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特許7021152鍵管理システム、建物内の誘導方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】鍵管理システム、建物内の誘導方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20220208BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20220208BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220208BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20220208BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E05B19/00 E
E05B49/00 A
G01C21/26 P
G06Q50/16
G08B25/04 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019112785
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020204202
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】519220146
【氏名又は名称】株式会社トーヨーコー
(74)【代理人】
【識別番号】100153785
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 正典
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 渉
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢史
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-188199(JP,A)
【文献】特開2005-344307(JP,A)
【文献】特開2017-162216(JP,A)
【文献】特開2016-191676(JP,A)
【文献】特開2009-110294(JP,A)
【文献】特開2017-016213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
G01C 21/26
G06Q 50/16
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理者サーバと、鍵管理ボックスと、ユーザのPCと、携帯端末とをネットワークにより接続可能とした鍵管理システムにおいて、
前記ユーザPC又は携帯端末は前記管理者サーバにアクセスして建物施設内の所望の部屋の鍵の使用を使用日、使用時間等と共に申請し、
前記管理者サーバは前記申請を許可すると、前記申請を許可した旨の通知とパスワード等の認証情報を前記ユーザPC又は携帯端末に送ると共に、前記鍵管理ボックスのPCに当該部屋の鍵の使用日、使用時間及び前記認証情報を送り、更に、前記建物の入口から建物内の所望の部屋までの最短ルートを決定し、当該所望の部屋までの最短ルート上の各分岐点、各部屋の壁に設置された発信機のID情報を得、
前記申請の許可を受けたユーザにより、前記鍵管理ボックスに前記認証情報入力を行うことで、前記所望の鍵は前記鍵管理ボックスから取り出し可能とされ、
前記申請の許可を受けたユーザの携帯端末は前記管理者サーバより前記建物の入口から前記所望の部屋までの最短ルート及び特定の鍵の種類及び順番等に関する必要な情報を取得すると共に、当該所望の部屋までのルート上の発信機のID情報を取得し、
当該携帯端末は、前記取得した最短ルートを表示画面に表示し、前記建物の入口から前記所望の部屋までのルート上を移動する際に順次、発信機からID情報を受信し、前記表示画面に前記所望の部屋までのガイド表示を行う、ことを特徴とする鍵管理システムを備えることを特徴とする鍵管理システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記最短ルートを外れるとアラームを発し、その旨の情報を前記管理者サーバに送信する、ことを特徴とする請求項1記載の鍵管理システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、前記建物内の立ち入り禁止領域に入るとアラームを発し、その旨の情報を前記管理者サーバに送信する、ことを特徴とする請求項1または2記載の鍵管理システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、前記建物内の発信機からの信号を所定時間以上受信しない場合に
アラームを発し、その旨の情報を前記管理者サーバに送信する、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の鍵管理システム。
【請求項5】
前記鍵は発信機を内蔵し、前記携帯端末は、前記鍵の発信機からの信号を所定時間以上受信しない場合に、その旨の情報を前記管理者サーバに送信する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の鍵管理システム。
【請求項6】
前記管理者サーバは、ユーザ名、ユーザの申請した使用建物名、部屋番号、使用日、使用時間、部屋の使用目的を含む履歴をユーザ毎に管理するデータベースを有する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鍵管理システム。
【請求項7】
前記携帯端末は、前記管理者サーバより取得する前記建物の入口から前記所望の部屋までの最短ルートが使用できない場合に、他のルートを管理者サーバより取得すると共に、当該ルート上の発信機のID情報を取得し、取得した前記他のルートを表示画面に表示する、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の鍵管理システム。
【請求項8】
管理者サーバと、鍵管理ボックスと、ユーザのPCと、携帯端末とをネットワークにより接続可能とした鍵管理システムにおける建物内の誘導方法において、
前記ユーザPC又は携帯端末により前記管理者サーバにアクセスして建物施設内の所望の部屋の鍵の使用を使用日、使用時間等と共に申請し、
前記管理者サーバにより、前記申請が許可されると、前記申請を許可した旨の通知とパスワード等の認証情報が前記ユーザPC又は携帯端末に送られると共に、前記鍵管理ボックスのPCに当該部屋の鍵の使用日、使用時間及び前記認証情報が送られ、更に、前記建物の入口から建物内の所望の部屋までの最短ルートが決定され、当該所望の部屋までの最短ルート上の各分岐点、各部屋の壁に設置された発信機のID情報が得られ、
前記申請の許可を受けたユーザにより、前記鍵管理ボックスに前記認証情報入力を行うことで、前記所望の鍵は前記鍵管理ボックスから取り出し可能とされ、
前記管理者サーバにより前記申請の許可を受けたユーザの当該携帯端末に、前記建物の入口から前記所望の部屋までの最短ルート及び特定の鍵の種類及び順番等に関する必要な情報を取得させると共に、当該所望の部屋までのルート上の発信機のID情報を取得させ、
当該携帯端末に、前記取得した最短ルートを表示画面に表示させ、前記建物の入口から前記所望の部屋までのルート上を移動する際に順次、発信機からID情報を受信させ、前記表示画面に前記所望の部屋までのガイド表示を行わせる、ことを特徴とする建物内の誘導方法。
【請求項9】
管理者サーバと、鍵管理ボックスと、ユーザのPCと、携帯端末とをネットワークにより接続可能とした鍵管理システムにおいて、
前記ユーザPC又は携帯端末により前記管理者サーバにアクセスして建物施設内の所望の部屋の鍵の使用を使用日、使用時間等と共に申請させ、
前記管理者サーバにより、前記申請が許可されると、前記申請を許可した旨の通知とパスワード等の認証情報が前記ユーザPC又は携帯端末に送られると共に、前記鍵管理ボックスのPCに当該部屋の鍵の使用日、使用時間及び前記認証情報が送られ、更に、前記建物の入口から建物内の所望の部屋までの最短ルートが決定され、当該所望の部屋までの最短ルート上の各分岐点、各部屋の壁に設置された発信機のID情報が得られるようにし、
前記申請の許可を受けたユーザにより、前記鍵管理ボックスに前記認証情報入力を行うことで、前記所望の鍵は前記鍵管理ボックスから取り出し可能とし、
前記管理者サーバにより前記申請の許可を受けたユーザの当該携帯端末に、前記建物の入口から前記所望の部屋までの最短ルート及び特定の鍵の種類及び順番等に関する必要な情報を取得させると共に、当該所望の部屋までのルート上の発信機のID情報を取得させ、
当該携帯端末に、前記取得した最短ルートを表示画面に表示させ、前記建物の入口から前記所望の部屋までのルート上を移動する際に順次、発信機からID情報を受信させ、前記表示画面に前記所望の部屋までのガイド表示を行わせる、
ように前記鍵管理システムを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の建物内の鍵を管理する鍵管理システム、建物内の誘導方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の建物内の鍵を管理する鍵管理システムとして、ビル等の建物内のメインテナンスを行う工事会社が工事対象の部屋の鍵を使用する場合や、不動産屋がマンションの賃貸対象の部屋の鍵を内覧等により使用する場合等に使用する装置システムで、鍵の予約情報を管理する管理サーバと鍵の使用を許可する鍵を収納する管理装置とを通信可能に接続した鍵管理システムが知られている。
【0003】
例えば、ビル等の不動産所有者から委託を受けた不動産屋等の仲介業者が、顧客に空室を内覧させるときには、当該建物が備える鍵に関して管理を委託された鍵管理会社へ出向き、鍵を受け取ってから現地へ移動する。
【0004】
これらの場合において、鍵管理会社が使用する鍵管理システムの典型例としては、鍵の貸出依頼者である仲介業者等のPC又は携帯端末等からインターネットを介して鍵管理会社の管理サーバに、鍵の貸し出し予約が受領されると、当該鍵管理会社が管理サーバからネットワークを通じて鍵の貸出について、鍵管理ボックスのサーバに許可の承認を行う。仲介業者は予め管理会社から教えられたパスワードや、事前に手渡された利用者カードなどを利用して、許可承認後の当該鍵管理ボックスを開錠して、必要な鍵を持ち出すことができる。管理サーバは、出入管理機能を担保するものとして、作業内容、作業承認、鍵の貸出許可、作業報告を蓄積し管理するデータベースを備える。
【0005】
鍵の貸出を受けた仲介業者等は、鍵を持ち出した後は、独自に現地に向かい、該当する建物及び錠を探し出して開錠し、建物内部に入り必要な作業等を行う。その後、仲介業者は再び鍵管理会社に戻り、当該鍵管理ボックスを開錠し、借り受けた鍵を鍵管理ボックス内の所定の位置に置き、鍵管理ボックス施錠することにより、鍵管理会社に鍵を返却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-76641号公報
【文献】特開2018-141306号公報
【文献】特開2018-141331号公報
【文献】国際公開WO2017/142098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の鍵管理システムは、鍵の予約情報を管理する管理サーバと鍵の使用を許可する鍵を収納する管理装置とを通信可能に接続した鍵管理システムにより、鍵の貸出依頼者である仲介業者等のPC又は携帯端末等から鍵の使用を事前に予約すると、管理サーバが予約内容を管理する。予約された鍵について鍵管理会社に到着した貸出依頼者が取出し操作を行うと、管理者端末が鍵の取り出しを承認する指令を鍵管理ボックスに通知する承認操作を行うことにより、鍵の貸出依頼者による鍵の取出しが許可される。
このような鍵管理システムでは、専ら鍵管理会社がいちいち鍵管理ボックスからの鍵の取り出しの際に立ち会う必要を減少することによる作業の効率化及び、セキュリティーの強化を図るものである。
【0008】
この点、特許文献1の鍵管理システムにおいては、鍵の貸出予約をした鍵の貸出依頼者と、鍵管理会社に行って鍵を取り出す作業を行う者が異なる場合において、予約者本人である利用者Aによる鍵の利用予約の取消又は変更を必要とせずに、管理者端末から鍵の取り出し承認を行うことができる鍵管理システムとなっている。
【0009】
また、特許文献2の鍵管理システムにおいては、鍵を保持するホルダー収納部の抜取り情報を表示するホルダーランプを備え、ホルダー収納部に鍵が返却されたか否かを問わず、長時間使用された場合にホルダーランプを点灯させる鍵管理システムとなっている。さらに、特許文献3の鍵管理システムにおいては、鍵の取り出しのための解錠を示す状態通知情報を受信してから、鍵の時間監視を開始し、鍵の収納のための解錠を示す状態通知情報が所定時間までに受信されなかったときに、鍵を借り受けた者が所有する端末に警報を送信する監視処理手段を備えている。
【0010】
また、特許文献4の鍵管理システムにおいては、扉に設けられた電気錠を施解錠する制御ステップとを含む鍵管理方法であって、鍵管理サーバが、鍵使用者の端末から、特定の場所に備えられた鍵ユニットの開錠要求を受け付けた場合に、鍵使用者の端末及び当該鍵ユニットに、対応する鍵情報を鍵情報を送信し、記憶させることで、鍵ユニットが鍵使用者の端末が受信した鍵情報を認証することにより、特定の電気錠を施解錠する制御ステップを含む鍵管理方法となっている。
【0011】
しかし、これらの機能を有する鍵管理システムでは、鍵管理会社が保管する物理鍵の貸出作業から錠を備える建物内での開錠、施錠作業及び鍵返却までを漏れなく一元的に管理することができていないため、以下のような課題があった。
(1)鍵を借り受けた鍵利用者が、目的地にある建物内の特定された部屋に備えられた錠を開錠するまでの建物内のルート情報が示されていないため、鍵利用者は、不動産業者が作成した見取り図等を見ながら目的の錠を探さなければならない。
なお、この点において、従来の鍵管理システムでは、必然的に、鍵使用者が鍵の貸出を受ける前に、建物施設内の見取り図や鍵の情報を不動産屋等を通じて入手することとなる。しかしながら、本来的には鍵情報は、秘匿性が必要な情報であり、鍵管理会社が専権として管理すべきものであり、施設情報がいたずらにやり取りされるのではセキュリティー対策として極めて不十分となる。
(2)大型商業施設や大型のマンション等においては、使用されている錠の数は数百に及ぶこともあり、また、目的の部屋を開錠するまでに、複数のゲートを開錠していかなければならない場合も多い。そのような場合には、複数の鍵を、それぞれ適合する錠に使用して開錠していかなければならない。
この点において、従来の鍵管理システムでは建物内のルート誘導機能が備わっていないため、鍵使用者がどのようなルートで、どのような順番で複数の鍵を使用していくかが不明であり、建物施設内で迷うことになる等、鍵使用者の利便性が低い。
(3)鍵使用者が目的の建物内で当該目的の部屋に最短で移動しているかについて、鍵管理サーバで管理されないため、鍵の貸出時点から最終目的の開錠に至るまで、建物のセキュリティー管理レベルが脆弱な状態にさらされる。
この点、従来の鍵管理システムでは、鍵使用者が建物施設内の目的の部屋以外の場所に侵入したり、長時間、目的地以外の場所に鍵を保有したまま外出してもそれをチェックする機能に欠ける。
(4)電気錠の開錠のために、鍵情報を鍵使用者の端末に送信し、開錠の認証を行うのみでは、建物施設内における鍵使用者の挙動を監視・分析するには至らず、建物施設内において開錠不要で移動できるルートについて、鍵使用者が適正なルートで移動しているかを監視できない。
(5)従来の鍵管理システムでは、鍵の貸出作業から、目的地にある建物内の特定された部屋に備えられた錠が開錠され、鍵が問題なく鍵管理装置に返却されるまでの情報が一元的にデータベース化されていないため、例えば、鍵の貸出作業、作業許可(機械式キーボックス予約)、キーボックス認証、建物施設内における誘導、監視、使用状況(開錠)、鍵返却等の一連のステップを一元的に管理できず、鍵管理会社が鍵使用者の挙動を含めた鍵の入出管理の状況を把握しずらい。
(6)従来の鍵管理システムでは、実際に鍵を使用するビル等の建物施設内の見取り図などが不明であるため、結局は鍵使用者が鍵管理ボックスから鍵を取得する際に鍵管理会社の人間が仲介し、現実に立ち会って施設内の建物情報を説明しなければならず、作業の効率が悪いという課題が解消されていない。
(7)同一の建物内で最終目的となる部屋に至るまでに複数のゲートを開錠していく必要がある場合において、すでに先行する内覧者が最短ルートに介在するゲートの鍵の貸出を受けていた場合においては、鍵管理会社が他のルートを検討し、それに応じた鍵を選別して貸出受付を改めて行わなければならず、この点で作業効率が極めて悪いという課題があった。
【0012】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、鍵管理会社の管理サーバが、通信により機械式キーボックスにおける物理鍵の使用権限を承認し、当該鍵の貸出作業がなされる際に、鍵使用者(以下、「ユーザ」と示す。)の携帯端末に、前記建物施設の入口から前記所望の部屋までの最短ルート及び目的の建物施設内で開錠が必要となる単数若しくは複数の鍵の情報を送信し、さらに建物施設内で鍵使用者を誘導する鍵管理システム、建物内の誘導方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の鍵管理システムは以下の構成を備える。
管理者サーバと、鍵管理ボックスと、ユーザのPCと、携帯端末とをネットワークにより接続可能とした鍵管理システムにおいて、
前記ユーザPC又は携帯端末は前記管理者サーバにアクセスして建物施設内の所望の部屋の鍵の使用を使用日、使用時間等と共に申請し、
前記管理者サーバは前記申請を許可すると、前記申請を許可した旨の通知とパスワード等の認証情報を前記ユーザPC又は携帯端末に送ると共に、前記鍵管理ボックスのPCに当該部屋の鍵の使用日、使用時間及び前記認証情報を送り、更に、前記建物の入口から建物内の所望の部屋までの最短ルートを決定し、当該所望の部屋までの最短ルート上の各分岐点、各部屋の壁に設置された発信機のID情報を得、
前記申請の許可を受けたユーザにより、前記鍵管理ボックスに前記認証情報入力を行うことで、前記所望の鍵は前記鍵管理ボックスから取り出し可能とされ、
前記申請の許可を受けたユーザの携帯端末は前記管理者サーバより前記建物の入口から前記所望の部屋までの最短ルート及び特定の鍵の種類及び順番等に関する必要な情報を取得すると共に、当該所望の部屋までのルート上の発信機のID情報を取得し、
当該携帯端末は、前記取得した最短ルートを表示画面に表示し、前記建物の入口から前記所望の部屋までのルート上を移動する際に順次、発信機からID情報を受信し、前記表示画面に前記所望の部屋までのガイド表示を行う、ことを特徴とする鍵管理システム。
【0014】
また、前記携帯端末は、前記最短ルートを外れるとアラームを発し、その旨の情報を前記管理者サーバに送信する、ことを特徴とする。
【0015】
また、前記携帯端末は、前記建物内の立ち入り禁止領域に入るとアラームを発し、その旨の情報を前記管理者サーバに送信する、ことを特徴とする。
【0016】
また、前記携帯端末は、前記建物内の発信機からの信号を所定時間以上受信しない場合にアラームを発し、その旨の情報を鍵管理システムを備えることを特徴とする。
【0017】
また、前記鍵は発信機を内蔵し、前記携帯端末は、前記鍵の発信機からの信号を所定時間以上受信しない場合に、その旨の情報を前記管理者サーバに送信する、ことを特徴とする。
【0018】
前記管理者サーバは、ユーザ名、ユーザの申請した使用建物名、部屋番号、使用日、使用時間、部屋の使用目的を含む履歴をユーザ毎に管理するデータベースを有する、ことを特徴とする。
【0019】
前記携帯端末は、前記管理者サーバより取得する前記建物の入口から前記所望の部屋までの最短ルートが使用できない場合に、他のルートを設定して管理者サーバより取得すると共に、当該ルート上の発信機のID情報を取得し、取得した前記他のルートを表示画面に表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鍵貸出申請の許可を受けたユーザが自己の携帯端末にパスワード等の認証情報を入力することで、当該携帯端末に前記管理者サーバより前記建物施設の入口から前記所望の部屋までの最短ルート及び特定の鍵の種類及び順番等に関する必要な情報を取得することができるため、建物施設内で効率的に移動、開錠、作業を可能とすることができる。一方、鍵管理者は、ユーザが建物施設内で適正に移動、開錠行為を行っているかを監視することを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例の鍵管理システムの全体構成例を説明する概略図。
図2】鍵管理ボックスの正面図。
図3】携帯端末管理ボックスの正面図。
図4】管理対象の建物内の一例の平面図。
図5】管理サーバのデータベースの構成例を示す図。
図6】ユーザによる鍵使用申請(作業申請)処理のフローチャート
図7】作業履歴DBの一例を示す図。
図8】鍵及び携帯端末の取り出し処理のフローチャート。
図9】往路の誘導監視処理を示すフローチャート。
図10】管理対象のビルまでのルート情報の画面例を示す図。
図11】携帯端末における作業対象ビル内の誘導画面例を示す図。
図12】管理サーバにおける作業対象ビル内の誘導監視画面例を示す図。
図13】往路の誘導監視処理を示すフローチャート。
図14】帰路の誘導監視処理の概略を示すフローチャート。
図15】監視処理を示すフローチャート。
図16】管理者PCに表示される作業許可画面を示す図。
図17】管理者PCに表示されるユーザの現在地表示を示す画面図。
図18】管理者PCに表示されるユーザの移動軌跡を示す画面図。
図19】管理者PCに表示されるユーザの鍵使用状況を示す画面図。
図20】管理者PCに表示される作業完了報告画面を示す図。
図21】ユーザ携帯端末に表示される誘導マップの設定ルートからユーザの現在地が外れた場合を示す画面図。
図22】ユーザ携帯端末に表示される鍵が手元から離れた場合を示す画面図。
図23】ユーザ携帯端末に表示される使用する鍵を表示する画面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図外れた面を用いて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
また、図面において、同一または機能的に同様の構成要素については、特に説明がない限り、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある
ところで、以下の実施例においては、ビル等の建物内のメインテナンスを行う工事会社が工事対象の部屋の鍵を使用する場合に、本発明を適用した例について説明するが、本発明はこれに限らず、不動産屋がマンションの賃貸対象の部屋の鍵を内覧等により使用する場合等にも適用可能である。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例による鍵管理システムの全体構成例を説明する概略図である。鍵管理システム1は、管理対象のビル等の建物内の部屋(店舗等を含む)の鍵管理を行う管理会社のビル(建物)10内の管理サーバ20、管理対象の建物内の各部屋及び通路の扉の鍵を収容する鍵管理ボックス30、複数の携帯端末Tを収容する携帯端末管理ボックス40、工事会社等の業者であり鍵使用者である複数ユーザのPC50を備えている。ここでは説明を簡単にするため、単一のユーザのみ、従って単一のユーザPC50のみを示すが、複数のユーザが当該システムを使用するものである。また、鍵管理ボックス30は管理対象のビル毎に個別に設けられてよい。
【0024】
管理サーバ20はビル10内に収容され、鍵管理ボックス30はネットワーク100、例えば、インターネットにより管理サーバ20に接続され、携帯端末管理ボックス40は鍵管理ボックス30に直接接続される。なお、携帯端末管理ボックス40もネットワークにより管理サーバ20に直接接続されるようにしても良い。ユーザPC50及び携帯端末Tはネットワーク100を介して管理サーバ20に接続可能である。
なお、管理サーバ20、鍵管理ボックス30及び携帯端末管理ボックス40は同一のビル10内に収容されるようにしても良い。
【0025】
管理サーバ20は、データベース(DB)22を有し、鍵管理ボックス30はPC32を有する。
【0026】
図2は鍵管理ボックス30の一例の正面図であり、鍵収容部33とパスワード入力部34を備え、鍵収容部33には例えば、n列、m行分の鍵、ここではn=5、m=5として25個の鍵K1~K25がそれぞれの収容ケースCA1~CA25に収容されている。ユーザはパスワード入力部34にパスワードを入力することで、後述するように、作業対象となるビルの所望の部屋(店舗)等の鍵の収容ケースのロックが解除されて鍵の取り出しが可能とされる。ここでは、例えば、各鍵の収容ケースCA1~CA25の上部にそれぞれランプLA1~LA25が備えられ、該当する鍵の収容ケースのロックが解除されるとそのランプが点灯(または点滅)される。図の例では、白く表示されたランプLA1、LA8が点灯状態であり、鍵K1及び鍵K8がロック解除されて取り出し可能状態であることを示す。
【0027】
図3は携帯端末管理ボックス40の一例の正面図であり、例えば、6個の端末T1~T6が個々の収容ケースCB1~CB6に収容されている。ユーザが鍵管理ボックス30のパスワード入力部34にパスワードを入力することで、連動して携帯端末管理ボックス40内の1つの携帯端末の収容ケースのロックが解除されて携帯端末の取り出し可能とされる。ここでは、例えば、各携帯端末の収容ケースCB1~CB6の上部にそれぞれランプLB1~LB6が備えられ、該当する携帯端末の収容ケースのロックが解除されるとそのランプが点灯さ(または点滅)れる。図の例では、白く表示されたランプLB2が点灯状態であり、端末T2がロック解除されて取り出し可能状態であることを示す。
【0028】
管理対象の建物(ビル)70においては、図4に例示する平面図のように、建物の入口、通路の分岐点、通路の扉の手前付近、各部屋の扉付近、通路の通過点、等にそれぞれ発信機、例えば、ビーコン発信機Bが設けられ、各ビーコン発信機Bはそれぞれ固有のID(識別情報)を送信する。ここでは、ビーコン発信機B1、B3、B9、B10が通路の分岐点に設置されたものであり、ビーコン発信機B2が通路の扉DR1付近に設置されたものであり、ビーコン発信機B5、B13が通路の通過点に設置されたものであり、ビーコン発信機B4、B6、B7、B8、B11、B12がそれぞれ部屋(店舗)A、B、C、D、E、Fの扉付近に設置されたものとする。なお、ここでは、ビーコン発信機B1は建物の入口付近に配置されたビーコン発信機としても機能する。また、各ビーコン発信機B1~B12のIDはそれぞれID1~ID12とする。
【0029】
なお、管理会社のビルが同時に管理対象のビルである場合には、管理会社のビルであって管理対象のビルでもある当該建物内に管理サーバ20を収容するようにしてよいことは言うまでもない。
また、ここでは説明を簡単にするため、管理対象の建物を1つのみ示すが、実際は複数のビル等を管理対象とするものである。従って、以下の説明では1つの管理対象の建物について説明する。
【0030】
図5は管理サーバ20のデータベース22の構成例を示す図であろ。データベース22は、ユーザDB22A、ルート情報DB22B、ビル内DB22C、鍵DB22D、作業履歴DB22Eを備える。ユーザDB22Aは、業者であり鍵使用者である複数ユーザのそれぞれの名称、住所、連絡先、業務内容(業種)等の情報を含む。なお、これらユーザは事前に管理会社に承認され、その情報はユーザDB22Aに登録されているものである。ルート情報DB22Bは、管理会社のビル10から管理対象のビル70までのルート情報を有し、鍵の不正複製を防ぐべく合鍵作成業者の住所等の情報なども含む。ビル内DB22Cは、管理対象のビル70内の各部屋までのルート情報、各ビーコン発信機Bの位置とそれぞれのID情報を含む。鍵DB22Dは、ビル70内の各通路の扉の鍵の番号及びID、各部屋の鍵の番号及びIDの他に、鍵の情報(錠前の種類、シリンダー交換日等)を含む。作業履歴DB22Eは、各作業の履歴を蓄積する。
【0031】
一例においては、プラットフォームをウエブブラウザベース とし、ネットワーク上のクラウドサーバで実行されるウエブアプリケーションを介して管理サーバ20と、ユーザPC60と携帯端末50等とをネットワークにより接続するようにしてよい。
【0032】
本発明による鍵管理システムの実施形態の動作を説明する。
以下に説明する図6に示す処理は、管理サーバ20上のウエブアプリケーションプログラム(以下、「ウエブアプリケーション」と称す)により実行されるものである。ウエブアプリケーションはサーバ6のメモリ、例えば、RAM等に記憶されるもので、例えば、外部よりネットワークを介して当該メモリに記憶したり、又は当該アプリケーションを記録したCDROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を図示しない記録媒体読み出し装置に挿入し、そこから読出して上記メモリに記憶しても良い。
【0033】
管理会社からの依頼に応じたユーザによる鍵使用申請(作業申請)処理について図6のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明においてSはステップを示す。
【0034】
管理会社は、ビル70内の店舗において電気工事等の作業が必要となった場合に、工事会社等の業者に作業届の提出依頼を行い、作業日時等を決定し、当該店舗の鍵使用を許可する。
【0035】
先ずS100において、管理会社の担当者は、ビル70内の店舗において電気工事等の作業が必要となった場合に、管理サーバ20のユーザDB22Aを検索して該当する業者を選ぶと共に作業履歴DB22Eに新規作業履歴を作成する。
【0036】
作業履歴DB22Eの一例としては、図7に示す様に、業者名、作業者(図示省略)作業内容、店舗名、作業依頼希望期間、作業予定日時、鍵貸与時間、鍵返却時間、作業開始時間(店舗開錠時間)、作業終了時間(店舗施錠時間)、メモ(警告等の履歴)、等を記録するものである。
ここでは一例として、先ず、No.01の行に、依頼する業者名としてA社、作業内容としてエアコン工事、店舗名としてビル70内の作業対象の店舗C、作業依頼希望期間として2019年4月1~10日を入力する。
【0037】
次いで、S102において、管理サーバ20により業者のユーザPC50に、ネットワークを介して作業依頼希望期間、作業内容、店舗名等を記載した作業依頼情報と共にログイン情報を送る。
ここでは一例として、ユーザPCにネットワークを介してログイン情報を送る例を説明するが、ユーザPC50は、ユーザが所持するスマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0038】
S104において、ユーザPC50が作業依頼情報と共にログイン情報を受信すると、業者であるユーザは、ユーザPC50において、管理会社のインターネット上のURLをクリックしてウエブブラウザを起動し、サーバ6上のウエブアプリケーションを自己の事前登録したユーザパスワード等を用いて開き、受信したログイン情報により作業届作成画面を開き、受信した作業依頼情報を表示させる。
【0039】
S106において、ユーザはユーザPC50において、作業届作成画面に請負の可否、さらに請け負う場合には作業請負希望日時(例えば、2019年4月1日午後1~3時)等を記入し管理サーバ20に作業届として送信する。
【0040】
次いで、S108において、管理サーバ20により、ユーザPC50からの受信した作業届の作業請負希望日時に、当該作業対象と同一店舗Cにおいて、既に他の作業の予定が入っているか否か、即ち、作業予定の重複があるか否かを作業履歴DB22Dによりチェックする。
【0041】
作業予定の重複がある場合には、管理サーバ20は、その旨及び作業請負希望日時の変更要請をユーザPC50に送り、変更された作業請負希望日時をユーザPC50から受信し再びチェックを行う。
なお、管理サーバ20は、S102において作業依頼希望期間を送信する際に、既に判明している作業予定の重複日時と合わせて送信するようにしてよい。その場合には、S108のチェック処理を省くことが可能となる。
【0042】
作業予定の重複が無い場合には、管理サーバ20は、S110において、受信した作業請負希望日時(2019年4月1日午後1~3時)を作業予定日時として作業履歴DB22EのNo.01の行に書き込む。
【0043】
次いで、S112において、管理サーバ20はユーザPC50に、作業予定日時での作業許可を示す作業許可通知および鍵管理ボックス30を開錠するためのパスワード、例えば、ワンタイムパスワードを送信する。
更に、S114において、管理サーバ20は、鍵管理ボックス30に、作業予定日時、ユーザPC50に送信したワンタイムパスワード等を含む予約データを送信する。なお、予約データには、ビル70内の通路の扉DR1の鍵番号K1、作業対象の店舗Cの扉DR8の鍵番号K8が含まれる。
【0044】
次に、管理会社からの依頼に応じて作業を行うユーザが作業当日に鍵管理ボックス30から鍵を取り出すと共に携帯端末管理ボックス40から携帯端末Tを取り出す処理を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
図8に示す処理は、鍵管理ボックス30のPC32のアプリケーションプログラムにより実行されるものである。このアプリケーションプログラムはPC32のメモリ、例えば、RAM等に記憶されている。
【0046】
先ず、S200において、ユーザが作業当日に、ユーザPC50に送信されたワンタイムパスワードを鍵管理ボックス30のパスワード入力部34に入力すると、PC32は鍵管理ボックス30のランプLA1、LA8を点灯して収容ケースCA1、CA8のロックを解除し鍵K1、K8を取り出し可能とする。
なお、ここで、ワンタイムパスワードは作業当日のみ有効、若しくは、作業当日の作業開始予定時刻の所定時間前から作業終了予定時刻の所定時間経過後まで有効としてよい。即ち、鍵管理ボックス30のPC32は、パスワード入力部34に予約データが示す作業当日若しくは上記時間帯以外にワンタイムパスワードが入力されても、受け付けない処理を行うようにしてよい。
【0047】
次いで、S202において、PC32は携帯端末管理ボックス40に未使用の携帯端末の1つを取り出し可能とすべく制御信号を送信する。例えば、PC32は制御信号により、ランプLB2を点灯して収容ケースCB2のロックを解除し、携帯端末T2取り出し可能とする。
【0048】
次いで、S204において、PC32は、管理サーバ20に鍵管理ボックス30の開錠時刻、携帯端末管理ボックス40の開錠時刻を送信する。それに応答して、管理サーバ20は作業履歴DB22EのNo.01の行にそれぞれの時刻を書き込む。
ところで、PC32がS204において管理サーバ20に鍵管理ボックス30の開錠時刻、携帯端末管理ボックス40の開錠時刻を送信する際、S200又はS204において鍵管理ボックス30から該当する鍵の抜き出しが可能となり、実際に鍵が抜き出されたことが、S204における開錠時刻及び鍵情報の送信を行う条件としてもよい。
なお、図8の処理は、鍵管理ボックス30のPC32で行う代わりに管理サーバ20で行うようにしても良い。その場合、PC32は不要とされ、管理サーバ20によりS200~S204の処理が実行される。
【0049】
次に、管理会社からの依頼に応じて作業を行うユーザを該当ビルに誘導すると共にユーザを監視する誘導監視処理について図9のフローチャートを参照して説明する。なお、図9は作業対象の店舗までの往路の誘導監視処理を説明するもので、図9に示す処理のうち、携帯端末により実行される処理は、携帯端末のモバイルアプリケーション(以下、「モバイルアプリ」と称す)により実行されるものであり、携帯端末のメモリ、例えば、RAM等にダウンロード等により記憶される。
【0050】
先ず、S300において、ユーザがS202で取り出した携帯端末T2の電源を入れ、モバイルアプリを立ち上げ、ユーザPC50に送信された上記ワンタイムパスワードを入力する。この段階においては、モバイルアプリのデータはブランクである。すると、携帯端末T2より管理サーバ20に、上記パスワードが入力された旨の信号が送られる。
ところで、以下説明する携帯端末T2は、S202において、携帯端末管理ボックス40から取り出した携帯端末であるが、本システムを利用する場合において、ユーザがもともと所持しているスマートフォン等の携帯端末であって上記モバイルアプリを予めダウンロードされているものによって、図9に示す処理のうち、携帯端末により実行される処理を行うようにしてもよい。
【0051】
S302において、管理サーバ20は、携帯端末T2からの上記信号に応答してユーザの誘導監視処理を開始する。即ち、管理会社のビル10から管理対象のビル70までのルート情報をルート情報DB22Bに基づき設定し、更にビル70内の店舗Cまでのルート情報をビル内DB22Cに基づき設定し、それぞれを携帯端末T2に送信する。ここで、ビル70内の店舗Cまでのルート情報としては、好ましくは、ビルの入口から店舗Cまでの最短ルート内を経由する全ビーコン発信機のID情報、図11に示す情報等である。図11は、携帯端末に表示される、図4に対応する、作業対象ビル70内の誘導画面例である。最短ルート内を経由する全ビーコン発信機のID情報としては、図11の例では、ID1→ID2→ID3→ID4→ID5→ID6である。なお、この最短ルートは、好ましくないエリア(秘匿エリア等)、例えば、店舗F又は分岐(B10)付近を通ることを避けるように設定されてよい。
ところで、第1候補となる最短ルートが通過できない場合、具体的には、途中のゲートの鍵がすでに貸し出し中などの場合は、第2候補のルートが自動的に選定、設定される。例えば、図11の例では、ID1→ID2→ID3→ID4→ID5→ID6からなる最短ルートにおいて、すでにK1の鍵が他者に貸し出し中であったような場合には、ID1→ID12→ID10→ID14→ID9→ID11→ID8が選択、設定され、貸し出される鍵もK1ではなくK2及び最終店舗Cの鍵K8が貸し出されることとなる。
【0052】
S304において、携帯端末T2は管理サーバ20からのルート情報を受信して内部のメモリに保存し、ビル10から管理対象のビル70までのルート情報を画面に表示する。図10は画面に表示されたルート情報の一例である。
【0053】
ところで、S302において、管理サーバ20は、携帯端末T2からの上記信号に応答して、ユーザの誘導監視処理と同時に、当該ビル内において、最終目的の店舗Cの目的錠を開錠するまでに必要な単数又は複数の鍵に関する種類・特定・使用ゲート・使用順番などを設定し、その情報を携帯端末T2に送信する。
【0054】
管理サーバ20は、ユーザの携帯端末T2からの上記信号に応答して、当該ビル内において、最終目的の店舗Cの目的錠を開錠するまでに必要な単数又は複数の鍵に関する種類・特定・使用ゲート・使用順番などを設定し、管理ボックス30の中から該当する鍵のみを取り出せるように、鍵管理ボックスの該当する鍵収納ケースのロックを解除すると同時に、携帯端末T2に、必要な単数又は複数の鍵に関する種類・特定・使用ゲート・使用順番などの情報を送信する。こうして、ユーザは、前記携帯端末T2を通じて、管理会社のビル10から管理対象のビル70までのルート情報及び、管理対象のビル70内における店舗Cまでの最短ルート情報、店舗Cの目的錠を開錠するまでに必要な単数又は複数の鍵に関する種類・特定・使用ゲート・使用順番などの鍵情報を閲覧できることとなる。
【0055】
なお、管理サーバ20が管理対象のビル70内における店舗Cまでの最短ルート情報、店舗Cの目的錠を開錠するまでに必要な単数又は複数の鍵に関する種類・特定・使用ゲート・使用順番などの鍵情報を設定する時期は、図6に示す管理サーバ20が作業許可通知等をユーザPCに送信するS112の時点若しくは作業許可通知のデータ信号を鍵管理ボックスに送信するS114の時点、又は、ユーザが携帯端末T2にパスワード等の認証情報を入力した時点であってもよい。
以下、公知の方法によりビル70までのガイドが行われる。
【0056】
なお、ビル10からビル70までのルートの途中に、立ち寄り禁止エリア、例えば、合鍵作成業者等の好ましくない店舗Kがあり、そこに一定時間(例えば、3分)以上滞在したか否かを、携帯端末T2の位置情報に基づき管理サーバ20は監視するようにしてよい。例えば、ユーザが、即ち、携帯端末T2が店舗Kに一定時間以上滞在した場合、管理サーバ20は、警報アラートを発すると共に、携帯端末T2に警報信号を送信して警報を発するようにする。
【0057】
なお、管理サーバ20から携帯端末T2に送られるルート情報に好ましくない店舗情報を含ませ、携帯端末T2において、当該店舗に一定時間以上滞在したか否かを判定させ、滞在したと判定した場合に、自ら警報アラートを発生し、警報信号を管理サーバ20に送るようにしても良い。
【0058】
管理サーバ20においては、携帯端末T2と同様に、図10の情報が画面に表示され、携帯端末T2(若しくは甲氏)の現在位置が表示されており、警報アラートを発する際にはその旨の表示がなされる。更に、管理サーバ20は、作業履歴DB22EのNo.01の行のメモ欄に当該警報に関する情報(警報時刻、場所等)を記録するようにする。これにより、ユーザが鍵の不正複製などを行うことを防止でき、かつ不正立ち寄りの履歴を残すことができる。
【0059】
また、鍵管理ボックス30内の鍵K1~K25はそれぞれ発信機、例えば、ビーコン発信機を内蔵しており、それぞれ固有のID、例えば、IDk1~IDk25を送信する。従って、携帯端末T2は、ユーザが所持している鍵(ここでは、K1、K8)のそれぞれ固有のID であるIDk1、IDk8を受信することとなる。
【0060】
なお、上記S302においては、管理サーバ20は、ユーザが作業に必要な鍵(ここでは、K1、K8)のそれぞれ固有のID であるIDk1、IDk8も携帯端末T2に送信するものとし、携帯端末T2は当該情報を受信して内部のメモリに保存する。
【0061】
従って、鍵(例えば、K1)が所定時間(例えば、3分間)以上、携帯端末T2から所定距離(例えば、3m)以上離れると、携帯端末がその鍵の固有のIDk1を受信できなくなる。すると、携帯端末は、その旨の信号を管理サーバ20に送信する。これにより、管理サーバ20は、携帯端末から鍵K1が分離搬送されたことを検知し、携帯端末に警報を発するようにすると共に、作業履歴DB22Eのメモ欄にその旨の記録を残すようにする。これにより、ユーザが鍵を携帯端末から分離搬送して鍵の不正複製などを行うことを防止でき、かつユーザによる鍵の分離搬送の履歴を残すことができる。
【0062】
図9の処理に戻り、ユーザである作業者甲がビル70に到着すると、携帯端末T2は画面を図10から図11に示す作業対象ビル内の誘導画面に切り替えるようにしてもよい(S306)。作業者甲がビルの入口に入ると、携帯端末T2はビル内のビーコン発信機B1の電波を受信しそのID(ID1)を認識する(S308)。なお、ビル内携帯端末TはビーコンBから所定距離(例えば、3m)内に接近するとビーコン発信機からの電波を受信してそのIDを認識するものとする。
【0063】
携帯端末T2はビーコン発信機B1のID(ID1)を認識すると、ID1をビル70内のネットワーク、例えば、Wifi等を介して管理サーバ20に送信する(S308)。
【0064】
管理サーバ20はID1を受信すると、図12に示す作業対象ビル70内の誘導監視画面に携帯端末T2の位置を表示すると共に、ID1の受信時刻をビーコン発信機B1の通過時刻として作業履歴DB22Eのルート履歴欄に保存する(S310)。
【0065】
また、携帯端末T2は、図11の画面において、ビーコン発信機B1に向かう直進を示す矢印A1を表示する
【0066】
管理サーバ20における図12に示す誘導監視画面においては、携帯端末を所持するユーザの位置等が表示される。図の例ではA社の担当者甲氏がビーコン発信機B1付近を移動中であることが示され、画面上で甲氏の位置をポイント又はクリックすると、D1に示す様に作業者甲氏に関する情報、例えば、業者名、作業者名、作業者の連絡先、作業予定時間、作業目的、作業者の現在位置等がDB22より読み出されて表示される。また、店舗の扉DRの位置をポイント又はクリックすると、D2に示す様に、その扉の鍵情報、例えば、錠前の種類、シリンダー交換日、交換業者等が鍵DB22Dより読み出されて表示される。
なお、図10に示す画面においても、画面上で携帯端末(甲氏)の位置をポイント又はクリックすることで、作業者に関する同様の情報が表示される
【0067】
再び図9の処理に戻り、ユーザは作業対象を店舗Cとしているため、ユーザが分岐点のビーコン発信機B1に接近すると、携帯端末T2はメモリ内の最短ルート情報に従って図11の画面において右の通路に進むよう、例えば、青い右向きの矢印A2を表示する。
【0068】
仮に、甲氏が画面のガイドに反して矢印A6方向に進み、携帯端末T2がビーコン発信機B12のID(ID12)若しくはビーコン発信機B10のID(ID10)を受信すると、ID12若しくはID10はメモリ内の最短ルート内の全ビーコン発信機のID情報に含まれていないため、携帯端末T2は、図11の画面に警報を表示する。例えば、赤い矢印A6を点滅表示し、更にルートが異なる旨の表示や警報音等を発するようにして良い。
【0069】
その後、甲氏が矢印A6方向から逆方向に戻り、携帯端末T2がビーコン発信機B1のID1を再び受信すると、上記の警報を停止する。
【0070】
その後、甲氏が矢印A2の方向に進み通路の扉DR1に接近すると、携帯端末T2はビーコン発信機B2のID(ID2)を受信する。すると、携帯端末T2は通路の扉DR1の鍵番号K1を表示すると共に、青い矢印A3を表示する。甲氏が鍵K1により扉DR1を開錠し矢印A3に進むと、やがて携帯端末T2は分岐点に設置されたビーコン発信機B3のID(ID3)を受信し、メモリ内の最短ルート情報に従って図11の画面において左の通路に進むよう、青い右向きの矢印A4を表示する。
【0071】
同様にして、携帯端末T2は通路の通過点に設置されたビーコン発信機B5のID(ID5)を受信すると、図11の画面において直進を示す青いの矢印A5を表示する。
以上がS314の処理である。
【0072】
やがて、甲氏が作業対象の店舗Cに接近しビーコン発信機B7のID(ID7)を受信すると、携帯端末T2は目的の店舗に到着した旨のコメント(及びその旨の音声アナウンス)、及び店舗Cの扉の鍵番号K8を画面上の店舗Cの扉に表示する。同時に携帯端末T2はビーコン発信機B7のID(ID7)を管理サーバ20に送信する(S316)。
【0073】
管理サーバ20はID7を受信すると、ID7の受信時刻を作業対象への店舗への到着時刻として作業履歴DB22EのNo.01の行に保存する(S318)。
これにより誘導監視処理は終了する。
【0074】
なお、携帯端末T2は各ビーコン発信機のIDを受信する毎に、それを管理サーバ20に送信し、管理サーバ20は、その受信時刻をビーコン発信機の通過時刻として作業履歴DB22Eのルート履歴欄に保存する。
【0075】
ここで、携帯端末による上記の図9のS308、S314、S316の誘導監視処理の例を図13のフローチャートを用いて説明する。なお、図13は作業対象の店舗までの往路の誘導監視処理を説明するものである。
【0076】
先ず、携帯端末はS400において、ビーコン発信機のIDを受信(検知)すると、S402において、受信したIDが作業対象の店舗(目的地)のIDか否かを判定する。目的地のIDである場合には、図9のS316の処理を行い、誘導監視処理を終了する(S420)。
【0077】
S402において、携帯端末は受信したIDが目的地のIDでないと判定すると、S404において、受信したIDが分岐点のIDか否かを判定する。受信したIDが分岐点のIDでないと判定すると、携帯端末はS414において、受信したIDが扉のIDか否かを判定し、扉のIDでなければ、S418において図11の画面に直進の矢印表示を行う。
【0078】
一方、受信したIDが扉のIDであれば、S416において扉の鍵番号を表示する処理を行い、引き続いてS418の処理を行う。
S418の処理を終了するとS400の処理に戻る。
【0079】
404において、受信したIDが分岐点のIDであると判定すると、携帯端末はS406において、メモリ内の最短ルート情報に従って図11の画面に所定方向の矢印を選択的に表示する。
【0080】
次いで、携帯端末は次に受信したIDがメモリ内の最短ルート情報内のIDか否かを判断し、最短ルート情報内のIDであれば処理をS402に進める。
他方、携帯端末は次に受信したIDが最短ルート情報外のIDであると判定すると、S410において図11の画面に警報を表示する等の処理を行う。その後、携帯端末は次に受信したIDがS404で受信したIDと同じであれば処理をS406に戻す。
【0081】
なお、図9図13のフローチャートにおける携帯端末の処理は、一部(例えば、S402、S404、S408等の判断処理)を管理サーバ20で行うようにすることも可能である。
【0082】
また、ビル70の入口において、ビーコン発信機B1の手前にゲートを別途設け、電子キー(電子カードキー等)によりゲートを開くような構造である場合には、当該電子キーを鍵管理ボックス30で同様に管理し、ゲート付近にビーコン発信機を設けて上記と同様に誘導処理を行えばよい。
【0083】
作業者である甲氏の作業が終了してビル70からビル10に戻る際の、復路の誘導監視処理の概略を図14のフローチャートを用いて説明する。
【0084】
先ず、作業者である甲氏は携帯端末T2において作業完了を入力すると(S500)、その旨の信号が管理サーバ20に送信され、作業完了時刻として作業履歴DB22EのNo.01の行に保存される(S502)。
【0085】
その後、携帯端末T2はビル70内の入口(出口)までの誘導処理を往路の誘導処理と同様にして行う(504)。
【0086】
ところで、携帯端末T2は、甲氏がビル70内の入口(出口)に到着しビーコン発信機B1を通過すると、携帯端末T2は、画面を図11に示す作業対象ビル内の誘導画面から図10に示すビル70から管理会社のビル10までのルート情報に切り替え(S506)、ビル10までの誘導処理を往路の誘導処理と同様にして行ってもよい(S508)。
【0087】
甲氏はビル10に到着すると、ワンタイムパスワードを用いて鍵管理ボックス30を開錠し、鍵K1、K8を返却すると共に、携帯端末管理ボックス40を開錠し携帯端末T2を戻し、その返却情報は管理サーバ20に送信される(S510)。それにより、管理サーバ20は返却情報(返却時刻等)を作業履歴DB22EのNo.01の行に書き込む(S512)。
【0088】
次いで、管理サーバ20はユーザPC50に作業報告画面の編集を許可する信号を送り(S514)、それに応答して甲氏はユーザPC50において作業報告画面を開き作業報告書を作成し、管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は受信した作業報告書に基づき作業履歴DB22Eにデータを保存する。
【0089】
次に、管理会社からの依頼に応じて作業を行うユーザを監視する監視処理について図14のフローチャートを参照して説明する。当該監視処理フローは一定時間ごとに実行されるものとする。
【0090】
上記したように、携帯端末は、ビル10からビル70までのルート上、または作業対象ビル内の立ち寄り禁止エリアに所定時間以上、携帯端末が留まっているか否かを判断し、(S600)、留まっている場合には警報を発し(S602)、警報信号を管理サーバ20に送信し、それにより管理サーバ20においても警報が発せられる(S604)。
なお、上記したように、管理サーバ20において携帯端末Tの位置情報に基づき、立ち寄り禁止エリアに所定時間以上、携帯端末が留まっているか否かを判断してもよい。
【0091】
携帯端末は、作業者が所持している鍵が携帯端末から所定時間以上分離されているか否かを判断し、(S606)、所定時間以上分離されている場合には警報を発し(S608)、警報信号を管理サーバ20に送信し、それにより管理サーバ20においても警報が発せられる(S610)。
【0092】
管理サーバ20は、鍵の予定返却時刻を過ぎても鍵の返却がされていないか否かを判断し(S612)、返却がされていない場合には警報を発し(S614)、警報信号を携帯端末に送信し、それにより携帯端末においても警報が発せられる(S616)。
なお、S606の判断は管理サーバ20において行うようにしてもよく、またS612の判断は携帯端末において行うようにしてもよい。
【0093】
携帯端末の電源がオフ、またはモバイルアプリが終了された場合に、その旨の信号が携帯端末から管理サーバ20に送信され、管理サーバ20の画面にその旨が表示され警報アラートが発せられるようにしてもよい。これは、作業者が上記の不正立ち寄りや鍵の不正分離等の不正使用が疑われた場合には、携帯端末の電源がオフ、またはモバイルアプリが終了されると警報アラートを発生できなくなるため、そのような場合における不正行為を防止するためである。
なお、携帯端末の電源が所定時間以上オフ、またはモバイルアプリが終了されてから所定時間以上経過した場合に、携帯端末から警報アラートが発せられるようにしてもよい。
【0094】
また、鍵内にICチップ等を内蔵させ、警報アラート発生器を設け、不正使用が疑われた場合に、携帯端末から上記警報信号を管理サーバ20に送信すると共に、当該鍵の不正使用を示す警報信号を当該鍵に送信し、当該鍵から警報音や光等が発せられるようにしてもよい。
【0095】
ところで、図22が示すように、ユーザがルート移動中に、鍵がユーザの手元から離れた場合には、携帯端末から上記警報信号を管理サーバ20に送信すると共に、鍵が手元から離れた旨の警告をユーザの携帯端末の画面に表示させるようにしてもよい。
【0096】
なお、複数の鍵を作業者が保持する場合を想定して、鍵においては、携帯端末から警報信号が当該鍵へのものか否かを判別する機能を設けてよい。例えば、携帯端末からの警報信号に不正使用の疑いのある鍵のIDを含ませ、警報信号を受信した鍵において、警報信号に含まれるIDが自己のIDと同じであれば警報音等を発するようにすればよい。
【0097】
次いで、図16は、管理者PCにおいて表示される作業許可画面例であり、作業許可通知をユーザPC又はユーザの携帯端末に送信する際に表示されるものであって図6に示すS112の時点において表示される画面の一態様を示す例である。
【0098】
管理者は、この画面により、作業日時及び特定された貸出鍵の種類、貸し出し者であるユーザに付与されたID、ビル建物内のゲート等の情報を一見して確認することができる。
【0099】
図16で示す「鍵名称」は、同時に前記最短ルート上にあって、通過に開錠が必要な各通過ゲートを示唆するものであり、図16で示す例では、対象ビル内の最短ルート上に「1F 廊下A」「1F ELVホール」「5F 5階入り口」「5F 事務室5」の5つの通過ゲートがあり、それぞれについて作業許可(鍵の貸出許可)を行った状況が表示されることとなる。
【0100】
図17は、管理者PCにおいて表示される作業者現在地表示を確認できる画面の一例を示すものである。
【0101】
図17に示す画面は、図12において、携帯端末T2は各ビーコン発信機のIDを受信する毎に、それを管理サーバ20に送信し、管理サーバ20は、その受信時刻をビーコン発信機の通過時刻として作業履歴DB22Eのルート履歴欄に保存する。この各ビーコン発信機の通過時刻からユーザが現在どこにいるかを管理者PCの画面上に表示する。
【0102】
図18は、作業者であるユーザが対象となるビル内において移動する状況を示す作業者の移動軌跡の一例を示すものである。以下、図11の携帯端末における作業対象ビル内の誘導画面例を示す図とリンクして説明する。
【0103】
この点、携帯端末は、管理サーバ20に予め入力されたビル内の情報から作出されて設定された最短ルートであるID1から順次ビーコンを通過しID6に至るまで、図13に示す検知及び判定を繰り返すが、管理サーバ20は、その受信時刻をビーコン発信機の通過時刻として作業履歴DB22Eのルート履歴欄に保存する。そのルート履歴情報から、ユーザが現在どこにいるかを図18に示すように管理者PCの画面上に表示する。
【0104】
この移動履歴は、ユーザが最短ルートを適切に移動している場合のみではなく、ユーザが最短ルート上にあるビーコンではない他のビーコンを通過した場合においてもその状態を表示する。
【0105】
ところで、管理者PC画面に表示される作業者現在地表示は、ユーザの携帯端末が各ビーコンID受信し、管理サーバ20に当該ID情報を送信し、これによって作業履歴DB22Eのルート履歴欄に保存された時点で情報表示が更新され、管理者は絶えず最新の情報を閲覧することになる。
【0106】
なお、図18が示す作業者の移動履歴の例では、便宜的に対象ビル内の見取り図上に示された各ビーコンを結ぶ線でユーザの移動状況を表現している。
【0107】
図19は、管理者PC画面に表示されるユーザの鍵使用状況の具体例を示す図であり、ビル内の通過ゲートをユーザが通過する際に、前記最短ルート上の各ゲートを開錠するごとに、作業履歴DB22Eのルート履歴欄に保存された情報から、管理者PC画面に表示される。
【0108】
また、管理者PC画面に表示されるユーザの鍵使用状況は、ユーザが各ゲートを開錠した時点で情報表示が更新され、管理者は絶えず最新の情報を閲覧することになる。
【0109】
ところで、図19では、「鍵名称」は、同時に前記最短ルート上にあって、通過に開錠が必要な各通過ゲートを示唆するものであり、図19で示す例示では、対象ビル内の前記最短ルート上に「1F 廊下A」「1F ELVホール」「5F 5階入り口」「5F 事務室5」の5つの通過ゲートがあり、それぞれが開錠されたか否かが使用時間欄に表示されることとなる。
【0110】
図20は、管理者PCに表示される作業完了報告画面の一例を示す図であって、各通過ゲートに対応した鍵ごとに、鍵管理ボックスに返却が行われたかどうかを表示する。図の例では返却済みの鍵を〇で表示している。
【0111】
ところで、図20に具体的な態様として例示される管理者PCに表示される作業完了報告画面は、図14で示すS510、S512、S514に対応するものである。
【0112】
図21は、ユーザの携帯端末に表示される、管理サーバによる誘導マップの設定ルートからユーザの現在地が外れた場合の警告等を表示する画面の具体例を示す図であって、図11に対応する。すなわち、この図に表示されるルート図は、図9に示すS302において、管理サーバが誘導開始処理を開始し、ユーザの携帯端末にルート情報等を送信することで、ユーザの携帯端末に表示される誘導マップに示すルートが基準となる。
【0113】
ユーザがルートを故意又は過失による理由から、このルートから、ユーザの移動履歴が逸脱した場合において、ルート外のビーコンIDをユーザの携帯端末が受信したとき、図21に示すユーザの携帯端末画面において、経路から外れた旨の警告が表示される。図の★印ルートが管理サーバの設定ルートから外れたルートを示す。
例えば、図21に例示するように、誘導マップの設定ルートからユーザの現在地が外れた場合、該当時刻の表示とともに、「経路から外れました」とのユーザに対する警告が表示されている。
【0114】
また、ユーザの携帯端末に表示される誘導マップの設定ルートからユーザの現在地が外れた場合の画面図は、図20に対応してルート情報を表示する画面図とともに表示されるが、誘導マップと同時に表示するものに限られない。
【0115】
ところで、図21に一例として示す画面態様のように、誘導マップに示されたルートから外れて警告が表示された場合であっても、その後、ユーザの位置が誘導マップに示すルート上に戻った場合には、適正なルートに戻ったことを表示する機能を備えてもよい。
【0116】
図22は、ユーザ携帯端末に表示される、鍵が手元から離れた場合を示す画面例である。通常は、誘導マップを表示する画面では、ルートの他、開錠を要するゲートの情報が表示される。
ところが、紛失や合い鍵作成などの理由で、ユーザの鍵がユーザの手元から離れる場合がある。特に開錠行為を伴う往路においては紛失のリスクが高い。この場合においては、特に往路において、ユーザの携帯端末が、当該鍵が備えるビーコン機能から発するIDを検知できなくなった時点で、携帯端末から上記警報信号を管理サーバ20に送信すると共に、ユーザの携帯端末画面に鍵が手元から離れたことを示す警告を表示させる。
図22に示す、鍵が手元から離れた場合を示す画面の例では、該当する時刻及び鍵が離れた場所を表示するとともに「鍵が離れました」等の表示をする。
【0117】
図23は、ユーザ携帯端末に表示される、使用する鍵を表示する画面の具体例を示す図であって、ユーザの携帯端末において鍵情報が表示される画面の一例である。
【0118】
管理サーバは、ユーザの携帯端末T2からの信号に応答して、当該ビル内において、最終目的の店舗Cの目的錠を開錠するまでに必要な単数又は複数の鍵に関する種類・特定・使用ゲート・使用順番などを設定し、図9で示すS304又はS312に対応して、ルート情報とともに、携帯端末T2に、これらの情報を送信し、表示させる。こうして、図23に示す、ユーザ携帯端末に表示される使用する鍵を表示する画面では、ルート情報とともに、最終目的錠を開錠するまでに必要な単数又は複数の鍵に関する種類・特定・使用ゲート・使用順番などの鍵情報を閲覧できることとなる。
【0119】
ただし、ユーザ携帯端末に表示される使用する鍵を表示する画面は、ルート情報とともに画面に表示されずに、鍵情報のみを表示するものであってもよい。
<総括>
本発明に係る鍵管理システム、建物内の誘導方法およびプログラムによれば、例えば以下の効果が達成される。
【0120】
(1)鍵利用者は、鍵の貸出申請が管理サーバにより許可されると自動的に、建物施設内の目的とする部屋等への最短ルート及び、必要な鍵の情報が鍵利用者の携帯端末に表示されることになるため、鍵利用者は予め建物施設内の情報を取得しておく必要がない。
【0121】
この最短ルートは、当該ビル等の建物施設におけるマスターキーシステムを基に作成された、マスターキープラン情報を利用して、通行ゲート等の通過点を設定することができる。
【0122】
そうすると、本鍵管理システムを採用すれば、マスターキープランを施工管理するゼネコンを介さずに鍵管理会社が作成し、管理することも可能となる。
【0123】
すなわち、建物新築時に建具メーカーが建具に取付ける錠前を選定し、錠前メーカーその注文に応じて制作した錠前を、建具メーカーが建物に取付けるが、その錠前の配置情報を施工管理ゼネコンと共有することなく、鍵管理会社が専権的一元的に作成し、管理することが可能となる。
【0124】
このため、鍵と錠前の組み合わせ情報及び配置情報が、当該ゼネコンや不動産業者等に開示されず高い秘匿性を維持することができ、結果としてビル等のセキュリティー効果の向上を図ることができる。
【0125】
さらに、鍵使用者は、必然的に自己の携帯端末に表示されたビル等内の最短ルートを進むことになり、当該ルート内に設定されたビーコンを予定された時間内に通過していかなければならなくなるため、結果的に、鍵使用者のビル等の建物施設内の行動を適正に制約しながら監視することができる。これは、前述のような不正立ち寄りや鍵の不正分離等の不正使用を防止することができ、鍵使用者が無断に合い鍵を作成するといった犯罪の端所となるような不正行為を防止することも可能となる。
【0126】
大型商業施設や大型のマンション等のビル内において、使用されている錠前の総数が数百に及ぶような場合であっても、鍵管理サーバが鍵貸出申請及びマスターキープランから必要な鍵情報を特定・抽出して鍵使用者の携帯端末に送信・表示するため、鍵管理者は複数の通行ゲートを開錠していかなければならない場合も鍵の選択を間違えるなくなり利便性が大幅に向上する。
【0127】
一方、鍵管理者も管理者PC画面において、各通行ゲートで鍵が適正に使用されたかをチェックすることが可能となり、それらの作業履歴も保存されることで、より一層のセキュリティー性を担保することができる。
【0128】
前記管理サーバが、開錠が必要となるビル等の建物施設内において、最終目的となる部屋までの最短ルートをユーザの携帯端末に自動的に表示させるため、鍵管理者が鍵の受け渡しに際して、建物内の場況の説明に立ち会う必要がなく、作業効率が大幅に向上する。
【0129】
さらに、同一の建物内で最終目的となる部屋に至るまでに複数のゲートを開錠していく必要がある場合において、すでに先行する内覧者が最短ルートに介在するゲートの鍵の貸出を受けていた場合においては、本システムがそれに代わる第2ルートを自動的に選定・設定するため、鍵管理会社が他のルートを検討し、それに応じた鍵を選別して貸出受付を改めて行う必要がなくなり、この点においても作業効率の向上を図ることができる。
【0130】
また、鍵を借り受けて作業する者が、当該鍵を紛失する場合や、合鍵を作る目的等で鍵を手放す場合も考えられる。
この場合において、本システムでは、ユーザの携帯端末から前記警報信号が管理サーバに送信されることで、管理者PCで当該事実を察知することができるとともに、ユーザの携帯端末に警告を表示させるため、鍵の紛失防止や犯罪防止を図ることができる。
【0131】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0132】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0133】
20 管理サーバ
30 鍵管理ボックス
40 端末管理ボックス
50 ユーザPC50
B ビーコン発信機
T 携帯端末
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