(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】トルク係止機構を含む心臓弁プロテーゼ及び心臓弁プロテーゼのための送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2019541428
(86)(22)【出願日】2018-01-31
(86)【国際出願番号】 US2018016232
(87)【国際公開番号】W WO2018144598
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-02-01
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511126109
【氏名又は名称】メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(72)【発明者】
【氏名】ラリー マリアン
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】マッカートニー ルーク
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-504111(JP,A)
【文献】特開2016-185404(JP,A)
【文献】特表2008-541936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0254113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁プロテーゼの送達及び展開のためのシステムであって、
前記システムは、心臓弁プロテーゼを有し、この心臓弁プロテーゼは、複数の山及び谷を含むプロテーゼ形状面を備えており、
前記システムは、第1の非膨張構成及び第2の膨張構成を備えたバルーンを有し、前記第2の膨張構成における前記バルーンは、前記プロテーゼ形状面と係合するように構成されたバルーン形状面を含み、このバルーン形状面は、長手方向に延びる複数の山及び谷を含み、前記山が前記谷から長手方向にオフセットされ、これらの複数の山及び谷は、前記バルーンの長手方向に面する表面を形成し、前記バルーンの前記山は、前記心臓弁プロテーゼの対応する谷に係合するように構成され、前記バルーンの前記谷は、前記心臓弁プロテーゼの対応する山に係合するように構成され、前記バルーンは、前記プロテーゼ形状面が回転されるように、前記システムの中心長手方向軸の周りを回転するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記バルーンは、柔軟なバルーンである請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記バルーンの外面は、前記バルーンが前記第2の膨張構成にあるとき、前記心臓弁プロテーゼと前記バルーンとの係合が、前記バルーンの前記外面上に3次元パターンがない場合の前記心臓弁プロテーゼと前記バルーンとの係合よりも大きいような3次元パターンを含む請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記バルーン形状面は、前記バルーンの遠位端にあり、前記プロテーゼ形状面は、前記心臓弁プロテーゼ(10)の近位端にある請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記山は、前記谷の長手方向の遠位側にある請求項1記載のシステム。
【請求項6】
心臓弁プロテーゼの送達及び展開のための送達デバイスであって、
前記送達デバイスは、第1の非膨張構成及び第2の膨張構成を備えたバルーンを有し、前記第2の膨張構成における前記バルーンは、前記心臓弁プロテーゼの対応する形状面と係合するように構成されたバルーン形状面を含み、このバルーン形状面は、長手方向に延びる複数の山及び谷を含み、前記山が前記谷から長手方向にオフセットされ、これらの複数の山及び谷は、前記バルーンの長手方向に面する表面を形成し、前記バルーンは、前記心臓弁プロテーゼの対応する形状面が回転されるように、前記送達デバイスの中心長手方向軸の周りを回転するように構成されており、
前記送達デバイスは、第2のバルーンを有し、この第2のバルーンは、前記心臓弁プロテーゼの形状面と対向する前記心臓弁プロテーゼの第2の端部と当接するように構成されていることを特徴とする送達デバイス。
【請求項7】
心臓弁プロテーゼの送達及び展開のための送達デバイスであって、
前記送達デバイスは、第1の非膨張構成及び第2の膨張構成を備えたバルーンを有し、前記第2の膨張構成における前記バルーンは、前記心臓弁プロテーゼの対応する形状面と係合するように構成されたバルーン形状面を含み、このバルーン形状面は、長手方向に延びる複数の山及び谷を含み、前記山が前記谷から長手方向にオフセットされ、これらの複数の山及び谷は、前記バルーンの長手方向に面する表面を形成し、前記バルーンは、前記心臓弁プロテーゼの対応する形状面が回転されるように、前記送達デバイスの中心長手方向軸の周りを回転するように構成されており、
前記バルーンは、ダンベル型バルーンを含み、前記第2の膨張構成における前記ダンベル型バルーンは、第1の拡径を有する第1の部分と、第2の拡径を有する第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されて第3の拡径を有する第3の部分と、を含み、前記第3の拡径は、前記第1の拡径及び前記第2の拡径の両方よりも小さく、前記バルーンの前記形状面は、前記第1の部分の長手方向に面する形状端部を含むことを特徴とする送達デバイス。
【請求項8】
前記ダンベル型バルーンの第1の部分の長手方向に面する形状端部は、前記第1の部分の遠位端にあり、かつ、前記心臓弁プロテーゼの近位端と係合するように構成され、
前記ダンベル型バルーンの前記第2の部分は、前記心臓弁プロテーゼの遠位端と当接するように構成されている請求項7記載の送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓弁プロテーゼの経皮埋込のためのシステム及び方法に関する。より詳細には、本発明は、経カテーテル埋込を介してステント人工心臓弁を係止するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓弁は、病気により又は加齢により損傷を受ける場合があり、弁の適切な機能に関連する問題をもたらす。外科的処置による心臓弁置換術は、多くの場合、弁機能不全を抱えている患者のために用いられる。従来の開心術は、患者のかなりの心的外傷及び不快感を与え、長い回復期間を必要とし、生命を脅かす合併症をもたらす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8414645号明細書
【文献】米国特許第8876893号明細書
【文献】米国特許第8926692号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの問題に対処するために、低侵襲技術を用いて心臓弁置換術を行おうという努力がなされている。これらの方法では、腹腔鏡器具が使用され、患者の肋骨を通って小さな開口部を作って心臓へのアクセスを提供する。このような技術にかなりの努力が費やされているが、腹腔鏡器具を用いて心臓の特定の領域のみにアクセスする臨床医の能力によって、幅広い受け入れは制限されている。
【0005】
従来の開腹術及び低侵襲手術方法によって提示される問題を解決するために、更に他の努力が置換心臓弁の経皮的経カテーテル(又は経管)送達に焦点を当ててきた。このような方法では、心臓弁プロテーゼは、送達カテーテルとしても公知の送達デバイスに送達するために圧密化され、次いで、例えば生来の血管系の開口部を通って及び心臓まで進められ、ここで心臓弁プロテーゼは、弁輪(例えば、僧帽弁輪)において展開される。
【0006】
心臓弁プロテーゼの種々のタイプ及び構成は、経皮弁置換処置に利用できる。一般に、心臓弁プロテーゼ設計は、置換されている弁の機能を再現しようと試みており、従って、弁リーフレット状構造を含むことになる。心臓弁プロテーゼは、一般的に、ワイヤ又はワイヤのネットワークで作られたフレームにバイオプロテーゼ弁を取り付けることによって形成される。このような心臓弁プロテーゼは、半径方向に収縮して、送達デバイス(カテーテル)を通って経皮的に患者の身体に心臓弁プロテーゼを導入することができる。心臓弁プロテーゼは、所望の標的部位に位置決めされると半径方向に拡張することによって展開することができる。
【0007】
所望の埋込部位に心臓弁プロテーゼが適切に係止されることが重要である。幾つかの状況では、例えば、限定ではないが、生来の僧帽弁は、心臓弁プロテーゼを適切に係止することは困難な場合がある。これは、心臓弁プロテーゼ及び/又は弁傍漏出(PVL)の不要な移動につながる場合がある。
【0008】
それに応じて、心臓弁プロテーゼのための改善された係止機構及び経カテーテル送達デバイスを介して埋込された心臓弁プロテーゼをより確実に係止する方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、損傷を受けた又は病的な生来の弁の部位へのトルク係止機構を有する心臓弁プロテーゼの送達及び展開のための送達デバイスに関する。送達デバイスは、第1の非膨張構成及び第2の膨張構成を有するバルーンを含む。バルーンは、心臓弁プロテーゼの対応する形状端部と係合するように構成された形状端部を含み、送達デバイスの中心長手方向軸の周りを回転するように構成される。バルーンは、心臓弁プロテーゼの対応する形状端部を回転させるように構成される。
【0010】
本発明の実施形態はまた、損傷を受けた又は病的な生来の弁の部位への心臓弁プロテーゼの送達及び展開のための送達デバイスに関する。送達デバイスは、ハンドルに結合された内側シャフト及び内側シャフトの上に配置されたテザーシャフトを含む。テザーシャフトは、近位シャフト部分及び近位シャフト部分の遠位部分から延びる複数のテザーを含む。テザーは、心臓弁プロテーゼの端部にテザーシャフトの近位シャフト部分を係合するように構成される。テザーシャフトは、内側シャフトの周りで回転可能であり、テザー及び心臓弁プロテーゼの少なくとも一部分をそれに対応して回転させるように構成される。
【0011】
本発明の実施形態はまた、所望の埋込部位においてトルク係止機構を有する心臓弁プロテーゼを展開及び係止するための方法に関する。本方法は、トルク係止機構を含む心臓弁プロテーゼを送達デバイスにおいて半径方向に圧縮された構成で所望の埋込部位に送達するステップを含む。心臓弁プロテーゼは、所望の場所で半径方向に拡張された構成で拡張される。送達デバイスは回転し、心臓弁プロテーゼの少なくとも一部分を回転させ、所望の埋込部位においてトルク係止機構を組織の中に埋め込む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態によるトルク係止機構を有する心臓弁プロテーゼの実施形態の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による送達デバイスの実施形態の側面図である。
【
図4】
図2の送達デバイスの側面切り欠き図である。
【
図5】
図4の線5-5に沿って切り取った
図2の送達デバイスの断面図である。
【
図6A】送達構成の
図2の送達デバイスの側面切り欠き図である。
【
図6B】カプセルが後退した
図2の送達デバイス及び膨張構成のバルーンの側面切り欠き図である。
【
図7A】送達構成の送達デバイスの別の実施形態の側面切り欠き図である。
【
図7B】カプセルが後退した
図7Aの送達デバイス及び膨張構成のバルーンの側面切り欠き図である。
【
図8A】非膨張構成の第2のバルーンを含む送達構成の送達デバイスの別の実施形態の側面切り欠き図である。
【
図8B】カプセルが後退した
図8Aの送達デバイス及び膨張構成のバルーンの側面切り欠き図である。
【
図9A】送達構成の、ダンベル型バルーンを含む送達デバイスの別の実施形態の側面切り欠き図である。
【
図9B】カプセルが後退した
図9Aの送達デバイス及び膨張構成のダンベル型バルーンの側面切り欠き図である。
【
図10A】送達構成の、バルーンを含む送達デバイスの別の実施形態の側面切り欠き図である。
【
図10B】カプセルが後退した
図10Aの送達デバイス及び膨張構成のバルーンの側面切り欠き図である。
【
図11A】トルク係止機構を含む心臓弁プロテーゼの別の実施形態の図である。
【
図11B】トルク係止機構を含む心臓弁プロテーゼの別の実施形態の図である。
【
図11C】トルク係止機構を含む心臓弁プロテーゼの別の実施形態の図である。
【
図11D】トルク係止機構を含む心臓弁プロテーゼの別の実施形態の図である。
【
図12A】事前展開構成及び展開構成の
図10A~10Cの心臓弁プロテーゼの端面図である。
【
図12B】事前展開構成及び展開構成の
図10A~10Cの心臓弁プロテーゼの端面図である。
【
図13】本発明の別の実施形態によるトルク係止機構を有する心臓弁プロテーゼの斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態による送達デバイスの実施形態の分解斜視図である。
【
図17】本発明の実施形態による送達デバイスの実施形態の分解斜視図である。
【
図20】心臓弁プロテーゼを送達する方法の概略図である。
【
図21】心臓弁プロテーゼを送達する方法の概略図である。
【
図22】心臓弁プロテーゼを送達する方法の概略図である。
【
図23】心臓弁プロテーゼを送達する方法の概略図である。
【
図24】心臓弁プロテーゼを送達する方法の概略図である。
【
図25】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図26】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図27】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図28】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図29】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図30】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図31】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図32】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図33】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図34】心臓弁プロテーゼを送達する別の方法の概略図である。
【
図35】トルク係止機構を含む心臓弁プロテーゼの別の実施形態の概略図である。
【
図36】
図35の心臓弁プロテーゼの変形形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の具体的な実施形態は、図を参照して本明細書で説明され、同様の参照番号は、同一又は機能的に類似の要素を示す。用語「遠位」及び「近位」は、カテーテル又は送達デバイスを指すのに以下の説明で用いるとき、治療を行う臨床医に対する位置又は方向に関連している。従って、「遠位」及び「遠位に」は、臨床医から遠く離れた位置又は臨床医から離れた方向を指し、「近位」及び「近位に」は、臨床医の近くの位置又は臨床医に向かう方向を指す。用語「遠位の」及び「近位の」が、心臓弁プロテーゼなど容器の中に埋込されるデバイスを指すように以下の説明では用いられるとき、これらは、血流の方向を参照して用いられる。従って、「遠位の」及び「遠位に」は、血流の方向に関連して下流方向の位置を指し、「近位の」及び「近位に」は、血流の方向に関連して上流方向を指す。
【0014】
以下の詳細な説明は、本質的に例示に過ぎないが、本発明又は本発明の適用及び用途を限定することを意図するものではない。更に、前述の技術分野、背景、発明の開示又は以下の詳細な説明において提示されたあらゆる表され又は暗示された理論によって縛られるものではない。
【0015】
本明細書で記載される場合、本発明の開示の種々のシステム、デバイス、及び方法に従って及び/又はそれらの一部として用いる心臓弁プロテーゼは、組織リーフレットを有する生体心臓弁又はポリマー、金属、又は組織工学リーフレットを有するバイオ人工心臓弁などの広範な異なる構成を含むことができ、あらゆる心臓弁を置換するために具体的に構成することができる。
【0016】
一般論としては、本発明の開示に言及される場合があるような、心臓弁プロテーゼ又はステント人工心臓弁は、弁構造(組織又は合成品)を支持するフレームを含み、該フレームは、通常は半径方向に拡張された構成を有するが、送達デバイス内又はその上に装荷するために半径方向に圧縮された構成に圧潰可能である。ステントは、送達デバイスから解除されたときに自己展開又は拡張するように構成することができ、又はバルーン拡張式とすることができる。
【0017】
図1は、心臓弁プロテーゼ10の実施形態を示す。
図1は、半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ10を示す。心臓弁プロテーゼ10は、フレーム14及びフレーム14に結合された人工弁12を含む。心臓弁プロテーゼ10は、半径方向に圧潰された構成及び半径方向に拡張された構成を含む。心臓弁プロテーゼ10はまた、第1の端部26及び第1の端部26の反対側に第2の端部32を含む。フレーム14はほぼ管状であって中央通路24を定め、第1の端部34及び第2の端部36を含む。
図1に示す実施形態において、フレーム14の第1の端部34は、心臓弁プロテーゼ10の第1の端部26を定める。同様に、フレーム14の第2の端部36は、心臓弁プロテーゼ10の第2の端部32を定める。当業者であれば、スカート又はアームなどの他の特徴要素を心臓弁プロテーゼ10の一部として含めることができることを理解するであろう。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10の第1の端部26は、近位又は流入端であり、心臓弁プロテーゼ10の第2の端部32は、遠位又は流出端である。同様に、フレーム14の第1の端部34は、
図1に示すように半径方向外向きに広がる。第1の端部34にあるこの外向き広がりは、生来の僧帽弁輪の心房側と接触するように構成された流入リム15を形成する。更に、流入リム15は、ほぼ円形として示されているが、流入リムは、限定ではないが、D字形などの生来の僧帽弁に隣接して生体構造に合致するように他の形状とすることができる。フレーム14の一部分はまた、流出部25として説明することができる。流出部25はほぼ管状であり、生来の弁複合体のリーフレットを通って延びるように構成される。図示のような心臓弁プロテーゼ10は、生来の僧帽弁の部位に配置するために構成されて示されているが、心臓弁プロテーゼ10は、限定ではないが、他の生来の心臓弁の部位などの他の埋込部位に用いることができる。
【0018】
フレーム14は、それらの間に複数の開放空間17と互いに対して配列されたストラット16を含む支持構造である。フレーム14は、所望の埋込部位に所望の圧縮性及び拡張力を提供する。フレーム14はまた、人工弁12に対する支持を提供する。人工弁12は、フレーム14に結合されてその内部に配置される。
図1の実施形態において、流入リム15の半径方向外向き部は、流入リム15の半径方向外向き部がフレーム14の第2の端部36から離れてほぼ長手方向に延びるように屈曲する。流入リム15のストラット16は、流入リム15の第1の端部において複数の山18及び谷20を屈曲して形成する。
【0019】
複数のトルク係止機構22は、流入リム15に結合される。
図1に示す実施形態において、トルク係止機構22は、流入リム15の谷20に結合されるが、流入リム15の他の部分に結合されてもよい。トルク係止機構22は、心臓弁プロテーゼ10が所望の埋込部位において半径方向に拡張された構成にあって心臓弁プロテーゼ10の少なくとも一部分が回転されるとき、トルク係止機構22が所望の埋込部位において組織の中に埋め込まれるように構成される。
図1に示すように、トルク係止機構22は時計回りに延びる。しかしながら、これらは、反時計回りに延び又は何れの方向にも部分的に角度をなすことができる。更に、トルク係止機構22は、一般的に流入リム15の下側19から延びることができる。流入リム15の下側19は、心臓弁プロテーゼ10が生来の僧帽弁輪の心房側(すなわち、流出端に面する流入リムの表面)上で流入リム15と共に展開されるとき、生来の僧帽弁輪に面する表面である。トルク係止機構22は、所望の埋込部位において組織の中に埋め込むように構成された髭状部、クリップ、フック、矢又は同様のデバイスとすることができる。
図1は、単一ワイヤとして各トルク係止機構22を示すが、これは限定されるものでなく、トルク係止機構の他の構成を用いることができる。
【0020】
フレーム14は、例えば、限定ではないが、ニッケルチタニウム合金(例えば、ニチノール)、ニッケル-コバルト-クロミウム-モリブデン合金(例えば、MP35N)、コバルト-クロミウム-タングステン-ニッケル合金(L605)、ステンレス鋼、高いばね調質鋼、又はあらゆる他の金属或いは本発明の開示の目的に好適なもので形成することができる。トルク係止機構22は、フレーム14として同じタイプの材料から形成することができる。トルク係止機構22は、ストラット16の延長部とすることができ、又は例えば、限定ではないが、融合、溶接、接着剤、縫合、スナップ嵌め、締まり嵌め、他の機械的係合、又は本明細書で記載される目的に好適な他の手段によってフレーム14に結合することができる。
【0021】
心臓弁プロテーゼ10の上記理解を考慮に入れると、送達デバイス100は、本開示の構成要素、方法、及び処置と一致する送達デバイス100が
図2~5に示されている。1つの実施形態において、送達デバイス100は、一般的に、ハンドル140、カプセル107を含む外側シャフト組立体110、内側シャフト組立体104、及びバルーン150(
図2には示さず)を含む。送達デバイス100は、限定ではないが、複数管腔又は同軸構成送達デバイスなどのあらゆる標準構成送達デバイスとすることができる。他の実施形態において、カプセル107は、バルーン拡張式心臓弁プロテーゼ、又は半径方向に圧潰された構成の心臓弁プロテーゼを維持するように他の手段と共に自己拡張式心臓弁プロテーゼを用いるときなどには必要ない。ガイドワイヤ管腔123は、送達デバイス100をガイドワイヤ管腔123内に配置されたガイドワイヤ(図示せず)の上に進めることができるように、内側シャフト組立体104を通って配置される。送達デバイス100は、限定ではないが、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(商標)などのPEBAX)、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びステンレス鋼のような金属ハイポチューブなどのあらゆる好適な材料から作ることができる。
【0022】
送達デバイス100は、本発明の実施形態によるトルク係止機構22と共に心臓弁プロテーゼ10を経皮的送達、埋込及び係止をするために用いられる。
図2は、外側シャフト組立体110のカプセル107内に配置された半径方向に圧潰された構成の心臓弁プロテーゼ10を有する送達デバイス100の実施形態を示す。他の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10は、カプセルなしのバルーン上に装着することができ、又は自己拡張式心臓弁プロテーゼは、半径方向に圧潰された構成に心臓弁プロテーゼを維持するように他の手段で装着することができる。送達デバイス100及び心臓弁プロテーゼ10は、心臓弁プロテーゼ10が所望の埋込部位に及び半径方向に拡張された構成で位置決めされるとき、送達デバイス100を回転させることで心臓弁プロテーゼ10の少なくとも一部分を回転させるように構成され、トルク係止機構22は、本明細書でより説明されるように、埋込部位において組織に埋め込まれる。
【0023】
図2の送達デバイス100の例示的な実施形態による構成要素は、
図3~6Bにより詳細に提示されている。
図2~6Bに示されて以下で記載される送達デバイス100の構成要素の種々の特徴は、様々な構造及び/又は機構で修正し又はこれらに置き換えることができる。送達デバイス100の構成要素は、様々な形態及び構成を想定することができる。従って、以下の詳細な説明は、制限されるものではない。更に、以下で記載されるシステム及び機能は、ハードウェアの多くの様々な実施形態で実施することができる。記載されるあらゆる実際のハードウェアは、限定するものではない。提示するシステム及び方法の操作及び挙動は、実施形態の修正及び変形形態が提示する詳細のレベルの場合に可能であるという理解の下で説明されている。
【0024】
図3~4に概略的に示す1つの実施形態において、ハンドル140は、ハウジング142及びアクチュエータ機構144を含むことができる。より詳細には、ハンドル140は、ハウジング142によって定められてアクチュエータ機構144の一部を受け取るように構成された空洞143(
図4)を含む。
図2~4に示す1つの実施形態において、ハウジング140は、アクチュエータ機構144がユーザによってインターフェースで接続するために延びる長手方向スロット146を含むことができる。ハンドル140は、ユーザによって便利な取り扱い及び把持のための表面を提供し、図示のようにほぼ円筒形状を有することができる。
図2~4のハンドル140は円筒形状を有することが示されているが、設計を制限するものではなく、他の形状及びサイズは、適用要件に基づいて企図される。アクチュエータ機構144は、一般的に、外側シャフト組立体110の選択的後退/前進を提供するように構成される。摺動機構として示されているが、他の構成及び/又はデバイスは、限定ではないが、回転機構、内側シャフト組立体104の上に同軸状に配置された摺動機構、回転及び摺動機構の組合せ、及び当業者に公知の他の前進/後退機構などの外側シャフト組立体110を後退/前進させるのに用いることができる。
【0025】
外側シャフト組立体110は、内側シャフト組立体104の上に摺動可能に配置される。
図3~4を参照して、1つの実施形態において、外側シャフト組立体110は近位シャフト118及びカプセル107を含み、近位シャフト118の近位端130からカプセル107の遠位延長部132に延びる管腔112を定める。外側シャフト110はカプセル107及び近位シャフト118を含むと本明細書では説明されているが、カプセル107は単に近位シャフト118の延長部とすることができる。更に、外側シャフト110は、シース又は外側シースと呼ばれる場合がある。近位シャフト118は、融合、溶接、接着剤、縫合、又は本明細書で記載される目的に好適な他の手段によってカプセル107の近位端109にある接続点116においてカプセル107に固定接続するために構成される。これに代えて、近位シャフト118及びカプセル107は単体とすることができる。近位シャフト118はカプセル107から近位に延びて、近位シャフト118は、ハンドル140に接続するために構成される。より詳細には、近位シャフト118は、ハンドル140のハウジング142の中に近位に延びて、近位シャフト118の近位部分131はハンドル140のアクチュエータ機構144に接続される。近位部分131は、アクチュエータ機構144の移動が、外側シャフト組立体110を内側シャフト組立体104に対して移動させるように、アクチュエータ機構144に結合される。近位シャフト118は、例えば、限定ではないが、接着剤、溶接、クランピング、及び必要に応じて他の結合デバイスによって、アクチュエータ機構144に結合することができる。他のシャフト組立体110は、アクチュエータ機構144によってハンドル140及び内側シャフト組立体104に対してこうして移動可能である。しかしながら、アクチュエータ機構144が移動しなくてハンドル140が移動する場合、外側シャフト組立体110は、ハンドル140に対してではなく、ハンドル140と共に移動する。
【0026】
内側シャフト組立体104は、少なくとも
図4に示すように、外側シャフト組立体110の管腔112内に延びる。内側シャフト組立体104は、以下でより詳細に記載される内側シャフト114、遠位先端122、及びバルーン150を含む。内側シャフト114は、内側シャフト114の近位端134から遠位端136に延びる。内側シャフト114の遠位端136は、遠位先端122に取り付けられる。内側シャフト組立体104の構成要素は、以下でより詳細に記載されるガイドワイヤ(図示せず)及び膨張管腔192などの補助構成要素を受け取るような大きさにされた、ガイドワイヤ管腔123を定めるように組み合わせる。図示の実施形態において、送達デバイス100は、オーバーザワイヤ(OTW)を含み、ガイドワイヤ管腔123を有する複数管腔構成は、実質的に内側シャフト組立体104の全長に延びる。しかしながら、迅速な交換構成などの他の構成をまた用いることができる。内側シャフト114の近位端134はハンドル140に取り付けることができ、又はハブなどの別のデバイスに取り付けることができる。内側シャフト114は、例えば、限定ではないが、接着剤、溶接、クランピング、及び必要に応じて他の結合デバイスによってハンドル140に結合することができる。内側シャフト組立体104に対する外側シャフト組立体110の摺動又は長手方向移動中に、内側シャフト114はハンドル140に対して固定することができる。
【0027】
上述のように、内側シャフト組立体114は、膨張管腔192及びそれを貫通して延びるガイドワイヤ管腔123を含む。
図5は、外側シャフト組立体110内に配置された内側シャフト114の断面図を示す。
図5に示すように、ガイドワイヤ管腔123及び膨張管腔192は、内側シャフト114通って延びる。図示の実施形態において、膨張管腔192及びガイドワイヤ管腔123は、単一シャフトを通って延びる2つの管腔である。しかしながら、他の構成も用いることができる。
【0028】
図6A及び6Bは、送達構成で配置された心臓弁プロテーゼ10を有する送達デバイス100の遠位部分を示す。心臓弁プロテーゼ10は、外側シャフト組立体110のカプセル107内及び内側シャフト114の上に配置される。バルーン150は、心臓弁プロテーゼ10の近位に配置され、内側シャフト114に結合される。
図6Aに示す送達構成では、バルーン150は、外側シャフト組立体110内に配置される。
図6A及び6Bに示す実施形態において、バルーン150の近位端154は、近位ボンド155において内側シャフト144に取り付けられる。同様に、バルーン150の遠位端156は、遠位ボンド(図示せず)において内側シャフト114に取り付けられる。内側シャフト114は、バルーン150/内側シャフト114の遠位ボンドを越えて遠位に続く。膨張管腔192は、バルーン150の内部151の中に開いている膨張ポート196を含む。
【0029】
バルーン150の遠位端156はまた、形状端部152として説明することができる。形状端部152は、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の第1の端部34と係合するように形作られる。1つの実施形態において、形状端部152は、遠位に延びる複数の山及び近位に延びる谷160を含む。山158及び谷160は、中心長手方向軸LAcから半径方向に離間される。山158及び谷160は、フレーム14の第1の端部34の山18及び谷20の反対側、詳細には
図1の流入リム15の半径方向外側部分に配列することができる。バルーン150は非膨張構成であり、
図6Aに示すように送達のために外側シャフト組立体110内に配置され、
図6Bに示すようにフレーム14と係合してそれを回転させるように膨張構成に膨張される。バルーン150は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又はポリウレタンなどのあらゆる好適な材料で構成された柔軟な高摩擦バルーンとすることができる。更に、バルーン150は、バルーンが第2の(膨張)構成にあるとき、心臓弁プロテーゼ10との係合(摩擦接触)を増大させるように外壁面上に3次元パラメータ又はテクスチャを含むことができる。
【0030】
構成要素の上記理解を考慮に入れて、本開示の構成要素の作動及び相互作用は、本明細書で説明することができる。
図6Aに示すように、心臓弁プロテーゼ10は、外側シャフト組立体110のカプセル107内に半径方向に圧縮された構成で配置される。また、バルーン150は膨張されない。送達デバイス100は、生来の僧帽弁の部位などの埋込部位に送達される。埋込部位にあるとき、外側シャフト組立体110は近位に後退され、これにより、カプセル107を近位に後退させる。カプセル107は、心臓弁プロテーゼ10を露出するだけ十分に近位に後退される。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10は自己拡張式である。従って、カプセル107の後退は、心臓弁プロテーゼ10が半径方向に拡張された構成に自己拡張できるようにする。カプセル107は更に近位に後退することができ、又は更に最初は後退されている場合があり、その結果、バルーン150はカプセル107によって覆われなくなる。限定ではないが、生理食塩水などの膨張流体は、
図6Bに示すように、膨張管腔192を通って膨張ポート196から外へ及びバルーン150の内部151の中に注入され、これにより、バルーン150を膨張させる。送達デバイス100は、必要に応じて、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形作られた第1の端部34とバルーン150の形状端部152を整列するように回転することができる。送達デバイス100はまた、必要に応じて長手方向に前進することができ、その結果、バルーン150の形状端部152は、
図6Bに示すように、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形状端部の第1の端部34と係合するようになる。係合実施形態において、バルーン150の山158は心臓弁プロテーゼ10の対応する谷20と係合し、バルーン150の谷160は心臓弁プロテーゼ10の対応する山18と係合する。
【0031】
バルーン150の形状端部152が心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形作られた第1の端部24と係合された状態で、送達デバイス100は、中心長手方向軸LAcに対して方向Rrに回転することができ、これにより、形状端部152がフレーム14の対応する形作られた第1の端部34と係合するように方向Rrに回転トルクを加えるように、方向Rrにバルーン150の形状端部152を回転させる。この回転トルクは、トルク係止機構が所望の埋込部位において組織に埋め込まれるように、方向Rrに心臓弁プロテーゼ10を回転させる。別の言い方をすれば、膨張したバルーン150、半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ10、及び心臓弁プロテーゼ10の形作られた第1の端部26と係合したバルーン150の形状端部152によって、送達デバイス100は、トルク係止機構22を組織に埋め込むように方向Rrに回転され、これにより、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位において組織に係止する。次いで、バルーン150を収縮することができ、送達デバイス100は、患者から引き戻すことができ、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位に埋込したままにする。
【0032】
図6A~6Bは、バルーン150及び心臓弁プロテーゼ10の特定の実施形態を示す。上述のように、この特定の実施形態は、設計を制限するものではない。従って、例えば、限定ではないが、バルーン150の形状端部152は、遠位端156の代わりに近位端154にあってもよく、心臓弁プロテーゼ10は、バルーン150の近位端154が心臓弁プロテーゼ10の形状遠位端と係合することができるように、バルーン150の近位に配置されることになる。更に、
図6A及び6Bに示すバルーン150の特定の数の山158及び谷160は、単に実施例に過ぎず、心臓弁プロテーゼ10の形状端部において対応する数の山及び谷に一致するように増加又は減少する場合がある。
【0033】
図7A~7Bは、心臓弁プロテーゼ10を送達及び展開するための送達デバイス100′の別の実施形態の遠位部分を示す。送達デバイス100′は、
図6A~6Bの実施形態に類似しているので、ここでは実施形態間の相違点のみを詳細に説明する。具体的に記載されていない特徴は、
図6A~6Bの実施形態又は本明細書で記載される他の実施形態に関して説明したものと同様とすることができる。
図7A~7Bの実施形態において、上述のように、ガイドワイヤ管腔123及び膨張管腔192を有する内側シャフトの代わりに、内側シャフト組立体104′は、ガイドワイヤシャフト114′の上に同軸状に配置された膨張シャフト190を有するガイドワイヤシャフト114′を含む。ガイドワイヤ管腔123′は、ガイドワイヤシャフト114′を通って延び、膨張管腔192′は、ガイドワイヤシャフト114′の外面と膨張シャフト190の内面との間に定められる。
【0034】
図7A~7Bに示す実施形態において、バルーン150の近位端154は、近位ボンド155′において膨張シャフト190に取り付けられる。膨張シャフト190は、膨張ポート196′が膨張シャフトの遠位端194とガイドワイヤシャフト114′との間に形成されるように、バルーン150の遠位端156より前で終端する。バルーン150の遠位端156は、遠位ボンド(図示せず)においてガイドワイヤシャフト114′に取り付けられる。膨張流体が膨張管腔192′への注入であると、膨張流体は、
図7Bに示すように、膨張ポート196′を通って膨張管腔192′から流出し、バルーン150の内部151に入り、これにより、バルーン150を膨張させる。
【0035】
図8A~8Bは、送達デバイス100′′の別の実施形態の遠位部分を示す。送達デバイス100′′は、第1のバルーン150及び第2のバルーン162を含む。
図8Aは、その中に配置されたトルク係止機構22を含む心臓弁プロテーゼ10を備えた送達デバイス100′′を示す。
図8Aは、第1のバルーン150及び第2のバルーン162が膨張されないように、外側シャフト組立体110内に配置された第1のバルーン150、第2のバルーン162、及び心臓弁プロテーゼ10と共に送達構成の送達デバイス100′′を示し、心臓弁プロテーゼ10は半径方向に圧縮された構成にある。
【0036】
送達デバイス100′′は、第2のバルーン162の追加及び第2のバルーン162までの遠位方向の膨張管腔192′′の延長部がある以外は、送達デバイス100に類似している。従って、具体的に以下で言及する相違点以外は、送達デバイス100′′の要素は、
図2~6Bの対応する要素と同じ又は類似しているとすることができる。詳細には、送達デバイス100′′の近位部分は、詳細には説明せず、
図2~4に関して上述した送達デバイス100の近位部分に類似しているとすることができる。
【0037】
図8A~8Bに示すように、第2のバルーン162は、近位ボンド163において内側シャフト114に取り付けられた近位端164と、遠位ボンド165において内側シャフト114に取り付けられた遠位端166とを含む。第2のバルーン162は、第2のバルーンの近位端164が心臓弁プロテーゼ10の隣接する第2の端部32であるように、心臓弁プロテーゼの遠位に配置される。第1のバルーン150は、心臓弁プロテーゼ10の近位に配置されて、内側シャフト114に結合される。
図8Aに示す送達構成では、バルーン150は外側シャフト組立体110内に配置される。
図8A~8Bに示す実施形態において、第1のバルーン150の近位端154は、近位ボンド155において内側シャフト114に取り付けられ、バルーン150の遠位端156は、遠位ボンド157において内側シャフト114に取り付けられる。内側シャフト114は遠位ボンド155を越えて遠位に続く。
【0038】
内側シャフト114の膨張管腔192′′は、第2のバルーン162の内部に開いた第2の膨張ポート208まで遠位に延伸される。第2の膨張ポート208は、膨張管腔192′′を通して注入された膨張流体が、第2の膨張部分208から出て第2のバルーン162の内部に入るように、第2のバルーン162の近位端64と遠位端166との間に配置され、これにより、第2のバルーン162を膨張させる。
図6A~6Bの実施形態にあるように、膨張管腔192′′の中に注入された膨張流体は、膨張部分196“から出て第1のバルーン150の内部151に入り、これにより、第1のバルーン150を膨張させる。
【0039】
図6A~6Bの実施形態にあるように、バルーン150の遠位端154は、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の第1の端部34と係合するように形作られた形状端部152である。1つの実施形態において、形状端部152は、遠位に延びる複数の山158及び近位に延びる谷160含む。山158及び谷160は、中心長手方向軸LAcから半径方向に離間される。山158及び谷160は、フレーム14の第1の端部34の山18及び谷20の反対側に配列される。第1のバルーン150は、
図8Aに示すように、非膨張構成にあり、送達のために外側シャフト組立体110内に配置され、
図8Bに示すように、膨張構成に膨張され、フレーム14と係合してそれを回転させる。第1のバルーン150は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又はポリウレタンなどのあらゆる好適な材料で構成された柔軟な高摩擦バルーンとすることができる。
【0040】
構成要素の上記理解を考慮に入れて、本発明の開示の構成要素の動作及び相互作用について、本明細書で説明することができる。
図8Aに示すように、心臓弁プロテーゼ10は、外側シャフト組立体110のカプセル107内に半径方向に圧縮された構成で配置される。第1のバルーン150及び第2のバルーン162は膨張されない。送達デバイス100′′は、生来の僧帽弁の部位などの埋込部位に送達される。埋込部位にあるとき、外側シャフト組立体110は近位に後退され、これにより、カプセル107を近位に後退させる。カプセル107は、心臓弁プロテーゼ10を露出するだけ十分に近位に後退される。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10は自己拡張式である。従って、カプセル107の後退は、心臓弁プロテーゼ10が半径方向に拡張された構成に自己拡張できるようにする。カプセル107は更に近位に後退することができ、又は更に最初は後退されている場合があり、その結果、第1のバルーン150はカプセル107によって覆われなくなる。限定ではないが、生理食塩水などの膨張流体は、
図8Bに示すように、膨張管腔192′′を通して膨張ポート196′′及び206から外へ及び第1のバルーン150の内部151及び第2のバルーン162の内部の中に注入され、これにより、第1のバルーン150及び第2のバルーン162を膨張させる。送達デバイス100′′は、必要に応じて、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形作られた第1の端部34と第1のバルーン150の形状端部152を整列するように回転することができる。送達デバイス100はまた、必要に応じて長手方向に前進することができ、その結果、第1のバルーン150の形状端部152は、
図8Bに示すように、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形作られた第1の端部34と係合するようになる。係合実施形態において、第1のバルーン150の山158は心臓弁プロテーゼ10の対応する谷20と係合し、第1のバルーン150の谷160は心臓弁プロテーゼ10の対応する山18と係合する。詳細には、第1のバルーン150の形状端部152は、心臓弁プロテーゼ10の流入リム15の半径方向外向き屈曲部の山及び谷と係合する。
【0041】
第2のバルーン162が膨張すると、近位端164は、
図8Bに示すように、心臓弁プロテーゼ10が半径方向に拡張された構成にあるとき心臓弁プロテーゼ10の遠位端32と係合することができる。第2のバルーン162は、心臓弁プロテーゼ10が回転して、トルク係止機構22が所望の埋込部位において組織に埋め込まれると、送達デバイス100′′に対して中心長手方向軸LAcに沿って心臓弁プロテーゼ10に長手方向安定性を提供するように構成される。第2のバルーン162は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又はポリウレタンなどのあらゆる好適な材料で構成された柔軟な高摩擦バルーンとすることができる。
【0042】
心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形作られた第1の端部24と係合する第1のバルーン150、及びフレーム14の第2の端部36と当接する第2のバルーン162の形状端部152によって、送達デバイス100′′は、中心長手方向軸LAcに対して方向Rrに回転することができ、これにより、形状端部152がフレーム14の対応する形作られた第1の端部34と係合するように方向Rrに回転トルクを加えるように、方向Rrに第1のバルーン150の形状端部152を回転させる。この回転トルクは、トルク係止機構22が所望の埋込部位において組織に埋め込まれるように、方向Rrに心臓弁プロテーゼ10を回転させる。別の言い方をすれば、膨張した第1のバルーン150及び第2のバルーン162、半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ10、及び心臓弁プロテーゼ10の形作られた第1の端部26と係合したバルーン150の形状端部152によって、送達デバイス100′′は、トルク係止機構22を組織に埋め込むように方向Rrに回転され、これにより、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位において組織に係止する。次いで、第1及び第2のバルーン150、162を収縮することができ、送達デバイス100′′は、患者から引き戻すことができ、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位に埋込したままにする。
【0043】
図8A~8Bは、
図6A~6Bの実施形態と同様に、膨張管腔192′′及び内側シャフト114を通って延びるガイドワイヤ管腔123を示す。しかしながら、単一膨張管腔192′′の代わりに、第1のバルーン150のための1つ及び第2のバルーン162のためのもう1つの2つの膨張管腔があってもよい。加えて、
図7A~7Bの実施形態と同様に、内側シャフトを通る多重管腔の代わりに、環状管腔を有する複数の同軸シャフトを用いることができる。このような実施形態において、単一膨張シャフトは、ガイドワイヤシャフトと膨張シャフトとの間で膨張管腔と共に用いることができる。膨張シャフトは、第1のバルーンにおいて膨張シャフト及び第2のバルーンにおいて膨張ポート開口部を通って膨張ポートと共に第2のバルーンまで延びる。これに代えて、2つの環状膨張シャフトを用いることができ、1つは第1のバルーンで終端し、二番目は第2のバルーンで終端する。ガイドワイヤ管腔及び膨張管腔の他の配列は、当業者に理解されるように利用することができる。
【0044】
図9A~9Bは、送達デバイス100′′′の別の実施形態の遠位部分を示す。送達デバイス100′′′は、ダンベル型バルーン170を含む。
図9Aは、その中に配置されたトルク係止機構22を含む心臓弁プロテーゼ10を有する送達デバイス100′′′を示す。
図9Aは、ダンベル型バルーン170を有する送達構成の送達デバイス100′′′、及びダンベル型バルーン170が膨張されない外側シャフト組立体110及び半径方向に圧縮された構成の心臓弁プロテーゼ10内に配置された心臓弁プロテーゼを示す。
【0045】
送達デバイス100′′′は、ダンベル型バルーン170がバルーン150を置換することを除いて
図2~6Bの送達デバイス100に類似しており、
図9A~9Bの膨張管腔210は、
図2~6Bの膨張管腔192とは異なる。従って、具体的に以下で言及する差以外は、送達デバイス100′′′の要素は、
図2~6Bの対応する要素と同じ又はそれらに類似している。詳細には、送達デバイス100′′′の近位部分は、詳細には説明されず、
図2~4に関連して上で説明した送達デバイス100の近位部分に類似している場合がある。
【0046】
図9Bに示すように、ダンベル型バルーン170は、第1の部分172、第2の部分180、及び第1の部分172と第2の部分180との間に配置された第3の部分186を含む。第1の部分172の近位端176は、
図9Aに示すように、近位ボンド175において内側シャフト114に取り付けられ、第2の部分180の遠位端184は遠位ボンド185において内側シャフト114に取り付けられる。バルーン170の第1の部分172は心臓弁プロテーゼ10の近位に配置され、第2の部分180は心臓弁プロテーゼ10の遠位に配置される。ダンベル型バルーン170の第3の部分186は、心臓弁プロテーゼ10の下に配置される。換言すると、心臓弁プロテーゼ10は、ダンベル型バルーン170の第3の(中間)部分186上に配置される。
図9Aに示す送達構成では、ダンベル型バルーン170は、外側シャフト組立体110内に配置される。
図9A~9Bの実施形態において、ダンベル型バルーン170は、上述の及び以下でより詳細に記載される部分を形成するように形作られた単一バルーンである。しかしながら、ダンベル型バルーン170は、その代わりに3つの別個のバルーンとすることができる。これに代えて、ダンベル型バルーン170は単一バルーンとすることができ、上述の3つの部分は、バルーンの別個の構成要素とすることができる。
【0047】
図9A~9Bの内側シャフト組立体104は、
図6A~6Bの内側シャフト組立体104に類似しており、ガイドワイヤ管腔123及びそこを貫通して延びる膨張管腔210を有する内側シャフト114を含む。膨張管腔210は、ダンベル型バルーン170と流体連通状態にある。
図9A~9Bに示す実施形態において、膨張管腔は、第1の部分172と流体連通状態の第1の膨張部分216と、第2の部分180と流体連通状態の第2の膨張ポート218と、第3の部分186と流体連通状態の第3の膨張部分220とを含む。しかしながら、ダンベル型バルーン170が、上で説明したように単一の内部を有する単一バルーンである場合、各部分のための膨張部分は必要ではない。ダンベル型バルーン170の各部分が別個の部分であり、又は一部が別個の構成要素である場合、各バルーン/構成要素につき1つの少なくとも3つの膨張ポートが必要である。
【0048】
図9Bに示すように、ダンベル型バルーン170の第1の部分172の遠位端178は、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の第1の端部34と係合するように形作られた形状端部174である。1つの実施形態において、形状端部174は、遠位に延びる複数の山175及び近位に延びる複数の谷174を含む。山175及び谷177は、中心長手方向軸LAcから半径方向に離間される。山175及び谷177は、フレーム14の第1の端部34の山18及び谷20の反対側に配列される。ダンベル型バルーン170は、
図9Aに示すように、非膨張構成にあって送達のために外側シャフト組立体110内に配置され、
図9Bに示すように、フレーム14と係合してそれを回転させるように膨張構成に膨張される。ダンベル型バルーン170は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又はポリウレタンなどのあらゆる好適な材料で構成された柔軟な高摩擦バルーンとすることができる。
【0049】
図9Bは、膨張構成のダンベル型バルーン170を示す。ダンベル型バルーン170の第1の部分172は、膨張構成の第1の拡径Dfを有する。ダンベル型バルーン170の第2の部分180は、膨張構成の第2の外径Dsを有する。第2の部分180の近位端182は、近位端182が心臓弁プロテーゼ10の第2の端部32と当接するように構成される。第2の部分180は、心臓弁プロテーゼ10が回転して、トルク係止機構22が所望の埋込部位において組織に埋め込まれると、送達デバイス100′′′に対して中心長手方向軸LAcに沿って心臓弁プロテーゼ10に長手方向安定性を提供するように構成される。別の言い方をすれば、ダンベル型バルーン170の第2の部分180が膨張構成にあるとき、第2の部分180は、心臓弁プロテーゼ10の形状端部26がダンベル型バルーン170の第1の部分172の形状端部174から係合解除するのを阻止するように構成される。ダンベル型バルーン170の第3の部分186は、膨張構成にあるとき、第3の拡径Dtを有する。第3の部分186は、第3の部分186が膨張構成にあるとき、第3の部分186の外面189が心臓弁プロテーゼ10の内面と係合するように構成される。別の言い方をすれば、ダンベル型バルーン170の第3の部分186が膨張構成にあるとき、第3の部分186は、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14を支持する中心長手方向軸LAcから外向きに半径方向力を提供する。第1、第2、及び第3の部分172、180、及び186が各々膨張構成にあるとき、第3の拡径Dtは、第1の拡径Df及び第2の拡径Dsの両方よりも小さい。
【0050】
構成要素の上記理解を考慮に入れて、本発明の開示の構成要素の作動及び相互作用について、本明細書で説明することができる。
図9Aに示すように、心臓弁プロテーゼ10は、外側シャフト組立体110のカプセル107内に半径方向に圧縮された構成で配置される。ダンベル型バルーン170は膨張されない。他の実施形態において、及び特に心臓弁プロテーゼ10の内面と係合するダンベル型バルーン170の第3の部分186によって、カプセル107を除外することができる。詳細には、心臓弁プロテーゼ10はバルーン拡張式とすることができる。送達デバイス100′′′は、生来の僧帽弁の部位などの埋込部位に送達される。埋込部位にあるとき、外側シャフト組立体110は近位に後退され、これにより、カプセル107を近位に後退させる。カプセル107は、心臓弁プロテーゼ10を露出するだけ十分近位に後退される。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10は自己拡張式である。従って、カプセル107の後退は、心臓弁プロテーゼ10が半径方向に拡張された構成に自己拡張できるようにする。カプセル107は更に近位に後退することができ、又は更に最初は後退されている場合があり、その結果、ダンベル型バルーン170の第1の部分172はカプセル107によって覆われなくなる。限定ではないが、生理食塩水などの膨張流体は、
図9Bに示すように、膨張管腔210を通って膨張ポート216、218、及び220から外へ及びダンベル型バルーン170の第1、第2、及び第3の部分172、180、及び186の内部の中に注入され、これにより、ダンベル型バルーン170を膨張させる。他の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10はバルーン拡張式とすることができ、カプセル107を取り除くことができる。このような送達デバイスが埋込部位にあるとき、ダンベル型バルーン170は膨張され、これにより、心臓弁プロテーゼ10を拡張する。ダンベル型バルーン170の第1の部分172の形状端部174は、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形作られた第1の端部34と整列される。1つの実施形態において、ダンベル型バルーン170の第1の部分172の山175は、心臓弁プロテーゼ10の対応する谷20と係合し、ダンベル型バルーン170の谷177は、心臓弁プロテーゼ10の対応する山18と係合する。同様に、ダンベル型バルーン170の第2の部分180の近位端182は、心臓弁プロテーゼ10の第2の端部34と当接する。1つの実施形態において、心臓弁プロテーゼ10は、バルーン170が第2の(膨張)構成にあるとき、バルーン170の第1の部分172と第3の部分186との間に圧縮して保持することができる。
【0051】
心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の形作られた第1の端部24と係合されたダンベル型バルーン170の第1の部分172、及びフレーム14の第2の端部36と当接するダンベル型バルーン170の第2の部分180の形状端部174によって、送達デバイス100′′′は、中心長手方向軸LAcに対して方向Rrに回転することができ、これにより、形状端部174が、方向Rrの回転トルクをフレーム14の係合された対応する形作られた第1の端部34に加えるように、方向Rrにダンベル型バルーン170を回転させる。この回転トルクは、トルク係止機構22が所望の埋込部位において組織に埋め込まれるように、方向Rrに心臓弁プロテーゼ10を回転させる。別の言い方をすれば、膨張したダンベル型バルーン170、半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ10、及び心臓弁プロテーゼ10の形作られた第1の端部26と係合されたダンベル型バルーン170の第1の部分172の形状端部174によって、送達デバイス100′′′は方向Rrに回転して、トルク係止機構22を組織に埋め込み、これにより、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位において組織に係止する。次いで、ダンベル型バルーン170を収縮することができ、送達デバイス100′′′は、患者から引き戻すことができ、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位に埋込したままにする。
【0052】
図10A~10Cは、送達デバイス100′′′′の別の実施形態の遠位部分を示す。送達デバイス100′′′′はバルーン250を含む。
図10Aは、その中に配置されたトルク係止機構22(
図10B)を含む心臓弁プロテーゼ10を有する送達デバイス100′′′′を示す。
図10Aは、バルーン250を有する送達構成の送達デバイス100′′′′及び外側シャフト組立体110内に配置された心臓弁プロテーゼ10を示す。バルーン250は膨張されず、心臓弁プロテーゼ10は半径方向に圧縮された構成にある。
【0053】
送達デバイス100′′′′は、バルーン250がバルーン150を置換することを除いて
図2~6Bの送達デバイス100に類似しており、心臓弁プロテーゼ10内に配置される。従って、具体的に以下で言及する差以外に、送達デバイス100′′′′の要素は、
図2~6Bの対応する要素と同じ又はそれらに類似している。詳細には、送達デバイス100′′′′の近位部分は詳細には説明されず、
図2~4に関連して上で説明した送達デバイス100の近位部分に類似している場合がある。
【0054】
図10Aに示すように、バルーン250の近位端254は、近位ボンド255において内側シャフト114に取り付けられ、遠位端256は、遠位ボンド257において内側シャフト114に取り付けられる。バルーン250は、心臓弁プロテーゼ10の下に(内部に)配置される。換言すると、心臓弁プロテーゼ10はバルーン250上に配置される。
図10Aに示す送達構成では、バルーン250は、こうして外側シャフト組立体110内に配置される。
【0055】
図10A~10Bの内側シャフト組立体104は、ガイドワイヤ管腔123及びそれを貫通して延びる膨張管腔192を有する内側シャフト114を含む、
図6A~6Bの内側シャフト組立体104に類似している。膨張管腔192は、バルーン250と流体連通状態にある。
図10A~10Bに示す実施形態において、膨張管腔192は、バルーン250と流体連通状態の膨張ポート196を含む。
【0056】
図10Bに示され、より詳細には
図10Cに示されるように、バルーン250の外面253は形状部分252を含む。1つの実施形態において、形状部分252は、バルーン250が膨張されるとき、開放空間17の中に延びて心臓弁プロテーゼ10のフレーム14と係合するように構成される。1つの実施形態において、形状部分252は、バルーン250の外面253から半径方向外向きに延びる複数の突起部258を含む。心臓弁プロテーゼ10は、突起部258がフレーム14の対応する開放空間17の反対側に配列されるように、バルーン250の上に位置付けられる。バルーン250は、
図10Aに示すように、非膨張構成にあって送達のために外側シャフト組立体110内に配置され、各突起部258が対応する開放空間17を通って半径方向に延びるように、膨張構成に膨張される。膨張構成にあるとき、各突起部258の外面は、
図10Bに示すように、バルーン250の回転がフレーム14と係合してそれを回転させるように、隣接するストラット16と係合する。バルーン250は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又はポリウレタンなどのあらゆる好適な材料で構成された柔軟な高摩擦バルーンとすることができる。
【0057】
図10Bは、膨張構成のバルーン250を示す。バルーン250は、バルーン250が膨張構成にあるとき、バルーン250の外面253が心臓弁プロテーゼの内面と係合するように更に構成される。従って、バルーン250が膨張構成にあるとき、バルーン250は、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14を支持する中心長手方向軸LAcから外向きに半径方向力を提供し、フレーム14と係合してそれを回転させるように構成される。
【0058】
構成要素の上記理解を考慮に入れて、本発明の開示の構成要素の動作及び相互作用について、本明細書で説明することができる。
図10Aに示すように、心臓弁プロテーゼ10は、外側シャフト組立体110のカプセル107内に半径方向に圧縮された構成で配置される。バルーン250は非膨張構成にあり、心臓弁プロテーゼ10内に配置される。他の実施形態において、上述のように、カプセル107を除外することができる。送達デバイス100′′′′は、生来の僧帽弁の部位などの埋込部位に送達される。埋込部位にあるとき、外側シャフト組立体110は近位に後退され、これにより、カプセル107を近位に後退させる。カプセル107は、その中に心臓弁プロテーゼ10及びバルーン250を露出するだけ十分近位に後退される。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10は自己拡張式である。従って、カプセル107の後退は、心臓弁プロテーゼ10が半径方向に拡張された構成に自己拡張できるようにする。限定ではないが、生理食塩水などの膨張流体は、
図10Bに示すように、膨張管腔192を通って膨張ポート196から外へ及びバルーン250の内部の中に注入され、これにより、バルーン250を膨張させる(非膨張から膨張構成に移行する)。他の実施形態において、心臓弁プロテーゼ10はバルーン拡張式とすることができ、カプセル107を取り除くことができる。このような送達デバイスが埋込部位にあるとき、バルーン250は膨張され、これにより、心臓弁プロテーゼ10を拡張する。バルーン250の形状部分252の突起部258は、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の隣接するストラット16の間で開放空間17と整列される。
【0059】
バルーン250の形状部分252が心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の開放空間17及びストラット16と係合した状態で、送達デバイス100′′′′は、中心長手方向軸LAcに対して方向Rrに回転することができ、これにより、形状部分252が方向Rrの回転トルクを係合された対応するフレーム14に加えるように、方向Rrにバルーン250を回転させる。この回転トルクは、トルク係止機構22が所望の埋込部位において組織に埋め込まれるように、方向Rrに心臓弁プロテーゼ10を回転させる。別の言い方をすれば、膨張したバルーン250、半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ10、及び心臓弁プロテーゼ10のフレーム14と係合されたバルーン250の形状端部250によって、送達デバイス100′′′′は方向Rrに回転して、トルク係止機構22を組織に埋め込み、これにより、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位において組織に係止する。次いで、バルーン250を収縮することができ、送達デバイス100′′′′は、患者から引き戻すことができ、心臓弁プロテーゼ10を所望の埋込部位に埋込したままにする。
【0060】
上で説明した実施形態の何れかの特徴は、上で説明した他の実施形態の何れかと共に用いることができる。更に、幾つかのバルーン、膨張管腔、膨張ポート、及び同様の品目の変更は、本発明の範囲内で行うことができる。例えば、限定ではないが、上で説明した及び以下で記載される送達デバイスはまた、外側シャフト組立体110の外側に配置された外側安定性シャフトを含むことができる。送達デバイスの他の詳細は、Dworkの米国特許第8,414,645号、Dworkの米国特許第8,876,893号、Dworkの米国特許第8,926,692号で説明した通りとすることができ、これらの特許の各々はその全体が本明細書に組み込まれる。上で説明したもの以外の材料はまた、本発明の範囲内で用いることができる。
【0061】
図11A~11D及び12A~12Bは、トルク係止機構530を含む心臓弁プロテーゼ500の別の実施形態を示す。心臓弁プロテーゼ500は、フレーム502及びフレーム502に結合された人工心臓弁504(
図11C~11Dを参照)を含む。人工心臓弁504は、当業者に公知のあらゆる好適な人工心臓弁とすることができ、2リーフレット、3リーフレット(図示の)又はあらゆる他の好適な設計とすることができる。フレーム502は、流入リム510及び流出管520を含むことができる。流入リム510及び流出管520は、別個の部品とする必要はなく、一般的に、流出管520から半径方向外向きに広がる流入リム510を有する単体構造とすることができる。流入リム510及び流出管520を含むフレーム502は、当業者には公知のように、これらの間に形成された空間又は開口部513を有する複数のストラット512によって形成することができる。フレーム502は、治療部位において送達のために半径方向に圧縮可能であり、展開のために半径方向に拡張可能である。
図11A~11D及び12A~12Bは、半径方向に拡張された構成のフレーム502を示す。フレーム502は、自己拡張式又はバルーン拡張式とすることができる。フレーム502は、限定ではないが、ニッケルチタニウム合金(例えば、ニチノール)、ニッケル-コバルト-クロミウム-モリブデン合金(例えば、MP35N)、ステンレス鋼、高いばね調質鋼、或いはあらゆる他の金属又は本発明の開示の目的に好適な他の材料などの材料から形成することができる。
【0062】
フレーム502は、心臓弁プロテーゼ500の第1又は流入端506及び第2又は流出端508を定める。フレーム502はほぼ管状であって、それを貫通して中央通路524を定める。人工弁504は、
図11C及び11Dに示すように、中央通路504に配置される。
【0063】
心臓弁プロテーゼ500のトルク係止機構530は、
図11A~11D及び12A~11Bに示すように、複数の髭状部534を有するリング532を含み、それはリング532から半径方向外向きに延びる。図示の実施形態において、リング532は、リング532の内面が流出管520の外面を囲むように、流出管520の上に(周囲に)配置される。リング532は、以下でより詳細に説明されるように、流出管520及び流入リム510に対して回転可能である。リング532はまた、リング532が経管送達のために半径方向に圧縮され、展開のために治療部位において拡張可能とすることができる。リング532は、自己拡張式又はバルーン拡張式とすることができる。
【0064】
各髭状部534は、リング532と反対の端部に遠位先端536を含む。遠位先端536は、組織との係合を補助するように鋭い先端とすることができる。各髭状部534は、リング532から別個に形成されてそれに取り付けることができ、又はリング532と単一的に形成することができる。髭状部534は、
図11A~11D及び12Aにおいてリング532から直接半径方向外向きに延びることが示されている。しかしながら、図示の実施形態において、髭状部534は、
図12Bに示すように角度をなす。詳細には、各髭状部534は、
図12Bに示すように、リング532、屈曲部533から直接半径方向外向きに延びる第1の部分535と、その髭状部534の第1の部分を通って延びる半径方向Rdに対してある角度αで延びる第2の部分537とを含む。角度αは10~90度とすることができる。図示の実施形態において、髭状部534は、
図12Bに示す屈曲形状に事前設定され、以下で記載される外力によって
図11A~11C及び12Aに示す半径方向外向き方向に保持される。従って、外力の除去により、髭状部534は
図12Bに示す事前設定屈曲形状に戻る。
図12Bは、髭状部534のための特定の形状を示すが、それは制限されるものではない。他の形状、角度、及び屈曲部は、本発明の開示と一致して用いることができる。髭状部534が事前設定屈曲部を有するために、これらは、限定ではないが、ニッケルチタニウム合金(例えば、ニチノール)、ニッケル-コバルト-クロミウム-モリブデン合金(例えば、MP35N)、ステンレス鋼、高いばね調質鋼、或いはあらゆる他の金属又は本発明の開示の目的に好適な他の材料を含む形状記憶材料で形成することができる。
【0065】
図11A~11D及び12Aに示すように、髭状部534は、送達及び事前展開のために直線状の、直接半径方向外向き方向に後退することができる。詳細には、
図11Bに示すように、流入部510の特定のストラット512は、髭状部534を半径方向外向き構成に拘束するリップ514を各々含むことができる。リップ514は、流入部のそれぞれのストラット512の延長部として構成することができる。リップ514は、拘束されたほぼ半径方向外向き方向にあるとき、それぞれの髭状部534の長手方向軸にほぼ垂直な心臓弁プロテーゼ500の長手方向軸LAにほぼ平行な方向に延びることができる。リップ514は、その代わりにそれぞれのストラット512において溝として構成することができ、その結果、髭状部534は少なくとも部分的に溝に着座するようになり、これにより、髭状部534が事前設定屈曲構成に戻らないようにする。リップ514はまた、力がリップ514の拘束力に打ち勝つように加えられるまで、リング532が中心長手方向軸LAの周囲で回転するのを阻止し、これにより、以下でより詳細に記載されるように、リング532を回転させて髭状部534がこれらの事前設定屈曲構成に戻ることを可能にする。
【0066】
リング532はまた、流出部520に沿って長手方向に移動しないようにすることができる。リング532は、リング532が中心長手方向軸LAの周りを回転することを依然として可能にしながら、リップ、溝、又はあらゆる他の方法によってリング532が流出部520に沿って長手方向に摺動するのを阻止しないようにすることができる。
図11Cに示す1つの非限定的な実施形態において、溝522は、流出管520の一部分の周囲で円周方向に提供される。リング532は溝522に配置され、このようなリング532は、第2の(流出)端部508に向かって長手方向移動を阻止する肩部524と、第1の(流入)端部506に向かって長手方向移動を阻止する流入リム510との間に配置されるように、溝522に配置される。
図11Dに示す別の非限定的な実施例では、リップ526は、リング532の遠位の流出部520から半径方向外向きに延びることができる。従って、リング532は、リップ526が遠位(流出)方向にリング532の長手方向移動を阻止し、流入部510が近位(流入)方向にリング532の長手方向移動を阻止するように、リップ526と流入リム510との間に配置される。リップ526は、流出部520の円周の周囲に配置された連続リップとすることができ、又は複数のリップ526は、流出部520の円周の周囲に断続的に配置(すなわち、互いに離間)することができる。
【0067】
トルク係止機構530は、髭状部534を所望の埋込部位において組織に埋め込むことができるように、送達デバイス(その実施例は以下で説明される)がトルク係止機構530と相互に作用してリング532を回転させることができるように構成される。
図11A~11D及び12A~12Bに示す実施形態において、トルク係止機構530のリング532は、送達システムのための複数の接続点538を含む。1つの実施形態において、接続点538は、以下でより詳細に記載されるように、送達システムのテザー又はロッドが接続するためのリング532を通って配置された開口部である。
図12A~12Bに示す実施形態において、3つん0(3)接続点538が示されている。しかしながら、送達システムがリング532を回転させてリップ514の拘束力に打ち勝つように構成されるならば、より多い又はより少ない接続点538を利用することができる。
【0068】
心臓弁プロテーゼ500の構成要素の上記を考慮に入れて、心臓弁プロテーゼ500の送達及び展開が説明されている。心臓弁プロテーゼ500は、送達のために半径方向に圧縮された構成に圧縮される。半径方向に圧縮された構成では、流出管520は半径方向に圧縮される。流入部510及びトルク係止機構530は、これらが流出部520から離れて長手方向に延びるように回転することができ、半径方向に圧縮することができる。心臓弁プロテーゼ500は、半径方向に圧縮された構成の送達デバイスにおいて生来の僧帽弁などの治療部位に送達される。治療部位にあるとき、送達デバイスのカプセル又はシースを後退させることができ、これにより、心臓弁プロテーゼ500が
図11A及び12Aに示す半径方向に拡張された構成に自己拡張できるようにする。
図11A及び12Aで分かるように、髭状部534は半径方向外向きに延びる。送達システムは、リング532の接続点538と相互に作用する以下で記載されるテザーなどを通して、心臓弁プロテーゼ500に結合されたままである。所望の場所にある及び半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ500によって、送達デバイス又はそれの一部分は、リング532に接続された送達デバイスの一部を回転するように回転され、これにより、リング532を回転させる。この回転は、リップ514の再訓練力に打ち勝つ。髭状部534がリップ514によってもはや拘束されない状態で、髭状部534は、
図12Bに示すように、これらの事前設定屈曲構成に戻る。同様に、リング532の回転により、ここで角度をなす髭状部534は埋込部位において組織の中に埋め込まれ、これにより、埋込部位において心臓弁プロテーゼ500を係止する。
【0069】
心臓弁プロテーゼ500の具体的な実施形態が開示されているが、変形形態は、本発明の開示と一致して行うことができる。例えば、限定ではないが、髭状部534は、リップ514によって直線状になり、次にこれらの事前設定屈曲構成に戻る必要はない。その代わりに、髭状部534は、リング532の回転前に湾曲又は屈曲することができる。このような実施形態において、リップ514を取り除くことができ、又は心臓弁プロテーゼ500の送達及び初期展開中にリング534が回転するのを防ぐのに依然として用いることができる。このような実施形態において、心臓弁プロテーゼが送達システムから最初に展開されるとき、心臓弁プロテーゼ500は、
図12Cに示すように半径方向に拡張する。分かるように、髭状部534はすでに湾曲又は屈曲している。しかしながら、上述のように、各髭状部534はリップ514によって適所に保持することができる。従って、
図12Cの各髭状部534の一部分は、対応するストラット512に隠れている。上述のように、送達システムは、リング532の接続点538と相互に作用する以下で記載されるテザーなどを通して、
図12Cの心臓弁プロテーゼ500に結合されたままである。所望の場所にある及び半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ500によって、送達デバイス又はそれの一部分は、リング532に接続された送達デバイスの一部を回転するように回転され、これにより、リング532を回転させる。この回転は、リップ514の再訓練力に打ち勝つ。従って、リング532は回転し、角度をなす髭状部534は埋込部位において組織の中に埋め込まれ、これにより、埋込部位において心臓弁プロテーゼ500を係止する。
【0070】
心臓弁プロテーゼ500の他の変形形態を利用することができる。例えば、限定ではないが、第2の(流出)端部208にあるクリップ又はアームは、生来の弁の生来のリーフレットと係合するように心臓弁プロテーゼ500に利用することができる。更に、上記及び下記で記載される他の実施形態の要素は、心臓弁プロテーゼ500と共に利用することができる。
【0071】
図13は、心臓弁プロテーゼ310の別の実施形態を示す。
図13は、半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ310を示す。心臓弁プロテーゼ310は、フレーム314及びフレーム314に結合された人工弁312を含む。心臓弁プロテーゼ310は、半径方向に圧潰された構成及び半径方向に拡張された構成を含む。心臓弁プロテーゼ310はまた、第1の端部326及び第1の端部326の反対側に第2の端部332を含む。フレーム314はほぼ管状であって中央通路324を定め、且つ第1の端部334及び第2の端部336を含む。
図13に示す実施形態において、フレーム314の第1の端部334は、心臓弁プロテーゼ310の第1の端部326を定める。同様に、フレーム314の第2の端部336は、心臓弁プロテーゼ310の第2の端部332を定める。当業者は、スカート又はアームなどの他の特徴要素を心臓弁プロテーゼ310の一部として含めることができることを認識することになる。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ310の第1の端部326は、近位又は流入端であり、心臓弁プロテーゼの第2の端部332は、心臓弁プロテーゼ310の遠位又は流出端である。同様に、フレーム314の第1の端部334は、
図13に示すように半径方向外向きに広がる。第1の端部334にあるこの外向き広がりは、生来の僧帽弁輪の心房側と接触するように構成された流入リム315を形成する。更に、流入リム315は、ほぼ円形として示されているが、流入リムは、限定ではないが、D字形などの生来の僧帽弁に隣接して生体構造に合致するように他の形状とすることができる。フレーム314の一部分はまた、流出部325として説明することができる。流出部325はほぼ管状であり、生来の弁複合体のリーフレットを通って延びるように構成される。図示のような心臓弁プロテーゼ310は、生来の僧帽弁の部位における配置のために構成されるが、心臓弁プロテーゼ310は、限定ではないが、他の生来の心臓弁の部位などの他の埋込部位において用いることができる。
【0072】
フレーム314は、それらの間に複数の開放空間317を有して互いに対して配列されたストラット316を含む支持構造である。フレーム314は、所望の埋込部位において生来のアニュラス(環状部)に対して所望の圧縮性及び拡張力を提供する。フレーム314はまた、支持体を人工弁312に提供する。人工弁312は、フレーム314に結合されてその内部に配置される。
図13の実施形態は、
図1にあるように長手方向に延びるように屈曲された流入リム315の半径方向外向き部を示さないが、これは限定されることなく、
図13の心臓弁プロテーゼ310は、このような屈曲部を含むことができる。流入リム315のストラット316は、流入リム315の第1の端部において複数の山318及び谷320を形成する。
【0073】
複数のトルク係止機構322は、流入リム315に結合される。トルク係止機構322は、心臓弁プロテーゼ310が所望の埋込部位において半径方向に拡張された構成にあり、及び心臓弁プロテーゼ310の少なくとも一部分が回転されるとき、トルク係止機構322が所望の埋込部位において組織の中に埋め込まれるように構成される。
図13に示すように、トルク係止機構322は時計回りに延びる。しかしながら、これらは、反時計回りに延び又は何れの方向にも部分的に角度をなすことができる。更に、トルク係止機構322は、一般的に、流入リム315の下側319から延びることができる。流入リム315の下側319は、心臓弁プロテーゼ310が生来の僧帽弁輪の心房側(すなわち、流出端に面する流入リムの表面)上で流入リム315と共に展開されるとき、生来の僧帽弁輪に面する表面である。トルク係止機構322は、所望の埋込部位において組織の中に埋め込むように構成された髭状部、クリップ、フック、矢又は同様のデバイスとすることができる。
図13は、単一ワイヤとして各トルク係止機構322を示すが、これは限定されるものでなく、トルク係止機構の他の構成を用いることができる。
【0074】
フレーム314は、例えば、限定ではないが、ニッケルチタニウム、ニチノール、ニッケル-コバルト-クロミウム-モリブデン(MP35N)、ステンレス鋼、高いばね調質鋼、又はあらゆる他の金属或いは本発明の開示の目的に好適なもので形成することができる。トルク係止機構322は、フレーム314として同じタイプの材料から形成することができる。トルク係止機構322は、ストラット316の延長部とすることができ、又は例えば、限定ではないが、融合、溶接、接着剤、縫合、又は本明細書で記載される目的に好適な他の手段によってフレーム314に結合することができる。
【0075】
図13に示すフレーム314は、複数のテザー接続点338を更に含む。図示の実施形態において、テザー接続点338は谷320に示されているが、これらは、流入リム315上の他の場所に位置付けることができる。図示の実施形態において、テザー接続点338は、以下により詳細に記載されるように、通して又は周囲に直接結合するか又は輪状にするかの何れかによって、送達システムのテザーが心臓弁プロテーゼ310と結合することを可能にする開口部であり、心臓弁プロテーゼ310又はその一部分を回転させて、トルク係止機構322を埋込部位において組織の中に埋め込む。
【0076】
心臓弁プロテーゼ310の上記理解を考慮に入れて、
図14~16に示す送達デバイス400は、心臓弁プロテーゼ310などの心臓弁プロテーゼを送達して展開するように用いることができる。1つの実施形態において、送達デバイス400は、一般的に、ハンドル440、外側シャフト組立体410、内側シャフト組立体404、テザーシャフト450、及び複数のテザー460を含む。送達デバイス400は、限定ではないが、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのあらゆる好適な材料から作ることができる。
図14~16を反映して以下で記載される送達デバイス400の実施形態の種々の特徴は、様々な構造及び/又は機構を修正し又はこれらに置き換えることができる。送達デバイス400の構成要素は、様々な形態及び構成を想定することができる。従って、以下の詳細な説明は限定されるものではない。更に、以下で記載されるシステム及び機能は、ハードウェアの多くの様々な実施形態において実施することができる。記載されるあらゆる実際のハードウェアは、制限されるものではない。提示するシステム及び方法の作動及び挙動は、実施形態の修正及び変形形態が提示する詳細のレベルの場合に可能であるという理解の下で説明される。
【0077】
図14~15に概略的に示す実施形態において、ハンドル440は、アクチュエータ機構444及びその中に保持される回転子機構470を有するハウジング442を含むことができる。より詳細には、ハンドル440は、ハウジング442によって定められて、アクチュエータ機構444及び回転子機構470の一部を受け取るように構成された空洞443を含む。
図14~15に示す実施形態において、ハウジング420は、アクチュエータ機構444がユーザによってインターフェースで接続するために延びる長手方向スロット446、及び回転子機構470がユーザによってインターフェースで接続するために延びる回転スロット472を形成する。ハンドル440は、ユーザによって便利な取り扱い及び把持のための表面を提供し、図示のようなほぼ円筒形状又は他の形状を有することができる。アクチュエータ機構444は、一般的に、外側シャフト組立体410の選択的後退/前進を提供するように構成され、所望のユーザインターフェースを提供することが可能な様々な構成及び/又はデバイスを有することができる。摺動機構として示されているが、他の構成及び/又はデバイスは、限定ではないが、回転機構、内側シャフト組立体404の上に同軸状に配置された摺動機構、回転及び摺動機構の組合せ、及び当業者に公知の他の前進/後退機構などの外側シャフト組立体410を後退/前進させるのに用いることができる。同様に、回転子機構470は、テザー460を回転させるのに用いるあらゆる機構とすることができる。
【0078】
外側シャフト組立体410は、内側シャフト組立体404の上に摺動可能に配置される。
図14~15を参照して、1つの実施形態において、外側シャフト組立体410は近位シャフト418及びカプセル407を含み、近位シャフト418の近位端430からカプセル407の遠位端432に延びる管腔412を定める。外側シャフト組立体410はカプセル407及び近位シャフト418を含むと本明細書では説明されているが、カプセル407は、単に近位シャフト418の延長部とすることができる。更に、外側シャフト組立体410は、シース又は外側シースと呼ばれる場合がある。近位シャフト418は、融合、溶接、接着剤、縫合、又は本明細書で記載される目的に好適な他の手段によってカプセル407の近位端409にある接続点416においてカプセル407への接続のために構成される。これに代えて、近位シャフト418及びカプセル407は単体とすることができる。近位シャフト418はカプセル407から近位に延びて、ハンドル440への接続のために構成される。より詳細には、近位シャフト418は、ハンドル440のハウジング442の中に近位に延びて、近位シャフト418の近位部分431は、ハンドル440のアクチュエータ機構444に接続される。近位部分431は、アクチュエータ機構444の移動が、外側シャフト組立体410を内側シャフト組立体404に対して移動させるようにアクチュエータ機構444に結合される。近位シャフト418は、アクチュエータ機構444に、例えば、限定ではないが、接着剤、溶接、クランピング及び必要に応じて他の結合デバイスによって結合することができる。外側シャフト組立体410は、アクチュエータ機構444によってハンドル140及び内側シャフト組立体404に対してこうして移動可能である。しかしながら、アクチュエータ機構444が移動しなくてハンドル440が移動する場合、外側シャフト組立体410は、ハンドル440に対してでなくてハンドル440と共に移動する。
【0079】
内側シャフト組立体404は、前述の内側シャフト組立体104に類似している。内側シャフト組立体404は、以下でより詳細に記載され
図14~15に示すように、テザーシャフト450の管腔456内に延びる。内側シャフト組立体404は、内側シャフト414及び遠位先端422を含む。内側シャフト414は、内側シャフト414の近位端434から内側シャフト414の遠位端436に延びる。内側シャフト414の遠位端436は、遠位先端422に取り付けられる。内側シャフト組立体404の構成要素は、ガイドワイヤ(図示せず)などの補助構成要素を受け取る大きさにされた連続ガイドワイヤ管腔423を定めるように組み合わせる。内側シャフト組立体404は、内側シャフト414及び遠位先端422を含むと本明細書では説明されているが、遠位先端422は、単に内側シャフト414の延長部とすることができる。更に、内側シャフトは、単片ではなくて一緒に取り付けられた幾つかの部分品とすることができる。内側シャフト414は、ハンドル440のハウジング442の中に近位に延び、ガイドワイヤ管腔423がその中に補助構成要素(例えば、ガイドワイヤ)のためにアクセスを提供するようにハンドル440に接続される。内側シャフト414は、例えば、限定ではないが、接着剤、溶接、クランピング、及び必要に応じて他の結合デバイスによってハンドル440に結合することができる。外側シャフト組立体410の摺動又は長手方向移動中に、内側シャフト組立体404はハンドル440に対して固定される。しかしながら、他の実施形態において、内側シャフト組立体は、別のアクチュエータ機構などによってハンドル440に対して移動するように構成することができる。
【0080】
1つの実施形態において、テザーシャフト450は、内側シャフト404と外側シャフト組立体410との間に同軸状に配置することができる。テザーシャフト450は、内側シャフト組立体404及び外側シャフト組立体410に対して回転することができる。
図14~15を参照して、テザーシャフト450は、近位シャフト部分456及び遠位シャフト部分468を含み、テザーシャフト450の近位端452から遠位端454に延びる管腔456を定める。近位シャフト部分466は、ハンドル440への接続のために構成される。テザーシャフト450の近位シャフト部分466は、ハンドル440のハウジング442の中に近位に延びて、ハンドル440の回転子機構470に接続される。近位シャフト部分466は、回転子機構470の移動が、外側シャフト組立体410及び内側シャフト組立体404に対して中心長手方向軸LAcの周りでテザーシャフト450を回転させるように、回転子機構470に結合される。近位シャフト部分466は、例えば、限定ではないが、接着剤、溶接、クランピング、及び必要に応じて他の結合デバイスによって回転子機構470に結合することができる。テザーシャフト450は、回転子機構470によってハウジング442、内側シャフト組立体404、及び外側シャフト組立体410に対してこうして回転移動可能である。しかしながら、回転機構470が移動しなくてハウジング442が移動する場合、テザーシャフト450は、ハウジング442に対してでなくてハウジング442と共に移動する。複数のテザー接続点458は、遠位端464の近位のテザーシャフト450の遠位シャフト部分468に位置付けられる。テザー接続点456は、後述するように、テザーシャフト450の遠位シャフト部分468をテザー460に結合するように構成される。
図16は、テザーシャフト450の周囲に円周方向に配列されたテザー接続点458を示すが、これは設計を制限するものではなくて、他の構成は、適用に基づいて企図している。テザー接続点458へのテザー460の接続の非限定的な実施例は、保持部分及び結び目/ボール保持開口などの外側シャフト410の操作によって解除可能な構成と、テザーを切り離し/切断することによる解除可能な構成と、本明細書で記載される目的に好適な他の構成とを含む。
【0081】
1つの実施形態において、テザー460は、
図15に示すように、心臓弁プロテーゼ310のそれぞれのテザー接続点338に結合された第1の端部462と、テザーシャフト450のテザー接続点458に結合された第2の端部464とを含む。
【0082】
テザー460は、ワイヤなどの細長い部材である。テザー460は、緊張したとき、テザー460に加えられた回転トルクが心臓弁プロテーゼ310に伝達されて心臓弁プロテーゼ310を回転させるように、テザー460の回転がテザー460の緊張状態を増大させるように比較的剛性である。テザー460は、限定ではないが、融合、溶接、又は機械的接続などの方法によってテザーシャフト450に接続することができる。これに代えて、テザー460は、限定ではないが、スライダ、ボタン、ノブ、及び同様の機構などの駆動機構(図示せず)にテザーシャフト450を通って延びて、テザー460を回転させてテザー460を心臓弁プロテーゼ310から解除することができる。テザー460は、テザー460の回転が心臓弁プロテーゼ310及び取り外し可能な接続部に伝達されるように、本明細書の目的に好適なあらゆる方式、つまり十分に剛性の接続部で接続点338及びテザー接続点458に解除可能に接続することができる。代替の実施形態において、テザー460の端部462は、テザーシャフト450のそれぞれのテザー接続点458に結合することができ、テザー460の第2の端部464は、テザーシャフト450の対応するテザー接続点458に解除可能に結合される。1つの実施形態において、各テザー460の一部分は、開放空間17を通して、及び対応するテザー接続点338においてフレーム14のストラット16の周囲で輪状になる。
【0083】
構成要素の上記理解を考慮に入れて、本発明の開示の構成要素の動作及び相互作用について、本明細書で説明することができる。
図15に示すように、心臓弁プロテーゼ310は、外側シャフト組立体410のカプセル407内に半径方向に圧縮された構成で配置される。この送達構成では、テザー460は、心臓弁プロテーゼ310及び接続点338に結合される。送達デバイス400は、生来の僧帽弁の部位などの埋込部位に送達される。埋込部位にあるとき、外側シャフト組立体410は近位に回転され、これにより、カプセル407を近位に後退させる。カプセル407は、心臓弁プロテーゼ310を露出するだけ十分近位に後退される。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ310は自己拡張式である。従って、カプセル407の後退は、
図16に示すように、心臓弁プロテーゼ310が半径方向に拡張された構成に自己拡張できるようにする。中心長手方向軸LAcに対する方向Rrの回転子機構470のユーザ作動は、テザー460が方向Rrに回転されるように方向Rrにテザーシャフト450を回転させる。テザー460の回転は、トルク係止機構322が所望の埋込部位において組織に埋め込まれるように、心臓弁プロテーゼ310の少なくとも一部分が方向Rrに回転するように、心臓弁プロテーゼ310の流入リム315に方向Rrの回転力を付与する。別の言い方をすれば、所望の埋込部位において半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ310によって、テザー460は、係止機構322を組織に埋め込むようにRr方向に回転され、これにより、所望の埋込部位において心臓弁プロテーゼ310を係止する。代替の実施形態において、テザー460は、接続点338の周囲で心臓弁プロテーゼ310を通って輪状にされる。心臓弁プロテーゼ310が係止されると、外側シャフト410は更に近位に後退され、テザー460を送達デバイス400と共に取り外すことができるように、テザーシャフト450からテザー460の第2の端部464を解除する。他の実施形態において、テザー460は、テザーシャフト450から解除されて心臓弁プロテーゼ310にとどまることができる。更に別の実施形態において、テザー460を切り離すことができ、テザーシャフト450に結合された一部分は送達デバイス400と共に取り外され、心臓弁プロテーゼ310に結合された一部分は心臓弁プロテーゼ310にとどまる。
【0084】
図17~19は、心臓弁プロテーゼ10を送達して展開するための送達デバイス400′の別の実施形態を示す。送達デバイス400′は、
図14~16の実施形態に類似しているので、実施形態の間の差分のみが本明細書で詳細に説明されることになる。具体的に説明していない特徴は、
図14~16の実施形態又は本明細書で記載される他の実施形態に関連して記載されるものと同様とすることができる。
図17~19の実施形態において、上で説明したようなテザーシャフト450及びテザー460の代わりに、送達デバイス400′はロッドシャフト450′及びロッド460′を含む。
【0085】
1つの実施形態において、ロッドシャフト450′は、内側シャフト404と外側シャフト組立体410との間に同軸状に配置することができる。ロッドシャフト450′は、内側シャフト組立体404及び外側シャフト組立体410に対して回転することができる。
図17~18を参照して、ロッドシャフト450′は、シャフト部分466′及び遠位シャフト部分468′を含み、ロッドシャフト450′の近位端452′から遠位端454′に延びる管腔456′を定める。近位シャフト部分466′は、ハンドル440への接続のために構成される。ロッドシャフト450′の近位シャフト部分466は、ハンドル440のハウジング442の中に近位に延びて、ハンドル440の回転子機構470に接続される。近位シャフト部分466′は、回転子機構470の移動が、外側シャフト組立体410及び内側シャフト組立体404に対して中心長手方向軸LAcの周りでロッドシャフト450′を回転させるように、回転子機構470に結合される。近位シャフト部分466′は、例えば、限定ではないが、接着剤、溶接、クランピング、及び必要に応じて他の結合デバイスによって回転子機構470に結合することができる。ロッドシャフト450′は、回転子機構470によってハウジング442、内側シャフト組立体404、及び外側シャフト組立体410に対してこうして回転移動可能である。しかしながら、回転機構470が移動しなくてハウジング442が移動する場合、ロッドシャフト450′は、ハウジング442に対してでなくてハウジング442と共に移動する。複数のロッド接続点458′は、ロッドシャフト450′の遠位シャフト部分468に位置付けられる。ロッド接続点458′は、後述するように、ロッドシャフト450′の遠位シャフト部分468′をロッド460′に枢動可能に結合するように構成される。
図19は、ロッドシャフト450′の周囲に円周方向に配列されたロッド接続点458′を示すが、これは設計を制限するものではなくて、他の構成は、適用に基づいて企図している。
【0086】
1つの実施形態において、各ロッド460′は、第1の端部462′及び第2の端部464′を含む。各第2の端部464′は、
図17に示すように、ロッドシャフト450′の対応するロッド接続点458′に枢動可能に結合される。ロッド360′は、ワイヤなどの細長い剛性部材である。ロッド460′は、
図19に示すように、外側シャフト組立体410内に配置するとき枢動可能に圧潰された構成と、内側シャフト414から外向きに半径方向に拡張された第1の端部462′及びロッドシャフト450′に枢動可能に結合された第2の端部464′を有する枢動可能に拡張された構成とを含む。ロッド460′は、カプセル407及び外側シャフト410内に保持されるとき枢動可能に圧潰された構成に圧縮されない限り、枢動可能に拡張された構成のままであるという点で自己拡張式である。枢動可能に拡張された構成にあるとき、第1の端部462′は、第1の直径D1に半径方向に拡張される。第1の直径D1は、送達デバイス400′の遠位の前進により、心臓弁プロテーゼ310のトルク部分350で接続点338′と第1の端部462′を選択的に結合するように、接続点338′の直径に等しい。第1の端部462′は、送達デバイス400′にかかる連続遠位力を有する接続点338′と選択的に結合されたままになる。選択的に結合されるとき、ロッドシャフト450′及び枢動可能に結合されたロッド460′の回転は、心臓弁プロテーゼ310に伝達されて心臓弁プロテーゼ310を回転させる。ロッド460′は、限定ではないが、融合、溶接、フレックスジョイント、又は本明細書で記載される目的に好適な機構などの方法によってロッドシャフト450′に枢動可能に接続することができる。ロッド460′は、限定ではないが、ロッドカップ機構、ロッドスロット機構、摩擦嵌合機構、又は本明細書で記載される目的に好適な他の方法などの種々の方法によって接続点338′に選択的に結合することができる。
【0087】
構成要素の上記理解を考慮に入れて、本発明の開示の構成要素の動作及び相互作用について、本明細書で説明することができる。
図18に示すように、心臓弁プロテーゼ310は、外側シャフト組立体410のカプセル407内に半径方向に圧縮された構成で配置される。この送達構成では、ロッド460′は、ロッド接続点338′において心臓弁プロテーゼ310に選択的に結合された第1の端部462を有するカプセル407及び外側シャフト410内に枢動可能に圧潰された構成で保持される。送達デバイス400′は、生来の僧帽弁の部位などの埋込部位に送達される。埋込部位にあるとき、外側シャフト組立体410は近位に後退され、これにより、カプセル407を近位に後退させる。カプセル407は、心臓弁プロテーゼ310を露出するだけ十分近位に後退される。図示の実施形態において、心臓弁プロテーゼ310は自己拡張式である。従って、カプセル407の後退は、心臓弁プロテーゼ310が半径方向に拡張された構成に自己拡張できるようにする。心臓弁プロテーゼが半径方向に拡張された構成にあると、外側シャフト組立体410は更に近位に後退され、これによりカプセル407を近位に後退させる。カプセル407は、ロッド460′を露出するだけ十分近位に後退される。図示の実施形態において、ロッド460′は自己拡張式である。従って、カプセル407の後退は、
図19に示すように、ロッド460′が枢動可能に拡張された構成に自己拡張できるようにする。枢動可能に拡張された構成のロッド460′によって、送達デバイス400′は、各第1の端部462′が心臓弁プロテーゼ310の対応する接続点338′と選択的に結合されるまで遠位に進められる。送達デバイス400′にかかる遠位力によって選択的に結合されると、中心長手方向軸LAcに対する方向Rrの回転子機構470のユーザ作動は、ロッド460′が方向Rrに回転されるようにRr方向にロッドシャフト450′を回転させる。ロッド460′の回転は、トルク係止機構22が所望の埋込部位において組織に埋め込まれるように、心臓弁プロテーゼ310の少なくとも一部分が方向Rrに回転するように、心臓弁プロテーゼ310に方向Rrの回転力を付与する。心臓弁プロテーゼ310が係止されると、送達デバイス400′は、ロッド460′が接続点338′から選択的に結合解除されるように近位に後退される。ロッド460′が選択的に結合解除された形態の接続点338であるとき、外側シャフト組立体410は遠位に進められ、これにより、カプセル407を遠位に進める。カプセル407は、ロッド460′を枢動可能に圧潰された構成に半径方向に圧縮するだけ十分遠位に進められる。次いで、送達デバイス400′は、埋込部位から取り外すために近位に後退することができる。ロッドシャフト450′及びロッド460′は、送達デバイス400′の一部として本明細書では説明されているが、これは設計を制限するものではなくて他の実施形態において、ロッドシャフト450′及びロッド460′は、心臓弁プロテーゼ310の拡張及び送達デバイス400′の取り外しに続いて埋込部位に進められた別個のデバイスとすることができる。
【0088】
上で説明した実施形態の何れかの特徴は、上で説明した他の実施形態の何れかと共に用いることができる。更に、テザー、ロッド、シャフト、作動機構、及び同様の品目の数及びタイプの変形形態は、本発明の範囲内で作ることができる。上で説明したこれら以外の材料はまた、本発明の範囲内で用いることができる。
【0089】
本発明の実施形態に従って送達デバイスと共に所望の埋込部位において心臓弁プロテーゼを展開及び係止する方法は、
図20~24に概略的に表されている。
図20~24の方法ステップは、ダンベル型バルーン170を含む送達デバイス100′′′に関連して説明されている。しかしながら、本実施形態は、本明細書で記載される他の送達デバイスと共に用いることができる。確立された経皮的経カテーテル送達処置を用いて、送達デバイス100′′′は、
図20に示すように、患者の血管系の中に導入され、ガイドワイヤの上に進められ、且つ本実施形態において心臓700の生来の僧帽弁730である損傷を受けた又は病的な生来の弁の治療部位において位置決めされる。
【0090】
適所の送達デバイス100′′′によって、ハンドル140のアクチュエータ機構144は、外側シャフト組立体110の近位で操作される。外側シャフト組立体110のカプセル107が近位に後退されると、心臓弁プロテーゼ10は、
図21に示すように、半径方向に圧潰された構成から半径方向に拡張された構成に移行する。
【0091】
心臓弁プロテーゼ10が半径方向に拡張された構成にあると、膨張流体は、
図22に示すように、ダンベル型バルーン170が非膨張構成から膨張構成に移行するように、ダンベル型バルーン170の中に注入される。バルーン170は、膨張構成にあるとき、ダンベル型バルーン170の第1の部分172の形状端部174が、心臓弁プロテーゼ10の対応する形状端部26と係合し、ダンベル型バルーン170の第2の部分180の近位端182が、心臓弁プロテーゼ10の近位端34と当接し、且つダンベル型バルーン170の第3の部分186の外面189(
図20~24では図示せず)が、心臓弁プロテーゼ10のフレーム14の内面と係合するように構成される。
【0092】
次に、送達デバイス100′′′は、中心長手方向軸LAcの周りを方向Rrに回転される。中心長手方向軸LAcの周りの方向Rrの送達デバイス100′′′の回転は、
図23に示すように、方向Rrの心臓弁プロテーゼ10の少なくとも一部分を回転させる方向Rrのダンベル型バルーン170を回転させ、トルク係止機構22は、所望の埋込部位において組織に埋め込まれる。
【0093】
次に、膨張流体は、ダンベル型バルーン170が膨張構成から第1の非膨張構成に移行するように、ダンベル型バルーン170から排出される。送達デバイス100′′′は、
図24に示すように、患者の血管系を通して後退され、生来の僧帽弁の部位において心臓弁プロテーゼ10を係止した状態にしておく。
【0094】
図20~24に関連して説明される本方法は、本明細書で説明される他のデバイス及び特徴と共に用いることができる。更に、変形形態、追加のステップ、及びより少ないステップは、当業者が理解するように利用することができる。
【0095】
本発明の実施形態に従って送達デバイスと共に所望の埋込部位において心臓弁プロテーゼを展開及び係止する別の方法は、
図25~29に概略的に表されている。
図25~29の方法ステップは、前述の送達デバイス400及び心臓弁プロテーゼ310に関連して説明されている。確立された経皮的経カテーテル送達処置を用いて、送達デバイス400は、
図25に示すように、患者の血管系の中に導入され、ガイドワイヤの上に進められ、且つ本実施形態において心臓700の生来の僧帽弁730である損傷を受けた又は病的な生来の弁の治療部位において位置決めされる。
【0096】
ハンドル440のアクチュエータ機構444は、外側シャフト組立体410を後退させるように近位で操作される。外側シャフト組立体410のカプセル407が近位に後退されると、心臓弁プロテーゼ310は、
図26に示すように、半径方向に圧潰された構成から半径方向に拡張された構成に移行する。
【0097】
図27に示す半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ310によって、ハンドル440の回転子機構470は、中心長手方向軸LAcの周りを方向Rrに回転される。回転子機構470の回転は、テザーシャフト450及びそれに取り付けられたテザー460を方向Rrに回転させる。回転テザー460は、
図28に示すように、心臓弁プロテーゼ310の少なくとも一部分を方向Rrに回転させ、これにより、心臓弁プロテーゼ310のトルク係止機構322を所望の埋込部位において組織の中に埋め込む。
【0098】
次いで、テザー460は、上述のように、心臓弁プロテーゼ310から解除することができる。次いで、送達デバイス400は、
図29に示すように、患者から取り外すことができ、心臓700において心臓弁プロテーゼ310を係止した状態にしておく。
【0099】
図25~29に関連して説明される方法は、本明細書で説明した他のデバイス及び特徴と共に用いることができる。更に、変形形態、追加のステップ、及びより少ないステップは、当業者が理解するように利用することができる。例えば、限定ではないが、送達デバイス400は、上の
図10A~11Dに関連して説明される心臓弁プロテーゼ、又は下の
図35に関連して記載される心臓弁プロテーゼと共に用いることができる。
【0100】
本発明の実施形態に従って送達デバイスと共に所望の埋込部位において心臓弁プロテーゼを展開及び係止する別の方法は、
図30~34に概略的に表されている。
図30~34の方法ステップは、前述の送達デバイス400′及び心臓弁プロテーゼ310に関連して説明されている。確立された経皮的経カテーテル送達処置を用いて、送達デバイス400′は、
図30に示すように、患者の血管系の中に導入され、ガイドワイヤの上に進められ、且つ本実施形態において心臓700の生来の僧帽弁730である損傷を受けた又は病的な生来の弁の治療部位において位置決めされる。
【0101】
ハンドル440のアクチュエータ機構444は、外側シャフト組立体410を後退させるように近位で操作される。外側シャフト組立体410のカプセル407が近位に後退されると、心臓弁プロテーゼ310は、半径方向に圧潰された構成から半径方向に拡張された構成に移行する。半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ310によって、送達デバイス400′は遠位に進められる。ハンドル440のアクチュエータ機構444は、外側シャフト組立体410を後退させるように近位で操作される。外側シャフト組立体410のカプセル407が近位に後退されると、ロッドシャフト450′のロッド460′は、枢動可能に圧潰された構成から枢動可能に拡張された構成に移行する。送達デバイス400′は遠位に進められ、ロッド460′は、
図31に示すように、心臓弁プロテーゼ310の接続点338′と係合する。
【0102】
図32に示す半径方向に拡張された構成の心臓弁プロテーゼ310及びそれに係合されたロッド460′によって、ハンドル440の回転子機構470は、中心長手方向軸LAcの周りを方向Rrに回転される。回転子機構470の回転は、ロッドシャフト450′及びそれに取り付けられたロッド460′を方向Rrに回転させる。ロッド460′の回転は、
図33に示すように、心臓弁プロテーゼ310の少なくとも一部分を方向Rrに回転させ、これにより、心臓弁プロテーゼ310のトルク係止機構322を所望の埋込部位において組織の中に埋め込む。
【0103】
次いで、送達デバイス400′は、ロッド460′が係合解除して、心臓弁プロテーゼ310の接続点338′から解除されるように近位に後退することができる。(カプセル407を含む)外側シャフト410は遠位に進められ、ロッド460′は、枢動可能に拡張された構成から枢動可能に圧潰された構成に半径方向に圧縮する。送達デバイス400′は、
図34に示すように、患者から取り外すことができ、心臓700において心臓弁プロテーゼ310を係止した状態にしておく。
【0104】
図30~34に関連して説明される方法は、本明細書で説明した他のデバイス及び特徴と共に用いることができる。更に、変形形態、追加のステップ、及びより少ないステップは、当業者が理解するように利用することができる。
【0105】
図35~36は、心臓弁プロテーゼ600の別の実施形態を概略的に示す。心臓弁プロテーゼ600は、上で説明した心臓弁プロテーゼに類似しており、従って詳細には説明されないことになる。心臓弁プロテーゼ600は、フレーム614及び人工弁612を含む。フレーム614は、人工弁612を配置する中央通路624を定める。フレーム614はまた、流入リム615及び流出管625を定める。流入リム615は、上述のように、それに結合された複数のトルク係止機構622を含む。心臓弁プロテーゼ600はまた、流出管625に結合された複数のアーム650を含む。アーム650は、アーム650が流出管625の外面の外側に配置されるように折り返されて示されている。各アーム650は、流出管625のアームと外面との間に生来の弁の生来のリーフレットを捕捉するように構成することができる。アーム650は、半径方向に圧縮された送達構成にあるとき、流出管625の流出端から離れて長手方向に延び、次いで、半径方向に拡張するとき、
図35に示す位置に折り返すことができる。アーム650と流出管625との間で生来のリーフレットを捕捉するようにアーム650を有する心臓弁プロテーゼを用いて、このようなトルクはアーム650及び生来の弁リーフレットに伝達されるので、このような心臓弁プロテーゼを回転させて、生来の弁に隣接する組織の中にトルク係止機構622を埋め込むことは望ましくない。
【0106】
従って、
図35に示す実施形態において、流入リム615は流出管625から分離される。「分離」とは、流入リム615が流出管625を回転させることなく少なくとも部分的に回転することができることを意味する。
図35に示す実施形態において、流入リム615は、継手640を用いて流出管625から分離される。継手640は、限定ではないが、布材(例えば、ポリエステル、ナイロン、その他)などの可撓性材料とすることができる。継手640の第1の端部642は流入リム615に取り付けられ、継手640の第2の端部644は流出管625に取り付けられる。継手640は、縫合、接着剤、及び本明細書で記載される目的に好適な他の接続部によって流入リム615及び流出管625に結合することができる。継手640を有する心臓弁プロテーゼ600を用いて、心臓弁プロテーゼがアーム650と流出管625との間で捕捉された生来の弁リーフレットと共に治療部位において半径方向に拡張された後、流入リム615は、流出管625を回転させることなくトルク係止機構622を埋め込むように回転することができる。その代わりに、継手640は、流入リム615の回転を吸収するように捩る。流入リム615は、上で説明したデバイス及び方法の何れかによって回転することができる。
【0107】
別の実施形態において、可撓性材料である継手640の代わりに、流入リム615及び流出管625は、それらの間で相対回転を許容するように互いに接続することができるが、長手方向分離を許容しない。
図36は、このような継手670の実施例を示す。図示の実施形態において、流入リム615は、流出管625に向かって延びる管状部680を含む。流入リム615の反対側の管状部680の端部は、リップ574を含む。流出管625は、溝672を有する流出端の反対側に端部を含む。リップ672は溝674に配置される。このような接続部は、互いに結合された流入リム615及び流出管625を保持しながら、流出管625に対して流入リム615が回転することを可能にする。
【0108】
継手670を有する心臓弁プロテーゼ600を用いて、心臓弁プロテーゼがアーム650と流出管625との間で捕捉された生来の弁リーフレットと共に治療部位において半径方向に拡張された後、流入リム615は、流出管625を回転させることなくトルク係止機構622を埋め込むように回転することができる。流入リム615は、上で説明したデバイス及び方法の何れかによって回転することができる。
【0109】
一部の実施形態のみ本明細書で説明してきたが、単に例証として及び実施例として提示されたものであり、限定ではない点を理解すべきである。形式及び詳細の種々の変更が本発明の精神及び範囲から逸脱することなく可能であり、本明細書で検討した実施形態の各特徴及び本明細書で引用した各参考文献は、他のあらゆる実施形態の特徴と組み合わせて用いることができる。更に、本明細書に記載される実施形態の何れかの実施形態の特徴は、本明細書で記載される他の実施形態の何れかと共に用いることができる。本明細書で検討した全ての特許及び刊行物は、引用によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。