(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】調節可能なばねが装備された温度センサ用アダプタ
(51)【国際特許分類】
G01K 1/14 20210101AFI20220208BHJP
G01K 7/22 20060101ALI20220208BHJP
G01K 7/02 20210101ALI20220208BHJP
【FI】
G01K1/14 B
G01K7/22 F
G01K7/02 C
(21)【出願番号】P 2019535902
(86)(22)【出願日】2016-12-30
(86)【国際出願番号】 CN2016113714
(87)【国際公開番号】W WO2018120111
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2019-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ヤオ
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517022(JP,A)
【文献】実開昭53-084380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の側壁を有する温度センサ;
温度センサの円柱状の側壁を取り囲む調節可能なクランプ機構であって、
円柱状の側壁を有する温度センサを受けるサイズを有するチューブと、
チューブに螺合するように構成されたナットと、
ナットと接触する段付きのフェルールと、
段付きのフェルールと接触する先細りしたフェルールであって、前記円柱状の側壁を調節可能なクランプ機構に固定するため、温度センサの円柱状の側壁に締めつけ力を加えるように構成されている
先細りしたフェルールと、
を含む調節可能なクランプ機構;
調整可能なクランプ機構の周りに配置されたアダプタ;
調整可能なクランプ機構の周りに配置され、アダプタと調整可能なクランプ機構との間に付勢力を発生するように構成された圧縮機構;
近接端と末端とを有し、前記近接端は前記温度感知組立品のアダプタに取り付けるように構成され、前記末端は前記温度センサの端を受けるように構成されたサーモウェル;
を含む、
温度感知組立品。
【請求項2】
前記アダプタが、
第1のねじ山付き端と、第2のねじ山付き端
とを含む、請求項
1記載の温度感知組立品。
【請求項3】
前記調節可能なクランプ機構が、隆起端部分と、ねじ山付き部分とを有するチューブを包含する、請求項1記載の温度感知組立品。
【請求項4】
前記チューブが、
先細りしたフェルールを収容するように構成された凹部をさらに含む、請求項
3記載の温度感知組立品。
【請求項5】
前記第1のねじ山付き端が、ハウジング装置に取り付けるように構成され、前記第2のねじ山付き端が、前記サーモウェルに取り付けるように構成された、請求項
2記載の温度感知組立品。
【請求項6】
温度センサ;
温度センサを受けるサイズを有するチューブと、
チューブに螺合するように構成されたナットと、
ナットと接触する段付きのフェルールと、
段付きのフェルールと接触する先細りしたフェルールであって、前記温度センサと、調節可能なクランプ機構を温度センサに固定するため、温度センサに締めつけ力を加える
チューブとを結合するように構成された先細りしたフェルールと、を含む調節可能なクランプ機構;
調整可能なクランプ機構の
チューブの周りに配置され
たアダプタであって、サーモウェルに
螺合するように構成された
ねじ山付き端を有するアダプタ;
アダプタと調整可能なクランプ機構との間に、付勢力を発生するように構成された圧縮機構;
を含む、温度感知組立品。
【請求項7】
前記圧縮機構が、前記アダプタ内で封入された、請求項
6記載の温度感知組立品。
【請求項8】
前記アダプタが、第1のねじ山付き端と、第2のねじ山付き端とを含む、請求項
6記載の温度感知組立品。
【請求項9】
前記温度センサが、熱電温度計である、請求項
6記載の温度感知組立品。
【請求項10】
前記圧縮機構が、ばねである、請求項
6記載の温度感知組立品。
【請求項11】
前記温度センサが、抵抗温度検出器である、請求項
6記載の温度感知組立品。
【請求項12】
前記チューブが、
先細りしたフェルールを収容するように構成された凹部をさらに含む、請求項
6記載の温度感知組立品。
【請求項13】
前記第1のねじ山付き端が、前記第2のねじ山付き端の外径よりも小さい外径を有する、請求項
8記載の温度感知組立品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般に、工業プロセスで用いるための温度感知組立品に関連する。特に、本開示は、サーモウェルでの使用のための温度センサに関連する。
【0002】
工業プロセス温度感知装置は、導管を通って流れる流体又は容器の中に含まれた流体の温度を感知するのに使用され得る。温度感知装置は、温度センサを含み、保護容器も含み得る。温度センサは、センサチップにおいて又はセンサチップの近くに温度感知装置を有してもよく、保護容器中に挿入された場合、保護容器の基部と接触するようになってもよい。保護容器は、流体と物理的接触するように設計されて、流体と温度センサチップの間で熱を効率的に伝導する一方、流体からの物理的又は化学的被害(例えば、衝撃、腐食等)から保護容器内の温度センサを保護する。しかしながら、センサチップと保護容器の基部との間の物理的接触の欠乏は、伝導効率が低減するかもしれず、流体温度における変化に対する温度センサの遅い応答速度結果となり、温度読み取りでのエラーを導くかもしれない。
【発明の概要】
【0003】
温度感知組立品は、温度センサを、温度感知組立品のチューブに調節可能に結合するように構成された第1の端及び第2の端と、調節可能なクランプ機構とを有する温度センサを含む。温度感知組立品は、近接端及び末端を有するサーモウェルをさらに含み、近接端は温度感知組立品のアダプタに取り付けるように構成され、末端は温度センサの第2の端を受けるように構成される。さらに、調節可能なクランプ機構は、温度センサに沿った任意の場所で、温度センサをチューブに固定するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の実施形態様が特に有用である例示的な温度センサ環境を示す。
【
図3】本発明の実施形態による、改善された温度感知組立品の概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による、調節可能なクランプ機構の概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による、アダプタの概略図である。
【
図6】本発明の実施形態による、サーモウェルを含む改善された温度感知組立品の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態による、サーモウェルとハウジング装置を含む改善された温度感知組立品の概略図である。
【
図8】本発明の実施形態による、センサを温度感知組立品に調節可能に取り付ける方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
例示的実施形態の詳細な説明
図1は、本発明の実施形態が特に有用である例示的な温度センサ環境を示す。温度センサ環境100は、例示的には、パイプ102、サーモウェル104、(サーモウェル104内に隠れた)温度センサ、送信機106、及び制御要素108を含む。温度測定値は、送信機106から制御要素108に送信され得る。本発明の実施形態がパイプ102とともに示されているが、本発明の実施形態は、温度感知組立品を利用する任意の容器、パイプ、又は記憶装置で実施されてもよい。
【0006】
工業温度センサは、プロセスサンプルの温度を測定するのに使用され得る。温度センサは、抵抗温度検出器(RTD)、熱電温度計、又は他の任意のセンサ機構を含み得る。環境が厳しいとき、温度センサはサーモウェル104中に据え付けられる。これは、(サーモウェル104内に隠れた)温度センサが周辺環境から確実に保護されるようにする。しかしながら、正確な温度読み取りを提供するために、(サーモウェル104内に隠れた)温度センサは、サーモウェル104の末端部分と接触したままでなければならない。
【0007】
通常、温度センサは、ばねが装備された器具によって固定位置で維持される。これは、温度センサのチップがサーモウェルの底に付勢されたままるとどまようにする。しかしながら、いったん温度センサがばねの装備された器具に固定されると、固定位置は調節できない。これは理想的ではない。温度センサが壊れた場合、例えば、温度センサとばねの装備された器具との両方が、単一のユニットとして交換を要求する。
【0008】
図2は、温度感知装置の概略図である。温度感知装置200は、コネクタ208、サーモウェル214、センサ206、及びばね202を含む。ばね202は、ばね止め220と止め輪222の間に配置される。ばね止め220は、例示的にはセンサ206上に圧着される。ばね202はその後、ばね止め220上及びセンサ206周囲に置かれる。止め輪222はその後、ばね202がコネクタ208から取り外されないように、コネクタ208中に圧着される。これはセンサ206をコネクタ208に固定する。この構成において、センサ206の固定位置は変更できず、センサ206が壊れそうである場合、コネクタ208は取り去られなければならない。
【0009】
動作において、ばね202は、センサ206に対して付勢力を生成するように構成される。センサ206は、サーモウェル214の末端部分210中に挿入されるので、コネクタねじ山212は、サーモウェル214の内部ねじ山216を係合する。コネクタ208がはめ込まれるとき、ばね202が圧縮されて、センサ206に対して付勢力を働かせる。この付勢力は、センサ206の底218がサーモウェル214の末端部分210にとどまることができるようにする。センサ206は、送信機に接続し得る導線204も含む。
【0010】
図3は、本発明の実施形態による、改善された温度感知組立品の概略図である。温度感知組立品300は、温度センサ302、調節可能なクランプ機構310、チューブ322、アダプタ318、及び圧縮機構320を含む。チューブ322は、円柱形であり、ねじ山付き部分(例えば、
図4に示されるねじ山付き部分414)と、隆起端部分324を含む。1つの実施形態において、隆起端部分324は、レンチで引っ張られるように構成された平坦な部分を含み得る。温度センサ302は、第1の端328と、第2の端326とを含む。
【0011】
本発明の実施形態にしたがうと、調節可能なクランプ機構310は、前方フェルール、後方フェルール、及びナット304を含む。フェルールは
図4で示される。1つの実施形態において、調節可能なクランプ機構310は、温度センサ302を温度感知組立品300のチューブ322に固定するように構成される。温度センサ302がチューブ322に取り付けられる場所は、温度センサ302に沿った任意の場所に調節され得る。
【0012】
動作において、温度センサ302は、チューブ322の穴、前方フェルール、後方フェルール、及びナット304中に挿入され得る。ナット304はその後、チューブ322のねじ山付き部分(例えば、
図4に示されるねじ山付き部分414)で受けられて締められることができ、これにより温度センサ302をチューブ322に取り付ける。しかしながら、ナット304は緩めることができ、温度センサ302はチューブ322内で動かされ得るので、温度センサ302がチューブ322に取り付けられる位置は変化できる。
【0013】
アダプタ318は、例示的には、第1のねじ山付き端312、第2のねじ山付き端316、及び平坦な縁部314を含む。1つの実施形態において、第1のねじ山付き端312は、ハウジング装置に連結してもよく、第2のねじ山付き端316は、サーモウェルに連結し得る。1つの実施形態で、平坦な縁部314は、サーモウェル又はハウジング装置にアダプタ318を締めるように使用され得る。
【0014】
圧縮機構320は、例示的には、チューブ322上に設置されて、隆起端部分324と、アダプタ318の第1のねじ山付き端312との間に配置される。隆起端部分324と、アダプタ318の第1のねじ山付き端312との間で圧縮されるとき、圧縮機構320は、チューブ322と温度センサ302に対して矢印330によって概ね示される方向で、付勢力を生成する。これは温度センサ302の第2の端326がサーモウェルの末端にとどまることができるようにする。1つの実施形態において、圧縮機構320は、ばねを含む。
【0015】
動作において、温度センサ302は、調節可能なクランプ機構310を使用して、チューブ322に調節可能に取り付けられ得る。アダプタ318の第2のねじ山付き端316はその後、サーモウェルのねじ山付き部分にしっかり締められる。このしっかり締めることは、隆起端部分324と、アダプタ318の第1のねじ山付き端312との間の圧縮機構320を圧縮する。この圧縮は、チューブ322と温度センサ322に対する付勢力330を発生するので、温度センサ322は、サーモウェルの末端部分と接触したままである。
【0016】
図4は、本発明の実施形態による、調節可能なクランプ機構の概略図である。調節可能なクランプ機構400は、ナット402、後方フェルール404、及び前方フェルール406を含む。1つの実施形態において、調節可能なクランプ機構400は、温度センサを温度感知組立品のチューブ408に固定するように構成される。チューブ408は、ねじ山付き部分414、円錐形の凹部412、及び隆起端部分410を含む。
【0017】
温度センサは、チューブ408の穴、前方フェルール406、後方フェルール404、及びナット402の中に挿入され得る。前方フェルールはその後、温度センサがチューブ408に挿入されるとき、チューブ408の円錐形の凹部412内で保持される。ナット402はその後チューブ408のねじ山付き部分414で受けられて締められ、これにより、温度センサを温度感知組立品のチューブ408に取り付ける。さらに、温度センサが温度感知組立品のチューブ408に取り付けられることになる位置は変化し得る。
【0018】
図5は、本発明の実施形態によるアダプタの概略図である。アダプタ500は、第1のねじ山付き端504、平坦な縁部506、第2のねじ山付き端508、及び中央開口部502を含む。中央開口部502は、アダプタ500に沿って伸長し、1つの実施形態で、チューブと圧縮機構を受けるように構成される。1つの実施形態において、第1のねじ山付き端504は、第2のねじ山付き端508の外径に比べて、より小さい外径を有する。これは、ナット(例えば
図4で示されるナット402)が第1のねじ山付き端504からアダプタ500中に確実に入れないようにする。さらに、これは圧縮機構が第2のねじ山付き端508を通ってアダプタ500に入る際、アダプタ500の第1のねじ山付き端504から出ることも防ぐ。
【0019】
動作において、アダプタ500は圧縮機構を完全に封入し得るので、圧縮機構は、第1のねじ山付き端504と、チューブの隆起端部分(例えば
図3に示される隆起端部分324)との間のアダプタ500内で圧縮する。1つの実施形態では、第2のねじ山付き端508がサーモウェル中にはめ込まれるとき、圧縮機構は第1のねじ山付き端504とチューブの隆起端(例えば、
図3で示される隆起端部分324)との間で圧縮し得るので、付勢力が発生される。別の実施形態では、第1のねじ山付き端504は、ハウジング装置中にはめ込まれるように構成される。第2のねじ山付き端508のサーモウェル中への、又は第1のねじ山付き端504のハウジング装置中への取り付けは、平坦な縁部506をレンチで引っ張ることによって促進され得る。
【0020】
図6は、本発明の実施形態による、サーモウェルを含む温度感知組立品の概略図である。温度感知組立品600は、温度センサ604、調節可能なクランプ機構606、アダプタ608、及びサーモウェル612を含む。本発明の実施形態によると、温度感知組立品600はまた、
図3で明らかにされた特徴のうちのいずれか又はすべてを含み得る。例えば、圧縮機構(例えば、
図3で示される圧縮機構320)と、チューブ(例えば、
図3で示されるチューブ322)である。
【0021】
サーモウェル612は、近接端610と末端614を含む。アダプタ608は、第1のねじ山付き端618と、第2のねじ山付き端616とを含む。第2のねじ山付き端616は、サーモウェル612の近接端610にしっかりと締められる。本発明の実施形態にしたがうと、温度センサ604は、調節可能なクランプ機構606を使用してチューブに調節可能に取り付けられ得る。温度センサ604は、送信機に接続する導線602も含み得る。
【0022】
図7は、本発明の実施形態による、サーモウェルとハウジング装置を含む温度感知組立品の概略図である。温度感知組立品700は、ハウジング装置702、アダプタ704、サーモウェル710、及び温度センサ(図示せず、サーモウェル710、アダプタ704、及びハウジング装置702内)を含む。本発明の実施形態によると、温度感知組立品700はまた、
図3で明らかにされた特徴のうちのいずれか又はすべてを含み得る。例えば、調節可能なクランプ機構(例えば、
図3で示される調節可能なクランプ機構310)、圧縮機構(例えば、
図3で示される圧縮機構320)、及びチューブ(例えば、
図3で示されるチューブ322)である。サーモウェル710は、例示的には、近接端714と末端712を含む。
【0023】
本発明の実施形態にしたがうと、アダプタ704は、ハウジング装置702に取り付けられた第1のねじ山付き端706と、サーモウェル710の近接端714に取り付けられた第2のねじ山付き端708を含む。
【0024】
本発明の実施形態は特定の長さを有するサーモウェルで使用されるが、多数の異なるサーモウェルが特定の環境に依存して使用され得ることが明示的に意図される。サーモウェルに加えて、本明細書中で記述された実施形態は、測定のための物質(例えば、液体、気体等)を保持するチューブ又は他の容器を有する調節可能な温度感知組立品を提供することにおいて有用であろう。
【0025】
図8は、本発明の実施形態による、センサを温度感知組立品に調節可能に取り付ける方法の流れ図である。ブロック802で、センサはクランプ機構中に挿入される。1つの実施形態において、クランプ機構は、ナット、フェルール、及びチューブを含み得る。センサがクランプ機構中に挿入されるとき、センサはチューブを完全に通して伸長し得る。さらに、前方フェルールは、チューブとともに位置付けられた円錐形の凹部と接触するようになり、フェルールを所定の位置に保持し得る。ブロック804で、センサ上のクランプ位置が決定される。本発明の実施形態にしたがうと、クランプ位置はセンサに沿った任意の位置であり得る。ブロック806で、センサは、決定されたクランプ位置に基づいてクランプ機構内で調節される。1つの実施形態において、クランプ機構を調節することは、センサを、チューブ内で所望のクランプ位置に滑らせることを含み得る。ブロック808で、クランプ機構は、センサをクランプ位置に沿って調節可能に取り付けるように作動される。1つの実施形態において、クランプ機構を作動させることは、前方及び後方フェルールがセンサを掴めるように、ナットをチューブのねじ山付き端にしっかりと締めることを含み得る。しかしながら、センサ上の異なるクランプ位置が所望される場合、ブロック804~808が繰り返され得る。
【0026】
好ましい実施形態を参照して本発明が説明されてきたが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ることを理解するだろう。