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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】クランプ留め具を有する補機部品
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/12 20060101AFI20220208BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20220208BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20220208BHJP
   A61B 50/13 20160101ALI20220208BHJP
   A61B 90/14 20160101ALI20220208BHJP
【FI】
A61G13/12 A
A61B6/03 323R
A61B6/04 301
A61B50/13
A61B90/14
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019501615
(86)(22)【出願日】2017-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017066485
(87)【国際公開番号】W WO2018010993
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-22
(31)【優先権主張番号】102016113050.8
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513242656
【氏名又は名称】マッケ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】オルショウスキー,ヤン,ドナート
(72)【発明者】
【氏名】ラトマン,ドロテー
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/081452(WO,A1)
【文献】特開2005-168881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0124858(US,A1)
【文献】特開2003-135446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/00-13/12
A61B 6/03
A61B 6/04
A61B 50/13
A61B 90/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイス、特に、手術台又は運搬台の為の補機部品(1)であって、
患者の身体部分を支持する為の第1の板(4)と、
前記第1の板(4)に対して所定の調整範囲内で移動可能な第2の板(5)と、
第1のクランプ面と、
前記第1のクランプ面から離間された第2のクランプ面と、
を含み、
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の移動は、前記補機部品(1)と前記医療デバイスの適切な保持具(8)との間のクランプ力を増加又は減少させる為に、前記第1の板(4)又は前記第2の板(5)の面と実質的に平行な方向で前記第1のクランプ面に対する前記第2のクランプ面の移動をもたらし、
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の移動は、回転移動である
事を特徴とする補機部品(1)。
【請求項2】
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)との間に支持面を更に含み、
前記支持面は、前記第1の板(4)又は前記第2の板(5)の幅の寸法よりも小さい寸法を有する
請求項に記載の補機部品(1)。
【請求項3】
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の回転は、前記支持面を貫通する回転軸廻りに行われる
請求項に記載の補機部品(1)。
【請求項4】
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)との間に配置された支持ディスク(10)を含み、
前記支持ディスク(10)は、少なくとも前記支持面の一部を形成する
請求項に記載の補機部品(1)。
【請求項5】
第1のクランプ面は、前記第1の板(4)上に配置され、
第2のクランプ面は、前記第2の板(5)上に配置される
請求項1乃至の何れか一項に記載の補機部品(1)。
【請求項6】
前記第1の板(4)の第3のクランプ面と、
前記第2の板(5)の第4のクランプ面と、
を更に含み、
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の移動に際して、前記第3のクランプ面が前記第4のクランプ面に対して移動する
請求項1乃至の何れか一項に記載の補機部品(1)。
【請求項7】
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の移動は、前記第1のクランプ面と前記第4のクランプ面とが前記医療デバイスの前記保持具(8)の第1の側と接触する事、並びに前記第2のクランプ面及び/又は前記第3のクランプ面が前記保持具(8)の第2の側と接触する事をもたらす
請求項に記載の補機部品(1)。
【請求項8】
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、それらの挿入領域(2)が前記医療デバイスの受け入れ溝(8)に挿入可能な様に設計され、
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の回転は、前記受け入れ溝(8)での前記補機部品(1)のクランプをもたらす
請求項1乃至の何れか一項に記載の補機部品(1)。
【請求項9】
前記第1のクランプ面と前記第2のクランプ面は、前記挿入領域(2)の少なくとも1つの隅上に配置されたクランプ突出部(6)上に提供される
請求項に記載の補機部品(1)。
【請求項10】
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、特定のクランプ面の領域に実質的にV字形状の断面を有し、
楔は、医療デバイスと接触する為の2つの摩擦面を含む
請求項8又は9に記載の補機部品(1)。
【請求項11】
クランプデバイスは、作動機構(12)によって前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の回転をもたらす作動レバー(13)を含む
請求項1乃至10の何れか一項に記載の補機部品(1)。
【請求項12】
前記作動レバー(13)は、前記第1の板(4)又は前記第2の板(5)上に回転可能に固定され、前記第2の板(5)又は前記第1の板(4)上に固定されたピン(14)が係合する溝(15)を含む
請求項11に記載の補機部品(1)。
【請求項13】
前記作動レバー(13)の前記溝(15)は、前記第1の板(4)に対してクランプ要素()を回転させる為に前記作動レバー(13)を作動させた時に、先ず、作動力が増加し、次に、作動力が最大値に到達し、前記補機部品(1)のクランプ位置に到達する前に、作動力が最大値よりも低い値に減少する様に形成される
請求項12に記載の補機部品(1)。
【請求項14】
前記溝(15)の縁は、前記作動レバー(13)の作動中に前記溝(15)が前記ピン(14)によって伸縮可能に変形される様に伸縮可能に変形される
請求項12又は13に記載の補機部品(1)。
【請求項15】
前記溝(15)の縁と実質的に平行に延びる長穴形状の凹部(18)が前記作動レバー(13)に提供される
請求項14に記載の補機部品(1)。
【請求項16】
前記作動レバー(13)と前記作動機構(12)は、前記第1の板(4)の縁領域に配置される
請求項11乃至15の何れか一項に記載の補機部品(1)。
【請求項17】
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、例えば、樹脂、硬化紙、又は炭素繊維の様なX線が透過可能な材料で製造され、
X線が透過不可能な構成部品は、前記第1の板(4)の中央領域に提供されない
請求項1乃至16の何れか一項に記載の補機部品(1)。
【請求項18】
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、それらの挿入領域(2)が前記医療デバイスの受け入れ溝(8)に挿入可能な様に設計され、
前記第1の板(4)の前記挿入領域(2)の少なくとも1つの縁領域に配置された紛失防止機構(11)が提供され、
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、前記紛失防止機構(11)によって相互に固定される
請求項1乃至17の何れか一項に記載の補機部品(1)。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の補機部品(1)を受け入れる為の医療デバイス、特に、手術台又は運搬台のインタフェースであって、
前記インタフェースは、実質的にM字形状の断面を有する受け入れ溝(8)を含み、
前記補機部品(1)の前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、前記受け入れ溝(8)に案内される
事を特徴とするインタフェース。
【請求項20】
医療デバイス、特に、手術台又は運搬台の為の補機部品(1)であって、
患者の身体部分を支持する為の第1の板(4)と、
前記第1の板(4)に対して所定の調整範囲内で移動可能な第2の板(5)と、
第1のクランプ面と、
前記第1のクランプ面から離間された第2のクランプ面と、
を含み、
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の移動は、前記補機部品(1)と前記医療デバイスの適切な保持具(8)との間のクランプ力を増加又は減少させる為に、前記第1の板(4)又は前記第2の板(5)の面と実質的に平行な方向で前記第1のクランプ面に対する前記第2のクランプ面の移動をもたらし、
第1のクランプ面は、前記第1の板(4)上に配置され、
第2のクランプ面は、前記第2の板(5)上に配置される
事を特徴とする補機部品(1)。
【請求項21】
医療デバイス、特に、手術台又は運搬台の為の補機部品(1)であって、
患者の身体部分を支持する為の第1の板(4)と、
前記第1の板(4)に対して所定の調整範囲内で移動可能な第2の板(5)と、
第1のクランプ面と、
前記第1のクランプ面から離間された第2のクランプ面と、
を含み、
前記第1の板(4)に対する前記第2の板(5)の移動は、前記補機部品(1)と前記医療デバイスの適切な保持具(8)との間のクランプ力を増加又は減少させる為に、前記第1の板(4)又は前記第2の板(5)の面と実質的に平行な方向で前記第1のクランプ面に対する前記第2のクランプ面の移動をもたらし、
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、それらの挿入領域(2)が前記医療デバイスの前記保持具(8)に挿入可能な様に設計され、
前記第1の板(4)の前記挿入領域(2)の少なくとも1つの縁領域に配置された紛失防止機構(11)が提供され、
前記第1の板(4)と前記第2の板(5)は、前記紛失防止機構(11)によって相互に固定される
事を特徴とする補機部品(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、手術台又は運搬台の様な医療デバイスの為の、例えば、頭部板の様な補機部品に関する。特に、本発明は、例えば、X線画像、コンピュータ断層撮影法(CT)、血管造影法、又は磁気共鳴断層撮影法(MRT)の様な画像化法によって、補機部品に支持された患者の身体部分を画像化する為に適切な補機部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の頭部板又は脚部板は、板に横たわる患者の身体部分のX線画像に現れる人工物としての支柱及び固定機構を通常は含む。更に、従来の頭部板又は脚部板の位置を大抵の場合で連続的に調整する事が出来ず、頭部板の手術中の微調整が困難に成り得る。更に、それは、例えば、脚部板の様な、異なる大きさの患者に適合する様に位置を調整する別の補機部品の場合は望ましく成り得る。
【0003】
更に、慣習的な頭部板及び脚部板の場合は、患者が運搬台又は手術台に横たわっている間に、患者を持ち上げずに、板を取り外し、取り付け、又は置き換える事は難しい。頭部板又は脚部板は、金属で形成されると共に放射線によって貫通させる事が出来ないペグインタフェースによって医療デバイスに通常固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、例えば、手術台の様な医療デバイスに患者が既に横たわっていても、医療デバイスに連続的に且つ確実に固定され、他の点では、X線画像、血管造影画像、又はCT画像に現れ得る様な僅かな人工物を生成する、改良された補機部品を利用可能にするという問題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
先に挙げられた問題は、患者の身体部分を支持する為の第1の板と、第1の板に対して所定の調整範囲内で移動可能な第2の板と、第1のクランプ面と、第1のクランプ面から距離を置かれた第2のクランプ面と、を含む、医療デバイス、特に、手術台又は運搬台の為の補機部品によって解決される。第2の板が第1の板と同一の形状及び/又は寸法を必ずしも有する必要は無く、寧ろ、第2の板は、特に、明確に狭幅で有り得るし、又は1つ以上のストラット等から成る構造として構成する事も出来る事に注意するべきである。その際に、第1の板に対する第2の板の移動は、補機部品と医療デバイスの適切な保持具との間のクランプ力を増加又は減少させる為に、第1のクランプ面に対する第2のクランプ面の第1の板又は第2の板の面と実質的に平行な方向への移動をもたらす。従って、補機部品は、鋏クランプによって医療デバイスに確実に固定される。
【0006】
その際に、第1の板に対する第2の板の移動は、回転移動で有り得る。然し乍ら、第1の板に対して第2の板をシフトさせるか、又は第1の板に対する第2の板の回転とシフトとを組み合わせる事も考えられる。
【0007】
更に、第1の板又は第2の板の幅の寸法よりも小さい寸法を有する支持面が第1の板と第2の板との間に提供される。定義された回転軸廻りの第1の板に対する第2の板の低摩擦回転移動は、支持面によって得られる。
【0008】
その際に、第1の板に対する第2の板の回転は、支持面を貫通する回転軸廻りに行われる。支持面の少なくとも一部を形成する支持ディスクが第1の板と第2の板との間に配置される。
【0009】
幾つかの実施の形態によれば、第1のクランプ面は、第1の板に配置され、第2のクランプ面は、第2の板に配置される。この様に、2つのクランプ面の間の距離は、クランプ力を変化させる為に、2つの板の相対移動によって相互に対して調整される。
【0010】
幾つかの実施の形態によれば、補機部品は、第1の板の第3のクランプ面と、第2の板の第4のクランプ面と、を含み、第1の板に対する第2の板の移動に際して、第3のクランプ面が第4のクランプ面に対して移動する。これは、4つのクランプ面を介した特に確実なクランプを達成する。
【0011】
その際に、第1の板に対する第2の板の移動は、第1のクランプ面と第4のクランプ面とが医療デバイスの保持具の第1の側と接触し、第2のクランプ面及び/又は第3のクランプ面が保持具の第2の側と接触する事をもたらす。
【0012】
他の実施の形態によれば、第1の板が医療デバイスの適切な保持具に挿入可能な挿入領域を有する補機部品が利用可能に成り得る。更に、板は、患者の身体部分を支持する支持領域を含む事も出来るし、又は挿入領域としての役割も果たす同一の板部分に患者の身体部分が支持される事を提供する事も出来る。補機部品は、医療デバイスに補機部品を固定する為のクランプデバイスを含み、クランプデバイスは、第1の板に回転可能に接続された少なくとも1つのクランプ要素を含み、少なくとも1つのクランプ要素は、医療デバイスに補機部品を固定する為に、第1の板に対して回転される。これは、鋏状のクランプを達成し、一方のクランプ要素と他方の板は、回転によって離れて広がり、従って、例えば、医療デバイスの受け溝の様な周面にクランプ力を及ぼす。
【0013】
鋏状のクランプは、医療デバイスの補機部品の確実で連続的な位置調整を可能にする。ここで、第1の板の面又は第1の板に形成された突出部の面、及びクランプ要素の面又は第2の板に形成された突出部の面の両方は、医療デバイスの適切な領域に押される。
【0014】
幾つかの実施の形態によれば、2つの板及び/又はクランプデバイスは、それらを医療デバイスの受け溝に挿入する事が出来る様に設計される。その際に、第1の板に対する少なくとも1つのクランプ要素又は第2の板の回転は、受け溝で補機部品のクランプに対してもたらす。代替的に、板とクランプデバイスは、例えば、受け溝が必ず存在しなければならない事を伴わずに、医療デバイスの2つの適切なストラットの間でそれらがクランプされる様に設計する事も出来る。第1の板及び/又は第2の板は、挿入領域の少なくとも1つの隅に配置された少なくとも1つのクランプ突出部を含む。従って、第1の板と第2の板の形状によって、医療デバイスによって挿入領域が隅領域でクランプされる事を保証する事も出来る。
【0015】
幾つかの実施の形態によれば、第1の板及び/又は第2の板の少なくとも1つのクランプ突出部は、実質的にV字形状の断面を有し、医療デバイスと接触する為の2つの摩擦面を含む。従って、第1の板と第2の板は、各クランプ面の領域に実質的にV字形状の断面を有し、各縁は、医療デバイスと接触する為の2つの摩擦面を含む。結果的に、第1の板又は第2の板の面に対して斜めに配置された面は、例えば、医療デバイスの同様に形成された受け溝に補機部品が確実に固定される様に、面クランプの為に使用され、V字形状のクランプ突出部は、受け溝の2つの面と接触する。結果的に、V字形状のクランプ突出部は、同様に形作られた受け溝で特に確実にクランプされる。
【0016】
幾つかの実施の形態によれば、クランプデバイスは、作動機構によって第1の板に対するクランプ要素及び/又は第2の板の回転をもたらす作動レバーを含む。従って、ユーザは、作動レバーによってクランプを容易に緩め又は締める事が出来る。
【0017】
その際に、作動レバーは、第1の板又は第2の板に回転可能に固定される。作動レバーは、第1の板又は第2の板に固定されたピンが係合する溝又は長穴を含む。これは、カムディスク制御を実現する。カム軌道は、溝又は長穴によって作動レバーに形成され、カムは、ピンによって第2の板に形成される。これは、第1の板と第2の板とが相互に対して回転される偏心機構を実現する事が出来る。代替的に、カムは、作動レバーに形成され、溝又は長穴によってカム軌道を定義するカムディスクは、クランプ要素又は第1の板に形成される。
【0018】
作動レバーの溝又は長穴は、第1の板に対して第2の板を回転させる為に作動レバーを動かす時に、最初に、作動力又は作動モーメントが増加し、次に、最大値に達し、補機部品のクランプ位置に達する前に最大値よりも減少する様に形成される。結果的に、補機部品を固定する時に、作動力が最大値を超え、続いて、端位置への僅かな力によって作動レバーを移動させるならば、ユーザが作動レバーの触知可能な係合を経験する。
【0019】
ピンによる作動レバーの動作中に溝又は長穴が伸縮可能に変形される様に、溝又は長穴の縁又は縁面は、伸縮可能に変形する事が出来る。これは、溝の変形によって製造公差を補正する事が出来る。この為に、溝の縁と実質的に平行に延びる1つ以上の長穴形状の凹部が作動レバーに提供される。代替的又は付加的に、製造公差を補正する為に別の弾性要素が力流に追加される。例えば、2つの板の間の支持ディスクが弾性材料で構成される。
【0020】
幾つかの実施の形態によれば、例えば、患者の頭部が補機部品の頭部板に横たわるならば、その時に、ユーザが問題無く作動レバーを使用する事が出来る様に、作動レバーと作動機構とが第1の板の縁領域に配置される。
【0021】
幾つかの実施の形態によれば、第1の板、第2の板、及び補機部品の任意の別の構成部品は、例えば、X線が透過可能な、樹脂、硬化紙(ラミネート紙、紙ベースの樹脂、フェノール紙)、又は炭素繊維材料の様な材料で製造され、X線が透過不可能な構成部品は、第1の板の中央領域に提供されない。硬化紙材料には、例えば、Elektro Isola社によって販売されたモールドラミネート物質、Masterplatex社によって販売された「Pertinax」製品、又は商標名「Proma」の下に販売された材料が使用される。これは、補機部品に横たわる患者のX線画像での人工物を殆ど回避する事が出来る。
【0022】
第2の板は、第1の板の挿入領域の中央に実質的に位置された回転軸廻りに回転可能に第1の板と接続される。これは、2つの板の全ての隅領域での対応するクランプ力の一様な分布を保証する事が出来る。
【0023】
回転可能な接続は、第1の板の挿入領域の中央に実質的に配置された支持ディスクを含む。支持ディスクは、X線が透過可能な樹脂材料で製造される。特に、支持ディスクは、2つの板と同一の材料で構成される。更に、第1の板の挿入領域の少なくとも1つの縁領域に配置され、2つの板の分離を防ぐ紛失防止機構が提供される。分離紛失防止機構によれば、2つの板を相互に固定する為に、支持ディスクの領域に螺子、鋲、又は別の固定要素を提供する必要が無い。挿入領域の縁領域のX線画像の人工物が患者のX線画像の品質に影響を与えない様に、患者の身体部分がこの縁領域に通常は横たわっていない為、縁領域の紛失防止機構は、必ずしもX線を透過させる事が出来る必要は無い。
【0024】
本発明の他の態様は、医療デバイス、特に、先に説明された様な補機部品を受け入れる為の手術台又は運搬台のインタフェースに関連し、インタフェースは、実質的にM字形状断面を有する受け溝を含み、補機部品板と少なくとも1つのクランプ要素は、受け溝に案内される。
【0025】
更に、本発明は、医療デバイス、特に、手術台又は運搬台の補機部品の着脱可能な固定の為の方法にも関連し、補機部品は、患者の身体部分を支持する為の第1の板と、第1の板に対して所定の調整範囲内で移動可能な第2の板と、第1のクランプ面と、第1のクランプ面から離間された第2のクランプ面と、を含む。方法は、第1の板に対する第2の板の移動を含み、結果的に、補機部品と医療デバイスの適切な保持具との間のクランプ力を増加又は減少させる為に、第1のクランプ面に対する第2のクランプ面の第1の板又は第2の板の面と実質的に平行な方向への移動がもたらされる。
【0026】
本発明に従ったデバイスに関連して先に説明された特徴及び動作は、本発明に従った方法によって組み合わされる。
【0027】
本発明の典型的な実施の形態は、同一の参照数字が同一の要素又は相互に対応する要素を示す添付図面に関連して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】頭部板の形状の補機部品の実施の形態の概略図を示す。
図2】実施の形態に従ったクランプの概略図を示す。
図3】手術台又は運搬台の受け溝に案内された図1の頭部板の概略図を示す。
図4】クランプデバイスが開状態の本発明の実施の形態に従った頭部板に平面図を示す。
図5図4の頭部板の側面図を示す。
図6】クランプデバイスが閉状態の図4の頭部板の平面図を示す。
図7図6の頭部板の側面図を示す。
図8】実施の形態に従ったレバー機構の詳細図を示す。
図9】別の実施の形態に従ったレバー機構の詳細図を示す。
図10】実施の形態に従った頭部板の手術台又は運搬台の受け溝への挿入を図示する。
図11】受け溝に案内された図10に示された頭部板の平面図を示す。
図12図10に示された頭部板の分解図を示す。
図13図12の作動レバーの詳細図を示す。
図14】作動レバーを示す。
図15】作動レバーが端位置に未だ至らされていない頭部板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の典型的な実施の形態は、図面に関連して以下の明細書で説明される。図面は、スケールが必ずしも正確でなく、寧ろ、特有の特徴を概略的に図示する様に意図される。
【0030】
以下で説明される特徴及び構成部品は、それらが単一の実施の形態と共に説明されるか否かと無関係に、相互に組み合わされる事に注意すべきである。各実施の形態の特徴の組み合わせは、請求されたデバイスの基本的な構造及び機能のみを例証する役割を果たす。
【0031】
図1は、この実施の形態の一例では、運搬台又は手術台で使用する為の頭部板として設計された補機部品1の機能の概略図を示す。特に、頭部板1は、例えば、CT、血管造影法、X線画像、又はMRTの様な画像化法の最中に患者の頭部を支持する為に使用される。以下で更に詳細に説明される様に、頭部板1の構造及び構成は、それに横たわる患者の画像での人工物の生成を大いに最小化する。
【0032】
頭部板1は、運搬台又は手術台の対応するレセプタクルに挿入される挿入領域2を含む。挿入領域2は、患者の頭部を支持する支持領域3に隣接される。頭部板1は、相互上に配置された第1の上部板4及び第2の下部板5を含む。図1が概略的に示す様に、第1の板4と第2の板5は、第1の板4のクランプ突出部6と第2の板5のクランプ突出部7とが相互に対して夫々移動される様に、相互に対して回転される。
【0033】
図2は、2つの板4及び5の相互に対する回転がもたらすクランプを図示する。頭部板1の挿入領域2が運搬台又は手術台の受け入れ溝8に押された時に、各クランプ突出部6及び7の楔輪郭は、ここに示された実施の形態では、対応して形作られたM字形状の受け入れ溝8の断面に案内される。従って、2つの板4及び5の相互に対する回転に際して、第1の板4のクランプ突出部6は、受け入れ溝8の対応する面に対して一側面と他側面とに押され、第2の板5のクランプ突出部7は、受け入れ溝8の対応する面に対して押される。これは、頭部板1を受け入れ溝8に固定し、それを受け入れ溝8の中心に自動的に配置する。
【0034】
図2の概略図によって認識される様に、クランプ突出部6及び7のV字形状輪郭と受け入れ溝8のM字形状は、頭部板1の確実な固定を達成する為に、受け入れ溝8の対応する内面に対してその面の2つに各クランプ突出部が押される事を保証する。更に、クランプ突出部6及び7の楔輪郭の斜面と受け入れ溝8のM字形状との配置は、2つの板4及び5がクランプに際して相互に対して広げられる効果をもたらす。これは、頭部板1が受け入れ溝8にクランプされた時でさえ、2つの板4及び5が相互に対する回転を行える事を保証する事が出来る。
【0035】
図3は、運搬台又は手術台の受け入れ溝8に案内された図1の頭部板1の概略平面図を示す。クランプは、頭部板1の挿入領域2の隅で行われるが、頭部板1の支持領域3が運搬台及び/又は手術台に亘って突出し、従って、患者の頭部への障害を伴わないアクセスを可能にする事が認識される。更に、回転軸9は、図3で概略的に描写され、挿入領域2の中央に位置する。結果的に、レバーアームは、対応するクランプ力の対称分布が達成される様に、全てのクランプ点と同様の長さである。図3が概略的に示す様に、回転軸9は、支持ディスク10によって定義され、相互に向かい合う第1及び第2の板4及び5の第1の端の面の対応するレセプタクルに配置される。
【0036】
画像処理中に頭部板1に横たわる患者の画像で生じ得る人工物を殆ど回避する為に、2つの板4及び5と支持ディスク10は、X線画像、CT、又は血管造影法画像で使用される放射線が透過可能な硬化紙又は別の材料で形成される。支持ディスク10は、示された実施の形態では別の構造用部品として設計されるが、2つの板4及び5の1つに統合する事も出来る。
【0037】
図4は、非ロック状態の実施の形態に従った頭部板1の平面図を示す。第1の板4と第2の板5は、受け入れ溝8への頭部板1の挿入を容易にする為に、挿入領域2で2つの板4及び5の縁が相互に実質的に平行に延びる開始位置で相互に位置を調整される(図2及び3を参照)。その際に、2つの板4及び5のクランプ突出部6及び7は、隣接する板4及び5の各縁と実質的に水平に配置される。
【0038】
関連付けられた図5の側面図によって認識される様に、支持ディスク10は、単独で2つの板4及び5の間に挿入される。従って、頭部板1の意図しない脱離を防ぐ為に、紛失防止機構11が挿入領域2の縁領域に提供される。示された一例では、紛失防止機構11は、2つの板4及び5の1つに固定され、2つの板4及び5の別の1つの溝に係合するボルトを含む。従って、紛失防止機構11は、紛失防止機構11の適切に形作られた溝でボルトが滑るという点で、2つの板4及び5の相互に対する回転移動を可能にする。別の紛失防止機構11を頭部板1の支持領域3の縁領域に提供する事も出来る。
【0039】
示された実施の形態では、回転軸9廻りに相互に対して2つの板4及び5を回転させる為の作動機構12が頭部板1の支持領域3の端に配置される。作動機構12は、偏心機構14及び15によって2つの板4及び5の相互に対する回転を達成する作動レバー13を含む。ピン14は、作動レバー13の回転軸を定義する1つのピン14が2つの板4及び5に固定され、別のピン14が作動レバー13の溝又は長穴15に案内される。作動レバー13の溝又は長穴15の形状は、図8及び9に関連して以下で更に詳細に説明される。
【0040】
図5の側面図で明確な様に、示された実施の形態では、作動レバー13は、2つの板4及び5の平面に配置され、それが2つの板4及び5の上面及び下面を超えて広がらない様な大きさにされる。挿入領域2から見て外方に向く頭部板1の端の作動機構12の配置は、一方では、作動レバー13と回転軸9との間の長い距離を通じて僅かな作動力のみが加えられなければならない事をもたらす。他方では、これは、頭部板1に配置された特徴の画像が記録される画像領域の外側に作動機構12が配置される事を意味する。従って、如何なるボルト又は存在する作動機構12の縁も、X線画像等に人工物を生じさせる事は出来ない。
【0041】
ここに示された一例では、長穴16は、頭部板の第1の板4の支持領域3に提供される。これらの長穴は、別の補機部品を固定する為に使用される。
【0042】
図6及び7は、図4及び5の頭部板1の平面図及び側面図を示すが、作動レバー13は、2つの板4及び5が相互に対して回転される様にロック位置に回転され、クランプ突出部6及び7は、隣接する板の縁に亘って夫々及ぶ。従って、図2に示された様に、頭部板1は、受け入れ溝8に固定される。
【0043】
図6及び7から分かる様に、作動レバー13は、側方及び上方又は下方の何れにも、上部板4の外寸法を超えてロック位置に突出しない。従って、作動レバー13は、ロック位置で上から見えない。図7では、作動レバー13を2つの板の間に受け入れる事が出来る様に、2つの板4及び5が作動レバー13の領域で平面を分離する為に薄く成る事が認識される。作動レバー13の1つの端の突出部17は、ユーザがロック位置で作動レバー13を掴む事、及びユーザがクランプを緩める為に作動レバー13を図4に示された開位置に後ろに移動させる事を可能にする。
【0044】
図8及び9は、作動機構12の詳細な図を示す。図8の概略図では、作動レバー13の回転軸を定義する第1のピン14が上部板4に固定され、下部板5に固定された第2のピン14が作動レバー13の溝15に案内される。溝15の形状によって、開位置(図4を参照)からロック位置(図6を参照)への作動レバー13の移動中に、力及び/又は運動量の経路が影響を受ける。
【0045】
その様な形状の簡単な一例は、作動レバー13の全ての調整経路に亘って一様な作動力を達成するであろう円形断面の様に形作られた溝である。然し乍ら、一様な力経路の場合には、受け入れ溝での頭部板1の確実な固定がいつ達成されるかを推測する事はユーザにとって難しい。更に、作動レバー13は、クランプの意図しない緩みを防ぐ為に、固定位置で固定されなければならない。
【0046】
従って、幾つかの実施の形態によれば、溝15の形状は、開位置からロック位置への作動レバー13の移動に際して、先ず、作動力が増加し、次に、ロック位置に達する前に作動力が再び減少する様に選択される。これは、受け入れ溝8での頭部板1のクランプが既に達成された位置での作動レバーの触知可能な係合をユーザにもたらす。更に、ロック位置(図6を参照)への調整経路の最終部分でのクランプの「係合」の後に、ユーザが力の僅かな消費によって作動レバーを移動させる事が出来る様に、作動力が最大値を超えた後に比較的低い値に留まる事が提供される。
【0047】
この様に、頭部板1が受け入れ溝8に確実に固定された事をユーザが触覚及び視覚の両方で確認する事が出来る為、ユーザは、作動レバー13を移動させる時に、最大作動力を超えた事を感知し、続いて、ロック位置では、端位置への力の僅かな消費によって作動レバー13を移動させる事が出来る。更に、ロック位置から開位置への作動レバー13の引き出し中に、最大作動力を再び超えなければならない為、この力経路によってクランプの意図しない緩みが回避される。
【0048】
図9は、幾つかの実施の形態に従った作動機構12の別の側面を図示する。長穴形状凹部18は、ここでは、作動レバー13に提供され、溝15の縁と実質的に平行に延びる。結果的に、この溝15の縁は、作動レバー13を調整する時に、溝15の弾性変形によって頭部板1又は受け入れ溝8の製造公差を補正する事が出来る様に、伸縮自在に変形する事が出来る。
【0049】
図10及び11が示す様に、受け入れ溝8への頭部板1の挿入深さを制限する係止突起19が2つの板4及び5に提供される。更に、図11は、患者の頭部が位置する頭部板1の領域に、画像に人工物を生成する構成部品が無い様に、頭部板1の縁領域のみに紛失防止機構11が提供される事を示す。
【0050】
図12は、支持ディスク10の位置及び機能を図示する。支持ディスク10が板4及び5の内側の円形状凹部20に受け入れられる事が図12の分解図から分かる。支持ディスク10の面と凹部20の面は、2つの板4及び5の相互に対する回転移動の為の支持面を形成する。更に、支持ディスク10の領域で固定要素が板4及び5に提供されない事は図12から明確である。結果的に、人工物は、患者の頭部の画像で回避される。同時に、回転軸9は、板4及び5の特定の内側で支持ディスク10及び円形状凹部20によって定義される。
【0051】
図13乃至16は、作動レバー13を有する作動機構12の配置及び機能を図示する。作動レバーの設計に応じて、作動レバーの溝又は長穴15に案内されるカムが第1の板4又は第2の板5に配置される事は図13から明確であり、作動レバー13は、別の板の夫々に回転可能に固定される。図14では、力又は運動量の経路が示された溝又は長穴15の形状が拡大される。ここでは、溝又は長穴15の適切に形作られた断面21によって作動レバーの係合点を得られる事が分かる。図15は、係合点を通過した後で、力の激しい消費を伴わずに、例えば、図13に示された端位置に移動させる事が出来る位置の作動レバーを示す。
【0052】
要するに、以上に説明された実施の形態の頭部板1は、従って、作動機構12によって、持ち上げられなければならない患者を伴わずに、挿入及びクランプによる受け入れ溝8での簡単な組み立て及び分解を可能にする。受け入れ溝8の頭部板1の鋏形状のクランプは、患者の異なる大きさ又は患者の異なる臥位の為に、受け入れ溝8の長手方向での頭部板1の支持領域3の連続的な位置調整を容易にする。
【0053】
頭部板1は、頭部が頭部板1に横たわる患者のX線画像、CT画像、又は血管造影画像での人工物を大いに回避する為に、例えば、硬化紙、樹脂、又は炭素繊維の様なX線透過材料で殆ど完全に製造される。頭部板1は、ほんの僅かなピン又はボルトを含み、それらは、画像処理で問題を引き起こさない様に、頭部板1の縁領域に全て配置される。
【0054】
2つの板のクランプ突出部6及び7の楔形状によって、全てのクランプ突出部は、二面クランプによって対応するM字形状の受け入れ溝8でクランプされる。これは、各クランプ突出部6及び7が受け入れ溝8の対応する面に対して2つの摩擦面によって押される為、頭部板1の特に確実な固定を達成する。
【0055】
2つの板4及び5は、先に説明された実施の形態で提供される。頭部板が、例えば、クランプ突出部又はクランプ要素が回転自在に固定された対角線上に延びる梁の様な必ずしも板形状ではない1つの板のみをクランプデバイス上に含む事も代替案として考えられる。
【0056】
先に説明された様な頭部板の挿入領域の隅の鋏形状のクランプは、板形状でない別の要素によっても達成される。然し乍ら、2つの板4及び5によってここで示された実施の形態は、患者が横たわる領域で構造が全体的に比較的同質であり、従って、X線画像等に僅かな人工物を生成するという利点を有する。
【0057】
先に説明された実施の形態では、2つの板4及び5を相互に対して回転させる為に、偏心機構が使用される。代替的に、スピンドル機構等を使用する事も出来る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15