(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ハーネス構造が船体の周りに締結されている飛行船の建造および方法
(51)【国際特許分類】
B64B 1/24 20060101AFI20220208BHJP
B64B 1/14 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B64B1/24
B64B1/14
(21)【出願番号】P 2019542797
(86)(22)【出願日】2017-10-23
(86)【国際出願番号】 EP2017077008
(87)【国際公開番号】W WO2018077805
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-13
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520483718
【氏名又は名称】スイエ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル べスタゴー フランスン
(72)【発明者】
【氏名】クレスチャン ダルスゴー
(72)【発明者】
【氏名】アナス クリトゴー
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-163964(JP,A)
【文献】特開2004-182151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0005457(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/24
B64B 1/14
B64B 1/02- 1/04
B64B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(1’)および前端部(4)および後端部(5)を伴って細長い気体入り可撓性船体(2)を含む、空気より軽い飛行船(1)において
、
ハーネス構造(3)が前記船体(2)を混乱させることなくかつ前記船体(2)を貫通して延在することなく前記船体(2)の外側に当接しており
;
前記ハーネス構造(3)が屈曲可能な材料で製造され、前記飛行船(1)の前進方向推力のためのプロペラエンジン(10)、前記プロペラエンジン(10)に対して電力を提供するための再充電可能バッテリ(11)、および前記バッテリ(11)を再充電するための電力を提供するための
太陽電池パネル(12)を担持して
おり;
前記太陽電池パネル(12)、前記バッテリ(11)、前記プロペラエンジン(10)が、前記ハーネス構造(3)の前記屈曲可能な材料の中に統合された導電体(13)によって電気的に相互接続されており;
前記ハーネス構造(3)の前記屈曲可能な材料が、織物材料の一部として前記導電体が間に提供されているヤーンを含む織物材料であり;
前記ハーネス構造(3)が、前記船体(2)の周りおよび前記長手方向軸(1’)の周りにリングとして延在し、前記太陽電池パネル(12)を担持している屈曲可能なリングベルト(7)を含み;
前記リングベルト(7)が、前記導電体(13)が中に統合されるリングベルト材料でできており、前記導電体は、前記太陽電池パネル(12)と前記バッテリ(11)を電気的に相互接続しており;
前記リングベルト(7)が、プロペラエンジン(10)も担持しており、前記リングベルト材料の中に統合された前記導電体(13)が、前記プロペラエンジン(10)に対し電気的に接続されており、
前記ハーネス構造(3)が前記リングベルト(7)まで一定の距離のところにさらなるリングベルト(7’)を備え、前記ソーラーパネル(12)が前記リングベルト(7)から前記さらなるリングベルト(7’)まで延在し、両方のリングベルト(7、7’)に締結される;
空気より軽い飛行船(1)。
【請求項2】
前記導電体が、前記ヤーンと交織されたまたは前記織物材料中に編み込むか刺繍されたワイヤである、請求項
1に記載の飛行船。
【請求項3】
ファブリックが、前記ワイヤと前記バッテリまたは前記太陽電池または前記
プロペラエンジンとの電気的接続が存在する接触場所を含み、これらの場所において前記ワイヤが前記ファブリック外に局所的にのみ延在している、請求項
2に記載の飛行船。
【請求項4】
前記導電体(13)が前記ハーネス構造(3)の前記屈曲可能な材料上に印刷されるかまたは積層されている、請求項
1に記載の飛行船。
【請求項5】
前記導電体が、制御ユニット(25)と前記バッテリ(11)、前記太陽電池パネル(12)および前記プロペラエンジン(10)の間でデジタルデータを伝送するためのデジタルデータバス(13’)も含んでいる、請求項
1ないし
4のいずれか1項に記載の飛行船。
【請求項6】
前記リングベルト(7)には、前記船体(2)の体積変動に対応するため前記リングベルト(7)の長さを短縮させる方向で前記リングベルト材料に対して収縮性張力を自動的かつ弾力的に提供するように構成されたリングベルトテンショナ(30)が具備されている、請求項
1ないし
5のいずれか1項に記載の飛行船。
【請求項7】
前記リングベルトテンショナ(30)が、前記リングベルト(7)上の第1の場所(16A)に締結された第1の剛性アーム(15A)と、前記リングベルト(7)上の第2の場所(16B)に締結された第2の剛性アーム(15B)と、前記第1の剛性アーム(15A)を前記第2の剛性アーム(15B)に連結し、前記リングベルト(7)上の前記第1の場所(16A)および前記第2の場所(16B)を互いに向かって牽引するための弾力的収縮力を提供する、収縮する弾力要素(14)とを備える、請求項
6に記載の飛行船。
【請求項8】
前記プロペラエンジン(10)が前記第1の剛性アーム(15A)または第2の剛性アーム(15B)または両方に締結されている、請求項
7に記載の飛行船。
【請求項9】
前記第1の剛性アーム(15A)および第2の剛性アーム(15B)が前記リングベルト(7)から外向きに延在し、前記リングベルト(7)から遠隔したアーム連結部(18)で相互に連結され、こうして前記第1および第2の場所(16A、16B)と前記アーム連結部(18)が三角形を形成するようになっており、前記収縮する弾力要素(14)はこの三角形の内側に具備されている、請求項
7に記載の飛行船。
【請求項10】
前記プロペラエンジン(10)が前記アーム連結部(18)で前記第1および第2の剛性アーム(15A、15B)に締結されている、請求項
8に記載の飛行船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気よりも軽い飛行船、特に成層圏用飛行船に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量かつ高強度の材料の近年の開発により、成層圏飛行船の生産への関心が助長されてきている。特に、成層圏内で使用するための空気より軽い飛行船は、遠隔通信および監視におけるハブとして使用するために注目度が高まっている。しかしながら、成層圏内の条件は、材料に対しいくつかの厳しい要件を課す。その上、成層圏内で飛行船を長期使用するには、太陽光からエネルギを収集する必要があり、このことが飛行船の重量を増大させ、こうして飛行船のサイズに比較した飛行船自体の重量ならびに可能な吊り重量にいくつかの厳しい制限が加わることになる。飛行船自体の重量には表面積と共に増大する傾向がある一方、揚力は体積と共に増大することから、飛行船のサイズを増大させることでこの問題は克服される。しかしながら、大型の飛行船には、コストおよび実用性に関する問題が関与する。小型の成層圏飛行船を提供する問題は、実用上はなお未解決のままである。
【0003】
飛行船についての一般的論述は、非特許文献1(G.A.Khoury著:「飛行船技術」(Cambridge University Press1999、第2版2012年))中に見られる。成層圏飛行船については、例えばRaven Industries(http://ravenaerostar.com)の子会社であるAerostar International社において、そしてSouthwest Research InstituteおよびUS AirForce Research Labと共同で、さまざまな実験が進められている。別の積極的な会社は、アリゾナ州のNear Space Corporation(http://www.nsc.aero)である。US Air Force ISISプロジェクトには、太陽電池を用いる成層圏飛行船が含まれている。
【0004】
Lockheed Martin High Altitude Airshipプログラムの概観は、http://enu.kz/repository/2013/AIAA-2013-1362.pdfで公開された非特許文献2(AndroulakakisおよびJusy著:2013インタネット刊行物「High Altitude Airship(HAATM)プログラムの現状と計画」)中で示されている。
【0005】
飛行船の建造に関しては、さまざまな提案が存在する。20世紀の大型飛行船は内部骨格を有していた一方、重量節約のために骨格を回避するというのがむしろ傾向となっている。代替案として、外側骨格が、例えば、動力装置、ゴンドラおよび尾部ユニットのために使用される外部軽量骨格を形成する螺旋卷回された引張バンドを開示する特許文献1(米国特許出願公開第2006/192048号明細書)中で提案されている。ゴンドラを保持するための船体の周りのストラップという考えは、非常に古いものであり、すでに1910年から特許文献2(仏国特許発明第417649号明細書)中で開示されている。船体の周りの可撓性バンドとは対照的に、Boingによる特許文献3(米国特許第8141814号明細書)は、上向き推力を伴うヘリコプタの原理にしたがって使用される二重ロータのための軟式飛行船の周りの剛性フレームを開示している。
【0006】
しかしながら、改善の必要性がなおも存在している。特に、小型成層圏飛行船のための実用的な低コストの技術的解決法に対するニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2006/192048号明細書
【文献】仏国特許発明第417649号明細書
【文献】米国特許第8141814号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】G.A.Khoury著:「飛行船技術」(Cambridge University Press1999、第2版2012年)
【文献】AndroulakakisおよびJusy著:2013インタネット刊行物「High Altitude Airship(HAATM)プログラムの現状と計画」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、飛行船、特に小型成層圏飛行船に対し改良を加えることが本発明の目的である。この目的は、以下でより詳細に説明されている飛行船により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
飛行船は、飛行船が空気よりも軽くなるようにヘリウムまたは水素ガスが充填されるタイプのものである。気体入り可撓性船体は、長手方向軸を伴い、かつ前端部を有する前方部分および尾部にある後端部を伴って細長い軟式飛行船を形成する。例えば、長手方向軸は対称軸であり、船体はこの軸を中心として回転対称である。
【0011】
船体の周りのハーネス構造は、船体を混乱させずそれにより漏出のリスクを最小限に抑えるように、太陽電池、バッテリ、プロペラエンジンおよび電子機器を担持するために使用される。したがって、ハーネス構造は、船体材料を貫通して延在せず、船体の外側と当接しているにすぎない。
【0012】
ハーネス構造は、屈曲可能な材料で製造されるかまたは、構造の主要構成要素として屈曲可能な材料を含み、こうしてハーネス構造は、必ずしも伸縮可能ではないものの船体の形状に可撓的に適応するようになっている。
【0013】
いくつかの実施形態において、ハーネス構造は、船体の周りおよび長手方向軸の周りでリングとして延在している屈曲可能なリングベルトを含む。リングベルトは、前端部から一定の距離のところ、例えば船体の全長25%~50%に対応する距離のところに具備され、この長さは長手方向軸に沿って測定されている。
【0014】
いくつかの実施形態において、リングベルトは、船体および内部の気体体積に対する弾性圧力を防止するため伸縮不能であるが、他の実施形態では、リングベルトの少なくとも一部分が弾力的に伸縮可能にされていて船体のサイズが変化した場合でも船体上にぴったり適合するようになっている。異なる実施形態は、異なる目的に役立ち、所望される条件に左右される。弾性材料は冷却された場合に物性が変わることから、成層圏飛行船については、弾力的に伸縮可能なハーネスを設計するときに環境の低温を考慮に入れなければならない。
【0015】
ハーネス構造、例えばリングベルトまたはサイドバンドまたはその両方共が、
- プロペラエンジンまたは多数のプロペラエンジン、
- バッテリ、
- 例えばパネル、特に可撓性パネル上に具備される太陽電池、
- システムの全体的作動を制御するための制御モジュール、
のうちの少なくとも1つを締結し支持するために使用される。
【0016】
例えば、バッテリは、正常動作で配向されたとき船体の下側にある場所に具備される。例えば、制御モジュールによる制御には、充電手順、電源の機能および/または1つまたは複数のエンジンならびにステアリングの作動が含まれる。
【0017】
典型的には、2つのプロペラエンジンが、船体の両側に1つずつ具備される。エンジンがハーネスに近接して、例えば船体からの距離が、エンジンの位置における船体直径の半分未満さらには4分の1未満のところに具備されていることが有利である。例えば船体から船体の一方の側にある第1のプロペラエンジンまでの距離は、第1のプロペラから船体のもう一方の側にある第2のプロペラまでの距離の半分未満、さらには4分の1未満である。例えば、船体からプロペラまでの距離は、プロペラのサイズの2倍未満である。
【0018】
ステアリングは、方向性が調整可能なテールフィンまたはサイドフィンによって達成可能である。しかしながら、軽量飛行船については、フィンは任意には調整不能で方向が固定されており、それを接着により船体に締結することが可能になっている。代替的には、フィンは、ハーネス構造に取付けられている。フィンが調整不能である場合、プロペラエンジンは有利にも、前進方向に牽引しながら推力をわずかに上向きまたは下向きに導くため角度を調整することができる。
【0019】
任意には、ハーネス構造は、屈曲可能なサイドバンドを含む。例えば、これらのサイドバンドはリングベルトに締結され、リングベルトから船体の尾部まで、例えば後端部まで、船体の外側に沿って延在する。典型的には、サイドバンドは、船体の相対する側に対称的に具備される。任意には、サイドバンドは、ハーネス構造の形状安定性を提供するために伸縮不能である。尾部特に後端部は、リングベルトが有利にも具備される船体の中央部分よりも狭いことから、ハーネス構造上の推進ユニットによる前進方向の牽引によって尾部はリングベルトと共に船体上を摺動させられることなく牽引されることになる。
【0020】
いくつかの実施形態においては、電流を導くため、導電体がハーネス構造、例えばサイドバンドまたはリングベルトまたはその両方の材料中に統合されている。導電体は、
- 太陽電池とバッテリの間、
- バッテリとエンジンの間、
- 太陽電池とエンジンの間、
のうちの少なくとも1つのために使用される。
【0021】
例えば太陽電池パネル上の太陽電池、バッテリおよび1つまたは複数のプロペラエンジンが、ハーネス構造の屈曲可能な材料中に統合されている導電体によって電気的に相互接続されていることが有利である。特に、例えばサイドバンドまたはリングベルトまたはその両方を含めたハーネス構造の材料が、任意には製織されたまたは編組されたヤーン(yarn、織り糸)を含む織物材料である場合、有利である。この場合、導電体は潜在的に材料の一部として提供され、例えばヤーンと交織されるかまたは材料中に編組または刺繍される。代替的には、導電体は、ハーネス構造、例えばサイドバンドおよび/またはリングベルトの材料上に印刷または積層される。
【0022】
導電体は同様に、電子的構成要素、特に制御ユニットの間の電子信号のためにも使用され得る。任意には、導電体は同様に、1つ以上の制御ユニットと、
- バッテリ、
- 太陽電池、および
- 1つまたは複数のエンジン、
との間でデジタルデータ信号を伝送するためのデジタルデータバスを含む。
【0023】
デジタル信号については、導電体に対する代替案として光電子部品を使用することができる。例えばデジタル光信号の伝送のための導光材を、例えば可撓性導光材をハーネス織物材料中に交織することによって、ハーネス構造中に統合することができる。代替的には、導光材は、ハーネス構造の表面に締結される。
【0024】
以下で明らかになるように、さまざまな構成要素がハーネス構造により支持されており、船体からは独立している。船体はこれらの構造により混乱されず、漏出のリスクは最小限に抑えられる。有利には、構成要素は、船体を取り囲むハーネス構造によってのみ船体に取付けられている。これにより、船体とは別個に全ての必要な構成要素と共にハーネス構造を生産することが可能となる。例えば、ハーネス構造全体が提供され、少なくとも部分的に膨張させられた船体が、飛行船の離陸前の最終段階としてハーネス構造内に挿入される。代替的には、ハーネス構造は、少なくとも部分的な膨張の後、船体の周りに締結される。
【0025】
典型的には、導電体は、可撓性ワイヤであり、ハーネス構造のファブリックは、ワイヤとバッテリまたは太陽電池またはエンジンとの間に電気的接続が存在する接触場所を含む。例えば、ワイヤは、これらの接触場所において局所的にのみファブリック外に延在している。
【0026】
典型的には、可撓性ワイヤは伸縮不能である。ただし、ワイヤは、伸縮可能な導電体を提供するために蛇行して形成され得る。織物材料が伸縮可能である場合、特にワイヤよりも伸縮性が高い場合、ファブリック材料と導電体の間の構造的整合の選択肢として、伸縮可能な導電体として使用される蛇行形状のワイヤが含まれる。
【0027】
伸縮可能なハーネス構造が所望されるいくつかの実施形態において、ファブリックは、ハーネス構造を弾力的に伸縮可能にするためにエラストマを含む。
【0028】
さらなる任意の特徴として、リングベルトには、リングベルトと協働しリングベルトの長さを短縮する方向でリングベルトに対して収縮性張力を提供するように構成されたリングベルトテンショナが具備される。この特徴は、リングベルトが船体から緩んだ状態となるリスクを最小限に抑える調整可能なメカニズムを生み出す。このようなテンショナは同様に、リングベルト自体に伸縮性材料を必要とせずに船体サイズの変化の場合にリングベルトの直径を調整することを可能にする。この特徴は同様に、日中および夜間の気体の温度変化に起因する船体の体積変動に対応するためにも有用である。
【0029】
考えられる実用的実施形態において、リングベルトテンショナは、リングベルト上の第1の場所に締結された第1の剛性アーム、リングベルト上の第2の場所に締結された第2の剛性アーム、および第1の剛性アームを第2の剛性アームに連結し、リングベルト上の第1および第2の場所を互いに向かって牽引するための弾力的収縮力を提供する収縮する弾力要素を含む。
【0030】
具体的な一実施形態において、第1および第2の剛性アームはリングベルトから外向きに延在し、リングベルトから遠隔したアーム連結部において手作業で連結され、こうして第1および第2の場所とアーム連結部は三角形を形成するようになっており、収縮する弾力要素はこの三角形の内側に具備されている。
【0031】
任意には、エンジンは、例えばアーム連結部で第1または第2の剛性アームまたはその両方に締結されている。
【0032】
有利には、太陽電池は、船体材料の表面に締結されない。むしろ、太陽電池は、ハーネス構造にのみ締結されている。例えば、太陽電池は、船体材料には締結されているものの船体材料の表面には締結されていない可撓性太陽電池パネルを形成するように、基本ファブリックに締結される。任意には、基本ファブリックは、太陽電池から船体への熱放散を最小限に抑えるため基本ファブリックと船体の間で例えば発泡材層などの断熱層に締結される。このような3重構造は同様に、有利には、ハーネス構造、特にリングベルトまたはサイドバンドまたは両方に締結されこれらにより支持される。
【0033】
典型的には、ハーネス構造は、船体表面と当接し、それを少なくとも部分的に包囲するが、船体の表面材料に接着されない。こうして、ハーネス構造と船体表面の間にはいかなる接着剤も他の接着材料も使用されず、船体に対するハーネス構造の何らかの締結のために船体が混乱させられることはない。むしろ、船体がハーネス構造内に挿入されるかまたはハーネス構造が船体の周囲に敷設され、ハーネス構造は、外部船体表面とハーネス構造の内部表面の間の圧力によりハーネス構造の内側に船体を固定している。こうして、薄く軽量であることが望まれる船体材料には最小限の応力しか加わらない。これは同様に、船体をハーネス構造から容易に取外し交換することができ、ハーネス構造は給電、電力貯蔵、エンジンおよび制御ユニットと一体化されたユニットとして保たれる、ということも暗に意味している。
【0034】
例えば、空気より軽い飛行船は、以下の方法にしたがって提供される。細長い船体には長手方向軸が具備され、船体は気体で膨張させられる。船体とは別個に、ハーネス構造が屈曲可能な材料で製造される。船体を膨張させた後に初めて、船体の周りにハーネス構造が位置付けされ、こうしてハーネス構造は、船体を混乱させることなくかつ船体を貫通して延在することなく船体の外側と当接していることになる。
【0035】
例えば船体の周りにハーネス構造を組付ける前に、ソーラーパネルはハーネス構造にしっかり固定される。同様に、このような組付けに先立ち、または代替的には組付けの後、飛行船の前進方向推力のための1つ以上のプロペラエンジンがハーネス構造にしっかり固定される。典型的には、船体の2つの相対する側の各々の上に1つずつの2つのプロペラエンジンが使用される。ソーラーパネルの太陽電池により再充電可能なバッテリも同様に、1つまたは複数のプロペラエンジンに対して電力を提供するためにハーネス構造に取付けられる。有利にはハーネス構造の屈曲可能な材料中に統合された導電体が、太陽電池パネル、バッテリおよび1つまたは複数のプロペラエンジンを電気的に相互接続している。
【0036】
いくつかの具体的実施形態において、ハーネス構造は、ベルト締結具が具備された2つの相対する端部を含む屈曲可能なリングベルトを有する。船体の膨張後、ハーネス構造は、リングベルトが船体の周りおよび船体の長手方向軸の周りでリングとして延在するような形で2つのベルト締結具を相互連結することによって船体の周りにしっかりと固定される。
【0037】
ハーネス構造の組付け中における船体浮力の制御困難を回避するため、船体には、少なくとも1つが空気用で少なくとも1つがヘリウムまたは水素用である少なくとも2つの別個の体積へと船体を分割するため、船体の内部に気嚢が具備される。空気体積そして任意には同様に水素またはヘリウムについての他の体積は、船体の周りにハーネス構造をしっかり固定する前に膨張させられる。
【0038】
本発明について、図面を参照しながら、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】a)船体を伴う、およびb)船体を伴わないハーネス構造を備えた空気より軽い飛行船を例示する。
【
図2】a)船体を伴う、およびb)船体を伴わないハーネス構造を備えた代替的な空気より軽い飛行船を例示する。
【
図3】プロペラおよびテンショナをより詳細に示す。
【
図4】統合された導電体を伴うハーネス構造の概略図である。
【
図8】船体上に組付ける前のハーネス構造を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1aは、空気より軽い飛行船1を例示する。この飛行船は、長手方向軸1’を伴う閉鎖された細長い軟式飛行船を形成する可撓性船体2を含む。飛行船1は、前端部4と、飛行船1の後端部またはその近くに安定性と任意にはステアリングをも同様に目的とするフィン6を伴う尾部とを有する。軟式飛行船は気体、典型的にはヘリウムまたは水素ガスを格納する。船体材料は、可撓的に屈曲可能であるものの伸縮不能である場合、膨張された時点で高度の安定性を船体に付与する。船体2のための典型的な材料は、気密性フィルムと組合わせた補強用繊維材料の積層品である。中でも国際特許公開第2014/009314号、米国特許第7713890号または米国特許第6074722号中で論述されているように、さまざまな提案が存在する。
【0041】
船体2は、
図1bに分離した状態でより良く示されているハーネス構造3によって部分的に包囲されている。ハーネス構造3は、船体2の外側と当接している。ハーネス構造3は、船体2および長手方向軸1’の周りでリングとして延在する屈曲可能なリングベルト7を含む。屈曲可能なサイドバンド8がリングベルト8に締結され、リングベルト7から後端部5まで船体2の外側に沿って延在する。これらのサイドバンド8は任意であり、いくつかの実施形態においては、回避される。ハーネス構造は、任意には1つ以上のさらなるリングベルト7’も含んでいる。
【0042】
任意には、リングベルト7および/またはサイドバンド8は、船体および内部の気体体積上の弾性圧力を防止するため、伸縮不能である。代替的には、リングベルト7および/またはサイドバンド8は、船体2が例えば気体の温度変化に起因してサイズを変えようとしている場合でさえ、船体2上にぴったりと適合するように、弾力的に伸縮可能にされる。異なる実施形態が異なる目的に役立ち、所望の条件により左右される。
【0043】
飛行船1は同様に、電動プロペラエンジン10によって駆動される2つの電動前進方向性プロペラ9も含んでいる。プロペラエンジン10は、例えば、船体2の下位の場所でハーネス構造3に対し締結された再充電可能バッテリ11からの電流によって駆動され、こうしてバッテリはその重量に起因して飛行船1の一定の配向を促進するようになっている。正常動作中は上向きであるかまたは上方に傾斜した位置になる船体2の反対側に、飛行船1は、日光が太陽電池パネル12の太陽電池12’上に降り注ぐ日中にバッテリ11を充電するための太陽電池パネル12を含む。
【0044】
図2aおよび
図2bは、代替的なハーネス構造3を例示する。ハーネス構造3は、リングベルト7に締結されたさらなるサイドバンド8aを含み、このサイドバンドは、プロペラエンジン10も同様に締結されているリングベルト7上の位置から延在している。プロペラエンジン10が前進方向に牽引する時、さらなるサイドバンド8aは後端部5も同様に牽引し、リングベルト7を変形させる傾向があると考えられるプロペラエンジン10のマウントからの力を最小限に抑える。さらなる潜在的安定性を得るため、任意には、リングベルト7から前端部4の周囲に延在するフロントバンド8bも具備される。プロペラエンジン10が後進方向に機能する場合、このようなフロントバンド8bは、ハーネス構造3が船体2から摺動して外れないようしっかり固定する。
【0045】
図7に例示された任意の実施形態において、太陽電池12’は基本ファブリック19に締結され、このファブリックは任意には、太陽電池12’から船体2への熱放散を最小限に抑えるため、基本ファブリック19と船体2の間の断熱発泡材層20に締結されている。太陽電池12’は、例えば太陽電池配線などの太陽電池パネル12上のパネル導電体26により電気的に相互接続されている。
【0046】
太陽電池12’からバッテリ11へ、およびバッテリ11からプロペラエンジン10へ、そして任意には太陽電池12’から直接プロペラエンジン10への電流は、
図4に最も良く例示されているように、ハーネス構造3中、例えばリングベルト7中に統合されている導電体13を通して伝導される。例えば、リングベルト7、そして潜在的にはサイドバンド8も、製織または編組された材料で製造され、この材料中に導電体13が交織される。可撓性導線13’が統合され交織された製織リボンの一例が、
図5に例示されている。
【0047】
以下では、さらなる実用的な例示的実施形態を示す
図6をさらに参照する。ワイヤ13’に対する電気的接触が求められる場所21には、密封型コネクタ21が提供され、このコネクタは、ケーブル22を伴う雄部品21Aと雄部品21Aを収容するための雌部品21Bを含んでいる。雌部品21Bは、ワイヤ13’に対し電気的に接続され、密封用材料24、典型的にはポリマ樹脂によって場所21に密封される。雄部品22Aは、例えば太陽電池12’、バッテリ11またはプロペラエンジン10に連結されたケーブル23の端部を形成している。典型的には、太陽電池12’、バッテリ11またはプロペラエンジン10に対するこのような連結部は、さまざまな電気的および電子的構成要素の適切な作動を保証しその相互作用を連係させるユニットを制御する目的で連結されている。
【0048】
交織の代替として、導電体は例えば積層または印刷により、ハーネス構造の材料上に具備される。導電体13がこれらの技術により材料の主に取外不能な部品となっていることから、これもまた、ハーネスの材料中に導電体を統合する一つの方法である。
【0049】
図3に例示されているように、リングベルト7は、リングベルト7に対する収縮性張力のためのリングベルトテンショナ14を含む。この力は、リングベルトの長さを短縮させて、リングベルト7を船体2の外部表面上にきつく保持する傾向をもつような力である。このようなリングベルトテンショナ14は、温度シフトに起因する船体の体積変動を補償するのに使用される。対応する長さ変動は典型的に、リングベルトの長さのおよそ数パーセント、例えば5%未満または2%未満である。
【0050】
リングベルトテンショナ30は、リングベルト7上の第1の場所16Aに締結された第1の剛性アーム15Aとリングベルト7上の第2の場所16Bに締結された第2の剛性アーム15Bとを含む。第1の剛性アーム15Aおよび第2の剛性アーム15Bは、第1の剛性アーム15Aを第2の剛性アーム15Bに連結させリングベルト7上の第1の場所16Aおよび第2の場所16Bを互いに向かって牽引するための弾力的収縮力を提供する弾力性収縮要素17に連結されている。例示されているように、第1の剛性アーム15Aおよび第2の剛性アーム15Bはリングベルト7から外向きに延在し、リングベルト7から遠隔のアーム連結部18において相互に連結されている。第1の場所16Aおよび第2の場所16Bおよびアーム連結部18は三角形を形成し、ここで、収縮する弾力性要素14はこの三角形の内部に具備される。現在の例示において、船体からのプロペラエンジン10の距離は、およそプロペラ9の長さである。
【0051】
例えば、収縮する弾力性要素14は、ロッド14Bが中に弾力的に延在するスリーブ14A内部のコイルばね(図示せず)である。スリーブ14Aおよびロッド14Bは、それぞれ第1および第2のアーム15Aおよび15Bに連結されている。
【0052】
ハーネス構造3は、それが船体2を混乱させず船体2を貫通して延在することもなく電気システム全体を担持するという意味で、自律的構造である。例えば、ハーネス構造3は、船体の膨張後に船体上に組付けられる完全なエンティティとして提供される。利点は、船体が、船体材料とハーネス構造3の間に皺を発生させるリスクなく自由に膨張し得るという点にある。したがって、膨張後の船体2に対するハーネス構造3の取付けは、船体2に対する損傷のリスクを最小限に抑え、船体2の材料中に脆弱な点を作り出すリスクを最小限に抑える。
【0053】
例えば、ハーネス構造3は、太陽電池パネル12および導電体13がハーネス材料中に統合されているほぼ完全な構造として提供される。
図8に一例が示されている。この実施形態のハーネス構造3は、リングベルト7およびさらなるリングベルト7’を含むが、サイドバンドは一切含まない。2つのリングベルト7、7’は、間にソーラーパネルを締結しており、このソーラーパネル内には、導電性のパネル導電体26ならびに温度および電気的負荷などのパラメータを測定するための任意の電子的構成要素29が統合されている。バッテリおよびプロペラエンジン10に補給を行なう電流用の、パネル導電体16、例えば太陽電池配線は、リングベルト7内に統合される導電体13に対して電気的に接続される。リングベルト7は同様に、プロペラエンジン、バッテリの充電および放電、および/または太陽電池パネル12上の太陽電池12’の電気的制御のための制御ユニット25も担持している。例えば、制御ユニット25は、太陽電池12’の性能測定値および温度などのパラメータ値を受信するため電子的構成要素29に対して導電体13’によって電子的に接続されている。任意には、測定値用の導電体13’は、デジタルデータバスである。さらなる選択肢として、さらなるリングベルト7’も同様に、ハーネス材料中に統合された導電体を有する。
【0054】
ハーネス構造3が膨張した船体2内に締結された時点で、リングベルト7およびさらなるリングベルト7’は、船体2の周りにリングとして閉鎖される必要がある。これは、リングベルト7、7’の端部に取付けられ組合せ時に例えば相互連結用締結ストラップ28を使用することによってリングベルトをリング構造へと閉鎖するベルト締結具28により達成可能である。この原理は、同じく「ハーネス(装着帯)」なる用語で表現される馬に対する鞍の締結と類似するものである。
【0055】
任意には、締結ストラップ28は、特に例えば成層圏などの高高度への飛行船1の上昇中に、リングベルト7の長さを弾力的に調整するため、弾力的に伸縮可能である。このような弾力的に伸縮可能な締結ストラップ28は、ベルトテンショナ30に対する代替案として、またはそれに加えて使用可能である。
【0056】
プロペラエンジン10は、膨張した船体2に対するハーネス構造3の締結に先立ちベルト7に予備締結され得る。代替的には、プロペラエンジン10は、膨張した船体2に対するハーネス構造3の締結後にリングベルト7に締結される。任意には、バッテリ11も同様に、船体2に対するハーネス構造3の組付け後にハーネス構造3に締結される。原則として、太陽電池12は、膨張した船体2の周りにリングベルト7、7’を締結した後にリングベルト7’、7’に対し取付け可能であるが、いくつかの実施形態においては、リング7、7’に、ソーラーパネル12がすでにしっかり固定され電気的に接続されているハーネス構造3を提供することが好ましい。これにより、締結中のリング7、7’間の正しい距離が守られ、同時に、ソーラーパネル12とリングベルト7間の電気的および電子的接続の提供も容易になる。
【0057】
例えば、完全な組付け手順のために、船体2は完全に膨張させられ、リングベルト7、7’を含むハーネス構造3およびソーラーパネル12は、船体に対し周囲で締結され、プロペラエンジン10およびバッテリ11は、任意の追加のペイロードと同様に、後続するステップにおいてリングベルトに締結され電気的に接続される。原則として、さらなるステップは全く必要でない。
【0058】
飛行船1用ペイロードの例としては、カメラ、アンテナおよび送受信機であり、任意には、遠隔通信および監視用である。
なお、本発明の実施形態として、下記のものが想定される。
〔実施形態1〕
長手方向軸(1’)および前端部(4)および後端部(5)を伴って細長い気体入り可撓性船体(2)を含む、空気より軽い飛行船(1)において、ハーネス構造(3)が前記船体(2)を混乱させることなくかつ前記船体(2)を貫通して延在することなく前記船体(2)の外側に当接しており;前記ハーネス構造(3)が屈曲可能な材料で製造され、前記飛行船(1)の前進方向推力のためのプロペラエンジン(10)、前記プロペラエンジン(10)に対して電力を提供するための再充電可能バッテリ(11)、および前記バッテリ(11)を再充電するための電力を提供するためのソーラーパネルを担持している、空気より軽い飛行船(1)。
〔実施形態2〕
前記太陽電池パネル(12)、前記バッテリ(11)、前記プロペラエンジン(10)が、前記ハーネス構造(3)の前記屈曲可能な材料の中に統合された導電体(13)によって電気的に相互接続されている、実施形態1に記載の飛行船。
〔実施形態3〕
前記ハーネス構造(3)の前記屈曲可能な材料が、織物材料の一部として前記導電体が間に提供されているヤーンを含む織物材料である、実施形態2に記載の飛行船。
〔実施形態4〕
前記導電体が、前記ヤーンと交織されたまたは前記織物材料中に編み込むか刺繍されたワイヤである、実施形態3に記載の飛行船。
〔実施形態5〕
ファブリックが、前記ワイヤと前記バッテリまたは前記太陽電池または前記エンジンとの電気的接続が存在する接触場所を含み、これらの場所において前記ワイヤが前記ファブリック外に局所的にのみ延在している、実施形態3または4に記載の飛行船。
〔実施形態6〕
前記導電体(13)が前記ハーネス構造(3)の前記屈曲可能な材料上に印刷されるかまたは積層されている、実施形態2に記載の飛行船。
〔実施形態7〕
前記導電体が、制御ユニット(25)と前記バッテリ(11)、前記太陽電池パネル(12)および前記プロペラエンジン(10)の間でデジタルデータを伝送するためのデジタルデータバス(13’)も含んでいる、実施形態2ないし6のいずれか1項に記載の飛行船。
〔実施形態8〕
前記ハーネス構造(3)が、前記船体(2)の周りおよび前記長手方向軸(1’)の周りにリングとして延在し、前記太陽電池パネル(12)を担持している屈曲可能なリングベルト(7)を含む、実施形態2ないし6のいずれか1項に記載の飛行船。
〔実施形態9〕
前記リングベルト(7)が、前記導電体(13)が中に統合されるリングベルト材料でできており、前記導電体は、前記太陽電池パネル(12)と前記バッテリ(11)を電気的に相互接続している、実施形態8に記載の飛行船。
〔実施形態10〕
前記リングベルト(7)が、プロペラエンジン(10)も担持しており、前記リングベルト材料の中に統合された前記導電体(13)が、前記プロペラエンジン(10)に対し電気的に接続されている、実施形態9に記載の飛行船。
〔実施形態11〕
前記ハーネス構造(3)が前記リングベルト(7)まで一定の距離のところにさらなるリングベルト(7’)を備え、前記ソーラーパネル(12)が前記リングベルト(7)から前記さらなるリングベルト(7’)まで延在し、両方のリングベルト(7、7’)に締結される、実施形態9または10に記載の飛行船。
〔実施形態12〕
前記リングベルト(7)には、前記船体(2)の体積変動に対応するため前記リングベルト(7)の長さを短縮させる方向で前記リングベルト材料に対して収縮性張力を自動的かつ弾力的に提供するように構成されたリングベルトテンショナ(30)が具備されている、実施形態8ないし11のいずれか1項に記載の飛行船。
〔実施形態13〕
前記リングベルトテンショナ(30)が、前記リングベルト(7)上の第1の場所(16A)に締結された第1の剛性アーム(15A)と、前記リングベルト(7)上の第2の場所(16B)に締結された第2の剛性アーム(15B)と、前記第1の剛性アーム(15A)を前記第2の剛性アーム(15B)に連結し、前記リングベルト(7)上の前記第1の場所(16A)および前記第2の場所(16B)を互いに向かって牽引するための弾力的収縮力を提供する、収縮する弾力要素(14)とを備える、実施形態12に記載の飛行船。
〔実施形態14〕
前記プロペラエンジン(10)が前記第1の剛性アーム(15A)または第2の剛性アーム(15B)または両方に締結されている、実施形態13に記載の飛行船。
〔実施形態15〕
前記第1の剛性アーム(15A)および第2の剛性アーム(15B)が前記リングベルト(7)から外向きに延在し、前記リングベルト(7)から遠隔したアーム連結部(18)で相互に連結され、こうして前記第1および第2の場所(16A、16B)と前記アーム連結部(18)が三角形を形成するようになっており、前記収縮する弾力要素(14)はこの三角形の内側に具備されている、実施形態12または13に記載の飛行船。
〔実施形態16〕
前記プロペラエンジン(10)が前記アーム連結部(18)で前記第1および第2の剛性アーム(15A、15B)に締結されている、実施形態14に記載の飛行船。
〔実施形態17〕
空気より軽い飛行船を生産する方法において、長手方向軸(1’)を伴う細長い船体を提供し、前記船体を気体で膨張させるステップと;屈曲可能な材料で作られたハーネス構造(3)を提供するステップと;前記船体を膨張させた後に前記船体の周りに前記ハーネス構造(3)をしっかりと固定し、前記ハーネス構造(3)が前記船体(2)を混乱させることなくかつ前記船体(2)を貫通して延在することなく前記船体(2)の外側と当接しているようにするステップと;前記ハーネス構造(3)に対して、前記飛行船(1)の前進方向推力のためのプロペラエンジン(10)、前記プロペラエンジン(10)に電力を提供するための再充電可能バッテリ(11)、および前記バッテリ(11)を再充電するための電力を提供するためのソーラーパネルをしっかり固定するステップと、を含む方法。
〔実施形態18〕
前記ハーネス構造(3)の前記屈曲可能な材料の中に統合された導電体(13)を提供するステップと、前記導電体(13)によって前記太陽電池パネル(12)、前記バッテリ(11)および前記プロペラエンジン(10)を相互連結するステップと、を含む、実施形態17に記載の方法。
〔実施形態19〕
前記船体の周りに前記ハーネス構造(3)をしっかり固定する前に、前記ハーネス構造(3)にしっかりと固定された前記ソーラーパネルを前記ハーネス構造(3)に具備するステップを含む、実施形態17に記載の方法。
〔実施形態20〕
ベルト締結具(27)が具備された2つの相対する端部を含む屈曲可能なリングベルト(7)を前記ハーネス構造に具備するステップと、前記船体の膨張後に、前記リングベルト(7)が前記船体(2)の周りおよび前記船体の長手方向軸(1’)の周りでリングとして延在するような形で前記2つのベルト締結具を相互連結することによって前記船体の周りに前記ハーネス構造をしっかり固定するステップとを含む、実施形態19に記載の方法。
〔符号の説明〕
【符号の説明】
【0059】
1 飛行船
1’ 飛行船の長手方向軸
2 可撓性船体
3 ハーネス構造
4 飛行船1の前端部
5 飛行船1の後端部
6 後端部5のフィン
7 ハーネス構造3のリングベルト
7’ 任意のさらなるリングベルト
8 ハーネス構造3のサイドバンド
8a エンジン9の位置から後端部5まで延在するさらなるサイドバンド
8b リングベルト7から前端部4の周りに延在するフロントバンド
9 プロペラ
10 プロペラエンジン
11 バッテリ
12 太陽電池パネル
12’ 太陽電池
13 導電体
13’ 導電体としてのワイヤ
13’’ データバス
14 収縮する弾力性要素
14A 収縮する弾力性要素のスリーブ
14B スリーブ14A内に弾力的に延在するロッド
15A 第1の場所15Aに締結された第1の剛性アーム
15B 第2の場所16Bに締結された第2の剛性アーム
16A リングベルト7上の第1の場所
16B リングベルト7上の第2の場所
17 第1の剛性アーム15Aを第2の剛性アーム15Bに連結する弾力性収縮要素
19 太陽電池が締結される基本ファブリック
20 基本ファブリックが締結される断熱用発泡材
21 導電体13/ワイヤ13*に対する電気的接触のための場所
22 コネクタ
22A コネクタ22の雄部品
22B コネクタ22の雌部品
23 雄部品にあるケーブル
24 場所21にある密封用材料
25 コントローラ
26 パネル導電体、例えば太陽電池配線
27 ベルト締結具
28 ベルト締結具27上のストラップ
29 太陽電池パネル12上のパラメータ測定用の電子的構成要素
30 リングベルトテンショナ