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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】真空弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/122 20060101AFI20220208BHJP
   F16K 51/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
F16K31/122
F16K51/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019065201
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020165463
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】城山 直也
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-076829(JP,A)
【文献】特開2010-007751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/122
F16K 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部と弁部とが連結してなる真空弁であって、前記シリンダ部内に摺動可能に保持されるピストンにより、前記シリンダ部と前記弁部とに前記ピストンの摺動方向に沿って挿通される主軸が駆動され、前記主軸が駆動されることで、前記弁部において前記主軸に連結される弁体の開弁動作が行われる真空弁において、
前記ピストンは、前記シリンダ部内において、前記弁部側の第1位置と、前記弁部側とは反対の第2位置と、の間を一定のストロークをもって摺動すること、
前記ピストンは、前記主軸を駆動するための押圧部を備えること、
前記主軸は、前記ピストンの摺動方向に位置の調整が可能な被押圧部を備えること、
前記被押圧部が、前記第1位置から前記第2位置に摺動する前記ピストンの前記押圧部に押圧されることによってのみ、前記主軸が開弁方向に駆動され、前記ピストンが、前記第2位置に位置したとき、前記弁体は、最大弁開度となること、
前記被押圧部の位置の調整がされることで、前記弁体が閉弁状態における、前記被押圧部と、前記押圧部と、の間の距離が調整可能であり、前記弁体の前記最大弁開度が調整可能であること、
前記ピストンは、前記第1位置から前記第2位置まで摺動するとき、前記被押圧部に当接するまで単独で移動すること、
を特徴とする真空弁。
【請求項2】
請求項1に記載の真空弁において、
前記被押圧部は、前記主軸に結合されるストローク調整部材により形成されること、
前記ストローク調整部材は、前記主軸に螺合されており、前記ストローク調整部材の前記主軸における結合位置は、前記ピストンの駆動方向に、無段階に調整が可能であること、
を特徴とする真空弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ部と弁部とが連結してなる真空弁であって、シリンダ部内に摺動可能に保持されるピストンにより、シリンダ部と弁部とにピストンの摺動方向に沿って挿通される主軸が駆動され、主軸が駆動されることで、弁部において主軸に連結される弁体の開弁動作が行われる真空弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル製造工程においては、液晶パネル製造用チャンバと真空ポンプとを連通させる配管の途中に真空弁を配置し、液晶パネル製造用チャンバの真空圧力を制御する。
液晶パネル製造工程においては、液晶パネル製造用チャンバと配管により連通する真空ポンプが常時運転をしているが、液晶パネル製造用チャンバ内の真空排気を行うときを除いて、配管上の真空弁が閉弁状態であるため、真空ポンプによる液晶パネル製造用チャンバ内の気体の吸引は行われない。
液晶パネル製造用チャンバ内の真空排気を行うときには、真空弁を開弁する。すると、液晶製造用チャンバ内の気体が真空ポンプにより吸引される。液晶パネル製造用チャンバ内の真空圧力を100Paまで減圧されると、真空弁を閉弁し、液晶製造用チャンバ内でガラス基板の貼り付けが行われる。サイクルタイムは、小型の液晶で約20秒、大型の液晶で約60秒である。ここで、真空弁には、例えば、特許文献1に開示されるような真空弁が用いられる。
【0003】
特許文献1に開示される真空弁は、シリンダ部内が、第1ピストン室と、第2ピストン室とに分割されており、どちらのピストン室に操作エアを供給するかによって、真空弁の緩速排気状態と、急速排気状態と、を切り替えることが可能となっている。そして、ストローク調整部材の操作により、緩速排気状態における弁体の開度の微調整、すなわち真空弁のコンダクタンスの微調整を行うことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-7751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題があった。
同様の構成を持って複数の液晶パネル製造ラインを設置する場合、工場のレイアウトの関係で液晶パネル製造ラインの設置スペースが制限され、全ての液晶パネル製造ラインにおいて、液晶パネル製造用チャンバと真空ポンプの間の配管の長さを同一にすることができない場合がある。配管のコンダクタンスは、管の長さにも影響を受けるため、所定の真空圧力まで減圧するための所要時間が液晶パネル製造ライン毎に異なってくるという問題が生じていた。
液晶パネル製造のサイクルタイムは、小型の液晶で20秒、大型の液晶であっても60秒と短い。このような状況の中、減圧のための時間が数秒でも異なると、その時間が累積し、生産効率に悪影響を与える可能性がある。
【0006】
この時、特許文献1に開示される真空弁を用いて、液晶パネル製造ライン毎に真空弁の弁体の弁開度を調整することで必要なコンダクタンスを設定し、全ての液晶パネル製造ラインにおいて減圧にかかる所要時間の均一化を図ることが考えられる。
しかし、当該真空弁は、ストローク調整部材の位置を調整することで、弁体のストロークの微調整、すなわち弁開度の微調整を行うことができるが、当該微調整は、弁体の最大弁開度を調整するものでなく、緩速排気状態における弁体の開度を調整するものであるため、全ての液晶パネル製造ラインにおいて減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができるとしても、全ての液晶パネル製造ラインの真空弁を緩速排気状態にしなければならず、所定の真空圧力まで達する時間が却って長くなる。
【0007】
液晶パネル製造用チャンバにおいては、例えば半導体製造工程のようにパーティクルの巻き上げが大きな問題となる可能性が低く、緩速排気状態と、急速排気状態との間を段階的に制御する必要性は乏しいため、所定の真空圧力まで効率的に減圧するのに必要なコンダクタンスを設定することが可能であり、かつ、液晶パネル製造ライン毎に該コンダクタンスを調整することで、全ての液晶パネル製造ラインにおいて減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができる真空弁が求められている。
また、手動弁を用いてライン毎に調整を行うことも考えられるが、複数の液晶パネル製造ラインに設置された弁を全て手動で制御することは迂遠であり、却って生産効率に悪影響を与えるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、弁体の最大弁開度の調整をすることで真空弁のコンダクタンスを調整することができ、複数の製造ラインにおいて所定の真空圧力まで減圧するための所要時間を均一化することが可能な真空弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の真空弁は、次のような構成を有している。
(1)シリンダ部と弁部とが連結してなる真空弁であって、シリンダ部内に摺動可能に保持されるピストンにより、シリンダ部と弁部とにピストンの摺動方向に沿って挿通される主軸が駆動され、主軸が駆動されることで、弁部において主軸に連結される弁体の開弁動作が行われる真空弁において、ピストンは、シリンダ部内において、弁部側の第1位置と、弁部側とは反対の第2位置と、の間を一定のストロークをもって摺動すること、ピストンは、主軸を駆動するための押圧部を備えること、主軸は、ピストンの摺動方向に位置の調整が可能な被押圧部を備えること、被押圧部が、第1位置から第2位置に摺動するピストンの押圧部に押圧されることによってのみ、主軸が開弁方向に駆動され、ピストンが、第2位置に位置したとき、弁体は、最大弁開度となること、被押圧部の位置の調整がされることで、弁体が閉弁状態における、被押圧部と、押圧部と、の間の距離が調整可能であり、弁体の最大弁開度が調整可能であること、ピストンは、第1位置から第2位置まで摺動するとき、被押圧部に当接するまで単独で移動すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載の真空弁において、被押圧部は、主軸に結合されるストローク調整部材により形成されること、ストローク調整部材は、主軸に螺合されており、ストローク調整部材の主軸における結合位置は、ピストンの駆動方向に、無段階に調整が可能であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の真空弁は、上記構成を有することにより次のような作用・効果を有する。
(1)シリンダ部と弁部とが連結してなる真空弁であって、シリンダ部内に摺動可能に保持されるピストンにより、シリンダ部と弁部とにピストンの摺動方向に沿って挿通される主軸が駆動され、主軸が駆動されることで、弁部において主軸に連結される弁体の開弁動作が行われる真空弁において、ピストンは、シリンダ部内において、弁部側の第1位置と、弁部側とは反対の第2位置と、の間を一定のストロークをもって摺動すること、ピストンは、主軸を駆動するための押圧部を備えること、主軸は、ピストンの摺動方向に位置の調整が可能な被押圧部を備えること、被押圧部が、第1位置から第2位置に摺動するピストンの押圧部に押圧されることによってのみ、主軸が開弁方向に駆動され、ピストンが、第2位置に位置したとき、弁体は、最大弁開度となること、被押圧部の位置の調整がされることで、弁体が閉弁状態における、被押圧部と、押圧部と、の間の距離が調整可能であり、弁体の最大弁開度が調整可能であること、を特徴とするので、弁体の最大弁開度の調整をすることで真空弁のコンダクタンスを調整することができ、複数の製造ラインにおいて所定の真空圧力まで減圧するための所要時間を均一化することが可能である。
【0011】
詳しく説明すると、主軸は被押圧部を備え、被押圧部を、ピストンの押圧部が押圧することで、主軸が駆動し、弁部において弁体の開弁動作が行われる。ピストンは、シリンダ部内において、弁部側の第1位置と、弁部側とは反対の第2位置と、の間を一定のストロークをもって摺動するものであり、ピストンが第2位置にあるときに、弁体が最大弁開度となる。
そして、被押圧部の位置は、ピストンの駆動方向に調整可能であるため、閉弁状態において、被押圧部とピストンとの距離を調整することができる。押圧部が被押圧部を押圧するときに開弁動作が開始されるため、被押圧部と押圧部との距離が離れるほど、ピストンが開弁方向への駆動を開始してから、押圧部が被押圧部に当接し、押圧を開始するまでのピストン単独の駆動距離が長くなる。
ピストンは、シリンダ部内において一定のストロークをもって摺動するため、ピストン単独で駆動される距離の分だけ、主軸が駆動される距離が短くなり、これに合わせて弁体の最大弁開度もピストンが単独で駆動される距離の分だけ小さくなる。一方で、閉弁状態において、被押圧部の位置を、ピストンの押圧部と接触する位置に調整しておけば、ピストンが開弁方向に駆動されると同時に被押圧部の押圧が開始される。よって、ピストンの、シリンダ部内におけるストロークが、主軸および弁体の駆動距離となり、弁体の最大弁開度が最大となる。
このように、被押圧部の位置を調整することで、弁体の最大弁開度を調整することができる。最大弁開度を調整することで真空弁のコンダクタンスを調整することができ、真空弁のコンダクタンスを調整することで、液晶パネル製造用チャンバと真空ポンプとを連通する配管のコンダクタンスと、真空弁のコンダクタンスとの合成コンダクタンスを調整することが可能である。
【0012】
例えば、液晶パネル製造ラインが2つあり、一方の液晶パネル製造ラインの配管がもう一方の液晶パネル製造ラインの配管より長い場合に、双方の液晶パネル製造ラインの真空弁の被押圧部が同一位置に調整されていると、配管の長い液晶パネル製造ラインの方が、配管が短い液晶パネル製造ラインよりもコンダクタンスが低く、減圧にかかる時間が長くなる。このような場合には、配管が長い方の液晶パネル製造ラインに配設された真空弁の被押圧部を、真空弁の最大弁開度が大きくなる方向に調整し、配管が短い方の液晶パネル製造ラインの減圧時間を合わせることが可能である。もしくは、配管が短い方の液晶パネル製造ラインに配設された真空弁の被押圧部を、真空弁の最大弁開度が小さくなる方向に調整すれば、配管が長い方の液晶パネル製造ラインの減圧時間に合わせることも可能である。
このように、複数の液晶パネル製造ラインにおいて、全ての液晶パネル製造ラインにおいて減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができる。
【0013】
また、位置の調整可能な被押圧部がピストンの押圧部に押圧されることによってのみ主軸が駆動され、開弁動作が行われるため、本発明は、従来技術の真空弁のように、流量を緩速排気状態と急速排気状態の段階に分けて制御するものではなく、所定の真空圧力まで一定の時間で減圧することができるよう、真空弁のコンダクタンスを調整することが可能である。液晶パネル製造用チャンバにおいては、例えば半導体製造工程のようにパーティクルの巻き上げが大きな問題となる可能性が低く、緩速排気状態と、急速排気状態との間を段階的に制御する必要性は乏しいため、本発明のように所定の真空圧力まで効率的に減圧するのに必要なコンダクタンスを設定することが可能であれば、液晶パネル製造ライン毎にコンダクタンスを調整することで、全ての液晶パネル製造ラインにおいて減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができ、製造効率の改善を図ることが可能である。
【0014】
(2)(1)に記載の真空弁において、被押圧部は、主軸に結合されるストローク調整部材により形成されること、ストローク調整部材は、主軸に螺合されており、ストローク調整部材の主軸における結合位置は、ピストンの駆動方向に、無段階に調整が可能であること、を特徴とするので、例えば、ネジ部のピッチを0.5mmピッチとすれば、ストローク調整部材を一回転させる度に、主軸におけるストローク調整部材の位置を0.5mm進退させることができる。被押圧部がストローク調整部材により形成されているため、ストローク調整部材の微調整を行うことで、被押圧部の位置を微調整することができ、真空弁の弁体の最大弁開度を微調整することができる。最大弁開度を微調整することができれば、配管径や液晶パネル製造用チャンバのサイズの公差によるばらつきに起因する液晶パネル製造ライン毎の減圧にかかる所要時間のばらつきを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る真空弁の断面図であって、ストローク調整部材が下限位置に位置した場合の閉弁状態を示す。
図2】本発明の実施形態に係る真空弁の断面図であって、ストローク調整部材が下限位置に位置した場合の最大開弁状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る真空弁の断面図であって、ストローク調整部材が上限位置に位置した場合の閉弁状態を示す。
図4】本発明の実施形態に係る真空弁の断面図であって、ストローク調整部材が上限位置に位置した場合の最大開弁状態を示す。
図5】本発明の実施形態に係る真空弁の上面図である。
図6】本発明の実施形態に係る真空弁を用いた液晶パネル製造ラインの概略図である。
図7】本発明の実施形態に係る真空弁を用いたい液晶パネル製造ラインにおける液晶パネル製造用チャンバが真空圧力に達するまでの時間を表したグラフであり、(a)はストローク調整部材の調整前、(b)はストローク調整部材の調整後を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の真空弁1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1乃至図4に示すように、真空弁1は、図中下方の弁部Xと図中上方のシリンダ部Yとが連結して構成されている。
【0017】
まず、シリンダ部Yについて説明する。
シリンダチューブ20は、押し出し加工などにより成形されたアルミ等の金属製パイプを所定長に切断したものである。
図1乃至4に示すように、シリンダチューブ20の上端側開口部は上蓋22により閉塞されており、上蓋22は、シリンダチューブ20の上端側開口部内周面に設けられた溝に配置されるCリング32により、軸方向にがたつかないように保持されている。
シリンダチューブ20の下端側開口部は底蓋21により閉塞されており、底蓋21は、シリンダチューブ20の下端側開口部内周面に設けられた溝に配置されるCリング28により、軸方向にがたつかないように保持されている。
底蓋21の下端側には、主軸11の上下運動を案内するパイプ部21bが延設され、該パイプ部21bは、後述するバルブボディ2の内部へ挿入されている。
【0018】
図1乃至図4に示すように、シリンダチューブ20の内周面に設けられた環状溝にCリング31が嵌合装着され、該Cリング31に突き当てるように、仕切板23がシリンダチューブ20の上端開口部から嵌装されている。
上蓋22と、仕切板23と、シリンダチューブ20の内壁とにより、ピストン室24が形成されており、仕切板23の図中上端面が、ピストン室24の弁部側内面241を形成し、上蓋22の図中下端面が、ピストン室24の反弁部側内面242を形成している。そして、ピストン室24にはピストン26が摺動可能に装填されている。
【0019】
図1乃至図4に示すように、ピストン室24は、ピストン26により上室24Aと下室24Bとに区画されている。下室24Bには、シリンダチューブ20の外周面に穿設された操作ポート29が、挿通孔30によって連通している。
上室24Aは、上蓋22に形成された貫通孔22aを介して外気に連通している。ピストン26には、軸部26aが下端面から軸方向に延設されている。ピストン26は、その軸部26aが仕切板23の中心部に形成された保持孔23aに摺動可能に挿通されている。
下室24Bは、シリンダチューブ20の内壁とピストン26の外周面との間に備えられた弾性部材33と、軸部26aと仕切板23の内周面との間に備えられた弾性部材34と、によって気密状態に保たれている。従って、操作エアが、操作ポート29から下室24Bに供給されると、ピストン26は、ピストン室24の弁部側内面241に接している第1位置から、反弁部側内面242に接している第2位置までの間を一定のストロークをもって摺動する。つまり、操作エアが下室24Bに供給されると、下室24B内の圧力が上昇し、ピストン26が、ピストン室24内を図中上方向(開弁方向)に押し上げられる。押し上げられるピストン26の上限位置(第2位置)は、ピストン26の上端面が、反弁部側内面242に当接した位置である。そして、開弁方向に押し上げられるピストン26の押圧部26cが、後述するストローク調整部材38の被押圧部38aに当接し、開弁方向に押圧すると、ストローク調整部材38が開弁方向に押し上げられる。ストローク調整部材38が押し上げられるのに連動して、ストローク調整部材38と連結されている主軸11が開弁方向に駆動する。
【0020】
主軸11は、シリンダチューブ20およびバルブボディ2に挿通されており、バルブボディ2内においては、パイプ部21bに挿通され、下端部には弁体7がナット12により連結されている。
【0021】
主軸11は、上端部に、パイプ部21bに挿通されている部分よりも径の小さい調整部11cを備えている。主軸11は、調整部11cがピストン26の貫通孔26bと上蓋22の貫通孔22aに隙間を空けて挿通され、上蓋22から突出している。調整部11cは、ピストン室24に配置される部分の外周面に調整ネジ部11dが形成されている。
【0022】
調整ネジ部11dには、ストローク調整部材38が螺合されており、ストローク調整部材38を、主軸11の軸心を中心に回転させることで、ストローク調整部材38が、主軸11の軸方向に沿って進退する。主軸11の軸方向は、ピストン26の駆動方向と同一であるため、ストローク調整部材38が進退することにより、真空弁1の閉弁状態における、被押圧部38aと、ピストン26の押圧部26cとの距離が拡大または縮小される。
ストローク調整部材38の下限位置は、ピストン26が弁部側内面241に当接する下限位置(第1位置)にある場合に、ピストン26の押圧部26cに、ストローク調整部材38の被押圧部38aが突き当たるまで調整ネジ部11dにねじ込まれた位置である。一方、調整ネジ部11dより上端側に抜け止め40が取り付けられており、ストローク調整部材38が、抜け止め40により上方向の移動を制限される位置が、上限位置である。ストローク調整部材38は、最下点位置と最上点位置の間で、位置を無段階に調整することができ、任意の位置で、止めネジ39によって主軸11に対して位置決め固定することができる。
【0023】
このようなシリンダ部Yは、図1乃至図4に示すように、シリンダチューブ20が固定盤14を介してバルブボディ2に同軸上に積み重ねられ、図5に示すように、上方から4本のボルト19でバルブボディ2に固定されている。また、固定盤14は、シリンダチューブ20とバルブボディ2との間で挟持されている。そして、固定盤14の下端面によりベローズ13が位置決め固定されている。
【0024】
次に、弁部Xについて説明する。
図1乃至図4に示すように、弁部Xを構成するバルブボディ2の側方にはチャンバポート3が突設されており、チャンバポート3には、液晶パネル製造用チャンバ42が配管44を介して接続される。バルブボディ2の下方には、ポンプポート4が突設されており、ポンプポート4には、真空ポンプ43が配管45を介して接続される。
バルブボディ2は、ポンプポート4側の弁孔5の入口に、弁座6が平らな面で形成されており、弁体7が弁座6に当接・離間可能に配設されている。
【0025】
弁体7は、弁体ブロック8と、保持プレート9と、環状シール部材10とからなる。弁体ブロック8の下端面に設けられた段差部に、保持プレート9が収納され、段差部と保持プレート9の外周面とで形成されるアリ溝に環状シール部材10が配置されている。
【0026】
環状シール部材10は、ゴムや樹脂など弾性力を有する材料で環状に形成されている。弁体7を構成する弁体ブロック8の上端面には、ベローズ13の下端部が連結されており、ベローズ13の上端部は、弁部Xとシリンダ部Yの間に配置される環状の固定盤14に連結されているため、バルブボディ2内であって、ベローズ13の外側の流路の気密が保たれる。また、ベローズ13は、主軸11と弁体7の上下動に従って伸縮する。
【0027】
ベローズ13内部には、復帰バネ41がパイプ部21bを覆うように配置されている。復帰バネ41は、底蓋21と弁体7とにより圧縮されており、圧縮されることにより生じる弾性力が、弁体7を弁閉方向に常時付勢している。
【0028】
<動作説明>
このような構成からなる真空弁1では、以下のような作用によって真空排気が行われる。弁閉時、真空弁1は、図1に示すように弁体7の環状シール部材10が弁座6に当接し、弁孔5が遮断された状態にある。これは、弁体7が復帰バネ41の弾性力のみによって下方へと付勢されているからである。そして、チャンバポート3に接続された液晶パネル製造用チャンバ42の真空排気を行う場合には、次のような動作が行われる。
【0029】
真空排気を行う場合、真空弁1は操作ポート29から操作エアがピストン室24の下室24Bへ供給される。操作エアが下室24Bに供給されると、下室24Bは、弾性部材33、34により気密に保たれているため、下室24Bの圧力が上昇する。下室24Bの圧力が上昇すると、ピストン26は、下方から加圧され、図中上方向(開弁方向)へ駆動する。そして、開弁方向に駆動されるピストン26の押圧部26cが、ストローク調整部材38の被押圧部38a押し上げる。ストローク調整部材38は、主軸11の調整部11cに螺合されているため、ストローク調整部材38が押し上げられると、主軸11は、復帰バネ41の下方への付勢力に抗してピストン26に開弁方向に持ち上げられる。主軸11が開弁方向に持ち上げられると、主軸11に結合されている弁体7が弁座6から離間する。ピストン26は、主軸11を持ち上げた後、更に一定量上昇したところで、上端面が反弁部側内面242に当たり、その移動が制限される。そのため、主軸11及び弁体7の上昇も停止し、弁体7の最大弁開度となる。
【0030】
液晶パネル製造用チャンバ42内のガスの排気が終了すれば、下室24Bを満たしていた操作エアが、操作ポート29から排出され、ピストン26を下方から押し上げていた操作エアによる加圧力が解除される。そのため、弁体7、主軸11及びピストン26は、復帰バネ41による付勢力によって弁閉方向に駆動され、図1に示す状態へと戻される。そして、下降した弁体7の環状シール部材10が弁座6に当接して弾性変形し、ポンプポート4とチャンバポート3とが遮断される。
【0031】
<流量調整方法>
液晶パネル製造装置を製作する場合で、同様の構成を持って複数の液晶パネル製造ライン50を設置する場合、工場のレイアウトの関係で液晶パネル製造ライン50の設置スペースが制限され、全ての液晶パネル製造ライン50において、液晶パネル製造用チャンバ42と真空ポンプ43の間の配管44,45の長さを同一にすることができない場合がある。配管44,45のコンダクタンスは、配管44,45の長さにも影響を受けるため、所定の真空圧力まで減圧するための所要時間が液晶パネル製造ライン50毎に異なってくるという問題が生じていた。全ての液晶パネル製造ライン50の減圧のための所要時間の均一化を図るために、液晶パネル製造ライン50毎に真空弁1のコンダクタンスを任意に設定する必要がある。
真空弁1のコンダクタンスを任意に設定するためには、弁開度を調整することが必要である。真空弁1は、ストローク調整部材38を、主軸11の中心軸を中心にして、所定の方向に回転させることにより弁体7のストロークを調整し、真空排気時の流量を目標流量に設定することが可能である。
【0032】
真空弁1の弁閉状態において、ストローク調整部材38の被押圧部38aがピストン26の押圧部26cに当接している位置が、ストローク調整部材38の下限位置である。このとき、下室24Bに操作エアが供給されると、下室24Bの圧力が上昇し、ピストン26が開弁方向に押し上げられる。ストローク調整部材38の被押圧部38aがピストン26の押圧部26cに当接した状態であるため、ピストン26は、押し上げられ始めると同時に、ストローク調整部材38の押圧を開始する。
ストローク調整部材38が押圧を開始されると、ストローク調整部材38が結合されている主軸11が開弁方向に駆動することとなる。すると、その主軸11に固定された弁体7は、復帰バネ41の付勢力に抗して上昇し、弁開状態となり、ピストン26の上端面が、反弁部側内面242に当接したときが、弁体7の最大弁開度である。このときの弁体7の開弁方向への移動量は、ピストン26の移動量に等しい。
【0033】
一方で、ストローク調整部材38が下限位置よりも上方に位置決めされている場合、閉弁状態において、ピストン26の押圧部26cと、ストローク調整部材38の被押圧部38aとの間に距離が生じるため、操作ポート29から下室24Bに操作エアが供給されると、ピストン26は、ストローク調整部材38に当接するまで単独で移動する。閉弁状態における押圧部26cと、被押圧部38aとの間の距離は、ストローク調整部材38を開弁方向に移動させるほど大きくなり、この距離が大きくなる分だけ、ピストン26が単独で移動する距離が大きくなる。例えば、図3に示すようにストローク調整部材38が上限位置にある場合、ピストン26の押圧部26cと、ストローク調整部材38の被押圧部38aとの間の距離が最大となり、ピストン26が単独で駆動する距離が最大となる。この場合に、操作エアが、操作ポート29からピストン室24の下室24Bに供給され、ピストン26が開弁方向に駆動すると、ストローク調整部材38の被押圧部38aとの間の距離の分だけ、ピストン26が単独で駆動する。ピストン26が単独で駆動した後、押圧部26cが被押圧部38aに当接すると、押圧部26cが、ストローク調整部材38の被押圧部38a押し上げ始めるとともに、主軸11が開弁方向に持ち上げられ、弁体7が弁座6から離間する。そして、ピストン26の上端面が反弁部側内面242に当たり、その移動が制限され、弁体7が最大弁開度となる。このときの最大弁開度は、図1図2に示すストローク調整部材38が下限位置にある場合と比べて、ピストン26が単独で駆動した距離の分だけ小さくなる。
【0034】
ストローク調整部材38は、主軸11の調整部11cに螺合されているため、ストローク調整部材38を主軸11の中心軸を中心に回転させることで、ストローク調整部材38の位置を下限位置から上限位置の間で無段階に調整可能である。ストローク調整部材38の位置を調整することで、被押圧部38aの位置が調整され、弁体7の最大弁開度を調整することができる。最大弁開度を調整することで真空弁1のコンダクタンスを調整することができ、真空弁1のコンダクタンスを調整することで、液晶パネル製造用チャンバ42と真空ポンプ43とを連通する配管44,45のコンダクタンスと、真空弁1のコンダクタンスとの合成コンダクタンスを調整することが可能である。
複数の液晶パネル製造ライン50において、液晶パネル製造ライン50毎に、所定の真空圧力まで達する時間と圧力とを見ながら上記合成コンダクタンスを調整し、全ての液晶パネル製造ライン50において減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができる。
【0035】
尚、真空弁1は、調整ネジ部11dのピッチを0.5mmとしており、ストローク調整部材38を主軸11の軸心を中心に一回転させる度に、主軸11におけるストローク調整部材38の位置を0.5mm進退させることができる。ピッチを0.5mmとしておけば、例えばストローク調整部材38を45度回転させれば主軸11におけるストローク調整部材38の位置が約0.06mm進退する。被押圧部38aがストローク調整部材38により形成されているため、ストローク調整部材38の位置の微調整を行うことで、被押圧部38aの位置を微調整することができ、その調整した分だけ真空弁1の弁体7の最大弁開度を微調整することができる。上記のようにストローク調整部材38を45度回転させ、0.06mm調整した場合には最大弁開度が0.06mm調整される。短時間に減圧を行う場合などには、約0.06mm程度の微調整でも減圧時間に対する影響は大きい。
このように最大弁開度を微調整することができれば、配管44,45の径や液晶パネル製造用チャンバ42のサイズの公差によるばらつきに起因する液晶パネル製造ライン50毎の、減圧にかかる所要時間のばらつきを解消できる。
【0036】
図7(a),(b)は、縦軸が液晶パネル製造用チャンバ42の圧力値を表し、横軸が時間を表すグラフであって、2つの液晶パネル製造ライン50A,50Bにおける液晶パネル製造用チャンバ42が真空圧力にまで達するまでにかかった時間を表す。
図7(a)中の液晶パネル製造ライン50A,50Bは、液晶パネル製造ライン50A,50Bのそれぞれの真空弁1のストローク調整部材38の位置を同一とし、弁開度を最大とした場合のグラフである
このグラフより、液晶パネル製造ライン50Aの液晶パネル製造用チャンバ42の方が、液晶パネル製造ライン50Bの液晶パネル製造用チャンバ42に比べて、減圧される速度が速いことが分かる。この速度の差は、配管44,45の長さの違いや、液晶パネル製造用チャンバ42のサイズの公差によるばらつきなどから生じる。
そして、液晶パネル製造ライン50Aの真空弁1のストローク調整部材38の位置を調整し、液晶パネル製造ライン50Aの液晶パネル製造用チャンバ42が減圧される速度を、液晶パネル製造ライン50Bの液晶パネル製造用チャンバ42が減圧される速度に合わせたものが、図7(b)に表すグラフである。このように、真空弁1のストローク調整部材38の位置を調整することで、複数の液晶パネル製造ライン50において、減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の真空弁1によれば、
(1)シリンダ部Yと弁部Xとが連結してなる真空弁1であって、シリンダ部Y内に摺動可能に保持されるピストン26により、シリンダ部Yと弁部Xとにピストン26の摺動方向に沿って挿通される主軸11が駆動され、主軸11が駆動されることで、弁部Xにおいて主軸11に連結される弁体7の開弁動作が行われる真空弁1において、ピストン26は、シリンダ部Y内において、弁部X側の第1位置と、弁部X側とは反対の第2位置と、の間を一定のストロークをもって摺動すること、ピストン26は、主軸11を駆動するための押圧部26cを備えること、主軸11は、ピストン26の摺動方向に位置の調整が可能な被押圧部38aを備えること、被押圧部38aが、第1位置から第2位置に摺動するピストン26の押圧部26cに押圧されることによってのみ、主軸11が開弁方向に駆動され、ピストン26が、第2位置に位置したとき、弁体7は、最大弁開度となること、被押圧部38aの位置の調整がされることで、弁体7が閉弁状態における、被押圧部38aと、押圧部26cと、の間の距離が調整可能であり、弁体7の最大弁開度が調整可能であること、を特徴とするので、最大弁開度の調整をすることで真空弁1のコンダクタンスを調整することができ、複数の液晶パネル製造ライン50において所定の真空圧力まで減圧するための所要時間を均一化することが可能である。
【0038】
詳しく説明すると、主軸11は被押圧部38aを備え、被押圧部38aを、開弁方向に駆動するピストン26の押圧部26cが押圧することで、主軸11が開弁方向に駆動し、弁部Xにおいて弁体7の開弁動作が行われる。ピストン26は、シリンダ部Y内において、弁部X側の第1位置と、弁部X側とは反対の第2位置と、の間を一定のストロークをもって摺動するものであり、ピストン26が第2位置にあるときに、弁体7が最大弁開度となる。
そして、被押圧部38cの位置は、ピストン26の駆動方向に調整可能であるため、閉弁状態において、被押圧部38cとピストン26との距離を調整することができる。押圧部26cが被押圧部38aを押圧するときに開弁動作が開始されるため、被押圧部38aと押圧部26cとの距離が離れるほど、ピストン26が開弁方向への駆動を開始してから、押圧部26cが被押圧部38aに当接し、押圧を開始するまでのピストン26単独の駆動距離が長くなる。
ピストン26は、シリンダ部Y内において一定のストロークをもって摺動するため、ピストン26単独で駆動される距離の分だけ、主軸11が弁開方向に駆動される距離が短くなり、これに合わせて弁体7の最大弁開度もピストン26が単独で駆動される距離の分だけ小さくなる。一方で、閉弁状態において、被押圧部38cの位置を、ピストン26の押圧部26cと接触する位置に調整しておけば、ピストン26が開弁方向に駆動されると同時に被押圧部38aの押圧が開始される。よって、ピストン26の、シリンダ部Y内におけるストロークが、主軸11および弁体7の駆動距離となり、弁体7の最大弁開度が最大となる。
このように、被押圧部38aの位置を調整することで、弁体7の最大弁開度を調整することができる。最大弁開度を調整することで真空弁1のコンダクタンスを調整することができ、真空弁1のコンダクタンスを調整することで、液晶パネル製造用チャンバ42と真空ポンプ43とを連通する配管44,45のコンダクタンスと、真空弁1のコンダクタンスとの合成コンダクタンスを調整することが可能である。
【0039】
例えば、液晶パネル製造ライン50が2つあり、一方の液晶パネル製造ライン50の配管44,45がもう一方の液晶パネル製造ライン50の配管44,45より長い場合に、双方の液晶パネル製造ライン50の真空弁1の被押圧部38aの位置が同一位置に調整されていると、配管44,45の長い液晶パネル製造ライン50の方が、配管44,45が短い液晶パネル製造ライン50よりもコンダクタンスが低く、減圧にかかる時間が長くなる。このような場合には、配管44,45が長い方の液晶パネル製造ライン50に配設された真空弁1の被押圧部38aの位置を、真空弁1の最大弁開度が大きくなる方向に調整し、配管44,45が短い方の液晶パネル製造ライン50の減圧時間を合わせることが可能である。もしくは、配管44,45が短い方の液晶パネル製造ライン50に配設された真空弁1の被押圧部38aの位置を、真空弁1の最大弁開度が小さくなる方向に調整すれば、配管44,45が長い方の液晶パネル製造ライン50の減圧時間に合わせることも可能である。
複数の液晶パネル製造ライン50において、液晶パネル製造ライン50毎に、上記合成コンダクタンスを調整し、全ての液晶パネル製造ライン50において減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができる。
【0040】
また、位置の調整可能な被押圧部38aがピストン26の押圧部26cに押圧されることによってのみ主軸11が駆動され、開弁動作が行われるため、本発明は、従来技術の真空弁のように、流量を緩速排気状態と急速排気状態の段階に分けて制御するものではなく、所定の真空圧力まで一定の時間で減圧することができるように真空弁1のコンダクタンスを調整することが可能である。液晶パネル製造用チャンバ42においては、例えば半導体製造工程のようにパーティクルの巻き上げが大きな問題となる可能性が低く、緩速排気状態と、急速排気状態との間を段階的に制御する必要性は乏しいため、本発明のように所定の真空圧力まで効率的に減圧するのに必要なコンダクタンスを設定することが可能であれば、液晶パネル製造ライン50毎にコンダクタンスを調整することで、全ての液晶パネル製造ライン50において減圧にかかる所要時間の均一化を図ることができ、製造効率の改善を図ることが可能である。
【0041】
(2)(1)に記載の真空弁1において、被押圧部38aは、主軸11に結合されるストローク調整部材38により形成されること、ストローク調整部材38は、主軸11に螺合されており、ストローク調整部材38の主軸11における結合位置は、ピストン26の駆動方向に、無段階に調整が可能であること、を特徴とするので、例えば、ネジ部のピッチを0.5mmピッチとすれば、ストローク調整部材38を一回転させる度に、主軸11におけるストローク調整部材38の位置を0.5mm進退させることができる。被押圧部38aがストローク調整部材38により形成されているため、ストローク調整部材38の微調整を行うことで、被押圧部38aの位置を微調整することができ、真空弁1の弁体7の最大弁開度を微調整することができる。最大弁開度を微調整することができれば、配管44,45の径や液晶パネル製造用チャンバ42のサイズの公差によるばらつきに起因する液晶パネル製造ライン50毎の減圧にかかる所要時間のばらつきを解消することができる。
【0042】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、調整ネジ部11dのピッチを0.5mmとしているが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 真空弁
7 弁体
11 主軸
26 ピストン
26c 押圧部
38a 被押圧部
X 弁部
Y シリンダ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7