(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】水蒸気および酸素の反応物を利用するプラズマ軽減技術
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20220208BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20220208BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220208BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220208BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20220208BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20220208BHJP
C23C 14/00 20060101ALI20220208BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20220208BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20220208BHJP
C02F 1/48 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H05H1/24
H01L21/205
H01L21/302 101G
B01J19/00 C
B01J19/08 E
C23C14/00 B
C23C16/44 E
C23C16/50
C02F1/48 B
(21)【出願番号】P 2019543241
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(86)【国際出願番号】 US2018015982
(87)【国際公開番号】W WO2018148062
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-10-09
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ディキンソン コリン ジョン
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-501073(JP,A)
【文献】特開2003-010638(JP,A)
【文献】特開2003-282465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0155854(US,A1)
【文献】国際公開第2016/099760(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H05H 1/24
H01L 21/205
H01L 21/3065
B01J 19/00
B01J 19/08
C23C 14/00
C23C 16/44
C23C 16/50
C02F 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化温室効果ガスを含む処理チャンバからの排出物を、フォアラインを介してプラズマ源内へ流すことであって、前記フォアラインは、前記処理チャンバと前記プラズマ源を流動的に連結する、前記プラズマ源内へ流すことと、
前記フォアラインを経由して水蒸気および酸素を含む軽減反応物を前記プラズマ源内へ送達することであって、
前記フォアラインと流動的に連結された第1の導管を経由して第1の反応物源から前記フォアラインに前記水蒸気を送達することと、
前記第1の導管を経由して第2の反応物源から前記フォアラインへ前記酸素を送達することとを含む、
前記軽減反応物を前記プラズマ源内へ送達することと、
前記プラズマ源によって形成されたプラズマを使用して前記排出物および前記軽減反応物を活性化させて、前記フッ素化温室効果ガスを軽減物質に変換することと
を含む方法。
【請求項2】
前記軽減反応物中の前記水蒸気(「X」)と前記酸素(「Y」)の比が、0.75X:0.25Y~0.5X:0.5Yである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フッ素化温室効果ガスが硫黄含有ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記硫黄含有ガスがSF
6である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマが誘導結合プラズマである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記軽減反応物および前記排出物が、前記プラズマを形成する前に組み合わされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水蒸気および酸素が、前記プラズマ源へ同時に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記処理チャンバが、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバ、化学気相堆積(CVD)チャンバ、または物理的気相堆積(PVD)チャンバである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数の命令を記憶したコンピュータ可読媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに軽減システムを制御させ、
フッ素化温室効果ガスを含む処理チャンバからの排出物を、前記処理チャンバ
をプラズマ源と流動的に連結するフォアラインを経由して
前記プラズマ源内へ流す動作と、
前記フォアラインを経由して水蒸気および酸素を含む軽減反応物を前記プラズマ源内へ送達する動作であって、
前記フォアラインと流動的に連結された第1の導管を経由して水蒸気反応物源から前記フォアラインに前記水蒸気を送達することと、
前記第1の導管と流動的に連結された第2の導管を経由して酸素反応物源から前記フォアラインへ前記酸素を送達することとを含む、
前記軽減反応物を前記プラズマ源内へ送達する動作と、
前記プラズマ源によって形成されたプラズマを使用して前記排出物および前記軽減反応物を活性化させて、前記フッ素化温室効果ガスを軽減物質に変換する動作とを実行させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記軽減反応物中の前記水蒸気(「X」)と前記酸素(「Y」)の比が、0.75X:0.25Y~0.5X:0.5Yである、請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記フッ素化温室効果ガスが硫黄含有ガスを含む、請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記硫黄含有ガスがSF
6である、請求項11に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記プラズマが誘導結合プラズマである、請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記軽減反応物および前記排出物が、前記プラズマを形成する前に組み合わされる、請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記水蒸気および酸素が、前記プラズマ源へ同時に送達される、請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
処理チャンバからの排出物に含まれるフッ素化温室効果ガスを軽減物質に変換するためのシステムであって、
前記処理チャンバと、
真空源と、
前記処理チャンバを前記真空源と流動的に連結するチャンバフォアラインと、
第1の導管を経由して前記チャンバフォアラインと流動的に連結された
反応物送達システムであって、
前記第1の導管を経由して前記チャンバフォアラインと流動的に連結された水蒸気反応物源と、
前記第1の導管と流動的に連結された第2の導管を経由して前記チャンバフォアラインと流動的に連結された酸素反応物源とを備えた、
反応物送達システムと、
前記チャンバフォアラインを経由して
前記反応物送達システム
の下流に位置し、前記反応物送達システムと流動的に連結されたプラズマ源と
を備えたシステム。
【請求項17】
前記チャンバフォアラインを経由して水蒸気及び酸素を含む軽減反応物を前記プラズマ源内へ送達するように構成されたコントローラであって、
前記チャンバフォアラインと流動的に連結された前記第1の導管を経由して前記水蒸気反応物源から前記チャンバフォアラインに前記水蒸気を送達し、
前記第1の導管と流動的に連結された前記第2の導管を経由して前記酸素反応物源から前記チャンバフォアラインへ前記酸素を送達するように構成されることを含み、
更に、
前記水蒸気と、前記酸素と、
前記フッ素化温室効果ガスを含む前記処理チャンバからの
前記排出物から前記プラズマ源においてプラズマを生成し、前記フッ素化温室効果ガスを
前記軽減物質に変換するように構成されたコントローラを更に含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記軽減反応物中の前記水蒸気(「X」)と前記酸素(「Y」)の比が、0.75X:0.25Y~0.5X:0.5Yである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記軽減反応物および前記排出物が、前記プラズマを形成する前に組み合わされる、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記水蒸気および酸素が、前記プラズマ源へ同時に送達される、請求項
17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体処理機器に対する軽減に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、半導体製造プロセスの廃水中に存在するフッ素化温室効果ガス(Fガス)(たとえば、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、および六フッ化硫黄(SF6))を軽減するシステムおよび技法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセス中に生じる廃水は、多くの化合物を含んでおり、それらの化合物は、規制要件ならびに環境および安全上の懸念のために処分前に軽減または処置される。これらの化合物には、たとえばエッチングまたは洗浄プロセスで使用されるFガスおよびハロゲン含有化合物が挙げられる。
【0003】
CF4、C2F6、NF3、およびSF6などのFガスは、半導体およびフラットパネルディスプレイの製造業界において、たとえば誘電体層のエッチングおよびチャンバの洗浄で一般に使用される。典型的には、製造または洗浄プロセス後、プロセスツールから汲み上げられた廃水ガス流中にはFガスの残留物が存在する。Fガスは、廃水流から除去するのが困難であり、比較的高い温室効果作用を有することが知られているため、環境中へ解放されるのは望ましくない。Fガスおよび他の地球温暖化ガスの軽減のために、遠隔プラズマ源(RPS)またはインラインプラズマ源(IPS)が使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Fガスを軽減するための現在の軽減技術の設計は、水蒸気のみを利用する。水蒸気は、Fガスに対して優れた分解能力を提供するが、いくつかの適用分野では、プラズマ源の下流にあるプラズマ源、排気ライン、およびポンプ内に固体粒子が生成される。したがって、改善された軽減プロセスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、一般に、半導体処理機器に対する軽減に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、半導体製造プロセスの廃水中に存在するFガスを軽減するシステムおよび技法に関する。一実施形態では、プラズマ軽減システムに対する水および酸素送達システムが提供される。水および酸素送達システムは、密閉された領域を画定する床面および複数の側壁を含むハウジングを備える。水および酸素送達システムは、床面上に位置決めされた円柱水槽をさらに備え、円柱水槽の長手方向軸は、床面によって画定される平面に対して平行であり、水槽の長さは、円柱水槽の直径より1.5倍以上大きい。水および酸素送達システムは、ハウジング内で円柱水槽の上に位置決めされた流量制御システムをさらに備える。
【0006】
別の実施形態では、軽減システムが提供される。軽減システムは、水および酸素送達システムと、導管を介して水および酸素送達システムに連結されたプラズマ源とを備える。水および酸素送達システムは、密閉された領域を画定する床面および複数の側壁を含むハウジングを備える。水および酸素送達システムは、床面上に位置決めされた円柱水槽をさらに備え、円柱水槽の長手方向軸は、床面によって画定される平面に対して平行であり、水槽の長さは、円柱水槽の直径より1.5倍以上大きい。水および酸素送達システムは、ハウジング内で円柱水槽の上に位置決めされた流量制御システムをさらに備える。
【0007】
さらに別の実施形態では、真空処理システムが提供される。真空処理システムは、処理チャンバと、真空源と、処理チャンバを真空源に連結するフォアラインと、処理チャンバと真空源との間でフォアラインに連結された軽減システムとを備える。軽減システムは、水および酸素送達システムと、導管を介して水および酸素送達システムに連結されたプラズマ源とを備える。水および酸素送達システムは、密閉された領域を画定する床面および複数の側壁を含むハウジングを備える。水および酸素送達システムは、床面上に位置決めされた円柱水槽をさらに備え、円柱水槽の長手方向軸は、床面によって画定される平面に対して平行であり、水槽の長さは、円柱水槽の直径より1.5倍以上大きい。水および酸素送達システムは、ハウジング内で円柱水槽の上に位置決めされた流量制御システムをさらに備える。
【0008】
本開示の上述した特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上記で簡単に要約した実施形態のより具体的な説明を得ることができ、実施形態のいくつかは、添付の図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容することができるため、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理システムの概略図である。
【
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による水および酸素送達装置の部分斜視図である。
【
図3】処理チャンバを出た廃水を軽減する方法の一実施形態の流れ図である。
【
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による別の処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、これらの図に共通している同一の要素を指すために、可能な場合、同一の参照番号を使用した。さらなる記載がなくても、一実施形態の要素および特徴を他の実施形態にも有益に組み込むことができることが企図される。
【0011】
以下の開示は、半導体製造プロセスの廃水中に存在するフッ素化温室効果ガス(Fガス)を軽減するシステムおよび技法について説明する。本開示の様々な実施形態についての徹底的な理解を提供するために、特定の詳細を以下の説明および
図1~4に記述する。軽減システムおよび流量制御ハードウェアに関連付けられることの多いよく知られている構造およびシステムについて説明する他の詳細は、様々な実施形態の説明を不必要に曖昧にしないために、以下の開示では記述しない。
【0012】
これらの図に示す詳細、寸法、角度、および他の特徴の多くは、特定の実施形態の例示にすぎない。したがって、他の実施形態では、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、および特徴を有することができる。加えて、後述する詳細のうちのいくつかがなくても、本開示のさらなる実施形態を実施することができる。
【0013】
本明細書に記載する実施形態について、ポンプ前軽減プロセスを参照して以下に説明する。このプロセスは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能な占有面積ゼロの軽減システムなど、占有面積ゼロの軽減システムを使用して実施することができる。ポンプ前軽減プロセスを実行することが可能な他のツールはまた、本明細書に記載する実施形態から利益を得るように適合することができる。加えて、本明細書に記載するポンプ前軽減プロセスを可能にする任意のシステムを有利に使用することができる。本明細書に記載する装置の説明は例示であり、本明細書に記載する実施形態の範囲を限定すると推論または解釈されるべきではない。
【0014】
本明細書に開示する実施形態は、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、または他の真空処理チャンバなどの処理チャンバから廃水を受け取り、水蒸気反応物および/または酸素含有ガスをフォアラインまたはプラズマ源内へ注入することによって、フォアライン内に配置されたプラズマ源内の水蒸気反応物および/または酸素含有ガスと廃水を反応させるプラズマ軽減プロセスおよびシステムを含む。廃水ならびに水蒸気反応物および/または酸素含有ガス中に存在する物質は、プラズマ源によって励磁され、これらの物質は、典型的な水スクラビング軽減技術によって容易に取り除かれるHFなどのガス種に変換される。いくつかの実施形態では、水蒸気反応物および酸素含有ガスは、フォアラインまたはプラズマ源内へ同時に注入される。いくつかの実施形態では、酸素含有ガスは、水蒸気の注入が一時的に停止されている間に、フォアラインまたはプラズマ源内へ周期的に注入される。水蒸気によって提供される水素ラジカル廃水を除去することによって、酸素を使用すると、より高濃度のフッ素ラジカルの存在が可能になり、固体粒子の生成が低減または回避される。したがって、軽減システムおよびプロセスは、良好な分解除去効率(DRE)を提供し、固体粒子の生成が最小になる。
【0015】
本明細書に記載する実施形態は、水蒸気および酸素の送達を同時にまたは順次提供するモジュールをさらに提供する。酸素および水蒸気は、質量流量コントローラ(「MFC」)によって、または1つもしくは複数のニードル弁を流量制御に使用する代替の技法によって提供することができる。このモジュールは、水蒸気の沸騰により水蒸気MFCまたは流量制御弁に供給することを可能にする水槽を含む。水槽は、複合型の水および酸素送達システムの空間の最適化を可能にするように、低プロファイル構成に設計される。この低プロファイル構成は、沸騰表面積を最大にする横型の水槽を利用する。いくつかの実施形態では、低プロファイル構成は、水位測定は可能であるが全体的な垂直高さ要件が低い低プロファイルレベルツリーフロート設計をさらに含む。
【0016】
本明細書に記載する実施形態は、軽減システム内の水蒸気および酸素の送達のための方法をさらに提供する。いくつかの実施形態では、選択された水蒸気のみの流量(たとえば、Xsccm)および選択された酸素のみの流量(たとえば、Ysccm)を確立し、次いで「平衡化」流量方法を適用して、水蒸気および酸素をその間で変動させることによって、水蒸気と酸素の比が判定される。たとえば、「25%の水蒸気」における「希薄水」構成は、0.25×X+0.75×Yの混合物に等しいはずであり、「希薄酸素」設定は、0.75×X+0.25×Yになるはずであり、「平衡混合物」は、0.5×X+0.5×Yになるはずである。
【0017】
図1は、本明細書に開示する実施形態による処理システム100の概略図を示す。
図1に示すように、処理システム100は、軽減システム120に連結された処理チャンバ110を含む。処理チャンバ110は、軽減システム120のフォアライン102に連結されたチャンバ排気口104を有する。チャンバ排気口104の近傍には、処理チャンバ110内の圧力を制御するためのスロットルバルブ(図示せず)を配置することができる。少なくとも第1の注入口106および第2の注入口108を、フォアライン102内に形成することができる。軽減システム120は、フォアライン102の第2の端部に連結された真空源190をさらに含む。フォアライン102内で、第1の注入口106と真空源190との間の場所に、プラズマ源130が連結される。
【0018】
処理チャンバ110は、たとえば、とりわけ堆積プロセス、エッチングプロセス、アニーリングプロセス、または洗浄プロセスを実施する処理チャンバとすることができる。堆積プロセスを実施する代表的なチャンバには、たとえばプラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバ、化学気相堆積(CVD)チャンバ、または物理的気相堆積(PVD)チャンバなどの堆積チャンバが含まれる。いくつかの実施形態では、堆積プロセスは、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiNx)、酸窒化ケイ素(SiON)、結晶シリコン、a-Si、ドープされたa-Si、フッ化ガラス(FSG)、リンがドープされたガラス(PSG)、ホウ素-リンがドープされたガラス(BPSG)、炭素がドープされたガラス、ならびにポリイミドおよびオルガノシロキサンなどの他の低誘電率誘電体などの誘電体を堆積させるプロセスとすることができる。他の実施形態では、堆積プロセスは、たとえばチタン、二酸化チタン、タングステン、窒化タングステン、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタル、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ルテニウム、またはコバルトなどの金属、金属酸化物、または金属窒化物を堆積させるプロセスとすることができる。加えて、リチウム-リン酸素窒化物、リチウム-コバルト、および他の多数のものなどの金属合金を堆積させることができる。処理チャンバ110内で実行される堆積プロセスは、プラズマ支援式とすることができる。たとえば、処理チャンバ110内で実行されるプロセスは、シリコン系物質をエッチングするプラズマエッチングプロセスとすることができる。一実施形態では、処理チャンバ110は、シリコン系物質を堆積させるプラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバである。
【0019】
フォアライン102は、処理チャンバ110を離れた廃水を軽減システム120へ経路指定する導管として働く。廃水は、大気中に解放するには望ましくない物質を含むことがあり、または真空ポンプなどの下流の機器を損傷することがある。たとえば、廃水は、誘電体堆積プロセスまたは金属堆積プロセスからの化合物を含むことがある。
【0020】
廃水中に存在しうるシリコン含有物質の例には、たとえば、四塩化ケイ素(SiCl4)および/または四フッ化ケイ素(SiF4)が含まれる。
【0021】
図示のように、軽減システム120は、プラズマ源130、反応物送達システム140、フォアラインガス注入キット170、コントローラ180、および真空源190を含む。フォアライン102は、処理チャンバ110を離れた廃水をプラズマ源130へ提供する。プラズマ源130は、プラズマを生成するのに好適なフォアライン102に連結された任意のプラズマ源とすることができる。たとえば、プラズマ源130は、フォアライン102内またはフォアライン102近傍でプラズマを生成してフォアライン102内へ反応種を導入する遠隔プラズマ源、インラインプラズマ源、または他の好適なプラズマ源とすることができる。プラズマ源130は、たとえば、誘導結合プラズマ源、容量結合プラズマ源、直流プラズマ源、またはマイクロ波プラズマ源とすることができる。プラズマ源130はさらに、上述した任意の種類の磁気強化プラズマ源とすることができる。
【0022】
反応物送達システム140はまた、第1の導管122を介して第1の注入口106に連結することができる。反応物送達システム140は、プラズマ源130の上流にあるフォアライン102へ、軽減反応物などの1つまたは複数の反応物を送達する。代替実施形態では、反応物送達システム140は、プラズマ源130内へ反応物を直接送達するために、プラズマ源130に直接連結することができる。反応物送達システム140は、第1の導管122を介してフォアライン102(またはプラズマ源130)に連結された第1の反応物源150を含む。いくつかの実施形態では、第1の反応物源150は低圧ボイラであり、低圧ボイラ内には液体の水などの液体軽減剤が配置される。別法として、第1の反応物源150は、液体の水を水蒸気にすることが可能なフラッシュ蒸発器とすることができる。第1の反応物源150は、水を加熱して水蒸気または蒸気などの軽減反応物を形成する加熱器151を含む。第1の注入口106を介してフォアライン102内へ、水蒸気などの蒸気の形の軽減反応物が注入される。軽減反応物送達システム内には、コントローラ180へ信号を提供するために、水位センサが位置することができ、コントローラ180は、第1の反応物源150内の水位を維持するように充填弁(図示せず)を選択的に開く。
【0023】
第1の反応物源は、第3の導管158を介して、第1の反応物源150に水を供給する水源156に連結される。第3の導管158に沿って、水源156から第1の反応物源150への水の流量を制御するために、1つまたは複数のバルブ159を位置決めすることができる。
【0024】
第1の導管122に沿って第1の反応物源150と第1の注入口106との間に、1つまたは複数のバルブを位置決めすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、バルブ機構は、第1の反応物源150からフォアライン102内への1つまたは複数の反応物の流量を制御するオン/オフスイッチとして機能する2方向制御弁152と、フォアライン102への第1の反応物源150の流量を制御する流量制御デバイス154とを含むことができる。流量制御デバイス154は、フォアライン102と2方向制御弁152との間に配置することができる。2方向制御弁152は、ソレノイド弁、空気圧弁、ニードル弁などの任意の好適な制御弁とすることができる。流量制御デバイス154は、固定オリフィス、質量流量コントローラ、ニードル弁などの任意の好適な能動または受動流量制御デバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、第1の反応物源150から供給される反応物を蒸気の状態で維持するように、第1の導管に沿って加熱器153が位置決めされる。いくつかの実施形態では、加熱器153は、第1の導管122に沿って2方向制御弁152と第1の反応物源150との間に位置決めされる。
【0025】
第1の反応物源150によって送達することができる代表的な揮発性の軽減反応物には、たとえばH2Oが含まれる。H2Oは、たとえばCF4および/または他の物質を含む廃水を軽減するときに使用することができる。いくつかの実施形態では、揮発性の軽減反応物は、廃水の化合物によって消費されることがあり、したがって触媒と見なすことができない。
【0026】
反応物送達システム140は、第1の導管122に連結された第2の導管124を介してフォアライン102(またはプラズマ源130)に連結された第2の反応物源160をさらに含む。第2の導管124に沿って第2の反応物源160と第1の導管122との間に、第2の反応物の流量を制御するために、1つまたは複数のバルブが位置決めされる。たとえば、いくつかの実施形態では、バルブ機構は、第2の反応物源160からフォアライン102内への1つまたは複数の反応物の流量を制御するオン/オフスイッチとして機能する2方向制御弁162と、フォアライン102への第2の反応物源160の流量を制御する流量制御デバイス164とを含むことができる。流量制御デバイス164は、フォアライン102と2方向制御弁162との間に配置することができる。2方向制御弁162は、ソレノイド弁、空気圧弁、ニードル弁などの任意の好適な制御弁とすることができる。流量制御デバイス164は、固定オリフィス、質量流量コントローラ、ニードル弁などの任意の好適な能動または受動流量制御デバイスとすることができる。
【0027】
第2の反応物源160によって、酸素含有ガス、たとえばO2を送達することができる。O2は、たとえばCF4および/または他の物質を含む廃水を軽減するときに使用することができる。1つまたは複数の実施形態では、O2とともに水素含有ガスを使用することができる。
【0028】
フォアラインガス注入キット170はまた、プラズマ源130の上流または下流(
図1では下流を示す)で、フォアライン102に連結することができる。フォアラインガス注入キット170は、フォアライン102内の圧力を制御するために、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、または清浄な乾燥空気などのフォアラインガスを、フォアライン102内へ制御可能に提供することができる。フォアラインガス注入キット170は、フォアラインガス源172、続いて圧力調整器174、さらに続いて制御弁176、さらに続いて流量制御デバイス178を含むことができる。圧力調整器174は、ガス送達圧力設定点を設定する。制御弁176は、ガス流を出したり止めたりする。制御弁176は、2方向制御弁152に関して上記で論じたような任意の好適な制御弁とすることができる。流量制御デバイス178は、圧力調整器174の設定点によって指定されたガスの流量を提供する。流量制御デバイス178は、流量制御デバイス154および164に関して上記で論じたような任意の好適な流量制御デバイスとすることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、フォアラインガス注入キット170は、圧力計179をさらに含むことができる。圧力計179は、圧力調整器174と流量制御デバイス178との間に配置することができる。圧力計179は、流量制御デバイス178の上流にあるフォアラインガス注入キット170内の圧力を測定するために使用することができる。圧力計179で測定された圧力は、以下に論じるコントローラ180などの制御デバイスによって利用することができ、圧力調整器174を制御することによって、流量制御デバイス178の上流の圧力を設定することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、制御弁176は、第1の反応物源150および/または第2の反応物源160からの反応物が流れているときのみガスを出すように、コントローラ180によって制御することができ、したがってガスの使用量が最小になる。たとえば、第1の反応物源150の2方向制御弁152とフォアラインガス注入キット170の制御弁176との間に点線によって示すように、2方向制御弁152が開けられた(または締められた)ことに応答して、制御弁176を開ける(または締める)ことができる。
【0031】
フォアライン102は、真空源190または他の好適なポンピング装置に連結することができる。真空源190は、排気ライン192に連結されており、排気ライン192は、設備排気(図示せず)に接続することができる。真空源190は、処理チャンバ110からの廃水をスクラバ、焼却炉などの適当な下流の廃水取扱い機器へ汲み出す。いくつかの実施形態では、真空源190は、乾式メカニカルポンプなどのバッキングポンプとすることができる。真空源190は、たとえばフォアライン102内の圧力を制御するように、またはフォアライン102内の圧力の追加の制御を提供するように、選択されたレベルに設定することができる可変ポンピング容量を有することができる。
【0032】
コントローラ180は、処理システム100の様々な構成要素に連結して、それらの動作を制御することができる。たとえばコントローラは、本明細書に開示する教示によって、フォアラインガス注入キット170、反応物送達システム140、および/またはプラズマ源130を監視および/または制御することができる。
【0033】
簡単にするために、
図1の実施形態は概略的に表されており、いくつかの構成要素が省略されている。たとえば、処理チャンバ110から廃水ガスを除去するために、ターボ分子ポンプなどの高速真空ポンプを処理チャンバ110とフォアライン102との間に配置することができる。加えて、フォアラインガス、反応物、および/またはプラズマを供給するために、構成要素の他の変形形態を提供することもできる。
【0034】
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による水および酸素送達装置200の部分斜視図である。水および酸素送達装置200は、
図1に記載した軽減システム120内で使用することができる水/酸素送達システムである。水および酸素送達装置200は、
図1に示す反応物送達システム140の代わりに使用することができる。水および酸素送達装置200は、水および酸素送達装置200の構成要素を密閉するハウジング210を含む。ハウジング210は、密閉された領域216を画定する床面212、反対側の天井(図示せず)、および複数の側壁214a、214bを含む。画定された複数の側壁214a、214bは、床面212に直交して位置決めされる。床面212は、水平平面を画定する。ハウジング210はまた、床面212から天井まで延びて側壁214aに対して平行をなす内壁218を含む。側壁214aは、床面212によって画定された水平平面に直交する垂直平面を画定する。
【0035】
水および酸素送達装置200は、ハウジング210または他の筐体の下部に位置決めされた水槽220を含む。一実施形態では、水槽220は、側壁214a、側壁214b、および内壁218によって画定された領域内で床面212上に位置決めされる。典型的には、水槽内の水を加熱して蒸気を生じさせるために、水槽220に熱源(図示せず)が連結される。一実施形態では、水槽220は、円柱形の本体260を有する。円柱形の本体260は、円柱形の側壁262、第1の壁264、および反対側の第2の壁266を有し、これらが水槽220の密閉部分を画定する。円柱形の本体260の長手方向軸268は、床面212によって画定される平面に対して平行である。円柱形の側壁262は、長手方向軸268に対して平行である。一実施形態では、第1の壁264および第2の壁266は円形の壁である。いくつかの実施形態では、第1の壁264および第2の壁266は、床面212によって画定される平面に直交している。
【0036】
水槽220の長さ「L」(たとえば、円柱形の側壁262の長さ)は、直径「D」(たとえば、第1の壁264または第2の壁266の直径)より大きい。一実施形態では、水槽220の長さ「L」は、水槽220の直径「D」より1.5倍以上大きい。別の実施形態では、水槽220の長さ「L」は、水槽220の直径「D」より2倍以上大きい。さらに別の実施形態では、水槽220の長さ「L」は、水槽220の直径「D」より2.5倍以上大きい。さらに別の実施形態では、水槽220の長さ「L」は、水槽220の直径「D」より3倍以上大きい。水槽220を水平に(たとえば、長手方向軸268を床面212によって画定される平面に対して平行に)位置決めすることで、垂直に位置決めされた水槽(たとえば、長手方向軸268が床面212によって画定される平面に直交する)に比べて、水槽220内の水の表面積が増大し、それにより蒸気の生成が増大することが、本発明者らによって判明した。水槽220について円柱形であるものとして説明するが、水槽220は、他の形状を構成することもできることを理解されたい。
【0037】
いくつかの実施形態では、水槽220は、水蒸気を生じさせる低圧ボイラである。典型的には、低圧ボイラ内には液体の水などの液体軽減剤が配置される。別法として、水槽220は、液体の水を水蒸気にすることが可能なフラッシュ蒸発器とすることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、水および酸素送達装置200は、水槽220内の圧力を測定するために水槽220内に位置決めされた真空圧力計230をさらに含む。水および酸素送達装置200は、水槽220内の液位を測定するために水槽220内に位置決めされた液位センサ235をさらに含むことができる。
【0039】
水および酸素送達装置200は、水蒸気の流量および酸素含有ガスの流量を制御する流量制御システム240をさらに含む。流量制御システム240は、ハウジング210内で横型の水槽220の上に位置決めされる。いくつかの実施形態では、流量制御システム240は、水槽220からの水蒸気の流量を制御する第1の質量流量コントローラ242を含む。流量制御システム240は、酸素含有ガスの流量を制御する第2の質量流量コントローラをさらに含むことができる。流量制御システム240は、第1の質量流量コントローラ242と第2の質量流量コントローラ244との間に位置決めされた水蒸気MFCコントローラ246をさらに含むことができる。水および酸素送達装置200は、簡潔にするために記載されていないが、水蒸気および酸素の生成および流量を制御する他の構成要素(たとえば、バルブ、MFCなど)を含むことができる。装置は、水槽220からの水蒸気の生成、真空圧力計230、液位センサ235、および流量制御システム240を制御および監視することができる電子コントローラ250をさらに含む。
【0040】
電子コントローラ250は、たとえばコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、または埋込みコントローラとすることができる。電子コントローラ250は、典型的には、中央処理装置(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、ならびに入力および出力(I/O)(図示せず)に対する支持回路を含む。CPUは、産業設定において、様々なシステムの機能、基板の動き、チャンバのプロセス、および制御支持ハードウェア(たとえば、センサ、モータ、加熱器など)を制御するために使用され、システム内で実行されるプロセスを監視する任意の形態のコンピュータプロセッサのうちの1つとすることができる。メモリは、CPUに接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または任意の他の形態のデジタルストレージなど、ローカルまたは遠隔に位置する容易に入手可能な不揮発性メモリのうちの1つまたは複数とすることができる。メモリ内には、CPUに命令するためのソフトウェア命令およびデータをコード化および記憶することができる。支持回路はまた、従来どおりプロセッサを支持するためにCPUに接続される。支持回路は、キャッシュ、電力供給、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含むことができる。電子コントローラ250によって可読のプログラム(またはコンピュータ命令)は、水および酸素送達装置200内の構成要素によってどのタスクが実行可能であるかを判定する。プログラムは、電子コントローラ250によって可読のソフトウェアとすることができ、軽減システムへの酸素および水蒸気の送達に関するタスクを実行するためのコードを含む。
【0041】
図3は、処理チャンバを出た廃水を軽減する方法300の一実施形態の流れ図である。方法300は、動作310で、処理チャンバ110などの処理チャンバからの廃水をプラズマ源130などのプラズマ源内へ流すことによって始まり、廃水は1つまたは複数のFガスを含む。この方法は、動作320で、少なくとも1つの軽減反応物をプラズマ源へ送達することをさらに含み、軽減反応物は水蒸気および酸素含有ガスのうちの少なくとも1つを含む。この方法は、動作330で、プラズマの存在下で廃水および軽減反応物を活性化させて、廃水中の1つまたは複数のFガスおよび軽減反応物を軽減物質に変換することをさらに含む。いくつかの実施形態では、軽減反応物および/または廃水中に同伴される物質の少なくともいくつが、少なくとも部分的に分離される。廃水中の標的物質は、プラズマ源内で形成された軽減反応物を含むプラズマの存在下で軽減物質に変換される。次いで、廃水中の物質はプラズマ源を出て、真空源190などの真空源内へ流れることができ、かつ/またはさらに処置することができる。
【0042】
本明細書に開示する方法の1つの例示的な実施形態では、処理チャンバ110から出た望ましくない物質を含む廃水は、プラズマ源130に入る。廃水は、1つまたは複数のFガスを含むことがあり、Fガスは、炭素含有ガス、窒素含有ガス、または硫黄含有ガスを含むことがある。一実施形態では、1つまたは複数のFガスは、CF4、CH3F、CH2F2、CH4、C2F6、C3F8、C4F10、CHF3、SF6、およびNF3を含むまたはからなる群から選択されたガスである。前述のFガスの組合せが、廃水中に存在することがある。いくつかの実施形態では、選択された水蒸気のみの流量(たとえば、Xsccm)および選択された酸素のみの流量(たとえば、Ysccm)を確立し、次いで「平衡化」流量方法を適用して、水蒸気および酸素をその間で変動させることによって、水蒸気と酸素の比が判定される。たとえば、「25%の水蒸気」における「希薄水」構成は、0.25×X+0.75×Yの混合物に等しいはずであり、「希薄酸素」設定は、0.75×X+0.25×Yになるはずであり、「平衡混合物」は、0.5×X+0.5×Yになるはずである。一実施形態では、水蒸気および酸素ガスなど、少なくとも2.5:1の水蒸気と酸素の流量比を有する軽減反応物が、プラズマ源130に入る。プラズマ源130内で軽減反応物からプラズマが生成され、したがって軽減反応物を励磁し、いくつかの実施形態では廃水も励磁する。いくつかの実施形態では、軽減反応物および/または廃水中に同伴される物質の少なくともいくつかが、少なくとも部分的に解離される。廃水中に同伴される物質の組成物に基づいて、軽減反応物の識別、軽減反応物の流量、フォアラインガス注入パラメータ、およびプラズマ生成状態を判定することができ、コントローラ180によって制御することができる。プラズマ源130が誘導結合プラズマ源である実施形態では、解離に数kWの電力を要することがある。
【0043】
方法300は、動作310で、プラズマ源内へ処理チャンバから廃水を流すことによって始まり、廃水は1つまたは複数のFガスを含む。Fガス化合物など、軽減するために選択された物質を含む廃水が、プラズマ源130内へ流される。一例では、排気ガスは、エッチング、堆積、洗浄などの複数のプロセスのいずれかを実行することに起因して処理チャンバ110で発生したものとすることができる。反応物ガスは、たとえばフォアライン102内へ、反応物送達システム140または水および酸素送達装置200によって注入することができる。
【0044】
動作320で、軽減反応物をプラズマ源へ送達することができる。水蒸気(たとえば、H2O)およびO2を使用する1つの例示的な軽減プロセスでは、反応物送達システム140からの水蒸気およびO2が、プラズマ源130内へ流される。一実施形態では、O2が水蒸気(H2O)と同時に送達される。軽減反応物は、少なくとも3:1の水蒸気と酸素の流量比など、少なくとも2.5:1の水蒸気と酸素の流量比を有する。一実施形態では、水蒸気と酸素の流量比は、約3:1~約10:1である。軽減反応物は、選択された水蒸気と酸素の流量比を実現するためのガスの組合せをさらに含むことができる。
【0045】
図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による別の処理システム400の概略図である。処理システム400は、処理システム100の軽減システム120が軽減システム420に置き換えられていることを除いて、処理システム100に類似している。軽減システム420は、反応物送達システム440を含み、反応物送達システム440は、チャンバフォアライン内への酸素含有反応物の流量を制御する流量制御デバイス464a~464d(集合的に464)を含む。流量制御デバイス464は、固定オリフィス、質量流量コントローラ、ニードル弁などの任意の好適な能動または受動流量制御デバイスとすることができる。酸素含有反応物、たとえばO
2は、酸素含有反応物源470によって送達することができる。O
2は、たとえばCF
4および/または他の物質を含む廃水を軽減するときに使用することができる。
【0046】
図4に示すように、処理システム400は、軽減システム420に連結された1つまたは複数の処理チャンバ410を含む。処理チャンバ410は、軽減システム120のフォアライン102に連結されたチャンバ排気口104を有する。チャンバ排気口104の近傍には、処理チャンバ410内の圧力を制御するためのスロットルバルブ(図示せず)を配置することができる。第1の注入口106および第2の注入口108を、フォアライン102内に形成することができる。軽減システム420は、フォアライン102の第2の端部に連結された真空源190をさらに含む。フォアライン102内で、第1の注入口106と真空源190との間の場所に、プラズマ源130が連結される。
【0047】
反応物送達システム440は、プラズマ源130の上流にあるフォアライン102へ、1つまたは複数の酸素含有反応物を送達する。代替実施形態では、反応物送達システム440は、プラズマ源130内へ酸素含有反応物を直接送達するために、プラズマ源130に直接連結することができる。反応物送達システム440は、酸素含有反応物源470に連結され、酸素含有反応物源470は、流量制御デバイス464a~464dに連結される。流量制御デバイス464a~464dはそれぞれ、第1の導管422a~422d(集合的に422)を介してフォアライン102(またはプラズマ源130)などのフォアラインまたはプラズマ源に連結される。反応物送達システム440はまた、第1の導管422dを介して第1の注入口106に連結することができる。第1の導管422a~422dはそれぞれ、別個の処理チャンバのフォアラインへ酸素を送達するために、別個の処理システムに連結することができることを理解されたい。たとえば、反応物送達システム440は、4つの別個の流量制御デバイス464a~464d(集合的に464)を含み、流量制御デバイス464a~464dはそれぞれ、別個の処理チャンバへ酸素を送達することが可能である。
【0048】
酸素含有反応物源470は、第3の導管458を介して流量制御デバイス464a~464dに連結される。酸素含有反応物源470から反応物送達システム440への酸素の流量を制御するために、第3の導管458に沿って、1つまたは複数のバルブ459および/または圧力調整器460を位置決めすることができる。圧力調整器460は、流量制御デバイス464の下流の圧力を測定および制御するために使用することができる。各圧力調整器は、圧力を測定するために圧力計(図示せず)に連結することができ、この圧力は、以下に論じるコントローラ180などの制御デバイスによって利用することができ、圧力調整器460を制御することによって、流量制御デバイス464の上流の圧力を設定することができる。
【0049】
第1の導管422a~422dのそれぞれに沿って、流量制御デバイス464a~464dと第1の注入口、たとえば第1の注入口106との間に、1つまたは複数のバルブを位置決めすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、バルブ機構は、酸素含有反応物源470からフォアライン102内への流量を制御するオン/オフスイッチとして機能する2方向制御弁452a~452d(集合的に452)、および/または圧力調整器454a~454d(集合的に454)を含むことができる。流量制御デバイス464は、2方向制御弁452およびフォアライン102の上流に配置することができる。2方向制御弁452は、ソレノイド弁、空気圧弁、ニードル弁などの任意の好適な制御弁とすることができる。流量制御デバイス454は、固定オリフィス、質量流量コントローラ、ニードル弁などの任意の好適な能動または受動流量制御デバイスとすることができる。
【0050】
別の実施形態では、処理システム400は、軽減システム420に連結された水蒸気送達システム480をさらに含む。一実施形態では、水蒸気送達システム480は、導管482を介して軽減システム420に連結される。
図4に示すように、一実施形態では、水蒸気送達システム480は、フォアライン102に連結される。水蒸気送達システム480は、注入口484を介してフォアライン102に連結することができる。動作の際、水蒸気送達システム480は、フォアライン102内へ水蒸気を送達し、この水蒸気は、反応物送達システム440から送達される酸素含有ガスとともに、軽減反応物を形成する。次いで廃水および軽減反応物は、プラズマの存在下で活性化され、廃水中の1つまたは複数のFガスおよび軽減反応物を軽減物質に変換する。したがって、
図4の処理システム400は、
図1の処理状態に類似の処理状態を作り出すために使用することができる。しかし、反応物送達システム440は、後付けとして、水蒸気送達システム480などの既存の水送達システムと組み合わせることもでき、水蒸気の送達のために既存の水送達システムを使用して、水および酸素の両方を別個のモジュールから入口へ加えることができる。
【0051】
簡単にするために、
図4の実施形態は概略的に表されており、いくつかの構成要素が省略されている。たとえば、処理チャンバ110から廃水ガスを除去するために、ターボ分子ポンプなどの高速真空ポンプを処理チャンバ110とフォアライン102との間に配置することができる。加えて、フォアラインガス、反応物、および/またはプラズマを供給するために、構成要素の他の変形形態を提供することもできる。
【0052】
前述した実施形態には、多くの利点がある。たとえば、本明細書に開示する技法は、揮発性、毒性、および/または爆発性の廃水を、より安全に取り扱うことができるはるかに害のない化学物質に変換することができる。プラズマ軽減プロセスは、自然発火性または毒性の物質をより環境に優しい安定した物質に変換することによって、作業員による廃水への急性曝露の点で、人間の健康にとって有益になる。プラズマ軽減プロセスはまた、廃水流からの粒子および/または他の腐食性物質の生成を避けることによって、たとえば真空ポンプなどの半導体処理機器を過度の摩耗および早期故障から保護する。さらに、軽減技法を真空フォアライン上で実行することで、作業員および機器にとってさらなる安全性が加えられる。軽減プロセス中に機器の漏れが生じた場合、外部環境に比べて廃水の圧力が低いことで、廃水が軽減機器から逃げることが防止される。加えて、本明細書に開示する軽減反応物の多くは、低コストで多用途である。たとえば、Fガスの軽減で使用される水蒸気(たとえば、H2O)およびO2はどちらも、多用途であり低コストである。前述の利点は、限定ではなく例示である。すべての実施形態がすべての利点を有する必要はない。
【0053】
要約すると、本明細書に記載する実施形態のいくつかに対するいくつかの利益は、プラズマ軽減システム内で水蒸気および酸素を同時にまたは順次提供する複合型の水および酸素送達システムを含む。いくつかの実施形態では、複合型の水および酸素送達システムは、PFCおよびSF6などのFガスを含む半導体処理で使用されるガス化学物質の高い地球温暖化係数を低減させる費用効果の高い方法を提供する。いくつかの実施形態では、複合型の水および酸素送達システムは、フッ素化温室効果ガス軽減の最適化を可能にしながら、同時に水蒸気のみまたは酸素のみを使用するときに生成されることがある固体の副生成物および望ましくないガス副生成物を最小にする。加えて、本明細書に記載するいくつかの実施形態では、複合型の水および酸素送達システムは、ポンプ後の軽減システムによって典型的に処置される体積より小さい実際のプロセスガス体積を処置することによって、より少ないエネルギーを使用するポンプ前プラズマ軽減解決策を提供する。さらに、本明細書に記載する複合型の水および酸素送達システムは、現在利用可能な半導体処理チャンバのポンプの占有面積内に設置することができる。
【0054】
本開示またはその例示的な態様もしくは実施形態の要素を導入するとき、「a」、「an」、「the」、および「said」という冠詞は、その要素が1つまたは複数存在することを意味することを意図している。
【0055】
「備える、含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であり、記載の要素以外の追加の要素も存在しうることを意味することを意図している。
【0056】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。