(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】制動能力についての情報のオンライン伝送による列車中央管理システムの支援
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20220208BHJP
B61L 3/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
B61L3/02 A
(21)【出願番号】P 2019555591
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2018058978
(87)【国際公開番号】W WO2018189078
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】102017206199.5
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D-80809 Muenchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】イェルク-ヨハネス ヴァッハ
(72)【発明者】
【氏名】マーク-オリヴァー ヘアデン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ベアガー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ラウ
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-050798(JP,A)
【文献】特開平08-228401(JP,A)
【文献】特開2001-286009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0081214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置関連制動能力を算出するための方法であって、
第1の車両は、1つの路線の少なくとも1つの位置関連情報を算出し、
前記路線の前記少なくとも1つの位置関連情報は、前記路線上の制動能力についての情報であり、
前記第1の車両は、前記少なくとも1つの位置関連情報を受信機に伝送し、
前記受信機は、少なくとも1つの第2の車両であ
り、
前記少なくとも1つの位置関連情報は、
周辺温度についての情報、および/または、
気象条件についての情報、および/または、
前記路線の湿度についての情報、および/または、
レール温度についての情報、および/または、
前記路線に接する物体または前記路線上の物体についての情報、および/または、
レールの汚れについての情報を含み、前記第2の車両における前記路線上の制動能力についての情報は、前記第1の車両が通過してから前記第2の車両が通過するまでの時間の経過による、前記第1の車両で事前に算出された位置関連情報からの変化を含み、該変化の尤度は、所定の計算モデルに基づいて予め決定される、方法。
【請求項2】
前記変化の尤度は、渦電流ブレーキによる加熱後のレールの冷却特性を周辺温度を考慮して時間に関して算出する計算モデル、またはレールの湿気ミストの乾燥を時間に関して算出する計算モデルによって予め決定される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の車両は、少なくとも1つのさらなる位置関連情報を送信機から受信する、
請求項1
または2記載の方法。
【請求項4】
さらなる受信機は、少なくとも1つのさらなる車両および/または少なくとも1つの路傍装置(3)である、
請求項1
から3までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項5】
前記送信機は、少なくとも1つのさらなる車両および/または少なくとも1つの路傍装置(3)である、
請求項
3または
4記載の方法。
【請求項6】
前記第1の車両は、第1の鉄道車両(1)であり、前記少なくとも第2の車両は、第2の鉄道車両(2)である、
請求項1から
5までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項7】
前記第1の鉄道車両(1)は、前記路線上の制動能力についての少なくとも1つの情報を、減速過程および/または加速過程中に、かつ/または、他の運転状況の場合に算出する、
請求項
6記載の方法。
【請求項8】
前記制動能力についての情報は、前記第1の鉄道車両(1)の少なくとも1つのホイールとレールとの間のグリップ力の少なくとも1つの位置関連情報である、
請求項
7記載の方法。
【請求項9】
前記第1の鉄道車両(1)および/または前記第2の鉄道車両(2)は、少なくとも1つのブレーキシステムの使用可能性についての少なくとも1つの位置関連情報を算出する、
請求項
6から
8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのブレーキシステムの使用可能性についての前記少なくとも1つの位置関連情報は、レールの温度である、
請求項
9記載の方法。
【請求項11】
現下の路線区間上の制動能力についての少なくとも1つの位置関連情報を算出するために、制動能力に対する前記第1の鉄道車両(1)自体による影響が考慮される、
請求項
6から
10までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項12】
前記第1の鉄道車両(1)は、現下の路線区間上の制動能力についての少なくとも1つの位置関連情報を算出するために、前記第1の鉄道車両(1)内に存在するセンサシステムおよび/または装置および/または方法を使用する、
請求項
6から
11までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項13】
前記第1の鉄道車両(1)は、現下の路線区間上の制動能力についての少なくとも1つの位置関連情報を算出するために、付加的なセンサシステムおよび/または装置および/または方法を使用する、
請求項
6から
12までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのさらなる情報は、前記第2の鉄道車両(2)の少なくとも1つのブレーキシステムの状態に関する情報である、
請求項1から
13までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの算出された情報および/または得られた情報に基づいて、少なくとも1つのアクションが、少なくとも前記第1の鉄道車両(1)において、かつ/または、前記第2の鉄道車両(2)において、かつ/または、路傍装置(3)においてトリガされる、
請求項1から
14までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアクションは、1つの路線区間に対する前記第1の鉄道車両(1)または前記第2の鉄道車両(2)の少なくとも1つのブレーキシステムの選択に関する決定である、
請求項
15記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアクションは、少なくとも前記第1の鉄道車両(1)と前記第2の鉄道車両(2)との間の所要の距離の決定である、
請求項
15または
16記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのアクションは、少なくとも1つの鉄道車両(1,2)に対する状況依存性の制動曲線の決定である、
請求項
15から
17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのアクションは、少なくとも1つのメンテナンスアクションおよび/または少なくとも1つの清掃アクションの要求である、
請求項
15から
18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
コンピュータプログラム製品であって、
機械可読媒体に記憶されかつ請求項1から
19までの少なくとも1項記載の方法を実施するためのプログラムコードを有している、
コンピュータプログラム製品。
【請求項21】
請求項1から
19までの少なくとも1項記載の方法を実施するための制御装置であって、
前記制御装置は、少なくとも1つの車両内に設けられており、前記制御装置は、前記車両内で少なくとも1つのアクションをトリガするためのインターフェースを有している、
制御装置。
【請求項22】
請求項1から
19までの少なくとも1項記載の方法を実施するための制御装置であって、
前記制御装置は、路傍装置内に設けられており、前記制御装置は、前記路傍装置内で少なくとも1つのアクションをトリガするためのインターフェースを有している、
制御装置。
【請求項23】
請求項1から
19までの少なくとも1項記載の方法を実施するための制御装置であって、
前記制御装置は、多部品で構成されており、1つの部品は少なくとも1つの車両内に設けられており、かつ/または、さらなる部品は、少なくとも1つの路傍装置内に設けられており、前記制御装置は、前記少なくとも1つの車両内でまたは前記少なくとも1つの路傍装置内で少なくとも1つのアクションをトリガするためのインターフェースを有している、
制御装置。
【請求項24】
前記制御装置は、ユーザーに対する少なくとも1つのインターフェースを有しており、前記インターフェースは、携帯用のハンディ機器の形態で、かつ/または、定置的に設置された入力機器の形態で少なくとも1つの車両内または路傍装置内に設けられている、
請求項
21から
23までのいずれか1項記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に鉄道車両を運転するための路線区間上の制動能力についての少なくとも1つの位置依存性の情報を考慮するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の運転では、制動能力が中心的な役割を果たしている。この制動能力とは、環境の影響下で鉄道車両が停止状態まで所望の減速を達成する能力とも、鉄道車両の様々なブレーキシステムの使用可能性とも理解される。ここでは、複数の局面を考察する。
【0003】
安全性重視の観点のもとでは、鉄道車両を所定の停止点で確実に停止させるためには、路線区間上の制動能力の認識が必要不可欠である。この場合、停止点とは、想定された、つまり計画された停止点、例えば駅や停止信号であり得るが、停止点とは同様に、想定外もしくは予想外の位置とも理解され得る。ここでは、それは路線上に生じ得る障害物または物体である可能性があり、その場合、これらの停止点のオーバーランは、場合によっては物体との衝突につながり、最悪のケースでは、人身傷害の結果となる可能性がある。
【0004】
それゆえ、今日では運転モードのために、個々の路線区間の制動能力についての情報は、カタログ化され、それによって静的もしくは準静的な情報として保存される。これにより、対応する路線区間の運行は、これらの情報に基づいて行われる。準静的情報とは、ここでは、比較的緩慢にしか変化しない情報、例えば建設現場の位置、樹木区画または関連する落ち葉などを意味するものと理解されたい。ただし、これらの情報は、路線上に実際に存在する条件に対応していないことが頻繁にある。
【0005】
鉄道車両の運転者は、例えば自身が信号をオーバーランした後で、自身がたった今存在していた当該区間上の制動能力が低下していることに気付いた場合、運転者はこのことを中央管理室に転送し、中央管理室はこの情報を後続の鉄道車両に伝送する。時として、制動能力が低下した区間を検出するために、そのような事象の報告義務も存在する。これらの事象が1つの路線区間で頻発した場合には、例えば中央管理室によって、一時的に最大許容速度の制限が発動される。
【0006】
低下した制動能力の問題に対処するために、鉄道車両のための季節依存性の時刻表も発行される。この場合、冬期時刻表は通常、制動能力の悪化を考慮し、したがって、走行時間には、例えば低減された最高速度が計算に含まれている。
【0007】
制動能力を、高い信頼性のもとで繰り返し決定するためには、現下では、その制動能力に関して危険な路線区間を繰り返し検査する測定走行を行う必要があるであろう。しかしながら、これらの測定走行は、多大なコスト要因であるため、例外的なケースでしか行われない。
【0008】
それどころか、生じ得る制動能力の低下は、先行車両の制動の際にまだ衝突なしで停止するために最低限必要な距離を相互に持って鉄道車両が走行することによってではなく、むしろ付加的な安全性を鉄道車両の距離に含めて計算することによって考慮され、これによって、走行距離の拡大が生じる。
【0009】
しかしながら、この手順は、利用可能な路線容量が十分に汲みとれないことにつながり、これによって、鉄道網事業者には経済的な不利益が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が基礎とする課題は、1つの路線区間の制動能力に関する情報を確実に算出し、ならびにこの情報をさらなる運転経過の計画のために使用し、特に他の鉄道車両に引き渡すことができる方法、ならびにこの方法を実施するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、独立請求項および並列的な関係にある独立請求項を用いて解決される。好適な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0012】
本発明の対象は、好適には、路線区間の制動能力に関する位置関連情報を収集し、この位置関連情報を車両のさらなる制御のために後続処理する方法である。
【0013】
好適には、これらの情報の補足は、さらなる情報の算出によって行われる。
【0014】
好適には、車両は、運転者を支援するか、またはむしろ車両の運転を完全に引き継ぐ開ループ制御もしくは閉ループ制御されたシステムを有する。この場合、それは自動運転モードまでの運転者の支援であり得る。
【0015】
好適には、当該位置での制動能力の情報に結合される位置の算出は、車両内に存在する装置およびシステムを用いて行われる。
【0016】
例えば、今日では、車両内には通常、車両の位置特定が可能であるGPS受信機が取り付けられている。この位置情報は、引き続き本方法によってさらに処理できる。
【0017】
好適には、車両を制御するために、車両の少なくとも1つの動作パラメーターは、制動能力についての算出された情報またはさらなる情報に基づいて変更される。
【0018】
好適には、車両は、制動能力についての算出された情報またはさらなる情報を受信機に伝送する。
【0019】
好適には、車両は、さらに、路線の制動能力に関する位置関連情報またはさらなる情報を送信機から受け取る。
【0020】
好適には、路線の制動能力の位置関連情報の伝送は、無線でまたは管理室に基づいて行われ、この場合は、例えば欧州列車制御システム(ETCS)または他の列車制御システムの標準規格で想定されているような常用的通信システムを用いることができる。
【0021】
他の好適な実施形態では、伝送は、専用に特別に設けられ構成された通信装置を用いて行われる。
【0022】
好適には、送信機および受信機は、さらなる車両もしくは路傍装置である。
【0023】
好適には、車両は、路傍装置によって監視される路線上を走行する鉄道車両として構成されている。
【0024】
好適には、路傍装置とは、鉄道車両の運転モードに直接的もしくは間接的に影響を与える管理室、信号扱い所、信号などを意味するものと理解されたい。
【0025】
好適には、第1の鉄道車両は、現下の路線区間上の制動能力に関する位置関連情報を算出し、この場合、制動能力とは、必要な減速を提供できる能力を意味するものと理解されたい。この能力は、とりわけ、路線区間のグリップ力と、鉄道車両の異なるブレーキシステム(例えば従来の摩擦ブレーキ、磁気軌道ブレーキ、または渦電流ブレーキ)の使用可能性と、に依存している。
【0026】
グリップ力、特にグリップ係数によって特徴付けられるグリップ力は、レール上の車輪の付着性を表し、したがって、レールへの制動力の伝達の物理的限界を示す。このグリップ力は、例えば以下のような、
・温度
・レール上の湿気
・レールの汚れ
・材料適合性
・ホイール接地力
などの様々な要因に依存している。
【0027】
さらに、対応する路線区間上を走行する鉄道車両は、例えば、制動過程によって、または例えば磁気軌道ブレーキの使用によって、レールの既存の湿気膜を取り除くか、レールの汚れを変えるまたは除去することで、グリップ係数を変化させ、これによってレールが例えば乾燥され、グリップ係数が向上する。
【0028】
さらに、鉄道車両の運転も、レールのさらなる状態を変化させる。そのため、例えばレールは、渦電流ブレーキが使用されている場合、生成された渦電流によって加熱され、その際、後続の列車では、レールの熱負荷を低減するために、どのブレーキシステムで制動すべきかを決定する際に好適には加熱が考慮される。
【0029】
好適には、第2の鉄道車両は、鉄道車両の減速に使用すべきブレーキシステムの選択の際に当該情報を考慮する。
【0030】
本発明のさらなる好適な実施形態では、鉄道車両は、路線の制動能力の固有の制御を、当該路線上の固有の運転によって決定することができる。
【0031】
好適には、鉄道車両は、この場合、鉄道車両によって実施される制動、加速、または路線の単純な運行に基づいてグリップ力の変化を算出する。
【0032】
好適には、鉄道車両は、路線の制動能力の決定に適している、路線のさらなる状態変数を算出する。それにより、例えば渦電流ブレーキまたは従来のブレーキの使用によるレールの加熱は、本方法によって決定される。
【0033】
好適には、鉄道車両は、路線の制動能力に関する情報の決定のために、鉄道車両側に存在するセンサシステムおよび/または装置および/または方法を使用する。そのため、例えば、制動時のホイールスリップの評価を用いてグリップ係数を推論することができ、この場合、ホイールスリップは、車両固有のホイール回転数センサを介して算出することができる。
【0034】
好適には、さらに、レールの加熱は、磁気軌道ブレーキのみならず、渦電流ブレーキまたは従来のブレーキなどの制動性能の算出を用いて行うことができ、あるいはホイールスリップの観察を用いて行うこともできる。
【0035】
好適には、鉄道車両は、固有の運行による乾燥または路線の特性の変化を算出し、それによって、列車後方の新たなグリップ力もしくは湿気状態を推論することができる。
【0036】
好適には、これらの算出ステップは、さらなる情報、特に周辺環境温度、気象条件、路線の湿度などによって補足され、これによって、路線のより正確な制動能力の決定が可能になる。この場合、これらの情報は、異なるソースを介して推論される。好適には、これらのデータは、路線上の鉄道車両または路傍装置によって検出されるか、あるいは気象台のようなさらなるソースによって補足される。
【0037】
本発明のさらなる好適な実施形態では、鉄道車両は、路線の制動能力の決定のために、この目的に対して鉄道車両に取り付けられる付加的センサシステムを使用する。
【0038】
好適には、この付加的センサシステムは、路線上の制動能力を連続的に、つまり一定の速度で走行するまでの減速もしくは加速が少ない走行の場合でも決定することができ、これによって、特に、1つの路線の制動能力の連続したプロファイルが作成される。
【0039】
好適には、運転モードに対する危険性を表す、路線に接する物体もしくは路線上の物体に関する情報も伝送される。これらの情報には、本発明によれば、鉄道車両の動作パラメーターの変更が追従し得る。
【0040】
好適には、路線の制動能力についての情報は、例えば事前に算出された情報の変更確率などのさらなる情報によって補足される。この目的のために、例えば、渦電流ブレーキによる加熱後のレールの冷却特性を周辺温度を考慮して時間に関して算出する計算モデル、またはレールの湿気ミストの乾燥を時間に関して算出する計算モデルが考えられる。その上さらに、路線の制動能力に関する情報を、レールの汚れについての情報によって補足することも考えられる。
【0041】
好適には、さらなる鉄道車両は、車両側ブレーキシステムもしくはそれらの動作もしくは摩耗状態、またはそれらの使用可能性に関する情報を伝送する。これらの情報は、路線上の鉄道車両の制動能力をより簡単に個別化するために必要である。これにより、鉄道車両ごとに個別化された動作パラメーターまたは推奨運転を決定することができる。
【0042】
好適には、鉄道車両およびさらなるソースによって提供された位置関連情報に基づいて、鉄道車両相互の最適な距離が算出され、それによって、状況に応じて車両相互の最小所要距離が生じ、これにより、車両がいつでも衝突のリスクなしで停止できることが保証されている。
【0043】
好適には、鉄道車両の距離は、路線の最大稼働率が生じるように算出され、これにより経済的利点が達成される。
【0044】
好適には、本方法は、事前に算出された情報を考慮して、少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの動作パラメーターを算出する。
【0045】
好適には、少なくとも1つの動作パラメーターは、各車両に対する状況依存性の制動曲線であり、この制動曲線は、好適には、実質的に鉄道車両の位置依存性の最大速度を予め設定し、停止点での確実な停止を可能にする目標速度経過を示す。
【0046】
本発明の別の好適な実施形態では、本方法によれば、状況依存性の制動曲線が算出されるのではなく、例えば停止点での確実な停止を可能にするために必要な制動性能などの他の情報が算出される。
【0047】
好適には、本発明のさらなる実施形態では、例えば障害物と低減された制動能力とによって判明した路線上の危機的状況を識別した場合、いつでも確実な停止を保証するために、鉄道車両においてアクションをトリガすることができる。これらのアクションは、例えば、車両速度の自動適合化または自動ブレーキ介入である。
【0048】
好適には、本発明は、ここでは自動運転モードの補足もしくは拡張を示す。
【0049】
個々の方法ステップは、好適には、必ずしも鉄道車両によってのみ、または路傍装置によってのみ実施される必要はない。それどころか、個々の方法ステップは、適切な接続を介して相互にデータを交換する様々な鉄道車両や路傍施設に分配される。
【0050】
本発明の好適な実施形態では、制動能力の位置関連情報の算出は、路線上に存在する鉄道車両によって行われ、この場合、対応する路線区間を監視する路傍装置では、検出された情報が統合され、さらなるアクションもしくは推奨運転がそこから決定される。引き続き、これらのアクションもしくは推奨運転は次の鉄道車両に伝送され、この鉄道車両は当該前提条件で対応する路線区間を運行する。
【0051】
本発明の好適な実施形態では、1つの路線区間上のグリップ力が過度に劣悪なものとして検出された場合に、当該路線区間上のグリップ力を改善するためのトリガもしくはトリガアクションが行われる。この場合、このトリガは、当該トリガアクションに基づきグリップ力の改善を調整する、当該路線区間に対応付けられた路傍装置における状態通知であり得る。例えば、グリップ力は、その後の例えばレールの研削または清掃アクションなどのメンテナンスアクションにより、例えばこの目的のために特に利用可能な車両によって再び改善される。さらに、これによって例えば剪定などのさらなるメンテナンスアクションを要求することも考えられる。
【0052】
さらに好適な実施形態では、本発明は、機械可読媒体に記憶されかつ本方法を実施するためのプログラムコードを有しているコンピュータプログラム製品として存在する。この場合、このコンピュータプログラム製品により、本発明を新規もしくは既存の鉄道車両および/または路傍装置に移換する可能性が開かれる。
【0053】
さらなる好適な実施形態では、本発明は、少なくとも1つの鉄道車両に設置され、前述した方法を実施する制御装置として存在する。
【0054】
さらなる好適な実施形態では、本発明は、少なくとも1つの路傍装置に設置され、前述した方法を実施する制御装置として存在する。
【0055】
さらなる好適な実施形態では、本発明は、多部品制御装置として存在し、この場合、少なくとも1つの部品は、少なくとも1つの鉄道車両に設けられており、少なくとも1つのさらなる部品は、少なくとも1つの路傍装置に設けられており、この場合、すべての部品が組み合わされて前述した方法を実施する。
【0056】
好適には、制御装置は、それが一体部品で構成されているかまたは多部品で構成されているかに依存することなく、ユーザーに対して少なくとも1つのインターフェースを有する。
【0057】
このインターフェースは、好適には、ユーザーによって携帯されるのに適したハンディ機器として構成されている。
【0058】
本発明の他の好適な実施形態では、インターフェースは、定置的に少なくとも1つの鉄道車両および/または少なくとも1つの路傍装置に取り付けられている。
【0059】
このインターフェースを介して、ユーザーは、好適には、路線上の制動能力についての情報自体をさらなる処理のために提供したり、かつ/またはトリガアクション自体を開始したりすることができる。
【0060】
本発明は、好適には、各実施形態において、鉄道車両を制御するための他の方法または装置と組み合わせ可能であり、好適には、他の方法または装置と信号または情報を交換できるようにするために対応するインターフェースを有する。
【0061】
好適には、本発明は、すべてのサブシステムのフィードバックまたはその一部が処理される車両制御のためのネットワークに統合される。
【0062】
以下では、好適な実施例に基づき本発明の説明を添付の図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】通信が路傍装置を介して行われる本発明の一実施形態を示した図
【
図2】通信が2つの鉄道車両の間で直接行われる本発明の一実施形態を示した図
【
図3】
図1からの本発明による方法のフローチャートを示した図
【
図4】
図2からの本発明による方法のフローチャートを示した図
【
図5】本発明による方法によって制御された制動曲線の経過を従来技術に対応する制動曲線との比較で示した図
【
図6】本発明による方法によって制御されたさらなる制動曲線の経過を従来技術に対応する制動曲線との比較で示した図
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、通信が路傍装置3を介して保証されている本発明の一実施形態を示す。
【0065】
路線区間4上には第1の鉄道車両1が存在し、この第1の鉄道車両1は、データリンク10を介して路傍装置3との接続を形成する。
【0066】
ここでは、路傍装置3は、運行業務管理室、信号扱い所、または他の路傍装置であってもよい。
【0067】
第1の鉄道車両1には、同じ路線上で1つの路線区間5に第2の鉄道車両2が追従している。この第2の鉄道車両2は、データリンク12を介して路傍装置3との接続を形成する。
【0068】
データリンク10を介して、第1の鉄道車両1は、路線区間4に関する位置関連情報を路傍装置3に伝送する。この場合、主としてこの情報は、路線区間4上で主流の制動能力に関する、第1の鉄道車両1によって算出される情報である。
【0069】
制動能力を特徴付ける情報は、とりわけ、グリップ力についての情報や、例えばレール温度などのレールの特性についての情報である。レール温度は、これに関連して渦電流ブレーキの使用に対する制限パラメーターを示す。なぜなら、レールは渦電流ブレーキの使用によって加熱されるからであり、好ましくはレールの過度な加熱は防止されるべきだからである。
【0070】
本発明によれば、第1の鉄道車両1は、この位置関連情報を、可能であれば連続的に算出し、あるいは例えば制動中もしく加速中などの特定の動作事象中に算出する。
【0071】
これらの情報は、路傍装置3においてさらに後続処理され、データリンク12を介して第2の鉄道車両2に伝送される。さらに、路傍装置3は、第1の鉄道車両1の情報から推奨運転または設定目標値を生成し、第2の鉄道車両2に伝送することができる。
【0072】
したがって、第2の鉄道車両2は、第1の鉄道車両1の算出されたデータを使用し、それによって、路線区間4の運行を計画するか、もしくは路線区間4を路傍装置3の計画に応じて運行することができる。
【0073】
図2は、2つの鉄道車両の間で通信が直接行われる本発明の一実施形態を示す。
【0074】
実質的に、この実施形態は、
図1の実施形態に対応するが、第1の鉄道車両1の通信は、データリンク14を介して第2の鉄道車両2と直接行われ、介在接続された路傍装置3を介して間接的に行われない。
【0075】
記載された2つの実施例では、第1の鉄道車両1は、測定車両として機能し、この測定車両は、第2の鉄道車両2に自身の前方に存在する路線区間4に関する情報を供給する。
【0076】
その上さらに、第1の鉄道車両1は、路線区間4の位置関連情報が第1の鉄道車両1の使用によりどのように変化するかを算出することができる。
【0077】
例えば、第1の鉄道車両1の磁気軌道ブレーキの使用は、レール上に存在する湿気または汚れを磁気軌道ブレーキによって変えるかまたは除去することにより、路線区間4のグリップ係数を変化させる。それにより、路線区間4のグリップ係数の増加を達成することができる。この情報は、第2の鉄道車両2から直接アクセスされ、これによって、当該第2の鉄道車両は、路線区間4の運行を計画することができる。
【0078】
例えば、第2の鉄道車両2は、路線区間4を、グリップ係数が低下したものとして通知された場合には、ここにおいて低減された最高速度で運行する。なぜなら、この路線区間4上の制動能力が悪化していたからであり、したがって、低減された最高速度は、例えば駅での確実な停止を可能にする。
【0079】
図3は、
図1による状況に対応する本発明による方法のフローチャートを示す。
【0080】
第1の鉄道車両1は、ここでは以下の方法ステップを実施する。
【0081】
測定データを検出するステップS1:
運転モード中、第1の鉄道車両1は、例えばレール温度、周辺温度、湿度、制動もしくは加速中のホイールスリップ、および/または他の走行状態などの路線パラメーターを恒久的に測定する。
【0082】
現下の制動能力を算出するステップS2:
ここでは、ステップS1からの情報と、第1の鉄道車両1の付加的な車両パラメーターFPと、から、第1の鉄道車両1が存在している路線区間4の現下の制動能力が算出される。第1の鉄道車両1の付加的な車両パラメーターFPとは、例えば利用可能な制動性能やブレーキシステムの状態、例えばブレーキライニングの摩耗状態、または印加された制動圧または制動トルクなどである。
【0083】
情報を送信するステップS3:
S2で生成された情報は、ステップS3において、データリンク10を用いて路傍装置3に伝送される。データリンク10は、ここでは無線リンクとして、または他の適切な形態、例えば前述した種々異なるETCSシステムなどの既存のインフラストラクチャを利用した形態で構成されてもよい。付加的に、車両パラメーターFPの伝送を行うことができ、この車両パラメーターFPは、さらなる推奨運転の生成に用いることができる。
【0084】
路線区間4の制動能力に関する情報のさらなる処理は、ここでは路傍装置3で行われる。
【0085】
情報を受信するステップS4:
路傍装置3は、データリンク10を介して第1の鉄道車両1の情報の受信S4を実施し、この情報を入力側でさらなる処理のために準備する。
【0086】
妥当性検査するステップS5:
場合によっては、引き続き情報の妥当性検査S5が行われる。この場合、非妥当性の情報または非現実的な情報は削除され、さらなる処理は行われない。
【0087】
記憶するステップS6:
引き続き、データベースにおいて情報の記憶S6が行われる。このデータベースには路線区間4を運行するための基準値が含まれる。これらの基準値は、例えば、グリップ係数に関する情報、または最大許容速度であってもよい。本発明によれば、これらの情報は、基準値に代えてさらなる鉄道車両に伝送される。路線区間4に関する情報が現下のものでないかもしくは欠落しているものであるのなら、本方法はデータベースの基準値を用いる。
【0088】
推奨運転を定めるステップS7:
さらなる方法ステップS7では、路線区間4の運行に対する推奨運転が算出される。ここでは、推奨運転とは、特に最大許容速度、可能な停止距離などを意味するものと理解されたい。同時に、このステップでは、路線上に存在する個々の鉄道車両の間の最小距離の計画も行われる。これにより、事前に算出された位置関連情報から生じる所要の最小安全距離のみを維持する、路線上で可及的に密に順次連続する鉄道車両を保証することで、路線容量のより効率的な利用が可能になる。
【0089】
図示されていない一実施形態では、最小距離の計画およびさらなる推奨運転は、後続の車両の個々の車両パラメーターを考慮して行われ、この場合、これらの情報は、静的に存在し得るか、または運転中に動的に生成され得る。そのため、最小距離やさらなる推奨運転の計画の際には、例えばブレーキシステムの摩耗状態や車両の重量を検討することができる。
【0090】
情報を送信するステップS8:
さらなるステップS8では、そのように生成された情報の送信が、路傍装置3から第2の鉄道車両2にデータリンク12を介して行われる。データリンク12は、ここでは無線リンクとして、または他の適切な形態、例えば前述した種々異なるETCSシステムなどの既存のインフラストラクチャを利用した形態で構成されてもよい。
【0091】
路線区間4の制動能力に関する情報のさらなる処理は、ここでは第2の鉄道車両2で行われる。
【0092】
情報を受信するステップS9:
第2の鉄道車両2は、路傍装置3の情報を受信し、この情報を第2の鉄道車両2でのさらなる処理のために準備する。
【0093】
アクションをトリガするステップS10:
ステップS9で受信され準備された情報と、第2の鉄道車両2の例えば固有のブレーキシステムの摩耗状態などの車両パラメーターFP2と、に基づいて、第2の鉄道車両2においてアクションがトリガされる。これらのアクションは、例えば、現在の最大許容速度への速度の適合化、または先行する第1の鉄道車両1までの対応する距離の設定などであり、これらのアクションは、特に自動運転モードの場合、第2の鉄道車両2によって自動的に実施される。第2の鉄道車両2が自動運転モードにないかもしくはこれが存在しない場合、または利用できない場合、運転者には、前方にある路線区間4に関する情報も伝送することができ、引き続き直ちに運転者は対応措置を講じる。
【0094】
図4は、
図2による状況に対応する本発明による方法のフローチャートを示す。
【0095】
この場合、ステップS1~S10のシーケンスは、
図3からの方法のシーケンスに対応するが、路傍装置3のステップは、ここでは第2の鉄道車両2によって実施される。
【0096】
第1の鉄道車両1は、データリンク14を用いて情報を直接第2の鉄道車両2に伝送する。データリンク14は、ここでは無線リンクとして、または他の適切な形態、例えば前述した種々異なるETCSシステムなどの既存のインフラストラクチャを利用した形態で構成されてもよい。
【0097】
図3および
図4による本発明のさらなる実施形態は、第1および第2の鉄道車両1,2の限界値のシフトと路傍装置3の限界値のシフト、ならびにさらなる方法ステップの追加または削除によって形成することができる。
【0098】
図5は、本発明による方法によって制御された制動曲線の経過を、従来技術に対応する制動曲線との比較で示している。
【0099】
鉄道車両6は、速度Vで経路Sに沿って移動する。ここでは、区間20において通常の制動能力が主流であり、この場合、パラメーター転換PW点からは低下した制動能力の区間22が続く。区間22には、鉄道車両6を停止させるべき停止点HPが存在する。この停止点は、ここでは、信号、駅、または路線上の任意に選択された停止点であってもよい。
【0100】
目標制動曲線24が示されており、この目標制動曲線24は、通常の制動能力のもとでの鉄道車両6の減速経過を示している。制動能力の悪化が生じるべきでなく、制動性能の悪化も生じるべきでないならば、実際の制動曲線は目標制動曲線24に従って、鉄道車両6は停止点HPで停止されるであろう。
【0101】
実際の制動曲線26は、ここでは、従来技術による鉄道車両6の停止過程を示している。初めにここでは、区間20において実際の制動曲線26と目標制動曲線24とが同一である。なぜなら、区間20における減速は、理想的な条件のもとで、つまり目標制動曲線24が算出された条件のもとで行われるからである。
【0102】
区間20から区間22への移行の際、つまりパラメーター転換PWの際には、ここにおいて路線の制動能力が変化する。このことは、ここにおいて車輪とレールとの接触により、より少ない制動力しか伝達されず、それにより鉄道車両6の減速が僅かしか実行できなくなるという結果になる。これにより、鉄道車両6は、所要の目標制動曲線24をもはや維持できなくなる。それゆえ、パラメーター転換PWからは、実際の制動曲線26は、目標制動曲線24の上方に存在する。
【0103】
区間22上の制動能力の低下に基づき、制動力の増加も不可能であるため、鉄道車両6は停止点HPをオーバーランし、その後で初めて停止する。
【0104】
本発明によれば、停止点HPでの確実な停止を保証するために、ここでは鉄道車両6の制動曲線の状況依存性の適合化が行われる。
【0105】
初めに鉄道車両6は、通常の制動能力の区間20内を目標制動曲線24に応じて移動する。本発明によれば、鉄道車両6は、次の区間22上で制動能力が低下したことの情報を受け取る。
【0106】
それに従って、鉄道車両6は、制動曲線適合化BAを実施し、その結果、状況依存性の実際の制動曲線28が生じる。新たな目標制動曲線の表示は、それが実際の制動曲線28と同一になるようなものなので省かれている。ここでは、鉄道車両6は、先の目標制動曲線24と比較して、区間20を低減された速度で発車し、変化する制動能力の認識のもとで既に制動を実施する。
【0107】
このことは、目下導入される減速が、区間22の低下した制動能力の認識のもとで既に行われるという結果になる。制動は、ここでは、より大きな減速を伴って実行され、それによって、鉄道車両6は、低減された速度で区間22内に進入する。パラメーター転換PWにより、現下の減速を維持することができず、これにより速度低下は、ここではより緩やかな勾配で行われる。それにより、ここでも実際の制動曲線28における折れ曲がりが、パラメーター転換PWの箇所において生じる。しかしながら、鉄道車両6は停止点HPで停止する。なぜなら、低減された所要の速度で区間22内に進入するからである。
【0108】
本発明による方法は、ここでは、停止点HPにおける停止が、対応する状況依存性の制動曲線28の設定により可能になることを保証する。これにより、鉄道車両6に新たな制動曲線28を提供することによって、変化する制動能力に対抗することが可能になる。
【0109】
図6は、さらなる実際の制動曲線30の経過を従来技術による制動曲線との比較で示している。
【0110】
図5の実際の制動曲線28とは対照的に、ここでは区間20において実際の制動曲線30が選択され、この実際の制動曲線30は、さらに区間22内への進入を可及的に快適に構成する目的を有している。
【0111】
この目的のために、速度とその勾配、つまりその減速とが次のように選択される。すなわち、速度と減速とがパラメーター転換PWの直前と直後とで同じになるように選択される。
【0112】
このことは、さらなる制動の経過において正確に停止点HPで停止するために、実際の制動曲線30においてパラメーター転換PWの箇所で折れ曲がりが生じるのではなく、むしろ鉄道車両6は、低減された所要の速度で減速を伴って区間22内に進入するという結果になる。
【0113】
実際の制動曲線30に折れ曲がりがないことにより、特に、駅が近づく前に、つまり停止点HPが近づく前に既に立ち上がっている乗客が保護される。これらの乗客は、もしかしたら荷物を手に持ったまま立ち続け、減速の転換を、つまり速度経過中の折れ曲がりを良好に補償できず、場合によっては荷物を落とす可能性がある。
【0114】
本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、それどころか、前述した特徴のさらなる組み合わせにより、さらなる実施例を得ることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 第1の鉄道車両
2 第2の鉄道車両
3 路傍装置
4 第1の鉄道車両の路線区間
5 第2の鉄道車両の路線区間
6 鉄道車両
10 第1の鉄道車両-路傍装置間のデータリンク
12 第2の鉄道車両-路傍装置間のデータリンク
14 第1の鉄道車両-第2の鉄道車両間のデータリンク
20 通常の制動能力の領域
22 低下した制動能力の領域
24 従来技術による目標制動曲線
26 従来技術による実際の制動曲線
28 状況依存性の実際の制動曲線
30 状況依存性の実際の制動曲線
BA 制動曲線適合化
FP 第1の鉄道車両の車両パラメーター
FP2 第2の鉄道車両の車両パラメーター
HP 停止点
PW パラメーター転換
S 経路
S1 測定データを検出するステップ
S2 現下の制動能力を算出するステップ
S3 情報を送信するステップ
S4 情報を受信するステップ
S5 妥当性検査するステップ
S6 データベースに情報を記憶するステップ
S7 推奨運転を定めるステップ
S8 情報を送信するステップ
S9 情報を受け取るステップ
S10 アクションをトリガするステップ
V 速度