(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】酸化タングステンおよびタングステン混合酸化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 41/00 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
C01G41/00 A
(21)【出願番号】P 2018539062
(86)(22)【出願日】2017-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017051309
(87)【国際公開番号】W WO2017129516
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2019-12-18
(32)【優先日】2016-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティパン カトゥシッチ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クレース
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト アルフ
(72)【発明者】
【氏名】アーミン ヴィーガント
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハーゲマン
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0102700(US,A1)
【文献】特表2005-520770(JP,A)
【文献】特開2006-213591(JP,A)
【文献】特表2013-534894(JP,A)
【文献】米国特許第06080232(US,A)
【文献】特開2011-157504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00-47/00;
49/10-99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化タングステン粉末または一般式M
xWO
3[式中、M=Na、K、Rb、Liおよび/またはCs、0.1≦x≦0.5]のタングステン混合酸化物粉末の製造方法であって、一連の工程:
a)少なくとも1種のタングステン化合物
を含有する溶液、または、少なくとも1種のタングステン化合物および少なくとも1種のM含有化合
物を化学量論比M
xWO
3に相当する濃度でそれぞれ含有する溶液
、を調製する工程、
b)前記溶液を噴霧して、エアロゾルを反応空間内に形成する工程、
c)前記エアロゾルを前記反応空間内で水素炎/酸素炎により反応させる工程、ここで前記火炎には、1<O
2,一次/0.5H
2≦3が成り立ち、
ここで前記反応空間は、2つの異なる反応混合物速度v
1およびv
2をそれぞれ、有する反応域1および反応域2を含むように構成され、ここで、
反応域1の断面積は反応域2の断面積よりも小さく、v
2=0.3~0.8v
1、および0.5≦v
1≦10Nm/sである、
d)固体を蒸気状または気体状の物質から分離する工程、および
e)分離した前記固体に、還元作用を及ぼす気体流を450~700℃の温度で流す工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
1.5≦O
2,ttl/0.5H
2≦5であり、O
2,ttlは、O
2,一次、
O
2,二次
、および
O
2,噴霧
の合計酸素であり、
O
2,二次は、反応域2において初めて反応空間内に入る二次空気の酸素であり、
O
2,噴霧は、噴霧空気の酸素であることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
t
2>0.5t
1であり、
t
1が、反応域1における前記反応混合物の平均滞留時間であり、
t
2が、反応域2における前記反応混合物の平均滞留時間である
ことを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
熱処理を1~10時間にわたり実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
前記還元作用を及ぼす気体流として、水素、水素/窒素混合物または水素/希ガス混合物を使用することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
酸化タングステン粉末または一般式M
xWO
3[式中、M=Na、K、Rb、および/またはLiであり、0.1≦x≦0.5である]のタングステン混合酸化物粉末の製造方法であって、一連の工程:
a)少なくとも1種のタングステン化合物
を含有する溶液、
または、少なくとも1種のタングステン化合物および少なくとも1種のM含有化合
物を化学量論比M
xWO
3に相当する濃度でそれぞれ含有する溶液
、を調製
し、前記溶液はWとMとの合計を基準として、25~55重量%の濃度を有する工程、
b)前記溶液を噴霧して、エアロゾルを反応空間内に形成する工程、
c)前記エアロゾルを、前記反応空間内にて1未満のラムダを有する水素炎/酸素炎により反応させる工程、ここで、ラムダ=合計酸素/0.5×水素であり、前記合計酸素はO
2,一次、
O
2,二次
、および
O
2,噴霧
の合計であり、
O
2,二次は、反応域2において初めて反応空間内に入る二次空気の酸素であり、
O
2,噴霧は、噴霧空気の酸素である、および
d)固体を蒸気状または気体状の物質から分離する工程
を含む、前記製造方法。
【請求項7】
前記反応空間における平均滞留時間が1~5秒であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項8】
一成分または多成分用ノズルを用いて噴霧を行い、前記エアロゾルの平均液滴径が120μm未満であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項9】
前記タングステン化合物およびM含有化合物として無機金属化合物を使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
前記溶液として水溶液を使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の製造方法。
【請求項11】
前記溶液中の金属の濃度が5~60重量%であることを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎噴霧熱分解法による酸化タングステン粉末の製造方法に関する。
【0002】
酸化タングステンとは、良好な導電性をも有し得る公知のIR吸収性物質である。基本的に、このような混合酸化物は、タングステン化合物と、場合によって、混合酸化物成分の化合物とを含有する溶液を調製して、引き続き、溶媒を除去し、残留する固体を、還元作用を及ぼす雰囲気において約500℃の温度で処理することにより得られる。例示的には、欧州特許出願公開第1801815号明細書(EP1801815)が挙げられ、これには、式MxWyOz(ここで、M=アルカリ金属、0.001≦x/y≦1.1および2.2≦z/y≦3.0である)のタングステン混合酸化物の製造が記載されている。そのように製造された粉末は、往々にして、不良な分散性を、例えば被覆において示す。よって、手間のかかる粉砕および分散工程が往々にして必要となる。
【0003】
米国特許出願公開第2010/102700号明細書(US2010/102700)では、火炎噴霧熱分解法によりタングステン混合酸化物が製造される。その際、タングステン化合物および混合酸化物成分の化合物を含有する溶液は、火炎の中に入れられて、そこで酸化される。しかしながら、約60~80m2/gのBET表面積を有する材料のみが開示されている。十分な結晶度を得るために、火炎噴霧熱分解法からの材料を後に熱処理すると、これにより、BET表面積は、約20m2/gの値に低下する。これにより分散性が悪化する。
【0004】
高い結晶度および良好な分散性の酸化タングステンの製造を可能にする方法が望ましいだろう。
【0005】
本発明の対象は、酸化タングステンまたはタングステン混合酸化物の一段階および二段階の製造方法である。どちらの方法にも、火炎噴霧熱分解法が含まれる。
【0006】
酸化タングステン粉末または一般式MxWO3[式中、M=Na、K、Rb、LiおよびCs、0.1≦x≦0.5、好ましくはx=0.33]のタングステン混合酸化物粉末の二段階の製造方法は、一連の工程:
a)タングステン、および場合によって、Mを含有する1種以上の化合物を、化学量論比MxWO3に相当する濃度でそれぞれ含有する溶液を調製する工程、
b)1種または複数の溶液を噴霧して、エアロゾルを反応空間内に形成する工程、
c)エアロゾルを反応空間内で水素炎/酸素炎により反応させる工程、ここでこの火炎には、1<O2,一次/0.5H2≦3が成り立ち、
ここで反応空間は、2つの異なる反応混合物速度v1およびv2を有する2つの反応域を含むように構成され、ここで、v2=0.3~0.8v1、好ましくはv2=0.4~0.7v1および0.5≦v1≦10Nm/s、好ましくは1≦v1≦5Nm/sである、
d)固体を蒸気状または気体状の物質から分離する工程、および
e)分離した固体に、還元作用を及ぼす気体流を450~700℃の温度で流す工程
を含む。
【0007】
本発明による方法により製造される酸化タングステン粉末のBET表面積は、1~10m2/gである。
【0008】
本発明による方法は、好ましくは、WO3、Li0.33WO3、Na0.33WO3、K0.33WO3、Rb0.33WO3、Cs0.33WO3、Cs0.20WO3およびCs0.25WO3の製造に適している。同様に、タングステンだけでなくNa、K、Rb、LiおよびCsの群から選択される2種の金属をも有する、一般式Mx1Mx2WO3(ここで、x1+x2=x)のタングステン混合酸化物粉末、例えばNa0.1K0.1WO3を製造することができる。
【0009】
第一の反応域は、エアロゾルを反応空間内に導入する箇所から開始する。第二の反応域は、第一の反応域に続く。v1は第一の反応域における平均速度であり、v2は第二の反応域における平均速度である。ここで、v1はv2より大きい。これは例えば、第一の反応域における断面積をより小さくすることにより達成可能である。v1およびv2の計算は、未反応の使用物質、例えば窒素または過剰酸素の気体体積と、生成物、すなわち実質的には水蒸気の気体体積とに基づく。速度の記載については、正規化された速度を用いる。この速度は、Nm3/hの単位を有する体積流を断面積で割ることにより求められる。
【0010】
「O2,一次」の表示は、火炎を発生させる空気または場合によって酸素富化空気の酸素を表す。それだけでなく、この空気とは別に、さらなる空気、すなわち二次空気を反応空間内に直接導入することが合理的であろう。「O2,二次」の表示は二次空気の酸素を表す。ここで二次空気は、反応域2において初めて反応空間内に入るように送られることが好ましい。
【0011】
最後に、溶液の噴霧を空気により行うこともできる。「O2,噴霧」の表示は噴霧空気の酸素を表す。最後に、「O2,ttl」の表示は、合計酸素を表す。合計酸素を、1.5≦O2,ttl/0.5H2≦5であるように選択することが最良である。
【0012】
O2,ttl/0.5H2またはO2,一次/0.5H2の比率は、2H2+O2→2H2Oによる2molの水素と1molの酸素との反応に基づく。
【0013】
特許請求の範囲に記載のO2,一次/0.5H2およびv2=0.4~0.8v1に関する特徴によって、火炎噴霧熱分解法における温度が約500~750℃と低くなり、1~20m2/gの驚くほど低いBET表面積と既に良好な結晶度とを有する材料が生成される。
【0014】
還元された材料のBET表面積は、火炎噴霧熱分解法からの材料のBET表面積よりも小さいと言える。通常、BET還元/BETFSPの比率は、0.60~0.95である。
【0015】
反応空間内に燃え広がる水素炎/酸素炎は、酸素含有ガス、および酸素との反応において水を形成する燃焼ガスに点火することにより形成される。
【0016】
特別な実施形態において、反応域1および反応域2における反応混合物の平均滞留時間は、t2>0.5t1、好ましくは0.7t1≦t2≦0.9t1であるように選択され、ここでt1は、反応域1における反応混合物の平均滞留時間であり、t2は、反応域2における反応混合物の平均滞留時間である。
【0017】
平均滞留時間t1は、好ましくは0.2~1秒、特に好ましくは0.3~0.7秒である。平均滞留時間t2は、好ましくは0.1~0.8秒、特に好ましくは0.2~0.5秒である。
【0018】
還元作用を及ぼす気体流としては、水素、水素/窒素混合物、または水素/希ガス混合物が考えられる。
【0019】
火炎噴霧熱分解法および後の還元を含む二段階の方法だけでなく、還元工程が省略可能な一段階の方法も本発明の構成要素である。
【0020】
本発明の対象は、酸化タングステン粉末または一般式MxWO3[式中、M=Na、K、Rb、Liおよび/またはCsであり、0.1≦x≦0.5である]のタングステン混合酸化物粉末の一段階の製造方法であって、一連の工程:
a)少なくとも1種のタングステン化合物と、場合によって、少なくとも1種のM含有化合物とを、化学量論比MxWO3に相当する濃度でそれぞれ含有する溶液を調製する工程、
b)溶液を噴霧して、エアロゾルを反応空間内に形成する工程、
c)エアロゾルを、反応空間内にて1未満のラムダを有する水素炎/酸素炎により反応させる工程、ここで、ラムダ=合計酸素/0.5×水素である、および
d)固体を蒸気状または気体状の物質から分離する工程
を含む、製造方法である。
【0021】
本方法の重要な特徴は、ラムダが1未満であることである。これは、反応式H2+0.5O2→H2Oに関して化学量論比的に過剰な水素が存在するように水素および酸素を選択することを意味する。好ましくは、0.6≦ラムダ<1、特に好ましくは0.7≦ラムダ≦0.95、極めて特に好ましくは0.8≦ラムダ≦0.9である。
【0022】
反応空間における平均滞留時間は、一段階の方法の場合、好ましくは1~5秒である。
【0023】
本発明による方法において、溶液の微細な液滴は、エアロゾルの構成要素である。微細な液滴は、120μm未満、特に好ましくは30~100μmの平均液滴径を有することが好ましい。通常、液滴を生成するためには、一成分または多成分用ノズルを使用する。
【0024】
使用される溶液は、できるだけ高い濃度を有するものとする。その際、粉末の生成量と物質特性の間の最適化を目指すべきである。本発明による方法について、これらの要件は、それぞれ金属としてのWとMとの合計を基準として、5~60重量%、特に好ましくは25~55重量%、極めて特に好ましくは30~50重量%の範囲で最も良好に満たされる。
【0025】
粉末の均質性に関する最良の結果は、タングステン化合物およびアルカリ金属化合物が溶液中に存在する場合に得られる。溶解性を達成し、かつ溶液噴霧に適切な粘度とするために、溶液を加熱することができる。基本的に、反応条件下で酸化物になり得るあらゆる可溶性金属化合物が使用可能である。その際、これは、無機金属化合物、例えば硝酸塩、塩化物、臭化物であってもよいし、または有機金属化合物、例えばアルコキシドもしくはカルボン酸塩であってもよい。硝酸塩を使用すると特に有利であり得る。
【0026】
有機溶媒としては、好ましくはアルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールもしくはtert-ブタノール、ジオール、例えばエタンジオール、ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、バレリアン酸、カプリン酸またはラウリン酸を使用することができる。さらに、ベンゼン、トルエン、ナフサおよび/またはベンジンを使用することができる。好ましくは、水性溶媒または水を使用する。
【0027】
実施例
例1~5は、本発明による二段階の方法によるアルカリ金属-タングステン-混合酸化物粉末の製造を示す。例6は、二段階の方法の比較例を示す。例7~11は、本発明による一段階の方法によるカリウム-タングステン-混合酸化物粉末の製造を示す。
【0028】
例1
2165gのメタタングステン酸アンモニウム、335gの硝酸セシウムおよび12.020gの水の溶液を調製する。それぞれ金属としてのWおよびCsの合計濃度は、12.7重量%である。
【0029】
反応域1:室温(23℃)で二成分用ノズルを用いて、2500g/hのこの溶液をノズル噴射ガスとしての5Nm3/hの空気で噴射することにより、エアロゾルを得る。このエアロゾルを、8Nm3/h(0.357kmol/h)の水素および30Nm3/hの空気(0.281kmol/hのO2)により反応させる。バーナー口から50cm下の温度は、527℃である。
【0030】
反応域1における滞留時間は、2.89Nm/sの気体速度の場合、0.48秒である。
【0031】
反応域2:さらに、15Nm3/hの二次空気(0.141kmol/hのO2)を反応域1の外側において反応器に導入する。
【0032】
反応域2における滞留時間は、1.65Nm/sの気体速度の場合、0.36秒である。次に反応混合物を冷却し、得られた固体をフィルタにおいて気体状物質から分離する。
【0033】
この固体は、7.2m2/gのBET表面積を有する。
【0034】
FSPからの固体を、窒素雰囲気のもと8.0℃/minの昇温速度で500℃の最終温度に加熱し、そこで2時間にわたり、500℃の温度のもとフォーミングガス雰囲気(70/30体積%のN2/H2、体積流100Nl/h)中で処理する。
【0035】
得られる還元された固体は、5.4m2/gのBET表面積を有する。この固体の分散液(1-メトキシ-2-プロパノール中に18重量%)は、紺色を示す。
【0036】
例2~6を同じように実施する。例6は、平均速度がどちらの反応域においても同じである比較例である。使用物質および反応条件を表1に示す。表2に計算値を示す。
【0037】
本発明による二段階の方法は、低いBET表面積および既にかなり高い結晶度を有する材料を、火炎熱分解プロセスにおいて得ることを対象としている。後の還元工程において、還元が穏やかな条件で迅速に進行する間にBET表面積があと少し低下するだけで、特筆するほどの焼結が起こることはない。これらの材料は、相応して良好に分散可能である。比較例6において、増加したBET表面積を有する材料がFSPから得られる。この材料は、より還元しにくい。還元された材料自体は、より分散しにくい。
【0038】
例7
4316gのメタタングステン酸アンモニウム、502gの酢酸カリウム、64gの氷酢酸および4831gの水の溶液を調製する。それぞれ金属としてのWとKとの合計濃度は、34.2重量%である。
【0039】
室温(23℃)で二成分用ノズルを用いて、9.0kg/hのこの溶液をノズル噴射ガスとしての9.2Nm3/hの空気で噴射することにより、エアロゾルを得る。このエアロゾルを10Nm3/hの水素および13.5Nm3/hの空気により反応させる。バーナー口から50cm下の温度は、464℃である。ラムダは0.87である。滞留時間は1.9秒である。
【0040】
固体は2.4m2/gのBET表面積を有する。この固体の分散液(1-メトキシ-2-プロパノール中に18重量%)は、紺色を示す。X線構造解析により、六方晶系のカリウム-タングステン-混合酸化物が判明した。
【0041】
同じ溶液を用いて、例8~11を同じように実施する。反応条件を表3に示す。
【0042】
例7~11は、還元された粉末が、一段階の方法、すなわち火炎噴霧熱分解法により製造可能であることを示す。
【表1】
【表2】
【表3】