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特許7021209真空引きプロセスを制御して作動させるための真空弁システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】真空引きプロセスを制御して作動させるための真空弁システム
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20220208BHJP
   F16K 3/18 20060101ALI20220208BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20220208BHJP
   F16K 31/04 20060101ALN20220208BHJP
【FI】
F16K51/02 B
F16K3/18
F16K37/00 D
F16K31/04 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019522878
(86)(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2017078051
(87)【国際公開番号】W WO2018083176
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】16196985.2
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ベーム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ザイツ
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-039824(JP,A)
【文献】特開2011-134164(JP,A)
【文献】特開2014-098969(JP,A)
【文献】国際公開第2016/096399(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0169410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00-3/36
31/00-31/05
37/00-51/02
G05D 16/00-16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積流量または質量流量を制御しかつ処理容積(1)を気密に閉鎖する真空弁(10)と、制御ユニットとから成る弁システムであって、
前記真空弁(10)は、
開口軸線(34)を規定する弁開口(33)と、該弁開口(33)を包囲する第1のシール面(35)とを有する弁座と、
前記第1のシール面(35)に対応する第2のシール面を備えた前記弁開口(33)を密に閉鎖する弁閉鎖部材(38)と、
前記弁閉鎖部材(38)と連結された駆動ユニット(40)と、を有し、
前記駆動ユニット(40)は、
前記弁閉鎖部材(38)が、該弁閉鎖部材(38)の各状態に依存する各弁開口状態を供与するために、規定されたように可変かつ調節可能であると共に、
前記弁閉鎖部材(38)が前記弁開口(33)を少なくとも部分的に開放する開放位置(O)から、前記第1のシール面(35)が前記第2のシール面に押し付けられて前記弁開口(33)を密に閉鎖する閉鎖位置へ、かつその逆方向に変位可能に形成されており、
前記制御ユニットは、弁開口状態の的確な変化もしくは調節を供与する制御プロセスを、プロセスパラメータの現測定制御値(12)と目標値(13)とに基づき前記駆動ユニット(40)を制御することにより実施するように形成されている、弁システムにおいて、
前記制御ユニットは、前記制御プロセスを監視する検査機能を有し、該検査機能は、該検査機能を実施する際に、
前記制御プロセスの実施の枠内で該制御プロセスの少なくとも1つの時間区分にわたって前記弁閉鎖部材(38)の一連の状態が検出され、これらの状態が現制御データ(21a)として記憶され、
前記現制御データ(21a)は、所定の目標制御データ(20,20a)と比較され、かつ
前記現制御データ(21a)と前記目標制御データ(20,20a)との比較に基づき、プロセス情報が形成される
ように、形成されており、
前記弁閉鎖部材(38)の状態は、
前記駆動ユニットにより生ぜしめられる、前記弁座に対して相対的な前記弁閉鎖部材(38)の位置を示し、かつ/または
前記弁閉鎖部材の位置に応じた、前記弁開口(33)の現開口横断面積を示す、
ことを特徴とする、弁システム。
【請求項2】
前記プロセスパラメータは、前記処理容積(1)に関する圧力情報により具体的に表されており、
前記目標値(13)は、前記処理容積(1)の所定の作動に関する目標圧力であり、かつ
前記現測定制御12)は、前記処理容積(1)内の現圧力を表す、請求項1記載の弁システム。
【請求項3】
前記目標値(13)は、前記処理容積(1)の所定の作動のための目標圧力であり、かつ
前記現測定制御値(12)は、前記処理容積(1)内へ目下流入する媒体量を示してる、請求項1または2記載の弁システム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記目標制御データ(20,20a)を形成するための学習機能を有し、該学習機能は、該学習機能を実施する際に、
前記制御プロセスの目標動作に対応する複数の制御サイクルを実施するために、前記弁閉鎖部材(38)のその時々の目標状態が、各制御サイクルの少なくとも各1つの時間区分にわたり検出され、かつ
前記制御サイクルの各時間区分に関して検出された前記弁閉鎖部材(38)の前記目標状態が、前記目標制御データ(20,20a)として記憶される
ように形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項5】
前記現制御データ(21a)と前記所定の目標制御データ(20,20a)とを比較することで、前記プロセス情報が前記制御プロセスのプロセス完全性に関する情報を有するように、前記プロセス情報が形成される、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項6】
前記現制御データ(21a)および/または前記目標制御データ(20,20a)は、
前記制御プロセスの現推移もしくは目標推移を表しかつ/または
その時々の制御曲線の形態で検出されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項7】
前記プロセス情報は
出力信号を有し、該出力信号は、聴覚的または視覚的に形成されており、かつ/または
前記制御プロセスの質を知らせる質情報を有し、該質情報に基づき、ユーザに対する出力形成可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項8】
前記現測定制御値(12)をもって流出情報が登録されているか、または目下測定され、該流出情報は、単位時間毎にかつ前記弁閉鎖部材(38)の状態に応じて前記処理容積(1)から流出する媒体の質量または体積を知らせる、請求項1から7までのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項9】
前記検査機能は、前記プロセス情報に関連して前記制御プロセスの自動的な適合が、前記現測定制御値(12)または前記目標値(13)の的確な変更によりわれるように、形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項10】
前記真空弁(10)と前記制御ユニットとは、一体化された構成形式で形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、前記真空弁(10)と構造的に分離されて形成されており、かつ該真空弁(10)と連通接続してる、請求項1からまでのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項12】
前記制御ユニットは
圧力センサ(3)に接続されており、該圧力センサの出力信号は、前記現測定制御値(12)を提供し、かつ/または
質量流量計(2)または質量流量コントロールユニット(2)に接続されており、該質量流量計もしくは該質量流量コントロールユニットの出力信号は、前記現測定制御値(12)を提供する、請求項1から11までのいずれか1項記載の弁システム。
【請求項13】
真空弁(10)の制御された動作を検査する方法であって、前記真空弁(10)は、体積流量または質量流量を制御しかつ処理容積(1)を気密に閉鎖するように形成されていると共に弁座を有し、
前記弁座は、開口軸線(34)を規定する弁開口(33)と、該弁開口(33)を包囲する第1のシール面(35)とを有し、
前記真空弁(10)は、前記第1のシール面に対応する第2のシール面を備えた前記弁開口(33)を密に閉鎖する弁閉鎖部材(38)を有し、かつ
前記真空弁(10)は、前記弁閉鎖部材(38)と連結された駆動ユニット(40)を有し、該駆動ユニット(40)は、前記弁閉鎖部材(38)が、
該弁閉鎖部材(38)の各状態に依存する各弁開口状態を供与するために、規定されたように可変かつ調節可能であり、かつ
前記弁閉鎖部材(38)が前記弁開口(33)を少なくとも部分的に開放する開放位置(O)から、前記第1のシール面(35)が前記第2のシール面に押し付けられて前記弁開口(33)を密に閉鎖する閉鎖位置へ変位可能であり、かつその逆方向にも変位可能である
ように、形成されており、
制御プロセスは、プロセスパラメータに関して現測定制御値(12)と目標値(13)とに基づき前記駆動ユニットが制御されることにより実施され、その際に前記弁開口状態の的確な変化もしくは調節が供与され、方法において、
前記制御プロセスの実施の枠内で、前記制御プロセスの少なくとも1つの時間区分にわたって前記弁閉鎖部材(38)の一連の状態が検出されると共に、現制御データ(21a)として記憶され、
前記現制御データ(21a)は、所定の目標制御データ(20,20a)と比較され、
前記現制御データ(21a)と前記所定の目標制御データ(20,20a)との比較に基づき、プロセス情報が形成され
前記弁閉鎖部材(38)の状態は、
前記駆動ユニットにより生ぜしめられる、前記弁座に対して相対的な前記弁閉鎖部材(38)の位置を示し、かつ/または
前記弁閉鎖部材の位置に応じた、前記弁開口(33)の現開口横断面積を示す、
ことを特徴とする、方法。
【請求項14】
機械読取り可能な担体記憶された、コンピュータプログラムあって、請求項13記載の方法の少なくとも、
制御プロセスを実施するステップと、
弁閉鎖部材(38)の一連の状態を検出するステップと、
現制御データ(21a)と目標制御データ(20,20a)とを比較するステップと、
プロセス情報を形成するステップと、
を実施もしくは制御するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空条件下で加工プロセスを制御して作動させるための、真空制御弁と制御ユニットとから成るシステムに関する。
【0002】
一般に、体積流量または質量流量を制御すると共に、弁ケーシング内に加工成形された開口に通じる流路を実質的に気密に閉鎖するための真空弁は、従来技術に基づく種々様々な実施形態において周知であり、特に可能な限り汚染粒子が存在すること無しに保護雰囲気中で行われねばならないIC製造、半導体製造または基板製造の分野における真空室システムに使用される。このような真空室システムには、特に加工または製造されるべき半導体素子または基板を収容するために設けられた、排気可能な少なくとも1つの真空室が含まれており、真空室は、少なくとも1つの真空室開口を有しており、真空室開口を通じて、半導体素子または別の基板が真空室内へ導入可能であると共に、真空室から導出可能であり、さらに真空室システムには、真空室を排気するための少なくとも1つの真空ポンプが含まれている。例えば半導体ウェハまたは液晶基板用の製造設備では、高感度の半導体素子または液晶素子が連続的に複数の処理真空室を通走し、これらの処理真空室内で、処理真空室内に位置する部品が、各加工装置により加工される。処理真空室内での加工プロセス中も、室から室への搬送中も、高感度の半導体素子または基板は常に保護雰囲気中に‐特に空気のない環境に‐あらねばならない。
【0003】
このために一方では、ガス供給部またはガス流出部を開閉するための外周弁が使用され、かつ他方では、部品の導入および導出用の、真空室の移送開口を開閉するための切換弁が使用される。
【0004】
半導体部品を通す真空弁は、前記使用分野およびこれに関連した寸法設定に基づき、真空切換弁と呼ばれ、そのほとんど矩形の開口横断面に基づき矩形弁とも呼ばれ、かつその一般的な機能形式に基づき摺動弁、矩形スライダまたは切換摺動弁とも呼ばれる。
【0005】
外周弁は、特に真空室と真空室または別の真空室との間のガス流をコントロールまたは制御するために使用される。外周弁は、例えば処理真空室または移送室と、真空ポンプ、雰囲気または別の処理真空室との間の管システムの内部に位置している。ポンプ弁とも呼ばれるこのような弁の開口横断面は、通常、真空切換弁の場合よりも小さい。外周弁は使用分野に応じて、開口を完全に開閉するためのみならず、完全な開放位置と気密な閉鎖位置との間で開口横断面積を連続的に調節することにより流量をコントロールまたは制御するためにも使用されるため、制御弁とも呼ばれる。ガス流のコントロールまたは制御が可能な外周弁は、揺動弁である。
【0006】
例えば米国特許第6089537号明細書 (Olmsted)から公知のような典型的な揺動弁では、第1のステップにおいて、通常円形の弁頭が、通常同様に円形の開口にわたり、開口を解放する位置から開口を覆う中間位置へ、回転式に旋回させられる。例えば米国特許第6416037号明細書 (Geiser)または米国特許第6056266号明細書 (Blecha)に記載されているような摺動弁の場合には、弁頭は、開口と同様に大抵は矩形に形成されており、前記第1のステップにおいて、開口を解放する位置から開口を覆う中間位置へ直線的に摺動させられる。この中間位置において、揺動弁または摺動弁の弁頭は、開口を包囲する弁座に対し間隔をおいて対向する位置に位置している。第2のステップにおいて、弁頭と弁座との間の間隔が縮小され、これにより、弁頭と弁座とが互いに一様に押圧し合うことになり、開口は実質的に気密に閉鎖される。この第2の運動は、好適には弁座に対して実質的に垂直な方向に行われる。シールは、例えば弁頭の閉鎖側に配置され、開口を包囲する弁座に押し付けられるシールリングを介して行われてもよいか、または弁座に設けられ、弁頭の閉鎖側が押し付けられるシールリングを介して行われてもよい。2つのステップで行われる閉鎖過程により、弁頭と弁座との間のシールは、シールリングを破壊する恐れのある剪断力をほとんど受けない。それというのも、第2のステップにおける弁頭の運動は、弁座に対して実質的に直線的に垂直に行われるからである。
【0007】
種々様々なシール装置が従来技術から、例えば米国特許第6629682号明細書 (Duelli)から公知である。シールリングおよび真空弁におけるシールに適した材料は、例えばFKMとも呼ばれるフッ素ゴム、特に”Viton”の商品名で知られたフッ素エラストマ、ならびにパーフロロゴム、略称FFKMである。
【0008】
従来技術から、例えば揺動弁に関する前掲の米国特許第6089537号明細書 (Olmsted)および摺動弁に関する前掲の米国特許第6416037号明細書 (Geiser)から、弁頭の、揺動弁における回転運動と、摺動弁における、開口にわたり平行な並進運動と、開口に対して垂直な、実質的に並進的な運動とを組み合わせるための、種々様々な駆動システムが公知である。
【0009】
弁座に対する弁頭の押付けは、要求される気密性が全圧力範囲内で保証されており、かつ極度に大きな圧縮応力によるシール媒体、特にOリングの形態のシールリングの損傷が回避されるように行われねばならない。このことを保証するために、公知の弁には、弁頭の両面間に形成される圧力差に応じて制御される、弁頭の押付け圧力制御装置が設けられている。しかしながら、特に圧力変動が大きな場合、または負圧から正圧へまたはその逆に変化した場合には、シールリングの全周に沿って一様な力分布を常に保証することはできない。一般に目標とされるのは、弁に加えられる圧力から生じる支持力から、シールリングを分離することである。このために前掲の米国特許第6629682号明細書 (Duelli)では、例えばシールリングと、隣接する支持リングとから構成されており、シールリングが支持力から実質的に解放されているシール媒体を備えた真空弁が提案される。
【0010】
場合により、正圧と負圧の両方に対して要求される気密性を達成するために、いくつかの周知の揺動弁または摺動弁は第2の運動ステップに対して追加的または択一的に、弁頭に対して垂直に摺動可能で、開口を包囲している弁リングを備えており、弁リングは、弁を気密に閉鎖するために、弁頭に押し付けられる。弁頭に対して能動的に摺動可能な弁リングを備えたこのような弁は、例えば独国特許出願公告第1264191号明細書、独国特許発明第3447008号明細書、米国特許第3145969号明細書(von Zweck)および西独国実用新案公開第7731993号明細書から公知である。米国特許第5577707号明細書 (Brida)には、開口を有する弁ケーシングと、開口を通流する流量をコントロールするために、開口にわたり平行に旋回可能な弁頭とを備えた揺動弁が記載されている。開口を包囲する弁リングは、複数のばねおよび圧縮空気シリンダを介して、弁頭に向かって垂直に、能動的に可動である。この揺動弁の1つの可能な改良は、米国特許出願公開第20050067603号明細書 (Lucas他)において提案されている。
【0011】
上に挙げた弁は、とりわけ高感度の半導体素子を製造する場合に使用されるため、特に弁の動作および弁閉鎖部材の機械的な負荷により惹起される粒子発生および弁室内の自由な粒子を可能な限り少なく保つ必要がある。粒子発生は、主に例えば金属と金属との接触および擦過による摩擦の結果である。
【0012】
上述したように、処理室内に規定された処理環境を生ぜしめるためには、真空制御弁が使用される。この場合、制御は典型的には、室の内部圧力に関する情報を提供する圧力信号と、目標値、すなわち制御により達成されるべき目標圧力とに基づき行われる。この場合、弁閉鎖部材(弁頭)の位置が制御の枠内で変化させられ、これにより、所定の時間内で目標圧力が達成される。
【0013】
このような制御プロセスに生じる問題は、プロセスに望ましくない外的な影響が及ぼされた場合に、それにもかかわらず現圧力値に基づいてのみ制御が行われ、これにより不都合な外的な影響が単純に「過剰に制御」されひいては検出されない、という点である。例えばプロセス室に漏れが生じた場合でも、制御により引き続き目標圧力を生ぜしめることができるが、この場合、処理室内のガス混合物は、最早所定の目標値に相当していない。
【0014】
よって本発明の根底を成す課題は、一方では処理室の(圧力)制御式の作動を可能にし、かつ他方では制御プロセスに要求される質が向上された信頼性を提供する、改良された制御を伴う真空弁を提供することにある。
【0015】
特に、弁システムに基づき、進行中の制御もしくは加工プロセスの検査手段を提供することが、本発明の課題である。
【0016】
前記課題は、独立請求項に記載の特徴を実現することにより、解決される。本発明を択一的または有利に改良する特徴は、従属特許請求項から看取され得る。
【0017】
本発明の根底を成す思想は、実施された制御プロセスを記録し、その際に検出されたデータを制御プロセスの目標データと比較することにある。これに基づき、次いでプロセス推移に関する検証を導出し、場合により生じ得る、規定された目標制御からのずれを推測することができる。特にこれにより、加工プロセスの急な障害を検出することができる一方で、(例えばドリフトに基づく)プロセス条件の長期の変更をも認識することができる。
【0018】
本発明は、体積流量または質量流量を制御しかつ流路を気密に中断するもしくは処理容積を気密に閉鎖するための真空弁と、制御ユニットとから成る弁システムに関する。真空弁は弁座を有しており、弁座は、開口軸線を規定する弁開口と、弁開口を包囲する第1のシール面とを有している。さらに真空弁は、弁閉鎖部材、例えば弁頭を、第1のシール面に対応する第2のシール面を備えた弁開口を実質的に気密に閉鎖するため、または開口の目下の大きさを調節するために有している。
【0019】
さらに、弁閉鎖部材と連結された駆動ユニットが設けられており、駆動ユニットは、弁閉鎖部材が、弁閉鎖部材の各状態(例えば弁座または弁ケーシングに対する閉鎖部材の位置または角度位置)に依存する各弁開口状態を供与するために、規定されたように可変かつ調節可能であると共に、弁閉鎖部材が真空弁開口を少なくとも部分的に開放する開放位置から、弁座の第1のシール面が第2のシール面に押し付けられて真空弁開口を実質的に気密に閉鎖する閉鎖位置へ、かつその逆方向に弁閉鎖部材が変位可能に形成されている。
【0020】
特に閉鎖部材の変位は、少なくとも実質的に幾何学的な長手方向軸線に沿って長手方向の閉鎖方向に行われてもよく、かつ/または閉鎖部材は、特に長手方向軸線に対して平行に延びる幾何学的な旋回軸線を中心として横方向の閉鎖方向で、弁閉鎖部材が真空弁開口を覆いかつ弁閉鎖部材の閉鎖側が弁座に対し間隔をおいて対向する位置に位置する中間位置へ変位可能であってもよく、かつその逆方向に変位可能であってもよい(揺動弁参照)。
【0021】
弁システムの制御ユニットは、弁開口状態の的確な変化もしくは調節を供与する制御プロセスを、プロセスパラメータの現測定制御値および目標値に基づき駆動ユニットを制御することにより実施するように形成されており、特にこれにより、このようにして生ぜしめられた弁閉鎖部材の状態変化に基づき、制御値を目標値に近づけることができる。
【0022】
本発明に基づき、制御ユニットは、制御プロセスを監視するための検査機能を有しており、この場合、検査機能は、検査機能を実施する際に、制御プロセスの実施の枠内で制御プロセスの少なくとも1つの時間区分にわたって弁閉鎖部材の一連の状態が検出され、これらの状態が現制御データ(例えば現制御曲線または現制御推移)として記憶されるように、形成されている。現制御データは、所定の目標制御データと比較され、現制御データと目標制御データとの比較に基づき、プロセス情報が形成される。
【0023】
つまり、制御プロセスの監視は、例えば制御サイクル全体にわたるデータに基づき、またはサイクルの部分的な時間区分内に検出されたデータを介して行われてもよい。このために監視の枠内で、現制御データと、それぞれ対応する時間区分に割り当てられた目標制御データとを比較することが保証される。例えば、比較は制御曲線の一部に基づき実施されてもよく、この曲線部分が目標制御範囲の一部と一致し得るか否か、特に一貫して目標制御範囲の限度内にあるか否かが検査される。
【0024】
特に、プロセスパラメータは処理容積に関する圧力情報により具体的に表されており、この場合、目標値は、処理容積の所定の作動状態に関する目標圧力を示しており、現測定制御値は、処理容積内の目下の圧力である。つまり制御プロセスにより、処理室内の圧力は、可能な限り目標圧力に相当するように制御される。さらにこの制御は、所定の制御継続時間の規定に基づき行われてもよい、すなわち制御は、制御スタート信号、例えばプロセスガスの流入開始を知らせる信号と共に始まる所定の継続時間の経過後には、所望の目標圧力が生ぜしめられているもしくは生ぜしめられているはずであるように行われる。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、目標値は、処理容積の所定の作動のための目標圧力であり、現測定制御値は、処理容積内へ目下流入する媒体量を示しており、特にこの場合、現測定制御値は、現流入圧力値により具体的に表されている。流入圧力値は、例えば単位時間毎の質量流量を表していてもよいか、または入口弁の開放位置に関する情報を形成していてもよい。
【0026】
一般に、真空条件下もしくは低圧条件下で製造ステップを実施するためには、このために設けられた処理容積内での、特定のプロセスガスの圧力推移に関する目標圧力または目標曲線が予め設定されている。この目標圧力もしくはこの曲線は、圧力制御の枠内で示されることが望ましい。
【0027】
本発明の1つの実施形態では、制御ユニットは、目標制御データを形成するための学習機能を有しており、この場合、学習機能は、特に制御プロセスの目標動作に相応するように、複数の制御サイクルを実施するために学習機能を実施する際に、弁閉鎖部材のその時々の目標状態が、各制御サイクルの少なくとも各1つの時間区分にわたり検出され、制御サイクルの各時間区分に関して検出された弁閉鎖部材の目標状態が、目標制御データとして記憶されるように形成されている。
【0028】
学習機能の枠内で、各制御サイクルの個々の制御曲線が検出され得、これら複数の制御曲線は、1つの目標制御曲線にまとめられてもよい。このまとめは、例えば個々の曲線に基づく相殺計算または平均値形成により行われてもよい。この場合、目標制御曲線は、目標制御データを表している。
【0029】
択一的または追加的に、検出された弁状態を介して目標制御範囲が規定され得、例えば各制御時点について、それぞれ許容可能な、弁位置の位置範囲が規定され得る。よって、目標制御範囲も同様に、目標制御データを表すことができる。
【0030】
特に本発明の枠内では、現制御データと所定の目標制御データとを比較することで、プロセス情報が、制御プロセスのプロセス完全性に関する情報を有するように、プロセス情報が形成され得る。
【0031】
特に、プロセス情報に基づき望ましくないプロセス状態、特に制御プロセス中に不都合に流入する質量流量が識別可能であり、特にこの場合は、処理容積の漏れの存在が識別可能である。
【0032】
制御データもしくは目標制御データは、好適には各(目標)制御プロセスの推移を表しかつ/または好適には制御曲線の形態で検出されている。
【0033】
本発明の1つの実施形態では、プロセス情報は出力信号を有しており、出力信号は、聴覚的または視覚的に形成されている。この信号は、特に警告信号であってもよい。プロセス情報は、制御プロセスの質を知らせる質情報を有していてもよく、この場合、この質情報に基づき、ユーザに対する出力、特にエラー情報またはアラーム信号が形成可能である。
【0034】
1つの実施形態では、現測定制御値をもって流出情報が登録されているか、または現流出情報が測定され、この場合、流出情報は、単位時間毎にかつ弁閉鎖部材の状態に応じて処理容積から流出する媒体の質量または体積を知らせる。この情報は、特に容積内への流入量の情報と共に、所望の制御特性に適した調整値を形成することができる。
【0035】
プロセスの監視の他に、検査機能はさらに、プロセス情報に関連して制御プロセスの自動的な適合が、現測定制御値または目標値の的確な変更により、特にオフセットの設定により行われるように、形成されていてもよい。換言すると、検査機能により制御プロセスに介入して、例えば実際に測定される圧力値の代わりに、処理室内の、適合された仮想の圧力値をシステムに供給することができる。この場合、制御装置は前記の作為的な圧力値に基づいて弁の位置の制御を行い、相応に適合させて調節することになる。
【0036】
弁閉鎖部材の状態としては、特に駆動ユニットにより生ぜしめられる、弁閉鎖部材の位置が検出される。つまりこの場合、好適には弁座もしくは弁ケーシングに対して相対的な、弁閉鎖部材、例えば弁頭の位置である。この位置は、例えばエンコーダにより、駆動ユニット(例えばモータ)の側で、または弁自体の側で検出され得る。
【0037】
択一的または追加的に、弁閉鎖部材の目下の状態としては、例えば弁閉鎖部材の位置に応じた、弁開口の現開口横断面積が知らされてもよい。
【0038】
特に、真空弁と制御ユニットとは、一体化された構成形式で形成されている。つまり、両要素は1つのユニットとして形成されており、例えば共通のケーシング内で実現されている。
【0039】
択一的に、制御ユニットは、真空弁と構造的に分離されて形成されていてもよく、かつ真空弁と連通接続していてもよく、特にこの場合はワイヤレス無線接続(WLAN、ブルートゥース等)または有線接続が存在している。制御ユニットは、例えば別個のコントローラとして形成されていてもよく、コントローラは、弁閉鎖部材の位置に関する制御値、目標値および場合によりフィードバックを受け取り、これらの入力データおよび所望の制御に関する情報に基づき、弁のモータに対する制御出力信号を算出して供与し、特にモータに直接に送信する。
【0040】
特定の配置において、制御ユニットは圧力センサに接続されていてもよく、圧力センサの出力信号は、現測定制御値を提供する。圧力センサは特に、圧力センサにより処理室内の圧力が特に継続してまたは所定の更新周波数でもって測定され得るように、配置されている。次いでこの圧力情報は、センサ出力信号として制御システムに導入され、制御システム内で引き続き処理されてもよい。
【0041】
制御ユニットはさらに、例えば質量流量計または質量流量コントロールユニット(英:”gas flow meter”または”mass flow controller”)に接続されていてもよく、この場合、質量流量計もしくは質量流量コントロールユニットの出力信号は、現測定制御値を提供する。すなわち、弁の位置制御は、処理室内に流入するガスに関する情報に基づいても行うことができる。つまり弁の開口横断面積は、単位時間毎に、ガス流入量に適合された、特にガス流入量に相当する量のガスが流出するように、調節され得る。
【0042】
本発明はさらに、真空弁の制御された動作を検査するための方法にも関し、真空弁は、体積流量または質量流量を制御しかつ処理容積を気密に閉鎖するように形成されている。真空弁は弁座を有しており、弁座は、開口軸線を規定する弁開口と、弁開口を包囲する第1のシール面とを有している。さらに弁閉鎖部材が、第1のシール面に対応する第2のシール面を備えた弁開口を実質的に気密に閉鎖するために設けられている。さらに弁は、弁閉鎖部材と連結された駆動ユニットを有しており、駆動ユニットは、弁閉鎖部材が、弁閉鎖部材(38)の各状態に依存する各弁開口状態を供与するために、規定されたように可変かつ調節可能であると共に、弁閉鎖部材が真空弁開口を少なくとも部分的に開放する開放位置から、弁閉鎖部材の第1のシール面が第2のシール面に押し付けられて真空弁開口を実質的に気密に閉鎖する閉鎖位置へ、かつその逆方向に変位可能に、形成されている。
【0043】
特に駆動ユニットは、少なくとも実質的に幾何学的な長手方向軸線に沿った、長手方向閉鎖方向への変位を可能にし、かつ/または実質的に幾何学的な横方向軸線に沿ったまたは幾何学的な横方向軸線を中心とした横方向閉鎖方向への弁閉鎖部材の可動性に基づき、弁閉鎖部材が真空弁開口を覆いかつ弁閉鎖部材の閉鎖側が弁座に対し間隔をおいて対向する位置に位置する中間位置への変位を可能にし、かつ逆方向での変位も可能にする。
【0044】
当該方法の枠内で、制御プロセスは、プロセスパラメータに関して現測定制御値と目標値とに基づき駆動ユニットが制御されることにより実施され、特にこれにより制御値が、このようにして生ぜしめられた弁閉鎖部材の状態変化に基づき、目標値に近づけられる。これにより、弁開口状態の的確な変化もしくは調節が供与される。
【0045】
本発明では、制御プロセスの実施の枠内で、制御プロセスの少なくとも1つの時間区分にわたって弁閉鎖部材の一連の状態が検出され、これらの状態が現制御データ(例えば制御曲線)として記憶される。次いで現制御データは、(予め)決められた(既知の)目標制御データと比較され、現制御データと目標制御データとの比較に基づき、プロセス情報が形成される。
【0046】
本発明の対象はさらに、機械読取り可能な担体、特に上述した弁システムのメモリユニットに記憶された、コンピュータプログラム製品である。このコンピュータプログラム製品は、前記方法の少なくとも以下のステップ、すなわち:
・制御プロセスを実施するステップ、
・弁閉鎖部材の一連の状態を現制御データとして検出するステップ、
・現制御データと所定の目標制御データとを比較するステップおよび
・プロセス情報を形成するステップ
を実施もしくは制御するためのプログラムコードを有している。
【0047】
特にプログラムは、電子データ処理ユニット、特に弁システムの制御ユニットにおいて実施される。つまり、相応する(コンピュータにより実行される)アルゴリズムを実施することにより、制御プロセスの検査を行うことができる。
【0048】
以下に、本発明による装置および本発明による方法を、概略的に図示した具体的な実施例につき純粋に例示的に、より詳しく説明すると共に、本発明の別の利点についても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】処理室を制御して作動させるための本発明による真空システムの第1の実施形態の概略図である。
図2】目下検出された制御曲線と、本発明に基づく目標制御曲線とを比較する図である。
図3図3a~図3cは、揺動弁としての制御弁の1つの実施形態を示す図である。
【0050】
図1には、真空条件下で対象物を加工するための処理システムの構成が概略的に示されている。この構成は、処理室1と、処理室内への供給導管とを有しており、供給導管にはガス流量計もしくはガス流量制御装置2が設けられており、これにより、処理室に流入するガス量を測定することができるようになっている、または流入するガス量を相応に制御することができるようになっている。さらに、処理室の内部の圧力(室圧)の測定を可能にする圧力センサ3が設けられている。
【0051】
処理室1の出口側では、室1を排気するために、真空ポンプ4が室1に接続されている。真空ポンプ4と室1との間には、流出する体積流量をコントロールもしくは制御するための、調節可能な真空弁10が配置されている。この場合、(コントロールされる)調節は、弁の、例えば電動式、空圧式または液圧式の駆動装置により実現され得る。
【0052】
このシステムは、本発明に基づき制御ユニット11を有しており、制御ユニット11は、弁10に接続されておりかつ相応の入力値12および目標値13に基づき、弁10の制御された作動を提供する。
【0053】
図示の実施形態では、入力値12として、すなわち目下求められた制御値として、圧力センサ3の現圧力信号12が継続的に得られ、これにより、処理室1内の現圧力状態が既知となる、もしくは提供される。さらに制御ユニット11には、目標値またはターゲット値13として、各加工プロセス毎の目標圧力または目標圧力推移が供給される。これらの入力値に基づき、制御ユニット11により調整信号14が生ぜしめられて、電動化された弁10に送信される。
【0054】
つまり、処理室1内での所望の内部圧力を調節するために、制御サイクルの枠内で真空弁10の弁開口を変位させることで、現内部圧力を目標圧力に近づけることができるように、処理室からのガス流出が行われる。例えば、加工プロセスの第1の時間区分では、弁開口が比較的大きく開かれるように調節され、これにより、内部圧力の可能な限り迅速な低下が行われ、引き続く制御手順では、弁開口はあまり大きく開かれないように調節され、これによりその後の時間区分では、単位時間毎に比較的少量のガス量を管理して流出させることにより、所望の内部圧力を調節して保つことができ、この場合、特に層状または分子状のガス流または両者から成る混合流も存在する。
【0055】
弁の位置変化、すなわち弁開放位置に対する弁閉鎖位置の位置変化により、各制御サイクル毎に制御の推移、特に制御曲線、つまり所定の時間間隔内の各時点における弁の位置が規定される。処理室内での加工プロセスは、典型的には制御サイクルにおいて複数回繰り返して行われ、この場合、圧力制御もその都度相応して同様に行われることが望ましい。
【0056】
本発明に基づき、制御ユニットは、プロセスの完全性および/または質を検証するために検査機能もしくは監視機能15を有している。この機能により、制御サイクルの実施の仕方に関する規定を形成する目標制御が規定されている。目標制御は、例えば目標制御曲線の形態で登録されていてもよい。
【0057】
制御の目標推移に関する情報に基づき、目下検出された制御の推移を目標推移と比較し、この比較に基づき、制御が設定された限度内で、例えば許容誤差範囲内で実施されたか否か、という情報を導出することができる。
【0058】
制御ユニット11はさらに、学習機能を有していてもよく、この学習機能により、目標制御に関する情報を提供することができるようになっている。このためには、1つの生産サイクルが複数回、設定した目標条件(例えば目標圧力、目標温度、圧力推移、温度推移等)でもって実施され、制御ユニット11により室1内の圧力が、弁の位置を介して目標圧力を達成するように制御されて、調節される。これらの生産サイクルの進行中に、制御時間にわたる、個別のサイクルにおける弁の位置が記憶される。次いで、このようにして形成可能なデータ量から、例えば相殺計算またはモデル化により、個々のデータセット(制御サイクル毎のデータセット)を統合する目標制御情報が導出される。
【0059】
検査機能15はさらに、検出された現制御の推移に応じて、到達すべき目標値の適合を行うように形成されていてもよく、これにより例えば、制御中に検出されたずれが次の制御サイクルにおいて相殺されるように、制御プロセスに影響を及ぼすことができる。換言すると、検査機能15は目標値を、特に時間に関連して変化させて供給し、この形式で制御回路にもたらすことができる。
【0060】
同様に、検査機能15は現測定制御値(例えば測定された圧力)にも相応に作用し得る。例えば、内部圧力のより迅速な低下を生ぜしめるためには、実際に測定された圧力よりも高い圧力の存在をシミュレートすることができる。
【0061】
検査機能15による制御プロセスへの介入は、特に制御装置への直接的な入力を介して、例えば制御パラメータの適合により行われてもよい。
【0062】
検査モジュール15はさらに、出力ポート16を有している。これにより、現制御状態に関する情報を有する信号が出力され得る。したがってユーザは、例えばプロセスがその所定の限度内で進行しているか、または所定の限度からずれているか否かを識別することができる。択一的または補足的に、前記信号は、演算ユニットまたは上位に配置されたプロセス制御装置に供給されてもよく、これにより、例えばプロセス全体の自動的な適合を行うことができる。
【0063】
つまり、本発明による検査機能によって、弁10に関して想定された制御プロセスが守られているか否かを検査することができるだけでなく、さらに、加工プロセス自体が規定された周辺条件の枠内で進行しているか否かの判断を下すことができる。例えば目下記録された制御曲線と、プロセス用に登録された目標制御曲線との間にずれが検出されると、このずれに基づき、例えば処理室内での漏れまたは処理室に対する供給が推測され得、これに相応して、このプロセスは異常である、ということを示すことができるようになっている。本発明による検査機能無しでは、前記のような漏れは単に「過剰制御」される、すなわち、所定の時間内に目標圧力が達成されるように弁が相応に作動させられるに過ぎず、まず表面的にプロセス推移における欠陥が検出されることはない。
【0064】
図2には、制御サイクルに関して規定された目標制御範囲20およびこの制御プロセスに関して検出された現制御21aが示されている。
【0065】
目標制御範囲20の中には1つの制御曲線20aが例示されており、この制御曲線20aは、実施されるべき加工ステップ用の学習プロセスの枠内で検出された複数の個別の制御曲線から導出されたものである。この曲線20aの推移に基づき、曲線20aに対する包絡線が形成され、この包絡線もやはり、所望の制御の許容誤差範囲20を規定している。学習プロセスから検出された制御曲線および図示の導出された曲線20aも、それぞれ駆動ユニット(モータ、空圧、液圧等)により生ぜしめられる弁の位置(x,y)または制御サイクルの時間(t)にわたる(角度)位置(°)を表している。
【0066】
曲線21aで図示した制御は、学習プロセスとは関係無く実施された現生産制御サイクルを表している。ここにも同様に図示した、前記曲線21aに対する包絡線21に基づき、実施された制御プロセスに生じたずれが看取され得る。曲線21aは、目標制御範囲20に相応して推移しかつ曲線21aの視覚的な検査用に時間軸に沿ってずらされた、つまり目標制御範囲20を表す、ここで符号20’を付した許容制御範囲内に位置していない。
【0067】
範囲20/20’および21もしくは曲線20aおよび21aの推移の比較に基づき、現制御過程では弁閉鎖の大幅に急速な調節が行われている、つまり、目標制御において想定されたよりも急速な閉鎖位置の変化が時間にわたり行われている、ということが確認され得る。このような推移のずれは、処理容積における、予想よりも小さな圧力上昇を示唆する場合があり、これは例えば、ガス量制御装置の故障に基づき生じる恐れがある。
【0068】
択一的に、推移のずれは、例えば比較的長く継続する弁の開放位置に伴い、必然的に例えば比較的短時間のうちに比較的大量のガスが処理容積から引き出される場合に、ガス漏れを示唆する場合がある。このようなケースは、典型的には制御曲線の比較的緩やかな上昇に結び付く。
【0069】
許容目標制御範囲20の限度は、上述したように目標制御進行用の基準曲線(例えば20a)を介して、例えばこの曲線を包囲する範囲が設定されることにより、決定され得る。この場合、この範囲は、曲線に関してある程度の許容誤差を有していてもよい、すなわちこの範囲は、曲線の局所的または全体的な最大値または最小値に関して、所定の間隔を有していてもよい。
【0070】
択一的に、目標制御範囲20は、例えば制御過程のモデル化またはシミュレーションにより確定され得、この場合は例えば、予想されるべきガス供給量、これに基づく圧力変化およびこのために準備されるべきガス流出量がシミュレートまたは計算される。比較的簡単なケースでは、(時間に応じた)流入するガス量および特にシステム構成を知ることで、弁に関する目標制御曲線がすぐに決定され得る。
【0071】
図3a~図3cには、揺動弁の形態の、本発明による弁の1つの可能な実施形態が示されている。流路を実質的に気密に中断するための弁は、開口33を備えた弁ケーシング31を有している。開口は、円形の横断面を有している。弁頭38の閉鎖位置では、開口33は弁頭38により気密に閉じられている。弁頭38の開放位置Oは、図3bおよび図3cに具体的に示されている。
【0072】
開口33は、弁座により包囲されている。この弁座は、軸方向で弁頭38の方を向いており、開口軸線34に対して横方向に延在し、かつ円環形状を有するシール面35により形成され、シール面35は弁ケーシング31内に加工成形されている。
【0073】
さらに弁は、旋回可能であると共に、さらに開口軸線34に対して実質的に平行に変位可能な弁頭38を有している。
【0074】
弁頭38は、頭部の側方に配置され、開口軸線34に対して垂直に延在するアーム39を介して、電気的な駆動装置40(モータ)に接続されている。このアーム39は、弁頭38の閉鎖位置では、開口軸線34に沿って幾何学形状的に投影された、開口33の開口横断面の外側に位置している。
【0075】
電気的な駆動装置40は、相応する伝動装置の使用に基づき、弁頭38が‐揺動弁において一般的であるように‐駆動装置40の横方向運動xにより、開口軸線34に対して横方向にかつ開口33の横断面にわたり実質的に平行にかつ開口軸線34に対して垂直に、旋回軸41を中心とした旋回運動の形態で、開放位置Oと中間位置との間で旋回可能であり、かつ開口軸線34に対して平行に行われる駆動装置40の長手方向運動により直線的に摺動可能に、形成されている。開放位置Oでは、弁頭38は第1の開口33の側方に隣接して配置された滞留部分に位置決めされているので、開口33および流路は解放されている。中間位置において弁頭38は、第1の開口33の上方に間隔をあけて位置決めされると共に、開口33の開口横断面を覆う。閉鎖位置では、弁閉鎖部材38(弁頭)と弁座のシール面35との間に気密な接触が生じることにより、開口33は気密に閉じられており、かつ流路は中断されている。
【0076】
自動化されかつ制御された弁の開閉を可能にするために、弁には電子制御装置が設けられており、電子制御装置は、弁頭38が、処理容積を気密に閉鎖するためまたはこの容積の内部圧力を制御するために適宜に変位可能に形成されておりかつ駆動装置40に接続されている。このような制御ユニットは、弁と共に、本発明による弁システムを形成している。
【0077】
弁頭38の位置は、制御値および送信された制御信号に基づき可変に調節される。入力信号としては、弁と接続された処理容積内の現圧力状態に関する情報が得られる。さらに制御装置には別の入力値、例えば容積内へ流入する質量が提供され得る。次いでこれらの値および前記容積用に生ぜしめられるべきもしくは達成されるべき所定の目標圧力に基づき、制御サイクル時間にわたり、弁の制御された調節が行われ、これにより、前記容積から流出する質量が、弁により、時間にわたって制御され得ることになる。このためには、弁の下流側に真空ポンプが設けられている、すなわち、弁は処理室とポンプとの間に配置されている。これにより、所望の圧力推移を制御することができるようになっている。
【0078】
弁閉鎖部材38を調節することにより、弁開口33のその時々の開口横断面積が調節され、ひいては処理容積から単位時間毎に排気され得る、可能なガス量が調節される。このために弁閉鎖部材38は、円形とは異なる形状を有していてもよく、特にこれにより、可能な限り層状の媒体流を達成することができる。
【0079】
開口横断面積を制御するために、弁頭38は制御ユニットにより駆動装置40の横方向運動xを介して、開放位置Oから中間位置へ変位可能であると共に、駆動装置40の長手方向運動yを介して中間位置から閉鎖位置へ変位可能である。流路を完全に開くために、弁頭38は制御装置により駆動装置40の長手方向運動yを介して、閉鎖位置から中間位置へ変位可能であり、そこからは駆動装置40の横方向運動xを介して、中間位置から開放位置Oへ変位可能である。
【0080】
本実施例では、駆動装置40は電動モータとして形成されており、この場合、伝動装置は、駆動装置40の駆動を横方向運動xまたは長手方向運動yのいずれかが生ぜしめるように、切換可能である。駆動装置40および伝動装置は、制御装置により電子制御される。特にリンク切換手段を備えたこのような伝動装置は、従来技術から周知である。さらに、横方向運動xと長手方向運動yとを生ぜしめるために、複数の駆動装置を用いることが可能であり、この場合、制御装置がこれらの駆動装置の制御を引き受ける。
【0081】
前記揺動弁による流量の正確な制御は、横方向運動xによる、開放位置Oと中間位置との間での弁頭38の旋回式の変位によってだけでなく、とりわけ長手方向運動yによる、中間位置と閉鎖位置との間での、開口軸線34に沿った弁頭の38の直線的な変位によっても可能である。前記揺動弁は、正確な制御という課題に対して使用され得る。
【0082】
弁頭38と弁座とは両方共、各1つのシール面35、すなわち第1のシール面および第2のシール面を有している。第1のシール面35はさらに、シールを有している。このシールは、例えばポリマとして加硫されることにより、弁座に対して加硫処理されていてもよい。択一的に、シールは例えば弁座の溝内のOリングとして形成されていてもよい。また、シール材料が弁座に接着されていてもよく、これによりシールを形成していてもよい。1つの択一的な実施形態では、シールは弁頭38の側で、特に第2のシール面に配置されていてもよい。また、これらの構成の組合せも考えられる。
【0083】
図示のような揺動弁に対して択一的に、本発明による真空弁システムは、別の真空弁タイプ、例えばフラップ弁、摺動弁またはいわゆるバタフライ制御弁を備えて実現されていてもよい。特に圧力制御弁を備えたシステムは、真空領域で使用するために形成されている。さらに、閉鎖部材が1方向にのみ変位可能な揺動弁も、同様に使用可能である。
【0084】
図面は、可能な実施例を概略的に示すものである、ということは自明である。様々なアプローチが、本発明に基づき互いに組み合わされてもよいと共に、従来技術の真空引きプロセス用の圧力を制御する方法および装置と組み合わされてもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図3c