(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】医療用バッグの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20220208BHJP
A61J 1/10 20060101ALI20220208BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61J1/05 351A
A61J1/10 330B
B65D81/32 D
(21)【出願番号】P 2020127317
(22)【出願日】2020-07-28
(62)【分割の表示】P 2017508428の分割
【原出願日】2016-03-24
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2015062070
(32)【優先日】2015-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】鉢村 恵里佳
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-063771(JP,A)
【文献】国際公開第2013/172235(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/083612(WO,A1)
【文献】特表昭61-500055(JP,A)
【文献】特開2007-098122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート材で構成され、内部が仕切り部を介して第1の空間と、前記第1の空間よりも小さい第2の空間とに仕切られたバッグ本体と、前記第1の空間に収納された第1の液体と、前記第2の空間に収納された第2の液体とを有し、前記第1の液体の体積をL1、前記第2の液体の体積をL2としたとき、L1/L2は、2.0~6.0であり、前記仕切り部の破断強度は、5~25kPaである医療用バッグの製造方法であって、
前記シート材よりも鉛直方向上側に位置し、表面温度が130~145℃である上金型と、前記シート材よりも鉛直方向下側に位置し、表面温度が前記上金型の表面温度よりも20~30℃低い下金型とで前記シート材を挟んで融着することにより、前記仕切り部を形成し、
前記仕切り部が形成された前記医療用バッグを、前記上金型側の表面同士が接触するように、前記仕切り部において折り返した状態で包材内に収納し、
前記医療用バッグを118~125℃で20~45分、滅菌することを特徴とする医療用バッグの製造方法。
【請求項2】
前記第1の液体と前記第2の液体とを混合してなる液体は、腹膜透析液である請求項1に記載の医療用バッグの製造方法。
【請求項3】
前記第1の液体のpHは、4.0~6.0である請求項1または2に記載の医療用バッグの製造方法。
【請求項4】
前記第1の液体は、イコデキストリンを有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医療用バッグの製造方法。
【請求項5】
前記第2の液体は、前記第1の液体と前記第2の液体とを混合してなる液体のpHを6.0~7.5に調整するものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医療用バッグの製造方法。
【請求項6】
前記第2の液体は、緩衝液である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の医療用バッグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用バッグの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内部に輸液、腹膜透析液、液状栄養剤等の液体を密封したバッグ本体を有する医療用バッグにおいて、例えば患者への輸液、腹膜透析、栄養剤の投与等を行うに際し、2種以上の成分を混合したものを使用する場合、初めからそれらを混合してバッグ本体内に保存しておくと、経時的に変質、劣化することがある。
【0003】
そのため、樹脂製のシート材で構成されたバッグ本体の途中を帯状に融着して仕切り部を形成し、この仕切り部によりバッグ本体内を2つの空間に仕切り、2種の液体をそれぞれの空間に分けて収納し、使用時に仕切り部を剥離して両空間内の液体同士を混合し、使用する医療用バッグ(複室容器)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、輸液、腹膜透析液、液状栄養剤等の液体が経時的に変質、劣化することを防止することができ、また、使用時に、仕切り部を剥離して両空間内の液体同士を混合することにより、液体のpHを調整することができる。
【0004】
しかしながら、従来の医療用バッグでは、医療用バッグを製造する際、安全性を向上させるために比較的高い温度で滅菌を行うと、その滅菌の際の熱により、仕切り部が強固に融着されてしまい、使用時に仕切り部を剥離することが困難になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、不本意な剥離を防止し、かつ、使用時に容易に剥離することができる仕切り部を有する医療用バッグの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)~(6)の本発明により達成される。
(1) 可撓性を有するシート材で構成され、内部が仕切り部を介して第1の空間と、前記第1の空間よりも小さい第2の空間とに仕切られたバッグ本体と、前記第1の空間に収納された第1の液体と、前記第2の空間に収納された第2の液体とを有し、前記第1の液体の体積をL1、前記第2の液体の体積をL2としたとき、L1/L2は、2.0~6.0であり、前記仕切り部の破断強度は、5~25kPaである医療用バッグの製造方法であって、
前記シート材よりも鉛直方向上側に位置し、表面温度が130~145℃である上金型と、前記シート材よりも鉛直方向下側に位置し、表面温度が前記上金型の表面温度よりも20~30℃低い下金型とで前記シート材を挟んで融着することにより、前記仕切り部を形成し、
前記仕切り部が形成された前記医療用バッグを、前記上金型側の表面同士が接触するように、前記仕切り部において折り返した状態で包材内に収納し、
前記医療用バッグを118~125℃で20~45分、滅菌することを特徴とする医療用バッグの製造方法。
【0008】
(2) 前記第1の液体と前記第2の液体とを混合してなる液体は、腹膜透析液である上記(1)に記載の医療用バッグの製造方法。
【0009】
(3) 前記第1の液体のpHは、4.0~6.0である上記(1)または(2)に記載の医療用バッグの製造方法。
【0010】
(4) 前記第1の液体は、イコデキストリンを有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
【0011】
(5) 前記第2の液体は、前記第1の液体と前記第2の液体とを混合してなる液体のpHを6.0~7.5に調整するものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
【0012】
(6) 前記第2の液体は、緩衝液である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の医療用バッグの製造方法。
【0013】
本発明の医療用バッグの製造方法は、可撓性を有するシート材で構成され、内部が仕切り部を介して第1の空間と、前記第1の空間よりも小さい第2の空間とに仕切られたバッグ本体と、
前記第1の空間に収納された第1の液体と、
前記第2の空間に収納された第2の液体とを有する医療用バッグの製造方法であって、
前記シート材よりも鉛直方向上側に位置し、表面温度が130~145℃である上金型と、前記シート材よりも鉛直方向下側に位置し、表面温度が前記上金型の表面温度よりも20~30℃低い下金型とで前記シート材を挟んで融着することにより、前記バッグ本体に前記仕切り部を形成する工程と、
前記第1の空間に、体積がL1の前記第1の液体を充填し、前記第2の空間に、体積がL2の前記第2の液体を充填し、L1/L2を2.0~6.0とする工程と、
118~125℃で20~45分、滅菌し、前記仕切り部の破断強度を5~25kPaにする工程とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、比較的高い温度での滅菌においても、仕切り部の不本意な剥離を防止し、かつ、使用時に容易に仕切り部を剥離することができる。これより、高齢者や女性等の力の弱い人でも容易かつ確実に仕切り部を剥離し、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の医療用バッグの
製造方法により製造された医療用バックの実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す医療用バッグの製造工程を説明するための図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す医療用バッグを仕切り部で折り返した状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す医療用バッグを包材内に収納した状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の医療用バッグの製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の医療用バッグの
製造方法により製造された医療用バックの実施形態を示す正面図である。
図2は、
図1に示す医療用バッグの製造工程を説明するための図である。
図3は、
図1に示す医療用バッグを仕切り部で折り返した状態を示す側面図である。
図4は、
図1に示す医療用バッグを包材内に収納した状態を示す部分断面図である。
【0018】
なお、以下では、説明の都合上、
図1中の上側を「先端」、「上」または「上方」、下側を「基端」、「下」または「下方」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、
図2~
図4中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」、右側を「先端」または「右」、左側を「基端」または「左」と言う。
【0019】
図1に示す医療用バッグ1は、後述する仕切り部5において折り返された状態で包材7内に収納され、その医療用バッグ1と包材7とにより、医療用バッグ個包装体10を構成する(
図4参照)。なお、以下では、医療用バッグ1の仕切り部5において折り返された状態を、単に「折り返し状態」とも言う。
【0020】
図1に示すように、医療用バッグ1は、バッグ本体2と、注入口6と、チューブ65とを備え、バッグ本体2内に液体が充填されたものである。この医療用バッグ1は、バッグ本体2の内部が複数の空間、本実施形態では、2つの空間、すなわち、第1の空間3と第2の空間4とに画成された複室容器である。
【0021】
バッグ本体2は、例えば、インフレーション成形法等により筒状に成形され、可撓性を有する軟質材料からなる後述するシート材21を用いて製造されたものである。なお、シート材21は、複数のバッグ本体分であり、1つのバッグ本体分毎にカットされて用いられるものであってもよく、また、1つのバッグ本体分であってもよい。なお、以下では、シート材21が複数のバッグ本体分である場合、そのシート材21をカットする前後のいずれについても「シート材21」と言う。
【0022】
バッグ本体2は、シート材21の両端部を熱融着、高周波融着等の融着または接着によりシールして袋状としたものである。バッグ本体2の基端側のシール部22および先端側のシール部23は、それぞれ、所望の形状に裁断されている。
【0023】
バッグ本体2の基端側のシール部22のほぼ中央部には、医療用バッグ1をハンガー等に吊り下げる際等に用いる孔241が設けられている。同様に、バッグ本体2の先端側のシール部23の右側および左側には、医療用バッグ1をハンガー等に吊り下げる際等に用いる孔242および243が設けられている。
【0024】
このバッグ本体2の
図1中上下方向の途中には、仕切り部5が形成されており、バッグ本体2の内部は、この仕切り部5により第1の空間3と、第2の空間4とに仕切られている。
【0025】
この仕切り部5は、バッグ本体2に一直線状に形成されている。また、仕切り部5は、バッグ本体2の
図3中横方向に延在し、そのバッグ本体2を横断するように形成されている。
【0026】
また、仕切り部5は、
図3中横方向に沿って、その幅に差異が設けられている。すなわち、仕切り部5の下端は、直線状をなし、上端は、波状をなしている。これにより、後述するように、医療用バッグ1の第1の空間3の部分を押圧して仕切り部5を剥離する際は、仕切り部5の前記波状の部分のうち、先端側に凸の部分から剥離してゆく。
【0027】
また、仕切り部5は、後述するように、金型8(
図2参照)を用いてバッグ本体2のシート材21を帯状に融着して形成されたものである。また、仕切り部5は、例えば医療用バッグ1の第1の空間3または第2の空間4の部分、好ましくは、第1の空間3の部分を手で押圧し、その内圧を高めることにより剥離する程度の弱シール部で構成されている。これにより、特別の器具等を用いず、簡単な作業で仕切り部5による遮断を解除し、第1の空間3内と第2の空間4内の液体同士を混合することができる。なお、仕切り部5を剥離する場合は、医療用バッグ1の第1の空間3が鉛直方向上側、第2の空間4が鉛直方向下側となるように、医療用バッグ1をハンガー等に吊り下げ、医療用バッグ1の第1の空間3の部分を押圧することが好ましい。
【0028】
また、仕切り部5の破断強度は、5~25kPaであることが好ましい。
【0029】
前記仕切り部5の破断強度とは、医療用バッグ1の第1の空間3が鉛直方向上側、第2の空間4が鉛直方向下側となるように、医療用バッグ1を吊り下げ、医療用バッグ1の第1の空間3の部分を押圧し、仕切り部5が剥離したときの医療用バッグ1の内圧である。
【0030】
前記破断強度が前記上限値よりも大きいと、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0031】
また、前記破断強度が前記下限値よりも小さいと、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0032】
なお、仕切り部5の全部が弱シール部で構成されている場合に限らず、仕切り部5の一部が弱シール部で構成されていてもよい。
【0033】
また、仕切り部5は、バッグ本体2の
図1中上下方向の中央よりも基端側に位置し、これにより、第2の空間4の容積は、第1の空間3の容積よりも小さく設定されている。
【0034】
また、第1の空間3の容積をV1、第2の空間4の容積をV2としたとき、V1/V2は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、後述する第1の液体30の体積L1と第2の液体40の体積L2の比L1/L2を考慮すると、2.0~6.0であることが好ましく、4.0~6.0であることよりがより好ましく、4.5~5.5であることよりがさらに好ましい。
【0035】
V1/V2が前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、第1の空間3からの高い内圧を受け易くなり、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0036】
また、使用時に仕切り部5を剥離する際は、医療用バッグ1の第1の液体30が収納されている部分を押圧するので、V1/V2が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、第1の空間3からの高い内圧が受けにくくなり、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0037】
また、第1の空間3の容積V1は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、後述する第1の液体30の体積L1を考慮すると、1000~2000mLであることが好ましい。
【0038】
また、第2の空間4の容積V2は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、後述する第2の液体40の体積L2を考慮すると、100~500mLであることが好ましい。
【0039】
第1の空間3、第2の空間4には、それぞれ、互いに組成の異なる第1の液体30、第2の液体40が収納されている。
【0040】
使用されるまでは、第1の液体30と第2の液体40を混合せずに分けて保存し、使用に際し、仕切り部5を剥離して第1の空間3と第2の空間4とを連通させ、第1の液体30と第2の液体40を混合する。これにより、第1の液体30、第2の液体40の変質、劣化等を防止し、目的とする薬効をより確実に得ることができる。
【0041】
例えば、酸性で安定な成分を含む酸性溶液とそれを中性にする緩衝液(pH調整剤)またはアルカリ性溶液とを別個に、すなわち第1の空間3および第2の空間4のそれぞれに収納しておくことで、かかる液体の変質、分解、劣化、着色、変色、沈殿物の発生等を防止することができる。
【0042】
なお、本発明において、第1の液体30と第2の液体40とを混合して得られる液体は、特に限定されず、例えば、腹膜透析液、生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、経口栄養剤等が挙げられる。
【0043】
以下、第1の液体30、第2の液体40の具体例について、第1の液体30と第2の液体40とを混合してなる液体が腹膜透析液の場合を例に挙げて説明する。なお、以下の第1の液体30、第2の液体40は、あくまでも一例である。
【0044】
まず、滅菌後に第1の液体30と第2の液体40とを混合して得られる腹膜透析液のpHは、6.0~7.5であることが好ましい。
【0045】
また、第1の液体30は、イコデキストリンを有する液体であり、より詳細には、イコデキストリンおよび塩化ナトリウムを有する液体である。
【0046】
また、第1の液体30のpHは、滅菌後の値で、4.0~6.0であること好ましく、4.5~5.5であることがより好ましい。
【0047】
また、第2の液体40は、緩衝液(pH調整剤)であり、具体的には、滅菌後に第1の液体30と第2の液体40とを混合してなる液体のpHを6.0~7.5に調整する緩衝液である。
【0048】
この第2の液体40は、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のうちの少なくとも1つを有している。
【0049】
また、第2の液体40は、アルカリ化剤として、例えば、乳酸、乳酸塩等のうちの少なくとも1つを有していることが好ましい。
【0050】
なお、乳酸塩としては、例えば、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム等が挙げられ、これらのうちでは、乳酸ナトリウムが好ましい。
【0051】
また、収納される第1の液体30の体積をL1、第2の液体40の体積をL2としたとき、L1とL2の比L1/L2は、2.0~6.0であり、4.0~6.0であることが好ましく、4.5~5.5であることがより好ましい。
【0052】
前記L1/L2を前記範囲内に設定することにより、第1の液体30として、前記イコデキストリンを有する液体を用い、第2の液体40として、前記緩衝液を用いる場合、第1の液体30の安定性と、第1の液体30と第2の液体40とを混合してなる液体の安定性、pHをそれぞれ好適にすることができる。
【0053】
また、L1/L2が前記上限値よりも大きいと、輸送中や保管中に仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0054】
また、使用時に仕切り部5を剥離する際は、体積が大きい第1の液体30が収納されている部分を押圧するが、L1/L2が前記下限値よりも小さいと、使用時に仕切り部5が高い内圧を受けにくくなるため、その剥離が困難になる。
【0055】
また、第1の液体30の体積L1は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、1000mL~2000mLであることが好ましい。
【0056】
また、第2の液体40の体積L2は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、100mL~500mLであることが好ましい。
【0057】
また、バッグ本体2の所定部位の表面には、例えば、目盛り、容量、薬剤濃度、品種、注意喚起文、成分一覧、使用期限等の所定の表示パターンが印刷されている。
【0058】
また、バッグ本体2の先端部の右側には、注入口6が設けられ、左側には、チューブ65の端部が接続されている。
【0059】
チューブ65は、少なくとも第1の液体30と第2の液体40の混合液を排出する機能を有しており、例えば、使用者側に接続される。なお、バッグ本体2のチューブ65の端部の近傍に、第1の空間3をチューブ65の端部に連通する第3の空間(図示せず)と、前記第3の空間の外側に位置する第4の空間(図示せず)とに仕切るように、例えば、前記仕切り部5のような剥離可能な第2の仕切り部(図示せず)等が設けられていてもよい。
【0060】
また、注入口6は、少なくとも第1の空間3に、例えば、第1の液体30のような所定の液体等を注入する機能を有するものであり、弾性栓を備えた注入口本体61と、注入口本体61の外側に設置された外筒62とを備えている。
【0061】
外筒62は、バッグ本体2の先端部のシール部23において、シート材21、21間に挟持され、シール部23によって固定されている。外筒62とシート材21との接合性、密着性は高く、液漏れ等を確実に防止することができる。
【0062】
なお、前記注入口6は、所定の液体等を排出する機能を有していてもよく、また、複数個設置されていてもよい。
【0063】
また、シート材21は、前記インフレーション成形法に限らず、例えば、Tダイ法、ブロー成形法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ホットプレス法等の種々の方法により製造されたものでもよい。
【0064】
また、第1の液体30、第2の液体40の変質や劣化を有効に防止するために、シート材21は、ガス透過性ができる限り低いもの、すなわち、ガスバリア性を有するものが好ましい。
【0065】
但し、シート材21のガス透過性は、後述する包材7のガス透過性よりも高く設定される。これにより、後述する高圧蒸気滅菌の際は、バッグ本体2を透過した第1の液体30、第2の液体40の水蒸気を利用して包材7内の医療用バッグ1を滅菌することができる。
【0066】
シート材21の構成材料としては、ポリオレフィン、特に、ポリプロピレンを主成分とする樹脂を用いるのが好ましい。この構成材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有しているためである。
【0067】
ポリプロピレンを主成分とする場合、シート材21の構成材料中のポリプロピレンの含有率は、50wt%超であることが好ましく、60~95wt%程度であることがより好ましく、70~80wt%程度であることがさらに好ましい。
【0068】
また、用いるポリプロピレンの平均分子量Mwは、特に限定されないが、80万~300万程度であることが好ましい。
【0069】
具体的には、シート材21の構成材料としては、例えば、ポリプロピレンのみ、ポリプロピレンと1種または2種以上の他のポリマーとの共重合体、ポリプロピレンと1種または2種以上の他のポリマーとのポリマーアロイ、ポリプロピレンと1種または2種以上の他のポリマーとの混合物等が挙げられる。
【0070】
前記他のポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、EVA、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂や、後述する熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
また、シート材21の構成材料として特に好ましいものに、ポリプロピレンに、例えば、スチレン系、ポリアミド系、ポリエステル系等の熱可塑性エラストマーをブレンドし、柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性、特に滅菌時の耐熱性が高く、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、製造コストの低減を図れるからである。
【0072】
なお、シート材21の構成材料中の熱可塑性エラストマーの含有率は、0~49wt%程度であることが好ましく、10~40wt%程度であることがより好ましい。
【0073】
次に、包材7について説明する。
図4に示すように、包材7は、1対のシート材、すなわち、第1シート材71と第2シート材72とで構成されている。これらの第1シート材71および第2シート材72の平面視形状、すなわち、
図4中上側から見たときの形状は、ほぼ同形状をなし、いずれも略四角形状をなしている。これに対応して、包材7の平面視形状も、略四角形状をなしている。
【0074】
包材7は、第1シート材71と第2シート材72とを重ね、これらの縁部を熱融着、高周波融着、超音波融着等の融着または接着剤や溶剤等による接着によりシールして、袋状としたものである。なお、前記シールされた部分、すなわち、シール部75は、包材7の外周部に沿って帯状に形成されている。
【0075】
第2シート材72は、平坦な形状に形成されている。これに対し、第1シート材71は、医療用バッグ1を収納可能な突出形状に、形成されている。すなわち、第1シート材71は、折り返し状態の医療用バッグ1の形状、大きさに対応した膨らみを有している。そして、この膨らみの内部、すなわち、空間73に折り返し状態の医療用バッグ1が収納される。
【0076】
この空間73は、第1シート材71と第2シート材72とシール部75とで囲まれており、外部から気密に隔離されている。したがって、空間73内に収納された医療用バッグ1は、後述する構成材料のシート材を用いた場合、使用時まで好適に防湿性および無菌状態が保たれる。
【0077】
この包材7の端部、図示の構成では、
図2中の左側の端部に、シート材をシールしないことにより形成したピールタブ76が設けられている。このピールタブ76で例えば第2シート材72を第1シート材71から離間する方向に引っ張ることにより、シール部75を剥離し、包材7を開封することができる。
【0078】
また、第1シート材71の構成材料と第2シート材72の構成材料とは、同一でもよく、また、異なっていてもよい。例えば、第1シート材71が、第2シート材72に比べて硬質の材料で構成されていてもよい。また、第2シート材72は、可撓性を有するシート材であるのが好ましい。これにより、第1シート材71と第2シート材72とを離間する際に、容易に前記シール部75を剥離することができる。
【0079】
また、内容物の視認性を確保するために、第1シート材71と第2シート材72のうちの少なくとも一方は、透明であることが好ましい。
【0080】
また、包材7は、ガスバリア性を有するのが好ましい。
このように包材7がガスバリア性を有することにより、外部から空間73内への水蒸気等のガスの進入を防止できる。その結果、空間73内の防湿性を保つことができる。
【0081】
包材7を構成する第1シート材71、第2シート材72、すなわち、前記ガスバリア性を有するシート材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、これらポリオレフィン樹脂のブレンド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体等の単層フィルム、これらのフィルムにアルミニウム、シリカ等を蒸着したもの、アルミニウムフィルム、アルミニウムラミネートフィルム等の金属箔または金属箔を含むフィルムを使用することができる。さらには、これら各フィルムを2層以上積層したものを用いることもできる。
【0082】
このような包材7を構成する第1シート材71、第2シート材72の製造方法としては、例えば、前述したシート材21の製造方法として例示したものと同様の方法を用いることができる。
【0083】
また、本実施形態では、第2シート材72が、平坦な形状に形成され、第1シート材71が、医療用バッグ1を収納可能な突出形状に成形されているブリスター包装で包装する構成について説明したが、医療用バッグ1をラミネート包装およびフィルム包装等により包装する構成としてもよいし、成型容器を用いて包装する構成としてもよい。
【0084】
次に、医療用バッグ1および医療用バッグ個包装体10の製造方法を説明する。
[1]
まず、例えば、インフレーション成形法等により筒状に成形されたシート材21を用意する。
【0085】
このシート材21は、前述したように、ポリオレフィン、特に、ポリプロピレンを主成分とする樹脂で構成されていることが好ましい。なお、シート材21の構成材料については、説明済みであるので、その説明は省略する。
【0086】
そして、シート材21にシール部22、23をそれぞれ形成する。なお、後から注入口6およびチューブ65を設けるため、シール部23の一部には、孔(図示せず)が形成されている。また、シール部22の一部にも、後から第2の液体40を充填するために用いる孔(図示せず)が形成されている。
【0087】
[2]
次に、
図2に示すように、金型8を用いて、シート材21を融着し、仕切り部5を形成する。
【0088】
金型8は、シート材21よりも鉛直方向上側に位置する上金型81と、シート材21よりも鉛直方向下側に位置する下金型82とを有している。
【0089】
上金型81および下金型82は、それぞれ、例えば、各種の金属材料で構成されており、その表面は、シリコン等の樹脂材料で被覆されていてもよく、また、被覆されていなくてもよい。但し、上金型81は、被覆されていないことが好ましく、下金型82は、被覆されていることが好ましい。
【0090】
このような上金型81と下金型82とでシート材21を挟み込み、加熱することにより、シート材21を融着する。融着条件は、下記の通りである。
【0091】
上金型81の表面温度は、130~145℃であり、135~145℃であることが好ましい。
【0092】
上金型81の表面温度が前記上限値よりも高いと、シート材21の融着が過剰になされ、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0093】
また、上金型81の表面温度が前記下限値よりも低いと、シート材21の融着が不十分となり、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0094】
また、下金型82の表面温度は、前記上金型81の表面温度よりも低く設定される。これにより、仕切り部5の上金型81側と下金型82側、すなわち、表面側と裏面側とで、融着の程度に差を設けることができ、仕切り部5の上金型81側をより収縮させることができる。これによって、医療用バッグ1を仕切り部5において折り返す場合に、医療用バッグ1の上金型81側の表面同士が接触するように折り返すことにより、医療用バッグ1にかかる負担を低減することができる。
【0095】
この場合、下金型82の表面温度と上金型81の表面温度との差は、20~30℃であり、22~30℃であることが好ましい。
【0096】
前記差が前記上限値よりも大きいと、シート材21の融着が不十分となり、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0097】
また、前記差が前記下限値よりも小さいと、シート材21の融着が過剰になされ、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0098】
また、融着時間は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、2.0~5.0秒であることが好ましく、2.0~4.0秒であることがより好ましい。
【0099】
融着時間が前記上限値よりも長いと、他の条件によっては、シート材21の融着が過剰になされ、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0100】
また、融着時間が前記下限値よりも短いと、他の条件によっては、シート材21の融着が不十分となり、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0101】
また、融着の際の金型8による圧力は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、0.2~0.5MPaであることが好ましく、0.3~0.4MPaであることがより好ましい。
【0102】
前記圧力が前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、シート材21の融着が過剰になされ、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0103】
また、前記圧力が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、シート材21の融着が不十分となり、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0104】
[3]
次に、シート材21、すなわち、バッグ本体2に、注入口6およびチューブ65をそれぞれ融着する。なお、この融着は、それぞれ、仕切り部5を形成する前に行ってもよい。
【0105】
[4]
次に、第1の空間3に第1の液体30を充填し、第2の空間4に第2の液体40を充填する。第1の空間3への第1の液体30の充填は、例えば、注入口6を介して行う。また、第2の空間4への第2の液体40の充填は、例えば、直接、液体充填用のノズルを第2の空間4に挿入して行い、第2の液体40の充填後、そのノズルが挿入された孔をシールして封鎖する。これにより、滅菌前の医療用バッグ1が得られる。
【0106】
[5]
次に、
図3に示すように、医療用バッグ1を仕切り部5において折り返す。この場合、医療用バッグ1の上金型81側の表面同士が接触するように折り返す。前述したように、仕切り部5の上金型81側の部分が下金型82側の部分よりも収縮しているので、このように折り返すことにより、医療用バッグ1にかかる負担を低減することができる。
【0107】
そして、
図4に示すように、医療用バッグ1の表側と裏側とを反転させ、医療用バッグ1を折り返した状態で包材7内に収納し、封止する。すなわち、折り返し状態の医療用バッグ1を第1シート材71内に収納し、第1シート材71と第2シート材72とを重ね、これらの縁部を融着または接着によりシールする。なお、医療用バッグ1の表側と裏側とを反転させなくてもよいことは、言うまでもない。これにより、滅菌前の医療用バッグ個包装体10が得られる。なお、医療用バッグ1を仕切り部5で折り返した状態で包装することにより、医療用バッグ個包装体10を輸送する際等、医療用バッグ1に圧力がかかったときに、その仕切り部5が剥離してしまうことを防止することができる。また、後述する高圧蒸気滅菌の後に医療用バッグ1を折り返す場合に比べて、手間がかからないという利点を有する。
【0108】
[6]
次に、医療用バッグ個包装体10に対し、すなわち、包材7内に収納された医療用バッグ1に対して、包材7ごと滅菌、例えば、高圧蒸気滅菌を施す。
【0109】
滅菌条件は、下記の通りである。
滅菌温度は、118~125℃である。
【0110】
これにより、必要かつ十分に医療用バッグ1を滅菌することができ、安全性の高い医療用バッグ1を提供することができる。
【0111】
但し、滅菌温度が前記上限値よりも高いと、その滅菌の際の熱により、シート材21の融着が過剰になされ、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0112】
また、滅菌温度が前記下限値よりも低いと、医療用バッグ1の安全性が低下し、また、シート材21の融着が不十分となり、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
【0113】
また、滅菌時間は、20~45分であり、30~40分であることが好ましい。
滅菌時間が前記上限値よりも長いと、その滅菌の際の熱により、シート材21の融着が過剰になされ、使用時に仕切り部5を剥離しようとした場合、その剥離が困難になる。
【0114】
また、滅菌時間が前記下限値よりも短いと、医療用バッグ1の安全性が低下し、また、シート材21の融着が不十分となり、仕切り部5が不本意に剥離する虞がある。
なお、滅菌方法は、高圧蒸気滅菌に限定されず、他の方法で滅菌を行ってもよい。
【0115】
以上のようにして、仕切り部5の破断強度が、5~25kPaである医療用バッグ1を有する医療用バッグ個包装体10が得られる。
【0116】
以上説明したように、この医療用バッグ1によれば、確実に滅菌され、安全性の高い医療用バッグを提供することができる。また、仕切り部5の不本意な剥離を防止することができ、また、使用時に容易に仕切り部5を剥離することができる。これより、高齢者や女性等の力の弱い人でも容易かつ確実に仕切り部5を剥離し、使用することができる。
【0117】
<実施例>
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0118】
(実施例1)
下記のようにして医療用バッグを製造した。
【0119】
ポリプロピレンにて成形された筒状のシート材に対し、金型を用いて融着し、仕切り部を形成した。上金型の表面温度は130℃、下金型の表面温度は105℃とした。
【0120】
次に、バッグ本体の第1の空間に第1の液体を充填し、第2の空間に第2の液体を充填し、必要な部分をシールした。第1の液体の体積L1と、第2の液体の体積L2との比L1/L2は、4.0とした。
【0121】
次に、医療用バッグを包材内に収納し、118℃で30分滅菌した。
そして、医療用バッグの第1の液体が収納された第1の空間が鉛直方向上側、第2の液体が収納された第2の空間が鉛直方向下側となるように、医療用バッグをハンガーに吊り下げ、医療用バッグの第1の空間の部分を押圧し、仕切り部が剥離したか否かを確認した(実施例2、3、比較例1~6も同様)。この試験は、男性および女性を含む複数の人が行った。
【0122】
試験の結果は、実施例1については、全員が仕切り部を剥離することができ、良好な結果が得られた。また、仕切り部が剥離したときの内圧の平均値は、8.0kPaであった。
【0123】
(実施例2)
実施例1において、上金型の表面温度を140℃、下金型の表面温度を115℃、L1/L2を5.0、滅菌条件を121で℃35分に変更した以外は、実施例1と同様にして医療用バッグを製造した。
【0124】
試験の結果は、実施例2については、全員が仕切り部を剥離することができ、良好な結果が得られた。また、仕切り部が剥離したときの内圧の平均値は、15.0kPaであった。
【0125】
(実施例3)
実施例1において、上金型の表面温度を145℃、下金型の表面温度を125℃、L1/L2を6.0、滅菌条件を121℃で30分に変更した以外は、実施例1と同様にして医療用バッグを製造した。
【0126】
試験の結果は、実施例3については、全員が仕切り部を剥離することができ、良好な結果が得られた。また、仕切り部が剥離したときの内圧の平均値は、22.0kPaであった。
【0127】
(比較例1)
実施例1において、上金型の表面温度を125℃、下金型の表面温度を95℃、L1/L2を4.0とし、実施例1と同様にして医療用バッグの製造を試みたが、製造中に仕切り部が剥離し、製造することができなかった。
【0128】
(比較例2)
実施例1において、上金型の表面温度を150℃、下金型の表面温度を120℃、L1/L2を5.0、滅菌条件を125℃で20分に変更した以外は、実施例1と同様にして医療用バッグを製造した。
試験の結果は、比較例2については、仕切り部は剥離しなかった。
【0129】
(比較例3)
実施例1において、上金型の表面温度を140℃、下金型の表面温度を115℃、L1/L2を1.5、滅菌条件を121℃で35分に変更した以外は、実施例1と同様にして医療用バッグを製造した。
【0130】
試験の結果は、比較例3については、男性は、仕切り部を剥離することができたが、女性は、仕切り部を剥離することができたものの、その作業は容易ではなかった。また、仕切り部が剥離したときの内圧の平均値は、26.0kPaであった。
【0131】
(比較例4)
実施例1において、上金型の表面温度を140℃、下金型の表面温度を115℃、L1/L2を6.5、滅菌条件を121℃で35分に変更した以外は、実施例1と同様にして医療用バッグを製造した。
【0132】
試験の結果は、比較例4については、全員が仕切り部を剥離することができた。また、仕切り部が剥離したときの内圧の平均値は、12.0kPaであった。
【0133】
しかし、比較例4について、複数のサンプルに対して耐衝撃性試験を行ったところ、一部のサンプルについて仕切り部が剥離した。
【0134】
(比較例5)
実施例1において、上金型の表面温度を140℃、下金型の表面温度を115℃、L1/L2を5.0、滅菌条件を115℃で15分に変更した以外は、実施例1と同様にして医療用バッグを製造した。
【0135】
試験の結果は、比較例5については、全員が仕切り部を剥離することができた。また、仕切り部が剥離したときの内圧の平均値は、11.0kPaであった。
【0136】
しかし、比較例5について、複数のサンプルに対して耐衝撃性試験を行ったところ、一部のサンプルについて仕切り部が剥離した。
【0137】
(比較例6)
実施例1において、上金型の表面温度を140℃、下金型の表面温度を115℃、液量比を1:5.0、滅菌条件を126℃で48分に変更した以外は、実施例1と同様にして医療用バッグを製造した。
試験の結果は、比較例6については、仕切り部は剥離しなかった。
【0138】
以上、本発明の医療用バッグの製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 医療用バッグ
10 医療用バッグ個包装体
2 バッグ本体
21 シート材
22、23 シール部
241、242、243 孔
3 第1の空間
30 第1の液体
4 第2の空間
40 第2の液体
5 仕切り部
6 注入口
61 注入口本体
62 外筒
65 チューブ
7 包材
71 第1シート材
72 第2シート材
73 空間
75 シール部
76 ピールタブ
8 金型
81 上金型
82 下金型