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特許7021395硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20220208BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20220208BHJP
   C08G 59/17 20060101ALI20220208BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
C09K3/10 B
C09K3/10 E
C08G59/17
C08G59/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021505797
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2021000795
(87)【国際公開番号】W WO2021157298
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2020019677
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梁 信烈
(72)【発明者】
【氏名】松井 慶枝
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-054164(JP,A)
【文献】特開昭61-076521(JP,A)
【文献】特開2000-171804(JP,A)
【文献】特開2014-001340(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106749986(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
C09K 3/10
C08F 220/20
C08G 59/00
C08F 220/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と光重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記硬化性樹脂組成物に3000mJ/cmの紫外線を照射して得られる光硬化物について、昇温速度10℃/分で25℃から120℃まで昇温する昇温工程にて周波数10Hzの条件で動的粘弾性測定を行った際の該昇温工程中における損失弾性率の最小値が1.5MPa以上であり、
更に、熱硬化剤を含有する
ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記硬化性樹脂組成物に3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で1時間加熱して得られる光熱硬化物の昇温速度10℃/分、周波数10Hzの条件での動的粘弾性測定により求められるガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の昇温速度10℃/分、周波数10Hzの条件での動的粘弾性測定により測定される貯蔵弾性率が50MPa以上である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記硬化性樹脂は、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物と、イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物とを含む請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記多官能(メタ)アクリル化合物は、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる液晶表示素子用シール剤。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物と導電性微粒子とを含有する上下導通材料。
【請求項7】
請求項5記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項6記載の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの力や内部応力による被着体の変形を抑制することができる硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いてなる液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような、硬化性樹脂と光重合開始剤と熱硬化剤とを含有する光熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
【0003】
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うことで極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-133794号公報
【文献】特開平5-295087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤として用いて液晶表示素子を作製した場合、基板搬送時や加熱工程時等に支持ピン等の外部からの力や基板が本来有する内部応力によって被着体(基板)の変形が生じることがあった。
本発明は、外部からの力や内部応力による被着体の変形を抑制することができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いてなる液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、硬化性樹脂と光重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、上記硬化性樹脂組成物に3000mJ/cmの紫外線を照射して得られる光硬化物について、昇温速度10℃/分で25℃から120℃まで昇温する昇温工程にて動的粘弾性測定を行った際の該昇温工程中における損失弾性率の最小値が1.5MPa以上である硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明者は、硬化性樹脂組成物の光硬化物について、昇温速度10℃/分で25℃から120℃まで昇温する昇温工程にて動的粘弾性測定を行った際の該昇温工程中における損失弾性率の最小値を特定値以上となるようにすることにより、外部からの力や内部応力による被着体の変形を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の硬化性樹脂組成物の光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値を1.5MPa以上とすることにより、加熱工程時の支持ピン等の外部からの力や基板が本来有する内部応力による基板変形から被着体の変形を抑制することができる理由としては、以下のことが考えられる。即ち、通常120℃程度に昇温することにより行われる実際の加熱プロセスにおいて、基板全体にかかる外部からの力又は基板の内部応力を硬化性樹脂組成物により緩和できることから、該光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値を1.5MPa以上とすることにより、このような効果が発揮されると考えられる。
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記硬化性樹脂組成物に3000mJ/cmの紫外線を照射して得られる光硬化物について、昇温速度10℃/分で25℃から120℃まで昇温する昇温工程にて動的粘弾性測定を行った際の該昇温工程中における損失弾性率の最小値が1.5MPa以上である。上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値が1.5MPa以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、外部からの力や内部応力による被着体の変形を抑制することができるものとなる。上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値は3.0MPa以上であることが好ましい。
また、描画性の観点から、上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値は、1000MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましい。
なお、上記光硬化物としては、硬化性樹脂組成物にメタルハライドランプを用いて3000mJ/cmの紫外線(波長365nm)を340nm以下カットフィルターを介して照射して硬化させたものが用いられる。3000mJ/cmの紫外線の照射は、例えば、100mW/cmの紫外線を30秒照射することにより行う。
また、上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値は、動的粘弾性測定装置(例えば、IT計測制御社製、「DVA-200」等)を用いて、引張りモード、試験片幅5mm、厚み0.35mm、掴み幅25mm、昇温速度10℃/分、保持温度120℃、周波数10Hzの条件で測定することができる。
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記硬化性樹脂組成物に3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で1時間加熱して得られる光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率の好ましい下限が50MPaである。上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率が50MPa以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、液晶表示素子用シール剤として用いた場合に低液晶汚染性に優れるものとなる。上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率のより好ましい下限は80MPaである。
また、基板との接着力の観点から、上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率の好ましい上限は1000MPa、より好ましい上限は800MPaである。
なお、上記光熱硬化物としては、硬化性樹脂組成物にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を340nm以下カットフィルターを介して30秒照射した後、120℃で1時間加熱して硬化させたものが用いられる。
また、上記ガラス転移温度は、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の極大のうち、ミクロブラウン運動に起因する極大が現れる温度を意味する。上記ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置等を用いた従来公知の方法により測定することができる。
更に、上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、IT計測制御社製、「DVA-200」等)を用いて、引張りモード、試験片幅5mm、厚み0.35mm、掴み幅25mm、昇温速度10℃/分、周波数10Hzの条件で測定することができる。
【0011】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と光重合開始剤とを含有する。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値や、上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率は、上記硬化性樹脂や上記光重合開始剤やその他の構成成分の種類や含有量を調整することにより、上述した範囲とすることが容易となる。
具体的には、上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値は、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物と、イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物とを組み合わせることにより調整することができる。また、上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率は、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物と、イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物とを組み合わせることにより調整することができる。
【0012】
上記硬化性樹脂は、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物と、イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物とを含むことが好ましい。これらの化合物を組み合わせて用いることにより、上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値や、上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率を上述した範囲とすることが容易となる。また、これらの化合物を組み合わせて用いることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、液晶表示素子用シール剤として用いた場合に低液晶汚染性と配向膜に対する接着性との両方に優れるものとなる。
なお、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する化合物であっても、イソシアヌル骨格を有するものは、上記多官能(メタ)アクリル化合物ではなく、イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物として扱う。
また、本明細書において、上記「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0013】
上記多官能(メタ)アクリル化合物は、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。被着体の変形を抑制する効果の観点からは、1分子中に(メタ)アクリロイル基を4つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい。一方、接着性の観点からは、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい。
上記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0014】
上記多官能(メタ)アクリル化合物のうち、上記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物以外のものとしては、例えば、2官能(メタ)アクリル酸エステル化合物、2官能脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート、多官能芳香族エポキシ(メタ)アクリレート、2官能脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、多官能芳香族ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、2官能脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート、多官能芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本明細書において、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
【0015】
また、上記2官能(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
上記2官能脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート又は上記多官能芳香族エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2官能脂肪族エポキシ化合物又は多官能芳香族エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
【0017】
上記2官能脂肪族エポキシ化合物又は上記多官能芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0018】
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER828EL、jER1004(いずれも三菱ケミカル社製)、EPICLON850(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004(いずれも三菱ケミカル社製)、EPICLON EXA-830CRP(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールE型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エポミックR710(三井化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA-1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE-810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA-7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX-201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER YX-4000H(三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-50TE(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-80DE(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP-4032、EPICLON EXA-4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-670-EXP-S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP-7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC-3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN-165S(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱ケミカル社製)、EPICLON430(DIC社製)、TETRAD-X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX-1542(日鉄ケミカル&マテリアル社製)、EPICLON726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX-611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR-450、YR-207(いずれも日鉄ケミカル&マテリアル社製)、エポリードPB(ダイセル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX-147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC-1312、YSLV-80XY、YSLV-90CR(いずれも日鉄ケミカル&マテリアル社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER1031、jER1032(いずれも三菱ケミカル社製)、EXA-7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0019】
上記2官能脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート又は上記多官能芳香族ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、2官能脂肪族イソシアネート化合物又は多官能芳香族イソシアネート化合物に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0020】
上記2官能脂肪族イソシアネート化合物又は上記多官能芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
また、上記2官能脂肪族イソシアネート化合物又は上記多官能芳香族イソシアネート化合物としては、ポリオールと過剰のイソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長された2官能脂肪族イソシアネート化合物又は多官能芳香族イソシアネート化合物も使用することができる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0022】
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記三価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0023】
上記イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0024】
上記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物と、上記イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物との含有割合(1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物:イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物)は、重量比で、1:9~9:1であることが好ましい。上記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物と、上記イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物との含有割合がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、液晶表示素子用シール剤として用いた場合に低液晶汚染性と配向膜に対する接着性との両方により優れるものとなる。
【0025】
上記硬化性樹脂100重量部中における、上記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物と、上記イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物との合計の含有量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物と、上記イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物との合計の含有量がこの範囲であることにより、上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値や、上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率を上述した範囲とすることがより容易となる。上記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能脂肪族(メタ)アクリル化合物と、上記イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物との合計の含有量のより好ましい下限は2重量部、より好ましい上限は17重量部である。
【0026】
上記硬化性樹脂は、上記光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値や、上記光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率を調整したり、液晶表示素子用シール剤として用いる場合の接着性や低液晶汚染性をより向上させたりする等の目的で、上記多官能(メタ)アクリル化合物、及び、上記イソシアヌル骨格を有し、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル化合物以外のその他の硬化性樹脂を含有することが好ましい。上記その他の硬化性樹脂としては、エポキシ化合物や単官能(メタ)アクリル化合物が好適に用いられる。
【0027】
上記エポキシ化合物としては、上記2官能脂肪族エポキシ化合物や上記多官能芳香族エポキシ化合物等を用いることができる。
【0028】
上記エポキシ化合物としては、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂のうち、1分子中に(メタ)アクリロイル基を1つ有するものも好適に用いられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂とは、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ1つ以上有する化合物を意味する。
【0029】
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、UVACURE1561、KRM8287(いずれもダイセル・オルネクス社製)等が挙げられる。
【0030】
上記単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等が挙げられる。
【0031】
上記単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
本発明の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、オキシムエステル化合物、ベンゾインエーテル化合物、チオキサントン化合物等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、具体的には例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-((4-メチルフェニル)メチル)-1-(4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-(フェニルチオ)フェニル)-1,2-オクタンジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記光重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0033】
上記光重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が10重量部である。上記光重合開始剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が保存安定性や光硬化性により優れるものとなる。上記光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は7重量部である。
【0034】
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱重合開始剤を含有してもよい。
上記熱重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物や有機過酸化物等で構成されるものが挙げられる。なかでも、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤として用いた場合の液晶汚染を抑制する観点から、アゾ化合物で構成される開始剤(以下、「アゾ開始剤」ともいう)が好ましく、高分子アゾ化合物で構成される開始剤(以下、「高分子アゾ開始剤」ともいう)がより好ましい。
上記熱ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、本明細書において上記「高分子アゾ化合物」とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイル基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
【0035】
上記高分子アゾ化合物の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤として用いた場合の液晶への悪影響を防止しつつ、硬化性樹脂へ容易に混合することができる。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF-804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0036】
上記高分子アゾ化合物としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-0501、VPS-1001(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ開始剤としては、例えば、V-65、V-501(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
【0037】
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0038】
上記熱重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記熱重合開始剤の含有量がこの範囲であることにより、保存安定性や熱硬化性により優れるものとなる。上記熱重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0039】
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化剤を含有することが好ましい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
【0040】
上記固形の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記固形の有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、日本ファインケム社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH等が挙げられる。
上記日本ファインケム社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、MDH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH-J、アミキュアUDH等が挙げられる。
【0041】
上記熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0042】
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量が1重量部以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が熱硬化性により優れるものとなる。上記熱硬化剤の含有量が50重量部以下であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が塗布性や保存安定性により優れるものとなる。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
【0043】
本発明の硬化性樹脂組成物は、粘度の向上、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善、硬化物の耐湿性の向上等を目的として充填剤を含有してもよい。
【0044】
上記充填剤としては、無機充填剤や有機充填剤を用いることができる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等が挙げられる。
上記充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物100重量部中における上記充填剤の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は70重量部である。上記充填剤の含有量がこの範囲であることにより、塗布性等を悪化させることなく、接着性の改善等の効果により優れるものとなる。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0046】
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は、主に硬化性樹脂組成物と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
【0047】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらは、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤として用いる場合は、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができる。
上記シランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0048】
本発明の硬化性樹脂組成物100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0049】
本発明の硬化性樹脂組成物は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
【0050】
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
【0051】
上記チタンブラックは、波長300nm以上800nm以下の光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370nm以上450nm以下の光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の硬化性樹脂組成物に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。従って、上記光重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の硬化性樹脂組成物の光硬化性をより増大させることができる。また一方で、本発明の硬化性樹脂組成物に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記チタンブラックは、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほどよく、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
【0052】
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを配合した本発明の硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤として用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
【0053】
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、三菱マテリアル社製のチタンブラック、赤穂化成社製のチタンブラック等が挙げられる。
上記三菱マテリアル社製のチタンブラックとしては、例えば、12S、13M、13M-C、13R-N、14M-C等が挙げられる。
上記赤穂化成社製のチタンブラックとしては、例えば、ティラックD等が挙げられる。
【0054】
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
【0055】
上記遮光剤の一次粒子径は、得られる硬化性樹脂組成物を液晶表示素子用シール剤として用いる場合は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5000nmである。上記遮光剤の一次粒子径がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の塗布性等を悪化させることなく遮光性により優れるものとすることができる。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
【0056】
本発明の硬化性樹脂組成物100重量部中における上記遮光剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記遮光剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の接着性、硬化後の強度、及び、描画性を大きく低下させることなく、より優れた遮光性を発揮することができる。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部であり、更に好ましい下限は30重量部、更に好ましい上限は60重量部である。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、必要に応じて、応力緩和剤、反応性希釈剤、揺変剤、スペーサー、硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0058】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、光重合開始剤と、熱硬化剤や必要に応じて添加するシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
【0059】
本発明の硬化性樹脂組成物は、液晶表示素子用シール剤として好適に用いられる。本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる液晶表示素子用シール剤もまた、本発明の1つである。
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような本発明の硬化性樹脂組成物と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
【0061】
上記導電性微粒子としては、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
【0062】
本発明の液晶表示素子用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【0063】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、液晶滴下工法による液晶表示素子の製造に好適に用いることができる。
液晶滴下工法によって本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
まず、基板に本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴をシールパターンの枠内全面に滴下塗布し、すぐに別の基板を重ね合わせる工程を行う。その後、本発明の液晶表示素子用シール剤のシールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化させたシール剤を加熱して本硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、外部からの力や内部応力による被着体の変形を抑制することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いてなる液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0066】
(実施例1~5、及び、比較例1~5)
表1に記載された配合比の各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより、実施例1~5、及び、比較例1~5の各硬化性樹脂組成物を調製した。
【0067】
(光硬化物の昇温工程中における損失弾性率の最小値)
得られた各硬化性樹脂組成物について、メタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を340nm以下カットフィルターを介して30秒照射して光硬化物を得た。得られた光硬化物について、動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、「DVA-200」)を用いて、引張りモード、試験片幅5mm、厚み0.35mm、掴み幅25mm、昇温速度10℃/分、保持温度120℃、周波数10Hzの条件で昇温工程中における損失弾性率の最小値を測定した。結果を表1に示した。
【0068】
(光熱硬化物のガラス転移温度に40℃を加えた温度における該光熱硬化物の貯蔵弾性率)
得られた各硬化性樹脂組成物について、メタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を340nm以下カットフィルターを介して30秒照射した後、120℃で1時間加熱して光熱硬化物を得た。得られた光熱硬化物について、動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、「DVA-200」)を用いて、引張りモード、試験片幅5mm、厚み0.35mm、掴み幅25mm、昇温速度10℃/分、周波数10Hzの条件で動的粘弾性を測定し、損失正接(tanδ)の極大値の温度をガラス転移温度として求めた。次いで、得られた光熱硬化物について、動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、「DVA-200」)を用いて、引張りモード、試験片幅5mm、厚み0.35mm、掴み幅25mm、昇温速度10℃/分、周波数10Hzの条件で、ガラス転移温度に40℃を加えた温度における貯蔵弾性率を測定した。結果を表1に示した。
【0069】
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0070】
(配向膜に対する接着性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物100重量部に対して平均粒子径5μmのスペーサー粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSP-2050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させた。スペーサー粒子を分散させた硬化性樹脂組成物の極微量を、表面にTN用ポリイミド配向膜(日産化学社製、「SE7492」)を有するガラス基板(20mm×50mm×厚さ0.7mm)の中央部に取り、同型のガラス基板をその上に重ね合わせた。硬化性樹脂組成物を押し広げ、メタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱して硬化性樹脂組成物を硬化させ、接着試験片を得た。
得られた接着試験片について、テンションゲージを用いて接着強度を測定した。
【0071】
(低液晶汚染性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物100重量部に平均粒子径5μmのスペーサー微粒子1重量部を分散させた。スペーサー微粒子としては、SI-H040(積水化学工業社製)を用いた。次いで、硬化性樹脂組成物をディスペンス用のシリンジに充填し、脱泡処理を行った。ディスペンス用のシリンジとしては、PSY-10E(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。脱泡処理後の硬化性樹脂組成物を、2枚のラビング済み配向膜及び透明電極付き基板(長さ375mm、幅305mm)の一方に線幅が1mmの枠状となるようにディスペンサーで塗布した。ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。
続いて液晶の微小滴を、透明電極付き基板上の硬化性樹脂組成物の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の基板を貼り合わせた。液晶としては、JC-5004LA(チッソ社製)を用いた。その後、硬化性樹脂組成物にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱することによって液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子について、80℃、90%RHの環境下にて1時間電圧印加状態とした後の液晶配向乱れ(表示むら)を目視にて確認した。
液晶表示素子に表示むらが全く見られなかった場合を「○」、液晶表示素子の硬化性樹脂組成物付近(周辺部)に表示むらがあった場合を「△」、表示むらが周辺部のみではなく、中央部まで広がっていた場合を「×」として、低液晶汚染性を評価した。
【0072】
(被着体の変形防止性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物100重量部に平均粒子径5μmのスペーサー微粒子1重量部を分散させた。スペーサー微粒子としては、SI-H040(積水化学工業社製)を用いた。次いで、硬化性樹脂組成物をディスペンス用のシリンジに充填し、脱泡処理を行った。ディスペンス用のシリンジとしては、PSY-10E(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。脱泡処理後の硬化性樹脂組成物を、2枚のガラス基板(長さ400mm、幅300mm、厚さ0.7mm)の一方の、当該ガラス基板表面の各辺から1cmずつ内側の位置に線幅が1mmの枠状となるようにディスペンサーで塗布した。ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。その後、塗布した硬化性樹脂組成物を介して一方のガラス基板と他方のガラス基板とを貼り合わせ、硬化性樹脂組成物にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱することによって試験片を得た。
得られた試験片を、試験片の長辺側が20mmずつ均等にはみ出るように支持体(長さ360mm、幅10mm、高さ10mm)上に固定した。次いで、試験片の長辺側の両端中央部にそれぞれ0.5kgの錘を吊り下げ、120℃で1時間加熱した後、25℃まで放冷する変形試験を行った。変形試験前の試験片を基準として、変形試験後の試験片における基板の反りの高さ(長辺側の両端における錘で吊り下げた方向への変位量)を測定した。
基板の反りの高さが0.8mm未満であった場合を「◎」、基板の反りの高さが0.8mm以上1mm未満であった場合を「○」、1mm以上2mm未満であった場合を「△」、2mm以上であった場合を「×」として、被着体の変形防止性を評価した。
【0073】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、外部からの力や内部応力による被着体の変形を抑制することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いてなる液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子を提供することができる。