(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】複数の交通状況を決定するための方法、装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220208BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/09 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020001677
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2020-01-08
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーマド エル アッサード
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-219919(JP,A)
【文献】特開2010-224610(JP,A)
【文献】特開2003-044994(JP,A)
【文献】特開2008-310469(JP,A)
【文献】特表2008-521283(JP,A)
【文献】特開2013-106343(JP,A)
【文献】特開平11-086197(JP,A)
【文献】特表2014-522156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交通状況を予測するための方法であって、前記方法は、
複数の道路利用者と、複数の道路側インフラストラクチャエンティティと、から、複数の環境知覚モデルを取得するステップ(110)と、
前記複数の環境知覚モデルに基づいて、所定の領域のための1つの結合された環境知覚モデルを生成するステップ(120)であって、前記複数の環境知覚モデルは、前記結合された環境知覚モデル内で
結合されているステップと、
前記結合された環境知覚モデルに基づいて、将来の複数の時点にわたる前記所定の領域内の複数の交通状況を予測する(130)ステップと、
予測された前記複数の交通状況に基づいて、前記複数の交通状況における道路利用者間で構築される可能性が高い通信リンクを予測するステップ(150)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記方法は、前記複数の道路利用者の複数の計画された操縦に関する情報を取得するステップ(112)をさらに含み、
前記結合された環境知覚モデルは、前記複数の計画された操縦に関する情報に基づいて生成される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記複数の道路利用者の複数の計画された経路に関する情報を取得するステップ(114)をさらに含み、
前記結合された環境知覚モデルは、前記複数の計画された経路に関する情報に基づいて生成される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記複数の環境知覚モデルは、前記複数の道路利用者を取り巻く領域のためのモデル化情報を含み、
前記モデル化情報は、前記複数の道路利用者によって前記複数の道路利用者の知覚センサを使用して識別されたオブジェクトに関する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記予測された複数の交通状況に基づいて、前記複数の道路利用者を複数の道路利用者クラスタにグループ化するステップ(140)をさらに含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、予測された前記通信リンクに基づいて、前記予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースに関する情報を決定するステップ(160)を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報を決定するステップ(162)を含み、
前記予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースに関する情報は、前記複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報に基づいて決定される(160)、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、必要とされる無線リソースに基づいて、前記所定の領域内の無線リソースのリソース計画を決定するステップ(180)を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記複数の交通状況における道路利用者間の通信リンクは、車車間通信リンクと車ネットワーク間通信リンクとを含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、予測された前記通信リンクの推定されるサービス品質に関する情報を決定するステップ(190)を含み、前記決定するステップ(190)は、
前記予測された通信リンクに基づき、
前記所定の領域内の利用可能な無線リソースに関する情報に基づき、かつ、
前記所定の領域内の前記道路利用者間の前記予測された通信リンクに関する予測されたチャネル状態情報に基づく、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記複数の交通状況における前記道路利用者の通信の予測に関する情報は、機械学習アルゴリズムを使用して決定され(150)、
前記複数の交通状況に関する情報は、前記機械学習アルゴリズムへの入力として使用される、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、移動体通信システムの基地局に位置するコンピューティングエンティティによって実行され、
前記基地局のカバレッジエリアは、前記所定の領域の一部と少なくとも部分的に重複する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行されると、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を実行するプログラムコードを有しているコンピュータプログラム。
【請求項14】
複数の交通状況を予測するための装置(10)であって、前記装置(10)は、
複数の道路利用者および複数の道路側インフラストラクチャエンティティと通信するための少なくとも1つのインターフェース(12)と、
制御モジュール(14)と、
を含み、
前記制御モジュール(14)は、
前記少なくとも1つのインターフェース(12)を介して、前記複数の道路利用者と、前記複数の道路側インフラストラクチャエンティティと、から、複数の環境知覚モデルを取得し、
前記複数の環境知覚モデルに基づいて、所定の領域のための1つの結合された環境知覚モデルを生成し、なお、前記複数の環境知覚モデルは、前記結合された環境知覚モデル内で
結合されており、
前記結合された環境知覚モデルに基づいて、将来の複数の時点にわたる前記所定の領域内の複数の交通状況を予測し、
予測された前記複数の交通状況に基づいて、前記複数の交通状況における道路利用者間で構築される可能性が高い通信リンクを予測する、
ように構成されている、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の交通状況を決定するための装置、方法、およびコンピュータプログラムに関し、より具体的には、ただし限定するわけではないが、複数の道路利用者から取得された複数の環境知覚モデルを結合することに基づいて、複数の交通状況を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
車両通信は、研究開発の1つの分野である。車両の自律運転または半自律運転を可能にするために、車両は、車車間通信(V2V)および車ネットワーク間(V2N)通信を使用して、運転操縦を調整すること、および/または遠隔操作による運転指示を受信することが期待されている。この通信は、一般にワイヤレスであり、すなわち、車両は、自身の近辺にいる他車両とワイヤレス通信すること、および/またはセルラー移動体通信システムを介してバックエンドサービスとワイヤレス通信することができる。ワイヤレス通信は、無線リソースの可用性によって制限される可能性のある共有の媒体を介して発生するので、車両通信における無線リソース管理のための改善された概念を提供することが望ましい。
【0003】
米国特許第10147324号明細書は、車両におけるユーザ支援を、交通挙動モデルに基づいて提供することに関する。同特許では、車両がセンサデータを生成し、それを使用して、他車両および自車両の周囲のオブジェクトに関する情報を収集する。この情報を、検出車および道路センサシステムからの同様の情報と一緒に使用することができる。他車両のような参照オブジェクトの主要な交通挙動を記述する交通挙動モデルが、システムによって生成される。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0104219号明細書は、予測的モバイルアドホックネットワーキングに関する。同特許出願では、必要とされる可能性が高いネットワークサービスが予測され、ネットワークを先制的に調整するために使用される。
【0005】
米国特許出願公開第2018/0376306号明細書は、自律車両のネットワークを使用して都市生活管理を改善するために、異常を検出して、最適化を予想するための方法およびシステムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、車両通信におけるリソース管理を実施するために、リソース管理が実施されるべき所定の領域内で発生する交通状況を予測することが有用であろうという発見に基づいている。この所定の領域は、例えば、移動体通信システムの基地局のカバレッジエリアと重複することができる。所定の領域内では、2種類のワイヤレス通信を考慮することができる。すなわち、1つは、道路利用者(すなわち、自動車、バイク、または自転車のような車両、もしくは歩行者)と基地局との間の通信(すなわち、車ネットワーク間通信)であり、もう1つは、道路利用者間の通信(すなわち、車車間通信)である。少なくともいくつかの車両通信アプローチでは、V2V通信およびV2N通信の両方のために同じ無線リソースが使用されるので、1つの共同の無線リソース管理を使用することができる。実施形態は、複数の道路利用者によって生成された複数の環境知覚モデルを使用して、所定の領域をカバーする1つの結合された環境知覚モデルを構築する。結合されたモデルを使用することにより、結合された環境知覚モデルを使用して予見することができる交通状況が、将来の複数の時点にわたって予測される。これに関連して、交通状況は、複数の道路利用者が関与している状況であってもよく、すなわち、コネクテッド道路利用者間の通信を必要とする交通状況であってもよい。そのような交通状況は、例えば、ある道路利用者が道路に合流することを調整するために、この道路利用者がさらなる道路利用者と通信するような状況であってもよいし、または、複数の車両のうちのどの車両が最初に交差点に入るかを、複数の車両同士で調整し合うような交通状況であってもよい。別の例示的な交通状況は、道路利用者が遠隔操作による運転サービスを使用するような状況である。それぞれの交通状況は、その交通状況に参加している道路利用者間で統計的に発生する通信パターンをもたらす可能性があり、例えば、その交通状況に参加している道路利用者間の通信や、これらの道路利用者とバックエンドサーバとの通信をもたらす可能性がある。交通状況が予測されると、これらの交通状況を使用して、将来の複数の時点にわたる通信の種類、量、および場所を予測することができる。予測された通信を使用して、無線リソースの事前割り当てを実行することができ、サービス品質(QoS)の予測を実行することができる。さらに、予測された交通状況をさらに使用して、複数の道路利用者を複数の道路利用者クラスタにグループ化することができる。なぜなら、それぞれの予測された交通状況には、それぞれ同じ近辺に位置していて同じペースで運転している道路利用者同士が関与していることが多いからである。
【0007】
実施形態は、複数の交通状況を予測するための方法を提供する。当該方法は、複数の道路利用者(すなわち、車両またはバイク)と、(オプションで)複数の道路側インフラストラクチャエンティティと、から、複数の環境知覚モデルを取得することを含む。本方法は、複数の環境知覚モデルに基づいて、所定の領域のための1つの結合された環境知覚モデルを生成することをさらに含む。複数の環境知覚モデルは、結合された環境知覚モデル内で融合されている。本方法は、結合された環境知覚モデルに基づいて、将来の複数の時点にわたる所定の領域内の複数の交通状況を予測することをさらに含む。
【0008】
複数の道路利用者の個々の環境知覚モデルを融合することにより、例えば、所定の領域を監視するための専用のセンサを必要とすることなく、所定の領域のための1つの結合された予測モデルを生成することが可能となり得る。結合された知覚モデルを使用して、交通状況を予測することができ、今度はこの交通状況を使用して、無線リソースを管理することができ、また、複数の道路利用者を複数の道路利用者クラスタにグループ化することができる。結合された環境知覚モデルを、道路利用者間のコネクテッドサービスの予測において活用することができる。コネクテッドサービスの予測により、道路利用者クラスタの予測と、クラスタ間の通信リンクの予測と、が可能となり得る。通信リンクの予測により、所定の領域内の予測された交通状況に基づいて、予測されたコネクテッドサービスのための予測された通信リンク上でのリソースの事前割り当てが可能となり得る。リソースの事前割り当てにより、予測された通信リンク上の予測されたチャネル状態を使用して、予測された通信リンクの通信品質を予測することが可能となり得る。
【0009】
少なくともいくつかの実施形態では、本方法は、複数の道路利用者の複数の計画された操縦に関する情報を取得することをさらに含む。結合された環境知覚モデルは、複数の計画された操縦に関する情報に基づいて生成され得る。これによって、複数の道路利用者の差し迫った操縦が考慮されるので、交通状況の予測の精度を上げることができる。
【0010】
本方法は、複数の道路利用者の複数の計画された経路に関する情報を取得することをさらに含み得る。結合された環境知覚モデルは、複数の計画された経路に関する情報に基づいて生成され得る。これによって、複数の道路利用者によって用いられる経路、ひいては車線および/または道路出口が考慮されるので、交通状況の予測の精度をさらに上げることができる。
【0011】
実施形態では、複数の環境知覚モデルは、複数の道路利用者を取り巻く領域のためのモデル化情報を含む。モデル化情報は、複数の道路利用者によって複数の道路利用者の知覚センサを使用して識別されたオブジェクトに関し得る。複数の環境知覚モデルは、複数の道路利用者によって知覚されたオブジェクトの高レベルの抽象化を提供することができ、これによって、結合された環境知覚モデルを生成するための融合を容易にすることができる。
【0012】
様々な実施形態では、本方法は、予測された複数の交通状況に基づいて、複数の道路利用者を複数の道路利用者クラスタにグループ化することをさらに含む。道路利用者に、クラスタリングを通知することができ、これによって道路利用者は、必要とするコネクテッドサービスを使用することが可能となり、このコネクテッドサービス自体は、クラスタ内での直接通信を介して可能となり、今度はこれによって、V2N通信の量を削減することができる。交通状況の予測により、構築されたクラスタ内における車両と車両との間、および車両と他の道路利用者との間で必要とされるコネクテッドサービスを決定することができる。クラスタは、所定の期間内および所定の場所内で、必要とされるコネクテッドサービスに基づいて構築され得る。1つのクラスタは、例えば車両、歩行者、自転車走者等のような、様々な種類の道路利用者を含み得る。コネクテッドサービスを使用するクラスタを決定することにより、クラスタ内の道路利用者間の通信リンク、例えばV2Vおよび/またはV2Nを規定することができる。例えば、車両と歩行者との間の通信は、直接通信(V2V、または歩行者の場合にはV2P(車歩行者間))を介して実施され得るか、またはV2Nを介した移動体無線ネットワークを介して実施され得る。さらに、この通信は、高度に局所化されているので、このクラスタ内の通信のために必要とされる無線リソースを、他のクラスタにおいても再利用することが可能である。
【0013】
本方法は、予測された複数の交通状況に基づいて、複数の交通状況における道路利用者間の通信リンク(例えば、複数の交通状況に基づいて決定された予測されたコネクテッドサービスから導出することができる複数のクラスタのうちの1つのクラスタ内の道路利用者間の通信リンク)の予測に関する情報を決定することをさらに含み得る。予測された通信リンクを使用して、必要とされる無線リソースを推定することができる。予測された通信リンクは、例えばV2Vおよび/またはV2Nのような、クラスタ内のリンクの種類に関する情報と、通信周波数およびエンドツーエンドパスの記述に関する情報と、必要とされるデータレートに関する情報と、リンク上での通信相手同士間の通信遅延に関する情報と、を含み得る。予測された通信リンクを使用して、必要とされる無線リソースを推定することができる。
【0014】
その結果、本方法は、通信リンクの予測に関する情報に基づいて、予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースに関する情報を決定することを含み得る。必要とされる無線リソースを、無線リソースの計画および/または事前割り当てにおいて使用することができる。
【0015】
例えば、本方法は、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービス(すなわち、コネクテッド車両通信サービス、または略してコネクテッドサービスであり、コネクテッドサービスは、交差点での左折支援、田舎道での追い越し支援等であってもよく、コネクテッドサービスは、サービス機能を可能にするために道路利用者/車両間の通信を必要とするコネクテッド機能であってもよい)に関する情報を決定することを含み得る。予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースに関する情報は、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報に基づいて決定され得る。複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスを使用して、予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースを導出することができる。
【0016】
本方法は、必要とされる無線リソースに基づいて、所定の領域内の無線リソースのリソース計画を決定することを含み得る。リソース計画を使用して、利用可能な無線リソースの不足によって道路利用者の通信が制限されてしまうような状況を回避することができる。
【0017】
少なくともいくつかの実施形態では、複数の交通状況における道路利用者間の通信リンクは、車車間通信リンクと、車ネットワーク間通信リンクと、を含む。V2V通信およびV2N通信の両方を考慮することにより、より効率的なリソース割り当てを実施することができる。
【0018】
本方法は、予測された通信リンクの推定されるサービス品質に関する情報を、予測された通信リンクに基づいて、所定の領域内の利用可能な無線リソースに関する情報に基づいて、かつ(オプションで)所定の領域内の道路利用者間の予測された通信リンクに関する予測されたチャネル状態情報に基づいて決定することを含み得る。これらの情報が道路利用者に通信される場合には、道路利用者は、利用可能な無線リソースに適合するように各自の通信を調整することができる。
【0019】
少なくともいくつかの実施形態では、複数の交通状況における道路利用者間の通信リンクの予測に関する情報は、機械学習アルゴリズムを使用して決定される。複数の交通状況に関する情報を、機械学習アルゴリズムへの入力として使用することができる。これによって、他のモデルを使用して導出できないおそれのある、交通状況と車両通信との間の相関関係を決定することが可能となり得る。
【0020】
様々な実施形態では、本方法は、移動体通信システムの基地局に位置するコンピューティングエンティティによって実行される。基地局のカバレッジエリアは、所定の領域の一部と少なくとも部分的に重複し得る。これによって、関連する情報がその場で計算されるので、移動体通信システムのコアネットワークにおける帯域幅の遅延と全体的な使用量とを低減することができる。
【0021】
複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報を決定することは、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者を決定すること、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスを決定すること、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスの時間および場所を決定すること、のグループのうちの1つまたは複数の要素を含み得る。これによって、車両通信サービスのために必要とされる無線リソースをきめ細かく決定することが可能となり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、予測された通信リンクのための所望のサービス品質を決定することを含み、予測された通信のために必要とされる無線リソースは、予測された通信リンクのための所望のサービス品質に基づいて決定される。予測された通信リンクのための所望のサービス品質は、例えば最大許容遅延または最小所要帯域幅に関する、予測された通信の最低要件および/または最適要件を規定することができる。
【0023】
実施形態は、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行されると、上記の方法を実行するプログラムコードを有しているコンピュータプログラムをさらに提供する。
【0024】
実施形態は、複数の交通状況を予測するための装置をさらに提供する。当該装置は、複数の道路利用者、および複数の道路側インフラストラクチャエンティティと通信するための少なくとも1つのインターフェースを含む。本装置は、制御モジュールを含む。制御モジュールは、少なくとも1つのインターフェースを介して、複数の道路利用者と、(オプションで)複数の道路側インフラストラクチャエンティティと、から、複数の環境知覚モデルを取得するように構成されている。制御モジュールは、複数の環境知覚モデルに基づいて、所定の領域のための1つの結合された環境知覚モデルを生成するように構成されている。複数の環境知覚モデルは、結合された環境知覚モデル内で融合されている。制御モジュールは、結合された環境知覚モデルに基づいて、将来の複数の時点にわたる所定の領域内の複数の交通状況を予測するように構成されている。
【0025】
いくつかの他の特徴または態様を、添付の図面を参照しながら、単に例示を目的として、装置または方法またはコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の下記の非限定的な実施形態を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】複数の交通状況を予測するための方法の実施形態のフローチャートである。
【
図1b】複数の交通状況を予測するための方法の実施形態のフローチャートである。
【
図1c】複数の交通状況を予測するための装置の実施形態のブロック図である。
【
図2】サービス予測および道路利用者のクラスタリングにおける情報フローと、通信リンク上のサービス品質の予測の情報フローと、の概略図である。
【
図3】V2VリンクおよびV2Nリンク上のコネクテッドサービスおよびQoSを予測するためのアーキテクチャの実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施例の一部が図示されている添付の図面を参照しながら、様々な実施例を以下ではより詳細に説明する。図中、線の太さ、層の厚さ、または領域の大きさは、見やすくするために誇張されていることがある。オプションのコンポーネントは、破線、一点鎖線、または点線によって図示されていることがある。
【0028】
したがって、実施例について様々な修正形態および代替形態が考えられるが、それらのうちの一部の実施形態が例示を目的として図面に示されており、また本明細書において詳細に説明される。しかしながら、実施例を開示した特定の形態に限定することは意図されておらず、むしろ実施例は、本発明の範囲内の全ての修正形態、等価形態および代替形態をカバーすると解釈されるべきである。同様の参照番号は、各図の説明全体にわたって同様の要素または類似の要素を表している。
【0029】
本明細書で用いられているように、用語「または」は、別段の記載(例えば、「あるいは」または「または代替形態においては」)がない限り、非排他的な「または」を表している。さらに、本明細書で用いられるように、要素の関係を説明するのに用いられている語は、別段の記載がない限り、当然、直接的な関係または介在する要素の存在を含むものと広義に解釈されるべきである。例えば、要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と表されている場合、要素が他の要素に直接的に接続または結合されていてもよいし、もしくは介在する要素が存在してもよい。これに対して、要素が別の要素に「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と表されている場合、介在する要素は存在しない。同様に、「~の間」、「~に隣接する」などの語も同様に解釈されるべきである。
【0030】
本明細書において使用されている技術用語は、特定の実施形態を説明するためのものにしかすぎず、実施例を限定することは意図されていない。本明細書において使用されているように、単数形「1つの」および「この」は、文脈においてそれを排除することが明示的に記載されていない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「含む」、「含んでいる」、「含有する」、または「含有している」という語は、本明細書において使用されている場合、記載した特徴、完全体、ステップ、動作、要素、またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネント、またはそのグループの存在または付加を排除するものではないと理解される。
【0031】
別段の定めのない限り、本明細書において使用される全ての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、実施例が属する技術の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を持つ。さらに、例えば一般的に使用されている辞書において定義されているような用語は、関連する分野の文脈におけるそれらの意味と矛盾しない意味を有していると理解され、また特段の定めのない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味では解釈されない。
【0032】
V2Nおよび直接通信リンクのためのサービスの通信品質を高信頼性に予測することは、研究では十分にカバーされていない可能性がある。特に、道路利用者/道路利用者によるコネクテッドサービスを時間および場所に関して予測することは、依然として未解決である可能性がある。したがって、予測されるサービスのQoS要件に基づいてリソースを事前に割り当てるという高信頼性の概念もまた、改善が必要であろう。課題が依然として未解決であるのは、サービスが使用されるときには(常に)サービス探索プロセスおよび近隣探索プロセスが実行され、交通状況および環境条件が考慮されないことが多いため、道路利用者におけるコネクテッドサービスの使用は、以前は予測されていなかったか、または予測が難しかったからであり得る。
【0033】
図1aおよび
図1bは、複数の交通状況を予測するための方法(例えばコンピュータ実装される方法)の実施形態のフローチャートを示す。本方法は、複数の道路利用者(すなわち車両またはバイク)から複数の環境知覚モデルを取得すること110を含む。さらに、複数の環境知覚モデルは、複数の道路側インフラストラクチャエンティティから、例えば、所定の領域内にいる歩行者を知覚することができる都市部のカメラのようなインフラストラクチャセンサから取得され得る。本方法は、複数の環境知覚モデルに基づいて、所定の領域のための1つの結合された環境知覚モデルを生成すること120をさらに含む。複数の環境知覚モデルは、結合された環境知覚モデル内で融合されている。本方法は、結合された環境知覚モデルに基づいて、将来の複数の時点にわたる所定の領域内の複数の交通状況を予測すること130をさらに含む。
【0034】
図1cは、複数の交通状況を予測するための(対応する)装置10の実施形態のブロック図を示す。装置10は、複数の道路利用者と通信するための、および複数の道路側インフラストラクチャエンティティと通信するための、少なくとも1つのインターフェース12を含む。装置は、少なくとも1つのインターフェース12に結合された制御モジュール14を含む。制御モジュール14は、
図1aおよび/または
図1bに関連して、例えば、少なくとも1つのインターフェースに関連して、紹介される本方法を実行するように構成され得る。制御モジュール14は、少なくとも1つのインターフェース12を介して、複数の道路利用者と、(オプションで)複数の道路側インフラストラクチャエンティティと、から、複数の環境知覚モデルを取得するように構成されている。制御モジュール14は、複数の環境知覚モデルに基づいて、所定の領域のための1つの結合された環境知覚モデルを生成するようにさらに構成されている。複数の環境知覚モデルは、結合された環境知覚モデル内で融合されている。制御モジュール14は、結合された環境知覚モデルに基づいて、将来の複数の時点にわたる所定の領域内の複数の交通状況を予測するように構成されている。
図1cは、装置10を含むコンピューティングエンティティ100をさらに示す。少なくともいくつかの実施形態では、コンピューティングエンティティ100は、エッジコンピューティングエンティティまたはV2Xコンピューティングエンティティであってもよく、すなわち、コンピューティングエンティティは、移動体通信システムの基地局または道路側インフラストラクチャエンティティと同一の場所に配置されていてもよい。実施形態は、装置10を有するコンピューティングエンティティ100を含む、移動体通信システムの基地局を提供する。
【0035】
以下の説明は、
図1aおよび/または
図1bの方法と
図1cの装置との両方に関する。
【0036】
実施形態は、複数の交通状況を予測するための方法および/または装置に関する。車両通信では、所定の領域内でどの通信が発生する可能性が高いかを予測するために、交通状況を予測することが有用であろう。例えば、コネクテッド運転では、それぞれ交通状況によって特定の通信パターンが引き起こされる場合がある。例えば、コネクテッド道路利用者が左折しようと意図した場合には、この道路利用者は、他のコネクテッド道路利用者と通信して、この左折する道路利用者のために道を譲るように他のコネクテッド道路利用者に頼むことができる。別の一例では、コネクテッド道路利用者が、遠隔操作による運転サービスを使用している場合がある。この通信は、所定のパターンに従っている場合があり、このパターンを、その通信に関与している道路利用者と、必要とされる通信量と、その通信のサービス品質(QoS)要件と、を予測するために使用することができる。実施形態は、交通状況を予測するために、複数の道路利用者の複数の環境知覚モデル(および、オプションで、複数の道路利用者の複数の計画された操縦に関する情報と、複数の道路利用者の複数の計画された経路に関する情報と、道路側のインフラストラクチャエンティティに由来する環境知覚モデルと、のうちの少なくとも1つ)から、1つの結合された環境知覚モデルを生成することに基づいている。これら多数の情報を結合(すなわち「融合」)して、複数の時点にわたる所定の領域内の道路利用者の位置および動きをモデル化した1つの結合されたモデルを生成することができる。道路利用者の位置および動きに基づいて、交通状況を予測することができ、次いで、この交通状況を使用して、通信パターンを予測することができる。少なくともいくつかの実施形態では、本方法および/または本装置の機能コンポーネントを、道路利用者の要求に基づいて実行してもよい。
【0037】
本方法は、複数の道路利用者から(および/または複数の道路側インフラストラクチャエンティティから)、複数の環境知覚モデルを取得(例えば受信)すること110を含む。場合によって、複数の環境知覚モデルは、2種類のソースのうちの一方のみから、例えば、複数の道路利用者からのみから、または複数の道路側インフラストラクチャエンティティのみからから取得されてもよい。例えば、複数の環境知覚モデルを、協調的知覚メッセージ(Cooperative Perception Message:CPM)を介して取得(例えば受信)することができる。換言すれば、CPMは、道路利用者の環境知覚モデルを含み得る。CPMの内容は、環境知覚モデルであってもよい。その結果、本方法は、複数の道路利用者から(および/または複数の道路側インフラストラクチャエンティティから)、複数のCPMを取得することを含み得る。
【0038】
本方法は、移動体無線ネットワーク(例えば移動体通信システム)を介して、複数の道路利用者と、(オプションで)複数の道路側インフラストラクチャエンティティと、から、複数の環境知覚モデルを要求することを含み得る。要求は、例えば、複数の道路利用者のうちの1つの道路利用者の計画された経路に基づくことができるか、またはそれを含むことができ、例えば、複数の計画された経路に関する情報に基づくことができる。計画された経路は、所定の領域に対応することができる。例えば、結合された環境知覚モデルを経路に沿って生成することができるように、複数の環境知覚モデルを要求することができる。要求は、複数の環境知覚モデルのための所望の更新レートを指定することができる。複数の環境知覚モデルは、複数の道路利用者と、(オプションで)複数の道路側インフラストラクチャエンティティと、によって、例えば所望の更新レートで提供され得る。
【0039】
例えば、複数の環境知覚モデルは、複数の道路利用者を取り巻く(および/または複数の道路側インフラストラクチャエンティティを取り巻く)領域のためのモデル化情報を含み得る。環境知覚モデルは、道路利用者/車両の周囲にある、建物、道路標識等のような静的オブジェクトと、歩行者、自転車走行者等のような動的オブジェクトと、に関する情報を含み得る。これらの情報を、車両およびインフラストラクチャによって知覚された環境モデルによって生成することができる。モデル化情報は、複数の道路利用者によって複数の道路利用者の知覚センサを使用して(道路側インフラストラクチャエンティティの場合も同様)識別されたオブジェクトに関し得る。例えば、知覚センサは、レーダー(Radio Detection and Ranging、以下「レーダー」と表記)センサ、ライダー(Light Detection and Ranging、以下「ライダー」と表記)センサ、カメラセンサ、および超音波センサのうちの少なくとも1つを含み得る。複数の環境知覚モデルのうちのある1つの環境知覚モデルは、それぞれのセンサデータを含んでいない可能性があるが、複数の道路利用者(および/または複数の道路側のインフラストラクチャエンティティ)の知覚センサのセンサデータの高レベルの抽象化に対応している可能性がある。例えば、複数の環境知覚モデルのうちのある1つの環境知覚モデルは、複数の道路利用者(および/または複数の道路側インフラストラクチャエンティティ)によって複数の道路利用者(および/または複数の道路側インフラストラクチャエンティティ)の知覚センサを使用して識別されたオブジェクトの位置および/または範囲に関する情報を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、オブジェクトがコネクテッド道路利用者である場合(すなわちオブジェクトが、複数の道路利用者と通信する道路利用者である場合)、複数の環境知覚モデルのうちのある1つの環境知覚モデルは、複数の道路利用者(および/または複数の道路側インフラストラクチャエンティティ)によって複数の道路利用者(および/または複数の道路側インフラストラクチャエンティティ)の知覚センサを使用して識別されたオブジェクトの識別子に関する情報を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数の環境知覚モデルのうちの少なくともいくつかの環境知覚モデルを、複数の道路側インフラストラクチャエンティティから取得することができる。換言すれば、複数の環境知覚モデルを、複数の道路利用者と、複数の道路側インフラストラクチャエンティティとから取得することができる110。複数の環境知覚モデルは、複数の道路利用者と、複数の道路側インフラストラクチャエンティティとに由来することができる。例えば、複数の道路側インフラストラクチャエンティティは、信号機、交通速度計、交通管制局、および有料橋のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0041】
少なくともいくつかの実施形態では、複数の道路利用者またはさらなる複数の道路利用者は、運転判断を下すために他の道路利用者またはバックエンドサーバと通信するように構成されたコネクテッド道路利用者(例えばコネクテッド車両)、すなわち、自律型の道路利用者(すなわち自律車両)または半自律型の道路利用者(すなわち半自律車両)であってもよい。例えば、複数の道路利用者またはさらなる複数の道路利用者は、他の道路利用者またはバックエンドサーバと共に自律運転または半自律運転を調整するように構成された道路利用者であってもよい。
【0042】
さらに、
図1bに示されるように、本方法は、複数の道路利用者の複数の計画された操縦に関する情報を取得(例えば受信)すること112を含み得る。例えば、複数の計画された操縦に関する情報を、操縦調整メッセージ(Maneuver Coordination Message:MCM)を介して取得することができる。例えば、本方法は、複数の道路利用者から複数のMCMを取得することを含むことができ、複数のMCMは、複数の計画された操縦に関する情報を含むか、または示す。例えば、それぞれのMCMは、複数の計画された操縦のうちの(ただ1つの)計画された操縦に関する情報を含み得る。複数の計画された操縦に関する情報を、複数の道路利用者によって送信することができる。複数の道路利用者の複数の計画された操縦に関する情報は、複数の道路利用者のどの運転操縦(すなわち、車線変更、右左折・転回、追い越し操縦等)が着手されることが計画されているか(すなわち、次の最大30秒以内で)を示すことができる。したがって、複数の計画された運転操縦のうちのある1つの計画された運転操縦は、複数の道路利用者のうちの1つの道路利用者が、(例えば、運転操縦に関する情報を取得した後の)最大30秒以内(または最大25秒以内、最大20秒以内、最大15秒以内、最大10秒以内)に実行することを計画している(差し迫った)運転操縦であってもよい。
【0043】
少なくともいくつかの実施形態では、本方法は、複数の道路利用者の複数の計画された経路に関する情報を取得すること114をさらに含む。複数の計画された操縦とは異なり、複数の計画された経路は、複数の道路利用者の複数の計画された目的地に関する情報、すなわち、複数の道路利用者の長期的な経路を含み得る。例えば、複数の計画された経路は、複数の道路利用者が複数の経路に沿って移動しようと意図している複数の道路を示すことができる。例えば、複数の道路利用者の複数の計画された経路に関する情報は、複数の道路利用者がどの車線またはどの道路出口を使用することを計画しているかを示すことができる。
【0044】
本方法は、複数の環境知覚モデルに基づいて、所定の領域のための1つの結合された環境知覚モデルを生成すること120を含む。例えば、結合された環境知覚モデルを、複数の計画された操縦に関する情報に基づいて、かつ/または複数の計画された経路に関する情報に基づいて、生成することができる。複数の環境知覚モデル、複数の計画された操縦に関する情報、および/または複数の計画された経路に関する情報を、結合された環境知覚モデル内で融合することができる。例えば、所定の領域は、道路、例えば(厳密に)1つの道路または複数の道路を含み得る。結合された環境知覚モデルは、1つまたは複数の道路を利用している道路利用者(歩行者であってもよい)の少なくとも1つの位置および動きをモデル化することができる。その結果、結合された環境知覚モデルは、1つ/複数の道路を利用している(全ての)道路利用者(または車両)の位置および動きに関する情報を含み得る。これを達成するために、結合された環境知覚モデルを生成すること120は、例えば、複数の個々の環境知覚モデルを重ね合わせることによって、これらの個々の環境知覚モデルをただ1つの結合された環境知覚モデルに併合(すなわち「融合」)することを含み得る。さらに、結合された環境知覚モデルを生成すること120は、すなわち、複数の道路利用者の運転意図を考慮するために、併合(または融合)された環境知覚モデルを、複数の計画された操縦に関する情報と、かつ/または複数の計画された経路に関する情報と、結合することを含み得る。本方法は、複数の道路利用者の運転意図に関する情報を、複数の計画された操縦に関する情報に基づいて、かつ/または複数の計画された経路に関する情報に基づいて決定することを含み得る。結合された環境知覚モデルを生成すること120は、複数の道路利用者の運転意図に関する情報を、併合(または融合)された環境知覚モデルに追加することを含み得る。結合された環境知覚モデルを、例えば、移動体無線ネットワーク(例えば移動体通信システム)を介して、適切な更新レートで、かつ/または道路利用者の要求に応じて道路利用者に提供することができる。換言すれば、本方法は、結合された環境知覚モデルを、例えば道路利用者の要求に応じて道路利用者に提供することを含み得る。いくつかの実施形態では、結合された環境知覚モデルを、結合された環境知覚モデルに関する信頼性指標と共に、道路利用者に提供することができる。
【0045】
結合された環境知覚モデルは、所定の領域のために生成される120。例えば、所定の領域は、(1つまたは複数の)道路に沿って延在することができる。例えば、所定の領域は、(1つまたは複数の)道路の道筋に基づくことができる。例えば、所定の領域は、移動体通信システムのカバレッジエリアに基づくことができ、例えば、移動体通信システムの1つまたは複数の基地局のカバレッジエリアに基づくことができる。情報のこの局所性を使用して、結合された環境知覚モデルを生成する際における待ち時間を短縮することができる。例えば、本方法を、移動体通信システムの基地局に位置するコンピューティングエンティティ(例えばサーバ)によって実行することができる。例えば、本方法を、道路交通エコシステムコンピューティングエンティティによって実行することができる。本方法を使用して提供される情報を、移動体通信システムの基地局に位置するコンピューティングエンティティによって、かつ/または道路交通エコシステムコンピューティングエンティティによって、提供することができる。基地局のカバレッジエリアは、所定の領域の一部と少なくとも部分的に重複することができる。例えば、基地局のカバレッジエリアは、所定の領域に相当することができる。これに代えて、所定の領域は、基地局のカバレッジエリアを含んでもよい。例えば、移動体通信システムは、車両通信システム、例えば車ネットワーク間(V2N)通信システムであってもよい。例えば、移動体通信システムは、C-V2X(Cellular-Vehicle-to-Anything)移動体通信システムであってもよいか、またはそれに基づいていてもよい(C-V2Xは、Long Term Evolution Vehicle-to-Anything、すなわちLTE-V2Xと、第5世代移動体通信システムV2X、すなわち5G-V2Xと、を含み得る)。移動体通信システムは、2つの通信モード、すなわち、道路利用者と道路利用者との間で使用されるPC5と、道路利用者と基地局との間で使用されるUuとをサポートすることができる。PC5およびUuを使用して、移動体通信システムは、(基地局が通信ホップとして関与することなく、基地局による管理下で、または自律的に、PC5を使用する)直接車車間通信と、移動体通信システムの基地局を介した車車間通信と、移動体通信システムの基地局を介した車ネットワーク間通信とをサポートすることができる。直接車車間通信は、道路利用者の基地局を介した通信と同じ無線リソース(例えば同じ周波数リソース)に基づくことができる。その結果、直接車車間通信と、基地局を介した通信との両方のために、無線リソースの共同計画を設けることができる。
【0046】
本方法は、結合された環境知覚モデルに基づいて、将来の複数の時点にわたる所定の領域内の複数の交通状況を予測すること130を含む。例えば、複数の交通状況は、2つ以上の道路利用者が関与している複数の交通状況、すなわち、コネクテッド道路利用者(すなわちコネクテッド車両)間の通信を必要とする複数の交通状況に相当することができる。例えば、交通状況は、2つ以上の道路利用者の協力を必要とするか、または2つ以上の道路利用者の協力から利益を得るような、2つ以上の道路利用者が関与している1つの状況であってもよい。少なくともいくつかの実施形態では、所定の領域は、さらなる複数の道路利用者を含むことができ、このさらなる複数の道路利用者は、複数の道路利用者と、複数のさらなる道路利用者とを含み得る(すなわち、さらなる道路利用者は、複数の環境知覚モデルに積極的には寄与していない)。複数の道路利用者と、複数のさらなる道路利用者との両方の道路利用者は、複数の交通状況の交通状況に関与することができる。複数のさらなる道路利用者は、複数の環境知覚モデルに積極的には寄与していない可能性があるが、例えば、複数の道路利用者によって作成されたモデルによって、複数の環境知覚モデル内でモデル化されてもよい。複数の交通状況を予測すること130は、結合された環境知覚モデルを使用して、複数の時点にわたるさらなる複数の道路利用者(または複数の道路利用者)の位置および動きを予測することを含み得る。例えば、複数の時点は、未来に向かって少なくとも5秒(または少なくとも8秒、少なくとも10秒)、および/または最大20秒(または最大15秒、最大10秒)にわたって延在することができる。複数の時点にわたるさらなる複数の道路利用者(または複数の道路利用者)の位置および動きの予測を使用して、例えば、入力としてさらなる複数の道路利用者(または複数の道路利用者)の位置および動き(の予測)と共に、機械学習アルゴリズムを使用して、複数の交通状況を認識することができる。
【0047】
少なくともいくつかの実施形態では、結合された環境知覚モデル、および/または決定された複数の交通状況を、連続的に更新することができる。例えば、本方法は、複数の車両と、(オプションで)複数の道路側インフラストラクチャエンティティとから、複数の環境知覚モデルを連続的に取得(すなわち受信)すること110を含み得る。本方法は、連続的に取得された複数の車両に基づいて、結合された環境知覚モデルを連続的に更新することを含み得る。この文脈において、「複数の環境知覚モデルを連続的に取得する」とは、複数の道路利用者と、(オプションで)複数の道路側のインフラストラクチャエンティティとから、複数の環境知覚モデルの新しいバージョンが周期的または非周期的な時間間隔で取得されることを意味する。複数の環境知覚モデルのこれらの新たに取得された新しいバージョンは、複数の道路利用者および(オプションで)複数の道路側インフラストラクチャエンティティの環境知覚センサデータの更新されたバージョンに基づいている。結合された環境知覚モデルを、複数の環境知覚モジュールの更新されたバージョンに基づいて更新することができ、例えば、周期的に更新することができるか、または環境知覚モデルの新しいバージョンを受信したときに更新することができる。したがって、複数の計画された操縦に関する情報、および/または複数の計画された経路の情報の更新されたバージョンを、連続的に取得(例えば受信)して、結合された環境知覚モデルを(連続的に)更新するために使用することができる。本方法は、連続的に更新された結合された環境知覚モデルに基づいて、複数の交通状況を(連続的に)更新することをさらに含み得る。
【0048】
複数の交通状況を使用して、複数の道路利用者を一緒にグループ化することができ、例えば、複数の道路利用者内で通信クラスタを形成することができる。本方法は、予測された複数の交通状況に基づいて、複数の道路利用者(またはさらなる複数の道路利用者)を複数の道路利用者クラスタにグループ化すること140を含み得る。さらに、複数のクラスタは、例えば、複数のさらなる道路利用者のうちのある道路利用者が、コネクテッド道路利用者である場合に、これらの道路利用者を含み得る。ある1つの道路利用者クラスタは、相互に近接していて同様のペースで移動している道路利用者同士を含み得る。例えば、ある1つの道路利用者クラスタは、協調的に運転する道路利用者同士を含み得る。複数の道路利用者(またはさらなる複数の道路利用者)を複数の道路利用者クラスタにグループ化すること140は、同じ交通状況に参加することが予測される道路利用者同士、および/または所定の領域内で(例えば、同じコネクテッドサービスを使用して)通信することが予測される道路利用者同士を、同じクラスタにグループ化することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、複数の道路利用者を複数の道路利用者クラスタに登録すること、および複数の道路利用者を複数の道路利用者クラスタから登録解除することによって、複数の道路利用者クラスタへの複数の道路利用者のグループ化を調整および/または管理することをさらに含み得る。
【0049】
様々な実施形態では、本方法は、予測された複数の交通状況に基づいて、複数の交通状況における(車両)通信リンクの予測(例えば、車両通信の予測)に関する情報を決定すること150を含む。予測に関する情報/予測された通信リンクに関する情報を、例えば、移動体無線ネットワーク(例えば移動体通信システム)を介して、適切な更新レートで、かつ/または道路利用者の要求に応じて道路利用者に提供することができる。換言すれば、本方法は、予測に関する情報/予測された通信リンクに関する情報を、例えば道路利用者の要求に応じて道路利用者に提供することを含み得る。複数の交通状況における道路利用者間の通信リンクは、車車間通信リンクと、車ネットワーク間通信リンクとを含み得る。通信パターンは、車車間通信(すなわち、基地局の関与を伴わない道路利用者間の直接通信)と、車ネットワーク間通信(例えば、道路利用者とバックエンドサーバとの通信、例えば、道路利用者と遠隔運転サーバとの通信)との両方を含み得る。複数の交通状況のうちのそれぞれの交通状況を、1つの(統計的または決定論的な)通信パターンに、すなわち、その交通状況内で発生する可能性が高い通信に、関連付けることができる。交通状況が予測されると、これらの交通状況を使用して、構築される可能性が高い通信(例えば、道路利用者間の通信、および道路利用者とバックエンドとの間の通信)を予測することができる。少なくともいくつかの実施形態では、複数の交通状況における道路利用者間の通信リンクの予測に関する情報を、機械学習アルゴリズムを使用して、例えば、事前に訓練されたニューラルネットワークを使用して、決定することができる150。複数の交通状況に関する情報を、機械学習アルゴリズムへの入力として使用することができる。
【0050】
それぞれの通信を、通信のために必要とされる無線リソースに関連付けることもできる。本方法は、通信リンクの予測に関する情報に基づいて、予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースに関する情報を決定すること160をさらに含み得る。例えば、無線リソースは、予測された通信リンクの必要とされるデータスループットに関する情報と、予測された通信リンクの必要とされるデータの量に関する情報と、予測された通信リンクのために必要とされるリソースブロックの量に関する情報と、予測された通信リンクのために必要とされる周波数および/または時間リソースの量に関する情報と、予測された通信リンクのために必要とされる空間リソースに関する情報と、のうちの少なくとも1つを含み得る。予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースを決定するために、本方法は、所定の交通状況において道路利用者によって使用される可能性が高いサービスを決定することができる。換言すれば、本方法は、
図1bにさらに示されるように、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービス(すなわち、コネクテッド車両通信サービス、または略してコネクテッドサービス)に関する情報を決定すること162を含み得る。例えば、車両通信サービスは、V2V通信またはV2N通信を介して、さらなる道路利用者またはバックエンドサービスによって(複数の道路利用者またはさらなる複数の道路利用者のうちの1つの)道路利用者に提供されるサービスであってもよい。車両通信サービスは、複数の交通状況のうちの1つの交通状況に関し得る。例えば、車両通信サービスの一例では、バックエンドサーバによって(またはバックエンドサーバを介して)提供される遠隔運転サービスである。別の一例は、隊列通信サービスである。3つ目の例は、ある道路利用者の左折を、この左折車に道を譲ることによって支援することを目的とした車両通信サービスである。予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースに関する情報を、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報に基づいて決定することができる160。例えば、それぞれの車両通信サービスを、この車両通信サービスのために必要とされる無線リソースに関連付けることができる。
【0051】
複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスを決定するために、本方法は、様々な測定基準を採用することができる。例えば、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報を決定することは、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者を決定すること164と、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスを決定すること166と、のグループのうちの1つまたは複数の要素を含み得る。さらに、予測された通信リンクのために必要とされる空間無線リソースを決定することができるようにするために、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報を決定することは、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスの時間および場所を決定すること168を含み得る。本方法は、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報を、例えば、移動体無線ネットワーク(例えば移動体通信システム)を介して、適切な更新レートで、かつ/または道路利用者の要求に応じて道路利用者に提供することを含み得る。
【0052】
少なくともいくつかの例では、必要とされる無線リソースの推定量を決定するために、予測された通信リンクのそれぞれの通信を、所望の通信QoSに関する情報に関連付けることができ、この情報は、通信のために最小限、通常、および/または最大限に必要とされる無線リソースを示すことができ、例えば、最大遅延、または最小限に必要とされるデータスループットを示すことができる。この情報を使用して、必要とされる無線リソースを推定することができる。例えば、本方法は、予測された通信リンクのための所望のサービス品質を決定すること170を含み得る。所望のサービス品質は、予測された通信リンクのために最小限、通常、および/または最大限に必要とされる無線リソースに関する情報を含み得る。予測された通信のために必要とされるリソースを、(例えば、予測された通信リンクのために最小限、通常、および/または最大限に必要とされる無線リソースから導出される)予測された通信リンクの所望のサービス品質に基づいて決定することができる。
【0053】
いくつかの例では、本方法は、必要とされる無線リソースに基づいて、所定の領域内の無線リソースのリソース計画を決定すること180を含む。例えば、無線リソースのリソース計画を決定すること180は、無線リソースの事前割り当てに相当することができる。本方法は、無線リソースのリソース計画に基づいて、無線リソースの事前割り当てを実施することを含み得る。例えば、無線リソースのリソース計画を決定すること180は、予測された通信リンク上の予測されたチャネル状態(すなわち、予測されたチャネル状態情報)にさらに基づくことができる。換言すれば、本方法は、例えば、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスの時間および場所に基づいて、予測された通信リンクのために使用される通信リンクの予測に関する情報を決定することをさらに含み得る。本方法は、例えば、履歴データに基づいて、所定の領域の地理に基づいて、かつ/または予測された通信リンクに関与している通信相手との距離に基づいて、予測された通信リンク上のチャネル状態を予測することを含み得る。本方法は、無線リソースのリソース計画を使用して、例えば基地局を介して、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者に無線リソースを割り当てることをさらに含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、本方法は、無線リソースの決定されたリソース計画に基づいて、移動体通信システムの動的TDD(時分割複信)割り当てにおいて、無線リソースの割り当てを調整することを含み得る。
【0054】
少なくともいくつかの実施形態では、本方法は、予測された通信リンクの推定されるサービス品質に関する情報を決定すること190をさらに含み得る。推定されるサービス品質を使用して、V2V通信またはV2N通信を使用するかどうかを選択することにより、または予測された通信リンクのために使用される精度または詳細度のレベルを選択することにより、道路利用者の通信を調整することができる。予測された通信リンクの推定されるサービス品質に関する情報を、予測された通信リンクに基づいて、所定の領域内の利用可能な無線リソースに関する情報に基づいて、かつ所定の領域内の道路利用者間の予測された通信リンク上の予測されたチャネル状態情報に基づいて、決定することができる190。利用可能な無線リソースに関する情報は、予測された通信リンクの予測された通信リンク上の予測されたチャネル状態に対応することができるか、またはそれに基づくことができる。
【0055】
少なくとも1つのインターフェース12は、モジュール内の、モジュール間の、または複数の異なるエンティティ間の、指定されたコードによるデジタル(ビット)値であってもよい情報を、受信および/または送信するための1つまたは複数の入力部および/または出力部に相当することができる。
【0056】
実施形態では、制御モジュール14は、相応に適合されたソフトウェアを用いて動作可能な1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数の処理デバイス、任意の処理手段、例えば、プロセッサ、コンピュータ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントを用いて実装され得る。換言すれば、制御モジュール14の説明した機能をソフトウェアとして実装することもできる。この場合、それらの機能は、1つまたは複数のプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行される。このようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ等を含み得る。
【0057】
本方法および/または本装置10のさらなる詳細および態様は、本提案の概念に関連して、または上記または下記(例えば
図2または3)の1つまたは複数の例に関連して言及される。本方法および/または本装置10は、本提案の概念の、または上記または下記の1つまたは複数の例の、1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の追加的なオプションの機能を含み得る。
【0058】
実施形態は、コネクテッドサービスを予測するための環境知覚を提供する。少なくともいくつかの実施形態は、複数の道路利用者において知覚された環境モデル(協調的知覚メッセージ、すなわちCPMに含まれており、
図1a~
図1cに関連して紹介したような複数の環境知覚モデルに相当することができる)、複数の道路利用者の計画された操縦(操縦調整メッセージ、すなわちMCMに含まれており、複数の計画された操縦に関する情報に相当することができる)、複数の道路利用者の経路(複数の計画された経路に関する情報に相当することができる)、および/または、インフラストラクチャによって知覚された環境モデル(例えば、交差点でのカメラ知覚のように、複数の道路側インフラストラクチャエンティティから取得される複数の環境知覚モデル)を融合して、1つのグローバルな知覚モデル(global perception model:GPM、結合された環境知覚モデルに相当することができる)を生成することに基づいている。GPMは、道路利用者を、場所および期間(例えば複数の時点)にマッピングすることができ、これにより、道路交通状況(prediction of road traffic situations:PRTS、複数の交通状況に相当することができる)を予測することが可能になる。PRTSを使用して、必要とされるサービス(例えば、複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報)と、道路利用者クラスタ(例えば、複数の道路利用者を、例えば道路利用者クラスタ、自転車クラスタ、バイククラスタ等のような複数のクラスタにグループ化すること)(PSC)とを決定することができる。PSCをさらに活用して、コネクテッドサービスと、道路利用者クラスタとを管理することができ、例えば、コネクテッドサービスの事前予約、コネクテッドサービスを使用する道路利用者の登録および登録解除、およびクラスタ構築の動的管理を実施することができる。さらに、予測されたサービスおよび事前に把握されたサービス実装、例えば、直接通信またはV2N通信を介して可能となるサービスのおかげで、道路利用者間の通信リンクを識別することができる(例えば、複数の交通状況における道路利用者間の通信リンクの予測に関する情報)。GPMを考慮して、予測された通信リンク上のチャネル状態を予測する(predict the channel state:PCS)ために、この「特徴付けられた予測されたサービスおよびクラスタ」(characterized predicted services and clusters:CPSC)情報を提供することができる。通信リンク上の予測されたチャネル状態(predicted channel state:PCS)をさらに展開して、(例えば、無線リソースのリソース計画を決定する際における)無線リソースを、コネクテッドサービスを使用するクラスタ内の道路利用者間の通信リンクに事前に割り当てることができる。予測されたリソース(predicted resources:PR)に基づいて、割り当て可能であるもの、すなわちPRおよびPCSを使用して、(例えば、予測された通信リンクの推定されるサービス品質に関する情報を決定することによって)予測されたコネクテッドサービスを使用する道路利用者クラスタ内の通信リンク上のサービス品質を予測することができる。
【0059】
図2は、一例による、サービス予測および道路利用者のクラスタリングにおける情報フローと、通信リンク上のサービス品質の予測の情報フローと、の概略図を示す。
図2は、同じ1つの情報フローの2つの側面、すなわち、側面a)サービス予測および道路利用者のクラスタリングと、側面b)通信リンク上のQoSの予測と、を示す。サービス予測および道路利用者クラスタリングでは、CPMと、MPMと、インフラストラクチャによる知覚モデルと、を「協調的知覚モデルを融合」210において使用することができる。「協調的知覚モデルを融合」210は、道路利用者および道路側インフラストラクチャエンティティの環境知覚モデル(すなわち、知覚された環境モデル)と、計画された操縦と、を融合することができ、この結果、GPMをもたらすことができる。GPMを、「道路交通状況を予測」220における入力として使用することができ、この結果、PRTSをもたらすことができる。PRTSを、「コネクテッドサービスおよび道路利用者クラスタを決定」230において使用することができ、この結果、PSCをもたらすことができる。PSCを、「予測されたコネクテッドサービスおよびクラスタの特徴付けを管理」240において使用することができ、この結果、CPSCをもたらすことができる。通信リンク上のQoSの予測では、CPSCを、GPMと一緒に「通信リンク上のチャネル状態を予測」(PCS)250と、「通信リンク上のQoS要件を予測」260と、において使用することができ、これを、PCSと一緒に、「無線リソースを事前割り当て」270(PR)において使用することができる。PRおよびPCSを、「通信リンク上のQoSを予測」280において使用することができ、これにより、予測されたQoSをもたらすことができる。
【0060】
実施形態は、車両および道路インフラストラクチャによって知覚された環境情報を使用して、コネクテッドサービスを予測するための高レベルのアーキテクチャを提供することができる。このアーキテクチャは、無線リンク上で必要とされる無線リソースの事前割り当てを可能にして、車両と車両との間の、および車両と他の道路利用者との間の、隊列走行または協調的な衝突回避のような予測されたコネクテッドサービスの運用を可能にすることができる。車者間(V2V)および車ネットワーク間(V2N)リンクに、焦点を当てることができる。さらに、実施形態は、コネクテッドサービスの予測と、無線リソースの事前割り当てと、によって、通信リンク上のサービス品質(QoS)の予測をどのようにして可能にすることができるかを示すことができる。
【0061】
実施形態は、サービス品質を予測するためのシステムアーキテクチャを提供することができる。公道上および私道上の自動運転車両のコネクションにより、自動運転車両の安全で効率的かつ快適な運転が可能になる。これにより、協調的な衝突回避、脆弱な道路利用者の保護、複雑な相互作用を伴うその他のユースケースのようなコネクテッドサービスを可能にすることができる。これらのコネクテッドサービスは、将来の無線リソースの可用性に対して、ひいては、V2V通信リンクおよびV2N通信リンクのための対応するスケジューリングアルゴリズムに対して、厳しい要件を課している場合がある。移動体無線ネットワークのスケジューラにおいてコネクテッドサービスのQoS要件が事前に把握される場合には、無線リソースの事前割り当ての効率を向上させることができる。
図3は、本提案のアーキテクチャを示し、このアーキテクチャは、次のコンポーネントを含み得る:
・移動体無線ネットワーク(
図3の参照記号320、例えば、移動体通信システム):リリース16以降に基づく3GPP移動体無線ネットワークを表すことができる。
・車両(
図3の参照符号310、例えば、複数の道路利用者のうちの1つの道路利用者):自動化レベルL3~L5の自動運転車両を表すことができる。
・道路インフラストラクチャ(
図3の参照符号340、例えば、複数の道路側インフラストラクチャエンティティ):信号機、監視カメラ、道路交通サーバのような道路交通管理・監視システムを合わせたものを表すことができる。
・道路交通エコシステム(
図3の参照符号330、例えば、
図1a/
図1bの方法を実行し、かつ/または
図1cの装置10を含んでいる、移動体通信システムの静的エンティティ):コネクテッドサービス、道路利用者クラスタを予測して、それらを時間的および空間的に管理することができるエコシステムを表すことができる。道路交通エコシステムは、道路利用者と道路インフラストラクチャとから協調的知覚メッセージ(CPM)を連続的に受信することができ、車両の計画された経路および計画された操縦も同様にして把握することができる。
【0062】
図3は、V2VおよびV2Nリンク上のコネクテッドサービスおよびQoSを予測するためのアーキテクチャの実施形態のブロック図を示す。
図3は、以下のエンティティ、すなわち、車両310(例えば複数の車両のうちの1つの車両)と、移動体無線ネットワーク320(例えば移動体通信システム300)と、道路交通エコシステム330(例えば、
図1a/
図1bの方法を実行し、かつ/または
図1cの装置10を含んでいる、移動体通信システムの静的エンティティ)と、道路インフラストラクチャ340(例えば、複数の道路側インフラストラクチャエンティティのうちの1つの道路側インフラストラクチャエンティティ)と、を示す。アーキテクチャコンポーネント間のインターフェースを、以下に記載し、予測プロシージャのメッセージフローの形態で発生順に列挙する。
【0063】
Veh2MRNは、車両310と移動体無線ネットワーク320との間のインターフェース/メッセージを表す。このインターフェースは、車両と移動体無線ネットワークとの間の予測されたQoS要求インターフェースを提供することができる。
【0064】
MRN2Ecoは、移動体無線ネットワーク320と道路交通エコシステム330との間のインターフェース/メッセージを表す。MRN2Ecoは、コネクテッドサービスの予測と、要求中の車両の計画された経路に沿ったグローバルな環境知覚と、を求める要求を、適切な更新レートで提供することができる。
【0065】
Eco2Infは、道路交通エコシステム330と道路インフラストラクチャ340との間のインターフェース/メッセージを表す。Eco2Infは、インフラストラクチャ側に設置された知覚センサを使用した環境知覚を求める要求を記述することができる。この環境知覚を、要求中の車両の計画された経路によって参照することができる。要求は、知覚情報の更新レートを指定することができる。
【0066】
Inf2Ecoは、道路インフラストラクチャ340と道路交通エコシステム330との間のインターフェース/メッセージを表す。このインターフェースを介して送信されるメッセージは、要求中の車両の計画された経路に沿った、インフラストラクチャセンサによって知覚される(全ての)静的オブジェクトおよび動的オブジェクト(例えば、複数から取得される複数の環境知覚モデル)を含み得る。このメッセージは、環境知覚モデルに相当することができる。これらのオブジェクトを、CPMにカプセル化することができる。情報は、要求された更新レートに従って更新され得る。
【0067】
Eco2MRNは、道路交通エコシステム330と移動体無線ネットワーク320との間のインターフェース/メッセージを表す。このメッセージは、移動体無線ネットワークに対する道路交通エコシステムの応答を表すことができる。このメッセージは、要求中の車両の計画された経路に沿った、予測されたコネクテッドサービスを含み得る。それぞれの予測されたコネクテッドサービスを、経路に沿って、道路利用者(車両、歩行者、バイク等)クラスタのリスト構造またはデータ構造にマッピングすることができる。対応するQoS要件を有するV2NリンクおよびV2Vリンクのリスト(予測された通信リンクなど)を、予測されたクラスタに割り当てることができる。予測されたコネクテッドサービスの無線実装に関する利用可能なアプリオリ情報に基づいて、通信リンクを指定することができる。予測された通信リンクを、今度は、クラスタリングされた道路利用者によってコネクテッドサービスが活用されることが期待されるような、道路区間(例えば、所定の領域)と将来の期間(例えば、将来の時点)とにマッピングすることができる。計画された経路の近辺にいる車両と、道路インフラストラクチャの知覚センサと、によって収集された複数のCPM(例えば、複数の環境知覚モデル)の融合に基づいて、予測を実行することができる。複数のCPMを融合した結果、1つのグローバルな知覚モデル(GPM)、例えば、結合された環境知覚モデルを得ることができ、この1つのグローバルな知覚モデル(GPM)は、要求中の車両/道路利用者の経路に沿った時間領域内および空間領域内の(全ての)静的オブジェクトおよび動的オブジェクトを記述することができる。予測された情報を、信頼性指標によって補完することができ、この信頼性指標は、計画された経路に沿って変化し得る。信頼性指標は、環境知覚の不確実性に依存し得る。予測の限界範囲を、要求中の車両の計画された経路の時間特性および空間特性によって画定することができる。
【0068】
さらに、応答は、要求中の車両の経路に割り当てられたGPMを含み得る。GPMを、指定された周期レートに従って送信することができる。移動体無線ネットワークは、GPMを活用して、予測されたコネクテッドサービスを使用する道路利用者間の通信リンク上のチャネル状態を予測することができる。予測されたチャネル状態、例えばチャネル推定と、V2Nリンク上およびV2Vリンク上のQoS要件と、を把握することにより、無線リンク上で実行可能な変調方式および符号方式を考慮した、リソースの高信頼性の事前割り当てを可能にすることができる。無線リソースが不足している場合には、予測されたチャネル状態と、利用可能なリソースと、変調方式および符号方式と、に基づいて、通信リンク上のQoSレベルを予測することができる。
【0069】
Mrn2Vehは、移動体無線ネットワーク320と車両との間のインターフェース/メッセージを表す。Mrn2Vehは、移動体無線ネットワークと車両との間の予測されたQoSに関する応答インターフェースを指定することができる。さらに、Mrn2Vehは、コネクテッドサービスのリストを含むことができ、車両は、計画された経路に沿った時間領域内および空間領域内に登録されている。
【0070】
道路交通エコシステムは、車両製造業者のような独自のエコシステムを有するOEMによって実装され得る。種々異なるOEMのそれぞれ異なるエコシステム同士を接続して、OEM間の相互運用性を確保することは非常に便利であろう。道路インフラストラクチャは、道路当局またはサードパーティによって実装されることができ、道路当局またはサードパーティは、インフラストラクチャからのCPMを用いてOEMをサポートすることによるOEMのビジネスモデルに関心がある可能性がある。移動体無線ネットワークは、移動体無線事業者によって実装され得る。また、車両は、OEMによって管理され得る。種々異なるシステムコンポーネント間のインターフェースの仕様には、複雑性が存在し得る。インターフェースは、自動車のユースケースでは、少なくとも部分的に、QoS情報を交換するためのインターフェースに基づくことができ、車両/UEと移動体無線ネットワークとの間の予測的QoSインターフェースを提供または指定することができる。
【0071】
既に述べたように、実施形態では、それぞれの本方法は、それぞれのハードウェアにおいて実行可能なコンピュータプログラムまたはコードとして実装され得る。したがって、別の実施形態は、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行されると、上記の方法のうちの少なくとも1つを実行するプログラムコードを有しているコンピュータプログラムである。別の実施形態は、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行されると、本明細書に記載する方法のうちの1つをコンピュータに実行させる命令を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体である。
【0072】
当業者であれば、プログラミングされたコンピュータによって上記の様々な方法のステップを実行することができること、例えばスロットの位置を決定または計算できることは容易に理解できる。この場合、いくつかの実施形態は、機械可読またはコンピュータ可読のプログラム記憶デバイス、例えば、デジタルデータ記憶媒体をカバーし、命令の機械実行可能プログラムまたはコンピュータ実行可能プログラムをエンコードすることも意図する。上記の命令は、本明細書で説明されている方法のステップの一部もしくは全部を実行する。プログラム記憶デバイスは、例えば、磁気ディスクおよび磁気テープ、ハードディスク、または光学的可読デジタルデータ記憶媒体などのデジタルメモリ、磁気記録媒体であってもよい。実施形態は、ここに記載されている方法の前述のステップを実行するようにプログラミングされたコンピュータ、または上記の方法の前述のステップを実行するようにプログラミングされた(フィールド)プログラマブル・ロジック・アレイ((F)PLA)、または(フィールド)プログラマブル・ゲート・アレイ((F)PGA)をカバーすることも意図する。
【0073】
記載および図面は、本発明の原理を示すにすぎない。したがって、当業者であれば、本明細書に明示的に記載されていない、すなわち明確に示されていないが、本発明の原理を具体化し、発明の精神および範囲に含まれる様々な構成を発明することができると理解される。さらに、本明細書に記載されている全ての例は、原則として、発明者によって技術の進歩に寄与することになった発明および概念の原理を読者が理解するのを助ける教示目的のものにすぎないことを明確に意図し、このような特に記載されている例および条件に対する限定はないものと解釈するものとする。さらにまた、本発明の原理、態様および実施形態、ならびにその特定の例を示している本明細書中の全ての記載は、これらの等価物を含むことを意図する。プロセッサによって設けられる場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、または複数の別個のプロセッサ(これらのいくつかは共有されてもよい)によって実現されてもよい。さらにまた、用語「プロセッサ」または用語「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すものと解釈するべきではなく、また、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェア記憶用の読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶デバイスを、限定なしに暗示的に含んでもよい。他のハードウェアで、従来のものまたはカスタム化したものを含んでもよい。それらの機能を、プログラムロジックの動作を通じて、専用ロジックを通じて、またはプログラム制御と専用ロジックとのやり取りを通じて発揮させてもよいし、手動であってもそれらの機能を発揮させることができる。実施者は、特定の技術を文脈から特に理解されるように選択可能である。
【0074】
本明細書中のいずれのブロック図も、本発明の原理を具体化する典型的な回路の概念図を表すということが、当業者によって理解されるべきである。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、疑似コードなどが様々なプロセスを表し、これらのプロセスをコンピュータ可読媒体中で実質的に表すことができ、したがって、コンピュータまたはプロセッサによって、このようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、実行することができると理解される。
【0075】
さらに、以下の請求項は、この記載によって詳細な説明に含まれ、各請求項は個別の実施形態として独立し得る。各請求項が個別の実施形態として独立し得る一方で、従属請求項が請求項中で1つまたは複数の他の請求項との特定の組み合わせを指す場合があることを踏まえて、他の実施形態が、従属請求項と各他の従属請求項の主題との組み合わせも含んでもよいことに留意すべきである。特定の組み合わせを意図しないことが記載されていない限りにおいて、このような組み合わせが本明細書で提案される。さらに、所定の請求項が他の任意の独立請求項に直接従属しない場合であっても、この独立請求項に対するこの所定の請求項の特徴もさらに含まれることが意図されている。
【0076】
さらに、明細書または請求項に開示されている複数の方法の対応する複数のステップの各々を実行する手段を有するデバイスによってこれらの方法を実施し得る点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0077】
10 装置
12 少なくとも1つのインターフェース
14 制御モジュール
100 コンピューティングエンティティ
110 複数の環境知覚モデルを取得
112 複数の計画された操縦に関する情報を取得
114 複数の経路に関する情報を取得
120 1つの結合された環境知覚モデルを生成
130 複数の交通状況を予測
140 複数の道路利用者をグループ化
150 通信リンクの予測に関する情報を決定
160 予測された通信リンクのために必要とされる無線リソースに関する情報を決定
162 複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスに関する情報を決定
164 複数の交通状況に関与している複数の道路利用者を決定
166 複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスを決定
168 複数の交通状況に関与している複数の道路利用者によって必要とされる車両通信サービスの時間および場所を決定
170 予測された通信リンクのための所望のサービス品質を決定
180 リソース計画を決定
190 予測された通信の推定されるサービス品質に関する情報を決定
200a サービス予測および道路利用者のクラスタリング
200b 通信リンク上のQoSの予測
210 協調的知覚モデルを融合
220 道路交通状況を予測
230 コネクテッドサービスおよび道路利用者クラスタを決定
240 予測されたコネクテッドサービスおよびクラスタの特徴付けを管理
250 通信リンク上のチャネル状態を予測
260 通信リンク上のQoS要件を予測
270 無線リソースを事前割り当て
280 通信リンク上のQoSを予測
310 車両
320 移動体無線ネットワーク
330 道路交通エコシステム
340 道路インフラストラクチャ