(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】解剖学的検出システム誘導直腸内前立腺生検デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20220208BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20220208BHJP
A61B 8/00 20060101ALI20220208BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220208BHJP
A61B 6/12 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61B10/02 110A
A61B5/055 390
A61B5/055 350
A61B8/00
A61B6/03 377
A61B6/12
(21)【出願番号】P 2019512312
(86)(22)【出願日】2017-09-01
(86)【国際出願番号】 US2017049954
(87)【国際公開番号】W WO2018045342
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-31
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512208051
【氏名又は名称】オレゴン ヘルス アンド サイエンス ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】コークリー、ファーガス
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテンブロック、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ザイツ、フォレスト
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン、クリストファー、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー、ダニエル、アール.
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0247859(US,A1)
【文献】特表2016-505314(JP,A)
【文献】特開2008-170006(JP,A)
【文献】米国特許第06470204(US,B1)
【文献】特開2004-041725(JP,A)
【文献】特表2018-534984(JP,A)
【文献】特開平10-155730(JP,A)
【文献】特開2015-104602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
A61B 5/055
A61B 8/00
A61B 6/03
A61B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端と、
近位のハウジング部と、中間のハウジング部と、遠位のハウジング部とを有し、
前記遠位のハウジング部は
前記近位のハウジング部および前記中間のハウジング部の中心線から上方に曲げられ、前記遠位のハウジング部は肛門内に挿入され、対象の直腸内に保持されるように構成され
、遠位端MRIコイル区画を含むハウジングと、
収束点に近位および遠位の両方の器具の動きの範囲を定める近位の円すいおよび遠位の円すいの交点によって定められ、可変および選択可能な角度で
前記器具が器具収束点を通れるように構成されている、近位端と遠位端との間に配置した器具収束点と、
前記ハウジングの近位端に、
チャンネル軸のそれぞれが前記器具収束点に収束するように配向した、チャンネル軸をそれぞれ有する複数の定期的に間隔を空けた器具アクセスチャンネルを含む固定配列器具角度方向付けシステムと、
を含むことを特徴とする解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項2】
前記固定配列器具角度方向付けシステムが、前記近位のハウジング部内に配置された曲線状グリッドアレイプレートを含み、前記複数の定期的に間隔を空けた器具アクセスチャンネルが100~200個の器具アクセスチャンネルを含む請求項1に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項3】
前記複数の定期的に間隔を空けた器具アクセスチャンネルが、グリッドパターンまたは同心円パターンで配向されている請求項1または2に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項4】
前記複数の定期的に間隔を空けた器具アクセスチャンネルの間の間隔が、前記近位のハウジング部および前記中間のハウジング部の中心線から測定される1~5°である請求項1~3のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項5】
前記複数の定期的に間隔を空けた器具アクセスチャンネルのサブセットへの前記器具のアクセスを可能にする切り抜きを含む回転可能なグリッドプレートカバーをさらに含む請求項1~4のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項6】
前記器具収束点が、前記器具を三次元配置へ遠位に向けるように構成されている装置内に含まれる請求項1
~5のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項7】
前記
固定配列器具角度方向付けシステムが、前記器具の遠位端の侵入深さおよび前記器具の遠位端の三次元の位置のうちの1つ以上を指示する請求項1
~6のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項8】
任意に実質的に円筒状であり、前記器具が前記解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスを通過できるようにする器具ガイドをさらに含む請求項1~
7のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項9】
前記収束点が、
前記解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの近位端およびデバイスの遠位端から走る軸に沿って平行移動可能である請求項1~
8のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項10】
前記中間のハウジング部
が、前記中間のハウジング部内で回転抑制され、前記器具収束点を中心とする球状ターゲティングボールをさらに含
み、任意に前記球状ターゲティングボールは、円錐状切り抜きを含む請求項1~
9のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項11】
前記器具ガイドが、前記球状ターゲティングボールの遠位側から伸びるか、かつ/または前記器具ガイドが、前記球状ターゲティングボールの近位側から伸び、任意に前記器具ガイドが調節可能であり、前立腺に隣接した直腸の外壁に対して位置づけることができる請求項10に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項12】
解剖学的検出システムが、磁気共鳴解剖学的検出システム、コンピュータ断層撮影(CT)解剖学的検出システム、または超音波解剖学的検出システムを含む請求項1~11のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項13】
前記器具が、生検針、プローブ、センサシステム、処置デバイス、治療の器具システム、または化学物質配置デバイス
を含み、前記化学物質配置デバイスは、任意に取り外し可能なマーカー、染料/造影剤、薬、または取り外し可能ではないマーカーを含む請求項1~1
2のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項14】
少なくとも1つのMRIコイルをさらに含む請求項1~1
3のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項15】
前記
少なくとも1つのMRIコイルが、
前記遠位端MRIコイル区画内に配置されたMRIコイルを含む請求項
14に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのMRIコイルが、前記ハウジングの前記近位端の内表面上に配置されているか、または前記遠位のハウジング部および前記中間のハウジング部を横断するMRIコイルを含む請求項14に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項17】
前記
少なくとも1つのMRIコイルがループアンテナ
および/またはバタフライアンテナ
を含み、前記ループアンテナおよび前記バタフライアンテナが、位相機で90°の位相のずれで駆動されて、環状に分極した磁場を生じる請求項
14~16のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項18】
前記近位のハウジング部に連結したクランプハンドル
および/または前記近位のハウジング部に連結した圧迫環をさらに含む請求項1~
17のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項19】
解剖学的検出システムに対してデバイスを位置付ける、解剖学的検出システムで検出可能な化学物質の1点以上をさらに含む請求項1~
18のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項20】
前記解剖学的検出システムで検出可能な化学物質の1点以上が、前記器具ガイドの遠位端、前記収束点、および/または前記固定配列器具角度方向付けシステムの中心に位置している請求項19に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項21】
マッチング部品、および/またはパワースプリッター、および/または信号結合器の1つ以上をさらに含む請求項1~20のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項22】
前記遠位のハウジング部が、
前記器具がデバイスを通れるように
し、前記器具の動きを定める遠位の円すいに一致する切り抜きを、前記遠位のハウジング部の下面に含む請求項1~20のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項23】
前記遠位のハウジング部が、
前記ハウジングの中心線から
10~
60°から上方に曲げられ
、ヒト直腸のJ形状に一致するように構成されているか、かつ/または前記遠位のハウジング部の遠位の表面が、肛門および直腸組織の挿入および保護を容易にするために丸みを帯びている請求項1~22のいずれか1項に記載の解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載のデバイスと、医療処置を行う器具と
、任意に解剖学的検出システムに対して固定されたデバイスを保持するように構成されたクランプとを含
み、任意に前記器具は深度表示器を含む解剖学的検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、米国特許仮出願第62/382,631号(2016年9月1日出願。参照によりその全体が本願に援用される)の最先出願日の優先権の利益を主張する。
【0002】
(政府権利の記載)
本発明は、国立先進トランスレーショナル科学センターによって提供された5 UL1 TR000128 10の下での政府支援によりなされたものである。
【0003】
(技術分野)
本開示は、組織生検の分野に関する。より具体的には、本開示は、前立腺組織の解剖学的検出システムでターゲットとされた生検のためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
前立腺癌は主要な社会経済問題である。米国では、典型的には異常な血清前立腺特異的抗原(PSA)レベルまたはデジタル直腸検査の後に約100万人の男性が毎年前立腺生検を受け(Loeb S et al,J Urol 186,1830-1834(2011))、これらの男性の約20%が癌に陽性の結果を得る。概して、アメリカ人男性の前立腺癌診断の寿命リスクは、約1/6であり、診断されたものの大体12%が、疾患が原因で死亡する。前立腺癌診断への対処の現在の標準は、組織的経直腸超音波誘導生検であり、その最中では、泌尿器科医が、直腸に設置した超音波プローブを使用して、前立腺(正常であり、腫瘍ではない)の位置を特定し、腺の標準位置から12個以上の針芯の生検を得る。前立腺癌は、そのようなランダム組織的生検によって診断される唯一の固形悪性腫瘍である。対照的に、乳癌が胸の標準位置に12本の針を配置することによって診断されることは想像できず、まだこれが前立腺癌での長期にわたる「最先端」である。この標準アプローチは、不穏に高い割合の偽陰性の診断(見逃した癌、15~46%)、過剰診断(疑わしい臨床的意義の無痛のグリーソン6の癌の検出、45%)および過小診断(最終の処置病変と比較した際により下である癌の格付け、38%)を伴う(Dominguez-Escrig JL et al,Prostate Cancer 386207(2011);Kvale R et al,BJU International 103,1647-54(2009);Siddiqui MM et al,Eur Urol 64,713-719(2013))。フリーハンドの組織的生検でも、針の位置の意図的でない幾何学的エラーおよびクラスタリング、並びにテンプレート化した組織的生検と比較した際に癌の検出が減少している(Itatani R et al,Eur J Radiol83,1740-1745(2014)およびHan M et al,J Urol;188:2404-2409(2012))。
【0005】
前立腺癌が疑わしい患者の約60%において、多変数前立腺MRIが、ターゲットとされた生検での疾患の起こりうる場所を正確に示すことができる(Moore CM et al,Eur Urol63,125-140(2013))。得られた信号対ノイズ比の改善が、顕著に腫瘍検出および病期付けを改善することから、直腸内で表面コイルを用いる前立腺MRIが最もよく実施される(Turkbey B et al,J Magn Reson Imaging 39,1443-1448(2014)およびFutterer JJ et al,Eur Radiol 17,1055-1065(2007))。MRIでターゲットとされた生検が、偽陰性の診断、過剰診断、および過小診断の割合を減少させることが示されている(上記Siddiqui MM et al,2013;Van de Ven WJM et al,Nature Reviews Urology 10,559-556(2013);Klein EA、Nat Rev Clin Oncol 12,253-254(2015);Nassiri N et al,Urology 86,432-438(2015);Mendhiratta N et al,J Urol 194,1601 -1606(2015);Hoeks CM et al,European Urology 62,902-909(2012))。ターゲットとされた生検から得られる改善した腫瘍の特徴付けおよび治療層別化は、10年にわたるMRIと関連した初期コストを相殺し得る(de Rooij M et al,European Urology66,430-436(2014))。しかしながら、MRIでターゲットとされた生検のより幅広い採用への障壁として、コスト、アクセス、およびスケジューリングの懸念が残る。
【0006】
MRIでターゲットとされた生検は、直接(「インボア(in bore)」)または融合アプローチを用いて実施できるが、それぞれ制限がある。両方のアプローチの主な制限は、例えば、それらが2つの別個の手順、すなわち、診断のMRIの後の別個のMRIでターゲットとされた生検を必要とし、診断経路が時間のかかるものとなり、高価となることである。直接解剖学的検出システム誘導生検のさらなる制限は、組織的なコアが処置中に得ることができず、直腸内コイルを使用しないので生検画像の品質が低下することである。融合生検の制限は、針が同じモダリティで標的を横断するのが見られず(画像誘導生検の基本原理に違反する)、前立腺の手技中の変形が、生検中のターゲットの誤りによる重要な位置合わせの誤りをもたらし得ることである。別の共通の制限は、両方アプローチが、供給業者特有のソフトウェアを必要とすることである。これらの要因のすべてにより、当分野の状態を進め、診断の前立腺生検処置を改善する新しいシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
(開示の簡単な概要)
本開示に記載の医療デバイスは、遠位のハウジング部と、近位のハウジング部と、器具収束点とを有するハウジングを含み、遠位のハウジング部は、ヒトの肛門内へ挿入され、直腸で保持されるように構成され、近位のハウジング部は、可変の角度での操作のために角度方向付けシステムと収束点との間を医療器具が通り得るように角度方向付けシステムを含む。
【0008】
また、本開示に記載の医療デバイスは、遠位のハウジング部と、近位のハウジング部と、中間ハウジング部とを有するハウジングを含み、遠位のハウジング部は、ヒトの肛門内へ挿入され、直腸で保持されるように構成され、近位のハウジング部は、可変の角度での操作のために角度方向付けシステムと収束点との間を医療器具が通り得るように、角度方向付けシステムを含み、中間ハウジング部は収束点を含む。
【0009】
一部の実施形態では、医療デバイスは、医療器具が生検針である前立腺生検デバイスを含む。
【0010】
さらなる実施形態では、上記医療デバイスは解剖学的検出システムをさらに含む。解剖学的検出システムの例としては、磁気共鳴検出システムや、コンピュータ断層撮影(CT)解剖学的検出システム、超音波解剖学的検出システムおよびレーザー解剖学的検出システムを含むがこれらに限定されない能動的または受動的な電磁気検出システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の詳細な説明と添付の図および添付の特許請求の範囲とによって実施形態は容易に理解されるであろう。実施形態は例として示されるものであり、添付の図の形状を限定するものではない。
【
図1】様々な実施形態に従う、固定した曲線状配列の器具角度方向付けシステムを有する解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの側断面図である。
【
図2】様々な実施形態に従う、
図1に示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの近位面からの透視図である。
【
図3】様々な実施形態に従う、
図1に示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの遠位面からの透視図である。
【
図4】様々な実施形態に従う、デカルト座標器具角度方向付けシステムを有する解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの側断面図である。
【
図5】様々な実施形態に従う、
図4に示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの近位面からの透視図である。
【
図6】様々な実施形態に従う、
図4に示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの遠位面からの透視図である。
【
図7】様々な実施形態に従う、円筒状座標器具角度方向付けシステムを有する解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの側断面図である。
【
図8】様々な実施形態に従う、
図7に示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの近位面からの透視図である。
【
図9】様々な実施形態に従う、
図7に示す解剖学的検出システム誘導前立腺生検の遠位面からの透視図である。
【
図10】様々な実施形態に従う、デバイスの遠位端におけるイメージングコイルの配置を示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの一部透明な側面斜視図である。
【
図11】様々な実施形態に従う、デバイスの遠位端の直近位にあるイメージングコイルの配置を示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの一部透明な側面斜視図である。
【
図12】様々な実施形態に従う、デバイスの中間ハウジング部および遠位のハウジング部を横断するイメージングコイルの配置を示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの一部透明な側面斜視図である。
【
図13】様々な実施形態に従う、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの水平面を定めるのに使用される前立腺に対しての針ガイド、球状ターゲティングボールおよび中心ブッシングの方向を概略的に示す側面図である。
【
図14】様々な実施形態に従う、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの垂直面を定めるのに使用される前立腺に対しての針ガイド、球状ターゲティングボールおよび中心ブッシングの方向を概略的に示す上から見た図である。
【
図15】様々な実施形態に従う、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの垂直面および水平面に対しての前立腺の疑わしい部分の角度を概略的に示す透視図である。
【
図16】様々な実施形態に従う、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスのグリッドプレートおよびグリッドプレートのマップにマッピングした前立腺の疑わしい部分の角度を概略的に示す透視図である。
【
図17】様々な実施形態に従う、対象の前立腺および腸の画像で重ね合わせた解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの概略側面図である。
【
図18】様々な実施形態に従う、前立腺アクセスの領域と生検針の動きの範囲との間の対応を概略的に示す上から見た図である。
【
図19】様々な実施形態に従う、対象の前立腺および腸の画像で重ね合わせた解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの概略側面図である。
【
図20】様々な実施形態に従う、イメージングコイルのための接続を示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの透視図である。
【
図21】様々な実施形態に従う、インターフェースボードとイメージングコイルとの間の接続を示す近接した図である。
【
図22】様々な実施形態に従う、インターフェースボードと外部ケーブルとの間の接続を示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスのためのクランプ環の透視図である。
【
図23】様々な実施形態に従う、フレキシブル回路およびイメージングコイルを示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの透視図である。
【
図24】様々な実施形態に従う、イメージングコイルの概略図である。
【
図25】様々な実施形態に従う、イメージングコイルの概略図である。
【
図26】様々な実施形態に従う、選択された電子機器と共に連結した
図24および25のイメージングコイルの概略図である。
【
図27】様々な実施形態に従う、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの側断面図である。
【
図28】様々な実施形態に従う、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの側断面図である。
【
図29】様々な実施形態に従う、典型的なマッチング回路の概略図である。
【
図30】様々な実施形態に従う、典型的な90°位相シフト回路の概略図である。
【
図31】様々な実施形態に従う、典型的なパワースプリッター結合器回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明ではその一部を形成する添付の図を参照するが、これらの図は、実施可能な形態を例示するものである。他の実施形態を用いることも可能であり、また、構造的あるいは論理的な変更が実施形態の範囲を逸脱することなく行われ得ることは理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は制限的な意味合いで捉えられるものではなく、実施形態の範囲は、添付の請求項およびそれらの均等物によって画定されるものである。
【0013】
実施形態の理解に有用な方法で、種々の操作を複数の別個の操作として順番に説明するが、説明の順番は、これらの操作が順番に依存することを意味すると解釈すべきでない。
【0014】
説明では、上下、前後および頂部/底部などの斜視図法に基づいた記載が用いられる。こうした記載は単に議論を容易にするために用いられるものであり、開示された実施形態の用途を制限することを意図したものではない。
【0015】
「連結された」、「接続された」およびそれらの派生語が用いられ得る。これらの用語は、互いに同意語を意図したものではないと理解すべきである。むしろ、特定の実施形態では、「接続された」は、2つ以上の要素が互いに直接物理的に接触していることを示すために用いられ得る。「連結された」は、2つ以上の要素が直接物理的に接触していることを意味し得る。しかしながら、「連結された」は、2つ以上の要素が互いに直接には接触していないが、互いに協働または相互作用していることも意味し得る。
【0016】
本説明において、「A/B」または「Aおよび/またはB」は、(A)、(B)または(AおよびB)を意味する。本説明において、「A、BおよびCの内の少なくとも1つ」は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、BおよびC)を意味する。本説明においてに、「(A)B」は、(B)または(AB)、すなわち、Aは任意の要素であることを意味する。
【0017】
説明には、「(1つの)実施の形態」または「(複数の)実施の形態」との語句が使用されてもよい。これらはそれぞれ、1つ以上の同じまたは異なる実施の形態を意味してもよい。さらに、実施の形態に関して使用される「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの語句は同義語であって、一般には「開いた(open)」語句を意図する(たとえば、「含む(including)」との語句は、「含むがこれには限られない」と解釈されるべきである。「有する(having)との語句は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきである。「含む(includes)」との語句は、「含むがこれには限られない」と解釈されるべきである、など)。量とともに使用される修飾語句「約」は、表示の値を含み、文脈によって決まる意味を有する(例えば、特定の量の測定に伴う誤差の程度を含む)。本開示の文脈において、「対象」は、治療、観察または実験の対象物であるか、またはなりうる哺乳類などの動物を指す。本開示に記載のデバイス、システムおよび方法は、ヒト治療および獣医の両方の用途に有用であり得る。一部の実施形態では、対象は哺乳類である。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0018】
本開示における複数形および/または単数形のいずれの使用について、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数から単数へ、および/または単数から複数へ変換できる。様々な単数/複数の置換が、明確のために本開示にて明示され得る。
【0019】
本開示の前に、MRIでターゲットとされた生検のための2つの新たな選択肢、すなわち融合およびインボア(in-bore)アプローチがあった。両方とも、診断のMRI処置の後の別個の生検処置からなる2段階のプロセスを伴う。また、両方のアプローチは、重要な制限を有する。融合生検では、ターゲットがMRI画像で特定され、その後、リアルタイムの経直腸超音波画像上へ「彩色され」、その結果処置者が超音波誘導の下で針を標的に向ける。融合は、MRI画像の超音波画像上への正確な共同位置合わせを必要とする。プローブの動きによる前立腺のいずれの変形も、MRIと超音波画像との間に位置ずれを引き起こし得、その結果、癌がターゲティング中に見逃されることになる。インボア(in-bore)生検は、チャンネルが標的の方を正確に向くまで、単一のチャンネル導入器の時間のかかる、繰り返しの調整を必要とする。2つ以上の標的の生検は、調節プロセスを繰り返す必要があり、それによって処置時間が実質的に増加する。
【0020】
本開示にて、前立腺生検などの前立腺関連手順を1つの手順に減らす新規デバイス、システム、およびそれを用いる方法が開示される。特定の典型的な実施形態では、開示されるデバイスは、診断の前立腺MRIとMRIでターゲットとされた生検との組み合わせを可能にする。実施形態では、開示されるデバイス、システム、および方法は、侵襲が最も少ない方法を用いてコアサンプル効果的に標的にし、得ることが可能な正確で費用効率の高い前立腺生検処置のニーズに応えるものである。組織的生検中に得られるコアの数が増加し、生検を繰り返し使用して、積極的監視で患者をモニターすることが増えることから、多数の連続の生検が、敗血症、排尿の低下、および勃起機能不全を含む重篤な合併症を引き起こすことが次第に認識されている(上記Loeb S et al,2011;Fujita K et al,J Urol 182,2664-2669(2009);Klein T et al,J Urol 184,1447-1452(2010)参照)。組織的な収集に基づくアプローチよりもむしろターゲット化アプローチは、感染のリスクを最小限にし、治療の最適な進行を可能にする。さらに、組織的生検は痛みを伴い、25%の患者が穏やかな痛みから強い痛みを表し、19%が処置を繰り返し受けるのを拒むことが報告されている。上述した融合およびインボア(in-bore)アプローチに対して、開示されるデバイス、システムおよび方法は、MRIデータなどの高品質の解剖学的検出システムデータを用いるターゲティングの利点のみならず、前立腺の最も高い値のターゲットからの組織の迅速な取得をもたらす。本開示では磁気共鳴に向けられた解剖学的検出システムに特に注目しているが、本開示に開示されるデバイス、システム、および方法は、制限されないが、コンピュータ断層撮影(CT)解剖学的検出システム、超音波解剖学的検出システム、およびレーザー解剖学的検出システムなどの能動的または受動的な電磁気検出システムを用いる他のイメージング技術と共に使用できる。
【0021】
本開示の態様は、解剖学的検出システム誘導前立腺処置に用いるデバイスに関連する。したがって、制限されないが前立腺生検などの解剖学的検出システム誘導前立腺処置のためのデバイスが開示される。デバイスは、近位端と遠位端とを有するハウジングを含み、遠位端は、使用時に対象により近く、近位端は、挿入および/または使用の間に医療専門家などの使用者により近い。実施形態では、ハウジングは、説明を容易にするために、近位端ハウジング部、中間ハウジング部、および遠位端ハウジング部に分けることができる。デバイスの遠位端ハウジング部は、ヒト男性対象などの男性対象の肛門内へ挿入され、直腸で保持されるように構成される。男性対象の直腸へ挿入された際に、デバイスの遠位端ハウジング部は、前立腺の極めて近いところに保持される(例えば
図17参照)。そのような位置に保持されることで、デバイスを使用して、生検針または他の医療器具などの器具を、例えば解剖学的検出システムによって、またはそれから得られた前立腺の画像などの解剖学的イメージングシステムからのデータ、例えば前立腺のMRI画像を用いて特定されるか、かつ/または選択される前立腺の特定部分または領域へ誘導することができる。解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスは、近位端と遠位端との間に配置した器具収束点を含む。器具収束点は、収束点に近位および遠位の器具の動きの範囲を一緒に定める近位の円すいおよび遠位の円すいの交点によって定義される。収束点は、器具が可変の角度で器具収束点を通ることができるように構成されている(例えば収束点を通るシャフトを有する器具の角度が変更され得るか、かつ/または選択され得る)。解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスは、ハウジングの近位端に器具角度方向付けシステムをさらに含み、角度方向付けシステムは、収束点について三次元(例えば左/右、上/下、内/外)で交差する円錐内で可変の角度の方向を指示する。
【0022】
近位のハウジング部、中間ハウジング部、および遠位端ハウジング部は、一つの部品から、例えば、解剖学的検出システム(制限されないが、MRIシステムなど)に適合する硬質プラスチックの一つの部品から製造し得る。一部の実施形態では、近位のハウジング部、中間ハウジング部、および遠位端ハウジング部は、共に適合する複数の部品から製造される。特定の実施形態では、ハウジングは、硬質材料から実質的に製造される一方で、他の実施形態では、遠位のハウジング部の特定の部分などの部分は、遠位のハウジング部の部分が対象の生体構造により容易に一致し得、不快感を制限し得るように、あまり硬くない材料から製造される。注目すべきは、実施形態では、デバイスの外側の部分があまり硬くない、または可塑性の材料から製造され得る一方で、収束点、遠位のハウジング部の固定部および器具角度方向付けシステムは、デバイスを使用している間に互いに対して固定した配置に保持される。そのような構成要素の製造技術は当分野で既知である。
【0023】
実施形態では、遠位端ハウジング部は、生検針などの器具が、例えば、デバイスの縦軸、例えば中間ハウジング部および近位のハウジング部の軸に対して様々な角度でデバイスを通ることができるようにする切り抜きを含む。一部の例では、この切り抜きは、器具角度変動の円すい、例えば上記の遠位の円すいに合う。一部の実施形態では、遠位のハウジング部の下面(中心線(または縦軸)に向かって)は、デバイスの器具、または他の特徴が配置され得る器具アクセス切り抜きを含む。
【0024】
実施形態では、遠位のハウジング部は、実質的に整列している近位のハウジング部および中間ハウジング部の中心線(または縦軸)から上方に曲げられている。角度は、平均男性対象の生体構造または少なくとも近似の解剖学的特徴、例えば平均男性対象の直腸に合うように構成されている。実施形態では、この角度は、約10~約45°、などの約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45°、いずれのそれらの分数、およびいずれのサブセットおよびそれらの範囲であり得る。他の実施形態では、この角度は、まさに述べた個別の角度に加えて、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、および60°の角度、並びにいずれの分数、サブセット、およびそれらの範囲などの約10°~約60°の間であり得る。特定の実施形態では、この角度は調節可能である。
【0025】
一部の実施形態では、例えば
図1の125、
図4の425、および
図7の725として見られる遠位のハウジングは、ヒト直腸のJ形状と一致するように製造される。さらなる実施形態では、遠位のハウジング部の遠位の表面は、肛門および直腸組織の挿入および保護を容易にするために丸みを帯びている。特定の実施形態では、遠位のハウジング部は、対象の直腸内に適合するようなサイズである。特定の実施形態では、遠位端は実質的に円筒状および/または卵形である。特定の実施形態では遠位のハウジング部の幅および/または半径が約0.5in~約1.5inである。特定の実施形態では、遠位のハウジングは、例えば、MRIコイルなどのイメージングコイルを収納する遠位のハウジング部の主要部から突き出るサブハウジングまたは区画を含む。
【0026】
実施形態では、遠位のハウジング部は、例えばMRIコイルなどの解剖学的検出システムの構成要素を収納する内部区画を含む。区画内のMRIコイルなどの解剖学的検出システムの構成要素の配置は、構成要素の周辺、それ故に前立腺の領域のイメージングを改善する。MRI画像コイルなどの典型的なイメージングコイルの設計は、以下に説明されている。デバイスの遠位端が、イメージングコイル(以下に開示されるように)を含む場合、このコイルの前立腺への近接が、得られたイメージングデータの信号とノイズとの比などの品質を上げる。これは、他のデバイスより、開示されるデバイスを用いる処置をより正確なものとする。
【0027】
実施形態では、デバイスは、近位端と遠位端との間に配置した器具収束点を含む。収束点が、器具が可変の角度で、例えば選択可能な角度でこの点を通れるように構成されている。言い換えると、器具がデバイス内へ、またはデバイスを通して導入される角度に関わらず、器具は収束点を通る。この角度は、上記の交差する円すいの角度に一致する。特定の実施形態では、収束点が、器具がいずれの方向に約0°~約25°の間の角度で、すなわち収束点から約50°の円すいで動けるように構成されおり、これは、代わりとして器具の偏揺れおよびピッチとして考えることができる。特定の実施形態では、器具収束点は、器具を遠位に三次元の位置に、例えば器具の遠位端に向けるように構成されている装置内に含まれる。特定の実施形態では、器具収束点は、器具が通り得る開口部の中心に位置する。特定の実施形態では、器具収束点が、器具が通り得るチャンネル内に位置する。特定の実施形態では、解剖学的検出システムからのデータを用いて選択される標的組織と器具収束点との間の数学的関係が、標的を阻止するように、近位側での移動の相対的なまたは絶対的な増分に加えて挿入深さを使用者に示すために利用される。特定の実施形態では、標的と収束点との間の関係が解剖学的検出システムとやり取りする使用者によって測定されて、デバイスおよび/または器具を相対的にまたは絶対的にどこに移動すべきか決定するように器具収束点が結像され、それ故に、器具が意図された標的を阻止するように、得られた情報が近位のハウジング部および器具へ容易に入力される。そのようなイメージングおよび/またはデータ収集は、処置のいずれの点で、例えば挿入中または挿入後、または挿入前でも実施できる。特定の実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの中間ハウジング部は、収束点が位置する窪んでいるくびれを含む。特定の実施形態では、収束点は、デバイスの近位端およびデバイスの遠位端から走る軸に沿って平行移動可能である。特定の実施形態では、例えば肛門外口が窪んでいるくびれの周囲でしぼみ、デバイス所定の位置に維持するか、かつ/または保持するのを助けるように、中間ハウジング部が窪んでおり、対象の肛門で保持されるように構成されている。特定の実施形態では、中間ハウジング部の長さが約0.25in~約1.0inである。特定の実施形態では、中間ハウジング部の直径が約0.5in~約1.0inである。
【0028】
特定の実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスは、中間ハウジング部内などのハウジング内で回転抑制されており、器具収束点を中心とする球状ターゲティングボールを含む。特定の実施形態では、球状ターゲティングボールは、近位側および遠位側を有し、近位側はデバイスの近位端に配向され、遠位側はデバイスの遠位端へ配向される。実施形態では、球状ターゲティングボールは、生検針などの器具が、球状ターゲティングボールの中心、それ故に収束点を通ることができるように構成されている。したがって、収束点の周囲の球状ターゲティングボールの回転によって、器具が収束点の周囲で回転できるようになる。特定の実施形態では、収束点は、解剖学的検出システムで得られた画像内の収束点の位置を示すのに使用できる解剖学的検出システム可視マーカーを含む。一部の実施形態では、中間ハウジング部内の窪んでいるくびれの内側の表面が、球状軸受表面を有し、それに対して、球状ターゲティングボールが回転し得る。実施形態では、球状軸受表面は、解剖学的検出システムで検出可能なマーカーを含み得、例えば、MRI画像化中に画像コントラストを提供するための、例えば水/ヒドロゲルまたは他の材料のための造影剤区画を含み得る。特定の実施形態では、球状ターゲティングボールは、解剖学的検出システムの検出可能なマーカー自体を含み得るか、または解剖学的検出システムで検出可能な材料から製造され得る。そのような材料は当業者に既知である。これらの特徴は、システム位置合わせおよび組織ターゲティング、例えば前立腺ターゲティングの間の基準マーカーとして使用できる。例えば、イメージングソフトウェアなどのソフトウェアを用いて、デバイスの解剖学的検出システムの検出可能なマーカーの特徴の位置を使用して、患者およびデバイスが使用される検出システムの1つ以上に対しての三次元などの多次元でのデバイスの位置を定めることができる。
【0029】
実施形態では、球状ターゲティングボールは、近位側に、それを通過する器具を受けるように構成されている円錐状切り抜きを含む。実施形態では、球状ターゲティングボールは、近位側に、例えば角度デバイスの縦軸に対しての角度で生検針を受けるように構成されている円錐状切り抜きを含む。
【0030】
デバイスに独特の特徴の一つが、ハウジングの近位端に位置した器具角度方向付けシステムである。角度方向付けシステムは、例えば収束点を通る際に、収束点の周囲の器具の角度の方向を指示し、デバイスの長い中心軸(例えば中間ハウジング部および近位のハウジング部の軸)に対して器具が作る角度が器具角度方向付けシステムによって決定づけられる。この器具角度方向付けシステム近位のハウジング部の近位端に位置する。器具角度方向付けシステムは、デバイスの水平面および垂直面に対して水平および垂直に配向した角度の対などの特定の角度で、生検針などの器具を保持するように構成されている。それ自体対象に対して特定の方向で保持されているデバイスに対して特定の角度で器具を保持することによって、対象の画像、例えばMRI画像などのデータが検出システムで得られ、器具角度方向付けシステムは、器具の配置を誘導するのに使用できる。例として、デバイスの遠位端は、遠位端ハウジング部の切り抜きが前立腺の近くにあるように患者の直腸に挿入される。デバイスの近位端は、例えば近位のハウジング部に連結したクランプハンドルを用いて、固定されたクランプスタンドに連結され、デバイスおよび一般的には対象の移動を防ぐ。例えば、MRイメージング表に添付のDynaTRIMベースプレートをDynaTRIMクランプスタンドに取り付けることができ、デバイスの位置を維持するのに使用できる。この構成において、器具角度方向付けシステムおよび収束点は前立腺、および生検針などの器具に対して固定され、器具角度方向付けシステムを用いて可変的に配向されて、前立腺の異なる空間の位置を標的とすることができる。特定の実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス、具体的には角度方向付けシステムは、収束点と共に、器具の遠位端または先端の三次元での位置を指示し、対象に最も近い端が遠位端である。
【0031】
特定の実施形態では、骨盤領域の磁気共鳴画像が、矢状方向の平面で獲得され、所定の位置でのデバイスによる骨盤の可視化を可能にする。デバイスでMRI可視参照点を用いて、対象に対するデバイスの正確な位置を決定し、例えばデバイスの垂直面および水平面が位置付けられる。デバイスに対する水平面および垂直面の両方の前立腺の画像を調べることによって、生検などの処置のために疑わしい前立腺組織の領域を特定できる。これらの領域の位置はロックされ、標的組織の中心と器具の中心軸との間の垂直および水平の両方の角度が測定されるか、かつ/または記録される。これらの角度は、収束点を通して器具角度方向付けシステムへ変換される。このようにして、器具角度方向付けシステムを使用して、MRI画像で特定した前立腺内の正確な位置に生検針を誘導できる。
【0032】
特定の実施形態では、角度方向付けシステムは、遠位端の侵入深さまたは器具の先端を指示する。特定の実施形態では、これは、器具のシャフト上などの深さの指標を有する器具を用いて達成される。別の方法として、または同時に、全体のデバイスを解剖学的検出システムによってリアルタイムでモニターして、侵入、挿入またはそれらの組み合わせの深さを決定できる。特定の実施形態では、角度方向付けシステムは、選択される深さに器具を保持する係止部材または他のデバイスを含む。特定の実施形態では、器具の側面が標的組織内にあるように、器具が標的組織に通され得る。これは、側壁のアクセスまたはデジタルカメラを有する針に特に有用であり得る。
【0033】
特定の実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスは、器具ガイドを含む。特定の実施形態では、器具ガイドは実質的に円筒状または卵形である。ファセット化された、例えば四角または六角形などの他の形状が、本開示の範囲から逸脱することなく考慮される。特定の実施形態では、器具ガイドが、球状ターゲティングボールの遠位側からなど、収束点から遠位に伸びる。特定の実施形態では、器具ガイドが、球状ターゲティングボールの近位側からなど、収束点の近位側から伸びる。特定の実施形態では、器具ガイドは調節可能であり、前立腺に隣接した直腸の外壁に対して位置づけられ得る。実施形態では、器具ガイドは、生検針などの器具がスライドするか、またはデバイスを通ることができるようにする。特定の実施形態では、球状ターゲティングボールの回転が器具ガイドを方向付けるように、器具ガイドは球状ターゲティングボールに連結され、球状ターゲティングボールから遠位に伸びる。特定の実施形態では、例えば遠位の伸張に加えて、器具ガイドは球状ターゲティングボールの近位側から伸びる。実施形態では、器具ガイドの遠位端は、解剖学的検出システムで得られた画像内の器具ガイドの遠位端の位置を示すのに使用できる解剖学的検出システム可視マーカーを含む。この特徴は、システム位置合わせおよびターゲティング中の基準マーカーとして使用でき、例えばイメージングソフトウェアを用いて、この特徴のデバイスの位置を使用して、患者、およびデバイスが使用される解剖学的検出システムの1つ以上に対する三次元などの多次元でのデバイスの位置を定めることができる。
【0034】
特定の実施形態では、器具角度方向付けシステムは、固定配列器具角度方向付けシステムを含む。特定の実施形態では、固定配列器具角度方向付けシステムは、近位端近くの近位のハウジング内に配置したグリッドアレイプレートを含む。実施形態では、グリッドアレイプレートは、チャンネル軸が収束点へ収束するように配向されている、それぞれチャンネル軸を有する複数の器具アクセスチャンネルを有する。このようにして、アクセスチャンネルの1つに設置した器具が、収束点に向けられる。特定の実施形態では、固定配列器具角度方向付けシステムは、曲線状固定配列器具角度方向付けシステムを含む。特定の実施形態では、曲線状固定配列器具角度方向付けシステムは、凸状の近位の表面を有する曲線状グリッドアレイプレートを含む。別の方法として、曲線状固定配列器具角度方向付けシステムは、凹状の近位の表面を有する曲線状グリッドアレイプレートを含む。曲線状固定配列器具角度方向付けシステムの遠位の表面は、凸状、凹状または平坦であり得る。このグリッドアレイプレートは、グリッドアレイプレートの近位の表面が外側デバイスからアクセス可能であるように、開いた近位のハウジング部の近位端内に位置している。上述したように、すべてのアクセスチャンネルの軸が遠位に収束点にまとまるように配向された、生検針アクセスチャンネルなどの複数の定期的に間隔を空けた器具アクセスチャンネルによって、グリッドアレイプレートに穴が開けられている。当然ながら、固定したアレイにおける器具のアクセスチャンネルの数および配置は、それらに通されるデバイスに従って変更し得る。
図16は、グリッドパターンにおいて177個の器具アクセスチャンネルまたは開口を有する一実施形態を示す。望ましい場合、器具アクセスチャンネルは、一連の同心円または他のパターンで配向し得る。異なる実施形態は、約100~約200個の器具アクセスチャンネル、約150~約200個の器具アクセスチャンネル、約175~約200個の器具アクセスチャンネル、約150~約250個の器具アクセスチャンネル、約200~約400個の器具アクセスチャンネル、約200~約300個の器具アクセスチャンネル、約200~約250個の器具アクセスチャンネル、約300~約400個の器具アクセスチャンネル、約300~約350個の器具アクセスチャンネル、および他の範囲を有するアレイを必要に応じて含み得る。実施形態では、アクセスチャンネルの間隔は、デバイスの縦軸から測定される、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9。2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0°、それらのいずれの分数、それらのいずれのサブセットおよび範囲などの約1°~約5°である。実施形態では、器具アクセスチャンネルの形状は、実質的に円筒状または卵形であり、生検針などの器具と比較してわずかに大きい。本開示の範囲から逸脱することなく、ファセット化された、例えば四角または六角形などの他の形状が考慮される。グリッドアレイプレートは、回転可能なグリッドプレートカバーも有し得る。一部の実施形態では、回転可能なグリッドプレートカバーは、アクセスチャンネルのサブセットへのアクセスを可能にするパイ形状の切り抜きを有する。回転可能なグリッドプレートカバーは、ブッシングまたは軸受の周囲で、グリッドアレイプレートの中心で、例えばグリッドプレートカバーハンドルを用いて、手動で回転し得る。別の方法として、該グリッドプレートカバーは、近位のハウジング部の周りに位置した溝において回転し得る。特定の実施形態では、パイ形状の部分の切り抜きは、約180°~約30°の間である。実施形態では、ブッシング上またはその周りなどのグリッドアレイプレートの中心を、解剖学的検出システムで得られた画像内のグリッドアレイプレートの中心の位置を示すのに使用できる解剖学的検出システム可視マーカーで印を付け得る。この特徴は、システム位置合わせ中の基準マーカーおよびターゲティングとして使用でき、例えばイメージングソフトウェアを用いて、デバイスのこの特徴の位置を使用して、患者、およびデバイスが使用される解剖学的検出システムの1つ以上に対する三次元などの多次元でのデバイスの位置を定めることができる。
【0035】
開示されるデバイスは、1つの画像診断法を別のものと合わせる必要がないように、前立腺と同時に撮像されるように設計されている。すなわち、患者は、直腸の所定位置に固定されたデバイスでスキャンされ、デバイスは、イメージングおよび生検処置のすべての間、固定されている。得られた画像を、視覚的に、またはコンピュータ誘導で調べることによって、処置を行う医師などの使用者が、標的(同じ画像で可視できる)と最もよく整列した1つまたは複数のチャンネルを選択し得、標的の前縁に器具をつけるのに必要な器具の深さを計算し得る。特定の実施形態では、適切にプログラム化したコンピュータを使用して、使用するチャンネル、および器具が挿入されて処置を行うのに必要とする深さを決定する。例えば、放射線科医は、この標準ソフトウェアを用いる様式において生検のための針挿入の深さを計算するのに慣れており、生検針は、一般的に、このプロセスを促進するために、シャフト上に1cmのマーキングを備えている。
【0036】
代替の実施形態では、器具角度方向付けシステムは、連続的に可変の座標器具角度方向付けシステムを含む。特定の実施形態では、連続的に可変の座標器具角度方向付けシステムは、デカルト座標器具角度方向付けシステムを含む。特定の実施形態では、連続的に可変の座標器具角度方向付けシステムは、円筒状座標器具角度方向付けシステムを含む。
【0037】
特定の実施形態では、連続的に可変の座標器具角度方向付けシステムは、ハウジングの近位端に位置した割り出しキャリッジを含む。実施形態では、割り出しキャリッジは、直線状レールアセンブリに沿って移動するように抑制されている。実施形態では、直線状レールアセンブリは、それ自体割り出しキャリッジ方向に対して垂直に、例えば直線状の溝に沿って移動するように抑制されている。これらの特徴の組み合わせは、使用者が器具を望ましい角度に向けることができるようにする2軸直線状ガイドシステムを効果的に生じる。特定の実施形態では、器具ガイドが、収束点から割り出しキャリッジまで近位に伸びる。この器具角度方向付けシステムは、例えば段階的マーキングのセットを用いて、キャリッジをデカルト「XY」座標に位置付けることによって、使用者が針ガイドをいずれの望ましい軌道に沿って向けることができるようにする。特定の実施形態では、割り出しキャリッジは、その中心にピボット軸受を含み、器具ガイドが、収束点からピボット軸受まで伸びる。特定の実施形態では、ハウジングの近位端にて、器具ガイドが、収束点から、例えば球状ターゲティングボールから、割り出しキャリッジ内に収容されるピボット軸受を通して近位に伸びる。この器具角度方向付けシステムの利点は、それが無限に調節可能であることである。特定の実施形態では、器具ガイドは調節可能であり、前立腺の外壁に対して位置づけることができ、解剖学的検出システムによって見ることができる。開示されるデバイスは、1つの画像診断法を別のものと合わせる必要がないように、解剖学的検出システムによって前立腺と同時に結像されるように設計されている。すなわち、患者は、直腸の所定位置に固定されたデバイスでスキャンされ、デバイスは、イメージングおよび生検処置のすべての間、固定されている。
【0038】
特定の実施形態では、連続的に可変の円筒状座標器具角度方向付けシステムは、近位のハウジング部内に回転可能に配置された円形のプレートを含む。実施形態では、円形のプレートは、その中心から、および切り抜きガイド内に摺動自在に配置された割り出しキャリッジから半径方向に伸びる切り抜きガイドを含み、器具ガイドが、収束点から割り出しキャリッジまで近位に伸びる。特定の実施形態では、割り出しキャリッジが、ピボット軸受を含み、ガイドが収束点からピボット軸受まで伸びる。特定の実施形態では、連続的に可変の円筒状座標器具角度方向付けシステムは、例えば極座標を特定するための、半径方向の位置および角度位置を表す段階的マーキングを含む。特定の実施形態では、器具ガイドは、切り抜きを使用して、デバイスの縦軸に対する器具の特定の角度を選択できるように、切り抜きガイド内に摺動自在に配置された平行移動するピボット軸受を通る。半径方向の位置および角度位置を表す段階的マーキングを使用して、器具の軌道が望ましい標的組織を交差するように、収束点に対する器具ガイドの近位端を位置づける極座標のセットを特定する。この針生検インデックス化システムの利点は、それが無限に調節可能であることである。特定の実施形態では、器具ガイドは調節可能であり、前立腺の外壁に対して位置づけることができ、解剖学的検出システムで見ることができる。開示されるデバイスは、1つの画像診断法を別のものと合わせる必要がないように、解剖学的検出システムによって前立腺と同時に結像されるように設計されている。すなわち、患者は、直腸の所定位置に固定されたデバイスでスキャンされ、デバイスは、イメージングおよび生検処置のすべての間、固定されている。
【0039】
実施形態では、開示されるデバイスに使用される器具は、は生検針であり、プローブ、センサシステム(例えば超音波、カメラ、または当分野で既知の他のセンサ)、処置デバイス(例えばレーザーアブレーションデバイスなどの切除デバイス)、治療器具システム、または化学物質配置デバイス。特定の実施形態では、化学物質配置デバイスは、取り外し可能なマーカー、染料/造影剤、薬、または取り外し可能ではないマーカーを含む。特定の実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスは、デバイスに対して解剖学的検出システムに対してデバイスを位置付けるための解剖学的検出システムで検出可能な化学物質の1点以上を含む。特定の実施形態では、解剖学的検出システムで検出可能な化学物質としては、硫酸バリウムおよび/または二酸化チタンで任意選択的にドープしたプラスチック(ポリカーボネート、ABS/ポリカーボネートブレンド、ポリエステル、またはナイロンなど);金属(金、タンタル、プラチナ、タングステン、チタン、コバルト-クロム、ステンレス鋼板、鉄-クロム-ニッケル、ジルコニウム、およびそれらの合金など);液体造影剤;水;ヒドロゲル;細線ウィービングまたはパターニング;またはそれらの組み合わせの1つ以上が挙げられる。特定の実施形態では、解剖学的検出システムで検出可能な化学物質の1点以上が器具ガイドの遠位端に位置している。特定の実施形態では、解剖学的検出システムで検出可能な化学物質の1点以上が収束点に位置する。特定の実施形態では、解剖学的検出システムで検出可能な化学物質の1点以上が器具角度方向付けシステムの中心に位置する。特定の実施形態では、解剖学的検出システムで検出可能な化学物質の1点以上が、器具角度方向付けシステム内の針ガイド端、球状ターゲティングボール、および中心ブッシングまたは軸受の1つ以上に位置している。
【0040】
特定の実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺生検は、1つ以上のMRIコイルを含む。前立腺に近接してMRIコイルを含むことで、得られたデータの品質、それ故に前立腺およびそれに近い体の領域のMRI画像の品質が大きく増加する。MRIコイルは、デバイス内またはデバイスの外側の様々な場所に設置し得る。特定の実施形態では、デバイスは、ハウジングの遠位端内に配置した直腸内MRIコイルを含む。この配置は、コイルを前立腺および/またはその周囲の組織と密接に接触させる。特定の実施形態では、デバイスは、ハウジングの近位の部分に配置したMRIコイルを含む。特定の実施形態では、デバイスは、遠位のハウジング部および中間ハウジング部に及ぶMRIコイルを含む。特定の実施形態では、デバイスは、中間ハウジング部内に配置したMRIコイルを含む。
【0041】
最適な多変数イメージングのための直腸内MRIコイルと、MRIターゲットとされた生検のためのマルチチャンネルアレイとを組み合わせることによって、本開示は、2つの別個の不愉快な処置を単一の統合された処置に合わせる利点をもたらす。これは、生検処置の便宜および効率の両方を増加させる一方で、コストおよび負担を低下させる。現在の調査時間は、大体45~60分(診断MRI)に加えて45~60分(インボア生検)または30分(融合生検)である。開示されるデバイスおよび付随する方法は、典型的には、調査時間を合計約60分(イメージングで45分、生検で15分)に減少させる。加えて、マルチチャンネルアクセスは、最大のサンプリング柔軟性を可能にする。例えば、操作者は、ターゲットのみ、テンプレート化した組織的な12個のコア位置のみ、または両方を生検し得る。画像が針の配置後に迅速に得ることができ、針が標的を横断したことを確認できる。針の位置付けが次善である場合、隣接したチャンネルから直ちに追加のサンプルを採取できる。
【0042】
実施形態では、MRIコイルは、遠位のハウジング部内に配置したMRIコイルを含む。実施形態では、MRIコイルは、ハウジングの近位端の外表面に配置したMRIコイルを含む。実施形態では、MRIコイルは、遠位のハウジング部および中間ハウジング部を横断するMRIコイルを含む。
【0043】
実施形態では、MRIコイルは、ループアンテナを含む。実施形態では、MRIコイルは、バタフライアンテナを含む。実施形態では、MRIコイルは、ループアンテナとバタフライアンテナとを含み、ここで、ループアンテナおよびバタフライアンテナが、位相機によって90°位相がずれて駆動されて、環状に分極した磁場を生じる。したがって、一部の実施形態では、デバイスおよび/またはシステムは、位相機を含む。例として、直腸内コイルを使用して、前立腺のMRI画像における信号とノイズとの比を改善する。ヒト対象で使用される典型的なMRI装置は、一般に約1.5~3Tの磁場強度を有する場B0を生じる。場B0がz軸および人体の長さに大体平行であり、y軸が垂直の軸であり、x軸が人体に垂直な水平軸であると想像した場合、使用できる1つのアンテナは、位置付けるデバイスの方向がy軸における磁場を検出する単一ループである。別の方法として、バタフライ構成を有するアンテナは、x軸において検出する。単一ループとバタフライアンテナとの組み合わせを用いて、これらの2つのアンテナによって検出される信号を、それらの間の90°位相シフトと組み合わせる。これによって、アンテナがxおよびy軸の両方において信号を検出できるようになる。90°位相シフトは、受動部品から構成され、信号が合わせられて、例えばおよそ2の平方根で信号対ノイズを増加させる。典型的な90°位相シフト回路を
図30に示す。実施形態では、イメージングコイルは、ループアンテナと、整合部品と、信号線とを含む。実施形態では、イメージングコイルは、バタフライアンテナと、整合部品と、信号線とを含む。典型的なマッチング回路および部品を
図29に示す。実施形態では、イメージングコイルは、ループアンテナと、整合部品と、信号線とを含み、バタフライアンテナ、整合部品、および信号線の間に空間が設けられている。これらのデュアルアンテナは、位相機での90°の位相のずれで駆動される。実施形態では、この複合イメージングコイルは、電力を管理し、ループアンテナおよびバタフライアンテナからの信号を合わせるパワースプリッター/結合器をさらに含む。典型的なパワースプリッター結合器を
図31に示す。実施形態では、開示されるコイルは、3TのMRI装置で、123.258MHzで信号を受け取る。実施形態では、アンテナは、差動入力によって駆動される。実施形態では、アンテナは、シングルエンド入力によって駆動される。
【0044】
実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスは、遠位のハウジング部内のイメージングコイルから中間ハウジング部を通じて近位のハウジング部まで近位に走っており、インターフェースボードに連結されているフレキシブル回路を含む。インターフェースボードは、スリーブ上の相補的なボードに係合可能である。フレキシブル回路の材料は、中間ハウジング部での構造を通るほど十分に薄いように選択される。実施形態では、フレキシブル回路は、ポリマー基板上の薄い金属片を含む。特定の実施形態では、金属は銅を含み、基板はポリイミドを含む。
【0045】
実施形態では、デバイスおよびシステムが、専用ソフトウェアが要求される可能性が高くないように設計されている。放射線画像が定期的に保存され、画像保管および伝送システム(PACS)で見られる。これらが、矢状方向および斜めの軸面における必要な精密な角度測定の計算(多平面再構築およびゴニオメーターツール)および必要な針挿入深さの計算(直線距離測定ツール)を可能にすることから、供給業者に関係なく、標準のPACSツールが生検計画に十分なものであるべきである。これらは、画像誘導生検を行ういずれの放射線科医に既によく知られている所定の三次元タスクである。
【0046】
実施形態では、開示されるデバイスは、前立腺生検を単一の処置に減少させ、疑わしい組織のターゲットとされた収集を可能にする。実施形態では、開示されるデバイスは、1つの画像診断法を別のものと合わせる必要がないように、癌組織領域と同時にMRIで結像されるように設計されている。
【0047】
開示されるデバイスを含むシステムが考えられる。実施形態では、システムは、医療処置を行う器具を含む。実施形態では、器具は生検針、プローブ、センサシステム、処置デバイス、治療の器具システム、または化学物質配置デバイスである。実施形態では、化学物質配置デバイスは、取り外し可能なマーカー、染料/造影剤、薬、または取り外し可能ではないマーカーを含む。実施形態では、器具は、解剖学的検出システムの検出可能なマーカーを遠位端に含む。実施形態では、器具は、深度表示器を含む。実施形態では、システムは、解剖学的検出システムに対して固定されたデバイスを保持するように構成されたクランプをさらに含む。
【0048】
対象の前立腺で解剖学的検出システム誘導処置を行う方法が開示される。特定の実施形態では、該方法は、開示される解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの遠位端を対象の前立腺に近接した対象の直腸内へ導入するステップと;前立腺を含む対象の解剖学的特徴および解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスを用いる解剖学的検出システムのデータを得るステップと;デバイスおよび前立腺の位置を確立するステップと;処置のための前立腺上または前立腺内の組織の三次元空間における位置を決定するステップと;三次元空間における位置を器具角度方向付けシステムへ移すステップと;器具角度方向付けシステムを用いて器具を前立腺の部位へ誘導し、それによって処置を行うステップと;を含む。特定の実施形態では、処置は生検であり、器具は生検針であり、前立腺上または前立腺内の組織が、少なくとも一部はイメージングデバイスで得られたデータによって生検のために選択され、該方法は、生検試料を得るステップを含む。特定の実施形態では、器具は、生検針、プローブ、センサシステム、処置デバイス、治療の器具システム、または化学物質配置デバイスを含む。特定の実施形態では、化学物質配置デバイスは、取り外し可能なマーカー、染料/造影剤、薬、または取り外し可能ではないマーカーを含み、処置は、前立腺上または前立腺内の組織に染料/造影剤、薬、または取り外し可能ではないマーカーを配置することを含む。特定の実施形態では、器具は、解剖学的検出システムの検出可能なマーカーを遠位端に含む。特定の実施形態では、器具は、深度表示器を含む。特定の実施形態では、該方法は、解剖学的検出システムに対して固定されたデバイスを保持するステップを含む。特定の実施形態では、該方法は、処置中に解剖学的検出システムで画像を得るステップを含む。実施形態では、該方法は、本開示に開示されているものなどの解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの遠位端を対象の前立腺に近接した対象の直腸内に導入するステップと、対象内のデバイスの画像を得るステップと、を含む。特定の実施形態では、デバイスおよび前立腺の位置が確立される。実施形態では、該方法は、処置のための前立腺上または前立腺内の組織の三次元空間における位置を決定するステップを含む。実施形態では、該方法は、前記組織の三次元空間における位置を器具角度方向付けシステムへ移すステップを含む。実施形態では、該方法は、器具角度方向付けシステムを用いて器具を前立腺の部位へ誘導し、それによって処置を行うステップを含む。
【0049】
実施形態では、高品質の直腸内画像が、診断および生検の両方のために得られる。現在、2段階処置では、直接解剖学的検出システム誘導生検(直腸内のイメージングコイルが存在しない)中に得られた画像が、前述の診断の直腸内MRI中に得られたものより品質が低い。結果として、標的が良好に視覚化されない可能性があり、操作者が、尿道、精丘、または良性の前立腺肥大の独特の小節などのより明確に可視化した解剖学的ランドマークとの相関に基づいて標的位置を推定することを強いられ得る。
【0050】
開示されるデバイスの態様は、画像取得および生検中の標的組織の移動を最小限にするものである。開示されるデバイスは処置中に直腸に固定されたままであることから、前立腺変形および関連した標的移動のリスクを最小限にする。また、これは、このコイル周囲の肛門直腸収縮が、直腸内MR画像の品質を低下させるモーションアーチファクトを生じ得ることから、業界標準のバルーン拡張可能な直腸内コイルと比較して画像品質を改善する。
【0051】
特定の実施形態では、処置は生検であり、器具は生検針であり、前立腺上または前立腺内の組織が、少なくとも一部はイメージングデバイスで得られた画像によって生検のために選択され、該方法は、生検試料を得るステップをさらに含む。特定の実施形態では、器具はプローブ、または化学物質配置デバイスである。特定の実施形態では、化学物質配置デバイスは、取り外し可能なマーカー、染料/造影剤、薬、または取り外し可能ではないマーカーを含み、処置は、前立腺上または前立腺内の組織に染料/造影剤、薬、または取り外し可能ではないマーカーを配置することを含む。特定の実施形態では、器具は、解剖学的検出システムの検出可能なマーカーを遠位端に含む。特定の実施形態では、器具は、深度表示器を含む。特定の実施形態では、該方法は、解剖学的検出システムに対して固定されたデバイスを保持するステップを含む。特定の実施形態では、該方法は、処置中に解剖学的検出システムで画像を得るステップを含む。
【0052】
実施形態では、臨床医は、前立腺のテンプレート化した組織的サンプリングおよび/または標的生検サンプリングのいずれか(または両方)を行う選択肢を有する。加えて、器具角度方向付けシステムが曲線状アレイとして具体化されている場合、アレイの湾曲が前立腺の形状により良好に一致し、それによって平面のテンプレートを用いて達成可能なものよりも十分な範囲の可能性のある標的部位をもたらす。デバイスが、使用中に所定位置に固定される(例えば、所定の位置に締め付けられる)ように設計されていることから、デバイスの遠位端が処置全体において直腸に固定されたままである。これは、患者画像の再取得を必要とする生検針のターゲティング中の前立腺変形の問題をなくす。
【0053】
実施形態では、開示されるデバイス、システム、および方法の独特な特徴の1つが、ハウジングの要素またはそれに含まれる要素を含むデバイスの態様が使い捨てである一方で、他の構成要素が再使用できることである。例として、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスが使い捨てである一方で、クランプ、圧迫環および電子的な特徴などの下流の要素が再使用できる。解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスのハウジングと圧迫環との間の連結を含むことによって、例えば、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスなどの対象と接触するシステムの部品が使用後に配置され得る。実施形態では、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスが高価でない材料から製造される。デバイスの電子的な特徴(フレキシブル回路またはアンテナを含まない)などの対象と接触しないシステムの構成要素を保持でき、その後の処置または同じまたは異なる対象で使用し得る。したがって、これらのシステムの下流の構成要素は、使い捨てを意図されていないことから、同じ低コストの材料で製造される必要はない。
【0054】
図1~
図3は、本開示に従う、固定した曲線状配列の器具角度方向付けシステムに基づく開示される解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの実施形態を示す。
図1は、固定した曲線状配列の器具角度方向付けシステムを用いる典型的な解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の断面図を示す。
図2は、典型的な解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の近位面からの透視図を示す。
図3は、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の遠位面からの透視図を示す。デバイス100は、3つの部分、すなわち、近位のハウジング部115と、中間ハウジング部120と、遠位のハウジング部125とから構成されるハウジング102を含む。近位のハウジング部115および中間ハウジング部120は共通の縦軸に沿って中心に置かれている。遠位のハウジング部125の部分が、この軸から上方に曲げられている。圧迫スリーブ110が、近位のハウジング部115の外側表面の周囲に適合し、デバイス100の下面上のクランプハンドル105に連結されている。下記の
図20~
図23に示されるように、圧迫スリーブ110は、例えばデバイス内またはデバイス100の外表面上のMRI画像コイル(図示せず)に電力を供給するために、デバイス100の外側表面上の接続と対になる電源接続を収納し得る。クランプハンドル105を使用して、例えば、クランプハンドル105をテーブルに取り付けられるクランプ台(図示せず)に締め付けることによって、デバイス100を定位置に固定する。近位のハウジング部115が中間ハウジング部から近位に伸びる場合、固定した曲線状配列の器具角度方向付けシステムを調整するように拡大する。
【0055】
凸状の近位の表面および凹状の遠位の表面を有する曲線状グリッドアレイプレート150が、凸状の近位の表面が外側のデバイス100からアクセス可能であるように近位のハウジング部の近位端115内に位置している。曲線状グリッドアレイプレート150は、複数の生検針アクセスチャンネル155で穴を開けられており、そのそれぞれが円筒形状であり、すべてのアクセスチャンネル155の軸が共通の収束点位置208へ遠位に向かうように配向している。グリッドアレイプレート150は、近位から遠位へのアプローチからアクセスチャンネル155のサブセットへのアクセスを可能にするパイ形状の切り抜き165を有する回転可能なグリッドプレートカバー160も有し得る(
図2参照)。回転可能なグリッドプレートカバー160は、グリッドアレイプレート150の中心にてブッシング175の周囲でグリッドプレートカバーハンドル170を用いて手動で回転し得る。グリッドアレイプレート150およびそのアクセスチャンネル155のセットは、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100のための器具角度方向付けシステムの一部を含む。
【0056】
解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の中間ハウジング部120は、窪んでいるくびれを含み、その中に球状ターゲティングボール205が器具角度方向付けシステムの一部として収容される。窪んでいるくびれの内側の表面が球状軸受表面215を有し、それに対して球状ターゲティングボール205は、収束点位置208を中心として回転し得る。実施形態では、球状軸受表面215は、MRI画像化中に画像コントラストを提供する解剖学的検出システム可視剤区画220、例えば水/ヒドロゲルなどの造影剤を含み得る。この特徴は、システム位置合わせおよび生検ターゲティング中の基準マーカーとして使用でき、例えばイメージングソフトウェアを用いて、デバイス100のこの特徴の位置を使用して、患者、およびデバイス100が使用されるMRIシステムの1つ以上に対して三次元などの多次元でのデバイスの位置を定めることができる。球状ターゲティングボール205は、その近位側に円錐状切り抜き210と、その遠位側に固定長の針ガイド130とを有する。実施形態では、針ガイド130の遠位端135は、MRI画像化中にその位置でコントラストを生じる解剖学的検出システム可視剤、例えば水またはヒドロゲルなどの造影剤を含み得る。造影剤区画220の解剖学的検出システム可視剤と同様に、針ガイド130の遠位端135の解剖学的検出システム可視剤は、システム位置合わせおよび生検ターゲティング中の基準マーカーとして使用でき、例えばイメージングソフトウェアを用いて、デバイス100のこの特徴の位置を使用して、三次元などの多次元での患者、およびデバイス100が使用されるMRIシステムの1つ以上に対して針ガイド130の遠位端135の位置を定めることができる。
【0057】
図1は、曲線状グリッドアレイプレート150のアクセスチャンネル155の1つを通過し、球状ターゲティングボール205の円錐状切り抜き210に入り、固定長の針ガイド130を通じて存在する生検針145も表す。生検針145が中心のアクセスチャンネル155を通過することが示されているが、針はいずれのアクセスチャンネル155を通ることが考慮される。一緒に、曲線状グリッドアレイプレート150のアクセスチャンネル155と、固定長針ガイド130が取り付けられた回転可能な球状ターゲティングボール205とによって、生検針145が生検ターゲティングの別々の予測可能な軌道に沿うように向けられる
【0058】
解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の遠位のハウジング部125の部分は、近位のハウジング部115および中間ハウジング部120の部分の中心線から上方に曲げられている。実施形態では、この角度は、約10~約45°であり得る。
図1の遠位のハウジング部125の断面図は、遠位端コイル区画305を示し、その内部区画内には、イメージングコイルが、コイルの周辺のMRI画像を改善するために設置され得る。一部の実施形態では、近位のコイル310は、MRI画像品質を改善するために、近位のハウジング部115の外表面にも取り付けられ得る。
図3で最もよく見られるように、遠位のハウジング部125の部分の下面に、固定長の針ガイド130および生検針145が配置される針アクセス切り抜き140がある。
図3に示されるように、生検針145が、針アクセス切り抜き140にて固定長の針ガイド130から出るのを見ることができる。
【0059】
図4~
図6は、
図1~
図3に表したデバイスに示されるグリッドアレイテンプレートではなく、連続的に可変のデカルト座標器具角度方向付けシステムに基づくターゲティングスキームを用いる前立腺処理デバイス400の代替の実施形態を示す。
図4は、連続的に可変のデカルト座標器具角度方向付けシステムに基づく典型的な解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス400の断面図を示す。
図5は、典型的な解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス400の近位面からの透視図を示す。
図6は、典型的な解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス400の遠位面からの透視図を示す。
図1~
図3に示す実施形態と同様に、デバイス400は、3つの部分、すなわち、近位のハウジング部415と、中間ハウジング部420と、遠位のハウジング部425とから構成されるハウジング402を含む。近位のハウジング部415および中間ハウジング部420の部分が、共通の軸に沿って中心にあり、遠位のハウジング部425の部分が、この軸から上方に曲げられている。実施形態では、圧迫スリーブが示されておらず、クランプハンドル405がデバイス400の下面に連結されている。このクランプハンドル405を使用して、例えばクランプハンドル405をテーブルに取り付けられるクランプ台(図示せず)に締め付けることによって、デバイス400を定位置に固定し得る。
図1~
図3に示す実施形態に対して、近位のハウジング部415は、近位に広がることから、円形から四角断面まで移行する。この四角断面は、連続的に可変のデカルト座標器具角度方向付けシステムを収納するように構成されている。
【0060】
図5で最もよく示されているように、ハウジング402の近位端415に、針ガイド505が、直線状レールアセンブリ520に沿って移動するのが抑制されるキャリッジ510内に収容されるピボット軸受515を通る。直線状レールアセンブリ520は、直線状の溝530に沿ってキャリッジ510の方向と垂直に移動するのが抑制され、効果的に2軸直線状ガイドシステムを生じる。この器具角度方向付けシステムによって、使用者が、座標段階的マーキング535のセットを用いる要求されるデカルト「XY」にキャリッジ510を位置付けることによって、いずれの望ましい軌道に沿って、針ガイドを向けることができるようになる。
【0061】
解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の中間ハウジング部420の部分は、球状ターゲティングボール205が器具角度方向付けシステムの一部として収容される窪んでいるくびれを含む。窪んでいるくびれの内側の表面が球状軸受表面215を有し、それに対して球状ターゲティングボール205は、収束点位置208を中心として回転し得る。実施形態では、球状軸受表面215は、解剖学的検出システム可視剤区画220を含み得る。本実施形態では、生検針145は、デバイスハウジングの十分な長さで伸び、中間ハウジング部でボール-生検針ターゲティングピボットアセンブリを通る針ガイド405を通じて移動する。
【0062】
解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス400の遠位のハウジング部は、近位のハウジング部415および中間ハウジング部420の部分の中心線から上方に曲げられている。実施形態では、この角度は約10~約45°であり得る。
図4の遠位のハウジング部425の断面図は、遠位端コイル区画305を示し、その内部区画内に、イメージングコイルが、コイルの周辺のMRI画像を改善するために設置され得る。
図6で最もよく見られるように、遠位のハウジング部425の部分の下面に、固定長の針ガイド430および生検針445が配置される針アクセス切り抜き440がある。
図6に示されるように、針アクセス切り抜き440にて固定長の針ガイド430から生検針445が出るのを見ることができる。
【0063】
図7~
図9は、
図1~
図3に示すグリッドアレイテンプレートまたは
図4~
図6に表されるデカルト座標システムではなく、連続的に可変の円筒状座標器具角度方向付けシステムに基づくターゲティングスキームを利用する前立腺処置デバイス400の代替の実施形態を示す。
図7は、連続的に可変の円筒状座標器具角度方向付けシステムに基づく典型的な解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス700の断面図を示す。
図8は、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス400の近位面からの透視図を示す。
図9は、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス400の遠位面からの透視図を示す。デバイス700は、3つの部分、すなわち近位のハウジング部715と、中間ハウジング部720と、遠位のハウジング部725とから構成されるハウジング702を含む。近位のハウジング部715および中間ハウジング部720の部分が、共通の軸に沿って中心にあり、遠位のハウジング部725の部分が、この軸から上方に曲げられている。実施形態では、圧迫スリーブが示されておらず、クランプハンドル705がデバイス700の下面に連結されている。このクランプハンドル705を使用して、例えばテーブルに取り付けられるクランプ台(図示せず)にクランプハンドル705を締め付けることによってデバイス700を定位置に固定し得る。
【0064】
図8で最もよく示されているように、デバイス700の器具角度方向付けシステムは、近位のハウジング部内に回転可能に配置された円形のプレート825を含み、円形のプレート825は、その中心から半径方向に伸びる切り抜きガイド820を有する。針ガイド707は、切り抜きガイド820内に摺動自在に配置された、平行移動するピボット軸受815を通る。半径方向の位置830および角度位置535を表す段階的マーキングを使用して、生検針145が望ましい標的組織に軌道交差するように、収束点位置208に対して針ガイド707の近位端を位置づける極座標のセットを特定する。
【0065】
解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス700の中間ハウジング部720の部分は、球状ターゲティングボール205が器具角度方向付けシステムの一部として収容される窪んでいるくびれを含む。窪んでいるくびれの内側の表面が球状軸受表面215を有し、それに対して球状ターゲティングボール205が、収束点位置208を中心として回転し得る。実施形態では、球状軸受表面215は、解剖学的検出システム可視剤区画220を含み得る。本実施形態では、生検針145は、デバイスハウジングの十分な長さを伸び、中間ハウジング部でボール-生検針ターゲティングピボットアセンブリを通る針ガイド707を通じて移動する。
【0066】
解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス700の遠位のハウジング部725は、近位のハウジング部715および中間のハウジング部720の中心線から上方に曲げられている。実施形態では、この角度は約10~約45°であり得る。
図7の遠位のハウジング部725の断面図は、遠位端コイル区画305を示し、その内部区画に、イメージングコイルが、コイルの周辺のMRI画像を改善するために設置され得る。
図9で最もよく見られるように、遠位のハウジング部725の部分の下面に、固定長の針ガイド430および生検針145が配置される針アクセス切り抜き740がある。
図9に示されるように、針アクセス切り抜き440にて固定長の針ガイド707から、生検針145が出るのを見ることができる。
【0067】
図10は、遠位のハウジング部125のイメージングコイル1000の配置を示す開示される解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の実施形態の一部透明な側面斜視図である。イメージングコイル1000は、遠位のハウジング部125の区画305内に設置されるように構成されている。
図10に示されるように、デバイス100対象の直腸内に設置される際に、イメージングコイル1000が、直腸内に、前立腺に極めて接近して位置し、前立腺および周囲の組織のMRI画像の品質を改善する。また、この図には、球状ターゲティングボール205、生検針ガイド130および生検針145も示されている。生検針145が、前立腺に入るように表されている。
【0068】
図11は、デバイス100の遠位のハウジング部125の近位端におけるイメージングコイル1100の配置を示す開示される解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の実施形態の一部透明な側面斜視図である。
図11に示されるように、デバイス100が対象の直腸内に設置される際に、イメージングコイル1100が、直腸内に、前立腺に極めて接近して位置し、前立腺および周囲の組織のMRI画像の品質を改善する。また、この図には、球状ターゲティングボール205、生検針ガイド130および生検針145も示されている。生検針145が、前立腺に入るように表されている。
【0069】
図12は、デバイス100の中間ハウジング部120および遠位のハウジング部125を横断するイメージングコイル1200の配置を示す開示される解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の実施形態の一部透明な側面斜視図である。
図12に示されるようにデバイス100が対象の直腸内に設置される際に、イメージングコイル1200が、直腸内に、前立腺に極めて接近して位置し、前立腺および周囲の組織のMRI画像の品質を改善する。また、この図には、球状ターゲティングボール205、生検針ガイド130および生検針145も示されている。生検針145が、前立腺に入るように表されている。
【0070】
本開示の態様は、開示されるデバイスを用いる解剖学的検出システム誘導前立腺生検に関する。本開示に開示されているように、開示されるデバイスは、患者の直腸に挿入され、クランプ-スタンドに固定されて、デバイスの移動を防ぎ得る。該方法の態様の詳細は、
図13~
図16に記載されている。
【0071】
図13に示されるように、矢状方向の平面と垂直なMRIデータが得られ、見られて、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの3つの主要なターゲットが特定され、位置づけられる。3つの主要なターゲットは、針ガイド端、球状ターゲティングボール、およびグリッドプレート中心ブッシングである。これは、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの水平面を特定する。
図14に表されているように、器具の水平面と垂直なMRIデータが得られ、見られて、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの3つの主要なターゲットが特定され、位置づけられる。再び、3つの主要なターゲットは、針ガイド端、球状ターゲティングボール、およびグリッドプレート中心ブッシングである。これは、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの垂直面を特定する。器具の垂直面と平行なMRIデータが収集され、見られる。MRI画像スライスが、生検分析のために前立腺の疑わしい領域を位置付けるように通る。これらの領域の位置がロックされ、標的の中心と器具の中心軸との間の角度を測定するか、かつ/または記録する。10°の角度が、標的と水平面との間で決定される。器具の水平面と平行なMRIデータが収集され、見られる。MRI画像スライスが、生検分析のために疑わしい前立腺の領域を位置づけるように通る。これらの領域の位置がロックされ、標的の中心と器具の中心軸との間の角度を測定するか、かつ/または記録する。7.5°の角度が、標的と垂直面との間で決定される。
図15に表されているように、上記のように得られた角度が、器具の中心軸を通じてグリッドプレートへ移動する。
図16に表されているように、原点に対する角度が、グリッドプレートの後ろに位置する。示される実施形態では、ガイドホールそれぞれの間の角度距離が2.5°である。水平面上の各角度が左右の移動を定める。垂直面上の各角度が、上下の移動を定める。したがって、略図に示されるように、針の標的が、中心原点より右への3つの穴および下への4つの穴である。示される実施形態では、角度を捕捉する際に、値が最も近い2.5°インクリメントに四捨五入してある。例えば、捕捉した読み取り値が8°である場合、7.5°に切り捨てる。読み取り値が19°である場合、20°に切り上げられる。
【0072】
図17は、対象の前立腺および腸の画像で重ね合わせた解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの概略側面図である。図示するように、デバイスは、挿入された際に、前立腺から短い距離に位置している。針アクセス切り抜きの除去は、生体構造が許す限り前立腺の近くにプローブがあることを例証する。
【0073】
図18は、様々な実施形態に従う、前立腺アクセス領域と、器具の動きの範囲を示す近位および遠位の円すいの交点との間の対応の上からの概略図である。
図18に示されるように、近位および遠位の円すいは、黒い四角で示される収束点で交差する。
【0074】
図19は、様々な実施形態に従う、対象の前立腺および腸の画像で重ね合わせた解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの一部の概略側面図である。この図で図示するように、解剖学的検出システムの検出可能なマーカーを使用して、対象の前立腺などの対象の解剖学的特徴に対するシステムの構成要素の位置を決定できる。
【0075】
図20は、様々な実施形態に従う、イメージングコイルのための電源連結を示すように示されている解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの透視図である。
【0076】
図21は、様々な実施形態に従う、イメージングコイルのための電源連結を示す近接図である。
【0077】
図22は、様々な実施形態に従う、イメージングコイルのための電源連結を示すように示されている解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスのためのクランプ環の透視図である。
【0078】
図23は、様々な実施形態に従う、フレキシブル回路2715およびイメージングコイル2705を示す解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイス100の透視図である。デバイス100は、近位のハウジング部115と、中間ハウジング部120と、遠位のハウジング部125とを含む。圧迫スリーブ110は、近位のハウジング部115の外側表面の周囲に適合し、デバイス100の下面上のクランプハンドル105に連結されている。圧迫スリーブ110接続および/または電子機器を収納し得(
図24~
図26参照)、デバイス100の外側表面上の接続と一致し得る。クランプハンドル105を使用して、例えば、テーブルに取り付けられるクランプ台(図示せず)にクランプハンドル105を締め付けることによって、デバイス100を定位置に固定し得る。フレキシブル回路2715は、イメージングコイル2705から、遠位のハウジング部125から、中間ハウジング部120を通じて近位のハウジング部115へ近位に走っており、インターフェースボードに連結している。フレキシブル回路2715の材料は、中間ハウジング部120の構造を通るのに十分に薄いように選択される。実施形態では、フレキシブル回路2715は、ポリマー基板上の薄い金属片を含む。特定の実施形態では、金属は、銅を含み、基板はポリイミドを含む。
【0079】
図24は、様々な実施形態に従う、イメージングコイルの概略図である。
図24に示されるように、イメージングコイル2800は、ループアンテナ2801と、整合部品2802と、信号線2803とを含む。ループアンテナ2801は、主にy軸の磁場を生じると想定され、場B0(磁場)は、z軸および人体の長さに大体平行であり、y軸は垂直の軸であり、x軸は人体に垂直な水平軸である。アンテナは、対象の直腸に挿入されたx-z平面に大体あると想定される。
【0080】
図25は、様々な実施形態に従う、イメージングコイルの概略図である。
図25に示されるように、イメージングコイル2900は、バタフライアンテナ2901と、整合部品2902と、信号線2903とを含む。バタフライアンテナ2901は、主にx軸の磁場を生じると想定され、場B0(磁場)は、z軸および人体の長さに大体平行であり、y軸は垂直の軸であり、x軸は人体に垂直な水平軸である。アンテナは、対象の直腸に挿入されたx-z平面に大体あると想定される
【0081】
図26は、様々な実施形態に従う、選択された電子機器と共に連結した
図24および
図25のイメージングコイルから製造された、環状に分極したイメージング複合材コイル3000の概略図である。
図26に示されるように、ループアンテナ2801、整合部品2802および信号線2803は、バタフライアンテナ2901、整合部品2902および信号線2903で間を空けられている。ループアンテナ2801は、主にy軸の磁場を生じ、場B0(磁場)は、z軸および人体の長さに大体平行であり、y軸は垂直の軸であり、x軸は人体に垂直な水平軸である。バタフライアンテナ2901は、主にx軸の磁場を生じる。これらのデュアルアンテナが位相機3010での90°の位相のずれで駆動されて、環状に分極した磁場を生じる。この構成のコイルを用いることで、単一アンテナ設計より、信号対ノイズが約2の平方根増加する。イメージング複合コイル3000は、電力を管理し、ループアンテナ2801およびバタフライアンテナ2901からの信号を合わせるパワースプリッター/結合器3013をさらに含む。アンテナは、対象の直腸に挿入されたx-z平面に大体あると想定される。
【0082】
図27および
図28は、特定の実施形態に従う、中間のおよび遠位のハウジング部の態様の詳細を示す。
図27は、様々な実施形態に従う解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの側断面図である。
図28は、様々な実施形態に従う、解剖学的検出システム誘導前立腺処置デバイスの側断面図である。
図27に示されるように、デバイス3100は、近位のハウジング部3115と、中間ハウジング部3120と、遠位のハウジング部3125と、を含む。近位のハウジング部3115および中間ハウジング部120は共通の縦軸に沿って中心に置かれている。遠位のハウジング部3125の部分が、この軸から離れて、例えば共通の縦軸から約10~約60°上方に曲げられている。遠位のハウジング部3125は、MRI画像コイルを含むように構成されているサブハウジング3140を含み得る。遠位のハウジング部3125は、約0.5in~約1.5inである幅3175を有する。サブハウジングは、これよりわずかにより大きい幅3177を有する。中間ハウジング部3120が遠位のハウジング部3125および近位のハウジング部3115の両方から窪んでおり、例えば肛門外口が窪んでいるくびれ3120の周囲でしぼみ、デバイスを所定の位置に維持するか、かつ/または保持するのを助けるように、対象の肛門で保持されるように構成されている。中間ハウジング部3120の直径3180は約0.25in~約1.0inの長さである。中間ハウジング部3120は約0.25in~約1.0inの長さである長さ3185を有する。
【0083】
図28に示されるように、デバイス3100は、近位のハウジング部3115と、中間ハウジング部3120と、遠位のハウジング部3125とを含む。近位のハウジング部3115および中間ハウジング部120は共通の縦軸に沿って中心に置かれている。遠位のハウジング部3125の部分が、この軸から離れて、例えば共通の縦軸から約10~約60°離れて上方に曲げられている。遠位のハウジング部3125は、約0.5in~約1.5inである幅3175を有する。中間ハウジング部3120が両方遠位のハウジング部3125および近位のハウジング部3115の両方から窪んでおり、例えば肛門外口が窪んでいるくびれ3120の周囲でしぼみ、デバイスを所定の位置に維持するか、かつ/または保持するのを助けるように、対象の肛門で保持されるように構成されている。遠位のハウジング部は、内半径3195と、外半径と、中心線半径3197とを有する。中心線半径3197は約1.75in~約2.25inである。内半径3190は約1.5in~約1.9inである。外半径3195は約2.25in~約2.75inである。本図には、切り抜き3140も示されている。
【0084】
図29は、様々な実施形態に従う、入力信号線2803(ここでは、接地同軸ケーブル2810の一部として表される)とループアンテナ2801との間で使用される典型的なマッチング回路2802の概略図である。ここに図示されるマッチングネットワークは、3つのコンデンサ2811、2812、2813を使用して、電力伝達を最大化するために、駆動信号のインピーダンスをアンテナ2801のインピーダンスに一致させる。実施形態では、マッチング回路部品を、約50Ωの信号インピーダンス与えるように特定し得る。他のトポロジーおよび部品を使用して、信号入力をアンテナに一致させることができることは電気分野の当業者によって理解される。例えば、インダクタおよびまたは抵抗を使用して、適したマッチング回路を構築できる。
【0085】
図30は、様々な実施形態に従う、位相機部品3010に使用され得る典型的な90°位相シフト回路の概略図である。ノードA3020での信号入力が、90°シフトされ、出力ノードB3030で現れる。ここに図示される位相機回路は、2つのインダクタ3021、3022と、3つのコンデンサ3023、3024、3025とを使用する。他のトポロジーおよび部品を使用して、開示されるシステム用の位相機回路を構築できることは、電気分野の当業者によって理解される。さらに、90°位相機の部品は、操作の特定の周波数を与えるように選択され得る。実施形態では、位相機回路部品は、約50Ωの信号インピーダンスを与えるように特定し得る。
【0086】
図31は、様々な実施形態に従う、典型的なパワースプリッター結合器回路の概略図である。RFパワースプリッターとして、入力信号がノードC 3050に加えられ、電力の半分がノードD 3060で現れ、残りの半分がノードE 3070で現れる。電力結合器として、ノードD 3060およびノードE 3070上にある相信号を合わせ、ノードC 3050で出力する。ここで表される回路において、3つのコンデンサ3051、3052、3053と、2つのインダクタ3055、3056と、1つの抵抗3058とを使用して、パワースプリッター結合器を生じる。他のトポロジーおよび部品を使用して、開示されるシステム用のパワースプリッター結合器を構築できることは、電気分野の当業者によって理解される。実施形態では、パワースプリッター結合器回路の部品を、約50Ωの信号インピーダンスを与えるように特定し得る。
【0087】
特定の実施形態について図示・説明したが、当業者であれば、同じ目的を達成するように意図された広範囲の代替およびまたは均等な実施形態または実施を用いて、その範囲を逸脱することなく、図示・説明した実施形態を置換でき得ることを理解するであろう。当業者であれば、実施形態は非常に広範囲の方法で実施され得ることを容易に理解するであろう。本願は、本明細書で検討した実施形態に対するいかなる適応や変形もカバーするように意図される。したがって、実施形態は、請求項およびその均等物によってのみ制限されることは明らかである。