(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】携行型時計又は宝飾品のための調整可能なリンクを備えるブレスレット
(51)【国際特許分類】
A44C 5/20 20060101AFI20220208BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A44C5/20 B
A44C5/00 501D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020132867
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2020-08-05
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ソフィ・ラシャ
(72)【発明者】
【氏名】パウロ・ブラーヴォ
【審査官】柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-308616(JP,A)
【文献】特開2015-123371(JP,A)
【文献】特開2019-000239(JP,A)
【文献】特開平08-308615(JP,A)
【文献】特開2017-074360(JP,A)
【文献】欧州特許第02484244(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00-5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行型時計又は宝飾品のブレスレット(100)のための調整可能なリンク(10)であって、
間隔調整手段(30)を用いて長手方向(D)に互いに組み付けられるように構成している少なくとも1つの第1の構造要素(1)及び少なくとも1つの第2の構造要素(2)を備え、
前記第1の構造要素(1)及び前記第2の構造要素(2)はそれぞれ、前記長手方向(D)における前記間隔調整手段(30)とは反対側におけるその端の一方において、携行型時計、宝飾品、他のリンク、又はクラスプに設けられた相補的取り付け手段と係合するように構成している取り付け手段(20)を備え、
前記間隔調整手段(30)は、前記長手方向(D)における複数の離散的な位置にしたがって前記第1の構造要素(1)と前記第2の構造要素(2)の間の間隔調整を行うように構成しており、
前記第1の構造要素(1)にはチャンバー(15)があり、このチャンバー(15)において、前記長手方向(D)に対して実質的に垂直な横断方向に2つのジョー(12A、12B)が動くことができ、これはそれぞれ、弾性戻し手段13A、13Bによって一方が他方の方に戻され、それぞれに、前記第2の構造要素(2)と一体化された止め要素(5)を前記長手方向における様々な位置にて動けなくするように構成しているノッチ(120A、120B)が形成されており、
前記ジョー(12A、12B)は、互いに係合解除可能であり、互いに離れるように動き、ユーザーによって横断方向にて同時に押されるように構成している2つの押しボタン(3A、3B)によって前記止め要素(5)を解放するように構成しており、
前記押しボタン(3A、3B)はそれぞれ、異物の挿入から前記間隔調整手段(30)を保護し、かつ、前記第1の構造要素(1)、前記第2の構造要素(2)及び前記押しボタン(3A、3B)によって全体的に取り囲まれる前記間隔調整手段(30)をユーザーの目から隠すように、前記第1の構造要素(1)に設けられた相補的リリーフ(131)と継続的に係合するリリーフ(31)を備え、
さらに、前記第1の構造要素(1)には、前記ジョー(12A、12B)の間に前記止め要素(5)を挿入することを可能にし前記止め要素(5)の取り外しを防ぐように構成している閉じ要素(6)を受けるように構成している開口(16)があることができ、
さらに、前記第1の構造要素(1)は、前記取り付け手段(20)及び前記チャンバー(15)の第1の支持面(18)がある第1の部分を備えることができ、この第1の部分には、前記長手方向(D)にて前記ジョー(12A、12B)が挿入されるように構成している前側溝(81)が形成されることができ、かつ、前記第1の構造要素(1)は、前記チャンバー(15)の第2の支持面(19)がある第2の部分(8)を備えることができ、この第2の部分(8)は、インデクシング手段(109)と相補的インデクシング手段(9)、及び留め付け手段(110)と相補的留め付け手段(111)を用いて前記第1の部分に留め付けられるように構成していることができ、
前記チャンバー(15)にある前記第1の支持面(18)と前記第2の支持面(19)は、反対側にあり、かつ、前記横断方向に前記ジョー(12A、12B)をガイドするように構成している
ことを特徴とする調整可能なリンク(10)。
【請求項2】
前記リリーフ(31)又は前記相補的リリーフ(131)は、前記リリーフ(31)が設けられた前記押しボタン(3A、3B)と一体化された前記ジョー(12A、12B)を全体的に包囲する閉じた面を構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能なリンク(10)。
【請求項3】
前記ジョー(12A、12B)どうしは、共平面的な形態で相互ロックされ、一方が他方とともに、ばねによって構成している前記弾性戻し手段(13A、13B)を包囲する
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能なリンク(10)。
【請求項4】
前記第1の構造要素(1)には、前記ジョー(12A、12B)の間に前記止め要素(5)を挿入することを可能にし前記止め要素(5)の取り外しを防ぐように構成している閉じ要素(6)を受けるように構成している開口(16)があり、
前記止め要素(5)は、前記第2の構造要素(2)に留め付けられるガイド用ロッド(7)を備える第1のボア(75)と係合するように構成しているピンであり、前記ガイド用ロッド(7)は、前記第1の構造要素(1)に設けられた長手方向の溝(17)内にて前記長手方向(D)にガイドされ、かつ、前記第1の構造要素(1)を前記第2の構造要素(2)とともに共平面的に保持するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能なリンク(10)。
【請求項5】
前記ジョー(12A、12B)には、前記押しボタン(3A、3B)に設けられたハウジング(32A、32B)内に押し込まれるように構成している遠位端(1232A、1232B)があり、前記ハウジング(32A、32B)は、前記ジョー(12A、12B)に対する前記押しボタン(3A、3B)の角度的向きの不動性を与えるように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能なリンク(10)。
【請求項6】
前記ジョー(12A、12B)には、前記押しボタン(3A、3B)に設けられたハウジング(32A、32B)内にて接着、リベット付け又は溶接された遠位端(1232A、1232B)があり、前記ハウジング(32A、32B)は、前記ジョー(12A、
12B)に対する前記押しボタン(3A、3B)の角度的向きの不動性を与えるように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能なリンク(10)。
【請求項7】
少なくとも1つの請求項1に記載の調整可能なリンク(10)を備える
ことを特徴とする携行型時計又は宝飾品のブレスレット(100)。
【請求項8】
第1のストランドと第2のストランドの間に中間クラスプを備え、前記クラスプとは反対側の前記第1のストランドと前記第2のストランドの端において、携行型時計又は宝飾品に取り付けられ、
前記第1のストランド及び前記第2のストランドはそれぞれ、前記中間クラスプが調整手段を備える場合に前記中間クラスプに対してなされる調整にかかわらず、ユーザーが前記中間クラスプを前記端から等しい距離に配置することを可能にするために十分な調整可能なリンク(10)を備える
ことを特徴とする請求項7に記載のブレスレット(100)。
【請求項9】
請求項7に記載のブレスレット(100)を備える
ことを特徴とする携行型時計(1000)。
【請求項10】
請求項7に記載のブレスレット(100)を備える
ことを特徴とする宝飾品(2000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行型時計又は宝飾品のブレスレットのための調整可能なリンクに関する。これは、間隔調整手段を用いて長手方向に互いに組み付けられるように構成している少なくとも1つの第1の構造要素及び少なくとも1つの第2の構造要素を備える。前記第1の構造要素及び前記第2の構造要素はそれぞれ、前記長手方向における前記間隔調整手段とは反対側におけるその端の一方において、携行型時計、宝飾品、他のリンク、又はクラスプに設けられた相補的取り付け手段と係合するように構成している取り付け手段を備える。
【0002】
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような調整可能なリンクを備える携行型時計又は宝飾品のブレスレットに関する。
【0003】
本発明は、さらに、このようなブレスレットを備える携行型時計(例、腕時計、懐中時計)に関する。
【0004】
本発明は、さらに、このようなブレスレットを備える宝飾品に関する。
【0005】
本発明は、携行型時計又は宝飾品のブレスレットの分野に関する。
【背景技術】
【0006】
一般的には、携行型時計又は宝飾品のブレスレットは、所定の位置に調整することができ、このことによって、正確なポジショニングを再びすることができ、ユーザーは、指を複数の穴のうちの1つの穴に係合させること、ピンをラックにフックすることなどによって、調整することができる。適切な位置に継続的に保持する他の摩擦式のクロージャーでは、正確なポジショニングを再びすることができない。
【0007】
スイス特許文献CH699067は、ブレスレットの長さを精密調整するためのデバイスについて記載しており、これは、クラスプのカバー内に搭載され、2つの所定位置にあるインデクシングデバイスを備え、ブレスレットの一端においてリンクされた横断方向の棒体と一体化されたボールばね押しボタンを備え、この棒体は、クラスプのカバーに形成された穴と係合する。このようなデバイスは横断方向にはたらき、一般的には調整をするための道具を使用することを必要とし、見えるままである。
【0008】
欧州特許文献EP2484244は、少なくとも1つの第1の半リンク及び少なくとも1つの第2の半リンクを備える、ブレスレットのための調整可能なリンクについて記載しており、これらの半リンクは、特定の道具を用いずに調整可能な機構を用いてブレスレットの長手方向に互いに動くことができるように組み付けられ、この調整機構は隠されたままである。このようなデバイスは、接続メンバーにて半リンクの間に間隙を生じさせ、このことによってブレスレットの外観が損なわれてしまうことがある。また、衝撃を受けたときにリンクが不正確に調整されることがあり、この場合には調整のロックの信頼性が損なわれる。
【0009】
米国特許文献US5787554は、必要な要素を収容するハウジングが形成されたブレスレット長さ調整デバイスについて記載しており、このハウジングは、その一端にてブレスレットストランドに接続される。摺動プレートは、ストランドの長手方向に動きストランドの他端に接続されるようにハウジング内にて摺動可能に取り付けられ、押しプレートがハウジングのハウジング空間内で横方向に摺動する。摺動プレートにラチェット歯が形成されている。押しプレートにはロック用突起が形成されており、押しプレートを押すばねが設けられており、これによって、当該ラチェット歯に応じて複数の位置から選択される位置にて突起を1つのラチェット歯に係合させる。
【0010】
クラスプの存在を克服することができるようなブレスレット長調整機構はほとんどない。クラスプは依然として高コストな重い機構であり、このことによって、ブレスレットの美観を損なったり、さらには、操作しにくくなったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ユーザーにとって非常に容易に長さを調整することができるブレスレットを作ることを提案するものである。このブレスレットは、ブレスレットの美観を損なわない隠された調整機構を用い、少数の調整可能なリンクを迅速に操作できることによってクラスプの存在を克服することができ、ループ状に閉じた状態で保持されるブレスレットを装着し、ユーザーの手首上にて極めて容易に調整することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は、携行型時計又は宝飾品のブレスレットのための調整可能なリンクに関する。これは、間隔調整手段を用いて長手方向に互いに組み付けられるように構成している少なくとも1つの第1の構造要素及び少なくとも1つの第2の構造要素を備える。前記第1の構造要素及び前記第2の構造要素はそれぞれ、前記長手方向における前記間隔調整手段とは反対側におけるその端の一方において、携行型時計、宝飾品、他のリンク、又はクラスプに設けられた相補的取り付け手段と係合するように構成している取り付け手段を備える。
【0013】
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような調整可能なリンクを備える携行型時計又は宝飾品のブレスレットに関する。
【0014】
本発明は、さらに、このようなブレスレットを備える携行型時計に関する。
【0015】
本発明は、さらに、このようなブレスレットを備える宝飾品に関する。
【0016】
添付の図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴や利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る調整可能なリンクの第1の実施形態についての概略的な分解斜視図である。この調整可能なリンクは、調整可能なリンクの他方の半分を形成する第2の構造要素に留め付けられる制御ロッドと一体化された止め要素を様々な離散的な長手方向の位置においてクラスプすることに適したジョーが横断方向に動くことができるチャンバーを包囲する第1の構成要素を備える。横方向の押しボタンは、止め要素を解放するためにジョーを横断方向に操作し、第1の要素に対する相対的位置を変えるように構成している。これは、第1の要素に対する第2の要素による又はその逆による長手方向の動きにより、この後に、押しボタンが解放されて、止め要素に対してジョーが係合するように戻して、第1の要素と第2の要素の間の新しい伸長位置にすることが可能になる。
【
図2】最小の長手方向の伸長位置における、
図1の機構の一部についての、ジョーの操作平面に沿った概略的な断面図である。
【
図3】
図2と同じ最小伸長位置における、同じ調整可能なリンクについての、
図2のものに垂直な長手方向の平面に沿った概略的な断面図である。
【
図4】
図3と同様の形態の図であり、最大の長手方向の伸長位置にある同じ調整可能なリンクを示している。
【
図5】
図3の位置における同じ調整可能なリンクについての概略的な下から見た図である。
【
図6】
図4の位置における同じ調整可能なリンクについての概略的な下から見た図である。
【
図7】ステップAにおける
図5の位置からステップGにおける
図6の位置への移行における運動系を7つのステップで示している図であり、中間ステップにおいては、ステップB及びEにおいて、押しボタンを押し、ステップC及びFにおいて、長手方向に操作し、ステップD及びGにおいて、押しボタンを解放する。ステップDは、ステップAの最小の長手方向の伸長位置とステップGの最大の長手方向の伸長位置の間の中間である、平均的な長手方向の伸長位置に対応する。
【
図8】
図1と同様の形態の図であり、本発明に係る調整可能なリンクの第2の実施形態を示している。これは、第1の構成要素に組み付けられてこれとともにジョーの摺動チャンバーを構成する第2の部分を備え、この第1の構成要素は、一方の側で開いており、ジョーとばねが長手方向の挿入されて、その後に、第1の構成要素に第2の部分を留め付けることによってこれらを包囲することが可能になる。
【
図9】
図2と同様の形態の図であり、前記第2の実施形態を示している。
【
図10】ジョーの平面及び長手方向の両方に垂直な前側の断面図であり、第1の要素と第2の要素の間の界面、及び第1の要素におけるガイド用ロッドのガイドを示している。
【
図11】
図11~14は、第1の実施形態の
図2~6に対応する第2の実施形態についての図であり、
図11は、最小の伸長位置にある調整可能なリンクの断面図である。
【
図12】第2の実施形態における最大の伸長位置にある調整可能なリンクの断面図である。
【
図13】第2の実施形態における最小の伸長位置にある調整可能なリンクについての下から見た図である。
【
図14】第2の実施形態における最大の伸長位置にある調整可能なリンクについての下から見た図である。
【
図15】第1の実施形態と第2の実施形態に対して有効な長手方向の断面図であり、調整可能なリンクの機構を隠し保護するリリーフと相補的リリーフの間の相補的係合を示している。
【
図16】第2の実施形態における第1の要素と第2の部分の間の係合領域のジョーの平面に沿った断面図である。
【
図17】留め付け要素における同じ前記領域の長手方向の断面図である。
【
図18】クラスプがなくすべてが最小の長手方向の伸長位置にある複数の調整可能なリンクを備えるような本発明に係るブレスレットの斜視図である。
【
図19】複数の調整可能なリンクが最大の長手方向の伸長位置にある同じブレスレットを示している。
【
図20】本発明に係るブレスレットを備える腕時計についての概略的な正面図である。
【
図21】本発明に係るブレスレットを備える宝飾品についての概略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、携行型時計又は宝飾品のブレスレット100のための調整可能なリンク10に関する。この調整可能なリンク10は、少なくとも1つの第1の構造要素1及び少なくとも1つの第2の構造要素2を備え、これらは、間隔調整手段30によって長手方向Dに互いに組み付けられるように構成している。第1の構造要素1及び第2の構造要素2はそれぞれ、長手方向Dの間隔調整手段30とは反対側におけるその端の一方において、携行型時計、宝飾品、他のリンク、又はクラスプに設けられた相補的取り付け手段と係合するように構成している取り付け手段20を備える。
【0019】
前記間隔調整手段30は、長手方向Dにおける複数の離散的な位置にしたがって前記第1の構造要素1と前記第2の構造要素2の間の間隔調整を行うように構成している。
【0020】
第1の構造要素1にはチャンバー15があり、このチャンバー15において、長手方向Dに対して実質的に垂直な横断方向に2つのジョー12A、12Bが動くことができ、これはそれぞれ、弾性戻し手段13A、13Bによって一方が他方の方に戻され、それぞれにノッチ120A、120Bが形成されている。前記ノッチ120A、120Bは、長手方向Dにおいて、第2の構造要素2と一体化されている、止め要素5、特に、ピン又は類似のもの(これに限定されない)、を様々な位置において不動にするように構成している。
【0021】
前記ジョー12A、12Bは、互いに係合解除可能であり、互いに離れるように動き、2つの押しボタン3A、3Bによって止め要素5を解放するように構成している。この2つの押しボタン3A、3Bは、ユーザーによって容易に横断方向に同時に押されることができるように構成している。
【0022】
特に、前記押しボタン3A、3Bはそれぞれ、第1の構造要素1に設けられた相補的リリーフ131と相補的な形態で継続的に係合するリリーフ31を備え、これによって、異物の挿入から間隔調整手段30を保護し、間隔調整手段30をユーザーの目から隠す。これは、第1の構造要素1、第2の構造要素2及び押しボタン3A、3Bによって全体的に取り囲まれる。図示している例(これに限定されない)において、押しボタン3A、3Bをそれぞれ支持するリリーフ31A、31Bは、相補的リリーフ131A、131Bを構成する溝に挿入されるリップである。当然、第1の構造要素と一体化された凸状リリーフが押しボタンの凹状リリーフと係合するような逆の構成も可能である。
【0023】
図示していない1つの特定の実施形態において、リリーフ31又は相補的リリーフ131は、ジョー12A、12Bを全体的に包囲する閉じた表面を構成し、これは、リリーフ31を備える押しボタン3A、3Bと一体化される。
【0024】
好ましいことに、調整可能なリンク10、したがって、ブレスレット100、の厚みを抑えるために、ジョー12A、12Bは、共平面的な形態で相互ロックされ、弾性戻し手段13A、13Bの一方を他方とともに包囲する。この弾性戻し手段13A、13Bは、ばねによって構成しているが、これに限定されない。
【0025】
特に、溝15には、反対側にある第1の支持面18と第2の支持面19があり、これらは、ジョー12A、12Bを横断方向にてガイドするように構成している。
【0026】
好ましいことに、各ジョー12A及び12Bには、第1の支持面18、第2の支持面19及び他方のジョーとの複数のガイド面がある。
【0027】
したがって、特定の形態(これに限定されない)において、第1のジョー12Aには、第1の支持面18及び第2の支持面19上を滑るように構成している第1の外側面128A及び129Aと、第2のジョー12Bのハウジング123B及び121B内へと摺動するための第1の中間面124B及び122Bと、及び第2のジョー12Bをガイドするためのハウジング121A及び123Aとが設けられている。前記第2のジョー12Bは、第1のジョー12Aに対して反対向きに取り付けられ、前記第2のジョー12Bには、同様に、第1の支持面18及び第2の支持面19上を摺動するように構成している第1の外面129B及び128Bと、第1のジョー12Aのハウジング123A及び121A内へと摺動する第1の中間面123B及び124Bと、及び第1のジョー12Aをガイドするハウジング121B及び123Bとがある。
【0028】
図面には、以下の2つの実施形態(これに限定されない)を示している。
【0029】
-
図1~6の第1の実施形態において、第1の要素1は単一の部品であり、第1の支持面18と第2の支持面19を有する。この第1の実施形態は、その構成要素の数が少ないために有利であり、また、押しボタン3A及び3Bをジョー12A及び12Bに留め付ける前に、2つのジョー12A及び12Bと2つのばね13A及び13Bをチャンバー15内に横断方向に導入する必要がある。
【0030】
-
図8~17の第2の実施形態において、第1の要素1は、第1の支持面18と、第1の要素1に留め付けられるように構成して第2の部分8のみを備え、そして、第2の支持面19を有する。そして、第1の要素1及び第2の部分8はともに、チャンバー15の境界を形成する。この第2の実施形態によって、2つのジョー12A及び12Bを支持する2つの押しボタン3A及び3B、及び2つのばね13A及び13Bを備える予め取り付けられたサブアセンブリーを長手方向Dに挿入することを可能にすることによって、調整可能なリンク10を工場内で組み付けることが容易になる。
【0031】
特に、この第2の実施形態において、第1の構造要素1は、取り付け手段20及び第1の支持面18を備え長手方向Dにおけるジョー12A、12Bの挿入を可能にするように構成している前側溝81が形成されている第1の部分と、及び第2の部分8とによって構成しており、第2の部分8は、第2の支持面19を備え、ボア又は類似のもののようなインデクシング手段109と、ピン又は類似のもののような相補的インデクシング手段9と、タッピング又は類似のもののような留め付け手段110と、及びねじ又は類似のもののような相補的タッピング手段111を用いて、第1の部分に留め付けられるように構成している。
【0032】
1つの特定の実施形態において、第1の構造要素1には開口16があり、この開口16は、第1の構成要素1に止め要素5を取り付けた後に、止め要素5をジョー12A、12Bの間に挿入して、ジョー12A、12Bによって第1の構成要素1において止め要素5が横断方向に取り外されることを防ぎ、また、開口16は、止め要素5の取り外しを禁止するように構成しているねじ又は類似のもののような閉じ要素6を受けるように構成している。実際に、ジョー12A、12Bのノッチ120A、120Bは、このノッチ120A及び120Bが最も近くになっている閉じ位置において止め要素5を動けなくするためにプライヤーを構成するように一方が他方に対して配置され、ここで、押しボタン3A及び3Bに対してはいずれのアクションも与えられず、これらの両方は、その対応するばね13A及び13Bによって調整可能なリンク10の外側の方に押し戻される。好ましいことに、は、前記開口16は、ユーザーの手首に接触するように意図されている面に形成され、したがって、視界から隠される。したがって、特に、
図1及び8の斜視図に示している構成要素の、図において上側を向いている、上側部分は、一般的にはブレスレットの下面と呼ばれる、視野から隠されるように意図されている前記面である。
【0033】
図7に示しているように、ユーザーが一方から他方へと圧力をかけることによって押しボタン3A及び3Bをアクチュエートすると、これはノッチ120A及び120Bどうしを離し、前記ノッチ120A及び120Bと止め要素5の間の相対的位置を変えることを可能にする。
図7は、第1の構成要素1に対する第2の構成要素2の位置変化を示している。これは、ステップB及びEにおいて、押しボタン3A及び3Bに対するユーザーの圧力が作用し、ステップC及びFにおいて、並進運動を行う操作によって、圧力が継続的に与えられることによる。この
図7は、3つの溝があるノッチ120A及び120Bがある例を示しており、止め要素5は、ステップAにおいて、右側から最も遠い溝内にあり、これは、調整可能なリンク10の最小の延びに対応する。ステップB及びCにおける前記操作によって、止め要素5が中央溝内に入る。これは、ステップDにおける調整可能なリンク10の平均的な延びに対応する。ステップE及びFにおける操作によって、止め要素5が左側の溝に入る。これは、ステップGにおける調整可能なリンク10の最大の延びに対応する。この操作は、非常に単純であり、可逆的であり、図示している例よりもノッチ120A及び120Bに多くの溝がある場合に、ある極端な位置から他方の極端な位置へと自発的に移行することを可能にする。
【0034】
特に、止め要素5は、ピンであり、これは、第2の構造要素2に留め付けられるガイド用ロッド7に設けられた第1のボア75と係合するように構成している。前記ガイド用ロッド7は、第1の構造要素1に設けられた長手方向の溝17内にて長手方向Dにガイドされ、第1の構造要素1を第2の構造要素2とともに共平面的に保持し、いずれのねじれをも防ぐように構成している。
【0035】
特に、ジョー12A、12Bには遠位端1232A、1232Bがあり、これらは、押しボタン3A、3Bに設けられたハウジング32A、32B内に押し込まれるように構成しており、ジョー12A、12Bに対する押しボタン3A、3Bの角度的向きの不動性を与えるように構成している。当然、逆の構成も可能であるが、より煩雑である。
【0036】
より詳細には、ジョー12A、12Bは、特に、押しボタン3A、3Bに設けられたハウジング32A、32B内で、押しボタン3A、3Bに接着、リベット付け又は溶接された遠位端1232A、1232Bを含み、このことによりジョー12A、12Bに対する押しボタン3A、3Bの角度的向きの不動性を与える。
【0037】
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような調整可能なリンク10を備える携行型時計又は宝飾品のブレスレット100に関する。好ましいことに、前記ブレスレット1000は、複数の調整可能なリンク10を備え、これによって、相当大きな調整範囲を得てその恩恵を享受することができる。この調整範囲は、数cmにまで到達することができ、このことによって、クラスプがなく、凹凸がなく、非常に純粋なラインを有するブレスレット100の実施形態が可能になる。したがって、ある特定のバージョンにおいて、ブレスレット100は、複数のこのような調整可能なリンク10についての、リンクのみを備え、クラスプを備えない。
【0038】
図18及び19は、好ましいことに、第2の要素2に平坦な下面があり、そのすぐ近くにおいて押しボタン3A、3Bの平坦な上面が動くことができることを示している。好ましいことに、前記第2の要素2には、可動リンク10の内側部分の方を向いた、尖った形状の第1の端があり、これとは反対側にて、同様に尖った形である各押しボタン3A、3Bの第1の端が延びており、この尖った面は、前記平らな面のおかげで、ユーザーを傷つけたり、ユーザーの衣類をひっかけたりすることがない。そして、第2の要素2は、各押しボタン3A、3Bとして、好ましいことに、調整可能なリンク10の外側の方に広がる第2の端を備え、このことによって、指で操作しやすい面を与えつつ、ユーザー及びその衣服の安全を確実にする。
【0039】
図示していない、より伝統的なバージョンにおいて、ブレスレット100は、第1のストランドと第2のストランドの間にて中間クラスプを備えており、これらのストランドは、この中間クラスプの反対側のそれらの端において、携行型時計又は宝飾品に取り付けられる。
【0040】
そして、特に、第1のストランド及び第2のストランドはそれぞれ、クラスプが調整手段を備える場合にクラスプに対してなされる調整にかかわらず、ユーザーがクラスプを端から等しい距離に配置することを可能にするために十分な調整可能なリンク10を備える。このような構成によって、幅広のリンクを備える特定のブレスレットにおける、オフセンターのクラスプによって発生する不快感を克服することが可能になる。このようなオフセンターのクラスプがユーザーの手首を傷つけるおそれがある。
【0041】
本発明は、このようなブレスレット100を備える携行型時計1000に関する。
【0042】
本発明は、さらに、このようなブレスレット100を備える宝飾品2000に関する。
【符号の説明】
【0043】
1 第1の構造要素
2 第2の構造要素
3A、3B 押しボタン
5 止め要素
6 閉じ要素
7 ガイド用ロッド
8 第2の部分
9 相補的インデクシング手段
10 調整可能なリンク
12A、12B ジョー
13A、13B 弾性戻し手段
15 チャンバー
16 開口
17 溝
18 第1の支持面
19 第2の支持面
20 取り付け手段
30 間隔調整手段
31 リリーフ
32A、32B ハウジング
75 第1のボア
81 前側溝
100 ブレスレット
109 インデクシング手段
110 留め付け手段
111 相補的留め付け手段
120A、120B ノッチ
131 相補的リリーフ
1000 携行型時計
2000 宝飾品
1232A、1232B 遠位端
D 長手方向