(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】端末装置の状態遷移を制御する制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/04 20060101AFI20220208BHJP
H04W 4/90 20180101ALI20220208BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20220208BHJP
H04W 76/27 20180101ALI20220208BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20220208BHJP
【FI】
H04M11/04
H04W4/90
H04W4/70
H04W76/27
H04M1/72
(21)【出願番号】P 2018240962
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2020-11-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】篠田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】寺部 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊明
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-534381(JP,A)
【文献】特開2008-141490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00-11/00
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置が接続状態において行った通信が
緊急通報に関する所定通信である場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第1の期間の長さが、前記通信が前記所定通信でない場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第2の期間の長さより長くなるように前記端末装置の制御を行う制御手段を有し、
前記制御手段は、複数の端末カテゴリのうちのMTC(Machine Type Communication)に関する端末カテゴリに属する端末装置に対して前記制御を実行し、前記複数の端末カテゴリのうちの前記MTCに関する端末カテゴリに属しない端末装置に対しては前記制御を実行しない、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
所定の条件が満たされる場合に、前記所定通信を行った端末装置とは別の端末装置に対する通信を行う通信手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記通信手段は、前記所定通信を行っていない端末装置については、前記所定の条件が満たされても前記別の端末装置に対する通信を行わない、
ことを特徴とする請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記通信手段は、前記所定通信を行った端末装置が当該所定通信に用いた第1の通信方式と異なる第2の通信方式の無線リソースに空きがある場合に、当該第2の通信方式で前記別の端末装置に対する通信を行う、
ことを特徴とする請求項
2又は
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記別の端末装置に対する通信は、前記所定通信を行った端末装置に対する呼び返しができないことの通知、または、前記所定通信に対する呼び返しの転送を含む、
ことを特徴とする請求項
2から
4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記別の通信装置は、前記所定通信を行った端末装置と事前に関連付けられている端末装置と、前記所定通信を行った端末装置から所定範囲内に存在する端末装置と、の少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項
2から
5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記所定通信を行った端末装置が接続中の基地局装置における無線リソースの使用量に関する値が所定値を超える場合と、前記第1の期間の長さが所定長を超える場合と、の少なくともいずれかの場合に満たされる条件である、
ことを特徴とする請求項
2から
6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記所定通信を行った端末装置が接続中の基地局装置または当該基地局装置と通信可能なネットワークノードに含まれる、
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記所定通信を行った端末装置に含まれる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記接続状態は、ロングタームエボリューション(LTE)のRRC_Connected状態を含み、前記待受状態は、前記LTEのRRC_Idle状態を含む、
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記接続状態は、New Radio(NR)のRRC_Connected状態を含み、前記待受状態は、前記NRのRRC_Inactive状態およびRRC_Idle状態を含む、
ことを特徴とする請求項1から1
0のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
制御装置によって実行される制御方法であって、
端末装置が接続状態において行った通信が
緊急通報に関する所定通信である場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第1の期間の長さが、前記通信が前記所定通信でない場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第2の期間の長さより長くなるように前記端末装置の制御を行う工程を有し、
前記工程では、複数の端末カテゴリのうちのMTC(Machine Type Communication)に関する端末カテゴリに属する端末装置に対して前記制御を実行し、前記複数の端末カテゴリのうちの前記MTCに関する端末カテゴリに属しない端末装置に対しては前記制御を実行しない、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
制御装置に備えられたコンピュータに、
端末装置が接続状態において行った通信が
緊急通報に関する所定通信である場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第1の期間の長さが、前記通信が前記所定通信でない場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第2の期間の長さより長くなるように前記端末装置の制御を行わせる、
ためのプログラムであって、
複数の端末カテゴリのうちのMTC(Machine Type Communication)に関する端末カテゴリに属する端末装置に対して前記制御を実行させ、前記複数の端末カテゴリのうちの前記MTCに関する端末カテゴリに属しない端末装置に対しては前記制御を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置の基地局装置への接続状態を制御する制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(ロングタームエボリューション)を用いた音声通話機能として、VoLTE(Voice over LTE)が知られている。音声通信は、一般的なユーザ間の通話のみならず、例えば警察や消防等の緊急通報に用いられうる。ここで、緊急通報を行う通信設備は、呼び返しに対応可能であることが義務付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、LTEの端末装置は、省電力化のために通信の終了から一定期間後に待受状態(RRC_Idle状態)へと遷移する。これに対して、待受状態となった端末装置に対する呼び返しを行うには、その端末装置を、再度、接続状態(RRC_Connected状態)へ遷移させる必要がある。端末装置を接続状態へと遷移させるためには所定のシグナリングを行う必要がある。このため、無線リソースを浪費し、また、その処理により実際に呼び返しによる通信が開始されるまでの時間が長期化してしまいうる。特に、呼び返しは、通話の終了後、相対的に長い時間が経過してから行われる傾向があり、端末装置が待受状態へと遷移した後に行われる可能性が高いことが想定され、無線リソースの浪費や通話開始までの時間の長期化が課題となりうる。なお、この課題は緊急通報に限定されず、通信終了後に相対的に長い期間が発生してから呼び返しが発生することがある各種通信においても同様の課題が生じうる。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであり、呼び返しが発生しうる通信を端末装置が行った場合に適した制御技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による制御装置は、端末装置が接続状態において行った通信が緊急通報に関する所定通信である場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第1の期間の長さが、前記通信が前記所定通信でない場合の、前記端末装置が当該通信を終了してから待受状態へと遷移するまでの第2の期間の長さより長くなるように前記端末装置の制御を行う制御手段を有し、前記制御手段は、複数の端末カテゴリのうちのMTC(Machine Type Communication)に関する端末カテゴリに属する端末装置に対して前記制御を実行し、前記複数の端末カテゴリのうちの前記MTCに関する端末カテゴリに属しない端末装置に対しては前記制御を実行しない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、呼び返しが発生しうる通信を端末装置が行った場合に適した制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】制御装置が実行する処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0009】
(システム構成)
本実施形態に係る無線通信システムの構成例を
図1に示す。本無線通信システムは、一例において、基地局装置101と端末装置102とを含んで構成される。なお、
図1では、説明を簡単にするために1つの基地局装置101及び1つの端末装置102を含む例を示しているが、無線通信システムは、通常のセルラ通信システムのように、多数の基地局装置101及び多数の端末装置102を含みうる。基地局装置101及び端末装置102は、一例においてLTE規格に準拠した通信を実行可能な通信装置である。ただし、これに限られず、これらの通信装置は、第5世代の無線通信規格であるNR(New Radio)規格等の他の通信規格に準拠した通信を実行可能であってもよい。
【0010】
また、無線通信システムは、端末装置102の通信の制御を実行するための制御装置103を含む。なお、制御装置103は、一例において、基地局装置101の一機能として基地局装置101に内包されてもよいし、基地局装置101とは別個の、基地局装置101と通信可能なネットワークノードに含まれてもよい。また、場合によっては、制御装置103が端末装置102の一機能として端末装置102に内包されてもよい。
【0011】
本実施形態では、端末装置102が接続状態(RRC_Connected状態)において行った通信の終了後に相対的に長い期間が発生してから端末装置102への呼び返しが発生することがあることを考慮して、制御装置103が端末装置102の制御を行う。制御装置103は、一例において、端末装置102が接続状態において所定通信(例えば緊急通報に関する通信)を行っていた場合と、それ以外の通信を行っていた場合とで、端末装置102が通信終了後に待受状態へと遷移するまでの期間の長さを異ならしめる。具体的には、端末装置102が接続状態において行った通信が所定通信である場合に端末装置102が通信を終了してから待受状態へと遷移する第1の期間の長さが、所定通信でない場合に通信終了後に待受状態へと遷移する第2の期間の長さより長くなるような制御が行われる。ここで、第2の期間は、従来のLTEシステム等で用いられている、端末装置が通信終了後に接続状態から待受状態へと遷移するまでの期間と同様の期間でありうる。この場合、第1の期間は、従来のLTEの端末装置が通信終了後に接続状態から待受状態へと遷移するまでの期間より長く設定される。これによれば、所定通信において呼び返しが発生した場合に、端末装置102が既に接続状態から待受状態へと遷移した状態となっている確率を抑制し、接続状態へと再遷移させるための処理が発生する確率を低減することができる。この結果、不必要なシグナリングが生じるのを防ぐことができる。
【0012】
なお、この第1の期間の長さは、例えば呼び返し発生タイミングの分布等の統計値に基づいて、事前に一定値に設定されうる。また、第1の期間の長さは、運用中の呼び返し/再接続又は再通信が行われるまでの期間に応じて適応的に更新されてもよい。さらに、第1の期間の長さは、例えば基地局装置101の無線リソースの使用量や端末装置102と基地局装置101との間の無線品質等によって適応的に設定されてもよい。例えば、基地局装置101の無線リソースの使用量が多いほど、又は端末装置102と基地局装置101との間の無線品質が低いほど、接続状態へと再遷移させるための処理の負荷が高いため、第1の期間の長さを長くして、待受状態への遷移が起こりにくいようにしうる。
【0013】
なお、制御装置103は、所定の端末カテゴリに属する端末装置に対してのみ、上述の制御を実行し、それ以外の端末カテゴリの端末装置については、上述の制御を実行しないようにしてもよい。例えば、制御装置103は、MTC(Machine Type Communication)の端末カテゴリの端末装置に対しては上述の処理を実行し、それ以外の端末装置については上述の処理を実行しないようにしてもよい。MTCの通信は、LTEのシステム周波数帯域のうちの限定的な一部の周波数帯域における無線リソースを利用することが規定されている。このように少量の無線リソースのみが利用可能な端末装置については、待受状態から接続状態へと移行させるためのシグナリングリソースを確保するのが容易でない場合があり、そのような場合に接続状態への移行が完了するまでの期間が長期化してしまいうる。このため、このような使用可能な無線リソースの量が限定的な端末カテゴリの端末装置については、上述の制御を実行するようにしうる。これにより、所定通信において呼び返しが発生した場合に、リソース不足により接続状態への再遷移に要する期間が不必要に長期化することを防ぐことができる。一方、例えばLTEのシステム周波数帯域の全体を利用可能な端末カテゴリの端末装置に対しては、このような制御を行わず、所定通信の完了後に待受状態へ遷移するまでの期間の長さと、他の通信の完了後に待受状態へ遷移するまでの期間の長さとを同じにしうる。なお、端末カテゴリを問わずに全ての端末装置に対して上述の処理を適用してもよい。また、例えば接続状態への遷移のために要求される時間が他のカテゴリより長くなりうる端末カテゴリや、接続状態への遷移のために要求される無線リソースが他のカテゴリより多くなりうる端末カテゴリなど、MTC以外の端末カテゴリに属する端末装置に対してのみ、上述の制御を適用してもよい。
【0014】
また、制御装置103は、所定通信を行った端末装置102が接続中の基地局装置101に接続されている端末装置の数が所定数を超える場合に上述の制御を実行し、その数が所定数を下回る場合には上述の制御を実行しないようにしうる。基地局装置101に接続中の端末装置の数が多い場合は、待受状態からその基地局装置101と接続を確立した状態へと遷移する際の無線リソースが不十分となりうる。このため、待受状態から接続状態へと移行させるためのシグナリングリソースを確保するのが容易でない場合があり、そのような場合に接続状態への移行が完了するまでの期間が長期化してしまいうる。これに対し、基地局装置101に接続中の端末装置の所定数を超えるほどに多い場合には、所定通信の終了後に待受状態へと遷移するまでの期間の長さを長くして、待受状態になりにくくする。これにより、所定通信において呼び返しが発生した場合に、リソース不足により接続状態への再遷移に要する期間が不必要に長期化することを防ぐことができる。
【0015】
また、制御装置103は、所定通信を行った端末装置102の、接続中の基地局装置101との間の無線品質が所定レベルを下回る場合に上述の制御を実行し、その無線品質が所定レベルを超える場合には上述の制御を実行しないようにしうる。端末装置102が基地局装置101との間の無線品質が不十分である場合に待受状態へと遷移すると、その無線品質に起因して接続状態へと再遷移することが困難となる場合や必要となる無線リソースが増大する場合がありうる。このため、制御装置103は、所定通信を行った端末装置102と基地局装置101との間の無線品質が所定レベルを下回る場合に上述の制御を実行することにより、端末装置102が待受状態に遷移しにくくし、そのような接続状態への再遷移が困難となる状況が発生する確率を低減しうる。
【0016】
また、制御装置103は、自装置が基地局装置101又は他のネットワークノードに含まれる場合、所定の条件が満たされたことに応じて、所定通信を行った端末装置102とは別の端末装置に対して通信を行うような制御を行いうる。この通信は、端末装置102に対する呼び返しができないことの通知や、その呼び返しの転送等の、呼び返しに対応する通信でありうる。ここで、制御装置103は、所定通信を行った端末装置102が接続中の基地局装置101における無線リソースの使用量に関連する値が所定値を超える場合に、上述の所定の条件が満たされると判定しうる。ここで、無線リソースの使用量に関連する値は、無線リソースの使用量そのものを表す値であってもよいし、基地局装置101に接続中の端末装置の数であってもよい。また、制御装置103は、例えば端末装置102が所定通信を終了した後に待受状態へ遷移するまでの第1の期間の長さを適応的に設定しうるが、この第1の期間の長さが所定長を超える場合に、上述の所定の条件が満たされると判定してもよい。また、制御装置103は、例えば、端末装置102に対する呼び返しを試行したものの、呼び出しに失敗した場合に、上述の所定の条件が満たされると判定してもよい。これによれば、制御装置103は、端末装置102と基地局装置101との間の無線の状況が良好ではない状況であっても、端末装置102と所定の関係のある別の端末装置に呼び返しに対応する通信を行うことで、必要な通信を確実に行うことができる。なお、制御装置103は、この所定の条件が満たされたとしても、端末装置102が上述の所定通信を行っていない場合には、別の端末装置との通信は行わない。これにより、不必要な通信が行われることを防ぐことができる。
【0017】
また、制御装置103は、所定通信を行った端末装置102がその所定通信に用いた第1の通信方式と異なる第2の通信方式の無線リソースに空きがあるか否かを判定し、その第2の通信方式の無線リソースに空きがあると判定した場合に、その第2の通信方式で別の端末装置に対する通信を行うような制御を行いうる。ここで、第2の通信方式は、例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)等の通信方式でありうる。なお、端末装置102が、これらの第2の通信方式に対応している場合であって、その第2の通信方式における無線リソースの空き容量が所定値を超える場合には、制御装置103は、第2の通信方式を用いて端末装置102と通信するような制御を行ってもよい。すなわち、上述の別の端末装置は、物理的には同一の端末装置102内に含まれる、論理的に別の端末装置を含みうる。なお、制御装置103は、第2の通信方式を使用可能な場合には、別の端末装置が第2の通信方式を使用可能であるか否かの判定を、事前に収集した情報に基づいて行ってもよいし、別の端末装置がいずれかの基地局装置に接続する際に収集されるその別の端末装置の能力情報に基づいて行ってもよい。
【0018】
また、別の端末装置は、端末装置102と事前に関連付けられている端末装置を含みうる。また、別の端末装置は、端末装置102から所定範囲内に存在する端末装置を含んでもよい。例えば、端末装置102のユーザが契約している別の端末装置に対して、上述の通信が行われることにより、そのユーザとの通信を確実に行うことができるようになる。また、地理的に端末装置102と近接した位置に存在する別の端末装置に対して上述の通信が行われることにより、例えば緊急通報を行った要因の事象が発生した位置の近傍に存在することが推定されるユーザとの通信を確実に行うことができるようになる。
【0019】
なお、本実施形態において、「待受状態」は、例えばLTE及びNRのRRC_Idle状態のみならず、NRのRRC_Inactive状態を含む。すなわち、「待受状態」は、接続状態へと遷移するために所定のシグナリング(RRC Connection Reconfigurationメッセージや、RRC Connection Resumeメッセージ等)を発生させることが必要となる状態でありうる。なお、所定通信は、緊急通報の他、例えば端末装置102からのデータの送信の完了後にネットワークから何ら間の処理結果等が一定期間後に返信されるような通信など、様々な通信が含まれうる。所定通信は、例えばユーザが設定可能であってもよい。また、複数の種類の所定通信が存在する場合、その種類ごとに待受状態へ遷移するまでの期間が異なるように設定されてもよい。例えば、緊急通報に関する期間が、ユーザ設定に関する期間より長くなるように設定されてもよい。
【0020】
(装置構成)
続いて、上述のような処理を実行する制御装置103の構成例について
図2を用いて説明する。制御装置103は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、制御装置103の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、制御装置103が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、有線通信又は無線通信用の回路によって構成される。制御装置103は、例えば基地局装置101内に含まれる場合には、基地局装置101内の他の機能部と接続するための通信回路を有し、また、基地局装置101外のネットワークノード内に含まれる場合は、基地局装置101と通信するための有線通信回路を有する。また、制御装置103は、端末装置102内に含まれる場合は、端末装置102内の他の機能部と接続するための通信回路を有する。また、制御装置103は、例えば基地局装置101内に含まれる場合には、基地局装置101の機能として、端末装置102との通信のための、MTCとLTEとのそれぞれのためのベースバンド回路及びRF回路等とアンテナとを含んで構成されうる。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、制御装置103は、複数の通信回路を有しうる。例えば、制御装置103は、端末装置102又は別の端末装置との通信に用いられうる、無線LANやBluetooth(登録商標)等による通信のための通信回路をさらに有しうる。
【0021】
図3に、制御装置103の機能構成例を示す。制御装置103は、一例において、通信種別判定部301、及び、接続維持期間制御部302を含んで構成される。なお、制御装置103は、処理要否判定部303、条件判定部304、及び通信制御部305を含んでもよい。
【0022】
通信種別判定部301は、端末装置102が実行した通信の種別を判定し、その通信が所定通信であるか否かを判定する。例えば、通信種別判定部301は、端末装置102がRRC_Connectedに遷移する際に通知される、Establishment causeと呼ばれる要素が「emergency」に設定されている場合に、端末装置102が実行する通信が所定通信(緊急通報)であると判定しうる。その他にも、通信種別判定部301は、例えば、端末装置102がデータを送信した一定時間後にネットワークから端末装置102へデータを送信するような所定のアプリケーションに係る通信等が識別可能な情報を参照し、その情報に基づいて、端末装置102が所定通信を行ったか否かを判定しうる。接続維持期間制御部302は、通信種別判定部301によって、端末装置102によって実行された通信が所定通信であると判定されたか否かに応じて、その通信の終了後に端末装置102を接続状態から待受状態に遷移させるための期間の長さの設定制御を行う。すなわち、接続維持期間制御部302は、端末装置102が所定通信を行った場合には、通信終了後に待受状態へと遷移するまでの期間を相対的に長い第1の期間に設定し、それ以外の場合にはその期間を、例えば従来と同様の長さ等、相対的に短い第2の期間に設定する。
【0023】
処理要否判定部303は、上述のような処理を実行すべきか否かの判定を行う。例えば、処理要否判定部303は、端末装置102の端末カテゴリが所定の端末カテゴリである場合、端末装置102が接続中の基地局装置101に接続している端末装置の数が所定数を超える場合、端末装置102と基地局装置101との間の無線品質が所定レベルを下回る場合、の少なくともいずれかの場合に、上述の処理を実行すべきと判定する。すなわち、これらの少なくともいずれかの場合に該当する場合、端末装置102が実行した通信が所定通信であったかが判定され、その判定に基づいて、通信終了後に待受状態に遷移するまでの期間の長さが設定される。一方、上述のいずれの場合にも該当しない場合には、上述の処理は実行すべきでないと判定されうる。これによれば、呼び返しの際に接続状態への再遷移に要するリソースに余裕があることが想定される場合などには、待受状態に遷移するまでの時間を長くされないため、端末装置102が接続状態を不必要に維持しないこととなる。このため、端末装置102の電力消費を抑制することができる。
【0024】
条件判定部304は、端末装置102への呼び返しができないことの通知や、その呼び返しの転送等の、別の端末装置との通信が行われるべき条件が満たされているか否かを判定する。例えば、条件判定部304は、端末装置102が接続中の基地局装置101における無線リソースの使用量に関する値が所定値を超える場合と、上述の第1の期間の長さが所定長を超える場合と、の少なくともいずれかの場合に、条件が満たされていると判定しうる。
【0025】
通信制御部305は、条件が満たされていると条件判定部304によって判定された場合に、別の端末装置との通信を制御する。通信制御部305は、例えば、端末装置102が所定通信を行った第1の通信方式で別の端末装置と通信するように、基地局装置101又は別の基地局装置を制御しうる。また、通信制御部305は、第1の通信方式とは別の第2の通信方式で通信を行うように、例えば無線LANのアクセスポイント等、第2の通信方式で通信可能な通信装置の制御を実行してもよい。なお、通信制御部305は、例えば、第2の通信方式を用いて別の端末装置と通信することができる場合、その第2の通信方式の無線リソースの空き状態を判定し、空いている無線リソース量や空き率が所定値を超える場合に、第2の通信方式を用いて別の通信装置と通信するようにしうる。また、通信制御部305は、別の端末装置が第2の通信方式に対応するか否かを、事前に収集した情報や、別の端末装置がネットワークに接続した際に収集された情報に基づいて判定しうる。すなわち、通信制御部305は、条件が満たされていると条件判定部304によって判定された場合であって、別の端末装置が第2の通信方式に対応しており、かつ、第2の通信方式の無線リソースが十分に空いていると判定された場合に、第2の通信方式で、その別の端末装置と通信するように制御を実行しうる。
【0026】
(処理の流れ)
続いて、
図4を用いて、制御装置103が実行する処理の流れの例について概説する。なお、
図4は一例であり、これらの処理の一部のみが実行されてもよいし、さらなる処理ステップが追加されてもよい。例えば、S402及びS403の処理のみが実行されてもよく、他の処理については実行されなくてもよい。
【0027】
本処理では、制御装置103は、まず、端末装置が実行した通信の種別に応じて、待受状態に遷移するまでの期間を変動させる処理を実行する必要があるか否かを判定する(S401)。この処理は、例えば上述の処理要否判定部303が実行する処理に相当する。制御装置103は、この処理を実行する必要があると判定した場合(S401でYES)、続いて、端末装置102が実行した通信が所定通信であったか否かを判定する(S402)。そして、制御装置103は、所定通信が行われたと判定した場合(S402でYES)、通信終了後に端末装置102を待受状態に遷移させるまでの期間の長さが長くなるような設定を行う(S403)。そして、制御装置103は、別の端末装置と通信するか否かを判定するための所定の条件が満たされているか否かを判定する(S404)。そして、制御装置103は、所定の条件が満たされていると判定した場合(S404でYES)、別の端末装置との通信を行う(S405)。なお、制御装置103は、所定の条件が満たされていない場合(S404でNO)には、別の端末装置との通信を行わずに処理を終了する。
【0028】
なお、処理が不要であると判定された場合(S401でNO)、及び、端末装置102が所定通信を行っていない場合(S402でNO)には、通信終了後に端末装置102を待受状態に遷移させるまでの期間を長くせずに、かつ、S404で所定の条件を満たすか否かを判定しないまま、処理を終了する。なお、S404の判定は、S403より先に実行されてもよい。すなわち、通信終了後に端末装置102を待受状態に遷移させるまでの期間の制御を行う前に、S404の判定が行われてもよい。そして、所定の条件が満たされる場合には、通信終了後に端末装置102を待受状態に遷移させるまでの期間の制御を行わずに、別の端末装置との通信を実行するようにしてもよい。
【0029】
以上のようにして、本実施形態の制御装置103は、呼び返しが発生しうる通信を端末装置102が行った場合に適した制御を行うことができる。