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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】粒界工学
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20220208BHJP
   H01F 1/057 20060101ALI20220208BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20220208BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20220208BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20220208BHJP
   C22C 30/00 20060101ALI20220208BHJP
   C22C 28/00 20060101ALI20220208BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20220208BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20220208BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H01F41/02 G
H01F1/057 170
B22F9/04 C
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
C22C30/00
C22C28/00 A
C22C38/00 303D
B22F3/02 R
B22F3/24 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020017598
(22)【出願日】2020-02-05
(62)【分割の表示】P 2017510403の分割
【原出願日】2015-08-14
(65)【公開番号】P2020098926
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】62/037,754
(32)【優先日】2014-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/742,080
(32)【優先日】2015-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317011724
【氏名又は名称】アーバン マイニング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ミハ ザコトニク
(72)【発明者】
【氏名】カタリナ オアナ チューダー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アフィウニ
(72)【発明者】
【氏名】ウオルター デル ポッゾ
(72)【発明者】
【氏名】ステフェン ケネス ダニエル ドーブ
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-099594(JP,A)
【文献】特開2012-216807(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161355(WO,A1)
【文献】国際公開第00/012771(WO,A1)
【文献】特開2013-225533(JP,A)
【文献】LI, C., et al.,"Waste Nd-Fe-B Sintered Magnet Recycling by Doping With Rare Earth Rich Alloys",IEEE Transactions on Magnetics,米国,IEEE Magnetics Society,2014年12月,Vol.50, No.12,pp.2105403.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
H01F 1/057
B22F 9/04
B22F 1/00
B22F 3/00
C22C 30/00
C22C 28/00
C22C 38/00
B22F 3/02
B22F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子及び粒界組成を含む焼結磁石であって:
a. 該粒子は、式R2M14Bによって実質的に表される組成のものであり、Rは、Nd、Dy、Pr、Tb又はその組合せであり、かつMは、Co、Fe、Ni又はその組合せであり;かつ
b. 該粒界組成は、式Nd8.5-12.5Dy35-45Co32-41Cu3-6.5Fe1.5-5によって実質的に表される合金組成であり、下付きの値は、該粒界組成の全組成に対する原子百分率であり、かつ該合金は、複数の2:14:1相粒を含む、前記焼結磁石。
【請求項2】
前記合金組成がNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%によって実質的に表される、請求項1記載の焼結磁石。
【請求項3】
前記焼結磁石中のCoの原子百分率が、3.098at%以下である、請求項1記載の焼結磁石。
【請求項4】
前記焼結磁石中のCuの原子百分率が、0.1849at%以下である、請求項1記載の焼結磁石。
【請求項5】
前記焼結磁石中のFe及びCoを合わせた原子百分率が、約76.3928~約83.1267at%である、請求項1記載の焼結磁石。
【請求項6】
前記焼結磁石中のFe及びCoを合わせた原子百分率が、77at%以下である、請求項1記載の焼結磁石。
【請求項7】
前記焼結磁石中のNd、Dy、及びPrを合わせた原子百分率が、18at%以下である、請求項1記載の焼結磁石。
【請求項8】
[0.09,4.0](at%,両端の値を含む)の範囲の量のO;及び
[0.01,1.0](at%,両端の値を含む)の範囲の量のC、
を含む、請求項1記載の焼結磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本件出願は、2014年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/037,754号及び2015年6月
17日に出願された米国非仮特許出願第14/742,080号の優先権を主張し、それらの内容は、
引用により本明細書中に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本開示は、粒界工学(GBE)を用いるネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)焼結磁石の製
造に関する。
【0003】
希土類永久磁石(REPM)の世界市場は、REPMの応用範囲と共に成長している。REPMは、
高い磁気的性能特性を示し、電子工学、エネルギー、輸送、航空宇宙、防衛、医療機器、
及び情報通信技術を含む多くの産業で先端技術応用・高効率応用の開発において用いられ
る。
【0004】
例えば、Nd-Fe-B永久磁石を使用する応用としては:スターターモーター、アンチロッ
クブレーキングシステム(ABS)、燃料ポンプ、送風機、ラウドスピーカー、マイクロホ
ン、電話呼出装置、スイッチ、継電器、ハードディスクドライブ(HDD)、ステッピング
モーター、サーボモーター、核磁気共鳴画像法(MRI)、風車発電機、ロボット工学、セ
ンサー、磁気分離装置、誘導システム、衛星、巡航ミサイルなどが挙げられる。
【0005】
Nd-Fe-B型の焼結磁石は、高度に微調整された元素組成を有し、これには、Ndに加え
て、Dy、Tb、Ga、Co、Cu、Al及び他の少量の遷移金属元素添加のような元素が含まれる。
【0006】
重希土類であるジスプロシウム(Dy)の使用が、Nd-Fe-B磁石の耐温度性の向上に役
立ち得る。Dyは、性能を向上させる特性を有しているものの、その資源は限られている。
Dyの供給リスク及び稀少性が、省エネルギー型モーターへの応用において用い得る高い温
度性能のNd-Fe-B磁石の不足の原因となっている。
【0007】
粒界工学についての本開示は、高い性能を維持し、耐温度性を向上させ、かつ生産コス
トを低下させつつ、Nd-Fe-B製品におけるDy含量を減少させる。
【発明の概要】
【0008】
(概要)
プロセスは、例えば、粒子サイズ、整列状態、密度、エネルギー積(BHmax)、残留磁
気(Br)、及び保磁力(iHc)の所望の組合せなどの特定の性能特性を有するNd2Fe14B永
久磁石の作製を含み得る。例えば、粒界工学(GBE)プロセスは、粒界改質されたリッチ
な相を有するNd-Fe-B永久磁石の生成を含み得る。GBEプロセスは、新たな磁性材料、例
えば、消費者向け製品において以前に用いられたことがないものからか、再生磁性材料、
例えば、消費者向け製品において以前用いられたものからか、又は双方から新たな磁石を
作製し得る。
【0009】
GBEプロセスは、出発磁性材料の元の粒相を維持するが、該出発磁性材料の粒界相を改
質する。例えば、新たなNd2Fe14B磁石を作製する場合、GBEシステムは、最終磁性製品に
おいて、出発原料由来のNd-Fe-B 2:14:1相粒の少なくとも90vol%を保持する。GBEシス
テムは、全ての又は実質的に全てのNdリッチな粒界相を、添加物材料から作られた新たな
粒界相で置き換え得る。いくつかの例において、GBEシステムは、最終磁性製品において
約90~約97vol%の出発粒を維持する。いくつかの例において、GBEシステムは、約3~約1
2vol%のNdリッチな粒界相を、新たな粒界相と置き換える。
【0010】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な態様の1つは、磁性元素を溶融させて、
溶融合金を作製する行為;該溶融合金から、複数の2:14:1相粒を含む鋳造合金薄片を形成
させる行為;該鋳造合金薄片由来の該2:14:1相粒のうちの少なくとも一部を維持しつつ、
該鋳造合金薄片を粉砕して、第1の粉末を作製する行為;該第1の粉末中の粒子をプレスし
、かつ整列させて、第1の成形体(compact)を形成させる行為;該第1の成形体を焼結して
、焼結成形体を作製する行為;該焼結成形体由来の該2:14:1相粒のうちの少なくとも一部
を維持しつつ、該焼結成形体を断片化して、第2の粉末を形成させる行為;該第2の粉末由
来の該2:14:1相粒のうちの少なくとも一部を維持しつつ、該第2の粉末を、a) i)Nd、ii
)Pr、又はiii)Dyのうちの少なくとも1種、少なくとも2種、又は3種全てを含む希土類材
料R、及びb) i)Co、ii)Cu、又はiii)Feのうちの少なくとも1種、少なくとも2種、又
は3種全てを含む元素添加物Aと混合して、均質な粉末を生成させる行為;及び該均質な粉
末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁性製品を形成させる行為を含む方法に具体化するこ
とができる。本態様の他の実施態様は、それぞれが上記方法の上記行為を実施するよう構
成された、対応するコンピューターシステム、装置、1以上のコンピューター記憶デバイ
スに記録されたコンピュータープログラムを含む。該システム上にインストールされ、動
作時に該システムに前記行為を実施させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア
、又はそれらの組合せを有することにより、1以上のコンピューターのシステムを、特定
の操作又は行為を実施するよう構成可能である。データ処理装置により実行された場合に
、前記装置に前記行為を実行させる命令を含ませることにより、1以上のコンピューター
プログラムを、特定の操作又は行為を実施するよう構成可能である。
【0011】
前述の実施態様及び他の実施態様は、それぞれ任意に、以下の特徴のうちの1以上を単
独で又は組み合わせて含み得る。前記溶融合金から、前記複数の2:14:1相粒を含む前記鋳
造合金薄片を形成させることは、該溶融合金から、それぞれが複数の2:14:1相粒を含む鋳
造合金薄片を形成させることを含み得る。前記希土類材料R及び前記元素添加物Aは、全体
として、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%であり得る。
【0012】
いくつかの実施において、前記焼結成形体を断片化することは、該焼結成形体を、1~4
ミクロンの平均粒子サイズまで断片化することを含む。前記焼結成形体を断片化して、前
記第2の粉末を形成させることは、該第2の粉末から、該第2の粉末における粒子の平均サ
イズよりも大きい粒子画分サイズを有する粒子を除去し、1.98at%未満の酸素濃度を前記
Nd-Fe-B磁性製品中に得ることを含み得る。前記焼結成形体を断片化して、前記第2の粉
末を形成させることは、該焼結成形体を断片化して、約1ミクロン~約2ミリメートルの平
均粒子サイズを有する該第2の粉末を形成させることを含み得、前記方法は、該第2の粉末
を約1~約4ミクロンの平均粒子サイズまでさらに断片化すること、及び該第2の粉末を均
質化することを含む。前記第2の粉末を均質化することは、約1ミクロン~約2ミリメート
ルの平均粒子サイズを含む該第2の粉末を均質化することを含み得、かつ該第2の粉末を、
a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質な粉末を生成させるこ
とは、約1~約4ミクロンの平均粒子サイズを有する該第2の粉末を、a)該希土類材料R及
びb)該元素添加物Aと混合して、該均質な粉末を生成させることを含み得る。前記第2の
粉末を、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質な粉末を生成
させることは、約1ミクロン~約2ミリメートルの平均粒子サイズを有する該第2の粉末を
、a)該希土類材料R及びb)該元素添加物Aと混合して、該均質な粉末を生成させることを
含み得、該第2の粉末を均質化することは、約1~約4ミクロンの平均粒子サイズを含む該
第2の粉末を均質化することを含み得る。
【0013】
いくつかの実施において、前記焼結成形体を断片化して、前記第2の粉末を形成させる
こととは別に前記希土類材料R及び前記元素添加物Aを断片化し、ここで、該第2の粉末を
、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質な粉末を生成させる
ことは、該第2の粉末を、a)該断片化された希土類材料R及びb)該断片化された元素添加
物Aと混合して、該均質な粉末を生成させることを含む。前記Nd-Fe-B磁性製品中のCoの
原子百分率は、3.098at%以下であり得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のCuの原子百分率は
、0.1849at%以下であり得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のFe及びCoを合わせた原子百分
率は、約76.3928~約83.1267at%であり得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のFe及びCoを合
わせた原子百分率は、77at%以下であり得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のNd、Pr、及びD
yを合わせた原子百分率は、前記焼結成形体中のNd、Pr、及びDyを合わせた原子百分率以
上であり得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のNd、Dy、及びPrを合わせた原子百分率は、18a
t%以下であり得る。
【0014】
いくつかの実施において、前記第2の粉末を、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加
物Aと混合して、前記均質な粉末を生成させることは、該第2の粉末中に、該希土類材料R
及び該元素添加物Aを均一に分布させることを含み、前記均質な粉末を焼結及び磁化して
、前記Nd-Fe-B磁性製品を形成させることは、平均して、Nd-Fe-B磁性製品中の前記2:
14:1相粒を包囲して増加する前記希土類材料Rの濃度及び前記元素添加物Aの濃度を有する
該Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含む。前記方法は、前記焼結成形体由来かつ前
記第2の粉末に含まれる古いNdリッチな粒界相を、前記希土類材料R及び前記元素添加物A
を含む新たな粒界相で置き換えることを含み得る。
【0015】
いくつかの実施において、前記Nd-Fe-B磁性製品は、[7.3635,11.1038](at%,両
端の値を含む)の範囲の量のNd、[76.3928,80.0287](at%,両端の値を含む)の範囲
の量のFe、及び[5.7493,6.4244](at%,両端の値を含む)の範囲の量のBを含む。前
記Nd-Fe-B磁性製品は、[0.09,4.0](at%,両端の値を含む)の範囲の量のO、及び
[0.01,1.0](at%,両端の値を含む)の範囲の量のCを含み得る。前記Nd-Fe-B磁性
製品は、[0.199,4.0535](at%,両端の値を含む)の範囲の量のDyを含み得る。前記N
d-Fe-B磁性製品は、[1.445,3.6323](at%,両端の値を含む)の範囲の量のPrを含
み得る。前記Nd-Fe-B磁性製品は、[0,3.098](at%,両端の値を含む)の範囲の量
のCoを含み得る。 前記Nd-Fe-B磁性製品は、[0.0508,0.1849](at%,両端の値を含
む)の範囲の量のCuを含み得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中の前記希土類材料Rの総量は、
[12.66,15.03](at%,両端の値を含む)の範囲であり得る。
【0016】
いくつかの実施において、前記希土類材料Rは、i)[6.1717,11.8917](at%,両端
の値を含む)の範囲の量のNd、ii)[1.5495,4.821](at%,両端の値を含む)の範囲
の量のPr、又はiii)[0.2132,5.3753](at%,両端の値を含む)の範囲の量のDyのう
ちの少なくとも1つを含み、かつ前記元素添加物Aは、i)[0,4.0948](at%,両端の値
を含む)の範囲の量のCo、ii)[0.0545,0.2445](at%,両端の値を含む)の範囲の量
のCu、又はiii)[81.1749,85.867](at%,両端の値を含む)の範囲の量のFeのうちの
少なくとも1つを含む。これらの範囲は、前記希土類材料R及び前記元素添加物Aのみに関
するものであり、それが未使用の磁石材料であろうと、廃棄磁石材料であろうと、出発磁
性材料に関するものではない。
【0017】
いくつかの実施において、前記均質な粉末を焼結及び磁化してNd-Fe-B磁性製品を形
成させることは、該均質な粉末を焼結及び磁化して、残留磁気及び保磁力が前記焼結成形
体と少なくとも等しい該Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含む。前記Nd-Fe-B磁性
製品の保磁力は、前記焼結成形体の保磁力よりも約0~約20%大きくてもよい。前記均質
な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁性製品を形成させることは、該均質な粉末を焼
結及び磁化して、前記焼結成形体の別の残留磁気の約97%である最終残留磁気、及び該焼
結成形体の別の保磁力よりも少なくとも30%大きい最終保磁力を有する該Nd-Fe-B磁性
製品を形成させることを含み得る。前記均質な粉末を焼結及び磁化してNd-Fe-B磁性製
品を形成させることは、該均質な粉末を焼結及び磁化して、前記焼結成形体の別の残留磁
気の約95%である最終残留磁気、及び該焼結成形体の別の保磁力よりも少なくとも80%大
きい最終保磁力を有する該Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含み得る。前記均質な
粉末を焼結及び磁化してNd-Fe-B磁性製品を形成させることは、該均質な粉末を焼結及
び磁化して、前記焼結成形体の別の残留磁気よりも約5%大きい最終残留磁気、及び該焼
結成形体の別の保磁力と少なくとも等しい最終保磁力を有する該Nd-Fe-B磁性製品を形
成させることを含み得る。
【0018】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な態様の1つは、Nd1-20Dy1-60Co1-60Cu0.1
-20Fe0.5-90at%を含む化合物として具体化することができる。該化合物は、Nd7-14Dy30-
50Co28-45Cu1-10Fe1-10at%であり得る。該化合物は、Nd8.5-12.5Dy35-45Co32-41Cu3-6.5
Fe1.5-5at%であり得る。該化合物は、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%であり得
る。該化合物は、0.12at%未満の酸素、0.0058at%未満の炭素、又は双方を含み得る。い
くつかの例において、該化合物は、0.00009~0.18at%の酸素、又は0.028~0.1at%の酸
素を含み得る。いくつかの例において、該化合物は、0.0001~0.09at%の炭素、又は0.00
58~0.009at%の炭素を含み得る。
【0019】
いくつかの実施において、前記化合物は、本質的に、記載された式からなっていてもよ
い。例えば、該化合物は、本質的に、Nd1-20Dy1-60Co1-60Cu0.1-20Fe0.5-90at%、Nd7-14
Dy30-50Co28-45Cu1-10Fe1-10at%、Nd8.5-12.5Dy35-45Co32-41Cu3-6.5Fe1.5-5at%、又は
Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%からなっていてもよい。該化合物は、0.12at%
未満の酸素、0.0058at%未満の炭素、又は双方を含み得る。いくつかの例において、該化
合物は、0.00009~0.18at%の酸素、又は0.028~0.1at%の酸素を含み得る。いくつかの
例において、該化合物は、 0.0001~0.09at%の炭素、又は0.0058~0.009at%の炭素を含
み得る。
【0020】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な態様の1つは:i)[6.1717,11.8917](
at%,両端の値を含む)の範囲の量のNd、ii)[1.5495,4.821](at%,両端の値を含
む)の範囲の量のPr、又はiii)[0.2132,5.3753](at%,両端の値を含む)の範囲の
量のDyのうちの少なくとも1つ、並びに[0,4.0948](at%,両端の値を含む)の範囲の
量のCo、[0.0545,0.2445](at%,両端の値を含む)の範囲の量のCu、及び[81.1749
,85.867](at%,両端の値を含む)の範囲の量のFeを含む化合物として具体化すること
ができる。該化合物は、[13.236,16.407]at%(両端の値を含む)の範囲のNd、Pr、及
びDyの組合せを含み得る。該化合物は、少なくともNd及びDyの双方を含み得る。該化合物
は、少なくともNd及びPrの双方を含み得る。該化合物は、Ndを含み得る。該化合物は、0.
00009~0.18at%の酸素(O)を含み得る。該化合物は、0.028~0.1at%の酸素(O)を含
み得る。該化合物は、0.0001~0.09at%の炭素(C)を含み得る。該化合物は、0.0058~0
.009at%の炭素(C)を含み得る。
【0021】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な態様の1つは、Cu、Co、及びFe、並びにN
d、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させ、溶融合金を作製する行為、及び該溶融合
金を冷却して、鋳造合金薄片を作製する行為を含む方法として具体化することができる。
本態様の他の実施態様は、それぞれが上記方法の上記行為を実施するよう構成された、対
応するコンピューターシステム、装置、及び1以上のコンピューター記憶デバイスに記録
されたコンピュータープログラムを含む。該システム上にインストールされ、動作時に該
システムに前記行為を実施させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそ
れらの組合せを有することにより、1以上のコンピューターのシステムを、特定の操作又
は行為を実施するよう構成可能である。データ処理装置により実行された場合に、前記装
置に前記行為を実行させる命令を含ませることにより、1以上のコンピュータープログラ
ムを、特定の操作又は行為を実施するよう構成可能である。
【0022】
一般に、本明細書に記載される主題の革新的な態様の1つは、Cu、Co、及びFe、並びにN
d、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させ、溶融合金を作製する行為、及びスプレー
微粒化装置を用いて、該溶融合金を高速度のガス噴射で断片化して、該Cu、Co、Fe、及び
該Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上から形成される化合物の小滴(droplet)を作製す
る行為を含む方法として具体化することができる。本態様の他の実施態様は、それぞれが
上記方法の上記行為を実施するよう構成された、対応するコンピューターシステム、装置
、及び1以上のコンピューター記憶デバイスに記録されたコンピュータープログラムを含
む。該システム上にインストールされ、動作時に該システムに前記行為を実施させるソフ
トウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組合せを有することにより、1
以上のコンピューターのシステムを、特定の操作又は行為を実施するよう構成可能である
。データ処理装置により実行された場合に、前記装置に前記行為を実行させる命令を含ま
せることにより、1以上のコンピュータープログラムを、特定の操作又は行為を実施する
よう構成可能である。
【0023】
前述の及び他の実施態様は、それぞれ任意に、以下の特徴のうちの1以上を単独で又は
組み合わせて含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を
溶融させて、前記溶融合金を作製することは、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又は
Tbのうちの1種以上を誘導溶融させて、該溶融合金を作製することを含み得る。Cu、Co、
及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製
することは、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上をアーク溶融
させて、該溶融合金を作製することを含み得る。前記溶融合金を冷却して、前記鋳造合金
薄片を作製することは、該溶融合金を冷却して、インゴットを作製すること、該インゴッ
トを再溶融させて、第2の溶融合金を作ること、及び該第2の溶融合金を冷却して、該鋳造
合金薄片を作製することを含み得る。
【0024】
いくつかの実施において、前記方法は、前記溶融合金をアルゴンパージを用いて攪拌し
て、該溶融合金の全体に、前記Cu、前記Co、及び前記Fe、並びに前記Nd、Pr、Dy、又はTb
のうちの1種以上を均一に分布させることを含む。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、
又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、不活性雰囲気に
おいてCu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、該溶
融合金を作製することを含み得る。前記不活性雰囲気において、Cu、Co、及びFe、並びに
Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、還
元剤を含む該不活性雰囲気において、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうち
の1種以上を溶融させることを含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbの
うちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、1.5~1.8バール(150~18
0kPa)の圧力で、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融さ
せて、該溶融合金を作製することを含み得る。
【0025】
いくつかの実施において、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以
上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、真空誘導を用いてCu、Co、及びFe、並
びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、該溶融合金を作製することを含
む。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶
融合金を作製することは、1450℃で、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうち
の1種以上を溶融させて、該溶融合金を作製することを含み得る。Cu、Co、及びFe、並び
にNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、
アルミナるつぼ中で、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶
融させて、該溶融合金を作製することを含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、
又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、ジルコニウムる
つぼ中で、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、
該溶融合金を作製することを含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのう
ちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、銅るつぼ中で、Cu、Co、及
びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、該溶融合金を作製する
ことを含み得る。
【0026】
いくつかの実施において、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以
上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、高密度るつぼ中で、Cu、Co、及びFe、
並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、該溶融合金を作製することを
含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、
前記溶融合金を作製することは、高純度るつぼ中で、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy
、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、該溶融合金を作製することを含み得る。
【0027】
いくつかの実施において、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以
上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、Ndを溶融させることを含む。Cu、Co、
及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製
することは、Dyを溶融させることを含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又は
Tbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、Nd及びDyを溶融させ
ることを含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融
させて、前記溶融合金を作製することは、Prを溶融させることを含み得る。Cu、Co、及び
Fe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製する
ことは、Tbを溶融させることを含み得る。Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbの
うちの1種以上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、Pr及びTbを溶融させるこ
とを含み得る。
【0028】
いくつかの実施において、Cu、Co、及びFe、並びにNd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以
上を溶融させて、前記溶融合金を作製することは、るつぼ中で、Cu、Co、及びFe、並びに
Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を溶融させて、該溶融合金を作製することを含み、
かつ該溶融合金を冷却して、前記鋳造合金薄片を作製することは、該溶融合金を該るつぼ
中で冷却することを含む。前記溶融合金を冷却して、前記鋳造合金薄片を作製することは
、 該溶融合金を水冷式ホイール上に注いで、該鋳造合金薄片を作製することを含み得る
。前記溶融合金を前記水冷式ホイール上に注いで、前記鋳造合金薄片を作製することは、
該溶融合金を水冷式銅ホイール上に注いで、鋳造合金薄片を作製することを含み得る。
【0029】
いくつかの実施において、前記溶融合金を冷却して、前記鋳造合金薄片を作製すること
は、105ケルビン/秒の速度で該溶融合金を冷却することを含む。前記溶融合金を冷却して
、前記鋳造合金薄片を作製することは、10~100ケルビン/秒の速度で該溶融合金を冷却す
ることを含み得る。前記溶融合金を冷却して、前記鋳造合金薄片を作製することは、該溶
融合金を、10-1バール(10kPa)を超える圧力の真空中で冷却することを含み得る。
【0030】
いくつかの実施において、スプレー微粒化装置を用いて、前記溶融合金を高速度のガス
噴射で断片化して、前記Cu、Co、Fe、及び前記Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上から
形成される前記化合物の小滴を作製することは、該化合物の小滴の作製時に、該溶融合金
から、約2wt%未満の該Cu、Co、Fe、及び該Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上を除去す
ることを含む。スプレー微粒化装置を用いて、前記溶融合金を高速度のガス噴射で断片化
して、前記Cu、Co、Fe、及び前記Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上から形成される前
記化合物の小滴を作製することは、最大で0.04wt%、又は0.12at%未満の酸素濃度、0.00
58at%未満の炭素濃度、又は双方を有する該化合物の小滴を作製することを含み得る。い
くつかの例において、前記化合物の小滴は、0.00009~0.18at%の酸素、又は0.028~0.1a
t%の酸素を含み得る。いくつかの例において、前記化合物の小滴は、0.0001~0.09at%
の炭素、又は0.0058~0.009at%の炭素を含み得る。スプレー微粒化装置を用いて、前記
溶融合金を高速度のガス噴射で断片化して、前記Cu、Co、Fe、及び前記Nd、Pr、Dy、又は
Tbのうちの1種以上から形成される前記化合物の小滴を作製することは、該溶融合金を不
活性ガス噴射で断片化することを含み得る。スプレー微粒化装置を用いて、前記溶融合金
を高速度のガス噴射で断片化して、前記Cu、Co、Fe、及び前記Nd、Pr、Dy、又はTbのうち
の1種以上から形成される前記化合物の小滴を作製することは、500m/sの速度のガス噴射
で、該溶融合金を断片化することを含み得る。
【0031】
いくつかの実施において、スプレー微粒化装置を用いて、前記溶融合金を高速度のガス
噴射で断片化して、前記Cu、Co、Fe、及び前記Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以上から
形成される前記化合物の小滴を作製することは、該溶融合金を、0.18~0.58MPaの圧力の
ガス噴射で断片化することを含む。スプレー微粒化装置を用いて、前記溶融合金を高速度
のガス噴射で断片化して、前記Cu、Co、Fe、及び前記Nd、Pr、Dy、又はTbのうちの1種以
上から形成される前記化合物の小滴を作製することは、140~180マイクロメートルの平均
直径を有する該化合物の小滴を作製することを含み得る。スプレー微粒化装置を用いて、
前記溶融合金を高速度のガス噴射で断片化して、前記Cu、Co、Fe、及び前記Nd、Pr、Dy、
又はTbのうちの1種以上から形成される前記化合物の小滴を作製することは、8.08g/cm3
密度を有する該化合物の小滴を作製することを含み得る。
【0032】
本明細書に記載される主題は、特定の実施態様において実施可能であり、かつ以下のう
ちの1以上の利点をもたらし得る。いくつかの実施において、本プロセスは、低エネルギ
ー消費及び低資源消費をもたらす。いくつかの実施において、粒界工学(GBE)は、最終
製品である十分に緻密なNd-Fe-B焼結磁石の磁気性能及び達成される値を損なうことな
く、経済的及び/又は環境的なコストを削減し得る。いくつかの実施において、GBE Nd-F
e-B磁石製品は、向上した性能、例えば、最大で例えば200℃までの、向上した高温度性
能を有し得る。いくつかの実施において、GBEは、加工されている磁石の厚さに関する制
限が存在しない場合もあり、例えば、他の磁石加工の形態と比較した場合に、焼結磁石の
全体にくまなく添加物材料を均質に分布させ得る。いくつかの実施において、GBEは、例
えば、磁性粉末に添加されるドーパント材料の量を制御し得る。いくつかの実施において
、GBEは、利用先の要求を満たす磁気性能の精密な調整を可能とする。いくつかの実施に
おいて、GBEは、最終焼結磁石、例えば、Nd2Fe14B1の元の粒相、例えば、2:14:1相を維持
しつつも、添加物材料を焼結磁石に精密に添加し、焼結磁石の性能を向上し得る。例えば
、最終焼結磁石は、該粒相、該2:14:1相には、前記添加物材料を全く含まないこともある
【0033】
いくつかの実施において、GBE改質により生成する最終焼結磁石は、向上した材料腐食
性を有し得る。いくつかの例において、GBE改質プロセスは、他の磁石加工技術と比較し
て、加工方法体系、粒界特性制御、均一混合、組成及び微細構造制御、又はこれらのうち
の2つ以上の組合せの向上をもたらす。例えば、GBE改質プロセスは、最初の焼結磁石の微
細構造を操作して、向上した磁気性能を有する最終焼結磁石を作製し得る。GBEシステム
は、最終焼結磁石の微細構造、例えば、粒又はドメインサイズを制御して、耐食性及び磁
気性能を強化させ得る。GBEプロセスは、粒マトリックス、例えば、Nd2Fe14Bマトリック
ス内での、新たな粒界、例えば、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%の作製を制御
し得る。これにより、Nd-Fe-B焼結又は再生磁石本体の腐食安定性を向上し得る。いく
つかの実施において、GBEシステムは、向上した磁気性能、粒間劣化耐性、向上した耐食
性、又はこれらのうちの2つ以上を有する最終焼結磁石を作製する。GBEシステムを用いて
、再生磁性材料、初使用の磁性材料のみ、又は双方の組合せから、最終焼結磁石を作製す
ることができ、例えば、前記鋳造合金薄片及び前記希土類遷移元素添加物材料を作製する
ことができる。
【0034】
本明細書の主題の1つ以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に示す。該
主題の他の特徴、態様、及び利点が、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとな
ろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
(図面の簡単な説明)
図1図1A及び1Bは、粒界工学プロセスの一例を示す。
【0036】
図2図2は、水素混合反応器の一例を示す。
【0037】
図3A-E】図3A~Eは、反応チャンバーの内外への反応ボトルの運搬を可能とする台車上に配置され得る反応ボトルを示す。
【0038】
図3F-G】図3F及びGは、1組の反応チャンバーを備える別の水素混合反応器の一例を示す。
【0039】
図3H-J】図3H及び3Jは、反応チャンバーの内外への反応ボトルの運搬を可能とする台車上に配置され得る反応ボトルを示す。
【0040】
図3K図3Kは、貯蔵容器の例を示す。
【0041】
図4図4は、出発物質の性質の範囲の例を示すグラフである。
【0042】
図5図5は、元の材料(左カラムに示す)の組成を、完成した磁石製品(右カラムに示す)と比較する図である。
【0043】
図6-8】図6~8は、粒界工学を用いて加工された磁石の例示的性質を示すグラフである。
【0044】
図9図9は、粒界工学技術を適用するためのプロセスの例である。
【0045】
図10図10は、スプレー微粒化装置の例である。
【0046】
図11図11は、GBE最終磁石の耐食性を、他のNd-Fe-B磁石と比較するグラフを示す。
【0047】
図12図12A及びBは、出発磁石及び最終磁石の残留磁気の可逆的な減少αを示す。
【0048】
図13図13A及びBは、出発磁石及び最終磁石の保磁力の可逆的な減少βを示す。
【0049】
図14図14は、最終磁石の例示的性質のグラフを示す。
【0050】
図15図15は、廃棄焼結磁石及び再生磁石の磁気性能のいくつかの例を示す。
【0051】
図16図16は、GBEプロセスを用いた加工をしていない磁石の消磁曲線の例を示す。
【0052】
図17図17は、GBEプロセスを用いて加工された磁石の消磁曲線の例を示す。
【0053】
図18図18は、本文書に記載されるコンピューターで実施される方法に関連して使用し得るコンピューティングシステムのブロック図である。
【0054】
種々の図面における同様な参照番号及び名称は、同様な要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(詳細な説明)
プロセスは、例えば、粒子サイズ、整列状態、密度、エネルギー積(BHmax)、残留磁
気(Br)、及び保磁力(iHc)の所望の組合せなどの、特定の性能特性を有するNd2Fe14B
永久磁石の作製を含み得る。例えば、粒界工学(GBE)プロセスは、粒界改質されたリッ
チな相を有するNd-Fe-B永久磁石の製造を含み得る。GBEプロセスは、新たな磁性材料、
例えば、消費者向け製品において以前に用いられたことがないものからか、再生磁性材料
、例えば、消費者向け製品において以前用いられたものからか、又は双方から新たな磁石
を作製し得る。GBEプロセスは、粒界改質(GBM)プロセスとも称し得る。
【0056】
以下でより詳細に記載されるように、GBEプロセスは、出発磁性材料の粒界相を改質す
る一方で、出発磁性材料の元の粒相を維持する。例えば、新たなNd2Fe14B磁石を作製する
場合、GBEシステムは、最終磁性製品において、出発原料由来のNd-Fe-B 2:14:1相粒の
少なくとも90vol%を保持する。GBEシステムは、全ての又は実質的に全てのNdリッチな粒
界相を、添加物材料から作られた新たな粒界相と置き換え得る。いくつかの例において、
GBEシステムは、最終磁性製品において、約90~約99.9vol%の出発物質、例えば、2:14:1
相粒及び粒界相を維持し、好ましくは、約92~約99.75vol%の出発物質が最終磁性製品に
含まれ、例えば、該最終磁性製品の0.25~8at%が添加物材料である。いくつかの例にお
いて、GBEシステムは、約90~約97vol%の出発物質を維持する。いくつかの例において、
GBEシステムは、約3~約12vol%のNdリッチな粒界相を、新たな粒界相で置き換える。例
えば、GBEシステムは、Brが1.48から1.55T、かつiHcが800~1000kA/mの磁石のためには3
から4.8vol%のNdリッチな粒界相を置き換えることができ、Brが1.31から1.38T、かつiHc
が1300~1700kA/mの磁石のためには6から7.2vol%のNdリッチな粒界相を置き換えること
ができ、又はBrが1.18から1.26T、かつiHcが1800~2500kA/mの磁石のためには9~12vol%
のNdリッチな粒界相を置き換えることができる(全ての値が含まれる)。
【0057】
いくつかの実施において、GBEシステムは、アルゴン雰囲気中、約1455℃で、合金及び
純元素、例えば、Nd-Pr、Fe-B、及びFeを溶融させてもよい。いくつかの例示的合金は
、以下の元素:(i)Nd、Pr、Fe、FeB、及びB;(ii)Nd、Fe、Co、Cu、及びDy、又は(iii
)Nd、Fe、Co、Cu、Dy、Nd75:Pr25の比の組成物、Dy80:Fe20の比の組成物、及びPrを含み
得る。いくつかの例において、これらの元素のうちの1種以上を、他の元素の合金と組み
合わせてもよい。
【0058】
GBEシステムは、溶融合金を、毎分約35回転(RPM)で回転している水冷式銅ホイール上
に注ぎ、鋳造合金薄片を形成させる。鋳造合金薄片は、約0.2mmの厚さを有していてもよ
い。鋳造合金薄片は、約5μmから約80μmの範囲の粒サイズを有していてもよい。いくつ
かの例において、廃棄磁石材料、例えば、他の磁石の作製で残った廃棄磁性材料を用いて
、前記鋳造合金薄片を形成させることもできる。
【0059】
GBEシステムは、例えば、ジェットミルプロセスを用いて鋳造合金薄片を粉砕し、約0.9
μm~約15μmのサイズを有する粒子の微粉末を作製する。GBEシステムは、不活性雰囲気
下、約5℃~約15℃で、400kA/mから1200kA/mの範囲の磁場中で微粉末をプレスし、矩形の
成形体を作製する。GBEシステムは、磁場に対し直接垂直に、微粉末に圧力をかけてもよ
い。矩形の成形体は、約35mmの長さ、約37mmの幅、及び約40mmの高さを有してもよい。
【0060】
GBEシステムは、矩形の成形体を、約1070℃で焼結して、焼結成形体、例えば、Nd-Fe
-B焼結ブロックを作製する。該焼結成形体又は他の焼結Nd-Fe-B磁石成形体は、その後
、粒界工学プロセスを用いるGBEシステムにより加工され、該Nd-Fe-B焼結ブロック、例
えば、又はNd-Fe-B磁石の希土類リッチな相のみが改質される。例えば、GBEシステムは
、Nd-Fe-B焼結ブロックのNdリッチな粒界相を改質する。
【0061】
例えば、GBEシステムは、Nd-Fe-B系焼結ブロックを、混合反応器に移送し、添加物材
料、例えば、Nd-Pr、又はNd-Dy-Co-Cu-Fe、又はNd-Dyを該混合反応器に入れる。
【0062】
GBEシステムは、いくつか例を挙げれば、不活性雰囲気又は水素雰囲気のいずれかにお
いて、焼結ブロックから作成された粉末を、添加物材料と混合してもよい。水素雰囲気に
おいて混合する場合、GBEシステムは、該粉末及び該添加物材料を、5RPMで、少なくとも1
5時間混合してもよい。いくつかの例において、GBEシステムは、図1Aに示されるように、
熱割れプロセス、例えば、水素熱割れプロセスを使用して、微粉末を作製する。GBEシス
テムは、Nd2Fe14B磁石10における2:14:1相粒20をNdリッチな粒界相30から分離する、又は
、同様に、該相粒を、他の種類の磁性材料の粒界相から分離する任意の適切な方法を使用
し得る。
【0063】
いくつかの例において、前記混合は、粗混合及び精密混合の双方を含み得る。例えば、
粗混合により、焼結ブロックから、平均サイズが、1μm~2000mmの粒子を作製し得る。粗
混合工程は、混合反応器を排気してから、0.9バール(90kPa)の圧力の水素を導入するこ
とを含み得る。
【0064】
混合後、GBEシステムは、焼結ブロック及び添加物材料から形成された組合せ粉末を室
温で水素に曝露することで、該組合せ粉末に水素を吸収させる。その後、GBEシステムは
、その場(in situ)で、600℃で、混合反応器内に真空が回復されるまで、組合せ粉末を
部分的に脱ガスする。例えば、加工の間に、GBEシステムは、Ndリッチな粒界相を酸化し
てもよく、その結果、該粒界相は水素と反応しない。GBEシステムは、Ndリッチな粒界相
材料を篩にかけ、Nd-Fe-B粒から該Ndリッチな粒界相材料を除去してもよい。
【0065】
その後、GBEシステムは、さらに、ジェットミル加工を用いて組合せ粉末を均質化して
、0.9~3.5μmのおおよその微粉末粒子サイズを達成する。その後、GBEシステムは、微細
な組合せ粉末を篩にかけ、大きい酸化された粒子を除去し得る。この篩分けにより、Ndリ
ッチな粒界相材料を除去してもよく、又はこの篩分けは、別個の篩分けプロセスであって
もよい。
【0066】
GBEシステムは、微細な組合せ粉末を、不活性雰囲気中、5~15℃で、磁場中で圧縮成形
(compact)して、磁化された圧粉体(green compact)を形成してもよい。GBEシステム
は、圧粉体を液圧チャンバーへと移送し、該圧粉体に60MPaの等方圧をかけてもよい。例
えば、GBEシステムは、焼結製品、例えば、焼結及びアニーリング後のものの最終密度が
、理論値に近くなるように、例えば、4.5g/cm3を超えるように、圧粉体を、液圧チャンバ
ー内でプレスしてもよい。いくつかの例において、GBEシステムは、例えば、磁場中で形
成された磁化された圧粉体の密度が4.5g/cm3を超える場合には、該圧粉体を液圧チャンバ
ー内でプレスすることなく、微細な組合せ粉末を、該磁場中で、圧縮成形してもよい。
【0067】
GBEシステムは、圧粉体を、例えば、焼結チャンバー内で、真空下焼結及びアニールし
てもよい。焼結温度に達したら、焼結チャンバー内のAr分圧を、絶対圧力で200~500ミリ
バール(20~50kPa)に調整することができる。一例として、例えば、最高焼結温度で20
分前後経過後に、Arを導入することは、焼結プロセスにより、焼結体の十分な密度、例え
ば、十分に緻密な焼結磁石を達成する助けとなり得る。
【0068】
いくつかの実施において、GBE加工の結果は、例えば、図1Bに示されるように、改質さ
れた粒界50を有する十分に緻密なNd-Fe-B焼結磁石40であり、ここでは、GBEシステムが
、十分に緻密な焼結磁石におけるドープされた材料又は添加物材料の量を制御し得る。GB
Eプロセスは、焼結磁石の磁気性能を調整するための再現性がありかつ精密な方法であり
得、かつ、重希土類元素、例えば、Dy、Tbなどの相当の削減、十分に高密度な焼結磁石の
全体にわたる、例えば、改質された粒界50全体にわたる添加物材料の均一な分布、及び例
えば、利用先の要求に従ったカスタマイズされた微細構造設計を提供し得る。
【0069】
新たなNd-Fe-B製品40は、向上した耐温度性(保磁力,iHc)、温度プロファイル、及
び耐食性を示し得る。GBE法は、ジスプロシウム(Dy)材料のインプット要求を削減し得
ると共に、基礎的な運転コストを低下させ得る。GBEプロセスは、81~99.9at%の磁性材
料及び/又は磁石並びに0.1~19at%の希土類元素添加物を組み合わせてもよい。GBEプロ
セスは、回収に対する高い親和性及び磁気性能の向上を有し得る。いくつかの実施は、希
土類供給リスク及び希土類の価格変動に対する最終利用者の脆弱性を軽減し得るか、より
持続可能な磁石のサプライチェーンの創造において重要な役割を果たし得るか、又はこれ
らの任意の2つ以上の組合せである。いくつかの実施において、材料インプット要求のコ
ストは、より少ないDy材料インプットを利用することにより削減される。付随する利益と
共に、材料、廃棄物、汚染、及びエネルギーの点での資源要求が減少され得る。
【0070】
GBEのための方法は、酸素抑制のための方法を採用してもよい。例えば、粒界工学を用
いて製造されたNd-Fe-B焼結磁石は、1.98at%以下、又は1.32at%~1.98at%(両端の
値を含む)の酸素含量を有していてもよい。粒界工学を用いて製造されたNd-Fe-B焼結
磁石における酸素含量の原子百分率のいくつかの例としては、1.00at%、1.10at%、1.32
at%、1.33at%、1.49at%、1.51at%、1.74at%、1.81at%、1.83at%、1.91at%、及び
1.98at%が挙げられる。
【0071】
方法は、出発物質の0.1~19at%の範囲での新たな希土類材料の添加を含み得る。いく
つかの実施の更なる詳細及び任意選択の特徴としては、目的とされる特定のNd-Fe-B磁
石性能特性を維持、向上、及び/又は提供する操作が挙げられる。そのような性能特性と
しては、粒子サイズ、整列状態、密度、エネルギー積(BHmax)、残留磁気(Br)、及び
保磁力(iHc)の所望の組合せが含まれ得る。
【0072】
混合段階では、完成製品において所望の最終的な性質を達成するために、材料は、添加
物と混合される。この混合プロセスには、圧砕、摩砕、ミル加工、又は材料を粗粉末へと
崩壊させるための水素の使用が含まれ得る。いくつかの実施において、磁石、例えば、Nd
-Fe-B又はSm2Co17型磁石は、水素混合反応器を用いて粉末へと加工され、かつ、該粉末
材料は、保磁力を向上させるために、その場で添加物と組み合わされる。
【0073】
混合するためのプロセスとしては、ミル加工、切削加工、高エネルギーボールミル加工
、ローラーミル加工、鋸引き、ジェットミル加工、転動、振盪、ジョークラッシャー加工
、及び水素混合が挙げられる。いくつかの実施において、水素混合が、出発物質及び新た
な希土類元素添加物を均質化するためのプロセスである。水素混合プロセスにおいて、水
素は、磁石のφ相、例えば、Nd2Fe14B、及び希土類リッチな粒界に侵入し、該希土類元素
と反応し、結晶性の構造に捕捉されている水素と水素化物を形成する。水素吸収及び水素
化物形成の結果として、結晶構造が膨張し、もろい構造を破断させる。この結果は、混合
に効果的であり得ると同時に、材料及び添加物の断片化に効果的であり得る。
【0074】
本明細書で使用される用語「断片化」は、固体材料の、機械的、化学的、熱的、放射線
的分割、又はこれらの組合せを含む任意の適当なプロセスを含むあらゆる型の分割を含む
。断片化の度合いは、粗い分割から微粉末への完全な崩壊までのものであり得る。
【0075】
必須の希土類元素添加物及び/又は未使用の元素の水素化物の添加と共に水素混合反応
器を用いた所望の微細かつ不純物を含まない粉末混合物のその場製造は、Nd-Fe-B型焼
結磁性材料由来の磁気性能の向上に効果的である可能性がある。磁性材料の磁気性能及び
物理的性質、例えば、密度又は耐食性を向上させるために、0.1wt%~19wt%、好ましく
は1%の添加物元素添加物の添加を含めてもよい。この添加及び磁性材料を、水素混合反
応器に充填して、xが、1~3モル分率の範囲であるPr75Nd25Hxを含む希土類の粗粉末混合
物を生成させてもよい。
【0076】
図2は、磁性材料、例えば、焼結磁石を、粒子へと分解し、該粒子を混合する水素混合
反応器の一例を示す。磁性材料は、廃棄磁性材料、寿命の終わりの製品由来の磁性材料、
又は新たに作製された磁性材料、例えば、消費者向け製品において用いられたことがない
磁性材料であってもよい。いくつかの例において、磁性材料は、再生磁性材料から作製さ
れた、新たに形成された焼結磁石由来であってもよい。
【0077】
いくつかの実施において、水素混合反応器は、元素添加物を、前記粒子と混合する。水
素混合反応器では、目標平均直径が約1ミクロン~約2ミリメートル、又は約4~約7ミクロ
ンの粒子を作製し得る。水素混合反応器は、混合チャンバー122、124のそれぞれに配置さ
れた2つの容器102、104を備える。混合チャンバー122、124のそれぞれは、内張り110を有
し、該内張り110は磁性材料を収容し、該内張り110内の開口部を通じて該磁性材料の周囲
でのガスの流通を容易にする。
【0078】
容器102、104の一方を、該容器が希土類材料を収容した状態で、水素ガスで満たすと、
水素混合のために磁性材料の断片化が引き起こされる。水素ガスへの曝露は、約1~40時
間継続し得る。該曝露は、より短い又はより長い期間であってもよく、その圧力及び温度
は、プロセス工学要件、目標とする微粒子サイズを達成するために用いられる他の加工ス
テージ、目標とする均質な混合物を達成するために用いられる他の加工ステージ、又はこ
れらのうちの2つ以上の任意の組合せに基づき選択され得る。
【0079】
水素混合が、反応容器102、104内での磁石の崩壊を引き起こすことを確実とするために
、かつ粒子状物質の堆積が、一部の磁性材料の水素ガスへの曝露を妨害しないことを確実
とするために、シュノーケル又はパイプなどの開口を備えた拡散促進デバイス112を用い
てもよい。撹拌機、送風機、又はガス供給などの流通を促進するもの(図示せず)は、容
器102、104内での水素ガス流の促進に役立ち得る。内張り110の開口から落下する磁性材
料は、各容器102、104の底部に位置する撹拌機によって撹拌されてもよい。
【0080】
磁性材料を容器102、104へと導入するために、取り外し可能な蓋114を設けてもよい。
例えば、磁性材料は、図2に示される容器102、104内に配置され得る。磁性材料は、制御
された環境を用いて又は用いずに、コンベアにより又は人力で、内張り110の内部に移送
し得る。磁石から作られた最終製品の性質を、あらかじめ決められた仕様の残留磁気、エ
ネルギー積、及び/又は保磁力とするために、希土類遷移元素添加物材料のうちのごく一
部を内張り110に添加してもよい。いくつかの例において、混合後に、圧砕された磁性材
料へ添加物を添加して、最終製品の性質を調整してもよい。添加物材料のいくつかの例と
しては、Nd、Pr、Dy、Gd、Tb、La、Ce、Yb、Ho、もしくはEu、又はこれらのうちの2つ以
上の組合せが挙げられる。
【0081】
容器102、104は、あらかじめ決められた圧力に耐え得る。例えば、水素混合反応器は、
真空ポンプを備え得る。いくつかの実施において、該圧力は、最大で60バール(6MPa)ま
で上昇させ得る。同様に、容器102、104は、より低い圧力にも耐え得る。容器102、104は
、サーモスタットで制御されるヒーター116及び圧力調整制御部を有し得る。
【0082】
水素混合反応器は、ポンプアセンブリ128及びバルブアセンブリ133を介して、容器102
、104内へと水素又は他のガスを導入するガス供給源接続部138を備える。ポンプアセンブ
リ128、バルブアセンブリ133、ガス管理要素144、又はこれらのうちの2つ以上の組合せは
、拡散促進デバイス112内にガスを直接供給して、容器102、104内の磁性材料の全体積に
灌流させることを確実なものとし得る。いくつかの例において、ポンプアセンブリ128及
びバルブアセンブリ133は、容器102、104を接続して、例えば、脱ガス又はガスの最初の
充填、例えば、水素ガスを再利用するための一方の容器から他方の容器へのガスのポンプ
による移送、例えば、外部雰囲気への周囲接続部132を用いる雰囲気への放出、容器102、
104の加圧、不活性ガスでの、容器102、104の一方又は双方の再充填(backfilling)、他
の再利用プロセスの実行又はこれらのうちの2つ以上の組合せの実施のための該容器102、
104の真空ポンプ排気を可能としてもよい。コントローラ140を、バルブアセンブリ133及
びポンプアセンブリ128に接続して、前記水素混合プロセス、及び容器102、104間の水素
移送を自動化してもよい。
【0083】
水素混合プロセスの間に、磁性粒子は、容器102、104から、シュート126を通り、チャ
ンバー120へと落下する。磁性粒子は、さらなる加工のためにチャンバー120から取り出さ
れてもよい。いくつかの実施において、シュート126と容器102、104との間の開口部に、
耐圧バルブを採用してもよい。
【0084】
いくつかの実施において、容器102、104の一方は、気密性とされ、ガス管理要素144を
用いて排気される。その後、選択された方の容器102、104を、例えば、ポンプアセンブリ
128を介して、ガス供給源からの水素で満たし、該選択された方の容器102、104を、磁性
材料の混合及び断片化のために準備してもよい。混合及び断片化した後は、例えば、水素
を選択された方の容器102、104から排気し、該水素を他方の容器104、102へと移送するこ
とにより、ガス管理要素144により、該水素を他方の容器104、102へと移送してもよい。
それぞれの容器の内容物が水素混合に処せられるために、水素を回収し他方の容器102、1
04へと移送することが可能であり、水素混合のプロセスを、該他方の容器で繰り返すこと
ができる。
【0085】
いくつかの実施において、ガス貯蔵チャンバーが、ガス管理要素144内に含まれ、容器1
02、104の一方から排気された水素が、他方の容器102、104への移送の前、例えば、水素
混合サイクルの間に、該ガス貯蔵チャンバー(図示せず)に一時的に貯蔵される。ガス貯
蔵チャンバーの使用は、水素混合反応器が、1つの容器のみを備えることを可能とし得る
。いくつかの例において、水素混合反応器は、3つ以上の容器を備え得る。ガス貯蔵チャ
ンバーは、移送の間の圧力低下又は圧力上昇を最小化することにより、チャンバー及び容
器102、104に出入りするガスの移送に関するエネルギーの経済性を最大化すべく選択され
た体積を有する各ステージを構成する複数のチャンバーを備え得る。
【0086】
図3Aは、台車216の上の4本1組の反応ボトル212を示しており、台車216は、反応ボトル2
12を反応チャンバー、例えば、図3Fに示す反応チャンバー202、202’の一方の内外へと運
搬する。反応チャンバー202、202’を、図2に示される水素混合反応器と共に又はその代
わりに用いてもよい。いくつかの例において、反応ボトル212を図2に示される水素混合反
応器と共に、例えば、容器102、104として用いてもよい。例えば、ガス管理要素144は、
ボトル212を不活性ガス、例えば、Ar又はNで満たすことができ、それに続き、ボトル212
は磁性材料、例えば、新たに焼結された磁石で満たされる。例えば、これから水素化され
る磁石などの磁性材料206を、移送シュート208から反応ボトル212へと充填してもよい。
磁性材料206の汚染、例えば、酸素による汚染を阻止するために、磁性材料206は、不活性
雰囲気において、反応ボトル212へと充填されてもよい。
【0087】
いくつかの実施において、希土類遷移元素添加物材料のごく一部を、反応ボトル212に
添加し得る。希土類遷移元素添加物材料は、磁性材料206及び希土類遷移元素添加物材料
から生成する最終製品の性質が、あらかじめ決められた仕様の残留磁気、エネルギー積、
及び保磁力となるように選択され得る。いくつかの例において、反応チャンバー202、202
’内の材料の混合及び断片化の後に、希土類遷移元素添加物材料の水素化物を、水素化さ
れた磁性材料206に添加してもよい。
【0088】
各反応ボトル212は、シュノーケル213又は反応ボトル内でのガス拡散を容易にする別の
デバイスを備え得る。例えば、該シュノーケル213は、側面にガスの拡散を可能にする開
口を備える円筒であってもよく、そのために、該ガスは、各ボトル212の中央に位置する
磁性材料まで達する。
【0089】
ボトル212及びシュノーケル213は、上部で開口し、水素ガスが、ボトル212及びシュノ
ーケル213に入ること及びボトル212内に収容されている磁性材料206と接触することを可
能とし、かつ/又は磁性材料206のボトル212内への充填を可能としてもよい。
【0090】
磁性材料215、例えば、磁石が、図3Bに示されるボトル212内に位置する場合には、移送
カバー214を台車216に取り付けて、ボトル212及びその内容物を、外部雰囲気から隔離し
てもよい。カバー214及び台車216から形成されたコンテナは、その内部体積が、不活性ガ
スの雰囲気を保ち、周囲空気が、磁性材料215と接触することを阻止できるように、ガス
の漏出を防止することができる。例えば、前記不活性雰囲気において、磁性材料215がボ
トル212に充填された後は、ボトル212は、カバー214で覆われていてもよく、台車216は、
不活性雰囲気の空間の外部で保管されてもよい。例えば、図3Eは、充填されたボトル212
を台車216の上に配置する前、かつカバー214を充填されたボトル212の上部に配置する前
の充填されたボトル212の一例を示す。ボトル212は、台車216に載せた状態で充填されて
もよく、又は充填されてから、台車216上に配置されてもよい。
【0091】
図3F~Gは、1組の反応チャンバー202、202’を備える別の水素混合反応器の一例を示す
。反応チャンバー202、202’は、上述のように、ガス管理要素144に接続され、ガス管理
要素144により相互接続されている。ガス供給源138は、複数のガス、例えば、不活性ガス
及び水素それぞれのための接続部を提供してもよい。周囲接続部132は、雰囲気への通気
孔を提供してもよい。ガス管理要素144は、それが、容器102、104相互間の代わりに、ガ
スを一方の反応チャンバー202から他方202’へと、またその逆へと移送するという点で、
図2を参照して上述した様に動作する。
【0092】
覆われた台車260、例えば、台車216は、反応チャンバー202のうちの第1の反応チャンバ
ー202内部に動かされる。その一方で、他の反応チャンバー202’内で、例えば、他の反応
チャンバー202’内の別の台車上に配置されているボトルに対して水素化が行われている
。覆われた台車260が、反応チャンバー202に入ると、カバー214は、台車260から除去され
、反応チャンバー202上の出入り口252が閉じられる。その後、反応チャンバー202は、例
えば、他の反応チャンバー202’での加工が完了した後に他の反応チャンバー202’から移
送された不活性ガスで満たされてもよい。
【0093】
ガス管理要素144は、反応チャンバー202に、水素源からの水素を供給して、要求される
圧力を達成してもよい。例えば、反応チャンバー202’内での水素化が完了したときに、
ガス管理要素144は、反応チャンバー202’から反応チャンバー202へと、水素を移送し、
反応チャンバー202を目標圧力まで加圧する。ガス管理要素144は、反応チャンバー202か
らボトル212内部へと、該ボトルのカバー232又は他の開口を通じて、水素ガス、例えば、
加圧水素ガスを導入することにより、反応チャンバー202内での水素化を開始させてもよ
い。
【0094】
水素混合プロセスは、例えば、水素混合反応器が、最初の混合プロセスを実施する場合
には、約1ミクロンから約2mmの、又は例えば、水素混合反応器が、第2の混合プロセスを
実施する場合には約4ミクロンから約7ミクロンの平均直径を有する磁性粒子を作製し得る
。いくつかの例において、図3F~3Gに示す水素混合反応器で双方のプロセスを実施しても
よく、図2に示される水素混合反応器で双方のプロセスを実施してもよく、又は該反応器
のうちの一方で、一方のプロセスを実施してもよく、かつ他方の反応器で他のプロセスを
実施してもよい。例えば、図2に示される水素混合反応器で第1の混合プロセスを実施して
もよく、かつ図3F~3Gに示す水素混合反応器で第2の混合プロセスを実施してもよい。
【0095】
ガス管理要素144は、反応チャンバー202’からガスを例えば、完全に排気して、反応チ
ャンバー202内での加工の間の使用のために該ガスを反応チャンバー202に入れてもよく、
又は貯蔵チャンバー又は容器に入れてもよい。図3Gに示される反応チャンバー202内のサ
ーモスタットで調節されるヒーター257を、コントローラにより調節して、目標とする温
度を提供してもよい。
【0096】
この水素化プロセスが、反応チャンバー202内で進行するにつれて、ガス管理要素144は
、反応チャンバー202’を不活性ガスで再充填する。その後、図3Gに示されるように、反
応チャンバー202’への出入り口252’が開放され、カバー214’が、台車260’上に配置さ
れる。今や粒子となるまで還元された水素化物磁石材料は、その後、台車260’内で反応
チャンバー202’外部へと移動する。
【0097】
反応チャンバー202内での水素化が完了した後に、ガス管理要素144は、過剰の水素ガス
を、反応チャンバー202から排気する。例えば、前記水素化プロセスを、反応チャンバー2
02’内に配置された1本以上のボトル212に対して再び開始し、例えば、加工された磁性材
料内にいくらかの水素材料を残し、過剰の水素ガスを反応チャンバー202から反応チャン
バー202’へと移送してもよい。
【0098】
いくつかの実施において、ボトル212は、図3C、3D、及び3Jに示されるカバー232を用い
て閉じることができ、該カバー232は、漏斗として働き、バルブ234が開放されている場合
、例えば、ボトル212が上下を逆にした位置にある場合に、回収された水素化物磁石粒子
が、シュート237を通って誘導されることを可能とする。カバー232を取り外して、例えば
、磁性材料206がボトル212に入るのを可能とし、その後カバー232を各ボトル212上に配置
してもよい。
【0099】
図3Jを参照すると、不活性雰囲気において、カバー232が、ボトル212上に配置され、該
ボトルは密封することができ、カバー214を必要とすることなく不活性雰囲気から取り出
すことができる。ボトル212は、台車216により又は個別に運搬し得る。
【0100】
図3Kは、ボトル212から受け取った磁性粒子のための貯蔵容器240の一例を示す。ボトル
212上のバルブ234は、貯蔵容器240に備えられたノズル265を受け入れ、多岐管267をボト
ル212内のシュノーケル213へと密封させる。送風機266は、多岐管267を介し、シュノーケ
ル213内部へと不活性ガスを供給し、ボトル212から貯蔵容器240内部へと、磁性粒子を取
り出す。不活性ガスは、ボトル212の一方に入った後に、貯蔵チャンバー240内部へと還流
してもよい。
【0101】
不活性ガスは、ボトル212及びシュノーケル213の断面である図3Hに示されるように、接
線流又は放線状流(又は双方)でシュノーケル213から流れ出てもよい。矢印は、シュノ
ーケル213内の接線方向に向けたスロットを通って放出される不活性ガスの接線状のパタ
ーンを示す。該不活性ガス流の接線状のパターンは、ボトル212の内壁から粒子を除去し
、ボトル212から磁性粒子を完全に出すことを容易にするのに役立ち得る。
【0102】
バルブ234は、例えば、ノズル265がボトル212内部へと入ることを可能とするゲート構
成を有していてもよい。ボトル212を取り外す際に、カバー268をノズル265上に配置して
、貯蔵容器240を密封してもよい。
【0103】
図4は、出発物質、例えば、種々の異なるタイプの消費者向け製品由来の再生磁石につ
いての性質の範囲の一例を示し、種々の異なる磁気性能を含むグラフである。グラフ上に
描かれた泡のような形状302は、本プロセスを適用可能な出発物質のおおよその範囲を表
す。該プロセスは、また、泡のような形状302の外部の他の出発物質にも適用し得る。
【0104】
図5は、左カラムに示す元の磁性材料の組成を、右カラムに示す本プロセスにより作製
された完成磁石製品と比較する図である。出発物質においては、希土類金属の組成は、左
カラムの「R」領域により表わされている18at%を超えていても、下回っていてもよい。
希土類金属は、元の磁性材料の粒に含まれていてもよく、又は粒界相材料に含まれていて
もよい。加工の間に、ある量の希土類金属「X」が、出発磁石材料から、例えば、粒界相
材料から除去される。例えば、GBEシステムは、元の磁性材料から、実質的に全てのNdリ
ッチな粒界相を除去してもよい。最終Nd-Fe-B製品が、元の磁石と同様の組成を有する
ためには、新たな希土類材料、すなわち、初使用材料が添加されなければならない。新た
な希土類材料、例えば、添加物材料は、元の磁性材料から除去されたNdリッチな粒界相を
置き換え得る。
【0105】
図5において、初使用材料は、「V」領域で表わされており、加工の間に除去される希土
類金属の量、即ち「X」にほぼ等しい。完成製品において、希土類金属の最終百分率は、
少なくとも出発磁性材料における百分率であるが、18at%を超えることはない。出発磁性
材料中の希土類材料の百分率「R」が、左カラムにおける2本の破線のうちの低い方と同程
度低い場合、例えば、18at%未満である場合、右カラムに見られる完成した磁石製品にお
ける最終希土類原子百分率は、持ち越された低い方の破線により描かれるように、少なく
とも同一の百分率と等しい。しかしながら、出発物質における希土類金属の百分率が、18
at%を超える場合には、完成した磁石における原子百分率は、右カラムにおいて18%に上
限が定められた高い方の破線により示されるように、18%に限定される。
【0106】
完成製品において、最終希土類原子百分率は、初使用材料である各成分Nd、Pr、Dy、Gd
、Tb、La、Ce、Yb、Ho、及び/又はEuの百分率が、元の材料におけるその百分率の0.1~19
at%の範囲にあり、かつNdもしくはPr又は双方の原子百分率が、ゼロを超えるものである
。以下の式により、いくつかの実施がさらに説明される:出発磁石材料においてR=s(Nd
)+s(Pr)+s(Dy);19段落において定義されるような最終Nd-Fe-B製品においてT=f
(Nd)+f(Pr)+f(Dy);及び添加された初使用材料V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r](式
中、最終製品に関し0.1≦p+q+r≦19at%、かつT≧min(R,18at%))である。説明のた
めに、以下の例を考える:出発磁石材料におけるNd、Pr、及びDyの原子百分率の値が、そ
れぞれ9.77、2.96、及び0.92である場合、対応する値を、式R=s(Nd)+s(Pr)+s(Dy
)に代入すると、R=9.77+2.96+0.92、即ちR=13.65が得られる。同じ例において、新
たなNd-Fe-B焼結磁石におけるNd、Pr、及びDyの原子百分率の値を、それぞれ10.74、3.
26、及び0.91とする。新たなNd-Fe-B焼結磁石の値を、式T=s(Nd)+s(Pr)+s(Dy
)に代入すると、T=10.74+3.26+0.91、即ちT=14.91となる。同じ例において、初使用
材料がGBEプロセスの間に添加され、該初使用材料が、Nd、Pr、及びDyについてそれぞれ0
.2、0.3、及び0.4の原子百分率の値を有する場合、式V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r]は、
V=0.2+0.3+0.4、即ちV=0.9となる。初使用材料に関する式、即ちVは、2つの制約:最
終製品に関し0.1≦p+q+r≦19at%、及びT≧min(R,18at%)を受ける。本発明者らの
例において、p+q+r=0.9at%であり、これは第1の制約、即ち、p+q+r値が、0.1at%
以上かつ19at%以下でなければならないことを満たす。この例はまた、初使用材料に関す
る式に対する第2の制約:Tが、R又は18の集合のうちの最小値以上を満たす。この例におい
て、Tは、14.91であり、R又は18の集合のうちの最小値は、13.65であるRであるため、Tは
、R又は18の集合のうちの最小値以上である。
【0107】
いくつかの実施において、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r](式中、最終製品に関し0.1
≦p+q+r≦15at%、かつT≧min(R,18at%))である。いくつかの実施において、V=N
d[p]+Pr[q]+Dy[r](式中、最終製品に関し0.1≦p+q+r≦12at%、かつT≧min(
R,18at%))である。いくつかの実施において、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r](式中
、最終製品に関し0.1≦p+q+r≦8at%、かつT≧min(R,18at%))である。いくつかの
実施において、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r](式中、最終製品に関し0.1≦p+q+r≦5a
t%、かつT≧min(R,18at%))である。いくつかの実施において、V=Nd[p]+Pr[q
]+Dy[r](式中、最終製品に関し0.1≦p+q+r≦3at%、かつT≧min(R,18at%))
である。いくつかの実施において、V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r](式中、最終製品に関
し0.1≦p+q+r≦2at%、かつT≧min(R,18at%))である。いくつかの実施において、
V=Nd[p]+Pr[q]+Dy[r](式中、最終製品に関し0.1≦p+q+r≦1at%、かつT≧mi
n(R,18at%))である。
【0108】
いくつかの実施において、Xは、元の磁石から除去されたat%RE(Nd、Pr、Dy)であり
、かつp+q+r≧Xである。いくつかの実施において、添加物は、最終Nd-Fe-B焼結製品
において、fが、出発Nd-Fe-B焼結磁性材料のat%分率である場合、f(Nd)+f(Pr)>
0であるようなものである。いくつかの実施において、f(Nd)+f(Pr)+f(Dy)≦18で
ある。いくつかの実施において、f(Co)≦3である。いくつかの実施において、f(Cu)
≦0.3である。いくつかの実施において、f(Fe)+f(Co)≦77である。いくつかの実施
において、f(Dy)+f(Nd)+f(Pr)≧Rである。
【0109】
いくつかの実施において、元素添加は、Nd[0.1~19at%×s(Nd),x]Pr[0.1~19at
%×s(Pr),y]Dy[0.1~19at%×s(Dy),z]Co[0,d]Cu[0,e]Fe[0,f]であ
る(式中、[m,n]は、最小値m及び最大値nの範囲を意味し;s(t)は、出発組成におけ
る元素tの原子のパーセントであり;f(t)は、最終組成における元素tの原子のパーセン
トであり;x=18-[81,99.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy)); y=18-[81,99
.9]at%×(s(Nd)+s(Pr)+s(Dy));z=18-[81,99.9]at%×(s(Nd)+s(P
r)+s(Dy));d=3-[81,99.9]at%×s(Co);e=0.3-[81,99.9]at%×s(Cu)
;f=77-[81,99.9]at%×(s(Fe)+s(Co))である)。
【0110】
いくつかの実施において、(i)初使用材料、例えば、NdpPrqDyrは、最終製品に関し0.
1≦p+q+r≦19at%の範囲内である必要があり、かつT≧min(R,18)であり(式中、T=
f(Nd)+f(Pr)+f(Dy)、かつR=s(Nd)+s(Pr)+s(Dy)である);(ii)p+q+
r≧Xであり(式中、Xは、元の磁石から除去されたat%RE(Nd、Pr、Dy)である);(iii
)T≦18at%であり;(iv)f(Nd)+f(Pr)>0であり(式中、fは、最終製品のat%分率
である);(v)f(Nd)+f(Pr)+f(Dy)≦18であり;(vi)f(Co)≦3であり;(vii)
f(Cu)≦0.3であり;(viii)f(Fe)+f(Co)≦77であり;かつ(ix)f(Dy)+f(Nd)
+f(Pr)≧Rである。
【0111】
希土類金属の他に、出発磁性材料及び完成した磁石の双方の残部は、Fe、Co、Cu、Al、
及び他の元素を含み得る。いくつかの例において、他のタイプの磁性材料を用いてもよい
。他のタイプの磁性材料を用いて作った最終磁石製品は、異なる磁性材料の組成を有し得
る。
【0112】
以下の例は、出発磁石材料が、粒界工学技術に従って加工され、コスト及び供給の脆弱
性を減少し得るNd-Fe-B最終製品におけるジスプロシウム(Dy)のより効率的な使用及
びその含量の最適化を行いつつ、残留磁気(Br)を含むある種の磁気性能を維持し又はそ
れらの磁気性能の最低限の損失を伴い;かつ耐温度性(iHc)及び温度プロファイルを含む
他の性質の向上を伴い、最終Nd-Fe-B磁石を生成し得ることを実証する。いくつかの実
施において、前記方法は、磁性体の厚さによる制約を受けない。例えば、Nd-Fe-B最終
製品の粒界相への、希土類遷移元素添加物材料、例えば、Nd1-20Dy1-60Co1-60Cu0.1-20Fe
0.5-90at%、Nd7-14Dy30-50Co28-45Cu1-10Fe1-10at%、Nd8.5-12.5Dy35-45Co32-41Cu3-6.
5Fe1.5-5at%、又はNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%の使用は、Nd-Fe-B最終製
品を、任意の厚さとする、例えば、6ミリメートルの厚さを超えるものとすることを可能
とし得る。
【実施例
【0113】
(実施例1)
これらの実施例は、GBEプロセスを用いて、最小限の量のドーパントを用いて、永久磁
石の総合的な磁気性能を向上し得ることを実証する。例えば、GBEプロセスは、図6に示さ
れるように保磁力の27%の増加及び残留磁気の0%の減少、又は図7に示されるように保磁
力の83%の増加及び残留磁気の6%の減少、又は図8に示されるように保磁力の60%の増加
及び残留磁気の3%の減少をもたらし得る。例えば、図6は、0.5at%の添加を伴う、例え
ば、高いエネルギーをもたらすNd又はDyを伴うNd-Fe-B型焼結磁石の変形の一例を示す
。0.5at%の添加を伴う最終磁石は、1.423Tの残留磁気(Br)、1042kA/mの保磁力(iHc)
、及び391kJ/m3のエネルギー積(BHmax)を有する。図7は、3at%の添加を伴う、例えば
、高温での応用に適した高い保磁力をもたらすDyを伴うNd-Fe-B型焼結磁石の変形の一
例を示す。3at%の添加を伴う最終磁石は、1.29Tの残留磁気(Br)、1900kA/mの保磁力(
iHc)、及び323kJ/m3のエネルギー積(BHmax)を有する。両磁石の密度は、7.56g/cm3
ある。
【0114】
一例において、図6に示される性質を有する磁石は、0.5at%のNdドーパントを含み得る
。磁石の出発物質は、該Ndドーパントの添加前の、以下の表1に示した「出発物質」とし
て特定される組成、及び該Ndドーパントの添加後の、「最終物質」として特定される最終
組成を有し得る。いくつかの例において、この磁石は、高いエネルギーを有し得る。
【表1】
【0115】
一例において、図7に示される性質を有する磁石は、3at%のDyドーパントを含み得る。
該磁石の出発物質は、該Dyドーパントの添加前の、以下の表2に示す「出発物質」として
特定される組成、及び該Dyドーパントの添加後の、「最終物質」として特定される最終組
成を有し得る。いくつかの例において、この磁石は、高い保磁力を有し得る。
【表2】
【0116】
いくつかの例において、表1及び2において特定される磁石の組成は、約0.009~約0.08a
t%の正確度を有し得る。いくつかの例において、表1及び2で特定される磁石は、他の微
量ドーパントを含み得る。
【0117】
粒界工学は、該磁石焼結体の約6mmの厚さに限定されないであろう。例えば、システム
は、粒界工学を実施して約6mmの厚さを超える又は6mmの厚さを超える焼結磁石を形成して
もよい。いくつかの例において、粒界工学プロセスを使用して形成される磁石の厚さは、
6mmの厚さ以上である。
【0118】
図8は、Nd-Fe-B型焼結磁石に対する異なる量のDy添加を含むGBE加工された焼結磁石
の消磁曲線の一例を示す。例えば、本明細書に記載されるGBE技術を、大規模に焼結磁石
に適用して、0.5at%の添加物材料、2.0at%の添加物材料、又は3.0at%の添加物材料を
加えて、図8に示される各性質を達成することにより、残留磁気及び保磁力を向上させ得
る。
【0119】
図9は、粒界工学技術を適用するためのプロセス900の例である。プロセス900は、上述
のシステムのうちの1つ以上を用いて実施し得る。
【0120】
902において、該プロセスは、鋳造合金薄片を形成させる。例えば、GBEシステムは、合
金、純元素、又は双方を溶融させ、溶融合金を水冷式銅ホイール上に注ぎ、該鋳造合金薄
片を形成させる。鋳造合金薄片は、複数の2:14:1相粒、例えば、Nd2Fe14B1相粒を含む。
いくつかの例において、鋳造合金薄片のそれぞれが、2:14:1相粒を含む。いくつかの例に
おいて、鋳造合金薄片の一部は、2:14:1相粒を含有し、鋳造合金薄片の一部は、a)他の
材料、例えば、汚染物質などのNd、Fe、又はB以外の材料を含む粒又はb)異なる組成のNd
-Fe-B、例えば、Nd2Fe14B1以外を含む粒を含有する。
【0121】
該合金において、純元素として別々に、又は合金と純元素との組合せとして用いられる
元素の組合せには:(i)Nd、Pr、Fe、FeB、及びB;(ii)Nd、Fe、Co、Cu、及びDy、(iii
)Nd、Fe、Co、Cu、Dy、Nd75:Pr25の比の組成物、Dy80:Fe20の比の組成物、及びPr、(iv
)Nd2Fe14B、(v)Dy2Fe14B、(vi)Pr2Fe14B、(vii)Tb2Fe14B、(viii)Nd2Co14B、(
ix)Pr2Co14B、(x)Tb2Co14B、(xi)Nd2Ni14B、(xii)Pr2Ni14B、(xiii)Tb2Ni14B、
(xiv)V2FeB2、(xv)NbFeB、(xvi)MoFeB、(xvii)ZrFeB、(xviii)TiFeB、(xix)
Ndリッチ、(xx)CoNd3、(xxi)NiNd3、(xxii)GaNd、(xxiii)Nd酸化物、(xxiv)Pr
酸化物、(xxv)RE炭化物、(xxvi)Ndオキシフッ化物、(xxvii)Re窒化物、又は(xxvi
ii)これらのうちの2つ以上の組合せが含まれ得る。いくつかの実施において、該元素の
一部又は全部が、廃棄磁石材料由来であってもよい。いくつかの実施において、該元素の
一部又は全部は、例えば、消費者向け製品において以前に用いられたことがない新たな磁
性材料由来である。
【0122】
904において、上記プロセスは、鋳造合金薄片を粉砕して、最初の粉末を形成させる。
例えば、GBEシステムは、ジェットミル加工システム又は別の適切なシステム、例えば、A
r又はHe又は別の不活性ガス下での高速度エネルギーミル加工を使用して、鋳造合金薄片
から最初の粉末を形成させてもよい。いくつかの実施において、GBEシステムは、約20~
約150℃の温度及び最大で約1~約10バール(約0.1~約1MPa)の圧力で鋳造合金薄片を、
水素ガスに曝露させ、該鋳造合金薄片を、熱割れさせてもよい。最初の粉末の作製の際、
GBEシステムは、2:14:1相粒を維持するか、又はこれらの粒の約90~97vol%を維持する。
【0123】
906において、プロセスは、最初の粉末を整列させ、かつプレスして最初の成形体を形
成させる。例えば、GBEシステムは、最初の粉末から加圧成形体を形成させる。
【0124】
いくつかの実施において、出発元素由来のホウ素の一部が、合金の加工の間に、例えば
、鋳造合金薄片の調製及び形成、最初の粉末の作製、最初の成形体の作製、又はこれらの
うちの2つ以上の間に失われることがある。いくつかの実施において、合金の加工の間に
、酸素、炭素、又は双方を、前記粉末と混合してもよい。例えば、該合金は、初めNd14.2
Fe79.3B6.5(at%)であってよく、最初の成形体は、Nd14.2Fe79.55B6.1C0.05O0.1(at%
)であってよい。いくつかの例において、該合金は、初めNd31.284Fe67.6427B1.0733(wt
%)であってよく、最初の成形体は、Nd31.2275Fe67.7335B1.0054C0.0092O0.0244(wt%
)であってよい。
【0125】
908において、該プロセスは、最初の成形体を焼結する。例えば、GBEシステムは、最初
の成形体から十分に緻密な焼結磁石を作製する。いくつかの実施において、焼結の間に、
酸素、炭素、又は双方を、最初の成形体に添加してもよい。例えば、GBEシステムは、焼
結プロセスの間に又は焼結プロセスの一部として、滑沢化剤を最初の成形体に添加しても
よく、潤滑の結果として、酸素、炭素、又は双方が、最初の成形体に添加されてもよい。
いくつかの例において、焼結プロセスは、アルゴンガスの使用を含んでもよく、該アルゴ
ンガス中に存在する酸素が、例えば、焼結の間に、最初の成形体に添加されてもよい。
【0126】
GBEシステムは、工程902から908を実施して、複数の2:14:1相粒を有する焼結磁石を作
製してもよく、その後、以下に記載する、工程910から918を用いて焼結磁石を加工して、
最終製品中に該焼結磁石の2:14:1相粒を維持し得る。例えば、プロセス900は、工程908に
おいて作られた十分に緻密な焼結磁石中の鋳造合金薄片内に作製された2:14:1相粒の全て
又は約90~97vol%を維持し得る、かつ、以下においてより詳細に記載される、工程910に
おいて作製される粉末内の十分に緻密な焼結磁石由来の2:14:1粒の全て又は約90~97vol
%を維持し得る。
【0127】
いくつかの例において、GBEシステムは、新たな磁石、例えば、商業的プロセスにおい
て用いられたことがない磁石、又はそれほど使用されていない磁石を受け入れ、工程902
から908を実施する代わりに、その磁石を加工する。GBEシステムは、工程902から908を実
施する代わりに、任意の適切なタイプの焼結磁石を用いてもよい。
【0128】
910において、プロセスは、磁性材料を混合装置に入れ、粉末を作製する。混合装置は
、磁性材料を、所定の期間、温度、回転速度などで加圧水素雰囲気に曝してもよい。例え
ば、磁性材料を、図2図3G、あるいは双方に示される水素混合反応器、又は別の適切な
混合装置により加工してもよい。GBEシステム、例えば、混合装置は、粉末を作製する際
に、磁性材料由来の2:14:1相粒の全て又はそのうちの約90から97vol%を維持する。いく
つかの実施において、GBEシステムが、最初の焼結磁石から粉末を作製する場合、該GBEシ
ステムは、最初の焼結磁石から、古いNdリッチな粒界相を除去する。
【0129】
いくつかの例において、希土類遷移元素添加物材料を、混合前又は混合後に、磁性材料
に添加してもよい。いくつかの実施において、Nd-Fe-B磁石、例えば、磁性材料及び希
土類元素添加物、例えば、Nd1-xPrxは、99.9:0.1~81:19at%の比率で混合装置に共に入
れられ、例えば、その場で共に均一に混ぜ合わされる。いくつかの例において、希土類遷
移元素添加物材料に対する磁性材料の99.9:0.1から94:6at%の比率、特に、99.9:0.1から
99:1at%の比率は、共に均一に混ぜ合わされる。希土類遷移元素添加物材料は、別途断片
化されて、工程910の後に磁性材料へ添加されてもよい。
【0130】
例えば、GBEシステムは、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%の希土類遷移元素添
加物を、Nd2Fe14B粉末と混合して、複合粉末を生成してもよく、かつ、任意に、焼結され
たNd-Fe-B型磁石本体に通常存在する古いNdリッチな粒界相を、該Nd11.92Dy42.32Co38.
39Cu5.34Fe2.03at%材料で置き換えてもよい。いくつかの例において、GBEシステムは、N
d11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%微粉末のフラッシュ熱分解を使用して、前駆体を
形成させ、該前駆体をNd2Fe14B粉末と混合して、複合粉末を作製してもよい。GBEシステ
ムは、例えば、微細なNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粒子をNd2Fe14B粉末中に
分散させる第1の混合工程のために水素混合反応器を使用してもよい。
【0131】
いくつかの実施において、GBEシステムは、前記Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at
%希土類遷移元素添加物材料、例えば、前記前駆体を、アーク溶融、RF(ラジオ周波数)
、ブックモールディング、ストリップ鋳造、もしくは微粒化、又は任意の他の適切な方法
を用いて作製して、最終前駆体の最適な組成を調製し得る。いくつかの例において、Nd11
.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%希土類遷移元素添加物材料を生成する前駆体中の元
素、例えば、Nd、Dy、Co、Cu、及びFeの純度レベルは、95%以上、例えば、99.9%純度で
ある。
【0132】
いくつかの例において、GBEシステムは、溶融調製プロセス、例えば、真空誘導溶融を
用いて、希土類遷移元素添加物材料を調製してもよい。例えば、GBEシステムは、少なく
とも銅、コバルト、鉄、並びに1以上の修飾元素、例えば、ネオジム、プラセオジム、ジ
スプロシウム、テルビウム及びこれらのうちの2つ以上の組合せを含む多成分高度合金化
材料の真空誘導溶融調製を用いてもよい。GBEシステムは、合金化された材料を用いて、
焼結磁石に存在するNdリッチな粒界相を置き換え得る。
【0133】
例えば、GBEシステムは、アルミナ又はジルコニウムるつぼ中で、例えば、高密度るつ
ぼ、高純度るつぼ、又は高密度高純度るつぼ中で、合金の元素、例えば、Nd、Pr、Fe、Dy
、Tb、Co、Cu元素を溶融して、該元素の、例えば、5種の元素の化合物を調製してもよい
。該化合物のいくつかの例としては、Nd2Dy7Co6CuFe0.33、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34
Fe2.03at%、Pr11.92Tb42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%、又はPr2Tb7Co6CuFe0.33が挙げら
れ、例えば、表3及び4を参照されたい。例えば、Nd元素は、Prで置き換えることができ、
Dy元素は、Tbで置き換えることができる。
【0134】
GBEシステムは、前記元素を1450℃で溶融させて、溶融合金を作製し、該溶融合金材料
を、アルミナ又はジルコニアるつぼから、水冷式銅ホイールへと注ぎ、鋳造合金薄片を作
製する。いくつかの例において、GBEシステムは、溶融合金を、るつぼ中で室温まで冷却
して、化合物からブロックを作製してもよい。GBEシステムは、例えば、105ケルビン/秒
の速度で溶融合金を急速に冷却して、ストリップ鋳造された合金薄片を作製してもよく、
例えば、サイズが50マイクロメートル未満の薄片を達成してもよい。実施例において、GB
Eシステムが、溶融合金をゆっくりと冷却する場合には、該GBEシステムは、該溶融合金を
、10~100ケルビン/秒の速度で冷却してもよい。
【0135】
GBEシステムは、前記元素をAr雰囲気で、例えば、およそ1.5バール(150kPa)の絶対圧
力で溶融してもよく、又は別の不活性ガス例えば、窒素中で溶融してもよい。いくつかの
例において、GBEシステムは、前記元素を真空中で溶融してもよいことを可能とする。例
えば、GBEシステムが、例えば、希土類遷移元素添加物材料合金のための化合物の溶融及
び作製の間に、不活性ガス又は真空を使用する場合、該GBEシステムは、該合金中の酸素
含量、炭素含量、又は双方をわずかに増加させ得る。いくつかの例において、GBEシステ
ムが、化合物の溶融及び作製の間に、不活性ガス又は真空を使用する場合、該GBEシステ
ムは、ネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム、又はこれらのうちの2つ以上の、例え
ば、蒸発による喪失を抑制してもよい。
【0136】
いくつかの実施において、GBEシステムは、少なくとも400V、3000Hz、及び100KW電力の
、チャージサイズが55Kgの誘導溶融プロセスを使用してもよい。GBEシステムは、前記元
素の溶融の間に使用される前記不活性雰囲気中に有効な量の還元剤を含み得る。例えば、
GBEシステムは、水素を還元剤として使用してもよい。いくつかの例において、GBEシステ
ムは、有孔のるつぼの底部からのアルゴンパージにより前記元素を前記るつぼ中で攪拌し
て、溶融物中の該元素の均一な分布を達成してもよい。
【0137】
GBEシステムは、上述の様に前記化合物を調製することにより、例えば、他の合金調製
技術と比較して、希土類遷移元素添加物材料中に導入されるO、C、又は双方の量を削減し
得る。GBEシステムは、Ndリッチな粒界相の一部又は全部を、前記合金の液体共晶相で置
き換え、最終焼結磁石本体の性質を向上させ得る。
【表3】
【表4】
【0138】
いくつかの実施において、GBEシステムは、アーク溶融プロセス、例えば、真空溶融又
は再溶融を使用して、前記希土類遷移元素添加物材料を調製してもよい。例えば、GBEシ
ステムは、前記合金のための元素、例えば、上述の元素を、銅るつぼ中で、例えば、誘導
溶融又はアーク溶融を用いて溶融させ、溶融合金を作製する。真空下、GBEシステムは、
銅るつぼを、例えば、水による冷却を用いて冷却し、底部から上方に連続的に凝固する溶
融合金からインゴットを作製する。GBEシステムは、前記元素を溶融して前記溶融合金を
作製し、該溶融合金を冷却して前記インゴットを作製してもよい。GBEシステムは、1.8バ
ール(180kPa)の絶対圧力下、例えば、アルゴン雰囲気中で、前記元素を溶融してもよい
。GBEシステムは、10-1バール(10kPa)を超える真空中で前記溶融合金を冷却してもよい
【0139】
いくつかの例において、GBEシステムは、前記インゴットをアーク溶融を用いて加熱す
ることで、該インゴットを、前記銅るつぼ中で再溶融して、再溶融された溶融合金を生成
させる。GBEシステムは、再溶融された溶融合金を冷却して、底部から上方に連続的に凝
固する再溶融されたインゴットを作製する。
【0140】
アーク溶融又は再溶融プロセスは、例えば、1.3T以上の高いBr、2000kA/m以上の高い保
磁力、又は双方などの特定の性質を有し、改質された粒界相を有する希土類焼結磁石を製
造するための高性能合金、高純度合金、又は高性能高純度合金を作製し得る。GBEシステ
ムは、溶融又は再溶融プロセスを使用して、ガス含量、例えば、汚染の減少、マクロ偏析
及びミクロ偏析の減少、収率の増加、性質の再現性の向上、又はこれらのうちの2つ以上
を行い得る。例えば、GBEシステムは、再溶融中に生成される溶融金属合金だまりが制限
されることで、インゴットの凝固速度、例えば、偏析及び、該溶融金属合金の化学的組成
のGBEシステムによる制御が可能となるために、性質の再現性を向上し得る。
【0141】
いくつかの例において、GBEシステムは、RF溶融されたインゴットを用いてNd11.92Dy42
.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体を形成し、該溶融されたインゴットを自然に、例えば
、室温で、冷却源を用いずに、又は双方で、アルミナるつぼ中で、冷却し得る。GBEシス
テムは、溶融されたインゴット中の元素の均一な元素分布を確実なものとするために、前
記インゴットを複数回、例えば、2回溶融してもよい。GBEシステムは、誘導結合プラズマ
(ICP)を用いて最終前駆体中の元素の分布を確認してもよい。前記Nd11.92Dy42.32Co38.
39Cu5.34Fe2.03at%前駆体の密度は、8.21g/cm3であり得る。GBEシステムは、アルキメデ
スの原理を用いて、該前駆体の密度を確認してもよい。
【0142】
いくつかの実施において、GBEシステムは、自由落下するNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34
Fe2.03at%溶融物の流れへの高速度のガス噴射を伴うスプレー微粒化装置を使用して、該
希土類遷移元素添加物材料から、前記前駆体を形成させてもよい。例えば、該高速度のガ
ス噴射は、不活性ガス、例えば、Ar、Ne、He、N、又はこれらのうちの2つ以上の組合せで
あってよく、500m/sの速度を有していてもよく、又は双方であってもよい。高速度のガス
噴射は、前記自由落下するNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%溶融物の流れを、そ
れぞれ、約2wt%の希土類材料の喪失を伴い、最大で0.04wt%の酸素濃度を有する小滴(s
mall droplet)へと断片化させ得る。
【0143】
高速度のガス噴射は、前記小滴を形成させ、押し進め、かつ冷却し、ほとんど球形のサ
ブミクロン及びミクロンの粒子サイズを有する小滴を作製し得る。これにより、高い表面
積-体積比を有するNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粒子を作製することができ
、例えば、GBEシステムは、この粒子を用いて、前記Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03
at%前駆体及び前記Nd2Fe14B粉末又はNd2(FeCo)14B粉末を用いる複合粉末を生成させて
もよい。Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%の適当な粉末サイズ調製のプロセスは
、スプレー微粒化のみには限定されず、スプレー加圧微粒化、二流体微粒化、回転式微粒
化、発泡微粒化、静電式微粒化、超音波及びホイッスル微粒化によっても達成し得る。
【0144】
図10は、スプレー微粒化装置1000の一例を示し、該スプレー微粒化装置は、その底部開
口1004から、前記溶融Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体1002が落下するこ
とを可能とし得る。例えば、溶融前駆体1002は、自由落下するNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5
.34Fe2.03at%溶融物の流れに対する、例えば、0.18~0.58MPaの高速度のガス噴射の内部
を、開口1004を通り重力によって落下し得る。高速度不活性ガス噴射1006は、ある体積の
溶融Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体1002を、多数の小滴へと急速に断片
化する。該小滴は、最大で0.04wt%の酸素濃度、約2wt%の希土類材料の喪失、及び140~
280マイクロメートルの粉末サイズを有し得る。該前駆体の、測定されたNd11.92Dy42.32C
o38.39Cu5.34Fe2.03at%粉末の密度は、8.08g/cm3であり得る。いくつかの例において、
小滴の密度は、理論値の95から98%までばらつき、例えば、単一相Nd11.92Dy42.32Co38.3
9Cu5.34Fe2.03at%小滴では、8.375g/cm3であった。
【0145】
その後、GBEシステムは、微粒化粉末又は溶融小滴を、Nd2Fe14B焼結ブロックと共に水
素混合反応器に入れ、複合混合物を生成してもよい。水素混合反応器は、排気されて、そ
の後、水素ガスを、該前駆体及び該Nd2Fe14B焼結ブロックが入った加工チャンバーに、12
時間導入してもよい。水素は、該Nd-Fe-B焼結ブロック磁石本体、該Nd11.92Dy42.32Co3
8.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体、例えば、粉末又は小滴、又は双方により吸収されて、対応
する材料の膨張を引き起こし、該対応する材料は、粉末、例えば、粗粉末へと分解する。
水素混合反応器による加工は、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体に、微粒
化プロセスの間に蓄積された捕捉ガスを放出させる。いくつかの例において、水素混合反
応器は、例えば、検出される圧力の変化が無くなる加工の完了まで、約2バール(約200kP
a)の絶対圧力下、加工チャンバー内に水素を一定に供給しながら、前記前駆体及び前記N
d2Fe14B焼結ブロックを加工してもよい。その後、GBEシステムは、前記粉末をその場で58
0℃へ加熱して、複合Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%/Nd-Fe-B混合物を部分的
に脱着させて、例えば、粉末粒子の本体から水素を放出させてもよい。その後、GBEシス
テムは、該複合粉末をアルゴン雰囲気移送ボックス中に移送して、例えば、該複合粉末を
GBEシステムの別の構成要素へと移動させてもよい。
【0146】
いくつかの実施において、GBEシステムは、該複合粉末、例えば、Nd11.92Dy42.32Co38.
39Cu5.34Fe2.03at%前駆体及びNd-Fe-B又はNd-Fe-Co-Bを、高エネルギーミル加工、
ボールミル加工、又はジェットミル加工を用いてさらに加工してもよい。GBEシステムは
、該複合粉末が均質な混合物となり、かつ2~4.5μmの粉末サイズとなるまで、該粉末を
加工してもよい。
【0147】
希土類遷移元素添加物材料は、Nd、Pr、Dy、Co、Cu、及びFeのうちの1以上の元素を含
み得る。元素添加物材料の組合せの範囲のいくつかの例としては、Nd:[6.1717,11.8917
](at%);Pr:[1.5495,4.821](at%);Dy:[0.2132,5.3753](at%);Co:[0,4.
0948](at%);Cu:[0.0545,0.2445](at%);及びFe:[81.1749,85.867](at%)
が挙げられる。いくつかの実施において、希土類遷移元素添加物材料中の希土類元素の量
の範囲は、[13.236,16.407](at%)又は[28.82,33.7](wt%)であり得る。いく
つかの例において、希土類遷移元素添加物材料の加工の間に、少量のO、C、又は双方を、
該希土類遷移元素添加物材料に添加してもよい。希土類遷移元素添加物材料のwt%の範囲
は:Nd:[12.726,24.85](wt%);Pr:[3.1638,9.677](wt%);Dy:[0.506,12.49]
(wt%);Co:[0,3.4963](wt%);Cu:[0.0506,0.2248](wt%);及びFe:[63.6551
,70.009](wt%)であり得る。
【0148】
いくつかの例において、GBEシステムは、任意の適切な方法で、古いNdリッチな粒界相
を、希土類遷移元素添加物材料と置き換える。例えば、Ndリッチな粒界相が酸化されてい
て、水素プロセス加工中にH2と反応しない場合、GBEシステムは、Nd2Fe14B粉末を篩にか
けて、該Ndリッチな粒界相を除去してもよい。いくつかの例において、GBEシステムは、
該Nd2Fe14B粉末を篩にかけて、例えば、1マイクロメートル未満のナノメートルサイズを
有し、Ndリッチな粒界相粒子を含む超微粒子を除去してもよい。いくつかの実施において
、GBEシステムは、希土類遷移元素添加物材料とは別にNd2Fe14B焼結磁石を断片化するこ
とで、篩分けプロセスの間に該添加物材料の一部を除去しなくてもよい。
【0149】
希土類遷移元素添加物材料は、磁性材料組成物の元素分析、及びあらかじめ決められた
目標とする処方及び磁気性能を達成するのに適するであろうと実験及び推定で定められた
配合のデータベースを用いるか、又は任意の他の適切な方法により選択されてもよい。例
えば、該データベースは、結果として生じる焼結磁石製品が所望の性質を達成するための
、磁性材料及び該磁性材料に添加された希土類遷移元素添加物材料の組成性質を示す過去
のデータを含み得る。
【0150】
いくつかの例において、システムは、以下の式を使用して、例えば、工程918で作製さ
れる焼結磁石製品中の元素の総量を決定してもよい。例えば、焼結磁石製品中のNdの最終
値f1は、w=[81,99.9](at%)、1-w=[0.1,19](at%)、p1が、最初の合金中の
Ndの量、及びa1が、元素添加物材料中のNdの量である場合、f1=w×p1+(1-w)×a1で
あり得る。焼結磁石製品中のPrの最終値f2は、a2が、元素添加物材料中のPrの量である場
合、f2=(1-w)×a2であり得る。焼結磁石製品中のDyの最終値f3は、a3が、元素添加物
材料中のDyの量である場合、f3=(1-w)×a3であり得る。焼結磁石製品中のCoの最終値
f4は、a4が、元素添加物材料中のCoの量である場合、f4=(1-w)×a4であり得る。焼結
磁石製品中のCuの最終値f5は、a5が、元素添加物材料中のCuの量である場合、f5=(1-w
)×a5であり得る。焼結磁石製品中のFeの最終値f6は、p2が、最初の合金中のFeの量であ
り、a6が元素添加物材料中のFeの量である場合、6=w×p2+(1-w)×a6であり得る。焼
結磁石製品中のOの最終値f7は、p4が、最初の合金中の、例えば、該合金の加工後のOの量
であり、a7が、元素添加物材料中のOの量であり、かつ、E_Oが、組み合わされた合金及び
元素添加物材料を加工して、前記焼結磁石製品を作製する間に添加された酸素の量である
場合、f7=w×p4+(1-w)×a7+E_Oであり得る。焼結磁石製品中のCの最終値f8は、p5
が、最初の合金中の、例えば、該合金の加工後のCの量であり、a8が、元素添加物材料中
のCの量であり、かつ、E_Cが、組み合わされた合金及び元素添加物材料を加工して、前記
焼結磁石製品を作製する間に添加された炭素の量である場合、f8=w×p5+(1-w)×a8
+E_Cであり得る。焼結磁石製品中のBの最終値f9は、p3が、最初の合金中のBの量である
場合、f9=w×p3であり得る。
【0151】
いくつかの例において、Nの最終値f1は、[7.3635,11.1038](at%)の範囲内であり
得る。Prの最終値f2は、[1.445,3.6323](at%)の範囲内であり得る。Dyの最終値f3
は、[0.199,4.0535](at%)の範囲内であり得る。いくつかの実施において、希土類
遷移元素添加物材料中の希土類元素の総量は、[12.66,15.03](at%)の範囲内であり
得る。Coの最終値f4は、[0,3.098](at%)の範囲内であり得る。Cuの最終値f5は、[
0.0508,0.1849](at%)の範囲内であり得る。Feの最終値f6は、[76.3928,80.0287]
(at%)の範囲内であり得る。Oの最終値f7は、[0.09,4.0](at%)の範囲内であり得
る。Cの最終値f8は、[0.01,1.0](at%)の範囲内であり得る。Bの最終値f9は、[5.7
493,6.4244](at%)の範囲内であり得る。
【0152】
いくつかの例において、Nの最終値f1は、[16.125,24.575](wt%)の範囲内であり
得る。Prの最終値f2は、[3.125,7.75](wt%)の範囲内であり得る。Dyの最終値f3は
、[0.5,10](wt%)の範囲内であり得る。いくつかの実施において、希土類遷移元素
添加物材料中の希土類元素の総量は、[29,33](wt%)の範囲内であり得る。Coの最終
値f4は、[0,2.8](wt%)の範囲内であり得る。Cuの最終値f5は、[0.05,2.8](wt
%)の範囲内であり得る。Feの最終値f6は、[64.6705,69.2205](wt%)の範囲内であ
り得る。Oの最終値f7は、[0.01,0.9](wt%)の範囲内であり得る。Cの最終値f8は、
[0.01,0.5](wt%)の範囲内であり得る。Bの最終値f9は、[0.95,1.05](wt%)の
範囲内であり得る。
【0153】
912において、前記プロセスは、適当な手段により前記粉末を断片化し、均一に混合す
る。いくつかの実施において、このことは、約1~約4ミクロンの目標粒子サイズまでのジ
ェットミル加工により達成される。任意の適切な断片化装置、例えば、上でより詳細に記
載されたものを用いて、該粉末の断片化、均質化、又は双方を行ってもよい。いくつかの
実施において、工程910及び912は、同時に実施してもよい。いくつかの実施において、前
記希土類遷移元素添加物材料の少量分画を、水素化されるバッチに添加する代わりに、該
希土類材料を別途水素化して、912において混合してもよい。いくつかの例において、該
希土類遷移元素添加物を別途ミル加工して、磁性材料のミル加工後、例えば、磁性材料が
、好ましくは、十分に分割されて、高い圧力、例えば、60バール(6MPa)を用いて、約1
から約50ミクロンの範囲の粉末を形成する912の後に、添加してもよい。
【0154】
いくつかの実施において、GBEシステムは、例えば、水素混合反応器を使用した後に、
ジェットミル加工システムを使用して、結果として生じる粉末サイズが2~4.5μmの複合
粉末を均質化して、形成させてもよい。
【0155】
いくつかの実施において、GBEシステムは、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粉
末と、Nd2Fe14B粉末とを均質化して、バルクのNd-Fe-B型本体、例えば、最終焼結磁石
内に、新たな粒界元素濃度の均一な分布を得る。いくつかの例において、GBEシステムは
、均質化及び均一な分布化を使用して、異なる最初の焼結磁石由来の最終焼結磁石をより
均一なものとしてもよい。
【0156】
いくつかの例において、均質化は、粒サイズの減少、元のNd-Fe-B粉末、例えば、粒
の、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粉末による囲い込み、例えば、包囲、又は
双方を行い得る。いくつかの実施において、均質化は、GBEシステムが、Nd11.92Dy42.32C
o38.39Cu5.34Fe2.03at%の粗粉末及び初期のNd-Fe-B焼結磁石の粗粉末を、機械的な力
、例えば、H2を前記材料に加えて、例えば、約0.5μm~約5μmのサイズを有する小粒子か
らなる微粉末へと摩砕する細砕工程を含み得る。該機械的な力を材料、例えば、前記Nd11
.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%及びNd-Fe-B焼結磁石に加えることにより、該材料
から粒子を作製することができ、該粒子の表面積を増加させることができる。いくつかの
例において、均質化は、Nd2Fe14B粒子内での、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%
粒子のランダムな分布を引き起こし得る。いくつかの例において、GBEシステムは、Nd2Fe
14B粉末内でのNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粉末の分布を、スパイラルミキサ
ー、V型ブレンダー、もしくはツインシェルV型ブレンダー、ジェットミル加工、ボールミ
ル加工、高エネルギーミル加工を含む機械的混合デバイスを用いて、又は水素混合反応器
などの機械化学的デバイスを用いて均質化させてもよい。
【0157】
914において、前記プロセスは、より大きな粒子、例えば、約1mmの粒子を、前記断片化
された材料から篩分ける。例えば、GBEシステムは、より大きな粒子、例えば、約500ミク
ロン~約2mmの粒子を、前記微粉末から篩分けることにより、粉末の酸化画分を処理する
。この手法は、回収される希土類磁石材料の主画分と比較して酸化物が堅く、このことに
より、該酸化された粒子が、より小さな部分へと断片化されることが妨げられるという理
由で、該酸化画分を除去するのに効果的である。例えば、水素化、ミル加工、ジェットミ
ル加工、圧砕、又は他の適切な方法は、酸化物を分解させる傾向が低い場合があり、酸化
物のサイズ分布をより大きくし、篩分けにより微粉末における酸化物の比率を無くす又は
減少させることができる。
【0158】
916では、前記プロセスは、プレス機械を満たし、該プレス機械内に磁場を確立するこ
とにより、前記微粉末をプレスし、かつ整列させ、圧粉体を形成させ、かつ、918におい
て、該プロセスは、該圧粉体を焼結及び熱処理して最終焼結磁石製品を形成させる。例え
ば、GBEシステムは、鋳造合金薄片内に当初形成されていた2:14:1相粒間の粒界内に前記
希土類遷移元素添加物材料が存在する圧粉体を作製する。希土類遷移元素添加物材料は、
該2:14:1相粒の間に均一に分布する。最終焼結磁石製品は、高密度、例えば、7.5~7.6g/
cm3の複合体であり得る。
【0159】
希土類遷移元素添加物材料は、例えば、実質的にNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03a
t%である新たな粒界相を形成し得る。いくつかの実施において、該新たな粒界相は、前
記最初の焼結磁石にそれまで含まれていた初期の粒界相を実質的に置き換える。例えば、
該Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粒界相は、古いNdリッチな粒界相を実質的に
置き換える。該新たな粒界相は、増加する体積分率と共に増加した粒界凝集力を有し得、
かつ、最終焼結磁石製品内での反転核形成側(reversed nucleation sides)の形成及び
成長のための核形成サイトとして作用し得る。いくつかの例において、該新たな粒界相は
、該最終焼結磁石の個々の粒上の表面欠陥の可能性を抑制し得る。
【0160】
いくつかの実施において、GBEプロセスは、粉体混合、及び水素混合反応器を使用して
、Nd2Fe14B合金及びNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%複合混合物を調製してから
、該合金からNdリッチな相を除去してもよい。GBEプロセスは、例えば、Nd11.92Dy42.32C
o38.39Cu5.34Fe2.03at%を前記希土類遷移元素添加物材料として用いて、新たな粒界相の
体積分率が10から90vol%へと増加することにより、密度の向上を示す該新たな粒界相を
有する最終焼結磁石を作製し得る。いくつかの例において、希土類遷移元素添加物材料は
、焼結プロセスをより効率的にすること、より良好な機械的性質を最終焼結磁石に付与す
ること、又は双方により、例えば、粒界相の10~30vol%及び50~90vol%の範囲で、焼結
助剤として作用し得る。いくつかの例において、GBEシステムが、前記GBEプロセスを使用
して新たな粒界相を最終焼結磁石へ添加する場合、該最終焼結磁石は、向上した耐食性を
有する。
【0161】
例えば、図11は、GBE最終磁石と他のNd-Fe-B磁石、例えば、廃棄焼結Nd-Fe-B磁石
の耐食性を比較するグラフを示す。例えば、図11は、以下の焼結磁石:(a)1at%のNd/Pr
を添加した最終GBE Nd-Dy-Fe-Co0.78-B磁石、(b)Nd-Dy-Fe-Co0.9-B磁石、(c
)Nd-Dy-Fe-Co0.7-B磁石、(d)Nd-Dy-Fe-Co0.5-B磁石、及び(f)Nd-Fe-B従
来型磁石の表面積1cm2あたりのミリグラムで示した重量減少を示す。該磁石は、IEC 68-
2-66と同様の、130℃及び2.7バール(270kPa)、水蒸気中での高度加速ストレス試験を
用いて、曝露時間20日で、磁石のCo濃度への依存性に関して試験した。
【0162】
GBEシステムにより、未使用の添加物材料を、廃棄Nd-Fe-B粉末へ添加して、回復した
磁気性能、微細構造、及び密度を有するGBE最終磁石を作製した。該未使用の添加物材料
は、例えば、Nd及びPr、又はNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%、又はNdと2種の
追加材料、又はPrと2種の追加材料であってもよい。該追加材料は、Fe、Co、Cu、Dy、Nd
、又はPrから選択されてもよい。該GBE最終磁石は、試験した他の磁石と比較して向上し
た耐食性を有する。この例において、該耐食性は、新たに改質されたNd11.92Dy42.32Co38
.39Cu5.34Fe2.03at%粒界相が10vol%含有されて、古いNdリッチな粒界相と置き換わると
増加し始める。
【0163】
いくつかの実施において、最初の焼結磁石、例えば、廃棄Nd-Fe-B焼結材料又は新た
な焼結磁石の出発組成は、Prを5.585wt%で、Ndを23.615wt%で、Dyを0.4wt%で、Coを0.
79wt%で、Cuを0.1wt%で、Bを0.98wt%で、Cを0.0704wt%で、Oを0.059wt%で、及びFe
を68.4006wt%で含んでいてもよい。最終焼結磁石の最後の組成は、Prを5.22wt%で、Nd
を22.88wt%で、Dyを0.93wt%で、Coを1wt%で、Cuを0.12wt%で、Bを1wt%で、Cを0.13w
t%で、Oを0.12wt%で、及びFeを68.6wt%で含んでいてもよい。
【0164】
いくつかの実施において、GBEシステムは、適切な粒界工学的手法を設計し得る。例え
ば、GBEシステムは、不規則的又は規則的粒界の平衡の度合いに関する世界的動向情報を
使用して、全体的な粒サイズを粒界偏析工学により減少させ、粒界エネルギー及び粒界モ
ビリティーの減少に繋げてもよい。いくつかの例において、GBEシステムは、起こりうる
粒界偏析のための出発情報及び粒成長阻害のための微細構造情報として、偏析の結晶学的
分析及び元素分析、又は粒内部及び隣接するNd2Fe14B粒界間の新たな粒界Nd11.92Dy42.32
Co38.39Cu5.34Fe2.03at%の体積分率の全添加定量化、又は双方を必要とし得る。いくつ
かの実施において、粒界工学は、前記最終磁石本体全体の、例えば、前記粒界の全体にわ
たるNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体粉末の均一な分布をもたらす。
【0165】
いくつかの実施において、GBEシステムは、プロセス900、プロセス900の工程のうちの
いくつか、又は他の適切な方法を使用して別の種類の磁石の粒界を改質してもよい。例え
ば、GBEシステムは、Nd2(FeCo)14B焼結磁石又はSm2Co17焼結磁石の粒界を改質してもよ
い。いくつかの例において、Sm2Co17焼結磁石の粒界を改質する場合、GBEシステムは、Sm
、Co、Zr、Fe、又はCuのうちの1種以上の組合せを添加してもよい。
【0166】
(実施例2)
GBE技術を用いて作製された磁石は、向上した温度性能を有する。例えば、GBE技術を用
いて作製された磁石は、向上した熱的安定性及び向上した磁気性能を有する。例えば、寿
命の終わりの製品由来のNd-Fe-B再生可能材料などの再生磁石は、該再生Nd-Fe-B磁石
を作製するために加工されたインプット材料、例えば、初使用磁石と比較して、向上した
熱安定性を有し得る。インプットされた初使用、又は概ね初使用のNd-Fe-B磁性材料か
ら作られ、GBE技術を用いて加工された磁石は、他のプロセスを用いて作られた磁石と比
較して、向上した熱安定性を有し得る。
【0167】
表5は、2つの出発磁石である出発磁石1及び出発磁石2、並びに該出発磁石から作られた
2つの最終磁石である最終磁石1及び最終磁石3のICP組成を示す。最終磁石1は、GBE技術を
用いて添加された添加物材料の0.5at%の添加を含み、最終磁石2及び3は、それぞれ、GBE
技術を用いて添加された添加物材料の2at%及び3at%の添加を含む。
【0168】
出発磁石1は、2at%の添加を伴い最終磁石2の出発磁性材料として、また、3at%の添加
を伴い最終磁石3の出発磁性材料として使用された。出発磁石2は、最終磁石1の出発磁性
材料として使用された。出発磁石1及び2は、初使用磁性材料から作られており、すなわち
、再生磁石ではなかった。
【表5】
【0169】
試験を実施して、出発磁石及び最終磁石の熱安定性を決定した(すなわち、20~200℃
で、透磁率計を使用)。各磁石は、円柱形状及び0.9cm/1cm=0.9である長さ/直径比L/Dを
有しており、例えば、それぞれの磁石の長さ/直径比L/Dは、同一であった。試験は、各磁
石を透磁率計内に入れ、各磁石の残留磁気及び保磁力を室温で測定することにより進行す
る。試験は、温度を上昇させ、該温度を各ステージで15分保持してから、再び各磁石の残
留磁気及び保磁力を測定することで続けられた。
【0170】
出発磁石1及び出発磁石2は、消磁曲線の急な屈曲部、例えば、残留磁気が急激にゼロへ
と低下する点を、かろうじて80℃を超える温度に有していた。最終磁石1は、消磁曲線の
急な屈曲部を、120℃に有していた。最終磁石3は、消磁曲線の急な屈曲部を、200℃を超
える温度に有していた。これらの結果は、最終磁石1及び最終磁石3の双方が、出発物質1
及び2の双方よりも熱的に安定であること、及び最終磁石3が、試験したこれら4つの磁石
のうちで最も熱的に安定であることを示す。
【0171】
温度に対してプロットされた可逆的減少係数α及びβは、磁石が、特定の温度で動作し
た場合の、残留磁気及び保磁力の可逆的な減少を示す。例えば、以下の表6に、温度範囲
並びに出発磁石1及び最終磁石3の可逆的な減少α及び保磁力の可逆的な減少βをまとめた

【表6】
【0172】
磁石の磁束φが、その温度に保持されている間はわずか5%だけ減少し、かつ冷却の間
は可逆的なままである温度を、T5%と定義する。磁石の該温度を決定するために、該磁石
を20~200℃の範囲の種々の温度に2時間保持した後に、該磁石の磁束の読み取り値を得た
。最終磁石2及び最終磁石3を試験したところ、双方の磁石は、200℃という、磁束がわず
か5%だけ減少した最高温度T5%を有していた。
【0173】
図12A及び12Bは、出発磁石及び最終磁石の残留磁気の可逆的な減少αを示す。例えば、
図12Aは、出発磁石1、最終磁石2、及び最終磁石3の残留磁気の可逆的な減少αを示す。例
えば、最終磁石3は、各温度範囲で、出発磁石1と比較してより優れたαを有しており、そ
の向上は、80℃での84%から200℃での25%の範囲である。最終磁石2は、各温度範囲で、
出発磁石1と比較して向上したαを有していた。図12Bは、出発磁石2及び最終磁石1の残留
磁気の可逆的な減少αを示す。最終磁石1は、各温度範囲で、出発磁石2と比較してより優
れたαを有していた。
【0174】
図13A及び13Bは、出発磁石及び最終磁石の保磁力の可逆的な減少βを示す。最終磁石1
は、温度が上昇するにつれて減少するβを有する。例えば、温度が上昇するにつれて、保
磁力の減少は飽和する。
【0175】
例えば、図13Aは、出発磁石1、最終磁石2、及び最終磁石3の保磁力の可逆的な減少βを
示す。図13Bは、出発磁石2及び最終磁石1の保磁力の可逆的な減少βを示す。再生最終磁
石2及び3は、出発磁石と比較した場合に、各温度でβの向上した値を示した。例えば、最
終磁石3は、出発磁石1と比較して、各温度範囲でより優れたβを有しており、その向上は
、80℃での26%から200℃での6%の範囲である。
【0176】
最終磁石1、最終磁石2、及び最終磁石3は、保磁力(iHc)値の全体的な向上を有する。
例えば、それぞれの出発磁石と比較した場合の、温度範囲全体にわたる最終磁石1、2、及
び3の平均の保磁力(iHc)向上は、それぞれ、16%、70%、及び128%である。
【0177】
表7は、初使用材料から作られたNd-Fe-B磁石、及び再生Nd-Fe-B磁石の可逆的な係
数α及びβを示す。再生磁石は、初使用材料から作られた磁石と比較して、向上したα及
びβを有する。詳細には、該再生磁石は、初使用材料から作られた磁石よりも10倍優れた
80℃での残留磁気の可逆的な減少αを有する。140℃では、該再生磁石は、初使用材料か
ら作られた磁石の残留磁気(romance)の可逆的な減少αよりも2倍良好な残留磁気の可逆
的な減少αを有する。
【表7】
【0178】
いくつかの実施において、GBEプロセスを用いて磁性材料へ添加される元素添加が多い
ほど、結果として生じる最終製品が、出発磁性材料と比較して、より熱的に安定となる。
いくつかの例において、GBEプロセスは、出発物質又は別のプロセスを用いて作製された
磁性材料と比較して、向上した温度安定性及び保磁力をもたらし得る。
【0179】
(実施例3)
いくつかの例において、廃棄磁石を、GBE技術を用いて加工してもよい。例えば、GBEシ
ステムは、例えば、廃棄磁石の作製を含む工程902から908を用いて磁石を作製し得る。い
くつかの例において、該廃棄磁石は、別のプロセスを用いて作製してもよく、又は別のシ
ステムからGBEシステムにより入手してもよい。
【0180】
GBEシステムは、上述の工程910から918を用いて廃棄磁石を加工する。いくつかの実施
において、廃棄磁石及び再生磁石は、以下の表8に示した性質と同様の性質を有し得る。
上述のように、添加物材料中に含まれる元素の量及び種類は、同一の性質を有する最終磁
石となるように、異なる廃棄磁石のそれぞれに対して調整し得る。いくつかの例において
、1at%のNd/Prを、廃棄磁石のそれぞれから形成された粒子に加えた。
【表8】
【0181】
最終磁石の残留磁気(Br)は、1.25Tであり得る。最終磁石の保磁力(iHc)は、1710kA
/mであり得る。最終磁石のエネルギー積(BHmax)は、303kJ/m3であり得る。最終磁石製
品は、7.55g/cm3の密度を有し得る。
【0182】
図14は、例えば、1at%のNd/Pr混合物添加をした混合グレードの廃棄磁石から作られた
、実施例2に記載した最終磁石の例示的性質のグラフを示す。例えば、該最終磁石は、古
いNdリッチな粒界相を置き換えるNd/Pr粒界相を含み得る。
【0183】
図15は、廃棄焼結磁石及び例えば、GBEプロセスを用いて加工された再生磁石の磁気性
能のいくつかの例を示す。例えば、複数の廃棄焼結磁石を、廃棄焼結磁石が異なる元素組
成を有している消費者向け製品から収集した(例えば、該廃棄焼結磁石のICP分析に関し
ては、表8を参照されたい)。
【0184】
この例において、保磁力は、磁石、例えば、廃棄焼結磁石及び再生磁石の双方における
個々の粒の表面欠陥における、いわゆる反転ドメイン(reverse domain)の核形成により
制御された。GBEシステムは、例えば、Nd/Pr添加物材料を用いる新たな粒界相を加えるこ
とにより、これらの欠陥の形成を抑制し得る。ここで、該新たな粒界相は、加工後に、Nd
-Fe-B相粒を包囲して、クラック、バンプ、ピットなどの表面欠陥の発生を最小化し得
る。
【0185】
いくつかの実施において、GBEシステムは、該再生磁石を、図15に示されるように廃棄
焼結磁石と同等以上の保磁力を有するように作製し得る。いくつかの例において、GBE前
の出発磁石の保磁力は、約1400kA/mであり、GBEを用いて加工された磁石の保磁力は、170
0kA/mである。例えば、再生磁石を形成する場合、以下のGBEプロセス:a)Nd/Pr添加物材
料及びNd-Fe-B廃棄磁石からの複合粉末の調製;b)加工パラメーター、例えば、ジェッ
トミル加工、焼結パラメーター、及びアニーリングの調整;又はc)双方により、廃棄磁石
の保磁力を回復又は向上し得る。GBEシステムは、新たなNd/Pr粒界ゾーンが、より均一な
Nd2Fe14Bマトリックス相粒の包み込みを形成する場合に、反転ドメイン核形成サイトの形
成を妨げることにより、廃棄焼結磁石と比較した再生磁石の性能を向上し得る。いくつか
の例において、GBEシステムは、新たなNd/Pr粒界相を用いて、Nd-Fe-B型焼結磁石内部
での反転ドメインの形成及び成長のための核形成サイトとして作用し得る「古い」Ndリッ
チな相粒界を「きれいに」し得る。これは、新たなNd/Pr粒界相の増加する体積分率とと
もに増加した粒界凝集力のためである。
【0186】
(実施例4)
いくつかの実施において、GBEシステムが、スプレー微粒化装置を使用する場合、該GBE
システムは、初め、測定密度が8.375g/cm3、及び理論値からの差異が約95~98%の単一相
のNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粉末を使用してもよい。該スプレー微粒化装
置は、8.08g/cm3の密度を有するNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体を作製し
得る。その後、GBEシステムは、該Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体、例え
ば、前記微粒化粉末を、Nd2Fe14B焼結ブロックと共に水素混合反応器へと移送して、該前
駆体及び該焼結ブロックから複合粉末を生成してもよい。
【0187】
例えば、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体及び焼結ブロックを水素混合
反応器に配置した後に、該水素混合反応器を排気し、その後、水素を12時間導入してもよ
い。水素は、Nd2Fe14B焼結ブロック及びNd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体
粉末により吸収されて、焼結ブロックを膨張させ粗粉末へと分解させ、かつNd11.92Dy42.
32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%前駆体粉末をさらに分解させて、微粒化プロセスの間に蓄積
された捕捉ガスを放出させる。水素混合プロセスは、約2バール(約200kPa)の絶対圧力
下で、水素を水素混合チャンバー内に一定供給しながら、該混合プロセスが完了するまで
行ってもよい。その後、GBEシステムは、該粉末を、該水素混合チャンバーで、例えば、
その場で、550℃まで加熱して、該複合混合物を部分的に脱着、例えば、粉末粒子の本体
から水素を放出させてもよい。
【0188】
(実施例5)
いくつかの実施において、GBEプロセスを用いて生成された最終磁石製品は、他の磁石
、例えば、他の再生磁石と比較して向上した温度安定性を有し得る。例えば、GBEシステ
ムは、例えば、水素混合プロセスを用いてNd-Fe-B材料から粉末を作製し、該粉末をNd1
1.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%と混合して、前記古いNdリッチな粒界相を、新たな
Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粒界相と置き換え得る。該粉末と該Nd11.92Dy42
.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%との混合は、該Nd-Fe-B粉末の全体にわたり新たなNd11.92
Dy42.32Co38.39Cu5.34Fe2.03at%粒界相を均質化し得る一方で、該古いNdリッチな粒界相
は、例えば、篩分け、空気吹き付け、振動、形状分離、密度勾配分離、ツインシリンダー
重力分離、又はこれらのうちの2つ以上の組合せにより除去される。
【0189】
GBEシステムは、複合原料粉末を入手して、該複合原料粉末を、磁場中で、例えば、磁
場配向下中間雰囲気(inter atmosphere)で配向させてもよい。複合原料粉末を磁場中で
配向させる一方で、GBEシステムは、該粉末を圧縮成形して、前記磁場をかけて、成形複
合体を得てもよい。GBEシステムは、該成形複合体本体を焼結して、最終焼結磁石製品を
得てもよい。
【0190】
図16は、GBEプロセスを用いた加工をしていない磁石の消磁曲線の例を示す。図17は、G
BEプロセスを用いて加工され、例えば、図16と比較してより優れた図17の角形性ファクタ
ーにより示される向上した温度安定性を有する磁石の消磁曲線の例を示す。例えば、25℃
では、図16に示されるように、出発物質の保磁力は、1000~1100kA/mであり、図17に示さ
れるように、最終磁石の保磁力は、1800~1900kA/mである。性質が図17に示される磁石と
比較した、性質が図16に示される磁石からの含量の変化、例えば、0.4wt%のDyから3.4wt
%のDyへの変化は、前記希土類元素添加物材料に起因する。いくつかの例において、Cu、
Nd、Co、又はこれらのうちの2つ以上の含量は、出発磁石又は出発磁性材料と比較して、G
BEプロセスを用いて加工された磁石において高くてもよい。
【0191】
(実施例6)
いくつかの実施において、システムが、粒界工学をスクラップ材料に対し実施する場合
、該スクラップ材料は、粒界、Nd2Fe14B1マトリックス相、又は双方中に、大量のDyを含
有していてもよい。該大量のDyは、該スクラップ材料から作られる最終磁性製品の磁気性
能の低下の一因となり得る。スクラップ材料から作られる最終磁性製品における残留磁気
(Br)を増加させるために、システムは、DyをFeで置き換えることにより、該スクラップ
材料から該Dyを除去してもよく、例えば、システムは、Feを該スクラップ材料中にポンプ
で送り込むことにより、該スクラップ材料からDyを押し出してもよい。システムは、該ス
クラップ材料と混合される添加物材料中のFeを使用して、例えば、混合プロセスの間に該
スクラップ材料からDyを除去してもよい。
【0192】
システムは、Dyを全く含まない添加物材料を前記スクラップ材料と混合してもよい。該
添加物材料は、以下の表9に示されるように、大量のFe、Nd、Co、又はこれらのうちの2つ
以上を含んでいてもよい。例えば、システムは、最終磁性製品の高い磁気性能を確実なも
のとするために、該スクラップ材料へのFeの添加、該スクラップ材料からのDyの除去、又
は双方を行って、可能な限りNd2Fe14B1相に近づけてもよい。例えば、システムは、該ス
クラップ材料へのFeの添加、該スクラップ材料からのDyの除去、又は双方を行って、残留
磁気(Br)を増加させ、保磁力(iHc)を減少させてもよい。
【0193】
表9は、2つの出発スクラップ材料s1及びs2、添加物材料a、並びに該2つの出発スクラッ
プ材料及び添加物材料から作られた最終磁性製品fの量を重量パーセントで示す。例えば
、以下の表9において、s1(e)は、第1の出発スクラップ材料s1中の元素eの量を重量パー
セントで表わし、s2(e)は、第2の出発スクラップ材料s2中の元素eの量を重量パーセン
トで表す。以下の表9において、添加物材料a中の元素eの重量パーセントでの量は、a(e
)で表わされ、最終磁性製品f中の元素eの重量パーセントでの量は、f(e)で表わされる
【0194】
明確化のために、いくつかの少量元素は、表9から省略されている。表9における量は、
±0.01~0.08wt%の誤差 を有する(ICP読み取りのため)。
【表9】
【0195】
表9に示した実施例において、システムは、例えば、最終磁性製品f中の各元素eについ
て、f(e)=40wt%×s1(e)+40wt%×s2(e)+20wt%×a(e)となるように、40wt%
×s1+40wt%×s2+20wt%×aからの最終磁性製品を混合する。例えば、システムは、40k
gのs1、40kgのs2、及び20kgのaを混合して、100kgの最終磁性製品fを作製した。
【0196】
表10は、2つの出発物質s1及びs2、並びに最終磁性製品fの磁気性能を示す。例えば、表
10は、40wt%×s1を、40wt%×s2及び20wt%×aと混合して、最終磁性製品fを作製するシ
ステムが、最終磁性製品fの性能を、2つの出発物質の一方又は双方と比較して向上させ得
ることを示す。例えば、該システムは、残留磁気(Br)の増加、エネルギー積(BHmax)
の増加、平均保磁力(iHc)の減少、又はこれらのうちの2つ以上を行い得る。
【表10】
【0197】
いくつかの実施において、GBE方法は、本明細書に記載される組成又は方法への、1以上
の希土類元素添加物の0.1~19wt%の添加を提供する。別の態様において、方法は、本明
細書に記載される組成又は方法への、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約
0.5wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%
、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%
、約17wt%、約18wt%、又は約19wt%の1以上の元素添加又は1以上の元素添加の組合せの
添加を提供する。さらに別の態様において、方法は、本明細書に記載される組成又は方法
への、約0.1~0.5wt%、約0.1~1wt%、約0.5~1wt%、約1~2wt%、約1~3wt%、約1~5
wt%、約1~8wt%、約1~12wt%、約1~15wt%、約1~19wt%、約2~4wt%、約2~6wt%
、約2~12wt%、約2~19wt%、約3~5wt%、約3~8wt%、約3~15wt%、及び約3~19wt%
の1以上の元素添加又は1以上の元素添加の組合せの添加を提供する。
【0198】
いくつかの実施において、前記最初の焼結磁石ブロック、及び任意に前記添加物材料の
水素混合プロセスは、20~150℃で、1~60バール(0.1~6MPa)の圧力で、水素雰囲気下
実施してもよい。該最初の焼結磁石ブロックは、いくつか例を挙げるとすれば、任意の適
切なプロセスを用いて作製してもよく、又は供給業者から購入してもよい。その後、該水
素混合プロセスから生じた粉末を、好ましくはその場で、550~600℃まで加熱して、該混
合物を部分的に脱ガスしてもよい。混合工程により生じた粉末中の平均粒子サイズは、1
μm~2000mmの範囲内であり得る。50バール(5MPa)の圧力を使用した場合、平均粒子サ
イズは、元の磁性材料中に存在する粒サイズ、例えば、2~8μm、及び酸化のために水素
と反応しなかった500μm~2000mmの範囲の粒子に相当し得る。該粉末を、篩にかけて、酸
化された粗い希土類粉末を除去してもよい。
【0199】
いくつかの実施において、水素混合プロセスは、粒子が最終磁石として十分に小さくな
り、ジェットミル加工操作を省略可能とすることを確実とするのに十分に高い圧力を採用
する。この例において、より大きな粒子を除去し、それにより、より高い酸素濃度の粒子
を除去する篩分けは、有利となり得る。該篩分けは、該酸化物が、磁石から回収された材
料のうちのより硬い画分を構成し、かつより小さな粒子サイズへの還元に抵抗性があるた
めに、効果的となり得る。
【0200】
磁性粉末混合物の更なる混合及び均質化は、該混合物のさらなる均質化のためにローラ
ーミルへと移してもよい。該ミル加工された材料は、ローラーミル加工の間に、例えば、
1%のZnステアリン酸塩を用いて潤滑化されてもよい。ローラーミル工程の後に、磁性粉
末を篩にかけて、任意の残存する希土類酸化物をさらに除去してもよい。いくつかの実施
において、該篩分けは、500μmよりも大きい粒子を除去するように選択的であってもよい
【0201】
ローラーミル加工に用いられる潤滑剤は、低い酸素含量を有してもよく、かつ/又は結
合剤を含有してもよい。潤滑剤の例としては、オレアミドもしくはアミドなどのアミド、
又は他の低級炭素-水素化エステル(lower carbon-hydrogenate esters)、又は、オレ
イン酸などの脂肪酸が挙げられる。
【0202】
粉末は、ジェットミル加工によりさらに均質化されてもよい。いくつかの実施において
、噴射は、空気又はHe、Ar、又はNなどの不活性ガスを用いて形成されてもよい。該ジェ
ットミル加工を、混合物を均質化し、かつさらに1~4μmのサイズを有する個々の粒の凝
集体を崩壊させるような時間、例えば、1~4時間、及びそのような速度で実施してもよい
。いくつかの実施において、該ジェットミル加工は、24時間以内で完了させ得る。
【0203】
いくつかの実施において、Nd-Fe-B元素添加物のジェットミル加工と比較して、Nd-F
e-B粉末のジェットミル加工の時間の80%の減少が観察されることもある。磁石の平均粒
子サイズは、4~10μmの範囲内であり得る。ジェットミル加工の間に、前記凝集体は、個
々の粒へと分解され得る一方、粗いままの酸化された希土類粉末は、例えば、より大きな
粒子サイズを有する。酸化された希土類粗粉末を除去することにより、出発磁性材料に取
り込まれていた酸素の量を、減少させることができ、より好ましくは最終磁石において抑
制することができる。この段階は、磁性粉末及び(RE(TM)x)元素添加物の未使用の添
加物材料との混合物を均質化するという目的で、好ましくは酸素汚染の全くない、例えば
、Arガスを用いた不活性雰囲気下で行って、粒界に沿って偏析した個々の粒を分解し得る
。RE(希土類)は、Nd、Pr、Dy、Tb、Y、La、又はSmの任意の組合せを指し、TM(遷移元
素添加物材料)は、Co、Ni、V、Nb、Mo、Ti、Zr、Al、Cu、Ga、又はFeの任意の組合せを
指す。
【0204】
粒子の還元、混合、及び篩分けが完了した後に、粉末を整列させ、かつプレスして、空
気又は不活性雰囲気中で圧粉体を形成させてもよい。プレス及び整列の前に、潤滑剤を、
該粉末に適用してもよい。圧粉体を、磁場中でプレスして、かつ整列させてもよい。その
後、圧粉体を、1050~1100℃の範囲内で、保持時間が5時間の焼結、及びそれに続く900℃
で5時間及び550℃で3時間の熱処理に直接進めてもよい。焼結温度の選択は、水素化/混合
工程に先立ち添加された全希土類添加の量次第で決まる。
【0205】
いくつかの実施において、有利には、例えば、焼結磁石由来の元の材料と、未使用の元
素添加物との均質化を容易にするために水素混合を用いてもよい。これに続き、コスト効
率的な拡大縮小可能な加工に適したプロセスにおいて、追加の材料、例えば、希土類酸化
物又はNd/Prとのさらなる均質化のために用い得るジェットミル加工を行ってもよい。他
の実施としては、ミル加工、ローラーミル加工、高エネルギーボールミル加工、転動、及
び他の混合工程が挙げられる。
【0206】
いくつかの実施において、方法は、本明細書に記載される組成又は方法への、0.1~19w
t%の1以上の希土類元素添加物の添加を提供する。別の態様において、方法は、本明細書
に記載される組成又は方法への、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5w
t%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、又は約8wt%
の1以上の希土類元素添加物又は1以上の希土類元素添加物の組合せの添加を提供する。さ
らに別の態様において、方法は、本明細書に記載される組成又は方法への、約0.1~0.5wt
%、約0.1~1wt%、約0.5~1wt%、約1~2wt%、約1~3wt%、約1~5wt%、約1~8wt%、
約2~4wt%、約2~6wt%、約3~5wt%、又は約3~8wt%の1以上の希土類元素添加物又は1
以上の希土類元素添加物の組合せの添加を提供する。
【0207】
前述の及び他の実施態様は、それぞれ任意に、以下の特徴のうちの1以上を単独で又は
組み合わせて含み得る。前記方法は、前記断片化及び前記混合を同時に実施することを含
み得る。断片化することは、前記材料を1~4μmの平均粒子サイズまで断片化することを
含み得る。断片化することは、粒子の平均サイズよりも大きいサイズの粒子画分の粒子を
除去して、低い酸素濃度を得ることを含み得る。粒子の平均サイズよりも大きいサイズの
粒子画分の粒子を除去して、低い酸素濃度を得ることは、篩分けを含み得る。
【0208】
いくつかの実施において、前記方法は、前記均質な粉末を、前記希土類材料R又は前記
元素添加物Aから選択されるもう一つの元素と混合することを含む。断片化することは、
断片化して、約1ミクロン~約2ミリメートルの平均粒子サイズを有する粉末を形成させる
ことを含み得る。該方法は、該粉末を約1~約4ミクロンの平均粒子サイズまでさらに断片
化すること、及び該粉末を均質化することを含み得る。該粉末を均質化することは、約1
ミクロン~約2ミリメートルの平均粒子サイズを含み得る該粉末を均質化することを含み
得、該粉末を、a)前記希土類材料R、及びb)前記元素添加物Aと混合して前記均質な粉末
を生成させることは、約1~約4ミクロンの平均粒子サイズを有する該粉末を、a)該希土
類材料R及びb)該元素添加物Aと混合して、該均質な粉末を生成させることを含み得る。
前記粉末を、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質な粉末を
生成させることは、約1ミクロン~約2ミリメートルの平均粒子サイズを有する該粉末を、
a)該希土類材料R及びb)該元素添加物Aと混合して、前記均質な粉末を生成させることを
含み得、かつ該粉末を均質化することは、約1~約4ミクロンの平均粒子サイズを含み得る
該粉末を均質化することを含み得る。
【0209】
いくつかの実施において、前記方法は、前記希土類材料R及び前記元素添加物Aを別々に
断片化して、前記粉末を形成することを含み、ここで、該粉末を、a)該希土類材料R及び
b)該元素添加物Aと混合して、前記均質な粉末を生成させることは、該粉末を、a)該断
片化された希土類材料R及びb)該断片化された元素添加物Aを混合して、該均質な粉末を
生成させることを含み得る。
【0210】
いくつかの実施において、前記方法は、前記均質な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-
B磁性製品を形成させることを含み得る。該均質な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁
性製品を形成させることは、該均質な粉末を成形(compacting)して圧粉体を形成させ、
約1000℃~約1100℃で該圧粉体を焼結し、不活性雰囲気中、15℃未満で該焼結された圧粉
体を磁化して、該Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含み得る。前記方法は、前記焼
結された圧粉体を磁化する前に、該焼結された圧粉体を約490℃~約950℃で熱処理するこ
とを含み得る。前記方法は、前記圧粉体を15℃未満で不活性な磁場に曝露することを含み
得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のCoの原子百分率は、3%以下であり得る。前記Nd-Fe-
B磁性製品中のCuの原子百分率は、0.3%以下であり得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のFe
及びCoを合わせた原子百分率は、77%以下であり得る。前記Nd-Fe-B磁性製品中のNd、D
y、及びPrを合わせた原子百分率は、18at%以下であり得る。前記方法は、前記均質な粉
末を成形して前記圧粉体を形成させる前に、潤滑剤を、該粉末に添加することを含み得る
。前記Nd-Fe-B磁性製品の保磁力は、約0から約20%大きいものであり得る。
【0211】
いくつかの実施において、前記方法は、前記粉末を焼結及び磁化して、少なくとも30%
増加した最終保磁力を有するNd-Fe-B磁性製品を形成させることを含み得る。前記方法
は、前記粉末を焼結及び磁化して、少なくとも80%増加した最終保磁力を有するNd-Fe-
B磁性製品を形成させることを含み得る。
【0212】
いくつかの実施において、前記方法は、前記均質な粉末を焼結及び磁化して、実質的に
WaRbAc(式中、Wは、Nd-Fe-B材料を含み得、添え字a、b、及びcは、対応する組成又は
元素の原子百分率を表す)の組成を有するNd-Fe-B磁性製品を形成させることを含み得
る。前記粉末を、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質な粉
末を生成させることは、該希土類材料R及び該元素添加物Aを均一に分布させることを含み
得、かつ該均質な粉末を焼結及び磁化してNd-Fe-B磁性製品を形成させることは、該Nd
-Fe-B磁性製品中の最初のNd2Fe14B相を包囲して平均的に増加している希土類材料Rの濃
度及び元素添加物Aの濃度を有する該Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含み得る。前
記Nd-Fe-B磁性製品を形成することは、該Nd-Fe-B磁性製品の全体に広がっている複数
の粒界領域において、平均的に粒界相の濃度及び元素組成を回復、改質、及び向上するこ
とを含み得る。
【0213】
いくつかの実施において、前記粉末を混合することは、該粉末を:Pr、Nd、Dy、Co、Cu
、又はFeのうちの少なくとも3元素と混合することを含み得る。前記元素添加物Aは、純粋
なNdを含み得る。前記元素添加物Aは、純粋なPrを含み得る。前記方法は、断片化の前に
、前記粉末に潤滑剤を添加することを含み得る。
【0214】
前述の及び他の実施態様は、それぞれ任意に、以下の特徴のうちの1以上を単独で又は
組み合わせて含み得る。前記Nd-Fe-B焼結磁石は、それぞれ、約0.1%未満、約3%未満
、及び約6%未満のBrの減少を伴った約27%を超える、約60%を超える、又は約83%を超
えるiHcの増加を示してもよい。前記希土類材料R及び前記元素添加物Aは、前記希土類材
料Rの濃度及び該元素添加物Aの濃度が、前記Nd-Fe-B磁石内の前記最初のNd2Fe14B相を
包囲する材料Wの混合物中で、平均的に増加するように、該Nd-Fe-B焼結磁石の全体にわ
たり均一に分布していてもよい。前記希土類材料R及び前記元素添加物Aの組合せの原子百
分率は、約0.1at%~約19at%を含み得る。前記Nd-Fe-B焼結磁石は、5ミクロン未満の
平均粒サイズを含み得る。前記Nd-Fe-B焼結磁石は、2.5ミクロン未満の平均粒サイズを
含み得る。前記Nd-Fe-B焼結磁石は、約7.56g/cm3~約7.6g/cm3の密度を含み得る。
【0215】
いくつかの実施において、前記Nd-Fe-B焼結磁石は、3%以下の原子百分率のCoを含み
得る。前記Nd-Fe-B焼結磁石は、0.3%以下の原子百分率のCuを含み得る。前記Nd-Fe-
B焼結磁石は、合わせて77%以下の原子百分率のFe及びCoを含み得る。前記Nd-Fe-B焼結
磁石は、合わせて18%以下の原子百分率のNd、Dy、及びPrを含み得る。前記元素添加物A
は、純粋なNdを含み得る。前記元素添加物Aは、純粋なPrを含み得る。
【0216】
本明細書に記載される主題及び機能的操作の実施態様は、本明細書に開示されている構
造及びそれらの構造均等物を含むデジタル電子回路、有体物として具現化されたコンピュ
ーターソフトウェアもしくはファームウェア、コンピューターハードウェア、又はこれら
のうちの1種以上の組合せにおいて実施し得る。本明細書に記載される主題の実施態様は
、データ処理装置による実行のための、又はデータ処理装置の操作を制御するための、有
体の非一時的なプログラムキャリアー上に符号化された、1以上のコンピュータープログ
ラム、すなわち、1モジュール以上のコンピュータープログラム命令として実施し得る。
それに代えて、又はそれに加えて、該プログラム命令は、人工的に生成され伝搬される信
号、例えば、あるデータ処理装置による実行のための適当な受信機装置への送信のための
情報を符号化するよう生成された、機械生成の電気的、光学的、又は電磁的信号上に符号
化され得る。該コンピューター記憶媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、
ランダム又はシリアルアクセスメモリデバイス、又はこれらのうちの1種以上の組合せで
あり得る。
【0217】
用語「データ処理装置」は、データ処理ハードウェアを指し、例として、プログラム可
能なプロセッサ、コンピューター、又は複数のプロセッサもしくはコンピューターが含ま
れるあらゆる種類のデータを処理するための装置、デバイス、及び機械を包含する。該装
置は、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC
(特定用途向け集積回路)でもあり得るか、又はそれをさらに含み得る。該装置は、ハー
ドウェアに加えて、コンピュータープログラムの実行環境を作り出すコード、例えば、プ
ロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーテ
ィングシステム、又はこれらのうちの1種以上の組合せを構成するコードを任意に含み得
る。
【0218】
コンピュータープログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーシ
ョン、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとも呼ばれる、又
はこれらとして記載されることもあるが、コンパイラ型もしくはインタープリタ型言語、
又は宣言型もしくは手続き型言語を含む、いかなる形式のプログラミング言語でも記述す
ることができ、かつ、該コンピュータープログラムは、スタンドアローンプログラムとし
て、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境
における使用に適した他のユニットとしての形式を含め、任意の形式で配備することがで
きる。コンピュータープログラムは、ファイルシステム中のファイルに対応させてもよい
が、必須ではない。プログラムは、他のプログラム又はデータ、例えば、マークアップ言
語文書中に、当該プログラムに専用の単一ファイル中に、又は複数の統合されたファイル
、例えば、1以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を保存するファイル
中に保存された1以上のスクリプトを保持するファイルの一部に保存することができる。
コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上で、又は1つのサイトに位置するも
しくは複数のサイトに分散されて通信ネットワークにより相互接続されている複数のコン
ピューター上で実行されるように配備することができる。
【0219】
本明細書に記載のプロセス及び論理の流れは、1以上のコンピュータープログラムを実
行して、入力データに作用して出力を生成することによって機能を実行する1以上のプロ
グラム可能なコンピューターにより実施し得る。該プロセス及び論理の流れは、専用論理
回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け
集積回路)によっても実行することができ、かつ、装置を、該専用論理回路として実施す
ることもできる。
【0220】
コンピュータープログラムの実行に適したコンピューターの例としては、汎用もしくは
専用マイクロプロセッサ、もしくは双方、又は任意の他の種類の中央処理装置が挙げられ
る。一般に、中央処理装置は、命令及びデータを、読み出し専用メモリ、ランダムアクセ
スメモリ、又は双方から受け取る。コンピューターの必須要素は、命令を実施又は実行す
るための中央処理装置、及び命令及びデータを保存するための1以上のメモリデバイスで
ある。また、一般に、コンピューターは、データを保存するための1以上の大容量記憶デ
バイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、もしくは光ディスクを備えるか、又は
該大容量記憶デバイスからデータを受信する、該大容量記憶デバイスにデータを送信する
、もしくは両方を行うように該大容量記憶デバイスに動作可能に接続される。しかしなが
ら、コンピューターは、必ずしもそのようなデバイスを有しなくてもよい。さらに、コン
ピューターは、別のデバイス、例えば、いくつか例を挙げるとすれば、携帯電話、携帯情
報端末(PDA)、携帯型オーディオもしくはビデオプレーヤー、ゲーム機、全地球測位シ
ステム(GPS)受信機、又は携帯型記憶デバイス、例えば、ユニバーサルシリアルバス(U
SB)フラッシュドライブに組み込むこともできる。
【0221】
コンピュータープログラム命令及びデータを保存するのに適したコンピューター可読媒
体としては、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシ
ュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内蔵型ハードディスク又はリムーバブルディ
スク;光磁気ディスク;並びにCD ROM及びDVD-ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発
性メモリ、媒体、及びメモリデバイスが挙げられる。該プロセッサ及びメモリは、専用論
理回路によって補完でき、又は専用論理回路に組み込むこともできる。
【0222】
ユーザーとの対話を提供するために、本明細書に記載される主題の実施態様は、情報を
ユーザーに表示するためのディスプレーデバイス、例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液
晶ディスプレー)モニター、並びにユーザーがコンピューターに入力することを可能にす
るキーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールを有する
コンピューター上で実施し得る。他の種類のデバイスを使用してユーザーとの対話を提供
することもできる;例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚
フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィード
バックとすることができ;かつユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入
力を含む任意の形態で受け取ることができる。加えて、コンピューターは、ユーザーによ
って使用されるデバイスと文書を送受信することによって;例えば、ユーザーのデバイス
上のウエブブラウザから受け取った要求に応答して、該ウエブブラウザにウェブページを
送信することによって、該ユーザーと対話することができる。
【0223】
本明細書に記載される主題の実施態様は、例えば、データサーバーとしてのバックエン
ドコンポーネントを備えるコンピューティングシステム、又はミドルウェアコンポーネン
ト、例えば、アプリケーションサーバーを備えるコンピューティングシステム、又はフロ
ントエンドコンポーネント、例えば、ユーザーが、本明細書に記載される主題の実施と対
話することを可能とするグラフィカルユーザーインターフェース又はウエブブラウザを有
するクライアントコンピューターを備えるコンピューティングシステム、又はそのような
バックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンドコンポーネントのうちの1つ以上の任
意の組合せを備えるコンピューティングシステムで実施することができる。該システムの
コンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形式又は媒体、例えば、通信ネットワー
クで相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネット
ワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)、例えば、インターネットが挙げら
れる。
【0224】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバーを含みうる。クライアント
及びサーバーは、通常、互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワークを介して対話
する。クライアント及びサーバーの関係は、それぞれのコンピューター上で動作し、互い
にクライアント-サーバーの関係を有するコンピュータープログラムによって生じる。い
くつかの実施態様において、サーバーは、例えば、クライアントとして機能するユーザー
デバイスと対話しているユーザーにデータを表示し、該ユーザーからのユーザー入力を受
信するために、データ、例えば、HTMLページを、ユーザーデバイスに送信する。ユーザー
デバイスにおいて、例えば、ユーザーとの対話の結果として生成されるデータは、サーバ
ーで、該ユーザーデバイスから受信することができる。
【0225】
コンピューターのこのような型の例を図18に示した。図18は、一般的コンピューターシ
ステム1800の概略図を示す。システム1800は、一実施に従って、既に記載されたコンピュ
ーター実施方法のうちのいずれかに関連して記載された操作のために使用し得る。システ
ム1800は、プロセッサ1810、メモリ1820、記憶デバイス1830、及び入/出力デバイス1840
を備える。各コンポーネント1810、1820、1830、及び1840は、システムバス1850を用いて
相互接続されている。プロセッサ1810は、システム1800内での実行のための命令を処理す
ることができる。一実施において、プロセッサ1810は、シングルスレッドのプロセッサで
ある。別の実施において、プロセッサ1810は、マルチスレッドのプロセッサである。プロ
セッサ1810は、メモリ1820内又は記憶デバイス1830上に保存された命令を処理して、ユー
ザーインターフェイス用のグラフィック情報を入/出力デバイス1840上に表示することが
できる。
【0226】
メモリ1820は、システム1800内に情報を保存する。一実施において、メモリ1820は、コ
ンピューター可読媒体である。一実施において、メモリ1820は、揮発性メモリユニットで
ある。別の実施において、メモリ1820は、非揮発性メモリユニットである。
【0227】
記憶デバイス1830は、システム1800へ大容量記憶を提供し得る。一実施において、記憶
デバイス1830は、コンピューター可読媒体である。種々の異なる実施において、記憶デバ
イス1830は、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイ
ス、又はテープデバイスであり得る。
【0228】
入/出力デバイス1840は、システム1800に入/出力操作を提供する。一実施において、入
/出力デバイス1840は、キーボード及び/又はポインティングデバイスを備える。別の実施
において、入/出力デバイス1840は、グラフィカルユーザーインターフェイスを表示する
ためのディスプレイユニットを備える。
【0229】
本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含むが、これらは、いかなる発明の範囲又は請
求され得るものの範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明
の特定の実施態様に特有であり得る特徴の記載として解釈されるべきである。別個の実施
態様に関連して本明細書に記載された特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせ
て実施することもできる。逆に、単一の実施態様に関連して記載された種々の特徴を、複
数の実施態様で別々に、又は任意の適当なサブコンビネーションで実施することもできる
。さらに、特徴を、特定の組合せで機能するものとして上で記載している場合もあり、さ
らには、そのようなものとして当初に請求することもあり得るが、場合によっては、請求
される組合せの1以上の特徴を、該組合せから削除することができ、かつ該請求される組
合せは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象とすることもでき
る。
【0230】
同様に、操作が、特定の順序で図面に記載されているが、これを、所望の結果を達成す
るためには、そのような操作が、図示された特定の順序で、又は連続的な順序で実施され
る必要があると理解すべきではなく、かつ例示された操作の全てを実施する必要があると
理解すべきではない。特定の状況では、マルチタスク処理及び並列処理が有利となり得る
。さらに、上記の実施態様における種々のシステムモジュール及び構成要素の分離は、す
べての実施態様においてそのような分離が必要であると理解すべきではなく、一般に、記
載されたプログラムの構成要素及びシステムは、共に、単一のソフトウェア製品に統合す
ることができ、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化することができることを理解
すべきである。
【0231】
主題の特定の実施態様を説明した。他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内である。
例えば、特許請求の範囲に記載される行為は、異なる順序で実施することができ、それで
もなお所望の結果を達成し得る。一例として、添付の図面に記載のプロセスは、所望の結
果を達成するために、図示された特定の順序も、連続的な順序も必ずしも必要としない。
場合によっては、マルチタスク処理及び並列処理が、有利となり得る。
【0232】
特許請求の範囲は次の通りである。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
Nd-Fe-B永久磁石を製造する方法であって、
磁性元素を溶融させて、溶融合金を作製すること;
該溶融合金から、複数の2:14:1相粒を含む鋳造合金薄片を形成させること、
該鋳造合金薄片由来の該2:14:1相粒のうちの少なくとも一部を維持しつつ、該鋳造合金
薄片を粉砕して、第1の粉末を形成させること;
該第1の粉末中の粒子をプレスし、かつ整列させて、第1の成形体を作製すること;
該第1の成形体を焼結して、焼結成形体を作製すること;
該焼結成形体由来の該2:14:1相粒のうちの少なくとも一部を維持しつつ、該焼結成形体
を断片化して、第2の粉末を形成させること;
該第2の粉末由来の該2:14:1相粒のうちの少なくとも一部を維持しつつ、該第2の粉末を
:a) i)Nd、ii)Pr、又はiii)Dyのうちの少なくとも1つを含む希土類材料R、及びb)
i)Co、ii)Cu、又はiii)Feのうちの少なくとも1つを含む元素添加物Aと混合して、均質
な粉末を生成させること;及び
該均質な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含む、前記
方法。
(構成2)
前記溶融合金から、前記複数の2:14:1相粒を含む前記鋳造合金薄片を形成させることが
、該溶融合金から、それぞれが複数の2:14:1相粒を含む鋳造合金薄片を形成させることを
含む、構成1記載の方法。
(構成3)
前記希土類材料R及び前記元素添加物Aが、全体として、Nd11.92Dy42.32Co38.39Cu5.34F
e2.03at%を含む、構成1記載の方法。
(構成4)
前記焼結成形体を断片化することが、1~4ミクロンの平均粒子サイズまで該焼結成形体
を断片化することを含む、構成1記載の方法。
(構成5)
前記焼結成形体を断片化して、前記第2の粉末を形成させることが、該第2の粉末から、
該第2の粉末における粒子の平均サイズよりも大きい粒子画分サイズを有する粒子を除去
して、1.98at%未満の酸素濃度を前記Nd-Fe-B磁性製品中に得ることを含む、構成1記載
の方法。
(構成6)
前記焼結成形体を断片化して、前記第2の粉末を形成させることが、該焼結成形体を断
片化して、約1ミクロン~約2ミリメートルの平均粒子サイズを有する該第2の粉末を形成
させることを含む、構成1記載の方法であって、該方法が:
約1~約4ミクロンの平均粒子サイズまで、該第2の粉末をさらに断片化すること;及び
該第2の粉末を均質化すること、
を含む、前記方法。
(構成7)
前記第2の粉末を均質化することが、約1ミクロン~約2ミリメートルの平均粒子サイズ
を含む該第2の粉末を均質化することを含み;かつ
該第2の粉末を、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質な
粉末を生成させることが、約1~約4ミクロンの平均粒子サイズを有する該第2の粉末を、a
)該希土類材料R及びb)該元素添加物Aと混合して、該均質な粉末を生成させることを含
む、構成6記載の方法。
(構成8)
前記第2の粉末を、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質
な粉末を生成させることが、約1ミクロン~約2ミリメートルの平均粒子サイズを有する該
第2の粉末を、a)該希土類材料R及びb)該元素添加物Aと混合して、該均質な粉末を生成
させることを含み;かつ
該第2の粉末を均質化することが、約1~約4ミクロンの平均粒子サイズを含む該第2の粉
末を均質化することを含む、構成6記載の方法。
(構成9)
前記焼結成形体を断片化して、前記第2の粉末を形成させることとは別に、前記希土類
材料R及び前記元素添加物Aを断片化することを含み、
該第2の粉末を、a)該希土類材料R及びb)該元素添加物Aと混合して、前記均質な粉末
を生成させることが、該第2の粉末を、a)該断片化された希土類材料R及びb)該断片化さ
れた元素添加物Aと混合して、該均質な粉末を生成させることを含む、構成1記載の方法。
(構成10)
前記Nd-Fe-B磁性製品中のCoの原子百分率が、3.098at%以下である、構成1記載の方
法。
(構成11)
前記Nd-Fe-B磁性製品中のCuの原子百分率が、0.1849at%以下である、構成1記載の方
法。
(構成12)
前記Nd-Fe-B磁性製品中のFe及びCoを合わせた原子百分率が、約76.3928~約83.1267a
t%である、構成1記載の方法。
(構成13)
前記Nd-Fe-B磁性製品中のFe及びCoを合わせた原子百分率が、77at%以下である、構
成1記載の方法。
(構成14)
前記Nd-Fe-B磁性製品中のNd、Pr、及びDyを合わせた原子百分率が、前記焼結成形体
中のNd、Pr、及びDyを合わせた原子百分率以上である、構成1記載の方法。
(構成15)
前記Nd-Fe-B磁性製品中のNd、Dy、及びPrを合わせた原子百分率が、18at%以下であ
る、構成1記載の方法。
(構成16)
前記第2の粉末を、a)前記希土類材料R及びb)前記元素添加物Aと混合して、前記均質
な粉末を生成させることが、該第2の粉末中に、該希土類材料R及び該元素添加物Aを均一
に分布させることを含み;かつ
該均質な粉末を焼結及び磁化して、前記Nd-Fe-B磁性製品を形成させることが、平均
して、該Nd-Fe-B磁性製品中の前記2:14:1相粒を包囲して増加する前記希土類材料Rの濃
度及び前記元素添加物Aの濃度を有する該Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含む、構
成1記載の方法。
(構成17)
前記焼結成形体由来かつ前記第2の粉末に含まれる古いNdリッチな粒界相を、前記希土
類材料R及び前記元素添加物Aを含む新たな粒界相で置き換えることを含む、構成16記載の
方法。
(構成18)
前記Nd-Fe-B磁性製品が:
[7.3635,11.1038](at%,両端の値を含む)の範囲の量のNd;
[76.3928,80.0287](at%,両端の値を含む)の範囲の量のFe;及び
[5.7493,6.4244](at%,両端の値を含む)の範囲の量のB、
を含む、構成1記載の方法。
(構成19)
前記Nd-Fe-B磁性製品が:
[0.09,4.0](at%,両端の値を含む)の範囲の量のO;及び
[0.01,1.0](at%,両端の値を含む)の範囲の量のC、
を含む、構成18記載の方法。
(構成20)
前記Nd-Fe-B磁性製品が:[0.199,4.0535](at%,両端の値を含む)の範囲の量のD
yを含む、構成18記載の方法。
(構成21)
前記Nd-Fe-B磁性製品が:[1.445,3.6323](at%,両端の値を含む)の範囲の量のP
rを含む、構成18記載の方法。
(構成22)
前記Nd-Fe-B磁性製品が:[0,3.098](at%,両端の値を含む)の範囲の量のCoを含
む、構成18記載の方法。
(構成23)
前記Nd-Fe-B磁性製品が:[0.0508,0.1849](at%,両端の値を含む)の範囲の量の
Cuを含む、構成18記載の方法。
(構成24)
前記Nd-Fe-B磁性製品中の前記希土類材料Rの総量が、[12.66,15.03](at%,両端
の値を含む)の範囲にある、構成18記載の方法。
(構成25)
前記希土類材料Rが:
i)前記希土類材料Rと前記元素添加物材料Aとの組合せに関して[6.1717,11.8917](
at%,両端の値を含む)の範囲の量のNd、
ii)該希土類材料Rと該元素添加物材料Aとの組合せに関して[1.5495,4.821](at%
,両端の値を含む)の範囲の量のPr、又は
iii)該希土類材料Rと該元素添加物材料Aとの組合せに関して[0.2132,5.3753](at
%,両端の値を含む)の範囲の量のDy、
のうちの少なくとも1つを含み、かつ
該元素添加物Aが:
i)該希土類材料Rと該元素添加物材料Aとの組合せに関して[0,4.0948](at%,両端
の値を含む)の範囲の量のCo、
ii)該希土類材料Rと該元素添加物材料Aとの組合せに関して[0.0545,0.2445](at%
,両端の値を含む)の範囲の量のCu、又は
iii)該希土類材料Rと該元素添加物材料Aとの組合せに関して[81.1749,85.867](at
%,両端の値を含む)の範囲の量のFe、
のうちの少なくとも1つを含む、構成1記載の方法。
(構成26)
前記均質な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁性製品を形成させることが、該均質
な粉末を焼結及び磁化して、残留磁気及び保磁力が前記焼結成形体と少なくとも等しい該
Nd-Fe-B磁性製品を形成させることを含む、構成1記載の方法。
(構成27)
前記Nd-Fe-B磁性製品の前記保磁力が、前記焼結成形体の保磁力よりも約0~約20%大
きい、構成26記載の方法。
(構成28)
前記均質な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁性製品を形成させることが、該均質
な粉末を焼結及び磁化して、前記焼結成形体の別の残留磁気の約97%である最終残留磁気
、及び該焼結成形体の別の保磁力よりも少なくとも30%大きい最終保磁力を有する該Nd-
Fe-B磁性製品を形成させることを含む、構成1記載の方法。
(構成29)
前記均質な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁性製品を形成させることが、該均質
な粉末を焼結及び磁化して、前記焼結成形体の別の残留磁気の約95%である最終残留磁気
、及び該焼結成形体の別の保磁力よりも少なくとも80%大きい最終保磁力を有する該Nd-
Fe-B磁性製品を形成させることを含む、構成1記載の方法。
(構成30)
前記均質な粉末を焼結及び磁化して、Nd-Fe-B磁性製品を形成させることが、該均質
な粉末を焼結及び磁化して、焼結成形体の別の残留磁気よりも約5%大きい最終残留磁気
、及び該焼結成形体の別の保磁力と少なくとも等しい最終保磁力を有する該Nd-Fe-B磁
性製品を形成させることを含む、構成1記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3J
図3K
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18