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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】サーバ装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220208BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220208BHJP
【FI】
G06Q30/02 328
G06Q30/02 380
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020113841
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012191
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2020-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【弁理士】
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一郎
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-258487(JP,A)
【文献】特表2019-534485(JP,A)
【文献】特開2015-210606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から、コンテンツを閲覧するための要求を受信する受信部と、
セッション識別子と、前記コンテンツの利用可能量とが対応付けて記録されたデータベースから、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する取得部と、
前記取得された利用可能量が所定の値以上の場合、前記端末装置にて前記コンテンツを閲覧させるための応答を前記端末装置へ送信する送信部と、
前記応答が前記端末装置へ送信されると、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を前記コンテンツの提供量だけ減少させる減少部と、
を備え、
前記取得部は、前記受信された要求に係るパブリックアドレスを取得し、
前記取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチすれば、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた前記利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を所定量だけ増加させる増加部
をさらに備え
前記受信部は、前記要求を、前記端末装置をインターネットへ透過的に接続するアクセスポイントを介して受信し、
前記取得されたパブリックアドレスは前記アクセスポイントのグローバルIPアドレスである
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記取得されたパブリックアドレスが前記所定パターンにマッチせず、かつ、前記取得された利用可能量が所定の値未満であれば、前記端末装置にて前記コンテンツにかえて広告を閲覧させるための応答を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記取得されたパブリックアドレスが前記所定パターンにマッチしなければ、前記端末装置にて前記コンテンツとともに広告を閲覧させるための応答を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記広告は、前記コンテンツを閲覧する権利に関連する広告である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記広告は、前記セッション識別子が割り当てられた者に関連する広告である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のサーバ装置。
【請求項6】
サーバ装置が実行する制御方法であって、
前記サーバ装置が、端末装置から、コンテンツを閲覧するための要求を受信する受信工程と、
前記サーバ装置が、セッション識別子と、前記コンテンツの利用可能量とが対応付けて記録されたデータベースから、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する取得工程と、
前記サーバ装置が、前記取得された利用可能量が所定の値以上の場合、前記端末装置にて前記コンテンツを閲覧させるための応答を前記端末装置へ送信する送信工程と、
前記サーバ装置が、前記応答が前記端末装置へ送信されると、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を前記コンテンツの提供量だけ減少させる減少工程と、
を備え、
前記サーバ装置が、前記取得工程において、前記受信された要求に係るパブリックアドレスを取得し、
前記サーバ装置が、前記取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチすれば、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた前記利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を所定量だけ増加させる増加工程
をさらに備え、
前記受信工程において、前記要求を、前記端末装置をインターネットへ透過的に接続するアクセスポイントを介して受信し、
前記取得されたパブリックアドレスは前記アクセスポイントのグローバルIPアドレスである
ことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
端末装置から、コンテンツを閲覧するための要求を受信する受信部、
セッション識別子と、前記コンテンツの利用可能量とが対応付けて記録されたデータベースから、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する取得部、
前記取得された利用可能量が所定の値以上の場合、前記端末装置にて前記コンテンツを閲覧させるための応答を前記端末装置へ送信する送信部、
前記応答が前記端末装置へ送信されると、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を前記コンテンツの提供量だけ減少させる減少部、
として機能させ、
前記取得部は、前記受信された要求に係るパブリックアドレスを取得し、
前記取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチすれば、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた前記利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を所定量だけ増加させる増加部
としてさらに機能させ、
前記受信部は、前記要求を、前記端末装置をインターネットへ透過的に接続するアクセスポイントを介して受信し、
前記取得されたパブリックアドレスは前記アクセスポイントのグローバルIPアドレスである
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、制御方法及びプログラムに関し、特に、コンテンツ提供のサービスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、公共交通機関、公共施設等の様々な場所において、無線LANを利用してインターネットに接続できるサービスが提供されている。ユーザは、このようなサービスを利用して、コンテンツをダウンロードしたり、ストリーミング配信されるコンテンツを視聴したりする。
【0003】
例えば、特許文献1には、無線LANを利用可能なホットスポットに設置されたキャッシュサーバが、コンテンツプロバイダからダウンロードしたコンテンツファイルを格納し、ユーザのモバイル装置が、ホットスポットにサインインすると、モバイル装置にコンテンツファイルを送出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2007-521541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、店舗の経営者等から、このようなサービスを利用して、有償コンテンツを無償で提供することにより、ユーザを、店舗等の特定の場所を訪れるように誘引したいという要望がある。また、コンテンツの提供者は、有償コンテンツの無償体験を適切に提供することで、ユーザに有償コンテンツを利用する権利を購入させるように促したい、という要望がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、特定の場所でコンテンツを利用させることにより、ユーザを特定の場所に誘引しつつ、サービスを宣伝することが可能なサーバ装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係るサーバ装置は、
端末装置から、コンテンツを閲覧するための要求を受信する受信部と、
セッション識別子と、前記コンテンツの利用可能量とが対応付けて記録されたデータベースから、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する取得部と、
前記取得された利用可能量が所定の値以上の場合、前記端末装置にて前記コンテンツを閲覧させるための応答を前記端末装置へ送信する送信部と、
前記応答が前記端末装置へ送信されると、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を前記コンテンツの提供量だけ減少させる減少部と、
を備え、
前記取得部は、前記受信された要求に係るパブリックアドレスを取得し、
前記取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチすれば、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた前記利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を所定量だけ増加させる増加部
をさらに備える
ことを特徴とする。
【0008】
また、上記観点に係るサーバ装置において、
前記受信部は、前記要求を、前記端末装置をインターネットへ透過的に接続するアクセスポイントを介して受信し、
前記取得されたパブリックアドレスは前記アクセスポイントのグローバルIPアドレスである
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記観点に係るサーバ装置において、
前記送信部は、前記取得されたパブリックアドレスが前記所定パターンにマッチせず、かつ、前記取得された利用可能量が所定の値未満であれば、前記端末装置にて前記コンテンツにかえて広告を閲覧させるための応答を送信する
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記観点に係るサーバ装置において、
前記送信部は、前記取得されたパブリックアドレスが前記所定パターンにマッチしなければ、前記端末装置にて前記コンテンツとともに広告を閲覧させるための応答を送信する
ことを特徴とする。
【0011】
また、上記観点に係るサーバ装置において、
前記広告は、前記コンテンツを閲覧する権利に関連する広告である
ことを特徴とする。
【0012】
また、上記観点に係るサーバ装置において、
前記広告は、前記セッション識別子が割り当てられた者に関連する広告である
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の観点に係る制御方法は、
サーバ装置が実行する制御方法であって、
前記サーバ装置が、端末装置から、コンテンツを閲覧するための要求を受信する受信工程と、
前記サーバ装置が、セッション識別子と、前記コンテンツの利用可能量とが対応付けて記録されたデータベースから、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する取得工程と、
前記サーバ装置が、前記取得された利用可能量が所定の値以上の場合、前記端末装置にて前記コンテンツを閲覧させるための応答を前記端末装置へ送信する送信工程と、
前記サーバ装置が、前記応答が前記端末装置へ送信されると、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を前記コンテンツの提供量だけ減少させる減少工程と、
を備え、
前記サーバ装置が、前記取得工程において、前記受信された要求に係るパブリックアドレスを取得し、
前記サーバ装置が、前記取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチすれば、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた前記利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を所定量だけ増加させる増加工程
をさらに備える
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
端末装置から、コンテンツを閲覧するための要求を受信する受信部、
セッション識別子と、前記コンテンツの利用可能量とが対応付けて記録されたデータベースから、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する取得部、
前記取得された利用可能量が所定の値以上の場合、前記端末装置にて前記コンテンツを閲覧させるための応答を前記端末装置へ送信する送信部、
前記応答が前記端末装置へ送信されると、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を前記コンテンツの提供量だけ減少させる減少部、
として機能させ、
前記取得部は、前記受信された要求に係るパブリックアドレスを取得し、
前記取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチすれば、前記受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた前記利用可能量であって、前記データベースに記録された前記利用可能量を所定量だけ増加させる増加部
としてさらに機能させる
ことを特徴とする。
【0015】
上記プログラムは、非一時的な(non-transitory)記録媒体に記録されてもよい。非一時的な記録媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。ここで、非一時的な記録媒体とは、有形な(tangible)記録媒体をいう。非一時的な記録媒体は、例えば、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等である。また、一時的な(transitory)記録媒体とは、伝送媒体(伝搬信号)それ自体を示す。一時的な記録媒体は、例えば、電気信号、光信号、電磁波等である。なお、一時的な(temporary)記憶領域とは、データやプログラムを一時的に記憶するための領域であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定の場所でコンテンツを利用させることにより、ユーザを特定の場所に誘引しつつ、サービスを宣伝することが可能なサーバ装置、制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るサーバ装置と、端末装置との関係を示す図である。
図2】実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示す図である。
図4】(A),(B)実施形態に係る利用可能量テーブルを説明するための図である。
図5】実施形態に係るサーバ装置が行う制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1.全体構成)
本発明の実施形態に係るサーバ装置100は、図1に示すように、インターネット400を介して、端末装置200と通信可能に接続されている。端末装置200は、アクセスポイント300を介して、インターネット400に接続する。
【0019】
サーバ装置100は、端末装置200からの要求に応じて、サービスを提供する装置である。サービスとは、コンテンツの提供に係るサービスである。コンテンツとは、例えば、動画、書籍、音楽、ゲーム等である。本実施形態において、サービスは、有償コンテンツの動画を提供するサービスであるとする。
【0020】
端末装置200とは、サービスの提供を受けるユーザが使用する装置である。端末装置200は、アクセスポイント300を介して、サーバ装置100から、コンテンツを受信する。端末装置200は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ等である。
【0021】
アクセスポイント300は、端末装置200をインターネット400へ透過的に接続させるための装置である。アクセスポイント300は、店舗、商業施設、公共機関などの場所に設置されているものとする。
【0022】
ここで、図1の場所Aは、例えば、喫茶店、美容室、キャリアショップのような店舗であるとする。また、場所Aにおいてアクセスポイント300を提供する者は、コンテンツの提供者と、コンテンツを利用するための契約を結んでいるとする。場所Aにおいては、場所Aのアクセスポイント300を介してサーバ装置100に接続すると、コンテンツを無償で利用することができるサービスが提供されている。端末装置200のユーザが、場所Aを訪れて、場所Aのアクセスポイント300を介して、サーバ装置100に接続すると、コンテンツを無償で利用することができる。場所Aのアクセスポイント300には、グローバルIP(Internet Protocol)アドレス“xxx.xxx.xxx.xxx”が割り当てられているものとする。
【0023】
一方、図1の場所Bは、例えば、商業施設であり、場所Bにおいてアクセスポイント300を提供する者は、コンテンツの提供者と、コンテンツを利用するための契約を結んでいないものとする。したがって、場所Bにおいては、サーバ装置100から、コンテンツを無償で利用できるサービスは提供されていないものとする。場所Bのアクセスポイント300には、グローバルIPアドレス“yyy.yyy.yyy.yyy”が割り当てられているものとする。
【0024】
(2.サーバ装置のハードウェア構成)
図2は、サーバ装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0025】
サーバ装置100は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM13と、記録媒体14と、出力デバイス15と、通信デバイス16と、操作デバイス17と、を備える。各構成要素は、バス18により接続されている。
【0026】
CPU11は、サーバ装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやりとりする。
【0027】
ROM12には、サーバ装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングのプログラムや各種のデータが記録される。
【0028】
RAM13は、データやプログラムを一時的に記録するためのもので、記録媒体14から読み出したプログラムやデータ、その他、通信に必要なデータ等が保持される。
【0029】
記録媒体14は、ハードディスクやフラッシュメモリ等から構成され、サーバ装置100で処理するデータを記録する。
【0030】
出力デバイス15は、LCD(Liquid Crystal Display)及びバックライト等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置を備える。出力デバイス15は、CPU11による制御の下、例えば、CPU11から出力されたデータを出力する。
【0031】
通信デバイス16は、サーバ装置100をインターネット等のコンピュータ通信網に接続するための通信インターフェースを含み、通信デバイス16を介して他の情報処理装置等とやりとりをする。
【0032】
操作デバイス17は、ボタン、キーボード、タッチパネル、マイク等の入力装置を備える。操作デバイス17は、サーバ装置100のユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応する信号をCPU11に出力する。
【0033】
(3.実施形態のサーバ装置の機能構成)
次に、サーバ装置100の機能構成について説明する。サーバ装置100は、図3に示すように、機能的には、受信部101と、取得部102と、データベース103と、送信部104と、減少部105と、増加部106と、を備える。本実施形態において、CPU11及び通信デバイス16が協働して受信部101及び送信部104として機能し、CPU11が取得部102、減少部105及び増加部106として機能し、記録媒体14がデータベース103として機能する。
【0034】
受信部101は、端末装置200から、コンテンツを閲覧するための要求を受信する。コンテンツを閲覧するための要求とは、ユーザがコンテンツを利用するための要求であり、例えば、書籍の閲覧、動画の視聴、音楽の聴音及びゲームの実施をするための要求が含まれる。
【0035】
受信部101は、要求を、端末装置200をインターネットへ透過的に接続するアクセスポイント300を介して受信する。
【0036】
例えば、端末装置200のユーザが、場所Aで、動画Xの視聴を要求する操作を行ったとすると、端末装置200から、アクセスポイント300を介して、動画Xが指定された要求が、サーバ装置100に送信される。受信部101は、端末装置200から送信された要求を受信する。
【0037】
取得部102は、セッション識別子と、コンテンツの利用可能量とが対応付けて記録されたデータベース103から、受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する。
【0038】
セッション識別子とは、サーバ装置100と端末装置200とのセッションを識別するためのものであり、端末装置200から最初に要求を受信した時にサーバ装置100が生成するものである。セッション識別子は、端末装置200が利用するアクセスポイント300が変更されても、変化しない。セッション識別子は、生成されるとセッションが終了するまで、サーバ装置100からの応答及び端末装置200からの要求に含まれる。
【0039】
利用可能量とは、端末装置200のユーザがコンテンツを利用できる量を示すものである。本実施形態では、利用可能量の単位を時間とする。利用可能量の初期値は、サーバ装置100の管理者が任意に設定することができる。以下では、利用可能量の初期値を“30分”とする。
【0040】
データベース103には、セッション識別子と、コンテンツの利用可能量とが対応付けられた利用可能量テーブルが格納される。図4(A)に、利用可能量テーブルの例を示す。利用可能量テーブルは、セッション識別子と、利用可能量と、が対応付けて登録されている。図4(A)のテーブルの一行目のレコードは、セッション識別子“aaaa1111”のセッションでは、“30分”の動画視聴が可能であることを示している。
【0041】
例えば、受信部101が、端末装置200から、場所Aのアクセスポイント300を介して、最初にコンテンツを閲覧するための要求を受信すると、サーバ装置100は、端末装置200とのセッションに割り当てるセッション識別子“aaaa1111”を生成し、セッション識別子“aaaa1111”と、利用可能量の初期値“30分”と、を対応付けてデータベース103の利用可能量テーブルに登録する。取得部102は、データベース103を参照して、利用可能量“30分”を取得する。
【0042】
また、取得部102は、受信された要求に係るパブリックアドレスを取得する。ここで、取得されたパブリックアドレスはアクセスポイント300のグローバルIPアドレスである。
【0043】
例えば、受信部101が、端末装置200から、場所Aのアクセスポイント300を介して、要求を受信したとすると、取得部102は、グローバルIPアドレス“xxx.xxx.xxx.xxx”を取得する。また、例えば、端末装置200のユーザが場所Aから場所Bに移動し、受信部101が、端末装置200から、場所Bのアクセスポイント300を介して、要求を受信したとすると、取得部102は、グローバルIPアドレス“yyy.yyy.yyy.yyy”を取得する。
【0044】
送信部104は、取得された利用可能量が所定の値以上の場合、端末装置200にてコンテンツを閲覧させるための応答を端末装置200へ送信する。
【0045】
所定の値は、利用可能量の閾値であり、サーバ装置100の管理者が任意に設定することができる。以下では、所定の値を“30秒”とする。
【0046】
例えば、送信部104は、データベース103から取得された利用可能量が“30秒”以上の場合、端末装置200に、要求に対する応答として、動画Xのコンテンツを予め定めた提供量だけ送信する。この応答には、セッション識別子“aaaa1111”が含まれる。
【0047】
ここで、提供量は、サーバ装置100から、端末装置200に提供されるコンテンツの量であり、サーバ装置100の管理者が任意に設定することができる。以下では、提供量を“1分”とする。
【0048】
減少部105は、応答が端末装置200へ送信されると、受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、データベース103に記録された利用可能量をコンテンツの提供量だけ減少させる。
【0049】
端末装置200へ動画Xの“1分”の分量のコンテンツが送信されたとすると、減少部105は、図4(B)に示すように、セッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量を、“30分”から“29分”に減少させる。
【0050】
増加部106は、取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチすれば、受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量であって、データベース103に記録された利用可能量を所定量だけ増加させる。
【0051】
所定パターンとは、コンテンツの提供者とコンテンツを利用する契約を結んだ者に割り当てられたパブリックアドレスのパターンである。例えば、所定パターンは、コンテンツを利用する契約を結んだ者が提供するアクセスポイント300に割り当てられたグローバルIPアドレス群により示される。したがって、場所Aのアクセスポイントの300に割り当てられたグローバルIPアドレス“xxx.xxx.xxx.xxx”は、所定パターンにマッチする。
【0052】
所定量とは、増加させる利用可能量の量であり、サーバ装置100の管理者が任意に設定することができる。以下では、所定量は、提供量と同じ値とし、“1分”とする。
【0053】
例えば、場所Aのアクセスポイント300のグローバルIPアドレス“xxx.xxx.xxx.xxx”が取得されたとすると、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチすると判断され、セッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量“29分”に、所定量“1分”を追加して、利用可能量“30分”とする。なお、増加部106が、利用可能量を、提供量と同じ分量の所定量だけ増加させる場合、コンテンツを送信した後も、利用可能量“30分”が維持される。すなわち、端末装置200は、場所Aのアクセスポイント300を介して、サーバ装置100に接続している限り、制限無くコンテンツを利用することができる。
【0054】
一方、取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチしなければ、送信部104は、端末装置200にてコンテンツとともに広告を閲覧させるための応答を送信する。
【0055】
例えば、場所Aにおいて、動画Xを利用するための要求を送信した端末装置200のユーザが、場所Aから場所Bに移動して、端末装置200を、場所Bのアクセスポイント300を介して、サーバ装置100に接続させたとする。この場合、取得部102により取得される、場所Bのアクセスポイント300のグローバルIPアドレス“yyy.yyy.yyy.yyy”は、所定パターンにマッチしないので、送信部104は、予め定められた提供量だけの動画Xのコンテンツと、動画Xのコンテンツとともに端末装置200に表示させる広告を、端末装置200に送信する。
【0056】
ここで、広告は、コンテンツを閲覧する権利に関連する広告である。例えば、広告は、コンテンツを、場所A以外でも自由に利用できる権利の販売に関する広告である。
【0057】
また、送信部104は、取得されたパブリックアドレスが所定パターンにマッチせず、かつ、取得された利用可能量が所定の値未満であれば、端末装置200にてコンテンツにかえて広告を閲覧させるための応答を送信する。
【0058】
例えば、取得部102が、場所Bのアクセスポイント300のグローバルIPアドレス“yyy.yyy.yyy.yyy”を取得し、セッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量“20秒”を取得したとする。この場合、送信部104は、利用可能量が所定の値“30秒”未満なので、動画Xのコンテンツではなく広告を、端末装置200に送信する。
【0059】
すなわち、端末装置200のユーザが、コンテンツを無償で利用することができるサービスが提供されている場所Aから離れて、端末装置200が当該サービスを提供していない場所Bにおいてサーバ装置100に接続した場合、ユーザは、利用可能量に示される量だけ、コンテンツを利用することができるが、コンテンツと共に広告が表示される。また、場所Bにおいて、端末装置200がサーバ装置100に接続し、利用可能量が所定の値未満となった場合は、コンテンツの閲覧はできず、端末装置200には広告のみが表示される。
【0060】
(4.実施形態のサーバ装置の動作)
本実施形態のサーバ装置100の動作について説明する。例えば、サーバ装置100が起動されると、サーバ装置100は、図5に示す制御処理を開始する。
【0061】
受信部101は、端末装置200から、コンテンツを閲覧するための要求を受信したか否かを判断する(ステップS101)。受信部101が、コンテンツを閲覧するための要求を受信したと判断すると(ステップS101;YES)、取得部102は、データベース103から、受信された要求に係るセッション識別子に対応付けられた利用可能量を取得する(ステップS102)。また、取得部102は、受信された要求に係るグローバルIPアドレスを取得する(ステップS103)。一方、受信部101が、コンテンツを閲覧するための要求を受信していないと判断すると(ステップS101;NO)、そのまま待機する。
【0062】
例えば、受信部101が、端末装置200から、場所Aのアクセスポイント300を介して、動画Xを利用するための要求を受信したとすると、取得部102は、データベース103を参照して、サーバ装置100と端末装置200とのセッションに割り当てられたセッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量を取得する。また、取得部102は、場所Aのアクセスポイント300のグローバルIPアドレス“xxx.xxx.xxx.xxx”を取得する。
【0063】
また、例えば、受信部101が、端末装置200から場所Bのアクセスポイント300を介して、動画Xを利用するための要求を受信したとすると、取得部102は、データベース103を参照して、セッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量を取得する。また、取得部102は、場所Bのアクセスポイント300のグローバルIPアドレス“yyy.yyy.yyy.yyy”を取得する。
【0064】
一方、受信部101は、端末装置200から要求を受け付けていないと判断すると、そのまま待機する。
【0065】
送信部104は、取得された利用可能量が所定の値以上か否かを判断する(ステップS104)。送信部104は、取得された利用可能量が所定の値以上と判断すると(ステップS104;YES)、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチするか否かを判断する(ステップS105)。また、送信部104は、取得された利用可能量が所定の値未満と判断すると(ステップS104;NO)、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチするか否かを判断する(ステップS106)。
【0066】
例えば、送信部104は、取得された利用可能量が所定の値の“30秒”以上の場合、ステップS105に進み、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチするか否かを判断する。また、送信部104は、取得された利用可能量が“30秒”未満の場合、ステップS106に進み、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチするか否かを判断する。
【0067】
ステップS105において、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチすると判断すると(ステップS105;YES)、コンテンツが含まれる応答を送信する(ステップS107)。そして、減少部105は、コンテンツの提供量だけ利用可能量を減少させる(ステップS108)。また、増加部106は、所定量だけ利用可能量を増加させる(ステップS109)。一方、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチしないと判断すると(ステップS105;NO)、コンテンツと広告とが含まれる応答を送信する(ステップS110)。そして、減少部105は、コンテンツの提供量だけ利用可能量を減少させる(ステップS111)。
【0068】
例えば、取得されたグローバルIPアドレスが“xxx.xxx.xxx.xxx”であるとすると、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチすると判断し、予め定められた提供量“1分”の動画Xのコンテンツを、要求を送信した端末装置200に送信する。そして、減少部105は、提供量“1分”だけ、データベース103において、セッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量を減少させる。また、増加部106は、所定量“1分”だけ、データベース103において、セッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量を増加させる。
【0069】
また、例えば、取得されたグローバルIPアドレスが“yyy.yyy.yyy.yyy”であるとすると、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチしないと判断し、予め定められた提供量“1分”の動画Xのコンテンツと、当該コンテンツと共に表示される広告を、要求を送信した端末装置200に送信する。この広告は、例えば、コンテンツの残りの利用可能量を示し、動画を視聴する権利の購入を促す広告である。そして、減少部105は、提供量“1分”だけ、データベース103において、セッション識別子“aaaa1111”に対応付けられた利用可能量を減少させる。
【0070】
ステップS106において、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチすると判断すると(ステップS106;YES)、コンテンツと広告とが含まれる応答を送信する(ステップS110)。一方、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチしないと判断すると(ステップS106;NO)、コンテンツに変えて、広告が含まれる応答を送信する(ステップS113)。
【0071】
例えば、取得されたグローバルIPアドレスが“xxx.xxx.xxx.xxx”であるとすると、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチすると判断し、予め定められた提供量“1分”の動画Xのコンテンツと、当該コンテンツと共に表示される広告を、要求を送信した端末装置200に送信する。この広告は、例えば、場所Aにおいてはコンテンツを無償利用することができることを示すものであり、場所Aの利用を促す広告である。
【0072】
また、例えば、取得されたグローバルIPアドレスが“yyy.yyy.yyy.yyy”であるとすると、送信部104は、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチしないと判断し、コンテンツに変えて広告を、要求を送信した端末装置200に送信する。この広告は、動画を視聴する権利の購入を促す広告である。
【0073】
本実施形態によれば、特定の場所ではコンテンツを無償で利用することができるので、特定の場所にユーザを誘引しつつ、コンテンツ利用のサービスを宣伝することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、コンテンツの利用権の増加は、パブリックアドレスに基づいてなされるが、利用権の消費は、セッション識別子に基づいてなされる。すなわち、コンテンツを無償で利用することができる特定の場所を離れた後も、利用可能量が所定の値以上であれば、当該コンテンツが利用できるので、コンテンツを提供するサービスの宣伝をすることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、コンテンツを無償で利用することができる特定の場所を離れた後も、利用可能量が所定の値以上であれば、コンテンツと共に広告も提示されるので、特定の場所にユーザを誘引するとともに、コンテンツを提供するサービスの宣伝をすることができる。
【0076】
(5.変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0077】
上記実施形態において、端末装置200において閲覧させる広告を、コンテンツを閲覧する権利に関連する広告としたが、これに限らない。広告は、例えば、セッション識別子が割り当てられた者に関連する広告であってもよい。例えば、セッション識別子が割り当てられた者とは、要求を送信した端末装置200のユーザである。端末装置200からサーバ装置100に最初に接続する際に、一時的なログインアカウントとして、ユーザにメールアドレス等を登録させ、セッション識別子が割り当てられた者を特定し、送信部104は、これに関連する広告を送信する。
【0078】
また、図5のフローチャートのステップS102とステップS103の処理は、順番を入れ替えてもよい。
【0079】
また、図5のフローチャートのステップS106において、取得されたグローバルIPアドレスが所定パターンにマッチした場合は、制御処理を終了せずに、送信部104が広告を送信してもよい。
【0080】
また、図5のフローチャートのステップS108の提供量と、ステップS109の増加量が同じ場合は、ステップS108及びステップS109を省略してもよい。
【0081】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、特定の場所でコンテンツを利用させることにより、ユーザを特定の場所に誘引しつつ、サービスを宣伝することが可能なサーバ装置、制御方法及びプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記録媒体
15 出力デバイス
16 通信デバイス
17 操作デバイス
18 バス
100 サーバ装置
101 受信部
102 取得部
103 データベース
104 送信部
105 減少部
106 増加部
200 端末装置
300 アクセスポイント
400 インターネット
図1
図2
図3
図4
図5