(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】配位-陰イオン開環重合によるポリアマイドの製造方法及びそれにより製造されたポリアマイド
(51)【国際特許分類】
C08G 69/18 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
C08G69/18
(21)【出願番号】P 2020526587
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(86)【国際出願番号】 KR2018012939
(87)【国際公開番号】W WO2019098570
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0153095
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515358285
【氏名又は名称】ハンファ ケミカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA CHEMICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヘ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ ハク
(72)【発明者】
【氏名】ト、スン ホェ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジン ソ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ギョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イム、ギョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドゥ ギョン
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149204(JP,A)
【文献】特表2002-540273(JP,A)
【文献】特表2014-528018(JP,A)
【文献】BYONG JUN KIM, et al.,Continuous Polymerization of Lactam-Lactone Block Copolymers in a Twin-Screw Extruder,Journal of Applied Polymer Science,2003年,Vol.88,1429-1437
【文献】B. J. KIM, et al.,Bulk Polymerization of ε-Caprolactone in an Internal Mixer and in a Twin Screw Extruder,Intern. Polymer Processing ,2002年,Vol.17,33-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/00-69/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイド製造方法であって、
ラクタム、前記ラクタム全体100重量部に対して、開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)0.01乃至20重量部及び触媒として金属水素化物0.01乃至20重量部で含む
ことを特徴とする配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項2】
前記金属アルコキシド(Metal alkoxide)は下記化学式:
【化1】
(式中、R
1乃至R
4は、それぞれ独立的に水素原子、炭素数5~24つのアリール基又は炭素数10つ以下のアルキル基である。また、Mは3、4族金属又は
遷移金属である)
で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種以上を含む
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項3】
前記触媒は金属水素化物(metal hydride)である水素化ナトリウム(Sodium hydride)、水素化カリウム(Potassium hydride)からなる群より選択された少なくとも1種以上を含む
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項4】
分子量調節剤であるエチレン-ビス-ステアアミド(EBS:ethylene-bis-stearamide)、アミン(amine)化合物、ウレア(urea)化合物及びジウレア(di-urea)化合物からなる群より選択された少なくとも1種以上をさらに含む
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項5】
活性化剤として二酸化炭素(CO
2)、ベンゾイルクロリド(benzoyl chloride)、N-アセチルカプロラクタム(N-acetyl caprolactam)、N-アセチルラウロラクタム(N-acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate(SIC))、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))及びそれらの混合物からなる群より選択された1種以上をさらに含む
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項6】
前記重合反応は0.5乃至120分の範囲内で行われる
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項7】
前記重合反応は180乃至300℃で行われる
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項8】
前記重合反応で前記ラクタムは95%以上の転化率を持つ
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【請求項9】
前記重合反応は真空工程なしで行われる
請求項1に記載の配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、配位-陰イオン開環重合によるポリアマイドの製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドに関し、さらに詳しくは、開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)及び触媒として金属水素化物(metal hydride)を添加して従来の重合方法に比べて別途の真空工程なしで低温かつ短い重合反応時間内に狭い分子量分布を有し均一な分子量の高分子重合が可能な配位-陰イオン開環重合によるポリアマイドの製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂はアミド(-NHCO-)結合によって結合された直線型高分子であって、強靭で耐摩擦、耐摩耗、耐油、耐溶劑性などの物性に優れ溶融成形が容易で、衣服素材用、産業資材用繊維、エンジニアリングプラスチックなどとして広く用いられている。ポリアミドは分子構造によって脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂肪族環ポリアミドに分類されることができ、そのうち脂肪族ポリアミドの場合はナイロン(Nylon)、芳香族ポリアミドの場合はアラミド(Aramid)と通称することもある。
【0003】
このようなポリアミドは、様々な重合方法で製造され、ナイロン6のようにラクタムの開環重合によるもの、ナイロン6,6、ナイロン6,10及びナイロン4,6のようにジアミンと二塩基酸の重縮合によるもの、ナイロン11及びナイロン12のようにアミノカルボン酸の重縮合によるものに大きく分けられる。その他、カプロラクタムと6,10-ナイロン塩(ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸塩)との混成縮合物などの所謂共重合ナイロンが工業的に生産されており、また、分子中に側鎖、水酸基などの作用基、芳香環とヘテロ環を含む各種のポリアミドが研究されている。
【0004】
ラクタム、例えばカプロラクタムは陰イオン重合され得る。この方法は、一般に触媒、及び/又は開始剤(活性剤とも呼ばれる)を使用する(活性化された陰イオン重合)。これまで主に使用される開始剤又は活性剤はジイソシアネート又はそれらの誘導体を含む。
【0005】
特許文献1には、ビウレット基(biuret group)を含み非芳香族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートを活性剤として使用してポリアマイドを製造するラクタムの活性化された陰イオン重合が記述されている。
【0006】
また、特許文献2では、より均一な製品を得るために触媒と開始剤(反応促進剤)を同時に含有する溶液液体システム(solution liquid system)を導入している。ここでは、溶液システムを導入して一定の品質を有する均一な製品を得て、再現性の高い結果を得たと述べているが、反応押出方法に適用するには溶媒除去の問題などにより効率的ではない。
【0007】
特に、ラクタムの配位重合は狭い分子量分布度を持つことは可能であるが、金属開始剤とモノマーが配位結合により弱塩基であるアミン(amine)を形成し重合速度が遅く低分子量の高分子が生成される問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】US4,754,000号(Bayer AG)
【文献】米国特許第5,747,634号(1998年)
【文献】US2016-0102175
【文献】US5,519,097
【文献】US3,883,608
【文献】US7,135,428
【文献】US5,362,448
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、上記の従来技術の問題点と過去から求められてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0010】
本願発明の目的は、開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)及び触媒として金属水素化物(metal hydride)を添加して従来の重合方法に比べて別途の真空工程なしで低温かつ短い重合反応時間内に狭い分子量分布を有し均一な分子量の高分子重合が可能な配位-陰イオン開環重合によるポリアマイドの製造方法及びそれにより製造されたポリアマイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本願発明による配位-陰イオン開環重合によるポリアマイド製造方法は、
配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイド製造方法であって、
ラクタム、前記ラクタム全体100重量部に対して、開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)0.01乃至20重量部、触媒として金属水素化物(metal hydride)0.01乃至20重量部で含むことができる。
【0012】
よって、ラクタム陰イオン重合時に発生する重合速度の低下抑制及び低分子量の高分子形成を效果的に調節して均一な分子量の高分子重合が可能である。
【0013】
本発明の好ましい一例で、前記開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)は下記化学式で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種以上を含むことを特徴とする配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法。
【0014】
【0015】
式中、R1乃至R4は、それぞれ独立的に水素原子、炭素数5~24つのアリール基又は炭素数10つ以下のアルキル基である。また、Mは3、4族金属又は転移金属である。
【0016】
本発明の好ましい一例で、前記触媒として金属水素化物は水素化ナトリウム(sodium hydride)及び水素化カリウム(potassium hydride)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の好ましい一例で、分子量調節剤であるエチレン-ビス-ステアアミド(EBS:ethylene-bis-stearamide)、アミン(amine)化合物、ウレア(urea)化合物及びジウレア(di-urea)化合物からなる群より選択された少なくとも1種以上をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の好ましい一例で、活性化剤は二酸化炭素(CO2)をさらに含むことができるが、これに限定されず、例えば、ベンゾイルクロリド(benzoyl chloride)、N-アセチルカプロラクタム(N-acetyl caprolactam)、N-アセチルラウロラクタム(N-acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate(SIC))、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))及びヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))及びそれらの混合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0019】
本発明の好ましい一例で、前記重合反応は0.5乃至120分の範囲内で行われ得る。ここで、前記重合反応時間は特に制限されず、投入される化合物の重量又は反応器のサイズ及び種類によって適切に調節され得ることは無論である。
【0020】
本発明の好ましい一例で、前記重合反応は180乃至300℃で行われ得る。
【0021】
本発明の好ましい一例で、前記重合反応で前記ラクタムは95%以上の転化率を持つことができる。
【0022】
本発明の好ましい一例で、前記重合反応は水又はアルコールが生成されないので別途の真空工程なしで行われ得る。
【0023】
一方、本発明は上記の製造方法で製造されたポリアマイドを提供し、前記ポリアマイドは3.0以下の分子量分布範囲(PDI:polydispersity index)を持つことができる。
【0024】
本発明の好ましい一例で、前記ポリアマイドの重量平均分子量(Mw)は20,000乃至100,000以内の範囲であり得る。
【0025】
なお、本発明は、前記ポリアマイドを含んで製造される車両用素材、電子機器用素材、産業用パイプ素材、建築土木用素材、3Dプリンタ用素材、繊維用素材、被服素材、工作機械用素材、医療用素材、航空用素材、太陽光素材、電池用素材、スポーツ用素材、家電用素材、家庭用素材及び化粧品用素材からなる群より選択される部品素材を提供する。
【0026】
具体的な例で、前記部品素材を含む製品は車両用エアダクト、プラスチック/ゴム化合物、接着剤、ライト、高分子光学繊維、燃料フィルタキャップ、ラインシステム、電子機器のケーブル、反射体、ケーブルのシース、光学繊維、電線保護管、コントロールユニット、ライト、パイプ用管、ライナー、パイプコーティング剤、油田探査ホース、3Dプリンタ、マルチフィラメント、スプレーホース、バルブ、ダクト、パルプ、ギア、医療用カテーテル、航空機用難燃材、太陽電池保護板、化粧料、高硬度フィルム、スキーブーツ、ヘッドセット、メガネフレーム、歯ブラシ、水差し又はアウトソールであり得るが、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0027】
以上、説明した通り、本発明は、開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)及び触媒として金属水素化物(metal hydride)を添加して従来の重合方法に比べて低温かつ短い重合反応時間内に狭い分子量分布を有し均一な分子量の高分子重合が可能な効果がある。
【0028】
また、本発明は重合過程中にアルコール又は水が発生しないので別途の真空工程が省略されて工程効率が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による配位-陰イオン開環重合の過程を示す反応式を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
後述する本発明に対する説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として参照する。これらの実施例は当業者が本発明を十分に実施できるように詳細に説明される。本発明の様々な実施例は、互いに異なるが相互排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載される特定の形状、構造及び特性は一実施例に関連して本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施例として具現され得る。
【0031】
したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするものでなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、その請求項らが主張するものと均等な全ての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。
【0032】
また、本明細書で特に言及がない限り、“置換”乃至“置換された”は、本発明の作用基のうち1つ以上の水素原子がハロゲン原子(-F、-Cl、-Br又は-I)、ハイドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、置換又は非置換されたアルキル基、置換又は非置換された脂環族有機基、置換又は非置換されたアリール基、置換又は非置換されたアルケニル基、置換又は非置換されたアルキニル基、置換又は非置換されたヘテロアリール基、及び置換又は非置換されたヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基に置換されたことを意味し、前記置換基らは互いに連結されて環を形成することもできる。
【0033】
本発明で、前記“置換”は特に言及がない限り、水素原子がハロゲン原子、炭素数1乃至20の炭化水素基、炭素数1乃至20のアルコキシ基、炭素数6乃至20のアリールオキシ基などの置換基に置換されたことを意味する。
【0034】
また、前記“炭化水素基”は特に言及がない限り、線形、分枝型又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基を意味し、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などは線形、分枝型又は環状であり得る。
【0035】
また、本明細書で特に言及がない限り、“アルキル基”とは、C1乃至C30アルキル基を意味し、“アリール基”とは、C6乃至C30アリール基を意味する。本明細書で、“ヘテロ環基”とは、O、S、N、P、Si及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるヘテロ原子を1つの環内に1つ乃至3つ含有する基を意味し、例えば、ピリジン、チオフェン、ピラジンなどを意味するが、これに制限されない。
【0036】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例に関して詳細に説明する。
【0037】
上述のように、従来のラクタムの配位重合は狭い分子量分布度を持つことは可能であるが、金属とモノマーが配位結合により弱塩基であるアミン(amine)を形成し重合速度が遅く低分子量の高分子が生成される問題点があった。
【0038】
よって、本発明では、開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)及び触媒として金属水素化物(metal hydride)を添加して従来の重合方法に比べて別途の真空工程なしで低温かつ短い重合反応時間内に狭い分子量分布を有し均一な分子量の高分子重合が可能にして前述した問題点に対する解決案を模索した。
【0039】
本発明によれば、配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイド製造方法であって、ラクタム、前記ラクタム全体100重量部に対して、開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)0.01乃至20重量部、触媒として金属水素化物(metal hydride)0.01乃至20重量部で含む配位-陰イオン開環重合反応によるポリアマイドの製造方法を提供する。
【0040】
具体的には、以下、本発明による配位-陰イオン開環重合によるポリアマイドの製造に含まれる組成物を説明する。
【0041】
まず、本発明による前記ラクタムはポリアマイドを製造するためのモノマーとして好ましく用いられることができる、ただし、これに限定されず、例えば、ラウロラクタム、カプロラクタム、ピペリドン、ピロリドン、エナントールラクタム及びカプリルラクタムを含むことができ、場合によっては、プロピオラクタム(propiolactam)、2-ピロリドン(2-pyrrolidone)、バレロラクタム(valerolactam)、カプロラクタム(caprolactam)、ヘプタラクタム(heptanolactam)、オクタノラクタム(octanolactam)、ノナノラクタム(nonanolactam)、デカノラクタム(decanolactam)、ウンデカンラクタム(undecanolactam)及びドデカノラクタム(dodecanolactam)を含むことができる。
【0042】
また、本発明によれば、前記開始剤として金属アルコキシド(Metal alkoxide)は下記化学式で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0043】
【0044】
式中、R1乃至R4は、それぞれ独立的に水素原子、炭素数5~24つのアリール基又は炭素数10つ以下のアルキル基である。また、Mは3、4族金属又は転移金属である。
【0045】
ここで、本発明によれば、前記開始剤は前記ラクタム全体100重量部に対して、0.01乃至20重量部で含むことができる。好ましくは0.05乃至10重量部で含むことができ、さらに好ましくは0.1乃至5.0重量部で含むことができる。
【0046】
この時、前記開始剤が0.01重量部未満で添加される場合は未重合の問題が生じる場合があり、前記開始剤が20重量部を超過する場合は低分子量の高分子の生成又は変色の問題が生じる場合があるので上記の範囲が良い。
【0047】
ここで、本発明によれば、前記触媒は、例えば、金属水素化物であり、従来のラクタム重合時に発生する弱塩基アミン形成による重合速度の低下問題を解決するために、前記ラクタム全体100重量部に対して触媒である金属水素化物0.01乃至20重量部で含むことができる。好ましくは0.1乃至10重量部で含むことができ、さらに好ましくは0.5乃至5重量部で含むことができる。
【0048】
この時、前記触媒が0.01重量部未満で添加される場合は未重合又は反応速度低下の問題が生じる場合があり、前記触媒が20重量部を超過する場合は低分子量の高分子生成の問題が生じる場合があるので上記の範囲が良い。
【0049】
このような金属触媒は固体の形態又は溶液として用いられることができ、触媒を固体の形態で用いることが好ましい。触媒は好ましくは触媒が溶解され得るラウロラクタム溶融物に添加される。これらの触媒は特に迅速な反応をもたらし、これにより、本発明によるポリアマイドのための製造工程の効率を増加させることができる。
【0050】
一方、場合によっては、本発明によれば分子量調節剤を含むことができ、好ましくはエチレン-ビス-ステアロアマイド(EBS:ethylene-bis-stearamide)であり得るが、これに限定されず、アミン(amine)化合物、ウレア(urea)化合物及びジウレア(di-urea)化合物からなる群より選択された少なくとも1種以上を含むことができる。
【0051】
ここで、本発明によれば、前記分子量調節剤は前記ラクタム全体100重量部に対して、0.3乃至10重量部で含むことができる。好ましくは0.4乃至7.0重量部で含むことができ、さらに好ましくは0.5乃至3.0重量部で含むことができる。
【0052】
この時、前記分子量調節剤が0.3重量部未満で添加される場合は高分子量高分子又はゲル化の問題が生じる場合があり、前記分子量調節剤が10重量部を超過する場合は低分子量の高分子の生成又は未重合の問題が生じる場合があるので上記の範囲が良い。
【0053】
最後に、本発明によれば、前記活性化剤として好ましくは二酸化炭素(CO2)であり得るが、これに限定されず、例えば、ベンゾイルクロリド(benzoyl chloride)、N-アセチルカプロラクタム(N-acetyl caprolactam)、N-アセチルラウロラクタム(N-acetyl laurolactam)、オクタデシルイソシアネート(octadecyl isocyanate(SIC))、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate(TDI))及びヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate(HDI))及びそれらの混合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0054】
活性化剤は前記ラクタム全体100重量部に対して0.002乃至20重量部で含むことができる。好ましくは0.005乃至5重量部で含むことができ、さらに好ましくは0.01乃至1重量部で含むことができる。この時、前記活性化剤が0.002重量部未満で添加される場合は未重合による低分子量の高分子が製造されるか、反応速度が低下する問題が生じる場合があり、前記活性化剤が20重量部を超過する場合はゲル化(gelation)問題が生じる場合があるので上記の範囲が良い。
【0055】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例(example)を提示する。ただし、下記の実施例は本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明が下記の実験例によって限定されることはない。
【実施例】
【0056】
[実施例]
<実施例1>
開始剤Titanium butoxideを用いた重合試料の製造
フラスコ内にラウロラクタム10g、Titanium butoxide0.17ml、NaH0.02gを入れ水分を除去するために真空状態で80℃に維持した。その後、真空を解除した後に窒素雰囲気下に165℃で溶融させた後、重合温度を250℃に昇温させた。15分経過後、ギ酸水溶液(ギ酸:蒸溜水=1:1)をフラスコに入れて反応を終了させて試料を回数した。これを使用して分子量、分子量分布度(PDI:polydispersity index)及び重合終了時間を確認し、その結果を下記表2に表した。
【0057】
【0058】
<実施例2>
NaHの代わりにKH0.04gを用いたことを除けば実施例1と同様に実施してポリアマイド12を製造した。
【0059】
<実施例3>
フラスコ内にラウロラクタム10g、Titanium butoxide0.17ml、NaH0.02gを入れ水分を除去するために真空状態で80℃に維持した。その後、真空を解除した後に窒素雰囲気下に165℃で溶融させた後、重合温度を230℃に昇温させた。溶液上段に二酸化炭素を2ml注入し、12分経過後、ギ酸水溶液(ギ酸:蒸溜水=1:1)をフラスコに入れて反応を終了させて試料を回収した。これを使用して分子量、分子量分布度(PDI:polydispersity index)及び重合終了時間を確認し、その結果を下記表2に表した。
【0060】
<実施例4>
フラスコ内にラウロラクタム10g、Titanium isopropoxide0.15ml、NaH0.02gを入れ水分を除去するために真空状態で80℃に維持した。その後、真空を解除した後に窒素雰囲気下に165℃で溶融させた後、重合温度を230℃に昇温させた。20分経過後、ギ酸水溶液(ギ酸:蒸溜水=1:1)をフラスコに入れて反応を終了させて試料を回収した。これを使用して分子量、分子量分布度(PDI:polydispersity index)及び重合終了時間を確認し、その結果を下記表2に表した。
【0061】
<実施例5>
昇温前にEBS0.075gを追加し、重合温度に到達した後、二酸化炭素を2ml注入したことを除けば実施例4と同様に実施してポリアマイド12を製造した。
【0062】
[比較例]
<比較例1>
NaHを使用しないことを除けば、実施例1と同様に実施してポリアマイド12を製造した。これを使用して分子量、分子量分布度(PDI:polydispersity index)及び重合終了時間を確認し、その結果を下記表2に表した。
【0063】
<比較例2>
NaHを使用せず、Titanium butoxideの代わりにAluminum isopropoxideを用いたことを除けば実施例1と同様に実施してポリアマイド12を製造した。これを使用して分子量、分子量分布度(PDI:polydispersity index)及び重合終了時間を確認し、その結果を下記表2に表した。
【0064】
<比較例3>
Titanium butoxideを使用しないことを除けば、実施例1と同様に実施してポリアマイド12を製造した。これを使用して分子量、分子量分布度(PDI:polydispersity index)及び重合終了時間を確認し、その結果を下記表2に表した。
【0065】
【0066】
上記表2に示したように、NaHを使用しない比較例1とNaHを使用せずTitanium butoxideの代わりにAluminum isopropoxideを使用した比較例2の場合は、重合速度が遅く低分子量の高分子が生成された結果を示し、Titanium butoxideを全く使用しなかった比較例3の場合は未重合の結果を示した。
【0067】
以上、本発明の実施例による図面を参照して説明したが、本発明の属する分野における通常の知識を持つ者であれば上記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形を行うことが可能である。