(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】炭素含有および可染性の難燃性繊維の均質ブレンド
(51)【国際特許分類】
D01F 1/09 20060101AFI20220208BHJP
D01F 6/60 20060101ALI20220208BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20220208BHJP
D03D 15/513 20210101ALI20220208BHJP
D03D 15/20 20210101ALI20220208BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20220208BHJP
【FI】
D01F1/09
D01F6/60 371Z
D02G3/04
D03D15/513
D03D15/20 100
A41D31/00 502A
A41D31/00 503N
A41D31/00 503F
(21)【出願番号】P 2019511963
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(86)【国際出願番号】 US2017046555
(87)【国際公開番号】W WO2018044525
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-05
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】ニュートン クリストファー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ レイヤオ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-031524(JP,A)
【文献】特開2007-023408(JP,A)
【文献】特開2007-217801(JP,A)
【文献】特開2015-094043(JP,A)
【文献】特開2009-263815(JP,A)
【文献】特開2013-133567(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102296408(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 1/00- 3/48
D01F 1/00- 6/96
D03D 1/00-27/18
A41D 13/00-13/12,
31/00-31/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープルファイバーの均質ブレンドであって、
i)21超の限界酸素指数を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持する
メタ-アラミドポリマーから製造された3~80重量パーセントの第1ステープルファイバーであって、そのファイバー中に均一に分散した0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む第1ステープルファイバーと;
ii)20~97重量パーセントの、
a)離散炭素粒子を含まず、70以上のL
*明度座標を有する第2ステープルファイバーであって、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーか、または
b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンドであって、前記第2ステープルファイバーは、70以上のL
*明度座標を有し、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーブレンドか
のいずれかとの混合物であって、
前記混合物が、0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物を含む、均質ブレンド。
【請求項2】
請求項1に記載の均質ブレンドを含む糸。
【請求項3】
請求項2に記載の糸を含む布。
【請求項4】
ステープルファイバーの均質ブレンドであって、:
i)21超の限界酸素指数を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持する
メタ-アラミドポリマーから製造された3~49重量パーセントの第1ステープルファイバーであって、そのファイバー中に均一に分散した0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む第1ステープルファイバーと;
ii)51~97重量パーセントの、
a)離散炭素粒子を含まない第2ステープルファイバーであって、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーか、または
b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンドであって、前記第2ステープルファイバーは、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーブレンドか
のいずれかとの混合物であって、
前記混合物が、0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物を含む、均質ブレンド。
【請求項5】
請求項4に記載の均質ブレンドを含む糸。
【請求項6】
請求項5に記載の糸を含む布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アークからの保護を作業者に提供する繊維ブレンド、糸、布、および物品に関する。
【背景技術】
【0002】
電気アークなどに曝され得る工員および他の者は、耐熱性布から製造された防護衣および物品を必要とする。防護性能を維持しながら、これらの防護品の有効性のいかなる向上も、またはこれらの物品の快適さのいかなる向上も歓迎される。
【0003】
炭素粒子は、繊維の着色にスパン-イン顔料として使用されており、黒色は、暗い色合いを生み出すのに有効である。
【0004】
炭素粒子が、耐火性のおよび熱的に安定なポリマーから製造された繊維中へ紡ぎ込まれる場合に、結果として生じた糸、布、および衣服は、劇的に改善されたアーク防護を提供することが見いだされている。しかしながら、炭素粒子は、暗い色合いを有する繊維を作る傾向があり、より明るい色合いのアーク防護布および防護服が多くの場合に望まれる。例えば、より暗い色合いを有する衣服は、夜におよび視界不良状況で認知するのがより困難である。他方では、いくつかの衣服製造業者は、彼らの顧客のファッション選択に対処するために様々な色合いを提供する能力を持ちたいと単に願っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、必要とされるものは、劇的に改善されているだけでなく、望ましい色合いも有するアーク防護がなされるための方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、21超の限界酸素指数を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持するポリマーから製造された3~80重量パーセントの第1ステープルファイバーであって、この第1ステープルファイバーは、その繊維中に均一に分散した0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む第1ステープルファイバーと;20~97重量パーセントの、(a)離散炭素粒子を含まず、70以上のL*明度座標を有する第2ステープルファイバーであって、この第2ステープルファイバーは、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーか、または(b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンドであって、この第2ステープルファイバーは、70以上のL*明度座標を有し、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーブレンドかのいずれかとの混合物であって;この混合物が0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物を含む、ステープルファイバーの均質ブレンドに関する。本発明はまた、繊維のこの均質ブレンドを含む糸、布、および衣服に関する。
【0007】
本発明はまた、21超の限界酸素指数(LOI)を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持するポリマーから製造された3~49重量パーセントの第1ステープルファイバーであって、この第1ステープルファイバーは、その繊維中に均一に分散した、個々の繊維中の炭素粒子の量を基準として0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む第1ステープルファイバーと;51~97重量パーセントの、(a)離散炭素粒子を含まない第2ステープルファイバーであって、この第2ステープルファイバーは、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーか、または(b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンドであって、この第2ステープルファイバーは、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーブレンドかのいずれかとの混合物であって、この混合物が0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物を含むステープルファイバーの均質ブレンドに関する。本発明はまた、繊維のこの均質ブレンドを含む糸、布、および衣服に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】全体組成範囲(0~100%)にわたって、炭素粒子を含まなかった自然のポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)繊維と、炭素粒子を含有したMPD-I繊維との均質ブレンドの測定明度値L
*の関係を示す。
【
図2】6.3oz/yd
2(オンス/ヤード2)の坪量を有する布に対して標準化された、アーク性能対布中の離散炭素粒子の総量の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、劇的に改善されたアーク性能を有し、黒色炭素含有繊維の存在を隠すのに役立つために繊維、糸、布、または物品形態で染色することができる繊維ブレンドに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、
i)21超の限界酸素指数を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持するポリマーから製造された3~80重量パーセントの第1ステープルファイバー(この第1ステープルファイバーは、その繊維中に均一に分散した0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む)と;
ii)20~97重量パーセントの、
a)離散炭素粒子を含まない第2ステープルファイバー(この第2ステープルファイバーは、70以上のL*明度座標を有し、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される)か、または
b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンド(この第2ステープルファイバーは、70以上のL*明度座標を有し、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される)か
のいずれかとの混合物であって、
この混合物が0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物
を含む、ステープルファイバーの均質ブレンドに関する。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明は、
i)21超の限界酸素指数を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持するポリマーから製造された3~49重量パーセントの第1ステープルファイバー(この第1ステープルファイバーは、その繊維中に均一に分散した、個々の繊維中の炭素粒子の量を基準として0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む)と;
ii)51~97重量パーセントの、
a)離散炭素粒子を含まない第2ステープルファイバー(この第2ステープルファイバーは、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される)か、または
b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンド(この第2ステープルファイバーは、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される)か
のいずれかとの混合物であって、
この混合物が0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物
を含むステープルファイバーの均質ブレンドに関する。
【0011】
繊維ブレンドとは、どんな方法でも2つ以上のステープルファイバータイプの組み合わせを意味する。好ましくは、ステープルファイバーブレンドは、ブレンド中の様々なステープルファイバーが繊維の比較的一様な混合物を形成していることを意味する、「均質ブレンド」である。いくつかの実施形態において、2つ以上のステープルファイバータイプは、様々なステープルファイバーがスフ糸束中に均一に分配されるように、ステープルファイバー糸が紡績される前にまたは紡績されている間にブレンドされる。いくつかの実施形態において、均質ブレンドは、第1ステープルファイバーと、第2ステープルファイバーか、または第2ステープルファイバーブレンドかのいずれかとから本質的になる。いくつかの好ましい実施形態において、均質ブレンドは、第1ステープルファイバーと、第2ステープルファイバーか、または第2ステープルファイバーブレンドかのいずれかとからなる。
【0012】
本明細書での目的のためには、用語「繊維」は、長さ対その長さに垂直の横断面積の幅の高い比を有する比較的可撓性の、巨視的に均一の物体と定義される。繊維横断面は、任意の形状であり得るが、典型的には円形または豆形である。また、そのような繊維は好ましくは、織物用途での十分な強度のために概して中実の横断面を有する;すなわち、繊維は好ましくは、目につくほどには空隙がないか、または大量の好ましくない空隙を持たない。
【0013】
本明細書で用いるところでは、用語「ステープルファイバー」は、所望の長さにカットされているか、もしくは牽切されている繊維、または、連続フィラメントと比較される場合に、長さ対その長さに垂直の横断面積の幅の低い比を有して製造されている繊維を意味する。人造ステープルファイバーは、例えば、綿、紡羊毛、または梳毛糸紡績装置で加工するのに好適な長さにカットされるかまたに長さにされる。ステープルファイバーは、(a)実質的に一様な長さ、(b)可変もしくはランダム長さ、または(c)実質的に一様な長さを有するステープルファイバーと、異なる長さを有する他のサブセットのステープルファイバーとのサブセットを有することができ、サブセット中のステープルファイバーが混ぜ合わせられて実質的に一様な分配を形成する。
【0014】
いくつかの実施形態において、好適なステープルファイバーは、1~30センチメートル(0.39~12インチ)のカット長を有する。いくつかの実施形態において、好適なステープルファイバーは、2.5~20cm(1~8インチ)の長さを有する。いくつかの好ましい実施形態において、短いステープル法によって製造されたステープルファイバーは、6cm(2.4インチ)以下のカット長を有する。いくつかの好ましい実施形態において、短いステープル法によって製造されたステープルファイバーは、1.9~5.7cm(0.75~2.25インチ)のステープルファイバー長さを有し、3.8~5.1cm(1.5~2.0インチ)のステープルファイバー長さが好ましい。長いステープル、梳毛糸、または紡羊毛システム紡績のためには、16.5cm(6.5インチ)以下の長さを有する繊維が好ましい。
【0015】
ステープルファイバーは、任意の方法によって製造することができる。例えば、ステープルファイバーは、真っすぐな(すなわち、捲縮なしの)ステープルファイバーをもたらす回転カッターまたはギロチン・カッターを用いて連続の真っすぐな繊維からカットすることができるか、またはさらに、好ましくは1センチメートル当たり8以下の捲縮(もしくは繰り返し屈曲)頻度で、ステープルファイバーの長さに沿って鋸歯形状の捲縮を有する捲縮連続繊維からカットすることができる。好ましくは、ステープルファイバーは捲縮を有する。
【0016】
ステープルファイバーはまた、連続繊維を牽切し、捲縮として機能する変形セクションを持ったステープルファイバーをもたらすことによって形成することができる。牽切ステープルファイバーは、切断域調整によって制御される平均カット長を有するランダム可変質量の繊維を生み出す、規定距離である1つ以上の切断域を有する牽切操作中に連続フィラメントのトウまたは束を切断することによって製造することができる。
【0017】
紡績スフ糸は、当技術分野において周知である、伝統的な、長いおよび短いステープルリング精紡法を用いてステープルファイバーから製造することができる。しかしながら、糸はまた、エアジェットスピニング、オープンエンドスピニング、およびステープルファイバーを使用可能な糸へ変換する多くの他のタイプのスピニングを用いて紡績され得るので、これは、リング精紡に限定することを意図しない。紡績フフ糸はまた、牽切トウ-トップ(tow-to-top)ステープル法を用いて牽切することによって直接製造することができる。伝統的な牽切法によって形成された糸中のステープルファイバーは典型的には、長さ18cm(7インチ)以下の長さを有する;しかしながら、牽切によって製造された紡績スフ糸はまた、例えばPCT特許出願国際公開第0077283号に記載されているような方法により約50cm(20インチ)以下の最大長さを有するステープルファイバーを有することができる。牽切ステープルファイバーは通常は、牽切法がある程度の捲縮を繊維中へ付与するので、捲縮を必要としない。
【0018】
いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは好ましくは、40以上の明度座標つまり「L*」値を有する。いくつかの実施形態はまた、可視光の波長(380~780nm)にわたって20%以上の分光反射率を有する。いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは、50以上の「L*」値を有し、いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは、60以上の「L*」値を有する。
【0019】
均質ブレンド、糸、布、および衣服の色は、測定されるアイテムの色の様々な特性を表す3つのスケール値「L*」、「a*」、および「b*」、ならびに分光反射率を提供する、比色計とも呼ばれる、分光光度計を用いて測定することができる。カラースケールで、より低い「L*」値は一般に、より暗い色を示し、白色は、約またはほぼ100の値を有し、黒色は、約またはほぼ0の色を有する。その自然の状態でおよびいかなる着色の前にも、自然のポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)繊維は、比色計を用いて測定される場合に約80以上の範囲である「L*」値を有するわずかに真っ白ではない色を有する。0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含むポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)繊維は、比色計を用いて測定される場合に約20以下の範囲である「L*」値を有する黒色を有する。
【0020】
意外にも、そのわずかに真っ白ではない色の、自然のポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)繊維と;黒色の、その中に分散した炭素粒子を有するポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)繊維との混合物の明度座標つまり「L
*」は、混合物の単純な規則によって統制されないことが分かった。
図1は、全体組成範囲(0~100%)にわたって、均質ブレンドの測定明度値L
*の関係を示す。組成範囲にわたって大部分の組成でのブレンドは実際に、混合物の単純な規則によって予期されるよりも暗い。
【0021】
本明細書で用いるところでは、ステープルファイバーの均質ブレンドに帰せられる色はまた、この均質ブレンドを組み入れている糸、布、および衣服にも適用され;同じ分光光度計を、均質ブレンドの「L*」値に概して従う、糸、布、および衣服の「L*」値を測定するために用いることができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは、均一に分散した離散炭素粒子を有する3~49重量パーセントの第1ステープルファイバーと、51~97重量パーセントの、70以上のL*明度座標を有する第2ステープルファイバー、またはそのような第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンドとを含む。いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは、均一に分散した離散炭素粒子を有する5~35重量パーセントの第1ステープルファイバーと、65~95重量パーセントの、70以上のL*明度座標を有する第2ステープルファイバー、またはそのような第2繊維を含む第2ステープルファイバーブレンドとを含む。いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは、均一に分散した離散炭素粒子を有する10~25重量パーセントの第1ステープルファイバーと、75~90重量パーセントの、70以上のL*明度座標を有する第2ステープルファイバー、またはそのような第2繊維を含む第2ステープルファイバーブレンドとを含む。第1繊維および第2ステープルファイバー、または第2ステープルファイバーブレンドの重量百分率は、ブレンド中のそれらのアイテムの合計を基準としている。
【0023】
いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは、均一に分散した離散炭素粒子を有する5~35重量パーセントの第1ステープルファイバーと、65~95重量パーセントの、染料もしくは着色を受け入れることができる第2ステープルファイバー、またはそのような第2繊維を含む第2ステープルファイバーブレンドとを含む。いくつかの実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドは、10~25重量パーセントの第1ステープルファイバーと、75~90重量パーセントの、染料もしくは着色を受け入れることができる第2ステープルファイバー、またはそのような第2繊維を含む第2ステープルファイバーブレンドとを含む。第1繊維および第2ステープルファイバーまたは第2ステープルファイバーブレンドの重量百分率は、ブレンド中のそれらのアイテムの合計を基準としている。
【0024】
ステープルファイバーの均質ブレンドは、作業者および他の作業員にアーク防護を提供する物品に有用である。アークフラッシュは、電気アークによって引き起こされるエネルギーの爆発的放出である。電気アークは典型的には、強い入射熱および放射エネルギーに衣服を曝す、数千ボルトおよび数千アンペアの電流を伴う。着用者に防護を提供するために、防護アパレル品は、着用者へのこの入射エネルギーの移行に抵抗しなければならない。これは、防護アパレル品が、「こじ開け(break-open)」と呼ばれるものに抵抗しながら、入射エネルギーの一部を吸収する場合に生じると考えられている。「こじ開け」中に、穴が物品中に生じる。それ故、アーク防護のための防護品または防護服は、衣服中の布層のいずれかのこじ開けを回避するかまたは最小限にするように設計されている。
【0025】
布および衣服のアーク性能は、耐火性の(すなわち、21超の限界酸素指数を有する)ポリマーおよび熱的に安定な繊維への離散炭素粒子の添加によってほとんど2倍ほど増加させ得ることが見いだされた。本明細書で用いるところでは、用語「熱的に安定な」は、ポリマーまたは繊維が、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持することを意味する。
【0026】
布重量基準で、そのような劇的な改善は、布中の離散炭素粒子の総量が、布中の繊維の総量を基準として、0.5~3重量パーセントである場合に見いだされた。
図2は、6.3oz/yd
2の坪量を有する布に対して標準化された、炭素粒子を含有するそのような布のATPVを例示する。例示されるように、炭素の存在は、非常に低いローディングでさえも、ATPVによって測定されるように、布アーク性能に著しい影響を及ぼすことができる。最良の性能は、布中で約0.5重量パーセント超の炭素粒子量について見いだされ、12カロリー/cm
2以上の好ましい性能は、約0.75重量パーセント以上の炭素粒子を有する布について現れ、とりわけ望ましい範囲は、布中に0.75~2重量パーセントの炭素粒子である。
【0027】
さらに、21超の限界酸素指数を有し、10℃毎秒の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持し、その中に均一に分散した炭素粒子を有するポリマーから製造された第1ステープルファイバーを含有する、ステープルファイバーの均質ブレンドから製造された布および衣服のアーク性能は、炭素の存在を隠すのに役立つ明るい色合いに着色する(すなわち、染色する)ことがまたできながら、意外にも改善されたアーク性能を有することが見いだされた。
【0028】
均質ブレンドは、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造された第1ステープルファイバー(この繊維は、その繊維中に均一に分散した、個々の繊維中の炭素粒子の量を基準として0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む)を含有する。第1ステープルファイバーは、空気中の酸素の濃度よりも上(すなわち、21超、好ましくは25超)の限界酸素指数(LOI)を有するポリマーから製造される。これは、その繊維から専ら製造された繊維または布が通常の酸素濃度において火災を起こさないであろうし、耐火性であると考えられることを意味する。第1ステープルファイバーのポリマーはさらに、この繊維が高い熱安定性を有することを意味する、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持する。好ましくは、そのようなポリマーには、ポリアミド、ポリアゾール、ポリスルホンおよび、好ましくは溶液紡糸して繊維にすることができる他の熱硬化性ポリマーのようなものが含まれる。
【0029】
第1ステープルファイバーは、個々の繊維中の炭素粒子の量を基準として、0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子を含む。いくつかの実施形態において、第1ステープルファイバーは、個々の繊維中の炭素粒子の量を基準として、0.5~10重量パーセントの離散炭素粒子を含み;いくつかの実施形態において、第1ステープルファイバーは、個々の繊維中の炭素粒子の量を基準として、0.5~6重量パーセントの離散炭素粒子を含む。いくつかの他の実施形態において、個々の繊維中の炭素粒子の量を基準として、5~10重量パーセントの離散炭素粒子を有することが望ましい。1つの好ましい実施形態において、第1ステープルファイバーは、0.5~3.0重量パーセントの離散炭素粒子を含む。
【0030】
繊維中に存在する時に、炭素粒子は、10マイクロメートル以下、好ましくは平均して0.1~5マイクロメートルの平均粒径を有し;いくつかの実施形態において、0.5~3マイクロメートルの平均粒径が好ましい。いくつかの実施形態において、0.1~2マイクロメートルの平均粒径が望ましく;いくつかの実施形態において、0.5~1.5マイクロメートルの平均粒径が好ましい。炭素粒子には、重質石油製品および植物油の不完全燃焼によって製造されるカーボンブラックのようなものが含まれる。カーボンブラックは、すすよりも高いが、活性炭のそれよりも低い表面積対体積比を有するパラクリスタリン炭素の形態である。粒子は、紡糸による繊維の形成前に紡糸原液に炭素粒子を添加することによって繊維中へ組み入れることができる。
【0031】
本質的にいかなる商業的に入手可能なカーボンブラックをも、アラミドポリマー組成物に離散炭素粒子を供給するために使用することができる。それらは典型的には、紡糸による繊維の形成前に紡糸原液に炭素粒子を添加することによって繊維中へ組み入れられる。1つの好ましい実践において、ポリマー液、好ましくはアラミドポリマー液中のカーボンブラックの別個の安定な分散液が先ず製造され、次にこの分散液が、一様な粒子分布を達成するためにミルにかけられる。この分散液は、紡糸前にアラミドポリマー液中へ好ましくは注入される。
【0032】
語句「その繊維中に均一に分散した」は、炭素粒子が、繊維中に軸方向および半径方向の両方に一様に分配されて繊維中に見いだされ得ることを意味する。この一様な分配を達成する一方法は、炭素粒子を含有するポリマー液を、湿式紡糸かまたは乾式紡糸かのいずれかによって紡糸することによると考えられる。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態において、第1ステープルファイバーのポリマーはメタ-アラミドである。本明細書で用いるところでは、「アラミド」は、アミド(-CONH-)結合の少なくとも85%が、2つの芳香環に直接結合しているポリアミドを意味する。添加物をアラミドとともに使用することができ、実際に、10重量%と同量までの他のポリマー材料をアラミドとブレンドできること、または10%と同量の他のジアミンがアラミドのジアミンと置き換えられた、もしくは10%と同量の他の二酸塩化物がアラミドの二酸塩化物と置き換えられたコポリマーを使用できることが判明した。好適なアラミド繊維は、Man-Made Fibers-Science and Technology,Volume 2,Section titled Fiber-Forming Aromatic Polyamides,page 297,W.Black et al.,Interscience Publishers,1968に記載されている。アラミド繊維は、また、米国特許第4,172,938号明細書;同第3,869,429号明細書;同第3,819,587号明細書;同第3,673,143号明細書;同第354,127号明細書;および同第3,094,511号明細書に開示されている。
【0034】
メタ-アラミドは、アミド結合が互いに対してメタ-位にあるそれらのアラミドである。1つの好ましいメタ-アラミドは、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である。糸内で、メタ-アラミド繊維は、典型的には少なくとも約25以上のLOIを耐火性繊維に提供する。
【0035】
いくつかの実施形態において、メタ-アラミド繊維は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%の最低結晶化度を有する。例示の目的のためには、最終繊維の形成の容易さのために、結晶化度の実際の上限は、約50%である(しかしより高い百分率が好適と考えられる)。一般に、結晶化度は、25~40%の範囲にあろう。メタ-アラミド繊維の結晶化度は、2つの方法のうちの1つによって測定することができる。第1方法は、空隙なしの(non-voided)繊維で用いられ、一方、第2方法は、完全に空隙を含まないわけではない繊維に関して用いられる。第1方法におけるメタ-アラミドのパーセント結晶化度は、良好な、本質的に空隙なしの試料を使用する結晶化度についての一次検量線を先ず生成することによって測定される。そのような空隙なしの試料については、比体積(1/密度)は、2相モデルを用いて結晶化度と直接関連づけることができる。試料の密度は、密度勾配カラムで測定される。x線散乱法によって非結晶性であると決定された、メタ-アラミドフィルムは、測定され、1.3356g/cm3の平均密度を有することが分かった。完全に結晶性のメタ-アラミド試料の密度はそのとき1.4699g/cm3であると、x線ユニットセルの寸法から求められた。一旦これらの0%および100%結晶化度終点が確立されると、それについて密度が既知である任意の空隙なしの実験試料の結晶化度は、この一次関係:
【数1】
から求めることができる。
【0036】
多くの繊維試料が完全に空隙を含まないわけではないので、ラマン(Raman)分光法が、結晶化度を測定するための好ましい方法である。ラマン測定は、空隙含量に敏感ではないので、1650cm
-1のカルボニル伸縮の相対強度を、空隙ありかどうかに関わりなく、任意の形態のメタ-アラミドの結晶化度を測定するために用いることができる。これを成し遂げるために、結晶化度と、1002cm
-1の環伸縮モードの強度に標準された、1650cm
-1のカルボニル伸縮の強度との間の一次関係が、最小限に空隙のある試料であって、その結晶化度が前に測定され、上に記載されたように密度測定から既知である試料を使用して築かれた。密度検量線に依存する、次の経験的関係:
【数2】
(式中、I(1650cm
-1)は、そのポイントでのメタ-アラミド試料のラマン強度である)
が、Nicolet Model 910 FT-Raman Spectrometerを用いてパーセント結晶化度について築かれた。この強度を用いて、実験試料のパーセント結晶化度がこの方程式から計算される。
【0037】
メタ-アラミド繊維は、溶液から紡糸され、急冷され、かつ追加の加熱または化学処理なしに、ガラス転移温度よりも下の温度を用いて乾燥させられた場合に、マイナーレベルの結晶性を成長させるにすぎない。そのような繊維は、繊維の結晶化度がラマン散乱技術を用いて測定される場合に15パーセント未満のパーセント結晶化度を有する。低い結晶化度のこれらの繊維は、熱または化学的手段の使用によって結晶化させることができる非晶質メタ-アラミド繊維と考えられる。結晶化度のレベルは、ポリマーのガラス転移温度以上での熱処理によって高めることができる。そのような熱は典型的には、所望量の結晶化度を繊維に付与するのに十分な時間張力下に繊維を加熱ロールと接触させることによって加えられる。
【0038】
m-アラミド繊維の結晶化度のレベルはまた、化学処理によって高めることができ、いくつかの実施形態において、これには、布中へ組み入れられる前に繊維を着色する、染色する、または模擬染色する方法が含まれる。いくつかの方法が、例えば、米国特許第4,668,234号明細書;同第4,755,335号明細書;同第4,883,496号明細書;および同第5,096,459号明細書に開示されている。染料キャリアとしても知られる、染色助剤が、アラミド繊維の染料ピックアップを増加させるのに役立つために使用されてもよい。有用な染料キャリアには、アリールエーテル、ベンジルアルコール、またはアセトフェノンが含まれる。
【0039】
均質ブレンドは、染料もしくは着色を受け入れることができる第2ステープルファイバー、またはそのような第2繊維を含む第2ステープルファイバーブレンドを含有する。言い換えれば、均質ブレンドは、単一タイプのステープルファイバーをさらに含有するか、または均質ブレンドは、2つ以上のステープルファイバーをさらに含有する。第2ステープルファイバーは、繊維が本明細書で定義されるような炭素粒子を含有しないことを意味する、離散炭素粒子を含まない。第2ステープルファイバーブレンドはまた、ステープルファイバーのブレンド中の繊維のどれもが、本明細書で定義されるような炭素粒子を含有しないことを意味する、離散炭素粒子を含まない。第2ステープルファイバーブレンド中の他の繊維は限定されない。一実施形態において、第2ステープルファイバーは、第2ステープルファイバーブレンド中に過半数(50重量パーセント超)のステープルファイバーとして存在する。
【0040】
第2ステープルファイバーは、21超のLOIを有するポリマーおよびコポリマーから製造される。好ましくは、第2ステープルファイバーのポリマーはまた熱的に安定であり、これは、第2ステープルファイバーのポリマーがまた、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持することを意味する。好ましくは、そのようなポリマーには、ポリアミド、ポリアゾール、ポリスルホンおよび、好ましくは溶液紡糸して繊維にすることができる他の熱硬化性ポリマーのようなものが含まれる。
【0041】
いくつかの好ましい実施形態において、第2ステープルファイバーのポリマーは、本明細書で前に記載されたようにメタ-アラミドである。1つの好ましいメタ-アラミドは、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である。いくつかの実施形態において、メタ-アラミド繊維は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%の最低結晶化度を有する。例示の目的のためには、最終繊維の形成の容易さのために、結晶化度の実際の上限は、50%である(しかしより高い百分率が好適と考えられる)。一般に、結晶化度は、25~40%の範囲にあろう。
【0042】
いくつかの実施形態において、第2ステープルファイバーは、10パーセント超の185℃での軸方向熱収縮率を有し、かつ前に定義されたように熱的に安定である、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される。この高レベルの収縮率は、目につくほどに結晶化していないか、またはさもなければ熱安定化していない非晶質繊維に代表的である。第2ステープルファイバーの非晶質ポリマーは好ましくは、本明細書で前に記載されたようにメタ-アラミドである。繊維がメタ-アラミド繊維である場合、そのような繊維は一般に、繊維の結晶化度がラマン散乱技術を用いて測定される場合に15パーセント未満のパーセント結晶化度を有する。結晶性の欠如のために、そのような繊維は、均質ブレンド、糸、布、または物品形態のいずれでも、比較的容易に染色することができる。1つの好ましいメタ-アラミドは、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である。
【0043】
別の実施形態において、第2ステープルファイバーは、2パーセント以下の185℃での軸方向熱収縮率を有し、かつ前に定義されたように熱的に安定である、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される。この低レベルの収縮率は、比較的結晶化した繊維に代表的である。第2ステープルファイバーのポリマーは好ましくは、本明細書で前に記載されたようにメタ-アラミドである。繊維がメタ-アラミド繊維である場合、それは、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%の最低結晶化度を有する。例示の目的のためには、最終繊維の形成の容易さのために、結晶化度の実際の上限は、50%である(しかしより高い百分率が好適と考えられる)。一般に、結晶化度は、25~40%の範囲にあろう。この結晶化度のために、そのような繊維は、均質ブレンド、糸、布、または物品形態のいずれでも染色することができるが、一般に、染色助剤またはより強力な染色条件を必要とする。1つの好ましいメタ-アラミドは、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である。
【0044】
いくつかの実施形態において、均質ブレンド中の第2ステープルファイバーは、染料をさらに含む。好適な染料は好ましくは、40以上、好ましくは50以上の「L*」値を有する色を提供する。「L*」値の1つの好ましい範囲は50~90である。
【0045】
本ブレンドは、帯電防止繊維を含有していてもよい。1つの好適な繊維は、De Howittに付与された米国特許第4,612,150号明細書および/またはHullに付与された米国特許第3,803,453号明細書に記載されているものなどの、1~3重量パーセントの量での溶融紡糸熱可塑性帯電防止性繊維である。これらの繊維は、それらがカーボンブラックを含有するが、繊維ポリマーが難燃性であることと、熱的に安定であることとの組み合わせを持たない;すなわち、それが相まって、21超のLOIを持たない、および毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持しないので、アーク性能に及ぼす影響は無視できる。実際に、そのような熱可塑性帯電防止繊維は、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合に35重量パーセント超を失う。本明細書での目的のために、およびいかなる混乱をも避けるために、離散炭素粒子の重量パーセントでの総含量は、いかなる少量の帯電防止繊維をも排除して、繊維ブレンドの総重量を基準としている。
【0046】
ステープルファイバーの均質ブレンドは、異なる繊維のストランドまたはトウをカッターブレンドすることによって、または繊維の異なるベールをブレンドすることおよび均質ブレンドを形成する当技術分野において公知の他の方法によって製造することができる。例えば、異なるステープルファイバータイプの2つ以上のスライバーを、様々なステープルファイバーがスフ糸束中で均質ブレンドとして均一に分配されるように、ステープルファイバー糸が紡績される前に、または紡績される間にブレンドすることができる。
【0047】
「糸」とは、連続ストランドを形成するために一緒に紡績されたまたは撚られた繊維の集まりを意味する。本明細書で用いるところでは、糸は一般に、織りおよび編みのような操作に好適な織物材料の最も簡単なストランドである、シングルス糸;または諸撚糸もしくは撚糸(plied yarn)として当技術分野において公知であるものを意味する。紡績スフ糸は、多かれ少なかれ撚りでステープルファイバーから形成することができる。撚りがシングルス糸に存在する場合、それは全て、同じ方向にある。本明細書で用いるところでは、語句「諸撚糸」および「撚糸」は、同じ意味で用いることができ、2つ以上の糸、すなわち、一緒に撚り合わせられたもしくは撚られた、シングルス糸を意味する。
【0048】
布は、本明細書に記載されるようなステープルファイバーの均質ブレンドを含む紡績スフ糸から製造することができ、織布または編布を含むことができるが、それらに限定されない。一般的な布設計および構造は、当業者に周知である。「織」布とは、互いに経糸つまり縦方向糸と、よこ糸つまり横方向糸とを織り合わせて、平織、千鳥綾織、バスケット織、繻子織、綾織などの、任意の布織を生み出すことによって織機で通常形成される布を意味する。平織および綾織は、業界で用いられる最も一般的な織り方であると考えられ、多くの実施形態において好ましい。
【0049】
「編」布とは、編み針の使用により糸ループを編成することによって通常形成される布を意味する。多くの場合に、編布を製造するために紡績スフ糸は、糸を布に変換する編機に供給される。必要ならば、マルチプルエンドまたは糸を、撚りありか、または不撚かのいずれかで編機に供給することができる;すなわち、糸の束または撚糸の束を編機に共供給し、編んで布にするか、または従来技術を用いて、直接、手袋などのアパレル品にすることができる。編物の締まりは、いかなる具体的なニーズをも満たすために調整することができる。防護アパレル用の特性の非常に有効な組み合わせは、例えば、シングルジャージーニットおよびテリーニットパターンに見いだされている。
【0050】
いくつかの特に有用な実施形態において、ステープルファイバーの均質ブレンドを含む紡績スフ糸を使用して耐アーク性および難燃性衣服を製造することができる。いくつかの実施形態において、衣服は、紡績スフ糸から製造された防護布の本質的に1つの層を有することができる。このタイプの衣服には、極度の熱事象が起こり得る化学処理工業または工業的もしくは電気的ユーティリティなどの状況において着用することができるジャンプスーツ、カバーオール、パンツ、シャツ、手袋、スリーブなどが含まれる。1つの好ましい実施形態において、衣服は、本明細書に記載されるステープルファイバーの均質ブレンドの糸を含む布から製造される。あるいは、衣料品は、本明細書に記載されるステープルファイバーの均質ブレンドを含む脅し糸を利用することができよう。
【0051】
このタイプの防護品または防護服には、電気アーク潜在環境において作業する可能性がある電気技師およびプロセス制御スペシャリストおよび他の者などの工業作業員によって使用される防護コート、ジャケット、ジャンプスーツ、カバーオール、フードなどが含まれる。好ましい実施形態において、防護服は、電気パネルまたはサブステーション上での作業が必要とされる場合に織物および他の防具上で一般に使用される七分丈コートを含めて、コートまたはジャケットである。
【0052】
好ましい実施形態において、単一布層での防護品または防護服は、アーク格付けについての2つの一般的なカテゴリー格付けシステムのいずれかによって測定されるように少なくともカテゴリー2以上のアーク格付けである、2カロリー/cm2/oz超のATPVを有する。National Fire Protection Association(米国防火協会)(NFPA)は、カテゴリー1が最低の性能を有し、カテゴリー4が最高の性能を有する、4つの異なるカテゴリーを有する。NFPA 70Eシステムの下で、カテゴリー1、2、3、および4は、それぞれ、1平方センチメートル当たり4、8、25、および40カロリーの布を通しての最低閾値熱流束に相当する。National Electric Safety Code(米国電気安全規程)(NESC)はまた、カテゴリー1が最低の性能を有し、カテゴリー3が最高の性能を有する、3つの異なるカテゴリーの格付けシステムを有する。NESCシステムの下で、カテゴリー1、2、および3は、それぞれ、1平方センチメートル当たり4、8、および12カロリーの布を通しての最低閾値熱流束に相当する。それ故、カテゴリー2アーク格付けを有する布または衣服は、標準セット方法ASTM F1959またはNFPA 70Eによって測定されるように、1平方センチメートル当たり8カロリーの熱流束に耐えることができる。
【0053】
好ましい実施形態において、布および物品は好ましくは、50~90の範囲の「L*」値を有する。
【0054】
試験方法
耐アーク性。本発明の布の耐アーク性は、ASTM F-1959-99「Standard Test Method for Determining the Arc Thermal Performance Value of Materials for Clothing(衣料用の材料のアーク熱性能値を測定するための標準試験方法)」に従って測定される。好ましくは、本発明の布は、好ましくは1平方ヤード当たり1オンス当たり1平方センチメートル当たり少なくとも2カロリーの耐アーク性(ATPV)を有する。
【0055】
熱重量分析(TGA)。毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持する繊維は、Newark,DelawareのTA Instruments(Waters Corporationの部門)から入手可能なModel 2950 Thermogravimetric Analyzer(熱重量分析計)(TGA)を用いて測定することができる。TGAは、温度上昇に対する試料減量のスキャンを与える。TA Universal Analysis(TAユニバーサル分析)プログラムを用いて、パーセント減量は、任意の記録温度で測定することができる。プログラムプロフィールは、50℃での試料の平衡化;50℃から1000℃まで毎分10度での昇温;10ml/分で供給される、ガスとしての空気の使用;および500マイクロリットルのセラミック・カップ(PN 952018.910)試料容器の使用からなる。具体的な試験手順は、次の通りである。TA Systems 2900 ControllerでTGAスクリーンを用いてTGAをプログラムした。試料IDを入力し、毎分20℃の計画された温度ランプ・プログラムを選択した。空の試料カップの風袋を、機器の風袋機能を用いて量った。繊維試料を、およそ1/16インチ(0.16cm)長さにカットし、試料パンを試料で緩く満たした。試料重量は、10~50mgの範囲にあるべきである。TGAは天秤を有し、それ故、正確な重量は前もって測定しなくてもよい。試料のどれも、パンの外側にあるべきではない。満たされた試料パンを、熱電対がパンの上端の近くにあるがそれに触れていないことを確認してバランスワイヤ上へロードした。炉をパン上方に上げ、TGAを開始する。プログラムが完了したらすぐに、TGAは自動的に炉を下げ、試料パンを取り出し、冷却モードに入る。TA Systems 2900 Universal Analysisプログラムを次に用いて分析し、温度の範囲にわたるパーセント減量についてのTGAスキャンを生み出す。
【0056】
限界酸素指数。本発明の布の限界酸素指数(LOI)は、ASTM G-125-00「Standard Test Method for Measuring Liquid and Solid Material Fire Limits in Gaseous Oxidants(ガス酸化剤中で液体および固体材料炎限界を測定するための標準試験方法)」に従って測定される。
【0057】
色測定。色および分光反射率を測定するために用いられるシステムは、1976 CIELABカラースケール(Commission Internationale de l’Eclairageによって開発されたL*-a*-b*システム)である。CIE「L*-a*-b*」システムでは、色は、3次元空間中の点として見られる。「L*」値は、高い値が最も明るいものである明度座標であり、「a*」値は、「+a*」が赤色の色相を示し、「-a*」が緑色の色相を示す赤色/緑色座標であり、かつ「b*」値は、「+b*」が黄色の色相を示し、「-b*」が青色の色相を示す黄色/青色座標である。分光光度計が、示されるように繊維のパフでのか、または布もしくは衣服形態でのかのいずれかの、試料の色を測定するために用いられた。具体的には、10度観測者およびD65光源の工業標準を含めて、Hunter Lab UltraScan(登録商標)PRO分光光度計が用いられた。本明細書で用いられるカラースケールは、星印なしの(「L-a-b」)と称される、旧Hunterカラースケールの座標とは対照的に、星印ありのCIE(「L*-a*-b*)カラースケールの座標を用いる。
【0058】
炭素粒子の重量パーセント。繊維中のカーボンブラックの名目量は、繊維を製造する場合に、成分の簡単な物質収支によって求められる。繊維が製造された後、繊維中に存在するカーボンブラックの量は、繊維の試料の重量を測定し、カーボンブラック粒子に影響を及ぼさない好適な溶媒へのポリマーの溶解によって繊維を除去し、残りの固形分を洗浄して炭素ではないいかなる無機塩をも除去し、残った固形分を秤量することによって求めることができる。1つの具体的な方法は、試験されるべき約1グラムの繊維、糸、または布を秤量し、その試料を60分間105℃でオーブン中で加熱していかなる水分をも除去し、引き続き試料をデシケーター中に入れて室温まで冷却し、引き続き試料を秤量して当初重量を0.0001グラムの精度で得ることを含む。試料は次に、攪拌機付きの250mlの平底フラスコに入れられ、150mlの好適な溶媒、例えば96%硫酸が添加される。フラスコは次に、凝縮器の最上部を出るいかなるヒュームをも防ぐのに十分な流れで動作する冷却水凝縮器付きの組み合わせ攪拌/ヒーター上に置かれる。熱が次に、糸が完全に溶媒に溶解するまで攪拌しながら加えられる。フラスコは次に、ヒーターから取り除かれ、室温まで放冷される。フラスコの内容物は次に、風袋を量った0.2ミクロンPTFE濾紙付きのMillipore真空フィルター・ユニットを用いて真空濾過される。真空を取り除き、次に、フィルターを同様に通過させられる、25mlの追加溶媒でフラスコをすすぎ洗いする。Milliporeユニットは次に、真空フラスコから取り除かれ、新たなきれいなガラス真空フラスコ上にリセットされる。真空を使って、濾紙上の残渣は、洗浄水が中性であることを濾液に関するpH紙チェックが示すまで水で洗浄される。残渣は次に、メタノールで最後に洗浄される。残渣試料付きの濾紙が取り外され、皿に入れられ、20分間乾燥させるために105℃でのオーブン中で加熱される。残渣試料付きの濾紙は次に、室温まで冷却するためにデシケーター中に入れられ、これに、最終重量を0.0001グラム精度で得るための残渣試料付き濾紙の秤量が続く。フィルターの重量が、残渣試料付き濾紙の重量から差し引かれる。この重量は次に、糸または繊維または布の当初重量で割られ、100を乗じられる。これは、繊維、糸、または布中のカーボンブラックの重量百分率を与えるであろう。
【0059】
粒径。炭素粒径は、ASTM B822-10-「Standard Test Method for Particle Size Distribution of Metal Powders and Related Compounds by Light Scattering(光散乱による金属粉および関連化合物の粒度分布についての標準試験方法)の一般規定を用いて測定することができる。
【0060】
収縮率。高温での繊維収縮率について試験するために、試験されるべきマルチフィラメント糸の試料の2端が、ループの全内部長さが長さおよそ1メートルであるように固い結び目で結び合わせられる。このループは次に、張り詰めるまでぴんと張られ、ループの2倍になった長さが最も近い0.1cmまで測定される。糸のループは次に、185℃で30分間オーブン中で吊される。糸のループは次に冷却され、それは再びぴんと張られ、2倍になった長さが再測定される。パーセント収縮率は次に、ループの線長さの変化から計算される。
【実施例】
【0061】
以下の実施例において、別に指定されない限り、自然のメタ-アラミド繊維は、非晶質または非結晶化ポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)繊維であり、自然のパラ-アラミド繊維は、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(PPD-T)であり;これらの両方とも、炭素粒子を含まなかった、すなわち、それらは、いかなる添加カーボンブラックをも含有しなかった。黒色メタ-アラミド繊維は、炭素粒子つまりカーボンブラックをさらに含有する結晶化MPD-I繊維であった。黒色パラ-アラミド繊維は、顔料の混合物を使って黒色によく似るようにされたPPD-T繊維であったが、このPPD-T繊維もまた、離散炭素粒子つまりカーボンブラックを含まなかった。帯電防止性繊維は、Invistaから入手可能なP140(登録商標)として商業的に公知の炭素-コア・ナイロン-シース繊維であった。
【0062】
均質ブレンドについての(および布中の)炭素の計算パーセント総量(パーセント)は、100倍の、総繊維ブレンドの重量で割られた、名目2.1パーセント炭素を有する、炭素含有黒色メタ-アラミド繊維中の炭素粒子の重量に基づくものであった。帯電防止繊維中のいかなる炭素も、ブレンド中のパーセント炭素の計算に考慮されない。
【0063】
対照例
93重量パーセントのメタ-アラミド繊維と、5重量パーセントのパラ-アラミド繊維と、2重量パーセントの帯電防止性繊維とのピッカーブレンドスライバーの形態でのステープルファイバーの均質ブレンドを調製し、次に綿システム加工およびエアジェット紡績機を用いて紡績スフ糸にした。得られた糸は、21テックス(28綿番手)単糸であった。2つの単糸を次に、撚糸機で撚り合わせて10回転/インチ撚りのプライツイストを有する双糸を製造した。
【0064】
この糸を次に、縦表(warp-faced)2×1綾織構造でシャトル織機で織られる布の経糸およびよこ糸として使用した。完成綾織布は、1cm当たりおよそ31エンド×16ピック(1インチ当たり77エンド×47ピック)の構造および203g/m2(6.0oz/yd2)の坪量を有した。この布を次にアーク試験にかけ、結果を表に示す。
【0065】
実施例1
85重量パーセントの自然の(白色)メタ-アラミド繊維と、9.4重量パーセントの炭素含有黒色メタ-アラミド繊維と、5.5重量パーセントの炭素を含有しない黒色パラ-アラミド繊維と0.1重量パーセントの帯電防止性繊維とのピッカーブレンドスライバー形態でのステープルファイバーの均質ブレンドを調製し、次に綿システム加工およびエアジェット紡績機を用いて紡績スフ糸にした。得られた糸は、21テックス(28綿番手)単糸であった。2つの単糸を次に、撚糸機で撚り合わせて10回転/インチ撚りのプライツイストを有する双糸を製造した。この糸を次に、縦表2×1綾織構造で、シャトル織機で織られる布の経糸およびよこ糸におけるように使用した。綾織布は、1cm当たりおよそ31エンド×16ピック(1インチ当たり77エンド×47ピック)の構造および203g/m2(6.0oz/yd2)の坪量を有した。この布をアーク試験にかけ、結果を表1に示す。
【0066】
実施例2
ステープルファイバーの均質ブレンドが、70重量パーセントの自然の(白色)メタ-アラミド繊維と、23.4重量パーセントの炭素含有黒色メタ-アラミド繊維と、6.3重量パーセントの炭素を含有しない黒色パラ-アラミド繊維と、0.3重量パーセントの帯電防止性繊維とを含有したことを除いて、実施例1を繰り返した。この布をアーク試験にかけ、結果を表1に示す。
【0067】
実施例3
ステープルファイバーの均質ブレンドが、50重量パーセントの自然の(白色)メタ-アラミド繊維と、42.2重量パーセントの炭素含有黒色メタ-アラミド繊維と、7.3重量パーセントの炭素を含有しない黒色パラ-アラミド繊維と、0.5重量パーセントの帯電防止性繊維とを含有したことを除いて、実施例1を繰り返した。この布をアーク試験にかけ、結果を表1に示す。
【0068】
比較例A
ステープルファイバーの均質ブレンドが、25重量パーセントの自然の(白色)メタ-アラミド繊維と、65.7重量パーセントの炭素含有黒色メタ-アラミド繊維と、8.5重量パーセントの炭素を含有しない黒色パラ-アラミド繊維と、0.7重量パーセントの帯電防止性繊維とを含有したことを除いて、実施例1を繰り返した。この布をアーク試験にかけ、結果を表1に示す。
【0069】
比較例B
ステープルファイバーの均質ブレンドが、ゼロの自然の(白色)メタ-アラミド繊維と、89.2重量パーセントの炭素含有黒色メタ-アラミド繊維と、9.8重量パーセントの炭素を含有しない黒色パラ-アラミド繊維と、1.0重量パーセントの帯電防止性繊維とを含有したことを除いて、実施例1を繰り返した。この布をアーク試験にかけ、結果を表1に示す。
【0070】
【0071】
アーク性能(ATPV)によって例示されるように、ステープルファイバーの均質ブレンドの組成物は、炭素含有ステープルファイバーの量がブレンドの約50パーセント以上である場合に収穫逓減点に達する。同様に、そのようなブレンドは、隠すのがより困難であるより暗い色合いを例示する。
【0072】
実施例4
炭素粒子を含まない自然のポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)繊維と、炭素粒子を含有するMPD-I繊維(黒色繊維)との均質ブレンドを、全体組成範囲(0~100%)にわたって製造した。組成を表2に示す。各ブレンドを毛羽立てて明度測定のための繊維の「パフ」ボールを生み出した。各ブレンドについてのL*値を、次の観測条件でHunterLab UltraScan(登録商標)PRO分光光度計を用いて測定した:広範囲視界(Large Area View)/10度観測者/D65光源。L*値を報告するために用いられるカラースケールは、CIE 1976L*a*b*(CIELAB)カラースケールである。スケールの低い値は、暗い色合いを示し、一方、高い値は、明るい色合いを示す。表2にまとめられるように、L*値は、黒色MPD-I繊維の量が減少するとともに増加する。
【0073】
図1は、意外にもブレンドの明度が混合物の単純な規則によって統制されないことを例示する、測定明度値L
*の関係を全体組成範囲にわたってグラフにより示す。
【0074】
【表2】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ステープルファイバーの均質ブレンドであって、
i)21超の限界酸素指数を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持するポリマーから製造された3~80重量パーセントの第1ステープルファイバーであって、そのファイバー中に均一に分散した0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む第1ステープルファイバーと;
ii)20~97重量パーセントの、
a)離散炭素粒子を含まず、70以上のL
*
明度座標を有する第2ステープルファイバーであって、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーか、または
b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンドであって、前記第2ステープルファイバーは、70以上のL
*
明度座標を有し、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーブレンドか
のいずれかとの混合物であって、
前記混合物が、0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物を含む、均質ブレンド。
〔2〕i)における第1ステープルファイバーの前記重量パーセントが3~49重量パーセントであり、ii)におけるa)またはb)の前記重量パーセントが51~97重量パーセントである前記〔1〕に記載の均質ブレンド。
〔3〕i)における第1ステープルファイバーの前記重量パーセントが5~35重量パーセントであり、ii)におけるa)またはb)の前記重量パーセントが65~95重量パーセントである前記〔2〕に記載の均質ブレンド。
〔4〕i)における第1ステープルファイバーの前記重量パーセントが10~25重量パーセントであり、ii)におけるa)またはb)の前記重量パーセントが75~90重量パーセントである前記〔3〕に記載の均質ブレンド。
〔5〕前記第1ステープルファイバーが0.5~6重量パーセントの離散炭素粒子を含む前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の均質ブレンド。
〔6〕前記第1または第2ステープルファイバーの前記ポリマーがメタ-アラミドポリマーである前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の均質ブレンド。
〔7〕前記メタ-アラミドがポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)である前記〔6〕に記載の均質ブレンド。
〔8〕前記第2ステープルファイバーが染料をさらに含む前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の均質ブレンド。
〔9〕前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の均質ブレンドを含む糸。
〔10〕前記〔9〕に記載の糸を含む布。
〔11〕前記〔10〕に記載の糸を含む衣料品または衣服。
〔12〕ステープルファイバーの均質ブレンドであって、:
i)21超の限界酸素指数を有し、毎分10度の速度で425℃まで加熱される場合にその重量の少なくとも90パーセントを保持するポリマーから製造された3~49重量パーセントの第1ステープルファイバーであって、そのファイバー中に均一に分散した0.5~20重量パーセントの離散炭素粒子をさらに含む第1ステープルファイバーと;
ii)51~97重量パーセントの、
a)離散炭素粒子を含まない第2ステープルファイバーであって、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーか、または
b)離散炭素粒子を含まず、少なくとも1つの第2ステープルファイバーを含む第2ステープルファイバーブレンドであって、前記第2ステープルファイバーは、染料もしくは着色を受け入れることができ、21超の限界酸素指数を有するポリマーから製造される第2ステープルファイバーブレンドか
のいずれかとの混合物であって、
前記混合物が、0.5~3重量パーセントの離散炭素粒子の総含量を有する混合物を含む、均質ブレンド。
〔13〕i)における第1ステープルファイバーの前記重量パーセントが5~35重量パーセントであり、ii)におけるa)またはb)の前記重量パーセントが65~95重量パーセントである前記〔12〕に記載の均質ブレンド。
〔14〕i)における第1ステープルファイバーの前記重量パーセントが10~25重量パーセントであり、ii)におけるa)またはb)の前記重量パーセントが75~90重量パーセントである前記〔13〕に記載の均質ブレンド。
〔15〕前記第1ステープルファイバーが0.5~6重量パーセントの離散炭素粒子を含む前記〔12〕~〔14〕のいずれか一項に記載の均質ブレンド。
〔16〕前記第1または第2ステープルファイバーの前記ポリマーがメタ-アラミドポリマーである前記〔12〕~〔15〕のいずれか一項に記載の均質ブレンド。
〔17〕前記メタ-アラミドがポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)である前記〔16〕に記載の均質ブレンド。
〔18〕前記第2ステープルファイバーが染料をさらに含む前記〔12〕~〔17〕のいずれか一項に記載の均質ブレンド。
〔19〕前記〔12〕~〔18〕のいずれか一項に記載の均質ブレンドを含む糸。
〔20〕前記〔19〕に記載の糸を含む布。
〔21〕前記〔20〕に記載の糸を含む衣料品または衣服。