(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】慢性完全閉塞高速クロッシングデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
A61B17/3207
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020053908
(22)【出願日】2020-03-25
(62)【分割の表示】P 2017500833の分割
【原出願日】2015-07-08
【審査請求日】2020-04-10
(32)【優先日】2014-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510281977
【氏名又は名称】アビンガー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Avinger, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ヒマンシュ・エヌ・ペイテル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ビー・シンプソン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ラジャビ
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0049225(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0274270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を生成するために使用される光ファイバ、およびドリル先端部を備えた遠位端を有する回転可能なドライブシャフトと、
ドライブシャフトを収容するためのルーメンを有するアウターシャフトであって、該アウターシャフトは、ドライブシャフトと取り外し可能に連結され、ドライブシャフトは、アウターシャフトと連結した場合にルーメン内で回転可能であり、アウターシャフトの内側部分が、ドライブシャフトに力が長手方向に印加された場合にドライブシャフトと係合して、アウターシャフトを屈曲させるように構成される、オクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項2】
アウターシャフトは、ドライブシャフトに力が印加された場合にアウターシャフトを予め定めた方向に屈曲させるように構成された支柱を含む、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項3】
アウターシャフトの遠位領域が、ドライブシャフトに力が印加された場合に屈曲するように構成される、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項4】
前記光ファイバは、ドライブシャフトとともに回転するように構成される、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項5】
アウターシャフトは、アウターシャフトの支柱反対側に周方向切込みを含む、請求項2に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項6】
前記力は、遠位方向に印加される押し力、または近位方向に印加される引く力である、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項7】
ドライブシャフトは、ドライブシャフトが遠位端側に押された場合に、アウターシャフトのインナーリップに係合して、アウターシャフトを屈曲させるように構成された環状部材を含む、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項8】
ドライブシャフトは、ドライブシャフトが近位端側に押された場合に、アウターシャフトのインナーリップに係合して、アウターシャフトを屈曲させるように構成された環状部材を含む、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項9】
ドライブシャフトは、該ドライブシャフトを通って延びる光ファイバを含む、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項10】
アウターシャフトは、ガイドワイヤルーメンをさらに含む、請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項11】
アウターシャフトは、アウターシャフトのガイドワイヤルーメン反対側に周方向切込みを含む、請求項
10に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【請求項12】
ドライブシャフトは、力がドライブシャフトに印加された場合にアウターシャフトに対して
3.175mm~
5.08mmの間の距離だけ長手方向に変位する、
請求項1に記載のオクルージョンクロッシングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願(2014年7月8日出願、仮出願番号62/022,101、発明の名称“HIGH SPEED CHRONIC TOTAL OCCLUSION CROSSING DEVICES”)に基づく優先権を主張する。同出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。また、この出願は、米国仮出願(2014年10月31日出願、仮出願番号62/073,850、発明の名称“HIGH SPEED CHRONIC TOTAL OCCLUSION CROSSING DEVICES”)に基づく優先権を主張する。同出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で言及されるすべての文献と特許出願は、参照により、各文献または特許出願を参照により組み込むことを明示した場合と同じく本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
末梢動脈疾患(PAD)と冠動脈疾患(CAD)の患者は、米国だけで何百万人も存在する。PADとCADは静かで危険な病気であり、処置せず放置した場合には生命に危険が及ぶ可能性もある。CADは米国において死因の上位を占め、PADは50歳以上の患者において切断原因の上位を占めるとともに、米国で毎年約160,000件以上に及ぶ切断手術の原因となっている。
【0004】
冠動脈疾患(CAD)と末梢動脈疾患(PAD)はともに、アテローム性動脈硬化症による血管の進行性狭窄が主な原因である。アテローム性動脈硬化症は、動脈の内壁に沿ってプラークまたは脂肪性の物質が堆積して生じるものである。時間の経過とともに、この物質は硬化するとともに厚くなり、腕、脚、胃および腎臓に対する血液循環を妨げる可能性がある。血管の狭窄により閉塞が生じ、完全に、または部分的に動脈の血流が制限される。脳や心臓への血流が低下すると、脳卒中や心臓病のリスクが増加する。
【0005】
CADやPADについてのインターベンション治療の例は、血管内膜切除やアテローム切除である。血管内膜切除は、閉塞された動脈からプラークを外科的に除去して血流を回復させ、または改善する治療である。一般的に、アテローム切除のような血管内治療は、狭窄または閉塞した動脈を開きまたは拡張する侵襲性の低い治療である。他の治療法としては、動脈を開くための血管形成術がある。例えば、バルーン血管形成では、カテーテルを脚や腕の動脈内に挿入し、バルーンが閉塞部内に位置するようにカテーテルを配置するのが一般的である。カテーテルに接続されたバルーンが膨張して動脈を開く。医師は、ステントと呼ばれるワイヤメッシュチューブを閉塞位置に配置し、動脈を開いた状態に維持する。
【0006】
こうした侵襲性の低い技術(アテローム切除、血管形成)では、閉塞部を通過するようにガイドワイヤが配置される。ガイドワイヤを用いて、1つまたは複数のインターベンションデバイスを配置し、閉塞部を除去または移動させることができる。残念なことに、ガイドワイヤの配置は、効果的な治療を行う上では必要であるが、難しい場合がある。特に、閉塞部を横切るようにガイドワイヤを配置する場合、動脈の損傷を避けつつガイドワイヤに閉塞部を通過させるのは難しい場合がある。例えば、ガイドワイヤがルーメンから外膜や他の組織内に向かっていくことを防止することは難しく、これにより血管を傷つけるおそれがあるとともに、閉塞の効果的な治療が妨げられるおそれがある。
【0007】
その結果、ガイドワイヤによる閉塞部の通過を支援することを意図したオクルージョンクロッシングデバイスの開発が進んでいる。しかしながら、多くのデバイスはイメージング部との使用に対応しておらず、それゆえガイドワイヤの配置が面倒かつ困難になる。さらに、多くのオクルージョンクロッシングデバイスは、末梢動脈や冠動脈で使用するには大きすぎる。
【0008】
そこで、本明細書では、上述の問題の幾つかに取り組むように構成された閉塞(オクルージョン)クロッシングカテーテルデバイスについて説明している。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、遠位端部にドリル先端部が設けられた小さい形状のオクルージョンクロッシングデバイスについて説明している。幾つかの実施形態では、関節部によりデバイスの操舵または方向付けを行うことができる。幾つかの実施形態では、インナーシャフトはアウターシャフトから取り外しできる。
【0010】
一般的に、一実施形態では、オクルージョンクロッングデバイスは、アウターシャフト、インナーシャフト、光ファイバ、および、前記インナーシャフトと前記アウターシャフトに取り付けられたハンドルを備えている。前記インナーシャフトは、遠位端部に設けられたドリル先端部を有している。前記光ファイバは、実質的に前記インナーシャフトの中心軸に沿って、前記インナーシャフト内を延びている。前記光ファイバの遠位端は、前記ドリル先端部に取り付けられている。前記ハンドルは、前記インナーシャフトと前記ドリル先端部を500rpmより大きい速度で回転させるように構成されている。
【0011】
この実施形態または他の実施形態は、以下の特徴のうち1つ以上を含んでいてもよい。前記インナーシャフトと前記光ファイバは、前記アウターシャフトから取り外し可能であってもよい。前記ハンドルは、前記インナーシャフトを前記アウターシャフトに対してロックまたはアンロックするように構成されたルアーロックを有していてもよい。前記アウターシャフトは、該アウターシャフトを屈曲させることができるように構成された関節部を有していてもよい。前記関節部は、前記中心軸に沿って前記インナーシャフトを前記アウターシャフトに対して移動させることにより作動してもよい。前記関節部は、支柱と、複数の周方向切込みとを有していてもよい。前記インナーシャフトは環状部材を有し、前記環状部材は、前記アウターシャフトのインナーリップに係合して、前記インナーシャフトを遠位端側に押したときに前記アウターシャフトを屈曲させるように構成されていてもよい。前記インナーシャフトは環状部材を有し、前記環状部材は、前記アウターシャフトのインナーリップに係合して、前記インナーシャフトを近位端側に引いたときに前記アウターシャフトを屈曲させるように構成されていてもよい。前記アウターシャフトには、予め屈曲部が形成されていてもよい。前記アウターシャフトは、イメージング中に前記アウターシャフトの向きを決定できるように、前記予め決定された屈曲部に対して配置されたマーカをさらに有していてもよい。前記アウターシャフトは、該アウターシャフト内を延びる前記光ファイバを用いてイメージングできるように構成された透明な遠位部を有していてもよい。前記ハンドルは、1000rpmより大きい速度で前記インナーシャフトと前記ドリル先端部を回転させるように構成されていてもよい。前記ハンドルは、8フレーム毎秒以上の速度で光ファイバから画像が生成されるように、前記インナーシャフトと前記ドリル先端部を500rpmより大きい速度で回転させるように構成されていてもよい。前記光ファイバは、共通光路光コヒーレンストモグラフィファイバであってもよい。前記ドリル先端部は、複数のらせん切断エッジを有していてもよい。前記ドリル先端部は、実質的に滑らかな円錐台状の先端部であってもよい。前記イメージングデバイスは、前記アウターシャフトに沿って延びるモノレールガイドワイヤルーメンをさらに備えていてもよい。前記アウターシャフトの外径は、0.08インチより小さくてもよい。
【0012】
一般的に、一実施形態では、閉塞部のクロッシング方法は、(1)閉塞部が存在する血管内にデバイスを挿入するステップと、(2)前記インナーシャフトに設けられたドリル先端部が前記閉塞部を切削するように、前記デバイスのアウターシャフトに対して前記デバイスのインナーシャフトを回転させるステップと、(3)前記インナーシャフトを通って延びる光ファイバを用いて、前記インナーシャフトを回転させつつ8フレーム毎秒以上の速度で画像を生成するステップとを含む。
【0013】
この実施形態または他の実施形態は、以下の特徴のうち1つ以上を含んでいてもよい。
前記方法は、前記アウターシャフトから前記インナーシャフトを除くステップと、ガイドワイヤを前記アウターシャフト内に挿通させるステップとをさらに含む。前記方法は、前記デバイスの遠位端部を屈曲させ、前記血管内で前記デバイスを操舵するステップをさらに含んでいてもよい。前記遠位端部を屈曲させるステップは、前記インナーシャフトを押すこと、または引くことを含んでいてもよい。前記方法は、前記アウターシャフトに設けられた屈曲部を所望の方向に方向付けるステップをさらに含んでいてもよい。前記方法は、前記デバイスに設けられたマーカを用いて前記屈曲部を方向付けるステップをさらに含んでいてもよい。前記インナーシャフトを回転させるステップでは、500rpmより大きい速度で回転させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の新規な特徴は、特に特許請求の範囲に記載されている。例示的な実施形態を記載した以下の詳細な説明を参照することにより、本発明の特徴や利点をより良く理解できる。実施形態では、本発明の原理が利用されている。添付の図面について説明する。
【0015】
【
図1A】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図1B】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図1C】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図1D】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図2A】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図2B】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図3A】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図3B】関節部を有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図4A】分離可能なインナーシャフトとアウターシャフトを有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図4B】分離可能なインナーシャフトとアウターシャフトを有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図5A】分離可能なインナーシャフトとアウターシャフトを有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図5B】分離可能なインナーシャフトとアウターシャフトを有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図5C】分離可能なインナーシャフトとアウターシャフトを有するオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【
図6A】本明細書で説明しているカテーテル用ドライブシステムの例示的なブロック図である。
【
図6B】本明細書で説明しているカテーテル用ドライブシステムの例示的なブロック図である。
【
図7A】カテーテルのドライブシャフトの位置を検出する例示的な方法を示す。
【
図7B】カテーテルのドライブシャフトの位置を検出する例示的な方法を示す。
【
図8A】関節部と、分離可能なインナーシャフトおよびアウターシャフトとを有するオクルージョンクロッシングデバイスの連結を示す。
【
図8B】関節部と、分離可能なインナーシャフトおよびアウターシャフトとを有するオクルージョンクロッシングデバイスの連結を示す。
【
図9A】切断、撮像用のアウターシャフトの内側に配置された、
図8Aと
図8Bに示すオクルージョンクロッシングデバイスのインナーシャフトを示す。
【
図9B】切断、撮像用のアウターシャフトの内側に配置された、
図8Aと
図8Bに示すオクルージョンクロッシングデバイスのインナーシャフトを示す。
【
図10】
図8A、
図8Bに示すオクルージョンクロッシングデバイスのアウターシャフトを、インナーシャフトを除いた状態で示す。
【
図11A】
図8A、
図8Bに示すオクルージョンクロッシングデバイスと一緒に用いるハンドルの例を示す。
【
図11B】
図8A、
図8Bに示すオクルージョンクロッシングデバイスと一緒に用いるハンドルの例を示す。
【
図12】
図8A、
図8Bに示すオクルージョンクロッシングデバイスと一緒に用いるハンドルの別の例を示す。
【
図13】
図8A、
図8Bに示すオクルージョンクロッシングデバイスと一緒に用いるハンドルの別の例を示す。
【
図14A】他の実施形態に係るオクルージョンクロッシングデバイスの遠位部を示す。
【
図14B】他の実施形態に係るオクルージョンクロッシングデバイスの遠位部を示す。
【
図14C】他の実施形態に係るオクルージョンクロッシングデバイスの遠位部を示す。
【
図15】モノレールガイドワイヤルーメンを有する
図1Aから
図3Bのオクルージョンクロッシングデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
小径の動脈や冠動脈の内部で、例えば5フレンチ以下のカテーテルを通じて利用できるような、外形の小さい(low profile)オクルージョンクロッシングデバイスについて説明している。概して、本明細書で説明しているデバイスは、オンボードイメージング部、例えば光コヒーレンストモグラフィ(OCT)イメージング部を有していてもよい。OCTイメージング用の光ファイバは、実質的にデバイスの中心軸に沿って延びていてもよく、これによりデバイスの外形を小さくして回転速度を向上させることができる。また、デバイスは、回転可能で尖った先端部を有していて、これにより切削を進めることができるようにしてもよい。幾つかの実施形態では、デバイスは、その操舵(操作、操縦)を可能にするように、関節が設けられた遠位端を有していてもよい。
【0017】
図1Aから
図3Bを参照して、一実施形態では、例示的なカテーテル100は、アウターシャフト122と、遠位端103に接続されたインナードライブシャフト131とを備えている。細長いアウターシャフト122は中空であり、その内径は約1mmであり、その外径は約1.5mmであってもよい。幾つかの実施形態では、アウターシャフト122は、巻線(コイル)が互いに重ね合された巻線構造を有していてもよい。例えば、アウターシャフト122は、少なくとも2つの巻線層を有していてもよい。さらに、2つの巻線層は互いに反対側に巻かれていて、これにより、ある巻線層(例えば内側の巻線層)が時計回りに巻かれ、他の層(例えば外側の巻線層)が反時計回りに巻かれるようにしてもよい。巻線は外側の層を締め付ける方向にトルクを発生させ、これにより内側の層をつかむ(cinch down)。逆方向に巻かれた第3の巻線を追加して、両方向にトルクを発生させてもよい。他の実施形態では、アウターシャフト122は、編組線で強化されたポリマーシャフトで作られていてもよい。別の実施形態では、アウターシャフト122は、レーザ加工されたチューブであってもよい。さらに、アウターシャフト122の遠位端には、1つ以上のイメージングウインドウ(撮像用窓)144が設けられていてもよい。
【0018】
アウターシャフト122には、例えばタブとスロット機構148を介して、ブッシュ124(
図1Dを参照)が取り付けられてよい。ブッシュ124は、インナーシャフトまたは先端部103に対する軸受面として機能しうる。また、以下でさらに説明するように、ブッシュ124の両側には、インナードライブシャフト131または先端部と相互作用するように構成されたエッジ(またはリップ)151,152が設けられていてもよい。
【0019】
先端部103は、例えば、組織を分離し、切断し、または切り刻むように構成されていてもよい。幾つかの実施形態では、先端部103に鋭いらせん溝113を形成し、デバイスの中心が尖るようにしてもよい。さらに、溝113は、ある方向に回転したときには逆方向に回転したときよりもエッジが鋭くなるように傾斜していてもよい。その結果、溝113が形成された先端部103は、その回転方向に応じたアクティブモードとパッシブモードとを有しうる。パッシブモードでは、溝113が形成された先端部103は鈍く、組織の鈍的切開が行われる。アクティブモードでは、溝113が形成された先端部103は鋭く、切断を行うことができるとともに、より硬い材質を横切って進むことができる。幾つかの実施形態では、
図14Aと
図14Bを参照して以下でさらに説明するように、先端部103は、溝が形成されていない滑らかな傾斜面を有していてもよい。
【0020】
インナードライブシャフト131(
図1Dを参照)は、遠位端103に接続されていてもよく、アウターシャフト122の中心に向かって延びていてもよい。インナードライブシャフト131は、アウターシャフト122に対して(ブッシュ124の周りで)先端部を一方向(つまり時計回りか反時計回り)に回転させるように、一方向に、または、時計回りと反時計回りの両方に回転するように構成されていてもよい。環状リング174,172は、インナードライブシャフト131および/または先端部103の遠位部の周りに配置されていてもよい。リング174,172は、ブッシュ124のエッジ151,152に対向するように配置されていてもよい。環状のブッシュ124は、ブッシュ124に対するインナードライブシャフト131の軸方向移動を規制しつつ、相対回転を許容できる(そして、以下で説明するように、幾つかの実施形態では関節による連結を実現する)。
【0021】
幾つかの実施形態では、アウターシャフト122の遠位部に関節部(関節連結部)145が設けられていてもよい。
図1Aと
図1Bに示すように、関節部145には、1つ以上の支柱245a,245bと一連の周方向切込み247とが設けられていてもよい。
1つ以上の支柱は、カテーテルの一方側にのみ設けられていてもよい(例えば、180°未満、150度未満または90度未満の角度範囲に設けられていてもよい)。幾つかの実施形態では、
図1Aに示すように、一連の小さい周方向切込み295が2つの支柱245a,245bの間に延びており、これにより屈曲中の可撓性を向上させてもよい。周方向切込み247,295は、アウターシャフト122の周りに設けられた不完全な環またはらせんとして構成されてもよい。
図1Bを参照して、幾つかの実施形態では、周方向環247には、関節部145について引張強度と圧縮抵抗を向上させるように構成された1つ以上の破断部297a,297bが設けられていてもよい。
【0022】
関節部145は、インナードライブシャフト131に取り付けられ、これによりシャフト131が移動すると関節部145を駆動できるようにしてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、ハンドル200(
図2Bと
図3Bを参照)を用いてドライブシャフト131を移動させてもよい。
【0023】
図2Aと
図2Bを参照して、インナードライブシャフト131を遠位端側に押したときに、環状リング172がブッシュ124の近位端側リップ152に押し付けられ(
図1Dを参照)、これにより、周方向切込み247が広がる(または開く)が、支柱245a,245bの長さは一定である(周方向切込み295は互いに近接する)ようにしてもよい。その結果、関節部145は支柱245a,245bに向かって屈曲できる。
図2Bに示すように、この屈曲機構は、例えばリング303を遠位端側に移動させ、かつ/または、ボタンもしくはレバーを引くか移動させることによりハンドル200上で駆動できるようにしてもよい。
【0024】
同様に、
図3Aと
図3Bを参照して、インナードライブシャフト131を近位端側に引いたときに、環状リング174がブッシュ124の遠位端側リップ151に当接するようにしてもよい。ドライブシャフト131によりさらに遠位端側に力を加えたときに、周方向切断部247が近接するように動き始め、かつ/または、切断部247同士の間にある材料がオーバーラップするが、支柱245a,245bの長さは一定である(周方向切込み295は互いに離れる)ようにしてもよい。その結果、関節部145は、周方向切込み247に向かう方向に、かつ、支柱245a,245bから離れる方向に屈曲してもよい。
図3Bに示すように、この屈曲機構は、例えばリング303を近位端側に移動させ、かつ/または、ボタンもしくはレバーを押すか移動させることによりハンドル200上で駆動できるようにしてもよい。
【0025】
好都合なことに、関節部145の屈曲動作により、血管内でデバイス100を操作できる(例えば、先端部が閉塞部または内腔から離れたときに、再度そこへ誘導できる)。幾つかの実施形態では、カテーテル100は、インナードライブシャフト131を押すか引くかしたときに一方向にのみ屈曲し、ドライブシャフト131を逆方向に動かしたときに
図1Aに示す真っ直ぐな状態に戻るように構成されていてもよい。
【0026】
カテーテル100は、インナードライブシャフト131に取り付けられてドライブシャフト131と一緒に回転するように構成されたイメージング要素199をさらに備えていてもよい。イメージング要素199は、OCTファイバ110の遠位端に設けられ、ドライブシャフト131の中央に延びていてもよい。イメージング要素199により、血管内でカテーテル100を用いるときに、(イメージングウインドウ144を通じて)イメージング(画像化)を行うことができ、これにより閉塞部のクロッシングが容易になる。
【0027】
図15を参照して、幾つかの実施形態では、アウターシャフト122に沿ってモノレールガイドワイヤルーメン1505が延びていてもよい。このモノレールガイドワイヤルーメン1505は、例えば、周方向切込み247を有する可撓性領域の剛性を増加させないように、2つの支柱245a,245bの間を延びていてもよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、カテーテル100はシースと一緒に用いられてもよい。シースは中空であってもよく、近位端側に止血弁が取り付けられていてもよい。当該近位端側には、シースを通じてフラッシング(洗浄)できるようにフラッシュポートが設けられていてもよい。また、シースにより、(特に、カテーテル100がモノレールガイドワイヤルーメンを有していない実施形態において)ガイドワイヤをターゲット位置に配置しやすくなる。つまり、カテーテル100を用いて閉塞部をクロッシングし、シースをその上に配置し、デバイスを除去し、そしてガイドワイヤを導入できる。
【0029】
図4Aから
図5Cを参照して、他の実施形態では、例示的なカテーテル300は、インナーシャフト311と、アウターシャフト322と、インナーシャフト311に接続された遠位端303とを備えている。アウターシャフト322は、インナーシャフト311から分離可能である。例えば、インナーシャフト311の近位端の近傍には、アウターシャフト322の近位端に設けられたルアーコネクタに対して取り付けおよび取り外し可能なルアーコネクタが設けられていてもよい(ハンドル900に関連して以下でさらに説明する)。
【0030】
幾つかの実施形態では、アウターシャフト322の遠位部313は、遠位部313を挟んで撮像できるように、例えばクリアまたは透明なプラスチックから作られ、クリアまたは透明であってもよい。幾つかの実施形態では、アウターシャフト322には、デバイスの方向付け、または操舵を容易にするために前もって屈曲部329が形成されていてもよい。使用時にカテーテル300の相対的な向きを示すマーカ315(例えば金属マーカ)が遠位部313内を延びるようにしてもよい。例えば、
図4Bに示すように、屈曲部329の最も内側の部分がマーカ315と並べて設けられていてもよい。
【0031】
さらに、幾つかの実施形態では、インナーシャフト311は、カテーテル300に接続されたハンドル(例えばハンドル200)に設けられたリングをスライドさせることにより中空のアウターシャフト322内を長手方向に移動し、これによりインナーシャフト311が露出し(
図4A、
図4Bに示している)または完全に覆われる(
図5Aから
図5Cに示している)ようにしてもよい。従って、使用時には、インナーシャフト311はアウターシャフトから外側に延びて閉塞部の切削を助け、切開が必要でない(鈍的切開のみが必要である)ときにはアウターシャフト内に収容される。幾つかの実施形態では、インナーシャフト311は、先端部103の露出の程度を変化させるように、アウターシャフト322に対して複数の点で固定されてもよい。さらに、インナーシャフト311をアウターシャフト322から完全に除くことにより、ガイドワイヤをアウターシャフト322内に挿通させることができる。
【0032】
さらに、デバイス300は、デバイス100に関連して説明したものと同様のイメージング要素399を含んでいてもよい。カテーテル300は、インナーシャフト311がアウターシャフト322から遠位側に延びるときと、インナーシャフト311がアウターシャフト322内に(透明な遠位部313を通って)配置されるときの両方で、イメージング要素399を用いてイメージングを行うように構成されてもよい。
【0033】
デバイス300は、これらに加えて、またはこれらに代えて、デバイス100に関連して説明した特徴、材料および/または寸法を含んでいてもよい。
【0034】
図8Aから
図10を参照して、他の実施形態では、カテーテル800は、互いに分離可能なインナーシャフト811およびアウターシャフト822と、アウターシャフト822の遠位端に設けられた関節部845を備えていてもよい。
【0035】
図8A、
図8Bを参照して、関節部845は、支柱945と周方向切込み947とを有していてもよい。さらに、
図9Aに示すように、アウターシャフト822にはカラー860が取り付けられ、カラー860には、アウターシャフト822に対して径方向内側に延びるように構成されたインナーレッジ(内側突起部)862が設けられていてもよい。同様に、インナーシャフト811には、インナーシャフト811の残りの部分に比べて径を大きくする環状部材872(例えばプラスチックベアリング)が設けられていてもよい。従って、インナーシャフト811を遠位端側に押したときには、インナーシャフト811に設けられた環状部材872がカラー860のインナーレッジ862に押し付けられる。その結果、アウターシャフト822は、周方向切込み947の位置で支柱945に対して屈曲する(
図9Aに矢印で示している)。
【0036】
図10に示すように、インナーシャフト811は、近位側に引くことにより、アウターシャフト822とカラー860から完全に除かれる。これにより、アウターシャフト822をガイドワイヤ配置用のシースとして利用できる。
【0037】
さらに、インナーシャフト811は、デバイス100,300に関連して説明したものと同様の、インナーシャフト811と一緒に回転可能なイメージング要素877を有していてもよい。イメージング要素877は、カラー860に設けられたイメージングウインドウ866を通した撮影が可能である。さらに、インナーレッジ862は、インナーシャフト811がアウターシャフト822内に配置されているときに、イメージングウインドウ866に対してイメージング要素877を位置決めする機能を有していてもよい。
【0038】
インナーシャフト811は、デバイス100,300に関連して説明したものと同様の、回転可能な遠位端803を有していてもよい。同様に、デバイス800は、これらに代えて、またはこれらに加えて、デバイス100,300に関連して説明した材料および寸法を含んでいてもよい。
【0039】
図11A、
図11Bを参照して、ハンドル900を用いて、デバイスを動作させることができる。ハンドル900は、インナーシャフト811とアウターシャフト822の長手方向への移動を併せてロックするように構成されたルアーロック883を有していてもよい。ルアーロック883は、ロックした状態であっても、インナーシャフト811が少しの距離(例えば約0.125インチ
(3.175mm)以上約0.2インチ
(5.08mm)以下)移動して関節部845を作動させることができるように、アウターシャフト822とインナーシャフト811との間の長手方向の相対的な移動を幾らか許容するように構成されてもよい。例えば、インナーシャフト811は、更なる相対移動を与える蛇腹部または弾性部を有していてもよい。実際の変位距離は、カテーテルのアウターシャフトの径、所望の屈曲角、および、アウターシャフト、インナーシャフトの伸張/圧縮に応じたものとなる。アウターシャフトの径が大きいほど、所望の屈曲角が大きくなるとともに、シャフトの圧縮/伸張が大きいほど、必要な変位量が大きくなる。ルアーロック883は、インナーシャフト811に接続された鋭い遠位端803を回転させるように、アウターシャフト内でインナーシャフト811を自由に回転させるように構成されていてもよい。ルアーロック883は、アウターシャフトがハンドルに対して回転できるように構成されていてもよい。シャフトが関節で連結された状態で、アウターシャフトを回転させることにより、カテーテルの使用中に、障害物の周りに(または障害物に向かって)カテーテルが方向付けられる。
図11Bに示すようにルアーロック883を外した場合、ハンドルによりアウターシャフト822からインナーシャフト811を引き出して、例えばガイドワイヤを配置するために、アウターシャフト822を適切な位置に配置してもよい。
【0040】
さらに、ハンドル900は、インナーシャフト811の軸方向移動(従って、デバイスの関節による連結)を制御するように構成されたレバー885(またはリング)を有していてもよい。幾つかの実施形態では、レバー885は、デバイス800が所定の角度に屈曲した状態を維持するロック機構を有していてもよい。また、ハンドル900は、アウターシャフト822に取り付けられてアウターシャフト822を(例えば360度)回転させてデバイス800の屈曲部を所望の向きに配置するように構成された回転要素893を有していてもよい。
【0041】
他の例示的なハンドル1000を
図12、
図13に示している。ハンドル1000は、ハンドル900の特徴の多くを有していてよい。スライドボタン1085を用いて、インナーシャフトの軸方向移動を制御してもよい。回転要素1093は、アウターシャフト822を回転させるように構成されてもよい。
【0042】
さらに、幾つかの実施形態では、ハンドル内でのアウターシャフトとインナーシャフトとの接続は、2つのシャフトが一体に留められ、これにより両シャフトの近位端が軸方向には固定されるがそれぞれの独立した回転は許容されるように構成されていてもよい。他の実施形態では、第3の要素を用いて2つのシャフトを一体に固定し、結合し、またはくぎ止めしてもよい。
【0043】
ハンドル900,1000の特徴は、カテーテル800に適用する例を説明しているが、同様に、カテーテル100,300に適用されてもよい。
【0044】
他の実施形態に係るカテーテル1400の遠位端部を
図14A、
図14Bに示している。カテーテル1400は、滑らかな遠位端103と、成形遠位部1410とを備えている点を除いて、カテーテル100,300,800と同様の構成を有する。遠位端103は、滑らかな傾斜面1413を有しており、傾斜面1413は溝が形成されておらず、わずかに凸状の遠位点1415に収束していてもよい(つまり、先端部は円錐台状(frusto-conical)であってもよい)。好都合なことに、
図14A、
図1Bの遠位端103は、閉塞部に対する切削性を低くすることができる。
図14A、
図14Bの遠位端103は、カテーテル100,300,800に関連して説明した遠位端のいずれにも適用されてよい。同様に、カテーテル1400は、成形遠位部1422を有していてもよい。成形遠位部1422は、カテーテル300の遠位端部と同様の構成を有していてよく、ブッシュ1424と、透明部1422と、アウターシャフトの台部1452とを有していてもよい。さらに、他の実施形態に関連して説明したのと同様に、デバイスの中心軸に沿ってイメージングファイバ1499が延びていてもよい。カテーテル1400の特徴に加えて、またはそれらに代えて、カテーテル100,300,800の特徴のいずれか1つ以上が設けられてもよい。同様に、カテーテル1400は、ハンドル200,900,1000の特徴の幾つかまたはすべてを有するハンドルと一緒に用いられてもよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、本明細書で説明しているカテーテルのアウターシャフトの全体または一部をクリア(透明)にして、その部分を通して撮影できるようにしてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、本明細書で説明しているカテーテルは、閉塞部の撮像をより良好に行うためにバルーンを有していてもよい。当該バルーンとしてクリア(透明)バルーンを用いて、それを通して撮影できるようにしてもよい。
【0046】
上述のとおり、カテーテル100,300,800,1400はイメージング要素を有していてもよい。イメージング要素は、光ファイバ(例えば光コヒーレンストモグラフィ(OCT)イメージングファイバ)を含んでいてもよい。光ファイバは、その長さ全体にわたって実質的にカテーテルの中心軸に沿って延びるように、ドライブシャフトまたはインナーシャフト内を延びていてもよい。光ファイバは、ドライブシャフトまたはインナーシャフトの遠位端部および/または前記遠位端に取り付けられていてもよく、それ以外の部分は固定されずドライブシャフト内を自由に動くことができるようにしてもよい。イメージングファイバは、デバイスが配置される血管のイメージングについてのOCT信号を送信できる。幾つかの実施形態では、イメージングファイバの周りに、ドライブシャフトの長さの範囲でポリイミドコーティングを設け、これによりドライブシャフト内で回転するファイバをサポート、保護するようにしてもよい。さらに、本明細書で説明しているハンドルは、ファイバにある程度生じるたるみ分を収容し、これによりドライブシャフトが中空シャフトに対して容易に伸張および収縮できるように構成されてもよい。
【0047】
イメージング要素は、さらに、ファイバの中心軸に対して所定角度(例えば30度以上60度以下、一例では45度)傾斜したミラーを有し、これによりファイバから到来する光がミラーで反射して隣接する組織に入射するようにしてもよい。接着剤を用いて、光ファイバの遠位端部を所定の位置に保持してもよい。接着剤の屈折率は、光ファイバの屈折率との間で、好適に不整合にされていてもよい。同技術は、米国特許出願(2010年5月28日出願、出願番号12/790,703、発明の名称“OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY FOR BIOLOGICAL IMAGING”)と国際特許出願(2013年3月15日出願、国際出願番号PCT/US2013/031951、発明の名称“OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY WITH GRADED INDEX FIBER FOR BIOLOGICAL IMAGING”)に記載されている。両出願は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、接着剤のアウターエッジに沿ってメニスカス形状が設けられていてもよい。同技術は、国際特許出願(2013年3月15日出願、国際出願番号PCT/US2013/031951、発明の名称“OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY WITH GRADED INDEX FIBER FOR BIOLOGICAL IMAGING”)に記載されている。同出願は、参照により本明細書に組み込まれる。好都合なことに、メニスカス形状により、接着剤の表面から反射して戻ってファイバに入射する光の強度は、参照光の強度よりも十分に小さくなる。
【0048】
ドライブシャフト(またはインナーシャフト)およびイメージング要素(または光ファイバ)は、一方向または両方向に高速で連続的に回転し、血管の内側のOCTイメージングを行うことができるように構成されていてもよい。その速度は、例えば500rpmより大きく、600rpmより大きく、700rpmより大きく、800rpmより大きく、900rpmより大きく、1000rpmより大きく、一例では500rmp以上1000rpm以下である。ユーザにより選択される一方向または両方向の高速回転(光ファイバを管理するために両方向に交互に回転を必要とするのとは対照的である)により、イメージデータをより高速で取得し、これによりデバイス100の使用中により正確かつ最新の画像を得ることができる。例えば、画像の生成は、6フレーム毎セクション(fps)より大きい速度で、例えば8fps以上の速度で、または10fps以上の速度で、一例では16.67fpsで行われてもよい。例示的な実施形態では、レーザ掃引の速度(例えば約20kHz)は、約1200ライン毎フレームで16.67フレーム毎秒を実現するように構成されてもよい。
【0049】
好都合なことに、光ファイバは本明細書で説明しているカテーテルの中心部を延びているので、カテーテルの径は小さくてもよい。例えば、本明細書で説明しているカテーテルの外径は、0.10インチ(0.10”)未満、例えば0.08インチ未満、0.07インチ未満、0.06インチ未満または0.05インチ未満であってもよい。従って、好都合なことに、本明細書で説明しているカテーテルは、小径の末梢動脈および冠動脈において用いることができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、本明細書で説明しているカテーテルは、ドライブシステムに取り付けられるように構成されてもよい。ドライブシステムは、光ファイバを回転させるように構成された回転式光学接合部を有していてもよい。本明細書で説明しているデバイスと一緒に用いることが可能な例示的なドライブシステムは、米国特許出願(2012年10月17日出願、出願番号13/654,357、発明の名称“ATHERECTOMY CATHETERS AND NON-CONTACT ACTUATION MECHANISM FOR CATHETERS”)、国際特許出願(2013年3月15日出願、国際出願番号PCT/US2013/032089、発明の名称“ATHERECTOMY CATHETER DRIVE ASSEMBLIES”)において説明されている。これらの文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0051】
幾つかの実施形態では、ドライブシステムは、通信バス(幾つかの実施形態では、CAN bus 2.0Bである)を介してコントロールシステムと通信してもよい。この通信を用いて、ステータス(例えば、方向、速度、実行ステータス(run status)および他の情報)をコントロールシステムまたはコントロールコンソールに送信してもよい。上記通信を用いて、制御情報(例えば実行命令、速度、および、カテーテルの機械的特徴を補償するためのパラメータ設定)をドライブシステムに送信してもよい。
図6Aを参照して、一実施形態では、ドライブプロセッサ1601をドライブシステムのメインコントロール要素として用いる。ドライブプロセッサ1601は、モータコントローラ1602を介してモータ1603を制御する。モータコントローラ1602は、ドライブプロセッサ1601から命令を受信し、ドライブプロセッサ1601にステータスを送信する。ドライブプロセッサ1601には、単純な速度制御、方向制御に加えて、カテーテルの性能を最適化するためのアルゴリズムが実装されていてもよい。ドライブプロセッサ1601は、CANコントローラ1604を介してコントロールシステム(例えばデバイス用のコンソール)と通信し、命令とステータスを送受信する。これに加えて、この実施形態では、ドライブプロセッサ1601のハウジングに設けられたスイッチ1605により、実行ステータスのローカル制御が可能となる。スイッチ1605に代えて、他のハードウェア入力部(例えばボタン、トグルまたはノブ)が設けられてもよい。
【0052】
さらに、幾つかの実施形態では、ドライブシステムは、NFCまたはRFIDを介してカテーテルと通信し、カテーテルについての情報を取得してもよい。例えば、この情報は、多くのパラメータの中でも、特にカテーテルの種類、最適な回転速度および回転方向、シリアルナンバーであってもよい。
図6Bを参照して、ドライブシステムは、カテーテル内にあるNFC/RFIDリーダ1606およびNFC/RFIDタグ1607を通じて、タグに保存された情報を取得する。
【0053】
ドライブシステムは、ドライブシャフトとカッターを、ユーザの要望に応じて時計回りまたは半時計回り連続的に回転させるように構成されていてもよい。そこで、幾つかの実施形態では、ドライブシステムは、所望の方向を設定するために、ユーザによりアドレス指定可能なスイッチ(例えばトグル)を有していてもよい。
【0054】
さらに、幾つかの実施形態では、ドライブシステムは、ドライブシャフトを時計回りまたは反時計回りに回転させる度合いを決定するための機構を有していてもよい。
図6Aと
図6Bを参照して、一実施形態では、例えば、ドライブシステムは、モータの回転方向に関する情報を送信してもよい。アンビリカル(umbilical)内のデータライン(専用ラインまたは多重信号ラインであってもよい)を用いて、コントロールシステム(またはコンソール)により、速度と方向が検知されてもよい。当該専用ラインは、アナログ信号を伝送するものであってもデジタル信号を伝送するものであってもよい。一実施形態では、専用電圧ラインにより、それぞれ別の6つの速度(ベクトルの大きさ+方向)が伝送され、コントロールシステム(またはコンソール)により読み取られてカテーテルの速度と方向が推測される。
【0055】
図7A、
図7Bを参照して、一実施形態では、ドライブシステム内のフラグは、モータの周りで非対称に設計または配置されていてもよい(
図7Aを参照)。次に、
図7Bに示すように、フラグの間隔および/または幅をそれぞれ別個に検出することで、コントローラによりモータの方向が検知されてもよい。
【0056】
さらに、幾つかの実施形態では、ドライブシステムは、それぞれ別個の複数の速度でドライブシャフトを回転させるように構成されてもよく、かつ/または、ユーザ設定による連続可変速度で回転可能なノブを有していてもよい。
【0057】
本明細書で説明しているカテーテルはいずれも、追従性(トラッカビリティ)と操舵性が向上するように、形状固定(shape-set)であってもよく、または、形状固定の特徴を有していてもよい。
【0058】
本明細書では、イメージング要素は光ファイバを含んでいてもよく、例えば光ファイバの遠位端部には、ミラー、および、そのミラーと光ファイバとを所定の位置に保持するための接着剤とが設けられていてもよい。
【0059】
上述のとおり、本明細書で説明しているカテーテルは、光コヒーレンストモグラフィイメージング部、例えば共通光路OCT装置を有していてもよい。こうしたOCTシステムは、米国特許出願(2010年7月1日出願、出願番号12/829,267、公開番号US-2010-0021926-A1、発明の名称“CATHETER-BASED OFF-AXIS OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY IMAGING SYSTEM”)、米国特許出願(2010年5月28日出願、出願番号12/790,703、公開番号US-2010-0305452-A1、発明の名称“OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY FOR BIOLOGICAL IMAGING”、国際特許出願(2013年3月15日出願、国際出願番号PCT/US2013/031951、発明の名称“OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY WITH GRADED INDEX FIBER FOR BIOLOGICAL IMAGING”に記載されている。これらの出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。あるいは、本明細書で説明しているカテーテルと一緒に他種のイメージング部を用いてもよい。例えば、本明細書で説明しているデバイスは、赤外線分光または超音波により動作するように構成されてもよい。
【0060】
本明細書で説明しているカテーテル100,300,800,1400は、血管内での閉塞クロッシング用に用いることができる。好都合なことに、デバイスは、屈曲/操舵を通じて追従性を向上させるとともに、クロッシング中に高いイメージング速度を得ることができる。
【0061】
本発明に関連する追加の詳細(例えば材料や製造方法)を当業者の水準で採用できる。同じことが、本発明の方法ベースの態様にも、一般的にまたは必然的に利用される追加の動作(作用)という観点で当てはまる。また、本発明の変形例に含まれる選択的な特徴を、それ単独で、または本明細書に記載している1つ以上の特徴と組み合わせて請求項に記載してもよいと理解される。同様に、単数形で記載したときには、同じものが複数存在してもよいことを示している。より具体的に言うと、明細書と特許請求の範囲では、単数形(「ある」、「1つの」、「前記」、「該、当該」)は、文脈から明らかでない限り、複数のものを包含する。また、特許請求の範囲は任意の選択的な要素を除外するように草稿されていることがあることに留意すべきである。このように、この記述は、特許請求の範囲の用語に関連した「単に」、「のみ」などといった排除的な用語の使用、または、「否定的な」限定の使用についての先行詞として機能することを意図している。そうでないことが明示されない限り、本明細書で用いている技術用語、科学的用語はすべて、この発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味を有している。本発明の範囲は、明細書には限定されず、特許請求の範囲で用いている用語の一般的な意味によってのみ限定される。
【0062】
本明細書において、ある特徴(または要素)が他の特徴(または要素)の「上に」あるというときは、ある特徴が他の特徴の上に直接に配置されていてもよいし、間に別の特徴(または要素)が介在していてよい。これに対して、ある特徴(または要素)が他の特徴(または要素)の「直接上に」あるというときは、間に別の特徴(または要素)は介在していない。同様に、ある特徴(または要素)が他の特徴(または要素)に「接続されている」、「取り付け(固定)されている」または「結合されている」というときは、ある特徴が他の特徴の上に直接に接続、取り付け(固定)または結合されていてもよいし、間に別の特徴(または要素)が介在していてよいと理解される。これに対して、ある特徴(または要素)が他の特徴(または要素)に「直接に接続されている」、「直接に取り付け(固定)されている」または「直接に結合されている」というときは、間に別の特徴(または要素)は介在していない。1つの実施形態について説明または図示している特徴または要素であっても、他の実施形態にも同様に当てはまる。ある特徴が別の特徴に「隣接して」配置されているというときは、当該他の特徴にオーバーラップまたはアンダーラップしている部分があってもよいと当業者により理解される。
【0063】
本明細書で用いている用語は、特定の実施形態を説明する目的のものであって、本発明を限定する意図はない。例えば、本明細書で用いる単数形「1つの」や「その」は、そうでないことが文脈から明らかである場合を除いて、複数のものを包含する。本明細書で用いる「備える、有する、含む」および/または「備えている、有している、含んでいる」は、記載している特徴、ステップ(工程)、動作、要素および/または構成要素の存在を明示するものであるが、他の1つ以上の特徴、ステップ、動作、要素および/または構成要素、および/またはそのグループの存在を除外するものではない。本明細書で用いる場合、「および/または」は、記載された項目のうちの1つまたは複数の任意の組み合わせおよびすべての組み合わせを包含する。これは単に「/」と記載した場合も同じである。
【0064】
本明細書では、図示している1つの要素(または特徴)の他の要素(または特徴)に対する関係を記述しやすくするように、空間的な位置関係を表す用語、例えば「~の下に」、「~の下方に」、「~より低い位置に」、「~の上に」、「~の上方に」などを用いている。これらの用語は、図示されている向きだけでなく、使用時または動作時のデバイスについて複数の向きを包含することを意図していると理解される。例えば、図面中でデバイスを反転させると、他の要素(または特徴)の「下に」、「下方に」あると記載している要素は、当該他の要素(または特徴)の「上に」位置することになる。したがって、例えば「~の下に」は、上と下の両方を包含しうる。デバイスは、他の方向(90度回転させた方向、または他の方向)を向いていてもよく、これに従って本明細書に記載している空間的な位置関係が解釈される。同様に、本明細書において、「上に向かって」、「下に向かって」、「垂直方向の」、「水平方向の」などは、そうでないことが明細書で示されていない限り、説明のために用いている。
【0065】
本明細書において、さまざまな特徴/要素を記述するために「第1」と「第2」を用いているが、これらの特徴/要素は、そうでないことが文脈に示されていない限り、これらの用語により限定されない。これらの用語は、ある特徴/要素を他の特徴/要素から区別するために用いられている。したがって、本発明の教示から逸脱しない範囲であれば、以下に記載する第1の特徴/要素を第2の特徴/要素と記載してもよく、同様に、第2の特徴/要素を第1の特徴/要素と記載してもよい。
【0066】
明細書(具体例を含む)と特許請求の範囲で用いられるすべての数値は、そうでないことが明示されない限り、「約」や「およそ」が付されていなくても、付されているものとして解釈されてよい。「約」や「およそ」といった表現は、大きさおよび/または位置が、妥当な大きさおよび/または位置の範囲内にあることを示すときに用いられてよい。例えば、数値範囲は、記載した値(または数値範囲)の±0.1%、記載した値(または数値範囲)の±1%、記載した値(または数値範囲)の±2%、記載した値(または数値範囲)の±5%、記載した値(または数値範囲)の±10%などを含んでもいてよい。本明細書に記載しているどの数値範囲も、そこに包含されるすべてのサブレンジを含むことを意図している。