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特許7021098神経筋、神経変性、自己免疫、発達、外傷性脳損傷、震とう、ドライアイ疾患および/または代謝性疾患のDNPおよびDNPプロドラッグ処置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】神経筋、神経変性、自己免疫、発達、外傷性脳損傷、震とう、ドライアイ疾患および/または代謝性疾患のDNPおよびDNPプロドラッグ処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/265 20060101AFI20220208BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20220208BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20220208BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20220208BHJP
   A61K 31/4453 20060101ALI20220208BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20220208BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220208BHJP
   C07D 295/108 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61K31/265
A61P21/00
A61P27/04
A61P27/06
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P25/00
A61P27/16
A61P3/00
A61P37/02
A61P25/24
A61K31/27
A61K31/40
A61K31/4453
A61K31/5375
A61K31/496
C07D295/108 CSP
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018548116
(86)(22)【出願日】2017-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 US2017021080
(87)【国際公開番号】W WO2017155940
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】62/460,318
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/304,584
(32)【優先日】2016-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517255441
【氏名又は名称】マイトコン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】518318705
【氏名又は名称】バイオベンチャーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ガイスラー, ジョン ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】アロンソ, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】クルックス, ピーター アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ペンタラ, ナラシムハ レディ
(72)【発明者】
【氏名】アルバヤティ, ゼイネブ
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/031598(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/176258(WO,A1)
【文献】Cell Metabolism,2013年,18,pp.740-748
【文献】J. Org. Chem.,2004年,69,pp.6024-6033
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するための組成物であって、式II:
【化1-1】
1つまたは複数の化合物を含み、
ここで、Rは、以下
【化1-2】
(ここで、R’は、アルキルである)
【化1-3】
(ここで、R’は、アルキルである)
【化1-4】
(ここで、R’は、アルキルである)
【化1-5】
【化1-6】
(ここで、R’は、Hまたはアルキルである)
【化1-7】
(ここで、Xは、CH、O、NH、またはNR’であり、ここで、R’は、Hまたはアルキルである)
らなる群から選択される、
組成物。
【請求項2】
前記化合物が、1~2のpHで、4.5のpHでまたは5~9のpHで安定である、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
経口的に投与されることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患の処置のための組成物であって、
ある用量の前記組成物が、処置を必要とする患者に投与されることを特徴とし、
ここで、前記組成物は、式II:
【化6-1】
1つまたは複数の化合物を含み、
ここで、Rは、以下
【化6-2】
(ここで、R’は、アルキルである)
【化6-3】
(ここで、R’は、アルキルである)
【化6-4】
(ここで、R’は、アルキルである)
【化6-5】
【化6-6】
(ここで、R’は、Hまたはアルキルである)
【化6-7】
(ここで、Xは、CH、O、NH、またはNR’であり、ここで、R’は、Hまたはアルキルである)
らなる群から選択され、そして
前記組成物の前記用量は、処置を必要とする患者の体重1kg当たり約0.01mgから約25mg;または処置を必要とする患者の体重1kg当たり約0.01mgから約50mg;または処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mgから約200mgである、
組成物。
【請求項5】
前記筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失ならびに/または代謝性疾患が、外傷性脳損傷(TBI)、多発性硬化症(MS)(再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行性MS(SPMS)、原発性進行性MS(PPMS)および進行型再発性MS(PRMS))、ループス(全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状(皮膚)、薬物誘発性ループス(dil)および新生児ループス)、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、若年発症成人型糖尿病(MODY:MODY1、MODY2、MODY3、MODY4、MODY5、MODY6、MODY7、MODY8、MODY9、MODY10、MODY11))、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、重症筋無力症(MG)(眼筋型重症筋無力症、先天性MGおよび全身型重症筋無力症)、関節リウマチ(RA)、グレーヴズ病、ギラン・バレー症候群(GBS)、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型、筋緊張性、先天性、エメリ・ドレフュス型、顔面肩甲上腕型、肢体型、遠位型および眼球咽頭型)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調症(フリードライヒ運動失調症、脊髄小脳性運動失調症1(SCA1)、脊髄小脳性運動失調症2(SCA2)、脊髄小脳性運動失調症3(SCA3)、脊髄小脳性運動失調症6(SCA6)、脊髄小脳性運動失調症7(SCA7)、脊髄小脳性運動失調症11(SCA11)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)およびグルテン運動失調症)、バッテン病または神経セロイドリポフスチン症(NCL)(乳児NCL(INCL)、後期乳児NCL(LINCL)、若年性NCL(JNCL)または成人型NCL(ANCL))、アルツハイマー病(早発性アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病および家族性アルツハイマー病(FAD))、視神経炎(ON)、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、自閉症スペクトラム障害(ASD)(アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、小児期崩壊性障害(CDD)および自閉症)、パーキンソン病(特発性パーキンソン病、血管パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソニズム、若年性パーキンソン病および非定型パーキンソニズム)、ウォルフラム症候群(および糖尿病の問題、聴力、視力、運動失調症、神経変性等の任意の関連状態)、脊髄性筋萎縮症(SMA;I、II、IIIおよびIV型)、騒音(発破および高騒音)に起因する聴力損失、加齢関連聴力損失、薬物誘発性聴力損失および/または遺伝性聴力損失、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、ウォルコット・ラリソン症候群、ミトコンドリア病、メタボリックシンドローム(血圧上昇、高血糖レベル、腰周りの過剰な体脂肪および異常なコレステロールレベル)および/または自己免疫障害インスリン抵抗性疾患、睡眠時無呼吸疾患、高血圧症、腎疾患、高血圧性疾患、肥満疾患、炎症性疾患、ならびに膝関節合併症をもたらす疾患からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記式IIの化合物が、以下の式:
【化8】
を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記式IIの化合物が、以下の式:
【化9】
を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記式IIの化合物が、以下の式:
【化10】
を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記式IIの化合物が、以下の式:
【化11】
を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記式IIの化合物が、以下の式:
【化12】
を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2016年3月7日に出願された米国仮出願第62/304,584号、および2017年2月17日に出願された米国仮出願第62/460,318号(これら全ては、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ウォルフラム症候群、ウォルコット・ラリソン症候群、ならびに小児、成人および高齢者集団における障害を含む、神経筋、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型)、神経筋変性、神経変性、自己免疫、発達、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、聴力損失関連および/または代謝性疾患を、逆転させる、減速させるまたは予防するための、疾患修飾処置の開発に関する。一態様では、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用を含む、神経筋、神経筋変性、神経変性、自己免疫、発達、CNSの外傷性疾患、聴力損失関連ならびに/またはウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む代謝性疾患および障害のための処置は、ジニトロフェノール(DNP)の1つまたは複数の異性体に関する。本発明はまた、二部構成のジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグの合成、ならびに脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用を含む、神経筋、神経筋変性、神経変性、自己免疫、発達、CNSの外傷性疾患、聴力損失関連ならびに/またはウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む代謝性疾患および障害の処置のためのプロドラッグおよび/または2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノールの使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
早期死亡に向かう、潜行性の神経筋、神経筋変性、神経変性、自己免疫、発達、外傷性、聴力損失関連および/または代謝性疾患の時間経過を大いに変化させるための薬物療法は、現在、全く存在せず、したがって、未だ満たされていない医療上の必要性がある。例えば、バッテン病の帰結の重症度によるNCL財団法人からの現在の勧告は、可能な限り早期に開始される緩和療法である。てんかんはバルプロエートおよびラモトリギンで、けいれんはバクロフェンおよびテトラゼパムで、ミオクローヌスてんかんはピラセタムおよびゾニサミドで処置される(NCL財団によって配布されたリーフレット)。
【0004】
筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリック病としても公知である)は、発症から3~5年以内に進行性衰弱および死亡につながる、脳幹、大脳皮質および脊髄の運動ニューロンにおけるニューロンの損失によって特徴付けられる、神経変性障害である。ALSについては、様々な処置があり、リルゾールを除いて、死への進行を抑えるために有効であると証明されたものはない。リルゾールは、生命を適度な程度に(数か月)延長し、患者が換気補助を必要とするまでの時間を延長するが、肝毒性(約10%)の徴候をモニターしなくてはならない。
【0005】
アルツハイマー病(AD)は、認知低下および時期尚早な死亡に対応する、脳内におけるニューロンの損失によって特徴付けられる障害である。多くの薬物療法の試みにもかかわらず、薬物は、患者の寿命を有意に変化させることができなかった。マイケル・J・フォックス、モハメド・アリ他に対するその影響で周知のパーキンソン病は、ドーパミン作動性ニューロンと呼ばれるドーパミン産生ニューロンのスローキラー(slow killer)である。現在の療法は、ドーパミンを置きかえることに焦点を合わせており、新たな進歩は長きにわたり為されていない。
【0006】
男児(X染色体)における小児神経筋疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、小児が、8歳で下肢装具、10歳で車椅子となるような侵攻性障害である。ジストロフィン遺伝子の損失は、それが発現されるただ2つの組織である脳および筋肉の両方に影響を及ぼす。ジストロフィンの損失は、ミトコンドリアの浸透膨潤、破裂、および筋肉消耗を引き起こす。他の形態の運動失調症、および多くの他の神経変性/神経筋変性疾患は、早期死亡に向かう疾患進行の経過を大いに変化させるための処置を有さない。多発性硬化症は、公知の病因がないCNSの自己免疫障害である。疾患発症が起こると、ミエリン鞘(神経線維または軸索を囲む絶縁体)は、免疫細胞によって攻撃され、脳と身体器官との間に神経機能不全を引き起こす。結果は、歩行を損なう四肢の不随意運動、視力/発話機能障害、膀胱および腸の機能不全等の幅広い神経学的症状である。寿命は適度に短縮されるのみであるが、MSは、典型的には、20~30歳で現れ始め、症状は時間とともに徐々に悪化する。現在、免疫抑制のための多くの薬物があるが、いずれもMSを処置するための「疾患修飾」ではなく、薬物のいずれも、疾患進行から保護するものではない。
【0007】
神経変性および自己免疫疾患に加えて、アンジェルマン症候群(AS)のような発達疾患、発達遅延に関連する小児神経発達障害、運動機能不全、発話欠乏、およびユビキチンリガーゼE3A(UBE3A)と呼ばれる刷り込み遺伝子における突然変異によって引き起こされるてんかんの処置のための未だ満たされていない医療上の必要性がある。同様に、レット症候群は、女児に影響を及ぼし(X染色体、男児はin-uteroで死亡する)、死亡につながる、小児変性疾患である。現在、呼吸器の問題、運動の問題、発作等を含む疾患の影響を処置するための療法はない。
【0008】
神経変性、神経筋、自己免疫および発達疾患の有用な処置に加えて、代謝性疾患の汎発流行は、栄養過多およびその後肥満の影響を解決するという問題の根本に働きかける極めて少ない薬物療法の選択肢を有する。肥満は、汎発流行性かつ解決困難である。世界中におよそ10億人の過体重成人がおり、300万人超が臨床的に肥満である。米国のみで、アメリカ人の35%が30超のBMIを持つことおよび400人のうち1人(約800,000の個体)が50のBMIを持つことを示す。肥満は、異所性脂質蓄積(例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患、NAFLD)および活性酸素種からの酸化的損傷につながり得る。結果として、肥満個体は、インスリン抵抗性、睡眠時無呼吸、高血圧症、腎疾患、炎症、膝関節合併症、うつ病、高血圧、心血管疾患、2型糖尿病(T2D)、およびさらには一部のがんを含む多数の他の疾患のリスクが増大する。少量(約5%)の体重減少であっても代謝上の利益を生じ得るが、ほとんどの患者にとって、そのような体重減少を達成し持続することは難しい。故に、肥満治療手術が肥満を逆転させるための最良の方法と現在うたわれている。人気は高まっているが、肥満治療手術は、多くの場合、カロリー摂取量の低減を本質的に強要する胃腸管への永久的な解剖学的変更を要する。これらの手順は、死亡率(1/200)ならびに創傷合併症および静脈血栓症等の短期および長期罹患率、ならびに、反応性低血糖症、微量栄養素欠乏、ダンピング症候群等を伴う。これらの手順は、極度の肥満(BMI>50kg/m)を持つ患者において追加の課題を突き付けるものである。肥満を是正するための薬学的アプローチは、吸収不良(例えば、オルリスタット)または満腹(例えば、リモナバン(rimonobant)、シブトラミン)を誘発することに焦点を合わせてきたが、最小限にしか有効(約5%体重)でなく、有意な有害作用(例えば、それぞれ、脂肪便、うつ病およびMI)を伴う。新たな薬理学的療法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
結果として、神経変性、神経筋、発達、自己免疫および/または代謝性疾患のための改善された処置が切実に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失に関連する疾患、震とう、外傷性脳損傷(TBI)、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失を処置するための組成物であって、ジニトロフェノール(DNP)、すなわち、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの1つまたは複数の異性体を含む、組成物を提供する。
【0011】
本発明の第2の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患処置するための組成物であって、前記組成物は、プロドラッグを含み、前記プロドラッグは、
2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのアミノ酸(AA)エステル(スキーム1、式I-1からI-10;スキーム2、式II-1からII-10;スキーム3、式III-1からIII-10;スキーム4、式IV-1からIV-10;スキーム5、式V-1からV-10;およびスキーム6、式VI-1からVI-10);
メチレンジオキシド(ホルムアルデヒド等価物)スペーサーを組み込んでいるAAエステル(スキーム1、式I-11からI-13;スキーム2、式II-11からII-13;スキーム3、式III-11からIII-13;スキーム4、式IV-11からIV-13;スキーム5、式V-11からV-13;およびスキーム6、式VI-11からVI-13);
アミノカルバメート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-14からI-17;スキーム2、式II-14からII-17;スキーム3、式III-14からIII-17;スキーム4、式IV-14からIV-17;スキーム5、式V-14からV-17;およびスキーム6、式VI-14からVI-17);
アミノカーボネート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-18およびI-19;スキーム2、式II-18およびII-19;スキーム3、式III-18およびIII-19;スキーム4、式IV-18およびIV-19;スキーム5、式V-18およびV-19;ならびにスキーム6、式VI-18およびVI-19);
ホスフェート類似体I-20、I-21、II-20、II-21、III-20、III-21、IV-20、IV-21、V-20、V-21、VI-20およびVI-21(スキーム1~6);
1,3ジケト類似体I-22からI-32、II-22からII-32、III-22からIII-32、IV-22からIV-32、V-22からV-32およびVI-22からVI-32(スキーム1~6);
カーボネートおよびカルバメート類似体I-33からI-39、II-33からII-39、III-33からIII-39、IV-33からIV-39、V-33からV-39およびVI-33からVI-39(スキーム1~6);
ベンゾエート類似体I-40、II-40、III-40、IV-40、V-40およびVI-40(スキーム1~6);
ならびにそれらの組合せ
からなる群より選択される、組成物を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患を処置するための組成物であって、遊離フェノール性官能基とのコンジュゲーションを介して水溶性プロドラッグ部分を分子に導入することによって変化させたホスフェートプロドラッグを含む、組成物を提供する。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0013】
本発明の第4の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患を処置するための、プロドラッグを含む組成物であって、前記プロドラッグは、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP「ジェミニ」プロドラッグからなる群より選択され、前記プロドラッグは、式VII:
【化7】
によって表される、組成物を提供する。
【0014】
本発明の第5の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患を処置するためのプロドラッグの組成物を合成する方法を提供する。一実施形態では、方法は、2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノール、および/または3,5-ジニトロフェノールを、5-(tert-ブチルジメチルシロキシ)イソフタロイルジクロリド(2)と、ピリジン/ジクロロメタンの存在下で反応させて、前駆体(3)を生じさせること、およびアセトン/HCl中でTBDMS保護基を除去して、プロドラッグを生じさせることを含む(スキーム7)。
【化8】
【0015】
本発明の第6の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患を処置するための組成物を提供し、前記組成物は、シトクロムP-450による酸化的代謝後に2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノールを放出する2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの生体前駆体を含み、ここで、生体前駆体は、式VIIIおよびIX(スキーム8;合成経路および酸化代謝を含む)
【化9】
によって表わされる。
【0016】
本発明の第7の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患を処置するための組成物であって、DNP単独の用量および放出と比較して、低用量での緩徐な持続した方式でDNPを放出するデポーナノ粒子製剤として送達される、開環官能基を含有するリンカーを有するDNPプロドラッグおよび生体前駆体を含む組成物を提供する。
【0017】
本発明の第8の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患の処置の方法であって、処置を必要とする患者にある用量の組成物を投与するステップを含み、ここで、組成物は、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP、二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグ;ジェミニプロドラッグ、生体前駆体分子、およびその組み合わせからなる群より選択され、活性薬物の用量は、処置を必要とする患者の体重1kg当たり約0.01mgから約50mg、または処置を必要とする患者の体重1kg当たり約0.01mgから約25mgである方法を提供する。
【0018】
本発明の第9の態様は、神経筋および/または神経変性および/または筋消耗を逆転させる、減速させるまたは予防するためのDNP処置によりエネルギー消費を増大させることおよび/またはBDNF mRNA発現およびタンパク質レベルを誘発することによる、外傷性脳損傷(TBI)、虚血性脳卒中、ハンチントン病(成人発症ハンチントン病、若年性ハンチントン病)、てんかん(群発発作、難治性発作、非定型欠神発作、無緊張発作、間代発作、ミオクローヌス発作、強直発作、強直・間代発作、単純部分発作、複雑部分発作、続発性全汎発作、熱性発作、非てんかん発作、笑いおよび泣き発作(Gelastic and Dacrystic Seizure)、ならびに欠神発作)、多発性硬化症(MS)(再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行性MS(SPMS)、原発性進行性MS(PPMS)および進行型再発性MS(PRMS))、ループス(全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状(皮膚)、薬物誘発性ループス(dil)および新生児ループス)、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、若年発症成人型糖尿病(MODY:MODY1、MODY2、MODY3、MODY4、MODY5、MODY6、MODY7、MODY8、MODY9、MODY10、MODY11))、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、統合失調症(妄想型統合失調症、解体型統合失調症、緊張型統合失調症、残遺型統合失調症、統合失調感情障害)、重症筋無力症(MG)(眼筋型重症筋無力症、先天性MGおよび全身型重症筋無力症)、関節リウマチ(RA)、グレーヴズ病、ギラン・バレー症候群(GBS)、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型、筋緊張性、先天性、エメリ・ドレフュス型、顔面肩甲上腕型、肢体型、遠位型および眼球咽頭型)、重症熱傷、加齢、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調症(フリードライヒ運動失調症、脊髄小脳性運動失調症1(SCA1)、脊髄小脳性運動失調症2(SCA2)、脊髄小脳性運動失調症3(SCA3)、脊髄小脳性運動失調症6(SCA6)、脊髄小脳性運動失調症7(SCA7)、脊髄小脳性運動失調症11(SCA11)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)およびグルテン運動失調症)、バッテン病または神経セロイドリポフスチン症(NCL)(乳児NCL(INCL)、後期乳児NCL(LINCL)、若年性NCL(JNCL)または成人型NCL(ANCL))、アルツハイマー病(早発性アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病および家族性アルツハイマー病(FAD))、視神経炎(ON)、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、自閉症スペクトラム障害(ASD)(アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、小児期崩壊性障害(CDD)および自閉症)、レット症候群、アンジェルマン症候群、リー病、プラダー・ウィリー症候群、脆弱性X症候群、うつ病(大うつ病、気分変調、産後うつ病、季節性感情障害、非定型うつ病、精神病性うつ病、双極性障害、月経前不快気分障害、状況的うつ病(Situational Depression))、パーキンソン病(特発性パーキンソン病、血管パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソニズム、若年性パーキンソン病および非定型パーキンソニズム)、ウォルフラム症候群(および糖尿病の問題、聴力、視力、運動失調症、神経変性等の任意の関連状態)、脊髄性筋萎縮症(SMA;I、II、IIIおよびIV型)、騒音(発破および高騒音)に起因する聴力損失、加齢関連聴力損失、薬物誘発性聴力損失および/または遺伝性聴力損失、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルコット・ラリソン症候群、ミトコンドリア病、発達障害、メタボリックシンドローム(血圧上昇、高血糖レベル、腰周りの過剰な体脂肪および異常なコレステロールレベル)および/または自己免疫障害の処置の方法を提供し、この方法は、処置を必要とする患者に.01mg/kgから50mg/kgの用量を投与するステップを含み、組成物は、神経変性神経筋、発達性、自己免疫および/または代謝性疾患、ならびにその組み合わせを処置するための2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP;二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグ;ジェミニプロドラッグ、生体前駆体分子からなる群から選択され、組成物の用量は処置を必要とする患者の体重1kg当たり約.01mgから50mgである。
【0019】
本発明の第10の態様は、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経変性疾患、神経筋疾患、神経筋変性疾患、発達疾患、自己免疫疾患、CNSの外傷性疾患、および/もしくは代謝性疾患、および/もしくは加齢に起因する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失に関連する疾患を処置するための方法に関し、方法は、有効な用量の本明細書に記載のDNP、またはその薬学的に許容される塩、あるいは任意のプロドラッグを、疾患の症状の寛解を達成するのに十分に長い期間にわたって投与する指示を提供するステップを含み、有効な用量のDNPおよび/またはそのプロドラッグが、0.001mg/kg体重から50mg/kg体重の用量範囲で受容されるように指示される。
【0020】
前述の概要、および下記の本発明の実施形態の詳細な記述は、添付の図面および図と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するための組成物であって、ジニトロフェノール(DNP):2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの1つまたは複数の異性体を含む、組成物。
(項目2)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するための組成物であって、遊離フェノール性官能基とのコンジュゲーションを介して水溶性プロドラッグ部分を分子に導入することによって変化させたDNPホスフェートプロドラッグを含む、組成物。
(項目3)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するための組成物であって、前記組成物は、プロドラッグを含み、前記プロドラッグは、
2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのアミノ酸(AA)エステル(スキーム1、式I-1からI-10;スキーム2、式II-1からII-10;スキーム3、式III-1からIII-10;スキーム4、式IV-1からIV-10;スキーム5、式V-1からV-10;およびスキーム6、式VI-1からVI-10);
メチレンジオキシド(ホルムアルデヒド等価物)スペーサーを組み込んでいるAAエステル(スキーム1、式I-11からI-13;スキーム2、式II-11からII-13;スキーム3、式III-11からIII-13;スキーム4、式IV-11からIV-13;スキーム5、式V-11からV-13;およびスキーム6、式VI-11からVI-13);
アミノカルバメート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-14からI-17;スキーム2、式II-14からII-17;スキーム3、式III-14からIII-17;スキーム4、式IV-14からIV-17;スキーム5、式V-14からV-17;およびスキーム6、式VI-14からVI-17);
アミノカーボネート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-18およびI-19;スキーム2、式II-18およびII-19;スキーム3、式III-18およびIII-19;スキーム4、式IV-18およびIV-19;スキーム5、式V-18およびV-19;ならびにスキーム6、式VI-18およびVI-19);
ホスフェート類似体I-20、I-21、II-20、II-21、III-20、III-21、IV-20、IV-21、V-20、V-21、VI-20およびVI-21(スキーム1~6);
1,3ジケト類似体I-22からI-32、II-22からII-32、III-22からIII-32、IV-22からIV-32、V-22からV-32およびVI-22からVI-32(スキーム1~6);
カーボネートおよびカルバメート類似体I-33からI-39、II-33からII-39、III-33からIII-39、IV-33からIV-39、V-33からV-39およびVI-33からVI-39(スキーム1~6);ならびに
ベンゾエート類似体I-40、II-40、III-40、IV-40、V-40およびVI-40(スキーム1~6);
ならびにそれらの組合せ
からなる群より選択される、組成物。
(項目4)
前記プロドラッグが、1~2のpHで安定である、項目2または3に記載の組成物。
(項目5)
前記プロドラッグが、4.5のpHで安定である、項目2または3に記載の組成物。
(項目6)
前記プロドラッグが、5~9のpHで安定である、項目2または3に記載の組成物。
(項目7)
経口的に投与される、項目1から6のいずれかに記載の組成物。
(項目8)
経口胃管栄養を介して投与される、項目1から6のいずれかに記載の組成物。
(項目9)
前記水溶性プロドラッグ部分が、前記遊離フェノール性官能基とのコンジュゲーションを介して前記分子に導入される、項目2から6のいずれかに記載の組成物。
(項目10)
プロドラッグリンカー部分が、前記プロドラッグの分子に水溶性特性を付与する、項目2から6のいずれかに記載の組成物。
(項目11)
前記プロドラッグが、柔軟なアルキルエーテルプロドラッグである、項目10に記載の組成物。
(項目12)
前記プロドラッグが、エチレンオキシ基を、アルキルオキシカルボニルメチル(AOCOM)およびN-アルキル-N-アルキルオキシカルボニルアミノメチル(NANAOCAM)プロドラッグ等のプロ部分に組み込んでいる、項目11に記載の組成物。
(項目13)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するための、プロドラッグを含む組成物であって、前記プロドラッグは、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP「ジェミニ」プロドラッグからなる群より選択され、前記プロドラッグは、式VII:
【化24】

によって表される、組成物。
(項目14)
前記プロドラッグが、1~2のpHで安定である、項目13に記載の組成物。
(項目15)
前記プロドラッグが、4.5のpHで安定である、項目13に記載の組成物。
(項目16)
前記プロドラッグが、5~9のpHで安定である、項目13に記載の組成物。
(項目17)
経口的に投与される、項目14から16のいずれかに記載の組成物。
(項目18)
経口胃管栄養を介して投与される、項目14から16のいずれかに記載の組成物。
(項目19)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するためのプロドラッグを合成するための方法であって、
2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPおよび/または3,5-DNPをOH保護オキシフタロイルジクロリドと塩基の存在下で反応させ、保護基を除去して、式VII:
【化25】

のプロドラッグを生じさせるステップ
を含む、方法。
(項目20)
前記プロドラッグが、1~2のpHで安定である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記プロドラッグが、4.5のpHで安定である、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記プロドラッグが、5~9のpHで安定である、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記プロドラッグが、経口的に投与される、項目20から22のいずれかに記載の方法。
(項目24)
前記プロドラッグが、経口胃管栄養を介して投与される、項目20から22のいずれかに記載の方法。
(項目25)
前記プロドラッグが、エステル基である、項目20から24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記プロドラッグが、立体障害エステルリンカーを前記プロドラッグの構造に組み込んでいる、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記プロドラッグが、カーボネートリンカーを前記プロドラッグの構造に組み込んでいる、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記プロドラッグが、カルバメートリンカーを前記プロドラッグの構造に組み込んでいる、項目24に記載の方法。
(項目29)
前記プロドラッグが、ホスフェートリンカーを前記プロドラッグの構造に組み込んでいる、項目24に記載の方法。
(項目30)
前記プロドラッグが、AOCOMおよびNANAOCAMベースのリンカーを前記プロドラッグの構造に組み込んでいる、項目24に記載の方法。
(項目31)
前記プロドラッグが、遊離フェノール性基を適切な親水性部分とコンジュゲートしている、項目24に記載の方法。
(項目32)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するための組成物であって、前記組成物は、シトクロムP-450による酸化的代謝後に2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPを放出する、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの1つまたは複数の生体前駆体を含み、前記生体前駆体は、式VIIIおよびIX:
【化26】

によって表される、組成物。
(項目33)
前記生体前駆体が、1~2のpHで安定である、項目32に記載の組成物。
(項目34)
前記生体前駆体が、4.5のpHで安定である、項目32に記載の組成物。
(項目35)
前記生体前駆体が、5~9のpHで安定である、項目32に記載の組成物。
(項目36)
経口的に投与される、項目32に記載の組成物。
(項目37)
経口胃管栄養を介して投与される、項目32から36のいずれかに記載の組成物。
(項目38)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患を処置するための組成物であって、前記組成物は、DNP単独の用量および放出と比較して、低用量での緩徐な持続した方式でDNPを放出するデポーナノ粒子製剤として送達される、開環官能基を含有するリンカーを有するDNPプロドラッグおよび生体前駆体を含む、組成物。
(項目39)
前記プロドラッグおよび前記生体前駆体が、1~2のpHで安定である、項目38に記載の組成物。
(項目40)
前記プロドラッグおよび前記生体前駆体が、4.5のpHで安定である、項目38に記載の組成物。
(項目41)
前記プロドラッグおよび前記生体前駆体が、5~9のpHで安定である、項目38に記載の組成物。
(項目42)
経口的に投与される、項目39から41のいずれかに記載の組成物。
(項目43)
経口胃管栄養を介して投与される、項目39から41のいずれかに記載の組成物。
(項目44)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患の処置のための方法であって、前記方法は、
処置を必要とする患者にある用量の組成物を投与するステップを含み、
ここで、前記組成物は、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP、二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグ;ジェミニプロドラッグ、生体前駆体分子sまたはその組み合わせのうちの1つまたは複数を含み、
前記組成物の前記用量は、処置を必要とする患者の体重1kg当たり約0.01mgから約25mg;または処置を必要とする患者の体重1kg当たり約0.01mgから約50mgである、方法。
(項目45)
脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患の処置のための方法であって、前記方法は、
処置を必要とする患者にある用量の組成物を投与するステップを含み、
ここで、前記組成物は、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP、二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグ;ジェミニプロドラッグ、生体前駆体分子sまたはその組み合わせのうちの1つまたは複数を含み、
前記組成物の前記用量は、処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mgから約200mgである、方法。
(項目46)
前記神経筋疾患、神経筋変性疾患、筋消耗疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失ならびに/または代謝性疾患が、外傷性脳損傷(TBI)、虚血性脳卒中、ハンチントン病(成人発症ハンチントン病、若年性ハンチントン病)、てんかん(群発発作、難治性発作、非定型欠神発作、無緊張発作、間代発作、ミオクローヌス発作、強直発作、強直・間代発作、単純部分発作、複雑部分発作、続発性全汎発作、熱性発作、非てんかん発作、笑いおよび泣き発作(Gelastic and Dacrystic Seizure)、ならびに欠神発作)、多発性硬化症(MS)(再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行性MS(SPMS)、原発性進行性MS(PPMS)および進行型再発性MS(PRMS))、ループス(全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状(皮膚)、薬物誘発性ループス(dil)および新生児ループス)、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、若年発症成人型糖尿病(MODY:MODY1、MODY2、MODY3、MODY4、MODY5、MODY6、MODY7、MODY8、MODY9、MODY10、MODY11))、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、統合失調症(妄想型統合失調症、解体型統合失調症、緊張型統合失調症、残遺型統合失調症、統合失調感情障害)、重症筋無力症(MG)(眼筋型重症筋無力症、先天性MGおよび全身型重症筋無力症)、関節リウマチ(RA)、グレーヴズ病、ギラン・バレー症候群(GBS)、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型、筋緊張性、先天性、エメリ・ドレフュス型、顔面肩甲上腕型、肢体型、遠位型および眼球咽頭型)、重症熱傷、加齢、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調症(フリードライヒ運動失調症、脊髄小脳性運動失調症1(SCA1)、脊髄小脳性運動失調症2(SCA2)、脊髄小脳性運動失調症3(SCA3)、脊髄小脳性運動失調症6(SCA6)、脊髄小脳性運動失調症7(SCA7)、脊髄小脳性運動失調症11(SCA11)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)およびグルテン運動失調症)、バッテン病または神経セロイドリポフスチン症(NCL)(乳児NCL(INCL)、後期乳児NCL(LINCL)、若年性NCL(JNCL)または成人型NCL(ANCL))、アルツハイマー病(早発性アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病および家族性アルツハイマー病(FAD))、視神経炎(ON)、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、自閉症スペクトラム障害(ASD)(アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、小児期崩壊性障害(CDD)および自閉症)、レット症候群、アンジェルマン症候群、リー病、プラダー・ウィリー症候群、脆弱性X症候群、うつ病(大うつ病、気分変調、産後うつ病、季節性感情障害、非定型うつ病、精神病性うつ病、双極性障害、月経前不快気分障害、状況的うつ病(Situational Depression))、パーキンソン病(特発性パーキンソン病、血管パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソニズム、若年性パーキンソン病および非定型パーキンソニズム)、ウォルフラム症候群(および糖尿病の問題、聴力、視力、運動失調症、神経変性等の任意の関連状態)、脊髄性筋萎縮症(SMA;I、II、IIIおよびIV型)、騒音(発破および高騒音)に起因する聴力損失、加齢関連聴力損失、薬物誘発性聴力損失および/または遺伝性聴力損失、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルコット・ラリソン症候群、ミトコンドリア病、発達障害、メタボリックシンドローム(血圧上昇、高血糖レベル、腰周りの過剰な体脂肪および異常なコレステロールレベル)および/または自己免疫障害インスリン抵抗性疾患、睡眠時無呼吸疾患、高血圧症、腎疾患、高血圧性疾患、肥満疾患、炎症性疾患、膝関節合併症をもたらす疾患、うつ病疾患、心血管疾患、ならびにがん疾患からなる群より選択される、項目44または45に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、臨床スコアとしてモニターされる通りの麻痺の進行を低下させるまたはブロックする際の、本発明の2つの化合物の比較効果を例証するチャートである(5mpk親対80mpkプロドラッグの同等の曝露において親(2,4-DNP)対プロドラッグ(II-38)を効能について比較するEAE MSモデル)。凡例:菱形 - プラセボ;正方形 - 2,4-DNP 5mpk;三角形 - II-38 8mpk;x - II-38 16mpk;アスタリスク - II-38 80mpk。順序回帰によるP値:2,4-DNP 5mpk=0.0192;II-38 8mpk=0.000954;II-38 16mpk=0.000124;II-38 80mpk=0.00014(cran projectからの順序パッケージを使用するロジスティック回帰モデルからの結果、www.cran.r-project.org)。
【0022】
図2図2は、プラセボマウスにおいて見られた体重減少を予防する際の、本発明の2つの化合物の比較効果を例証するチャートである(5mpk親対80mpkプロドラッグの同等の曝露において親(2,4-DNP)対プロドラッグ(II-38)を体重変化について比較するEAE MSモデル)。凡例:菱形 - プラセボ;正方形 - 2,4-DNP 5mpk;三角形 - II-38 8mpk;x - II-38 16mpk;アスタリスク - II-38 80mpk。いずれの用量も、体重を保つために有意である。順序回帰によるP値:2,4-DNP 5mpk=0.0188;II-38 8mpk<0.0001;II-38 16mpk=0.044;II-38 80mpk<0.0001。
【0023】
図3図3は、DNP(2,4-DNP)およびDNPのプロドラッグ(II-38)を含むin vivo騒音曝露実験の比較結果を例証するチャートであり;II-38+騒音閾値は、騒音単独群よりもおよそ20dB低い(良好な)5dBであり;DNP(2,4-DNP)+騒音閾値は、騒音単独よりも約10dB低い15dBであり、DNP(2,4-DNP)は騒音誘発性聴力損失から保護することができることを示唆していた。凡例:丸 - 対照(0dB);三角形(下向き) - II-38(5dB);三角形(上向き) - 2,4-DNP(15dB);丸(実線) - 騒音(25dB)。
【0024】
図4図4は、2,4-ジニトロフェニルモルホリン-4-カルボキシレートの単結晶X線回折の結果を例証する。
【0025】
図5図5は、8.04分で溶離されたII-38のクロマトグラムを例証する。
【0026】
図6図6は、HCl緩衝液、pH1.2中におけるII-38の平衡(溶解度)相を例証する。
【0027】
図7図7は、6.854および8.023分でそれぞれ溶離された、リン酸緩衝液、pH7.4中における2,4-DNPおよびII-38プロドラッグのクロマトグラムを例証する。
【0028】
図8図8は、pH=7.4のPB緩衝液中におけるII-38の安定性を例証する。
【0029】
図9図9は、SGF中における3.08分で溶離されたII-38のクロマトグラムを例証する。
【0030】
図10A図10Aは、pH=1.2のSGF中におけるII-38の安定性を例証する。
【0031】
図10B図10Bは、pH=1.2のSGF中におけるDNPモルホリンの安定性を例証する。
【0032】
図11図11は、SIF中における2.187分で溶離されたII-38のクロマトグラムを例証する。
【0033】
図12A図12Aは、pH=6.8のSIF中におけるII-38の安定性を例証する。
【0034】
図12B図12Bは、pH=6.8のSIF中におけるDNPモルホリノの安定性を例証する。
【0035】
図13図13は、ラット血漿中のII-38およびII-38から放出された2,4-DNPを例証する。凡例:菱形 - 2,4-DNP;丸 - II-38。
【0036】
図14図14は、ヒト血漿中のII-38およびII-38から放出された2,4-DNPを例証する。凡例:菱形 - 2,4-DNP;丸 - II-38。
【0037】
図15図15は、アセトニトリル中における2,4-DNPの較正基準を例証する。
【0038】
図16図16は、ラット血漿、n=5中における2,4-DNPの較正基準を例証する。
【0039】
図17図17は、ラット血漿、n=3中におけるII-38の検量線を例証する。
【0040】
図18図18は、ラットにおける2,4-DNPの1mg/kg(n=3)の単回iv注射または5mg/kg(n=4)の経口用量後の2,4-DNPの血漿中濃度対時間を例証する。凡例:菱形 - 2,4-DNP、iv、1mg/Kg;丸 - 2,4-DNP、経口、5mg/Kg。
【0041】
図19図19は、8mg/kgのII-38の経口用量(5mg/kgのII-38に相当)の投与後の、II-38およびII-38プロドラッグから放出された2,4-DNPの平均血漿中濃度対時間を例証する。凡例:菱形 - II-38、経口:5mg/Kgに相当;正方形 - 2,4-DNP、II-38から放出、経口。
【0042】
図20図20は、40mg/kgのII-38の経口用量(メトセル中で製剤化された25mg/kgのII-38に相当)の投与後の、II-38およびII-38プロドラッグから放出された2,4-DNPの平均血漿中濃度対時間を例証する。凡例:菱形 - 2,4-DNP、II-38から放出、経口;正方形 - II-38、経口:25mg/Kgに相当(メトセル)。
【0043】
図21図21は、40mg/kgのII-38の経口用量(PEG-400中で製剤化された25mg/kgのII-38に相当)の投与後の、II-38およびII-38プロドラッグから放出された2,4-DNPの平均血漿中濃度対時間を例証する。凡例:菱形 - 2,4-DNP、II-38から放出、経口;正方形 - II-38、経口:25mg/Kgに相当(PEG-400)。
【0044】
図22図22は、80mg/kgのII-38の経口用量(50mg/kgのII-38に相当)の投与後の、II-38およびII-38プロドラッグから放出された2,4-DNPの平均血漿中濃度対時間を例証する。凡例:菱形 - 2,4-DNP、II-38から放出、経口;正方形 - II-38、経口:50mg/Kgに相当。
【0045】
図23図23は、5mg/kgの用量の2,4-DNPならびにそれぞれ8、40(メトセル)、40(PEG-400)および80mg/kg(5、25(メトセル)、25(PEG-400)]および50mg/kgのDNPに相当)の用量でのII-38の投与後の、2,4-DNPおよびII-38から放出された2,4-DNPの平均血漿中濃度を例証する。n=4。凡例:菱形 - 2,4-DNP、経口、5mg/Kg;正方形(赤色) - 2,4-DNP、II-38から放出、5mgに相当;三角形 - 2,4-DNP、II-38から放出、25mg/Kgに相当(メトセル);正方形(紫色) - 2,4-DNP、II-38から放出、50mg/Kgに相当;正方形(青色) - 2,4-DNP、II-38から放出、25mg/Kgに相当(PEG-400)。
【発明を実施するための形態】
【0046】
定義:
以後、別段の定義がない限り、用語「プロドラッグ」は、体内で活性薬物に代謝的に変化する不活性または部分的に活性な薬物を指す。
【0047】
以後、用語「デポーナノ粒子製剤」は、別段の定義がない限り、神経変性または代謝性疾患を処置するための、広範な1)二部構成の(bipartite)2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノール、または3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグ、2)ジェミニプロドラッグおよび3)生体前駆体分子を含む、生体送達可能な(biodeliverable)ナノ粒子を指す。
【0048】
以後、別段の定義がない限り、用語「約」は、参照された値のプラスまたはマイナス10%を意味する。例えば、「約1mg/kg」は、0.9mg/kgから1.1mg/kgを意味する。
【0049】
以後、別段の定義がない限り、二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノールは、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPによって表され;各異性体のプロドラッグは、式I-VIにおいて表され、
2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのアミノ酸(AA)エステル(スキーム1、式I-1からI-10;スキーム2、式II-1からII-10;スキーム3、式III-1からIII-10;スキーム4、式IV-1からIV-10;スキーム5、式V-1からV-10;およびスキーム6、式VI-1からVI-10);
メチレンジオキシド(ホルムアルデヒド等価物)スペーサーを組み込んでいるAAエステル(スキーム1、式I-11からI-13;スキーム2、式II-11からII-13;スキーム3、式III-11からIII-13;スキーム4、式IV-11からIV-13;スキーム5、式V-11からV-13;およびスキーム6、式VI-11からVI-13);
アミノカルバメート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-14からI-17;スキーム2、式II-14からII-17;スキーム3、式III-14からIII-17;スキーム4、式IV-14からIV-17;スキーム5、式V-14からV-17;およびスキーム6、式VI-14からVI-17);
アミノカーボネート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-18およびI-19;スキーム2、式II-18およびII-19;スキーム3、式III-18およびIII-19;スキーム4、式IV-18およびIV-19;スキーム5、式V-18およびV-19;ならびにスキーム6、式VI-18およびVI-19);
ホスフェート類似体I-20、I-21、II-20、II-21、III-20、III-21、IV-20、IV-21、V-20、V-21、VI-20およびVI-21(スキーム1~6);
1,3ジケト類似体I-22からI-32、II-22からII-32、III-22からIII-32、IV-22からIV-32、V-22からV-32およびVI-22からVI-32(スキーム1~6);
カーボネートおよびカルバメート類似体I-33からI-39、II-33からII-39、III-33からIII-39、IV-33からIV-39、V-33からV-39およびVI-33からVI-39(スキーム1~6);
ベンゾエート類似体I-40、II-40、III-40、IV-40、V-40およびVI-40(スキーム1~6);
ならびにそれらの組合せ
からなる群より選択される。
【0050】
一実施形態では、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソンおよびハンチントン病等の神経変性疾患を処置するための組成物および方法を提供する。歴史的な成功の完全な欠如は、ほとんどの医薬品産業がプラーク/もつれ等の下流イベントに焦点を合わせていることによるものであるのに対し、問題は高い細胞ストレスを引き起こすミトコンドリアの上流にある可能性が高いと考えられている。アルツハイマー病のマウスモデルを慢性処置下でDNPにより処置する研究では、モリス水迷路において、疾患進行に多大な影響を有する短期記憶が著しく改善された。ドーパミン作動性ニューロンを破壊するために6-OHDAを使用するパーキンソンモデルにおける最近の研究からのデータは、DNPによる処置が、慢性処置で肯定的な保護効果を有することを示した。
【0051】
一実施形態では、本発明は、ハンチントン病を処置するための組成物および方法を提供する。ハンチントン病のモデルにおいて、17週間超にわたるDNPによる処置は、ドーパミンを受け取る有棘ニューロンに対する保護を示し、したがって、本発明の化合物および薬物は、この疾患の処置に理想的であるはずである。DNPは、ミトコンドリア内カルシウム濃度を低減させ、脳の外側でマイオカイン(筋肉保護剤)であるBDNFを誘発することによってミトコンドリア浸透膨潤を低減させることから、筋肉損失を予防するはずである。
【0052】
一実施形態では、本発明は、CNSにおけるDMDに関連する認知障害を処置するための組成物および方法を提供する。2,4-DNPは、例えば、CNSにおけるDMDに関連する認知障害に役立つはずである。
【0053】
一実施形態では、本発明は、アンジェルマンおよびレット症候群を処置するための組成物および方法を提供する。酸化ストレスは、神経発達を損なう役割を果たしているが、DNPが、明白なROS形成を予防し、BDNFを誘発し、発作持続活性を低減させるという事実は、小児を含むこれらの障害を患っている被験体において治療効果を有し得ると考えられている。
【0054】
一実施形態では、本発明は、肥満を処置するための組成物および方法を提供する。有効な体重減少、または、必ずしも体重の顕著な変化なく、異所性脂肪を低減させて、インスリン抵抗性、脂肪性肝疾患、2型糖尿病、心血管疾患等を改善するための機序への鍵は、エネルギー消費量(energy-out)に対するエネルギー摂取量(energy-in)に関する身体の不均衡を取り除き、エネルギーを浪費する機序を維持することである。故に、エネルギー消費を増強することに焦点を合わせ、代謝性疾患および栄養過多の表現型に対処する新たな薬理学的療法は、これらの疾患を患っている個体の生命に対して、劇的な効果を潜在的に有し得る。
【0055】
予備研究は、(1)野生型マウスにおけるミトコンドリアの化学的アンカプラー処置によるROS低減能力および寿命増加、ならびに(2)代謝プロファイルの改善を実証し、慢性的なミトコンドリアの化学的アンカップリング処置が安全であり、低用量(約1~50mg/日)で健康転帰を改善することを示唆している。これらの予備研究は、神経変性、神経筋、発達、自己免疫および/または代謝性疾患の代表的な動物モデル、ならびに、ヒトにおける脳卒中または虚血性イベント中等の明白なROS産生の他の事例において、DNPのようなミトコンドリアの化学的アンカプラー、および長時間放出のためのプロドラッグ製剤を評価する理論的根拠を実証している。
【0056】
一実施形態では、本発明の組成物および方法は、明白なROS産生を消失させ、マイトファジーによりミトコンドリア集団の質を改善し、脳由来神経栄養因子(Brain Derived Neurotrophin Factor)(BDNF)を誘発し、cAMPを増大させ、かつ/または細胞発現を再構築する、薬理学的介入に関する。一実施形態では、故に、本発明の薬物は、「疾患修飾」となる。一実施形態では、DNPのプロドラッグ(II-38)を、MOG35~55ミエリンペプチドの誘導の7日後、EAEと呼ばれる多発性硬化症のマウスモデルに投与した。DNPのプロドラッグ、II-38は、2,4-DNPまたはDNPへの曝露の倍数で投与した。いずれの化合物も、臨床スコアとしてモニターされる通りの麻痺の進行を低下させるまたはブロックする(図1)際、ならびにプラセボマウスにおいて見られた体重減少を予防する(図2)際に、著しい効果を提供した。DNPは、歴史的に1930年代において体重減少のために高用量で使用されていたにもかかわらず、低用量で神経変性/自己免疫疾患に関連する消耗を予防するように逆説的に再配置され得ることが、ここで示されている。
【0057】
一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、聴力損失を処置するために使用され得る。1つのそのような実施形態では、2、4-ジニトロフェノール(DNP)は、独立に、1mg/日から50mg/日;1mg/日から45mg/日;1mg/日から40mg/日;1mg/日から35mg/日;1mg/日から30mg/日;1mg/日から25mg/日;1mg/日から20mg/日;1mg/日から15mg/日;1mg/日から10mg/日;1mg/日から5mg/日;1mg/日から4mg/日;1mg/日から3mg/日;1mg/日から2mg/日;2mg/日から50mg/日;2mg/日から45mg/日;2mg/日から40mg/日;2mg/日から35mg/日;2mg/日から30mg/日;2mg/日から25mg/日;2mg/日から20mg/日;2mg/日から15mg/日;2mg/日から10mg/日;2mg/日から5mg/日;2mg/日から4mg/日;2mg/日から3mg/日;0.5mg/日から10mg/日;0.5mg/日から9mg/日;0.5mg/日から8mg/日;0.5mg/日から7mg/日;0.5mg/日から6mg/日;0.5mg/日から5mg/日;0.5mg/日から4mg/日;0.5mg/日から3mg/日;0.1mg/日から10mg/日;0.1mg/日から9mg/日;0.1mg/日から8mg/日;0.1mg/日から7mg/日;0.1mg/日から6mg/日;0.1mg/日から5mg/日;0.1mg/日から4mg/日;0.1mg/日から3mg/日から選択される用量範囲で使用され得る。1つのそのような実施形態では、2、4-ジニトロフェノール(DNP)は、独立に、約1mg/日から約50mg/日;約1mg/日から約45mg/日;約1mg/日から約40mg/日;約1mg/日から約35mg/日;約1mg/日から約30mg/日;約1mg/日から約25mg/日;約1mg/日から約20mg/日;約1mg/日から約15mg/日;約1mg/日から約10mg/日;約1mg/日から約5mg/日;約1mg/日から約4mg/日;約1mg/日から約3mg/日;約1mg/日から約2mg/日;約2mg/日から約50mg/日;約2mg/日から約45mg/日;約2mg/日から約40mg/日;約2mg/日から約35mg/日;約2mg/日から約30mg/日;約2mg/日から約25mg/日;約2mg/日から約20mg/日;約2mg/日から約15mg/日;約2mg/日から約10mg/日;約2mg/日から約5mg/日;約2mg/日から約4mg/日;約2mg/日から約3mg/日;約0.5mg/日から約10mg/日;約0.5mg/日から約9mg/日;約0.5mg/日から約8mg/日;約0.5mg/日から約7mg/日;約0.5mg/日から約6mg/日;約0.5mg/日から約5mg/日;約0.5mg/日から約4mg/日;約0.5mg/日から約3mg/日;約0.1mg/日から約10mg/日;約0.1mg/日から約9mg/日;約0.1mg/日から約8mg/日;約0.1mg/日から約7mg/日;約0.1mg/日から約6mg/日;約0.1mg/日から約5mg/日;約0.1mg/日から約4mg/日;約0.1mg/日から約3mg/日から選択される用量範囲で使用され得る。
【0058】
聴力損失を処置するための別のそのような実施形態では、本明細書に記載される通りの2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのプロドラッグは、DNPと同等の曝露(AUC)を達成する用量範囲で使用され得る。1つのそのような実施形態では、本明細書に記載される通りの2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのプロドラッグは、独立に、20mg/日から800mg/日;20mg/日から750mg/日;20mg/日から700mg/日;20mg/日から600mg/日;20mg/日から700mg/日;20mg/日から600mg/日;20mg/日から500mg/日;30mg/日から800mg/日;30mg/日から700mg/日;30mg/日から600mg/日;30mg/日から500mg/日;30mg/日から400mg/日;30mg/日から360mg/日;30mg/日から300mg/日;30mg/日から250mg/日;30mg/日から200mg/日;30mg/日から150mg/日;30mg/日から100mg/日;35mg/日から360mg/日;40mg/日から300mg/日;50mg/日から250mg/日;または60mg/日から200mg/日;5mg/日から500mg/日;5mg/日から400mg/日;5mg/日から300mg/日;5mg/日から200mg/日;5mg/日から100mg/日;5mg/日から50mg/日;5mg/日から40mg/日;または5mg/日から30mg/日から選択される用量範囲で使用され得る。別のそのような実施形態では、本明細書に記載される通りの2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのプロドラッグは、独立に、約20mg/日から約800mg/日;約20mg/日から約750mg/日;約20mg/日から約700mg/日;約20mg/日から約600mg/日;約20mg/日から約700mg/日;約20mg/日から約600mg/日;約20mg/日から約500mg/日;約30mg/日から約800mg/日;約30mg/日から約700mg/日;約30mg/日から約600mg/日;約30mg/日から約500mg/日;約30mg/日から約400mg/日;約30mg/日から約360mg/日;約30mg/日から約300mg/日;約30mg/日から約250mg/日;約30mg/日から約200mg/日;約30mg/日から約150mg/日;約30mg/日から約100mg/日;約35mg/日から約360mg/日;約40mg/日から約300mg/日;約50mg/日から約250mg/日;または約60mg/日から約200mg/日;約5mg/日から約500mg/日;約5mg/日から約400mg/日;約5mg/日から約300mg/日;約5mg/日から約200mg/日;約5mg/日から約100mg/日;約5mg/日から約50mg/日;約5mg/日から約40mg/日;または約5mg/日から約30mg/日から選択される用量範囲で使用され得る。
【0059】
明白な活性酸素種(ROS)は、耳の有毛細胞を損傷し得る騒音およびある特定の耳毒性薬物により産生され、一時的または永久的いずれかの聴力損失をもたらし得る。爆発波および連続的な騒音への曝露は、内耳を損傷しただけではなく、海馬における細胞死、神経発生の抑制および記憶機能障害も引き起こした。加齢もミトコンドリア機能不全として現れ、聴力損失につながり得る。下流の問題を標的とすることによって聴力損失を処置する試みがあまり有効ではないことが明らかになりつつある。一実施形態では、本発明の組成物および方法は、多くの障害の原因となることがあるミトコンドリアの上流における酸化ストレスを標的とすることに関する。酸化防止剤を投与する等の細胞ストレスを低下させるための様々な試みが為されてきたが、これらの薬物は、それらが形成された後、脳への限られた組織浸透およびより低いROSを有する。本発明者らは、極めて低用量の2,4-ジニトロフェノールで慢性的に処置された野生型マウスが、未処置マウスよりも長生きする処置マウスをもたらすことを観察した。理論に拘束されるものではないが、DNPは、単離されたミトコンドリアにおいておよび処置された野生型マウスにおいてROS形成を予防する際に有意な影響を有するミトコンドリア膜電位を変調することが想定される。虚血3時間後のDNP処置は、ペナンブラまたは「脅威にさらされた組織」を保護することによって脳梗塞体積を40%低減させ、発破(blast)後に内有毛細胞(inner hair cell)をさらなる(eminent)細胞死から保護する同様の利益を提供することができた。DNPには、80年前に体重減少のために高用量(約300mg)で100,000人超において使用された際の公知のリスクの利益が付属しているが、神経変性のモデルにおいて、非常に低いホルミシス用量(hormetic dose)で認知および学習を改善することが最近示された。多面的である薬理学は、ROS/mTORを低下させ、cAMP、CREBおよびBDNF等の保護因子を増大させることによって、幅広い神経保護を提供するように思われ、聴力損失を処置するために有用となり得る。DNPが、毒性であるという過去の、かつ共通の間違った教義に汚染されていたにもかかわらず、28日間の毒性試験が実行され、低用量のDNPが、非毒性であり、イオンチャネル、CYP、Caco-2等への阻害なしに少なくとも10倍の安全性指数を有し、多様な兆候を表している宿主CNSモデルにおいて治療的に著しい利益を提供することを実証し、それにより、内耳および脳中枢聴力ミトコンドリア機能不全のための考えられるメリットを示唆している。
【0060】
化学合成:
一実施形態では、GI管液中で可溶形態のプロドラッグを維持するために自己開裂可能なスペーサーおよび水可溶化部分を含有するプロドラッグが合成され、これは、次いで、沈殿なしで次第に親薬物に戻ることになる。一部の実施形態では、これらの化合物は、1,3ジケト類似体I-22からI-32、II-22からII-32、III-22からIII-32、IV-22からIV-32、V-22からV-32、およびVI-22からVI-32である(スキーム1~6)。プロドラッグの溶解度の増大およびよく分散された親薬物の高い膜透過性は、腸管腔を介して容易に吸収されるためのより高い駆動力を提供するであろう。プロドラッグから親薬物への変換は、生理的条件下でのイミド形成を介する独自の分子内環化脱離反応による、自己開裂可能なスペーサーにおける化学開裂を伴う。変換時間は、可溶化部分の構造、スペーサーの結合距離、アミン基のpKa、および媒質のpHを改変することによって調節可能である。in silicoで予測されたバイオアベイラビリティは低い場合があるが、独自のpH依存性および調節可能な加水分解機序を考慮すると、はるかに高くなる可能性が高い。また、親薬物の発生は酵素作用に依拠せず、これは、血漿中における酵素的プロドラッグ加水分解に関連する遺伝的変異性を扱う際に利点となり得る。
【0061】
他の実施形態では、ジニトロフェノールの1つまたは複数の異性体、すなわち、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPもしくは3,5-DNP、ならびに/または広範な1)二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールもしくは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグ、2)ジェミニプロドラッグ(Gemini prodrug)および3)生体前駆体分子が、神経変性または代謝性疾患を処置するために使用される。
【0062】
二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグの合成を実施することができ;プロドラッグは、以下からなる群より選択される:
2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのアミノ酸(AA)エステル(スキーム1、式I-1からI-10;スキーム2、式II-1からII-10;スキーム3、式III-1からIII-10;スキーム4、式IV-1からIV-10;スキーム5、式V-1からV-10;およびスキーム6、式VI-1からVI-10);
メチレンジオキシド(ホルムアルデヒド等価物)スペーサーを組み込んでいるAAエステル(スキーム1、式I-11からI-13;スキーム2、式II-11からII-13;スキーム3、式III-11からIII-13;スキーム4、式IV-11からIV-13;スキーム5、式V-11からV-13;およびスキーム6、式VI-11からVI-13);
アミノカルバメート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-14からI-17;スキーム2、式II-14からII-17;スキーム3、式III-14からIII-17;スキーム4、式IV-14からIV-17;スキーム5、式V-14からV-17;およびスキーム6、式VI-14からVI-17);
アミノカーボネート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-18およびI-19;スキーム2、式II-18およびII-19;スキーム3、式III-18およびIII-19;スキーム4、式IV-18およびIV-19;スキーム5、式V-18およびV-19;ならびにスキーム6、式VI-18およびVI-19);
ホスフェート類似体I-20、I-21、II-20、II-21、III-20、III-21、IV-20、IV-21、V-20、V-21、VI-20およびVI-21(スキーム1~6);
1,3ジケト類似体I-22からI-32、II-22からII-32、III-22からIII-32、IV-22からIV-32、V-22からV-32およびVI-22からVI-32(スキーム1~6);
カーボネートおよびカルバメート類似体I-33からI-39、II-33からII-39、III-33からIII-39、IV-33からIV-39、V-33からV-39およびVI-33からVI-39(スキーム1~6);
【0063】
ベンゾエート類似体I-40、II-40、III-40、IV-40、V-40およびVI-40(スキーム1~6);ならびにそれらの組合せ、ここでプロドラッグは、式I~VIによって表される:
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0064】
一部の実施形態では、広範な2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグを検討することができる。一部の実施形態では、プロドラッグは、式I-1からI-40、II-1からII-40、III-1からIII-40、IV-1からIV-40、V-1からV-40、およびVI-1からVI-40によって表され、検討される。仮想「ヒット」(すなわち、記載されている32のプロドラッグから、許容される「予測」経口バイオアベイラビリティおよび水溶性を持つプロドラッグ)を同定するために、Pharma AlgorithmsのADME-Tox計算器を利用するコンピューターによるスクリーニングが行われる。仮想スクリーニングは、合成および試験のために10の最良プロドラッグ分子を等級付けすることを可能にする。
[0060]2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのアミノ酸(AA)エステル(スキーム1、式I-1からI-10;スキーム2、式II-1からII-10;スキーム3、式III-1からIII-10;スキーム4、式IV-1からIV-10;スキーム5、式V-1からV-10;およびスキーム6、式VI-1からVI-10);メチレンジオキシド(ホルムアルデヒド等価物)スペーサーを組み込んでいるAAエステル(スキーム1、式I-11からI-13;スキーム2、式II-11からII-13;スキーム3、式III-11からIII-13;スキーム4、式IV-11からIV-13;スキーム5、式V-11からV-13;およびスキーム6、式VI-11からVI-13);アミノカルバメート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-14からI-17;スキーム2、式II-14からII-17;スキーム3、式III-14からIII-17;スキーム4、式IV-14からIV-17;スキーム5、式V-14からV-17;およびスキーム6、式VI-14からVI-17);アミノカーボネート2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ(スキーム1、式I-18およびI-19;スキーム2、式II-18およびII-19;スキーム3、式III-18およびIII-19;スキーム4、式IV-18およびIV-19;スキーム5、式V-18およびV-19;ならびにスキーム6、式VI-18およびVI-19);ホスフェート類似体I-20、I-21、II-20、II-21、III-20、III-21、IV-20、IV-21、V-20、V-21、VI-20およびVI-21(スキーム1~6);1,3ジケト類似体I-22からI-32、II-22からII-32、III-22からIII-32、IV-22からIV-32、V-22からV-32およびVI-22からVI-32(スキーム1~6);カーボネートおよびカルバメート類似体I-33からI-39、II-33からII-39、III-33からIII-39、IV-33からIV-39、V-33からV-39およびVI-33からVI-39(スキーム1~6);ベンゾエート類似体I-40、II-40、III-40、IV-40、V-40およびVI-40(スキーム1~6);ならびにそれらの組合せが考えられ得る。
【0065】
イオン化可能なアミン含有プロドラッグの例は、親化合物と比較して増大した水溶性を有する。加えて、AAエステルプロドラッグは、輸送体(例えば、小型ペプチド輸送体PEPT1)による能動的吸収に起因する経口バイオアベイラビリティをさらに増大させる可能性を有する。例えば、バリン含有プロドラッグであるバラシクロビルおよびバルガンシクロビルは、酵素PEPT1のための基質である。これらのAA含有プロドラッグは、GI管の刷子縁膜におけるアミノペプチダーゼ酵素によって加水分解されて親薬物となる。受動的透過によっておよび/または能動輸送によって末梢循環に浸透することができるプロドラッグは、血漿中の種々のペプチダーゼ酵素によって加水分解される。
【0066】
式I-20、I-21、II-20、II-21、III-20、III-21、IV-20、IV-21、V-20、V-21、VI-20およびVI-21の2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの2種類のホスフェートプロドラッグ(スキーム1~6)が合成される。ADME-Tox計算データによれば、ADME-Tox計算器による予測が主として分子の物理化学的特性に基づくという事実を踏まえると、これらのプロドラッグの経口バイオアベイラビリティは乏しくなり得る。リン酸は、高極性かつ広範囲にわたってイオン化されるプロ部分(pro-moiety)であるため、ホスフェートプロドラッグは、親薬物と比較して有意に減少した膜透過性を有し得る。
【0067】
式I-20、I-21、II-20、II-21、III-20、III-21、IV-20、IV-21、V-20、V-21、VI-20およびVI-21に示されている2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPのホスフェートプロドラッグ(スキーム1~6)、例えば、リン酸エステルの、経口プロドラッグとしての成功の理由は、1)ホスフェートプロドラッグはGI管液に高度に可溶性であるため、経口吸収が溶解速度によって限定されないこと;2)リン酸エステルが、GI管における親薬物の沈殿を防止するために十分化学的に安定であること;3)ホスフェートが、小腸を裏打ちする細胞、すなわち腸細胞の刷子縁表面上に豊富にある膜結合型アルカリホスファターゼによって急速に加水分解されることである。故に、より透過性の親薬物が放出され、腸細胞膜を容易に横断し、全身循環に入ることになる。
【化16】
【0068】
合成されたプロドラッグは、水溶性を確実にするように改変される。一部の実施形態では、動物への投薬前に、許容される溶解度を試験する。溶解度が問題であれば、遊離フェノール性官能基とのコンジュゲーションを介して水溶性プロドラッグ部分を分子に導入することによって、プロドラッグの構造を変化させる。他の実施形態では、プロドラッグ分子に水溶性特性を付与するプロドラッグリンカー部分が利用される。一部の実施形態では、あらゆる水溶性問題に対する解決策は、アルキルオキシカルボニルメチル(AOCOM)およびN-アルキル-N-アルキルオキシカルボニルアミノメチル(NANAOCAM)プロドラッグ等の、エチレンオキシ基をプロ部分に組み込んだ柔軟なアルキルエーテルプロドラッグ(soft alkyl ether prodrug)を利用することである。これらのプロドラッグは、フェノール薬物分子の送達に有用であり、良好な脂溶性を有する水分子と強く会合していることから、概して許容される水溶性および膜透過特徴を有することが分かっている。
【0069】
2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの「ジェミニ」プロドラッグの合成
ある実施形態では、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP「ジェミニ」プロドラッグは、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPを、トリホスゲンと、ジクロロメタン中、KCOの存在下で反応させて、2,4-ジニトロフェニルカルボノクロリデートを得て、これを、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、N-アルキルピペラジンのような塩基とさらに反応させて、スキーム9で例証されている通りのDNPプロドラッグを産出することによって調製されてよい。
【化17】
【0070】
一実施形態では、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP「ジェミニ」プロドラッグは、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPを、5-(tert-ブチルジメチルシロキシ)イソフタロイルジクロリド(2)と、ピリジン/ジクロロメタンの存在下で反応させて、前駆体(3)を生じさせ、次いで、TBDMS保護基をアセトン/HCl中で除去して、プロドラッグ(4)を生じさせ、血漿中での加水分解時に2当量の2,4-DNPを生じさせることによって調製される。(4)におけるプロドラッグリンカー部分はエステル基であるが、適切な持続放出動態を達成するために、立体障害エステルリンカー、カーボネートリンカー、カルバメートリンカー、ホスフェートリンカー、ならびにAOCOMおよびNANAOCAMベースのリンカー等の他の代替リンカーをプロドラッグ構造に組み込んでいてもよい。(4)における遊離フェノール性基の存在を利用して、これが必要であると考えられるならば、適切な親水性部分とのコンジュゲーションを介して水溶性を改善することもできる(スキーム10)。
【化18】
【0071】
2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP生体前駆体
シトクロムP-450による酸化的代謝後に2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPを放出し得る、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの生体前駆体を利用してよい。スキーム8は、ベンジル炭素におけるCyt P-450による酸化(酸化部位を矢印で示す)後に2および4当量の2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPを放出することができる、2つの生体前駆体の設計を示す。この酸化は、ベンジルCH基をCO基に変換して、エステル部分を生じさせ、次いで、これをエステル化分解によって開裂して、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPを生じさせることができる。生体前駆体の使用は、多くの場合、プロドラッグアプローチの良好な代替であり、2,4-DNPの代謝的に活性化された緩徐放出を提供し得る。
【化19】
【0072】
代替戦略コンジュゲーション
一部の実施形態では、開環官能基を含有するリンカーを持つDNPプロドラッグおよび生体前駆体が利用され、これは、「滴る(trickle)」薬物送達を可能にするように分子の薬物動態を変調するために、デンドリマー等のナノ粒子へのこれらの実体のそれぞれのコンジュゲーションを可能にする。そのようなDNPプロドラッグおよび生体前駆体は、DNP単独の用量および放出と比較して、低用量での緩徐な持続した方式でDNPを放出するデポーナノ粒子製剤として送達されて、考えられる毒性問題を回避する。
【0073】
ナノテクノロジーは、薬物粒子のバイオアベイラビリティを増大させるための機会を提示する。粒径の減少は、表面積の増大をもたらし、より速い溶解をもたらす。一部の実施形態では、減少は、小規模である。他の実施形態では、これは、バイオアベイラビリティの増大をもたらすのに十分であり得る。しかしながら、より速い溶解は、腸内の酸および酵素への曝露を克服するのに十分でない場合がある。加えて、経口インスリンの事例のように、この曝露は、より高用量の薬物を要する場合があり、生成物を破壊し有意な廃棄物を作製する、不必要で潜在的に望ましくない被験体曝露をもたらす。
【0074】
デポーナノ粒子製剤は、多くの場合、患者の系内における薬物の治療レベルを一度に数日または数週間にわたって保ちながら、投与部位からの薬物の緩徐吸収を提供するように特別に製剤化される。代替として、デポーナノ粒子製剤は、慢性薬物適用を必要とする患者に利便性を提供し得る。GI管への曝露なしに薬物を送達することにより、薬物分解の潜在的問題が回避される。その上、デポーナノ粒子製剤は、低頻度の投薬レジメンおよび利便性に起因するより良好なコンプライアンスを提供し得る。患者コンプライアンスを増強するであろうデポーナノ粒子製剤の追加の特徴は、注射部位における良好な局所耐性および投与の容易さである。良好な局所耐性は、注射部位における最小限の刺激および炎症を意味し、投与の容易さは、ある用量の特定の薬物製剤を投与するために要される針のサイズおよび時間の長さを指す。
【0075】
プロドラッグ/生体前駆体のin vitroおよびin vivo評価
本発明のプロドラッグおよび生体前駆体は、患者に経口的に投与された場合、幅広いpHおよび酵素と遭遇する。一実施形態では、プロドラッグ/生体前駆体は、GI管の環境内では安定であるが、GI管からの吸収後に血漿中の親薬物を持続様式で放出する。経口投薬は、化合物を、胃内でpH1から2、小腸の始まりにおいてpH4.5、小腸の平均pHとしてpH6.6、および結腸内で5から9のpHに曝露する。安定性指示方法は、緩衝水溶液および擬似GI液中で実施されて、GI管における2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ/生体前駆体の復元力(resilience)、およびラット血漿中における親薬物への酵素的変換に対するそれらの感受性も決定する。これらは、プロドラッグ候補の化学的安定性のin vitro評価に有用な方法である。
【0076】
水性緩衝液(37℃、pH1~9)中におけるpH安定性を決定する
1)擬似胃液(USP、37℃)中におけるGI安定性を決定する
2)擬似腸液(USP、37℃)中におけるGI安定性を決定する
3)ラット血漿(37℃)中における血漿:安定性を決定する
【0077】
単一化合物投薬研究を、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPプロドラッグ/生体前駆体候補に対して行って、それらの臨床的可能性を決定する。ほとんどの有望な前臨床プロドラッグ/生体前駆体候補は、胃腸管からインタクトに吸収され、血漿中で効率的に酵素的に開裂されて親薬物を生じさせる。プロドラッグおよび親薬物の存在および同定は、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの作用機序について重要な情報を提供することもでき、その同定は、構造-活性および構造最適化研究における検討のための新たな構造実体の選択において価値がある。
【0078】
薬物動態研究を、スプラーグドーリーラットにおいて最も有望なプロドラッグ/生体前駆体候補(すなわち、GI管において最大の安定性を呈し、ラット血漿中の2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの持続放出をin vitroおよびin vivoで生じさせる、プロドラッグ/生体前駆体)に対して行う。頚および大腿静脈にカテーテルを挿入したラットにおいて、経口的に投与されたプロドラッグについて完全なPKプロファイルを取得して、半減期(t1/2)、最大血漿中濃度(tmax)、最大血漿中濃度に達するまでの時間(tmax)、分布容積(Vss)、時間0から無限大までの血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC0~∞)、およびバイオアベイラビリティ(F%)、ならびにタンパク質結合等の他の重要なPKパラメーターを決定する。LC/MS/MSを分析的方法論として使用して、プロドラッグの上記の薬物動態パラメーター、ならびに、血漿中におけるプロドラッグから2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPへの酵素的変換から生じる2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNPの血漿中濃度および放出動態の両方を決定する。
【0079】
DNPは経口的に生体利用可能であり、ラットにおいて良好な分布および約6時間の半減期を持つが、プロドラッグアプローチは、プロドラッグ放出特徴の適切な設計によって、より低い濃度の親薬物(DNP)で血漿滞留時間を延長することを可能にする。
【0080】
ある実施形態では、神経筋、神経筋変性、神経変性、自己免疫、発達性、外傷性、聴力損失関連および/または代謝性疾患の処置のための組成物は、独立に、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP、二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグ;ジェミニプロドラッグ、生体前駆体分子、およびその組み合わせからなる群より選択される。
【0081】
一実施形態では、神経筋、神経筋変性、神経変性、自己免疫、発達性、外傷性、聴力損失関連および/または代謝性疾患の処置のための組成物、DNP、DNPプロドラッグ;ジェミニプロドラッグ、生体前駆体分子、およびその組み合わせの前述の実施形態のいずれかの用量は、処置を必要とする患者の体重1kg当たり約0.01mgから約50mg;処置を必要とする患者の体重1kg当たり約25mgから約100mg;または処置を必要とする患者の体重1kg当たり約25mgから約100mgであり得る。一実施形態では、神経筋、神経筋変性、神経変性、自己免疫、発達性、外傷性、聴力損失関連および/または代謝性疾患の処置のための組成物の前述の実施形態のいずれかの用量は、処置を必要とする患者の体重1kg当たり0.01mgから50mg;処置を必要とする患者の体重1kg当たり25mgから100mg;または処置を必要とする患者の体重1kg当たり25mgから100mgであり得る。実施形態では、本発明は、ある単位用量を含む、本明細書に記載される通りのDNPまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/またはプロドラッグの医薬組成物に関し、ここで、単位用量は、約0.1mgから約3000mgの範囲である。実施形態では、本発明は、ある単位用量を含む、本明細書に記載される通りのDNPまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物および/またはプロドラッグの医薬組成物に関し、ここで、単位用量は、0.1mgから3000mgの範囲である。
【0082】
一実施形態では、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患の処置のための、DNP、DNPプロドラッグ;ジェミニプロドラッグ、生体前駆体分子、およびその組み合わせの組成物の前述の実施形態のいずれかの用量は、独立に、約0.01mg/kgから約50mg/kg体重;約0.01mg/kgから約40mg/kg体重;約0.01mg/kgから約30mg/kg体重;約0.01mg/kgから約20mg/kg体重;約0.01mg/kgから約10mg/kg体重;約0.01mg/kgから約5mg/kg体重;約0.01mg/kgから約1mg/kg体重;約0.05mg/kgから約50mg/kg体重;約0.05mg/kgから約40mg/kg体重;約0.05mg/kgから約30mg/kg体重;約0.05mg/kgから約20mg/kg体重;約0.05mg/kgから約10mg/kg体重;約0.05mg/kgから約1.0mg/kg体重;約0.05mg/kgから約0.1mg/kg体重;約0.1mg/kgから約40mg/kg体重;約0.1mg/kgから約50mg/kg体重;約0.1mg/kgから約30mg/kg体重;約0.1mg/kgから約20mg/kg体重;約0.1mg/kgから約15mg/kg体重;約0.1mg/kgから約12mg/kg体重;約0.1mg/kgから約10mg/kg体重;約0.1mg/kgから約9mg/kg体重;約0.1mg/kgから約8mg/kg体重;約0.1mg/kgから約7mg/kg体重;約0.1mg/kgから約6mg/kg体重;約0.1mg/kgから約5mg/kg体重;約0.1mg/kgから約4mg/kg体重;約0.1mg/kgから約3mg/kg体重;約0.1mg/kgから約2mg/kg体重;0.1mg/kgから約1.0mg/kg体重;約0.3mg/kgから約20mg/kg体重;約0.3mg/kgから約15mg/kg体重;約0.3mg/kgから約12mg/kg体重;約0.3mg/kgから約10mg/kg体重;約0.3mg/kgから約9mg/kg体重;約0.3mg/kgから約8mg/kg体重;約0.3mg/kgから約7mg/kg体重;約0.3mg/kgから約6mg/kg体重;約0.3mg/kgから約5mg/kg体重;約0.3mg/kgから約4mg/kg体重;約0.3mg/kgから約3mg/kg体重;約0.3mg/kgから約2mg/kg体重;約0.3mg/kgから約1.0mg/kg体重;約0.5mg/kgから約15mg/kg体重;約0.5mg/kgから約12mg/kg体重;約0.5mg/kgから約10mg/kg体重;約0.5mg/kgから約9mg/kg体重;約0.5mg/kgから約8mg/kg体重;約0.5mg/kgから約7mg/kg体重;約0.5mg/kgから約6mg/kg体重;約0.5mg/kgから約5mg/kg体重;約0.5mg/kgから約4mg/kg体重;約0.5mg/kgから約3mg/kg体重;約0.5mg/kgから約2mg/kg体重;約0.5mg/kgから約1.0mg/kg体重;約0.8mg/kgから約15mg/kg体重;約0.8mg/kgから約12mg/kg体重;約0.8mg/kgから約10mg/kg体重;約0.8mg/kgから約9mg/kg体重;約0.8mg/kgから約8mg/kg体重;約0.8mg/kgから約7mg/kg体重;約0.8mg/kgから約6mg/kg体重;約0.8mg/kgから約5mg/kg体重;約0.8mg/kgから約4mg/kg体重;約0.8mg/kgから約3mg/kg体重;約0.8mg/kgから約2mg/kg体重;約0.8mg/kgから約1.0mg/kg体重;約1mg/kgから約3.0mg/kg身体;約1.5mg/kgから約3.0mg/kg身体;約1.0mg/kgから約2.0mg/kg身体;約2.0mg/kgから約3.0mg/kg身体;約0.5mg/kgから約2.5mg/kg体重;約0.5mg/kgから約2.0mg/kg体重から選択され得る。
【0083】
一実施形態では、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患の処置のための組成物の前出の実施形態のいずれかの用量は、独立に、0.01mg/kgから50mg/kg体重;0.01mg/kgから40mg/kg体重;0.01mg/kgから30mg/kg体重;0.01mg/kgから20mg/kg体重;0.01mg/kgから10mg/kg体重;0.01mg/kgから5mg/kg体重;0.01mg/kgから1mg/kg体重;0.05mg/kgから50mg/kg体重;0.05mg/kgから40mg/kg体重;0.05mg/kgから30mg/kg体重;0.05mg/kgから20mg/kg体重;0.05mg/kgから10mg/kg体重;0.05mg/kgから1.0mg/kg体重;0.05mg/kgから0.1mg/kg体重;0.1mg/kgから40mg/kg体重;0.1mg/kgから50mg/kg体重;0.1mg/kgから30mg/kg体重;0.1mg/kgから20mg/kg体重;0.1mg/kgから15mg/kg体重;0.1mg/kgから12mg/kg体重;0.1mg/kgから10mg/kg体重;0.1mg/kgから9mg/kg体重;0.1mg/kgから8mg/kg体重;0.1mg/kgから7mg/kg体重;0.1mg/kgから6mg/kg体重;0.1mg/kgから5mg/kg体重;0.1mg/kgから4mg/kg体重;0.1mg/kgから3mg/kg体重;0.1mg/kgから2mg/kg体重;0.1mg/kgから1.0mg/kg体重;0.3mg/kgから20mg/kg体重;0.3mg/kgから15mg/kg体重;0.3mg/kgから12mg/kg体重;0.3mg/kgから10mg/kg体重;0.3mg/kgから9mg/kg体重;0.3mg/kgから8mg/kg体重;0.3mg/kgから7mg/kg体重;0.3mg/kgから6mg/kg体重;0.3mg/kgから5mg/kg体重;0.3mg/kgから4mg/kg体重;0.3mg/kgから3mg/kg体重;0.3mg/kgから2mg/kg体重;0.3mg/kgから1.0mg/kg体重;0.5mg/kgから10mg/kg体重;0.5mg/kgから9mg/kg体重;0.5mg/kgから8mg/kg体重;0.5mg/kgから7mg/kg体重;0.5mg/kgから6mg/kg体重;0.5mg/kgから5mg/kg体重;0.5mg/kgから約4mg/kg体重;0.5mg/kgから3mg/kg体重;0.5mg/kgから2mg/kg体重;0.5mg/kgから1.0mg/kg体重;0.8mg/kgから15mg/kg体重;0.8mg/kgから12mg/kg体重;0.8mg/kgから8 10mg/kg体重;0.8mg/kgから9mg/kg体重;0.8mg/kgから8mg/kg体重;0.8mg/kgから7mg/kg体重;0.8mg/kgから6mg/kg体重;0.8mg/kgから5mg/kg体重;0.8mg/kgから4mg/kg体重;0.8mg/kgから3mg/kg体重;0.8mg/kgから2mg/kg体重;0.8mg/kgから1.0mg/kg体重;1mg/kgから3.0mg/kg身体;1.5mg/kgから3.0mg/kg身体;1.0mg/kgから2.0mg/kg身体;2.0mg/kgから3.0mg/kg身体;0.5mg/kgから2.5mg/kg体重;0.5mg/kgから2.0mg/kg体重から選択され得る。
【0084】
一実施形態では、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患の処置のための組成物の前出の実施形態のいずれかの用量は、独立に、処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mg/日から約300mg/日;約1mg/日から約200mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mg/日から約100mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mg/日から約50mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mg/日から約30mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mg/日から約20mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mg/日から約10mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり約1mg/日から約5mg/日であり得る。
【0085】
一実施形態では、脊髄性筋萎縮症(SMA)症候群(I、II、IIIおよびIV型とも呼ばれる、SMA1、SMA2、SMA3およびSMA4)、外傷性脳損傷(TBI)、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルフラム症候群およびウォルコット・ラリソン症候群を含む、神経筋疾患、神経筋変性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患、CNSの外傷性疾患、加齢に関連する聴力損失、騒音、薬物誘発性および/もしくは遺伝性聴力損失、ならびに/または代謝性疾患の処置のための組成物の前出の実施形態のいずれかの用量は、独立に、処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から300mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から200mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から100mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から50mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から30mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から20mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から10mg/日;処置を必要とする患者の体重70kg当たり1mg/日から5mg/日であり得る。
【0086】
一部の実施形態では、医薬組成物は、単位用量は約0.1mgから約3000mgの範囲である;単位用量は約0.1mgから約1000mgの範囲である;単位用量は約0.1mgから約500mgの範囲である;単位用量は約0.1mgから約100mgの範囲である;単位用量は約1mgから約50mgの範囲である;単位用量は約1mgである;単位用量は約2mgである;単位用量は約3mgである;単位用量は約4mgである;単位用量は約5mgである;単位用量は約5mgから約10mgの範囲である;単位用量は約6mgである;単位用量は約7mgである;単位用量は約8mgである;単位用量は約9mgである;単位用量は約10mgである;単位用量は約10mgから約15mgの範囲である;単位用量は約11mgである;単位用量は約12mgである;単位用量は約13mgである;単位用量は約14mgである;単位用量は約15mgである;単位用量は約15mgから約20mgの範囲である;単位用量は約16mgである;単位用量は約17mgである;単位用量は約18mgである;単位用量は約19mgである;単位用量は約20mgである;単位用量は約20mgから約30mgの範囲である;単位用量は約25mgである;単位用量は約30mgである;単位用量は約30mgから約40mgの範囲である;単位用量は約35mgである;単位用量は約40mgである;単位用量は約40mgから約50mgの範囲である;単位用量は約45mgである;単位用量は約50mgである;単位用量は約50mgから約100mgの範囲である;単位用量は約75mgである;単位用量は約100mgである;単位用量は約100mgから約200mgの範囲である;単位用量は約150mgである;単位用量は約200mgである;単位用量は約200mgから約300mgの範囲である;単位用量は約200mgである;単位用量は約250mgである;単位用量は約300mgである;単位用量は約350mgである;単位用量は約400mgである;単位用量は約450mgである;単位用量は約500mgである;単位用量は約750mgである;単位用量は約1000mgである;単位用量は約1500mgである;単位用量は約2000mgである;単位用量は約2500mgである;または単位用量は約3000mgである、から独立に選択される単位用量を含むDNP、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP、二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグあるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物または水和物からなる群から選択されるDNPを含む。
【0087】
一部の実施形態では、単位用量は0.1mgから3000mg;単位用量は0.1mgから1000mgの範囲の範囲である;単位用量は0.1mgから500mgの範囲である;単位用量は0.1mgから1000mgの範囲である;単位用量は0.1mgから500mgの範囲である;単位用量は0.1mgから100mgの範囲である;単位用量は1mgから50mgの範囲である;単位用量は1mgである;単位用量は2mgである;単位用量は3mgである;単位用量は4mgである;単位用量は5mgである;単位用量は5mgから10mgの範囲である;単位用量は6mgである;単位用量は7mgである;単位用量は8mgである;単位用量は9mgである;単位用量は10mgである;単位用量は10mgから15mgの範囲である;単位用量は11mgである;単位用量は12mgである;単位用量は13mgである;単位用量は14mgである;単位用量は15mgである;単位用量は15mgから20mgの範囲である;単位用量は16mgである;単位用量は17mgである;単位用量は18mgである;単位用量は19mgである;単位用量は20mgである;単位用量は20mgから30mgの範囲である;単位用量は25mgである;単位用量は30mgである;単位用量は30mgから40mgの範囲である;単位用量は35mgである;単位用量は40mgである;単位用量は40mgから50mgの範囲である;単位用量は45mgである;単位用量は50mgである;単位用量は50mgから100mgの範囲である;単位用量は75mgである;単位用量は100mgである;単位用量は100mgから200mgの範囲である;単位用量は150mgである;単位用量は200mgである;単位用量は200mgから300mgの範囲である;単位用量は200mgである;単位用量は250mgである;単位用量は300mgである;単位用量は350mgである;単位用量は400mgである;単位用量は450mgである;単位用量は500mgである;単位用量は750mgである;単位用量は1000mgである;単位用量は1500mgである;単位用量は2000mgである;単位用量は2500mgである;または単位用量は3000mgである、から独立に選択される単位用量を含むDNP、2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP、二部構成の2,3-ジニトロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、2,5-ジニトロフェノール、2,6-ジニトロフェノール、3,4-ジニトロフェノールまたは3,5-ジニトロフェノール(2,3-DNP、2,4-DNP、2,5-DNP、2,6-DNP、3,4-DNPまたは3,5-DNP)プロドラッグあるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物または水和物からなる群から選択されるDNPを含む。
【0088】
疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、単位用量は、即時放出形態である。疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、単位用量は、長時間放出形態である。疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、単位用量は、持続放出形態である。疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、単位用量は、制御放出形態である。疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、単位用量は、経口剤形である。一部の実施形態では、経口剤形は、錠剤である。疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、経口剤形は、カプセル剤である。疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、単位用量は、充填剤のないカプセル剤である。疾患の処置のための組成物の前述の実施形態の一部の実施形態では、経口剤形は、速溶性である。前述の実施形態のそれぞれにおいて、疾患は、神経変性神経筋、発達性、自己免疫および/または代謝性疾患および/または筋消耗を逆転させる、減速させるまたは予防処置するためのDNP処置によりエネルギー消費を増大させることおよび/またはBDNF mRNA発現およびタンパク質レベルを誘発することによる、外傷性脳損傷(TBI)、虚血性脳卒中、ハンチントン病(成人発症ハンチントン病、若年性ハンチントン病)、てんかん(群発発作、難治性発作、非定型欠神発作、無緊張発作、間代発作、ミオクローヌス発作、強直発作、強直・間代発作、単純部分発作、複雑部分発作、続発性全汎発作、熱性発作、非てんかん発作、笑いおよび泣き発作(Gelastic and Dacrystic Seizure)、ならびに欠神発作)、多発性硬化症(MS)(再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行性MS(SPMS)、原発性進行性MS(PPMS)および進行型再発性MS(PRMS))、ループス(全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状(皮膚)、薬物誘発性ループス(dil)および新生児ループス)、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、若年発症成人型糖尿病(MODY:MODY1、MODY2、MODY3、MODY4、MODY5、MODY6、MODY7、MODY8、MODY9、MODY10、MODY11))、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、統合失調症(妄想型統合失調症、解体型統合失調症、緊張型統合失調症、残遺型統合失調症、統合失調感情障害)、重症筋無力症(MG)(眼筋型重症筋無力症、先天性MGおよび全身型重症筋無力症)、関節リウマチ(RA)、グレーヴズ病、ギラン・バレー症候群(GBS)、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型、筋緊張性、先天性、エメリ・ドレフュス型、顔面肩甲上腕型、肢体型、遠位型および眼球咽頭型)、重症熱傷、加齢、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調症(フリードライヒ運動失調症、脊髄小脳性運動失調症1(SCA1)、脊髄小脳性運動失調症2(SCA2)、脊髄小脳性運動失調症3(SCA3)、脊髄小脳性運動失調症6(SCA6)、脊髄小脳性運動失調症7(SCA7)、脊髄小脳性運動失調症11(SCA11)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)およびグルテン運動失調症)、バッテン病または神経セロイドリポフスチン症(NCL)(乳児NCL(INCL)、後期乳児NCL(LINCL)、若年性NCL(JNCL)または成人型NCL(ANCL))、アルツハイマー病(早発性アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病および家族性アルツハイマー病(FAD))、視神経炎(ON)、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、自閉症スペクトラム障害(ASD)(アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、小児期崩壊性障害(CDD)および自閉症)、レット症候群、アンジェルマン症候群、リー病、プラダー・ウィリー症候群、脆弱性X症候群、うつ病(大うつ病、気分変調、産後うつ病、季節性感情障害、非定型うつ病、精神病性うつ病、双極性障害、月経前不快気分障害、状況的うつ病(Situational Depression))、パーキンソン病(特発性パーキンソン病、血管パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、薬物誘発性パーキンソニズム、若年性パーキンソン病および非定型パーキンソニズム)、ウォルフラム症候群(および糖尿病の問題、聴力、視力、運動失調症、神経変性等の任意の関連状態)、脊髄性筋萎縮症(SMA;I、II、IIIおよびIV型)、騒音(発破および高騒音)に起因する聴力損失、加齢関連聴力損失、薬物誘発性聴力損失および/または遺伝性聴力損失、震とう、乾性角結膜炎(ドライアイ疾患)、緑内障、シェーグレン症候群、関節リウマチ、レーシック手術後、抗うつ薬の使用、ウォルコット・ラリソン症候群、ミトコンドリア病、発達障害、メタボリックシンドローム(血圧上昇、高血糖レベル、腰周りの過剰な体脂肪および異常なコレステロールレベル)および/または自己免疫障害からなる群より独立に選択される。
【0089】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した外傷性脳損傷(TBI)の処置の方法を提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した震とうの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した虚血性脳卒中の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した重症熱傷の処置の方法に関する。
【0090】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したハンチントン病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した成人発症ハンチントン病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した若年性ハンチントン病の処置の方法に関する。
【0091】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したてんかんの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した群発発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した難治性発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した非定型欠神発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した無緊張発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した間代発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したミオクローヌス発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した強直発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した強直・間代発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した単純部分発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した複雑部分発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した続発性全汎発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した熱性発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した非てんかん発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した笑い発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した泣き発作の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、欠神発作の処置の方法に関する。
【0092】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した多発性硬化症(MS)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した二次性進行性MS(SPMS)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した原発性進行性MS(PPMS)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、進行型再発性MS(PRMS)の処置の方法に関する。
【0093】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した糖尿病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した1型糖尿病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した2型糖尿病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した若年発症成人型糖尿病(MODY)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY1の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY2の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY3の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY4の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY5の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY6の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY7の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY8の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY9の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY10の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したMODY11の処置の方法に関する。
【0094】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置の方法に関する。
【0095】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した筋ジストロフィーの処置の方法に関する。1つのそのような実施形態では、成人のためのそのような投薬量は、独立に、10mg/日から150mg/日;20mg/日から150mg/日;30mg/日から150mg/日;40mg/日から150mg/日;50mg/日から150mg/日;60mg/日から150mg/日;70mg/日から150mg/日;80mg/日から150mg/日;90mg/日から150mg/日;80mg/日から100mg/日;90mg/日から100mg/日;91mg/日から100mg/日92mg/日から100mg/日;93mg/日から100mg/日;94mg/日から100mg/日の範囲であるか;あるいは独立に、90mg/日;91mg/日;92mg/日;93mg/日;94mg/日;95mg/日;96mg/日;97mg/日;98mg/日または99mg/日の投薬量である。1つのそのような実施形態では、青年のためのそのような投薬量は、独立に、1mg/日から45mg/日;1mg/日から50mg/日;5mg/日から45mg/日;5mg/日から50mg/日;10mg/日から45mg/日;15mg/日から45mg/日;20mg/日から45mg/日;25mg/日から45mg/日;30mg/日から45mg/日;35mg/日から45mg/日;35mg/日から40mg/日の範囲であるか;あるいは独立に、35mg/日;35mg/日;37mg/日;38mg/日;39mg/日;40mg/日;41mg/日;42mg/日;43mg/日;44mg/日または45mg/日の投薬量である。別のそのような実施形態では、成人のためのそのような投薬量は、独立に、約10mg/日から約150mg/日;約20mg/日から約150mg/日;約30mg/日から約150mg/日;約40mg/日から約150mg/日;約50mg/日から約150mg/日;約60mg/日から約150mg/日;約70mg/日から約150mg/日;約80mg/日から約150mg/日;約90mg/日から約150mg/日;約80mg/日から約100mg/日;約90mg/日から約100mg/日;約91mg/日から約100mg/日;約92mg/日から約100mg/日;約93mg/日から約100mg/日;約94mg/日から約100mg/日の範囲であるか;あるいは独立に、約90mg/日;約91mg/日;約92mg/日;約93mg/日;約94mg/日;約95mg/日;約96mg/日;約97mg/日;約98mg/日または約99mg/日の投薬量である。別のそのような実施形態では、青年のためのそのような投薬量は、独立に、約1mg/日から約45mg/日;約1mg/日から約50mg/日;約5mg/日から約45mg/日;約5mg/日から約50mg/日;約10mg/日から約45mg/日;約15mg/日から約45mg/日;約20mg/日から約45mg/日;約25mg/日から約45mg/日;約30mg/日から約45mg/日;約35mg/日から約45mg/日;約35mg/日から約40mg/日の範囲であるか;あるいは独立に、約35mg/日;約35mg/日;約37mg/日;約38mg/日;約39mg/日;約40mg/日;約41mg/日;約42mg/日;約43mg/日;約44mg/日または約45mg/日の投薬量である。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したベッカー型筋ジストロフィーの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した筋緊張性筋ジストロフィーの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した先天性筋ジストロフィーの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したエメリ・ドレフュス型筋ジストロフィーの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した肢体型筋ジストロフィーの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した遠位型筋ジストロフィーの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した眼球咽頭型筋ジストロフィーの処置の方法に関する。
【0096】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した運動失調症の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したフリードライヒ運動失調症の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した脊髄小脳性運動失調症1(SCA1)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、バッテン病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した神経セロイドリポフスチン症(NCL)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した乳児NCL(INCL)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した後期乳児NCL(LINCL)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した若年性NCL(JNCL)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した成人型NCL(ANCL)の処置の方法に関する。
【0097】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したアルツハイマー病の処置の方法に関する。1つのそのような実施形態では、そのような投薬量は、独立に、1mg/日から45mg/日;5mg/日から45mg/日;10mg/日から45mg/日;15mg/日から45mg/日;20mg/日から45mg/日;25mg/日から45mg/日;30mg/日から45mg/日;35mg/日から45mg/日;35mg/日から40mg/日の範囲であるか;あるいは独立に、31mg/日;32mg/日;33mg/日;34mg/日;35mg/日;36mg/日;37mg/日;38mg/日;39mg/日または40mg/日の投薬量である。別のそのような実施形態では、そのような投薬量は、独立に、約1mg/日から約45mg/日;約5mg/日から約45mg/日;約10mg/日から約45mg/日;約15mg/日から約45mg/日;約20mg/日から約45mg/日;約25mg/日から約45mg/日;約30mg/日から約45mg/日;約35mg/日から約45mg/日;約35mg/日から約40mg/日の範囲であるか;あるいは独立に、約31mg/日;約32mg/日;約33mg/日;約34mg/日;約35mg/日;約36mg/日;約37mg/日;約38mg/日;約39mg/日または約40mg/日の投薬量である。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した早発性アルツハイマー病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した遅発性アルツハイマー病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した家族性アルツハイマー病(FAD)の処置の方法に関する。
【0098】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した視神経炎(ON)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した自閉症スペクトラム障害(ASD)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したレット症候群の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したアンジェルマン症候群の処置の方法に関する。
【0099】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したパーキンソン病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した特発性パーキンソン病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した血管パーキンソニズムの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したレビー小体型認知症の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した遺伝性パーキンソン病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した薬物誘発性パーキンソニズムの処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した若年性パーキンソン病の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した非定型パーキンソニズムの処置の方法に関する。
【0100】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したウォルフラム症候群の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したウォルフラム症候群に付随した糖尿病の問題の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したウォルフラム症候群に付随した聴力の問題の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したウォルフラム症候群に付随した視力の問題の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したウォルフラム症候群に付随した運動失調症の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したウォルフラム症候群に付随した神経変性の処置の方法に関する。
【0101】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したIII型脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用したIV型SMAの処置の方法に関する。
【0102】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した騒音に起因する聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した発破騒音に起因する聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した高騒音に起因する聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した加齢関連聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した、薬物誘発性聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した遺伝性聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した震とうに起因する聴力損失の処置の方法に関する。一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物および投与量の実施形態を使用した外傷性脳損傷(TBI)に起因する聴力損失の処置の方法に関する。
【0103】
一部の実施形態では、単位用量は、静脈内に送達される。一部の実施形態では、単位用量は、生理食塩水とともに点滴静注によって送達される。一部の実施形態では、単位用量は、生理食塩水、他の薬剤、ビタミンおよび/または栄養物とともに点滴静注によって送達される。一部の実施形態では、単位用量は、皮下に送達される。一部の実施形態では、単位用量は、局所的に送達される。一部の実施形態では、単位用量は、経皮的に送達される。一部の実施形態では、単位用量は、パッチ剤の形態である。
【0104】
用量は、毎日単回用量、毎日2回用量として、毎日3回、またはより高頻度で投与されてもよい。用量は、毎週3回、毎週2回、毎週1回、またはより低頻度で投与されてもよい。ある実施形態では、投与頻度は、1日に1~5回であり得る。別の実施形態では、投与頻度は、1日に2~4回であり得る。別の実施形態では、投与頻度は、1日に少なくとも3回であり得る。別の実施形態では、投与頻度は、1日に2回であり得る。別の実施形態では、投与頻度は、1日に1回であり得る。別の実施形態では、投与頻度は、1日に1回より低い頻度であり得る。別の実施形態では、投与頻度は、2日毎に1回または3日毎に1回または4日毎に1回または5日毎に1回または6日毎に1回であり得る。別の実施形態では、投与頻度は、1週間に1回であり得る。別の実施形態では、投与頻度は時間とともに変化してもよく、ある特定の速度、例えば、1日に1回または2回で開始し、次いで、処置の初日の後、より低頻度、例えば、2日毎に1回または3日毎に1回、または1週間に1回に減少させる.別の実施形態では、投与頻度は時間とともに変化してもよく、ある特定の速度、例えば、1日に1回または2回で開始し、次いで、処置の最初の2または3日の後、より低頻度、例えば、2日毎に1回または3日毎に1回、または1週間に1回に減少させる.別の実施形態では、投与頻度は時間とともに変化してもよく、ある特定の速度、例えば、1日に1回または2回で開始し、次いで、処置の最初の週の後、より低頻度、例えば、2日毎に1回または3日毎に1回、または1週間に1回に減少させる.別の実施形態では、投与頻度は、治療的処置が要求または所望される場合、オンデマンドであり得る。
【0105】
本明細書に包含される開示に基づいて、被験体が追加のおよび/または継続的な用量を必要としているか否かをいかにして決定するかが理解されるであろう。選択された投薬頻度が、活性成分の投薬量の調整を要する場合があることも理解されるであろう。本明細書に包含される開示に基づいて、活性成分の選択された投薬量が、投薬頻度の調整を要する場合があることも理解されるであろう。本明細書に包含される開示は、当該技術分野の技術と組み合わせて、当業者が、それを必要とする被験体を処置するために、活性成分の投薬量および活性成分の投与の頻度の両方を最適化することを可能にするであろう。
【0106】
単位用量は、患者のサイズに基づいて調整されてもよい。一実施形態では、本明細書において提供される数字は、60kgの患者に基づくものである。用量サイズをそれぞれ低減させるまたは増大させることにより、同じ療法をより小さいまたはより大きいサイズの患者に提供することができる。ほんの一例として、20kgの小児患者は、60kgの成人患者よりもはるかに小さい用量を必要とするであろう。
【0107】
DNPについて1日1回PKプロファイルを達成するために、制御放出テクノロジー(ポリマー、リポソーム等)等の製剤アプローチが用いられる。一部の実施形態では、開環官能基を含有するリンカーを持つDNPプロドラッグおよび生体前駆体が合成され、これは、「滴る」薬物送達を可能にするように分子の薬物動態を変調するために、デンドリマー等のナノ粒子へのこれらの実体のそれぞれのコンジュゲーションを可能にする。そのようなDNPプロドラッグおよび生体前駆体は、DNP単独の用量および放出と比較して、低用量での緩徐な持続した方式でDNPを放出するデポーナノ粒子製剤として送達されて、考えられる毒性問題を回避する。in vitro安定性、in vivo血漿放出動態およびPKプロファイルを評価する。in vivo研究は、スプラーグドーリーラットにおいて行う。LC/MS/MSを使用して、種々のプロドラッグ-ナノ粒子製剤から放出された血漿DNPを分析して、ラットモデルにおけるDNP放出のPKプロファイルを決定する。
【0108】
下記の実施例は、本発明をさらに詳細に記述するものである。これらの実施例は、例証のみを目的として提供されるものであり、本発明を何ら限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0109】
2,4-ジニトロフェニルモルホリン-4-カルボキシレートの合成:2,4-DNP(1mmol)を、トリホスゲン(0.5mmol)と、ジクロロメタン中、KCO(1mmol)の存在下で反応させて、2,4-ジニトロフェニルカルボノクロリデートを得て、これを、モルホリン(1.1mmol)と0~5℃でさらに反応させて、DNP-モルホリンプロドラッグを産出する。
【化20】
【0110】
2,4-ジニトロフェニルモルホリン-4-カルボキシレート分析データ:GC MS: M, 297.1, HRMS: 298.0683 (M+H)H NMR (400 MHz, CDCl): δ 3.57-3.59 (m, 2 H, CH), 3.72-3.73 (m, 2H, CH), 3.73-3.80 (m, 4H, 2 x OCH), 7.53 (dd, 1H, Ar-H), 8.48-8.51 (dd, 1H, Ar-H), 8.94 (d, 1H, Ar-H) ppm. 13C NMR (75 MHz, CDCl): δ 44.99, 45.69, 66.62, 66.78, 121.94, 126.84, 129.18, 141.90, 144.85, 149.64, 151.10 ppm.
【0111】
2,4-ジニトロフェニルピペリジン-1-カルボキシレートの合成:2,4-DNP(1mmol)を、トリホスゲン(0.5mmol)と、ジクロロメタン中、KCO(1mmol)の存在下で反応させて、2,4-ジニトロフェニルカルボノクロリデートを得て、これを、ピペリジン(1.1mmol)と0~5℃でさらに反応させて、DNP-モルホリンプロドラッグを産出する。
【化21】
【0112】
2,4-ジニトロフェニルピペリジン-1-カルボキシレート分析データ:GC MS: M, 295.1, H NMR (400 MHz, CDCl): δ 1.68 (m, 6 H, 3 xCH), 3.49-3.51 (m, 2H, CH), 3.64(m, 2H, CH), 7.52 (d, 1H, Ar-H), 8.45 (dd, 1H, Ar-H), 8.89 (d, 1H, Ar-H) ppm. 13C NMR (75 MHz, CDCl): δ 24.05, 25.44, 25.67, 45.77, 46.67, 121.48, 126.52, 128.66, 141.73, 144.22, 149.74, 150.66 ppm.
【0113】
2,4-ジニトロフェニル4-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの合成:2,4-DNP(1mmol)を、トリホスゲン(0.5mmol)と、ジクロロメタン中、KCO(1mmol)の存在下で反応させて、2,4-ジニトロフェニルカルボノクロリデートを得て、これを、N-メチルピペラジン(1.1mmol)と0~5℃でさらに反応させて、DNP-N-メチルピペラジンプロドラッグを産出する。GCMSが合致:310.26。
【化22】
【0114】
2,4-ジニトロフェニル4-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)ベンゾエートの合成:4-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)安息香酸(1mmol)を、ジクロロメタン中、塩化チオニル(1.25mmol)と還流させて、その酸塩化物、4-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)ベンゾイルクロリドを得て、これを、フェノール(1mmol)と、トリエチルアミン(2.0mmol)の存在下でさらに反応させて、2,4-ジニトロフェニル4-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)ベンゾエートの最終生成物を生じさせる。
【化23】
【0115】
2,4-ジニトロフェニル4-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)ベンゾエート分析データ:H NMR (400 MHz, CDCl); δ 1.60 (s, 2H), 1.96 (s, 4H), 3.08 (bs, 1H, 4H), 3.32 (s, 2H, N-CH), 4.56 (s, 2H, O-CH), 7.04 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.56-8.58 (q, J= 2.4 Hz, 8.8 Hz, 1 H), 8.99 (d, J = 2.8 Hz, 1H ) ppm.H NMR (75 MHz, CDCl); δ 22.42, 23.59, 54.48, 56.51, 64.04, 114.95, 120.59, 121.78, 126.95, 129.11, 133.23, 141.96, 145.01, 149.10, 162.91, 163.00 ppm.
【0116】
序論:雄スプラーグドーリー雄ラットにおける2,4-DNPおよびそのプロドラッグII-38の薬物動態分析およびバイオアベイラビリティ研究
【0117】
2,4-DNPは、ミトコンドリアによる細胞におけるエネルギー(ATP)産生を阻害する、生化学的に活性なアンカプラー有機化合物である。2,4-DNPは肥満の処置に使用されてきたが、食事制限剤(dieting agent)としてのその乱用が、致命的な重度の副作用につながってきた。漸増用量のDNPの使用を限定する要因は、アンカップリング中に産生される熱に起因する体温の過度な上昇である。したがって、DNP過剰摂取は、致命的な高体温を引き起こし、体温が致命的な高温に上昇して、死亡につながることになる。後の重度の有害作用のために、臨床用量は患者の耐性に従ってゆっくりと滴定された。したがって、より良好なPKを持つ2,4-DNPのプロドラッグ設計は、より低い用量の2,4-DNPを体内に送達するのに役立ち、過剰投薬量を防止する。II-38プロドラッグは、薬物送達系として合成され、その最終目標は、生血漿中におけるその親薬物(2,4-DNP)の放出を達成することであった。この研究は、II-38のin vitro化学的および酵素的安定性ならびにII-38およびその親化合物(すなわち、II-38から放出された2,4-DNP)の薬物動態(PK)プロファイルを調査するものである。
【0118】
(実施例1:II-38のin vitro化学的および酵素的安定性研究)
pH1.2および7.4に調整した化学緩衝液ならびに擬似胃液および擬似腸液中、ならびにラットおよびヒト血漿中における、II-38プロドラッグの安定性を24時間の時間経過にわたって決定するため。プロドラッグは、患者に経口的に投与された場合、幅広いpHに遭遇する。経口投薬は、化合物を、胃内でpH1から2、小腸の始まりにおいてpH4.5、小腸の平均pHとしてpH6.6、および結腸内でpH5から9に曝露する。これらは、II-38としてのプロドラッグ候補の化学的安定性のin vitro評価に有用なpHである。下記の実験を水溶液中で実施して、GI管におけるII-38プロドラッグの安定性、および血漿中における親薬物(2,4-DNP)への酵素的加水分解に対する感受性を決定した:
pH:水性緩衝液(37℃、pH1.2および7.4)中における安定性
GI:擬似胃液(USP、37℃)中における安定性
GI:擬似腸液(USP、37℃)中における安定性
血漿:ラットおよびヒト血漿(37℃)中における安定性
【0119】
HPLCクロマトグラフィー条件
HPLC分析は、フォトダイオードアレイ検出器およびコンピューター統合装置を装備したAgilent1200インフィニティーシリーズQuatpumpで行った。ガードカラム:Alltima C18、5μm、4.6×7.5mm(Grace Discovery Sciences、IL、USA)で保護したInertsil ODS-3カラム、C18、5μm、4.6×50mm(ジーエルサイエンス株式会社、日本)を、固定相として使用した。それぞれに0.05%ギ酸を含有する水/アセトニトリル(70:30)からなる移動相を用いる均一濃度方法を使用した。0.9mL/分の流量を使用し、検出は250nmのUV波長で行った。
【0120】
塩酸(HCl)緩衝液、pH1.2中におけるII-38の安定性
塩酸、pH1.2緩衝液を調製した。II-38(2.5mg)を0.125mLのDMSO(5%)に溶解した。DMSOに溶解したII-38を、37℃に予熱したフランツセル拡散チャンバー内の、全体積2.375mLのHCl緩衝液、pH1.2(表1)に、ゆっくりと次第に添加することにより、反応を開始した。溶液を、30分毎に30秒間にわたって、磁気撹拌器を使用して混合した。20μLの試料(20μg/mLのII-38)を、0、1、2、4、6および8時間で収集した。各試料を1mLになるまで適量のアセトニトリルと混合し、30秒間にわたってボルテックス混合し、10,000rpmにて室温で遠心分離した。10μLの体積の上清を、HCl緩衝液、pH1.2中における2,4-DNPおよびII-38の検出のためにHPLC分光計に注入した。
【表1】
図5に提示される通り、8.04分で溶離した単一のクロマトグラムによって指示されるように、8時間以内にII-38の有意な加水分解は起こらなかった。0から2時間の間に見られる傾きは、HCl緩衝液中におけるII-38の平衡(溶解度)相を表す(図6)。
【0121】
リン酸緩衝液、pH7.4中におけるII-38の安定性
リン酸緩衝液(PB)中におけるII-38の製剤:1mg/mLのPB中II-38を製剤化するために、2.6mgのII-38を0.13mLのDMSO中で製剤化し(すなわち、5%)、37℃に予熱したフランツセル拡散チャンバー内の、全体積2.47mLの予熱したPB(表2)に、ゆっくりと次第に添加した。溶液を、30分毎に30秒間にわたって、磁気撹拌器を使用して混合した。20μLの試料(20ug/mLのII-38)を、0、0.5、1、2、4、6および8時間で収集した。各試料を1mLになるまで適量のアセトニトリルと混合し、30秒間にわたってボルテックス混合し、10,000rpmにて室温で遠心分離した。10μLの体積の上清を、HPLC分光計に注入した。
【表2】
図7および8に提示される通り、8.023分で溶離した単一のクロマトグラムによって指示されるように、PB中で8時間以内にII-38の有意な加水分解は起こらなかった。
【0122】
擬似胃液(SGF)、pH1.2中におけるII-38の安定性
1mg/mLのSGF中II-38を製剤化するために、3.1mgのII-38を0.155mLのDMSOに溶解し(すなわち、5%)、37℃に予熱したセル拡散チャンバー内の、全体積2.945mLの予熱したSGF(表3)に、ゆっくりと次第に添加した。溶液を、30分毎に30秒間にわたって、磁気撹拌器を使用して混合した。20μLの試料(20μg/mLのII-38)を、0、1、2、4、6および8時間で収集した。各試料を1mLになるまで適量のアセトニトリルと混合し、30秒間にわたってボルテックス混合し、10,000rpmにて室温で遠心分離した。10μLの体積の上清を、HPLC分光計に注入した。
【表3】
図9、10Aおよび10Bに提示される通り、II-38はSGF中において安定であり、全身バイオアベイラビリティを増大させるための酸性条件下で胃液中におけるII-38の安定性をin vivoで予測する。
【0123】
擬似腸液(SIF)、pH6.8中におけるII-38の安定性
SIF緩衝液、pH6.8中におけるII-38の製剤:1mg/mLのSIF中II-38を製剤化するために、2.6mgのII-38を0.13mLのDMSOに溶解し(すなわち、5%)、37℃に予熱したセル拡散チャンバー内の、全体積2.47mLの予熱したSIF(表4)に、ゆっくりと次第に滴定した。溶液を、30分毎に30秒間にわたって、磁気撹拌器を使用して混合した。20μLの試料(20μg/mLのII-38)を、0、0.5、1、2、4、6および8時間で収集した(図12Aおよび12B)。各試料を1mLになるまで適量のアセトニトリルと混合し、30秒間にわたってボルテックス混合し、10,000rpmにて室温で遠心分離した。10μLの体積の上清を、HPLC分光計に注入した(図11)。
【表4】
【0124】
ラットおよびヒト血漿中におけるII-38の安定性
ラット血漿中におけるII-38の製剤:1mg/mLのラット血漿中II-38を調製するために、2.4mgのII-38をDMSO中で製剤化し(5%)、37℃に予熱したフランツセル拡散チャンバー内の、全体積2.28mLの予め混合したラット血漿(80%+PBS 15%、表5)に、ゆっくりと次第に添加した。溶液を、30分毎に30秒間にわたって、磁気撹拌器を使用して混合した。20μLの試料(20μg/mLのII-38)を、0、1、3、4、5、20、23および24時間で収集した(図13および14)。各試料を1mLになるまで適量のアセトニトリルと混合し、30秒間にわたってボルテックス混合し、10,000rpmにて室温で遠心分離した。10μLの体積の上清を、HPLC分光計に注入した。
【表5】
【0125】
HPLCを使用するヒト血漿中における2,4-DNPおよびII-38の検出
ヒト血漿中におけるII-38の製剤:1mg/mLのII-38を調製するために、2.3mgのII-38をDMSO中で製剤化し(5%)、37℃に予熱したフランツセル拡散チャンバー内の、全体積2.185mLの予め混合したヒト血漿(80%+PBS 15%、表6を参照)に、ゆっくりと次第に添加した。溶液を、30分毎に1分間にわたって、磁気撹拌器を使用して混合した。20μLの試料(20μg/mLのII-38)を、0、0.5、1、2、4、6および8時間で収集した。各試料を1mLになるまで適量のアセトニトリルと混合し、30秒間にわたってボルテックス混合し、10,000rpmにて室温で遠心分離した。10μLの体積の上清を、HPLC分光計に注入した。
【表6】
【0126】
概要
異なる非酵素的水性緩衝液中におけるII-38の安定性研究からのデータは、II-38が、酸性および塩基性緩衝媒質中において有意な加水分解を示さなかったことを明らかに指示している。II-38は、経口的に投与された場合、GI管において単一の化学実体として吸収されるために十分安定であろうと結論付けることができる。しかしながら、80%ラットおよびヒト血漿中におけるII-38の加水分解により、II-38は、全身循環中で加水分解して、その親薬物、2,4-DNPを産生するであろうと予測された。II-38におけるカルバメート結合は、血漿中で開裂されて2,4-DNPを緩やかな速度で産生し、これは、II-38を、2,4-DNPの化学的レザバとして長期間にわたって作用させる。
【0127】
(実施例2:2,4-DNPおよびII-38の薬物動態分析)
II-38プロドラッグおよびII-38プロドラッグから放出された2,4-DNPの経口バイオアベイラビリティおよび血漿薬物動態(PK)特性を、スプラーグドーリー(S-D)雄ラットにおいて、1.6mg/kgのII-38(1mg/kgの2,4-DNPに相当)の単回i.v.注射ならびに5、25および50mg/kgの2,4-DNPに相当する経口用量後に調査した。血液試料を最大24時間採取した。
【0128】
動物
ラットの使用を伴うすべての手順は、National Institutes of HealthのGuide for the Care and Use of Laboratory Animals(1996年)によって設置したUniversity of Arkansas for Medical Sciences(UAMS)Institutional Animal Care and Use Committeeによって明記されたガイドラインに従って行った。重量250~300グラムの雄スプラーグドーリーラットを、UAMS研究用動物資源部門において、食物および水に自由にアクセスさせて、1ケージ当たり3匹ずつ収容した。ラットにイソフルラン(isofluorane)(2~5%)/酸素(1.5~2.0L/分)で麻酔をかけ、カニューレを頚(i.v.投薬)および大腿(血液採取)静脈に外科的に埋め込んだ。手術の3~4日後、ラットを、手術部位における局所感染の徴候について、毛の黄変について、鼻または目の周りの血液の存在について、食欲減退の兆候について、および糞便活動の減退または消失の徴候について観察した。手術からの成功裏の回復の適切な証拠の後、IVまたは経口投薬を実施し、血液試料(0.15mL)を、0、5、15、30、45、60、120、240および480分で収集した。血漿試料を調製し、LC/MS/MS分光分析を使用して分析を実行した。
【0129】
2,4-DNP用量の調製
2,4-DNPを、5%DMSOおよび20%PEG-400を含有するリン酸生理食塩水緩衝溶液、pH7.4に溶解し、0.2μmのフィルターに通して濾過した。経口経路では、ラットに、0.625/mLの2,4-DNPを含有するストック溶液から、全体積8mL/kgにおいて5mg/kgを胃管栄養した。i.v.注射では、全体積0.8mL/kgを、1.25mg/mLを含有するストック溶液から1mg/kgの用量で使用した。
【0130】
II-38用量の調製
i.v.注射では、全体積0.8mL/kgを、1.6mg/kg(1mg/kgの2,4-DNPに相当)の用量で使用した。経口経路では、1、5および25mg/mLの2,4-DNPに対する当量を含有するII-38のストック溶液を調製し、それぞれ1、5および25mg/kgの2,4-DNPに相当する最終用量でラットに投与した。8mg/kgのII-38の経口用量(5mg/kgに相当)を、5%DMSOおよび20%PEG-400を含有するリン酸生理食塩水緩衝溶液、pH7.4に溶解し、一方、40mg/kgの用量(25mg/kgに相当)を、1%DMSOを含有する0.5%メチルセルロース(メトセル)を用いて製剤化した。高用量のII-38(50mg/kgに相当)を、1%DMSOおよび40%PEG-400を含有する水を用いて製剤化した。II-38の製剤において使用される異なるビヒクルのため、DMSO、PEG-400および水(1%:40%:59%)からなるビヒクルを使用して、25mg/kgの2,4-DNPに相当する用量を繰り返した。後者の用量は、製剤における差異について、II-38から放出された2,4-DNPのPKデータの比較に利用した。
【0131】
2,4-DNPの経口およびi.v.動物実験
頚および大腿静脈にカテーテルを挿入したスプラーグドーリー雄ラット(重量250~300g)を、5mg/kgの単回経口用量(n=4)または1mg/kgの単回i.v.用量(n=3)の2,4-DNPで処置した。各i.v.および経口実験では、血液試料(0.15mL)を、0、5、15、30、45、60、120、240および480分で収集した。吸引した血液をヘパリン化生理食塩水(0.15mL)で置きかえた。血液試料を、10,000rpmにて室温で10分間にわたって遠心分離し、血漿試料を調製し、高感度LC/MS/MS分光分析方法を使用して分析を実行した(以下を参照)。
【0132】
II-38の経口およびi.v.動物実験
頚および大腿静脈にカテーテルを挿入したスプラーグドーリー雄ラット(重量250~300g、n=4)を、8、40および80mg/kgのII-38(それぞれ、5、25および50mg/kgの2,4-DNPに相当)の単回経口用量で処置するか、または1.6mg/kgのII-38(1mg/kgの2,4-DNPに相当、n=2)の単回i.v.用量を注射した。血液試料(0.15mL)を、0、5、15、30、45、60、120、240および480分で収集した。血漿試料を調製し、2,4-DNP、II-38、およびII-38濃縮物から放出された2,4-DNPを、後述するLC/MS/MS分光分析アッセイ方法を使用して定量化した。
【0133】
血漿試料の調製および抽出手順
ラット血漿から検体を単離するために、50μLの対照または処置血漿を、内部標準として10μLの2,4-DNP-d3(10μg/mL)で強化し、これに、0.3mLのメタノール、続いて、0.3mLのアセトニトリルを添加した。混合物を30秒間にわたってボルテックス混合し、10,000rpmにて室温で10分間にわたって遠心分離した。上清を5mLのガラス管に移し、窒素ガス下、37℃で蒸発乾固させた。ペレットを50μLのアセトニトリルで再構成し、30秒間にわたってボルテックス混合し、続いて、1分間にわたって音波処理した。1000rpmにて室温で10分間にわたる遠心分離の後、次いで、5μLの上清をカラム上に注入し、LC/MS/MS分光分析によって検体を定量化した。
【0134】
LC/MS/MS分析
ラット血漿中における2,4-DNPおよびII-38を定量化するために、高感度液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS/MS)アッセイを次の通りに適用した:
1- 1mg/kgの2,4-DNPの単回i.v.注射または5mg/kgの経口投与の後の2,4-DNPの血漿中濃度;2- 1mg/kgの2,4-DNPに相当する1.6mg/kgのII-38のi.v.注射またはそれぞれ5、25および50mg/kgの2,4-DNPに相当する8、40および80mg/kgのII-38の経口用量の後の、II-38およびII-38から放出された2,4-DNPの血漿中濃度。質量分析計は、Agilent四重極型質量分析計であり、多重反応モニタリング(MRM)モードで操作した。2,4-DNP-d3を内部標準として使用した。2,4-DNP、II-38および2,4-DNP-d3は、ガードカラム:Alltima C18、5μm、4.6×7.5mm(Grace Discovery Sciences、IL、USA)を装備したAlltima C18カラム、5μm、3.2×150mm(Grace Discovery Sciences、IL、USA)を使用して分離した。移動相は、溶媒Aとしての0.005%ギ酸を加えた水および溶媒Bとしての0.005%ギ酸を加えたアセトニトリルからなる。2,4-DNP、II-38および2,4-DNP-d3化合物の分析のために、3.5分で10から90%溶媒B、これを次の3.30分間にわたって90%Bに維持し、次いで、3.20分間かけて平衡化し初期条件に戻る勾配を使用して、分離を達成した。流量は0.8mL/分であり、カラム温度は30℃であった。試料注入体積は5μLであった。質量分析計は、15Vの衝突エネルギーおよび75Vのフラグメンター(fragmentor)で、2,4-DNP、II-38および2,4-DNP-d3の標準を使用して決定された最適なイオン源の設定を用いて、負のエレクトロスプレーイオン化モードで操作した。モニターしたMRM遷移は、次の通りであった:2,4-DNPについては、m/z183.0/123.0、m/z183.0/153.0、2,4-DNP-d3については、m/z186.0/126.0、m/z186.0/156.0、II-38については、m/z297.2/183.2。ラット血漿中における2,4-DNPおよびII-38の2つの別個の検量線を生成し、それぞれ2,4-DNPおよびII-38を定量化するために使用した。
【0135】
アセトニトリル(ACN)中における2,4-DNPの検量線
2,4-DNPのストック溶液を、アセトニトリル中で調製した。8つの異なる濃度を持つ検量線を調製した。較正曲線は、曲線下面積(AUC)対2,4-DNP濃度の二次最小二乗回帰を使用して取得した。曲線は、0.01~1μg/mlの間で線形であり、Rの相関係数=0.9874であった(図15)。
【0136】
血漿中における2,4-DNPおよびII-38の検量線
2,4-DNPおよびII-38ならびに内部標準(2,4-DNP-d3)のそれぞれのストック溶液を、アセトニトリル中で調製した。2,4-DNPおよびII-38溶液の連続希釈物を調製し、2,4-DNPおよびII-38較正基準のLC/MS/MSクロマトグラムを、各検体について血漿(n=5)中1~2000ng/mLの濃度範囲にわたって生成した。較正曲線およびクロマトグラムは、2,4-DNPおよびII-38についてそれぞれ20~2000ng/mLおよび200~1000ng/mLの間の優れた直線性を示し、2,4-DNPおよびII-38についてそれぞれRの相関係数=0.9988および0.9739であった(図16および17)。
【0137】
血漿薬物動態
i.v.ボーラス投与後の個々の2,4-DNPおよびII-38プロドラッグ血漿中濃度-時間プロファイルを、1コンパートメントオープンモデルおよび一次排泄(Phoenix WinNonlin、Professional、バージョン6.2、Pharsight、Mountain View、CA)を使用して算出した。
経口投与後、非コンパートメントオープンモデルおよび一次吸収によってデータを分析して、ピーク濃度(Cmax)、Tmax、および0から無限大までの曲線下面積(AUC0~inf)を決定した。2,4-DNP、II-38プロドラッグ、およびII-38から放出された2,4-DNPの実際の見かけのバイオアベイラビリティを、方程式1:
【数1】
[式中、AUCoral、AUCi.v、用量oralおよび用量i.v.は、それぞれ2,4-DNPまたはII-38プロドラッグの経口およびi.v.注射についてのAUC0~infおよび対応する用量を表す]を使用して決定した。II-38から放出された2,4-DNPのバイオアベイラビリティは、II-38の経口およびi.v.投与から放出された2,4-DNPのAUCから、方程式1を使用して取得した。
【0138】
II-38プロドラッグの見かけの総バイオアベイラビリティは、II-38プロドラッグおよび2,4-DNPの両方についてのAUCデータを使用して、同じ様式で推定した。方程式2は、ラットへの投与後のII-38プロドラッグの時間依存性加水分解を考慮したバイオアベイラビリティ表現の改変形態である。総バイオアベイラビリティについての最良推定値は、血漿中の放出された2,4-DNPについてのAUCデータも含む。
【0139】
II-38プロドラッグからの2,4-DNPの放出は、等モル比で起こる。プロドラッグは加水分解されて2,4-DNPを1:1比で放出することから、要するに、等量のII-38が加水分解されて2,4-DNPを形成したということになる。プロドラッグの経口バイオアベイラビリティの算出は、2つの異なる測定基準を伴う。実際の見かけのバイオアベイラビリティは、II-38プロドラッグの時間依存性加水分解を考慮している。II-38の見かけの総バイオアベイラビリティを推定するために、II-38プロドラッグおよびその放出された2,4-DNPの両方への全身曝露を検討しなくてはならない。これは、方程式2:
【数2】
を使用して算出することができる。経口投薬およびi.v.注射後の2,4-DNPの血漿中濃度対時間を、図18に提示する。経口投薬後、2,4-DNP吸収は、5分における血漿中濃度によって指示される通り、高速であった。2,4-DNPの半減期は、それぞれ表7で、i.v.および経口経路について90±9.9分および136.2±10.9分であった。
【0140】
S-Dラットにおける、5、25(メトセル)、25(PEG-400)および50mg/kgの2,4-DNPに相当する用量でのII-38プロドラッグの経口投与は、それぞれ120±16.9、161.3±39.4、240および180±34.6分以内に達する3.2±0.2、9.4±0.6、9.1±0.84および15.2±2.7μg/mLのピーク血漿中濃度で、2,4-DNPの送達をもたらした(表8)。DMSO:PEG-400:水(1:40:59)ビヒクル中で製剤化されたII-38のPKプロファイルが、メトセル製剤と比較して遜色ないことは、注目に値する。
【表7】
【0141】
図18は、単回IV注射または経口用量後の2,4-DNPの血漿中濃度対時間を示す。図19、20、21および22は、それぞれ5、25(メトセル)、25(PEG-400)および50mg/kgの2,4-DNPに相当する用量の経口投与後の、II-38およびそのII-38プロドラッグから放出された2,4-DNPの平均血漿中濃度対時間プロファイルを示す。図23は、5mg/kの2,4-DNP経口用量 対、それぞれ8、40(メトセル)、40(PEG-400)および80mg/kgの用量[5、25(メトセル)、25(PEG-400)]および50mg/kgの2,4-DNPに相当]、n=4でのII-38の経口投与後の、II-38から放出された2,4-DNPの平均血漿中濃度対時間を比較する。II-38プロドラッグのカルバメート結合は、見かけ上in vivoで開裂されて、II-38プロドラッグの加水分解生成物として2,4-DNPを産生した。II-38から放出された2,4-DNPおよびII-38のバイオアベイラビリティを、それぞれ表8、9および10に提示する。
【表8】
【表8-1】
【表9】
【表10】
【0142】
考察
【0143】
II-38プロドラッグは、薬物送達系として合成され、その最終目標は、ラット血漿中における親薬物(2,4-DNP)の放出を達成することであった。II-38のin vitro安定性研究(第1章)は、pH1.2および7.4に調整された化学緩衝液中におけるII-38からの2,4-DNP形成の証拠を24時間の時間経過にわたって指示しなかった。同様に、II-38プロドラッグは、USPの方法によって調製された擬似胃液および擬似腸液中において、24時間(II-38および2,4-DNPのいずれも24時間後はグラフに提示されていない)の時間経過にわたって安定であった。故に、経口的に送達されたII-38は、GI管を介して全身循環に安定な実体として吸収され、全身循環中、酵素的条件下で加水分解されて、血漿中において2,4-DNPを放出するであろうと予測することができる。
【0144】
II-38をin vivoで評価して、II-38から放出された2,4-DNPのPKプロファイルおよび相対的バイオアベイラビリティを調査し、8、40および80mg/kgのII-38の単回経口用量(それぞれ、5、25および50mg/kgの2,4-DNPに相当)または1.6mg/kgのi.v.ボーラス用量(1mg/kgの2,4-DNPに相当)後の、II-38から放出された2,4-DNPの血漿中レベルの時間経過を決定し、データを、ラットにおいて5mg/kgの単回用量で経口的に投与された、または1mg/kgでi.v.注射された2,4-DNPと比較した。
【0145】
経口投薬の後、II-38プロドラッグおよびII-38から放出された2,4-DNPの平均濃度対時間プロファイル(図19、20、21および22)から、コドラッグ(codrug)中のカルバメートリンカーが加水分解を受けて2,4-DNPを産生したことに気付くことができる。II-38プロドラッグは、血漿中においてその親薬物、2,4-DNPへの緩徐溶解を示し、2,4-DNPの持続放出を提供した。注目すべき点は、経口およびi.v.投与後のすべての時点においてII-38プロドラッグを2,4-DNPとともに見ることができるため、II-38の加水分解は完全ではないことである(図19、20、21および22)。
【0146】
II-38は等モル量の2,4-DNPを含有するため、要するに、カルバメート結合が開裂を受けて腸および/または肝臓において2,4-DNPを放出しない限り、等量のII-38が血漿中で加水分解されなくてはならないということになる。代替として、2,4-DNPは、II-38からの形成後に血漿中で代謝を受けてきたかもしれない。それでもなお、II-38プロドラッグのin vivo安定性に関する予測は正確であった。なぜなら、それぞれ5、25(メトセル)、25、(PEG-400)および50mg/kgに相当する用量でのII-38の経口投与から放出された2,4-DNPについての、58.5±8.1、62.8±5.8、41±5.1および50.1±11.5のバイオアベイラビリティによって指示される通り、経口およびi.v.投与後のラットのすべてにおいて、有意なレベルの2,4-DNPが観察されたからである(表8)。
1コンパートメントモデルは、2,4-DNPおよびII-38のi.v.投薬について記述するものである。放出された2,4-DNPのピーク血漿中レベル(Cmax:2.2±1.1μg/mL)は5分以内に検出され、II-38の急速な開裂を指示した。非コンパートメントモデルは、経口II-38プロドラッグおよびその放出された2,4-DNPのPKについて適切に記述するものである。任意の時点で、II-38プロドラッグが、2,4-DNPよりも低い濃度で存在することを示すことができる(図19、20、21および22、ならびに表8および9)。故に、II-38プロドラッグの吸収は非常に急速であり、2,4-DNPの高速開裂および持続放出が続くように思われる。なぜなら、後者が、経口投薬後5分以内に血漿中で検出され、120~180分のtmax以内で3.2~15.2μg/mLのCmaxに達したからである。排泄の半減期(t1/2)は、2,4-DNPの経口およびi.v.投薬について、それぞれ136.3±10.9および90.0±9.9分である。これらの結果は、25(メトセル)、25(PEG-400)および50mg/kgに相当する用量のII-38から放出された2,4-DNPについての、248.2±45.3、185.9±18.1および334.1±63.0の長い平均終末半減期と比べて劣る(表2.2)ものであり、II-38の経口投与が、2,4-DNP単独の投与と比較して、2,4-DNPの送達における有意な改善をもたらしたことを示唆している。
【0147】
2,4-DNP親薬物の経口投薬の後、それぞれ5、25(メトセル)、25(PEG-400)および50mg/kgに相当するII-38の経口投薬後にそのII-38プロドラッグから放出された2,4-DNPと比較して、およそ12.0、2.2、3.4および1.4倍増大したレベルの2,4-DNPが観察されることが算出された(図23および表8)。II-38のi.v.注射および経口投薬からのデータは、II-38プロドラッグから放出された2,4-DNPが、肝臓を含む血漿以外の異なる組織コンパートメントにおいて起こる他の酵素的活性に供され得ることを示唆するものである。ラット血漿中において、II-38プロドラッグおよびその放出された2,4-DNPは、他の代謝部位に自由に分配するのに対し、in vitro血漿研究は血漿酵素のみに依拠していた。しかしながら、141.7~334.1分の長い半減期にわたるそのプロドラッグからの2,4-DNPの放出およびその緩徐放出に起因する120~240分の遅延したtmaxは、放出された2,4-DNPからの長期曝露および予想外というほどではない高ピークを意味する。換言すれば、経口II-38の後に放出された2,4-DNPは、急速な吸収および高い血漿Cmaxに起因する2,4-DNPの急性の有害作用を抑制する際に好適である。
【0148】
結論
この研究において、II-38プロドラッグの経口投与は、時間をわたってII-38から有意に放出され利用可能な2,4-DNPをもたらし、2,4-DNPの長期曝露(AUC)および有意なバイオアベイラビリティにつながった。見かけ上、II-38プロドラッグは、製剤目的のために安定であり、ラット血漿中で急速に加水分解される。
【0149】
(実施例3:DNP-ピペリジノから放出された2,4-DNPのPKプロファイル)
【表11】
【0150】
(実施例4:聴力損失処置)
【0151】
in vivo騒音曝露パイロットDNP(2,4-DNP)およびDNPのプロドラッグ(II-38):ラット、N=6/群:対照、騒音単独、騒音+2,4-DNP(5mpk)、騒音+II-38(80mpk)。騒音曝露:8時間、105dB、騒音帯域8~16kHz。処置持続期間5日間、経口胃管栄養、騒音の開始日から毎日。エンドポイント:曝露1週間後に正円窓膜から記録した複合活動電位(CAP)。閾値:4μV CAP振幅を産生するために必要とされるdB SPLの強度。
【0152】
結果:図3に示す通り、II-38+騒音閾値は5dBであり、騒音単独群よりもおよそ20dB低かった(良好であった)。これらの結果は、DNPプロドラッグ(II-38)が騒音誘発性聴力損失から保護することができることを示唆している。また、図3に示す通り、DNP(2,4-DNP)+騒音閾値は15dBであり、騒音単独よりも約10dB低く、DNP(2,4-DNP)が騒音誘発性聴力損失から保護することができることを示唆するものであった。
【0153】
本発明の実施形態の記述は、本発明の理解のために上記されている。本発明は、本明細書において記述されている特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、ここで当業者に明らかとなるように、種々の改変、再構成および代用が可能であることが理解されるであろう。したがって、下記の特許請求の範囲は、すべてのそのような改変および変更を、本発明の真の趣旨および範囲内にあるとして網羅することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
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