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特許7021178制御された多孔性を有する布帛およびポリエーテルイミドから作られた複合シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】制御された多孔性を有する布帛およびポリエーテルイミドから作られた複合シート
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
C08J5/04 CFG
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2019500286
(86)(22)【出願日】2017-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017066811
(87)【国際公開番号】W WO2018007460
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】1656394
(32)【優先日】2016-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508349735
【氏名又は名称】ポルシェ アンデュストリ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】エリク フォレスト
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528330(JP,A)
【文献】特開2012-092337(JP,A)
【文献】特開2005-238596(JP,A)
【文献】特開平07-088875(JP,A)
【文献】特開昭52-117369(JP,A)
【文献】特開2016-078360(JP,A)
【文献】特開平02-305824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/16; 15/08-15/14
C08J5/04-5/10; 5/24
B32B1/00-43/00
C08J9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の布帛およびポリエーテルイミド(PEI)を含む複合シートであって、該PEIは20000~100000g/モルの範囲の質量平均分子量(MW)を有しており、該PEIは、該布帛を含浸して密度を高め、該複合シートは、アセトン吸収法によって測定された、3質量%~8質量%のアセトン吸収のアセトン多孔性を有しており、該アセトン吸収法は、該複合シートの40×40mmの試験片を、70℃で2時間乾燥し、該試験片の初期の質量を秤量し、次いで該試験片を24時間に亘って表面を覆うアセトン中に配置し、この試料を回収し、それを拭き取り、そしてそれを秤量して、初期の質量と比較し、そしてアセトン吸収量を質量として算出することからなっている、複合シート。
【請求項2】
アセトン吸収法によって測定された4質量%~5質量%のアセトン多孔性を有する、請求項1記載のシート。
【請求項3】
前記シートの全質量に対するPEIの質量含有率が、20~50%の範囲である、請求項1または2記載のシート。
【請求項4】
前記シートの全質量に対するPEIの質量含有が、23~43%の範囲である、請求項1または2記載のシート。
【請求項5】
前記シートの全質量に対するPEIの質量含有が、30~36%の範囲である、請求項1または2記載のシート。
【請求項6】
PEIの前記質量含有率が、NF EN 2331標準に従って3点で測定された、前記シートの全体における樹脂の質量で、±5%以下の偏差を有する、請求項3~5のいずれか1項記載のシート。
【請求項7】
PEIの前記質量含有率が、NF EN 2331標準に従って3点で測定された、前記シートの全体における樹脂の質量で、±2%以下の偏差を有する、請求項3~5のいずれか1項記載のシート。
【請求項8】
PEIの前記質量含有率が、NF EN 2331標準に従って3点で測定された、前記シートの全体における樹脂の質量で、±1%以下の偏差を有する、請求項3~5のいずれか1項記載のシート。
【請求項9】
前記PEIが、30000~60000g/モルの質量平均分子量(MW)を有する、請求項1~8のいずれか1項記載のシート。
【請求項10】
前記PEIが、15000~50000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1~9のいずれか1項記載のシート。
【請求項11】
前記PEIが、18000~30000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1~9のいずれか1項記載のシート。
【請求項12】
前記布帛が、ガラス糸、炭素、バソールトおよび混合物によって形成されている、請求項1~11のいずれか1項記載のシート。
【請求項13】
前記ガラス布帛の坪量が、50~600g/mである、請求項1~12のいずれか1項記載のシート。
【請求項14】
前記糸が、ガラスでは10~300テックス、そして炭素では60~800テックスの番手を有している、請求項1~13のいずれか1項記載のシート。
【請求項15】
1~4層の布帛含む、請求項1~14のいずれか1項記載のシート。
【請求項16】
3mm以下の厚さを有する、請求項1~15のいずれか1項記載のシート。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項記載の複合シートの製造方法であり、少なくとも1種の布帛およびポリエーテルイミド(PEI)を含む複合シートの製造方法であって
層の布帛または幾つかの積層された布帛を有すること、
前記布帛もしくは前記積層された布帛上にPEIを堆積させることであって、
前記布帛もしくは前記積層体の一方または両方の面に、パウダーコーティング技術によって、またはPEIの膜を堆積させること、
積層体を軟化させること、
次いで冷却すること、
によって前記布帛もしくは前記積層された布帛上にPEIを堆積させること、
300~500℃の範囲の温度で、30秒間~3分間に亘って、加熱することを含む、連続式もしくは半連続式成形法用いて、強化すること、
含む方法。
【請求項18】
前記連続式成形において、圧力が、20~100バールの範囲で、300~500℃の範囲の温度で、0.1~5m/分の通過速度で、30秒間~3分間の範囲の高温処理時間に亘って、加えられる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記圧力が40~80バールで加えられる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記温度が360~400℃の範囲である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記通過速度が1~2m/分である、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記半連続式成形において、圧力が、5~50バールの範囲で、300~500℃の範囲の温度で、0.1~5m/分の通過速度で、30秒間~3分間の範囲の高温処理継続時間に亘って、加えられる、請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記圧力が10~25バールの範囲である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記温度が360~400℃の範囲である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記通過速度が0.4~1.2m/分である、請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記PEIが、30000~100000g/モルの質量平均分子量(MW)を有する、請求項17~25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記PEIが、2面式クエット粘度計を用いて、10-2~1sec-1の範囲の剪断の下で測定した、360℃で、600~1500Pa・sの範囲の見掛け粘度を有する、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイル構造およびポリエーテルイミド(PEI)を含む制御された多孔性の複合材シート、特には、熱可塑性プラスチック材料のインサイチュの形成方法において制御された多孔性を有するスキンとして作用するように用いられる、複合材シートに関する。また、本発明は、そのようなシートの製造方法および、発泡された芯を有するサンドイッチパネルの製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インサイチュの形成方法は、発泡剤の存在下での「表面」もしくは「スキン」および熱可塑性ポリマー材料の層もしくは膜の使用に基づいており、そして発泡された芯を有するサンドイッチパネルの製造を可能とさせる。インサイチュ法は、単一の工程で、特には、スキンが発泡体と同じ性質の、または同一の、相溶性のポリマー材料を含む場合に形成される、スキンと発泡体との間の接着を得ることを可能にさせ、種々の接着機構、例えば機械的絡み合い、ポリマー鎖間の結合を通した自己接着、吸着(原子間または分子間力)が得られることを可能にする。
【0003】
典型的な例としては、ポリエーテルイミド系の発泡体および、ガラス繊維と、これもPEIであることができる熱可塑性ポリマーとの複合材スキンを含むサンドイッチ構造がある。この方法は、PEIが含侵されたガラス繊維の2つもしくは3つ以上のシートを、随意選択的に含侵性溶媒の存在下で、PEI膜の1層もしくは2層以上と、発泡剤(典型的にはアセトン)の存在下で積層させ、予備圧縮し、徐々に開放させながら加熱して、発泡、および発泡体の膨張を可能とすることを含んでいる。発泡性の溶媒は、有意な量、典型的には芯の約20質量%で存在しており、そして問題点の1つは、その排除を制御することである。アセトンは、特には、スキンを柔軟化させる傾向を有しており、表面欠陥ならびにサンドイッチ構造の表面上のそれらのスキンの貧弱な伸長を発生させ、そして発泡体とスキンとの間の接着を制限し、機械的性能に対して有害な結果をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、制御された多孔性の単層もしくは多層のテキスタイル構造/PEIの複合材シートを提供すること、特にはそれらの問題を解決することを目的としている。
【0005】
本発明の他の目的は、特には、PEI系の熱可塑性材料のインサイチュの発泡法において、表面欠陥なしに、そして良好な伸張をともなったスキンを得るために、発泡プロセスの間に、ガスの、特にはアセトンの最適な排出を可能とする、スキンとして作用するように用いることができるそのようなシートを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、そのような複合シートを得るための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それらの目的は、特には第1の態様によって、少なくとも1つのテキスタイル構造およびポリエーテルイミド(PEI)を含む複合シートによって達成することができ、後者が、テキスタイル構造に含浸し、そして密度を高め(強化し)、そして複合シートは、アセトンに対して特定の多孔性を有している。好ましくは、複合材シートは、約3質量%~約8質量%の範囲、好ましくは約4質量%~約5質量%のアセトン(99%超の純度)吸収のアセトン多孔性を有しており、アセトン吸収は、複合材シートの40×40mmの試験片を調製し、70℃で2時間乾燥し、この試験片の初期の質量を秤量し、次いでこの試験片をアセトン中に24時間に亘って表面を覆うように配置し、その試験片を回収し、払拭し、そしてそれを秤量して、それを初期の質量と比較してそしてアセトン吸収を質量として導き出すことからなるアセトン吸収法によって測定することができる。
【0008】
第2の態様によれば、それらの目的はまた、少なくとも1種のテキスタイル構造およびポリエーテルイミド(PEI)含む複合材シートで達成することができ、後者がテキスタイル構造に含浸し、そして密度を高め(強化し)、後者は、1層の布帛または複数の積層された層の布帛を、布帛もしくは積層体の片方もしくは両方の面に、パウダリング(粉体塗装)によってまたはPEI膜を堆積させることによって、連続もしくは半連続成形法を用いて、この積層体を軟化させ、次いで冷却し、そして強化することによって、それらをPEIで含浸させることを含む方法によって調製された種類のものである。この連続または半連続成形法は、約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の温度で、約30秒間~約3分間の範囲の時間に亘って、加熱することによって行うことができる。より詳細な方法のデータが、連続および半連続式のそれぞれについて以下に与えられている。
【0009】
第3の態様では、2つの先行する態様が組み合わされ、複合材シートは、第2の態様に従って、連続もしくは半連続成形法によって生成され、そして第1の態様のアセトン多孔性を有している。更に、以下の付加的な特徴が、それらの3つの態様のそれぞれに適用される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
シートの全質量に対するPEIの質量含有量は、特に、約20~約50%の範囲、好ましくは約23~約43%の範囲、より好ましくは約30~約36%の範囲、例えば約33%であることができる。
【0011】
この質量含有量は、シートを通して均一に分配された多孔性を有する均一なシートを得るために可能な限り規則的でなければならない。従って、本発明の1つの特徴によれば、PEIの質量含有量は、全体のシート上/中の±5%以下、好ましくは±3%以下、更に好ましくは±2%以下の均一性を有している。この均一性は、標準EN2331、焼成法(NF EN 2331 May 1993、航空宇宙シリーズ-テキスタイルガラス繊維プリプレグ-樹脂および繊維含有量ならびに単位面積当たりの繊維質量の測定のための試験方法)に従って測定することができる。
【0012】
好ましい態様では、複合材シートは、少なくとも1種のテキスタイル構造およびポリエーテルイミド(PEI)を含み、後者がテキスタイル構造に含浸し、そして密度を高め(強化し)、そしてシートの全質量に対するPEIの質量含有量は、約20~約50%の範囲、好ましくは約23~43%の範囲、より好ましくは約30~約36%の範囲、例えば約33%であり、PEIの質量含有量は、シートの全体上/中の樹脂の質量で、±5%以下、好ましくは±3%以下、より好ましくは±2%以下の均一性を有しており、一方で、シートは、アセトン吸収法によって測定された、約3%~約8%の範囲、好ましくは約4%~約5%の範囲のアセトン吸収の多孔性を有している。
【0013】
テキスタイルまたは布帛構造は、特にはガラス、炭素、バソールトおよび混合物、例えばガラス/炭素によって形成されることができる。
【0014】
ガラス布帛の質量表面積は、特には約50~約600g/mの範囲、好ましくは約100~約400g/mの範囲であることができる。
【0015】
ガラス糸は、特には10~300テックスの番手を有していることができ、一方で、炭素糸は、特には60~800テックスの番手を有していることができる。
【0016】
このシートは、特には1~4層のテキスタイル構造を含むことができる。
【0017】
このシートは、特には約3mm以下、特には2mmの厚さを有することができる。
【0018】
異なる高分子鎖長および、従って異なる粘度に応じて幾つかの品種のPEIがある。鎖長が長ければ長い程、熱可塑性樹脂はより高い粘度を有している。PEIは、以下のモノマー単位から形成される。
【0019】
【化1】
【0020】
このモノマーは592.61g/モルの分子量を有している。本発明によれば、特には、約20000~約100000g/モルの範囲、好ましくは約30000~約100000g/モルの範囲、特には約30000~約60000g/モルの範囲、例えば約47000または55000g/モルの質量平均分子量(MW)によって規定される品種のPEIを用いることができる。
【0021】
本発明によれば、特には、約15000~約50000g/モルの範囲、好ましくは約18000~約30000g/モルの範囲、例えば約28000g/モルの数平均分子量(Mn)によって規定される品種のPEIを用いることができる。
【0022】
通常の方法では、PEIの品種を定めるのに用いられる測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)である。例として、特に以下のような、PMMAで較正されたGPCに言及することができる。約25mgの試料が正確に秤量される。10mLのHFiP溶出液が加えられる。周囲温度で24時間に亘って溶解が行われる。この方法は、より高い精確性のために3本のカラムを用いる。分子量は、慣習的にはPMMAの狭い較正によって計算される。次の溶出液を用いることができる:HFiP(ヘキサフルオロイソプロパノール)-0.1M KTFA(トリフルオロ酢酸カリウム)。以下の詳細を与えることができる。
流量: 1mL/分
T℃分析: 40℃
濃度: 約2.7g/Lで注入された正確な濃度
注入体積: 100μL
カラム:3本カラム:10μm、1000Å、8.0mm×100mm;10μm、1000Å、8,0mm×300mm;10μm、100Å、8.0mm×300mm
検出器: RI(屈折率)
較正: PMMA(ポリメチルメタクリレート)の狭い標準
【0023】
PEIでの含浸の間に用いられる布帛、特にはガラス布帛は、生地(ecru)、すなわちサイジングされた布帛(用語サイジングは用語結合を含んでいる)であることができる。また、布帛は、特には、熱処理によって(例えば、オーブン中で約72時間に亘って約400℃で)、脱サイジングされた布帛(脱結合を含む)であることができる。
【0024】
生地または脱サイジングされた布帛は、いわゆる仕上げ法または仕上げによって処理することができ、それは相溶性および布帛-ポリマー接着性を向上させ、引張および屈曲において機械的性能の実質的な向上をもたらすことが見出されている。次の製品は、非常に好適である:アミノシラン(例えば、EvonikのAMEO)、エポキシシラン(例えば、Monentive Performance MaterialsのSilquest(商標)A-1871)。本発明による布帛および従って複合材シートは、従って、それらの製品の1種を含むことができる。例えば、浸漬させることまたは噴霧することによって実施することができる。
【0025】
テキスタイル構造の織り方については、制限はない。特にはテキスタイル構造の平坦な外観のためには、綾織物、および、特にはより良好なドレープ性のためには、繻子織に言及することができる。3種の異なる織り方および織り交ぜられたものがEc9 68テックスのガラス、305g/cmの23×21ヤーン/cmの8Hサテン、220g/mの19.5×12ヤーン/cmの4Hのサテン、および270g/mの22/16ヤーン/cmの綾織2/2で試験された。異なる坪量で、1もしくは2層以上の複合材シートについて、異なる厚さ、そして従って異なる機械的性能を得ることが可能となる。
【0026】
以下に更に詳細に説明するように、本発明によるシートでは、PEIによるテキスタイル構造の含浸は、特に、パウダリング(poudrage)によって、または膜の形態でテキスタイル構造の両方の面にPEIを堆積させることによって得ることができる。
【0027】
また、本発明は、本発明による複合材シートを製造する方法に関し、一方で、複合材シートはまた、得られるその方法によって規定することができる。
【0028】
1つの態様では、PEIは、テキスタイル構造の一方または両方の面に堆積され、そしてこれは、有利には、PEIのパウダリングによって得ることができる。慣用のパウダリング法、例えば重力式のパウダリングおよび静電パウダリングを用いることができる。一旦パウダリングが完結されると、組立体は、PEIの軟化温度超の温度でプレスされるか、またはカレンダ加工される。
【0029】
他の態様では、PEI膜を用いることが可能であり、これは、テキスタイル構造の一方または両方の面に堆積することができ、組立は、慣習的には、PEIの軟化温度超の温度でプレスすることによって、またはカレンダ加工することによって実施される。
【0030】
軟化温度またはTgは、特にはPEIについて品種の関数として205~220℃の水準であることができる。しかしながら、溶融物で適切な粘度、特に1000Pa・s以下、好ましくは600Pa・sを得るために、約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲に加熱することが好ましい。慣習的には、ポリマー粉末でコーティングされた、または膜をラミネートされたテキスタイルの強化は、プレス中で剪断なしに静的に、または広いエアギャップのために、無視できる剪断の下で、動的に(20m/分未満の運転速度で)実施される。粘度値は、従って、示された溶融温度で、ほぼ零の剪断で、すなわち特には10-2~1sec-1の範囲でここに与えられる。測定は、2面式クエット粘度計を用いて行うことができる(ポリマーは、2つの面の間に配置される)。
【0031】
好ましくは、実質的にゼロせん断、すなわち10-2~1sec-1の下で、360℃で測定された、600~1500Pa・sの範囲、特には800~1200Pa・sの範囲の見掛け粘度を有するPEI樹脂が好ましく用いられる。測定は、2面式クエット粘度計を用いて行うことができる。
【0032】
本発明の堆積組成物は、シートの全質量に対して、約20~約50質量%の範囲、好ましくは約23~約43質量%の範囲、より好ましくは約30質量%~約35質量%、例えば約33質量%のPEIの質量含有量を得ることを可能にし、PEIの質量含有量は、シートの全体の樹脂の質量中で、±5%以下、好ましくは±3%以下、より好ましくは±2%以下、更に好ましくは±1%以下の規則性を有している。
【0033】
通常の方法でテキスタイル構造がPEIで含侵された場合には、強化または高密度化が、本発明に従って規則的な多孔性の水準を得ることを可能にするような条件下で行われる。
【0034】
強化は、適切な粘度の条件下で行われる。この粘度は、特には溶融状態で1000Pa・s以下、好ましくは600Pa・s以下(ほぼゼロせん断の測定条件、上記を参照)であることができる。温度は、この粘度を得るために、特には用いられるPEIの品種との相関関係で、特には約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲であることができる。これらの温度におけるPEIの分解を避けるために、それゆえ高速成型または強化法、すなわち連続成形(強化)または半連続成形(強化)が好ましい。高温での処理の継続時間は、特には約30秒間~約3分間の継続時間に制限されることができる。
【0035】
特には、2つの強化技術のいずれかを用いることができる。それらの2つの技術は静的なものではなく、しかしながら連続式もしくは半連続式であり、そして圧力下および高温下で、特定の通過速度を与える。
【0036】
連続技術による強化では、約0.1~約5m/分、好ましくは約1~約2m/分の通過速度で、約30秒間~約3分間の範囲の高温処理継続時間で、圧力が、約20~約100バールの範囲、好ましくは約40~約80バールの範囲で、そして約300~約500℃の範囲、特には約360~400℃の範囲の温度が加えられることできる。
【0037】
等圧型の連続技術。この技術は、反対の方向に回転する2つの連続した金属細片の間の温度、圧力の効果を組み合わせたものである。この2つの細片に、500℃(本発明によれば、温度は約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲であることができる)まで加熱することによって(例えば加熱されたオイルによって)、温度および100バールまでの圧力(本発明によれば、圧力は約20~約100バールの範囲、好ましくは約50~約80バールの範囲で制御される)が加えられる。プレス機は、高温区画、次いで成型品の取出しを促進するように出口において低温区画を含んでいる。速度は、約30秒間~約3分間の高温処理継続時間に対して、約0.1~約5m/分、好ましくは約1~約2m/分の範囲である。
【0038】
同様の値を用いた他の等容の連続キャスティング技術を用いることができる。
【0039】
半連続技術による強化では、約0.1~約5m/分、好ましくは約0.4~約1.2m/分の通過速度で、約30秒間~約3分間の範囲の高温処理継続時間で、約5~約50バールの範囲、好ましくは約10~約25バールの範囲の圧力、および約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲の温度を加えることができる。半連続技術は、高温および低温区画を含む単板圧縮プレスの原理に基づいている。強化される材料は、2枚の金属細片の間に配置され、これらが圧縮プレス機の2枚の板の間を通過する。5~20秒間毎に、このプレス機は数ミリメートル(5または10)開放され、そしてこの材料を含む細片は、数センチメートル(5~15)(掴み具によって)引き落とされ、そこでプレス機は5~20秒間閉鎖される。などなど。両方の技術には、多かれ少なかれ厚い金属細片および好適な離型剤での処理が必要とされる。
【0040】
シートは、製造の最後において、以下の試験で評価することができる。
・坪量
・厚さ
・焼成による繊維含有量
・空気および水中での秤量による密度
・24時間の浸漬後のアセトンの吸収による多孔性(手順を参照)
・経糸および緯糸方向の引張弾性率および変形
【0041】
本明細書中に含まれた情報を基にした慣例の試験で、本発明による多孔性を有するシートを製造することが可能となる。この方法が、本発明による多孔性を得るために必要とされる制限内に強化を抑制することを目的としていることを明記することができる。従って、所定のPEI(所定の実行温度を有する特定の品種のもの)について、PEIが、1000Pa・s以下の、好ましくは600Pa・sの粘度であるように、正しい加熱温度を選択することが推奨される。そして、多孔性を得るために、所望の水準の強化のために処理継続時間に亘って熱が加えられる。
【0042】
従って、本発明による複合シートは、好ましくは仕上げをされている、1層のテキスタイル構造または幾つかの積層された層のテキスタイル構造を有すること、このシートをPEIでテキスタイル構造または積層体の一方もしくは両方の面で含侵させること、特には、約30秒間~約3分間に亘って、1000Pa・s以下、特には600Pa・sの粘度を得るために加熱することをともなう連続または半連続法によって、軟化させること(好ましくは1000Pa・s以下の、特には600Pa・sの粘度を得ること)、次いで、PEIを冷却させ(好ましくは、パウダリングまたは製膜技術によって)、そして強化すること、を含む方法によって得られる、または得ることができると規定することができる。圧力および温度は、上記に詳述されている。
【0043】
より具体的な態様では、複合シートは、好ましくはシラン(例えば、アミノシランまたはエポキシシラン)で仕上げをされている、1層のテキスタイル構造または幾つかの積層された層のテキスタイル構造を有すること、このシートをPEIでテキスタイル構造または積層体の一方もしくは両方の面でパウダリングまたはPEI膜の堆積によって含侵させること、特には、約30秒間~約3分間に亘って、1000Pa・s以下、特には600Pa・sの粘度で加熱することをともなう連続または半連続法によって、1000Pa・s以下、特には600Pa・sの粘度まで軟化させること、次いでPEIを冷却し、そして強化すること、含む方法によって得られる、または得ることができる。
【0044】
このように製造された複合シートは、熱可塑性材料のインサイチュの発泡法においてスキンとして用いることができ、発泡法の間のガス、特にはアセトンの最適な排出を可能とし、表面欠陥なしに、そして良好な膨張をともなうスキンを得ることを可能とさせる。驚くべきことに、本発明による多孔性の水準は、本発明の目的を満足させることを可能にし、そして特には、良好な表面の膨張を確実にし、それが必要以上に、または必要より少なく強化された複合シート、すなわち本発明の範囲よりも小さい多孔性を有することを許容しない。
【0045】
PEI複合材の2枚のシートの間のPEI発泡体サンドイッチ構造を製造するための、ここで用いることのできる、標準的な方法が、(The Development of In-Situ Foamed Sandwich Panels, Proefschrift, 1997, Technical University of Delft, Pieter-Willem Christiaan PROVO KLUIT, Delft University Press, Mekelweg 4, 2628 Delft CD, The Netherlands)によって取り扱われており、以下のことを含んでいることに注意しなければならない。
・発泡剤、特にはアセトンでのPEI膜(1または2以上の積層された膜を用いることが可能である)の含浸、これは芯と称される。
・本発明による2つの複合材シートの間にこの芯を配置することによりサンドイッチ構造を構成すること。
・この組立体を、通常は予熱された、プレス機の2枚の板の間に配置すること。
・随意選択的に、PEI/発泡剤のガラス転移温度よりも若干低い温度で、それらの2枚の板の間の組立体を予備圧縮し、それらの条件を所定の時間維持し、次いで室温まで冷却し、そして最終的に、圧力を解放し、このことが、スキンと芯との間の結合および発泡剤の均一な分布を向上させることを可能にさせる。
・発泡を進めること、ここで組立体はプレス機の、発泡剤の量を考慮して、典型的には約155~210℃である、ガラス転移温度より高い温度で、好ましくは予熱された、板の間に配置され、ここで圧力が、約40バール典型的な圧力で組立体に加えられ、ここで組立体は、発泡のための適切な温度に加熱され、次いでプレス機は、徐々に開放されて発泡を進展させ、次いで冷却工程が続けられる。
【0046】
アセトンの吸収による多孔性の測定方法が、以下に更に詳述されている。これは、EN2378:繊維強化プラスチック、浸漬による水吸収の測定、に由来している。
装置
・試験片の数に適切な寸法のガラス製ビーカー
・温度制御された筐体
・0.1mgの精密天秤
運転モード
・バリや穴のない40×40mmの試験片を切り出す(好ましくは対照として少なくとも5)
・試験片を、オーブン中に70℃で2時間置いて、これを乾燥させる。
・試験片をデシケータ中に1時間置いて、これを冷却させる。
・試験片の初期の質量M0を秤量する。
・ビーカーを、最小で試験片の面積cm2当たり4mL注ぐ。
・試験片をビーカー中に、それらが互いに接触しないように、または壁に接触しないように配置する。
・ビーカーを24時間に亘って密閉する。
・24時間後に、試験片をアセトン(99%超の純度)浴から取り出す。
・試験をリントフリー紙で拭く。
・即座に秤量し、そして質量Mを記録する。
・管理表を完成させ、そして全ての試験片の平均のM-M0を計算し、そして多孔性を%で定める。
【実施例
【0047】
本発明が、以下に、限定するものではない例としての実施態様を用いて、より詳細に説明される。
【0048】
例1
この例は、9μmの平均直径を有する68テックスのガラス繊維Eで作られたガラス布帛の使用に基づいている。
【0049】
この布帛は、処理の後に309g/mに近い平均坪量を得るために、経糸に22.9糸/cmそして緯糸に21.1糸/cmの平均密度を有する8Hサテン織を有している。
【0050】
脱サイジングの後に、この布帛は、0.1質量%のシラン仕上げ浴で処理されて、303g/mに到達している。
【0051】
この処理された布帛は、重力式のパウダーコーティング技術によって市販の粉末PEI、MW55000g/モル(PMMA、MW46842g/モル、Mn21344g/モルで較正されたGPC法による)で、面当たりに75g/mの比率で、含浸されている。このPEI粉末は、軟化することによってガラス布帛上に固定され、そして次いでこのポリマーは冷却される。
【0052】
得られたプリプレグの坪量および繊維含有量は、焼成によって、NF EN 2331標準に従って3点で測定された。
・試料1:460.2g/m - 樹脂の質量で、33.1質量%
・試料2:456.93g/m - 樹脂の質量で、32.6質量%
・試料3:459.4g/m - 樹脂の質量で、33.3質量%
すなわち、%規則性で、±1%。
【0053】
上記のプリプレグは、約2.2mの長さに相当する加熱区画有する設備で、等圧の連続式圧縮法によって強化される。
【0054】
強化条件は、下記のとおりである。
・温度:370℃
・全ての領域における圧力:70バール
・製造速度:2m/分
【0055】
強化された単層のシートは、以下の性質を有している。
・平均厚さ=0.270mm
・平均繊維率:33.1%
・アセトン吸収率:4.6質量%
・経糸方向の引張弾性率:17.4GPa
・経糸方向の最大引張応力:302MPa
【0056】
例2
この例は、9μmの平均直径を有する68テックスのガラス繊維Eで作られたガラス布帛の使用を基にしている。
【0057】
この布帛は、処理の後に285g/mに近い平均坪量を得るために、経糸で22.9糸/cmそして緯糸で16糸/cmの平均密度を有する2/2綾織を有している。
【0058】
脱サイジングの後に、この布帛は、0.1質量%のシラン系仕上げ浴によって処理されて、277g/mに到達している。
【0059】
この処理された布帛は、面当たりに68g/mの率で、重力式のパウダリング技術によって、例1と同じ粉末PEI、MW55000g/モルで含浸されている。PEI粉末は、軟化することによってガラス布帛上に固定され、そしてこのポリマーを冷却する。
【0060】
得られたプリプレグの坪量および繊維含有量は、焼成によって、NF EN 2331標準に従って3点で測定された。
・試料1:323.8g/m - 樹脂の質量で、33.0質量%
・試料2:324.1g/m - 樹脂の質量で、33.2質量%
・試料3:320.7g/m - 樹脂の質量で、32.6質量%
すなわち、%規則性で、±1%。
【0061】
上記のプリプレグは、約0.6mの長さを有する加熱区画を含む、半連続式圧縮法によって強化される。
【0062】
強化条件は、下記のとおりである。
・温度:400℃
・全ての領域における圧力:15バール
・製造速度:1.2m/分
【0063】
単層のシートは、以下の性質を有している。
・平均厚さ=0.236mm
・平均繊維率:32.3%
・アセトン吸収率:4.9質量%
・経糸方向の引張弾性率:21.4GPa
・経糸方向の最大引張応力:353MPa
【0064】
例3(比較)
この例は、9μmの平均直径を有する68テックスのガラス繊維で作られたガラス布帛の使用に基づいている。
【0065】
この布帛は、処理の後に309g/mに近い平均坪量を得るために、経糸で22.9糸/cmそして緯糸で21.1糸/cmの平均密度を有する8Hサテン織を有している。
【0066】
脱サイジングの後に、この布帛は、0,1質量%のシラン仕上げ浴で処理されて、303g/mに到達している。
【0067】
この処理された布帛は、重力式のパウダーコーティング技術によってPEI、MW55000g/モルの粉末(前述の例と同様に)で、面当たりに75g/mの比率で、含浸されている。このPEI粉末は、軟化することによってガラス布帛上に固定され、そして次いでこのポリマーは冷却される。
【0068】
得られたプリプレグの坪量および繊維含有量は、焼成によって、NF EN 2331標準に従って3点で測定された。
・試料1:460.2g/m - 樹脂の質量で、33.1質量%
・試料2:456.63g/m - 樹脂の質量で、32.6質量%
・試料3:459.4g/m - 樹脂の質量で、33.3質量%
すなわち、%規則性で、±1%。
【0069】
上記のプリプレグは、2つが360℃に、そして1つが80℃に加熱された3つのプレス機を含む設備上で、逐次式圧縮法によって強化される。
【0070】
強化された2層のシートは、以下の性質を有している。
・平均厚さ=0.45mm
・平均繊維率:32.3%
・アセトン吸収率:1.75質量%
・経糸方向の引張弾性率:17.4GPa
・経糸方向の最大引張応力:380MPa
【0071】
例4
例1~3の複合シートは、アセトンでのPEI膜の含浸(芯)、この芯を本発明による2つの複合シートの間に配置することによるサンドイッチ構造の形成、この組立体をプレス機の2つの板の間に配置すること、約155~約210℃の範囲のガラス転移温度超の温度に加熱すること、一方で、この組立体に圧力を加えて、発泡をさせ、そしてプレス機を漸次開放して発泡を進行させ、次いで冷却することを含む標準法に従って、発泡されたサンドイッチ板を生成するために用いられた。
【0072】
例1および2の複合シートによって、発泡体芯および複合材被覆シートの間に良好な接着を有するサンドイッチ板を得ることが可能となった。例1および2の複合シートとは対照的に、例3の複合シートは、良好な表面外観を得ることができなかった。
【0073】
例1および2による連続式または半連続式成形法は、発泡されたサンドイッチ構造の用途のための、高性能の複合シートを生成するために、より有効であることを示している。それらの方法によって生成された複合シートの特徴は、2つの群の成形方法(例3に対して例1および2)の間で、同じ品種のPEIから、異なるアセトン多孔性が得られ、例1および2の方法ではより高いアセトン多孔性がもたらされる点で、異なっている。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)少なくとも1種の布帛およびポリエーテルイミド(PEI)を含む複合シートであって、該PEIは約20000~約100000g/モルの範囲の質量分子量(MW)を有しており、該PEIは、該布帛を含浸し、そして密度を高め、該複合シートは、アセトン吸収法によって測定された、約3質量%~約8質量%、好ましくは約4質量%~約5質量%のアセトン吸収のアセトン多孔性を有しており、該アセトン吸収法は、該複合シートの40×40mmの試験片を、70℃で2時間乾燥し、該試験片の初期の質量を秤量し、次いで該試験片を24時間に亘って表面を覆うアセトン中に配置し、この試料を回収し、それを拭き取り、そしてそれを秤量して、初期の質量と比較し、そしてアセトン吸収量を質量として算出することからなっている、複合シート。
(2)前記シートの全質量に対するPEIの質量含有率が、約20~約50%の範囲、特には約23~約43%の範囲、好ましくは約30~約36%の範囲である、(1)記載のシート。
(3)PEIの前記質量含有率が、前記シートの全体における樹脂の質量で、±5%、好ましくは±3%、より好ましくは±2%、更に好ましくは±1%の規則性を有する、(2)記載のシート。
(4)前記PEIが、約30000~約60000g/モル、例えば約47000、または約55000g/モルの質量分子量(MW)を有する、(1)~(3)のいずれか1項記載のシート。
(5)前記PEIが、約15000~約50000g/モル、好ましくは約18000~約30000g/モル、例えば約28000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する、(1)~(4)のいずれか1項記載のシート。
(6)前記布帛が、ガラス糸、炭素、バソールトおよび混合物、例えばガラス/炭素によって形成されている、(1)~(5)のいずれか1項記載のシート。
(7)前記ガラス布帛の質量表面積が、約50~約600g/m 、好ましくは約100~約400g/m である、(1)~(6)のいずれか1項記載のシート。
(8)前記糸が、ガラスでは10~300テックス、そして炭素では60~800テックスの番手を有している、(1)~(7)のいずれか1項記載のシート。
(9)1~4層の布帛含む、(1)~(8)のいずれか1項記載のシート。
(10)約3mm以下、特には2mmの厚さを有する、(1)~(9)のいずれか1項記載のシート。
(11)前記シートが、1層の布帛もしくは複数の積層された布帛を準備すること、このシートを、該布帛または積層体の一方または両方の面に、パウダリングもしくはPEI膜を堆積することによってPEIで含浸させること、該積層体を軟化させること、次いで、冷却すること、および約300~約500℃、特には約360~約400℃で、約30秒間~約3分間の継続時間に亘って加熱することを含む連続式または半連続式成形法を用いて強化すること、を含む方法によって得ることができる、(1)~(10)のいずれか1項記載のシート。
(12)前記シートが、連続式成形方法によって得ることができ、ここで圧力が、約20~約100バールの範囲、好ましくは約40~約80バールの範囲で、約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲の温度で、約0.1~約5m/分、好ましくは約1~2m/分の通過速度で、約30秒間~約3分間の範囲の高温処理時間に亘って、加えられる、(11)記載のシート。
(13)前記シートが、半連続式成形法によって得ることができ、ここで圧力が、約5~約50バールの範囲、好ましくは約10~約25バールの範囲で、約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲の温度で、約0.1~約5m/分、好ましくは約0.4~約1.2m/分の通過速度で、約30秒間~約3分間の範囲の高温処理継続時間にわたって、加えられる、(11)記載のシート。
(14)(1)~(13)のいずれか1項記載の複合シートの製造に好適な、少なくとも1種の布帛およびポリエーテルイミド(PEI)を含む複合シートの製造方法であって、1層の布帛または幾つかの積層された布帛を有すること、該シートを、前記布帛もしくは前記積層体の一方または両方の面にパウダリングまたはPEIの膜を堆積させることによって、PEIで含浸させること、該積層体を軟化させること、次いで冷却し、そして約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲の温度で、約30秒間~約3分間に亘って、加熱することを含む、連続式もしくは半連続式成形法用いて強化すること、含む方法。
(15)前記連続式成形において、圧力が、約20~約100バールの範囲、好ましくは約40~約80バールの範囲で、約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の温度で、約0.1~約5m/分、好ましくは約1~2m/分の通過速度で、約30秒間~約3分間の範囲の高温処理時間に亘って、加えられる、(14)記載の方法。
(16)前記半連続式成形において、圧力が、約5~約50バールの範囲、好ましくは約10~約25バールの範囲で、約300~約500℃の範囲、特には約360~約400℃の範囲の温度で、約0.1~約5m/分、好ましくは約0.4~約1.2m/分の通過速度で、約30秒間~約3分間の範囲の高温処理継続時間に亘って、加えられる、(14)記載の方法。
(17)前記PEIが、約30000~約100000g/モルの質量分子量(MW)を有する、(14)~(16)のいずれか1項記載の方法。
(18)前記PEIが、2面式クエット粘度計を用いて、10 -2 ~1sec -1 の範囲の剪断の下で測定した、360℃で、600~1500Pa・sの範囲、特には800~1200Pa・sの範囲の見掛け粘度を有する、(14)記載の方法。