IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マテリオン コーポレイションの特許一覧

特許7021248井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング
<>
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図1
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図2A
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図2B
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図3A
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図3B
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図4
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図5
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図6
  • 特許-井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】井戸ポンプコンポーネントのためのカップリング
(51)【国際特許分類】
   E21B 17/042 20060101AFI20220208BHJP
   C22C 9/06 20060101ALI20220208BHJP
   C22C 9/02 20060101ALI20220208BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20220208BHJP
   F04B 47/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
E21B17/042
C22C9/06
C22C9/02
F04B53/00 C
F04B47/02
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019552058
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018023385
(87)【国際公開番号】W WO2018175456
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】62/473,792
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン, ウィリアム ディー. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン, ダイアン エム.
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523302(JP,A)
【文献】特開2009-079136(JP,A)
【文献】特開2000-199396(JP,A)
【文献】米国特許第04963078(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 17/042
C22C 9/06
C22C 9/02
F04B 53/00
F04B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッカーロッドストリングであって、前記サッカーロッドストリングは、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むサッカーロッドと、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むバルブロッドブッシングであって、前記バルブロッドブッシングは、坑内ポンプに接続している、バルブロッドブッシングと、
コアを備えているカップリングと
を備え、
前記コアは、第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有し、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、前記合金は、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有し、ねじ山付きボアが、前記コアを通して前記第1の端部から前記第2の端部まで全体に伸びており、
前記カップリングの前記第1の端部における前記ねじ山付きボアは、前記バルブロッドブッシングの前記雄ねじと相補的であり、前記カップリングの前記第2の端部における前記ねじ山付きボアは、前記サッカーロッドの前記雄ねじと相補的である、サッカーロッドストリング。
【請求項2】
前記第2の端部表面は、丸みを帯びた縁を有するか、または、前記第2の端部は、前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状である、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項3】
前記サッカーロッドの外径は、前記バルブロッドブッシングの外径より大きい、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項4】
前記カップリングの外径は、前記サッカーロッドの外径および前記バルブロッドブッシングの外径の両方より大きい、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項5】
前記第1の端部表面は、前記バルブロッドブッシングの肩部部分に当接する、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項6】
前記第2の端部表面は、前記サッカーロッドの肩部部分に当接する、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項7】
前記合金は、約8~約20重量%ニッケルと、約5~約11重量%スズとを備え、残部は、銅であり、前記合金は、少なくとも75ksiの0.2%オフセット降伏強度を有する、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項8】
前記合金は、約14.5重量%~約15.5重量%ニッケルと、約7.5重量%~約8.5%スズとを備え、残部は、銅である、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項9】
前記合金は、少なくとも95ksiの0.2%オフセット降伏強度と、室温で少なくとも22フィートポンドのシャルピーV-ノッチ衝撃エネルギーとを有する、請求項1に記載のサッカーロッドストリング。
【請求項10】
サッカーロッドストリングのためのカップリングであって、
前記カップリングは、コアを備え、前記コアは、第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有し、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、
(A)前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、(B)(i)前記第2の端部表面が丸みを帯びた縁を有するか、または、(ii)前記第2の端部が前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状であるかのいずれかであり、
前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有する、カップリング。
【請求項11】
前記第1の端部表面の直径は、前記第2の端部表面の直径より小さい、請求項10に記載のカップリング。
【請求項12】
前記コアを通して前記第1の端部から前記第2の端部まで全体に伸びているねじ山付きボアをさらに備えている、請求項10に記載のカップリング。
【請求項13】
前記ボアのねじ山は、約20~約40のロックウェルC硬度(HRC)を有する、請求項12に記載のカップリング。
【請求項14】
前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、カウンタボアも含む、請求項10に記載のカップリング。
【請求項15】
前記合金は、約8~約20重量%ニッケルと、約5~約11重量%スズとを備え、残部は、銅であり、前記合金は、少なくとも75ksiの0.2%オフセット降伏強度を有する、請求項10に記載のカップリング。
【請求項16】
前記合金は、約14.5重量%~約15.5重量%ニッケルと、約7.5重量%~約8.5%スズとを備え、残部は、銅である、請求項10に記載のカップリング。
【請求項17】
前記合金は、少なくとも85ksiの0.2%オフセット降伏強度を有する、請求項10に記載のカップリング。
【請求項18】
前記合金は、少なくとも95ksiの0.2%オフセット降伏強度と、室温で少なくとも22フィートポンドのシャルピーV-ノッチ衝撃エネルギーとを有する、請求項10に記載のカップリング。
【請求項19】
流体を坑井から抽出する方法であって、前記方法は、
サッカーロッドストリングを使用して、坑内ポンプをモータに動作可能に接続することと、
前記サッカーロッドストリングを使用して、前記坑内ポンプを動作させ、流体を前記坑井から抽出することと
を含み、
前記坑内ポンプは、バルブロッドブッシングを含み、
サッカーカップリングが、前記バルブロッドブッシングを前記サッカーロッドストリングに接続し、
前記サッカーカップリングは、
第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有するコアを備え、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、
(A)前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、(B)(i)前記第2の端部表面が丸みを帯びた縁を有するか、または、(ii)前記第2の端部が前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状であるかのいずれかであり、
前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有する、方法。
【請求項20】
前記サッカーカップリングの平均故障間隔(MTBF)は、L80炭素鋼鉄から作られるカップリングのMTBFより少なくとも4倍大きい、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ポンプシステムであって、前記ポンプシステムは、
坑内ポンプと、
前記坑内ポンプに動力を供給するための動力源と、
前記坑内ポンプと前記動力源との間に位置するロッドストリングと
を備え、
前記ロッドストリングは、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むサッカーロッドと、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むバルブロッドブッシングであって、前記バルブロッドブッシングは、前記坑内ポンプに接続されている、バルブロッドブッシングと、
コアを備えているカップリングと
を備え、
前記コアは、第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有し、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、(i)前記第2の端部表面が丸みを帯びた縁を有するか、または、(ii)前記第2の端部が前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状であるかのいずれかであり、前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有し、ねじ山付きボアが、前記コアを通して前記第1の端部から前記第2の端部まで全体に伸びており、
前記カップリングの前記第1の端部における前記ねじ山付きボアは、前記バルブロッドブッシングの前記雄ねじと相補的であり、前記カップリングの前記第2の端部における前記ねじ山付きボアは、前記サッカーロッドの前記雄ねじと相補的である、ポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第62/473,792号(2017年3月20日出願)に対する優先権を主張し、上記出願の開示は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
本開示は、スピノーダル硬化銅合金から作られるカップリングに関する。カップリングは、特に、サッカーロッドストリングの構成要素を坑内ポンプに接続するために有用である。合金は、好ましくは、炭素鋼鉄に対して測定されるとき、0.4未満の滑り摩擦係数を有する。
【背景技術】
【0003】
炭化水素抽出装置は、典型的には、炭化水素を地下リザーバから抽出するための坑内ポンプと、動力をポンプに提供するための動力源と、動力源と坑内ポンプとを接続するサッカーロッドリフトシステムとを含む。サッカーロッドリフトシステムは、カップリングによって一緒に接合される一連のサッカーロッドを含む。ロッドおよびカップリングは、ピンおよびボックスねじ式接続によって接合される。ねじ式接続を伴う追加のカップリングも、サッカーロッドリフトシステムを坑内ポンプに接合するために使用される。かじり(スライドする表面間の接着に起因する摩耗)に起因するねじ式接続への損傷は、継手の機械的完全性を損ない、動力源とポンプとの間の接続の故障につながり得る。加えて、炭化水素抽出システムは、導管内で動作する。カップリング/ポンプの外側表面と導管の内側表面との間の反復的な接触によって生じる導管およびカップリングへの損傷は、導管またはカップリングの機械的完全性を損ない、導管によって環境の中に運ばれる炭化水素の漏出またはサッカーロッドストリングとのカップリング接続の分離のいずれかにつながり得る。いずれの場合も、事実上、ポンププロセスを停止させ、多くの場合、そのような故障を是正するための非常にコストのかかる追加の動作につながる。
【0004】
そのようなシステムにおいて使用されるカップリングの所望される特性は、高引張強さ、高疲労強度、高破壊靭性、かじり抵抗、および腐食抵抗を含む。従来のカップリングは、典型的には、鋼鉄またはニッケル合金から成り、それらは、好ましい本来の特性、特に、摩耗抵抗の完全な補完物を欠いている。高価な表面処理が、典型的には、かじり抵抗を増加させるために、鋼鉄またはニッケル合金から作られるカップリング上のみならず、その内側にカップリングが配置される導管内側上にも使用される。これらの表面処理は、最終的に、摩耗し、効果的であるために、部品の寿命にわたって周期的に再適用されなければならない。さらに、コーティングは、それらが塗布される構成要素の摩耗を低減させ得るが、コーティングは、多くの場合、コーティングが接触し得るシステムの他の構成要素と適合性がない。
【0005】
改良された固有のかじり抵抗と、カップリングと導管材料とが適合性があるように(動作中、それらが最小限の摩耗を受け、任意の保護コーティングを要求せず、圧送システムの総摩擦損失を低減させることを意味する)、他の望ましい特性を有する新しいカップリングを開発することが望ましいであろう、
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、スピノーダル硬化銅合金から作られるカップリングに関し、より具体的には、サッカーロッドストリングのサッカーロッドと坑内ポンプのバルブロッドブッシングとの間に挿入されるカップリングに関する。カップリングは、サッカーロッドストリングの一部と見なされ得る。カップリングは、高引張強さ、高疲労強度、高破壊靭性、かじり抵抗、および腐食抵抗を含む特性の特有の組み合わせを有する。この特性の組み合わせは、炭化水素回収動作中、機械的機能性を提供しながら、カップリングおよびそのようなカップリングを使用するポンプシステム内の他の構成要素(例えば、サッカーロッドおよび導管)への破壊的損傷の発生を遅延させる。これは、そのような構成要素の有用耐用年数も延長し、炭化水素を回収するために使用される機器のコストを著しく低減させる。
【0007】
本明細書の種々の実施形態に開示されるのは、第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有するコアを備えているサッカーロッドストリングのためのカップリングである。第1および第2の端部の各々は、端部表面を有する。第1の端部は、中心部分から内向きに延び、第1の端部表面で終了する線形テーパを有する。換言すると、第1の端部表面は、中心部分より小さい直径を有する。第2の端部の第2の端部表面は、丸みを帯びた縁を有する。カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、低減させられた摩擦および改良された摩耗抵抗を有する。
【0008】
第1の端部表面の直径は、第2の端部表面の直径未満であり得る。いくつかの特定の実施形態では、ねじ山付きボアが、コアを通して第1の端部から第2の端部まで全体に伸びている。ボアのねじ山は、約20~約40のロックウェルC硬度(HRC)を有し得る。
【0009】
第1の端部におけるねじ山付きボアは、坑内ポンプに接続され得るバルブロッドブッシングと結合するように適合されることができる。第1の端部表面は、バルブロッドブッシングの肩部部分に当接することができる。カップリングの外径は、バルブロッドブッシングの外径を上回り得る。
【0010】
第2の端部におけるねじ山付きボアは、サッカーロッドストリングのサッカーロッドと結合するように適合されることができる。第2の端部表面は、サッカーロッドの肩部部分に当接することができる。カップリングの外径は、サッカーロッドの外径を上回り得る。
【0011】
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むサッカーロッドと、雄ねじを伴うピンを有する端部を含むバルブロッドブッシングとを備えているサッカーロッドストリングも、本明細書に開示される。カップリングも、上で説明されるように含まれる。カップリングの第1の端部におけるねじ山付きボアは、バルブロッドブッシングの雄ねじと相補的であり、カップリングの第2の端部におけるねじ山付きボアは、サッカーロッドの雄ねじと相補的である。カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金を備えている。
【0012】
坑内ポンプと、坑内ポンプに動力を供給するための動力源と、坑内ポンプと動力源との間に位置するロッドストリングとを備えているポンプシステムも、本明細書に開示される。ロッドストリングは、雄ねじを伴うピンを有する端部を含むサッカーロッドと、雄ねじを伴うピンを有する端部を含むバルブロッドブッシングとを備えている。カップリングも、上で説明されるように、含まれる。カップリングの第1の端部におけるねじ山付きボアは、バルブロッドブッシングの雄ねじと相補的であり、カップリングの第2の端部におけるねじ山付きボアは、サッカーロッドの雄ねじと相補的である。カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金を備えている。
【0013】
第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有するコアを備えているサッカーロッドストリングのためのカップリングも、本明細書の種々の実施形態に開示される。第1および第2の端部の各々は、端部表面を有する。第1の端部は、中心部分から内向きに延び、第1の端部表面で終了する線形テーパを有する。換言すると、第1の端部表面は、中心部分より小さい直径を有する。第2の端部も、中心部分から内向きに延び、第2の端部表面で終了する線形テーパを有する。換言すると、第2の端部表面は、中心部分より小さい直径を有する。カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られる。
【0014】
本開示のこれらおよび他の非限定的特性が、以下により具体的に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下は、図面の簡単な説明であり、それは、本明細書に開示される例示的実施形態を図示する目的のために提示され、それを限定する目的のためではない。
【0016】
図1図1は、本開示の例示的サッカーカップリングの側面断面図であり、線形テーパを一端に有し、丸みを帯びた縁を他端に有する。
【0017】
図2A図2Aは、サッカーロッドを伴うサッカーカップリングと坑内ポンプに接続されるバルブロッドブッシングの係合を示す部分断面図である。
【0018】
図2B図2Bは、組み立てられた状態における図2Aのカップリング、サッカーロッド、およびバルブロッドブッシングを示す側面図である。
【0019】
図3A図3Aは、本開示の例示的サッカーカップリングの写真であり、線形テーパを両端に有する。
【0020】
図3B図3Bは、図3Aのサッカーカップリングの内部を示す側面断面図である。
【0021】
図4図4は、本開示の圧送システムの実施形態の略図である。
【0022】
図5図5は、材料を炭素鋼鉄上でスライドさせることによって測定される種々の材料の典型的滑り摩擦係数を図示するグラフである。y-軸は、無次元であり、0.1の間隔を空けて、0~0.8に及ぶ。左から右に、材料は、ニッケル合金、炭素鋼鉄、アルミニウム青銅、および銅-ニッケル-スズである。
【0023】
図6図6は、鋼鉄シャフトに対する種々の材料の摩耗を図示するグラフである。y-軸は、インチ単位の摩耗に起因する隙間増加である。y-軸は、0.005の間隔を空けて、0.000~0.050に及ぶ。x-軸は、千単位の摩耗サイクルの数であり、30の間隔を空けて、0~180に及ぶ。最も急勾配の線は、硬化鋼鉄であり、最も緩勾配の線は、銅-ニッケル-スズである。
【0024】
図7図7は、Cu-15Ni-8Sn合金から作られた本開示のサッカーカップリングの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本書に開示される構成要素、プロセス、および装置は、添付図を参照することでより完全に理解することができる。これらの図は、本開示の明示を簡便かつ容易にすることに重きを置いた模式的な略図にすぎず、したがって、デバイスまたはその構成要素の相対的寸法や大きさを示すものではなく、および/または、例示的実施形態の範囲を画定もしくは限定するものでもない。
【0026】
以下の記述には明確性のため特定の用語が用いられているが、これらの用語は、図中での説明のために選定された実施形態に特定の構成のみを示すことを意図しており、本開示の範囲を画定または限定することを意図しない。添付図および以下の記述において、各数字表示は同様の機能を有する構成要素を示すものと理解されるべきである。
【0027】
「a」、「an」、および「the」の単数形は、別の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0028】
明細書および請求項で用いられるように、用語「comprising(備えている)」は、「consisting of(から成る)」および「consisting essentially of(実質的に成る)」実施形態を含み得る。用語「comprise(備えている)」、「include(含む)」、「having(有する)」、「has(有する)」、「can(できる)」、「含む(contain)」、およびこれらの変形は、本明細書で使用されるように、指名された構成要素/ステップの存在を要求するもので、かつ他の構成要素/ステップの存在を許容するオープンエンドな移行部、用語、または単語を意図する。しかしながら、リストアップされた構成要素/ステップ「から成る(consisting of)」および「実質的に成る(consisting essentially of)」等と記された組成物またはプロセスの記述は、指名された構成要素/ステップと、その結果生じ得る不純物の存在のみを許容し、他の構成要素/ステップを排除するものと解釈されるべきである。
【0029】
本願の明細書および請求範囲の数値は、同数の有効数字に四捨五入した際に同じ値となる数値、ならびに示された数値との差異が、値を判定するために本願に示されたものと同種の従来の計測手法における実験誤差より小さな数値を含むものと理解されるべきである。
【0030】
本明細書で開示される全ての範囲は、示された端点を含むものであり、独立して組み合わせ可能である(例えば、「2グラム~10グラム」の範囲は、端点2グラムおよび10グラムと、さらにそれらの間の値の全てとを含む)。
【0031】
用語「約」は、その値の基本機能を変化させずに変動し得る任意の数値を含むように使用されることができる。ある範囲とともに使用されるとき、「約」はまた、2つの端点の絶対値で画定される範囲を開示し、例えば、「約2~約4」は、「2~4」の範囲も開示する。用語「約」は、示される数の±10%を指し得る。
【0032】
本開示は、スピノーダル強化銅系合金から作られるカップリングに関する。本開示の銅合金は、強度、延性、高歪み率破壊靭性、およびかじり保護の組み合わせを有する銅-ニッケル-スズ合金であり得る。より具体的には、カップリングは、特に、炭化水素回収システムのために油およびガス産業において使用される、人工リフトカップリング、サッカーロッドカップリング、またはサブカップリングであることが想定される。
【0033】
特に、本開示のサッカーカップリングは、坑内ポンプをサッカーロッドストリングに接合するために使用されることが想定される。典型的坑内ポンプは、サッカーロッドストリングによってポンプ筒の内側で往復動させられるプランジャを有する。プランジャおよび筒は、スタンディングバルブと、トラベリングバルブとを含む。プランジャは、ポンプ駆動ロッドまたはバルブロッドに接続され、それは、次に、バルブロッドブッシングに接続され、それは、サッカーカップリングを通して、サッカーロッドストリングに接続される。
【0034】
本開示によるサッカーカップリング130は、図1に図示される。サッカーロッドカップリングは、サッカーロッドストリングの種々の構成要素を組み立てるために使用される。例えば、サッカーカップリング130は、図3Aおよび図3Bに示され、下記に説明されるように、サッカーロッド210とバルブロッドブッシング220とを結合するために使用され得る。
【0035】
サッカーカップリング130自体は、第1の端部134と、中心部分170と、第2の端部136とを有するコア132であり、各端部は、ボックスに対応し、サッカーロッドストリング内の別の構成要素のピンに係合するための雌ねじ(すなわち、メス型コネクタ)138、140を有する。コアは、実質的に円筒形の形状を有し、長さは、直径を上回る。点線172、174は、中心部分170が第1の端部134および第2の端部136を接合する場所を示す。中心部分170は、外径175を有する。
【0036】
第1の端部134は、第1の端部表面135を有する。第1の端部134は、端部表面135に向かって内向きに延びている線形テーパを有する。言い換えると、第1の端部134は、面取りされている。代替として、第1の端部表面135は、中心部分170の直径175より小さい直径144を有するように説明されることができる。用語「テーパ」は、ここで、中央から各端部に減少する直径のみを指し、任意の所与の様式で生じるような直径の変化を要求しない。ここで、テーパは、線形であり、すなわち、直線である。
【0037】
第2の端部136は、第2の端部表面137を有する。第2の端部136は、丸みを帯びた縁139を有し、それは、端部表面137の中に遷移する。第2の端部表面137は、したがって、直径146を有し、それは、中心部分170の直径175未満であるが、第1の端部表面135の直径144を上回る。特定の実施形態では、第2の端部表面直径146は、第1の端部表面直径144を少なくとも4分の1インチ上回る。いくつかの具体的実施形態では、第1の端部表面直径144は、1.625インチ、第2の端部表面直径146は、約1.9インチであり、中心部分の直径175は、2インチである。
【0038】
ボア142は、コアを通して、第1の端部134から第2の端部136にコアの縦軸160に沿って完全に伸びている。雌ねじ138、140の両方は、ボアの表面上に位置する。ここで、両雌ねじは、同一ボックスねじ山サイズを有し、カップリング130によって結合され得るサッカーロッドストリングの他の構成要素上の雄ねじに相補的である。
【0039】
図1によって提供される断面図にさらに示されるように、サッカーカップリング130は、カウンタボア152、154を各端部表面135、137に含む。換言すると、雌ねじは、端部表面まで伸びていない。縦軸も、線160によって示される。サッカーカップリング130は、実質的に平滑な円筒形に湾曲した外部表面162を端部表面134、136間に有する。言い換えると、外径は、中心部分170の長さに沿って一定のままである。外径は、次いで、テーパ状の第1の端部134および第2の端部136の丸みを帯びた縁において減少する。
【0040】
図2Aおよび図2Bは、本開示のカップリングを用いたサッカーロッドストリングの2つの構成要素間の係合を図示する側面図である。図2Aは、サッカーカップリング130を介して一緒に結合されるサッカーまたは安定化ロッド210とバルブロッドブッシング220とを示す分解部分断面図である。図2Aおよび図2Bは、上で説明され、図1に示されるサッカーカップリング130の幾何学形状を有するカップリングの使用を図示する。
【0041】
サッカーまたは安定化ロッド210は、ロッド本体212と、2つのロッド端部(ロッド端部214のみが、示される)とを含む。ロッド端部214は、雄ねじピン(またはオス型コネクタ)216と、カップリングの端部表面に当接するように適合された肩部218と、安定化ロッドにトルクを与え、きつく締めるためのツールによって係合され得る駆動ヘッド219とを含む。バルブロッドブッシング220は、ブッシング本体222と、2つのブッシング端部224、225とを含む。バルブロッドブッシングは、第1のブッシング端部224における雄ねじピン(またはオス型コネクタ)226と、第2のブッシング端部224におけるカウンタボア227とを含む。肩部221は、2つのブッシング端部224、225間に存在する。カウンタボア227は、サッカーロッドストリング内の別の構成要素のピンに係合するためにカウンタボアの表面上に位置する雌ねじ228(すなわち、メス型コネクタ)を有する。駆動ヘッド229も、含まれ、それは、バルブロッドブッシングにトルクを与え、きつく締めるためのツールによって係合されることができる。
【0042】
図2Bは、組み立てられた形態における図2Aの構成要素を示す。すなわち、安定化ロッド210のオス型コネクタは、サッカーカップリング130の第2の端部においてメス型コネクタと嵌め合わせられ、バルブロッドブッシング220のオス型コネクタは、サッカーロッドカップリング130の第1の端部におけるメス型コネクタと嵌め合わせられる。図2Bは、カップリングの外径が、安定化ロッド210およびバルブロッドブッシング220等のカップリングが取り付けられる、ロッドストリング構成要素の外径を上回り得ることを図示する。これは、結合されたロッドストリング構成要素が、ロッドストリングを包囲する生産管類(すなわち、図4の導管411)に接触することを防止する。加えて、バルブロッドブッシングおよび安定化ロッドの端部は、カップリングが肩部218、221に当接するまで、カップリングの中にねじ込まれる。
【0043】
本開示によるサッカーカップリング330の追加の変形例は、図3Aおよび図3Bに示される。図3Aは、サッカーロッドストリングの種々の構成要素を組み立てるためのサッカーカップリング330の写真である。図3Bは、図3Aにおいて撮影されたサッカーロッドカップリング330の断面図である。
【0044】
ここで、サッカーカップリング330自体は、第1の端部334と、中心部分370と、第2の端部336とを有するコア332であり、各端部は、ボックスに対応し、サッカーロッドストリング内の別の構成要素のピンに係合するための雌ねじ(すなわち、メス型コネクタ)338、340を有する。コアは、実質的に円筒形の形状を有し、長さは、直径を上回る。点線372、374は、中心部分370が第1の端部334および第2の端部336を接合する場所を示す。中心部分370は、外径375を有する。
【0045】
第1の端部334は、第1の端部表面335を有する。第1の端部334は、端部表面335に向かって内向きに延びている線形テーパを有する。言い換えると、第1の端部334は、面取りされている。代替として、第1の端部表面335は、中心部分370の直径375より小さい直径344を有するように説明されることができる。
【0046】
第2の端部336は、第2の端部表面337を有する。第2の端部336も、端部表面337に向かって内向きに延びている線形テーパを有する。言い換えると、第2の端部336も、面取りされている。代替として、第2の端部表面337は、中心部分370の直径375より小さい直径346を有するように説明されることができる。具体的実施形態では、第1の端部表面直径344は、第2の端部表面直径346とほぼ同一であり、両方は、中心部分外径375未満である。いくつかの具体的実施形態では、第1の端部表面直径344および第2の端部表面直径346の各々は、1.625インチであり、中心部分の直径375は、2インチである。
【0047】
ここで図示されるように、ボア342は、コアを通して第1の端部334から第2の端部336にコアの縦軸に沿って完全に伸びている。雌ねじ338、340の両方は、ボアの表面上に位置する。ここで、両雌ねじは、同一ボックスねじ山サイズを有し、カップリング330によって結合され得るサッカーロッドストリングの他の構成要素上の雄ねじと相補的である。サッカーロッドおよびサッカーロッドカップリングの種々の部品の寸法は、2010年5月に発行されたAPI Specification 11B(第27版)によって定義されている。
【0048】
図3Bによって提供される断面図にさらに示されるように、サッカーカップリング330は、各端部表面335、337におけるカウンタボア352、354を含む。換言すると、雌ねじは、端部表面まで伸びていない。縦軸も、線360によって示される。サッカーカップリング330は、カップリングの中心部分370に沿って実質的に平滑な円筒形に湾曲した外部表面362を有する。外径は、次いで、面取りされた端部部分334、336において減少する。これらのカップリングの中心外径は、安定化ロッドまたはバルブロッドブッシング等のカップリングが取り付けられるロッドストリング構成要素の外径より大きいことができる。これは、結合されるロッドストリング構成要素が、ロッドストリングを包囲する生産管類(すなわち、図4の導管411)に接触することを防止する。
【0049】
図4は、サッカーカップリング等の上で説明される種々のロッドストリング構成要素を利用する、ポンプシステム400の種々の部品を図示する。システム400は、研磨されたロッド部分425を含むロッドストリング424を往復動させる移動ビーム422を有する。ロッドストリング224は、坑井428の底部に配置される坑内ポンプ426を作動させるために、ビームから吊り下げられる。
【0050】
移動ビーム422は、次に、ピットマンアームによって作動させられ、ピットマンアームは、動力源432(例えば、電気モータ)によって駆動されるクランクアーム430によって往復動させられ、動力源432は、ギヤボックス434等のギヤ減速機構を通してクランクアーム430に結合される。動力源は、3相AC誘導モータまたは同期モータであり得、圧送ユニットを駆動するために使用される。ギヤボックス434は、クランクアーム430を駆動するために、モータトルクを低速であるが高トルクの出力に変換する。クランクアーム430は、ロッドストリング424をビーム422から吊り下げられたままにする役割を果たす釣り合い重り436を具備する。釣り合いは、空気平衡ユニットにおいて見られるもの等の空気圧シリンダによって提供されることもできる。ベルト式圧送ユニットは、釣り合い重りのためにロッドストロークまたは空気圧シリンダの反対方向に伸びた釣り合い重りを使用し得る。
【0051】
坑内ポンプ426は、ロッドストリング424の端部に取り付けられたプランジャ438と、坑井428の管類の端部に取り付けられたポンプ筒440とを有する往復動タイプのポンプであり得る。プランジャ438は、筒440の底部に位置付けられたトラベリングバルブ442と、スタンディングバルブ444とを含む。ポンプのアップストローク時、トラベリングバルブ442は、閉鎖し、プランジャ438の上方の油および/または水等の流体を坑井の上部まで持ち上げ、スタンディングバルブ444は、開放し、リザーバからの追加の流体がポンプ筒440の中に流動することを可能にする。ダウンストローク時、トラベリングバルブ442は、開放し、スタンディングバルブ444は、閉鎖し、次のサイクルの準備をする。ポンプ426の動作は、ポンプ筒440内に維持される流体レベルが、そのストローク全体にわたって、ロッドストリング424の下側端部を流体中に維持するために十分であるように制御される。ロッドストリング424は、導管411によって包囲され、導管411は、次に、坑井ケーシング410によって包囲される。研磨されたロッド部分425の下方のロッドストリング424は、カップリング448によって一緒に保持されるサッカーまたは安定化ロッド446から作られる。カップリング448は、上で説明されるサッカーカップリング(例えば、130、230)と、バルブロッドブッシング(例えば、320)とを含み得る。
【0052】
サッカーロッドとバルブロッドブッシングとの間の接続は、サッカーロッドストリングにおける最も問題となる接合部のうちの1つである。従来のカップリング幾何学形状および材料は、高速管類摩耗を生じさせ、それは、坑井流体がポンプから退出し、生産管類と、バルブロッドブッシングと安定化ロッドとの間のカップリングとの間の隙間を通して流動するときの坑井流体の高速と組み合わせられた表面間の接触に起因する。本開示のカップリングのための材料として本明細書に開示される銅合金の使用は、カップリングと管類との間のかじりタイプ摩耗に起因するねじ山付き接続への損傷を低減させる。さらに、本開示のカップリングの幾何学形状(例えば、面取りされたまたは丸みを帯びた端部、大外径)は、位置ずれに起因するカップリングと管類の内径との間の高エネルギー接触を防止する。すなわち、従来のカップリングは、鋭い縁を含み、それは、高エネルギー接触の場合、構成要素を損傷させる可能性が高い。さらに、本開示のカップリングの幾何学形状は、カップリングと管類との間の直径に沿った隙間の中への坑井流体の流動を促進する。
【0053】
加えて、本明細書に開示される銅合金から作られる本開示のカップリングは、カップリングが、減衰デバイスとしての機能を果たすことを可能にする。減衰は、本明細書に開示される銅合金が従来の材料と比較して低弾性係数を有するので、可能にされる。減衰は、バルブロッドブッシングの下側面(例えば、図3Aにおけるブッシング端部325)が、ポンプの下向きストローク中、サッカーロッドストリングの他の構成要素に衝突するとき、より多くのエネルギーの吸収を可能にする。この現象は、ポンプの上側構成要素の嵌め合い表面が、稼働中、極度に冷間加工される傾向を低減させる。そのような冷間加工は、延性の損失、最終的に、亀裂につながるだけでなく、これらの構成要素の設置時点の直径を越えて外向きに延びる「押し出された」金属突出部の形成にもつながり得る。これらの突出部は、管類およびポンプの生産筒の内径を損傷させる。金属断片が、突出部が破砕するにつれて生成され得る。これらの断片は、それらがシステム内に留まるので、深刻な損傷をポンプおよび管類の作業表面に生じさせ得る。本明細書に開示される銅合金の高抵抗係数は、カップリングが、塑性的に変形することなくこの減衰機能を実施することを可能にする。むしろ、カップリングは、ダウンストローク時の圧縮およびアップストローク時の引っ張りの両方の後、その元の寸法に戻ることが可能である。言い換えると、カップリングは、固体ばねとしての機能を果たす。
【0054】
概して、本開示のカップリングを形成するために使用される銅合金は、再加熱し、微小構造のスピノーダル分解に影響を及ぼすことに先立って、冷間加工されている。冷間加工は、塑性変形によって金属の形状またはサイズを機械的に改変するプロセスである。これは、金属または合金の圧延、引抜、押圧、スピニング、押出、もしくは圧造によって行われることができる。金属が、塑性的に変形されると、原子の転位が、材料内で生じる。特に、転位は、金属の粒子を横断して、またはその中で生じる。転位は、互いに重複し、材料内の転位密度は、増加する。重複転位の増加は、さらなる転位の移動をより困難にする。これは、概して、合金の延性および衝撃特性を低減させながら、結果として生じる合金の硬度および引張強さを増加させる。冷間加工は、合金の表面仕上げも改善する。機械的冷間加工は、概して、合金の再結晶化点を下回る温度で行われ、通常、室温において行われる。
【0055】
スピノーダル時効/分解は、それによって、多種の成分が異なった化学組成および物性を有する特定の領域または微小構造に分離することができる機構である。特に、状態図の中央域にあるバルク組成を有する結晶は、離溶を起こす。本開示の合金の表面で起こるスピノーダル分解は、表面が硬化する結果を招く。
【0056】
スピノーダル合金の構造は、初期相がある温度下で分離し、高温に達した溶解度ギャップと呼ばれる組成が生成されたとき均一な2相混合物でできた構造から作られる。これらの合金相は、結晶構造は同じでありながら、構造内の原子が同程度の大きさを保ちつつ変化した別の相に自然分解する。スピノーダル硬化は、ベース金属の降伏強度を増大させ、組成およびミクロ構造の高い均一性を含む。
【0057】
スピノーダル合金は、殆どの場合、その状態図中、溶解度ギャップと呼ばれる異常を示す。溶解度ギャップの比較的に狭い温度範囲内において、原子規則性が、既存の結晶格子構造内に生じる。結果として生じる2相構造は、ギャップをかなり下回る温度で安定する。
【0058】
本明細書で利用される銅-ニッケル-スズ合金は、約9.0重量%~約15.5重量%のニッケルと、約6.0重量%~約9.0重量%のスズとを一般に含み、残部は、銅である。この合金は、硬化可能で、さらに、様々な産業的・商業的用途で使用することができる高降伏強度製品に容易に成形可能である。この高性能合金は、銅-ベリリウム合金と同様の特性を提供するように設計されている。
【0059】
より具体的には、本開示の銅-ニッケル-スズ合金は、約9重量%~約15重量%のニッケルと、約6重量%~約9重量%のスズとを含み、残部は、銅である。より具体的実施形態では、銅-ニッケル-スズ合金は、約14.5重量%~約15.5%のニッケルと、約7.5重量%~約8.5重量%のスズとを含み、残部は、銅である。
【0060】
三元銅-ニッケル-スズスピノーダル合金は、海中および酸環境において、高強度、優れた摩擦学的特性、および高腐食耐性等の特性の有益な組み合わせを示す。卑金属の降伏強度の増加は、銅-ニッケル-スズ合金におけるスピノーダル分解から生じ得る。
【0061】
銅合金は、ベリリウム、ニッケル、および/またはコバルトを含み得る。いくつかの実施形態では、銅合金は、約1~約5重量%のベリリウムを含み、コバルトおよびニッケルの合計は、約0.7~約6重量%の範囲内である。具体的実施形態では、合金は、約2重量%のベリリウムと、約0.3重量%のコバルトおよびニッケルとを含む。他の銅合金実施形態は、約5~7重量%のベリリウムの範囲を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、銅合金は、クロムを含む。クロムは、約0.5重量%~約2.0重量%または約0.6重量%~約1.2重量%のクロムを含む約5重量%未満の量の合金として存在し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、銅合金は、シリコンを含む。シリコンは、約1.0重量%~約3.0重量%または約1.5重量%~約2.5重量%のシリコンを含む5重量%未満の量として存在し得る。
【0064】
本開示の合金は、随意に、小量の添加剤(例えば、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、タンタル、バナジウム、ジルコニウム、およびそれらの混合物)を含む。添加剤は、最大1重量%、好適には、最大0.5重量%の量として存在し得る。さらに、小量の自然不純物が、存在し得る。アルミニウムおよび亜鉛等の小量の他の添加剤も、存在し得る。追加の元素の存在は、結果として生じる合金の強度をさらに増加させる効果を有し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、ある量のマグネシウムが、合金の酸素含有量を低減させるために、初期合金の形成の間に添加される。酸化マグネシウムが、合金質量から除去され得るように形成される。
【0066】
特定の実施形態では、カップリングの雌ねじは、切断によってではなく、圧延成形によって形成される。このプロセスは、ねじ山の外側表面上の粒子を引き延ばすと考えられる。圧延されたねじ山は、剪断破損が、粒子とともにではなく、粒子を横断して起こるので、剥離に抵抗することが見出されている。この冷間加工プロセスは、追加の強度および疲労抵抗を提供する。その結果、雌ねじは、約20~約40のロックウェルC硬度(HRC)を有し得る。HRCは、ねじ山全体を通して変動することができ、この詳述は、ねじ山全体が同一HRCを有すべきことを要求すると解釈されるべきではない。特定の実施形態では、ねじ山のHRCは、最小で22である。ねじ山の外側表面は、少なくとも35のHRCを有し得る。
【0067】
本開示のカップリングを作るために使用される合金は、少なくとも85ksi、または少なくとも90ksi、または少なくとも95ksiを含む少なくとも75ksiの0.2%オフセット降伏強度を有し得る。
【0068】
本開示のカップリングを作るために使用される合金は、以下の表1に示されるように、0.2%オフセット降伏強度と、室温シャルピーVノッチ衝撃エネルギーとの組み合わせを有し得る。これらの組み合わせは、本開示の銅合金に特有である。これらの測定を行うために使用される試験サンプルは、縦方向に向けられた。リストアップされた値は、最小値(すなわち、少なくともリストアップされた値)であり、望ましくは、オフセット降伏強度およびシャルピーVノッチ衝撃エネルギー値は、ここにリストアップされる組み合わせより高い。換言すると、合金は、ここにリストアップされる値以上の0.2%オフセット降伏強度と、室温シャルピーVノッチ衝撃エネルギーとの組み合わせを有する。
【表1】
【0069】
表2は、サッカーロッドカップリングまたはサブカップリングにおける使用のための本開示に好適な銅系合金の別の例示的実施形態の特性を提供する。
【表2】
【0070】
0.2%オフセット降伏強度および最大引張強度は、ASTME8に従って測定された。CVN靭性は、ASTME23に従って測定された。本開示のロッドカップリングは、当技術分野において公知の鋳造および/または成形技法を使用して作られることができる。
【0071】
スピノーダル分解銅合金から作られるカップリングは、高破壊靭性、かじり抵抗、および腐食抵抗と組み合わせて、高引張強さおよび疲労強度を独特に有する。特性の独特の組み合わせは、カップリングが、システム構成要素をかじり損傷から確実に保護しながら、必要とされる基本的機械的および腐食特性を満たすことを可能にし、それによって、システムの寿命を大幅に延長し、予期しない故障のリスクを低減させる。1つの結果は、保守のための保守停止間のより長い坑井寿命である。加えて、全体的生産も、低減させられた摩擦に起因して向上する。
【0072】
本開示のいくつかの銅-ニッケル-スズ合金は、低滑り摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、炭素鋼鉄と接触する銅-ニッケル-スズ合金は、0.4未満の滑り摩擦係数を有する。他の実施形態では、銅-ニッケル-スズ合金は、約0.2以下を含む約0.3以下の滑り係数を有する。
【0073】
本開示の特定の実施形態では、炭素鋼鉄と接触する銅-ニッケル-スズ合金は、典型的には、0.2未満(約0.175以下を含む)の滑り係数を有する。対照的に、炭素鋼鉄と接触するニッケル合金は、典型的には、0.7の滑り摩擦係数を有する。炭素鋼鉄と接触する炭素鋼鉄は、典型的には、0.6の滑り係数を有し、炭素鋼鉄と接触するアルミニウム青銅は、典型的には、0.4の滑り係数を有する。これらの値の比較は、図5のグラフに図示される。したがって、圧送システム内の全体的摩擦損失を有意に低減させることが可能である。
【0074】
摩擦における低減は、低管類摩耗ももたらす。図6は、2,000psiにおける平均支圧応力と側方荷重による振動する軸方向運動を伴って浸炭鋼鉄シャフトと接触する軸受において使用される3つの異なる金属の使用を示すグラフである。y-軸は、摩耗に起因する隙間の変化を示し、より低い値は、低摩耗を示す。ここに見られるように、銅-ニッケル-スズ合金は、アルミニウム青銅(正方形、0.015~0.020インチ)および硬化鋼鉄(菱形、0.045インチを上回る)より摩耗しなかった(三角形、0.010インチを下回る)。
【0075】
以下の実施例は、本開示のカップリング、プロセス、および特性を例証するために提供される。これらの実施例は、単に説明用であり、そこに記された材料、条件、またはプロセスパラメータに本開示を限定することを意図しない。
(実施例)
(実施例1)
【0076】
Cu-15Ni-8Sn合金から作られるサッカーロッドカップリングが、L80炭素鋼鉄生産管類(HRC22-23硬度)を伴う選択された試験坑井におけるロッドストリング上で使用された。鋼鉄カップリングに対する平均故障間隔(MTBF)は、約10ヶ月であった。Cu15Ni8Snカップリングが設置された場合、MTBFは、5倍に増加した。摩耗または金続転移の証拠は、点検されたCu15Ni8Snカップリングにおいて見出されなかった。
【0077】
1つの坑井は、Cu15Ni8Snカップリングが設置されてから555日後、ポンプ漏出に起因して、操業停止された。坑井ケーシングを形成するために使用される管も、点検された。鋼鉄カップリングを使用した管の50%が、≧30%の壁損失を有していた一方、Cu15Ni8Snカップリングを使用した管の0%が、≧30%の壁損失を有していた。鋼鉄カップリングを使用した管の25%が、≧30%の表面孔食を有していた一方、Cu15Ni8Snカップリングを使用した管の0%が、≧30%表面孔食を有していた。これは、管類のMTBFを少なくとも3倍増加させるであろうことが計算された。
(実施例2)
【0078】
55Cu15Ni8Snカップリングが、坑井の1,400フィートの底部に設置された。以下の情報が、捕捉された。
【表4】
【0079】
Cu15Ni8Snカップリング使用の結果は、液体生産における6.4%増加であった。類似実験に関する結果は、9%の生産増加、12%の最大荷重減少、および21%の増加されたポンプストロークを示した。
したがって、約3%~最大約40%、または約6%~約40%、または約6%~約30%、または約3%~約10%、または約6%~約10%のポンプストローク増加が、これらの銅-ニッケル-スズ合金の使用に起因して生じるはずであることが予期される(鋼鉄の使用と比較して)。
(実施例3)
【0080】
カップリングが、Cu15Ni8Sn合金から作られた。カップリングは、図7に描写され、図3Bに図示されるような断面を有する。テーパ状カップリングは、3/4インチ転造ねじを伴う、2インチの外径を有する。カップリングは、バルブロッドブッシングに接合され、バルブロッドブッシングが隣接する管類を摩耗させないように、セントラライザとしての機能を果たす。
【0081】
上記開示の変形、他の特徴や機能、または、その代替を組み合させて他の多くのシステムや用途とすることができることを理解されるであろう。今のところ予測または予期できない様々な代替、変更、変形、もしくは改良が当業者によって今後行われる可能性があるが、これらもまた添付の請求範囲に含まれることが意図される。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
サッカーロッドストリングであって、前記サッカーロッドストリングは、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むサッカーロッドと、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むバルブロッドブッシングであって、前記バルブロッドブッシングは、坑内ポンプに接続している、バルブロッドブッシングと、
コアを備えているカップリングと
を備え、
前記コアは、第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有し、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、前記合金は、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有し、ねじ山付きボアが、前記コアを通して前記第1の端部から前記第2の端部まで全体に伸びており、
前記カップリングの前記第1の端部における前記ねじ山付きボアは、前記バルブロッドブッシングの前記雄ねじと相補的であり、前記カップリングの前記第2の端部における前記ねじ山付きボアは、前記サッカーロッドの前記雄ねじと相補的である、サッカーロッドストリング。
[態様2]
前記第2の端部表面は、丸みを帯びた縁を有するか、または、前記第2の端部は、前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状である、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様3]
前記サッカーロッドの外径は、前記バルブロッドブッシングの外径より大きい、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様4]
前記カップリングの外径は、前記サッカーロッドの外径および前記バルブロッドブッシングの外径の両方より大きい、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様5]
前記第1の端部表面は、前記バルブロッドブッシングの肩部部分に当接する、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様6]
前記第2の端部表面は、前記サッカーロッドの肩部部分に当接する、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様7]
前記合金は、約8~約20重量%ニッケルと、約5~約11重量%スズとを備え、残部は、銅であり、前記合金は、少なくとも75ksiの0.2%オフセット降伏強度を有する、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様8]
前記合金は、約14.5重量%~約15.5重量%ニッケルと、約7.5重量%~約8.5%スズとを備え、残部は、銅である、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様9]
前記合金は、少なくとも95ksiの0.2%オフセット降伏強度と、室温で少なくとも22フィートポンドのシャルピーV-ノッチ衝撃エネルギーとを有する、態様1に記載のサッカーロッドストリング。
[態様10]
サッカーロッドストリングのためのカップリングであって、
前記カップリングは、コアを備え、前記コアは、第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有し、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、
(A)前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、(B)(i)前記第2の端部表面が丸みを帯びた縁を有するか、または、(ii)前記第2の端部が前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状であるかのいずれかであり、
前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有する、カップリング。
[態様11]
前記第1の端部表面の直径は、前記第2の端部表面の直径より小さい、態様10に記載のカップリング。
[態様12]
前記コアを通して前記第1の端部から前記第2の端部まで全体に伸びているねじ山付きボアをさらに備えている、態様10に記載のカップリング。
[態様13]
前記ボアのねじ山は、約20~約40のロックウェルC硬度(HRC)を有する、態様12に記載のカップリング。
[態様14]
前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、カウンタボアも含む、態様10に記載のカップリング。
[態様15]
前記合金は、約8~約20重量%ニッケルと、約5~約11重量%スズとを備え、残部は、銅であり、前記合金は、少なくとも75ksiの0.2%オフセット降伏強度を有する、態様10に記載のカップリング。
[態様16]
前記合金は、約14.5重量%~約15.5重量%ニッケルと、約7.5重量%~約8.5%スズとを備え、残部は、銅である、態様10に記載のカップリング。
[態様17]
前記合金は、少なくとも85ksiの0.2%オフセット降伏強度を有する、態様10に記載のカップリング。
[態様18]
前記合金は、少なくとも95ksiの0.2%オフセット降伏強度と、室温で少なくとも22フィートポンドのシャルピーV-ノッチ衝撃エネルギーとを有する、態様10に記載のカップリング。
[態様19]
流体を坑井から抽出する方法であって、前記方法は、
サッカーロッドストリングを使用して、坑内ポンプをモータに動作可能に接続することと、
前記サッカーロッドストリングを使用して、前記坑内ポンプを動作させ、流体を前記坑井から抽出することと
を含み、
前記坑内ポンプは、バルブロッドブッシングを含み、
サッカーカップリングが、前記バルブロッドブッシングを前記サッカーロッドストリングに接続し、
前記サッカーカップリングは、
第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有するコアを備え、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、
(A)前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、(B)(i)前記第2の端部表面が丸みを帯びた縁を有するか、または、(ii)前記第2の端部が前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状であるかのいずれかであり、
前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有する、方法。
[態様20]
前記サッカーカップリングの平均故障間隔(MTBF)は、L80炭素鋼鉄から作られるカップリングのMTBFより少なくとも4倍大きい、態様19に記載の方法。
[態様21]
ポンプシステムであって、前記ポンプシステムは、
坑内ポンプと、
前記坑内ポンプに動力を供給するための動力源と、
前記坑内ポンプと前記動力源との間に位置するロッドストリングと
を備え、
前記ロッドストリングは、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むサッカーロッドと、
雄ねじを伴うピンを有する端部を含むバルブロッドブッシングであって、前記バルブロッドブッシングは、前記坑内ポンプに接続されている、バルブロッドブッシングと、
コアを備えているカップリングと
を備え、
前記コアは、第1の端部と、中心部分と、第2の端部とを有し、前記第1の端部および前記第2の端部の各々は、端部表面を有し、前記第1の端部は、前記中心部分から前記第1の端部表面に線形に内向きにテーパ状であり、(i)前記第2の端部表面が丸みを帯びた縁を有するか、または、(ii)前記第2の端部が前記中心部分から前記第2の端部表面に線形に内向きにテーパ状であるかのいずれかであり、前記カップリングは、スピノーダル硬化銅-ニッケル-スズ合金から作られ、炭素鋼鉄に対して測定された場合、0.4未満の滑り摩擦係数を有し、ねじ山付きボアが、前記コアを通して前記第1の端部から前記第2の端部まで全体に伸びており、
前記カップリングの前記第1の端部における前記ねじ山付きボアは、前記バルブロッドブッシングの前記雄ねじと相補的であり、前記カップリングの前記第2の端部における前記ねじ山付きボアは、前記安定化ロッドの前記雄ねじと相補的である、ポンプシステム。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7