(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】車両センサデータのエラー確率を計算するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220208BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220208BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G08G1/13
G08G1/09 D
(21)【出願番号】P 2020534508
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018085194
(87)【国際公開番号】W WO2019121510
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】102017223632.9
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルネ アレクサンダー ケアナー
(72)【発明者】
【氏名】スザンネ アイリッシュ
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-027594(JP,A)
【文献】国際公開第2017/212639(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
G08G 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(14)におけるセンサデータセット(12)のエラー確率(38)を計算するためのシステム(10)であって、前記システム(10)は、
車両(14)内の複数のセンサ(24)を有するセンサユニット(32)であって、前記センサユニット(32)は、前記車両(14)の周囲のオブジェクト(20)に関するセンサデータセット(12)を提供するように構成されている、センサユニット(32)と、
前記センサユニット(32)から前記センサデータセット(12)を受信するように構成された中央コンピュータ(26)と、
参照データ(36)を有する参照データベース(34)と、
を有し、
前記参照データ(36)は、前記センサデータセット(12)が生成された時点における前記車両(14)の位置に関連しており、
前記中央コンピュータ(26)は、前記参照データベース(34)からの前記参照データ(36)を用いて、前記センサデータセット(12)のエラー確率(38)を計算するように構成さ
れ、
前記参照データベース(34)内の前記参照データ(36)に、エラー確率が割り当てられており、
前記中央コンピュータ(26)は、前記センサデータセット(12)の前記エラー確率(38)を計算する際に、前記参照データ(36)の前記エラー確率を考慮し、対応する当該参照データ(36)の重みは、前記エラー確率が増加するにつれて低くなるように付けられている、
システム(10)。
【請求項2】
前記中央コンピュータ(26)は、前記センサデータセット(12)をオブジェクトクラスに分類するように構成されており、
前記参照データ(36)は、オブジェクトクラス特有に選択されている、
請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記中央コンピュータ(26)は、前記参照データ(36)の前記エラー確率を、別の参照データ(36)に基づいて、かつ/または前記センサデータセット(12)に基づいて計算するように構成されている、請求項
1または2記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記車両(14)内の前記センサユニット(32)は、前記センサデータセット(12)の暫定的なエラー確率(38)を計算する、請求項1から
3までのいずれか1項記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記参照データ(36)は、気象データ、交通流データ、交通制御データ、同じ車両のセンサデータセット(12)、他の車両のセンサデータセット(12)、および/またはデジタルマップデータ(28)である、請求項1から
4までのいずれか1項記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記オブジェクト(20)は、交通標識、車線標示、気象状態、車線、信号機状態、道路状態、車両、障害物、および/または障壁である、請求項1から
5までのいずれか1項記載のシステム(10)。
【請求項7】
センサ(24)のセンサデータセット(12)のエラー確率(38)を計算するための方法(100)であって、当該方法(100)は、
中央コンピュータ(26)によって、センサデータセット(12)を受信するステップ(110)と、
前記中央コンピュータ(26)によって、前記センサデータセット(12)を分類するステップ(120)と、
前記中央コンピュータ(26)によって、参照データベース(34)からオブジェクトクラス特有の参照データ(36)を選択して読み出すステップ(130)と、
前記中央コンピュータ(26)によって、前記参照データ(36)に基づいて前記センサデータセット(12)のエラー確率(38)を計算するステップ(140)と
を含
み、
前記参照データベース(34)内の前記参照データ(36)に、エラー確率が割り当てられており、
前記中央コンピュータ(26)は、前記センサデータセット(12)の前記エラー確率(38)を計算する際に、前記参照データ(36)の前記エラー確率を考慮し、対応する当該参照データ(36)の重みは、前記エラー確率が増加するにつれて低くなるように付けられている、
方法(100)。
【請求項8】
前記中央コンピュータ(26)によって、前記センサデータセット(12)と、対応する前記エラー確率(38)とを、デジタルマップアプリケーション(30)に供給するステップ(150)をさらに含む、請求項
7記載の方法(100)。
【請求項9】
前記中央コンピュータ(26)は、前記センサデータセット(12)の前記エラー確率(38)を、規定された閾値と比較し(160)、前記閾値を超えている場合には、前記センサデータセット(12)を欠陥のあるものとして識別する、請求項
7または
8記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、車両のセンサデータの分析に関する。とりわけ、本発明は、車両のセンサデータのエラー確率を計算するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
発明の背景
最新の車両システムには、多数の物理パラメータおよび動作パラメータを検出し、処理し、送信もするインテリジェントセンサが取り付けられることが増えている。センサの発展と計算能力の向上とにより、車両自体に関してだけではなく車両の周囲に関しても、ますますより詳細な情報を収集して処理することが可能となっている。アプリケーション側では、デジタルマップアプリケーションと、ナビゲーションシステムとが重要な役割を果たす。これらのサポートシステムは、例えば車両の予測制御のために、できるだけ包括的かつ早期に、運転者に交通関連情報を提供することが求められている。この場合には、例えば、接近する障害物または危険な状況を予想して、速度を自動的に減速させること、警告を発すること、または例えば、サスペンションを調整することも可能である。
【0003】
このためには、できるだけ最新の情報が必要であり、これらの情報を、例えば、デジタルマップアプリケーションまたはナビゲーションアプリケーションに保存することができる。今日では、マップデータは、主として特別な装備が施された車両によって、月単位の、場合によっては年単位の所定の時間サイクルで検出される。その結果、まさに農村地域ではそのような測定走行の回数が少ないことにより、マップデータが古くなっていることがよくある。従来技術では、車両内の大抵既存のセンサを利用し、センサによって車両の周囲を検出し、収集したセンサデータを利用してマップデータを更新するという解決策が公知である。提供されるセンサデータの最新性および精度に関する要件は、デジタルマップ素材から関連する情報を取得することができるようにするために高くなっている。
【0004】
独国特許出願公開第102008012661号明細書から、車両のためのデジタルマップを更新するための更新装置が公知であり、この更新装置は、現在の交通状況、車両の動き、または道路状況も測定する多数のセンサを有する。これらの測定値は、センターに転送され、センターは、これらの測定値を評価して、その後、デジタルマップを更新するために対応する更新データを他の車両に送信する。
【0005】
発明の開示
本発明の実施形態は、車両に基づくセンサデータのデータ品質および信頼性を向上させ、これによって、後続のアプリケーションのための欠陥のある情報を低減または回避することを可能にする。以下に説明する本発明は、以下の考察に基づいている。すなわち、デジタルマップデータの最新性を大幅に改善するためには、車両の周囲において起こり得る変化を、理想的にはリアルタイムで、またはほんのわずかな遅延だけで、できるだけ迅速にデジタルマップデータとして保存し、この情報を全ての関係者が直接的に利用できるようにすることが望ましい。現在、多数の製造業者、センサ、システムが存在し、これらも同様に、多数の物理パラメータを測定して、種々の種類のデータを検出する。とりわけ、例えば欠陥のあるセンサによって結果的に欠陥のあるデータが検出され、センターに伝送されることがよく起こり得る。すなわち、これらの欠陥のあるデータを識別し、場合によっては排除して、このような欠陥のあるデータが結果を改ざんしないようにすることが望ましい。
【0006】
したがって、車両におけるセンサデータのエラー確率を計算するためのシステムが提案される。当該システムは、車両内の複数のセンサを有するセンサユニットを有する。車両は、例えば、自動車、バス、またはトラックのような自動車であるか、または鉄道車両、船、ヘリコプターもしくは飛行機のような航空機であるか、または例えば、自転車である。
【0007】
センサユニットは、車両の周囲のオブジェクトに関するセンサデータセットを提供するように構成されている。オブジェクトという用語は、この文脈では非常に広義に解釈されるべきであり、一方では、交通標識、障害物、道路標識、他の車両、人、および動物などのような静的なオブジェクトを表すだけでなく、信号機状態、気象現象、凍結路面や霧のような道路状態、車線標示の経過の変化などのような動的なオブジェクトも表す。換言すれば、センサによって検出可能な全ての状況、すなわち、印象、イベント、観測結果を、オブジェクトであるとして理解してもよい。したがって、車両の周囲は、センサの種類に応じて車両自体を意味し得るが、車両を中心とした数メートルまたは数百メートルの範囲も意味し得る。
【0008】
当該システムはさらに、センサユニットからセンサデータセットを受信するように構成された中央コンピュータを有する。1つの例によれば、この中央コンピュータは、1つまたは複数の中央の場所に配置されたクラウドベースのサーバであり得る。ここでは、複数の異なる車両からのセンサデータセットが、論理的に中央の場所において全体として評価可能であるということが重要である。センサユニットから中央コンピュータへのセンサデータセットのワイヤレス伝送は、例えば、Bluethooth、WLAN(例えば、WLAN 802.11a/b/g/nまたはWLAN 802.11p)、ZigBee、WiMaxのような種々の無線規格を介して、またはGPRS、UMTS、もしくはLTEのようなセルラー無線システムを介して実施可能である。他の伝送プロトコルを使用することも可能である。上述したプロトコルは、標準化が既に実施済みであるという利点を提供する。
【0009】
当該システムはさらに、参照データを有する参照データベースを有し、参照データは、センサデータセットが生成された時点における車両の位置に関連している。参照データは、センサデータに関連する種々の種類の情報およびデータであり得る。例えば、センサデータが、光学的に検出された動的な交通標識を表している場合には、この参照データは、交通管制センターのデータベースからの参照データであり得る。車両の位置と時点とを参照する利点および目的は、センサデータと参照データとの両方が、同じオブジェクトまたはイベントまたは観測結果に関連するようになり、ひいては互いに関連性を有するようになるということにある。
【0010】
中央コンピュータは、参照データベースからの参照データを用いて、センサデータセットのエラー確率を計算するように構成されている。換言すれば、参照データセットからの参照情報に基づいて、センサデータセットが、他の独立したソースから取得された情報に照らして妥当であると思われるかどうかがチェックされる。したがって、種々のソースからの多数の参照データは、センサデータセットがある程度の確率をもって欠陥のあるものであるかどうかを示すことができる。こうして判明したエラー確率の利点は、とりわけ外れ値と、あり得ないほどに極端な値とをより良好に識別して、場合によって破棄することができることであろう。
【0011】
1つの例によれば、参照データは、他の車両のセンサデータから生成されている。このことは、車両のセンサデータセットの正当性が、ある程度の数の他の車両が同じまたは類似のデータセットを送信しているということによってチェックされるケースを説明している。
【0012】
しかしながら、とりわけ農村地域では、所定の期間内にオブジェクトを通過する車両の数が非常に少ない可能性があり、したがって、ひょっとしたら誤っているかもしれない情報が、ずいぶん後になってからようやく修正されるという場合がある。本明細書に記載される解決策の利点は、多数の別の外部のデータソースおよびデータベースを参照として利用することができ、他の車両が存在しない場合でもエラー確率を計算するために利用することができることである。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、中央コンピュータは、センサデータをオブジェクトクラスに分類し、参照データを、オブジェクトクラス特有に選択するように構成されている。換言すれば、中央コンピュータは、まず始めにセンサデータの種類および発信元を分析および認識し、識別されたオブジェクトクラスに基づいて、エラー確率を計算するための適切な参照データを選択および使用するように構成されている。
【0014】
オブジェクトクラスとは、例えば、各国固有の標識、道路状態、気象現象、交通流データ、比較可能な道路オブジェクトのデータ、またはオブジェクトの以前の観測結果であり得る。ここでは、観測結果の種類への大まかな類別を意味しており、その場合、これらの観測結果の種類には、エラー確率を有意に計算するために規定された適切な参照データが割り当てられている。オブジェクトクラスへの参照データのこの割り当てを、例えば、事前に定義して、中央コンピュータに保存することができる。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、参照データベース内の参照データに、それぞれのエラー確率が割り当てられている。換言すれば、センサデータセットだけがエラー確率を有するのではなく、参照データ自体もまた、複数の異なる程度の信頼性または信憑性を有する。中央コンピュータは、センサデータセットのエラー確率を計算する際に、参照データのエラー確率を考慮し、対応する当該参照データの重みは、エラー確率が増加するにつれて低くなるように付けられている。
【0016】
例えば、センサデータセットによって道路区間の凍結が報告された場合には、ソーシャルネットワークからの情報を参照することができる。ソーシャルネットワークにおいて、同一の地理的位置および時点に関して、道路状態に関する情報が公開されている場合、これらの情報は、基本的にチェックされていないので、誤った情報の影響を受けやすい。参照データセットのエラー確率は、この状況を、センサデータセットのエラー確率の計算に含め入れることができる。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、中央コンピュータは、参照データのエラー確率を、別の参照データに基づいて、かつ/またはセンサデータに基づいて計算するように構成されている。換言すれば、中央コンピュータは、以前の計算に基づいて、その他の参照データおよびセンサデータとの関連において、参照データの信頼性または信憑性を計算することができる。すなわち、ある参照データセットが、他の参照データと比較して主に矛盾している情報を有していることが、履歴に基づいて示された場合には、この参照データセットの信頼性が低いこと、ひいては、この参照データソースのエラー確率が増加していることが見込まれる。
【0018】
1つの実施形態によれば、車両内のセンサユニットは、センサデータの暫定的なエラー確率を計算する。このことを、例えば、車両の別のセンサデータに基づいて実施してもよいが、参照データベースの参照データに基づいて実施してもよい。このために、車両自体が、独自の通信デバイスを介して外部の参照データ、または独自の車載システムからの情報も取り入れて、暫定的なエラー確率を計算することが可能であり、その場合、この暫定的なエラー確率は、オプションで第2のステップにおいて、中央コンピュータ内の別のデータを用いて計算されて、結果的なエラー確率となる。ここでの利点は、例えば、車両内のセンサデータを直接的に使用する際に、参照データに基づいた評価が既に行われているので、センサデータセットのエラー率を低減することが可能となることであり得る。例えば、カメラの検出率は、例えば霧の際のような視界が限られている状況では、比較的低くなり得る。センサユニットは、車載情報から、例えばフォグライトのスイッチオンから、明らかに霧の状況が存在しているということを把握し、このようにして、外部のデータソースを使用することなく自給自足的に暫定的なエラー確率を計算することもできる。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、参照データは、例えば、気象データ、交通流データ、交通制御データ、同じ車両のセンサデータ、他の車両のセンサデータ、および/またはデジタルマップデータである。「デジタルマップ」または「デジタルマップデータ」という用語は、ナビゲーションが実施されない、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)のためのマップであるとも理解すべきである。本発明のさらなる実施形態では、オブジェクトは、例えば、交通標識、車線標示、気象状態、車線、信号機状態、道路状態、車両、障害物、および/または障壁である。
【0020】
本発明のさらなる態様では、以下に記載のステップを有する、センサのセンサデータセットのエラー確率を計算するための方法が提案される。中央コンピュータによって、センサデータを受信する。その後、中央コンピュータによって、センサデータを分類する。このことは、上述したように、同様のオブジェクトへの大まかな類別を可能にするオブジェクトクラスが認識されることを意味する。さらなるステップでは、中央コンピュータによって、参照データベースからオブジェクトクラス特有の参照データを選択して読み出す。すなわち、前のステップで認識されたオブジェクトクラスに基づいて、センサデータの正当性または妥当性を検証および評価するための適切な参照データが選択され、参照データベースから読み出される。
【0021】
次のステップでは、中央コンピュータによって、選択された参照データに基づいて、センサデータのエラー確率を計算する。本発明の1つの実施形態によれば、この計算されたエラー確率を、中央コンピュータによって、位置データを含むセンサデータと共に、デジタルマップアプリケーションに供給することができる。このことはつまり、取得したデータを、位置データを使用して、例えばマップサーフェス上にグラフィカルに、場合によっては計算されたエラー確率を表示しながら、表示可能であることを意味する。
【0022】
本発明の1つの実施形態によれば、中央コンピュータは、センサデータの計算されたエラー確率を、規定された閾値と比較し、このエラー確率が閾値を超えている場合には、このセンサデータを欠陥のあるものとして識別する。換言すれば、欠陥のあるものとして識別されたセンサデータは、破棄され、これによって有利には、例えば、センサデータに基づくアプリケーションの枠内で、センサデータの改ざんまたは誤解釈を回避することが可能となる。
【0023】
図面の簡単な説明
以下では、本発明の実施例が、図示に基づいて説明される。図面は、概略的なものに過ぎず、縮尺通りではない。同一または同様の要素には、同じ参照記号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】デジタルマップにおける車両に基づくセンサデータを中央で処理するための従来技術によるシステムを示す図である。
【
図2】センサデータのエラー確率を計算するための本発明によるシステムの概略図である。
【
図3】車両のセンサデータのエラー確率を計算するための本発明による方法を示す図である。
【0025】
図面の詳細な説明
図1には、従来技術からのシステムの一例が示されており、ここでは、車両に基づくセンサデータセット12が中央で結合され、処理され、デジタルマップデータとして加工される。道路区間22上にはオブジェクト20が位置しており、このオブジェクト20は、ここでは具体的に、高速道路の門型標識においてよく見られる速度制限のための可変の交通標識である。ここでは、表示される最高速度を、交通管制センターによって交通状況に応じて動的に適合させることができる。例えば、表示されている最高速度が変化すると、第1の車両14は、そのオブジェクトを通過する際に、センサ24によってこのオブジェクト20を視覚的に検出する。このケースでは、センサ24は、例えば、車両14の進行方向に向けられたカメラである。
【0026】
第1の車両14は、今度は、センサデータセット12を中央コンピュータ26に報告する。このことは、例えば、4G/5G、UMTS、Wi-Fi、またはWLANのような無線伝送方法を介して実施可能である。ここで、第2の車両16および第3の車両18もこのオブジェクト20を通過する場合には、第2の車両16および第3の車両18のセンサデータ12も同様にして中央コンピュータ26に伝送される。中央コンピュータ26が、複数の一致するセンサデータセット12を受信した場合には、報告されたこれらのセンサデータセット12が正しいものであると仮定することができ、これに続いて、中央コンピュータは、マップアプリケーション30のためのデジタルマップデータ28を生成し、必要であれば、この同じオブジェクト20に関して設けられているデジタルマップデータ28を更新する。ここで問題となる可能性があるのは、複数の一致しないセンサデータ12が中央コンピュータ26によって受信され、伝送されたセンサデータセット12がどの程度まで欠陥のあるものであり得るのが不明な場合である。
【0027】
図2には、この問題を解決する本発明によるシステム10が記載されている。車両内のセンサユニット32には、複数の異なるセンサ24が接続されている。このセンサユニット32は、車両の内部で種々の機能を引き受けることができる。この機能は、例えば、センサ24の信号の前処理または加工であってもよいし、またはセンサ24の制御であってもよい。1つの例では、センサユニット32は、暫定的なエラー確率38の計算を引き受ける(以下を参照)。センサユニット32は、接続されているセンサ24の全てのセンサ信号から、車両14の周囲のオブジェクト20(
図1を参照)を記述する1つのセンサデータセット12を生成するように構成されている。
【0028】
中央コンピュータ26は、このセンサデータセット12を受信する。好ましくは、中央コンピュータ26は、受信したセンサデータセット12を、事前に規定されたオブジェクトクラスに鑑みて分類する。中央コンピュータ26には、複数の参照データベース34が接続されている。中央コンピュータ26は、識別されたオブジェクトクラスに基づいて適切な参照データベース34を選択し、参照データ36を読み出す。これらの参照データ36は、センサデータセット12が生成された時点における車両14の位置に関連している。中央コンピュータ26は、この参照データ36を用いて、センサデータセット12のエラー確率38を計算する。センサデータセット12のこのエラー確率38は、センサデータセット12および位置データと一緒にデジタルマップデータ28に変換され、
図2ではデータベースとして図示されているマップアプリケーション30に供給される。
【0029】
図3には、センサデータ12のエラー確率38を計算するための本発明による方法が示されている。中央コンピュータ26によって、センサデータセット12が受信される110。次のステップでは、中央コンピュータ26によって、センサデータセット12がオブジェクトクラスに分類される120。ステップ130では、中央コンピュータ26によって、参照データベース34からオブジェクトクラス特有の参照データ36が選択されて読み出される。ステップ140では、中央コンピュータ26によって、参照データ36に基づいてセンサデータセット12のエラー確率38が計算される。最後にステップ150では、中央コンピュータ26によって、センサデータセット12が対応するエラー確率38と一緒にデジタルマップアプリケーション30に供給される。