔37を備える。一対の貫通孔37は、本体部31において各レバー20の連結部23との対応位置に形成されている。一対の貫通孔37には、各レバー20の連結部23がボディ11側から各把持部材40側に貫通するように各レバー20が配設される。
【0036】
ガイドブロック30は、各第2側壁33に、ボディ11の厚さ方向yに延びるねじ挿入孔38を備える。ねじ挿入孔38から、ボディ11とガイドブロック30とを固定するための固定ねじ27が挿入される。このように、ガイドブロック30とボディ11とは、ボディ11の厚さ方向yに沿って各第2側壁33に直交する外側から固定ねじ27により固定される。
【0037】
各固定ねじ27は、ボディ11の厚さ方向yからボディ11とガイドブロック30とを固定するために螺合される部材である。言い換えると、固定ねじ27は、ボディ11とガイドブロック30とを固定する固定部材として機能する。
【0038】
このように、ガイドブロック30は、ボディ11、各レバー20及び把持部材40の位置に倣って位置決めされる。この場合、ガイドブロック30の本体部31の底面31aが、ボディ11の軸線方向zの他端面11aに当接する一方で、各第2側壁33の内壁面33a及び各第2側壁33の先端面がボディ11に当接しないように、ガイドブロック30が位置決めされる。そして、固定ねじ27がガイドブロック30のねじ挿入孔38に挿入した状態でボディ11の雌ねじ孔19に螺合されることにより、上記のように位置決めされたガイドブロック30がボディ11に固定される。
【0039】
図1及び
図2に示すように、把持装置10は、ガイド用凹部34内に一部が収容された一対の把持部材40を備える。各把持部材40は、把持対象物を把持可能である。各把持部材40は、略T字形状であり、ボディ11の幅方向xに延びる直方体状の本体部41と、この本体部41から突出した取付部42とを含むように構成されている。把持部材40は、図示しないフィンガなどを装着するための取付孔43を取付部42に備える。
【0040】
図2に示すように、把持部材40は、ガイドブロック30の各第1側壁32の案内溝36に対向する収容溝44を本体部41に備える。そして、各把持部材40の収容溝44と、案内溝36との間にはボールやローラ等の転動子45が収容されている。各把持部材40は、転動子45の転動によって案内溝36に沿って直線的に移動可能である。本体部41の長手方向の両側面にはプレート46がそれぞれ取り付けられている。プレート46は、収容溝44の端部を覆い、転動子45の収容溝44からの抜け出しを防止する。
【0041】
ここで、
図3及び
図4を参照して、ボディ11、ガイドブロック30及び把持部材40について詳しく説明する。
図3に示すように、ガイドブロック30の本体部31の底面31aには、ボディ11の軸線方向zの他端面11aが当接する。
【0042】
厚さ方向yにおける一対の第2側壁33の内壁面33a(内壁)の距離D1は、ボディ11の厚さD2よりも長く、各第2側壁33の内壁面33aとボディ11との間に、ボディ11の厚さ方向yへの隙間がある。このように、ガイドブロック30の第2側壁33の内壁面33aとボディ11との間に隙間があり、ボディ11の製造に手間をかけることがない。
【0043】
厚さ方向yにおける一対の第2側壁33の内壁面33aの距離D1は、支持軸26の長手方向への長さと同じであり、各支持軸26は、一対の第2側壁33の内壁面33aの距離D1と同じ長さである。このため、各支持軸26は、各支持軸26の一端が一対の第2側壁33の内壁面33aに当接し、各支持軸26の他端が一対の第2側壁33の内壁面33aに当接するように配設される。このように、ガイドブロック30の第2側壁33の内壁面33aに支持軸26の各端が当接することとなり、第2側壁33からボディ11に外側から固定ねじ27が螺合される場合であっても、第2側壁33の内側への変形を抑制することができる。
【0044】
特に、
図3及び
図4に示すように、支持軸26は、固定ねじ27が螺合(固定)される位置(固定位置)よりも、第2側壁33において各第1側壁32と反対側への突出する方向の先端部側で、各第2側壁33の内壁面33aに当接する。これにより、ガイドブロック30の本体部31と、ガイドブロック30の第2側壁33の内壁面33aに支持軸26が当接する箇所との間で、固定ねじ27が螺合されることとなる。したがって、固定ねじ27が螺合される場合であっても、より一層、第2側壁33の内側への変形を抑制することができる。
【0045】
図3に示すように、一対の第1側壁32は、把持部材40の一部を収容可能であって、一対の第1側壁32の内壁面32aに案内溝36が形成可能なように長さD3だけ本体部31から突出する。一対の第2側壁33は、ボディ11の一部を収容可能であって、一対の第2側壁33の内壁面33aに、支持軸26が当接可能であり、かつ、ねじ挿入孔38が形成可能なように長さD4だけ本体部31から突出する。この場合、一対の第2側壁33は、一対の第1側壁32と比較して、ボディ11の軸線方向zに長くなるように形成されている(D4>D3)。このように、第2側壁33は、ボディ11の軸線方向zに第1側壁32よりも長く、第2側壁33の内壁面33aに支持軸26の各端を当接することにより、固定ねじ27が螺合される場合であっても、第2側壁33の内側への変形を抑制することができる。
【0046】
次に、把持装置10の作用をその製造方法と動作とともに説明する。
把持装置10の製造時では、アルミニウム合金で形成されたボディ11に防錆のための表面加工が施される。この場合、各第2側壁33の内壁面33aと対面する箇所にマスキングを行うことなく、ボディ11に防錆のための表面加工が施される。鉄製又はステンレス鋼製の支持軸26は、各第2側壁33の内壁面33aの距離と同じ長さとなるように厳密に形成される。
【0047】
ロッド16の係合軸16aに各レバー20の係合孔22が係合した状態で、ボディ11の貫通孔18及び各レバー20の軸孔21に各支持軸26が挿入される。ガイドブロック30をボディ11の他端に載せ、ガイドブロック30の本体部31の底面31aをボディ11の他端面11aに載せる。ガイドブロック30の案内溝36と各把持部材40の収容溝44とに間に転動子45が収容された状態で、ガイドブロック30と各把持部材40とが連結される。
【0048】
そして、各レバー20の連結部23がガイドブロック30の各貫通孔37に挿入されるとともに、把持部材40に連結される。この場合、各第2側壁33の内壁面33aとボディ11との間に隙間があり、支持軸26がガイドブロック30の各第2側壁33の内壁面33aに当接する。
【0049】
続いて、ガイドブロック30のねじ挿入孔38に挿入された状態でボディ11の雌ねじ孔19に固定ねじ27が螺合されることにより、ボディ11とガイドブロック30とが固定される。この場合、固定ねじ27の螺合によりガイドブロック30の第2側壁33に、ボディ11に(外側から内側に)向けた圧力が加わったときであっても、第2側壁33の内壁面33aに支持軸26の各端が当接している。このため、第2側壁33が内側に変形することを抑制することができ、それに伴って、本体部31が撓むことと、一対の第1側壁32が互いに離れるように(外側に)変形することとを抑制することができる。
【0050】
把持装置10の動作時では、ポートを通じて圧縮空気が給排されると、ピストン15及びロッド16が、ボディ11の軸線方向zに移動し、一対のレバー20が支持軸26を中心にして相反する方向に一定角度回動する。そして、各レバー20の回動により、それらレバー20の連結部23が、ロッド16の移動方向に沿って移動しつつ、ボディ11の幅方向xに沿って移動する。
【0051】
そして、ロッド16の移動に伴って回動したレバー20からの力が、連結部23から把持部材40に伝わる。各把持部材40が案内溝36に沿って直線的に移動し、把持部材40が開閉する。そして、一対の把持部材40が互いに近付いた閉位置に配置されると、把持対象物が把持される。その一方で、一対の把持部材40が互いに離れた開位置に配置されると、把持対象物の把持状態が解除される。
【0052】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)把持装置10は、ボディ11を厚さ方向yに貫通する支持軸26を備え、支持軸26は、ボディ11の一部を厚さ方向yから挟む一対の第2側壁33の内壁面33aの距離D1と同じ長さである。このため、各第2側壁33の内壁面33aと支持軸26の各端とが当接することにより、各第2側壁33に直交する外側から各第2側壁33とボディ11とが固定ねじ27により固定されるときであっても、支持軸26により各第2側壁33の変形を抑制することができる。そして、それに伴って、一対の把持部材40をガイドする各第1側壁32の変形を抑制することができる。その結果、ガイドブロック30によって一対の把持部材40を適切に開閉させることができ、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0053】
特に、ボディ11と各第2側壁33の内壁面33aとの間に厚さ方向yへの隙間があり、ボディ11の各第2側壁33の内壁面33aと対面する箇所にマスキングを行って防錆の表面加工を施すなど、厳密にボディを製造しなくてもよい。また、ボディと一対の第2側壁の内壁面との距離を厳密に測定し、測定した距離に応じたスペーサを挟み込むという作業も行わなくてもよい。したがって、製造に手間をかけることなく、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0054】
(2)把持装置10は、アクチュエータ部12からの動力を回動により一対の把持部材40に伝達する一対のレバー20を備え、各レバー20を回動可能に支持する支持軸26が、ボディ11を貫通し、かつ、一対の第2側壁33の内壁面33aの距離D1と同じ長さの貫通部材として兼用されている。このため、支持軸26とは別に貫通部材を備える構成よりも、部品点数及び製造工程を増加させることなく、製造に手間をかけることなく、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0055】
(3)一対の第2側壁33とボディ11とが固定ねじ27により螺合される位置よりも、一対の第2側壁33において一対の第1側壁32と反対側への突出する方向の先端部側で、支持軸26が一対の第2側壁33の内壁面33aに当接する。このため、各第2側壁33に直交する外側からガイドブロック30とボディ11が固定ねじ27により螺合される場合であっても、一対の第2側壁33の内側への変形を抑制することができる。それに伴って、一対の把持部材をガイドする各第1側壁の変形を抑制することができる。その結果、ガイド部材によって一対の把持部材を適切に開閉させることができ、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0056】
(4)ガイドブロック30は、一対の把持部材40を開閉する方向に延びる板形状の本体部31を有する。そして、一対の第1側壁32は、一対の把持部材40の一部をボディ11の厚さ方向yから挟むように、ボディ11から離れる側に本体部31から突出し、一対の第2側壁33は、ボディ11の一部を厚さ方向yから挟むように、本体部31からボディ11側に突出する。このため、本体部31を板形状に形成することによって、撓みやすくなるものの、把持装置の小型化と軽量化を図ることができる。このような構成を前提とした場合には、特に、各第2側壁33の内壁面33aと支持軸26の各端とが当接することにより、各第2側壁33に直交する外側から各第2側壁33とボディ11とが固定ねじ27により固定されるときであっても、各第2側壁33の変形を抑制することができる。そして、それに伴って、一対の把持部材40をガイドする各第1側壁32の変形を抑制することができる。その結果、ガイドブロック30によって一対の把持部材40を適切に開閉させることができ、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0057】
(5)ボディ11は、アルミニウム合金製であり、防錆の表面加工が施されている。このため、ボディ11の軽量化を図ることができ、それに伴って把持装置10の軽量化を図ることができる。また、ボディ11の各第2側壁33の内壁面33aと対面する箇所にマスキングを行わずに防錆の表面加工が施されても、ボディ11と各第2側壁33の内壁面33aとの間に厚さ方向yへの隙間がある。このため、各第2側壁33に直交する外側から各第2側壁33とボディ11とが固定ねじ27により固定されるときであっても、支持軸26により各第2側壁33の変形を抑制することができる。そして、それに伴って、一対の把持部材40をガイドする各第1側壁32の変形を抑制することができる。その結果、ガイドブロック30によって一対の把持部材40を適切に開閉させることができ、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0058】
(6)一方、支持軸26は、厳密に製造しやすい鉄製又はステンレス鋼製であり、支持軸26の長さを、各第2側壁33の内壁面33aの距離D1と同じとすることが容易となり、製造に手間をかけることなく、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0059】
(7)一対の第2側壁33が本体部31からボディ11側に突出する長さは、一対の第1側壁32がボディ11から離れる側に本体部31から突出する長さよりも長く、一対の第2側壁33のほうが、一対の第1側壁32よりも変形しやすい形状である。このような構成を前提とした場合には、特に、各第2側壁33の内壁面33aと支持軸26の各端とが当接することにより、各第2側壁33に直交する外側から各第2側壁33とボディ11とが固定ねじ27により固定されるときであっても、各第2側壁33の変形を抑制することができる。そして、それに伴って、一対の把持部材40をガイドする各第1側壁32の変形を抑制することができる。その結果、ガイドブロック30によって一対の把持部材40を適切に開閉させることができ、精度よく把持対象物を把持することができる。
【0060】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
・上記実施形態において、各レバー20の支持軸26が貫通部材として採用されたが、把持装置10は、支持軸26とは別で貫通部材を備えてもよい。つまり、各レバー20の支持軸26が貫通部材と兼用されても兼用されなくてもよい。
【0062】
・上記実施形態において、ガイドブロック30の第2側壁33とボディ11とが固定ねじ27により固定されたが、ガイドブロック30の第2側壁33とボディ11と貫通部材とが固定ねじ27により固定されてもよい。
【0063】
具体的に、
図5に示すように、把持装置10は、支持軸26とは別で、鉄製又はステンレス鋼製の一対の貫通部材28を備えている。一対の貫通部材28は、円柱形状であり、貫通部材28の長手方向への長さは、各第2側壁33の内壁面33aの距離と同じ長さである。貫通部材28には、長手方向に延びる雌ねじ孔28aが形成されている。
【0064】
ボディ11には、厚さ方向yに延びる貫通孔19aが形成されており、貫通孔19aには、貫通部材28が貫通している。特に、一対の貫通部材28のうち、一方の貫通部材28は、ボディ11の貫通孔19aの径よりもやや太く、ボディ11の貫通孔19aに締り嵌めにより貫通され、ボディ11に固定される。また、一対の貫通部材28のうち、他の貫通部材28は、ボディ11の貫通孔19aの径よりもやや細く、ボディ11の貫通孔19aに隙間嵌めにより貫通される。これにより、その他方の貫通部材28は、ボディ11に固定されず、特別な冶具を用いることなく組み付けることができる。
【0065】
このように、貫通部材28は、ボディ11を厚さ方向yに貫通するとともに、貫通部材28の各端が各第2側壁33の内壁面33aに当接するように配設される。この場合、各第2側壁33の内壁面33aとボディ11との間に厚さ方向yへの隙間がある。そして、一対の第2側壁33と貫通部材28とは、一対の第2側壁33に直交する外側から固定ねじ27により固定される。ボディ11の貫通孔19aと貫通部材28とは嵌め合状態で圧入されて固定されるため、第2側壁33は、ボディ11にがたつきなく固定される。なお、一対の支持軸26については、ボディ11を厚さ方向yに貫通するとともに、各第2側壁33の内壁面33aの距離(収容用凹部35の溝幅)より短い長さであり、一対の第2側壁33の内壁面33aとは固定されないが、レバー20の支持軸としてボディ11に位置決めされる。
【0066】
・上記実施形態において、ボディ11をアルミニウム合金製としたが、鉄製又はステンレス鋼製など、金属製であってもよく、防錆の表面加工が施されなくてもよい。
・上記実施形態において、支持軸26を鉄製又はステンレス鋼製としたが、別の金属製であってもよい。
【0067】
・上記実施形態において、ガイドブロック30は、板形状の本体部31を有していたが、板形状ではなくてもよい。
・上記実施形態において、一対の第1側壁32が本体部31から突出する長さよりも、一対の第2側壁33が本体部31から突出する長さのほうが長いが、一対の第2側壁33が本体部31から突出する長さよりも、一対の第1側壁32が本体部31から突出する長さのほうが長くてもよく、同じ長さであってもよい。
【0068】
・上記実施形態において、一対の第1側壁32と一対の第2側壁33とが一直線上であって相反する方向に本体部31から突出するように形成されたが、一対の第1側壁と一対の第2側壁とが一直線上でなくてもよい。この場合、一対の第1側壁32の内壁面の距離のほうが、一対の第2側壁の内壁面の距離よりも長くてもよく、一対の第2側壁の内壁面の距離のほうが、一対の第1側壁の内壁面の距離よりも長くてもよい。また、一対の第1側壁の内壁面の距離と、一対の第2側壁の内壁面の距離とが同じであってもよい。
【0069】
・上記実施形態において、アクチュエータ部12からの動力方向と、一対の把持部材40の開閉方向とが直交したが、同じ方向であってもよい。この場合、各レバー20などのリンク部材が回動せずに、直線的に動作してもよく、各レバー20などのリンク部材や支持軸などがなくてもよい。
【0070】
・上記実施形態において、アクチュエータ部12をエアシリンダ機構としたが、ロッド16を移動させるアクチュエータ部は、エアシリンダ機構ではなく、油圧シリンダ機構であってもよいし、ボールネジ機構、モータ駆動機構等に変更してもよい。
【0071】
本実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記ガイド部材は、前記一対の把持部材を開閉する方向に延びる板形状の本体部と、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記一対の把持部材の一部を挟むように前記ボディから離れる側に前記本体部から突出し、前記一対の把持部材をガイドする一対の第1側壁と、前記一対の把持部材を開閉する方向に延び、前記ボディの一部を厚さ方向から挟むように前記本体部から前記ボディ側に突出する一対の第2側壁と、を有する把持装置。
【0072】
(2)前記ボディは、アルミニウム合金製であり、防錆の表面加工が施されており、前記貫通部材は、鉄製又はステンレス鋼製である把持装置。
(3)前記一対の第2側壁と前記貫通部材とは、厚さ方向に沿って前記一対の第2側壁に直交する外側から固定部材により固定されている把持装置。
【0073】
(4)前記一対の第2側壁が前記一対の第1側壁と反対側に突出する長さは、前記一対の第1側壁が前記一対の把持部材側に突出する長さよりも長い把持装置。
【符号の説明】
【0074】
10…把持装置、11…ボディ、12…アクチュエータ部、16…ロッド、19,19a…雌ねじ孔、20…レバー、26…支持軸、27…固定ねじ、28…貫通部材、30…ガイドブロック、31…本体部、32…第1側壁、33…第2側壁、33a…内壁面、38…ねじ挿入孔、40…把持部材。