(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】たばこ製品組成物および送達システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220208BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220208BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2020560838
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 US2020039911
(87)【国際公開番号】W WO2020264362
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516016746
【氏名又は名称】ザット・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】HZAT LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オコンネル,トーマス
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108323812(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106037011(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109330038(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱非燃焼式たばこエアロゾル化デバイスであって、
ユーザによって加えられる負の吸入圧力の下で内側に変形するように構成された壁を有するカップを含む使い捨てのたばこ送達ユニットであって、前記カップは、少なくとも65重量%のグリセリンと、少なくとも5重量%の水と、少なくとも15重量%のたばこと、を含む湿ったたばこ製品を含み、前記カップは、少なくとも部分的に加熱要素をさらに含み、前記加熱要素は、前記湿ったたばこ製品によって実質的に囲まれており、かつそれと接触している、使い捨てマウスピースユニットと、
前記たばこ送達ユニットを受けるように適合されており、かつ前記加熱要素に電流を供給するように構成されたコントローラを含むベースユニットと、を含み、
前記デバイスは、前記湿ったたばこ製品をエアロゾル化し、かつ前記加熱要素と接触している液体部分を沸騰させることによって前記湿ったたばこ製品の離散的な前記液体部分をエアロゾル化するように構成されている、
デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、前記加熱要素から1mmの前記湿ったたばこ製品中で測定されたときに140℃を超えない温度で、前記湿ったたばこ製品がエアロゾル化されるように構成されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、1秒から3秒持続する加熱サイクルの間に、前記加熱要素から1mmの前記湿ったたばこ中で測定されたときに120℃を超えない温度で、前記湿ったたばこ製品をエアロゾル化するように構成されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記湿ったたばこ製品の1グラム当たり60回から120回吹かすことができる、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記湿ったたばこ製品は、たばこ、グリセリン、および水から本質的になる、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記湿ったたばこ製品は、プロピレングリコールを含まない、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記湿ったたばこ製品をエアロゾル化して、使い捨ての前記たばこ送達ユニットを通じてユーザが吸引することができるエアロゾル化された吸入物を生成するように構成され、前記エアロゾル化された吸入物は、3R4Fの伝統的な紙巻きたばこの吸入煙よりも少なくとも6倍少ないHPHCを有する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
使い捨ての前記たばこ送達ユニットは、前記カップから使い捨ての前記たばこ送達ユニットを取り外すために、離脱機構を介して前記ベースユニットと離脱可能に係合するように構成されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記湿ったたばこ製品は、100℃以上の温度に加熱されたとき、固体たばこ部分と、水、天然たばこエキス、およびグリセリンを有する離散的な液体部分と、両方を含む、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記たばこ送達ユニットは、前記固体たばこ部分と前記離散的な液体部分との両方を100℃以上の温度でエアロゾル化するように構成されている、
請求項
9に記載のデバイス。
【請求項11】
加熱非燃焼式たばこエアロゾル化デバイスであって、
カップを含む使い捨てのたばこ送達ユニットであって、前記カップは、少なくとも65重量%のグリセリンと、少なくとも5重量%の水と、少なくとも15重量%のたばこと、を含む湿ったたばこ製品を含み、前記カップは、少なくとも部分的に加熱要素をさらに含み、前記加熱要素は、前記湿ったたばこ製品によって実質的に囲まれており、かつそれと接触している、使い捨てのたばこ送達ユニットであって、前記湿ったたばこ製品から延びる前記加熱要素の露出部分を少なくとも含む領域と交差する気流チャネルに結合された空気入口をさらに有し、それによって前記湿ったたばこ製品および前記加熱要素の前記露出部分の両方を横切るように空気の流れを誘導するように適合されている前記たばこ送達ユニットと、
前記たばこ送達ユニットを受けるように適合されており、かつ前記加熱要素に電流を供給するように構成されたコントローラを含むベースユニットと、
を含み、
前記デバイスは、前記湿ったたばこ製品の固体部分および離散的な液体部分をエアロゾル化するように構成されており、前記離散的な液体部分のエアロゾル化が、前記液体部分を前記加熱要素と接触させて沸騰させることによって行われる、
デバイス。
【請求項12】
前記カップは、ユーザによって加えられる負の吸入圧力の下で内側に変形するように構成された壁を含む、
請求項
11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記湿ったたばこ製品の1グラム当たり60回から120回吹かすことができる、
請求項
11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記湿ったたばこ製品は、100℃以上の温度に加熱されたとき、固体たばこ部分と、水、天然たばこエキス、およびグリセリンを有する離散的な液体部分と、両方を含む、
請求項
11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記たばこ送達ユニットは、前記固体たばこ部分と前記離散的な液体部分との両方を100℃以上の温度でエアロゾル化するように構成されている、
請求項
14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記湿ったたばこ製品は、プロピレングリコールを含まない、
請求項
11に記載のデバイス。
【請求項17】
前記エアロゾル化された吸入物は、3R4Fの伝統的な紙巻きたばこの吸入煙よりも少なくとも6倍少ないHPHCを有する、
請求項
11に記載のデバイス。
【請求項18】
前記デバイスは、5秒未満持続する加熱サイクルの間に、前記加熱要素から1mmの前記湿ったたばこ中で測定されたときに140℃未満の温度で、前記湿ったたばこ製品をエアロゾル化するように構成されている、
請求項
11に記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスは、5秒未満持続する加熱サイクルの間に、前記加熱要素から1mmの前記湿ったたばこ中で測定されたときに120℃未満の温度で、前記湿ったたばこ製品をエアロゾル化するように構成されている、
請求項
11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年5月8日に出願された米国仮出願第63/022,160号、2019年6月27日に出願された同第62/867,409号、および2019年6月27日に出願された同第62/867,416号に対する優先権を主張しており、これらの各出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による組み込み
本明細書で引用される各文書は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電子たばこまたは蒸気吸入機構の使用は、エンドユーザにニコチンを送達する代替態様として、ここ数年で人気を博している。現在市場に出回っている電子たばこまたは関連製品は、典型的に、ユーザが吸い込むためにニコチン液混合物のエアロゾルを気化させたり、生成したりするために使用される金属導体に接続された加熱要素を有する筐体またはポッドを含む。得られる蒸気またはエアロゾルは、通常、ニコチンまたはニコチン液混合物、香料、および溶剤の副産物である。電子たばこおよび蒸気吸入デバイスの方法は、真のたばこの味と風味なしで「喫煙体験」を送達する傾向がある。したがって、伝統的なたばこ製品を喫煙するよりも安全であるが、その経験は、伝統的なたばこタイプの製品で経験するよりもはるかに満足度が低い。
【0004】
現在の蒸気吸入デバイスから欠落している伝統的に生産されたたばこの1つの価値は、養生され、調製されたたばこによって付与される複雑な風味である。何百年にもわたって、たばこ産業は、吸入時にユーザに特定の風味を送達する消費者製品のために、たばこ植物の育種、特定のたばこ作物の栽培方法、収穫方法、および様々なたばこの養生プロセスなどの手段によって望ましい複雑な風味を生産するためのプロトコルを開発してきた。これらの製品には、例えば、紙巻たばこ、葉巻、嗅ぎたばこ、ディップ、スナス、パイプたばこ、および他の製品が含まれる。吸入時の風味のこのような複雑さは、現代の電子たばこおよび蒸気吸入デバイスでは、欠落しているか、または、香料によって隠されていることが多い。
【0005】
伝統的な紙巻たばこに代わるもう1つの選択肢として、水たばこデバイスは熱(炭の熱など)を利用してたばこの蒸気を発生させ、その蒸気は、水の容器を通過してから吸入される。典型的には、これらのデバイスで使用されるたばこ製品は、「シーシャ」と呼ばれている。これらの水パイプまたはシーシャデバイスは、複数の消費者が同時にデバイスを使用できるように、1つのホース出口、または数個のホース出口を含み得る。シーシャデバイスで使用されるたばこは、デバイスの風味または煙の生成特性を変化させるために、他の成分と混合してもよい。
【0006】
近年、新しいカテゴリーである、「加熱非燃焼式」のたばこ製品が登場した。1994年には早くも、R.J.レイノルズたばこは、加熱非燃焼式紙巻きたばこ製品のエクリプスラインを導入しており、1990年代半ば以降、さらなる加熱非燃焼式システムが商品化され、喫煙者に販売されていた。加熱非燃焼式たばこ製品は、多くの場合、電池駆動の加熱システムを使用して、たばこを十分温めるが燃やさない。加熱システムがたばこを加熱し始めると、吸い込まれるニコチンおよび他の化学物質を含むエアロゾルが発生する。ガス、液体、および固体粒子、ならびにタールは、通常、従来の加熱非燃焼式製品の排出物に含まれている。加熱非燃焼式製品は、たばこにはない添加物を含んでいることが多く、味付けされていることがしばしばである。加熱非燃焼式製品は、典型的には、伝統的な紙巻たばこよりも低い温度、典型的には、たばこの燃焼が起こる500℃以上の温度ではなく、約250~400℃の温度でたばこの葉を加熱する。
【0007】
加熱非燃焼式たばこ製品とは対照的に、蒸気吸入製品は、典型的には、空気通路に液体を引き込むための芯材を含むリザーバ内のニコチン含有液を提供することによって動作する。Juul Labsに付与された米国特許第10,653,180号に示されているように、その一部が
図5に再現されているように、カートリッジ14は、液体を浸した中綿6、7を含む2つの区画114、214を含む。シリカ芯9は、ニコチン含有液を空気通路26内に引き込み、加熱要素31と接触させる。加熱要素は、ニコチン含有液をエアロゾル化し、これにより吸入可能なエアロゾル形態を生成する。
【0008】
従来の蒸気吸入デバイスの典型的な加熱要素の温度は、約150~230℃である。このようなエアロゾル化温度は、典型的な加熱非燃焼式デバイスよりも低く、この理由から、蒸気吸入デバイスは、一般的には、生成する有害な、および潜在的に有害な成分(HPHC)は、より少量で濃度が低い。大手たばこ会社によって発表されたデータに基づけば、300℃から200℃へのエアロゾル化温度の低下はHPHCを2倍減少させ、300℃から100℃へのエアロゾル化温度の低下はHPHCを4、5または6倍減少させる。
【0009】
蒸気吸入製品の1つの実質的な欠点は、紙巻たばこと比較して、ニコチンと香料の濃度が高くなっていることである。1つのJuulカートリッジは、ポッドと呼ばれ、紙巻たばこ1箱とほぼ同等のニコチンの量を有している。ニコチン濃度の増加は、中毒のリスクを高める可能性がある。蒸気吸入はまた、血管機能の急速な悪化、心拍数の増加、および拡張期血圧の上昇などの短期的な健康影響が報告されている。
【0010】
従来の加熱非燃焼式デバイスに戻ると、ニコチン液、香料、および他の添加物の混合物を加熱して、エンドユーザが蒸気吸入するための蒸気/煙に変換するように設計された送達システムが含まれている。現在市場で販売されている加熱非燃焼式デバイスは、それらが、本物の葉たばこを変質させないままで使用することができないという点で制限されている。このようなデバイスは、多くの場合、
図1Aおよび1Bに示されるような再構成または均質化されたたばこシートに形成されたたばこ植物の断片および細片を利用しており、これは、加工後に葉たばこのような高いたばこ含有量を保持せず、化学的に変質されている。
【0011】
特に人気のある加熱非燃焼式デバイスとしては、フィリップモリスインターナショナルがMarlboroおよびParliamentブランドで販売し、米国公開特許出願第2015/0150302A1号に記載されているIQOSがある。IQOS製品は、携帯電話の大きさ程度の充電器と、ペンのようなホルダからなっている。ヒートスティックと呼ばれる使い捨てのたばこスティックは、ミニ紙巻きたばことして記載されている。このスティックには、プロピレングリコールに浸して目標の水分レベルに乾燥させた、乾燥処理再構成たばこが含まれている。ミニ紙巻きたばこをホルダに挿入すると、ロール状の乾燥たばこシート製品が350~400℃まで加熱される。
【0012】
IQOSミニたばことホルダのインターフェースを
図2に示す。ホルダ201は、
図1A~1Bに示すように、プロピレングリコールに浸漬されてたばこのロール状シートで形成された乾燥たばこ製品203のロッドを加熱するための加熱ブレード202を含む。ユーザがミニ紙巻きたばこの口端部204を吸引し、たばこは約375℃の温度に加熱される。この温度で、ロッド203の2枚の異なるシートのキャストリーフたばこから揮発性化合物が発生する。これらの化合物は凝縮してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、フィルター(参照番号204によっても示される)を通って、ユーザの口の中に引き込まれる。
【0013】
比較的高い熱(350~400℃)とエアロゾル化されたプロピレングリコールとの組み合わせは、特定の蒸気吸入製品よりも比較的濃厚な蒸気とより強い風味を生成する。しかしながら、熱が増加すると、HPHCの濃度も増加する。IQOSは、紙巻たばこの喫煙と比較してHPHC(既知の発がん性物質)の約80%の減少を達成したに過ぎない。低い温度では、90%以上の実質的に高いHPHCの削減が達成される可能性がある。
【0014】
さらに、再構成シートの水分担体としてのプロピレングリコールは合成品であり、天然のグリセリンと比較して特定の危険因子をもたらす可能性がある。グリセリンは、天然の植物油から作られる無毒性の液体である。対照的に、プロピレングリコールは、プロピレンオキサイドに由来する合成流体である。それは液体の形で人間が使用するための一般的に安全な化学物質として認識されているが、グリセリンよりも毒性が強いため、製品中のプロピレングリコールの量は通常少量である。微量のプロピレングリコールは、それ自体では反応せず、他の成分に影響を与えないため、多くの製品に含まれている。しかしながら、プロピレングリコールが加熱されると、化学組成を変化させ、発がん性物質として知られるプロピレンオキサイドを生成する可能性がある。したがって、IQOS製品は、プロピレングリコールを含む乾燥たばこを350℃以上の比較的高い温度に加熱するという独特の方法により、不健康なレベルのプロピレンオキサイドを生成する可能性がある。
【0015】
IQOS製品には、許容できる味を提供しようと、多数の合成成分が添加されている。フィリップモリス社のウェブサイトによると、IQOSヒートスティックなどの加熱式たばこ製品には、イギリスで販売されているバージョンのたばこに添加されている添加物が多数含まれており、下記の表1に記載されている。なお、米国で販売されているIQOSヒートスティックのバージョンの添加物情報は提供されていない。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0016】
これらの香料の中には、室温で摂取した場合には安全であると考えられるものもあるが、香料のアルデヒド類とプロピレングリコール(PG)との組み合わせは、毒性を有する可能性のあるアセタールの形成につながる。ある研究では、様々な風味のアルデヒド類が濃度の異なるPGと一緒に混合された。(電子たばこのバイ、香料、およびプロピレングリコールは、組み合わせると有害な刺激物を形成するAmerican Journal of Managed Care、2018年11月2日)バニリン、エチルバニリン、ベンズアルデヒド、シナマルアルデヒドを含む、試験されたすべての風味のアルデヒドで、アセタールが生成された。研究者らはまた、PG濃度を上げるとアセタールの生成が増加することを観察した。
【0017】
St.Helen G,Jacob III P,Nardone N, et al,“IQOS:examination of Philip Morris International’s claim of reduced exposure”,Tobacco Control 27.Suppl 1(2018):s30-s36によると、IQOSによって生成されるエアロゾルには、参照たばこと比較して、かなり高いレベルの多くの排出物が含まれている。下記の表2に示すように、未知の毒性の22成分は、3R4Fの伝統的なたばこと比較してIQOSの排出量で少なくとも200%高く、7つは少なくとも1000%高かった。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0018】
特定の理論に拘束されることを望まないが、出願人は現在、相当数の香料および合成添加物の加熱およびエアロゾル化、特にPGの存在下での加熱およびエアロゾル化が、成人による長期使用において未知の毒性を有するこれらの排出物の多くを発生させると考えている。特にアセタールは、PGの存在下での香料の加熱によって潜在的に生成される。
【0019】
別の加熱非燃焼式製品は、British American Tobaccoによって販売され、米国公開特許出願第2018/0049469A1号に記載されているGLOである。
図3に図示のごとく、GLO装置1は、使用中は、加熱されて揮発される喫煙可能な材料を収容する加熱チャンバ4を有する。喫煙可能な材料は、IQOSのたばこ製品と同様に、プロピレングリコールに浸漬された後、乾燥たばこ製品で形成された筒体5である。喫煙可能な材料の部材5の端部は、筐体2の開放端部3を介して装置1から突出している。部材5は、典型的には、IQOSヒートスティックと同様に、その最外端部にフィルタ要素を含む。加熱チャンバ4は、セラミック材料で作られた加熱要素10を含む。
【0020】
使用中は、加熱要素10は、IQOSに関連して上述した方法と同様の方法で、シリンダ5内の乾燥たばこ製品をエアロゾル化する。ユーザは、シリンダ5の近位端からエアロゾルを吸入する。GLO製品の動作は、ヒーターが乾燥たばこ製品をエアロゾル化し、ユーザがエアロゾルを吸入するという点で、IQOSに関連して上述したものと同様である。
【0021】
GLOのたばこ製品に添加されている成分は不明であるが、添加物の数、種類、およびタイプはIQOSと類似していると考えられる。したがって、GLOはIQOSと同じ成分を多く含むエアロゾルを生成していると考えられる。
【0022】
別の人気のある加熱非燃焼式製品は、日本たばこ産業によって販売され、米国公開特許出願第2015/0208729号に記載されているPloomである。
図4に示すように、Ploomヒーター305は、吸気口321から空気が吸い込まれると、保湿剤を含むたばこ製品306をエアロゾル化する。たばこ製品から放出された蒸気は、凝縮室303内で凝縮する。気相の保湿蒸気は冷却し始め、液滴に凝縮する。このようにしてエアロゾルが形成され、ユーザによって吸入される。いくつかのPloomのバリエーションでは、熱はブタンガスによって提供され、そこからの燃焼生成物もユーザによって吸入される。Ploom製品はまた、IQOSおよびGLOに関して上述したのと同じ欠点に悩まされる。
【0023】
最近リリースされたPloom Tech/Tech+製品では、リザーバ内の液体がヒーターによって気化され、その蒸気はプロピレングリコールとグリセリン(重量比30:70)の混合物で処理された乾燥たばこ製品に渡される。この蒸気は冷却されて凝縮して液滴となり、この液滴は乾燥たばこ製品からニコチンとたばこの風味を拾う。上述の特許出願によれば、プロピレングリコールは、天然のグリセリンを用いて「他の方法では生成されなかったであろうよりもはるかに高密度で、より多くの粒子からなる濃厚なエアロゾル」を生成した。
【0024】
Ploom Tech/Tech+製品が他の加熱非燃焼式製品が上で記述するより低い温度で作動するため、生成されるHPHCが減少される一方、この製品によって生成される蒸気は、蒸気が通る乾燥たばこ製品から味およびニコチンを得る能力が限られている。結果として生じるユーザ体験はその分減少する。
【0025】
これらの従来の加熱非燃焼式製品はいずれも、消費者が一般的に不足していると感じている味とユーザ体験を生み出している。従来の加熱非燃焼式製品のエアロゾルによって提供される味は、伝統的なたばこ製品ほど豊かで満足感のあるものではなく、結果として、従来の加熱非燃焼式製品は、伝統的な紙巻たばこの喫煙を減らすという、記載された目標を達成していない。劣悪な味とユーザ体験により、多くの国で加熱非燃焼式製品のユーザの選択は遅れており、伝統的な紙巻たばこの使用は実質的に減少していない。
【0026】
従来の加熱非燃焼式製品は、このように、以下の欠点のうちの1つ以上に悩まされている。第1に、許容可能な味を実現するために、多数の合成成分および潜在的に有毒な成分が添加されている。第2に、結果として生じる味とユーザ体験は、伝統的な紙巻たばこの喫煙からの移行を広く奨励するために必要なものがはるかに不足している。第3に、従来の製品は、プロピレングリコールを含み、そのエアロゾル化は、特に一般的な香料の存在下で加熱されたときに有害な廃液を生成する可能性がある。第4に、従来の製品で使用されるたばこ製品は、有機物ではない。非有機たばこ製品を使用するということは、様々な農業用肥料、殺虫剤および除草剤を含む可能性があるため、これらの加熱非燃焼式製品によって提供される潜在的な健康上の利点がさらに限定される。第5に、従来のたばこ製品は、たばこには自然に存在しない様々な発がん性物質を発生させる。このようなさらなる発がん性物質は、伝統的な紙巻たばこを喫煙するためのより安全で健康的な代替案を提供するという、加熱非燃焼式デバイスの記載された目的と相反するものである。
【0027】
さらに、従来の加熱非燃焼式送達デバイスの製造は、比較的高価である。多くは、加熱を自動的に制御する吸入感知、または「吹かし検知」システムを含む。一部は、ガス動力加熱機構またはポータブル充電および/または加熱ユニットを含み、これらは、大きく、高価であり、比較的かさばる。さらに、複雑で高価な誘導加熱システムを含むものもある。特定の製品は、流体リザーバと、乾燥または部分加湿再構成たばこ材料の別個のサプライ品との両方を使用する。これまで、その結果として、ベースユニット、充電器および/またはヒーターに関して、および消費可能な液体および/またはたばこ製品に関して、比較的高価で製造が複雑である一連の加熱非燃焼式デバイスが存在している。
【0028】
本明細書で説明される特定の実施形態は、前述の問題の1つ以上に対処する。本明細書で例示される特定の実施形態は、これらの問題の大部分またはすべてを解決する。しかしながら、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、従来の加熱非燃焼式製品の欠点についての前記の議論は、暗示またはその他によって特許請求の範囲を制限すると解釈されるべきではない。本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載された様々な実施形態は、上述した特定の問題のうちの特定の、またはいずれかの問題を解決しない場合がある。繰り返しになるが、現在最も好ましい実施形態は、これらの問題の多く、ほとんど、またはすべてを解決する。
【発明の概要】
【0029】
上述した従来の加熱非燃焼式デバイスは、たばこ製品の加熱とエアロゾル化を促進するために乾燥たばこ製品を使用している。たばこ製品のエアロゾル化は空気を必要とするため、従来の加熱非燃焼式製品は、各々、伝統的な紙巻たばこのように、空気が流通可能な乾燥たばこ製品を含む。従来の蒸気吸入デバイスにおいても、空気の流れの中にニコチン含有液を引き込むために芯が使用され、これにより、エアロゾル化プロセスが空気を枯渇させることはない。
【0030】
本出願人は、驚くべきことに、たばこ製品および送達デバイスの慎重な設計により、加熱要素が湿ったたばこ製品によって実質的に囲まれている場合でも、湿ったたばこ製品をエアロゾル化することが可能であることを発見した。このようなエアロゾル化プロセスは、非常に低い温度(100℃程度)を維持し、従来の加熱非燃焼式製品と比較して4、5または6倍以上、HPHCを減らすことができる。しかしながら、従来の蒸気吸入製品とは対照的に、エアロゾル化された製品は、本物の葉たばこであり、追加のニコチンまたは香料が含まれていない。これにより、同様にして、現代の上記蒸気吸入デバイスとの関連で報告されている中毒および短期的な健康影響のリスクの増加が回避される。
【0031】
また、従来の加熱非燃焼式または蒸気吸入製品とは異なり、本明細書で例示される実施形態は、改善された味および伝統的な紙巻たばこの喫煙に取って代わる可能性が高いユーザ体験を提供し、それによって公衆に実質的な健康上の利益を提供する。従来の蒸気吸入デバイスは、ユーザが蒸気吸入中に紙巻たばこを吸い続け、その過程で蒸気吸入に中毒になることが多いため、典型的には喫煙の代替品であるとは考えられていない。その結果、ユーザは時に単一製品のユーザではなく、両方の製品のユーザになることがある。不快な味がしないことと、天然たばこの経験が、これらの欠点に寄与していると考えられている。本発明の好ましい実施形態は、ニコチンの追加、およびそれに伴う中毒のリスク、および蒸気吸入の短期的な健康影響を伴わずに、そして、従来の加熱非燃焼式デバイスおよび香料に伴うHPHCレベルの上昇を伴わずに、伝統的な紙巻たばこに取って代わる可能性が高い改善された味および大人のユーザ体験を提供することによって、これらの欠点を克服する。
【0032】
IQOSヒートスティック(現在、国際的に販売されている最も人気のある加熱非燃焼式製品)と本明細書に例示された本発明の実施形態をサンプリングした21人の参加者を対象とした喫煙テストでは、本発明の製品は、はるかに改善された味と使いやすさを提供していると考えられた。味に関しては、IQOSは1~5(5が最高)の評価で1.29(1が最悪)を受け、実施例4の製品は4.57(5が最高)の評価を受けた。使いやすさに関しては、IQOSは、本明細書に例示された本発明の好ましい実施形態では4.95であるのに対し、1.05の評価を受けた。21人の喫煙試験参加者のうち、研究の管理者といずれかの製品との間に何らかの提携関係があることを認識している者はいなかった。
【0033】
本出願人はまた、湿ったたばこ製品のエアロゾル化を達成するためには、材料の組成物の粘度とそれが加熱要素に接触する方法を慎重に制御することが有利であることを発見した。従来の加熱非燃焼式たばこおよび蒸気吸入製品は、十分な空気流が、確実に加熱されたたばこ製品またはニコチン含有液に供給されるように、乾燥たばこ製品または芯を使用するが、湿ったたばこ製品に加熱要素を浸漬することは、湿ったたばこ製品により加熱要素が消えてしまい、効果的なエアロゾル化を阻害または排除することが予想されるため、以前は実現可能であるとは考えられていなかった。実際、本出願人は、多くの潜在的な実施形態において、加熱要素は実際には完全に消えてしまい、その結果、性能が不十分であり、電池から急速に電力を消費し、性能をさらに阻害することを発見した。
【0034】
比較例1に示すように、たばこ製品が湿りすぎたり、多量に加熱要素を取り囲んだりすると、次のような1つ以上の問題が発生する。第1に、上述したように、加熱要素が消えてしまい、効果的なエアロゾル化が妨げられる可能性がある。第2に、ポッドまたはリザーバ内に含まれる総量に対して、利用可能なたばこ製品の総量のわずかな部分しか消費されない可能性がある。第3に、例示された実施形態ではポッドまたはリザーバ内のたばこ製品の供給を実質的に使い切るためには200回以上吹かさなければならないのに対し、1~30回程度の不十分な回数吹かすだけでエアロゾル化が起きてしまう可能性がある。第4に、エアロゾル化を起こすためには、加熱要素を、例えば摂氏300度近く、またはそれを超えるような高温に上昇させる必要があり得る。このような温度では、典型的には、高いレベルのHPHCが生成される。
【0035】
出願人は、特定の湿ったたばこの粘度で、たばこ製品を、たばこ製品のエアロゾル化を実質的に促進する変形可能なまたは圧潰可能なポッドで囲うことが可能であることを発見した。例えば、約1mm程度の壁厚を有するシリコーン製のポッドを使用することができる。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、吸入中にポッドの壁が部分的に圧潰するか、または吸入によって加えられる負圧によって形状が変化して変形し、それによって湿ったたばこ製品を加熱要素と密に接触させると考えられる。吸入吸引をやめると、ポッドは元の形状に膨張し、有利には、湿っているが比較的粘度の高いたばこ製品の間隙に空気を引き込む。壁の厚さが約1mmのシリコーン製のポッドの物理的特性は、吸気の負圧によって変形するのに十分な柔軟性を持ちながらも、元の形状に戻るのに十分な剛性を持ち、吹かしている間にたばこ製品の中に有利に空気を引き込むことができるというバランスが取れている。次の吹かし、その間に要素が加熱されると、たばこ製品は再び加熱要素と密に接触する。このようにして、ポッドの壁は蛇腹のような機能を果たし、たばこ製品を気化させ、撹拌することで、次の吹かしまたは吸入の間にエアロゾル化を促進する。
【0036】
これは、いずれも、静的な乾燥たばこの山、またはその中を空気が自然に流れる、再構成たばこ製品の静的加湿被着芯、またはニコチン含有液が加熱され、エアロゾル化された場合に、それを高流量の空気の流れに乗せるための芯材のいずれかを使用する、従来の加熱非燃焼式および蒸気吸入製品からの根本的な発展である。
【0037】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、組成物の緻密なバランス、および送達デバイスの設計から利益を得る。組成物および送達デバイスを適切に選択することにより、好ましい実施形態では、典型的なたばこまたはIQOSヒートスティックによる12~14回の吹かしと比較して、たばこ製品のわずか1.3gを含むポッドは、150回の吹かしを提供する。
【0038】
上述のように、本明細書で例示される本発明の実施形態は、IQOSヒートスティックに添加された合成成分の同じ配列を含むたばこ製品を使用した場合であっても、IQOSと比較してHPHCを4、5または6倍減少させ得る。しかしながら、例示された実施形態では、約65~75%の天然または有機グリセリン、約5~15%の蒸留水、水道水または精製水、および約20%の有機全葉たばこまたは葉/葉身たばこの3つの成分からなる(または代替的に、本質的にそれらからなる)単純な有機レシピを使用している。したがって、例示された実施形態は、HPHCの生成が、IQOSのHPHCの6分の1未満、例えば、IQOSのHPHCの7分の1、8分の1、9分の1、または10分の1未満となり得る。さらに、IQOSおよび他の従来の加熱非燃焼式製品とは異なり、例示された製品は、たばこに自然に存在しない選択性発がん性物質を発生させない。
【0039】
例示された消耗品ユニットもまた、実質的に複雑でなく、製造コストが低い。特に、IQOSヒートスティックの製造には、後加工されてフィルタおよびその他の要素を含むロッドに巻き取られたシートたばこを製造するための複雑な工程が含まれている。伝統的な紙巻たばこの製造と同様に、ヒートスティックの製造は、高価で比較的大規模な製造設備を必要とする多段階のプロセスである。対照的に、例示された実施形態の組成物を調製する工程は、単に、たばこ製品の高圧加熱に続いて、乾燥、粉砕、および粉砕されたたばこ製品をグリセリンと重量比約1:1で結合し、その後、たばこ製品をポッドに添加することを含む。
【0040】
別の態様において、本明細書に開示された加熱非燃焼式たばこシステムは、プロピレングリコールまたは補助的な水分水または蒸気源を使用せずに許容可能なエアロゾル化を達成する最初の製品である。上述したように、従来の加熱非燃焼式製品は、本物のたばこまたは再構成たばこを使用するが、ユーザの味および経験を高めるために、プロピレングリコールまたは補助的な水蒸気源に依存している。本明細書に記載されている例示的な実施形態では、どちらも使用しておらず、一般的な香料の存在下でのアセタールの形成などのプロピレングリコールの悪影響、および水蒸気の補助的な供給源を提供するための複雑さおよび費用を回避する。
【0041】
本明細書で例示される実施形態の別の利点は、使い捨てポッドまたはカップユニットに含まれるたばこ製品が、一回の喫煙セッションで消費される必要がないことである。IQOSおよびGLOのような従来の加熱非燃焼式たばこ製品は、乾燥たばこ製品が加熱後に炭化され、その後、別の喫煙セッションで再加熱するのに適していないため、一回の着座または喫煙セッションで使用すべきミニ紙巻たばこ、またはポッドを提供している。むしろ、ミニ紙巻きたばこまたはポッドを交換しなければならない。対照的に、本明細書で例示される実施形態は、ポッド当たり約10倍の回数(約10~15に対して約150~250)吹かすことが可能であり、1回の喫煙セッションですべてを消費する必要はない。特定の理論に拘束されることを望まないが、出願人は、これは、独特の湿ったたばこ製品組成物および湿ったたばこ製品の炭化を防止する独特の作用機構によるものであると考えている。よって、例示された実施形態の1つのユーザは、1つのポッドを、何時間または何日にもわたって間隔をあけて約10回の喫煙セッションにわたって使用することができる。
【0042】
したがって、一実施形態では、ユーザによって加えられる負の吸入圧力の下で内側に変形するように構成できる壁を有するカップを有する使い捨てのマウスピースユニットを有する、加熱非燃焼式たばこエアロゾル化デバイスが提供され、カップは、少なくとも約65重量%のグリセリンを有する湿ったたばこ製品を含んでいる。少なくとも約5重量%の水、および少なくとも約15重量%のたばこを含み、カップはさらに、少なくとも部分的に湿ったたばこ製品を実質的に取り囲んで接触する加熱要素と、加熱要素に電流を供給するように構成されたコントローラを含むベースユニットとを含む。デバイスは、約1秒から約5秒(またはその間の値)持続する加熱サイクルの間に、加熱要素から1mmの湿ったたばこ製品中で測定されたときに約150℃を超えない温度で湿ったたばこ製品をエアロゾル化し、加熱要素と接触している液体部分を沸騰させて湿ったたばこ製品の液体部分をエアロゾル化するように構成してもよい。
【0043】
デバイスは、例えば、湿ったたばこ製品をエアロゾル化して、マウスピースユニットを通してユーザが吸入することができるエアロゾル化された吸入物を生成するように構成してもよい。エアロゾル化された吸入物は、例えば、3R4Fの伝統的な紙巻たばこの吸入煙よりも少なくとも4倍少ない、または少なくとも6倍少ないHPHCを有していてもよい。デバイスは、例えば、約1~約5秒(またはその間の値)持続する加熱サイクルの間に、加熱要素から1mmの湿ったたばこ中で測定されたときに約100℃、120℃、または140℃を超えない温度で湿ったたばこ製品をエアロゾル化するように構成してもよい。デバイス内の湿ったたばこ製品は、例えば、約10,000~約50,000cp、または約20,000~約40,000cpの粘度を有していてもよい。湿ったたばこ製品は、例えば、たばこ、グリセリン、および水からなるか、または本質的にそれらからなっていてもよい。ある態様において、湿ったたばこ製品は、プロピレングリコールを含まない。
【0044】
このマウスピースユニットは、例えば、カップを囲み、該カップの開放端を実質的に封止する表面を含み、湿ったたばこ製品を部分的に露出させたままにする開口部を含み得る。ある態様において、湿ったたばこ製品は、湿ったたばこ製品を製造するために使用されるたばこの葉に存在しない追加のニコチンを含まない。湿ったたばこ製品は、例えば、加工されたたばこの葉を有することができ、エアロゾル化された吸入物は、加工されたたばこの葉のみを同じ温度でエアロゾル化することによって生成されるエアロゾル中に自然に存在しない発がん性物質を含まないこと可能である。
【0045】
別の局面では、約10,000~約50,000cpの粘度を有し、かつ少なくとも約65重量%のグリセリン、少なくとも約5重量%の水、および少なくとも約15重量%のたばこを含む湿ったたばこ製品を含むカップを有する使い捨てマウスピースユニットを有する、加熱非燃焼式たばこエアロゾル化デバイスが提供される。カップは、少なくとも部分的に、湿ったたばこ製品を実質的に取り囲み、かつ接触している加熱要素と、加熱要素に電流を供給するように構成されたベースユニットとを含み得る。デバイスは、1~5秒(またはその間の値)持続する加熱サイクルの間に、加熱要素から1mmの湿ったたばこ製品中で測定されたときに約150℃を超えない温度で湿ったたばこ製品をエアロゾル化することができ、デバイスは、マウスピースを通してユーザが吸入するためのエアロゾル化された吸入物を生成するために湿ったたばこ製品をエアロゾル化することができ、エアロゾル化吸入物は、3R4Fの伝統的なたばこの吸入煙よりも少なくとも4倍少ないHPHCを有している。
【0046】
一態様では、カップは、ユーザによって加えられる負の吸入圧力の下で内側に変形する壁を有していてもよい。デバイスは、加熱要素と接触して液体部分を沸騰させることにより、湿ったたばこ製品の液体部分をエアロゾル化するように構成してもよい。エアロゾル化された吸入物は、例えば、3R4Fの伝統的な紙巻たばこの吸入煙よりも少なくとも6倍少ないHPHCを有していてもよい。デバイスは、5秒未満持続する加熱サイクルの間に、加熱要素から1mmの湿ったたばこ中で測定されたときに約100℃、120℃、または140℃未満の温度で湿ったたばこ製品をエアロゾル化するように構成してもよい。デバイス内の湿ったたばこ製品は、例えば、約20,000~約40,000cpの粘度を有していてもよい。デバイス内の湿ったたばこ製品は、例えば、たばこ、グリセリン、および水からなるか、または本質的にそれらからなってもよい。別の態様において、湿ったたばこ製品は、プロピレングリコールを含まない。マウスピースユニットは、カップを囲むことができ、カップの開放端を実質的に密封する表面を含み、湿ったたばこ製品を部分的に露出させたままにする開口部を含み得る。ある態様においては、デバイスの湿ったたばこ製品は、湿ったたばこ製品を作るために使用されるたばこの葉に存在するもの以外の追加のニコチンを含まない。
【0047】
さらなる別の態様において、エアロゾル化吸入デバイスに挿入された湿ったたばこ製品は、加工されたたばこの葉を含むことができ、エアロゾル化された吸入物は、加工されたたばこの葉のみを同じ温度でエアロゾル化することによって生成される、エアロゾル中に自然に存在しない発がん性物質を含まない。
【0048】
さらなる態様において、たばこ製品は、湿潤状態であってもよく、乾燥した葉たばこを、最初に、約50~約2,000ミクロン、より好ましくは約100~約1,000ミクロンの最大寸法の粒子、または粉砕物または断片に分離することによって調製してもよい。特定の実施形態では、たばこ製品の粒子、細片、断片、または粉砕のサイズは、約50~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、700~800、800~900、900~1,000、1,000~1,100、1,100~1,200、1,200~1,300、1,300~1,400、1,400~1,500、1,500~1,600、1,600~1,700、1,700~1,800、1,800~1,900、または1,900~2,000ミクロンの平均最大寸法または直径を有する。
【0049】
別の態様では、切断/粉砕されたたばこは、グリエルシン、好ましさでは劣るが、プロピレングリコール(PG)、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80、およびそれらの混合物などの溶媒または「懸濁剤」と混合してもよい。たばこと懸濁剤との比率(w/w)は、約3:1、2:1、1.5:1、1.2:1、1:1、1:1:1.2、1:1.5、1:2、または1:3あるいは、それらの間の値でよい。
【0050】
一態様では、たばこが懸濁剤と結合された後、水が任意に混合物に添加される。例えば、一実施形態では、約1%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%または60%の水(w/w)を混合物に添加することができる。
【0051】
さらなる別の態様では、加熱非燃焼式デバイスに挿入される結果として得られる湿ったたばこ製品は、有機物であり、水、グリセリン、およびたばこの3つの成分の混合物である。たばこ製品は、約20~25、25~30、30~35、35~40、40~55、50~55、55~60、60~65、60~65、65~70、70~75、または75~80重量%のグリセリンを含み得る。たばこ製品は、重量比で約1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、または40~50%またはその中間の値の水を含み得る。たばこ製品は、重量比で約1~5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25~30、30~35、35~40、40~50%またはそれらの間の値のたばこを含み得る。現在好ましい実施形態では、製品は、重量比で、約65~75%のグリセリン、約5~15%の水、および約20%のたばこまたはその間の値からなる。
【0052】
別の態様において、たばこ製品組成物は、流動性があり、比較的厚いジャムのような粘稠度を有する。たばこ製品の粘度は、約5,000~80,000cpであってもよい。様々な実施形態において、粘度は、約5,000~10,000、約10,000~20,000、約20,000~30,000、約30,000~40,000、約40,000~50,000、約50,000~60,000、約60,000~70,000、または約70,000~80,000cpである。現在最も好ましい実施形態では、粘度は約20,000~50,000cpである。
【0053】
例示的な実施形態の前記一般的な説明および以下の詳細な説明は、本開示の教示の例示的な態様に過ぎず、制限的なものではない。上述したように、本開示および特許請求の範囲内の特定の実施形態は、上述した特定の利点を提供しない場合がある。とは言うものの、最も好ましい実施形態は、従来の加熱非燃焼式たばこおよび蒸気吸入デバイスに関連して、前記の多くの、ほとんどのまたはすべての利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、1つまたは複数の実施形態を示し、説明とともに、これらの実施形態を説明する。添付の図面は、必ずしも原寸に比例して描かれているわけではない。添付のグラフおよび図に例示されている値または寸法は、説明のためだけのものであり、実際の値または好ましい値または寸法を表している場合もあり、また、表していない場合もある。適用可能な場合には、いくつかのまたはすべての特徴は、基礎となる特徴の説明を助けるために図示されていない場合がある。図面では以下のとおりである。
【0055】
【
図1A-1B】電子ニコチン送達システム(ENDS)の加熱非燃焼式たばこデバイスに使用される従来のたばこ製品の写真である。
【
図2】従来のIQOSヒートスティックの加熱非燃焼式たばこデバイスの説明図である。
【
図3】従来のGLO加熱非燃焼式たばこデバイスの説明図である。
【
図4】従来のPLOOM加熱非燃焼式たばこデバイスの説明図である。
【
図5】従来のJUULの蒸気吸入デバイスの説明図である。
【
図6】たばこおよび/または他の植物材料の懸濁液を調製するための例示的な方法を示すフロー図である。
【
図7A】たばこ懸濁液の調製方法の一例を示すフロー図である。
【
図7B】たばこ懸濁液が充填された使い捨てたばこ送達ユニットを調製するための例示的な方法を示すフロー図である。
【
図8A-8C】たばこの懸濁液を受け取り、加熱するための例示的な電子たばこ送達デバイスの一例を示す。
【
図8D】
図8Aのデバイスのような電子たばこ送達デバイスの電子ユニットで使用するための例示的な送達ユニットを示す。
【
図9A-9B】電子たばこ送達デバイスの第一の例示的な外観設計を示す。
【
図9C-9D】電子たばこ送達デバイスの第二の例示的な外形設計を示す。
【
図10A-10E】例示的な電子たばこ送達デバイスの構成要素の分解図を示す。
【
図11A-11B】たばこの懸濁液を受け取り、保持するための電子たばこ送達デバイスの例示的なカップおよびキャップのデザインを示す。
【
図12】別の例示的な電子たばこ送達デバイスの構成要素の分解図を示す。
【
図13】電子たばこ送達デバイスのさらに別の例示的な構成要素の分解図を示す。
【
図14】例示的な電子たばこ送達デバイスで使用するためのキャッピング要素の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
添付の図面に関連して以下に記載された説明は、開示された主題の様々な事例的実施形態の説明であることを意図している。特定の特徴および機能性は、各事例的実施形態に関連して記載されているが、開示された実施形態は、それらの特定の特徴および機能性のそれぞれがなくても実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0057】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「ある実施形態」とは、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、または特徴が、開示された主題の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所での「一実施形態において」または「ある実施形態において」という表現の出現は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。さらに、開示された主題の実施形態は、その修正および変形をカバーすることを意図している。
【0058】
本明細書で言及されているすべての特許、出願、公開されているアプリケーションおよびその他の出版物は、参照することにより、参照されている資料およびその全体が組み込まれている。
【0059】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に指示しない限り、複数の参照語を含むことに注意しなければならない。すなわち、本明細書で使用されるように、他に明示的に規定されない限り、「a」、「an」、「the」などの単語は、「1つ以上」の意味を有する。さらに、本明細書で使用され得る「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、「横」、「高さ」、「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「内部」、「外部」、「内部」、「外部」、「外部」などの用語は、単に参照点を示すに過ぎず、本開示の実施形態を任意の特定の向きまたは構成に必ずしも限定するものではないことが理解されるべきである。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に、本明細書に開示されている多数の部分、構成要素、ステップ、操作、機能、および/または参照点のうちの1つを特定するだけであり、同様に、本開示の実施形態を、必ずしも任意の特定の構成または向きに限定するものではない。
【0060】
さらに、「およそ」、「約」、「近接」、「微小変動」、および類似の用語は、一般に、特定の実施形態では20%、10%、好ましくは5%のマージン内で識別された値を含む範囲、およびその間の任意の値を指す。
【0061】
「たばこ養生」という用語は、摘み取ったたばこの葉を部分的に乾燥させることを指す。葉のカロテノイド、クロロフィル、その他の構成要素などの細胞内容物が部分的に分解され、新鮮なたばこに存在するよりも口当たりの良い形になる。このプロセスは、例えば、空気養生、煙道養生、天日養生、火の養生および発酵養生(ペリクなど)によって起こることができる。プロセスは、使用される方法に応じて、数日から数週間、発酵養生の場合には数ヶ月かかる。
【0062】
「有機」または「有機栽培」という用語は、自然界に存在する物質を使用して生育を促進したり、害虫を減少させたりすることを許可する一方で、植物または栽培されている土壌に置かれる合成物質を禁止または厳しく制限するなど、有機的な基準で栽培されているたばこの葉を指す。
【0063】
「無農薬」という用語は、生育期に農薬処理をしていないたばこの葉を指す。
【0064】
「グリセリン」という用語(グリセロールまたはプロパン-1,2,3-トリオールとも呼ばれる)は、3つのアルコール基を持つ3つの炭素化合物である。それは甘味があり、粘性があり、毒性がなく、実質的に無色の液体である。
【0065】
「プロピレングリコール」(プロパン-1,2-ジオールとも呼ばれる)という用語は、2つのアルコール基を持つ3つの炭素化合物を指す。それは粘性があり、実質的に無色の液体である。
【0066】
一実施形態に関連して記載された機能のすべては、明示的に記載されている場合、またはその機能または特徴が追加の実施形態と両立しない場合を除き、以下に記載された追加の実施形態にも適用可能であることを意図している。例えば、所定の機能または機能が、1つの実施形態に関連して明示的に記載されているが、代替的な実施形態に関連して明示的に記載されていない場合、本発明者は、その機能または機能が代替的な実施形態と互換性がない場合を除き、その機能または機能を代替的な実施形態に関連して展開、利用または実施することができることを意図していることを理解すべきである。
【0067】
例示的なたばこ製品を調製するための例示的なプロセス100を、
図6に示す。
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、プロセス100は、たばこおよび/または別の植物材料(102)を養生および/または乾燥させることから始まる。たばことハーブの両方のように、2つ以上の植物材料が使用される場合、各植物材料は、所望の状態に到達するために別々に養生または乾燥してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、葉たばこ材料全体、または葉たばこの葉身部分のみを切断または粉砕する(104)。たばこおよび/または他の植物材料を切断、粉砕、または切刻の例示的な工程が以下に提供される。葉全体または葉身部分のみのたばこと葉全体または葉身部分のみのハーブの両方のように、2つ以上の植物材料が使用される場合、各植物材料は、所望のサイズおよび/または形状に達するように別々に切断または粉砕してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、懸濁成分が測定される(106)。測定は、例えば、重量対重量ベースで実施することができる。一実施例では、懸濁成分はグリセリンであり、1gのたばこに対する1gのグリセリンとして測定する。小規模および大規模調製物の両方に適しているために、これらの量は、一般に、懸濁成分の重量に対するたばこの重量の比として本明細書に示されている。使用することができる懸濁成分の例を以下に示す。様々な実施形態において、たばこおよび/または他の植物材料の懸濁成分(複数可)に対する比率は、重量比で、1:10、1:5、1:2、2:3、3:2、2:1、5:1、または10:1またはその間の値であり得る。
【0070】
幾つかの実施形態では、懸濁成分を、切断/粉砕されたたばこ/および/または他の植物材料に添加する(108)。いくつかの実施形態では、調製物は、他の添加成分の存在を伴わずに、懸濁成分と、たばこ/および/または他の植物材料とのみを含む。いくつかの実施形態では、これは、より「純粋な」または「自然な」調製物としてユーザに好まれ得る。好ましい実施形態では、たばこおよび/またはハーブ、および得られるたばこ製品混合物は有機物である。
【0071】
代替的に、いくつかの実施形態では、追加の成分が含まれる(110)。追加された香料と組み合わせて懸濁成分としてPGを使用する場合には、注意が必要である。上述したように、これらの2つの構成要素を互いに存在下で加熱すると、アセタールを生成することが知られている。
【0072】
いくつかの実施形態では、次に、たばこおよび/または他の植物材料は混合されて懸濁混合物(114)を形成する。混合ステップは、様々な混合速度で、様々な温度で、様々なタイプの処理装置で行い得る。混合は、断続的に行ってもよく、成分は、一度に一気に添加してもよく、または少しずつ添加してもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの成分は、一緒に予め混合され、その後、懸濁混合物に混合される。
【0073】
本明細書に例示されるたばこ製品を調製するために使用することができる1つの実施形態では、たばこ製品は、たばこおよび/またはハーブ製品を、蒸留水、精製水または水道水の存在下で、任意で低速混合(10~100rpm)で5~60分間、85~100℃の温度で加熱し、5~20気圧の圧力で加熱する。その後、たばこ製品を水浴から取り出し、任意で放射熱下で1時間乾燥させる。その後、製品は、最大寸法が50~2,000ミクロン、より好ましくは100~1,000ミクロンの細片または断片に切断または粉砕される。その後、切断または粉砕したたばこおよび/またはハーブ製品を、粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品をグリセリンと重量比で約1:1の割合で混合した水と合わせて、1時間静置した。
【0074】
いくつかの実施形態では、懸濁混合物は、次に、電子送達デバイスで使用するために包装(116)に小分けされる。この小分けプロセスは、例えば、自動化された機械を用いて、または手で、または別の送達デバイスを用いて行うことができる。
【0075】
特定の一連の操作として記載されているが、他の実施形態では、より多くまたはより少ないステップが関与してもよく、またはステップを異なる順序で実施してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、植物材料は、乾燥(102)に先立って切断(104)してもよい。さらなる実施形態では、植物材料を切断および粉砕(104)に先立って、または後に、植物材料を懸濁液(108)に添加する前に、防腐剤または香料などの1つ以上の追加成分(110)を植物材料に添加してもよい。代替的な実施形態では、懸濁成分(108)に一定の量のたばこを添加するのではなく、一定の量の懸濁成分を植物材料に添加してもよい。プロセス100の範囲および意図の範囲内にとどまりながら、プロセス100の他の変更が可能である。
【0076】
図7Aおよび
図7Bは、材料を調製し、包装容器に分割するための別の例示的な工程200および220を示すフローチャートである。
図7Aを参照すると、いくつかの実施形態では、プロセス200は、摘みたての葉と比較して少なくとも20%の水分の減少を有するようにたばこ(202)を養生および/または乾燥させることから始まる。いくつかのタイプのたばこ養生および/または乾燥工程を使用することができる。たばこの葉全体またはたばこの葉の葉身部分に加えて、茎、花、柄、根などのたばこ植物の他の部分も使用することができる。養生工程中の風味を向上させるために、たばこに成分を添加することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、たばこは、2ミリメートル未満の断片(204)に切断または粉砕される。また、たばこは、粗粉末または微粉末に粉砕することができる。異なるサイズのたばこ断片の混合物も使用することができる。例えば、粉砕されたたばこの粉末と、約1mmの平均サイズを有する葉の断片の両方の混合物を使用することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、懸濁成分が測定され(206)、懸濁成分に対するたばこの比率が約1:2から約2:1になるようにたばこが添加される(208)。測定は、重量対重量ベースで行うことができる。代替的に、体積測定値を使用することができる。一実施形態では、たばこは、懸濁成分としてグリセリンと1:1の比率(w/w)で混合される。
【0079】
いくつかの実施形態では、成分は、懸濁混合物(214)を形成するために混合される。混合は、様々な温度で行うことができる。混合は、例えば、様々な混合速度で行うことができる。成分は、一度にすべて添加することができ、または、1つずつ添加することができる。一実施形態では、成分は、ゆっくり組合せ、その後、初期混合が起こると速度を増加する。混合は、例えば、手で、機械を使用して、自動化されたシステムを使用して、またはこれらの組み合わせで行うことができる。
【0080】
種々のステップまたはたばこ懸濁混合物の調製は、異なる時期に、または異なる組み合わせで行い得る。例えば、たばこの切断/粉砕ステップは、所望であれば(例えば、処理のためにブレンダータイプの装置を使用することによって)混合プロセス中に行ってもよい。構成要素の比率は、必要に応じて調整することができる。粘度は、必要に応じて、例えば、包装しやすくするため、または混合物をユーザに最適に送達するために変更することができる。
【0081】
図7B(220)を参照すると、いくつかの実施形態では、懸濁混合物は、電子たばこ送達システム(222)の使い捨て送達ユニットに充填するために小分けされる。小分けプロセスは、手動で、または機械の支援を受けて、または自動化された手段によって行うことができる。小分けプロセスは、室温で、または他の様々な温度で行い得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、小分け部分は、懸濁混合物を非毒性の可燃性(または溶解性)材料(226)で包んだり、包んだりすることにより、材料に包まれる(224)。
【0083】
いくつかの実施形態では、懸濁混合物の部分は、加熱要素(228)に近接する使い捨て送達ユニットのカップに堆積される。例示的なカップは、特に、
図11Aおよび11Bに図示されている。個々の小分け部分はまた、使用に先立って、個々の小分け部分を安定して湿った状態に保つのを助けるために、「単位用量パック」または「ブリスターパック」を使用するなど、複数の小分け部分ごとに包装することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、懸濁混合物は、使い捨て送達ユニット(230)のマウスピース部でカップをキャップすることによって収容される。
図8Bおよび8Cに図示のごとく、例えば、カップ312(
図8Bでは開視野で図示されている)が、懸濁混合物の挿入のために提供してもよい。次いで、カップ312は、セクション310によってキャップされてもよく、その結果、懸濁混合物は、以下でさらに詳細に説明されるように、キャップ部316の下でカップ312内に保持される。さらなる例を、
図10A~Dに関連して図示し、説明する。
【0085】
いくつかの実施形態では、使い捨て送達ユニットは、電子たばこ送達システム(232)として使い捨て送達ユニットと解放可能に係合するように構成された対応する電子ユニットとともに提供され、販売される。例示的な送達デバイスは、以下でより詳細に説明する
図8~13に示す。例えば、電子ユニットは、1つ以上の使い捨て送達ユニットとともに販売してもよい。さらに、使い捨て送達ユニットは、個別に、または電子部との相互運用可能な使用のためのパッケージで販売してもよい。異なる懸濁液は、ユーザが電子たばこ送達システムで異なるたばこの系統、養生タイプ、風味、懸濁液組成物(例えば、有機、風味、香り付き、ハーブ注入など)をサンプリングするために、個別にまたは複数のパックで販売してもよい。
図8~13に図示されたデザインのような2つ以上のマウスピースデザインを有する使い捨てユニットは、同じ電子ユニットとの相互運用可能な使用のために利用可能であってもよい。電子ユニットは、個人の嗜好に合わせて、異なる色、材料、および/またはデザインで販売してもよい。さらなる実施形態では、ベースユニットで電池を充電するための充電コードおよび/またはドッキングユニットを、電子たばこ送達システムとともに販売してもよい。
【0086】
様々なたばこの系統またはそれらの混合物を使用して、煙道養生たばこ、シガーラッパーバインダー、バーリーたばこ、メリーランド、オリエンタルたばこ、ペンシルバニア、カメルーン、キューバン、マデューロ、ネグラ、暗黒空気養生、火災養生、再構成たばこ、および処理されたたばこの茎またはたばこ植物全体の他の部分を含む処理されたたばこを調製することができる。
【0087】
したがって、一実施形態では、たばこは、ニコチアナ・タバカム、ニコチアナ・ルスティカ、またはそれらの組み合わせからのものである。ニコチアナのいくつかの他の種を、単独でまたは他の種と組み合わせて使用することができる。これらの他の種としては、ニコチアナ・アカウリス、ニコチアナ・アクミナータ、ニコチアナ・アラータ、ニコチアナ・アメヒノイ、ニコチアナ・アレンツイ、ニコチアナ・アッテヌアータ、ニコチアナ・アザンブジャエ、ニコチアナ・ベナビデシイ、ニコチアナ・ボナリエンシス、ニコチアナ・クリーヴランディイ、ニコチアナ・コルディフォリア、ニコチアナエクセルシオール、ニコチアナ・フォージアナ、ニコチアナ・グラウカ、ニコチアナ・グルチノーサ、ニコチアナ・ナイチアナ、ニコチアナ・ランドルフィイ、ニコチアナ・リネアリス、ニコチアナ・ロンギブラクテアータ、ニコチアナ・ロンギフロラ、ニコチアナ・ミエルシー、ニコチアナ・ムタビリス、ニコチアナ・ノクティフローラ、ニコチアナ・オブタシフォリア、ニコチアナ・オプトフォーラ、ニコチアナ・パルメリ、ニコチアナ・パニキュラータ、ニコチアナ・パウシフローラ、ニコチアナ・ペチュニオイデス、ニコチアナ・プルムバギニフォリア、ニコチアナ・ラモンディイ、ニコチアナ・レパンダ、ニコチアナ・ロスラータ、ニコチアナ・セッチェリィ、ニコチアナ・ソラニフォーリア、ニコチアナ・シルベストリス、ニコチアナ・ティルシフローラ、ニコチアナ・トメントサ、ニコチアナ・トリゴノフィラ、ニコチアナ・ウンデュラータ、ニコチアナ・ウィガンディオイデス、または他のニコチン含有植物であるソラマメ科の植物であって、ホプウッディイの木、およびオーストラレーシアおよび南アメリカの他の土着植物を含むが、これらに限定されない。
【0088】
現在好ましい実施形態では、有機たばこは、湿ったたばこ製品を調製するために使用される。一実施形態では、プロセスは、エンドユーザに最適に健康的な製品を保証するために、有機(非化学的に改変された)たばこを利用してもよい。
【0089】
たばこ材料の天然ニコチン含有量は、たばこ植物が栽培されている農学的条件だけでなく、たばこの品種の遺伝学的条件に依存する可能性がある。たばこの葉の材料のニコチン含有量は、通常、約1%~1.5%(たばこのグラム当たり10~15mgのニコチン)である。しかしながら、米国農務省(USDA)によってタイプ35、タイプ36、またはタイプ37として指定されているようなたばこの品種は、ニコチン含有量が高い。たばこの種であるニコチアナ・ルスティカもまた、多くの場合、約6%~10%の範囲の天然ニコチン含有量を有する。さらに、USDAによってタイプ11~34として指定されている煙突養生たばこの市販ライン、およびUSDAによってタイプ31として指定されているバーリーたばこは、自然に高いニコチン含有量を有しており、特に上部茎の葉において高いニコチン含有量を有している。
【0090】
一実施形態では、たばこ材料は、約0.1%~1%、1%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、9%~10%、10%~11%、11%~12%、12%~13%、13%~14%、14%~15%、15%~16%、17%~18%、18%~19%、または19%~20%のニコチン含有量を有する。さらに別の実施形態では、0.1%未満、またはニコチンを含まないたばこが存在する。
【0091】
たばこに加えて、またはたばこの代わりに、他の種類の植物を使用することができる。例としては、茶葉、ミントの葉、セージ、イエルバマンサ(Anemopsis californica)、イエルバマンタ、マシュマロ、バラの花びら、ムールリン、キャットニップ、クローバー、カンナビス属、クローブ、および他の適切なハーブ植物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、これらの植物は、特定のホリスティック価値または薬効価値のために選択してもよい。別の例では、植物は、風味または香りの目的で選択してもよい。さらなる例では、植物は、伝統的、宗教的、または民族的価値のために選択されてもよく、例えば、オーストラレーシアおよびアマゾンのHopwoodii種のような先住民族による儀式的な喫煙化合物に使用されている在来植物のようなものであってもよい。
【0092】
たばこ材料(葉、葉身、茎、葉脈、花、根および/または中肋)は、空気乾燥、真空乾燥、マイクロ波エネルギー、太陽光エネルギー、オーブン、流動床乾燥機、トレイ乾燥機、ベルト乾燥機、真空トレイ乾燥機、スプレー乾燥機、回転式乾燥機などの様々な手段またはそれらの組み合わせを使用して、乾燥、部分的乾燥、または養生させることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、たばこの葉の乾燥工程は、養生工程であり得る。例示的なタイプの養生たばこの中には、煙道養生たばこ、暗黒空気養生たばこ、火災養生たばこ、再構成たばこ、および加工たばこの茎がある。
【0094】
乾燥ステップは、葉の水分を約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上に減少させることができる。
【0095】
乾燥ステップまたは養生ステップは、一定の混合、断続的な混合、またはたばこ出発物質の混合なしで行うことができる。いくつかの実施形態では、乾燥ステップは、自然な風味の開発を可能にするために、数日間にわたって比較的ゆっくりと行われる。例えば、乾燥ステップは、約2時間、8時間、12時間、16時間、14時間、36時間、48時間、2週間、3週間、または4週間以上かかってもよい。乾燥ステップは、約4℃、6℃、8℃、10℃、12℃、20℃、50℃、70℃またはそれ以上の温度で行うことができる。別の実施形態では、葉を凍結乾燥して、追加の風味を発生させずに材料を迅速に乾燥させる。
【0096】
ある実施形態では、乾燥ステップが実施される温度は、周囲温度またはそれ以下である。特定の実施形態では、乾燥工程は、植物またはその一部分を高温で加熱することを含む。温度は、約室温から約200℃の範囲であり得る。別の実施形態では、たばこは、凍結乾燥ステップを用いて乾燥させることができる。
【0097】
たばこ材料に関連して記載されているが、特定の実施形態では、様々な処理手段が、他の種類の植物、例えば上記で特定された植物を処理するために使用してもよい。
【0098】
本工程で使用されるたばこは、複数種類の切断手段を用いて様々な大きさに切断することができる。また、たばこの生葉に適用される粉砕・切断動作は、手動で行ってもよいし、機械手段を介して行ってもよい。
【0099】
例示的な切断手段は、ブレンド、粉砕、微粉砕、切刻、細断、製粉、微粉砕、および微塵切りを含むが、これらに限定されない。たばこ断片は、様々なサイズに切断することができる。例えば、断片は、約0.1mm、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1.0mm、約1.2mm、約1.5mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mmの平均直径を有していてもよい。いくつかの実施形態では、たばこはまた、粉末の形態に粉砕してもよい。切断手段、破砕手段、または微粉砕手段の組み合わせも利用することができる。いくつかの実施形態では、たばこはまた、小さい断片と粉末の形態に粉砕したたばこの組合せでもよい。
【0100】
乾燥たばこ製品は、約50~2,000ミクロン、より好ましくは約100~1000ミクロンの最大寸法を有する細片または断片に切断または粉砕してもよい。特定の実施形態では、たばこ製品の粒子、細片、断片、または粉砕のサイズは、約50~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、700~800、800~900、900~1,000、1,000~1,100、1,100~1,200、1,200~1,300、1,300~1,400、1,400~1,500、1,500~1,600、1,600~1,700、1,700~1,800、1,800~1,900、または1,900~2,000ミクロンの平均最大寸法または直径を有する。
【0101】
たばこに関連して記載されているが、特定の実施形態では、切断手段は、上記で提供された例に記載されているように、他の種類の植物を切断するために使用してもよい。
【0102】
たばこ製品を調製するために、上述した切断/粉砕されたたばこは、溶媒または「懸濁剤」と混合される。溶媒または懸濁剤は、例えば、液体またはゲルの形態であってもよい。別の例では、溶媒または懸濁剤は、安定な乳液であってもよい。例示的な溶媒または懸濁剤には、水、プロピレングリコール(PG)、ポリエチレングリコール、植物油、グリセリン、ポリソルベート80、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。現在好ましい実施形態では、溶媒または懸濁剤は、純粋なグリセリンである。
【0103】
たばこと懸濁剤との比率(w/w)は、約3:1、2:1、1.5:1、1.2:1、1:1、1:1:1.2、1:1.5、1:2、または1:3あるいは、それらの間の値でよい。現在好ましい実施形態では、比は約1:1である。
【0104】
一実施形態では、たばこが懸濁剤と結合した後、水を任意で混合物に追加する。例えば、一実施形態では、約1%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%または60%の水(w/w)を混合物に添加することができる。
【0105】
現在好ましい実施形態では、加熱非燃焼式デバイスに挿入される最終的に得られるたばこ製品は、有機物であり、水、グリセリン、およびたばこの3つの成分の混合物である。たばこ製品は、約20%~25%、25%~30%、30%~35%、35%~40%、40%~55%、50%~55%、5%5~60%、60%~65%、60%~65%、65%~70%、70%~75%、または75%~80%の重量パーセントのグリセリンを含み得る。たばこ製品は、重量比で約1%~5%、5%~10%、10%~15%、15%~20%、20%~25%、25%~30%、30%~35%、35%~40%、または40%~50%その中間の値の水を含み得る。たばこ製品は、重量比で約1%-5%、5%-10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%-30%、30%-35%、35%-40%、または40%-50%またはそれらの間の値のたばこを含み得る。現在好ましい実施形態では、製品は、重量比で約65%~75%のグリセリン、約5%~15%の水、および約20%のまたはその間の値のたばこからなる。
【0106】
現在好ましい実施形態では、組成物は、流動性があり、比較的厚いジャムのような粘稠度を有する。たばこ製品の粘度は、約5,000~80,000cpであってもよい。様々な実施形態において、粘度は、約5,000~10,000、10,000~20,000、20,000~30,000、30,000~40,000、40,000~50,000、50,000~60,000、60,000~70,000、または70,000~80,000cpである。現在最も好ましい実施形態では、粘度は約20,000~50,000cpである。
【0107】
各送達デバイスのカップに挿入されるたばこ製品の量は、約0.1~0.25、0.25~0.5、0.5~0.75、1、1~1.25、1.25~1.5、1.5~1.75、1.75~2、2~2.25、2.25~2.5、2.5~2.75、2.75~3.0、3~3.25、3.25~3.5、3.5~3.75、3.75~4、4~4.25、または4.25~4.5のグラムであってもよい。現在好ましい実施形態では、送達デバイスの各カップに約1-2.5mgのたばこ製品を使用する。
【0108】
従来の加熱非燃焼式デバイスとは対照的に、本明細書で例示される最も好ましい実施形態は、完成した重量で約20%のたばこ材料を含む。IQOSおよび他の加熱非燃焼式デバイスは、重量比で約25~35%のたばこを含む。嗅ぎたばこおよび水たばこのような湿ったたばこ製品でも、実質的に異なるたばこ含有量を使用する。湿った嗅ぎたばこは、典型的には重量比で約24%~35%のたばこを含み、水たばこは、典型的には重量比で約10%~15%のたばこを含む。湿った水たばこが典型的には細片に切断されるのに対し、本明細書で例示される実施形態は、粉砕されたたばこの葉から形成された湿ったたばこ製品を利用する。
【0109】
例示された実施形態とは対照的に、従来の加熱非燃焼式デバイスは、たばこ製品の加熱およびエアロゾル化を促進するために乾燥たばこ製品を使用する。たばこ製品のエアロゾル化は空気を必要とし、したがって、従来の各製品は、伝統的な紙巻たばこのように、空気が比較的自由に流れることができる乾燥たばこ製品を提供した。従来の蒸気吸入デバイスでは、液体がエアロゾル化プロセス中に完全に空気化されることを保証する空気の流れにニコチン含有液を引き入れるために芯が使用される。
【0110】
湿ったたばこと懸濁剤の混合物に加熱要素を浸すことは、湿ったたばこ製品が加熱要素を消してしまい、効果的なエアロゾル化を妨げたり、妨げたりすることが予想されるため、以前は実現可能であるとは考えられていなかった。実際、本出願人は、多くの潜在的な実施形態において、加熱要素が実際に消えていることを発見した。
【0111】
以下の比較例1に示すように、たばこ製品が湿りすぎたり、多量に加熱要素を取り囲んだりすると、次のような問題のうちの1つ以上が生じる。第一に、上述したように、加熱要素が消えてしまい、効果的なエアロゾル化が妨げられる可能性がある。酸素がないと、熱分解は、加熱要素に近接したたばこ製品の分解を引き起こし、たばこ製品の所望のエアロゾル化を実質的に阻害するか、または妨げる。分解または炭化したたばこ製品の層が加熱要素を覆い、所望のエアロゾル化プロセスを実質的に終了させる可能性がある。
【0112】
第二に、カップ、ポッドまたはリザーバに含まれる総量に対して、たばこと懸濁剤の湿った混合物(以下、代替的に「たばこ製品」と呼ぶ)のごく一部しか消費されない可能性がある。多少のエアロゾル化が生じたとしても、たばこ製品の大部分または大部分が無駄になる可能性がある。
【0113】
第三に、前述のメカニズムが所望のエアロゾル化プロセスを停止させる前に、不十分な吹かし数に対してエアロゾル化が発生する可能性がある。例えば、湿りすぎている、もしくは乾燥しすぎている混合たばこおよび懸濁剤を使用すると、ユーザが、上述したように、典型的には1~3グラムのたばこ製品であるカップ、ポッドまたは用量につき、1~5、1~10、または1~20回しか吹かすことができないという結果をもたらしかねない。それは、たばこおよびIQOSデバイスと同等であるかもしれないが、それはまだたばこ製品の多くを未使用のままにしてしまうため、あまり望ましくない。本明細書で教示されるようにたばこ製品の粘度を制御することにより、本明細書で開示されるたばこ製品およびデバイスは、たばこ製品の1グラム当たり10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110または120回、またはそれらの間の値の回数だけ吹かすことができる。最も好ましい実施形態では、たばこ製品の1グラム当たり120回吹かすことができる。それは、従来の熱非燃焼式デバイスによって達成された1グラム当たりの吹かし回数を少なくとも3倍以上上回る。
【0114】
第四に、エアロゾル化を起こすためには、加熱要素を、例えば摂氏300度近く、またはそれを超えるような高温に上昇させる必要がある場合がある。このような温度では、HPHCのレベルが典型的に上昇する。大手たばこ製造業者によって発表された研究によれば、たばこ製品をわずか150℃に加熱した場合には99%、たばこ製品をわずか200℃に加熱した場合には95%、たばこ製品をわずか220℃に加熱した場合には93%、たばこ製品を300℃に加熱した場合には90%の割合で、加熱非燃焼式デバイスにおいてたばこ喫煙との相対的なHPHCが減少する。公表されたデータから、たばこ製品を約400℃に加熱した場合、紙巻たばこの喫煙と比較してHPHCが約80%減少すると予測することができる。
【0115】
これらの記載されたHPHC削減量は、既知のHPHCに関するものであり、毒性不明の化合物は考慮されていないことに注意することが重要である。上述したように、多数の香料の添加は、既知の加熱非燃焼式デバイスにおいてアセタールおよび他の多くの毒性不明の化合物を生成することが疑われている。
【0116】
加熱非燃焼式デバイスの低温使用によるHPHCの減少を再確認するために、たばこ製品を200℃に加熱すると、たばこ製品を300℃に加熱する場合と比較してHPHCの生成が2倍、たばこ製品を約400℃に加熱する場合と比較して4倍減少する。たばこ製品を100℃に加熱すると、たばこ製品を300℃に加熱するのに比べてHPHCの生成が3倍、たばこ製品を約400℃に加熱するのに比べて6倍減少する。
【0117】
低温加熱も未知の毒性を持つ多くの化合物の生産を減少させるという事実を考慮すると、実際の削減ははるかに大きい可能性がある。例えば、IQOS製品のように一般的な香料の存在下でPGを加熱することによって生成されるアセタールは、発がん性があると考えられている。
【0118】
驚くべきことに、本出願人は、加熱要素が湿ったたばこ製品によって実質的に囲まれている場合でも、湿ったたばこ製品をエアロゾル化することが可能であることを発見した。出願人はまた、湿ったたばこ製品のエアロゾル化を達成するためには、組成物の粘度とそれが加熱要素に接触する方法を慎重に制御することと、同時に吸入デバイスに含まれるポッドの構造と動作機構を制御することが有利であることを発見した。
【0119】
出願人は、特定の湿ったたばこの粘度で、たばこ製品を、たばこ製品のエアロゾル化を実質的に促進する変形可能なまたは圧潰可能なポッドで囲うことが可能であることを発見した。例えば、1mm程度の壁厚を有するシリコーンカップを有するポッドが使用してもよい。代替的に、壁厚は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0mm、またはそれらの間の値であってもよい。
【0120】
特定の理論に拘束されることは望まないが、吸入中にポッドの壁が部分的に圧潰したり、形状が変化したりして、湿ったたばこ製品を加熱要素と密に接触させると考えられている。ポッドの可撓性壁は、吸入によって提供される吸引によって内側に引っ張られる。壁は、好ましくは、約1~約20ミリバール(mb)の負圧で変形するように設計されている。様々な実施形態では、ポッドの壁は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、18、20、25、30、35、40、45、または50mbまたはそれらの間の値の圧力で変形する。
【0121】
吸引をやめると、ポッドは元の形状に膨張し、有利には高粘度のたばこ製品の間隙に空気を引き込む。たばこ製品の粘度は、この作用メカニズムを容易にするために、約10,000~50,000cpに制御されているのが有利である。このプロセスは、関心のある領域が蛇腹の袋内であることを除いて、蛇腹によって実行されるのと類似した往復動作でたばこ製品に通期させる。
【0122】
次の吸入の間、ユーザがデバイスのボタンを押すと、加熱要素が加熱される。ポッド壁の変形により、たばこ製品が再び加熱要素と密に接触する。通気されたたばこ製品は、その後、別のエアロゾル化ステップの準備ができており、この状態は、通常、ユーザがボタンを押して加熱要素を作動させる間に吸い込むため、数秒間続く。
【0123】
このようにして、ポッドの壁が、たばこ製品のエアレーションとエアロゾル化を大幅に改善することができる。これらのパラメータを慎重に制御することで、たばこ製品のエアロゾル化/使用量が3倍改善され、より満足感のある蒸気とより良い味が得られることが示されている。これにより、同様にして、伝統的な紙巻たばこの喫煙と置き換える、または乗り換えるのに十分なユーザ満足度が得られる。従来の加熱非燃焼式たばこデバイスは、エアロゾル化が劣っていることと、HPHCの生産が増加するために、この点に関してはほとんど成功していない。
【0124】
本明細書に記載されているデバイスは、最も好ましい実施形態では、非常に低温でエアロゾル化を達成することが可能であり、100℃程度で、HPHCを、IQOSのような従来の加熱非燃焼式製品と比較して、4、5または6倍以上減少させることができる。実際の発がん性物質(すなわち、既知のHPHCおよび実際に発がん性がある毒性が不明の化合物)の全体的な減少は、7、8、9または10倍またはそれ以上程度で、はるかに大きいと思われる。
【0125】
好ましい実施形態では、ユーザは、吸い込みながら約1~5秒(またはその間の値)間ヒーターボタンを押すと、エアロゾル化プロセスは、熱を加えると直ちに開始され、たばこ製品が約75~85℃の温度に到達したとき、約0.5秒で工程に入るため約1~3秒の持続時間だけ1回吹かすことができる。吹かし、または加熱サイクル(ユーザが加熱ボタンを押して吸い込む期間)は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4.5、5、6、7、8、9、または10秒、またはそれらの間の値で持続してもよい。さらなる好ましい実施形態では、吹かしまたは加熱サイクルは、約5秒以下で持続してもよい。
【0126】
加熱プロセスの過程で、加熱要素から約1ミリのたばこ製品の温度は約125℃まで上昇する。特定の実施形態では、加熱プロセスの過程で、加熱要素から約1ミリメートルのたばこ製品の温度は、約100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、または250℃またはそれらの間の値の温度に上昇する。特定の実施形態では、加熱プロセスの過程で、加熱要素から約2ミリメートルのたばこ製品の温度は、約100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、または250℃またはそれらの間の値まで上昇する。特定の実施形態では、加熱プロセスの間、加熱要素から0.5mm以内のたばこ製品の温度は、約100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、または250℃、またはそれらの間の値まで上昇する。
【0127】
上述のように、温度の上昇は、有害な生成物の排出量の増加をもたらす可能性がある。したがって、特定の実施形態では、加熱コントローラは、たばこ製品の加熱を約100℃~125℃の所望の温度範囲に制限するために、ボタンが押された後の特定の時間だけ、例えば約0.5、1、1.25、1.5、1.75または2秒またはそれらの間の時間のみ、熱を加えるように構成してもよい。代替的に、加熱要素への電流は、たばこ製品全体に熱がより均等に分布するように、ボタンを1回押す間にオンまたはオフにしてもよい。湿ったたばこ製品は、たばこ製品の横方向への熱伝達を促進し、たばこ製品をより均一に加熱できるようになる。これにより、たばこ製品は、既知の加熱非燃焼式デバイスと比較して、比較的低く制御された温度で優先的にエアロゾル化されることができる。
【0128】
特定の理論に拘束されることは望まないが、現在好ましい実施形態では、2つの作用のメカニズムがあると考えられる。第一に、固体の粉砕たばこ製品(グリセリンと水の両方を含む)が加熱され、エアロゾル化される。第二に、加熱要素と液体懸濁剤(これは、グリセリン、水、および粉砕たばこから溶解した天然成分の混合物である)との界面で、沸騰する。これは、グリセリン、水、および他の溶質の相対濃度に応じて、101℃~170℃の温度で起こり得る。特定の実施形態では、この沸騰は、約110℃~120℃、120℃~130℃、130℃~140℃、140℃~150℃、150℃~160℃、または160℃~170℃またはそれらの間の値で起こる。この実施形態では、この沸騰効果は、吸入時の吸引および放出によって引き起こされる液体中のたばこ材料の撹拌のレベルと組み合わせた粘度および組成物に応じて、加熱要素に高度に局在化してもよく、それによって、従来の加熱非燃焼式デバイスのようにたばこ製品の過度の加熱または熱分解によって引き起こされるHPHC放出を実質的に増加させることなく、全体的なエアロゾル化プロセスに貢献することができる。
【0129】
この二重の作用機構(固体たばこ製品および水、天然たばこ抽出物およびグリセリンを含む液体の両方のエアロゾル化)は、本明細書に記載された実施形態に特有のものであり、既存の加熱式たばこ製品とは異なるものである。上述したように、従来の加熱非燃焼式製品は、吸入中に加熱された乾燥たばこ製品を介して空気または空気と水蒸気の混合物を積極的に流す、乾燥形態のたばこ製品を提供する。
【0130】
例示された実施形態はまた、加熱されると空気の流れにニコチン含有液を乗せるためのウィッキングシステムを使用する、既知の蒸気吸入製品からの根本的な発展である。また、従来の蒸気吸入製品とは対照的に、エアロゾル化された製品は、本物のたばこであり、追加のニコチンが含まれていない。これにより、現代の蒸気吸入デバイスとの関連で報告されている中毒および短期的な健康影響のリスクの増加が回避される。
【0131】
また、従来の加熱式たばこまたは蒸気吸入製品とは異なり、本明細書に記載された現在好ましい実施形態は、加熱非燃焼式デバイスの記載された目標である、改善された味、および伝統的な紙巻たばこの喫煙に取って代わる可能性が高いユーザ体験を提供する。本発明の現在好ましい実施形態は、ニコチンの追加、それに伴う中毒リスク、および蒸気吸入の短期的な健康影響を伴わずに、従来の加熱非燃焼式デバイスに関連する上昇したHPHCレベルを伴わずに、改善された味、および伝統的な紙巻たばこに取って代わる可能性が高いユーザ体験を提供する。
【0132】
以下の実施例の項で詳述するように、IQOSヒートスティックと本明細書に例示された本発明の実施形態をサンプリングした21名の参加者を対象とした喫煙テストでは、本発明の製品は、味と使いやすさがはるかに改善されていると思われた。味に関しては、1から5(5が最高)の評価で、IQOSは1.27(1が最悪)の評価を受け、本明細書に例示された本発明の実施形態は4.55(5が最高)の評価を受けた。使いやすさに関しては、IQOSは、本明細書に例示される本発明の好ましい実施形態が4.95(最良の5)であるのに対して、1.05(1は最悪)の評価を受けた。21人の喫煙試験参加者のうち、研究の管理者といずれかの製品との間に何らかの提携関係があることを認識している者はいなかった。
【0133】
たばこに低温殺菌プロセスを使用すれば、有利には防腐剤を添加せずにたばこ製品を保存することになる。前述したように、100℃を超える温度に化合物の混合物を加熱すると、発がん性のある化合物および毒性の不明な化合物を生成する可能性がある。したがって、たばこ製品を調製するために有機低温殺菌たばこを利用することが最も好ましい。
【0134】
いくつかの実施形態では、パッケージ化されたたばこ製品は、パッケージ化されたたばこ製品を加熱して煙または蒸気状態に変換するための電子たばこ送達デバイスを含む電子たばこ送達システム(ETDS)の一部として使用される。
図8Aを参照すると、いくつかの実施形態では、電子たばこ送達デバイス300は、たばこ懸濁液を受け取り加熱するための使い捨て送達部302と、電子たばこ送達デバイス300のマウスピース部306を介してエンドユーザに煙または蒸気を送達するために電子たばこ送達デバイス300の加熱機構を作動させるための電源および電子機器を収容する非使い捨てではない本体または電子部304とを含む。図示のごとく、送達部302は、電子部304から分離されている。いくつかの実施形態では、送達部302は、電子たばこ送達デバイス300にたばこ製品を追加するために、電子部304から離脱可能である。例えば、送達部302は、製品カップにたばこ製品をより多く補充するために離脱可能であってもよい。いくつかの実施形態では、送達部302は使い捨てである。例えば、送達部302は、たばこ製品包装としてたばこ製品で予め充填され、「ポッド」または用量で販売してもよい。さらに例示的な実施形態では、使用後、送達部302は廃棄し、新しい送達部302と交換してもよい。
【0135】
図8Bを参照すると、送達部302の断面図は、マウスピース部306の下にあるキャップ部分310を示している。図示のごとく、キャップ部310は、製品カップ部312と入れ子になるように設計されている。上で詳細に説明した湿ったたばこ製品は、たばこ製品がカップの上端までカップ312を満たし、加熱要素324の上端部分が露出したままになるように、カップ312に追加される。
【0136】
ポッドは、所望の量のたばこ製品を保持し、たばこ製品への加熱の所望の程度および均一性または周期性を提供するように寸法決めされている。カップ312の全幅は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30mm、またはそれらの間の値であってもよい。カップの幅(
図8Cのページに出入りするz軸に沿って測定される)は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mm、またはそれらの間の値であってもよい。カップ312の壁は、シリコーンで形成され、壁厚は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0mmまたはそれらの間の値を有していてもよい。
【0137】
カップに含まれるたばこ製品の用量は、約0.1~0.25、0.25~0.5、0.5~0.75、1、1-1.25、1.25~1.5、1.5~1.75、1.75~2、2-2.25、2.25~2.5、2.5~2.75、2.75~3.0、3~3.25、3.25~3.5、3.5~3.75、3.75~4、4.25、または4.50グラム、またはそれらの間の値であってもよい。現在好ましい実施形態では、ポッドまたは用量あたり約1~2.5mgを使用する。
【0138】
カップ312の体積は、約100~15,000mm3であってもよい。好ましい実施形態では、カップ312の体積は、約1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6500、7000、7500、8000、8500、9500、または10000mm3、またはそれらの間の値であってもよい。
【0139】
加熱要素324は、0.5、1、1.5、2、2.5、または3Ω(またはその間の値)の抵抗要素であってもよく、この抵抗要素は、本体304内に収容された電池から5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ワット(またはその間の値)の供給を受ける。本明細書で例示される実施形態では、加熱要素は、1200mAh電池からの14Wの電力供給によって供給される1.5ニッケルクロム合金である。
【0140】
図8Cは、キャップ部310に入れ子にされた製品カップ部312を図示している。キャップ部310は、キャップ316内の出口314を含む。出口314は、煙または蒸気をユーザに送達するために、マウスピース出口328と整列している。入れ子になっている場合(
図8Cのように)、キャップ316は、出口314の開口部を除いてカップ領域312を覆っていてもよい。出口314は、例えば、円形または楕円形であってもよい。出口314は、図示のごとく、キャップ部310内に実質的に中央に配置されていてもよい。電子たばこ送達デバイス300を傾ける際にたばこ製品がこぼれるのを避けるために、いくつかの実施形態では、たばこ製品は、上述した粘度を達成するような方法で製造される。キャップ316は、シールを形成するために、マウスピース部および/またはカップ312の1つ以上の表面に押し付けるように可撓性または変形可能であってもよい。キャップ316は、例えば、耐熱性シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ニトリルゴム(NBR)、またはフルオロエラストマー(FKM、FPM)などの高温食品グレードのエラストマーから形成してもよい。逆に、いくつかの実施形態では、キャップ部310の内壁318(例えば、カップ312が入れ子になる内側)は、プラスチックまたは金属などの剛性材料で形成されている。
図8Cに図示のごとく、加熱要素324は、キャップ部314の出口内に部分的に配置されている。
【0141】
図8Bに戻ると、いくつかの実施形態では、カップ312は、たばこ製品を充填するために膨張し、たばこ製品がエアロゾル化されている間に収縮することができるように変形可能である。変形可能なカップ312は、例えば、電子たばこ送達デバイス308が使用中であり、負圧がカップ312の内部に加えられている間、たばこ製品を加熱要素324(例えば、加熱コイル)に向かって付勢してもよい。カップ312は、例えば、耐熱性シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ニトリルゴム(NBR)、またはフルオロエラストマー(FKM、FPM)などの高温食品グレードのエラストマーから形成してもよい。
【0142】
選択された実施形態では、カップ312は、静止状態または充填されていない状態のときに、壁が1箇所または複数箇所で加熱要素に向かって内側に弓なりになっているという点で、開口部318と一致しない形状を有するように予め形成されていてもよい。この実施形態では、
図8Cに示すように、カップがたばこ製品で充填され、カップがマウスピースに取り付けられているとき、壁の弾性的性質は、たばこ製品を加熱要素に向かって促す内側に付勢する力をたばこ製品に提供する。内側きに偏った力の量は、カップ壁の休息構成と、たばこ製品を収容するためにそれらが外側に押し出されなければならない程度の関数となる。この「内側に突出した壁」の手法は、上述したベローズ効果を高めるために使用することができ、以下にさらに詳しく説明する。
【0143】
図示のごとく、加熱コイル324は水平に配置されている。他の実施形態では、加熱コイルは、
図8Dに示される加熱コイル344のように、垂直に配置されていてもよい。
【0144】
図8Aおよび
図8Cを参照して、使用中に、ユーザは吸入しながらボタン308を押す。吸入は、矢印で示されるように、開口部330を介して空気を吸引する。空気は、好ましくは少なくとも部分的に露出している加熱要素324の上面を横切って引き込まれる。たばこ製品は、好ましくは、上述した二重の作用方法に従ってエアロゾル化される。吸入中、カップ312の壁は、任意で内側に撓み、たばこ製品を加熱要素324と接触させる。この作用は、たばこ製品が消費され、カップがたばこ製品で部分的にしか充填されていないときに、特定のたばこ粘度において重要性が増す。多くの実施形態では、加熱要素324に近接するたばこ製品が最初に消費される。カップ312の蛇腹のような作用は、カップ312の壁に付着している可能性のあるたばこ製品を加熱要素と密に接触させるのに役立つ。また、さらに、カップの容積が減少し、グリセリン/水溶液の液体を加熱要素の周囲でより高く上昇させる傾向があるので、上述した作用の沸騰メカニズムを増加させることができる。エアロゾル化されたたばこ製品の構成要素は、開口部328を通って送出され、ユーザによって吸入される。
【0145】
吸入が止まると、カップ312の壁は通常の形状に戻り(カップが内側に突出した壁で設計されていない限り、もはや内側には撓まない)、これによりカップの容積が増加し、空気がカップ領域に引き込まれる。この蛇腹のような作用は、次の引き込みまたは吹かしに備えてたばこの生産物を通気させる。
【0146】
図8Dを参照すると、いくつかの実施形態では、カップ342は、コイルスプリング348のような1つ以上のバイアス要素によってバイアスされた可動床346を含む。他の実施形態では、バイアス要素は、2つ以上のコイルスプリング、1つ以上のリーフスプリング、または発泡材のような他の圧縮可能な形状記憶材料を含んでもよい。カップ342は、
図8Bに関連して記載されているように変形可能であってもよく、または、剛性の高い耐熱性シリコーン、金属、または他の高温食品グレードのエラストマーのような、より剛性の高い材料で形成してもよい。たばこ製品が最初に充填されたとき、スプリング348は完全に圧縮された状態にある。たばこ製品が消費されると、可動床346に対する重量が減少し、可動床346は、残りのたばこ製品を加熱コイル344に向かって持ち上げる。他の実施形態では、バイアス部材を使用するのではなく、可動床346は、例えば、外部に配置された作動機構(例えば、サムホイール、戻り止めを有するスライド機構など)を介して、ユーザによって手動で持ち上げられてもよい。このようにして、
図8Dの代替構造は、エアロゾル化、たばこ製品の完全な消費、および上述の二重の作用機構を促進するのに役立つ。
【0147】
図8Bに戻ると、いくつかの実施形態では、カップ312の底部領域は、一組の電極320a,bを収容する。電極320a,bは、例えば、電子部304に封入された電源から加熱要素324に電力を供給してもよい。例えば、電極320a,bは、電子部304に収容された単4電池または単3電池などの1つ以上の使い捨て電池と電気的に接続されていてもよい。代替的に、電極320a,bは、18650リチウムイオン電池、26650リチウムイオン電池、または20700リチウムイオン電池のような、電子部304に収容された1つ以上の充電式電池と電気的に接続されていてもよい。充電式電池を充電するための充電ポート(図示せず)が、電子部304に含まれていてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、カップ312の底部領域は、1つまたは複数の磁石322a,bを収容する。磁石322a,bは、例えば、電子部304内の対応する磁石(図示せず)に磁化することにより、電子部304と送達部302とを離脱可能に係合させるために使用してもよい。いくつかの実施形態では、磁石322a,bは、2つの離散磁石である。他の実施形態では、磁石322a,bは、電極322a,bを取り囲むリング状磁石の一部分である。代替的な実施形態では、送達部302と電子部304との適切な位置合わせを確実にするために、スプリングラッチまたは戻り止めのようなラッチ機構が使用される。例えば、これは、電子部304内の対応する電源コネクタ(図示せず)と電極を適切に整列させてもよい。
【0149】
図8Aに戻り、使用中に、ユーザは、作動ボタン308を押し下げて、
図8Bおよび
図8Cの加熱コイル324にエネルギーを向けることができる。作動ボタン308は、いくつかの実施形態では、電子たばこ送達デバイス300の使用中に押される。ボタンが押下されている間の加熱要素への電流の送達は、上述したように制御してもよい。
【0150】
カップ312は、この制御を容易にするために温度プローブを備えていてもよい。プローブは、電極320a,bの外側表面に直接取り付けられてもよいし、エアロゾル化温度に関する前述の教示と一致する所望の場所でたばこ製品の温度を測定するようにカップ内部の本体に突出してもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、マウスピース領域306の態様にある入口330は、送達部302を通気するために、外気を電子たばこ送達デバイス300内に引き込む。吸入口330は、汚染物質を遠ざけるためのフィルタ(図示せず)またはスクリーンを含んでもよい。他の実施形態では、入口330は、製品の漏れおよび/またはペットの毛のような外部汚染物質の導入の可能性を低減しつつ、送達部302内の空気の動きを可能にするために、例えば装飾的なパターンでレイアウトされた、小さな入口または開口部の集合体として設計してもよい。
【0152】
幾つかの実施形態では、マウスピース出口328は、加熱コイル324によって生成された煙または蒸気をフィルタリングするため、および/またはカップ312からのたばこ懸濁液の漏れを遮断するためのフィルタ330を含む。いくつかの実施形態では、フィルタ330は、綿などの天然または人工の繊維を含む。いくつかの実施形態では、フィルタは、木炭または炭素のような1つ以上の鉱物を含む。さらなる実施形態では、フィルタは、酢酸セルロース(CA)、ナノ結晶セルロース(NCC)、または中空酢酸チューブ(HAT)を含む。さらなる実施形態では、フィルタ330は、静電フィルタまたは電解フィルタである。2つの別個の構成要素として図示されているが、さらなる実施形態では、加熱コイル324は、ユーザによる吸入に先立って煙または蒸気を加熱およびフィルタリングするためにフィルタ314と組み合わせてもよい。
【0153】
図9A~9Dは、
図8A~8Dのデバイス300に類似した電子たばこ送達の代替的な実施形態を示す。
図9Aを参照すると、第1の例示的な電子たばこ送達デバイス400は、送達部402および電子部404を含む。同様に、
図9Cでは、第2の例示的な電子たばこ送達デバイス450は、送達部452および電子部454を含む。側面
図422a,b(472a,b)および背面
図424(474)に示されるように、ユーザの口は、デバイス400(450)を使用するために、デバイス400(450)の送達部402(452)のマウスピース領域418(
図9Cでは468)の周りに形成される。正面
図420(470)に示すように、マウスピース領域418(パイプステム458)の出口406(456)を介して煙または蒸気をエンドユーザに送達するために、内部の加熱要素を作動させるための制御部408(458)が、上面
図426および背面
図424(474)に示すように、設けられている。吸入する場合には、第1の側面
図422a(472a)に示された入口410(460)が、デバイス400(450)への空気の導入を可能にする。
【0154】
幾つかの実施形態では、デバイス400(450)は、加熱要素に電力を供給するための充電可能な電池を含む。例えば、底面
図428(478)に図示のごとく、内部の充電可能な電池を充電するための充電ポート412(462)が設けられている。
【0155】
図9B-9Dを参照すると、送達部402(452)は、電子部404(454)から分離されている。底面
図438(488)に示されるように、送達部402(452)は、デバイス400(450)の電子部404(454)を離脱可能に係合させるための一組の磁石414a,b(464a,b)と、デバイス400(450)の電子部404(454)から電流を受信するための一組の電気接点416a,b(466a,b)とを含む。電気接点416a,b(466a,b)は、例えば、
図8Bおよび8Cの加熱コイル324または
図8Dの加熱コイル344のような加熱要素に接続してもよい。いくつかの実施形態では、送達部402(452)は、例えば、
図9B(FIG.9D)の正面
図430(480)、側面
図432a,b、(482a,b)、および背面
図434(484)の各々に図示されているような、1つまたは複数の戻り止めまたは突起440(490)を含む。戻り止めまたは突起440(490)は、例えば、デバイス400(450)の電子部404(454)の内側表面上の対応する戻り止めまたは突起と嵌合してもよい。
【0156】
図10A~10Eは、
図8A~8Dのデバイス300、
図4Aおよび4Bのデバイス400、または
図4Cおよび4Dのデバイス450のような電子たばこ送達デバイスを構築するための例示的な構成要素の分解図を示す。多くの構成要素は、全図面を通して同一であり、したがって、同一の参照不当が付されている。
図8Aを十分に説明した後、
図8Aと後続の図との間の相違点のみを以下に論じる。
【0157】
図10Aを参照すると、電子たばこ送達デバイス500は、いくつかの実施形態では、マウスピース502、カップカバー504、加熱コイル506、カップ508、カップベース510、一組の磁石512、一組の電極514、Oリング516、電池ブラケット518、電子機器536(例えば、プリント回路基板(PCB))に接続された電池520、および電子部外装体522を含む。構成要素502、504、506、508、510、512a-d、および514a,bは、例えば、デバイス500の送達部の一部であると考えられ、構成要素518、520、および522は、デバイス500の電子部の一部であると考えられてもよい。Oリング516は、デバイス500の電子部に入る製品(例えば、液体懸濁液中のたばこ)の任意の漏れに対するシールを補助してもよい。
【0158】
マウスピース部を参照すると、いくつかの実施形態では、マウスピース502は、ポリマー(例えば、プラスチック)などの一般的に剛性のある材料から形成される。カップカバー504は、カップカバー504の出口548がマウスピースの開口部(図示せず)に整列するように、マウスピース502の底部に入れ子になるように設計されている。カップカバー504は、シリコーンなどの可撓性または変形可能な材料で形成されていてもよい。
【0159】
幾つかの実施形態では、カップカバー504は、カップ508内にセットされるように設計された加熱コイル506の上部を部分的に受容する。したがって、カップカバー504およびカップ508は、シリコーンなどの類似または同一の耐熱性材料で形成してもよい。カップカバー504は、カップ508をたばこ製品で再充填する際に、カップカバー504が取り外されて交換してもよいように、カップ508上に摩擦的に保持してもよい。
【0160】
幾つかの実施形態では、カップ508は、カップベース510と接続するように設計されている。他の実施形態では、カップ508およびカップベース510は、単一の材料片から形成されている。図示のごとく、カップベース510は、磁石512a,bを受容するための一組の外側開口部532a,bと、電極514a,bを受容するための一組の内側開口部534a,bとを含む。カップベース510は、プラスチックなどの剛性材料で形成してもよい。図示のごとく、カップ508およびカップベース510は、カップベース510をカップ508に接続するための対応する特徴(例えば、突起および戻り止め)を含む。
【0161】
電子部を参照すると、いくつかの実施形態では、磁石512c、512dは、電池ブラケット518の開口部または窪み(図示せず)に挿入される。デバイス500の組み立て時に送達部の磁石512a,bと嵌合するため。電池ブラケット518は、電池520を受けるための開口部540を含む。いくつかの実施形態では、電気接点546a,546bは、デバイス500の組み立て時に送達部の電極514a,514bと物理的にインターフェースするために、電池520に接続された電子機器536から延びている。
【0162】
いくつかの実施形態では、電池520に接続された充電コネクタ538は、電池ブラケット518の充電コネクタ開口部544を介して挿入されるように設計されている。充電コネクタ538は、例えば、対応するUSB充電ポートとインターフェースするためのミニUSB、マイクロUSB、またはUSB-Cコネクタのようなユニバーサルシリアルバス(USB)スタイルの充電コネクタであってもよい。
【0163】
幾つかの実施形態では、電池520を電池ブラケット518に挿入した後、電子機器536の作動制御542が電池ブラケット518の開口部530aの下に配置される。作動制御542は、作動制御542の上に位置するボタンの作動によって作動してもよい。図示のごとく、ボタン524、ボタンパッド526、およびボタンガイド528は、作動制御542の上の開口部530a内に配置してもよい。ボタン524、ボタンパッド526、およびボタンガイド528の各々は、プラスチックなどのポリマーで構成してもよい。デバイス500を作動させるために、ユーザは、ボタン524を長押ししてもよい。
【0164】
幾つかの実施形態では、電池ブラケット518は、電子部外装体522によって覆われている。外装本体522は、ボタン524への外部アクセスを提供するために、電池ブラケット518の開口部530aに対応する開口部530bを含む。いくつかの実施形態では、外装体522は、プラスチックなどのポリマー材料で構成されている。他の実施形態では、外装体522は、アルミニウムなどの金属で構成される。さらなる実施形態では、外装体522は、木材または竹などの天然材料で構成される。外装体522は、装飾的なデザインを含んでもよい。
【0165】
図10Bを参照すると、第2の例示的なデバイス550では、いくつかの実施形態では、可動床552および前進スプリング554は、使用中にたばこ製品が蒸発および/または燃焼している間、たばこ製品を加熱要素506に向かって付勢するように、カップカバー504とカップベース510との間に配置されている。初期状態では、例えば、前進スプリング554は、可動床552がカップベース510に可能な限り近い位置に配置された状態で、完全に圧縮されていてもよい。この例からさらに進むと、たばこ製品は、可動床552からカップカバー504までカップ508を満たし、加熱要素506のコイルを少なくとも部分的に覆ってもよい。デバイス550が使用され、たばこ製品が減少すると、スプリング554の力は、たばこ製品の重量の力を超えるか、あるいは、たばこ製品をカップのエンクロージャの「天井」(
図8Bの316)に向かって付勢する。可動床552は、加熱要素506のコイルに向かって上方に押し上げられ、たばこ製品を加熱要素506のコイルに近づけ、それにより、カップ508内でのたばこ製品の一貫した加熱、およびたばこ製品のより完全な消費(そうでなければカップ508の壁に付着する可能性がある)を促進する。
【0166】
いくつかの実施形態では、可動床552は、プラスチックなどの剛性材料で構成される。可動床552は、耐熱性を向上させるために、例えば硬質シリコーンで構成してもよい。他の実施形態では、可動床552は、カップ508の下側領域からのたばこ製品の加熱を改善するために、熱伝導性材料で構成されている。例えば、可動床552は、アルミニウムのような金属で構成してもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、可動床552は、たばこ製品の漏れに抵抗するために、変形可能な端部またはOリングを含む。さらに、可動床552の開口部556a、556bは、加熱要素506の端部に沿った漏れに抗するために、変形可能な端部またはOリングを含んでもよい。
【0168】
デバイス550を組み立てるために、いくつかの実施形態では、加熱要素506の端部は、可動床552の開口部556a、556bを通って、電極514a,514bのステムに挿入される。他の実施形態では、
図10Cを参照して、電極514a,bと接続するために可動床552の開口部556a、556bを通って延びる加熱要素506よりもむしろ、可動床564の端部の周りに延び、電極566a、566bの一組のL字形のステムの中に接続されるように、巻き付け式の加熱要素562を設けてもよい。
【0169】
幾つかの実施形態では、水平方向に配置された加熱コイルではなく、加熱コイルは垂直方向に配置してもよい。
図10Dを参照すると、例えば、例示的な電子たばこ送達デバイス570は、カップカバー504とカップベース510との間に垂直方向の加熱コイル572を設けている。図示のごとく、加熱コイル572の端部は、可動床552の開口部556a、556bを通って、電極514a,bの中に組み付けられるように設計されている。他の実施形態(図示せず)では、可動床552およびスプリング要素554は取り外してもよい。垂直加熱コイル572は、例えば、加熱コイル572に向かって懸濁混合物を付勢する必要なく、カップ508内の懸濁混合物のより大きな面積を加熱するように配置してもよい。図示の実施形態では、垂直加熱コイル572は、
図10Aの電子たばこ送達デバイス500の加熱コイル506に置き換えてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、
図10Bに描かれているように、たばこ製品を加熱要素のコイルに近づけるためにスプリング負荷のかかった圧力をかける可動床ではなく、可動壁またはスプリング負荷のかかった押し板を使用して、たばこ製品に横方向の圧力をかけるか、あるいは、たばこ製品を加熱要素に向かって付勢してもよい。
図10Bを十分に説明したところで、
図10Bと
図10Eとの相違点のみを以下に論じる。
図10Eを参照すると、例えば、横方向押し板550は、開口部554を含むカップの壁に沿ってカップ508内に配置されている。スプリング552は、開口部554内に配置され、ベースユニット510およびカップ508がマウスピース502内に設置されると、スプリングは、マウスピース502の壁とプッシュボード550との間で圧縮される。スプリング552は、各プッシュボード550を加熱要素506に向けて衝動させる。たばこ製品が装填された後、例えば、前進スプリング552は完全に圧縮された位置にあり、プッシュボード550はカップの内壁と接触し、開口部554を効果的に覆って閉じることができる。デバイス580が使用され、たばこ製品が消費されると、スプリング552の力がプッシュボードに圧力を加え、加熱要素と接触するように残りのたばこ製品を付勢する。いくつかの実施形態では、プッシュボード550は、耐熱性ポリマーまたは金属などの一般的に剛性のある材料から形成される。
【0171】
図11Aおよび11Bは、懸濁液と混合されたたばこまたは他の植物物質を含む懸濁混合物を保持するための例示的なカップ設計および対応するキャップ設計を示す。カップ設計およびキャップ設計は、例えば、
図8Aのデバイス300、
図9Aのデバイス400、または
図9Cのデバイス450のような電子たばこ送達デバイスで使用してもよい。
図11Aを参照すると、カップ600が、対応するキャップ610とともに図示されている。カップ600は、例えば、
図10A~10Eのカップ508に対応してもよく、キャップ610は、
図10A~10Dのカップカバー504に対応してもよい。カップ600は、例えば、
図10A~10Eのカップベース510のような、加熱要素に電流を供給するための電極接続部を含むカップベースと嵌合するように設計されていてもよい。カップ600は、例えば、カップベースの対応する切欠きと嵌合するための切欠き602を含む。カップ600は、例えば、カップ600の内部606内に中央的に配置された加熱要素(図示せず)を取り囲む懸濁混合物の体積をより大きく確保するために、中央領域ではより広く、縁に沿って狭くなるように形成されている。
【0172】
幾つかの実施形態では、カップ600は、カップ600の外部を取り囲む1つ以上の隆起部材604(例えば、リッジ)を含む。隆起部材604は、使い捨てマウスピースユニット302、402、502の隣接する表面とカップ壁との間のシールを提供してもよい。本明細書に記載のカップは、好ましくは、カップ壁と底面との間に形成されるシールに頼らずに、カップがたばこ製品から分泌される液体を含むことができるような底面または床を備えている。そのような実施形態では、カップの床には、加熱要素のワイヤが水密にそこを通って延在できるようにするための小さな開口部が設けられている。
【0173】
いくつかの実施形態では、カップ600の上部リムは、カップ600の内部606内に懸濁混合物を保持するためにキャップ610と嵌合する。キャップ610は、懸濁混合物を加熱した煙または蒸気を電子たばこ送達デバイスのマウスピースに向けるための出口612(例えば、
図10A-Cのカップカバー504の出口548など)を含む。出口612は、いくつかの実施形態では、電子たばこ送達デバイスのマウスピース(図示せず)の出口と嵌合してもよい隆起表面616を含む。さらに、いくつかの実施形態では、キャップ610は、カップ内部606に空気の流れを向けるための入口614を含む。
【0174】
図11Bを参照すると、カップ620は、対応するキャップ630とともに図示されている。カップ620は、
図10A~10Eのカップベース510のような加熱要素に電流を供給するための電極接続部を含むカップベースと嵌合するように設計されていてもよい。カップ620は、例えば、カップベースの対応する切欠きと嵌合するための切欠き622のような切欠きを含んでもよい。
【0175】
幾つかの実施形態では、カップ620は、カップ620の外部を取り囲む1つ以上の隆起部材624(例えば、リッジ)を含む。隆起部材624は、例えば、マウスピース筐体302、402、502の隣接する表面に対するシールを提供してもよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、カップ620は、カップ620の内部626内に懸濁混合物を保持するためにキャップ630と嵌合する。キャップ630は、懸濁混合物を加熱した煙または蒸気を電子たばこ送達デバイスのマウスピースに向けるための出口632(例えば、
図10A~10Cのカップカバー504の出口548など)を含む。出口632は、いくつかの実施形態では、電子たばこ送達デバイスのマウスピース(図示せず)の出口と嵌合してもよい隆起表面636を含む。さらに、いくつかの実施形態では、キャップ630は、カップ内部626に空気の流れを向けるための入口634を含む。
【0177】
図12は、電池712を有する電子たばこ送達デバイス700の例示的な構成要素の分解図である。電子たばこ送達デバイス700は、いくつかの実施形態では、マウスピース702、カップカバー704、加熱コイル706、筐体708、筐体ベース710、導体要素またはハーネス714に接続可能な電池712、ベース716、筐体718、チップ728、および外部チップ720を含む。電子たばこ送達デバイス700は、例えば、使用後に廃棄されてもよく、デバイス700がたばこに類似した全体的な外観を有するような外部筐体またはカバーで囲まれてもよい。この実施形態では、デバイス700全体が使い捨てである。
【0178】
他の実施形態では、たばこ送達デバイス700の一部は、充電可能で再使用可能な本体部分として機能してもよい。例えば、要素720、718、716、712、726a、726b、714、および728を含むたばこ送達デバイス700の部分は、上述した本体部分304と原理的に類似した再使用可能なベースユニットを構成してもよく、残りの構成要素は、上述した送達ユニット302と原理的に類似した使い捨てマウスピースユニットを形成するように結合してもよい。そのような実施形態では、再使用可能なベースユニットおよび使い捨てマウスピースまたは送達ユニットは、例えば磁気手段を含む上述した手段を介して、ユーザによって着脱可能に接続してもよい。たばこ送達デバイス700の再使用可能なベースユニットは、例えば、対応するUSB充電ポートとインターフェースするためのミニUSB、マイクロUSB、USB-Cコネクタなどのユニバーサルシリアルバス(USB)スタイルの充電コネクタに接続することによって、ユーザによって充電してもよい。代替的に、デバイス700は、単4電池などの伝統的な電池の取り外しおよび再設置を可能にするために、取り外し可能なキャップ要素(図示せず)を備えて構成してもよい。
【0179】
たばこ送達デバイス700の使い捨てマウスピースユニットは、要素710、706、708、704、702、722、および724から構成してもよい。使い捨てマウスピースユニットは、ユニットが通常の使用中にそのままの状態を維持するために十分に確実に一緒に保持されることを保証する2つのユニット上の嵌合カラー要素と協働する磁気カップリングを介して、再使用可能な電子機器またはベースユニットに取り付けられていてもよい。
【0180】
続いて、デバイス700の構造および動作をより詳細に説明する。マウスピース702は、ポリマーなどの一般的に剛性のある材料から形成されている。カップカバー704は、カップカバー704の出口724がマウスピース開口部722と整列するように、マウスピース702の底部に挿入するように構成されている。電流は、接点726a,bを介して電池712によって加熱要素706に供給される。電池から加熱要素への電流の印加は、コネクタハーネス714を介してチップ728によって制御される。いくつかの実施形態では、デバイス700の遠位端、チップ720の近傍に、空気によって占有される空隙または空間が存在してもよい。円筒状筐体718は、任意で、上述した離脱可能な様式で、筐体718の近位端においてベース710に接続されている。
【0181】
いくつかの実施形態では、先端部720には開口部または溝があり、この開口部または溝を通って空気がユーザによって吸入される。マウスピース702に加えられた負圧によって吸引されたこの空気は、要素716の開口部734を通過して、円筒形筐体718の内壁と電池712との間の隙間に沿って流れる。空気は、ベース710の底部の溝を通って、開口部または溝(図示せず)を通ってベースユニットの近位側に流れる。次いで、空気は、筐体708、変形可能なカップ730の外表面、および変形可能なカップ730のリブ部材732によって各々形成された4つのチャネル736に沿って流れる。空気は、その後、カバー704の底部の溝を通って、加熱要素706の上面を横切るように流れる。カップ730内に装填されたたばこ製品のエアロゾル化は、上記で詳細に説明したのと実質的に同じ様式で行われる。空気およびエアロゾル化されたたばこ製品は、開口部724および722を通過して、ユーザの口の中に入る。
【0182】
任意で、ベース716は、カップ708またはマウスピース702内に配置された圧力センサ(図示せず)によってトリガされたときに点灯するLEDを備えていてもよい。任意で、本体718は、ユーザによる吸入がデバイス内に負圧を発生させるときに点灯するLEDを備えていてもよい。圧力センサは、制御回路素子783に近接する素子716上に好都合に配置してもよい。いくつかの実施形態では、ベース716内のLEDからの光は、円筒体718を介して、任意で透明または半透明のキャップ720に伝達される。このようにして、吸入の間、エンドキャップ720は、伝統的な紙巻きたばこをシミュレートするために、LEDによって放出された光で赤く光ってもよい。
【0183】
図13は、携帯型電子たばこ送達デバイスで使用するための、さらに別の使い捨てマウスピースユニットを図示している。使い捨てマウスピースユニット800は、いくつかの実施形態では、可撓性カップ要素802、多孔質フィルタ要素803、加熱要素804、流路805、開口部806、および開口部807を含む。要素803、804、および805を構成する図示された下部アセンブリは、要素802、806、および807を構成する上部アセンブリに挿入され、フィルタ803を取り囲むエンクロージャがカップ802の内側に突出したリブに対してシールする。可撓性カップ要素802は、上述したように、たばこ製品、例えば、たばこまたは他の植物物質と懸濁液との混合物を含む懸濁混合物で充填してもよい。
【0184】
ユーザによる吸入により開口部807に負圧が加えられると、空気は開口部806を通ってチャネル805を通ってデバイス800内に引き込まれる。ユーザによる吸入と同時に、上述したように、電力が加熱要素804に供給される。ユーザによる吸入によって生成されたデバイス内の負圧は、可撓性カップ要素802内に含まれるたばこ製品から液体を引き出し、多孔質フィルタ要素803内に入り、加熱要素804と密に接触する。液体は、たばこ製品に由来する揮発性化合物を含み、加熱要素804との接触によって加熱され、チャネル805および開口部807を通ってユーザの口に運ばれるときにエアロゾル化してもよい。
【0185】
この実施形態では、固体のたばこ製品は、加熱要素と接触せず、たばこ製品混合物の液体成分のみを接触させる。この液体成分は、フィルタ要素803を飽和させ、加熱要素を取り囲む。以下に説明するように、特定の実験では、この設計は加熱要素を消して、たばこ製品の液体部分の効果的なエアロゾル化を妨げた。
【0186】
図14は、
図8A~8Dに関連して実質的に上述したように示され、説明されているたばこ送達デバイス900を描写している。送達デバイス900は、使い捨てマウスピースユニット901、再使用可能な本体ユニット802、上部キャップ904、および下部キャップ903を含む。キャップ904は、可撓性ポリマー材料で構成されてもよく、マウスピース904内の吸入ポート328をシールするように構成されたプラグ要素を含む。これは、例えば、デバイス900が逆向きにポケットに入れて携帯されているときに、たばこ製品の液体部分がそのポートを通って出てくるのを防止してもよい。キャップ903は、本体部分902の遠位端にある充電部品を保護してもよい。使い捨てマウスピースユニット901の各々は、出荷時および保管時にたばこ製品の液体部分の漏れを防止するために、製造時にキャップ904を備えていてもよい。キャップ904はまた、有利には、入口330のためのプラグ(図示せず)をカバーし、任意に提供してもよい。このプラグの提供は、キャップ904を所定の位置に保持して、意図せずマウスピースユニット901から滑り落ちるのを防止するという付加的な利点を有する。
【0187】
本明細書に記載されている特定の教示は、植物ベースであること、本明細書に記載されている方法で処理することができる葉を有すること、および携帯型電子送達システムと組み合わせて使用されることなどの類似の特性を有する、たばこ以外の物質に適応可能であり得る。
【0188】
本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、上述の主題に様々な変更を加えることができるので、上述の説明に含まれる、または添付の図面に示されるすべての主題は、説明的および例示的なものとして解釈されることが意図されており、限定的な意味で解釈されるものではない。
【実施例】
【0189】
比較例1
有機低温殺菌されたたばこの葉を、蒸留水、精製水、または水道水の存在下で、5~20気圧の圧力、85℃~100℃の温度、低速混合(10~100rpm)で5~60分間、任意の持続時間加熱した。その後、たばこ製品を水浴から取り出し、任意で1時間の輻射熱下で乾燥させた。その後、製品は、最大寸法が50~2,000μm、より好ましくは100~1,000μmの細片または断片に切断または粉砕された。切断または粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品を、粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品がグリセリンとの重量比で約1:1の割合で混合された水と組み合わせ、1時間静置した。得られたたばこ製品の粘度は約20,000~40,000cpであった。
【0190】
2~2.5gの湿ったたばこ製品を
図13のデバイス800のカップ802に入れた。フィルタ803をたばこ製品と加熱要素804の間に配置した。空気は、吸気口806を通って、チャネル805を通ってフィルタエレメントを横切って吸い込まれた。空気は、ポート807を介して排気され、吸入された。それ以外の場合、デバイスは、上述したものと同様の様式で作動した。
【0191】
デバイスは0~5回の吹かしが行われた後、デバイスは、たばこ製品の用量からさらなるふかしができないように停止した。
【0192】
実施例2
有機低温殺菌されたたばこの葉を、蒸留水、精製水、または水道水の存在下で、5~20気圧の圧力で、85~100℃の温度で5~60分間、任意で低速混合(10~100rpm)で加熱した。その後、たばこ製品を水浴から取り出し、任意で1時間の輻射熱下で乾燥させた。その後、製品は、最大寸法が50~2,000μm、より好ましくは100~1,000μmの細片または断片に切断または粉砕された。切断または粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品を、粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品がグリセリンと重量比で約1:1の割合で混合された水と組み合わせ、1時間静置した。得られたたばこ製品の粘度は約20,000~40,000cpであった。
【0193】
2から2.5gの湿ったたばこ製品を、
図8A~8Dのデバイス300のカップ312に入れた。デバイスは、その実施形態に関連して上述した方法で操作した。
【0194】
このデバイスで、伝統的なたばこ製品の喫煙に関連する味とユーザ体験を模擬した、豊かでエアロゾル化された蒸気を20~30回吹かすことができた。
【0195】
実施例3
有機低温殺菌されたたばこの葉を、蒸留水、精製水、または水道水の存在下で、5~20気圧の圧力で、85~100℃の温度で5~60分間、低速混合(10~100rpm)で加熱した。その後、たばこ製品を水浴から取り出し、任意で1時間の輻射熱下で乾燥させた。その後、製品は、最大寸法が50~2,000μm、より好ましくは100~1,000μmの細片または断片に切断または粉砕された。切断または粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品を、粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品がグリセリンと重量比で約1:1の割合で混合された水と組み合わせ、1時間静置した。得られたたばこ製品の粘度は約20,000~40,000cpであった。
【0196】
2.3gの湿ったたばこ製品を、
図9A~9Dのデバイス400のカップに入れた。デバイスは、その実施形態に関連して上述した方法で操作した。
【0197】
このデバイスで、伝統的なたばこ製品の喫煙に関連する味とユーザ体験を模擬した、豊かでエアロゾル化された蒸気を235回吹かすことができた。これは、IQOSまたは普通のたばこ(吹かし回数10~14回)よりも、ポッドまたは用量あたりの吹かしの回数が1桁を超えて多くなっている。
【0198】
このシステムは、たばこ製品1グラムあたり約100回吹かすことができ、たばこ製品1グラムあたり約30~47回吹かすことができる(ヒートスティック1本あたりたばこ製品0.3グラムに対して10~14回吹かすことができる)IQOSよりも大幅に高くなっている。
【0199】
実施例4
有機低温殺菌されたたばこの葉を、蒸留水、精製水、または水道水の存在下、5~20気圧の圧力、85~100℃の温度で5~60分間、任意で低速混合(10~100rpm)で加熱する。その後、たばこ製品を水浴から取り出し、任意で放射熱下で1時間乾燥させる。その後、製品は、最大寸法が50~2,000ミクロン、より好ましくは100~1,000ミクロンの細片または断片に切断または粉砕される。切断または粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品は、粉砕されたたばこおよび/またはハーブ製品がグリセリンと重量比約1:1で混合された水と組み合わされ、1時間静置する。得られたたばこ製品の粘度は約20,000~40,000cpである。
【0200】
1.3gの湿ったたばこ製品を、
図10A~10Eのデバイス500のカップに入れた。デバイスは、その実施形態に関連して上述した方法で操作した。
【0201】
このデバイスで、伝統的なたばこ製品の喫煙に関連する味とユーザ体験を模擬した、豊かでエアロゾル化された蒸気を155回吹かすことができた。この場合、IQOSまたは普通のたばこ(吹かし回数10~14回)よりも、用量あたりの吹かしの回数がほぼ1桁多くなっている。
【0202】
このシステムは、たばこ製品1グラムあたり約120回吹かすことができ、たばこ製品1グラムあたり約30~47回吹かすことができる(ヒートスティック1本あたりたばこ製品0.3グラムに対して10~14吹かすことができる)IQOSよりも大幅に高くなっている。
【0203】
実施例5
21名の参加者を対象に喫煙テストを実施したが、誰もテスト管理者とデバイスとの間に関係があることを認識していなかった。参加者は、IQOSデバイスと実施例4のデバイスの両方を使用するように求められた。各参加者は、各デバイスを少なくとも10~14回吹かししたが、これはIQOS製品の場合にはヒートスティック全体を消費した。参加者は、1は最悪または最も否定的であり、5は最高または最も肯定的である、1から5までの点数で各製品を評価するように求められた。結果は以下のとおりで、独立した第三者機関が実施したいくつかの過去の喫煙テストの各々で観察された結果と一致している。
【表3】
【0204】
このデータから、実施例4の製品は、味と使いやすさが格段に向上していると判断された。味に関しては、IQOSは1~5(5が最高)の評価で1.29(1が最悪)を受け、実施例4の製品は4.57(5が最高)の評価を受けた。使いやすさに関しては、実施例4の実施形態の製品が4.95であるのに対し、IQOSは、1.05の評価を受けた。
【0205】
実施例4のたばこ製品は、75~125℃程度の比較的低温でエアロゾル化されており、これにより、IQOSのような従来の加熱非燃焼式製品と比較して、HPHCを4~6倍以上減少させる。実施例4の製品は、IQOSヒートスティックに添加した合成成分の配列と同じ配列のたばこ製品を使用しても、4倍、5倍または6倍の低減が達成される。しかしながら、例4の製品は、ちょうど3つの成分:約65~75%のグリセリン、約5~15%の水、および約20%の有機たばこからなる単純な、有機レシピを使用している。実施例4の製品は、このようにIQOSと比較して未知の毒性の少ない製品を生成する。それらの生成物は、IQOSヒートスティックに存在する香料およびプロピレングリコールの両方が同じ混合物中にある間に加熱されたときに典型的に生成されるアセタールをもたらす。有害な廃液の全体的な削減量は、IQOSと比較して7、8、9、または10倍になる。
【0206】
実施例4の製品はまた、IQOSおよび他の従来の加熱非燃焼式製品と比較して、製造の複雑さとコストが実質的に少ない。IQOSヒートスティックの製造は、高価で比較的大きな製造施設を伴う多段階プロセスである。対照的に、例示された実施形態の組成物を調製する工程は、単に、たばこ製品の高圧加熱に続いて、乾燥、粉砕、および粉砕されたたばこ製品をグリセリンと重量比約1:1で結合し、その後、たばこ製品をポッドに添加することを含む。
【0207】
別の態様において、本明細書で例示される製品は、プロピレングリコールまたは補助的な水分水または蒸気源を使用せずに許容可能なエアロゾル化および味を達成する最初の製品であると考えられる。上述したように、本物のたばこを使用する従来の加熱非燃焼式製品は、改善された味およびユーザ体験を提供するために、プロピレングリコールまたは補助的な水分水蒸気源に依存している。例えば、実施例4の製品は、一般的な香料の存在下でのアセタールの形成、および水蒸気の補助的な供給源を提供することの複雑さおよび費用のようなプロピレングリコールの悪影響を回避する。
【0208】
本明細書で例示される特定の実施形態のさらに別の利点は、使い捨てマウスピースユニットに含まれるたばこ製品は、数時間または数日で区切られた喫煙セッションの数にわたってエアロゾル化または「消費」される可能性があるということである。上述したように、従来の加熱非燃焼式たばこ製品は、乾燥たばこ製品が加熱後に炭化され、その後別の喫煙セッションで再加熱するのに適していないため、潜在的に、IQOSおよびGLOのようなミニ紙巻きたばこを提供し、1回の着座または喫煙セッションで使用されなければならない。本明細書で例示される実施形態は、湿ったたばこ製品組成物および作用の二重機構が湿ったたばこ製品の炭化を実質的に防止するため、潜在的に、有利には、一回の喫煙セッションですべてを消費する必要はない。様々な実施形態において、ユーザは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回の喫煙セッションを、各々少なくとも10、20、30、60、90、180、360、または720分またはその間の値で区切って、単一の使い捨てユニットまたはポッドを消費することができる。例示された実施形態のユーザは、このようにして、単一の使い捨てユニットを、例えば、数時間または数日にわたって間隔をあけて約10回の喫煙セッションにわたって使用することができる。
【0209】
まだ別の態様では、従来の蒸気吸入製品とは対照的に、エアロゾル化された製品は、本物のたばこであり、ニコチンが追加されていない。これは、現代の蒸気吸入デバイスに関連して報告された中毒と短期的な健康影響のリスクの増加を回避する。
【0210】
例示的な実施形態の前記一般的な説明および以下の詳細な説明は、本開示の教示の例示的な態様に過ぎず、制限的なものではない。上述したように、本開示および特許請求の範囲内の特定の実施形態は、上述した特定の利点を提供しない場合がある。とは言うものの、最も好ましい実施形態は、従来の加熱非燃焼式たばこおよび蒸気吸入デバイスに関連して、前記の多くの、ほとんどのまたはすべての利点を提供する。
【0211】
特定の実施形態が記載されているが、これらの実施形態は例示のためだけに示されており、本開示の範囲を限定することを意図していない。実際、本明細書に記載された新規な方法、装置およびシステムは、様々な他の形態で具現化することができ、さらに、本明細書に記載された方法、装置およびシステムの形態における様々な省略、置換および変更は、本開示の趣旨から逸脱することなく行うことができる。添付の特許請求の範囲およびその等価物は、本開示の範囲および趣旨に該当するような形態または修正をカバーすることを意図している。